説明

除湿乾燥機への窒素ガスの供給方法および供給装置

【課題】ホッパー内に高温気体を循環させて樹脂ペレットの乾燥を行う除湿乾燥機で、樹脂ペレットの均一乾燥及び酸化防止を実現する高温ガスの供給方法の提供。
【解決手段】樹脂ペレット201が貯留されているホッパー10、10Aの最下部から、高温の窒素ガスをホッパ10、10A内に供給し、該窒素ガスをホッパ10、10A内に循環させることで、樹脂ペレット201の乾燥を行なう。窒素ガスの供給量は、常に一定の量あるいは必要に応じて間欠的に大量とすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、除湿乾燥機への窒素ガスの供給方法および供給装置に関する技術であって、更に詳細に述べると、樹脂ペレットが貯留されているホッパーに高温の気体を循環させて乾燥を行なう中で、樹脂ペレットの表面に付着している水分を除湿するだけでなく酸素分子が内部に侵入することも防止出来るように、ホッパーの最下部から内部に窒素ガスを供給する技術について述べたものである。
【背景技術】
【0002】
従来の、除湿乾燥機への窒素ガスの供給方法および供給装置に関する技術としては、高温の空気を樹脂ペレットが貯留されているホッパーを経由して循環させ樹脂ペレットの乾燥を行なう中で、ヒーターで加熱しブロアーで循環させる内容の技術は有った(例えば、図5参照)。
【0003】
この場合、図5に見られるように、空気を加熱するヒーター33から、高温気体送付配管101と、ホッパー10を形成しているパイプ14と、流入ラッパ部15と、放出部16と、樹脂ペレットが貯留されているホッパー10内部と、副フィルター26と、戻り配管102と、異物を除去するフィルター31と、戻り配管103と、流体を送る第1ブロアー32と、戻り配管104を経由して、再びヒーター33に戻る循環回路を形成している。 従って、この構成によって、材料ローダー13から送り込まれたホッパー10内部の樹脂ペレット201は、数時間滞留している間に、ヒーター33からの高温気体によって加熱され乾燥するようになっている。
【0004】
そこで、ホッパー10内部の乾燥した樹脂ペレット201は、第1電磁弁22を開放の状態に作動させることによって樹脂輸送配管111に送り出され、更に第2ブロアー41から送り込まれる空気と共に樹脂輸送配管112を経由してアプリケーション43に送られるようになっている。
【0005】
一方、循環回路内の風量不足を補う目的から、第3ブロアー96から送風配管151を経由して戻り配管104に空気を送り込むことが出来る様になっている。 但し、送風配管151の接続は、戻り配管104に限定する必要は無く、戻り配管103でも、また循環回路内の何れの場所でも構わない。 更に、その他にもヒーター32にコンプレッサーから圧縮空気を送ることも考えられる。 これらの場合、具体的に図示していないが、循環回路の定められた何れかの場所で常時圧力の状況を確認して、一定の圧力を超えた場合には、作動を停止するようになっている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような従来の技術に関しては、以下に示すような課題があった。
【0007】
即ち、樹脂ペレットは、加熱した空気を送り込むことで乾燥したものとなったが、樹脂ペレットを使おうとするアプリケーションで、空気中の酸素ガスによって酸化されるという問題を残していた。
【0008】
尚、アプリケーションに送り出す直前の状態であるホッパー下部の首部近傍に貯留されている樹脂ペレットは、高温の気体は放出部から直ちにホッパーの上部に流れて行く一般的な状況と、放出部と首部との間が少しであれ離れている関係から、高温の気体の影響が及ばない距離が存在していた。
【0009】
更には、放出部よりホッパー上部に流れて行く高温の気体は、再び第1ブロアーにより一定の圧力で定まった状態で流れて行くことによってホッパー内部の樹脂ペレットの間で固定した流路を形成する傾向にあり、従って流路の周辺の樹脂ペレットだけにしか完全な除湿がされていなかった。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、除湿乾燥機への窒素ガスの供給方法に於いて、樹脂ペレット201が貯留されているホッパー10、10Aに高温の気体を循環させて前記樹脂ペレット201の乾燥を行なう中で、前記ホッパー10、10Aの最下部から内部に窒素ガスを供給することを特徴とし、更には、窒素ガスは、常に一定の量を供給することが可能であることを特徴とし、更には、窒素ガスは、必要に応じて間欠的に大量に供給することが可能であることを特徴とし、更には、供給された大量の窒素ガスのうち、余分な窒素ガスは外部に排出することを特徴とし、更には、窒素ガスを必要に応じて間欠的に大量に供給するタイミングとしては、窒素ガスを貯留している窒素ガス貯留タンク70の圧力を条件とするものであることを特徴とすることによって、上記課題を解決したのである。
【0011】
また本発明は、除湿乾燥機への窒素ガスの供給装置に於いて、乾燥を目的として何等かの気体が気体を加熱するヒーター33からホッパー10、10A内に貯留した樹脂ペレット201を通過した後にフィルター31と第1ブロアー32を経由して前記ヒーター33に至る循環回路を通過する中で、前記樹脂ペレット201は必要に応じて開閉手段22、23によって送り出すものであり、前記循環回路の何れかの所に窒素ガスを発生させる窒素ガス発生装置60からの配管を接続することで前記ホッパー10、10A内に窒素ガスを供給するようにしたことを特徴とし、更には、前記循環回路の何れかの所とは、前記樹脂ペレット201を貯留する前記ホッパー10、10Aの最下部を形成している首部12、12Aであり、前記首部12、12Aと前記窒素ガス発生装置60とを前記開閉手段22、23より上部に位置している共通窒素ガス配管129を介して接続することを特徴とし、更には、前記首部12、12Aと前記窒素ガス発生装置60の間には、窒素ガスを貯蔵することが可能な窒素ガス貯蔵タンク70を配設し、前記窒素ガス貯蔵タンク70に貯留された窒素ガスを前記首部12、12Aに必要に応じて間欠的に大量に供給することが可能なように第3電磁弁95を設け、前記ホッパー10、10Aの上部に余分な窒素ガスを排出する目的で安全弁21を配設したことを特徴とし、更には、窒素ガスを必要に応じて間欠的に大量に供給するタイミングとしては、コントローラ80を前記第3電磁弁95と前記窒素ガス貯蔵タンク70に付設した圧力計94に接続することによって、前記圧力計94が一定の圧力を超えた場合に所定の時間の間を、または一定の時間毎に所定の圧力まで減圧するまでの間を開放するものであることを特徴とし、更には、前記首部12、12Aと前記窒素ガス貯蔵タンク70の間には、前記第3電磁弁95の配管系列とは別に、窒素ガスの常に一定の量が供給されるように可変式絞り弁91を設け、更に前記首部12、12Aの側から前記窒素ガス貯蔵タンク70の側に流体が逆流して来ないように逆止弁93を設けた配管系列を並列して接続したことを特徴とすることによって、上記課題を解決したのである。
【発明の効果】
【0012】
以上の説明から明らかなように、本発明によって、以下に示すような効果をあげることが出来る。
【0013】
第一に、除湿乾燥機に高温の窒素ガスを供給することで、樹脂ペレットを使おうとするアプリケーションに於いて、酸素によって酸化されるという各種の問題は完全に解消された。
【0014】
第二に、樹脂ペレットが貯留されているホッパーに高温の気体を循環させて樹脂ペレットの乾燥を行なう中で、ホッパーの最下部から内部に窒素ガスを供給することで、高温の気体の影響が及ばない距離が存在するということは解消された。
【0015】
第三に、窒素ガスを必要に応じて間欠的に大量に供給することで、ホッパー内部の樹脂ペレットの間で固定した流路を形成することも無くなり、従って樹脂ペレット全体の除湿が確実に成されるようになった。
【0016】
第四に、供給された大量の窒素ガスのうち、余分な窒素ガスは安全弁によって外部に排出することで、過大の窒素ガスが循環回路に供給されることを防止することが可能になった。
【0017】
第五に、窒素ガスを必要に応じて間欠的に大量に供給するタイミングとしては、コントローラを第3電磁弁と窒素ガス貯蔵タンクに付設した圧力計に接続することによって、圧力計が一定の圧力を超えた場合に所定の時間の間を、または一定の時間毎に所定の圧力まで減圧するまでの間を開放することで、大量の窒素ガスを供給する状況の中で、圧力の変化に対応した適切な処理を可能とした。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を図面と共に詳細に説明する。
ここで、図1は、本願発明の全体を示した図であり、図2は、本願発明の別の開閉手段である自動シャッターと首部を示した図であり、図3は、本願発明の別の開閉手段である自動シャッターの平面図であり、図4は、放出部の詳細を示した図である。
【0019】
図1に見られるように、33は気体を加熱するヒーターであって、高温気体送付配管101と、ホッパー10と、戻り配管102と、気体中の異物を除去するフィルター31と、戻り配管103と、流体を送る第1ブロアー32と、戻り配管104を経由して、再びヒーター33に戻る循環回路を成している。
【0020】
この場合、ホッパー10は、ホッパー本体11と、最下部の首部12と、高温気体送付配管101に接続しているパイプ14と、パイプ14に接続していて端部をホッパー10内部に開放している流入ラッパ部15と、流入ラッパ部15を覆っていて金網やパンチングメタルで出来た放出部16と、樹脂ペレット201を受け入れる材料ローダー13と、ホッパー10上部の戻り配管102に接続している近傍に位置している安全弁21より形成されている。 尚、安全弁21は、供給された大量の窒素ガスのうち、余分な窒素ガスは外部に排出することを目的としている。
【0021】
従って、ホッパー10の内部では、ヒーター33からの高温の気体は、パイプ14から、流入ラッパ部15を経由して、放出部16から放出され、ホッパー10内部を上昇した後に、ホッパー10上部に位置していて戻り配管102近傍にある安全弁21の近くを通って、戻り配管102に流入している。
【0022】
一方、ホッパー10下部の首部12近傍に貯留されている乾燥した樹脂ペレット201は、首部12より下部に位置している開閉手段22である第1電磁弁22を開放の状態に作動させることによって樹脂輸送配管111に送り出され、更に第2ブロアー41から送り込まれる空気と共に樹脂輸送配管112を経由してアプリケーション43に送られるようになっている。 尚、第2ブロアー41に接続している送風配管113は、第2電磁弁42と送風配管114を経由して樹脂輸送配管112に合流している。 この場合、開閉手段22である第1電磁弁22は、一定の時間毎に一定の時間の間を開放することが出来るようになっている。
【0023】
ところで、ホッパー10を形成している首部12には、コンプレッサー50を起点として窒素ガス発生装置60や窒素ガス貯蔵タンク70を経由している配管系の一部である共通窒素ガス配管129が接続していて、ホッパー10内に窒素ガスを供給することが出来るようになっている。 但し、共通窒素ガス配管129の接続する位置としては、首部12に限定する必要は無く、循環回路の何れの位置でも、例えばヒーター33でも全く構わない。
【0024】
さて、共通窒素ガス配管129に至る構成をもう少し詳細に記載する。 先ず、コンプレッサー50によって作り出された圧縮空気を流す圧縮空気配管121が窒素ガス発生装置60に接続している。 この場合、窒素ガス発生装置60としては、酸素ガスと窒素ガスの混合気体である空気より酸素ガスを分離除去して窒素ガスを取り出すものが考えられる。 例えば、分離膜方式やPSA方式によるものである。
【0025】
その中で、分離膜方式の場合には、ポリエステル製で孔径300μm程度の何千ものストロー状の中空糸を一つに束ねたものより構成されていて、その中空糸の内部に圧縮空気等の各種の気体が混合したものを通すことにより、それぞれの気体が固有にもっている中空糸の膜の透過するスピードの違いを利用して、混合している各々の気体を分離することが出来るのである。
【0026】
この場合、圧縮空気を構成している各気体の成分が、分離膜である中空糸の膜に対する(放出という視点から見た場合に)透過量の差を利用して早く放出する気体と放出しにくい気体がある中で、放出しにくくて残った気体が下流の方に流れていくことになるのである。
【0027】
特に、分離膜である中空糸の膜がポリエステル製の場合には、水蒸気が一番透過しやすく、次に続いて水素ガスやヘリウムガスが透過しやすく、最後に酸素ガスとアルゴンガスと窒素ガスが一番透過しにくい気体として残り、その中でも窒素ガスが最も透過しにくい気体ということで、窒素ガス配管122に高濃度の窒素ガスを排出することになるのである。
【0028】
従って、図1には具体的には図示していないが、早い時点に透過した酸素ガスを多く含んだ酸素富化ガスは、放出している。
【0029】
尚、中空糸の膜としては、ポリエステルの他に、ポリイミドやポリオレフィンやポリプロピレン等の樹脂も考えられる。
【0030】
また、PSA方式の場合には、具体的に図示していないが、高圧力下で特定のガスを吸着し低圧力下で特定のガスを吐き出す吸着材を収納した第一吸着槽と第二吸着槽から構成されていて、加えて開閉の動作を定められた順序で自動的に行なう第一、第二、第三、第四、第五、第六、第七電磁弁と、第一吸着槽の下流に位置して流量を変化させる第一絞り弁と第二吸着槽の下流に位置して流量を変化させる第二絞り弁と、第一、第二、第三、第四、第五、第六、第七、第八、第九、第十、第十一、第十二、第十三、第十四、第十五、第十六、第十七、第十八、第十九、第二十装置内配管と、酸素富化ガスを排出する排気管より構成されている。
【0031】
更に詳細に述べるなら、圧縮空気配管121に続いて乾燥装置と圧縮空気配管が接続し、更に圧縮空気配管からは第一装置内配管と第六装置内配管が分岐しているのである。 また第十四装置内配管と第十九装置内配管が合流して窒素ガス配管122に接続しているのである。
【0032】
その中で、第一装置内配管は、第一電磁弁と第二装置内配管と第三装置内配管と第一吸着槽と第十一装置内配管と第一絞り弁と第十二装置内配管と第十三装置内配管と第六電磁弁と第十四装置内配管に、記載の順に接続している。
【0033】
また、第六装置内配管は、第二電磁弁と第七装置内配管と第八装置内配管と第二吸着槽と第十六装置内配管と第二絞り弁と第十七装置内配管と第十八装置内配管と第七電磁弁と第十九装置内配管に、記載の順に接続している。
【0034】
更に、第二装置内配管と第三装置内配管の接続部に第四装置内配管を接続し、第七装置内配管と第八装置内配管の接続部に第九装置内配管を接続し、第四装置内配管は、第三電磁弁と第五装置内配管と第十装置内配管と第四電磁弁と第九装置内配管に、記載の順に接続し、第五装置内配管と第十装置内配管の接続部に排気管を接続しているのである。
【0035】
一方、第十二装置内配管と第十三装置内配管の接続部に第十四装置内配管を接続し、第十七装置内配管と第十八装置内配管の接続部に第二十装置内配管を接続し、第十五装置内配管は、第五電磁弁と第二十装置内配管に、記載の順に接続しているのである。
【0036】
尚、第一吸着槽と第二吸着槽には、酸素吸着容量及び酸素と窒素の吸着速度差が大きく、加圧下において短時間のうちに酸素を優先的に吸収することで空気より窒素ガスを分離出来、常圧に戻すことにより吸着した酸素を容易に脱着することが出来る活性炭の一種を収納しているのである。
【0037】
但し、コンプレッサー50を含めた窒素ガス発生装置60に関しては、分離膜方式やPSA方式に限定する必要は無く、窒素ガスボンベを必要に応じて加圧したものを使用するものでも構わない。
【0038】
ここで、窒素ガス発生装置60によって作り出された窒素ガスは、窒素ガス配管122を経由して窒素ガス貯蔵タンク70に送り込んでいる。 この場合、窒素ガス貯蔵タンク70には、大量窒素ガス配管123と小量窒素ガス配管125の、貯留された窒素ガスを排出する為の二種類の配管系列が並列して接続していて、更に上部には圧力計94が設置されている。
【0039】
そして、小量窒素ガス配管125には、その下流に流量を変更することが可能な可変式絞り弁91と、小量窒素ガス配管126と、流量を測定することが可能な流量計92と、小量窒素ガス配管127と、流量計92の側からのみ流体である窒素ガスを流すことが可能な逆止弁93と、小量窒素ガス配管128を接続し、大量窒素ガス配管123には、その下流に電磁力によって開閉することが可能な第3電磁弁95と、大量窒素ガス配管124を接続している。
【0040】
ところで、圧力計94と第3電磁弁95はコントローラ80に接続し、圧力計94からは、圧力の情報を入力信号131としてコントローラ80に伝えることが可能となっていて、更にコントローラ80からは、圧力計94からの圧力の情報である入力信号131とコントローラ80に持っている時計の機能を合わせることで、第3電磁弁95に出力信号132を送ることが出来るようになっている。 従って、出力信号132としては、圧力計94が一定の圧力を超えた場合には、所定の時間の間を、または一定の時間毎に所定の圧力まで減圧するまでの間を開放し供給するものである。 また、その他にも時間に関係無く圧力の上限と下限の巾を限定して開放し供給する等、圧力だけを条件とすることによるものも考えられる。
【0041】
一方、小量窒素ガス配管128と大量窒素ガス配管124は合流して共通窒素ガス配管129に接続し、共通窒素ガス配管129はホッパー10を形成している首部12に接続することで、ホッパー10内に窒素ガスを供給することが可能となっている。 即ち、小量窒素ガス配管128の側から常に一定の量の窒素ガスが供給される中で、大量窒素ガス配管124の側からも必要に応じて間欠的に大量の窒素ガスが供給されるようになっているのである。
【0042】
この場合、ホッパー10内に供給される窒素ガスは、循環回路を循環することでヒーター33によって加熱され、樹脂ペレット201の表面に付着する水分を除湿するだけでなく、酸素ガスが殆ど存在しないことで酸素分子が内部に侵入することも防止出来るようになったのである。 即ち、樹脂ペレット201の表面に付着する水分だけでなく、樹脂ペレット201の内部に含まれる水分子のブラウン運動により長時間かけて追い出して、気体分子である窒素分子に置き換え、樹脂ペレット201内も乾燥させることが出来るのである。
【0043】
本発明による、除湿乾燥機への窒素ガスの供給方法および供給装置は前述したように構成されており、以下にその動作について説明する。
【0044】
先ず、材料ローダー13によってホッパー10内に射出成形機や中空成形機等を含む樹脂成形機で使用する樹脂ペレット201を送り込む。 次に、コンプレッサー50を作動させて窒素ガス発生装置60に圧縮空気を送り込むことで窒素ガスを分離させて作り出し、窒素ガス配管122を経由してその作り出した窒素ガスを窒素ガス貯蔵タンク70に送り込んでいる。 同時に、ヒーター33と第1ブロアー32より構成されている循環回路も作動を開始させる。
【0045】
この場合、窒素ガス貯蔵タンク70に接続している小量窒素ガス配管125を経由して、可変式絞り弁91で流量の絞った状態に調整された常に一定の量の窒素ガスが、逆止弁93の存在によってホッパー10の側から窒素ガス貯蔵タンク70の側に逆流することも無く、共通窒素ガス配管129を通ってホッパー10を形成している首部12からホッパー10内部に供給することが可能となっている。
【0046】
また、窒素ガス貯蔵タンク70に接続している大量窒素ガス配管123を経由して、圧力計94と第3電磁弁95に接続しているコントローラ80の働きによって、必要に応じて間欠的に大量の窒素ガスを供給することが可能となっている。 即ち、コントローラ80は、圧力計94からの圧力の情報である入力信号131と、コントローラ80に持っている時計の機能によって、窒素ガス貯蔵タンク70に貯留されている窒素ガスが一定の圧力を超えた場合に一定の時間の間を、または一定の時間毎に所定の圧力まで減圧するまでの間を、第3電磁弁95に出力信号132を送り、その間開放の指示を出すことで大量の窒素ガスを供給することが可能となっている。 尚、この場合にも大量の窒素ガスは少量の窒素ガスと共に、共通窒素ガス配管129を通ってホッパー10を形成している首部12からホッパー10内部に送り込まれるようになっている。
【0047】
ここで、前述の二種類の窒素ガスに関して述べるならば、先ず流量の絞った状態で調整された常に一定の量を供給している窒素ガスに関しては、共通窒素ガス配管129からホッパー10内に供給されると、ホッパー10内を首部12から上昇して戻り配管102に入り込み、以下フィルター31と戻り配管103と第1ブロアー32と戻り配管104とヒーター33と高温気体送付配管191を経由して、更にホッパー10を形成しているパイプ14と流入ラッパ部15と放出部16を通って再びホッパー10内に戻り、循環回路を循環し続けるのである。
【0048】
その際、ヒーター33に於いては気体を加熱することで、その加熱した気体をホッパー10に送り込み、それによってホッパー10内の樹脂ペレット201を乾燥させているのである。 また、第1ブロアー32の存在によって、これ等の循環回路の流れを促進しているのである。
【0049】
一方、間欠的に大量に供給している窒素ガスに関しては、同様に共通窒素ガス配管129からホッパー10内に供給されるのであるが、この場合にはホッパー10内の樹脂ペレット201に間欠的な衝撃を与えながらホッパー10内を首部12から上昇していくのである。 そこで、この間欠的な衝撃によって、第1ブロアー32の一定の流速によって気体が流れた場合にホッパー10内の樹脂ペレット201に出来がちである固定した流路を破壊することで、均等にホッパー10内の樹脂ペレット201全体を乾燥させるという効果をもたらしている。
【0050】
更に、これ等のホッパー10内に供給された窒素ガスは、ヒーター33によって加熱されることで樹脂ペレットの表面に付着する水分を除湿するだけでなく、窒素ガスということで酸素ガスが殆ど存在しないことから、酸素分子が内部に侵入したり酸化させることも防止出来るようになったのである。
【0051】
この様にして、樹脂ペレット201がホッパー10内に数時間滞留して乾燥した後に、開閉手段22である第1電磁弁22を開放することによって樹脂ペレット201は樹脂輸送配管111に送り出され、更に第2ブロアー41からの空気の働きによって樹脂輸送配管112を経由してアプリケーション43に送られる。 尚、第2ブロアー41に接続している送風配管113は、第2電磁弁42と送風配管114を経由して樹脂輸送配管112に合流している
【0052】
一方、具体的に図示していないが、樹脂ペレット201がホッパー10内で一定のレベル以下に減少すると、材料ローダー13は樹脂ペレット201を送り込むことを開始するように設定されている。
【0053】
ところで、図2と図3には、ホッパー10Aを形成している首部12Aや別の開閉手段23である自動シャッター23を示している。 この場合、自動シャッター23は空圧シリンダー23aとシャッター23bより構成され、空圧シリンダー23aに接続しているシャッター23bを、空圧シリンダー23aの作動によって移動させ、その移動による穴23zの位置の状況で、開閉が設定されることになるのである。
【0054】
但し、開閉手段23である自動シャッター23の位置している所は、ホッパー10Aを中心に考えると、共通窒素ガス配管129の接続部より下に位置している。 従って、循環回路と窒素ガス供給の動作に関しては、前述のホッパー10と概ね同じであると考えて良い。
【産業上の利用可能性】
【0055】
この発明は、除湿乾燥機への窒素ガスの供給方法および供給装置に関するものであり、特に射出成形機や中空成形機等を含む樹脂成形機のアップリケーションで使用する樹脂ペレットを乾燥させる技術について述べたものである。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】 本願発明の全体を示した図
【図2】 本願発明の別の開閉手段である自動シャッターと首部を示した図
【図3】 本願発明の別の開閉手段である自動シャッターの平面図
【図4】 放出部の詳細を示した図
【図5】 従来技術の全体を示した図
【符号の説明】
【0057】
10・・・・・・ホッパー
10A・・・・・ホッパー
10K・・・・・ホッパー
11・・・・・・ホッパー本体
12・・・・・・首部
12A・・・・・首部
13・・・・・・材料ローダー
14・・・・・・パイプ
15・・・・・・流入ラッパ部
16・・・・・・放出部
21・・・・・・安全弁
22・・・・・・第1電磁弁(開閉手段)
23・・・・・・自動シャッター(開閉手段)
23a・・・・・空圧シリンダー
23b・・・・・シャッター
23z・・・・・穴
26・・・・・・副フィルター
31・・・・・・フィルター
32・・・・・・第1ブロアー
33・・・・・・ヒーター
41・・・・・・第2ブロアー
42・・・・・・第2電磁弁
43・・・・・・アプリケーション
50・・・・・・コンプレッサー
60・・・・・・窒素ガス発生装置
70・・・・・・窒素ガス貯蔵タンク
80・・・・・・コントローラ
91・・・・・・可変式絞り弁
92・・・・・・流量計
93・・・・・・逆止弁
84・・・・・・圧力計
95・・・・・・第3電磁弁
96・・・・・・第3ブロアー
101・・・・・高温気体ガス送付配管
102・・・・・戻り配管
103・・・・・戻り配管
104・・・・・戻り配管
111・・・・・樹脂輸送配管
112・・・・・樹脂輸送配管
113・・・・・送風配管
114・・・・・送風配管
121・・・・・圧縮空気配管
122・・・・・窒素ガス配管
123・・・・・大量窒素ガス配管
124・・・・・大量窒素ガス配管
125・・・・・少量窒素ガス配管
126・・・・・少量窒素ガス配管
127・・・・・少量窒素ガス配管
128・・・・・少量窒素ガス配管
129・・・・・共通窒素ガス配管
131・・・・・入力信号
132・・・・・出力信号
151・・・・・送風配管
201・・・・・樹脂ペレット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
除湿乾燥機への窒素ガスの供給方法に於いて、樹脂ペレット(201)が貯留されているホッパー(10、10A)に高温の気体を循環させて前記樹脂ペレット(201)の乾燥を行なう中で、前記ホッパー(10、10A)の最下部から内部に窒素ガスを供給することを特徴とする除湿乾燥機への窒素ガスの供給方法。
【請求項2】
窒素ガスは、常に一定の量を供給することが可能であることを特徴とする請求項1に記載の除湿乾燥機への窒素ガスの供給方法。
【請求項3】
窒素ガスは、必要に応じて間欠的に大量に供給することが可能であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の除湿乾燥機への窒素ガスの供給方法。
【請求項4】
供給された大量の窒素ガスのうち、余分な窒素ガスは外部に排出することを特徴とする請求項3に記載の除湿乾燥機への窒素ガスの供給方法。
【請求項5】
窒素ガスを必要に応じて間欠的に大量に供給するタイミングとしては、窒素ガスを貯留している窒素ガス貯留タンク(70)の圧力を条件とするものであることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の除湿乾燥機への窒素ガスの供給方法。
【請求項6】
除湿乾燥機への窒素ガスの供給装置に於いて、乾燥を目的として何等かの気体が気体を加熱するヒーター(33)からホッパー(10、10A)内に貯留した樹脂ペレット(201)を通過した後にフィルター(31)と第1ブロアー(32)を経由して前記ヒーター(33)に至る循環回路を通過する中で、前記樹脂ペレット(201)は必要に応じて開閉手段(22、23)によって送り出すものであり、前記循環回路の何れかの所に窒素ガスを発生させる窒素ガス発生装置(60)からの配管を接続することで前記ホッパー(10、10A)内に窒素ガスを供給するようにしたことを特徴とする除湿乾燥機への窒素ガスの供給装置。
【請求項7】
前記循環回路の何れかの所とは、前記樹脂ペレット(201)を貯留する前記ホッパー(10、10A)の最下部を形成している首部(12、12A)であり、前記首部(12、12A)と前記窒素ガス発生装置(60)とを前記開閉手段(22、23)より上部に位置している共通窒素ガス配管(129)を介して接続することを特徴とする請求項6に記載の除湿乾燥機への窒素ガスの供給装置。
【請求項8】
前記首部(12、12A)と前記窒素ガス発生装置(60)の間には、窒素ガスを貯蔵することが可能な窒素ガス貯蔵タンク(70)を配設し、前記窒素ガス貯蔵タンク(70)に貯留された窒素ガスを前記首部(12、12A)に必要に応じて間欠的に大量に供給することが可能なように第3電磁弁(95)を設け、前記ホッパー(10、10A)の上部に余分な窒素ガスを排出する目的で安全弁(21)を配設したことを特徴とする請求項7に記載の除湿乾燥機への窒素ガスの供給装置。
【請求項9】
窒素ガスを必要に応じて間欠的に大量に供給するタイミングとしては、コントローラ(80)を前記第3電磁弁(95)と前記窒素ガス貯蔵タンク(70)に付設した圧力計(94)に接続することによって、前記圧力計(94)が一定の圧力を超えた場合に所定の時間の間を、または一定の時間毎に所定の圧力まで減圧するまでの間を開放するものであることを特徴とする請求項8に記載の除湿乾燥機への窒素ガスの供給装置。
【請求項10】
前記首部(12、12A)と前記窒素ガス貯蔵タンク(70)の間には、前記第3電磁弁(95)の配管系列とは別に、窒素ガスの常に一定の量が供給されるように可変式絞り弁(91)を設け、更に前記首部(12、12A)の側から前記窒素ガス貯蔵タンク(70)の側に流体が逆流して来ないように逆止弁(93)を設けた配管系列を並列して接続したことを特徴とする請求項8または請求項9に記載の除湿乾燥機への窒素ガスの供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−55883(P2008−55883A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−261424(P2006−261424)
【出願日】平成18年8月30日(2006.8.30)
【出願人】(000154521)株式会社フクハラ (87)
【Fターム(参考)】