説明

集束加熱源を使用して半導体素子のインピーダンスを変更する方法

【課題】集束加熱源を使用して半導体素子すなわち半導体デバイスのインピーダンスを調整(すなわち、修正または変更)する方法が提供される。
【解決手段】この方法は、集束加熱源(例えば、レーザ)の溶融作用によって、より高ドーパント濃度の隣接領域からドーパントを拡散させることによって、低ドーパント濃度の領域のドーパント・プロファイルを変更する(すなわち、ドーパント濃度を増加させる)ことによって、半導体素子すなわち半導体デバイスのインピーダンスを微調整するために利用されてよい。本発明は、特に、以前には存在しなかった導電性リンクと導電路との形成のための、回路に対するレーザの使用に関する。さらに、本発明は、特に、ギャップ領域の長さに沿った1つまたは複数の導電性ブリッジの位置に応じてインピーダンスの変更(すなわち、トリミングまたは調整)が有利に行われることが可能な手段に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体素子すなわち半導体デバイスの分野に関し、および、集束加熱源を使用して半導体素子すなわち半導体デバイスのインピーダンスを調整(すなわち、修正または変更)する方法および装置に関する。
【0002】
集束加熱源の溶融作用によって、より高いドーパント(dopant)濃度の隣接領域からドーパントを拡散させることによって低ドーパント濃度の領域のドーパント・プロファイル(dopantprofile)を変更する(すなわち、低ドーパント濃度の領域のドーパント濃度を増加させる)ことによって、半導体素子すなわち半導体デバイスのインピーダンスを微調整するための方法が開発されている。この集束加熱源は、本願明細書で説明されている通りの当該集束加熱源の目的に留意する限りにおいて、任意の形態をとってよい。一例として、この集束加熱源は、例えばレーザのようなエネルギービームを提供してもよい。本発明は、特に、以前には存在していなかった導電リンク(conductivelinks)と導電経路とを生成するための回路に対するレーザの使用に関する。本発明は、さらに、インピーダンスの変更(すなわち、トリミングまたは調整)がギャップ領域の長さに沿った1つまたは複数の導電性ブリッジの位置に応じて有利に行われることが可能な手段に関する。
【背景技術】
【0003】
レーザの使用によって(集積)半導体デバイスすなわち半導体素子のインピーダンスを変更することが、当業者により公知である。(集積)半導体デバイスのレーザトリミングとして知られているこうした方法は、シリコンクロミド(silicon chromide)、ケイ化セシウム(cesium silicides)、窒化タンタル、またはニクロムのような材料で作られている抵抗性薄膜構造を有する半導体デバイスすなわち半導体素子上で行われることが最も多い。(集積)半導体デバイスすなわち半導体素子のトリミングは、所要のまたは所望のインピーダンス値を得るために、抵抗性薄膜の一部分のレーザによる除去(すなわち、蒸発または焼き切り)によって得られることが可能である。言い換えると、レーザは、抵抗性薄膜構造の一部分を蒸発させるために使用される。このように抵抗性薄膜構造の一部分を蒸発させることは、残留する抵抗性薄膜構造の量の変化によって、(集積)半導体デバイスのインピーダンスの値の変化を生じさせる。
【0004】
さらに、領域のドーパント・プロファイルを変更することによって、(集積)半導体デバイスすなわち半導体素子のインピーダンスを反復的にかつ選択的に調整することも知られている。例えば、本願明細書に引例として内容全体が組み入れられている米国特許第6,329,272号を参照されたい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第6,329,272号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
集積半導体デバイスのインピーダンスを変更する(すなわち、インピーダンスを低下させる)ために、集積抵抗体の抵抗(すなわち、インピーダンス)を低下させるための比較的単純な手段を有すること、すなわち、レーザまたは他の集束熱源を使用することが可能であることが有利であろう。さらに、例えば集束レーザビームのようなエネルギービームといったような集束加熱源を使用することによって、集積半導体デバイスのインピーダンスを反復的にかつ選択的に調整するための代替的な方法を有することが有利であろう。さらに、1つの領域から別の領域へのドーパントの拡散を正確に制御しようと試みること(だけ)によってではなく、1つまたは複数の2次的な導電経路(すなわち、1つまたは複数の導電路)を形成することによって、集積半導体デバイスのインピーダンスを低下させることが可能であることも特に有利であろう。
【0007】
本発明の目的は、半導体デバイスの(形成された状態での)基礎の(すなわち、主要な)導電路が初期の(すなわち、無限大ではない)インピーダンス(例えば、無限大ではない抵抗)を有し、かつ、このようなインピーダンスを低減させることによって上記の主要な導電路がトリミングまたは調整されることが可能であるような構成を有する半導体デバイスすなわち半導体素子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は、全般的な態様において、半導体素子のインピーダンスを変更する方法を提供する。ここで、上記半導体素子は、
形成された基礎の導電路(すなわち、最初の経路)を規定する第1の導電性領域であって、第1のリンク部材(すなわち、第1のリンク部分)と第2のリンク部材(すなわち、第2のリンク部分)とを有し、かつ、熱可変性ドーパント・プロファイルを有する第1の導電性領域と、 第1の導電性領域に隣接している第2の領域であって、この第2の領域を上記第1の導電性領域と比較して相対的に非導電性にするドーパント・プロファイルを有する第2の領域とを備え、
上記第1および第2のリンク部材は、上記第1および第2のリンク部材が上記第2の領域により規定されているギャップ領域によって互いに隔てられているように並置して配置されており、上記第2の領域は、少なくとも上記ギャップ領域と比較して相対的に熱可変性であるドーパント・プロファイルを有し、
上記方法は、上記第1のリンク部材と上記第2のリンク部材とを接続するための上記ギャップ領域を横切る別個の導電性ブリッジを形成するように、1つまたは複数の(すなわち、少なくとも1つの)予め選択されたブリッジ形成区域に対してブリッジ形成サイクルを行うことを含み、
各々の上記ブリッジ形成区域は、上記ギャップ領域の少なくとも一部分を含むギャップ領域構成部分と、上記第1のリンク部材の少なくとも一部分を含む第1のリンク構成部分と、上記第2のリンク部材の少なくとも一部分を含む第2のリンク構成部分とを含み、
上記ブリッジ形成サイクルは、上記ブリッジ形成区域の1つまたは複数の予め選択されたターゲット区域に対する1つまたは複数の加熱/冷却処理を加えることを含み、各々の加熱/冷却処理は、
溶融した上記予め選択されたターゲット区域のドーパント・プロファイルを変更するために、上記ブリッジ形成区域の予め選択されたターゲット区域を溶融させるように集束加熱源を方向付けることと、
溶融した上記予め選択されたターゲット区域が、変更されたドーパント・プロファイルを伴って凝固することを可能にすることとを含む。
【0009】
本発明は、別の態様において、本願明細書に定義されている通りの半導体デバイスすなわち半導体素子のインピーダンスを変更する方法を提供する。この方法では、第1の導電性領域は導電性クリンプ(crimp)要素を含む(すなわち、第1の導電性領域の少なくとも一部分が導電性のクリンプ要素すなわち折り畳み要素の形態で配置されている)。この導電性クリンプ要素は基礎の(すなわち、初期の)導電路を規定し、さらに、上記導電性クリンプ要素は第1のリンク部材と第2のリンク部材とを含む。
【0010】
本発明は、さらに別の態様において、半導体素子のインピーダンスを変更する方法を提供する。ここで、上記半導体素子は、
第1の導電性のリンク部材(すなわち、第1の導電性のリンク部分)と第2のリンク部材(すなわち、第2のリンク部分)とを有し、かつ、熱可変性のドーパント・プロファイルを有する第1の導電性領域であって、上記第1の導電性のリンク部材は、形成された基礎の導電路(すなわち、初期経路)を規定する第1の導電性領域と、
上記第1の導電性領域に隣接している第2の領域であって、この第2の領域を上記第1の導電性領域と比較して相対的に非導電性にするドーパント・プロファイルを有する第2の領域とを備え、
上記第1および第2のリンク部材は、上記第1および第2のリンク部材が上記第2の領域により規定されているギャップ領域によって互いに隔てられているように並置して配置されており、上記第2の領域は、少なくとも上記ギャップ領域と比較して相対的に熱可変性であるドーパント・プロファイルを有し、
上記方法は、上記第1のリンク部材と上記第2のリンク部材とを接続する上記ギャップ領域を横切る別個の導電性ブリッジを形成するように、1つまたは複数の(すなわち、少なくとも1つの)予め選択されたブリッジ形成区域に対してブリッジ形成サイクルを行うことを含み、
各々の上記ブリッジ形成区域は、上記ギャップ領域の少なくとも一部分を含むギャップ領域構成部分と、上記第1のリンク部材の少なくとも一部分を含む第1のリンク構成部分と、上記第2のリンク部材の少なくとも一部分を含む第2のリンク構成部分とを含み、
上記ブリッジ形成サイクルは、上記ブリッジ形成区域の1つまたは複数の予め選択されたターゲット区域に対する1つまたは複数の加熱/冷却処理を加えることを含み、各々の加熱/冷却処理は、
溶融した上記予め選択されたターゲット区域のドーパント・プロファイルを変更するために、上記ブリッジ形成区域の予め選択されたターゲット区域を溶融させるように集束加熱源を方向付けることと、
溶融した上記予め選択されたターゲット区域が、変更されたドーパント・プロファイルを伴って凝固することを可能にすることとを含む。
【0011】
本発明の方法によって、ブリッジ形成サイクルは、予め選択されたターゲット区域がブリッジ形成区域(すなわち、ブリッジ形成区域のギャップ領域構成部分と上記第1および第2のリンク構成部分の両方)を含むときに、上記別個の導電性ブリッジを形成するように、上記ブリッジ形成区域に対して加熱/冷却処理を加えることを含む。
【0012】
さらに、本発明の方法によって、ブリッジ形成サイクルは、予め選択されたターゲット区域が、ブリッジ形成区域のギャップ領域構成部分と上記第1または第2のリンク構成部分のいずれか一方とを含むときに、このような予め選択されたターゲット区域に対して加熱/冷却処理を加えることと、上記別個の導電性ブリッジを形成するように、上記ブリッジ形成区域の1つまたは複数の予め選択されたターゲット区域に対して1つまたは複数の他の加熱/冷却処理を加えることとを含む。
【0013】
本発明は、さらに、本願明細書で説明されている1つまたは複数のブリッジ形成サイクルを適用されてよい半導体デバイスすなわち半導体素子にも関する。したがって、本発明は、別の態様によって、インピーダンス調整可能な半導体素子を提供する。ここで、上記半導体素子は、
形成された基礎の導電路を規定する第1の導電性領域であって、第1のリンク部材(すなわち、第1のリンク部分)と第2のリンク部材(すなわち、第2のリンク部分)とを有し、かつ、熱可変性のドーパント・プロファイルを有する第1の導電性領域と、
この第1の導電性領域に隣接している第2の領域であって、この第2の領域を上記第1の導電性領域と比較して相対的に非導電性にするドーパント・プロファイルを有する第2の領域とを備え、
上記第1および第2のリンク部材は、上記第1および第2のリンク部材が第2の領域により規定されているギャップ領域によって互いに隔てられているように並置して配置されており、上記第2の領域は、少なくとも上記ギャップ領域と比較して相対的に熱可変性であるドーパント・プロファイルを有する。
【0014】
本願明細書で説明するように、この第1の導電性領域は、例えば、形成された基礎の導電路を規定する導電性クリンプ要素を含み、さらに、上記導電性クリンプ要素は上記第1のリンク部材と上記第2のリンク部材とを含む。
【0015】
本発明は、別の態様において、さらに、インピーダンス調整可能な半導体素子を提供する。ここで、上記半導体素子は、
第1の導電性のリンク部材(すなわち、第1の導電性のリンク部分)と第2のリンク部材(すなわち、第2のリンク部分)とを有し、かつ、熱可変性のドーパント・プロファイルを有する第1の導電性領域であって、上記第1の導電性のリンク部分が、基礎の導電路を規定する第1の導電性領域と、
第1の導電性領域に隣接している第2の領域であって、この第2の領域を上記第1の導電性領域と比較して相対的に非導電性にするドーパント・プロファイルを有する第2の領域とを備え、
上記第1および第2のリンク部材は、上記第1および第2のリンク部材が第2の領域によって規定されているギャップ領域によって互いに隔てられているように、並置して配置されており、上記第2の領域は、少なくとも上記ギャップ領域と比較して相対的に熱可変性であるドーパント・プロファイルを有する。
【0016】
本発明の方法に係る態様に戻ると、導電性ブリッジは、(全面的な)ブリッジ区域全体にわたる、単一のレーザまたは熱パルスを含むブリッジ形成サイクルの適用によって得られてもよい。こうして、ブリッジ形成サイクルは、ブリッジ区域(すなわち、ブリッジ区域全体)に対して加熱/冷却処理を加え、この加熱/冷却処理は、
溶融したブリッジ形成区域のドーパント・プロファイルを変更するために、ブリッジ形成区域を溶融させるように集束加熱源を方向付けることと、
上記別個の導電性ブリッジを形成するように、溶融した上記ブリッジ形成区域が、変更されたドーパント・プロファイルを伴って凝固することを可能にすることとを含む。しかし、所望または必要に応じて、ブリッジ形成サイクルが、最初の加熱/冷却処理の後に、上記別個の導電性ブリッジを形成するために1つまたは複数の追加の加熱/冷却処理を同一のブリッジ形成区域に加えてもよい。すなわち、上記ブリッジ形成サイクルは、同一のブリッジ形成区域に対して2つ以上の加熱/冷却処理を加えることを含んでもよい。
【0017】
あるいは、この代替案としては、導電性ブリッジが、ブリッジ区域の複数のドーパント可変性の領域または区域をターゲットとする一連の連続的なまたは同時発生のレーザパルスまたは熱パルスを含むブリッジ形成サイクルの適用によって得られてもよい。すなわち、レーザパルスが熱可変性のドーパント・プロファイルの隣接領域全体にわたって印加されてもよい。これらの領域または区域は、一方のリンク部材からギャップ領域を横切って、(予め選択されたブリッジ区域の)他方のリンク部材に延びてもよい。これに加えて、所望または必要に応じて、ブリッジ形成サイクルは、さらに、上記別個の導電性ブリッジを形成するようにブリッジ形成区域の同一の予め選択されたターゲット区域に対して2つ以上の加熱/冷却処理を加えることを含んでもよい。例えば、ブリッジ形成サイクルは、例えば前述の米国特許第6,329,272号に説明されている加熱ステップのような加熱ステップを使用してもよい。こうして、例えば、ブリッジ形成サイクルは、上記別個の導電性ブリッジを形成するためにブリッジ形成区域のそれぞれの予め選択されたターゲット区域に対して2つ以上の加熱/冷却処理を加えることを含んでよく、上記予め選択されたターゲット区域の1つが、ギャップ領域構成部分と上記第1および第2のリンク構成部分の一方とを含む第1の区域であり、さらに、別の上記予め選択されたターゲット区域が、ギャップ領域構成部分と上記第1および第2のリンク構成部分の他方とを含み、上記第1および第2のターゲット区域は互いに重なり合っている。
【0018】
本発明によって、所望または必要に応じて、ブリッジ形成区域は、前述の区域全体の加熱/冷却処理および/または部分的区域の加熱/冷却処理の組合せを加えられてもよい。
【0019】
本願明細書では、「インピーダンス」という用語が抵抗とキャパシタンスの両方に関係するということと、場合に応じて、集積半導体デバイスのインピーダンスを変更することが半導体デバイスすなわち半導体素子の抵抗および/またはキャパシタンスを変更することを含むものとして理解されるということとが理解されなければならない。
【0020】
本発明によって、本願明細書では、デバイスすなわち素子の「形成された基礎の導電路」(すなわち、初期導電路)に対する言及が、本願明細書で論じられるいずれかのタイプの調整すなわちトリミングの以前に初期の(すなわち、無限大ではない)インピーダンス(例えば、無限大ではない抵抗)を有する導電路に対する言及であるということが理解されなければならない。
【0021】
本発明によって、さらに、「集束加熱源」等に対する言及が、予め決められたターゲット区域のドーパント・プロファイルを変更するように当該ターゲット区域を加熱するために、予め決められたターゲット区域(すなわち、本願明細書で説明されるターゲット区域)に対して人間がエネルギーを方向付け、集中させ、または、加えることを可能にするためのいずれかの方法を利用した任意のタイプの加熱源に対する言及であるということが理解されなければならない。
【0022】
本発明によって、本願明細書で説明される方法は、さらに、
a)ブリッジ形成サイクルの後で上記半導体デバイス素子のインピーダンスを決定するステップと、
b)上記ステップa)から得られたインピーダンスを予め決められたインピーダンスと比較するステップと、
c)必要に応じて、上記予め決められたインピーダンスが得られるまで上記ブリッジ形成サイクルを繰り返すステップとを含んでよい。
【0023】
前述の説明から理解できるように、本発明によって、2つ以上のブリッジ形成サイクルが必要とされるかまたは必要であると考えられる場合には、こうした追加のブリッジ形成サイクルのいずれかが、必要または所望に応じて、以前に処理された予め選択された区域に対して、および/または、1つまたは複数の異なる予め選択された区域に対して適用されてよい。したがって、ブリッジ形成サイクルは、すでに処理された区域または1つまたは複数の新たな(すなわち、未処理の)区域に対して再び適用されてよい。例えば、ブリッジ形成サイクルは、それぞれ別個の導電性ブリッジを形成するように幾つかの異なる予め選択された区域(例えば、2つ以上のこうした区域)に対して適用されてもよい。さらに明確に述べると、例えば、必要または所望に応じて、ブリッジ形成サイクルが、予め決
められたインピーダンスが得られるまで1つまたは複数の追加の予め選択された区域において繰り返されてよく、さらに、各々のブリッジ形成サイクルは、それぞれ別個の導電性ブリッジを形成するように異なる予め選択された区域に適用される。
【0024】
本発明によって、2つ以上の導電性ブリッジが必要とされるかまたは必要であると考えられる場合には、任意の1つまたは複数のこうした追加の導電性ブリッジが初期導電性ブリッジのどちらの側に配置されてもよい。
【0025】
本願明細書から理解されるように、本発明によって、インピーダンス変更(すなわち、トリミングまたは調整)が、ギャップ領域の連続した長さに沿った導電性ブリッジの位置に応じて有利に行われてよい。
【0026】
本発明によって、クリンプ要素の第1および第2のリンク部材すなわちリンク部分が、第2の領域により規定されているギャップ領域によって互いに隔てられているように、その第1および第2のリンク部材すなわちリンク部分が互いに隣接して配置されなければならないということと、クリンプ要素すなわち折り畳み要素が(主要な)導電路を規定しなければならないということとに留意して、クリンプ要素が、任意の適した形状構成、所望の形状構成、適切な形状構成、または、必要な形状構成を取ってよい。ギャップ領域は、例えば、一定不変の幅、または、大きさが増大または減少する幅を有してよい。したがって、例えば、導電性クリンプ要素が、U字形クリンプ要素の横方向の腕部または脚部がスペーサ部材すなわちスペーサ部分によって連結されているU字形の形状を有してもよい。第1および第2のリンク部材すなわちリンク部分は、クリンプ要素を半導体デバイスの他の要素に電気的に接続するためのそれぞれの第1の接触端すなわち接続端を各々に有してよい。スペーサ部材すなわちスペーサ部分は、第1および第2のリンク部分のそれぞれの第1の端部から離れた位置において、第1および第2のリンク部分の各々に接続されている。
【0027】
あるいは、クリンプ要素すなわち折り畳み要素は、H字形の形状、鋸歯状の形状等を有してよい。
【0028】
さらに別の代替案として、第1の導電性区域は2つ以上の(例えば、互いに隣接しているか、または、互いに間隔を置いている)クリンプ要素すなわち折り畳み要素を規定してよい。第1の導電性領域は、例えば、当該第1の導電性領域がV字形の形状、W字形の形状、ジグザグ状の形状等を有するように、2つ以上の互いに隣接するクリンプ要素すなわち折り畳み要素を規定してよい。
【0029】
本願明細書から理解できるように、本願明細書で形成される通りの別個の導電性ブリッジは、ギャップ領域を横切って第1のリンク部分と第2のリンク部分とを電気的に接続する2次的な導電路を規定する。
【0030】
本発明によって、半導体素子すなわち半導体デバイスは、本願明細書に説明されているいずれかのトリミングすなわち調整の以前に求められている値に既に近い可能性がある初期(無限大ではない)インピーダンスを有する導電体であり、すなわち、初期値は所望の目的値よりも高い。言い換えると、本発明による調整可能な半導体素子すなわち半導体デバイス等は、適切な層、基板等を形成する初期製造プロセスの結果として得られる大まかなインピーダンスを既に有する半導体素子、デバイス等であるということが、ここでさらに理解されなければならない。このことは、半導体形成物、半導体デバイス、または半導体素子が、本願明細書で説明されているいずれかのタイプのトリミングすなわち調整を受ける前にさえも検査されてもよい測定可能なインピーダンスを有し、換言すれば、その半
導体デバイスすなわち半導体素子は、前述したように、いずれかのレーザ調整プロセスの適用の以前にさえ「基礎の導電路」を有し、すなわち、「形成された基礎の導電路」である基礎の導電路を有するということを意味する。
【0031】
さらに明確に述べると、本発明によって、形成物すなわちデバイスのインピーダンスは、例えば、特に導電性クリンプ要素等に対する別個の導電性ブリッジの位置と数とに応じて変更されてよい。
【0032】
言い換えると、例えば、半導体デバイスすなわち半導体素子が、
a)1つまたは複数の導電性クリンプ要素すなわち折り畳み要素を備えており、かつ、
b)各々のクリンプ要素すなわち折り畳み要素が、
i)初期導電路すなわち基礎の導電路(すなわち、無限大ではないインピーダンス)を規定するように、および、
ii)初期導電路すなわち基礎の導電路の互いに反対側の部分を隔てる少なくとも1つのギャップ領域(すなわち、熱によって形成された別個の導電性ブリッジによって跨られることが可能なギャップ)を有するように、適切な形状を有する場合には、
特定のギャップ領域を跨ぐ別個の導電性ブリッジの物理的位置と数とが、その半導体デバイスすなわち半導体素子の基礎の導電路のインピーダンス(例えば、抵抗)を調整するためのパラメータまたは調節因子すなわち調整因子として有利に使用されてよい。
【0033】
本願明細書では、「熱可変性のドーパント・プロファイル」という語句は、溶融区域の凝固において維持されることが可能なそのドーパント・プロファイルを変更するように、ドーパントが領域または区域において移動または拡散することができるように、適切な熱源の適用時に溶融することが可能な領域または区域として、領域または区域(場合に応じて)を特徴付けるということが本願明細書において理解されなければならない。
【0034】
すなわち、本発明は以下を特徴とする。
(項目1)
半導体素子のインピーダンスを変更する方法であって、前記半導体素子は、
形成された基礎の導電路を規定する第1の導電性領域であって、第1のリンク部材と第2のリンク部材とを有し、かつ、熱可変性のドーパント・プロファイルを有する第1の導電性領域と、
前記第1の導電性領域に隣接している第2の領域であって、該第2の領域を前記第1の導電性領域と比較して相対的に非導電性にするドーパント・プロファイルを有する第2の領域とを備え、
前記第1および第2のリンク部材は、前記第1および第2のリンク部材が前記第2の領域により規定されているギャップ領域によって互いに隔てられているように並置して配置されており、前記第2の領域は、少なくとも前記ギャップ領域と比較して相対的に熱可変性であるドーパント・プロファイルを有し、
前記方法は、前記第1のリンク部材と前記第2のリンク部材とを接続するための前記ギャップ領域を横切る別個の導電性ブリッジを形成するように、1つまたは複数の予め選択されたブリッジ形成区域に対してブリッジ形成サイクルを行うことを含み、
各々の前記ブリッジ形成区域は、前記ギャップ領域の少なくとも一部分を含むギャップ領域構成部分と、前記第1のリンク部材の少なくとも一部分を含む第1のリンク構成部分と、前記第2のリンク部材の少なくとも一部分を含む第2のリンク構成部分とを含み、
前記ブリッジ形成サイクルは、前記ブリッジ形成区域の1つまたは複数の予め選択されたターゲット区域に対する1つまたは複数の加熱/冷却処理を加えることを含み、各々の前記加熱/冷却処理は、
溶融した前記予め選択されたターゲット区域のドーパント・プロファイルを変更するために、前記ブリッジ形成区域の予め選択されたターゲット区域を溶融させるように集束加熱源を方向付けることと、
溶融した前記予め選択されたターゲット区域が、変更されたドーパント・プロファイルを伴って凝固することを可能にすることとを含むことを特徴とする、半導体素子のインピーダンスを変更する方法。
(項目2)
ブリッジ形成サイクルは、予め選択されたターゲット区域が、前記ギャップ領域構成部分と、前記ブリッジ形成区域の前記第1のリンク構成部分または前記第2のリンク構成部分のいずれか一方とを含むときに、このような予め選択されたターゲット区域に対して加熱/冷却処理を加えることと、前記別個の導電性ブリッジを形成するように、前記ブリッジ形成区域の1つまたは複数の予め選択されたターゲット区域に対して1つまたは複数の他の加熱/冷却処理を加えることとを含む項目1に記載の方法。
(項目3)
前記方法が、さらに、前記別個の導電性ブリッジを形成するようにブリッジ形成区域のそれぞれの予め選択されたターゲット区域に対して2つ以上の前記加熱/冷却処理を加えることを含むブリッジ形成サイクルを含み、
1つの前記予め選択されたターゲット区域の1つが、前記ギャップ領域構成部分と前記第1のリンク構成部分または前記第2のリンク構成部分のいずれか一方とを含む第1の区域であり、別の前記予め選択されたターゲット区域が、前記ギャップ領域構成部分と前記第1のリンク構成部分または前記第2のリンク構成部分の他の一方とを含む第2の区域であり、かつ、前記第1および第2の区域が互いに重なり合っている項目1に記載の方法。
(項目4)
ブリッジ形成サイクルは、予め選択されたターゲット区域がブリッジ形成区域を含むときに、前記別個の導電性ブリッジを形成するように前記ブリッジ形成区域に対して加熱/冷却処理を加えることを含む項目1に記載の方法。
(項目5)
ブリッジ形成サイクルは、予め選択されたターゲット区域がブリッジ形成区域を含むときに、前記別個の導電性ブリッジを形成するように前記ブリッジ形成区域に対して加熱/冷却処理を加えることを含み、さらに、前記ブリッジ形成サイクルは、前記別個の導電性ブリッジを形成するように2つ以上の前記加熱/冷却処理を前記ブリッジ形成区域に対して加えることを含む項目1に記載の方法。
(項目6)
前記方法が、さらに、
a)ブリッジ形成サイクルの後で前記半導体素子のインピーダンスを決定するステップと、
b)前記ステップa)から得られたインピーダンスを予め決められたインピーダンスと比較するステップと、
c)必要に応じて、前記予め決められたインピーダンスが得られるまで、1つまたは複数の追加の予め選択されたブリッジ形成区域において前記ブリッジ形成サイクルを繰り返し、さらに、各々の前記ブリッジ形成サイクルは、それぞれ別個の導電性ブリッジを形成するように、異なる予め選択されたブリッジ形成区域に対して行われるステップとを含む項目1に記載の方法。
(項目7)
前記方法が、さらに、
a)ブリッジ形成サイクルの後で前記半導体素子のインピーダンスを決定するステップと、
b)前記ステップa)から得られたインピーダンスを予め決められたインピーダンスと比較するステップと、
c)必要に応じて、前記予め決められたインピーダンスが得られるまで、1つまたは複数の追加の予め選択されたブリッジ形成区域において前記ブリッジ形成サイクルを繰り返し、さらに、各々の前記ブリッジ形成サイクルは、それぞれ別個の導電性ブリッジを形成するように、異なる予め選択されたブリッジ形成区域に対して行われるステップとを含む項目4に記載の方法。
(項目8)
前記第1の導電性領域は、前記形成された基礎の導電路を規定する導電性クリンプ要素を含み、さらに、前記クリンプ要素は、前記第1のリンク部材と前記第2のリンク部材とを含む項目1に記載の方法。
(項目9)
半導体素子のインピーダンスを変更する方法であって、前記半導体素子は、
第1の導電性のリンク部材と第2のリンク部材とを有し、かつ、熱可変性のドーパント・プロファイルを有する第1の導電性領域であって、前記第1の導電性のリンク部材が、形成された基礎の導電路を規定する第1の導電性領域と、
前記第1の導電性領域に隣接している第2の領域であって、該第2の領域を前記第1の導電性領域と比較して相対的に非導電性にするドーパント・プロファイルを有する第2の領域とを備え、
前記第1および第2のリンク部材は、前記第1および第2のリンク部材が前記第2の領域により規定されているギャップ領域によって互いに隔てられているように並置して配置されており、前記第2の領域は、少なくとも前記ギャップ領域と比較して相対的に熱可変性であるドーパント・プロファイルを有し、
前記方法は、前記第1の導電性リンク部材と前記第2のリンク部材とを接続する前記ギャップ領域を横切る別個の導電性ブリッジを形成するように、1つまたは複数の予め選択されたブリッジ形成区域に対してブリッジ形成サイクルを行うことを含み、
各々の前記ブリッジ形成区域は、前記ギャップ領域の少なくとも一部分を含むギャップ領域構成部分と、前記第1の導電性リンク部材の少なくとも一部分を含む第1のリンク構成部分と、前記第2のリンク部材の少なくとも一部分を含む第2のリンク構成部分とを含み、
前記ブリッジ形成サイクルは、前記ブリッジ形成区域の1つまたは複数の予め選択されたターゲット区域に対する1つまたは複数の加熱/冷却処理を加えることを含み、各々の加熱/冷却処理は、
溶融した前記予め選択されたターゲット区域のドーパント・プロファイルを変更するために、前記ブリッジ形成区域の予め選択されたターゲット区域を溶融させるように集束加熱源を方向付けることと、
溶融した前記予め選択されたターゲット区域が、変更されたドーパント・プロファイルを伴って凝固することを可能にすることとを含むことを特徴とする、半導体素子のインピーダンスを変更する方法。
(項目10)
ブリッジ形成サイクルは、予め選択されたターゲット区域が、前記ギャップ領域構成部分と、前記ブリッジ形成区域の前記第1のリンク構成部分または前記第2のリンク構成部分のいずれか一方とを含むときに、このような予め選択されたターゲット区域に対して加熱/冷却処理を加えることと、前記別個の導電性ブリッジを形成するように、前記ブリッジ形成区域の1つまたは複数の予め選択されたターゲット区域に対して1つまたは複数の他の加熱/冷却処理を加えることを含む項目8に記載の方法。
(項目11)
前記方法が、さらに、前記別個の導電性ブリッジを形成するようにブリッジ形成区域のそれぞれの予め選択されたターゲット区域に対して2つ以上の前記加熱/冷却処理を加えることを含むブリッジ形成サイクルを含み、
1つの前記予め選択されたターゲット区域の1つが、前記ギャップ領域構成部分と前記第1のリンク構成部分または前記第2のリンク構成部分のいずれか一方とを含む第1の区域であり、別の前記予め選択されたターゲット区域が、前記ギャップ領域構成部分と前記第1のリンク構成部分または前記第2のリンク構成部分の他の一方とを含む第2の区域であり、かつ、前記第1および第2の区域が互いに重なり合っている項目9に記載の方法。
(項目12)
ブリッジ形成サイクルは、予め選択されたターゲット区域がブリッジ形成区域を含むときに、前記別個の導電性ブリッジを形成するように前記ブリッジ形成区域に対して加熱/冷却処理を加えることを含む項目9に記載の方法。
(項目13)
ブリッジ形成サイクルは、予め選択されたターゲット区域がブリッジ形成区域を含むときに、前記別個の導電性ブリッジを形成するように前記ブリッジ形成区域に対して加熱/冷却処理を加えることを含み、さらに、前記ブリッジ形成サイクルは、前記別個の導電性ブリッジを形成するように2つ以上の前記加熱/冷却処理を前記ブリッジ形成区域に対して加えることを含む項目9に記載の方法。
(項目14)
前記方法が、さらに、
a)ブリッジ形成サイクルの後で前記半導体素子のインピーダンスを決定するステップと、
b)前記ステップa)から得られたインピーダンスを予め決められたインピーダンスと比較するステップと、
c)必要に応じて、前記予め決められたインピーダンスが得られるまで、1つまたは複数の追加の予め選択されたブリッジ形成区域において前記ブリッジ形成サイクルを繰り返し、さらに、各々の前記ブリッジ形成サイクルは、それぞれ別個の導電性ブリッジを形成するように、異なる予め選択されたブリッジ形成区域に対して行われるステップとを含む項目9に記載の方法。
(項目15)
前記方法が、さらに、
a)ブリッジ形成サイクルの後で前記半導体素子のインピーダンスを決定するステップと、
b)前記ステップa)から得られたインピーダンスを予め決められたインピーダンスと比較するステップと、
c)必要に応じて、前記予め決められたインピーダンスが得られるまで、1つまたは複数の追加の予め選択されたブリッジ形成区域において前記ブリッジ形成サイクルを繰り返し、さらに、各々の前記ブリッジ形成サイクルは、それぞれ別個の導電性ブリッジを形成するように、異なる予め選択されたブリッジ形成区域に対して行われるステップとを含む項目12に記載の方法。
(項目16)
インピーダンス調整可能な半導体素子であって、
形成された基礎の導電路を規定する第1の導電性領域であって、第1のリンク部材と第2のリンク部材とを有し、かつ、熱可変性のドーパント・プロファイルを有する第1の導電性領域と、
前記第1の導電性領域に隣接している第2の領域であって、該第2の領域を前記第1の導電性領域と比較して相対的に非導電性にするドーパント・プロファイルを有する第2の領域とを備え、
前記第1および第2のリンク部材は、前記第1および第2のリンク部材が前記第2の領域により規定されているギャップ領域によって互いに隔てられているように並置して配置されており、前記第2の領域は、少なくとも前記ギャップ領域と比較して相対的に熱可変性であるドーパント・プロファイルを有することを特徴とする、インピーダンス調整可能な半導体素子。
(項目17)
前記第1の導電性領域は、前記形成された基礎の導電路を規定する導電性クリンプ要素を含み、さらに、前記導電性クリンプ要素は、前記第1のリンク部材と前記第2のリンク部材とを含む項目16に記載のインピーダンス調整可能な半導体素子。
(項目18)
インピーダンス調整可能な半導体素子であって、
第1の導電性のリンク部材と第2のリンク部材とを有し、かつ、熱可変性のドーパント・プロファイルを有する第1の導電性領域であって、前記第1の導電性のリンク部材が、基礎の導電路を規定する第1の導電性領域と、
前記第1の導電性領域に隣接している第2の領域であって、該第2の領域を前記第1の導電性領域と比較して相対的に非導電性にするドーパント・プロファイルを有する第2の領域とを備え、
前記第1および第2のリンク部材は、前記第1および第2のリンク部材が前記第2の領域により規定されているギャップ領域によって互いに隔てられているように並置して配置されており、前記第2の領域は、少なくとも前記ギャップ領域と比較して相対的に熱可変性であるドーパント・プロファイルを有することを特徴とする、インピーダンス調整可能な半導体素子。
(項目19)
前記方法が、さらに、
a)ブリッジ形成サイクルの後で前記半導体素子のインピーダンスを決定するステップと、
b)前記ステップa)から得られたインピーダンスを予め決められたインピーダンスと比較するステップと、
c)必要に応じて、前記予め決められたインピーダンスが得られるまで、1つまたは複数の追加の予め選択されたブリッジ形成区域において前記ブリッジ形成サイクルを繰り返し、さらに、各々の前記ブリッジ形成サイクルは、それぞれ別個の導電性ブリッジを形成するように、異なる予め選択されたブリッジ形成区域に対して行われるステップとを含む項目5に記載の方法。
【発明の効果】
【0035】
本発明の別の利点は、半導体デバイスすなわち半導体素子に関する温度係数に関係する。熱によって生じさせられた1つまたは複数の(例えば、レーザ)リンク(すなわち、レーザによって生じさせられたブリッジ)の温度係数の変化が、熱によって生じさせられた1つまたは複数の(例えば、レーザ)リンクがその半導体デバイスの抵抗(すなわち、インピーダンス)の総計に対して僅かな割合でしか影響しないように構成されることが可能なので、その半導体デバイスの総合的な温度係数に対してほとんど影響しないかまたは僅かしか影響しないであろう。
【0036】
本発明のさらに別の利点は、半導体デバイスすなわち半導体素子の長期的な安定性に関係する。熱によって生じさせられた1つまたは複数の(例えば、レーザ)リンクの長期的な安定性の変動が、熱によって生じさせられた1つまたは複数の(例えば、レーザ)リンクがそのデバイスの総合的な長期的安定性に対して僅かな割合でしか影響しないように構成されることが可能なので、その半導体デバイスの全体的な長期的な安定性に対してほとんど影響しないかまたは僅かしか影響しないであろう。
【0037】
本発明によって、主要な導電路の互いに反対側に位置する部分の間の熱によって生じさせられた(例えば、レーザ)リンク(すなわち、ブリッジ)は、その半導体デバイスの所望の総合抵抗値(すなわち、インピーダンス)の一部分のみの原因となるにすぎないであろう。したがって、その半導体デバイスの総合抵抗値(すなわち、インピーダンス)に関して0.1%の公差を得るために、レーザによって生じさせられるリンクの抵抗(すなわち、インピーダンス)に関して必要とされる公差の各々は、おそらく、約1.0%であることしか必要ないであろう。熱によって生じさせられた(例えば、レーザ)リンクの生産に関する精度レベルを緩和することが可能であることが、調整プロセスに対して行う制御がより少なくて済み、かつ、より高速のレーザ調整プロセスを実現することが可能であるということを意味する。半導体デバイスすなわち半導体素子の寸法および/または形状に基づいて、約0.001%の抵抗公差を実現することが可能であろう。
【0038】
本発明によって、高ドーパント濃度(すなわち、より高い濃度)を有する側方区域すなわち側部区域から、ドーパント濃度がより低い中間(すなわち、ギャップ)区域へのドーパントの拡散を各々が生じさせる1つまたは複数のブリッジ形成サイクルの使用による、(集積)半導体デバイスすなわち半導体素子のインピーダンスの調整(すなわち、変更または低減)の方法が提供される。
【0039】
前述したように、本発明によって、導電性ブリッジまたはリンクが、単一の熱(例えば、レーザ)パルスの印加によって得られてもよく、あるいは、これに対する代替案として、導電性リンクが、例えば前述の米国特許第6,329,272号に説明されている一連のパルスの印加のような一連のパルスの印加によって得られてもよい。
【0040】
本発明によって、導電性ブリッジが、所望または必要に応じて、制御された拡散によって形成されてもよく、すなわち、正確に計算されかつ測定された結果として得られるような集束エネルギーを、集積半導体デバイスに対して印加することによって形成されてもよく、この結果として、管理されたおよび/または決定可能な量のドーパントが、1つの区域から、より低いドーパント濃度を有する隣接の区域へ拡散させられることが可能である。
【0041】
あるいは、これに対する代替案として、本発明によって、導電性ブリッジは、例えば、高出力レーザ(すなわち、エネルギーのブラスト(blast))からの無差別的なパルスの印加によって形成されてもよい。このパルスは、各リンク部分の一部分の全体にわたってギャップ領域を横切って跨ぎ、かつ、(導電性ブリッジを実現するのに必要な)最小量の拡散から所望の導電性ブリッジを同様に結果的に生じさせる最大量の拡散まで様々であってよい拡散の度合いを(予め付与された条件の下で)実現するように印加される。
【0042】
本発明によって、半導体素子すなわち半導体デバイスが調整されてよく、この語句(「調整される(tuned )」または「調整(tuning)」)は、集積半導体デバイスのインピーダンスが変更され、調節され、変化させられる(すなわち、低減させられる)ことが可能であるということを意味するものとして理解される。さらに、集積半導体デバイスの微調整(finetuning )は、インピーダンスが、大まかに(すなわち、適切な層や基板等を形成する初期製造プロセスによって)得られた後に微調整されてよい(すなわち、微調節され、または、高い精度で調整されてよい)ということを意味することが理解されなければならない。微調整は、単一のステップ、または、それぞれ独立した一連のステップを含んでよい。
【0043】
本発明の実施態様によって、集積半導体デバイスの調整は反復的に行われてよく、すなわち、反復手法(iteration technique )または反復方法の使用によって行われてよい。したがって、「反復的に(iteratively )」または「反復手法」は、1つの作業シーケンスの反復が所望の結果に連続的により近い結果をもたらすプロセス、処理、または手順を意味するものとして理解されなければならない。したがって、本発明の特定の実施態様の目的は、反復手法の使用によって実現されることが可能であり、この反復手法によって、異なる区域に対する集束加熱源からの熱(すなわち、1つまたは複数のパルス)の連続的な印加が、特定の集積半導体デバイスの全体にわたっての所要または所望のプロファイルに漸進的により近いインピーダンス・プロファイルを漸進的にもたらすことができる。
【0044】
例えば、第1の場所に対する第1のレーザ印加(すなわち、第1のブリッジサイクル)が所要のインピーダンス変化の80%を結果的に生じさせ、第2の場所に対する第2のレーザ印加(すなわち、第2のブリッジサイクル)が所要のインピーダンス変化の91%を結果的に生じさせ、第3の場所に対する第3のレーザ印加(すなわち、第3のブリッジサイクル)が所要のインピーダンス変化の98%を結果的に生じさせ、第4の場所に対する第4のレーザ印加(すなわち、第4のブリッジサイクル)が所要のインピーダンス変化の100%を結果的に生じさせてよい。しかし、所要または所望のインピーダンス変化を実現するために、より多い回数またはより少ない回数のレーザ印加が必要とされることがあるということが理解されると共に、所要のインピーダンス変化が、1回または2回といったような少ない回数のレーザ印加によって実現されてもよいということがさらに理解される。
【0045】
本発明の概略的な実施態様では、集積半導体デバイスは幾つかの構成部分を備えてよい。これらの中には、例えばnタイプまたはpタイプのドーパントのようなドーパントでドーピングされてよい区域が含まれてよい。デバイスの様々な区域のドーパント濃度はその使用および用途に従って様々であってよく、かつ、例えば、特定のドーパント濃度の区域が存在してよく、また一方で、この区域に隣接して、より高いドーパント濃度またはより低いドーパント濃度の区域が存在してよい。したがって、実施態様によっては、予め決められたまたは選択されたドーパント濃度の一対の第1の区域と、これに隣接する(相対的に)より低いドーパント濃度を有する中間的な第2の区域とが存在してもよい。本願明細書から理解されるように、区域間のドーパント濃度の差が、これらの区域の各々の物理的
特性および電気的特性が異なることが可能であるのに十分であり、すなわち、例えば、1つの区域が電流を伝導することができるが、また一方で、その他の区域が電流を伝導しないか、または、電気を伝導するための相対的な能力が異なっていることが可能であるのに十分であり得る。したがって、本発明は、集積半導体デバイスの互いに隣接する区域の相対的なドーパント濃度の差を変更することによって、その隣接区域の相対的な電流伝導能力を変更するための方法を実現する。
【0046】
例えば、本発明によって、第1のドーピングされた区域と、より低いドーピング濃度を有する中間の第2のドーピングされた区域との間の相対的なドーパント濃度の差を変更するために、次の反復ステップが行われてよい。すなわち、集束加熱源が選択された区域に向けられてよく、この選択された区域は、当該区域内に、第1のドーピングされた区域の一部分と、中間の第2のドーピングされた区域の一部分とを備えてもよい。すなわち、上記の選択された区域は、第1および第2のドーピング区域の間の境界を跨っていてよい。本願明細書から理解できるように、この選択された区域は概ね円形であってよく、かつ、第1および第2のドーピング区域の間の境界を均一に跨っていても跨っていなくてもよい。
【0047】
第1の導電性ブリッジのためのターゲット区域またはターゲット場所は、基礎の導電路すなわち主要な導電路の実際のインピーダンス(例えば、抵抗)を最初に検査することと、基礎の導電路に関する単位長さ当たりの抵抗を求めることと、予め決められた所望の全抵抗(全体の抵抗の値)に到達するために上記抵抗が低下させられなければならない量(すなわち、△Rで表される抵抗)を求めることと、△Rで表される抵抗に相当する経路長を求めることと、その次に、少なくとも最初の所望の抵抗の全体的な低減を実現するために、ギャップ領域を横切る所望の導電性ブリッジの位置を計算することとによって求められてよい。
【0048】
本願明細書から理解できるように、こうした計算は、直列回路、並列回路、直列および並列回路等に関する計算のための既知の方程式に基づいていてよい。これは、当然のことながら、適切に構成されたコンピュータ手段によって行われることが可能である。
【0049】
選択された場所すなわち区域がターゲットにされると、集束加熱源からの(加熱)パルスがその選択された区域に印加されてよく、この加熱パルスはその選択された区域が溶融することを引き起こし、すなわち、その選択された区域が固定状態から液体状態に変化することを引き起こす。本願明細書から理解できるように、選択された区域の外側に位置している第1のドーピングされた区域の一部分と第2のドーピングされた区域の一部分とが、加熱パルスの印加によって溶融させられることはないであろう。
【0050】
選択された区域が溶融させられてよい期間は長くても短くてもよい(例えば、約10フェムト秒から約10マイクロ秒の長さ)。いずれにしても、選択された区域が溶融させられてよい期間は、当然のことながら、第1の区域からドーパント濃度がより低い第2の区域へのドーパントの拡散(すなわち、移動)を可能にするのに十分でなければならない。ドーパント濃度がより高い区域からドーパント濃度がより低い区域へのドーパントの拡散は、公知の原則に従って生じる。したがって、(管理された)拡散は非常に迅速に生じることがあり、その結果として、選択された区域が溶融させられてよい短い期間中にさえ、より低いドーパント濃度の区域のドーパント濃度の適切な変化を引き起こすことが可能になるだけの十分なドーパントが拡散することが可能である。
【0051】
前述したように、その溶融区域は、短い期間の間だけ、すなわち、加熱パルスの印加の期間と実質的に同じ長さの期間の間だけ、液体状態のままであるにすぎないであろう。したがって、その選択された区域が凝固し終わると直ぐに、選択された区域のドーパント・プロファイルが変更され終わっていることが可能であり、したがって、このドーパント・プロファイルは、第1の区域のドーパント濃度と、ドーパント濃度がより低い第2の区域のドーパント濃度との中間である濃度になるであろう。
【0052】
この先行のステップが完了した後に、反復プロセスのさらに別のステップが行われてよい。例えば、その次のステップは、判定、すなわち、第1の加熱パルスの印加の結果として実現される集積半導体デバイスの新たなインピーダンスの検査を含んでよい。この検査は、任意の既知の方法または所望の方法に従って行われてよく、かつ、この結果が所要または所望の最終結果と比較されてよい。
【0053】
先行の反復ステップの結果として実現された集積半導体デバイスのインピーダンスの値に応じて、および、所要または所望の最終インピーダンスに応じて、この方法のさらに別の反復ステップを行うことが必要であることがある。例えば、インピーダンスが十分に低減させられていない場合には、インピーダンスをさらに低減させるために、集束加熱源の追加の印加が、異なる予め選択された区域(すなわち、異なる場所)に対して行われてもよい。すなわち、別の(すなわち、第2の)集束加熱源の印加が、集積半導体デバイスのその他の予め選択された区域(の全部または一部)をさらに溶融させてよく、したがって、前述したような追加の導電性ブリッジを形成することができる。
【0054】
追加の溶融区域が凝固した後に、反復プロセスのさらに別のステップが、結果的に得られたインピーダンスを再検査することと、この結果的に得られたインピーダンスを所要の所望の結果と比較することとを含む。この結果的に得られたインピーダンスが依然として所望または所要のインピーダンスではない場合には、さらに別の反復ステップが、前述したプロセスと同様に行われてよい。
【0055】
本願明細書から理解できるように、本発明の一例としての実施態様では、反復プロセスは、その最も一般的な形態において、集積半導体デバイスの隣接しておりかつ接触している区域の相対的なドーパント濃度における変更を引き起こすことができる加熱パルスの印加と、上記加熱パルスの印加の結果として生じるインピーダンスの検査と、必要または所望に応じて、ブリッジ形成サイクルの反復とを含む。さらに理解できるように、加熱パルスの印加の後に続く結果的に得られたインピーダンスの測定の後に、後続の1つまたは複数の加熱パルスの特性の一部または全部が変更されてよく、すなわち、調整されてよい。変更されてよい加熱パルスの特性は様々であり、かつ、その次の加熱パルスの印加が、インピーダンスのどれだけ多くのさらなる変更を実現することを必要とされているかによっ
て決まるであろう。したがって、例えば、1つの加熱パルスの印加の後に、インピーダンスが所要の結果に対して大きなパーセンテージに達していると判定された場合には、その次の集束加熱パルスの特性が変更されてよく、例えば、集束加熱源の出力が低減されてもよい。さらに別の例としては、所要の結果に可能な限り近いインピーダンスをもたらすために、加熱パルスの印加の期間が短縮されてもよい。さらに、加熱源の印加の角度が変更されてもよく、すなわち、90度の印加から変更されてもよい。これに加えて、異なる加熱源が使用されてもよい。変更された加熱パルスの印加の後に、集積半導体デバイスがさらに検査され、その結果として、例えば、所要または所望のインピーダンスの変化のほとんど全てが実現されていると判定された場合には、加熱パルスの特性がさらに変更されて
よく、すなわち、加熱パルスの出力が再びさらに低減されてよく、かつ、加熱パルスの印加の期間もさらに短縮されてもよい。しかし、後続の加熱パルスのいずれかの特性が後続の印加において増大させられてもよく、すなわち、加熱パルスの出力、印加の期間等の一部または全部が増大させられてもよい。言い換えると、印加される加熱パルスの全てが必ずしも同一でなくてもよいが、上記インピーダンスが所望の最終値に反復的にますます近づいていくにつれて、集束加熱源の特性を低減させてよい、すなわち、低下させてよいということが予測されている。
【0056】
さらに明確に述べると、本発明によって、相対的により低い(またはゼロの)ドーパント濃度のギャップ区域すなわちギャップ領域によって互いに間隔を開けられている相対的に高いドーパント濃度の2つの電気的に相互接続された区域すなわち領域を含むように構成され配置され得るような集積半導体デバイスが提供されてよい。したがって、より低い(またはゼロの)ドーパント濃度の区域が、より高いドーパント濃度の2つの区域の間の絶縁体として機能してよい。より低いドーパント濃度の区域のドーパントのタイプおよび/または濃度は、電流が当該区域を通って全く流れないかまたは少なくとも実質的に電流が流れないようなタイプ、および/または、十分に低い濃度であってよい。
【0057】
幾らかの電流が、より高いドーパント濃度の2つの区域の間に配置されているより低いドーパント濃度のブリッジ区域を通って流れるためには、上記の2つの区域内のドーパントのタイプが同一であること、すなわち、全てがnタイプであるか、または、全てがpタイプであるということが、集積半導体デバイスの構成のために必要である。この実施態様では、本発明の方法は、そのギャップ領域の特定の一部分のドーパント濃度を変更するために使用されてよく、したがって、集積半導体デバイスの任意の部分の既存のインピーダンスを減少させるために使用されてよい。言い換えると、この実施態様の方法の使用は、(ゼロの電流とは反対に)幾らかの電流がギャップ領域を跨ぐ導電性ブリッジを越えて流れることが可能であるように、集積半導体デバイスのインピーダンスが変更されることを可能にすることができる。
【0058】
しかし、低濃度で(すなわち、より低い濃度で)ドーピングされている領域で使用されるドーパント(または、複数のドーパント)のタイプは、高濃度で(すなわち、より高い濃度で)ドーピングされている領域で使用されるドーパントのタイプと同一でなくてもよい。例えば、高濃度でドーピングされている領域がpタイプのドーパントを使用する場合には、低濃度でドーピングされている領域はpタイプまたはnタイプであることが可能であり、または、この反対であることも可能である。この場合には、より高いドーパント濃度の区域(または、複数の区域)からより低いドーパント濃度の区域へ拡散されなければならないドーパントの量は、低濃度でドーピングされている区域を電流が通って流れるように、この低濃度でドーピングされている区域内に含まれている異なるタイプのドーパントの存在に対抗するのに十分なだけ多いことが必要であろう。
【0059】
高濃度の区域と低濃度の区域とにおけるドーパントの濃度レベルは著しく異なってよい。例えば、ドーパント濃度は、1cm3当たり1012個から1020個の原子の範囲で様々であってよい。低濃度でドーピングされている区域に関するドーパント濃度の範囲は、例えば、1cm3当たり1012個から1016個の原子であってよく、また一方で、高ドーパント濃度の区域に関するドーパント濃度は、例えば、1cm3当たり1016個から1020個の原子であってよい。いずれにしても、こうした1つまたは複数のドーパント濃度は、当業者により(通常)使用されるドーパント濃度であってよく、すなわち、本願明細書で述べられている濃度よりも高くても低くてもよい。
【0060】
「低濃度でドーピングされた領域」および「高濃度でドーピングされた領域」という用語は、ドーパント濃度が(ドーパントのタイプに応じた)第2のドーピングされた領域よりもわずかに高いだけである第1のドーピング領域を排除することを意図していないということが理解されるであろう。本発明によって使用されてよいドーパントは、ボロン(ホウ素)、リン、アルミニウム、アンチモン、ヒ素、ガリウム、インジウム、リチウム、タリウム、およびビスマスを含むグループから選択されてよい。ドーパントは、ケイ素、砒化ガリウム、シリコンゲルマニウム、周期表のIII−V族とII−VI族とから選択される化合物、および、IV−IV合金を含む化合物とを含むグループから選択される材料を含む基板の中にドーピングされてよい。
【0061】
本発明は、本願明細書においてレーザ加熱源に関連して例示的に説明されているが、本発明によって使用されてよい「集束加熱源」は、前述されているように、本発明における目的に適している任意の(例えば、公知の)加熱源であってよい。この集束加熱源は、例えば、電子ビームを使用した適切な構成の装置であってもよい(例えば、この熱源は、レーザおよび電子ビームを含むグループから選択されてよい)。さらに、上記集束加熱源の加熱パルスのエネルギーは、集積半導体デバイスに損傷を与えることを回避するのに十分なだけ低くてもよい。
【0062】
本発明の例示的な実施形態が添付図面に示されている。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】第1の導電性領域が、U字形の形状構成すなわちU字形のパターンを有する導電性クリンプ要素の形で配置されているような、本発明に係る調整可能な半導体素子すなわち半導体デバイスの例を概略的に示す概略図である。
【図2】第1の導電性領域が、H字形の形状構成すなわちH字形のパターンを有する導電性クリンプ要素の形で配置されているような、本発明に係る調整可能な半導体素子すなわち半導体デバイスの別の例を概略的に示す概略図である。
【図3】第1の導電性領域が、V字形の形状構成すなわちV字形のパターンを有する導電性クリンプ要素の形で配置されているような、本発明に係る調整可能な半導体素子すなわち半導体デバイスの別の例を概略的に示す概略図である。
【図4】第1の導電性領域が、W字形の形状構成すなわちW字形のパターンを有する導電性クリンプ要素の形で配置されているような、本発明に係る調整可能な半導体素子すなわち半導体デバイスの別の例を概略的に示す概略図である。
【図5】第1の導電性領域が、U字形の形状構成すなわちU字形のパターンを各々が有する複数(例えば、3つ)の導電性クリンプ要素の形で配置されているような、本発明に係る調整可能な半導体デバイスの別の例を概略的に示す概略図である。
【図6】図5の半導体デバイスの態様を有するが2つの導電性ブリッジだけしか持たないような調整された半導体素子すなわち半導体デバイスの電気回路図である。
【図7】図5に示されている調整可能な集積半導体デバイスのブリッジの横断面図である。
【図8】調整プロセスのために使用されるレーザシステムの概略図である。
【図9】図8に示されているレーザシステムの概略図をより完全な形で示すブロック図である。
【図9A】図9aは、予め選択されたブリッジ区域で異なるタイプの予め選択されたターゲット区域の様々な例を概略的に示す概略図(その1)である。図9bは、予め選択されたブリッジ区域で異なるタイプの予め選択されたターゲット区域の様々な例を概略的に示す概略図(その2)である。図9cは、予め選択されたブリッジ区域で異なるタイプの予め選択されたターゲット区域の様々な例を概略的に示す概略図(その3)である。
【図10】アナログ/ディジタル変換器で使用されることが可能な直列抵抗梯子形回路の例示的な電気回路図である。
【図11】図5に示されている複数の集積半導体デバイスが、図10の直列抵抗梯子形回路を規定するために、どのように配置され得るかを示す模式図である。
【図12】ディジタル/アナログ変換器で使用されることが可能なR−2R抵抗梯子形回路の例示的な電気回路図である。
【図13】図5に示されている複数の集積半導体デバイスが、図12のR−2R抵抗梯子形回路を規定するために、どのように配置され得るかを示す模式図である。
【図14】クリンプ要素すなわち折り畳み要素のリンク部材すなわちリンク部分の1つが(初期においては)主要な導電路の中に存在しないような、本発明の別の調整可能な集積半導体素子すなわち半導体デバイスの一例を概略的に示す概略図である。
【図15】図5の集積半導体デバイスのみによって得られることが可能な精度よりも高い精度を有するデバイスを提供するための、図14に示されている集積半導体デバイスと、図5に示されている集積半導体デバイスとの例示的な組合せを概略的に示す概略図である。
【図16】図1〜図5に示される本発明に係る調整可能な半導体素子すなわち半導体デバイスに加えて、導電性領域が図1に示されている導電性クリンプ要素の形で配置されており、その上部の部分が下向きに曲げられており、かつ、半導体デバイスが3つの導電性ブリッジを備えているような、調整可能な半導体素子すなわち半導体デバイスのさらに別の例を概略的に示す概略図である。
【図17】図16のデバイスの態様を有する調整された半導体素子すなわち半導体デバイスの電気回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0064】
以下、添付図面を参照しながら本発明の例示的な実施形態を説明する。図1〜図5は、本発明による調整可能な半導体素子すなわち半導体デバイスの例示的な実施形態を示す。なお、これ以降、各々の図面において、前述した構成要素と共通または類似のものについては、同一の参照番号を使用して表すこととする。図1〜図5の各々では、調整可能な半導体素子すなわち半導体デバイスが、参照番号1で全体的に示されている。図1〜図5の各々において、半導体デバイス1は、例えば、非導電性の基板2と、下部に位置する基板2に隣接している導電性の層または領域2aとを含むといったように、様々な層または領域を含む。
【0065】
領域(基板)2および領域2aは、各々、ケイ素、ゲルマニウム、砒化ガリウム、シリコンゲルマニウムのような半導体材料、または、周期表のIII−V族もしくはII−VI族から選択される元素を含むグループから選択される他の適切な半導体材料、または、IV−IV合金を含む化合物を含んでよい。
【0066】
領域2aは高濃度でドーピングされた領域であり、すなわち、熱可変性のドーパント・プロファイルを有する導電性領域である。前述したように、「熱可変性のドーパント・プロファイル」という語句は、適切な熱源の適用時に、ドーパントが、溶融した区域の凝固時に維持されることが可能なその区域のドーパント・プロファイルを変更するように、当該ドーパントがその領域または区域全体にわたって移動または拡散することが可能なように溶融することができる領域または区域として(場合に応じて)、領域または区域を特徴付ける。
【0067】
図1〜図5に示されている領域2aは、第1のリンク部材すなわち第1のリンク部分3と、これに隣接している第2のリンク部材すなわち第2のリンク部分4とを有する。特に図1〜図5を参照すると、図示されている半導体デバイスは、さらに、第1および第2の部分を互いにリンクさせる間隔保持リンク部材すなわち間隔保持リンク部分4aを有する。第1および第2のリンク部分3、4は、全体的領域2によって規定されているギャップ領域5によって互いに間隔を開けられている。ギャップ領域5は、図5に関してさらに詳細に言及するように、1つまたは複数の導電性ブリッジによって跨れている。この半導体デバイスは、さらに、他の半導体デバイスに対して領域2aを電気的に接続するための接触部材またはコネクタ部材8、9を有し、かつ、電流が少なくとも最初にはこれらの接触部材の間の領域2a全体を通って流れることが可能である。
【0068】
本願明細書から理解できるように、高濃度でドーピングされている領域は、nタイプまたはpタイプのドーパントで十分な濃度になるように高濃度でドーピングされてよく、および、高濃度でドーピングされている領域が導電性であるための所要または所望のプロファイルであってよい。例えば、ドーパントがリンを含んでいてもよく、かつ、1cm3当たり約1016個から約1020個の原子という濃度であってよい。高濃度でドーピングされている領域の厚さは、例えば0.25マイクロメートルであってよいが、個々の製造プロセスの要件に従って、これよりも大きくても小さくてもよい。さらに、このような高濃度でドーピングされている領域の構成と配置とが、さらに、個々の製造プロセスの要件に従っていてもよい。
【0069】
前述した領域2は、領域2aの第1および第2のリンク部分3、4の中間に位置しているギャップ領域5を含む。このギャップ領域5は、初期製造プロセスを考慮して、例えば可能な限り小さい最小サイズから約20ミクロンメートル以上まで様々であってよい幅寸法を有することが可能である。ギャップ幅は、例えば、使用されるべき熱パルス処理のタイプに従って様々であってよい。例えば、単一パルスが使用されることになっている場合には、可能な限り小さい幅が適切であろう。一連の熱パルスが使用されることになっている場合には、大きな幅が想定されてよい。
【0070】
領域2は、この領域が領域2aと比較して相対的に非導電性であるようなドーパント・プロファイルを有する。したがって、領域2はドーパントを全く含まなくてもよいし、または、低濃度でドーピングされている領域であってもよい。いずれにしても、領域2aは、領域2の場合と同様に、少なくともギャップ領域内において熱可変性のドーパント・プロファイルを有する。ギャップ領域5は、領域2の他の部分のドーパント・プロファイルと同じドーパント・プロファイルを有してよい。あるいは、ギャップ領域5が領域2aと比較して相対的に非導電性であり、および、特にその第1および第2のリンク部分3、4と比較して相対的に非導電性であるようなドーパント・プロファイルである場合には、ギャップ領域5は、領域2の他の部分のドーパント・プロファイルとは異なるドーパント・プロファイルを有してよい。
【0071】
ある領域が低濃度でドーピングされている場合には、その領域は、高濃度でドーピングされている領域と同じドーパントでドーピングされてよく、または、この代わりに、隣接した高濃度ドーピング領域に含まれるドーパントとは異なるドーパントを含んでもよい。低濃度でドーピングされたギャップ領域5は、高濃度でドーピングされている第1および第2のリンク部分3、4に隣接かつ接触しているように配置されてもよい。低濃度でドーピングされているギャップ領域5におけるドーパントのタイプと濃度レベルは、本発明の実施形態による方法のステップの適用の以前に、高濃度でドーピングされている領域3、4の間のギャップ領域5を横切って電流が流れないようなタイプと濃度レベル、すなわち、低濃度でドーピングされている領域5の抵抗が、高濃度でドーピングされている領域3
、4の間を電流が流れることを(完全にではなくともほとんで)防止するのに十分な大きさであるようなタイプと濃度レベルであってよい。本願明細書から理解できるように、低濃度でドーピングされている領域のドーパントのタイプが、高濃度でドーピングされている領域のドーパントのタイプとは異なる場合には、その半導体デバイスは、電流がそれを通って流れることを全く不可能にするような互いに反対の極性の2つのダイオードに相当しているであろう。
【0072】
図1〜図5には示されていないが、半導体素子すなわち半導体デバイスは、窒化ケイ素Si34のようなオーバレイ不活性化層を含んでもよい。さらに、この半導体デバイスは、二酸化ケイ素SiO2のような不活性化層の下にある酸化物層を含んでもよい。
【0073】
図5は、1つのクリンプ要素のリンク部分が、隣接したリンク要素または付近のリンク要素のための共通リンク要素として機能し得る3つのクリンプ要素を有する半導体素子すなわち半導体デバイスを示す。したがって、これらのクリンプ要素は蛇状の外観を有する。例示のために、中央クリンプ要素のリンク部分のみが参照番号3、4で示されている。3つのクリンプ要素は、約9ミクロンメートルの幅と約11ミクロンメートルの高さとを有してよい。中央クリンプ要素は、ギャップ領域5を横切る2つの別個の凝固した導電性ブリッジすなわち導電性リンク10、10aを有する形で示されている。ブリッジ10、10aの各々はそれぞれに第1のリンク部分3と第2のリンク部分4とに電気的に接続され、すなわち、ブリッジ10、10aはそれぞれに2次的な導電性リンクを形成する。ブリッジすなわちリンク10、10aは、例えば、数Ω(例えば、500Ω)のような低抵抗リンクから例えば100kΩまでの抵抗を有するリンクまで互いに無関係に様々であってよい。図5に示されている構造は、一例として、2つの導電性ブリッジの10、10aを有する形で示されているが、この構造は、所望または必要に応じて、ギャップ領域5の上方または下方に配置されている1つまたは複数の追加の導電性ブリッジを有してもよい。したがって、1つまたは複数の任意のこうした追加の導電性ブリッジが、例えばブリッジ10、10aの間、ブリッジ10と間隔保持リンク部分4aとの間等において、導電性ブリッジの10、10aのどちらの側に配置されてもよい。
【0074】
図6は、前述のブリッジ10、10aだけによって調整されている、図5に示されている半導体デバイスの概略的な回路図を示す。参照番号12が、領域2aによって全体的に示される基礎のインピーダンスまたは主要な初期インピーダンス(すなわち、抵抗)を示す。参照番号14、16は、ブリッジ10、10aによって規定されるそれぞれの2次的な抵抗を表す。
【0075】
図5は、多少とも類似した長さ寸法であるブリッジを示すが、図3、4に示されている構造のような構造に関するギャップ領域5に跨るブリッジは、異なる長さを有することがあるのみでなく、さらには、こうした異なる長さに基づいた異なる抵抗も有することがある。
【0076】
図7を参照すると、矢印18が、半導体デバイス1上に集束加熱源パルスを印加する方向を示す。本願明細書から理解できるように、集束加熱源は集積半導体デバイス1の上方に配置されており(図示されていない)、かつ、パルス18をデバイス1に印加してよい。本願明細書から理解できるように、パルス18の寸法と半導体デバイス1の寸法は一定の縮小比ではないであろう。
【0077】
図7は、さらに、拡大された形で、図5に示されている凝固したブリッジ10を通る調整可能な集積半導体デバイス1の断面図を示す。この凝固したブリッジ10は、影響を受けた区域を溶融させて、溶融プール(最終的にブリッジ10の形に凝固する)を得るように、低濃度でドーピングされているギャップ領域5と、高濃度でドーピングされているリンク部分3、4の隣接部分19、21の各々(点線で示されている)とを含む予め選択された区域または予め決められた区域に対して集束加熱パルス18を印加することによって得られた。本願明細書から理解できるように、高濃度でドーピングされているリンク部分3、4はこの溶融プール内に含まれている。加熱パルス18の印加の後に溶融するような高濃度でドーピングされている領域3、4の広がりは、加熱パルスの特性に依存する、すなわち、そのパルスの出力、そのパルスの印加の持続時間、そのパルスの直径等に依存するであろう。加熱パルスの直径は、例えば、ギャップ領域の一部分に跨り、かつ、高濃度でドーピングされているリンク部分3、4の両方の一部分を包含するような直径であってよい。より長時間にわたって溶融プールが溶融されればされるほど、高濃度でドーピングされているリンク領域3、4から低濃度ドーピング領域5の中へのドーパントの拡散がますます大きくなる。しかし、高濃度ドーピング領域3、4から低濃度でドーピングされているギャップ領域5の中に拡散するドーパントの量は、さらに、高濃度でドーピングされている領域3、4のどれだけ多くが集束加熱ビーム18によって捉えられるかに依存するであろう。すなわち、高濃度でドーピングされている領域3および/または4の大きな部分が溶融させられる場合には、より多くのドーパントが拡散することが可能であり、また一方で、小さな部分が溶融させられる場合には、より少ないドーパントが拡散するであろう。溶融プールが溶融状態に留まる時間の長さに応じて、高濃度でドーピングされている領域3から高濃度でドーピングされている領域4への溶融プールを横切ったドーパント・プロファイルは均一でなくてもよい。ギャップ領域5に跨る単一の加熱パルスの使用によってリンク部分3、4の間の導電性ブリッジを形成することが有利であるが、必要に応じて、複数のより小さい直径の加熱パルスを印加することが可能であることがある。複数の加熱パルスが印加される場合には、この加熱パルスは、例えば、一方のリンク領域の一部分とギャップ領域5の隣接部分とを溶融させることと、その次に、他方のリンク領域の一部分とギャップ領域5の隣接部分とを最終的に溶融させるためにギャップ領域5を横切ってステップ的に進行することとを含む初期ステップから開始して、ステップ的な仕方で印加されてよい。
【0078】
図9a、図9bおよび図9cを参照すると、これらの図は、図1〜図5に示されている半導体デバイスに関する予め選択されブリッジ区域から得られる幾つかの拡大された例示的な(レーザ)パルスターゲット区域を示す。図示のために、図9bおよび図9cの場合には、ブリッジ区域の境界とターゲット区域の境界とが接触していない形で示されている。実際の適用の場合には、ブリッジ形成サイクルの後では、ブリッジ区域の境界と1つまたは複数の関連のターゲット区域の境界とは隣接しているであろう。ブリッジ区域は、各々、参照番号20によって示されている境界を有する。本願明細書から理解できるように、ブリッジ区域は、ギャップ構成部分22と、第1のリンク構成部分24と、第2のリンク構成部分26とを有する。これらの構成部分の各々は、それぞれに、ギャップ領域5の一部分と、第1のリンク部材3と、第2のリンク部材4とを含む。図9aは、ターゲット区域の境界がブリッジ区域自体の境界と同一である単一のターゲット区域を示す。図9bは、ブリッジ区域の境界内にあり、かつ、ギャップ構成部分内で重なり合う境界30、32を有する一対のターゲット区域を、例示だけのために示す。図9cは、同様にブリッジ区域境界内にあり、かつ、ギャップ構成部分内で重なり合う境界34、36および38を有する3つのターゲット区域を、例示だけのために示す。ターゲット区域36は、その他のターゲット区域の少なくとも1つが1つまたは複数の処理済み区域からドーパントを吸い込むように加熱/冷却処理を受けた後に、加熱/冷却処理を受ける。
【0079】
図8および図9に戻ると、これらの図には、レーザのような集束加熱源を使用して積層半導体デバイスのインピーダンスを変更するための装置100の概略的な実施形態の図解が示されている。集積回路110が位置決めテーブル上に配置されており、かつ、集束加熱源(レーザ)103により生じさせられる加熱源105の印加を受けてよい。加熱源105は、光学レンズまたは磁気レンズ107を使用して集積回路110上に集束させられてよく、かつ、カメラ/鏡システムが加熱源105の正確な位置合わせを確実なものにするために集積回路110の観察を可能にする。図12は装置100をさらに詳細に示すものである。レーザ103がシャッタ116に接続されており、これらのシャッタの各々はコンピュータ108として図示されている制御システムによって制御される。コンピュータ108は、さらに、位置決め装置101の制御機構109にも接続されている。装置100は、さらに、カメラ112と光源114とを備える。装置100のさらに別の構成要素は、ビームスプリッタ113と選択的鏡120である。
【0080】
図10〜図13を参照すると、これらの図は本発明の実現可能な適用の例を示すものである。
【0081】
図10は、Rとして各々が全体的に示されている幾つかの抵抗部材を備えているアナログ/ディジタル変換器のための例示的な直列抵抗梯子形回路の例示的な電気回路図を示す。図11は、図10の直列抵抗梯子形回路が、図5に示されている複数の集積半導体デバイスを使用してどのように形成されてよいかを示している。すなわち、図5の各々のデバイスは、図10のアナログ/ディジタル変換器のそれぞれの抵抗部材またはインピーダンス部材を各々が規定するように配置されてよい。図5に示されているような、抵抗Rを規定する半導体デバイスの1つが、図11において参照番号130によって表される形で示されている。図11の概略的な構造が従来通りの方法(すなわち、適切にドーピングされた層、基板、領域等を形成すること)によって形成された後に、部材130の各々の微調整が、本願明細書に説明されている通りに行われてよい。
【0082】
図12は、各々がRまたは2Rとして概略的に表されている幾つかの抵抗部材を備えているディジタル/アナログ変換器のためのR−2R抵抗梯子形回路の例示的な電気回路図を示す。図13は、図5に示されている複数の集積半導体デバイスが、図12のアナログ/ディジタル変換器を規定するために、どのように配置され得るかを示す。参照番号140、150は、抵抗Rまたは抵抗2Rをそれぞれ規定する図5のデバイスを概略的に表す。図13の概略的な構造が従来通りの方法(すなわち、適切にドーピングされた層、基板、領域等を形成すること)によって形成された後に、部材140、150の各々の微調整が、本願明細書に説明されている通りに行われてよい。
【0083】
図14は、クリンプ要素すなわち折り畳み要素のリンク部分の1つが(最初は)主要な導電路内に存在しないような、本発明の別の調整可能な集積半導体デバイスの例を示す。この集積半導体デバイス154は、様々な層または領域を含み、例えば、非導電性基板156と、下部に位置する基板156に隣接している導電性の層または領域158とを含む。この場合には、導電性の層または領域158は、大まかで主要な、または大きなリンク部材すなわちリンク部分160と、小さいリンク部材すなわちリンク部分161とを備える。大きなリンク部分160は、そのデバイスの基礎の導電路を規定する第1の導電性リンク部分に相当する。したがって、主要なまたは大きなリンク部分160はそれ自体だけで最初に接触部材162、164の間の主要な導電路を形成し、すなわち、電流が少なくとも最初にはこれらの接触部材162、164の間の領域158全体を通過することが可能である。コネクタ部材168によって主リンク部分にその片方の端部において電気的に接続されている小さなリンク部分161が、基板156の一部分であるギャップ領域170によってリンク部分160から隔てられている。図14の半導体デバイスのインピーダンス(すなわち、抵抗)は、図5の半導体デバイスに関して前述した通りに、ギャップ領域170を横切る導電性ブリッジを設けることによって変更される(すなわち、低減させられる)。ギャップ領域170を横断する導電性ブリッジの形成は、デバイス154の全抵抗を僅かに変化させるようにその半導体デバイスの有効(電気的)寸法を変更するであろう。このギャップ/リンク構成は、図1〜図5に示されている半導体デバイスの場合と比較して、半導体デバイスの抵抗のより精確な調整を実現するために使用されることが可能である。
【0084】
図15は、図5の半導体デバイスのみによって得られることが可能な精度よりも高い精度で調整されることが可能な半導体デバイスを提供するための、図14に示されている集積半導体デバイスと、図5に示されている集積半導体デバイスとの組合せの例を示す。この総合的なデバイスの場合には、図5の構造の最初の調整が例えば0.01%の精度をもたらすことが可能であり、また一方で、図14の構造の調整がデバイスに関する0.001%の総合精度をもたらすことが可能である。
【0085】
図15の半導体デバイスすなわち半導体素子は、さらに、他の半導体デバイスに対して1つまたは複数の伝導領域を電気的に接続するための接触部材すなわちコネクタ部材8、174を有し、電流が少なくとも最初にはこれらの接触部材の間の1つまたは複数の領域全体を通過することが可能である。
【0086】
図16を参照すると、共通のまたは類似した要素を示すために図1〜図5で使用されている参照番号と同じ参照番号が、この図に関しても使用されている。図16の半導体デバイス1は、図1〜図5の半導体デバイスの場合と同様に、非導電性の基板2と、下部に位置する基板2に接触している曲がりくねった導電性の層または領域2aとを有する。導電性領域2aは、図1で説明した導電性クリンプ要素に類似した導電性クリンプ要素の形で配置されているが、その上半分の部分は下向きに曲がっている。本願明細書から理解できるように、この上部の部分は、外側U字形部材と内側U字形部材とを半導体デバイス1に提供するように下向きに曲がっている。内側U字形部材は、第1のギャップ領域5と第2の内側のギャップ領域5aとを半導体デバイス1に提供するように、外側U字形部材の中に入れ子式(nested)に収まっている。第1のギャップ領域5は、外側U字形部材が本願明細書に説明されている第1のリンク部材とみなされ、かつ、内側U字形部材が同様に本願明細書に説明されている第2のリンク部材とみなされるように、2つのU字形部材を隔てている。また一方で、第2の内側ギャップ領域5aが、図1に示されているように第1および第2のリンク部材と同様の仕方で内側U字形部材の部分を隔てている。この結果として、図16の半導体デバイスは、例えば導電性ブリッジ200、202のような1つまたは複数の外側導電性ブリッジを提供するのみでなく、例えば内側導電性ブリッジ204のような1つまたは複数の内側導電性ブリッジを提供することも可能である。
【0087】
図17を参照すると、この図は、前述のブリッジ200、202および204のみによって調整されるような、図16に示されているデバイスの電気回路図を示す。参照番号210は、全体として領域2aによって示されている基礎の初期インピーダンスまたは主要な初期インピーダンス(すなわち、抵抗)を示す。参照番号212、214および216は、それぞれ、ブリッジ200、202および204によって規定されているそれぞれの2次的な抵抗を示す。
【符号の説明】
【0088】
2a 領域
3 第1のリンク部分
4 第2のリンク部分
4a 間隔保持リンク部分
5 ギャップ領域
8 コネクタ部材
9 コネクタ部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の半導体素子のインピーダンスを変更する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図9A】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2011−66465(P2011−66465A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−1541(P2011−1541)
【出願日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【分割の表示】特願2005−502006(P2005−502006)の分割
【原出願日】平成15年8月8日(2003.8.8)
【出願人】(508181618)カデカ マイクロサーキッツ, エルエルシー (1)
【Fターム(参考)】