説明

集積回路およびその製造方法

集積回路およびその製造方法が提供されている。集積回路(20)は、その結晶方位が<100>である第1領域(64、66)とその結晶方位が<110>である第2領域(66、64)を有するバルクシリコン基板(24)を含む。シリコンオンインシュレータの層(62)はバルクシリコン基板の一部を覆う。少なくとも1つの電界効果トランジスタ(96、98)はシリコンオンインシュレータの層(62)上に形成され、少なくとも1つのPチャネル電界効果トランジスタ(90、92)はその結晶方位が<110>である第2領域(66、64)に形成され、少なくとも1つのNチャネル電界効果トランジスタ(90、92)はその結晶方位が<100>である第1領域(64、66)に形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
概して、本発明はFET ICの技術分野およびその製造方法に関し、より詳細には、PFETおよびHFETハイブリッド配向(HOT:Hybrid Orientation)デバイスの他にSOIデバイスを備えたFET ICとその製造方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
今日、多くの集積回路(IC)は、酸化金属半導体電界効果トランジスタ(MOSFET:Metal Oxide Semiconductor Field Effect TransistorあるいはMOSトランジスタ)とも呼ばれる複数の相互接続された電界効果トランジスタ(FET:Field Effect Transistor)を用いて実装されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
通常、ICはPチャネルおよびNチャネル双方のFETを用いて形成される。よって、このようなICは、相補型MOS回路あるいはCMOS回路と称される。絶縁層を覆うシリコンからなる薄層にFETを形成することで、FET回路のある一定の性能を改良することが可能となる。このようなシリコンオンインシュレータ(SOI)FETは、例えば、接合容量が低く、よって高速で動作することが可能である。FETが製造されたシリコン基板は、バルクシリコン基板であろうとSOIであろうと、結晶方位が<100>である。この結晶方位<100>が選択される理由は、電子移動度が最も高く、このために非常に高速なNチャネルFETが得られるからである。PチャネルFETの正孔移動度を強化することでCMOSにおいて更に性能を向上させることが可能となる。結晶方位が<110>のシリコン上にPチャネルFETを製造することで、正孔移動度を強化することができる。ハイブリッド配向技術(HOT:Hybrid orientation techniques)においては、NチャネルFETには<100>の結晶方位を、PチャネルFETには<110>の結晶方位を用いる。
【0004】
従って、1つの集積回路では、シリコンオンインシュレータFETの好ましい特性を、ハイブリッド配向技術によって実現可能な好ましい特性と組み合わせることが望ましい。加えて、バルクHOTNチャネルおよびPチャネルFETと同じ基板上にSOI FETを組み合わせたCMOS集積回路を製造する方法を提供することが望ましい。さらに、本発明のおよびほかの望ましい特徴および性質は、添付の図面と上記の技術分野と背景技術を併せて読めば、下記の詳細な説明と添付の特許請求の範囲から明らかとなるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
シリコンオンインシュレータトランジスタと組み合わせてバルクハイブリッド配向(HOT)トランジスタの特徴を利用したCMOS集積回路が提供される。この集積回路は、結晶方位が<110>のバルクシリコンの正孔、および、結晶方位が<100>のバルクシリコンの電子において増加した移動度を利用する。この集積回路は、結晶方位が<100>の第1領域と、結晶方位が<110>の第2領域を有するバルクシリコン基板を含む。シリコンオンインシュレータの層は、バルクシリコン基板の一部を覆う。少なくとも1つの電界効果トランジスタがシリコンオンインシュレータの層に形成され、少なくとも1つのPチャネル電界効果トランジスタが結晶方位が<100>の第2領域に形成され、少なくとも1つのNチャネル電界効果トランジスタは結晶方位が<100>の第1領域に形成される。
【0006】
また、このようなCMOS集積回路を製造する方法が提供される。この方法においては、第1結晶方位を有するとともに第2結晶方位のシリコン層により覆われた状態のシリコン基板を提供するステップを含む。シリコンオンインシュレータ層は、シリコン層の一部を覆って形成される。第1結晶方位を有する第1エピタキシャル層がシリコン基板の一部に成長し、第2結晶方位を有する第2エピタキシャル層がシリコン層の一部に成長する。第1HOT電界効果トランジスタは第1エピタキシャル層に形成され、第2HOT電界効果トランジスタは第2エピタキシャル層に形成され、第3電界効果トランジスタはシリコンオンインシュレータ層に形成される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下に、本発明を添付の図面と併せて記載する。図面において、同じ参照符号は同様の要素を示す。また、以下の詳細な説明は、本来例示的なものに過ぎず、本発明または本出願の用途および利用を限定することを意図したものではない。更に、上記の技術分野、背景技術、発明の開示、あるいは以下の詳細な説明に明示または暗示した理論により拘束されることを意図するものではない。
【0008】
図1〜13は、本発明の様々な実施形態に従うCMOS集積回路20およびこのようなCMOS集積回路を製造する方法ステップを概略的に示す。このような例示の実施形態においては、CMOS集積回路20のほんの一部だけを示している。CMOSデバイスを製造する様々なステップは周知であるので、簡潔を期すために、本文では数多くの従来のステップを手短に述べるか、従来のプロセスの詳細を記載せずに完全に省略するものとする。
【0009】
図1に示すように、本発明の1実施形態に従う方法は、シリコンキャリア基板24に接合されたシリコン層22から開始する。本文で使用されているように、“シリコン層”および“シリコン基板”という用語は、結晶半導体材料を形成するためのゲルマニウム、炭素およびこれに類するものといったその他の要素と混合されたシリコンに加え、半導体産業で通常使用されるような比較的純粋なシリコン材料を包含するように用いられるものとする。シリコン層22およびシリコンキャリア基板24はバルクハイブリッド配向(HOT)トランジスタの形成に使用されることになる。シリコン層22は周知のウェハ接合技術によりシリコンキャリア基板24に接合される。このシリコン層は化学機械研磨(CMP)技術などにより、厚さが約300ナノメータ(nm)まで薄膜化される。シリコン層とシリコンキャリア基板とは結晶方位が異なる。シリコン層あるいはシリコンキャリア基板のうち、一方の結晶方位が<100>、残りの結晶方位が<110>となるように選択される。好ましい実施形態では、シリコン層の結晶方位が<100>、シリコンキャリア基板の結晶方位が<110>となるが、これに限定されるわけではない。本発明の他の実施形態では、シリコン層の結晶方位は<110>、シリコンキャリア基板の結晶方位は<100>となる。<100>や<110>の結晶方位というのは、実際の結晶方位の約±2℃内にある結晶方位のことである。シリコン層およびシリコンキャリア基板ともに、その抵抗率は少なくとも約18〜33オーム/スクエアであるのが好ましい。N型やP型でシリコン基板を不純物ドーピングできるが、P型でドープするのが好ましい。
【0010】
図2に、本発明の実施形態に従ってシリコン層22を覆うシリコンオンインシュレータ(SOI)層26を形成する1つの方法を示し、図3、4に、本発明の実施形態に従ってシリコン層22を覆うシリコンオンインシュレータ(SOI)層26を形成する別の方法を示す。図2に、SIMOXプロセスにより薄膜SOI層26を形成するプロセスを示す。このSIMOXプロセスは周知のプロセスであり、該プロセスでは、矢印28で示すように、シリコン層22サブ表面(sub-surface)領域に酸素イオンが注入される。続いて、このシリコン層および注入された酸素は加熱され、サブ表面酸化シリコン層30が形成される。この層30により、SOI層26がシリコン層22の残りの部分から電気的に絶縁される。SOI層の厚みは約10〜100nmである。SOI層26の厚みは、注入されるイオンのエネルギーに応じて決定される。つまり、注入される酸素イオンの範囲が、SOI層26が目標とする厚みをちょうど越えるように、注入エネルギーが調整される。SOI層26の結晶方位はシリコン層22の結晶方位と同じであり、結晶方位は<100>であるのが好ましい。
【0011】
図3および4に示す他の実施形態では、SOI層26はウェハ接合プロセスにより形成される。図3に示しているように、二酸化シリコンなどの絶縁材料30からなる層はシリコン層22の上面および/あるいは第2シリコンウェハ34の表面に形成される。絶縁材料30がシリコン層22と第2シリコンウェハ34とを分離した状態となるように、ウェハ34がシリコンキャリア基板24に形成される。図4に示しているように、第2シリコンウェハはCMPなどにより薄膜化される。この結果、シリコン層22を覆う絶縁層30上に薄膜シリコン層26が残る。本実施形態では、この薄膜シリコン層26の厚みは10〜200nmであり、N型かP型のいずれかで軽度に不純物ドーピングすることができる。薄膜シリコン層26は、約30オーム/スクエアまで不純物ドーピングされたP型であり、結晶方位は<100>である。本発明のこの実施形態によれば、薄膜シリコン層26の結晶方位はシリコン層22と同じ結晶方位である必要はない。加えて、本実施形態では、シリコン層22はさらに薄くてもよい。その理由は、シリコンオンインシュレータ層26は、シリコン層22から形成されるのではなく、シリコン層22に接合することで形成されるからである。
【0012】
図5に示しているように、SOI基板は、SIMOXプロセスやウェハ接合プロセスで形成されようとも、シリコンオンインシュレータ層26の表面に、厚みが約5〜20nmの薄膜パッド酸化物36を形成するように酸化される。次に、厚みが約50〜200nmの窒化シリコンの層38は、パッド酸化物36の上部にデポジットされる。このパッド酸化物は、酸素雰囲気においてSOI基板を加熱することで成長することができる。この窒化物シリコンは、ジクロロシランおよびアンモニアの反応から、例えばプラズマエンハンスト化学蒸着(PECVD)法や低圧化学蒸着(LPCVD)法などによってデポジットすることができる。続いて、以下に説明しているようなCMPのポリッシュストップ、即ち研磨ストップとして、窒化シリコン層が使用されることになる。フォトレジスト層40が窒化シリコン層38の表面に塗布され、図6に示すようにフォトリソグラフィによりパターニングされる。
【0013】
パターニングされたフォトレジスト層は、エッチングマスクとして使用される。また、トレンチ42は、窒化シリコン38、酸化物36、シリコンオンインシュレータ26、インシュレータ30、シリコン層22、からなる層を通じて、シリコンキャリア基板24の上部にまでエッチングされる。トレンチは、絶縁層のエッチングにはCFやCHFのような化学物質を使用し、シリコンのエッチングには塩素や臭化水素化学を使用して、反応性イオンエッチング(RIE)プロセスによりエッチングすることができる。トレンチ42のエッチングが完了するとフォトレジスト層40は除去される。他の形態では、フォトリソグラフィによりパターニングされたフォトレジスト層40は、窒化シリコン層38をエッチングするためにエッチマスクとして使用された後に除去できる。次に、窒化シリコンからなるエッチングされた層は、酸化物36、シリコンオンインシュレータ26、インシュレータ30およびシリコン層22のエッチングをマスキングするハードマスクとして使用することができる。さらに、この代替プロセスでは、シリコンキャリア基板24の上部にエッチングすると、エッチングステップは終了する。
【0014】
フォトレジスト層40を除去すると、トレンチ42および窒化シリコン層38の残りの部分を覆う別のフォトレジスト層44が塗布される。窒化シリコン層38の残りの部分は、図7に示すようにフォトリソグラフィによりパターニングされる。パターニングされたフォトレジスト層44はエッチマスクとして使用される。また、第2のトレンチであるトレンチ46は、上を覆う層を通じて、シリコン層22の上部までエッチングされる。トレンチ42と同様に、トレンチ46を反応性イオンエッチングによりエッチングできる。トレンチ46のエッチングが完了すると、あるいは、他の形態では、窒化シリコン層38のエッチングが完了すると、フォトレジスト層44を除去することができる。他のプロセスでは、パターニングされた窒化シリコン層は次に、酸化層36、SOI層26、絶縁層30を通じてシリコン層22の上部までトレンチのエッチングをマスキングするハードマスクとして使用される。この例では、シリコンキャリア基板24の一部にまで入り込んだトレンチ42のエッチングは、シリコン層22の一部にまで入り込んだトレンチ46のエッチングよりも前に行われた。本発明の他の実施形態(図示せず)によれば、この2つのトレンチを形成する順序を逆にしてもよく、トレンチ46を最初に形成してもよい。
【0015】
フォトレジスト層44を除去した後に、酸化シリコンあるいは窒化シリコンの層がトレンチ42および46を含む構造の表面にデポジットされる。酸化物層あるいは窒化物からなる層は、RIEなどによって異方性エッチングされ、図8に示すように、トレンチ42およびトレンチ46の垂直側壁に側壁スペーサを形成する。
【0016】
本発明の一実施形態によれば、次に、選択的エピタキシャルシリコン層49および50はシリコン表面の露出した部分に成長する。エピタキシャルシリコン層49は、トレンチ42の底部の、シリコンキャリア基板24の露出した表面に成長し、エピタキシャルシリコン層50は、トレンチ46の底部の、シリコン層22の露出した表面に成長する。これらのエピタキシャルシリコン層は、HC1がある場合に、シラン(SiH)やジクロシラン(SiHCl)を減らすことで成長することができる。塩素源が存在することにより、成長選択性が促進される。つまり、絶縁体(酸化シリコンあるいは窒化シリコン)表面と比べると、露出したシリコン表面に優先的にエピタキシャルシリコンが成長する。エピタキシャルシリコン層は、これらの層が成長されたシリコン材料の結晶方位を模倣した結晶方位で成長する。好ましい実施形態では、エピタキシャルシリコン層49は、シリコンキャリア基板24と同じ<110>の結晶方位で成長し、エピタキシャルシリコン層50はシリコン層22と同じ<100>の結晶方位で成長する。側壁スペーサ48があることで、トレンチ46のエッジ部分、特にはトレンチ42のエッジ部分にデポジットするシリコンの核生成が遅くなる。
【0017】
側壁スペーサがない場合は、エピタキシャル成長は、トレンチの底部に加え、トレンチのエッジ部分に露出されたシリコン上に核を生成してもよいが、これにより理想的ではないエピタキシャルシリコン層が形成される。このことはトレンチ42に成長したエピタキシャルシリコン層に特に当てはまる。その理由は、成長中の層は、トレンチの底部に露出した、結晶方位が<110>のシリコンキャリア基板24に加え、トレンチのエッジ部分に露出した、結晶方位が<100>のシリコン層22に核生成し得るからである。窒化シリコン層38の上面より高い位置に幾分かのシリコンが過成長してもよく、また、多結晶シリコン52の形態で幾分かのシリコンを窒化シリコン層38にデポジットしてもよい。エピタキシャル成長プロセスは完全選択性ではないので、多結晶シリコン52が生じてもよい。窒化シリコンにはデポジットするシリコンが模倣できる結晶構造がないので、窒化シリコン層にデポジットされるシリコンは単結晶ではなく多結晶となる。多結晶シリコン52に加え、窒化シリコン層38の上部よりも高い位置に過成長する選択的エピタキシャルシリコンは、図10に示すようにCMPによって除去される。窒化シリコン層38は、CMPの研磨ストップとして用いられる。
【0018】
エピタキシャルシリコン層を平坦化すると、別の窒化シリコン層54がこの構造にデポジットされる。窒化シリコン層54にフォトレジストの層56が塗布され、図11に示すようにパターニングされる。スペーサ48は除去され、エッチングマスクとしてフォトレジストのパターニングされた層を用いが反応性イオンエッチングによりトレンチ58が形成される。
【0019】
スペーサ48を除去し、トレンチ58を形成すると、フォトレジストの層56が除去される。トレンチ58はLPCVDやPECVDなどによりデポジットされた酸化物あるいはその他のインシュレータ59により充填される。デポジットされた絶縁体59はトレンチ58を充填し、さらに窒化シリコン層54上にもデポジットされる。図12に示すように、シャロートレンチアイソレーション(STI)60の形成を完了するために、窒化シリコン層54上の余分な絶縁体がCMPを用いて研磨される。このCMPプロセス中、窒化シリコン層54は研磨ストップとして用いられる。STIやその他の形態の電気的絶縁を、集積回路を構成しているデバイス間に形成するために多くの周知プロセスおよび多くの周知材料を用いていることは当業者に理解されるであろう。よって、このような周知のプロセスおよび材料は本文では議論するに及ばない。
【0020】
図12に示す構造には、シリコンインシュレータ領域62と、一方の結晶方位が<100>でもう一方の結晶方位が<110>の2つのバルクシリコン領域64および66が含まれる。シャロートレンチアイソレーションを形成すると、バルク領域64、66のエピタキシャルシリコン49、50はそれぞれイオン注入などの周知の方法で適切に不純物ドーピングすることができる。本発明の好ましい実施形態では、バルク領域64の結晶方位は<110>であり、N型不純物で不純物ドーピングされる。また、バルク領域66の結晶方位は<100>であり、P型不純物で不純物ドーピングされる。シリコンキャリア基板24の結晶方位が<110>であるか、シリコン層22の結晶方位が<100>であるかに関わらず、あるいは、シリコンキャリア基板24の結晶方位が<100>であるか、シリコン層22の結晶方位が<110>であるかに関わらず、結晶方位が<100>の領域はP型不純物で不純物ドーピングされ、結晶方位が<110>の領域はN型不純物で不純物ドーピングされる。さらに、SOI領域62を同様の方法で適切に不純物ドーピングすることができる。
【0021】
CMOSデバイスの製造にSOI領域62が使用されるならば、領域62の一部分70は、NチャネルFETを形成するためにP型ウェルを形成するようP型不純物でドープされ得る。また、領域62の残りの領域は、PチャネルFETを形成するためにN型ウェルを形成するようN型不純物でドープされ得る。様々な領域への不純物ドーピングは周知の方法で行うことができ、注入の種類、量、およびエネルギーは、製造されるデバイスの種類により決定される。選択した領域への注入は、パターニングされたフォトレジストなどのその他の領域をマスキングすることで行うことができる。
【0022】
層36、38および54の残りの部分をストリッピングすると、SOI層26およびバルクシリコン領域64および66の各々は実質的に同一表面上にあり、このような面が露出される。この構造は所望の集積回路機能を実装するために必要なFETを製造できる状態である。このような各種デバイス、SOI領域62の一部分70および72のCMOSデバイス、および、領域64および66におけるバルクHOT PチャネルおよびNチャネルFETは従来のCMOS処理技術を用いて製造することができる。CMOSデバイスを製造するための様々なプロセスフローは当業者にとっては周知であり、本文において記載するには及ばない。当業者にとっては、各種のプロセスフローがパラメータによって決定されることは周知である。パラメータとしては、使用される最小のジオメトリ(幾何形状)、ICに電力供給するために利用可能なパワーサプライ、ICに期待される処理速度およびこれらに類するものが挙げられる。
【0023】
ICの製造を完了するために用いられるプロセスフローに関わらず、本発明の一実施形態に従うIC20は、結晶方位が<100>であり、バルクシリコン領域66に製造されたバルクNチャネルHOT FET90と、結晶方位が<110>であり、バルクシリコン領域64に製造されたバルクPチャネルHOT FET92と、SOI領域62の一部分70および72にそれぞれ製造されたCMOSトランジスタのNチャネルSOIFET96とPチャネルSOIFET98とを含む。図示していないが、シャロートレンチアイソレーションなどの電気的絶縁のいくつかの形態をFET96と98との間に実装することもできた。あるいは他の形態では、pn接合の性質によって供給される電気的絶縁とともに接合部104を突きあわせることができた。
【0024】
例示の実施形態では、シリコンキャリア基板24およびエピタキシャルシリコン49は結晶方位が<110>であり、PチャネルHOT FET92は領域64に形成される。さらに、例示の実施形態によれば、シリコン層22とエピタキシャルシリコン50は結晶方位が<100>であり、NチャネルHOT FET90は領域66に形成される。この例示の実施形態における、シリコンキャリア基板に対する結晶方位<110>の選択は任意であって、シリコンキャリア基板24およびシリコン層22の結晶方位は本発明の範囲および目的から逸れることなく入れ替えることができることは当業者には明らかであろう。
【0025】
図13に示しているように、バルクHOT FET90および92の各々、およびSOIFET96および98の各々はゲート電極100を含む。ゲート電極100はゲートインシュレータ102を覆っており、ソースおよびドレイン領域104がゲート電極のそれぞれの側に位置した状態となっている。このゲート電極は、多結晶シリコン、金属、シリサイドおよびこれらに類するものであることができる。ゲート絶縁体は、実装される特定の回路機能に求められるように、二酸化シリコン、酸窒化シリコン、高誘電率材料およびこれらに類するものであることができる。ソースおよびドレイン領域は、1つの、不純物がドープされた領域か、複数の配列された、不純物がドープされた領域から構成することができる。図示していないが、導電コンタクトおよび導電トレースを適切なゲート電極およびソースドレイン領域に結合し、集積回路の各種トランジスタを相互接続できる。
【0026】
図示している例においては、具体的には図6〜10に示しているように、結晶方位が<100>および<110>のエピタキシャル領域49および50は同じステップで成長し、その表面は同じ方法で平坦化される。本発明の更なる実施形態によれば、図14から18に示すように、この2つのエピタキシャル領域を別々に成長させることができる。本発明の本実施形態に従う方法は、図6のステップまでは先の方法と同じである。しかし、図7に示したように第2トレンチをエッチングするのではなく、酸化シリコンあるいは窒化シリコンの層を窒化物層38の表面とトレンチ42中にデポジットする。図14に示すように、このデポジットされた層に反応性イオンエッチングを行い、トレンチ42のエッジ部分に側壁スペーサ152を形成する。
【0027】
図15に示すように、本発明の本実施形態によれば、選択性シリコンエピタキシャル層154は上述したように選択性エピタキシャル成長プロセスによりトレンチ42に成長する。トレンチ42の底部に露出したシリコンキャリア基板24の一部に層154の成長が核生成し、基板24の結晶方位と同じ結晶方位に成長する。
【0028】
窒化物層38およびシリコンエピタキシャル層154の表面をカバーする別のフォトレジストの層156が塗布される。このフォトレジストの層はフォトグラフによりパターニングされ、図16に示すように、シリコン層22中にまで入り込んださらなるトレンチ158をエッチングするためのエッチングマスクとして使用される。トレンチ158をRIEプロセスによりエッチングすることができる。
【0029】
トレンチ158をエッチングすると、フォトレジスト層156は除去され、酸化シリコンあるいは窒化シリコンからなる別の層が窒化物層38の表面上とシリコンエピタキシャル層154の表面上にデポジットされる。酸化シリコンや窒化シリコンからなるデポジットされた層には反応性イオンエッチングが施され、図17に示すようにトレンチ158の壁に側壁スペーサ162を形成する。本発明のさらなる実施形態によれば、図示しているように、デポジットされた層は、エピタキシャル層154の表面に残っているパターニングされたフォトレジスト層を通じてエッチングされる。このようにする理由は、層がエピタキシャル層154から除去されないようにするためである。
【0030】
本発明の本実施形態によれば、図18に示すように、選択的シリコンエピタキシャル層164は、上述したように選択的エピタキシャル成長プロセスによりトレンチ158に成長される。トレンチ158の底部に露出したシリコン層22の一部に層164の成長が核生成し、シリコン層22の結晶方位と同じ結晶方位に成長する。スペーサ162を形成するために使用したデポジットされた層がエピタキシャル層154上に残っていれば、このような層が妨げとなり、層164が成長する間は、層154上に更なるエピタキシャルシリコンを成長させない。
【0031】
窒化物層38上に成長した余分なエピタキシャルシリコンは、エピタキシャル層164の成長後に単一のCMPステップで、あるいは、個別のエピタキシャルシリコン成長ステップ前後の2つの分離したステップで、CMPによって除去することができる。この(複数の)CMPステップを、スペーサ162を形成するために用いたデポジットされた層の残留部分を除去するために使用してもよい。余分なエピタキシャルシリコンを除去すると、この構造は図10に示す構造と同じものとなる。集積構造の製造プロセスは、図11から3に示した以下のステップにより完了することができる。2つのトレンチをエッチングし、その後エピタキシャルシリコンで充填するステップは、これまでに説明した実施形態と同様、本発明の範囲から逸脱することなくその順序を入れ替えることができる。
【0032】
上記の詳細な説明で少なくとも1つの代表的な実施形態を示したが、多数の変形例が存在することを理解されたい。また、この少なくとも1つの代表的な実施形態は例に過ぎず、いかなる形であれ本発明の範囲、利用可能性または構成を限定することを意図するものではないことも理解されたい。上記の詳細な説明は、当業者にとって、少なくとも1つの代表的な実施形態を実装するうえで有用な道標となる。添付の特許請求の範囲とその法的均等物に規定されている本発明の範囲から逸脱することなく、各種要素の機能および構成を様々に変更することができることを理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の集積回路とその製造ステップとを概略的に示すための断面図。
【図2】本発明の集積回路とその製造ステップとを概略的に示すための断面図。
【図3】本発明の集積回路とその製造ステップとを概略的に示すための断面図。
【図4】本発明の集積回路とその製造ステップとを概略的に示すための断面図。
【図5】本発明の集積回路とその製造ステップとを概略的に示すための断面図。
【図6】本発明の集積回路とその製造ステップとを概略的に示すための断面図。
【図7】本発明の集積回路とその製造ステップとを概略的に示すための断面図。
【図8】本発明の集積回路とその製造ステップとを概略的に示すための断面図。
【図9】本発明の集積回路とその製造ステップとを概略的に示すための断面図。
【図10】本発明の集積回路とその製造ステップとを概略的に示すための断面図。
【図11】本発明の集積回路とその製造ステップとを概略的に示すための断面図。
【図12】本発明の集積回路とその製造ステップとを概略的に示すための断面図。
【図13】本発明の集積回路とその製造ステップとを概略的に示すための断面図。
【図14】本発明の他の実施形態に従う集積回路の製造ステップを概略的に示すための断面図である。
【図15】本発明の他の実施形態に従う集積回路の製造ステップを概略的に示すための断面図である。
【図16】本発明の他の実施形態に従う集積回路の製造ステップを概略的に示すための断面図である。
【図17】本発明の他の実施形態に従う集積回路の製造ステップを概略的に示すための断面図である。
【図18】本発明の他の実施形態に従う集積回路の製造ステップを概略的に示すための断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
その結晶方位が<100>の第1領域とその結晶方位が<110>の第2領域(66、64)を含むバルクシリコン基板(24)と、
バルクシリコン基板の一部を覆うシリコンオンインシュレータの層(62)と、
前記シリコンオンインシュレータの層(62)に形成された少なくとも1つの電界効果トランジスタ(96、98)と、
前記第2領域(66、64)に形成された少なくとも1つのPチャネル電界効果トランジスタ(90、92)と、
前記第1領域(64、66)に形成された少なくとも1つのNチャネル電界効果トランジスタ(90、92)と、を含む集積回路(20)。
【請求項2】
前記第1領域(64)は、前記シリコン基板(24)に形成されたP型不純物ドーピング領域を含み、かつ、前記第2領域(66)は前記シリコン基板(24)に接合されたシリコン層(22)に形成されたN型不純物ドーピング領域を含む、請求項1記載の集積回路(20)。
【請求項3】
前記第2領域(64)は、前記シリコン基板(24)に形成されたN型不純物ドーピング領域を含み、前記第1領域(66)は前記シリコン基板に接合されたシリコン層(22)に形成されたP型不純物ドーピング領域を含む、請求項1記載の集積回路。
【請求項4】
第1結晶方位を有するシリコン基板(24)と、
前記第1結晶方位とは異なる第2結晶方位を有して前記シリコン基板(24)に接合された、上面を有する第1シリコン層(22)と、
前記第1シリコン層(22)の前記上面上の絶縁層(30)と、
前記絶縁層(30)上の第2シリコン層(26)と、
前記シリコン基板(24)上に成長した第1結晶方位の第1領域(49)と、
前記第1シリコン層(22)上に成長した第2結晶方位の第2領域(50)と、
前記第1領域(49)に形成された第1チャネル導電型の第1電界効果トランジスタ(92)と、
前記第2領域(50)に形成された第2チャネル導電型の第2電界効果トランジスタ(90)と、
前記第2シリコン層(26)に形成された相補型電界効果トランジスタ(96、98)と、を含む、集積回路(20)。
【請求項5】
前記第1結晶方位は<110>の結晶方位を含み、前記第2結晶方位は<100>の結晶方位を含む、請求項4記載の集積回路(20)。
【請求項6】
前記第1結晶方位は<100>の結晶方位を含み、前記第2結晶方位は<110>の結晶方位を含む、請求項4記載の集積回路(20)。
【請求項7】
第1結晶方位を有するシリコン基板(24)を準備するステップと、
前記シリコン基板(24)を覆うとともに前記第1結晶方位とは異なる第2結晶方位を有するシリコン層(22)を供給するステップと、
前記シリコン層の一部を覆うシリコンオンインシュレータ層(26)を形成するステップと、
前記シリコン基板(24)の一部に前記第1結晶方位を有する第1エピタキシャル層(49)を成長させるステップと、
前記シリコン層(22)の一部に前記第2結晶方位を有する第2エピタキシャル層(50)を成長させるステップと、
前記第1エピタキシャル層(49)に第1電界効果トランジスタ(92)を形成し、第2エピタキシャル層(50)を第2電界効果トランジスタに形成し、前記シリコンオンインシュレータ層(26)に第3電界効果トランジスタ(96、98)を成長させるステップと、を含む、集積回路(20)の製造方法。
【請求項8】
前記第1結晶方位を有するシリコン基板(24)を提供するステップは、結晶方位が<100>のシリコン基板(24)を供給するステップを含み、前記シリコン基板を覆うシリコン層(22)を提供するステップは、結晶方位が<110>のシリコン層(22)を提供するステップを含む、請求項7記載の方法。
【請求項9】
前記第1結晶方位を有するシリコン基板(24)を提供するステップは、結晶方位が<110>のシリコン基板を提供するステップを含み、前記シリコン基板(24)を覆うシリコン層(22)を提供するステップは、結晶方位が<100>のシリコン層(22)を提供するステップを含む、請求項7記載の方法。
【請求項10】
前記第1エピタキシャル層(49)に第1電界効果トランジスタ(92)を形成するステップは、Pチャネル電界効果トランジスタを形成するステップを含み、第2エピタキシャル層(50)に第2電界効果トランジスタを形成するステップは、Nチャネル電界効果トランジスタを形成するステップを含む、請求項9記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公表番号】特表2008−532330(P2008−532330A)
【公表日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−500746(P2008−500746)
【出願日】平成18年2月28日(2006.2.28)
【国際出願番号】PCT/US2006/006936
【国際公開番号】WO2006/096380
【国際公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【出願人】(591016172)アドバンスト・マイクロ・ディバイシズ・インコーポレイテッド (439)
【氏名又は名称原語表記】ADVANCED MICRO DEVICES INCORPORATED
【Fターム(参考)】