説明

難燃性接着剤組成物、それを用いた接着剤シート、カバーレイフィルムおよび銅張り積層板

【課題】高い難燃性、耐熱特性および接着特性を維持しつつ、耐溶剤性に優れた難燃性接着剤組成物およびそれを用いた接着剤シート、カバーレイフィルム、銅張り積層板を提供すること。
【解決手段】(A)ハロゲンを含有しないエポキシ樹脂、(B)熱可塑性樹脂、(C)有機ホスフィン酸塩化合物、(D)硬化剤、(E)硬化促進剤および(F)アミノシランを表面に有するシリカを含有する難燃性接着剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、難燃性接着剤組成物に関する。より詳しくは、難燃化手法としてハロゲンを用いず、燃焼時に有害ガスである臭化水素を発生することのない非ハロゲン系難燃性接着剤組成物、それを用いた接着剤シート、カバーレイフィルムおよび銅張り積層板に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の電子機器の高機能化に伴い、接着剤シート、カバーレイフィルム、銅張り積層板等のフレキシブルプリント配線板(以下、FPCという。)材料に用いられる難燃性接着剤組成物には、難燃性、電気特性、耐熱特性、接着特性、機械特性等が要求されている。
【0003】
これらの難燃性接着剤組成物には、従来、UL94の難燃性の規格を達成するために、臭素化エポキシ樹脂などのハロゲン系有機化合物が難燃剤として用いられてきた。しかし、ハロゲン系有機化合物を含む場合、燃焼時に有害ガスである腐食性のハロゲンガスや猛毒性のダイオキシンを発生するため、近年その使用が制限されつつある。このような理由から、ハロゲン系難燃剤の代わりとして、ハロゲンを含まないハロゲンフリー難燃剤が用いられている。
【0004】
ハロゲンフリー難燃剤としては、リン系難燃剤が知られている。リン系難燃剤を含む接着剤組成物として、例えば、エポキシ樹脂、カルボキシル基含有アクリロニトリルブタジエンゴム、硬化剤、アミノシランを表面に含有する無機粒子およびリン酸エステル化合物を含む接着剤組成物が提案されている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、リン酸エステルは耐熱特性や接着特性を低下させる課題があった。
【0005】
また、リン含有エポキシ樹脂、硬化剤、フェノキシ樹脂を含有する半導体装置用接着剤組成物が提案されている(例えば、特許文献2参照)。しかしながら、リン含有エポキシ樹脂は、樹脂中のリン含有量が少ないため、優れた難燃性を発揮するためにはリン含有エポキシ樹脂を多量に含むことが必要となる。このため、耐熱特性や接着特性との両立が困難であるという課題があった。特に、近年高機能化の要求が高く、UL94の難燃規格の最高グレードである「V−0」が求められている。このような高い難燃性が求められる場合には、耐熱特性や接着特性との両立がより困難となる。
【0006】
これに対し、非ハロゲン系エポキシ樹脂、熱可塑性樹脂および/または合成ゴム、硬化剤、有機ホスフィン酸塩化合物ならびに硬化促進剤を含有する難燃性接着剤組成物(例えば、特許文献3参照)が提案されている。有機ホスフィン酸塩化合物を用いることにより、高い難燃性を有しつつ、耐熱特性、接着特性が向上する。しかしながら、特許文献3に開示された難燃性接着剤組成物はアルカリ耐性が不十分であり、FPCの後工程においてブリードアウトする課題があった。つまり、銅張り積層板を回路パターン形成する際の現像プロセスにおいて、ブリードアウトし基板を汚染する課題があった。
【特許文献1】特開2002−53833号公報
【特許文献2】特開2005−272567号公報
【特許文献3】特開2006−316234号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、高い難燃性、耐熱特性および接着特性を維持しつつ、耐溶剤性に優れた難燃性接着剤組成物およびそれを用いた接着剤シート、カバーレイフィルム、銅張り積層板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、(A)ハロゲンを含有しないエポキシ樹脂、(B)熱可塑性樹脂、(C)有機ホスフィン酸塩化合物、(D)硬化剤、(E)硬化促進剤および(F)アミノシランを表面に有するシリカを含有することを特徴とする難燃性接着剤組成物である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、高い難燃性、耐熱特性および接着特性を維持しつつ、耐溶剤性に優れた難燃性接着剤組成物を提供することができる。本発明の難燃性接着剤組成物を用いて、難燃性、耐熱特性、接着特性および耐溶剤性に優れた接着剤シート、カバーレイフィルムおよび銅張り積層板を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の詳細について説明する。本発明の難燃性接着剤組成物は、(A)ハロゲンを含有しないエポキシ樹脂、(B)熱可塑性樹脂、(C)有機ホスフィン酸塩化合物、(D)硬化剤、(E)硬化促進剤および(F)アミノシランを表面に有するシリカを含有する。(C)有機ホスフィン酸塩化合物を含有することにより、高い難燃性と耐熱特性および接着特性を両立させることができる一方、耐溶剤性が低下する。そこで、本発明においては(F)アミノシランを表面に有するシリカを含有することにより、(C)有機ホスフィン酸塩化合物を用いた場合に特有の課題である耐溶剤性を向上させ、従来の難燃性接着剤組成物ではなし得なかった、高い難燃性、耐熱特性、接着特性と耐溶剤性の物性バランスを実現することができる。
【0011】
本発明に用いられる(A)ハロゲンを含有しないエポキシ樹脂は、ハロゲン量が0.09重量%未満であり、エポキシ基を2個以上含むものであれば特に限定されない。例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、レゾルシノール、ジヒドロキナフタレン、ジシクロペンタジエンジフェノール等のジグリシジルエーテル、エポキシ化フェノールノボラック、エポキシ化クレゾールノボラック、エポキシ化トリスフェニロールメタン、エポキシ化テトラフェニロールエタン等の脂環式エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂などが挙げられる。具体的には、“jER”(登録商標)834(ジャパンエポキシレジン(株)製、ビスフェノールA型エポキシ樹脂)、“jER”1001(ジャパンエポキシレジン(株)製、ビスフェノールA型エポキシ樹脂)、“エピクロン”(登録商標)830(大日本インキ化学工業(株)製、ビスフェノールF型エポキシ樹脂)等が挙げられる。(A)ハロゲンを含有しないエポキシ樹脂を2種以上含有してもよい。
【0012】
また、難燃性をより向上させるために、リン含有エポキシ樹脂を含有してもよい。その種類は特に限定されるものではないが、例えば、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシドやその誘導体と、1,4−ベンゾキノン、1,2−ベンゾキノン、トルキノン、1,4−ナフトキノン等を反応させて得られる化合物に、上記エポキシ樹脂を反応させたリン含有エポキシ樹脂等が挙げられる。具体的には、FX−305(東都化成(株)製、リン含有率3重量%)が例示できる。
【0013】
本発明に用いられる(B)熱可塑性樹脂としては、例えば、カルボキシル基含有アクリロニトリルブタジエンゴム、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリアミド樹脂等が挙げられる。これらを2種以上含有してもよい。これらの中でも、銅箔や絶縁性フィルムとの接着特性をより向上させるために、カルボキシル基含有アクリロニトリルブタジエンゴム(以下、NBRと称する)が好ましい。
【0014】
前記カルボキシル基含有NBRとしては、例えばアクリロニトリルとブタジエンを10/90〜50/50のモル比で共重合させた共重合ゴムの末端基をカルボキシル化したもの、あるいはアクリロニトリル、ブタジエンとアクリル酸、マレイン酸などのカルボキシル基含有重合性単量体の三元共重合ゴムなどが挙げられる。カルボキシル基含有NBRの具体例としては、PNR−1H(JSR(株)製)、“ニポール”(登録商標)1072(日本ゼオン(株)製)等が挙げられる。
【0015】
本発明に用いられる(C)有機ホスフィン酸塩化合物としては、下記一般式(1)で表される化合物が挙げられる。
【0016】
【化1】

【0017】
上記一般式(1)中、RおよびRは同一でも異なってもよく、炭素数1〜6のアルキル基、フェニル基またはナフチル基を示す。アルキル基は直鎖状でも分岐状でも環状でもよい。好ましくは炭素数1〜3のアルキル基であり、より好ましくはエチル基である。また、Mは周期表の第1族、第2族、第3族、第4族、第7族、第8族、第12族、第13族、第14族または第15族の金属を表す。具体例としてはMg、Ca、Al、Sb、Sn、Ge、Ti、Zn、Fe、Zr、Ce、Bi、Sr、Mn、Li、Na、Kが挙げられ、好ましくはAlである。mは1〜4の整数である。
【0018】
有機ホスフィン酸塩化合物の具体例としては、有機ホスフィン酸アルミニウム、有機ホスフィン酸カルシウム、有機ホスフィン酸亜鉛等が挙げられ、これらを2種以上含有してもよい。難燃性と耐熱特性をより向上させるために、好ましくは有機ホスフィン酸アルミニウムであり、より好ましくはジアルキルホスフィン酸アルミニウムであり、さらに好ましくはジエチルホスフィン酸アルミニウムである。
【0019】
有機ホスフィン酸塩化合物は、接着剤組成物の流動性を向上させるために、平均粒径が1.0〜5.0μmであることが好ましい。より好ましくは2.0〜3.0μmである。また、最大粒径が10μm未満であると、接着剤組成物の流動性が向上して塗布ムラなく接着剤層を形成することができ、得られる銅張り積層板の外観が向上するため好ましい。なお、ここでいう平均粒径とは、累積50vol%径(Median径)を指す。平均粒径、最大粒径は堀場LA−500動的光散乱式粒径分布測定装置で測定したものをいう。また、有機ホスフィン酸塩化合物を2種以上含む場合は、それら全体の平均粒径、最大粒径をいう。
【0020】
有機ホスフィン酸塩化合物中のリン含有率は、15〜30重量%が好ましい。リン含有率が15重量%以上であれば、難燃性がより向上する。リン含有率が30重量%以下であれば、接着剤組成物中の吸水率を低く抑えることができ、耐熱特性がより向上する。難燃性と耐熱特性のバランスの観点から、より好ましくは18〜25重量%である。
【0021】
有機ホスフィン酸塩化合物の好ましい具体例としては、“Exolit”(登録商標)OP935(クラリアントジャパン(株)製 平均粒径2〜3μm、最大粒径10μm未満、リン含有率23重量%)が挙げられる。
【0022】
本発明に用いられる(D)硬化剤としては、例えば、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’5,5’−テトラエチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジメチル−5,5’−ジエチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2’3,3’−テトラクロロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,4,4’−トリアミノジフェニルスルホンなどの芳香族ポリアミンや、フェノールノボラック樹脂、ジシアンジアミド、酸無水物などが挙げられる。これらを2種以上含有してもよい。中でも、保存安定性の観点から、3,3’−ジアミノジフェニルスルホンが好ましい。
【0023】
本発明に用いられる(E)硬化促進剤としては、例えば、三フッ化ホウ素トリエチルアミン錯体などの三フッ化ホウ素のアミン錯体、2−アルキル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−アルキルイミダゾールなどのイミダゾール誘導体、無水フタル酸、無水トリメリット酸などの有機酸などが挙げられる。これらを2種以上含有してもよい。
【0024】
本発明に用いられる(F)アミノシランを表面に有するシリカは、特に限定されるものではないが、平均粒径が5μm未満の球状シリカが好ましく使用される。アミノシランとしては、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチルアミノプロピル)トリメトキシシラン、3−(2−アミノエチルアミノプロピル)ジトキシメチルシラン等が挙げられる。3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルジエトキシメチルシラン等の1級アミンが好ましく、3−アミノプロピルトリエトキシシランがより好ましい。これらを2種以上含有してもよい。
【0025】
アミノシラン量は、耐熱特性および耐溶剤性をより向上させるために、シリカ100重量部に対して0.5重量部以上が好ましく、0.8重量部以上がより好ましい。一方、保存安定性の観点から5重量部以下が好ましく、5重量部以下がより好ましい。なお、ここではアミノシラン処理前のシリカ量を100重量部とする。
【0026】
(F)アミノシランを表面に有するシリカは、シリカをアミノシラン処理することによって得ることができる。具体的には、アミノシランをアルコール等の溶剤に溶解した後シリカに添加する湿式法と、アミノシランを直接シリカに添加する乾式法があり、いずれの方法も適用できるが、乾式法の方が耐熱特性の向上効果が高くより好ましい。アミノシラン処理したシリカの具体例としては、SC2500−SAT(アドマテックス(株)製、球状シリカSO−25R、平均粒径0.5μm、3−アミノプロピルトリエトキシシラン乾式処理、アミノシラン量2重量%)が挙げられる。
【0027】
本発明の難燃性接着剤組成物は、必要に応じて無機粒子剤を含有してもよい。無機粒子剤としては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、カルシウム・アルミネート水和物等の金属水酸化物、酸化亜鉛、酸化マグネシウム等の金属酸化物が挙げられ、これらを2種以上用いてもよい。無機粒子剤の平均粒径は、透明性と分散安定性を考慮すると、0.2〜5μmが好ましい。また、以上の成分以外に、接着剤の特性を損なわない範囲で酸化防止剤、イオン捕捉剤、窒素系難燃剤(メラミン変性フェノール樹脂等)などの有機、無機成分を含有することは何ら制限されるものではない。
【0028】
本発明の難燃性接着剤組成物を後述する接着剤シートまたはカバーレイフィルムの接着剤層に使用する場合、(A)成分の含有量は、接着剤組成物中20重量%以上が好ましく、30重量%以上がより好ましい。また、60重量%以下が好ましく、50重量%がより好ましい。(B)成分の含有量は、接着剤組成物中5重量%以上が好ましく、20重量%以上がより好ましい。また、50重量%以下が好ましく、40重量%以下がより好ましい。(C)成分の含有量は、難燃性をより向上させるために接着剤組成物中1重量%以上が好ましく、5重量%以上がより好ましい。また、耐溶剤性をより向上させるために20重量%以下が好ましく、10重量%未満がより好ましい。(D)成分の含有量は、接着剤組成物中1重量%以上が好ましく、3重量%以上がより好ましい。また、10重量%以下が好ましく、7重量%以下がより好ましい。(E)成分の含有量は、接着剤組成物中0.05重量%以上が好ましく、0.1重量%以上がより好ましい。また、1重量%以下が好ましく、0.5重量%以下がより好ましい。(F)成分の含有量は、耐溶剤性や耐熱特性をより向上させるために10重量%以上が好ましく、15重量%以上がより好ましい。また、接着剤組成物の保存安定性の観点から30重量%以下が好ましく、25重量%以下がより好ましい。
【0029】
本発明の難燃性接着剤組成物を後述する銅張り積層板の接着剤層に使用する場合、(A)成分の含有量は、接着剤組成物中10重量%以上が好ましく、25重量%以上がより好ましい。また、60重量%以下が好ましく、45重量%以下がより好ましい。(B)成分の含有量は、接着剤組成物中5重量%以上が好ましく、20重量%以上がより好ましい。また、40重量%以下が好ましく、30重量%以下がより好ましい。(C)成分の含有量は、難燃性をより向上させるために接着剤組成物中10重量%以上が好ましく、20重量%を越えることがより好ましい。また、耐溶剤性をより向上させるために50重量%以下が好ましく、30重量%以下がより好ましく、さらに好ましくは25重量%以下が好ましい。(D)成分の含有量は、接着剤組成物中1重量%以上が好ましく、3重量%以上がより好ましい。また、10重量%以下が好ましく、7重量%以下がより好ましい。(E)成分の含有量は、接着剤組成物中0.05重量%以上が好ましく、0.1重量%以上がより好ましい。また、1重量%以下が好ましく、0.5重量%以下がより好ましい。(F)成分の含有量は、耐溶剤性や耐熱特性をより向上させるために接着剤組成物中10重量%以上が好ましく、15重量%以上がより好ましい。また、接着剤組成物の保存寿命の観点からは30重量%以下が好ましく、25重量%以下がより好ましい。
【0030】
本発明の難燃性接着剤組成物の製造方法を説明する。例えば、上記各成分を濃度30重量%となるように有機溶剤で調整し、40℃で攪拌、溶解して接着剤溶液を作製する。なお、本発明の難燃性接着剤組成物は、接着剤溶液から有機溶剤を除いたものであり、前記各成分の含有量は、溶剤を除いた全体に対する割合を表す。有機溶剤は特に限定されず、トルエン、キシレン、クロルベンゼン等の芳香族系、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等の非プロトン系極性溶剤が挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。
【0031】
本発明の接着剤シートは、前記難燃性接着剤組成物から形成される接着剤層と、少なくとも1層の剥離可能な保護フィルムを有する。接着剤層の両面に剥離可能な保護フィルムを有するものでもよい。ここで、剥離可能とは、接着剤層から保護フィルムを速度50mm/分、剥離角度90°際の剥離力が200Nm−1以下であることを指し、後述するカバーレイフィルムにおいても同様とする。剥離可能な保護フィルムとしては、例えば、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリフェニレンスルフィド、ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、ポリビニルブチラール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリメチルメタクリレート、シリコーンゴム等のプラスチックフィルム、これらにシリコーンあるいはフッ素化合物等の離型剤のコーティング処理を施したフィルムおよびこれらのフィルムをラミネートした紙、離型性のある樹脂を含浸あるいはコーティングした紙等が挙げられる。
【0032】
接着剤シートの構成としては、保護フィルム/接着剤層の2層構成、あるいは保護フィルム/接着剤層/保護フィルムの3層構成が挙げられる。保護フィルムの厚みは、10〜125μmが好ましい。接着剤層の厚みは、2〜200μmが好ましく、より好ましくは10〜100μmである。接着剤層の両面に保護フィルム層を有する場合、それぞれの保護フィルム層の接着剤層に対する剥離力をF、F(F>F)としたとき、F−Fは好ましくは5Nm−1以上、さらに好ましくは15Nm−1以上である。この範囲にすることで、保護フィルム層を片側ずつ安定して剥離することができる。剥離力F、Fはいずれも好ましくは1〜200Nm−1、さらに好ましくは3〜100Nm−1である。1Nm−1より低い場合は保護フィルム層の脱落が生じ、200Nm−1を超えると剥離が不安定であり、接着剤層が損傷する場合があり、いずれも好ましくない。
【0033】
次に本発明の接着剤シートの製造方法を説明する。例えば、前記接着剤溶液を、離型性を有するポリエステルフィルム上にリバースロールコーター、コンマコーター、スリットダイコーター等を用いて塗布する。この接着剤付き保護フィルムをインラインドライヤーに通して、100〜200℃で1〜30分間加熱処理して、接着剤溶液中の有機溶剤を除去し、接着剤組成物を半硬化状態とする。形成した接着剤層に上記よりさらに剥離強度の弱い離型性を有するポリエステルあるいはポリオレフィン系の保護フィルム層を温度20〜80℃、圧力1〜5MPaの条件でラミネートして本発明の接着剤シートを得る。さらに接着剤厚みを増す場合は、該接着剤層を複数回積層すればよい。ラミネート後に、例えば30〜70℃で20〜200時間程度熱処理して硬化度を調節してもよい。
【0034】
本発明のカバーレイフィルムは、絶縁性フィルム、前記難燃性接着剤組成物から形成される接着剤層および剥離可能な保護フィルムをこの順に有する。絶縁性フィルムとしては、ポリイミド、ポリエステル、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、アラミド、ポリカーボネート、ポリアリレート等のプラスチックフィルムが挙げられる。これらから選ばれる複数のフィルムを積層して用いてもよい。絶縁性フィルムの厚さは5〜200μmが好ましい。また必要に応じて、加水分解、コロナ放電、低温プラズマ、物理的粗面化、易接着コーティング処理等の表面処理を施してもよい。剥離可能な保護フィルムとしては、接着剤シートの保護フィルムとして例示したものを挙げることができる。
【0035】
保護フィルムの厚みは、10〜125μmが好ましい。接着剤層の厚みは、2〜100μmが好ましく、より好ましくは10〜50μmである。
【0036】
次に、本発明のカバーレイフィルムの製造方法について説明する。例えば、前記接着剤溶液を、絶縁性フィルム上にリバースロールコーター、コンマコーター、スリットダイコーター等を用いて塗布する。この接着剤付き絶縁性フィルムをインラインドライヤーに通して、100〜200℃で1〜30分間加熱処理して、接着剤溶液中の有機溶剤を除去し、接着剤組成物を半硬化状態とする。形成した接着剤層に上記よりさらに剥離強度の弱い離型性を有するポリエステルあるいは離型剤のコーティング処理を施したフィルムまたはこれらのフィルムをラミネートした紙を、温度20〜80℃、圧力1〜5MPaの条件でラミネートして本発明のカバーレイフィルムを得る。ラミネート後に、例えば30〜70℃で20〜200時間程度熱処理して硬化度を調節してもよい。
【0037】
本発明の銅張り積層板は、絶縁性フィルム、前記難燃性接着剤組成物から形成される接着剤層および銅箔をこの順に有する。絶縁性フィルムとしては、カバーレイフィルムにおいて例示したものを挙げることができる。銅箔は、用途に応じて圧延箔及び電解銅箔のいずれも好適に用いることができる。銅箔の厚みや表面粗度も特に限定されない。
【0038】
各層の厚みは、例えば片面銅張り積層板の場合、絶縁性フィルム(10〜125μm)/接着剤層(5〜20μm)/銅箔(9〜35μm)が好ましく、また両面銅張り積層板の場合、銅箔(9〜35μm)/接着剤層(5〜20μm)/絶縁性フィルム(10〜125μm)/接着剤層(5〜20μm)/銅箔(9〜35μm)が好ましい。
【0039】
次に、本発明の銅張り積層板の製造方法について説明する。例えば、前記接着剤溶液を、絶縁性フィルム上にリバースロールコーター、コンマコーター、スリットダイコーター等を用いて塗布する。この接着剤付き絶縁性フィルムをインラインドライヤーに通して、50〜200℃で1〜30分間加熱処理して、接着剤溶液中の有機溶剤を除去し、接着剤組成物を半硬化状態とする。さらに接着剤面と銅箔を、温度70〜150℃、圧力1〜5MPaの条件で熱ラミネートする。その後、必要に応じてアフターキュアを行い、銅張り積層板とする。
【0040】
本発明の難燃性接着剤組成物、接着剤シート、カバーレイフィルム、銅張り積層板の用途は特に限定されるものではなく、電子機器、半導体集積回路接続用基板、半導体装置に好適に使用することができる。例えばフレキシブルプリント配線板(FPC)材料、テープオートメーティッドボンディング(TAB)方式のパターン加工テープ、各種パーケージ(チップサイズパッケージ(CSP)、ボールグリッドアレイ(BGA)パッケージ)用途などが挙げられる。
【実施例】
【0041】
以下に実施例をあげて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。実施例の説明に入る前に評価方法について説明する。
【0042】
A.評価用サンプル作製方法(片面銅張り積層板(CCL))
12.5μm厚のポリイミドフィルム“カプトン”(登録商標)50ENに、接着剤溶液をバーコーターで塗布し、150℃、2分硬化して、10μm厚の接着剤層を形成した。次に、接着剤層に1/3ozの電解銅箔(三井金属(株)製、3EC−M3S−HTE箔、12μm厚)の非光沢面を合わせるように、100℃、2.7MPaでラミネートした後、熱風循環式エアーオーブンで150℃、5時間の熱処理を行って、接着剤層の硬化度が90%以上である片面CCLを作製した。
【0043】
B.評価用サンプル作製方法(両面CCL)
前記Aに記載の方法で得られた片面CCLのポリイミドフィルム面に、さらに接着剤溶液をバーコーターで塗布し、150℃、2分硬化して、1/3ozの電解銅箔(三井金属(株)製、3EC−M3S−HTE箔、12μm厚)の非光沢面を同様の条件でラミネートした。これに熱風循環式エアーオーブンで150℃、5時間の熱処理を行って、接着剤層の硬化度が90%以上である両面CCLを作製した。
【0044】
C.評価用サンプル作製方法(CL)
12.5μm厚のポリイミドフィルム“カプトン”50ENに、接着剤溶液をバーコーターで塗布し、次いで150℃で5分間乾燥し、25μmの接着剤層を形成した。次に、接着剤層にシリコーン離型剤付きの厚さ25μmのポリエステルフィルムを50℃、0.3MPa、0.3m/分の条件でラミネートしてCLを作製した。
【0045】
D.耐熱特性評価方法
JIS−C6481(1996)5.5に準拠した方法で行った。半田耐熱性は好ましくは260℃以上、より好ましくは280℃以上である。
(CCLの場合)
上記Aに記載の方法で作製した片面CCLサンプルを20mm角にカットし、40℃、90%RHの雰囲気下で24時間調湿した後、すみやかに所定の温度の半田浴上に60秒間浮かべ、ポリイミドフィルムの膨れおよび剥がれのない最高温度を測定した。
(CLの場合)
東レ株式会社製、片面2層CCL「9A1ETP30」(“カプトン”50EN(東レ・デュポン株式会社製、商品名、12.5μm)、USLP(日本電解株式会社製、商品名、1/3oz))の銅箔面に、上記Cに記載の方法で作製したCLを、160℃、4MPa、60分間プレス貼り付けを行った。得られた積層体を20mm角にカットし、40℃、90%RHの雰囲気下で24時間調湿した後、すみやかに所定の温度の半田浴上に60秒間浮かべ、ポリイミドフィルムの膨れおよび剥がれのない最高温度を測定した。
【0046】
E.耐溶剤性評価方法
JIS−C6471(1995)9.2に準拠した方法で、水酸化ナトリウム水溶液(2mol/dm)中に温度23℃、5分間浸せきして薬品処理を行った。ヘイズメーター(スガ試験機(株)製、HGM−2B)を用いて薬品処理前後の全光線透過率を測定し、薬品処理前をA1、処理後をA2とし、A1−A2を透過率差とした。耐溶剤性としては、好ましくは透過率差が10%以下、より好ましくは5%以下である。
(CCLの場合)
上記Aに記載の方法で作製した片面CCLの銅箔を全面エッチングしたサンプルを作製し、上記方法で評価した。
(CLの場合)
上記Cに記載の方法で作製したCLを、160℃、60分間の熱処理を行ったサンプルを作製し、上記方法で評価した。
【0047】
F.難燃性評価方法
UL94に準拠して測定した。UL94V−0規格を満足する難燃性を示した場合を「最良」と評価しV−0で示し、UL94VTM−0規格を満足する難燃性を示した場合を「良」と評価しVTM−0で示し、該サンプルが燃焼した場合を「不良」と評価し×で示した。
(CCLの場合)
上記Bに記載の方法で作製した両面CCLの銅箔を両面全面エッチングしたサンプルを作製し、UL94に準拠して評価した。
(CLの場合)
東レ株式会社製、両面2層CCL「9A2ETP33」(“カプトン”50EN(東レ・デュポン株式会社製、商品名、12.5μm)、USLP(日本電解株式会社製、商品名、1/3oz))の銅箔を両面全面エッチングしたサンプルを作製し、これに上記Cに記載の方法で作製したCLを、160℃、4MPa、60分間プレス貼り付けを行った。これをUL94に準拠して評価した。
【0048】
G.接着特性
JIS−C6481(1996)5.7に準拠して行った。接着力は、好ましくは8N/cm以上、より好ましくは12N/cmである。
(CCLの場合)
上記Aに記載の方法で作製した片面CCLサンプルの銅箔をエッチングして2mm幅の銅箔パターンを作製し、テンシロンを用いて2mm幅の銅箔のみを90度方向に引き剥がした場合の強度を測定し、接着力とした(引張速度:50mm/分)。
(CLの場合)
東レ株式会社製、片面2層CCL「9A1ETP30」(“カプトン”50EN(東レ・デュポン株式会社製、商品名、12.5μm)、USLP(日本電解株式会社製、商品名、1/3oz))の銅箔面に、上記Cに記載の方法で作製したCLを、160℃、4MPa、60分間プレス貼り付けを行った。得られた積層体のCL側のポリイミド表面に2mm幅の切れ込みをカッターで入れ、テンシロンを用いてポリイミドのみを90度方向に引き剥がした場合の強度を測定し、接着力とした(引張速度:50mm/分)。
【0049】
H.外観特性
上記AおよびCに記載の方法で接着剤層を形成した積層体を30cm×30cmにカットし、接着剤層の塗布ムラの有無を目視で観察した。評価基準は、◎:ムラがない、○:ムラが1〜3カ所、△:ムラが4〜9カ所、×:ムラが10カ所以上とする。
【0050】
実施例1
ハロゲンを含有しないエポキシ樹脂として、「“jER”(登録商標)1001」(ジャパンエポキシレジン株式会社製、商品名)15重量部、「“jER”834」(ジャパンエポキシレジン株式会社製、商品名)15重量部、熱可塑性樹脂として、「PNR−1H」(JSR株式会社製、商品名)21.5重量部、有機ホスフィン酸塩化合物として、「“Exolit”(登録商標)OP930」(クラリアントジャパン株式会社製、商品名、平均粒径3〜4μm、最大粒径10μm以上20μm未満)26重量部、硬化剤として、「3,3’−DDS」(小西化学工業株式会社製、商品名)4.2重量部、硬化促進剤として「2E4MZ」(四国化成工業株式会社製、商品名)0.3重量部、及びアミノシランを表面に有するシリカとして、「SC2500−SAT」(アドマテックス株式会社製、商品名)18重量部をメチルイソブチルケトンに溶解し、40℃で撹拌、混合して30重量%のCCL用接着剤溶液を調製した。
【0051】
実施例2
「“Exolit”OP930」26重量部のかわりに「“Exolit”OP935」(クラリアントジャパン株式会社製、商品名、平均粒径2〜3μm、最大粒径10μm未満)26重量部を用いた以外は実施例1と同様にして30重量%のCCL用接着剤溶液を調製した。
【0052】
実施例3
ハロゲンを含有しないエポキシ樹脂として、「“jER”1001」18重量部、「“jER”834」18重量部、熱可塑性樹脂として、「PNR−1H」21重量部、有機ホスフィン酸塩化合物として、「“Exolit”OP935」20.5重量部、硬化剤として、「3,3’−DDS」4.2重量部、硬化促進剤として「2E4MZ」0.3重量部、及びアミノシランを表面に有するシリカとして、「SC2500−SAT」18重量部をメチルイソブチルケトンに溶解し、40℃で撹拌、混合して30重量%のCCL用接着剤溶液を調製した。
【0053】
実施例4
ハロゲンを含有しないエポキシ樹脂として、「“jER”1001」14量部、「“jER”834」14重量部、熱可塑性樹脂として、「PNR−1H」20重量部、有機ホスフィン酸塩化合物として、「“Exolit”OP935」32重量部、硬化剤として、「3,3’−DDS」4.2重量部、硬化促進剤として「2E4MZ」0.3重量部、及びアミノシランを表面に有するシリカとして、「SC2500−SAT」18重量部をメチルイソブチルケトンに溶解し、40℃で撹拌、混合して30重量%のCCL用接着剤溶液を調製した。
【0054】
実施例5
ハロゲンを含有しないエポキシ樹脂として、「“jER”1001」22重量部、「“jER”834」22重量部、熱可塑性樹脂として、「PNR−1H」20.5重量部、有機ホスフィン酸塩化合物として、「“Exolit”OP935」11重量部、硬化剤として、「3,3’−DDS」4.2重量部、硬化促進剤として「2E4MZ」0.3重量部、及びアミノシランを表面に有するシリカとして、「SC2500−SAT」20重量部をメチルイソブチルケトンに溶解し、40℃で撹拌、混合して30重量%のCCL用接着剤溶液を調製した。
【0055】
実施例6
ハロゲンを含有しないエポキシ樹脂として、「“jER”1001」11重量部、「“jER”834」11.3重量部、熱可塑性樹脂として、「PNR−1H」16重量部、有機ホスフィン酸塩化合物として、「“Exolit”OP935」48重量部、硬化剤として、「3,3’−DDS」3重量部、硬化促進剤として「2E4MZ」0.2重量部、及びアミノシランを表面に有するシリカとして、「SC2500−SAT」10.5重量部をメチルイソブチルケトンに溶解し、40℃で撹拌、混合して30重量%のCCL用接着剤溶液を調製した。
【0056】
実施例7
ハロゲンを含有しないエポキシ樹脂として、「“jER”1001」31重量部、「“jER”834」10重量部、熱可塑性樹脂として、「PNR−1H」24重量部、「“バイロン”(登録商標)300」(東洋紡績株式会社製、商品名)4重量部、有機ホスフィン酸塩化合物として、「OP930」7重量部、硬化剤として、「3,3’−DDS」4.7重量部、硬化促進剤として「2E4MZ」0.3重量部、及びアミノシランを表面に有するシリカとして、「SC2500−SAT」19重量部をメチルイソブチルケトンに溶解し、40℃で撹拌、混合して30重量%のCL用接着剤溶液を調製した。
【0057】
実施例8
「“Exolit”OP930」7重量部のかわりに「“Exolit”OP935」7重量部を用いた以外は実施例7と同様にして30重量%のCL用接着剤溶液を調製した。
【0058】
実施例9
ハロゲンを含有しないエポキシ樹脂として、「“jER”1001」32.8重量部、「“jER”834」10重量部、熱可塑性樹脂として、「PNR−1H」24重量部、「バイロン300」4重量部、有機ホスフィン酸塩化合物として、「“Exolit”OP935」5.2重量部、硬化剤として、「3,3’−DDS」(小西化学工業株式会社製、商品名)4.7重量部、硬化促進剤として「2E4MZ」0.3重量部、及びアミノシランを表面に有するシリカとして、「SC2500−SAT」19重量部をメチルイソブチルケトンに溶解し、40℃で撹拌、混合して30重量%のCL用接着剤溶液を調製した。
【0059】
実施例10
ハロゲンを含有しないエポキシ樹脂として、「“jER”1001」30重量部、「“jER”834」8.5重量部、熱可塑性樹脂として、「PNR−1H」24重量部、「バイロン300」4重量部、有機ホスフィン酸塩化合物として、「“Exolit”OP935」10重量部、硬化剤として、「3,3’−DDS」4.7重量部、硬化促進剤として「2E4MZ」0.3重量部、及びアミノシランを表面に有するシリカとして、「SC2500−SAT」19重量部をメチルイソブチルケトンに溶解し、40℃で撹拌、混合して30重量%のCL用接着剤溶液を調製した。
【0060】
実施例11
ハロゲンを含有しないエポキシ樹脂として、「“jER”1001」34重量部、「“jER”834」10.9重量部、熱可塑性樹脂として、「PNR−1H」24重量部、「バイロン300」4重量部、有機ホスフィン酸塩化合物として、「“Exolit”OP935」3.1重量部、硬化剤として、「3,3’−DDS」4.7重量部、硬化促進剤として「2E4MZ」0.3重量部、及びアミノシランを表面に有するシリカとして、「SC2500−SAT」19重量部をメチルイソブチルケトンに溶解し、40℃で撹拌、混合して30重量%のCL用接着剤溶液を調製した。
【0061】
実施例12
ハロゲンを含有しないエポキシ樹脂として、「“jER”1001」27重量部、「“jER”834」8重量部、熱可塑性樹脂として、「PNR−1H」23重量部、「バイロン300」3重量部、有機ホスフィン酸塩化合物として、「“Exolit”OP935」18.5重量部、硬化剤として、「3,3’−DDS」4.2重量部、硬化促進剤として「2E4MZ」0.2重量部、及びアミノシランを表面に有するシリカとして、「SC2500−SAT」16.1重量部をメチルイソブチルケトンに溶解し、40℃で撹拌、混合して30重量%のCL用接着剤溶液を調製した。
【0062】
比較例1
「SC2500−SAT」18重量部のかわりに「SO−25R」(アドマテックス株式会社製、商品名)18重量部を用いた以外は実施例2と同様にして30重量%のCCL用接着剤溶液を調製した。
【0063】
比較例2
ハロゲンを含有しないエポキシ樹脂として、「“jER”834」15重量部、「FX−289BEK」(東都化成株式会社製、商品名、リン含有エポキシ樹脂)46重量部、熱可塑性樹脂として、「PNR−1H」21.5重量部、硬化剤として、「3,3’−DDS」4.3重量部、硬化促進剤として「2E4MZ」0.3重量部、及びアミノシランを表面に有するシリカとして、「SC2500−SAT」13重量部をメチルイソブチルケトンに溶解し、40℃で撹拌、混合して30重量%のCCL用接着剤溶液を調製した。
【0064】
比較例3
ハロゲンを含有しないエポキシ樹脂として、「“jER”834」3重量部、「FX−289BEK」80重量部、熱可塑性樹脂として、「PNR−1H」7.4重量部、硬化剤として、「3,3’−DDS」4.3重量部、硬化促進剤として「2E4MZ」0.3重量部、及びアミノシランを表面に有するシリカとして、「SC2500−SAT」5重量部をメチルイソブチルケトンに溶解し、40℃で撹拌、混合して30重量%のCCL用接着剤溶液を調製した。
【0065】
比較例4
「“Exolit”OP935」26重量部のかわりに「“Exolit”OP930」26重量部を用いた以外は比較例1と同様にして30重量%のCCL用接着剤溶液を調製した。
【0066】
比較例5
ハロゲンを含有しないエポキシ樹脂として、「“jER”1001」15重量部、「“jER”834」15重量部、熱可塑性樹脂として、「PNR−1H」20重量部、硬化剤として、「3,3’−DDS」4重量部、硬化促進剤として「2E4MZ」0.3重量部、アミノシランを表面に有するシリカとして、「SC2500−SAT」20重量部、及びリン酸エステルとして、「PX−200」25.7重量部をメチルイソブチルケトンに溶解し、40℃で撹拌、混合して30重量%のCCL用接着剤溶液を調製した。
【0067】
比較例6
「SC2500−SAT」18重量部のかわりに「SO−25R」(アドマテックス株式会社製、商品名)18重量部を用いた以外は実施例8と同様にして30重量%のCL用接着剤溶液を調製した。
【0068】
比較例7
ハロゲンを含有しないエポキシ樹脂として、「“jER”1001」31重量部 、「FX−289BEK」17重量部、熱可塑性樹脂として、「PNR−1H」24重量部、「バイロン300」4重量部、硬化剤として、「3,3’−DDS」4.7重量部、硬化促進剤として「2E4MZ」0.3重量部、及びアミノシランを表面に有するシリカとして、「SC2500−SAT」19重量部をメチルイソブチルケトンに溶解し、40℃で撹拌、混合して30重量%のCL用接着剤溶液を調製した。
【0069】
比較例8
ハロゲンを含有しないエポキシ樹脂として、「“jER”1001」8重量部 、「FX−289BEK」70重量部、熱可塑性樹脂として、「PNR−1H」10重量部、「バイロン300」2重量部、硬化剤として、「3,3’−DDS」3.2重量部、硬化促進剤として「2E4MZ」0.2重量部、及びアミノシランを表面に有するシリカとして、「SC2500−SAT」7重量部をメチルイソブチルケトンに溶解し、40℃で撹拌、混合して30重量%のCL用接着剤溶液を調製した。
【0070】
比較例9
「“Exolit”OP935」7重量部のかわりに「“Exolit”OP930」7重量部を用いた以外は比較例5と同様にして30重量%のCL用接着剤溶液を調製した。
【0071】
比較例10
ハロゲンを含有しないエポキシ樹脂として、「“jER”1001」31重量部 、「“jER”834」10重量部、熱可塑性樹脂として、「PNR−1H」24重量部、「バイロン300」4重量部、硬化剤として、「3,3’−DDS」4.7重量部、硬化促進剤として「2E4MZ」(四国化成工業株式会社製、商品名)0.3重量部、アミノシランを表面に有するシリカとして、「SC2500−SAT」19重量部、及びリン酸エステルとして、「PX−200」(大八化学工業株式会社製、商品名)7重量部をメチルイソブチルケトンに溶解し、40℃で撹拌、混合して30重量%のCL用接着剤溶液を調製した。
【0072】
実施例1〜12、比較例1〜10に記載の接着剤溶液を用いて評価用サンプルを作製し、耐熱特性、耐溶剤性、難燃性、接着特性および外観特性について評価した結果を表1〜2に示す。
【0073】
【表1】

【0074】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ハロゲンを含有しないエポキシ樹脂、(B)熱可塑性樹脂、(C)有機ホスフィン酸塩化合物、(D)硬化剤、(E)硬化促進剤および(F)アミノシランを表面に有するシリカを含有する難燃性接着剤組成物。
【請求項2】
前記(C)有機ホスフィン酸塩化合物が、有機ホスフィン酸アルミニウムを含有する請求項1記載の難燃性接着剤組成物。
【請求項3】
前記(C)有機ホスフィン酸塩化合物の平均粒径が1.0〜5.0μmであり、最大粒径が10μm未満である請求項1または2記載の難燃性接着剤組成物。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項記載の難燃性接着剤組成物から形成される接着剤層と、少なくとも1層の剥離可能な保護フィルムを有する接着剤シート。
【請求項5】
絶縁性フィルムと、請求項1〜3のいずれか1項記載の難燃性接着剤組成物から形成される接着剤層と、剥離可能な保護フィルムをこの順に有するカバーレイフィルム。
【請求項6】
絶縁性フィルムと、請求項1〜3のいずれか1項記載の難燃性接着剤組成物から形成される接着剤層と、銅箔をこの順に有する銅張り積層板。

【公開番号】特開2009−179774(P2009−179774A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−22459(P2008−22459)
【出願日】平成20年2月1日(2008.2.1)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】