説明

電力供給装置、電力受電装置、電力供給システム及び障害復帰方法

【課題】電力を供給する電源サーバや電力を消費するクライアントにおいて、またはシステム全体において誤動作が発生した際に、誤動作からの復帰が可能な電力供給装置を提供する。
【解決手段】電力供給についての合意を確立した他の装置へ、周期的に繰り返される予め定めた電力供給区間において該他の装置と合意した電力をバスラインへ供給する電力供給部と、前記電力供給部が電力を供給する前記他の装置との間で情報を表す情報信号を無線で送受信する情報通信部と、前記電力供給部からの電力の出力及び前記情報通信部が出力する情報を制御する制御部と、前記バスラインのインピーダンスを所定の周期で計測するインピーダンス計測部と、を備える、電力供給装置が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力供給装置、電力受電装置、電力供給システム及び障害復帰方法に関する。
【背景技術】
【0002】
パーソナルコンピュータやゲーム機のような電子機器の多くは、機器の動作やバッテリの充電のために、商用電源より交流(AC)の電力を入力して機器に合わせた電力を出力するACアダプタが用いられている。通常、電子機器では直流(DC)によって動作するが、電圧や電流はそれぞれの機器で異なる。従って、機器に合わせた電力を出力するACアダプタの規格も、機器毎に異なることになり、同じような形状を有するACアダプタであっても互換性を有しないことになる、機器の増加に伴ってACアダプタの数も増加してしまう問題があった。
【0003】
このような問題に対して、バッテリやACアダプタ等の機器に電力を供給する電源供給ブロックと、当該電源供給ブロックから電力が供給される電源消費ブロックとを、直流の1つの共通バスラインに接続した電源バスシステムが提案されている(例えば特許文献1、特許文献2)。かかる電源バスシステムにおいては直流の電流がバスラインを流れている。また、かかる電源バスシステムにおいては、各ブロックは自らがオブジェクトとして記述されており、各ブロックのオブジェクトがバスラインを介して相互に情報(状態データ)の送受信を行っている。また各ブロックのオブジェクトは、他のブロックのオブジェクトからの要求に基づいて情報(状態データ)を生成し、回答データとして送信している。そして、回答データを受信したブロックのオブジェクトは、受信した回答データの内容に基づいて電力の供給や消費を制御することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−306191号公報
【特許文献2】特開2008−123051号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の電源バスシステムにおいては、電力を供給する電源サーバや電力を消費するクライアントが誤動作を発生する、またはシステム全体が誤動作を発生することが考えられる。しかし、従来においてはかかる電源バスシステムが誤動作を発生してしまった場合の復帰手法について述べられていなかったという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、上述の電源バスシステムにおいて、電力を供給する電源サーバや電力を消費するクライアントにおいて、またはシステム全体において誤動作が発生した際に、誤動作からの復帰が可能な、新規かつ改良された電力供給装置、電力受電装置、電力供給システム及び障害復帰方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、電力供給についての合意を確立した他の装置へ、周期的に繰り返される予め定めた電力供給区間において該他の装置と合意した電力をバスラインへ供給する電力供給部と、前記電力供給部が電力を供給する前記他の装置との間で情報を表す情報信号を無線で送受信する情報通信部と、前記電力供給部からの電力の出力及び前記情報通信部が出力する情報を制御する制御部と、前記バスラインのインピーダンスを所定の周期で計測するインピーダンス計測部と、を備える、電力供給装置が提供される。
【0008】
前記制御部は、前記インピーダンス計測部による前記バスラインのインピーダンスの計測の結果、予め定めた正常値の範囲を外れていた場合には、前記電力供給部から電力の供給を受けている他の装置に対して自己診断処理の開始を指示してもよい。
【0009】
前記制御部は、前記インピーダンス計測部による前記バスラインのインピーダンスの計測の結果、予め定めた正常値の範囲を外れていた場合には、自身に対して自己診断処理の開始を指示してもよい。
【0010】
前記制御部は、前記自己診断処理の結果、自身に異常が生じていることが判明した場合には、前記電力出力部からの電力供給を停止してもよい。
【0011】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、電力供給についての合意を確立した他の装置から、周期的に繰り返される予め定めた電力供給区間において該他の装置と合意した電力をバスラインから受電する電力受電部と、前記電力受電部が電力を受電する前記他の装置との間で情報を表す情報信号を無線で送受信する情報通信部と、前記情報通信部が出力する情報を制御する制御部と、前記バスラインのインピーダンスを所定の周期で計測するインピーダンス計測部と、を備える、電力受電装置が提供される。
【0012】
前記制御部は、前記インピーダンス計測部による前記バスラインのインピーダンスの計測の結果、予め定めた正常値の範囲を外れていた場合には、電力を供給している他の装置に対してインピーダンスが異常である旨の通知の送信を前記通信部へ指示してもよい。
【0013】
前記制御部は、前記インピーダンス計測部による前記バスラインのインピーダンスの計測の結果、予め定めた正常値の範囲を外れていた場合には、自身に対して自己診断処理の開始を指示してもよい。
【0014】
前記制御部は、前記自己診断処理の結果、自身に異常が生じていることが判明した場合には、電力の受電の停止する旨の通知の送信を前記通信部へ指示してもよい。
【0015】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、バスラインへ所定のタイミングで電力を出力する電源サーバと、前記バスラインを介して前記電源サーバが出力する電力を受電するクライアントと、を備え、前記電源サーバは、電力供給についての合意を確立した他の装置へ、周期的に繰り返される予め定めた電力供給区間において該他の装置と合意した電力を供給する電力供給部と、前記電力供給部が電力を供給する前記他の装置との間で情報を表す情報信号を無線で送受信する情報通信部と、前記電力供給部からの電力の出力及び前記情報通信部が出力する情報を制御する制御部と、前記バスラインのインピーダンスを所定の周期で計測するインピーダンス計測部と、を含み、前記クライアントは、電力供給についての合意を確立した他の装置から、周期的に繰り返される予め定めた電力供給区間において該他の装置と合意した電力を受電する電力受電部と、前記電力受電部が電力を受電する前記他の装置との間で情報を表す情報信号を無線で送受信する情報通信部と、前記情報通信部が出力する情報を制御する制御部と、前記バスラインのインピーダンスを所定の周期で計測するインピーダンス計測部と、を含む、電力供給システムが提供される。
【0016】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、電力供給についての合意を確立した他の装置へ、周期的に繰り返される予め定めた電力供給区間において該他の装置と合意した電力をバスラインへ供給する電力供給ステップと、前記電力供給ステップで電力を供給する前記他の装置との間で情報を表す情報信号を無線で送受信する情報通信ステップと、前記電力供給ステップで出力する電力及び前記情報通信ステップが出力する情報を制御する制御ステップと、前記バスラインのインピーダンスを所定の周期で計測するインピーダンス計測ステップと、を備える、障害復帰方法が提供される。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように本発明によれば、上述の電源バスシステムにおいて、電力を供給する電源サーバや電力を消費するクライアントにおいて、またはシステム全体において誤動作が発生した際に、誤動作からの復帰が可能な、新規かつ改良された電力供給装置、電力受電装置、電力供給システム及び障害復帰方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態にかかる電力供給システムの構成について示す説明図である。
【図2】本発明の一実施形態にかかる電力供給システム1による電力供給処理について説明する説明図である。
【図3】自己診断処理について示す流れ図である。
【図4】本発明の一実施形態にかかる電源サーバ100の構成について示す説明図である。
【図5】本発明の一実施形態にかかるクライアント200の構成について示す説明図である。
【図6】本発明の一実施形態にかかる電力供給システム1に接続される監視装置300の構成について示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0020】
なお、説明は以下の順序で行うものとする。
<1.本発明の一実施形態>
[1−1.電力供給システムの構成]
[1−2.電力供給システムによる電力供給処理]
[1−3.誤動作発生時からの復帰手法]
[1−4.電源サーバの構成例]
[1−5.クライアントの構成例]
[1−6.監視装置の構成例]
<2.まとめ>
【0021】
<1.本発明の一実施形態>
[1−1.電力供給システムの構成]
まず、本発明の一実施形態にかかる電力供給システムの構成について説明する。図1は、本発明の一実施形態にかかる電力供給システムの構成について示す説明図である。以下、図1を用いて本発明の一実施形態にかかる電力供給システムの構成について説明する。
【0022】
図1に示したように、本発明の一実施形態にかかる電力供給システム1は、電源サーバ100と、クライアント200と、を含んで構成される。電源サーバ100とクライアント200とは、バスライン10を介して接続されている。
【0023】
電源サーバ100は、クライアント200に対して直流電力を供給するものである。また、電源サーバ100は、クライアント200との間で情報信号を送受信する。本実施形態においては、電源サーバ100とクライアント200との間の直流電力の供給および情報信号の送受信は、バスライン10で共用されている。
【0024】
電源サーバ100は、情報信号の送受信のための通信用モデム、電力の供給を制御するためのマイクロプロセッサ、直流電力の出力を制御するスイッチ等を含んで構成されている。
【0025】
クライアント200は、電源サーバ100から直流電力の供給を受けるものである。また、クライアント200は、電源サーバ100との間で情報信号を送受信する。図1では、2つのクライアント200を図示している。以下では説明の便宜上、2つのクライアント200をそれぞれCL1、CL2と区別する。
【0026】
クライアント200は、情報信号の送受信のための通信用モデム、電力の供給を制御するためのマイクロプロセッサ、直流電力の出力を制御するスイッチ等を含んで構成されている。
【0027】
なお、図1に示した電力供給システム1では、1つの電源サーバ100と、2つのクライアント200とを図示しているが、本発明においては、電源サーバの数とおよびクライアントの数はかかる例に限定されないことは言うまでも無い。
【0028】
図1に示した電力供給システム1、2における電力の供給方法については、上記特許文献2(特開2008−123051号公報)において説明されているので、ここでは詳細な説明は省略するが、以下において、本発明の一実施形態にかかる電力供給システム1による電力供給処理について簡単に説明する。
【0029】
[1−2.電力供給システムによる電力供給処理]
図2は、本発明の一実施形態にかかる電力供給システム1による電力供給処理について説明する説明図である。以下、図2を用いて、本発明の上記各実施形態にかかる電力供給システム1による電力供給処理について説明する。
【0030】
図2に示したように、電源サーバ100は、バスライン10に対して定期的に同期パケットA1、A2、A3、・・・を出力する。また、電源サーバ100は、クライアントCL1、CL2に電力を供給するために、クライアントCL1、CL2との間で送受信される情報信号である情報パケットB1、B2、B3、・・・および電力エネルギーをパケット化した電力パケットC1、C2、C3、・・・を出力する。一方、クライアントCL1、CL2は、電源サーバ100から電力の供給を受けるために、電源サーバ100との間で送受信される情報信号である情報パケットD1、D2、D3、・・・を出力する。
【0031】
電源サーバ100は、所定の間隔(例えば1秒間隔)のタイムスロットの開始時に、同期パケットA1、A2、A3、・・・を出力する。タイムスロットは、情報パケットが送信される情報スロットと、電力パケットが送信される電力スロットとからなる。情報スロットIS1、IS2、IS3、・・・は、電源サーバ100とクライアントCL1、CL2との間で情報パケットのやり取りが行われる区間である。また電源スロットPS1、PS2、PS3、・・・は、電源サーバ100からクライアントCL1、CL2へ供給される電力パケットC1、C2、C3、・・・が出力される区間である。情報パケットは、情報スロットIS1、IS2、IS3、・・・の区間においてのみ出力可能なパケットである。従って、1つの情報スロットにおいて情報パケットの送受信が完了しない場合には複数の情報スロットに渡って情報パケットが送信される。一方、電力パケットは、電源スロットPS1、PS2、PS3、・・・の区間においてのみ出力可能なパケットである。
【0032】
電源サーバ100は、自身が供給可能な電力仕様を示すサーバ電源プロファイルを1または2以上有しており、クライアントCL1、CL2は、自身の仕様に適合する電力を供給可能な電源サーバ100から、電力の供給を受けるものとする。このとき、クライアントCL1、CL2は、電源サーバ100からサーバ電源プロファイルを取得して、自身に対する電源サーバ100の仕様(サーバ電源プロファイル)を決定する。このためにまず、クライアントCL1、CL2は、電源サーバ100が出力する同期パケットA1を検出して、同期パケットA1に含まれる電源サーバ100のアドレスを取得する。アドレスは、例えばMACアドレスとすることができる。次いで、クライアントCL1、CL2は、電源サーバ100に対して、電源サーバ100が有するサーバ電源プロファイルの数の送信を要求する情報パケットD1を送信する。
【0033】
情報パケットD1を受信した電源サーバ100は、情報パケットB1において、電源サーバ100が有するサーバ電源プロファイルの数であるサーバ電源プロファイル数を送信する。情報パケットB1を受信したクライアントCL1、CL2は、電源サーバ100のサーバ電源プロファイルの数だけサーバ電源プロファイルの内容を電源サーバ100から取得する。例えば電源サーバ100が2つのサーバ電源プロファイルを有する場合、クライアントCL1、CL2は、まず、1つめのサーバ電源プロファイルを取得する。1つめのサーバ電源プロファイルを取得したクライアントCL1、CL2は、電源の使用を要求する情報パケットD2として電源サーバ100に送信する。
【0034】
情報パケットD2を受信した電源サーバ100は、電源サーバ100の内部に設けられた記憶部(図示せず)に記憶された第1のサーバ電源プロファイルを、情報パケットB2としてクライアントCL1、CL2に送信する。電源サーバ100から情報パケットB2を受信したクライアントCL1、CL2は、第2のサーバ電源プロファイルを取得するための情報パケットを送信する。しかし、この時点では情報スロットIS1が終了し、電源パケットを送信するための電源スロットPS1が開始している。従って、かかる情報パケットは次の情報スロットIS2において送信される。また、電源スロットPS1においては、クライアントCL1、CL2が電源サーバ100から供給を受ける電源仕様が確定していないため、電力の供給は行われない。
【0035】
電源スロットPS1が終了し、次のタイムスロットの開始を示す同期パケットA2が電源サーバ100から出力される。その後、電源サーバ100から情報パケットB2を受信したクライアントCL1、CL2は、第2のサーバ電源プロファイルを取得するための情報を情報パケットD3として送信する。
【0036】
情報パケットD3を受信した電源サーバ100は、電源サーバ100の内部に設けられた記憶部(図示せず)に記憶された第2のサーバ電源プロファイルを、情報パケットB3としてクライアントCL1、CL2に送信する。情報パケットB3を受信して電源サーバ100の有する2つのサーバ電源プロファイルを取得したクライアントCL1、CL2は、自身に適合する電源仕様のサーバ電源プロファイルを選択する。そして、クライアントCL1、CL2は、電源サーバ100に対して選択したサーバ電源プロファイルを確定させるための情報パケットD4を送信する。
【0037】
情報パケットD4を受信した電源サーバ100は、クライアントCL1、CL2に対して第1のサーバ電源プロファイルを確定したことを通知するため、情報パケットB4として電源仕様が確定した旨の応答を表す情報を、クライアントCL1、CL2に送信する。その後、情報スロットIS2が終了して電源スロットPS2が開始すると、電源サーバ100はクライアントCL1、CL2に対して電源パケットC1を出力し、電源供給を行う。なお、電力パケットの送信のタイミングについては、送信開始時間設定リクエストを表す情報を用いることにより、電力供給開始時間をクライアントCL1、CL2から電源サーバ100に指定することができる。
【0038】
以上、本発明の上記各実施形態にかかる電力供給システム1による電力供給処理について説明した。
【0039】
[1−3.誤動作発生時からの復帰手法]
次に、本発明の一実施形態にかかる電力供給システム1における、誤動作発生時からの復帰手法について説明するが、説明の前に、最初にシステムの誤動作やクラッシュとは何かを明確に示す。
【0040】
上述の、特開2008−123051号公報で開示されたシステムで使用されるデバイスや要素には、電力供給源となる電力サーバ、負荷となる電力クライアント、そして実際の電力や信号を接続するバスラインがある。従って、故障や誤動作が発生している部分によって、故障や誤動作に対する対処方法や復帰方法は異なり、場合によっては自動的な復帰は不可能で、不完全にしか復帰できないこともある。
【0041】
まず、電源バスラインの故障について述べる。事故にせよ故意にせよ、電源バスラインの故障としては、大きく分けて切断と短絡の2つのケースが存在する。電源バスラインが切断してしまった場合には、切断されたバスラインを接続し直さない限り電力や情報のやり取りは出来ないので、ここでは議論は行わない。一方、電源バスラインの短絡の場合は、インピーダンスが電源バスラインのインピーダンス程度まで小さくなる完全短絡と、インピーダンスが想定よりも小さくなってしまう不完全短絡とがある。
【0042】
完全短絡の原因としては、電源サーバやクライアントが短絡させてしまう場合と、電源バスラインが何らかの理由により導体によって短絡されてしまう場合とが考えられる。電力供給システム1に接続されるように設計した電源サーバやクライアントには、内部に短絡を保護するメカニズムが組み込まれる。このメカニズムとしては例えば既存のヒューズを用いてもよい。従って、電源バスライン自体の短絡が、完全短絡の原因としては最も考えられるものである。
【0043】
電源バスライン自体の短絡が発生した場合、電源バスラインに接続される電源サーバやクライアントは、この短絡を検出できる場合と出来ない場合とが想定される。電源サーバやクライアントが短絡を検出できない場合は、電力供給システム全体の動作が不能である状態なので、短絡の原因を物理的に取り除かない限り、電力供給システムは完全に復帰することが出来ない。従って、電源サーバやクライアントが短絡を検出できない場合の議論は行わず、以下では、電源サーバやクライアントが短絡を検出できる場合に絞って説明する。なお、電源サーバやクライアントが短絡を検出できない場合であっても、電源サーバやクライアントは電源バスラインに接続されてないと判断し、自身の主スイッチを切断することは可能となる。
【0044】
電源バスラインの短絡が低周波的ではなく高周波的に発生した場合も、完全短絡した場合と同様の扱いとなる。これは電源バスラインの短絡が高周波的に発生することでパケットの検出が不可能となり、電源バスライン上での通信が一切不可能となってしまうからであり、電源バスラインに接続された電源サーバやクライアントは、電力供給システムから切り離された場合と等価の扱いとなる。
【0045】
以下の説明では、電源バスの短絡が電源バスライン上で発生した場合、電源サーバ内で発生した場合、クライアント内で発生した場合の3通りについて説明する。
【0046】
次にシステムのクラッシュについて定義する。図1に示したような電力供給システムには、マイクロプロセッサを搭載した機器が接続される。従って、システムのクラッシュ、すなわちマイクロプロセッサの故障や破壊が発生すると、システムとして動作しなくなり得る。クラッシュの発生原因として最も可能性が高いのは、一般的には電源バスラインに大きなノイズや高電圧が加わることに起因するマイクロプロセッサの暴走や破壊の発生である。従って、マイクロプロセッサの暴走や破壊への対策として、マイクロプロセッサ本体やマイクロプロセッサの周囲に静電シールドを施したり、プロセッサの信号ラインに高電圧クランプのためのダイオードを挿入したり、信号ラインまたは電源バスラインにサージアレスタを挿入したりするなどの一般的な対策が採られる。本実施形態では、これらの一般的な対策を採った上で発生するマイクロプロセッサの誤動作や破壊に対する動作についてのみ述べることにする。
【0047】
なお、システムクラッシュといっても、実際には電源バスラインに接続されるサーバ、特に同期処理を実行する同期サーバの誤動作が、システムに与える影響としては最も大きい。同期サーバが誤動作したり故障したりすると、電力供給システムの維持が(当面の間)不可能となる。同期サーバの誤動作、特にマイクロプロセッサの暴走は、ウオッチドッグタイマーにより監視される。マイクロプロセッサの暴走が発生すると、同期サーバは同期サーバとしての動作を一旦停止し、電力供給システムは電源サーバとクライアントとの間で同期が確立していない初期状態へと戻る。
【0048】
一方、マイクロプロセッサが破壊されてしまう場合、直接的な影響として一番問題なのは、主電源スイッチを制御するポートが、その主電源スイッチを接続する方向に破壊されてしまうことである。このような事態が発生し、しかもマイクロプロセッサの機能も破壊されてしまった場合には、ハードウェアで用意した電流ヒューズが有効に働くことを期待するしか無い。本実施形態では、主電源スイッチを制御するポートが、その主電源スイッチを接続する方向に破壊されてしまうような事態の発生については議論せず、同期サーバの停止に伴う電力供給システムの初期状態への移行を検出することでシステムの復帰を試みる場合について説明する。
【0049】
以上、本実施形態におけるシステムの誤動作やクラッシュについて定義した。次に、本発明の一実施形態にかかる電力供給システム1における、電源バスの不完全短絡の対応例について説明する。
【0050】
電力供給システム1は、システムが構成された時点で特定のサーバ−クライアント間のバスラインインピーダンスを測定することが可能である。すなわち、特定のサーバ、クライアント間で供給電圧についてのネゴシエートが完了すると、ネゴシエートされた供給電圧を電源サーバからクライアントに対して供給する。クライアント側では、電源サーバが送電する電圧値の公称電圧をデータとして知っており、この公称電圧の値はネゴシエーション時のネゴシエート条件の一つとなっている。従って、電源サーバから電力の供給を受けるクライアントは、ある誤差範囲内で、供給される電圧値が既知のものとなっている。誤差範囲となる電圧値とは、公称値と実際の電圧値には差があり得るということを意味している。また、電源サーバは、自身の実測出力電圧の情報をクライアントに送信することもできる。
【0051】
一方、クライアントは受電端の電圧測定が可能である。従って、バスラインインピーダンスRは、
R=(電源サーバの出力電圧−クライアントの受電電圧)/クライアント電流
で得られる。なお、電源サーバの出力電圧とは電源サーバで測定された実測値を用いることで正確なバスラインインピーダンスRを求めることができるが、概略結果を得るためならば、電源サーバが出力する公称電圧の情報を用いてもよい。
【0052】
このバスラインインピーダンスRの値はクライアントに記憶される。そして、クライアントが電力を受け取る度に、実電圧及び電流を計測しながらバスラインインピーダンスRの値をモニタする。このクライアントのバスラインインピーダンスRのモニタ動作は、バスラインの異常発見のため、及び実電圧・電流計測による、一種納品された物品の検収のため、という意味合いを有するものである。すなわち、クライアントは約束された内容の電力(エネルギー)は電源サーバから正常に送られてきているかをモニタし続ける。もちろん、このバスラインインピーダンスRの値はサーバ(同期処理を実行する同期サーバ及び電力供給を実際に実行する非同期サーバ)に送られて、サーバ側において電圧と電流とをモニタしてもよい。現実的には、サーバ、クライアントとも、常にバスラインのインピーダンスを監視し、非常時の検出に対する冗長度を高めることが望ましい。
【0053】
ここで、仮にバスラインが短絡するような形で、電力供給システムに低いインピーダンスが接続されると、電源サーバやクライアントにおいて、想定されたもの以上の電圧低下が測定され、異常が検出される。普通は、この電圧降下の影響で流れる電流Iも減る。この時点で、クライアントは、直ちに主電源スイッチをオフにする。そして、この電圧異常の原因調査のため、クライアントはサーバに対して、実際の測定データを付けて通知(検収不合格通知)を送信する。同時に、クライアントは、電圧低下の原因がクライアント自身にあるのかどうかを判断するために、自己診断処理を実行する。クライアントにおける自己診断方法に関しては後に詳述する
【0054】
クライアントによる自己診断処理の結果、電圧低下の原因がクライアント自身にある事が判明した場合には、クライアントは同期サーバに対して、クライアント離脱要求を出し、同期サーバからの離脱処理完了を受け取ると、クライアントは故障した旨の表示を行い(例えば、故障を示す表示や音出力)、以降の動作を停止する。一方、クライアントによる自己診断処理の結果、クライアント自身は正常であると判断した場合には、サーバからの検収不合格通知に対する反応を待機する。
【0055】
一方、サーバ側も電圧や電流のモニタを常に実施することで、バスラインの電圧低下は常に検出可能である。サーバ側でバスラインの電圧低下を検出すると、対応する(ネゴシエートしている)クライアントに対して内部でフラグ(アラートフラグ)を立て、クライアントに対して自己診断要求を送信すると共に、サーバの自己診断処理を実行する。この時、サーバも該当クライアントに対するメインスイッチは直ちにオフにする。
【0056】
サーバの自己診断処理の結果、サーバ側で異常を発見した場合には、サーバは以下の動作をする。
【0057】
(1)サーバが同期サーバである場合
同期サーバは、電力供給システムの同期パケットを出力し、システム全体のマネージを実行している。従って、同期サーバはシステムの解散権を有しており、異常が同期サーバで発生していることが判明した場合には、同期サーバはシステム全体にシステム停止コマンドをブロードキャストし、自身の以降の(同期サーバとしての)動作を停止する。なお、同期サーバは、システム停止コマンドのブロードキャスト送信の他に、同期パケットの出力を停止しても良い。システムの全てのサーバやクライアントは、同期サーバが送信する同期パケットを常時モニタすることで電力供給システムが動作していることを認識しているので、同期サーバからの同期パケットが無くなったならば、システムとしては一旦リセットされて初期状態となり、再度同期サーバの選出から再開するからである。いずれの場合においても、自身の故障を発見した同期サーバは以降の動作を停止する。
【0058】
(2)サーバが同期サーバではない場合
同期サーバではない、その他のサーバ(例えば電源サーバ)が、自己診断処理の結果、自身の異常を検出したならば、そのサーバは以降のサーバとしての動作を停止し、同期サーバに対してシステム離脱パケットを送出する。これに対して同期サーバから回答を得た時点で、サーバ動作を停止した上で何らかの故障表示を行った上で、以降の(サーバとしての)動作を停止する。この故障表示は、例えば故障を示す表示や音出力であってもよい。この時点で、故障したサーバはシステムに物理的には接続されていても、情報的(論理的)、電力的には切断されていることになる。
【0059】
サーバ側もクライアント側も、自己診断処理の結果、故障とは判定されない場合には、バスラインにおいて何らかの異常が発生したものと判断される。また、複数のクライアントが同時に電圧の異常を検出した場合も、バスラインに異常が発生したものと判断される。この場合、同期サーバは電力供給システム上の全てのサーバ及びクライアントに対して、システム離脱パケットを送り、外部に対して故障表示を行い、以降の同期サーバとしての動作を停止する。この故障表示は、例えば故障を示す表示や音出力であってもよい。また、同期サーバから送出されるシステム離脱パケットには、パラメータとして、全てのサーバ及びクライアントを示すパラメータが含まれている。このようにバスラインに異常が発生した場合には、システム全体が停止し、バスラインに発生した異常の原因を取り除かない限りシステムは再度動作しないことになる。
【0060】
図3は、上述の自己診断処理について示す流れ図である。まずサーバ側(同期サーバ及び電源サーバ)の自己診断処理について説明する。まずサーバ側の処理について説明する。サーバはバスラインインピーダンスRの値をモニタし(ステップS101)、バスラインインピーダンスRの値が異常値になっているかどうかを判定する(ステップS102)。
【0061】
ステップS102の判断の結果、バスラインインピーダンスRの値が異常値でない場合には、ステップS101に戻ってバスラインインピーダンスRの値のモニタを継続する。一方、ステップS102の判断の結果、バスラインインピーダンスRの値が異常値になったことを検出した場合には、サーバは該当クライアントに対するメインスイッチをオフにし(ステップS103)、電力供給システムにぶら下がっている(すなわち、バスラインに接続されている)クライアントに対して自己診断処理を要求する(ステップS104)と共に、サーバの自己診断処理も開始する(ステップS105)。
【0062】
サーバの自己診断処理の結果、サーバに異常が無かったかどうかを判断し(ステップS106)、サーバには異常が無かった場合には、クライアントの自己診断処理の結果を待機する(ステップS107)。一方、サーバの自己診断処理の結果、サーバに異常があることが分かった場合には、サーバが同期サーバであれば、システム停止コマンドをブロードキャスト送信し(ステップS108)、サーバに故障が発生したことを表示する(ステップS109)。サーバが同期サーバ以外のサーバであれば、システム離脱パケットを同期サーバに対して送信し(ステップS110)、サーバに故障が発生したことを表示する(ステップS111)。
【0063】
次にクライアント側の処理について説明する。クライアントはバスラインインピーダンスRの値をモニタし(ステップS121)、バスラインインピーダンスRの値が異常値になっているかどうかを判定する(ステップS122)。
【0064】
ステップS122の判断の結果、バスラインインピーダンスRの値が異常値でない場合には、ステップS121に戻ってバスラインインピーダンスRの値のモニタを継続する。一方、ステップS122の判断の結果、バスラインインピーダンスRの値が異常値になったことを検出した場合には、クライアントは自身のメインスイッチをオフにし(ステップS123)、サーバに対して検収不合格通知を送信する(ステップS124)と共に、クライアントの自己診断処理を開始する(ステップS125)。
【0065】
クライアントの自己診断処理の結果、クライアント自身に異常が無かったかどうかを判断し(ステップS126)、クライアントには異常が無かった場合には、サーバの自己診断処理の結果を待機する(ステップS127)。一方、クライアント側に異常があった場合には、クライアントはシステム離脱パケットを同期サーバに対して送信し(ステップS128)、クライアントに故障が発生したことを表示する(ステップS129)。
【0066】
[1−4.電源サーバの構成例]
次に、上述の自己診断処理を実行し得る、本発明の一実施形態にかかる電源サーバの構成例について説明する。図4は、本発明の一実施形態にかかる電源サーバ100の構成について示す説明図である。以下、図4を用いて本発明の一実施形態にかかる電源サーバ100の構成について説明する。
【0067】
図4に示したように、本発明の一実施形態にかかる電源サーバ100は、コネクタ101と、接続線102、106と、主スイッチ103と、モデム104と、マイクロプロセッサ105と、電力供給源107と、電流センサ108と、ヒューズ109と、キャパシタC1、C2と、を含んで構成される。
【0068】
コネクタ101は、バスライン10のコネクタ11と接続することで、電源サーバ本体とバスライン10とを接続するものである。接続線102は、コネクタ101と、電源サーバ本体とを接続するためのものである。主スイッチ103は、電力の出力を制御するものであり、主スイッチ103がオンになっていれば、電源サーバ100は電力供給源107からの電力をバスライン10へ供給することができる。一方、主スイッチ103がオフになっていれば、電源サーバ100は電力供給源107からの電力の供給を停止することができる。
【0069】
モデム104は、バスライン10に接続されている他の電源サーバやクライアントとの間で情報の送受信を行うためのものであり、モデム104からはバスライン10に通信用高周波信号を送出し、またバスライン10に流れる通信用高周波信号を受信する。なお、バスライン10とモデム104との間にはキャパシタC1、C2が備えられており、バスライン10を流れる直流電流のモデム104への流入を防いでいる。
【0070】
マイクロプロセッサ105は、電源サーバ100の動作を制御したり、電源サーバ100の内部の電圧や電流をモニタしたりするものである。電源サーバ100とクライアント(例えば図1のクライアント200)との間でネゴシエーションが完了すると、マイクロプロセッサ105は電力供給源107から電力を供給するために主スイッチ103をオンにする。また、マイクロプロセッサ105で電源サーバ100の内部の電圧や電流をモニタすることで、電力供給システム1に異常が発生したことを検知して、バスライン10に接続されている他の装置に対して自己診断処理の開始を指示することができる。
【0071】
接続線106は、電源サーバ本体と電力供給源107とを接続するためのものである。電力供給源107は、直流電圧からなる電力を供給することができるものであり、電源サーバ100の主スイッチ103がオンになっていると、直流の電力をバスライン10に供給することができる。
【0072】
電流センサ108は、主スイッチ103と電力供給源107との間を流れる電流量を検出するものである。電流センサ108で主スイッチ103と電力供給源107との間を流れる電流量を検出することで、マイクロプロセッサ105は、電力供給源107から電力が正常に出力されているかどうか、またバスライン10を流れる電流が正常なものであるかを判断することができる。ヒューズ109は、大電流から回路を保護するためのものであり、定格以上の電流が流れると自ら発する熱で切断し大電流が流れるのを防ぐ。
【0073】
以上、図4を用いて本発明の一実施形態にかかる電源サーバ100の構成について説明した。次に、図4のような構成を有する電源サーバ100における自己診断処理について説明する。
【0074】
マイクロプロセッサ105は、電源サーバ100の自己診断処理のために、図4に示したP1〜P4の各ポイントのデータを測定することができる。
P1:バスラインの出力端電圧
P2:バスライン上の電流
P3:バスラインの主スイッチ端電圧
P4:バスラインの電力供給端電圧
【0075】
マイクロプロセッサ105による自己診断処理時の、これら測定点の電圧や電流が持つ意味は以下の通りである。
【0076】
P1:バスライン10に出力している電圧の実測値。この値がネゴシエートした電圧に対して、所定の範囲以内ならば、電源サーバ100からの電力は正常に出力されていると考えられる。もし、これが上記所定の範囲から外れている場合には、マイクロプロセッサ105は、電力供給システム1のどこかに問題があると判断することができる。
【0077】
P2:バスライン10を流れる電流。P2において、電源サーバ100からバスライン10に出力される電流が検出され、この電流値がネゴシエートした電流値に対して所定の範囲以内ならば、電流は正常に出力されていると考えられる。もし、これが上記所定の範囲から外れている場合、マイクロプロセッサ105は、電力供給システム1のどこかに問題があると判断することができる。
【0078】
P3:主スイッチ103の電力供給源107側の電圧であり、P3の値によって主スイッチ103の状態がチェックできる。もし主スイッチ103を投入しているのにも関わらず、P3にのみ電圧があり、P1に電圧出力が見られない、またはP1の電圧がある規定値以下となってしまっている場合には、マイクロプロセッサ105は、主スイッチ103に何らかの故障が発生しているものと判断することができる。
【0079】
P4:電源サーバ100の実際の出力電圧であり、例えばヒューズ109の断線はこのP4の値と、P1またはP3で検出する電圧値を比較すれば検知できる。また、電力供給源107自体が、(例えば何らかの故障の発生により)規定の出力を出せていないかどういかについても判断することができる。
【0080】
このように電源サーバ100の内部における電圧電流の検出を行う事で、電源サーバ100は、電力系統の一通りの自己診断を実行することが可能である。
【0081】
一方、マイクロプロセッサ105やモデム104の自己診断処理については、以下のように実行される。まずマイクロプロセッサ105に関しては、いわゆるウオッチドッグタイマーを使用することでプログラムがハングアップしていないか検出可能であり、仮にハングアップしたとしても、リセットスタートが可能である。
【0082】
主スイッチ103はマイクロプロセッサ105の管理下にあり、マイクロプロセッサ105からの信号が無くなるとオフになるような構造とすることが望ましい。例えば、主スイッチ103は、ロジックレベル1でオンする構造とし、もしマイクロプロセッサ105が内部電源の消滅で動作しなくなった時にはオフとなる構造であってもよい。もちろん主スイッチ103を駆動するマイクロプロセッサ105のポートがオンになったままという故障もあり得るが、これは、マイクロプロセッサ105の電源は正常である確率が高いので、電源出力が無いタイミング(すなわち、電源出力がタイムシェアリングされるが、そのタイムシェアの間に挿入されるガード時間)にP1及びP2を監視することで、高い確率で検出可能である。ただし、マイクロプロセッサ105が故障し、なおかつ主スイッチ103が入ったままになる状態では、これ以上の電源サーバ100自身での対応が困難であるとから、システムをリセットしたままとする。
【0083】
また、たまたま他の電源サーバも故障していて、しかも電圧値がこの電源サーバ100とある規定値内で同一の場合には、故障したことの判断ができないが、ガード時間内も電圧が検出される場合には同期サーバがシステムを一旦リセットすることになる。そして、電源サーバ100は同期サーバの選出、他のサーバの加入処理を行うが、この過程でもバスラインに電圧が出現する場合には、システムをリセットしたままにしておき、電源サーバとしてはこれ以上の動作を実行しない。
【0084】
結局、電源サーバ100の主スイッチ103がオンのままとなる故障に関しては、故障したサーバの自己診断処理が早いか、同期サーバのシステムリセットが早いかの違いがあるが、いずれにせよ、内部のマイクロプロセッサ105が動作していれば、故障したサーバは電力供給システム1から切り離されることになる。
【0085】
一方、モデム104の診断に関しては、モデムそのものの動作不良の診断はせず、通信が全く途絶えた時には、コネクタ101が切り離されている(つまり電力供給システム1に接続されていない)と判断する。一方、通信エラーに関しては、モデム104は、同期パケットの非受信回数を計数することで常に電力供給システム1に接続されているか否かを監視するので、接続、切断状況を、例えばLED(図示せず)や警告音等によって表示することで、ユーザもしくは管理者に知らせることができる。すなわち、電源サーバ100が電力供給システム1に物理的に接続されているのに、上記表示がされている場合には、電源サーバ100の内部で故障が発生していると判断することができる。
【0086】
以上、図4のような構成を有する電源サーバ100における自己診断処理について説明した。次に、上述の自己診断処理を実行し得る、本発明の一実施形態にかかるクライアントの構成例について説明する。
【0087】
[1−5.クライアントの構成例]
図5は、本発明の一実施形態にかかるクライアント200の構成例について示す説明図である。以下、図5を用いて本発明の一実施形態にかかるクライアント200の構成について説明する。
【0088】
本発明の一実施形態にかかるクライアント200は、コネクタ201と、接続線202、206と、主スイッチ203と、モデム204と、マイクロプロセッサ205と、電流センサ208と、ヒューズ209と、負荷210と、チャージ制御回路211と、バッテリ212と、キャパシタC1、C2と、を含んで構成される。
【0089】
コネクタ201は、バスラインのコネクタ12と接続することで、クライアント本体とバスライン10とを接続するものである。接続線202は、コネクタ201と、クライアント本体とを接続するためのものである。主スイッチ203は、電力の入力を制御するものであり、主スイッチ203がオンになっていれば、クライアント200はバスライン10を通じて電源サーバから供給される電力を受け取ることができる。一方、主スイッチ203がオフになっていれば、クライアント200は電源サーバから供給される電力を受け取ることはできない。
【0090】
モデム204は、バスライン10に接続されている他の電源サーバやクライアントとの間で情報の送受信を行うためのものであり、モデム204からはバスライン10に通信用高周波信号を送出し、またバスライン10に流れる通信用高周波信号を受信する。なお、バスライン10とモデム204との間にはキャパシタC1、C2が備えられており、バスライン10を流れる直流電流のモデム204への流入を防いでいる。
【0091】
マイクロプロセッサ205は、クライアント200の動作を制御したり、クライアント200の内部の電圧や電流をモニタしたりするものである。電源サーバ(例えば図1の電源サーバ100)とクライアント200との間でネゴシエーションが完了すると、マイクロプロセッサ205は電源サーバから電力を受け取るために主スイッチ203をオンにする。また、マイクロプロセッサ205でクライアント200の内部の電圧や電流をモニタすることで、電力供給システム1に異常が発生したことを検知することができる。
【0092】
接続線206は、クライアント本体と負荷210とを接続するためのものである。電流センサ208は、主スイッチ203と負荷210との間を流れる電流量を検出するものである。電流センサ208で主スイッチ203と負荷210との間を流れる電流量を検出することで、マイクロプロセッサ205は、またバスライン10を流れる電流が正常なものであるかを判断することができる。ヒューズ209は、大電流から回路を保護するためのものであり、定格以上の電流が流れると自ら発する熱で切断し大電流が流れるのを防ぐ。
【0093】
負荷210は、電源サーバから供給される電力を消費するものである。チャージ制御回路211は、バッテリ212に対する充放電を制御する回路である。そしてバッテリ212は電源サーバから供給される電力をチャージ制御回路211の制御下で蓄え、蓄えた電力をチャージ制御回路211の制御下で負荷210等に放出するものである。
【0094】
以上、図5を用いて本発明の一実施形態にかかるクライアント200の構成について説明した。次に、図5のような構成を有するクライアント200における自己診断処理について説明する。
【0095】
マイクロプロセッサ205は、クライアント200の自己診断処理のために、図5に示したP1〜P8の各ポイントのデータを測定することができる。
P1:バスラインの出力端電圧
P2:バスライン上の電流
P3:バスラインの主スイッチ端電圧
P4:バスラインの電力供給端電圧
P5:バッテリ端電圧
P6:最終的な負荷電流
P7:最終的な負荷電圧
P8:バッテリ充電電流、および放電電流
【0096】
以下では、電源サーバ100の場合と共通の動作で検出できるP1〜P4については説明を省略し、クライアント200に特有の部分であるP5〜P8についてのみ記述する。
【0097】
P5、P8:この部分はバッテリ212のチャージ制御のために使用される。なお、バッテリ212の充電制御のすべてをチャージ制御回路211が実施する場合もありうるが、ここではマイクロプロセッサ205がバッテリ212のチャージ制御も行う場合を示す。当然、P5、P8で検出した値は、バッテリ212の故障検出にも使用可能である。このバッテリ212の故障診断については、既にノートPC等で使用されている方式を使用してもよい。なお、バッテリ212は1セルだけということはあまり無いので、測定点P5は実際にはバッテリのセル数に対応した複数の測定点とすることが望ましい。
【0098】
P6、7:これらの測定点は、実際に負荷210に供給される電圧電流値の検出点であり、これらの値をモニタして、あらかじめ設定された負荷210の性質と異なる値を検出した場合には負荷端の故障が判定される。この場合、クライアント200は動作を停止し、電源サーバから切り離される。場合によってはヒューズ209が切断され、最終的にはクライアント200が電力供給システム1から切り離されることになる。
【0099】
以上、図5のような構成を有するクライアント200における自己診断処理について説明した。上述の説明では、電源サーバやクライアントにおける非常時の対策及びシステムリセット処理について述べてきた。基本的に各サーバやクライアントは独立した自己診断機能を有し、一つのデバイスの故障が電力供給システム1に伝播せず、また故障時には電力供給システム1から切り離される動作を基本とし、システムのロバストネスを高くするように設計されることになる。
【0100】
[1−6.監視装置の構成例]
次に、電力供給システム1に接続され、サーバやクライアントとは異なる機能を有する(すなわち、電力を供給源でも、最終的な負荷でもない)監視装置の構成について述べる。図6は、本発明の一実施形態にかかる電力供給システム1に接続される監視装置300の構成について示す説明図である。以下、図6を用いて本発明の一実施形態にかかる電力供給システム1に接続される監視装置300の構成について説明する。
【0101】
図6に示したように、本発明の一実施形態にかかる監視装置300は、コネクタ301と、接続線302と、モデム304と、マイクロプロセッサ305と、通知部310と、キャパシタC1、C2と、を含んで構成される。
【0102】
コネクタ301は、バスライン10のコネクタ13と接続して、監視装置本体とバスライン10とを接続するものである。接続線302は、コネクタ301と、監視装置本体とを接続するためのものである。モデム304は、バスライン10に接続されている他の電源サーバやクライアントとの間で情報の送受信を行うためのものであり、モデム304からはバスライン10に通信用高周波信号を送出し、またバスライン10に流れる通信用高周波信号を受信する。なお、バスライン10とモデム304との間にはキャパシタC1、C2が備えられており、バスライン10を流れる直流電流のモデム304への流入を防いでいる。
【0103】
マイクロプロセッサ305は、監視装置300の動作を制御したり、監視装置300の内部の電圧や電流をモニタしたりするものである。電源サーバ(例えば図1の電源サーバ100)とクライアント200との間でネゴシエーションが完了すると、バスライン10をパケットが流れ、マイクロプロセッサ305はバスライン10を流れるパケットをモニタする。また、マイクロプロセッサ305で監視装置300の内部の電圧や電流をモニタすることで、電力供給システム1に異常が発生したことを検知することができる。
【0104】
マイクロプロセッサ305は、上述したように、バスライン10を流れる信号(パケット)をモニタする。このマイクロプロセッサ305のモニタは、サーバとクライアントとの間でネゴシエーションが完了した電力供給システム1に、監視装置300が途中から接続される場合もあるので、同期サーバに対して問い合わせを行ってその基本データ(つまり、現在の電力供給システム1の構成の基本データ)を取得し、取得した情報を用いて実行する。特に、サーバやクライアントの加入や切断に関しては、監視装置300においてパケットを監視することで理解できるが、このような加入や切断に関するパケットを検出しても、監視装置300は勝手に判断せず、トランザクションが終了した頃を見計らって、同期サーバに問い合わせを行い、データを更新することが望ましい。また、この監視装置300のデータ更新は、定期的に実行するような構造と組み合わせてもよい。
【0105】
マイクロプロセッサ305は、電力供給システム1で用いられるプロトコルが実装されており、全てのトランザクションの解釈および実行手段と、同期サーバ(図示せず)に対し、同期サーバの有する情報を取得する手段を有している。また、マイクロプロセッサ305は、少なくとも電力供給システム1の全てのデバイスに対する、離脱要求パケット発行手段を有している。なお、離脱要求パケットは上述した「全てのトランザクション」に含まれるのであるが、ここでは強調するために記している。
【0106】
また、マイクロプロセッサ305はバスライン10の電圧値を監視する手段を有している。なお、電流値については、監視してもよく、しなくてもよい。監視装置300自身が消費する電流を監視して、監視装置300自身の故障の発生を知ることもありうるが、ここでは監視装置300自身の故障の発生の検出については触れない。
【0107】
通知部310は、電力供給システム1や電力供給システム1にぶら下がっている各デバイスの動作状況を人間に表示するための部分である。通知部310としては、LEDを使用した可視表示、音を利用した可聴表示、あるいはワイヤレスLANに接続され、ワイヤレスLANを経由した通知等を用いることができる。ここでは、通知部310への表示手法や、バスライン10以外の手段による通信手法についての説明は省略する。
【0108】
なお、図6には図示しないが、監視装置300は自己の動作のためのバッテリを備えていても良い。監視装置300は、バッテリを備えることで、電源サーバからの電力の供給が無くとも動作することが可能となる。
【0109】
以上、本発明の一実施形態にかかる監視装置300の構成についてせつめいした。監視装置300は、バスライン10の電圧が、サーバ−クライアント間でネゴシエートされた状況に対応しているか否かを知るために、バスライン10のパケットを監視する。即ち、サーバ、クライエント間のネゴシエーションをモニタし、現状の電圧がこのネゴシエーションの結果に合っているか否かを判定する。従って、バスライン10の(不完全)短絡のように、電力供給システム1で発生したトラブルを検出することができる。その結果、トラブルが発生したサーバやクライアントのそれぞれに対して、システム離脱要求を送信したり、ブロードキャストしたりすることができる。
【0110】
監視装置300のこのような動作は、本来は上述したような構成を有するサーバ、クライアント間で実行される筈であるが、サーバやクライアントは電力的にバスライン10に接続されているので、故障発生時にサーバやクライアント自体が破壊される可能性が高い。この監視装置300は、自己が使用する電源(例えば小型のバッテリ)を用意していて、バスライン10とは信号レベルでしか接続されないので、システムトラブルが発生した場合であっても生き残る可能性が高い。従って、監視装置300はサーバやクライアント等の他のデバイスに対して、非常停止(例えばシステム離脱要求パケットの送信処理)を確実に実行する可能性が高く、システムのロバストネスを高めることができる。
【0111】
逆に言えば、監視装置300は電力供給システム1に接続されているデバイスに対する要求は最小にとどめ、非常事態が発生した場合にのみ動作する。例えば、監視装置300はバスライン10を流れる同期パケットを監視し、同期パケットが消滅した時にその後の処理を各デバイスに送信する方法もあり得る。しかし、同期パケットが消滅した後の処理は電力供給システム1にぶら下がる各デバイスの動作に任せ、監視装置300はシステムに対してはあまり干渉しないようにすることが望ましい。
【0112】
一方、外部表示手段や通信手段からなる通知部310により、監視装置300は、現在のシステムの状態の表示や誤動作を示した履歴、または現在動作が不安定と思われるデバイスを特定したり、その内容等をシステムの管理者等に対して送信したりすることができる。システムの管理者は通知部310が通知した内容を見て、システムの故障箇所の特定や、システムの故障の予想が可能となる。
【0113】
一例として、電力供給システム1に接続されている特定のサーバ、クライアント間のインピーダンス履歴をグラフ表示することで、それがどの程度安定しているか、または不安定性が増加しているかを予想することができる。もちろんシステム自体もインピーダンス履歴を認識し、インピーダンスの上昇を認めたならば、電流制限を大きくするような自動動作を行っても良いが、インピーダンス履歴を時系列で表示するために監視装置300を用いてもよい。
【0114】
以上説明したように本発明の一実施形態によれば、電力供給システム1に接続されているサーバやクライアントにおいて自己診断処理を実行することが可能となり、自己診断処理によって、短絡やクラッシュが電力供給システム1にぶら下がっている装置の内、どの装置で発生しているかを発見することができる。また、電力供給システム1の動作状況を目に見える形で表示したり、音で通知したりすることで、電力供給システム1の異常の発生を素早く検知したり、故障予測を行ったりすることができる。
【0115】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【産業上の利用可能性】
【0116】
本発明は、電力供給装置、電力受電装置、電力供給システム及び障害復帰方法に適用可能であり、特にバスラインに電力と情報とを重畳させることで電力を供給する電力供給装置、電力受電装置、電力供給システム及び障害復帰方法に適用可能である。
【符号の説明】
【0117】
1 電力供給システム
100 電源サーバ
101 コネクタ
102、106 接続線
103 主スイッチ
104 モデム
105 マイクロプロセッサ
107 電力供給源
108 電流センサ
109 ヒューズ
200 クライアント
201 コネクタ
202、206 接続線
203 主スイッチ
204 モデム
205 マイクロプロセッサ
208 電流センサ
209 ヒューズ
210 負荷
211 チャージ制御回路
212 バッテリ
300 監視装置
301 コネクタ
302 接続線
304 モデム
305 マイクロプロセッサ
310 通知部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力供給についての合意を確立した他の装置へ、周期的に繰り返される予め定めた電力供給区間において該他の装置と合意した電力をバスラインへ供給する電力供給部と、
前記電力供給部が電力を供給する前記他の装置との間で情報を表す情報信号を無線で送受信する情報通信部と、
前記電力供給部からの電力の出力及び前記情報通信部が出力する情報を制御する制御部と、
前記バスラインのインピーダンスを所定の周期で計測するインピーダンス計測部と、
を備える、電力供給装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記インピーダンス計測部による前記バスラインのインピーダンスの計測の結果、予め定めた正常値の範囲を外れていた場合には、前記電力供給部から電力の供給を受けている他の装置に対して自己診断処理の開始を指示する、請求項1に記載の電力供給装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記インピーダンス計測部による前記バスラインのインピーダンスの計測の結果、予め定めた正常値の範囲を外れていた場合には、自身に対して自己診断処理の開始を指示する、請求項1に記載の電力供給装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記自己診断処理の結果、自身に異常が生じていることが判明した場合には、前記電力出力部からの電力供給を停止する、請求項3に記載の電力供給装置。
【請求項5】
電力供給についての合意を確立した他の装置から、周期的に繰り返される予め定めた電力供給区間において該他の装置と合意した電力をバスラインから受電する電力受電部と、
前記電力受電部が電力を受電する前記他の装置との間で情報を表す情報信号を無線で送受信する情報通信部と、
前記情報通信部が出力する情報を制御する制御部と、
前記バスラインのインピーダンスを所定の周期で計測するインピーダンス計測部と、
を備える、電力受電装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記インピーダンス計測部による前記バスラインのインピーダンスの計測の結果、予め定めた正常値の範囲を外れていた場合には、電力を供給している他の装置に対してインピーダンスが異常である旨の通知の送信を前記通信部へ指示する、請求項5に記載の電力受電装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記インピーダンス計測部による前記バスラインのインピーダンスの計測の結果、予め定めた正常値の範囲を外れていた場合には、自身に対して自己診断処理の開始を指示する、請求項5に記載の電力受電装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記自己診断処理の結果、自身に異常が生じていることが判明した場合には、電力の受電の停止する旨の通知の送信を前記通信部へ指示する、請求項7に記載の電力受電装置。
【請求項9】
バスラインへ所定のタイミングで電力を出力する電源サーバと、
前記バスラインを介して前記電源サーバが出力する電力を受電するクライアントと、
を備え、
前記電源サーバは、
電力供給についての合意を確立した他の装置へ、周期的に繰り返される予め定めた電力供給区間において該他の装置と合意した電力を供給する電力供給部と、
前記電力供給部が電力を供給する前記他の装置との間で情報を表す情報信号を無線で送受信する情報通信部と、
前記電力供給部からの電力の出力及び前記情報通信部が出力する情報を制御する制御部と、
前記バスラインのインピーダンスを所定の周期で計測するインピーダンス計測部と、
を含み、前記クライアントは、
電力供給についての合意を確立した他の装置から、周期的に繰り返される予め定めた電力供給区間において該他の装置と合意した電力を受電する電力受電部と、
前記電力受電部が電力を受電する前記他の装置との間で情報を表す情報信号を無線で送受信する情報通信部と、
前記情報通信部が出力する情報を制御する制御部と、
前記バスラインのインピーダンスを所定の周期で計測するインピーダンス計測部と、
を含む、電力供給システム。
【請求項10】
電力供給についての合意を確立した他の装置へ、周期的に繰り返される予め定めた電力供給区間において該他の装置と合意した電力をバスラインへ供給する電力供給ステップと、
前記電力供給ステップで電力を供給する前記他の装置との間で情報を表す情報信号を無線で送受信する情報通信ステップと、
前記電力供給ステップで出力する電力及び前記情報通信ステップが出力する情報を制御する制御ステップと、
前記バスラインのインピーダンスを所定の周期で計測するインピーダンス計測ステップと、
を備える、障害復帰方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−100347(P2011−100347A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−255233(P2009−255233)
【出願日】平成21年11月6日(2009.11.6)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】