電力変換装置
【課題】コンデンサの温度上昇を抑制しやすい電力変換装置を提供する。
【解決手段】電力変換装置1は、複数の半導体モジュール2と、正極バスバー3と、負極バスバー4と、コンデンサ5と、放電抵抗6とを備える。半導体モジュール2は、半導体素子を封止した本体部20と、該本体部20から突出した正極端子21aおよび負極端子21bを備える。正極バスバー3は正極端子21aに接続しており、負極バスバー4は負極端子21bに接続している。コンデンサ5は、正極バスバー3および負極バスバー4に接続し、半導体モジュール2に加わる電圧を平滑化している。放電抵抗6には、コンデンサ5の放電電流が流れる。放電抵抗6は、正極バスバー3および負極バスバー4に接続されている。
【解決手段】電力変換装置1は、複数の半導体モジュール2と、正極バスバー3と、負極バスバー4と、コンデンサ5と、放電抵抗6とを備える。半導体モジュール2は、半導体素子を封止した本体部20と、該本体部20から突出した正極端子21aおよび負極端子21bを備える。正極バスバー3は正極端子21aに接続しており、負極バスバー4は負極端子21bに接続している。コンデンサ5は、正極バスバー3および負極バスバー4に接続し、半導体モジュール2に加わる電圧を平滑化している。放電抵抗6には、コンデンサ5の放電電流が流れる。放電抵抗6は、正極バスバー3および負極バスバー4に接続されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放電抵抗を備えた電力変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、直流電力と交流電力との間で電力変換を行うための電力変換装置(下記特許文献1参照)が知られている。電力変換装置は、スイッチング素子を内蔵した半導体モジュールと、該半導体モジュールに加わる電圧を平滑化するためのコンデンサとを備える。
【0003】
図15に示すごとく、コンデンサ95は、ケース92と、該ケース92内に収容したコンデンサ素子(図示しない)と、該コンデンサ素子をケース92内に封止する封止部材93とを備える。コンデンサ素子には一対の接続端子94が接続している。接続端子94の一部は、封止部材93から突出している。接続端子94は、図示しない直流電源および半導体モジュールに、電気的に接続している。
【0004】
また、接続端子94には、放電抵抗96が接続している。コンデンサ95の放電電流Iを放電抵抗96に流すことにより、コンデンサ素子に蓄えた電荷を放電するようになっている。図15に示すごとく、コンデンサ95と放電抵抗96との間には、リレー等が介在していない。すなわち、このコンデンサ95は、電力変換装置を使用している間も放電抵抗96に放電電流Iを流し続け、コンデンサ素子に蓄えた電荷を少しずつ、常に放電している。
【0005】
コンデンサ95と放電抵抗96との間にリレーを設け、電力変換装置の使用を停止した後にのみリレーをオンにして放電することも可能であるが、この場合、リレーが故障すると、放電できなくなることがある。そこで、上述のように、リレーを設けず、常に放電電流Iを流すようにすれば、電力変換装置を使用した後、コンデンサ95を確実に放電することができる。そのため、感電事故等をより確実に防止することができる。
【0006】
このように、電力変換装置を使用している間は、放電抵抗96には放電電流Iが常に流れ、放電抵抗96は常に発熱する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−42498号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来の電力変換装置は、コンデンサ95の接続端子94と、放電抵抗96とをワイヤー91によって直接接続しているため、上記のように放電抵抗96から常時発生している熱がワイヤー91を通ってコンデンサ95に伝わりやすいという問題があった。そのため、コンデンサ95の温度が上昇しやすい構造になっていた。温度が上昇すると、コンデンサ95の寿命が短くなる等の不具合が生じる。そのため、コンデンサの温度上昇を抑制できる電力変換装置が望まれていた。
【0009】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたもので、コンデンサの温度上昇を抑制しやすい電力変換装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、半導体素子を封止した本体部からパワー端子が突出した複数の半導体モジュールを有する電力変換装置であって、
上記パワー端子には、直流電源の正電極に接続される正極端子と、上記直流電源の負電極に接続される負極端子とがあり、
金属板からなり、上記正極端子および上記負極端子にそれぞれ接続した正極バスバーおよび負極バスバーと、
上記正極バスバーおよび上記負極バスバーに接続し、上記半導体モジュールに加わる電圧を平滑化するコンデンサと、
該コンデンサの放電電流が流れる放電抵抗とを備え、
該放電抵抗は、上記正極バスバーおよび上記負極バスバーに接続されていることを特徴とする電力変換装置にある(請求項1)。
【発明の効果】
【0011】
上記電力変換装置においては、平滑用のコンデンサを接続した正極バスバーおよび負極バスバーに、放電抵抗を接続してある。それゆえ、正極バスバー及び負極バスバーを通じてコンデンサの放電電流を放電抵抗へ流すことができる。そして、放電電流が流れて放電抵抗が発熱しても、コンデンサの温度が上昇しにくくなる。すなわち、放電抵抗から発生した熱は正極バスバー及び負極バスバーに伝わり、その熱の多くは正極バスバー及び負極バスバーから放熱される。また、正極バスバーおよび負極バスバーは金属板からなり、熱容量が大きいため、放電抵抗から発生した熱がこれらのバスバーに伝わっても、バスバーの温度はあまり上昇しない。そのため、バスバーに接続されたコンデンサの温度も上昇しにくい。
【0012】
以上のごとく、本例によれば、コンデンサの温度上昇を抑制しやすい電力変換装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施例1における、電力変換装置の平面図。
【図2】図1のA−A断面図。
【図3】図1の要部拡大図。
【図4】図3のC−C断面図。
【図5】図1のB−B断面図。
【図6】実施例1における、正極バスバーおよび絶縁樹脂体を取り除いた電力変換装置の平面図。
【図7】実施例1における、正極バスバーと、負極バスバーと、放電抵抗とを取り除いた電力変換装置の平面図。
【図8】実施例1における、半導体モジュールと冷媒流路を一体化した例。
【図9】実施例2における、電力変換装置の平面図。
【図10】実施例3における、電力変換装置の平面図。
【図11】図10の要部拡大図。
【図12】実施例3における、フレームの平面図。
【図13】実施例3における、放電抵抗の斜視図。
【図14】実施例4における、電力変換装置の要部拡大図。
【図15】従来例における、放電抵抗とコンデンサの接続構造を表した斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
上記電力変換装置は、例えば、電気自動車やハイブリッド車に搭載され、車載バッテリーから供給される直流電力を交流電力に変換するための車載用電力変換装置とすることができる。
【0015】
上記電力変換装置において、上記半導体モジュールは冷却器によって冷却されていることが好ましい(請求項2)。
この場合には、冷却器を使って冷却した半導体モジュールに、正極バスバーおよび負極バスバーが接続することになる。そのため、これらのバスバーを、半導体モジュールを介して、冷却器によって冷却することが可能になる。これにより、放電抵抗から発生した熱が、バスバーを伝わる際に冷却されやすくなり、コンデンサの温度上昇を抑制しやすくなる。
【0016】
また、上記半導体モジュールを冷却する冷媒が流れる複数の冷媒流路を備え、該複数の冷媒流路と上記複数の半導体モジュールとが積層して積層体を構成しており、複数の上記冷媒流路のうち、上記積層体の積層方向における一方の端部に位置する冷媒流路には、該冷媒流路に上記冷媒を導入するための導入パイプと、上記冷媒流路から上記冷媒を導出するための導出パイプとが設けられ、上記複数の冷媒流路と、上記導入パイプと、上記導出パイプとによって上記冷却器が構成されていることが好ましい(請求項3)。
この場合には、半導体モジュールと冷媒流路とが積層されているため、半導体モジュールを上記積層方向における両側から冷却することができ、半導体モジュールの冷却効率を上げることが可能となる。そのため、半導体モジュールに接続されている正極バスバーおよび負極バスバーも冷却しやすくなる。これにより、放電抵抗から発生した熱が、バスバーを伝わる際に冷却されやすくなり、コンデンサの温度上昇をより抑制しやすくなる。
【0017】
また、上記正極バスバーおよび上記負極バスバーは、上記パワー端子に接続した複数のパワー用接続端子と、該複数のパワー用接続端子に対して上記積層方向に隣接する位置に設けられ上記放電抵抗に接続した抵抗用接続端子とをそれぞれ有し、上記複数のパワー用接続端子と上記抵抗用接続端子とが、上記積層方向において一定のピッチで配設されていることが好ましい(請求項4)。
この場合には、上記複数のパワー用接続端子と上記抵抗用接続端子とが一定のピッチで配設されているため、電力変換装置の製造時に、パワー用接続端子をパワー端子に接続する工程と、抵抗用接続端子を放電抵抗に接続する工程とを、連続して行うことができる。そのため、これらの接続工程を短時間で行うことが可能になる。また、これらの接続工程を別々の設備で行う必要がなくなり、1つの設備で行うことが可能となる。そのため、設備の数を少なくすることができ、電力変換装置の製造コストを低減できる。
【0018】
また、上記正極バスバーおよび上記負極バスバーは、上記パワー端子に接続するための複数のパワー用接続端子を備え、該複数のパワー用接続端子のうち上記積層方向における一端に位置するパワー用接続端子には、上記放電抵抗の端子が上記パワー端子と共に接続していることが好ましい(請求項5)。
この場合には、電力変換装置の製造時に、上記積層方向における一端に位置するパワー端子と、放電抵抗の端子とを、バスバーに同時に接続できる。そのため、接続工程に要する時間を短くすることができる。また、バスバーに、放電抵抗に接続するための専用の部位を設ける必要がなくなるため、バスバーを小型化できると共に、バスバーの製造コストを低減することができる。
【0019】
また、上記複数の半導体モジュールと上記冷却器とを固定する金属製のフレームを備え、該フレームは上記冷却器によって冷却され、上記フレームに上記放電抵抗が取り付けられていることが好ましい(請求項6)。
この場合には、冷却器を使って、フレームを介して、放電抵抗を冷却することが可能になる。したがって、放電抵抗の温度が上昇しにくくなり、放電抵抗からコンデンサへ伝わる熱を低減できる。そのため、コンデンサの温度上昇を抑制しやすくなる。
【0020】
また、上記フレームは、上記パワー端子の突出方向に開口した抵抗収納穴を有し、該抵抗収納穴に上記放電抵抗が収納されていることが好ましい(請求項7)。
この場合には、放電抵抗は、抵抗収納穴の内面によって周囲を囲まれるため、放電抵抗から発生した熱が周囲に逃げやすくなる。そのため、放電抵抗の温度が上昇しにくくなり、放電抵抗からコンデンサへ伝わる熱を低減できる。これにより、コンデンサの温度上昇をより効果的に抑制することが可能となる。
【0021】
また、上記パワー端子の突出方向から見た場合に、上記放電抵抗の少なくとも一部が上記冷却器と重複していることが好ましい(請求項8)。
この場合には、冷却器の近くに放電抵抗を配置できるため、冷却器を使って放電抵抗を冷却することが可能になる。そのため、放電抵抗の温度が上昇しにくくなり、放電抵抗からコンデンサへ伝わる熱を低減できる。そのため、コンデンサの温度上昇を抑制しやすくなる。
【0022】
また、上記複数の半導体モジュールと上記冷却器とを固定する金属製のフレームを備え、該フレームは上記冷却器によって冷却され、上記正極バスバーと上記負極バスバーとの間に介在して両者の絶縁を図ると共に上記フレームに固定された絶縁樹脂体に、上記放電抵抗が搭載されていることが好ましい(請求項9)。
この場合には、冷却器を使って、フレーム及び絶縁樹脂体を通じて放電抵抗を冷却できる。したがって、放電抵抗の温度が上昇しにくくなり、放電抵抗からコンデンサへ伝わる熱を低減できる。そのため、コンデンサの温度上昇を抑制しやすくなる。また、放電抵抗を搭載した絶縁樹脂体は、正極バスバーと負極バスバーとの絶縁を図るための部材でもあり、一つで二つの機能を有している。そのため、電力変換装置の部品点数を低減でき、製造コストを下げることが可能になる。
【0023】
また、複数の上記正極端子および複数の上記負極端子は、上記本体部からそれぞれ同一方向に突出しており、上記正極端子と上記正極バスバーとを接続した正極接続部と、上記負極端子と上記負極バスバーとを接続した負極接続部と、上記バスバーと上記放電抵抗とを接続した抵抗接続部とは、上記冷却器に対して、上記正極端子および上記負極端子の突出方向における同一方向側に位置していることが好ましい(請求項10)。
この場合には、上記正極接続部と、上記負極接続部と、上記抵抗接続部とが、冷却器に対して上記突出方向における同一方向側に位置しているため、電力変換装置の製造時において、これらの接続部を溶接等によって接続する際に、同一方向から全ての接続部の接続作業を行うことが可能になる。そのため、接続部ごとに、電力変換装置の向きを変える必要がなくなり、電力変換装置を製造しやすくなる。
【実施例】
【0024】
(実施例1)
本発明の実施例にかかる電力変換装置につき、図1〜図8を使って説明する。図1、図2に示すごとく、本例の電力変換装置1は、複数の半導体モジュール2と、正極バスバー3と、負極バスバー4と、コンデンサ5と、放電抵抗6とを備える。
半導体モジュール2は、半導体素子を封止した本体部20を有する。この本体部20から複数のパワー端子21が突出している。パワー端子21には、直流電源(図示しない)の正電極に接続される正極端子21aと、直流電源の負電極に接続される負極端子21bと、交流負荷に接続される交流端子21cとがある。
【0025】
正極バスバー3および負極バスバー4は金属板からなる。正極バスバー3は正極端子21aに接続しており、負極バスバー4は負極端子21bに接続している。
コンデンサ5は、正極バスバー3および負極バスバー4に接続し、半導体モジュール2に加わる電圧を平滑化している。
放電抵抗6には、コンデンサ5の放電電流が流れる。放電抵抗6は、正極バスバー3および負極バスバー4に接続されている。
【0026】
図1に示すごとく、電力変換装置1は、半導体モジュール2を冷却する冷媒16が流れる複数の冷媒流路70を備える。冷媒流路70は、冷却管71内に形成されている。そして、複数の冷却管71(冷媒流路70)と複数の半導体モジュール2とが積層して積層体10を構成している。複数の冷却管71のうち、積層体10の積層方向(X方向)における一方の端部に位置する冷却管71aには、冷媒流路70に冷媒16を導入するための導入パイプ72と、冷媒流路70から冷媒16を導出するための導出パイプ73とが設けられている。複数の冷媒流路70と、導入パイプ72と、導出パイプ73とによって冷却器7が構成されている。導入パイプ72から冷媒16を導入すると、冷媒16は複数の冷媒流路70内に分配されて流れ、導出パイプ73から導出する。これにより、複数の半導体モジュール2を冷却している。
【0027】
図2に示すごとく、半導体モジュール2は、パワー端子21a〜21cの他に、複数の制御端子22を備える。制御端子は、制御回路基板15に接続している。この制御回路基板15を使って、半導体モジュール2内の半導体素子のスイッチング動作を制御することにより、正極端子21aと負極端子21bとの間に印加される直流電圧を交流電圧に変換し、交流端子21cから出力している。
【0028】
図1に示すごとく、複数の正極端子21aに正極バスバー3が接続している。正極バスバー3は、板状本体部38と、該板状本体部38から突出した複数のパワー用接続端子39とを備える。個々のパワー用接続端子39は、各半導体モジュール2の正極端子21aに接続している。
【0029】
また、図6に示すごとく、負極バスバー4も同様の構造になっている。すなわち、負極バスバー4は、板状本体部48と、該板状本体部48から突出したパワー用接続端子49とを備える。個々のパワー用接続端子49は、パワー端子21の突出方向(Z方向:図2参照)と、積層体10の積層方向(X方向)との双方に直交する方向(Y方向)に延出している。そして、パワー用接続端子49は、正極端子21aと負極端子21bとの間を通り、負極端子21bに接続している。
【0030】
なお、半導体モジュール2における、正極端子21aと負極端子21bの位置は、逆にしてもよい。
【0031】
本例の電力変換装置1は、積層体10を固定するための金属製のフレーム8を備える。図7に示すごとく、フレーム8はZ方向から見た場合の形状が略矩形状であり、積層体10を固定するための積層体固定部81と、コンデンサ5を収容するための収容凹部50とを備える。フレーム8における、X方向に直交する内面82,83のうち、導入パイプ72および導出パイプ73を設けた側の内面82(一方の内面82)と、積層体10との間には、ばね部材14が設けられている。ばね部材14を使って、積層体10をX方向に押圧し、他方の内面83に押し付けることにより、積層体10をフレーム8内に固定している。ばね部材14と積層体10との間には、ばね部材14の弾性力によって冷却管71aが凹むことを防止するための補強板17が設けられている。
【0032】
また、積層体10を構成する複数の冷却管71のうち、パイプ72,73を取り付けた冷却管71aとはX方向における反対側に位置する冷却管71bは、フレーム8の他方の内面83に接触している。そのためフレーム8は、冷却管71bによって冷却される。
【0033】
なお、本例では、フレーム8における一方の内面82と積層体10との間にばね部材14を設けたが、他方の内面83と積層体10との間にばね部材14を設けてもよい。この場合、フレーム8は、一方の内面82に向けて押圧されることになる。また、本例では、ばね部材14と積層体10との間には、補強板17しか設けていないが、これらの間にリアクトル等の、他の電子部品を介在させてもよい。
【0034】
図2に示すごとく、フレーム8の収容凹部50には、コンデンサケース55が嵌合している。このコンデンサケース55に、コンデンサ素子53が収容され、封止部材54によって封止されている。コンデンサケース55は、Z方向における、パワー端子21の突出側に開口している。コンデンサケース55の開口端縁550は、Z方向において、パワー端子21の先端部210よりも、収容凹部50の底部510から離れた位置に存在している。
【0035】
本例では、コンデンサ素子53としてフィルムコンデンサを用いている。コンデンサ素子53の両端面は、電気的接続を行うための電極面530,531になっている。この電極面530,531に、接続端子51,52が接続している。接続端子51,52は、ボルト57,58(図1参照)によって、バスバー3,4にそれぞれ締結されている。これにより、バスバー3,4とコンデンサ素子53とを電気的に接続している。
【0036】
コンデンサ素子53の電極面530,531のうち、収納凹部50の底部510に近い側にある電極面531は正側の電極面であり、底部510から遠い位置にある電極面530は負側の電極面である。
電極面531には正側接続端子51が接続している。正側接続端子51は、第1部分51aと、第2部分51bと、第3部分51cと、第4部分51dと、第5部分51eとからなる。第1部分51aは、正側の電極面531に接続している。第2部分51bは、第1部分51aの、Y方向における半導体モジュール2側の端部からZ方向に立設し、コンデンサケース55の開口端縁550を超える位置まで延びている。第3部分51cは、第2部分51bからY方向に延び、開口端縁550を跨いでいる。第4部分51dは、第3部分51cからZ方向における底部510側に延びている。また、第5部分51eは、第4部分51dから、Y方向における半導体モジュール2側に延出している。この第5部分51eは、ボルト57によって、正極バスバー3に締結されている。
【0037】
コンデンサ素子53の負側の電極面530には、負側接続端子52が接続している。負側接続端子52の構造は、正側接続端子51の構造と略同一である。図1に示すごとく、正極バスバー3の板状本体部38には、Z方向に貫通した貫通部580が形成されている。この貫通部580において、ボルト58を使って、負側接続端子52を負極バスバー4に締結している。
【0038】
図2、図5に示すごとく、負極バスバー4の板状本体部48は、絶縁樹脂体30に覆われている。そして、この絶縁樹脂体30に、正極バスバー3の板状本体部38が載置されている。絶縁樹脂体30によって、正極バスバー3と負極バスバー4とを電気的に絶縁している。
【0039】
図5に示すごとく、絶縁樹脂体30の一部は、負極バスバー4を覆っておらず、放電抵抗6を搭載するための抵抗搭載板300になっている。また、図1、図5に示すごとく、抵抗搭載板300は、負極バスバー4を被覆する部分(被覆部301)からX方向における導入パイプ72側に延出した第1部分300aと、該第1部分300aからY方向における導出パイプ16側に延出した第2部分300bとからなる。抵抗搭載板300は、締結部材32によってフレーム8に締結されている。
【0040】
図3に示すごとく、放電抵抗6は、セラミックからなる枠体63と、該枠体63内に収納された電気抵抗体(図示しない)と、該電気抵抗体を枠体63内に封止するセメント64とを備える。枠体63から、電気抵抗体の端子61,62がX方向の同一方向に延出している。また、枠体63は略長方形状に形成され、一対の被固定部310を備える。被固定部310は、Z方向から見た形状が半円状であり、それぞれ枠体63の短辺L1,L2からY方向に向かって互いに反対側に突出している。この被固定部310において、放電抵抗6を絶縁樹脂体30(抵抗搭載板300)に固定している。
【0041】
図4に示すごとく、絶縁樹脂体30は、Z方向における放電抵抗6側に突出した一対のボス33を有する。ボス33の中心から、Z方向に向かって一対の固定ピン34が突出している。また、放電抵抗6の被固定部310には、Z方向に貫通した固定用貫通孔35が形成されている。固定ピン34は、固定用貫通孔35に挿通している。また、固定ピン34の先端340は、放電抵抗6における絶縁樹脂体30とは反対側の表面65から突出している。この先端340は、熱を加えて溶融変形した熱かしめ部31になっている。熱かしめ部31の外径は、固定用貫通孔35の内径よりも大きい。そして、熱かしめ部31とボス33との間で、放電抵抗6をZ方向に挟持することにより、放電抵抗6を固定している。
【0042】
放電抵抗6に放電電流を流すと、上記電気抵抗体を封止した部分(発熱部分69)が発熱する。本例では、ボス33を設けることにより、発熱部分69と絶縁樹脂体30との間に隙間dを形成している。これにより、放電抵抗6の発熱による、絶縁樹脂体30への影響を少なくしている。
【0043】
また、図3に示すごとく、放電抵抗6の正側の端子61は正極バスバー3に接続し、負側の端子62は負極バスバー4に接続している。バスバー3,4は、端子61,62に接続するための接続体37,47をそれぞれ有する。正極バスバー3の接続体37は、板状本体部38から放電抵抗6に向かってX方向に延出する第1部分371と、該第1部分371の先端からY方向におけるコンデンサ5(図1参照)とは反対側に延出する第2部分372とを備える。第2部分372は端子61と接続している。また、負極バスバー4の接続体47も同様の構造をしており、パワー用接続端子49からX方向に延出する第1部分471と、該第1部分471の先端からY方向に延出する第2部分472とを備える。第2部分472は端子62と接続している。
【0044】
図3に示すごとく、本例では、バスバー3,4と放電抵抗6とは直接接続しており、これらの間にリレー等が介在していない。すなわち、本例では、電力変換装置1を使用している間も放電抵抗6に放電電流を流し続け、コンデンサ素子53に蓄えた電荷を少しずつ、常に放電している。
【0045】
コンデンサ5と放電抵抗6との間にリレーを設け、電力変換装置の使用を停止した後にのみリレーをオンにして放電することも可能であるが、この場合、リレーが故障すると、放電できなくなることがある。そこで、本例のように、リレーを設けず、常に放電電流を流すようにすれば、電力変換装置1を使用した後、コンデンサ5を確実に放電することができる。そのため、感電事故等をより確実に防止することができる。
したがって、電力変換装置1を使用している間は、放電抵抗6に放電電流が常に流れ続け、放電抵抗6は常に発熱する。
【0046】
図5に示すごとく、バスバー3,4と放電抵抗6とを接続した部分(抵抗接続部13)は、Z方向において、冷却器7に対して制御回路基板15の反対側に位置している。また、正極バスバー3と正極端子21aとを接続した部分(正極接続部11)も、Z方向において、冷却器7に対して制御回路基板15の反対側に位置している。さらに、負極バスバー4と負極端子21bとを接続した部分(負極接続部12)も、Z方向において、冷却器7に対して制御回路基板15の反対側に位置している。すなわち、抵抗接続部13と、正極接続部11と、負極接続部12とは、それぞれZ方向における同一方向側に位置している。
【0047】
本例の作用効果について説明する。
図1に示すごとく、本例においては、平滑用のコンデンサ5を接続した正極バスバー3および負極バスバー4に、放電抵抗6を接続してある。それゆえ、正極バスバー3及び負極バスバー4を通じてコンデンサ5の放電電流を放電抵抗6へ流すことができる。そして、放電電流が流れて放電抵抗6が発熱しても、コンデンサ5の温度が上昇しにくくなる。すなわち、放電抵抗6から発生した熱は正極バスバー3及び負極バスバー4に伝わり、その熱の多くは正極バスバー3及び負極バスバー4から放熱される。また、正極バスバー3および負極バスバー4は金属板からなり、熱容量が大きいため、放電抵抗6から発生した熱がこれらのバスバー3,4に伝わっても、バスバー3,4の温度はあまり上昇しない。そのため、バスバー3,4に接続されたコンデンサ5の温度も上昇しにくい。
【0048】
また、本例では、半導体モジュール2は冷却器7によって冷却されている。
このようにすると、冷却器7を使って冷却した半導体モジュール2に、正極バスバー3および負極バスバー4が接続することになる。そのため、これらのバスバー3,4を、半導体モジュール2を介して、冷却器7によって冷却することが可能になる。これにより、放電抵抗6から発生した熱が、バスバー3,4を伝わる際に冷却されやすくなり、コンデンサ5の温度上昇をより抑制しやすくなる。
【0049】
また、図1に示すごとく、本例では、Z方向から見た場合に、放電抵抗6の一部が冷却器7と重複している。
このようにすると、冷却器7の近くに放電抵抗6を配置できるため、冷却器7を使って放電抵抗6を冷却することが可能になる。そのため、放電抵抗6の温度が上昇しにくくなり、放電抵抗6からコンデンサ5へ伝わる熱を低減できる。そのため、コンデンサ5の温度上昇を抑制しやすくなる。
【0050】
また、本例は、図1に示すごとく、複数の半導体モジュール2と冷却器7とを固定する金属製のフレーム8を備える。フレーム8は冷却器7の冷却管71bによって冷却される。また、正極バスバー3と負極バスバー4との間に介在して両者を絶縁すると共にフレーム8に固定された絶縁樹脂体30(図2、図5参照)に、放電抵抗6が搭載されている。
このようにすると、冷却器7を使って、フレーム8及び絶縁樹脂体30を通じて放電抵抗6を冷却できる。したがって、放電抵抗6の温度が上昇しにくくなり、放電抵抗6からコンデンサ5へ伝わる熱を低減できる。そのため、コンデンサ5の温度上昇を抑制しやすくなる。また、放電抵抗6を搭載した絶縁樹脂体30は、正極バスバー3と負極バスバー4との絶縁を図るための部材でもあり、一つで二つの機能を有している。そのため、電力変換装置1の部品点数を低減でき、製造コストを下げることが可能になる。
【0051】
また、図5に示すごとく、本例では、正極接続部11と、負極接続部12(図1参照)と、抵抗接続部13とは、冷却器7に対して、Z方向における同一方向側に位置している。
このようにすると、電力変換装置1の製造時において、これらの接続部11,12,13を溶接等によって接続する際に、同一方向から全ての接続部11,12,13の接続作業を行うことが可能になる。そのため、接続部11,12,13ごとに、電力変換装置1の向きを変える必要がなくなり、電力変換装置1を製造しやすくなる。
【0052】
また、本例では図1に示すごとく、複数の冷媒流路70と複数の半導体モジュール2とを積層して積層体10を構成してある。
このようにすると、半導体モジュール2を積層方向(X方向)における両側から冷却することができ、半導体モジュール2の冷却効率を上げることが可能となる。そのため、半導体モジュール2に接続されている正極バスバー3および負極バスバー4も冷却しやすくなる。これにより、放電抵抗6から発生した熱が、バスバー3,4を伝わる際に冷却されやすくなり、コンデンサ5の温度上昇をより抑制しやすくなる。
【0053】
以上のごとく、本例によれば、コンデンサの温度上昇を抑制しやすい電力変換装置を提供することができる。
【0054】
なお、本例では、冷媒流路70を内部に有する複数の冷却管71と、複数の半導体モジュール2とを積層して積層体10を構成したが、図8に示すごとく、半導体素子を内蔵した半導体モジュール2の本体部20を、積層方向(X方向)に直交する方向から間に空間を設けつつ囲むと共に、本体部20よりも積層方向(X方向)の幅の大きい枠部28を本体部20と一体に備えた冷却器一体型半導体モジュール78を積層することで、半導体モジュール2と冷媒流路70とが積層される構造にしてもよい。
【0055】
(実施例2)
本例は、放電抵抗6の取り付け構造を変更した例である。図9に示すごとく、本例の電力変換装置1は、実施例1と同様に、積層体10及びコンデンサ5を固定するための金属製のフレーム8を備える。本例では、放電抵抗6を絶縁樹脂体30に搭載せず、フレーム8に直接、搭載した。
その他、実施例1と同様の構成を備える。
【0056】
本例の作用効果について説明する。本例では、実施例1と同様に、冷却器7を使って、フレーム8を介して、放電抵抗6を冷却することができる。そのため、放電抵抗6の温度が上昇しにくくなり、放電抵抗6からコンデンサ5へ伝わる熱を低減できる。そのため、コンデンサ5の温度上昇を抑制しやすくなる。
【0057】
また、本例では、絶縁樹脂体30を介在させずに、放電抵抗6をフレーム8に直接、搭載している。そのため、放電抵抗6から発生する熱を、フレーム8によって冷却しやすくなる。これにより、コンデンサ5の温度上昇を一層、抑制しやすくなる。
その他、実施例1と同様の作用効果を備える。
【0058】
(実施例3)
本例は、放電抵抗の固定方法を変更した例である。本例では図12に示すごとく、フレーム8に、Z方向へ開口する抵抗収納穴85を形成した。そして図10、図11に示すごとく、この抵抗収納穴85に放電抵抗6を収納した。放電抵抗6は、抵抗収納穴85の内面850に接触している。
【0059】
実施例1と同様に、本例のバスバー3,4は、パワー端子21に接続した複数のパワー用接続端子39,49を備える。また、バスバー3,4は、放電抵抗6に接続した抵抗用接続端子36,46を有する。抵抗用接続端子36,46は、複数のパワー用接続端子に対してX方向に隣接する位置に設けられている。そして、複数のパワー用接続端子39,49と抵抗用接続端子36,46とは、X方向において一定のピッチで配設されている。パワー用接続端子39,49と、抵抗用接続端子36,46とは、形状が同一である。
【0060】
図12に示すごとく、フレーム8には、該フレーム8の側壁87から内側へ突出した矩形状の突部86を形成してある。そして、この突部86に、上記抵抗収納穴85が形成されている。図10に示すごとく、抵抗収納穴85は、Z方向から見た場合に、導入パイプ72と導出パイプ73との間に位置している。また、積層体10を構成する複数の冷却管71のうちX方向の一端に位置する冷却管71aは、突部86に接触している。
【0061】
放電抵抗6は、一対の端子61,62を備える。この端子61,62が、バスバー3,4の抵抗用接続端子36,46に接続している。また、放電抵抗6は、ボルト68によって、突部86に固定されている。
【0062】
図13に示すごとく、放電抵抗6は、セラミック製の封止部材60と、該封止部材60に封止された電気抵抗体(図示しない)と、端子61,62と、放熱板67とを備える。放熱板67は、封止部材60の主面に接触している。また、放熱板67から、2つの加締部671,672がX方向に突出している。この加締部671,672によって、封止部材60をY方向に加締めることにより、放熱板67を封止部材60に固定している。
【0063】
また、放熱板67の、Y方向における一端から、抵抗接続板673がX方向へ突出するよう形成されている。抵抗接続板673の先端には、ボルト挿通孔674がZ方向へ貫通するよう形成されている。このボルト挿通孔674にボルト68(図10参照)を挿入し、突部86(図12参照)に形成した螺子孔861に螺合することにより、放電抵抗6をフレーム8に固定してある。
【0064】
また、図13に示すごとく、放熱板67には係止部675が形成されている。係止部675は、封止部材60の側面600よりもY方向におけるコンデンサ5(図10参照)側へ突出している。放電抵抗6を抵抗収納穴85(図11参照)に収納すると、係止部675が突部86に係止する。このように本例では、係止部675を突部86に係止させた状態で、ボルト68を使って放電抵抗6をフレーム8に固定している。
【0065】
本例では、放電抵抗6を抵抗収納穴85に収納すると、抵抗収納穴85の内面850に、放電抵抗6の放熱板67が接触するようになっている。
【0066】
また、図13に示すごとく、放電抵抗6の2つの端子61,62は、それぞれ複数箇所において屈曲している。2つの端子61,62のうち、正極バスバー3に接続する端子61は、第1部分611〜第4部分614の4つの部分からなる。第1部分611は、封止部材60からZ方向に突出している。また、第2部分612は、第1部分611からX方向に延出している。さらに第3部分613は、第2部分612からY方向におけるコンデンサ5(図10参照)側へ延出している。そして第4部分614は、第3部分613からZ方向へ突出している。図11に示すごとく、この第4部分614を、抵抗用接続端子36に接続してある。
本例では、端子61を上記形状とすることにより、負極バスバーの抵抗用接続端子46に端子61が接触することを防止している。
【0067】
また、図13に示すごとく、放電抵抗6の2つの端子61,62のうち、負極バスバー3に接続する端子62は、第1部分621〜第3部分623の3つの部分からなる。第1部分621は、封止部材60からZ方向に突出している。第2部分622は、第1部分621からX方向に延出している。また、第3部分623は、第2部分622からZ方向に延出している。図11に示すごとく、この第3部分623を、抵抗用接続端子46に接続してある。
【0068】
正側の端子61の第4部分614と、負側の端子62の第3部分623とは、互いに平行であり、それぞれの先端は、Z方向における高さ位置が略同一である。
【0069】
一方、図10に示すごとく、フレーム8内には、ばね部材14が設けられている。ばね部材14は、フレーム8の、X方向に直交する2つの側壁87,88のうち、放電抵抗6を設けた側の側壁87とは反対側の側壁88と、積層体10との間に介在している。このばね部材14を使って、積層体10を突部86に向けて押圧することにより、半導体モジュール2と冷却管71との接触圧を確保しつつ、積層体10をフレーム8内に固定している。
その他、実施例1と同様の構成を備える。
【0070】
本例の作用効果について説明する。図10に示すごとく、本例ではフレーム8に抵抗収納穴85を形成し、この抵抗収納穴85に放電抵抗6を収納してある。
このようにすると、放電抵抗6は、抵抗収納穴85の内面850によって周囲を囲まれるため、放電抵抗6から発生した熱が周囲に逃げやすくなる。そのため、放電抵抗6の温度が上昇しにくくなり、放電抵抗6からコンデンサ5へ伝わる熱を低減できる。これにより、コンデンサ5の温度上昇をより効果的に抑制することが可能となる。
【0071】
また、本例のバスバー3,4は、図10に示すごとく、複数のパワー用接続端子39,49と、抵抗用接続端子36,46とを有する。そして、複数のパワー用接続端子39,49と抵抗用接続端子36,46とが、X方向に一定のピッチで配設されている。
このようにすると、電力変換装置1の製造時に、パワー用接続端子39,49をパワー端子21に接続する工程と、抵抗用接続端子36,46を放電抵抗6に接続する工程とを、連続して行うことができる。そのため、これらの接続工程を短時間で行うことが可能になる。また、これらの接続工程を1つの設備で行うことができるため、設備の数を減らすことができ、電力変換装置1の製造コストを低減することが可能になる。
その他、実施例1と同様の作用効果を有する。
【0072】
(実施例4)
本例は、バスバー3,4の形状を変更した例である。図14に示すごとく、本例のバスバー3,4は、パワー端子21に接続するための複数のパワー用接続端子39,49を備える。そして、複数のパワー用接続端子39,49のうちX方向における一端に位置するパワー用接続端子39a,49aには、放電抵抗6の端子61,62がパワー端子21と共に接続している。
このようにすると、電力変換装置1の製造時に、X方向における一端に位置する正極端子21aと、放電抵抗6の正側の端子61とを、正極バスバー3に同時に接続できる。また、同様に、X方向における一端に位置する負極端子21bと、放電抵抗6の負側の端子62とを、負極バスバー4に同時に接続できる。そのため、接続工程に要する時間を短くすることができる。また、バスバー3,4に、放電抵抗6に接続するための専用の部位を設ける必要がなくなるため、バスバー3,4を小型化できると共に、バスバー3,4の製造コストを低減することができる。
【符号の説明】
【0073】
1 電力変換装置
2 半導体モジュール
21 パワー端子
21a 正極端子
21b 負極端子
3 正極バスバー
4 負極バスバー
5 コンデンサ
6 放電抵抗
7 冷却器
8 フレーム
【技術分野】
【0001】
本発明は、放電抵抗を備えた電力変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、直流電力と交流電力との間で電力変換を行うための電力変換装置(下記特許文献1参照)が知られている。電力変換装置は、スイッチング素子を内蔵した半導体モジュールと、該半導体モジュールに加わる電圧を平滑化するためのコンデンサとを備える。
【0003】
図15に示すごとく、コンデンサ95は、ケース92と、該ケース92内に収容したコンデンサ素子(図示しない)と、該コンデンサ素子をケース92内に封止する封止部材93とを備える。コンデンサ素子には一対の接続端子94が接続している。接続端子94の一部は、封止部材93から突出している。接続端子94は、図示しない直流電源および半導体モジュールに、電気的に接続している。
【0004】
また、接続端子94には、放電抵抗96が接続している。コンデンサ95の放電電流Iを放電抵抗96に流すことにより、コンデンサ素子に蓄えた電荷を放電するようになっている。図15に示すごとく、コンデンサ95と放電抵抗96との間には、リレー等が介在していない。すなわち、このコンデンサ95は、電力変換装置を使用している間も放電抵抗96に放電電流Iを流し続け、コンデンサ素子に蓄えた電荷を少しずつ、常に放電している。
【0005】
コンデンサ95と放電抵抗96との間にリレーを設け、電力変換装置の使用を停止した後にのみリレーをオンにして放電することも可能であるが、この場合、リレーが故障すると、放電できなくなることがある。そこで、上述のように、リレーを設けず、常に放電電流Iを流すようにすれば、電力変換装置を使用した後、コンデンサ95を確実に放電することができる。そのため、感電事故等をより確実に防止することができる。
【0006】
このように、電力変換装置を使用している間は、放電抵抗96には放電電流Iが常に流れ、放電抵抗96は常に発熱する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−42498号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来の電力変換装置は、コンデンサ95の接続端子94と、放電抵抗96とをワイヤー91によって直接接続しているため、上記のように放電抵抗96から常時発生している熱がワイヤー91を通ってコンデンサ95に伝わりやすいという問題があった。そのため、コンデンサ95の温度が上昇しやすい構造になっていた。温度が上昇すると、コンデンサ95の寿命が短くなる等の不具合が生じる。そのため、コンデンサの温度上昇を抑制できる電力変換装置が望まれていた。
【0009】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたもので、コンデンサの温度上昇を抑制しやすい電力変換装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、半導体素子を封止した本体部からパワー端子が突出した複数の半導体モジュールを有する電力変換装置であって、
上記パワー端子には、直流電源の正電極に接続される正極端子と、上記直流電源の負電極に接続される負極端子とがあり、
金属板からなり、上記正極端子および上記負極端子にそれぞれ接続した正極バスバーおよび負極バスバーと、
上記正極バスバーおよび上記負極バスバーに接続し、上記半導体モジュールに加わる電圧を平滑化するコンデンサと、
該コンデンサの放電電流が流れる放電抵抗とを備え、
該放電抵抗は、上記正極バスバーおよび上記負極バスバーに接続されていることを特徴とする電力変換装置にある(請求項1)。
【発明の効果】
【0011】
上記電力変換装置においては、平滑用のコンデンサを接続した正極バスバーおよび負極バスバーに、放電抵抗を接続してある。それゆえ、正極バスバー及び負極バスバーを通じてコンデンサの放電電流を放電抵抗へ流すことができる。そして、放電電流が流れて放電抵抗が発熱しても、コンデンサの温度が上昇しにくくなる。すなわち、放電抵抗から発生した熱は正極バスバー及び負極バスバーに伝わり、その熱の多くは正極バスバー及び負極バスバーから放熱される。また、正極バスバーおよび負極バスバーは金属板からなり、熱容量が大きいため、放電抵抗から発生した熱がこれらのバスバーに伝わっても、バスバーの温度はあまり上昇しない。そのため、バスバーに接続されたコンデンサの温度も上昇しにくい。
【0012】
以上のごとく、本例によれば、コンデンサの温度上昇を抑制しやすい電力変換装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施例1における、電力変換装置の平面図。
【図2】図1のA−A断面図。
【図3】図1の要部拡大図。
【図4】図3のC−C断面図。
【図5】図1のB−B断面図。
【図6】実施例1における、正極バスバーおよび絶縁樹脂体を取り除いた電力変換装置の平面図。
【図7】実施例1における、正極バスバーと、負極バスバーと、放電抵抗とを取り除いた電力変換装置の平面図。
【図8】実施例1における、半導体モジュールと冷媒流路を一体化した例。
【図9】実施例2における、電力変換装置の平面図。
【図10】実施例3における、電力変換装置の平面図。
【図11】図10の要部拡大図。
【図12】実施例3における、フレームの平面図。
【図13】実施例3における、放電抵抗の斜視図。
【図14】実施例4における、電力変換装置の要部拡大図。
【図15】従来例における、放電抵抗とコンデンサの接続構造を表した斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
上記電力変換装置は、例えば、電気自動車やハイブリッド車に搭載され、車載バッテリーから供給される直流電力を交流電力に変換するための車載用電力変換装置とすることができる。
【0015】
上記電力変換装置において、上記半導体モジュールは冷却器によって冷却されていることが好ましい(請求項2)。
この場合には、冷却器を使って冷却した半導体モジュールに、正極バスバーおよび負極バスバーが接続することになる。そのため、これらのバスバーを、半導体モジュールを介して、冷却器によって冷却することが可能になる。これにより、放電抵抗から発生した熱が、バスバーを伝わる際に冷却されやすくなり、コンデンサの温度上昇を抑制しやすくなる。
【0016】
また、上記半導体モジュールを冷却する冷媒が流れる複数の冷媒流路を備え、該複数の冷媒流路と上記複数の半導体モジュールとが積層して積層体を構成しており、複数の上記冷媒流路のうち、上記積層体の積層方向における一方の端部に位置する冷媒流路には、該冷媒流路に上記冷媒を導入するための導入パイプと、上記冷媒流路から上記冷媒を導出するための導出パイプとが設けられ、上記複数の冷媒流路と、上記導入パイプと、上記導出パイプとによって上記冷却器が構成されていることが好ましい(請求項3)。
この場合には、半導体モジュールと冷媒流路とが積層されているため、半導体モジュールを上記積層方向における両側から冷却することができ、半導体モジュールの冷却効率を上げることが可能となる。そのため、半導体モジュールに接続されている正極バスバーおよび負極バスバーも冷却しやすくなる。これにより、放電抵抗から発生した熱が、バスバーを伝わる際に冷却されやすくなり、コンデンサの温度上昇をより抑制しやすくなる。
【0017】
また、上記正極バスバーおよび上記負極バスバーは、上記パワー端子に接続した複数のパワー用接続端子と、該複数のパワー用接続端子に対して上記積層方向に隣接する位置に設けられ上記放電抵抗に接続した抵抗用接続端子とをそれぞれ有し、上記複数のパワー用接続端子と上記抵抗用接続端子とが、上記積層方向において一定のピッチで配設されていることが好ましい(請求項4)。
この場合には、上記複数のパワー用接続端子と上記抵抗用接続端子とが一定のピッチで配設されているため、電力変換装置の製造時に、パワー用接続端子をパワー端子に接続する工程と、抵抗用接続端子を放電抵抗に接続する工程とを、連続して行うことができる。そのため、これらの接続工程を短時間で行うことが可能になる。また、これらの接続工程を別々の設備で行う必要がなくなり、1つの設備で行うことが可能となる。そのため、設備の数を少なくすることができ、電力変換装置の製造コストを低減できる。
【0018】
また、上記正極バスバーおよび上記負極バスバーは、上記パワー端子に接続するための複数のパワー用接続端子を備え、該複数のパワー用接続端子のうち上記積層方向における一端に位置するパワー用接続端子には、上記放電抵抗の端子が上記パワー端子と共に接続していることが好ましい(請求項5)。
この場合には、電力変換装置の製造時に、上記積層方向における一端に位置するパワー端子と、放電抵抗の端子とを、バスバーに同時に接続できる。そのため、接続工程に要する時間を短くすることができる。また、バスバーに、放電抵抗に接続するための専用の部位を設ける必要がなくなるため、バスバーを小型化できると共に、バスバーの製造コストを低減することができる。
【0019】
また、上記複数の半導体モジュールと上記冷却器とを固定する金属製のフレームを備え、該フレームは上記冷却器によって冷却され、上記フレームに上記放電抵抗が取り付けられていることが好ましい(請求項6)。
この場合には、冷却器を使って、フレームを介して、放電抵抗を冷却することが可能になる。したがって、放電抵抗の温度が上昇しにくくなり、放電抵抗からコンデンサへ伝わる熱を低減できる。そのため、コンデンサの温度上昇を抑制しやすくなる。
【0020】
また、上記フレームは、上記パワー端子の突出方向に開口した抵抗収納穴を有し、該抵抗収納穴に上記放電抵抗が収納されていることが好ましい(請求項7)。
この場合には、放電抵抗は、抵抗収納穴の内面によって周囲を囲まれるため、放電抵抗から発生した熱が周囲に逃げやすくなる。そのため、放電抵抗の温度が上昇しにくくなり、放電抵抗からコンデンサへ伝わる熱を低減できる。これにより、コンデンサの温度上昇をより効果的に抑制することが可能となる。
【0021】
また、上記パワー端子の突出方向から見た場合に、上記放電抵抗の少なくとも一部が上記冷却器と重複していることが好ましい(請求項8)。
この場合には、冷却器の近くに放電抵抗を配置できるため、冷却器を使って放電抵抗を冷却することが可能になる。そのため、放電抵抗の温度が上昇しにくくなり、放電抵抗からコンデンサへ伝わる熱を低減できる。そのため、コンデンサの温度上昇を抑制しやすくなる。
【0022】
また、上記複数の半導体モジュールと上記冷却器とを固定する金属製のフレームを備え、該フレームは上記冷却器によって冷却され、上記正極バスバーと上記負極バスバーとの間に介在して両者の絶縁を図ると共に上記フレームに固定された絶縁樹脂体に、上記放電抵抗が搭載されていることが好ましい(請求項9)。
この場合には、冷却器を使って、フレーム及び絶縁樹脂体を通じて放電抵抗を冷却できる。したがって、放電抵抗の温度が上昇しにくくなり、放電抵抗からコンデンサへ伝わる熱を低減できる。そのため、コンデンサの温度上昇を抑制しやすくなる。また、放電抵抗を搭載した絶縁樹脂体は、正極バスバーと負極バスバーとの絶縁を図るための部材でもあり、一つで二つの機能を有している。そのため、電力変換装置の部品点数を低減でき、製造コストを下げることが可能になる。
【0023】
また、複数の上記正極端子および複数の上記負極端子は、上記本体部からそれぞれ同一方向に突出しており、上記正極端子と上記正極バスバーとを接続した正極接続部と、上記負極端子と上記負極バスバーとを接続した負極接続部と、上記バスバーと上記放電抵抗とを接続した抵抗接続部とは、上記冷却器に対して、上記正極端子および上記負極端子の突出方向における同一方向側に位置していることが好ましい(請求項10)。
この場合には、上記正極接続部と、上記負極接続部と、上記抵抗接続部とが、冷却器に対して上記突出方向における同一方向側に位置しているため、電力変換装置の製造時において、これらの接続部を溶接等によって接続する際に、同一方向から全ての接続部の接続作業を行うことが可能になる。そのため、接続部ごとに、電力変換装置の向きを変える必要がなくなり、電力変換装置を製造しやすくなる。
【実施例】
【0024】
(実施例1)
本発明の実施例にかかる電力変換装置につき、図1〜図8を使って説明する。図1、図2に示すごとく、本例の電力変換装置1は、複数の半導体モジュール2と、正極バスバー3と、負極バスバー4と、コンデンサ5と、放電抵抗6とを備える。
半導体モジュール2は、半導体素子を封止した本体部20を有する。この本体部20から複数のパワー端子21が突出している。パワー端子21には、直流電源(図示しない)の正電極に接続される正極端子21aと、直流電源の負電極に接続される負極端子21bと、交流負荷に接続される交流端子21cとがある。
【0025】
正極バスバー3および負極バスバー4は金属板からなる。正極バスバー3は正極端子21aに接続しており、負極バスバー4は負極端子21bに接続している。
コンデンサ5は、正極バスバー3および負極バスバー4に接続し、半導体モジュール2に加わる電圧を平滑化している。
放電抵抗6には、コンデンサ5の放電電流が流れる。放電抵抗6は、正極バスバー3および負極バスバー4に接続されている。
【0026】
図1に示すごとく、電力変換装置1は、半導体モジュール2を冷却する冷媒16が流れる複数の冷媒流路70を備える。冷媒流路70は、冷却管71内に形成されている。そして、複数の冷却管71(冷媒流路70)と複数の半導体モジュール2とが積層して積層体10を構成している。複数の冷却管71のうち、積層体10の積層方向(X方向)における一方の端部に位置する冷却管71aには、冷媒流路70に冷媒16を導入するための導入パイプ72と、冷媒流路70から冷媒16を導出するための導出パイプ73とが設けられている。複数の冷媒流路70と、導入パイプ72と、導出パイプ73とによって冷却器7が構成されている。導入パイプ72から冷媒16を導入すると、冷媒16は複数の冷媒流路70内に分配されて流れ、導出パイプ73から導出する。これにより、複数の半導体モジュール2を冷却している。
【0027】
図2に示すごとく、半導体モジュール2は、パワー端子21a〜21cの他に、複数の制御端子22を備える。制御端子は、制御回路基板15に接続している。この制御回路基板15を使って、半導体モジュール2内の半導体素子のスイッチング動作を制御することにより、正極端子21aと負極端子21bとの間に印加される直流電圧を交流電圧に変換し、交流端子21cから出力している。
【0028】
図1に示すごとく、複数の正極端子21aに正極バスバー3が接続している。正極バスバー3は、板状本体部38と、該板状本体部38から突出した複数のパワー用接続端子39とを備える。個々のパワー用接続端子39は、各半導体モジュール2の正極端子21aに接続している。
【0029】
また、図6に示すごとく、負極バスバー4も同様の構造になっている。すなわち、負極バスバー4は、板状本体部48と、該板状本体部48から突出したパワー用接続端子49とを備える。個々のパワー用接続端子49は、パワー端子21の突出方向(Z方向:図2参照)と、積層体10の積層方向(X方向)との双方に直交する方向(Y方向)に延出している。そして、パワー用接続端子49は、正極端子21aと負極端子21bとの間を通り、負極端子21bに接続している。
【0030】
なお、半導体モジュール2における、正極端子21aと負極端子21bの位置は、逆にしてもよい。
【0031】
本例の電力変換装置1は、積層体10を固定するための金属製のフレーム8を備える。図7に示すごとく、フレーム8はZ方向から見た場合の形状が略矩形状であり、積層体10を固定するための積層体固定部81と、コンデンサ5を収容するための収容凹部50とを備える。フレーム8における、X方向に直交する内面82,83のうち、導入パイプ72および導出パイプ73を設けた側の内面82(一方の内面82)と、積層体10との間には、ばね部材14が設けられている。ばね部材14を使って、積層体10をX方向に押圧し、他方の内面83に押し付けることにより、積層体10をフレーム8内に固定している。ばね部材14と積層体10との間には、ばね部材14の弾性力によって冷却管71aが凹むことを防止するための補強板17が設けられている。
【0032】
また、積層体10を構成する複数の冷却管71のうち、パイプ72,73を取り付けた冷却管71aとはX方向における反対側に位置する冷却管71bは、フレーム8の他方の内面83に接触している。そのためフレーム8は、冷却管71bによって冷却される。
【0033】
なお、本例では、フレーム8における一方の内面82と積層体10との間にばね部材14を設けたが、他方の内面83と積層体10との間にばね部材14を設けてもよい。この場合、フレーム8は、一方の内面82に向けて押圧されることになる。また、本例では、ばね部材14と積層体10との間には、補強板17しか設けていないが、これらの間にリアクトル等の、他の電子部品を介在させてもよい。
【0034】
図2に示すごとく、フレーム8の収容凹部50には、コンデンサケース55が嵌合している。このコンデンサケース55に、コンデンサ素子53が収容され、封止部材54によって封止されている。コンデンサケース55は、Z方向における、パワー端子21の突出側に開口している。コンデンサケース55の開口端縁550は、Z方向において、パワー端子21の先端部210よりも、収容凹部50の底部510から離れた位置に存在している。
【0035】
本例では、コンデンサ素子53としてフィルムコンデンサを用いている。コンデンサ素子53の両端面は、電気的接続を行うための電極面530,531になっている。この電極面530,531に、接続端子51,52が接続している。接続端子51,52は、ボルト57,58(図1参照)によって、バスバー3,4にそれぞれ締結されている。これにより、バスバー3,4とコンデンサ素子53とを電気的に接続している。
【0036】
コンデンサ素子53の電極面530,531のうち、収納凹部50の底部510に近い側にある電極面531は正側の電極面であり、底部510から遠い位置にある電極面530は負側の電極面である。
電極面531には正側接続端子51が接続している。正側接続端子51は、第1部分51aと、第2部分51bと、第3部分51cと、第4部分51dと、第5部分51eとからなる。第1部分51aは、正側の電極面531に接続している。第2部分51bは、第1部分51aの、Y方向における半導体モジュール2側の端部からZ方向に立設し、コンデンサケース55の開口端縁550を超える位置まで延びている。第3部分51cは、第2部分51bからY方向に延び、開口端縁550を跨いでいる。第4部分51dは、第3部分51cからZ方向における底部510側に延びている。また、第5部分51eは、第4部分51dから、Y方向における半導体モジュール2側に延出している。この第5部分51eは、ボルト57によって、正極バスバー3に締結されている。
【0037】
コンデンサ素子53の負側の電極面530には、負側接続端子52が接続している。負側接続端子52の構造は、正側接続端子51の構造と略同一である。図1に示すごとく、正極バスバー3の板状本体部38には、Z方向に貫通した貫通部580が形成されている。この貫通部580において、ボルト58を使って、負側接続端子52を負極バスバー4に締結している。
【0038】
図2、図5に示すごとく、負極バスバー4の板状本体部48は、絶縁樹脂体30に覆われている。そして、この絶縁樹脂体30に、正極バスバー3の板状本体部38が載置されている。絶縁樹脂体30によって、正極バスバー3と負極バスバー4とを電気的に絶縁している。
【0039】
図5に示すごとく、絶縁樹脂体30の一部は、負極バスバー4を覆っておらず、放電抵抗6を搭載するための抵抗搭載板300になっている。また、図1、図5に示すごとく、抵抗搭載板300は、負極バスバー4を被覆する部分(被覆部301)からX方向における導入パイプ72側に延出した第1部分300aと、該第1部分300aからY方向における導出パイプ16側に延出した第2部分300bとからなる。抵抗搭載板300は、締結部材32によってフレーム8に締結されている。
【0040】
図3に示すごとく、放電抵抗6は、セラミックからなる枠体63と、該枠体63内に収納された電気抵抗体(図示しない)と、該電気抵抗体を枠体63内に封止するセメント64とを備える。枠体63から、電気抵抗体の端子61,62がX方向の同一方向に延出している。また、枠体63は略長方形状に形成され、一対の被固定部310を備える。被固定部310は、Z方向から見た形状が半円状であり、それぞれ枠体63の短辺L1,L2からY方向に向かって互いに反対側に突出している。この被固定部310において、放電抵抗6を絶縁樹脂体30(抵抗搭載板300)に固定している。
【0041】
図4に示すごとく、絶縁樹脂体30は、Z方向における放電抵抗6側に突出した一対のボス33を有する。ボス33の中心から、Z方向に向かって一対の固定ピン34が突出している。また、放電抵抗6の被固定部310には、Z方向に貫通した固定用貫通孔35が形成されている。固定ピン34は、固定用貫通孔35に挿通している。また、固定ピン34の先端340は、放電抵抗6における絶縁樹脂体30とは反対側の表面65から突出している。この先端340は、熱を加えて溶融変形した熱かしめ部31になっている。熱かしめ部31の外径は、固定用貫通孔35の内径よりも大きい。そして、熱かしめ部31とボス33との間で、放電抵抗6をZ方向に挟持することにより、放電抵抗6を固定している。
【0042】
放電抵抗6に放電電流を流すと、上記電気抵抗体を封止した部分(発熱部分69)が発熱する。本例では、ボス33を設けることにより、発熱部分69と絶縁樹脂体30との間に隙間dを形成している。これにより、放電抵抗6の発熱による、絶縁樹脂体30への影響を少なくしている。
【0043】
また、図3に示すごとく、放電抵抗6の正側の端子61は正極バスバー3に接続し、負側の端子62は負極バスバー4に接続している。バスバー3,4は、端子61,62に接続するための接続体37,47をそれぞれ有する。正極バスバー3の接続体37は、板状本体部38から放電抵抗6に向かってX方向に延出する第1部分371と、該第1部分371の先端からY方向におけるコンデンサ5(図1参照)とは反対側に延出する第2部分372とを備える。第2部分372は端子61と接続している。また、負極バスバー4の接続体47も同様の構造をしており、パワー用接続端子49からX方向に延出する第1部分471と、該第1部分471の先端からY方向に延出する第2部分472とを備える。第2部分472は端子62と接続している。
【0044】
図3に示すごとく、本例では、バスバー3,4と放電抵抗6とは直接接続しており、これらの間にリレー等が介在していない。すなわち、本例では、電力変換装置1を使用している間も放電抵抗6に放電電流を流し続け、コンデンサ素子53に蓄えた電荷を少しずつ、常に放電している。
【0045】
コンデンサ5と放電抵抗6との間にリレーを設け、電力変換装置の使用を停止した後にのみリレーをオンにして放電することも可能であるが、この場合、リレーが故障すると、放電できなくなることがある。そこで、本例のように、リレーを設けず、常に放電電流を流すようにすれば、電力変換装置1を使用した後、コンデンサ5を確実に放電することができる。そのため、感電事故等をより確実に防止することができる。
したがって、電力変換装置1を使用している間は、放電抵抗6に放電電流が常に流れ続け、放電抵抗6は常に発熱する。
【0046】
図5に示すごとく、バスバー3,4と放電抵抗6とを接続した部分(抵抗接続部13)は、Z方向において、冷却器7に対して制御回路基板15の反対側に位置している。また、正極バスバー3と正極端子21aとを接続した部分(正極接続部11)も、Z方向において、冷却器7に対して制御回路基板15の反対側に位置している。さらに、負極バスバー4と負極端子21bとを接続した部分(負極接続部12)も、Z方向において、冷却器7に対して制御回路基板15の反対側に位置している。すなわち、抵抗接続部13と、正極接続部11と、負極接続部12とは、それぞれZ方向における同一方向側に位置している。
【0047】
本例の作用効果について説明する。
図1に示すごとく、本例においては、平滑用のコンデンサ5を接続した正極バスバー3および負極バスバー4に、放電抵抗6を接続してある。それゆえ、正極バスバー3及び負極バスバー4を通じてコンデンサ5の放電電流を放電抵抗6へ流すことができる。そして、放電電流が流れて放電抵抗6が発熱しても、コンデンサ5の温度が上昇しにくくなる。すなわち、放電抵抗6から発生した熱は正極バスバー3及び負極バスバー4に伝わり、その熱の多くは正極バスバー3及び負極バスバー4から放熱される。また、正極バスバー3および負極バスバー4は金属板からなり、熱容量が大きいため、放電抵抗6から発生した熱がこれらのバスバー3,4に伝わっても、バスバー3,4の温度はあまり上昇しない。そのため、バスバー3,4に接続されたコンデンサ5の温度も上昇しにくい。
【0048】
また、本例では、半導体モジュール2は冷却器7によって冷却されている。
このようにすると、冷却器7を使って冷却した半導体モジュール2に、正極バスバー3および負極バスバー4が接続することになる。そのため、これらのバスバー3,4を、半導体モジュール2を介して、冷却器7によって冷却することが可能になる。これにより、放電抵抗6から発生した熱が、バスバー3,4を伝わる際に冷却されやすくなり、コンデンサ5の温度上昇をより抑制しやすくなる。
【0049】
また、図1に示すごとく、本例では、Z方向から見た場合に、放電抵抗6の一部が冷却器7と重複している。
このようにすると、冷却器7の近くに放電抵抗6を配置できるため、冷却器7を使って放電抵抗6を冷却することが可能になる。そのため、放電抵抗6の温度が上昇しにくくなり、放電抵抗6からコンデンサ5へ伝わる熱を低減できる。そのため、コンデンサ5の温度上昇を抑制しやすくなる。
【0050】
また、本例は、図1に示すごとく、複数の半導体モジュール2と冷却器7とを固定する金属製のフレーム8を備える。フレーム8は冷却器7の冷却管71bによって冷却される。また、正極バスバー3と負極バスバー4との間に介在して両者を絶縁すると共にフレーム8に固定された絶縁樹脂体30(図2、図5参照)に、放電抵抗6が搭載されている。
このようにすると、冷却器7を使って、フレーム8及び絶縁樹脂体30を通じて放電抵抗6を冷却できる。したがって、放電抵抗6の温度が上昇しにくくなり、放電抵抗6からコンデンサ5へ伝わる熱を低減できる。そのため、コンデンサ5の温度上昇を抑制しやすくなる。また、放電抵抗6を搭載した絶縁樹脂体30は、正極バスバー3と負極バスバー4との絶縁を図るための部材でもあり、一つで二つの機能を有している。そのため、電力変換装置1の部品点数を低減でき、製造コストを下げることが可能になる。
【0051】
また、図5に示すごとく、本例では、正極接続部11と、負極接続部12(図1参照)と、抵抗接続部13とは、冷却器7に対して、Z方向における同一方向側に位置している。
このようにすると、電力変換装置1の製造時において、これらの接続部11,12,13を溶接等によって接続する際に、同一方向から全ての接続部11,12,13の接続作業を行うことが可能になる。そのため、接続部11,12,13ごとに、電力変換装置1の向きを変える必要がなくなり、電力変換装置1を製造しやすくなる。
【0052】
また、本例では図1に示すごとく、複数の冷媒流路70と複数の半導体モジュール2とを積層して積層体10を構成してある。
このようにすると、半導体モジュール2を積層方向(X方向)における両側から冷却することができ、半導体モジュール2の冷却効率を上げることが可能となる。そのため、半導体モジュール2に接続されている正極バスバー3および負極バスバー4も冷却しやすくなる。これにより、放電抵抗6から発生した熱が、バスバー3,4を伝わる際に冷却されやすくなり、コンデンサ5の温度上昇をより抑制しやすくなる。
【0053】
以上のごとく、本例によれば、コンデンサの温度上昇を抑制しやすい電力変換装置を提供することができる。
【0054】
なお、本例では、冷媒流路70を内部に有する複数の冷却管71と、複数の半導体モジュール2とを積層して積層体10を構成したが、図8に示すごとく、半導体素子を内蔵した半導体モジュール2の本体部20を、積層方向(X方向)に直交する方向から間に空間を設けつつ囲むと共に、本体部20よりも積層方向(X方向)の幅の大きい枠部28を本体部20と一体に備えた冷却器一体型半導体モジュール78を積層することで、半導体モジュール2と冷媒流路70とが積層される構造にしてもよい。
【0055】
(実施例2)
本例は、放電抵抗6の取り付け構造を変更した例である。図9に示すごとく、本例の電力変換装置1は、実施例1と同様に、積層体10及びコンデンサ5を固定するための金属製のフレーム8を備える。本例では、放電抵抗6を絶縁樹脂体30に搭載せず、フレーム8に直接、搭載した。
その他、実施例1と同様の構成を備える。
【0056】
本例の作用効果について説明する。本例では、実施例1と同様に、冷却器7を使って、フレーム8を介して、放電抵抗6を冷却することができる。そのため、放電抵抗6の温度が上昇しにくくなり、放電抵抗6からコンデンサ5へ伝わる熱を低減できる。そのため、コンデンサ5の温度上昇を抑制しやすくなる。
【0057】
また、本例では、絶縁樹脂体30を介在させずに、放電抵抗6をフレーム8に直接、搭載している。そのため、放電抵抗6から発生する熱を、フレーム8によって冷却しやすくなる。これにより、コンデンサ5の温度上昇を一層、抑制しやすくなる。
その他、実施例1と同様の作用効果を備える。
【0058】
(実施例3)
本例は、放電抵抗の固定方法を変更した例である。本例では図12に示すごとく、フレーム8に、Z方向へ開口する抵抗収納穴85を形成した。そして図10、図11に示すごとく、この抵抗収納穴85に放電抵抗6を収納した。放電抵抗6は、抵抗収納穴85の内面850に接触している。
【0059】
実施例1と同様に、本例のバスバー3,4は、パワー端子21に接続した複数のパワー用接続端子39,49を備える。また、バスバー3,4は、放電抵抗6に接続した抵抗用接続端子36,46を有する。抵抗用接続端子36,46は、複数のパワー用接続端子に対してX方向に隣接する位置に設けられている。そして、複数のパワー用接続端子39,49と抵抗用接続端子36,46とは、X方向において一定のピッチで配設されている。パワー用接続端子39,49と、抵抗用接続端子36,46とは、形状が同一である。
【0060】
図12に示すごとく、フレーム8には、該フレーム8の側壁87から内側へ突出した矩形状の突部86を形成してある。そして、この突部86に、上記抵抗収納穴85が形成されている。図10に示すごとく、抵抗収納穴85は、Z方向から見た場合に、導入パイプ72と導出パイプ73との間に位置している。また、積層体10を構成する複数の冷却管71のうちX方向の一端に位置する冷却管71aは、突部86に接触している。
【0061】
放電抵抗6は、一対の端子61,62を備える。この端子61,62が、バスバー3,4の抵抗用接続端子36,46に接続している。また、放電抵抗6は、ボルト68によって、突部86に固定されている。
【0062】
図13に示すごとく、放電抵抗6は、セラミック製の封止部材60と、該封止部材60に封止された電気抵抗体(図示しない)と、端子61,62と、放熱板67とを備える。放熱板67は、封止部材60の主面に接触している。また、放熱板67から、2つの加締部671,672がX方向に突出している。この加締部671,672によって、封止部材60をY方向に加締めることにより、放熱板67を封止部材60に固定している。
【0063】
また、放熱板67の、Y方向における一端から、抵抗接続板673がX方向へ突出するよう形成されている。抵抗接続板673の先端には、ボルト挿通孔674がZ方向へ貫通するよう形成されている。このボルト挿通孔674にボルト68(図10参照)を挿入し、突部86(図12参照)に形成した螺子孔861に螺合することにより、放電抵抗6をフレーム8に固定してある。
【0064】
また、図13に示すごとく、放熱板67には係止部675が形成されている。係止部675は、封止部材60の側面600よりもY方向におけるコンデンサ5(図10参照)側へ突出している。放電抵抗6を抵抗収納穴85(図11参照)に収納すると、係止部675が突部86に係止する。このように本例では、係止部675を突部86に係止させた状態で、ボルト68を使って放電抵抗6をフレーム8に固定している。
【0065】
本例では、放電抵抗6を抵抗収納穴85に収納すると、抵抗収納穴85の内面850に、放電抵抗6の放熱板67が接触するようになっている。
【0066】
また、図13に示すごとく、放電抵抗6の2つの端子61,62は、それぞれ複数箇所において屈曲している。2つの端子61,62のうち、正極バスバー3に接続する端子61は、第1部分611〜第4部分614の4つの部分からなる。第1部分611は、封止部材60からZ方向に突出している。また、第2部分612は、第1部分611からX方向に延出している。さらに第3部分613は、第2部分612からY方向におけるコンデンサ5(図10参照)側へ延出している。そして第4部分614は、第3部分613からZ方向へ突出している。図11に示すごとく、この第4部分614を、抵抗用接続端子36に接続してある。
本例では、端子61を上記形状とすることにより、負極バスバーの抵抗用接続端子46に端子61が接触することを防止している。
【0067】
また、図13に示すごとく、放電抵抗6の2つの端子61,62のうち、負極バスバー3に接続する端子62は、第1部分621〜第3部分623の3つの部分からなる。第1部分621は、封止部材60からZ方向に突出している。第2部分622は、第1部分621からX方向に延出している。また、第3部分623は、第2部分622からZ方向に延出している。図11に示すごとく、この第3部分623を、抵抗用接続端子46に接続してある。
【0068】
正側の端子61の第4部分614と、負側の端子62の第3部分623とは、互いに平行であり、それぞれの先端は、Z方向における高さ位置が略同一である。
【0069】
一方、図10に示すごとく、フレーム8内には、ばね部材14が設けられている。ばね部材14は、フレーム8の、X方向に直交する2つの側壁87,88のうち、放電抵抗6を設けた側の側壁87とは反対側の側壁88と、積層体10との間に介在している。このばね部材14を使って、積層体10を突部86に向けて押圧することにより、半導体モジュール2と冷却管71との接触圧を確保しつつ、積層体10をフレーム8内に固定している。
その他、実施例1と同様の構成を備える。
【0070】
本例の作用効果について説明する。図10に示すごとく、本例ではフレーム8に抵抗収納穴85を形成し、この抵抗収納穴85に放電抵抗6を収納してある。
このようにすると、放電抵抗6は、抵抗収納穴85の内面850によって周囲を囲まれるため、放電抵抗6から発生した熱が周囲に逃げやすくなる。そのため、放電抵抗6の温度が上昇しにくくなり、放電抵抗6からコンデンサ5へ伝わる熱を低減できる。これにより、コンデンサ5の温度上昇をより効果的に抑制することが可能となる。
【0071】
また、本例のバスバー3,4は、図10に示すごとく、複数のパワー用接続端子39,49と、抵抗用接続端子36,46とを有する。そして、複数のパワー用接続端子39,49と抵抗用接続端子36,46とが、X方向に一定のピッチで配設されている。
このようにすると、電力変換装置1の製造時に、パワー用接続端子39,49をパワー端子21に接続する工程と、抵抗用接続端子36,46を放電抵抗6に接続する工程とを、連続して行うことができる。そのため、これらの接続工程を短時間で行うことが可能になる。また、これらの接続工程を1つの設備で行うことができるため、設備の数を減らすことができ、電力変換装置1の製造コストを低減することが可能になる。
その他、実施例1と同様の作用効果を有する。
【0072】
(実施例4)
本例は、バスバー3,4の形状を変更した例である。図14に示すごとく、本例のバスバー3,4は、パワー端子21に接続するための複数のパワー用接続端子39,49を備える。そして、複数のパワー用接続端子39,49のうちX方向における一端に位置するパワー用接続端子39a,49aには、放電抵抗6の端子61,62がパワー端子21と共に接続している。
このようにすると、電力変換装置1の製造時に、X方向における一端に位置する正極端子21aと、放電抵抗6の正側の端子61とを、正極バスバー3に同時に接続できる。また、同様に、X方向における一端に位置する負極端子21bと、放電抵抗6の負側の端子62とを、負極バスバー4に同時に接続できる。そのため、接続工程に要する時間を短くすることができる。また、バスバー3,4に、放電抵抗6に接続するための専用の部位を設ける必要がなくなるため、バスバー3,4を小型化できると共に、バスバー3,4の製造コストを低減することができる。
【符号の説明】
【0073】
1 電力変換装置
2 半導体モジュール
21 パワー端子
21a 正極端子
21b 負極端子
3 正極バスバー
4 負極バスバー
5 コンデンサ
6 放電抵抗
7 冷却器
8 フレーム
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体素子を封止した本体部からパワー端子が突出した複数の半導体モジュールを有する電力変換装置であって、
上記パワー端子には、直流電源の正電極に接続される正極端子と、上記直流電源の負電極に接続される負極端子とがあり、
金属板からなり、上記正極端子および上記負極端子にそれぞれ接続した正極バスバーおよび負極バスバーと、
上記正極バスバーおよび上記負極バスバーに接続し、上記半導体モジュールに加わる電圧を平滑化するコンデンサと、
該コンデンサの放電電流が流れる放電抵抗とを備え、
該放電抵抗は、上記正極バスバーおよび上記負極バスバーに接続されていることを特徴とする電力変換装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電力変換装置において、上記半導体モジュールは冷却器によって冷却されていることを特徴とする電力変換装置。
【請求項3】
請求項2に記載の電力変換装置において、上記半導体モジュールを冷却する冷媒が流れる複数の冷媒流路を備え、該複数の冷媒流路と上記複数の半導体モジュールとが積層して積層体を構成しており、複数の上記冷媒流路のうち、上記積層体の積層方向における一方の端部に位置する冷媒流路には、該冷媒流路に上記冷媒を導入するための導入パイプと、上記冷媒流路から上記冷媒を導出するための導出パイプとが設けられ、上記複数の冷媒流路と、上記導入パイプと、上記導出パイプとによって上記冷却器が構成されていることを特徴とする電力変換装置。
【請求項4】
請求項3に記載の電力変換装置において、上記正極バスバーおよび上記負極バスバーは、上記パワー端子に接続した複数のパワー用接続端子と、該複数のパワー用接続端子に対して上記積層方向に隣接する位置に設けられ上記放電抵抗に接続した抵抗用接続端子とをそれぞれ有し、上記複数のパワー用接続端子と上記抵抗用接続端子とが、上記積層方向において一定のピッチで配設されていることを特徴とする電力変換装置。
【請求項5】
請求項3に記載の電力変換装置において、上記正極バスバーおよび上記負極バスバーは、上記パワー端子に接続するための複数のパワー用接続端子を備え、該複数のパワー用接続端子のうち上記積層方向における一端に位置するパワー用接続端子には、上記放電抵抗の端子が上記パワー端子と共に接続していることを特徴とする電力変換装置。
【請求項6】
請求項2〜請求項5のいずれか1項に記載の電力変換装置において、上記複数の半導体モジュールと上記冷却器とを固定する金属製のフレームを備え、該フレームは上記冷却器によって冷却され、上記フレームに上記放電抵抗が取り付けられていることを特徴とする電力変換装置。
【請求項7】
請求項6に記載の電力変換装置において、上記フレームは、上記パワー端子の突出方向に開口した抵抗収納穴を有し、該抵抗収納穴に上記放電抵抗が収納されていることを特徴とする電力変換装置。
【請求項8】
請求項3〜請求項6のいずれか1項に記載の電力変換装置において、上記パワー端子の突出方向から見た場合に、上記放電抵抗の少なくとも一部が上記冷却器と重複していることを特徴とする電力変換装置。
【請求項9】
請求項3〜請求項5のいずれか1項に記載の電力変換装置において、上記複数の半導体モジュールと上記冷却器とを固定する金属製のフレームを備え、該フレームは上記冷却器によって冷却され、上記正極バスバーと上記負極バスバーとの間に介在して両者の絶縁を図ると共に上記フレームに固定された絶縁樹脂体に、上記放電抵抗が搭載されていることを特徴とする電力変換装置。
【請求項10】
請求項3〜請求項9のいずれか1項に記載の電力変換装置において、複数の上記正極端子および複数の上記負極端子は、上記本体部からそれぞれ同一方向に突出しており、上記正極端子と上記正極バスバーとを接続した正極接続部と、上記負極端子と上記負極バスバーとを接続した負極接続部と、上記バスバーと上記放電抵抗とを接続した抵抗接続部とは、上記冷却器に対して、上記正極端子および上記負極端子の突出方向における同一方向側に位置していることを特徴とする電力変換装置。
【請求項1】
半導体素子を封止した本体部からパワー端子が突出した複数の半導体モジュールを有する電力変換装置であって、
上記パワー端子には、直流電源の正電極に接続される正極端子と、上記直流電源の負電極に接続される負極端子とがあり、
金属板からなり、上記正極端子および上記負極端子にそれぞれ接続した正極バスバーおよび負極バスバーと、
上記正極バスバーおよび上記負極バスバーに接続し、上記半導体モジュールに加わる電圧を平滑化するコンデンサと、
該コンデンサの放電電流が流れる放電抵抗とを備え、
該放電抵抗は、上記正極バスバーおよび上記負極バスバーに接続されていることを特徴とする電力変換装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電力変換装置において、上記半導体モジュールは冷却器によって冷却されていることを特徴とする電力変換装置。
【請求項3】
請求項2に記載の電力変換装置において、上記半導体モジュールを冷却する冷媒が流れる複数の冷媒流路を備え、該複数の冷媒流路と上記複数の半導体モジュールとが積層して積層体を構成しており、複数の上記冷媒流路のうち、上記積層体の積層方向における一方の端部に位置する冷媒流路には、該冷媒流路に上記冷媒を導入するための導入パイプと、上記冷媒流路から上記冷媒を導出するための導出パイプとが設けられ、上記複数の冷媒流路と、上記導入パイプと、上記導出パイプとによって上記冷却器が構成されていることを特徴とする電力変換装置。
【請求項4】
請求項3に記載の電力変換装置において、上記正極バスバーおよび上記負極バスバーは、上記パワー端子に接続した複数のパワー用接続端子と、該複数のパワー用接続端子に対して上記積層方向に隣接する位置に設けられ上記放電抵抗に接続した抵抗用接続端子とをそれぞれ有し、上記複数のパワー用接続端子と上記抵抗用接続端子とが、上記積層方向において一定のピッチで配設されていることを特徴とする電力変換装置。
【請求項5】
請求項3に記載の電力変換装置において、上記正極バスバーおよび上記負極バスバーは、上記パワー端子に接続するための複数のパワー用接続端子を備え、該複数のパワー用接続端子のうち上記積層方向における一端に位置するパワー用接続端子には、上記放電抵抗の端子が上記パワー端子と共に接続していることを特徴とする電力変換装置。
【請求項6】
請求項2〜請求項5のいずれか1項に記載の電力変換装置において、上記複数の半導体モジュールと上記冷却器とを固定する金属製のフレームを備え、該フレームは上記冷却器によって冷却され、上記フレームに上記放電抵抗が取り付けられていることを特徴とする電力変換装置。
【請求項7】
請求項6に記載の電力変換装置において、上記フレームは、上記パワー端子の突出方向に開口した抵抗収納穴を有し、該抵抗収納穴に上記放電抵抗が収納されていることを特徴とする電力変換装置。
【請求項8】
請求項3〜請求項6のいずれか1項に記載の電力変換装置において、上記パワー端子の突出方向から見た場合に、上記放電抵抗の少なくとも一部が上記冷却器と重複していることを特徴とする電力変換装置。
【請求項9】
請求項3〜請求項5のいずれか1項に記載の電力変換装置において、上記複数の半導体モジュールと上記冷却器とを固定する金属製のフレームを備え、該フレームは上記冷却器によって冷却され、上記正極バスバーと上記負極バスバーとの間に介在して両者の絶縁を図ると共に上記フレームに固定された絶縁樹脂体に、上記放電抵抗が搭載されていることを特徴とする電力変換装置。
【請求項10】
請求項3〜請求項9のいずれか1項に記載の電力変換装置において、複数の上記正極端子および複数の上記負極端子は、上記本体部からそれぞれ同一方向に突出しており、上記正極端子と上記正極バスバーとを接続した正極接続部と、上記負極端子と上記負極バスバーとを接続した負極接続部と、上記バスバーと上記放電抵抗とを接続した抵抗接続部とは、上記冷却器に対して、上記正極端子および上記負極端子の突出方向における同一方向側に位置していることを特徴とする電力変換装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
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【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2012−217322(P2012−217322A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−22871(P2012−22871)
【出願日】平成24年2月6日(2012.2.6)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年2月6日(2012.2.6)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
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