電力変換装置
【課題】DC−DCコンバータ装置において、スイッチング素子の冷却は放熱プレートへの放熱手段のみで、発熱量の大きいパワーMOSFETなどを並べて配置する場合は効率よく放熱するためには熱抵抗の低減や水冷装置の冷却経路の複雑化などの課題があった。
【解決手段】DC−DCコンバータ装置の電圧変換するためのインダクタ素子に流れる電流を制御する複数のスイッチング素子を金属製のケースよりも伝熱特性が良い金属製の放熱体に伝熱性を有する絶縁材を介して金属製のケースに固定する。隣接するスイッチング素子との間で熱の流れが交錯するのが少なくなって熱干渉が少なくなることで、熱拡散が良くなりスイッチング素子冷却効率をより高めることができる。
【解決手段】DC−DCコンバータ装置の電圧変換するためのインダクタ素子に流れる電流を制御する複数のスイッチング素子を金属製のケースよりも伝熱特性が良い金属製の放熱体に伝熱性を有する絶縁材を介して金属製のケースに固定する。隣接するスイッチング素子との間で熱の流れが交錯するのが少なくなって熱干渉が少なくなることで、熱拡散が良くなりスイッチング素子冷却効率をより高めることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電動機等の負荷を駆動するための電力変換装置に係り、特に電力変換装置の回路系を構成する電力変換素子等の発熱構成部品の冷却性能を向上した電力変換装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電気自動車やプラグインハイブリッド車は、高電圧蓄電池で車輪と連結された電動機を駆動するためのインバータ装置と、車両のライトやラジオなどの補機を作動させるための低電圧蓄電池を搭載している。
【0003】
このような車両においては、高電圧蓄電池から低電圧蓄電池への電力変換または低電圧蓄電池から高電圧蓄電池への電力変換を行うDC−DCコンバータ装置を搭載している。
【0004】
このような車両においては、車両全体の容積に対する室内の割合をできるだけ大きくし、居住性を良くすることが望まれている。インバータ装置やDC−DCコンバータ装置は、車室外のエンジンルームなど小さなスペースへの搭載が要求されている。
【0005】
エンジンルーム内の温度環境は従来の使用環境より高いため、インバータ装置やDC−DCコンバータ装置は、水および混合物で構成される冷媒による冷却装置により冷却されることが必要であり、冷却効率が高く省スペース性の良い冷却方法および冷却機構が重要な技術要素となっている。この方法として、DC−DCコンバータのスイッチング素子、トランス、チョークコイル、バスバーなどの発熱を放熱プレートに固体伝導により放熱する方式が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4300717号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記した特許文献1においては、樹脂形成品からなる樹脂プレートの表面を発熱部品に密着し、水冷装置で冷却される放熱プレートに放熱することでケース内の発熱部品を効率よく冷却できるものである。
【0008】
しかしながら、この従来技術では、スイッチング素子の冷却は放熱プレートへの放熱手段のみで、発熱量の大きいパワーMOSFETなどを並べて配置する場合は効率よく放熱するためには熱抵抗の低減や水冷装置の冷却経路の複雑化などの課題があった。
【0009】
本発明の目的は、DC−DCコンバータ装置において発熱部品であるスイッチング素子の効率的な放熱ができる放熱構造を備えた電力変換装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の特徴は、少なくとも電圧変換するためのインダクタ素子と、インダクタ素子に流れる電流を制御する複数のスイッチング素子が搭載される金属製のケースを備えた電力変換装置において、スイッチング素子は金属製のケースよりも伝熱特性が良い金属製の放熱体に伝熱性を有する絶縁材を介して金属製のケースに固定されている、というものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、放熱体は熱引きが良いので隣接するスイッチング素子との間で熱の流れが交錯するのが少なくなって熱干渉が少なくなり、そのため熱拡散が良くなることにより冷却流路の冷却範囲外に配置されたスイッチング素子の冷却効率をより高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明が適用される電力変換装置の外観斜視図である。
【図2】本発明が適用される電力変換装置の図1とは反対側から見た外観斜視図である。
【図3】インバータ装置の回路構成を説明する回路図である。
【図4】インバータ装置の分解斜視図である。
【図5】パワー半導体モジュールの外観斜視図である。
【図6】パワー半導体モジュールの断面図である。
【図7】インバータ装置を底面側から見た分解斜視図である。
【図8】DC−DCコンバータ装置の回路構成を示す回路図である。
【図9】DC−DCコンバータ装置の部品配置を示す分解斜視図である。
【図10】インバータ装置とDC−DCコンバータ装置を組み付けた電力変換装置の断面図である。
【図11】DC−DCコンバータ装置のケース内の部品配置を示す構成図である。
【図12】従来の降圧回路とパワー半導体モジュール構成を示す側断面図である。
【図13】本発明を説明するための降圧回路とパワー半導体モジュールの側断面図である。
【図14】本発明を適用したDC−DCコンバータ装置のコンデンサモジュールとスイッチン素子と制御基板を組み付けた組立体の斜視図である。
【図15】図14に示した組立体の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図面を参照して本発明を実施するための形態について説明するが、以下の説明においては本発明が適用される一例としての電力変換装置の構成の章と、本発明の実施例の章に分けて説明する。
【0014】
先ず本発明が適用される電力変換装置の機械的な構造及び電力変換装置の回路的な構造を説明する。
【0015】
≪電力変換装置の機械的、及び回路的な構成の説明≫
図1、2は、電力変換装置1の外観を示す斜視図であり、電力変換装置1は、DC−DCコンバータ装置100とインバータ装置200とを一体化したものである。図1、2ではDC−DCコンバータ装置100とインバータ装置200とを分離した状態で示した。DC−DCコンバータ装置100は複数のボルト113によりインバータ装置200のケース底面側に固定されている。
【0016】
この電力変換装置1は電気自動車等に適用され、インバータ装置200は車載の高電圧蓄電池からの電力により走行用電動機を駆動する。車両にはライトやラジオなどの補機を作動させるための低電圧蓄電池が搭載されており、DC−DCコンバータ装置100は高電圧蓄電池から低電圧蓄電池への電力変換または低電圧蓄電池から高電圧蓄電池への電力変換を行う。
【0017】
後述するように、インバータ装置200のケース10の側壁内には冷媒が流れる冷媒流路が形成されている。冷媒は入口配管13から流路内に流入し、出口配管14から流出する。流路が形成された側壁の下端には、流路の開口を塞ぐために下カバー420が固定されている。すなわち、図2の下カバー420の下方に冷媒流路が形成されている。そのため、ケース10の底面側は下カバー420の部分がコの字状に突出し、底面部中央は凹部10eとなっている。
【0018】
一方、DC−DCコンバータ装置100のケース111はインバータ装置200と対向する面に凹部111d、及び凸部111cが形成されている。インバータ装置200は、この凹部111dにケース10の底面部分が嵌り込むようにDC−DCコンバータ装置100に固定される。
【0019】
図3はインバータ装置200の構成を説明する回路図であり、図3では半導体素子として絶縁ゲート型バイポーラトランジスタを使用しており、以下略してIGBTと記している。上アームとして動作するIGBT328及びダイオード156と、下アームとして動作するIGBT330及びダイオード166とで、上下アームの直列回路150が構成される。インバータ回路140は、この直列回路150を、出力しようとする交流電力のU相、V相、W相の3相に対応して備えている。
【0020】
これらの3相は、この実施の形態では走行用電動機に対応する電動機ジェネレータMG1の電機子巻線の3相の各相巻線に対応している。3相のそれぞれの上下アームの直列回路150は、直列回路の中点部分である中間電極169から交流電流を出力する。この中間電極169は、交流端子159及び交流端子188を通して、電動機ジェネレータMG1への交流電力線である交流バスバー802と接続される。
【0021】
上アームのIGBT328のコレクタ電極153は、正極端子157を介してコンデンサモジュール500の正極側のコンデンサ端子506に電気的に接続されている。また、下アームのIGBT330のエミッタ電極は、負極端子158を介してコンデンサモジュール500の負極側のコンデンサ端子504に電気的に接続されている。
【0022】
上述のように、制御回路172は上位の制御装置からコネクタ21を介して制御指令を受け、これに基づいてインバータ回路140を構成する各相の直列回路150の上アームあるいは下アームを構成するIGBT328やIGBT330を制御するための制御信号である制御パルスを発生してドライバ回路174に供給する。
【0023】
ドライバ回路174は、上記制御パルスに基づき、各相の直列回路150の上アームあるいは下アームを構成するIGBT328やIGBT330を制御するための駆動パルスを各相のIGBT328やIGBT330に供給する。IGBT328やIGBT330は、ドライバ回路174からの駆動パルスに基づき、導通あるいは遮断動作を行い、バッテリ136から供給された直流電力を三相交流電力に変換し、この変換された電力は電動機ジェネレータMG1に供給される。
【0024】
IGBT328は、コレクタ電極153と、信号用エミッタ電極155と、ゲート電極154を備えている。また、IGBT330は、コレクタ電極163と、信号用のエミッタ電極165と、ゲート電極164を備えている。ダイオード156が、コレクタ電極153とエミッタ電極155との間に電気的に接続されている。また、ダイオード166が、コレクタ電極163とエミッタ電極165との間に電気的に接続されている。
【0025】
スイッチング用パワー半導体素子としては金属酸化物半導体型電界効果トランジスタ(以下略してMOSFETと記す)を用いてもよい、この場合はダイオード156やダイオード166は不要となる。スイッチング用パワー半導体素子としては、IGBTは直流電圧が比較的高い場合に適していて、MOSFETは直流電圧が比較的低い場合に適している。
【0026】
コンデンサモジュール500は、正極側のコンデンサ端子506と負極側のコンデンサ端子504と正極側の電源端子509と負極側の電源端子508とを備えている。バッテリ136からの高電圧の直流電力は、直流コネクタ138を介して、正極側の電源端子509や負極側の電源端子508に供給され、コンデンサモジュール500の正極側のコンデンサ端子506および負極側のコンデンサ端子504から、インバータ回路140へ供給される。
【0027】
一方、交流電力からインバータ回路140によって変換された直流電力は、正極側のコンデンサ端子506や負極側のコンデンサ端子504からコンデンサモジュール500に供給され、正極側の電源端子509や負極側の電源端子508から直流コネクタ138を介してバッテリ136に供給され、バッテリ136に蓄積される。
【0028】
制御回路172は、IGBT328及びIGBT330のスイッチングタイミングを演算処理するためのマイクロコンピュータ(以下、「マイコン」と記述する)を備えている。マイコンへの入力情報としては、電動機ジェネレータMG1に対して要求される目標トルク値、直列回路150から電動機ジェネレータMG1に供給される電流値、及び電動機ジェネレータMG1の回転子の磁極位置がある。
【0029】
目標トルク値は、図示しない上位の制御装置から出力された指令信号に基づくものである。電流値は、電流センサ180による検出信号に基づいて検出されたものである。磁極位置は、電動機ジェネレータMG1に設けられたレゾルバなどの回転磁極センサ(図示せず)から出力された検出信号に基づいて検出されたものである。本実施形態では電流センサ180は3相の電流値を検出する場合を例に挙げているが、2相分の電流値を検出するようにし、演算により3相分の電流を求めても良い。
【0030】
制御回路172内のマイコンは、目標トルク値に基づいて電動機ジェネレータMG1のd軸、q軸の電流指令値を演算し、この演算されたd軸、q軸の電流指令値と、検出されたd軸、q軸の電流値との差分に基づいてd軸、q軸の電圧指令値を演算し、この演算されたd軸、q軸の電圧指令値を、検出された磁極位置に基づいてU相、V相、W相の電圧指令値に変換する。
【0031】
そして、マイコンは、U相、V相、W相の電圧指令値に基づく基本波(正弦波)と搬送波(三角波)との比較に基づいてパルス状の変調波を生成し、この生成された変調波をPWM(パルス幅変調)信号としてドライバ回路174に出力する。
【0032】
ドライバ回路174は、下アームを駆動する場合、PWM信号を増幅したドライブ信号を、対応する下アームのIGBT330のゲート電極に出力する。また、ドライバ回路174は、上アームを駆動する場合、PWM信号の基準電位のレベルを上アームの基準電位のレベルにシフトしてからPWM信号を増幅し、これをドライブ信号として、対応する上アームのIGBT328のゲート電極にそれぞれ出力する。
【0033】
また、制御回路172内のマイコンは、異常検知(過電流、過電圧、過温度など)を行い、直列回路150を保護している。このため、制御回路172にはセンシング情報が入力されている。
【0034】
例えば、各アームの信号用のエミッタ電極155及び信号用のエミッタ電極165からは各IGBT328とIGBT330のエミッタ電極に流れる電流の情報が、対応する駆動部(IC)に入力されている。これにより、各駆動部(IC)は過電流検知を行い、過電流が検知された場合には対応するIGBT328、IGBT330のスイッチング動作を停止させ、対応するIGBT328、IGBT328330を過電流から保護する。
【0035】
直列回路150に設けられた温度センサ(図示せず)からは直列回路150の温度の情報がマイコンに入力されている。また、マイコンには直列回路150の直流正極側の電圧の情報が入力されている。マイコンは、それらの情報に基づいて過温度検知及び過電圧検知を行い、過温度或いは過電圧が検知された場合には全てのIGBT328、IGBT330のスイッチング動作を停止させる。
【0036】
図4は、インバータ装置200の分解斜視図である。冷媒を流入するための入口配管13と冷媒を流出するための出口配管14が、ケース10の同一側壁に配置されている。ケース10内の底部側にはコの字形状に流路形成部12a、12b、12cが設けられている。尚、流路形成部12cは流路形成部12aと平行に対向配置されており、図4では見えていない。
【0037】
流路形成部12a、12b、12cには、後述する冷媒流路19(図7参照)が形成されている。入口配管13から流入した冷媒は、流路形成部12a〜12c内の冷媒流路19を流れて、出口配管14から流出される。
【0038】
互いに平行となっている流路形成部12a、12cには、パワー半導体モジュール300a〜300cを冷媒流路内に装着するための開口部400が複数形成されている。図4に示す例では、図示左側の設けられた流路形成部12aには、パワー半導体モジュール300a、300bが装着される2つの開口部400が形成されている。
【0039】
一方、図では見えないが、反対側に平行に設けられた流路形成部12cにはパワー半導体モジュール300cが装着される開口部400が1つ形成されている。これらの開口400は、流路形成部12a、12cにパワー半導体モジュール300a〜300cを固定することによって塞がれる。
【0040】
図5、6は、パワー半導体モジュール300aを説明する図であり、パワー半導体モジュール300a〜300cはいずれも同じ構造なので代表してパワー半導体モジュール300aの構造を説明する。図5はパワー半導体モジュール300aの外観を示す斜視図であり、図6はパワー半導体モジュール300aを断面Dで切断して方向Eから見たときの断面図である。
【0041】
尚、図5、6において信号端子325Uは、図3に開示したゲート電極154および信号用エミッタ電極155に対応し、信号端子325Lは、図3に開示したゲート電極164およびエミッタ電極165に対応する。また直流正極端子315Bは、図3に開示した正極端子157と同一のものであり、直流負極端子319Bは、図3に開示した負極端子158と同一のものである。また交流端子320Bは図3に開示した交流端子159と同じものである。
【0042】
図6の断面図は、上下アームの直列回路150のIGBT328およびダイオード156が配置される部分を示している。IGBT330およびダイオード166は、IGBT328およびダイオード156に対して図面に垂直方向に並置されている。IGBT328およびダイオード156は、導体板315と導体板318との間に挟まれるように固着されている。
【0043】
同様に、IGBT330およびダイオード166は、導体板319と導体板320との間に挟まれるように固着されている。導体板315等は、その放熱面が露出した状態で第一封止樹脂348によって封止され、当該放熱面に絶縁シート333が熱圧着される。
【0044】
第一封止樹脂348により封止されたモジュール一次封止体は、モジュールケース304の中に挿入され、絶縁シート333を挟んでCAN型冷却器であるモジュールケース304の内面に熱圧着される。ここで、CAN型冷却器とは、一面に挿入口306と他面に底を有する筒形状をした冷却器である。モジュールケース304の内部に残存する空隙には、第二封止樹脂351が充填される。
【0045】
モジュールケース304は電気伝導性を有する部材、例えばアルミ合金材料(Al、AlSi、AlSiC、Al−C等)で構成され、かつ、つなぎ目の無い状態で一体に成形される。モジュールケース304は挿入口306以外に開口を設けない構造であり、挿入口306はフランジ304Bよって、その外周を囲まれている。
【0046】
また、他の面より広い面を有する第1放熱面307A及び第2放熱面307Bがそれぞれ対向した状態で配置され、これらの放熱面に対向するようにして、各パワー半導体素子(IGBT328、IGBT330、ダイオード156、ダイオード166)が配置されている。
【0047】
当該対向する第1放熱面307Aと第2放熱面307Bと繋ぐ3つの面は、当該第1放熱面307A及び第2放熱面307Bより狭い幅で密閉された面を構成し、残りの一辺の面に挿入口306が形成される。モジュールケース304の形状は、正確な直方体である必要が無く、角が図6に示す如く曲面を成していても良い。
【0048】
このような形状の金属製のケースを用いることで、モジュールケース304を水や油などの冷媒が流れる冷媒流路19内に挿入しても、冷媒に対するシールをフランジ304Bにて確保できるため、冷却媒体がモジュールケース304の内部に侵入するのを簡易な構成で防ぐことができる。
【0049】
また、対向した第1放熱面307Aと第2放熱面307Bに、フィン305がそれぞれ均一に形成される。さらに、第1放熱面307A及び第2放熱面307Bの外周には、厚みが極端に薄くなっている湾曲部304Aが形成されている。湾曲部304Aは、フィン305を加圧することで簡単に変形する程度まで厚みを極端に薄くしてあるため、モジュール一次封止体が挿入された後の生産性が向上する。
【0050】
モジュールケース304の外部には、コンデンサモジュール500と電気的に接続するための金属製の直流正極配線315Aおよび直流負極配線319Aが設けられており、その先端部に直流正極端子315B(157)と直流負極端子319B(158)がそれぞれ形成されている。
【0051】
また、電動機ジェネレータMG1に交流電力を供給するための金属製の交流配線320Aが設けられており、その先端に交流端子320B(159)が形成されている。本実施形態では、直流正極配線315Aは導体板315と接続され、直流負極配線319Aは導体板319と接続され、交流配線320Aは導体板320と接続される。
【0052】
モジュールケース304の外部にはさらに、ドライバ回路174と電気的に接続するための金属製の信号配線324Uおよび324Lが設けられており、その先端部に信号端子325U(154、155)と信号端子325L(164、165)がそれぞれ形成されている。本実施形態では、信号配線324UはIGBT328と接続され、信号配線32
4LはIGBT328と接続される。
【0053】
直流正極配線315A、直流負極配線319A、交流配線320A、信号配線324Uおよび信号配線324Lは、樹脂材料で成形された配線絶縁部608によって相互に絶縁された状態で、補助モールド体600として一体に成型される。配線絶縁部608は、各配線を支持するための支持部材としても作用し、これに用いる樹脂材料は、絶縁性を有する熱硬化性樹脂かあるいは熱可塑性樹脂が適している。これにより、直流正極配線315A、直流負極配線319A、交流配線320A、信号配線324Uおよび信号配線324Lの間の絶縁性を確保でき、高密度配線が可能となる。
【0054】
補助モールド体600は、モジュール一次封止体と金属接合された後に、配線絶縁部608に設けられたネジ穴を貫通するネジ309によってモジュールケース304に固定される。接続部370におけるモジュール一次封止体と補助モールド体600との金属接合には、たとえばTIG溶接などを用いることができる。
【0055】
直流正極配線315Aと直流負極配線319Aは、配線絶縁部608を間に挟んで対向した状態で互いに積層され、略平行に延びる形状を成している。こうした配置および形状とすることで、パワー半導体素子のスイッチング動作時に瞬間的に流れる電流が、対向してかつ逆方向に流れる。これにより、電流が作る磁界が互いに相殺する作用をなし、この作用により低インダクタンス化が可能となる。なお、交流配線320Aや信号端子325U、325Lも、直流正極配線315A及び直流負極配線319Aと同様の方向に向かって延びている。
【0056】
モジュール一次封止体と補助モールド体600が金属接合により接続されている接続部370は、第二封止樹脂351によりモジュールケース304内で封止される。これにより、接続部370とモジュールケース304との間で必要な絶縁距離を安定的に確保することができるため、封止しない場合と比較してパワー半導体モジュール300aの小型化が実現できる。
【0057】
図4に戻って、コの字形状に設けられた流路形成部12a〜12cによって囲まれた領域は、コンデンサモジュール500を収納するための収納空間405を形成している。収納空間405に収納されたコンデンサモジュール500は、流路形成部12a〜12c内の冷媒流路を流れる冷媒によって冷やされる。このように、コンデンサモジュール500は、冷媒流路が設けられた流路形成部12a〜12cによって囲まれるように配置されるため、効率良く冷却される。
【0058】
また、コンデンサモジュール500の外側面に沿って流路が形成されているので、流路やコンデンサモジュール500やパワー半導体モジュール300a〜300cとの配置が整然と整い、全体がより小型となる。また冷媒流路がコンデンサモジュール500の長辺に沿って配置されており、冷媒流路に挿入固定されるパワー半導体モジュール300a〜300cとの距離が略一定となるので、平滑コンデンサとパワー半導体モジュール回路との回路定数が3相の各相においてバランスし易くなり、スパイク電圧を低減し易い回路構成となる。本実施の形態では、冷媒としては水が最も適している。しかし、水以外であっても利用できる。
【0059】
コンデンサモジュール500の上方には、バスバーアッセンブリ800が配置される。バスバーアッセンブリ800は、交流バスバーや当該交流バスバーを保持する保持部材を備えており、さらに電流センサ180を保持している。流路形成部12a〜12cとケース10とを一体にアルミ材の鋳造で作ることにより、冷却効果に加えて、ケース10の機械的強度を強くする効果がある。また、インバータ装置200全体の熱伝導が良くなり冷却効率が向上する。もちろん、流路形成部12a〜12cをケース10と別体で形成するようにしても構わない。
【0060】
ドライバ回路基板22は、バスバーアッセンブリ800の上方に配置される。またドライバ回路基板22と制御回路基板20の間には金属ベース板11が配置される。金属ベース板11は、ケース10に固定される。当該金属ベース板11は、ドライバ回路基板22及び制御回路基板20に搭載される回路群の電磁シールドの機能を奏すると共にドライバ回路基板22と制御回路基板20とが発生する熱を逃がし、冷却する作用を有している。
【0061】
さらに金属ベース板11は、制御回路基板20の機械的な共振周波数を高める作用を奏する。すなわち金属ベース板11に制御回路基板20を固定するためのねじ止め部を短い間隔で配置することが可能となり、機械的な振動が発生した場合の支持点間の距離を短くでき、共振周波数を高くできる。エンジン等から伝わる振動周波数に対して制御回路基板20の共振周波数を高くできるので、振動の影響を受け難く、信頼性が向上する。蓋8は、金属ベース板11に固定されて、制御回路基板20を外部からの電磁ノイズから保護する。
【0062】
本実施形態に係るケース10は、流路形成部12が収納された部分は略直方体の形状を為しているが、ケース10の一側面側から突出収納部10gが形成されている。当該突出収納部10dには、DC−DCコンバータ装置100から延ばされる端子102や、直流側のバスバーアッセンブリ900や、抵抗器450が収納される。ここで抵抗器450は、コンデンサモジュール500のコンデンサ素子に蓄えられた電荷を放電するための抵抗素子である。このようにバッテリ136とコンデンサモジュール500との間の電気回路部品を突出収納部10dに集約しているため、配線の複雑化を抑制することができ、装置全体の小型化に寄与することができる。
【0063】
尚、蓋18は、DC−DCコンバータ装置100から延ばされる端子102を接続するための作業用の窓17を塞ぐための部材である。なお、DC−DCコンバータ装置100は、ケース10の底面と対向する面に、端子102が貫通する開口部101が形成されている。
【0064】
このように、インバータ装置200の底部側に流路形成部12を配置し、次にコンデンサモジュール500、バスバーアッセンブリ800、基板等の必要な部品を固定する作業を上から順次行えるように構成されており、生産性と信頼性が向上する。
【0065】
図7は、ケース10を下カバー420が設けられている底面側から見た図である。ケース10は、4つの側壁10a、10b、10c、10dを備える直方体形状を有している。ケース10の底面側には、冷媒流路19の開口部404が形成されている。コの字形状の冷媒流路19は、直線状の3つの流路部(第1流路部19a、第2流路部19b、第3流路部19c)から構成される。開口部404もコの字形状をしており、この開口部404は下カバー420によって塞がれる。下カバー420とケース10の間には、シール部材409が設けられ気密性を保っている。
【0066】
下カバー420には、第1流路部19aおよび第2流路部19bと対向する位置に、冷媒流路19とは反対の方向に向かって突出する3つの凸部406と1つの凸部407とが形成されている。3つの凸部406は、パワー半導体モジュール300a〜300cに対応して設けられている。
【0067】
尚、第3流路部19cに対応する位置に形成された凸部407は、冷媒流路19の断面積を調整するために設けられたものであり、この部分にはパワー半導体モジュールは配置されない。凸部407は凸部406と同一形状である。符号10eで示す部分は、コンデンサモジュール500を収納する収納空間405(図4参照)の底部である。
【0068】
冷媒は、矢印417で示すように入口配管13に流入し、ケース10の長手方向の辺に沿って形成された第1流路部19a内を矢印418の方向に流れる。さらに、冷媒は、ケース10の短手方向の辺に沿って形成された第2流路部19b内を、矢印421の方向に流れる。この第2流路部19bは折り返し流路を形成する。
【0069】
さらに、冷媒は、ケース10の長手方向の辺に沿って形成された流路形成部12の第3流路部19cを流れる。第3流路部19cは、コンデンサモジュール500を挟んで第1流路部19aと平行に設けられている。冷媒は、矢印423で示すように出口配管14から流出される。
【0070】
第1流路部19a、第2流路部19b、第3流路部19cは、いずれも幅方向より深さ方向が大きく形成される。また、流路形成部12には、ケース10裏面に形成された開口部404と、複数の開口部400とが対向するように形成されているので、アルミ鋳造により製造し易い構成になっている。
【0071】
次に、DC−DCコンバータ装置100について説明する。図8はDC−DCコンバータ装置100の回路構成を示す図である。図8に示すように、本実施の形態のDC−DCコンバータ装置100では、双方向DC−DC対応としている。
【0072】
そのために、降圧回路(HV回路)、昇圧回路(LV回路)は、ダイオード整流ではなく同期整流構成としている。また、HV/LV変換で高出力とするために、スイッチング素子への大電流部品の採用、平滑コイルの大型化を図っている。
【0073】
具体的には、HV/LV側共に、リカバリーダイオードを持つMOSFETを利用したHブリッジ型・同期整流スイッチング回路構成(H1〜H4)とした。スイッチング制御にあっては、LC直列共振回路(Cr、Lr)を用いて高スイッチング周波数(100kHz)でゼロクロススイッチングさせ、変換効率を向上させて熱損失を低減するようにした。ここで、スイッチング素子IGBTはDC−DCコンバータ装置100を双方向に切り替えるための切り替え機能を有しているものである。
【0074】
加えて、アクティブクランプ回路を設けて、降圧動作時の循環電流による損失を低減させ、ならびに、スイッチング時のサージ電圧発生を抑制してスイッチング素子の耐圧を低減させることで、回路部品の低耐圧化を図ることで装置を小型化している。
【0075】
さらに、LV側の高出力を確保するために、全波整流型の倍電流(カレントダブラー)方式とした。尚、高出力化にあたり複数のスイッチング素子を並列同時作動させることで高出力を確保している。図8の例では、SWA1〜SWA4、SWB1〜SWB4のように4素子並列とした。
【0076】
また、スイッチング回路および平滑リアクトルの小型リアクトル(L1、L2)を、対称性を持たせるように2回路並列配置とすることで高出力化している。このように、小型リアクトルを2回路配置とすることで、大型リアクトル1台を配置させる場合に比べて、DC−DCコンバータ装置全体の小型化が可能となる。
【0077】
図9、図10および図11は、DC−DCコンバータ装置100における部品配置を説明する図である。図9はDC−DCコンバータ装置100の分解斜視図である。図10は、DC−DCコンバータ装置100とインバータ装置200とを一体化した電力変換装置1の断面図である。図11は、DC−DCコンバータ装置100のケース内の部品配置を模式的に示した図である。
【0078】
図9に示すように、DC−DCコンバータ装置100の回路部品は、金属製(例えば、アルミダイカスト製)のケース111内に収納されている。ケース111の開口部にはケースカバー112がボルト固定される。上述したように、ケース111の底面側に、インバータ装置200のケース10が固定される。
【0079】
ケース111内の底面部分には、主トランス33、インダクタ素子34、スイッチング素子H1〜H4が搭載されたパワー半導体モジュール35、スイッチング素子36が搭載されている昇圧回路基板32、コンデンサ38等が載置されている。主な発熱部品は、主トランス33、インダクタ素子34、パワー半導体モジュール35およびスイッチング素子36である。
【0080】
なお、図8の回路図との対応を記載すると、主トランス33はトランスTrに、インダクタ素子34はカレントダブラーのリアクトルL1、L2に、スイッチング素子36はスイッチング素子SWA1〜SWA4、SAWB1〜SWB4にそれぞれ対応している。昇圧回路基板32には、図8のスイッチング素子S1、S2等も搭載されている。
【0081】
図11にあるように、スイッチング素子H1〜H4の端子はケース上方へと延在しており、パワー半導体モジュール35の上方に配置された降圧回路基板31と接続されている。降圧回路基板31はケース底面から上方に突出した複数の支持部材上に固定される。パワー半導体モジュール35においては、スイッチング素子H1〜H4は、パターンが形成された金属基板上に実装されており、金属基板の裏面側はケース底面に密着するように固定されている。スイッチング素子36が実装される昇圧回路基板32も同様の金属基板で構成されている。
【0082】
制御回路基板30には、昇圧回路や降圧回路に設けられたスイッチング素子を制御する制御回路が実装されている制御回路基板30は金属製のベース板37上に固定されている。ベース板37はケース111の底面部から上方に突出した複数の支持部111aに固定されている。これにより、制御回路基板30は、ケース底面部に配置された発熱部品(主トランス33、インダクタ素子34やパワー半導体モジュール35など)の上方に、ベース板37を介して配置されることになる。
【0083】
図10および11を参照して、DC−DCコンバータ装置100に設けられた部品の配置について説明する。なお、図10の断面図では、インバータ装置200内に収納されている部品としては、流路形成部12に装着されたパワー半導体モジュール300a〜300cのみを示した。前述したように、インバータ装置200のケース10内には、各側壁10a、10b、10cに沿って流路形成部12a〜12cが設けられている。
【0084】
側壁10aに沿った流路形成部12aには第1流路部19aが形成され、側壁10bに沿った流路形成部12bには第2流路部19bが形成され、側壁10cに沿った流路形成部12cには第3流路部19cが形成されている。第1流路部19aにはパワー半導体モジュール300aが挿入され、第3流路部19cにはパワー半導体モジュール300cが挿入されている。なお、図示していないが、パワー半導体モジュール300bは第1流路部19aに挿入されている。
【0085】
DC−DCコンバータ装置100のケース111は、ケース底部111bの外周面に凹部111dおよび凸部111cが形成されている。図10に示すように、ケース111の凹部111dは、少なくともケース10の底部外周面に設けられた凸部406に対向する領域に形成されている。すなわち、凹部111dは、凸部406を介して流路部19a、19b、19cに対向している。また、凸部111cは、ケース10の底部外周面の凸部406によって囲まれた領域に対向するように形成されている。
【0086】
図10では図示を省略しているが、ケース111とケース10との隙間には、熱伝導性能に優れたシール材(放熱シート、熱伝導性グリース)が設けられている。主トランス33は第1流路部19aと対向するケース内周面に固定されている。一方、スイッチング素子36と搭載する昇圧回路基板32やコンデンサ38は、第3流路部19cと対向するケース内周面に固定されている。主トランス33、昇圧回路基板32、コンデンサ38等はケース111の底面部にボルト41等によりネジ止めされているが、ケース底部の肉厚の厚い領域、例えば凸部111cにネジ穴が形成されている。また、流路部19a、19b、19cと対向しないケース底面部にも部品を配置する場合には、その部分の肉厚を厚くしてケース10と接触させることで、その部品の冷却効率の向上を図るようにしている。
【0087】
ベース板37はケース111に形成された支持部111a上にボルト固定されている、制御回路基板30はベース板37の上面に形成された凸部37a上にボルト等により固定されている。ケース111の開口部にはケースカバー112が取り付けられ、ケース内部が密閉されている。
【0088】
ケース111は、底面部(凹部111dや凸部111cなど)がインバータ装置200のケース10と熱的に接触しているため、ケース10の流路部19a〜19cを流れる冷媒によって間接的に冷却されている。ケース底面部に部品を固定することにより、効果的に冷却が行われる。特に、発熱量の大きな部品に関しては、冷媒が直接接している下カバー402の凸部406が接触する領域に配置することで、冷却効果の向上を図ることができる。
【0089】
また、ベース板37は金属で形成されているので、制御回路基板30で発生した熱は支持部111aおよびケース111を介してケース10へと伝達される。また、ベース板37は、ケース底面部に設けられた発熱部品からの輻射熱の遮蔽部材として機能するとともに、銅材等を用いることでスイッチング素子からのスイッチング放射ノイズを遮蔽するシールドとしても機能する。
【0090】
図11の平面図は、ケース111の底面部に設けられた発熱部品の配置を示したものであり、ケースカバー112を外した状態を示す。破線はインバータ装置200のケース10に設けられた流路部19a〜19cの配置を示している。流路部19a〜19cは、ケース111の底面部に対してコの字形状に設けられており、第1流路部19aと第3流路部19cとは平行に設けられている。入口配管13から第1流路部19aに流入した冷媒は、第2流路部19b、第3流路部19cの順に流れて、出口配管14から流出する。
【0091】
主トランス33および2つのインダクタ素子34は、第1流路部19aと対向するケース底面部に配置されている。また、降圧回路を構成するパワー半導体モジュール35および降圧回路基板31は、主に第1流路部19aと対向するケース底面部に配置されている。昇圧回路を構成するスイッチング素子36および昇圧回路基板32は、第3流路部19cと対向するケース底面部に配置されている。このように、比較的発熱量の大きな部品を流路部19a〜19cと対向する位置に配置して冷却効率を高めるようにしている。
【0092】
≪本発明の背景と本発明の実施例の説明≫
本発明はこのような一例として示した電力変換装置を発明の対象とするものであり、以下に本発明が必要となった背景と共に本発明の一実施例を詳細に説明するが、発明をより理解しやすくするため図11乃至図13は簡略化した構成を示している。
【0093】
図11にあるように、インバータ装置200に形成した冷却通路である流路19a、19b及び19cはコンデンサモジュール500を囲むように形成されるので、おのずとその流路形状や流路寸法に限界がある。具体的には、流路形状はコの字形状に形成され、且つその流路の寸法は幅方向の長さはあまり確保できず、高さ方向の長さを確保して冷媒の必要流量を得るようにしている。
【0094】
したがって、図11からわかるようにインバータ装置200に重ねて固定されるDC−DCコンバータ装置100のケース111内にある伝熱性絶縁シート42に設けられるスイッチング素子H1乃至スイッチング素子H4は冷却通路19aの流路方向に対して略直角に並べて配置されるようになる。
ここで、スイッチング素子H1乃至スイッチング素子H4以外に更にもう一個のスイッチング素子IGBTも併せて配置されるようになっている。このスイッチング素子IGBTはDC−DCコンバータ装置100を双方向に切り替えるための切り替え機能を有しているものである。
【0095】
一般に、降圧回路31のパワー半導体モジュール35におけるスイッチング素子H1乃至スイッチング素子H4は大電力を処理するため発熱が大きなものとなる。そして、図11にあるように流路19aによりスイッチング素子H1乃至スイッチング素子H4及びスイッチング素子IGBTをできるだけ冷却できるように流路19aの上側に降圧回路31を配置している。
【0096】
しかしながら、冒頭で説明したようにこの種の電力変換装置1はエンジンルームなどの小さなスペースへの搭載が要求されているため、できるだけコンパクトにまとめることが要請されている。
【0097】
したがって、インバータ装置200の小型化を図ろうとした場合、コンデンサモジュール500の大きさが変わらない(小さくできたとしても限界がある。)とすると、流路19a、19b及び19cの幅を短くする必要がある。このため、降圧回路31を冷却するために流路19aの上側に降圧回路31を配置するようにすると、流路部19aの冷却範囲ではスイッチング素子H3、スイッチング素子H4及びスイッチング素子IGBTが冷却範囲外となる。特に流路部19aの範囲から遠くに配置されているスイッチング素子H4やスイッチング素子IGBTは他のスイッチング素子よりも温度がかなり高くなる傾向にある。
【0098】
上記した挙動の説明を図12に基づいて説明するが、図12はスイッチング素子H1乃至スイッチング素子H4及びスイッチング素子IGBTが取り付けられた状態の断面であり、各構成部品を模式化して簡略にしている。
【0099】
図12において、アルミ合金等で形成されたケース111に該当するスイッチング素子収納筐体43には熱伝導性の良い伝熱性絶縁シート42を介してスイッチング素子H1乃至スイッチング素子H4及びスイッチング素子IGBTが取り付けられている。
【0100】
具体的には、スイッチング素子H1乃至スイッチング素子H4及びスイッチング素子IGBTは熱伝導性グリース及び/または放熱用シリコンゴムシートなどの熱伝導性の良い伝熱性絶縁シート42を介してスイッチング素子収納筐体43に個々にねじによって固定されている。また、スイッチング素子収納筐体43は一般的なアルミダイカスト用の材料であるADC12タイプが使用されている。
【0101】
尚、スイッチング素子収納筐体43は上述したようにDC−DCコンバータ装置100のケース111と一体形成されるか、或いはケース111とは別体に作成してねじ等の固定手段によってケース111と一体にされても良いものである。
【0102】
このような構成において、各スイッチング素子H1乃至スイッチング素子H4及びスイッチング素子IGBTの熱の拡散状態を考えると、各スイッチング素子H1乃至スイッチング素子H4及びスイッチング素子IGBTが隣接しているため、各スイッチング素子の発熱による相互の熱干渉が大きく、熱の流れが隣接部分で交錯して旨く拡散出来ず熱が溜まりやすい傾向にある。
この場合、流路19aの冷却範囲内のスイッチング素子H1とスイッチング素子H2は流路19aを流れる冷媒によって熱が持ち去られるので温度はそれほど高くならないが、流路19aを外れて配置されたスイッチング素子H3、スイッチング素子H4及びスイッチング素子IGBTは冷却範囲内に配置されたスイッチング素子H1及びスイッチング素子H2よりも温度が高くなり、熱的な悪影響を受けやすくなる。
【0103】
このような課題に対して、本発明は以下のような対応を提案するものである。図13は本発明の典型的な一実施例を示しており、スイッチング素子収納筐体43は図12に示すものと同様のものである。
【0104】
そして、スイッチング素子収納筐体43の内側には放熱体41が収納されている。この放熱体41はスイッチング素子収納筐体43にぴったりと密着するように形成されているが、より伝熱性を向上するため両者の間には熱伝導性グリースが塗布されている。
【0105】
更に、スイッチング素子収納筐体43の側壁部と放熱体41の側壁部とはネジ44によって強固に固定されている。もちろん、側壁部とスイッチング素子収納筐体43の側壁部の間には熱移動を向上する熱伝導性グリースが塗布されている。尚、ネジ44は防水性等を考慮してスイッチング素子収納筐体43内で放熱体41を一体的にねじ止め固定するようにしても良い。
【0106】
そして、放熱体41の長手方向の上部にはスイッチング素子H1乃至スイッチング素子H4及びスイッチング素子IGBTが並列に並べられて載置されており、熱伝導性グリース及び/または放熱用シリコンゴムシートなどの熱伝導率の良い伝熱性絶縁シート42を介して個々にねじによって固定されている。
【0107】
本実施例においては、スイッチング素子収納筐体43は一般的なアルミダイカスト用の材料であるADC12タイプのものを使用し、放熱体41は、一般的な放熱板の材料であるA6063タイプのものを使用する。スイッチング素子収納筐体43はADC12タイプを使用しており、その熱伝導率は約92W/mkであり、放熱体41はA6063タイプを使用しており、その熱伝導率は約209W/mkである。
【0108】
したがって、各スイッチング素子で発生した熱は放熱体41に伝わるが、放熱体41は熱引きが良いので、隣接するスイッチング素子との間で熱の流れが交錯するのが少なくなって熱干渉が少なくなり、そのため熱拡散が良くなることにより流路19aによる冷却範囲外に配置されたスイッチング素子H3、スイッチング素子H4及びスイッチング素子IGBTの冷却効率をより高めることができる。
これにより、スイッチング素子H1乃至スイッチング素子H4及びスイッチング素子IGBTの温度が高くならずに熱による悪影響を抑制することが可能となる。
【0109】
ここで、スイッチング素子収納筐体43を放熱体41と同じ材料で製作するとかなり高くなるので実用的ではない。理由としては、発熱構成部品以外のところは冷却機能がそれほど必要なく、高い材料を使用する利点が少ないからである。
【0110】
以上が本発明の基本的な考え方であるが、次に本発明の考え方を適用した具体的な実施例を詳細に説明するが、図14は降圧回路部分を主要素とする組立体を示し、図15はその分解斜視図である。
【0111】
図14において、参照番号41は図13で示した放熱体であり、この放熱体41上にスイッチング素子やDC−DCコンバータ装置用のコンデンサモジュール45、制御基板46等が載置され、これらはネジ等によって一体的に固定されるとともに、この組立体はDC−DCコンバータ装置100のケース111内にネジによって固定されるように構成されている。
【0112】
更に詳細に説明すると、図15において所定厚さを有した外観が長方形状の放熱体41はその中央部付近にスイッチング素子H1乃至スイッチング素子H4及びスイッチング素子IGBTを受け入れる収納凹部41Bが形成されており、この収納凹部41Bに伝熱性絶縁シート42が載置され、更にこの伝熱性絶縁シート42の上にスイッチング素子H1乃至スイッチング素子H4及びスイッチング素子IGBTが並列に並べて載置されている。
【0113】
スイッチング素子H1乃至スイッチング素子H4及びスイッチング素子IGBTは固定用の板バネ47によって伝熱性絶縁シート42に強く押しつけられており、板バネ47はその一部が放熱体41にねじ48によって強固に固定されている。
【0114】
したがって、ねじ48を支点として板バネ47がスイッチング素子H1乃至スイッチング素子H4及びスイッチング素子IGBTを伝熱性絶縁シート42側に強く押圧している。
【0115】
また、コンデンサモジュール45はコンデンサケース49とこれに一体形成した取付部50を備えており、コンデンサケース49にコンデンサが収納されて樹脂等が充填固化されている。そして、取付部50をネジによって放熱体41に固定することでコンデンサモジュール45と放熱体41とを一体化している。
【0116】
したがって、コンデンサモジュール45と放熱体41との間にスイッチング素子H1乃至スイッチング素子H4及びスイッチング素子IGBTが位置することになる。
【0117】
そして、図14の図示上で後端側には制御基板46が位置しており、この制御基板46の下側の両端には位置決めピン51が植立しており、この位置決めピン51は放熱体41の後端側の位置決め孔(図示せず)に挿入され、その後ネジ52によってコンデンサケース49に固定される。
【0118】
ここで、放熱体41、コンデンサモジュール45、制御基板46が組み上がった状態で、スイッチング素子H1乃至スイッチング素子H4及びスイッチング素子IGBTのそれぞれの端子は制御基板46の制御回路に接続されるようになっている。
【0119】
このようにしてなる組立体において、各スイッチング素子で発生した熱は放熱体41に伝わるが、上述したように放熱体41は熱引きが良いので、隣接するスイッチング素子との間で熱の流れが交錯するのが少なくなって熱干渉が少なくなり、そのため熱拡散が良くなることにより流路19aによる冷却範囲外に配置されたスイッチング素子H3、スイッチング素子H4及びスイッチング素子IGBTの冷却効率をより高めることができる。
【0120】
これにより、スイッチング素子H1乃至スイッチング素子H4及びスイッチング素子IGBTの温度が高くならずに熱による悪影響を抑制することが可能となる。このような構造によって組立体をコンパクトに構成することができると共に、組み上がった組立体をDC−DCコンバータ装置100のケース111に組み付けるとことによって容易に取り付けることが可能となる。
【0121】
また、本発明の課題であるスイッチング素子H1乃至スイッチング素子H4及びスイッチング素子IGBTの冷却については熱引きが良い放熱体41によって伝熱させることで、隣接するスイッチング素子との間で熱の流れが交錯するのが少なくなって熱干渉が少なくなり、そのため熱拡散が良くなることにより流路19aによる冷却範囲外に配置されたスイッチング素子H3、スイッチング素子H4及びスイッチング素子IGBTの冷却効率をより高めることができるものである。
【0122】
ここで、実施例においては放熱体41について放熱材料用として熱伝導率が約209W/mkのアルミニウムのA6063タイプを使用しているが、これに限定されずケース111より放熱特性が良ければ制限されないものである。
【0123】
また、実施例においては電力変換装置としてインバータ装置200とDC−DCコンバータ装置100を一体化したものを示しているが、DC−DCコンバータ装置100を単独に使用し、この、DC−DCコンバータ装置100自体にインバータ装置200に示したような冷却通路を形成するようにしたものであっても本発明は適用可能である。つまり、放熱体41が固定される位置のケース111の反対側の壁面に冷却水通路を配置するようにしても良いものである。
【0124】
尚、以上の説明はPHEVあるいはEV等の車両に搭載される電力変換装置を例に説明したが、本発明はこれらに限らず建設機械等の車両に用いられる電力変換装置にも適用することができる。
【符号の説明】
【0125】
10、111…ケース、10a〜10d…側壁、10f、111f…側面、12…流路
形成部、19…冷媒流路、19a…第1流路部、19b…第2流路部、19c…第3流路
部、20、30…制御回路基板、33…主トランス、34…電圧変換用インダクタ素子、
35…パワー半導体モジュール、36…スイッチング素子、37…ベース板。41…放熱体、42…伝熱性絶縁シート、43…スイッチング素子収納筐体、44…ねじ、45…コンデンサモジュール、46…制御基板、47…板バネ、48…取付部、49…コンデンサケース、50…ネジ、51…位置決めピン、100…DC−DCコンバータ装置、111a…支持部、111b…ケース底部、111c、52…ネジ、53…端子、406…凸部、111d…凹部、120…放熱シート、200…インバータ装置、402…下カバー、H1〜H4、IGBT…スイッチング素子。
【技術分野】
【0001】
本発明は電動機等の負荷を駆動するための電力変換装置に係り、特に電力変換装置の回路系を構成する電力変換素子等の発熱構成部品の冷却性能を向上した電力変換装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電気自動車やプラグインハイブリッド車は、高電圧蓄電池で車輪と連結された電動機を駆動するためのインバータ装置と、車両のライトやラジオなどの補機を作動させるための低電圧蓄電池を搭載している。
【0003】
このような車両においては、高電圧蓄電池から低電圧蓄電池への電力変換または低電圧蓄電池から高電圧蓄電池への電力変換を行うDC−DCコンバータ装置を搭載している。
【0004】
このような車両においては、車両全体の容積に対する室内の割合をできるだけ大きくし、居住性を良くすることが望まれている。インバータ装置やDC−DCコンバータ装置は、車室外のエンジンルームなど小さなスペースへの搭載が要求されている。
【0005】
エンジンルーム内の温度環境は従来の使用環境より高いため、インバータ装置やDC−DCコンバータ装置は、水および混合物で構成される冷媒による冷却装置により冷却されることが必要であり、冷却効率が高く省スペース性の良い冷却方法および冷却機構が重要な技術要素となっている。この方法として、DC−DCコンバータのスイッチング素子、トランス、チョークコイル、バスバーなどの発熱を放熱プレートに固体伝導により放熱する方式が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4300717号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記した特許文献1においては、樹脂形成品からなる樹脂プレートの表面を発熱部品に密着し、水冷装置で冷却される放熱プレートに放熱することでケース内の発熱部品を効率よく冷却できるものである。
【0008】
しかしながら、この従来技術では、スイッチング素子の冷却は放熱プレートへの放熱手段のみで、発熱量の大きいパワーMOSFETなどを並べて配置する場合は効率よく放熱するためには熱抵抗の低減や水冷装置の冷却経路の複雑化などの課題があった。
【0009】
本発明の目的は、DC−DCコンバータ装置において発熱部品であるスイッチング素子の効率的な放熱ができる放熱構造を備えた電力変換装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の特徴は、少なくとも電圧変換するためのインダクタ素子と、インダクタ素子に流れる電流を制御する複数のスイッチング素子が搭載される金属製のケースを備えた電力変換装置において、スイッチング素子は金属製のケースよりも伝熱特性が良い金属製の放熱体に伝熱性を有する絶縁材を介して金属製のケースに固定されている、というものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、放熱体は熱引きが良いので隣接するスイッチング素子との間で熱の流れが交錯するのが少なくなって熱干渉が少なくなり、そのため熱拡散が良くなることにより冷却流路の冷却範囲外に配置されたスイッチング素子の冷却効率をより高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明が適用される電力変換装置の外観斜視図である。
【図2】本発明が適用される電力変換装置の図1とは反対側から見た外観斜視図である。
【図3】インバータ装置の回路構成を説明する回路図である。
【図4】インバータ装置の分解斜視図である。
【図5】パワー半導体モジュールの外観斜視図である。
【図6】パワー半導体モジュールの断面図である。
【図7】インバータ装置を底面側から見た分解斜視図である。
【図8】DC−DCコンバータ装置の回路構成を示す回路図である。
【図9】DC−DCコンバータ装置の部品配置を示す分解斜視図である。
【図10】インバータ装置とDC−DCコンバータ装置を組み付けた電力変換装置の断面図である。
【図11】DC−DCコンバータ装置のケース内の部品配置を示す構成図である。
【図12】従来の降圧回路とパワー半導体モジュール構成を示す側断面図である。
【図13】本発明を説明するための降圧回路とパワー半導体モジュールの側断面図である。
【図14】本発明を適用したDC−DCコンバータ装置のコンデンサモジュールとスイッチン素子と制御基板を組み付けた組立体の斜視図である。
【図15】図14に示した組立体の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図面を参照して本発明を実施するための形態について説明するが、以下の説明においては本発明が適用される一例としての電力変換装置の構成の章と、本発明の実施例の章に分けて説明する。
【0014】
先ず本発明が適用される電力変換装置の機械的な構造及び電力変換装置の回路的な構造を説明する。
【0015】
≪電力変換装置の機械的、及び回路的な構成の説明≫
図1、2は、電力変換装置1の外観を示す斜視図であり、電力変換装置1は、DC−DCコンバータ装置100とインバータ装置200とを一体化したものである。図1、2ではDC−DCコンバータ装置100とインバータ装置200とを分離した状態で示した。DC−DCコンバータ装置100は複数のボルト113によりインバータ装置200のケース底面側に固定されている。
【0016】
この電力変換装置1は電気自動車等に適用され、インバータ装置200は車載の高電圧蓄電池からの電力により走行用電動機を駆動する。車両にはライトやラジオなどの補機を作動させるための低電圧蓄電池が搭載されており、DC−DCコンバータ装置100は高電圧蓄電池から低電圧蓄電池への電力変換または低電圧蓄電池から高電圧蓄電池への電力変換を行う。
【0017】
後述するように、インバータ装置200のケース10の側壁内には冷媒が流れる冷媒流路が形成されている。冷媒は入口配管13から流路内に流入し、出口配管14から流出する。流路が形成された側壁の下端には、流路の開口を塞ぐために下カバー420が固定されている。すなわち、図2の下カバー420の下方に冷媒流路が形成されている。そのため、ケース10の底面側は下カバー420の部分がコの字状に突出し、底面部中央は凹部10eとなっている。
【0018】
一方、DC−DCコンバータ装置100のケース111はインバータ装置200と対向する面に凹部111d、及び凸部111cが形成されている。インバータ装置200は、この凹部111dにケース10の底面部分が嵌り込むようにDC−DCコンバータ装置100に固定される。
【0019】
図3はインバータ装置200の構成を説明する回路図であり、図3では半導体素子として絶縁ゲート型バイポーラトランジスタを使用しており、以下略してIGBTと記している。上アームとして動作するIGBT328及びダイオード156と、下アームとして動作するIGBT330及びダイオード166とで、上下アームの直列回路150が構成される。インバータ回路140は、この直列回路150を、出力しようとする交流電力のU相、V相、W相の3相に対応して備えている。
【0020】
これらの3相は、この実施の形態では走行用電動機に対応する電動機ジェネレータMG1の電機子巻線の3相の各相巻線に対応している。3相のそれぞれの上下アームの直列回路150は、直列回路の中点部分である中間電極169から交流電流を出力する。この中間電極169は、交流端子159及び交流端子188を通して、電動機ジェネレータMG1への交流電力線である交流バスバー802と接続される。
【0021】
上アームのIGBT328のコレクタ電極153は、正極端子157を介してコンデンサモジュール500の正極側のコンデンサ端子506に電気的に接続されている。また、下アームのIGBT330のエミッタ電極は、負極端子158を介してコンデンサモジュール500の負極側のコンデンサ端子504に電気的に接続されている。
【0022】
上述のように、制御回路172は上位の制御装置からコネクタ21を介して制御指令を受け、これに基づいてインバータ回路140を構成する各相の直列回路150の上アームあるいは下アームを構成するIGBT328やIGBT330を制御するための制御信号である制御パルスを発生してドライバ回路174に供給する。
【0023】
ドライバ回路174は、上記制御パルスに基づき、各相の直列回路150の上アームあるいは下アームを構成するIGBT328やIGBT330を制御するための駆動パルスを各相のIGBT328やIGBT330に供給する。IGBT328やIGBT330は、ドライバ回路174からの駆動パルスに基づき、導通あるいは遮断動作を行い、バッテリ136から供給された直流電力を三相交流電力に変換し、この変換された電力は電動機ジェネレータMG1に供給される。
【0024】
IGBT328は、コレクタ電極153と、信号用エミッタ電極155と、ゲート電極154を備えている。また、IGBT330は、コレクタ電極163と、信号用のエミッタ電極165と、ゲート電極164を備えている。ダイオード156が、コレクタ電極153とエミッタ電極155との間に電気的に接続されている。また、ダイオード166が、コレクタ電極163とエミッタ電極165との間に電気的に接続されている。
【0025】
スイッチング用パワー半導体素子としては金属酸化物半導体型電界効果トランジスタ(以下略してMOSFETと記す)を用いてもよい、この場合はダイオード156やダイオード166は不要となる。スイッチング用パワー半導体素子としては、IGBTは直流電圧が比較的高い場合に適していて、MOSFETは直流電圧が比較的低い場合に適している。
【0026】
コンデンサモジュール500は、正極側のコンデンサ端子506と負極側のコンデンサ端子504と正極側の電源端子509と負極側の電源端子508とを備えている。バッテリ136からの高電圧の直流電力は、直流コネクタ138を介して、正極側の電源端子509や負極側の電源端子508に供給され、コンデンサモジュール500の正極側のコンデンサ端子506および負極側のコンデンサ端子504から、インバータ回路140へ供給される。
【0027】
一方、交流電力からインバータ回路140によって変換された直流電力は、正極側のコンデンサ端子506や負極側のコンデンサ端子504からコンデンサモジュール500に供給され、正極側の電源端子509や負極側の電源端子508から直流コネクタ138を介してバッテリ136に供給され、バッテリ136に蓄積される。
【0028】
制御回路172は、IGBT328及びIGBT330のスイッチングタイミングを演算処理するためのマイクロコンピュータ(以下、「マイコン」と記述する)を備えている。マイコンへの入力情報としては、電動機ジェネレータMG1に対して要求される目標トルク値、直列回路150から電動機ジェネレータMG1に供給される電流値、及び電動機ジェネレータMG1の回転子の磁極位置がある。
【0029】
目標トルク値は、図示しない上位の制御装置から出力された指令信号に基づくものである。電流値は、電流センサ180による検出信号に基づいて検出されたものである。磁極位置は、電動機ジェネレータMG1に設けられたレゾルバなどの回転磁極センサ(図示せず)から出力された検出信号に基づいて検出されたものである。本実施形態では電流センサ180は3相の電流値を検出する場合を例に挙げているが、2相分の電流値を検出するようにし、演算により3相分の電流を求めても良い。
【0030】
制御回路172内のマイコンは、目標トルク値に基づいて電動機ジェネレータMG1のd軸、q軸の電流指令値を演算し、この演算されたd軸、q軸の電流指令値と、検出されたd軸、q軸の電流値との差分に基づいてd軸、q軸の電圧指令値を演算し、この演算されたd軸、q軸の電圧指令値を、検出された磁極位置に基づいてU相、V相、W相の電圧指令値に変換する。
【0031】
そして、マイコンは、U相、V相、W相の電圧指令値に基づく基本波(正弦波)と搬送波(三角波)との比較に基づいてパルス状の変調波を生成し、この生成された変調波をPWM(パルス幅変調)信号としてドライバ回路174に出力する。
【0032】
ドライバ回路174は、下アームを駆動する場合、PWM信号を増幅したドライブ信号を、対応する下アームのIGBT330のゲート電極に出力する。また、ドライバ回路174は、上アームを駆動する場合、PWM信号の基準電位のレベルを上アームの基準電位のレベルにシフトしてからPWM信号を増幅し、これをドライブ信号として、対応する上アームのIGBT328のゲート電極にそれぞれ出力する。
【0033】
また、制御回路172内のマイコンは、異常検知(過電流、過電圧、過温度など)を行い、直列回路150を保護している。このため、制御回路172にはセンシング情報が入力されている。
【0034】
例えば、各アームの信号用のエミッタ電極155及び信号用のエミッタ電極165からは各IGBT328とIGBT330のエミッタ電極に流れる電流の情報が、対応する駆動部(IC)に入力されている。これにより、各駆動部(IC)は過電流検知を行い、過電流が検知された場合には対応するIGBT328、IGBT330のスイッチング動作を停止させ、対応するIGBT328、IGBT328330を過電流から保護する。
【0035】
直列回路150に設けられた温度センサ(図示せず)からは直列回路150の温度の情報がマイコンに入力されている。また、マイコンには直列回路150の直流正極側の電圧の情報が入力されている。マイコンは、それらの情報に基づいて過温度検知及び過電圧検知を行い、過温度或いは過電圧が検知された場合には全てのIGBT328、IGBT330のスイッチング動作を停止させる。
【0036】
図4は、インバータ装置200の分解斜視図である。冷媒を流入するための入口配管13と冷媒を流出するための出口配管14が、ケース10の同一側壁に配置されている。ケース10内の底部側にはコの字形状に流路形成部12a、12b、12cが設けられている。尚、流路形成部12cは流路形成部12aと平行に対向配置されており、図4では見えていない。
【0037】
流路形成部12a、12b、12cには、後述する冷媒流路19(図7参照)が形成されている。入口配管13から流入した冷媒は、流路形成部12a〜12c内の冷媒流路19を流れて、出口配管14から流出される。
【0038】
互いに平行となっている流路形成部12a、12cには、パワー半導体モジュール300a〜300cを冷媒流路内に装着するための開口部400が複数形成されている。図4に示す例では、図示左側の設けられた流路形成部12aには、パワー半導体モジュール300a、300bが装着される2つの開口部400が形成されている。
【0039】
一方、図では見えないが、反対側に平行に設けられた流路形成部12cにはパワー半導体モジュール300cが装着される開口部400が1つ形成されている。これらの開口400は、流路形成部12a、12cにパワー半導体モジュール300a〜300cを固定することによって塞がれる。
【0040】
図5、6は、パワー半導体モジュール300aを説明する図であり、パワー半導体モジュール300a〜300cはいずれも同じ構造なので代表してパワー半導体モジュール300aの構造を説明する。図5はパワー半導体モジュール300aの外観を示す斜視図であり、図6はパワー半導体モジュール300aを断面Dで切断して方向Eから見たときの断面図である。
【0041】
尚、図5、6において信号端子325Uは、図3に開示したゲート電極154および信号用エミッタ電極155に対応し、信号端子325Lは、図3に開示したゲート電極164およびエミッタ電極165に対応する。また直流正極端子315Bは、図3に開示した正極端子157と同一のものであり、直流負極端子319Bは、図3に開示した負極端子158と同一のものである。また交流端子320Bは図3に開示した交流端子159と同じものである。
【0042】
図6の断面図は、上下アームの直列回路150のIGBT328およびダイオード156が配置される部分を示している。IGBT330およびダイオード166は、IGBT328およびダイオード156に対して図面に垂直方向に並置されている。IGBT328およびダイオード156は、導体板315と導体板318との間に挟まれるように固着されている。
【0043】
同様に、IGBT330およびダイオード166は、導体板319と導体板320との間に挟まれるように固着されている。導体板315等は、その放熱面が露出した状態で第一封止樹脂348によって封止され、当該放熱面に絶縁シート333が熱圧着される。
【0044】
第一封止樹脂348により封止されたモジュール一次封止体は、モジュールケース304の中に挿入され、絶縁シート333を挟んでCAN型冷却器であるモジュールケース304の内面に熱圧着される。ここで、CAN型冷却器とは、一面に挿入口306と他面に底を有する筒形状をした冷却器である。モジュールケース304の内部に残存する空隙には、第二封止樹脂351が充填される。
【0045】
モジュールケース304は電気伝導性を有する部材、例えばアルミ合金材料(Al、AlSi、AlSiC、Al−C等)で構成され、かつ、つなぎ目の無い状態で一体に成形される。モジュールケース304は挿入口306以外に開口を設けない構造であり、挿入口306はフランジ304Bよって、その外周を囲まれている。
【0046】
また、他の面より広い面を有する第1放熱面307A及び第2放熱面307Bがそれぞれ対向した状態で配置され、これらの放熱面に対向するようにして、各パワー半導体素子(IGBT328、IGBT330、ダイオード156、ダイオード166)が配置されている。
【0047】
当該対向する第1放熱面307Aと第2放熱面307Bと繋ぐ3つの面は、当該第1放熱面307A及び第2放熱面307Bより狭い幅で密閉された面を構成し、残りの一辺の面に挿入口306が形成される。モジュールケース304の形状は、正確な直方体である必要が無く、角が図6に示す如く曲面を成していても良い。
【0048】
このような形状の金属製のケースを用いることで、モジュールケース304を水や油などの冷媒が流れる冷媒流路19内に挿入しても、冷媒に対するシールをフランジ304Bにて確保できるため、冷却媒体がモジュールケース304の内部に侵入するのを簡易な構成で防ぐことができる。
【0049】
また、対向した第1放熱面307Aと第2放熱面307Bに、フィン305がそれぞれ均一に形成される。さらに、第1放熱面307A及び第2放熱面307Bの外周には、厚みが極端に薄くなっている湾曲部304Aが形成されている。湾曲部304Aは、フィン305を加圧することで簡単に変形する程度まで厚みを極端に薄くしてあるため、モジュール一次封止体が挿入された後の生産性が向上する。
【0050】
モジュールケース304の外部には、コンデンサモジュール500と電気的に接続するための金属製の直流正極配線315Aおよび直流負極配線319Aが設けられており、その先端部に直流正極端子315B(157)と直流負極端子319B(158)がそれぞれ形成されている。
【0051】
また、電動機ジェネレータMG1に交流電力を供給するための金属製の交流配線320Aが設けられており、その先端に交流端子320B(159)が形成されている。本実施形態では、直流正極配線315Aは導体板315と接続され、直流負極配線319Aは導体板319と接続され、交流配線320Aは導体板320と接続される。
【0052】
モジュールケース304の外部にはさらに、ドライバ回路174と電気的に接続するための金属製の信号配線324Uおよび324Lが設けられており、その先端部に信号端子325U(154、155)と信号端子325L(164、165)がそれぞれ形成されている。本実施形態では、信号配線324UはIGBT328と接続され、信号配線32
4LはIGBT328と接続される。
【0053】
直流正極配線315A、直流負極配線319A、交流配線320A、信号配線324Uおよび信号配線324Lは、樹脂材料で成形された配線絶縁部608によって相互に絶縁された状態で、補助モールド体600として一体に成型される。配線絶縁部608は、各配線を支持するための支持部材としても作用し、これに用いる樹脂材料は、絶縁性を有する熱硬化性樹脂かあるいは熱可塑性樹脂が適している。これにより、直流正極配線315A、直流負極配線319A、交流配線320A、信号配線324Uおよび信号配線324Lの間の絶縁性を確保でき、高密度配線が可能となる。
【0054】
補助モールド体600は、モジュール一次封止体と金属接合された後に、配線絶縁部608に設けられたネジ穴を貫通するネジ309によってモジュールケース304に固定される。接続部370におけるモジュール一次封止体と補助モールド体600との金属接合には、たとえばTIG溶接などを用いることができる。
【0055】
直流正極配線315Aと直流負極配線319Aは、配線絶縁部608を間に挟んで対向した状態で互いに積層され、略平行に延びる形状を成している。こうした配置および形状とすることで、パワー半導体素子のスイッチング動作時に瞬間的に流れる電流が、対向してかつ逆方向に流れる。これにより、電流が作る磁界が互いに相殺する作用をなし、この作用により低インダクタンス化が可能となる。なお、交流配線320Aや信号端子325U、325Lも、直流正極配線315A及び直流負極配線319Aと同様の方向に向かって延びている。
【0056】
モジュール一次封止体と補助モールド体600が金属接合により接続されている接続部370は、第二封止樹脂351によりモジュールケース304内で封止される。これにより、接続部370とモジュールケース304との間で必要な絶縁距離を安定的に確保することができるため、封止しない場合と比較してパワー半導体モジュール300aの小型化が実現できる。
【0057】
図4に戻って、コの字形状に設けられた流路形成部12a〜12cによって囲まれた領域は、コンデンサモジュール500を収納するための収納空間405を形成している。収納空間405に収納されたコンデンサモジュール500は、流路形成部12a〜12c内の冷媒流路を流れる冷媒によって冷やされる。このように、コンデンサモジュール500は、冷媒流路が設けられた流路形成部12a〜12cによって囲まれるように配置されるため、効率良く冷却される。
【0058】
また、コンデンサモジュール500の外側面に沿って流路が形成されているので、流路やコンデンサモジュール500やパワー半導体モジュール300a〜300cとの配置が整然と整い、全体がより小型となる。また冷媒流路がコンデンサモジュール500の長辺に沿って配置されており、冷媒流路に挿入固定されるパワー半導体モジュール300a〜300cとの距離が略一定となるので、平滑コンデンサとパワー半導体モジュール回路との回路定数が3相の各相においてバランスし易くなり、スパイク電圧を低減し易い回路構成となる。本実施の形態では、冷媒としては水が最も適している。しかし、水以外であっても利用できる。
【0059】
コンデンサモジュール500の上方には、バスバーアッセンブリ800が配置される。バスバーアッセンブリ800は、交流バスバーや当該交流バスバーを保持する保持部材を備えており、さらに電流センサ180を保持している。流路形成部12a〜12cとケース10とを一体にアルミ材の鋳造で作ることにより、冷却効果に加えて、ケース10の機械的強度を強くする効果がある。また、インバータ装置200全体の熱伝導が良くなり冷却効率が向上する。もちろん、流路形成部12a〜12cをケース10と別体で形成するようにしても構わない。
【0060】
ドライバ回路基板22は、バスバーアッセンブリ800の上方に配置される。またドライバ回路基板22と制御回路基板20の間には金属ベース板11が配置される。金属ベース板11は、ケース10に固定される。当該金属ベース板11は、ドライバ回路基板22及び制御回路基板20に搭載される回路群の電磁シールドの機能を奏すると共にドライバ回路基板22と制御回路基板20とが発生する熱を逃がし、冷却する作用を有している。
【0061】
さらに金属ベース板11は、制御回路基板20の機械的な共振周波数を高める作用を奏する。すなわち金属ベース板11に制御回路基板20を固定するためのねじ止め部を短い間隔で配置することが可能となり、機械的な振動が発生した場合の支持点間の距離を短くでき、共振周波数を高くできる。エンジン等から伝わる振動周波数に対して制御回路基板20の共振周波数を高くできるので、振動の影響を受け難く、信頼性が向上する。蓋8は、金属ベース板11に固定されて、制御回路基板20を外部からの電磁ノイズから保護する。
【0062】
本実施形態に係るケース10は、流路形成部12が収納された部分は略直方体の形状を為しているが、ケース10の一側面側から突出収納部10gが形成されている。当該突出収納部10dには、DC−DCコンバータ装置100から延ばされる端子102や、直流側のバスバーアッセンブリ900や、抵抗器450が収納される。ここで抵抗器450は、コンデンサモジュール500のコンデンサ素子に蓄えられた電荷を放電するための抵抗素子である。このようにバッテリ136とコンデンサモジュール500との間の電気回路部品を突出収納部10dに集約しているため、配線の複雑化を抑制することができ、装置全体の小型化に寄与することができる。
【0063】
尚、蓋18は、DC−DCコンバータ装置100から延ばされる端子102を接続するための作業用の窓17を塞ぐための部材である。なお、DC−DCコンバータ装置100は、ケース10の底面と対向する面に、端子102が貫通する開口部101が形成されている。
【0064】
このように、インバータ装置200の底部側に流路形成部12を配置し、次にコンデンサモジュール500、バスバーアッセンブリ800、基板等の必要な部品を固定する作業を上から順次行えるように構成されており、生産性と信頼性が向上する。
【0065】
図7は、ケース10を下カバー420が設けられている底面側から見た図である。ケース10は、4つの側壁10a、10b、10c、10dを備える直方体形状を有している。ケース10の底面側には、冷媒流路19の開口部404が形成されている。コの字形状の冷媒流路19は、直線状の3つの流路部(第1流路部19a、第2流路部19b、第3流路部19c)から構成される。開口部404もコの字形状をしており、この開口部404は下カバー420によって塞がれる。下カバー420とケース10の間には、シール部材409が設けられ気密性を保っている。
【0066】
下カバー420には、第1流路部19aおよび第2流路部19bと対向する位置に、冷媒流路19とは反対の方向に向かって突出する3つの凸部406と1つの凸部407とが形成されている。3つの凸部406は、パワー半導体モジュール300a〜300cに対応して設けられている。
【0067】
尚、第3流路部19cに対応する位置に形成された凸部407は、冷媒流路19の断面積を調整するために設けられたものであり、この部分にはパワー半導体モジュールは配置されない。凸部407は凸部406と同一形状である。符号10eで示す部分は、コンデンサモジュール500を収納する収納空間405(図4参照)の底部である。
【0068】
冷媒は、矢印417で示すように入口配管13に流入し、ケース10の長手方向の辺に沿って形成された第1流路部19a内を矢印418の方向に流れる。さらに、冷媒は、ケース10の短手方向の辺に沿って形成された第2流路部19b内を、矢印421の方向に流れる。この第2流路部19bは折り返し流路を形成する。
【0069】
さらに、冷媒は、ケース10の長手方向の辺に沿って形成された流路形成部12の第3流路部19cを流れる。第3流路部19cは、コンデンサモジュール500を挟んで第1流路部19aと平行に設けられている。冷媒は、矢印423で示すように出口配管14から流出される。
【0070】
第1流路部19a、第2流路部19b、第3流路部19cは、いずれも幅方向より深さ方向が大きく形成される。また、流路形成部12には、ケース10裏面に形成された開口部404と、複数の開口部400とが対向するように形成されているので、アルミ鋳造により製造し易い構成になっている。
【0071】
次に、DC−DCコンバータ装置100について説明する。図8はDC−DCコンバータ装置100の回路構成を示す図である。図8に示すように、本実施の形態のDC−DCコンバータ装置100では、双方向DC−DC対応としている。
【0072】
そのために、降圧回路(HV回路)、昇圧回路(LV回路)は、ダイオード整流ではなく同期整流構成としている。また、HV/LV変換で高出力とするために、スイッチング素子への大電流部品の採用、平滑コイルの大型化を図っている。
【0073】
具体的には、HV/LV側共に、リカバリーダイオードを持つMOSFETを利用したHブリッジ型・同期整流スイッチング回路構成(H1〜H4)とした。スイッチング制御にあっては、LC直列共振回路(Cr、Lr)を用いて高スイッチング周波数(100kHz)でゼロクロススイッチングさせ、変換効率を向上させて熱損失を低減するようにした。ここで、スイッチング素子IGBTはDC−DCコンバータ装置100を双方向に切り替えるための切り替え機能を有しているものである。
【0074】
加えて、アクティブクランプ回路を設けて、降圧動作時の循環電流による損失を低減させ、ならびに、スイッチング時のサージ電圧発生を抑制してスイッチング素子の耐圧を低減させることで、回路部品の低耐圧化を図ることで装置を小型化している。
【0075】
さらに、LV側の高出力を確保するために、全波整流型の倍電流(カレントダブラー)方式とした。尚、高出力化にあたり複数のスイッチング素子を並列同時作動させることで高出力を確保している。図8の例では、SWA1〜SWA4、SWB1〜SWB4のように4素子並列とした。
【0076】
また、スイッチング回路および平滑リアクトルの小型リアクトル(L1、L2)を、対称性を持たせるように2回路並列配置とすることで高出力化している。このように、小型リアクトルを2回路配置とすることで、大型リアクトル1台を配置させる場合に比べて、DC−DCコンバータ装置全体の小型化が可能となる。
【0077】
図9、図10および図11は、DC−DCコンバータ装置100における部品配置を説明する図である。図9はDC−DCコンバータ装置100の分解斜視図である。図10は、DC−DCコンバータ装置100とインバータ装置200とを一体化した電力変換装置1の断面図である。図11は、DC−DCコンバータ装置100のケース内の部品配置を模式的に示した図である。
【0078】
図9に示すように、DC−DCコンバータ装置100の回路部品は、金属製(例えば、アルミダイカスト製)のケース111内に収納されている。ケース111の開口部にはケースカバー112がボルト固定される。上述したように、ケース111の底面側に、インバータ装置200のケース10が固定される。
【0079】
ケース111内の底面部分には、主トランス33、インダクタ素子34、スイッチング素子H1〜H4が搭載されたパワー半導体モジュール35、スイッチング素子36が搭載されている昇圧回路基板32、コンデンサ38等が載置されている。主な発熱部品は、主トランス33、インダクタ素子34、パワー半導体モジュール35およびスイッチング素子36である。
【0080】
なお、図8の回路図との対応を記載すると、主トランス33はトランスTrに、インダクタ素子34はカレントダブラーのリアクトルL1、L2に、スイッチング素子36はスイッチング素子SWA1〜SWA4、SAWB1〜SWB4にそれぞれ対応している。昇圧回路基板32には、図8のスイッチング素子S1、S2等も搭載されている。
【0081】
図11にあるように、スイッチング素子H1〜H4の端子はケース上方へと延在しており、パワー半導体モジュール35の上方に配置された降圧回路基板31と接続されている。降圧回路基板31はケース底面から上方に突出した複数の支持部材上に固定される。パワー半導体モジュール35においては、スイッチング素子H1〜H4は、パターンが形成された金属基板上に実装されており、金属基板の裏面側はケース底面に密着するように固定されている。スイッチング素子36が実装される昇圧回路基板32も同様の金属基板で構成されている。
【0082】
制御回路基板30には、昇圧回路や降圧回路に設けられたスイッチング素子を制御する制御回路が実装されている制御回路基板30は金属製のベース板37上に固定されている。ベース板37はケース111の底面部から上方に突出した複数の支持部111aに固定されている。これにより、制御回路基板30は、ケース底面部に配置された発熱部品(主トランス33、インダクタ素子34やパワー半導体モジュール35など)の上方に、ベース板37を介して配置されることになる。
【0083】
図10および11を参照して、DC−DCコンバータ装置100に設けられた部品の配置について説明する。なお、図10の断面図では、インバータ装置200内に収納されている部品としては、流路形成部12に装着されたパワー半導体モジュール300a〜300cのみを示した。前述したように、インバータ装置200のケース10内には、各側壁10a、10b、10cに沿って流路形成部12a〜12cが設けられている。
【0084】
側壁10aに沿った流路形成部12aには第1流路部19aが形成され、側壁10bに沿った流路形成部12bには第2流路部19bが形成され、側壁10cに沿った流路形成部12cには第3流路部19cが形成されている。第1流路部19aにはパワー半導体モジュール300aが挿入され、第3流路部19cにはパワー半導体モジュール300cが挿入されている。なお、図示していないが、パワー半導体モジュール300bは第1流路部19aに挿入されている。
【0085】
DC−DCコンバータ装置100のケース111は、ケース底部111bの外周面に凹部111dおよび凸部111cが形成されている。図10に示すように、ケース111の凹部111dは、少なくともケース10の底部外周面に設けられた凸部406に対向する領域に形成されている。すなわち、凹部111dは、凸部406を介して流路部19a、19b、19cに対向している。また、凸部111cは、ケース10の底部外周面の凸部406によって囲まれた領域に対向するように形成されている。
【0086】
図10では図示を省略しているが、ケース111とケース10との隙間には、熱伝導性能に優れたシール材(放熱シート、熱伝導性グリース)が設けられている。主トランス33は第1流路部19aと対向するケース内周面に固定されている。一方、スイッチング素子36と搭載する昇圧回路基板32やコンデンサ38は、第3流路部19cと対向するケース内周面に固定されている。主トランス33、昇圧回路基板32、コンデンサ38等はケース111の底面部にボルト41等によりネジ止めされているが、ケース底部の肉厚の厚い領域、例えば凸部111cにネジ穴が形成されている。また、流路部19a、19b、19cと対向しないケース底面部にも部品を配置する場合には、その部分の肉厚を厚くしてケース10と接触させることで、その部品の冷却効率の向上を図るようにしている。
【0087】
ベース板37はケース111に形成された支持部111a上にボルト固定されている、制御回路基板30はベース板37の上面に形成された凸部37a上にボルト等により固定されている。ケース111の開口部にはケースカバー112が取り付けられ、ケース内部が密閉されている。
【0088】
ケース111は、底面部(凹部111dや凸部111cなど)がインバータ装置200のケース10と熱的に接触しているため、ケース10の流路部19a〜19cを流れる冷媒によって間接的に冷却されている。ケース底面部に部品を固定することにより、効果的に冷却が行われる。特に、発熱量の大きな部品に関しては、冷媒が直接接している下カバー402の凸部406が接触する領域に配置することで、冷却効果の向上を図ることができる。
【0089】
また、ベース板37は金属で形成されているので、制御回路基板30で発生した熱は支持部111aおよびケース111を介してケース10へと伝達される。また、ベース板37は、ケース底面部に設けられた発熱部品からの輻射熱の遮蔽部材として機能するとともに、銅材等を用いることでスイッチング素子からのスイッチング放射ノイズを遮蔽するシールドとしても機能する。
【0090】
図11の平面図は、ケース111の底面部に設けられた発熱部品の配置を示したものであり、ケースカバー112を外した状態を示す。破線はインバータ装置200のケース10に設けられた流路部19a〜19cの配置を示している。流路部19a〜19cは、ケース111の底面部に対してコの字形状に設けられており、第1流路部19aと第3流路部19cとは平行に設けられている。入口配管13から第1流路部19aに流入した冷媒は、第2流路部19b、第3流路部19cの順に流れて、出口配管14から流出する。
【0091】
主トランス33および2つのインダクタ素子34は、第1流路部19aと対向するケース底面部に配置されている。また、降圧回路を構成するパワー半導体モジュール35および降圧回路基板31は、主に第1流路部19aと対向するケース底面部に配置されている。昇圧回路を構成するスイッチング素子36および昇圧回路基板32は、第3流路部19cと対向するケース底面部に配置されている。このように、比較的発熱量の大きな部品を流路部19a〜19cと対向する位置に配置して冷却効率を高めるようにしている。
【0092】
≪本発明の背景と本発明の実施例の説明≫
本発明はこのような一例として示した電力変換装置を発明の対象とするものであり、以下に本発明が必要となった背景と共に本発明の一実施例を詳細に説明するが、発明をより理解しやすくするため図11乃至図13は簡略化した構成を示している。
【0093】
図11にあるように、インバータ装置200に形成した冷却通路である流路19a、19b及び19cはコンデンサモジュール500を囲むように形成されるので、おのずとその流路形状や流路寸法に限界がある。具体的には、流路形状はコの字形状に形成され、且つその流路の寸法は幅方向の長さはあまり確保できず、高さ方向の長さを確保して冷媒の必要流量を得るようにしている。
【0094】
したがって、図11からわかるようにインバータ装置200に重ねて固定されるDC−DCコンバータ装置100のケース111内にある伝熱性絶縁シート42に設けられるスイッチング素子H1乃至スイッチング素子H4は冷却通路19aの流路方向に対して略直角に並べて配置されるようになる。
ここで、スイッチング素子H1乃至スイッチング素子H4以外に更にもう一個のスイッチング素子IGBTも併せて配置されるようになっている。このスイッチング素子IGBTはDC−DCコンバータ装置100を双方向に切り替えるための切り替え機能を有しているものである。
【0095】
一般に、降圧回路31のパワー半導体モジュール35におけるスイッチング素子H1乃至スイッチング素子H4は大電力を処理するため発熱が大きなものとなる。そして、図11にあるように流路19aによりスイッチング素子H1乃至スイッチング素子H4及びスイッチング素子IGBTをできるだけ冷却できるように流路19aの上側に降圧回路31を配置している。
【0096】
しかしながら、冒頭で説明したようにこの種の電力変換装置1はエンジンルームなどの小さなスペースへの搭載が要求されているため、できるだけコンパクトにまとめることが要請されている。
【0097】
したがって、インバータ装置200の小型化を図ろうとした場合、コンデンサモジュール500の大きさが変わらない(小さくできたとしても限界がある。)とすると、流路19a、19b及び19cの幅を短くする必要がある。このため、降圧回路31を冷却するために流路19aの上側に降圧回路31を配置するようにすると、流路部19aの冷却範囲ではスイッチング素子H3、スイッチング素子H4及びスイッチング素子IGBTが冷却範囲外となる。特に流路部19aの範囲から遠くに配置されているスイッチング素子H4やスイッチング素子IGBTは他のスイッチング素子よりも温度がかなり高くなる傾向にある。
【0098】
上記した挙動の説明を図12に基づいて説明するが、図12はスイッチング素子H1乃至スイッチング素子H4及びスイッチング素子IGBTが取り付けられた状態の断面であり、各構成部品を模式化して簡略にしている。
【0099】
図12において、アルミ合金等で形成されたケース111に該当するスイッチング素子収納筐体43には熱伝導性の良い伝熱性絶縁シート42を介してスイッチング素子H1乃至スイッチング素子H4及びスイッチング素子IGBTが取り付けられている。
【0100】
具体的には、スイッチング素子H1乃至スイッチング素子H4及びスイッチング素子IGBTは熱伝導性グリース及び/または放熱用シリコンゴムシートなどの熱伝導性の良い伝熱性絶縁シート42を介してスイッチング素子収納筐体43に個々にねじによって固定されている。また、スイッチング素子収納筐体43は一般的なアルミダイカスト用の材料であるADC12タイプが使用されている。
【0101】
尚、スイッチング素子収納筐体43は上述したようにDC−DCコンバータ装置100のケース111と一体形成されるか、或いはケース111とは別体に作成してねじ等の固定手段によってケース111と一体にされても良いものである。
【0102】
このような構成において、各スイッチング素子H1乃至スイッチング素子H4及びスイッチング素子IGBTの熱の拡散状態を考えると、各スイッチング素子H1乃至スイッチング素子H4及びスイッチング素子IGBTが隣接しているため、各スイッチング素子の発熱による相互の熱干渉が大きく、熱の流れが隣接部分で交錯して旨く拡散出来ず熱が溜まりやすい傾向にある。
この場合、流路19aの冷却範囲内のスイッチング素子H1とスイッチング素子H2は流路19aを流れる冷媒によって熱が持ち去られるので温度はそれほど高くならないが、流路19aを外れて配置されたスイッチング素子H3、スイッチング素子H4及びスイッチング素子IGBTは冷却範囲内に配置されたスイッチング素子H1及びスイッチング素子H2よりも温度が高くなり、熱的な悪影響を受けやすくなる。
【0103】
このような課題に対して、本発明は以下のような対応を提案するものである。図13は本発明の典型的な一実施例を示しており、スイッチング素子収納筐体43は図12に示すものと同様のものである。
【0104】
そして、スイッチング素子収納筐体43の内側には放熱体41が収納されている。この放熱体41はスイッチング素子収納筐体43にぴったりと密着するように形成されているが、より伝熱性を向上するため両者の間には熱伝導性グリースが塗布されている。
【0105】
更に、スイッチング素子収納筐体43の側壁部と放熱体41の側壁部とはネジ44によって強固に固定されている。もちろん、側壁部とスイッチング素子収納筐体43の側壁部の間には熱移動を向上する熱伝導性グリースが塗布されている。尚、ネジ44は防水性等を考慮してスイッチング素子収納筐体43内で放熱体41を一体的にねじ止め固定するようにしても良い。
【0106】
そして、放熱体41の長手方向の上部にはスイッチング素子H1乃至スイッチング素子H4及びスイッチング素子IGBTが並列に並べられて載置されており、熱伝導性グリース及び/または放熱用シリコンゴムシートなどの熱伝導率の良い伝熱性絶縁シート42を介して個々にねじによって固定されている。
【0107】
本実施例においては、スイッチング素子収納筐体43は一般的なアルミダイカスト用の材料であるADC12タイプのものを使用し、放熱体41は、一般的な放熱板の材料であるA6063タイプのものを使用する。スイッチング素子収納筐体43はADC12タイプを使用しており、その熱伝導率は約92W/mkであり、放熱体41はA6063タイプを使用しており、その熱伝導率は約209W/mkである。
【0108】
したがって、各スイッチング素子で発生した熱は放熱体41に伝わるが、放熱体41は熱引きが良いので、隣接するスイッチング素子との間で熱の流れが交錯するのが少なくなって熱干渉が少なくなり、そのため熱拡散が良くなることにより流路19aによる冷却範囲外に配置されたスイッチング素子H3、スイッチング素子H4及びスイッチング素子IGBTの冷却効率をより高めることができる。
これにより、スイッチング素子H1乃至スイッチング素子H4及びスイッチング素子IGBTの温度が高くならずに熱による悪影響を抑制することが可能となる。
【0109】
ここで、スイッチング素子収納筐体43を放熱体41と同じ材料で製作するとかなり高くなるので実用的ではない。理由としては、発熱構成部品以外のところは冷却機能がそれほど必要なく、高い材料を使用する利点が少ないからである。
【0110】
以上が本発明の基本的な考え方であるが、次に本発明の考え方を適用した具体的な実施例を詳細に説明するが、図14は降圧回路部分を主要素とする組立体を示し、図15はその分解斜視図である。
【0111】
図14において、参照番号41は図13で示した放熱体であり、この放熱体41上にスイッチング素子やDC−DCコンバータ装置用のコンデンサモジュール45、制御基板46等が載置され、これらはネジ等によって一体的に固定されるとともに、この組立体はDC−DCコンバータ装置100のケース111内にネジによって固定されるように構成されている。
【0112】
更に詳細に説明すると、図15において所定厚さを有した外観が長方形状の放熱体41はその中央部付近にスイッチング素子H1乃至スイッチング素子H4及びスイッチング素子IGBTを受け入れる収納凹部41Bが形成されており、この収納凹部41Bに伝熱性絶縁シート42が載置され、更にこの伝熱性絶縁シート42の上にスイッチング素子H1乃至スイッチング素子H4及びスイッチング素子IGBTが並列に並べて載置されている。
【0113】
スイッチング素子H1乃至スイッチング素子H4及びスイッチング素子IGBTは固定用の板バネ47によって伝熱性絶縁シート42に強く押しつけられており、板バネ47はその一部が放熱体41にねじ48によって強固に固定されている。
【0114】
したがって、ねじ48を支点として板バネ47がスイッチング素子H1乃至スイッチング素子H4及びスイッチング素子IGBTを伝熱性絶縁シート42側に強く押圧している。
【0115】
また、コンデンサモジュール45はコンデンサケース49とこれに一体形成した取付部50を備えており、コンデンサケース49にコンデンサが収納されて樹脂等が充填固化されている。そして、取付部50をネジによって放熱体41に固定することでコンデンサモジュール45と放熱体41とを一体化している。
【0116】
したがって、コンデンサモジュール45と放熱体41との間にスイッチング素子H1乃至スイッチング素子H4及びスイッチング素子IGBTが位置することになる。
【0117】
そして、図14の図示上で後端側には制御基板46が位置しており、この制御基板46の下側の両端には位置決めピン51が植立しており、この位置決めピン51は放熱体41の後端側の位置決め孔(図示せず)に挿入され、その後ネジ52によってコンデンサケース49に固定される。
【0118】
ここで、放熱体41、コンデンサモジュール45、制御基板46が組み上がった状態で、スイッチング素子H1乃至スイッチング素子H4及びスイッチング素子IGBTのそれぞれの端子は制御基板46の制御回路に接続されるようになっている。
【0119】
このようにしてなる組立体において、各スイッチング素子で発生した熱は放熱体41に伝わるが、上述したように放熱体41は熱引きが良いので、隣接するスイッチング素子との間で熱の流れが交錯するのが少なくなって熱干渉が少なくなり、そのため熱拡散が良くなることにより流路19aによる冷却範囲外に配置されたスイッチング素子H3、スイッチング素子H4及びスイッチング素子IGBTの冷却効率をより高めることができる。
【0120】
これにより、スイッチング素子H1乃至スイッチング素子H4及びスイッチング素子IGBTの温度が高くならずに熱による悪影響を抑制することが可能となる。このような構造によって組立体をコンパクトに構成することができると共に、組み上がった組立体をDC−DCコンバータ装置100のケース111に組み付けるとことによって容易に取り付けることが可能となる。
【0121】
また、本発明の課題であるスイッチング素子H1乃至スイッチング素子H4及びスイッチング素子IGBTの冷却については熱引きが良い放熱体41によって伝熱させることで、隣接するスイッチング素子との間で熱の流れが交錯するのが少なくなって熱干渉が少なくなり、そのため熱拡散が良くなることにより流路19aによる冷却範囲外に配置されたスイッチング素子H3、スイッチング素子H4及びスイッチング素子IGBTの冷却効率をより高めることができるものである。
【0122】
ここで、実施例においては放熱体41について放熱材料用として熱伝導率が約209W/mkのアルミニウムのA6063タイプを使用しているが、これに限定されずケース111より放熱特性が良ければ制限されないものである。
【0123】
また、実施例においては電力変換装置としてインバータ装置200とDC−DCコンバータ装置100を一体化したものを示しているが、DC−DCコンバータ装置100を単独に使用し、この、DC−DCコンバータ装置100自体にインバータ装置200に示したような冷却通路を形成するようにしたものであっても本発明は適用可能である。つまり、放熱体41が固定される位置のケース111の反対側の壁面に冷却水通路を配置するようにしても良いものである。
【0124】
尚、以上の説明はPHEVあるいはEV等の車両に搭載される電力変換装置を例に説明したが、本発明はこれらに限らず建設機械等の車両に用いられる電力変換装置にも適用することができる。
【符号の説明】
【0125】
10、111…ケース、10a〜10d…側壁、10f、111f…側面、12…流路
形成部、19…冷媒流路、19a…第1流路部、19b…第2流路部、19c…第3流路
部、20、30…制御回路基板、33…主トランス、34…電圧変換用インダクタ素子、
35…パワー半導体モジュール、36…スイッチング素子、37…ベース板。41…放熱体、42…伝熱性絶縁シート、43…スイッチング素子収納筐体、44…ねじ、45…コンデンサモジュール、46…制御基板、47…板バネ、48…取付部、49…コンデンサケース、50…ネジ、51…位置決めピン、100…DC−DCコンバータ装置、111a…支持部、111b…ケース底部、111c、52…ネジ、53…端子、406…凸部、111d…凹部、120…放熱シート、200…インバータ装置、402…下カバー、H1〜H4、IGBT…スイッチング素子。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも電圧変換するためのインダクタ素子と、前記インダクタ素子に流れる電流を制御する複数のスイッチング素子が搭載される金属製のケースを備えた電力変換装置において、
前記スイッチング素子は、前記金属製のケースに固定された前記金属製のケースよりも伝熱特性が良い金属製の放熱体に伝熱性を有する絶縁材を介して固定されていることを特徴とする電力変換装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電力変換装置において、
前記放熱体の上部には前記複数のスイッチング素子が並列に並べて載置されていること特徴とする電力変換装置。
【請求項3】
請求項2に記載の電力変換装置において、
前記ケースと前記放熱体はアルミニウム系の金属材料であり、前記放熱体を形成するアルミニウム系の金属材料の方が前記ケースを形成するアルミニウム系の金属材料より伝熱特性が良いことを特徴とする電力変換装置。
【請求項4】
請求項3に記載の電力変換装置において、
前記放熱体が位置する前記ケースの反対側の壁面には冷却水が流れる通路が配置されていることを特徴とする電力変換装置。
【請求項5】
請求項2に記載の電力変換装置において、
前記放熱体の上部には前記絶縁材を介して前記複数のスイッチング素子が並べて載置され、前記複数のスイッチング素子の上部にはインダクタ素子であるコンデンサモジュールが載置されて前記放熱体と固定されていることを特徴とする電力変換装置。
【請求項6】
請求項5に記載の電力変換装置において、
前記コンデンサモジュールと前記放熱体には制御基板が固定され、前記制御基板と前記複数のスイッチング素子とは前記放熱体と前記コンデンサモジュールの間を通る端子によって接続されていることを特徴とする電力変換装置。
【請求項7】
請求項6に記載の電力変換装置において、
前記放熱体には凹部が設けられ、この凹部に前記絶縁材と、前記放熱体が載置されていることを特徴とする電力変換装置。
【請求項8】
インバータケースに収納され、交流電流を出力する複数のパワー半導体モジュールが設
けられたインバータ装置と、前記インバータケースにネジ等の固定手段によって固定されるコンバータケースに収納される少なくとも電圧変換するためのインダクタ素子と、前記インダクタ素子に流れる電流を制御する複数のスイッチング素子を備えたDC−DCコンバータ装置と、を備えた電力変換装置において、
前記インバータケースには前記コンバータケースに熱的に接続された第1冷却通路と、前記第1冷却通路と平行に設けられた第2冷却通路と、前記第1及び第2の冷却通路を繋ぐ第3冷却通路が形成され、
前記コンバータケースには前記第1冷却通路をまたぐように配置された前記コンバータケースよりも伝熱特性が良い放熱体を固定し、前記複数のスイッチング素子を前記放熱体に伝熱性を有する絶縁材を介して固定されていることを特徴とする電力変換装置。
【請求項9】
請求項8に記載の電力変換装置において、
前記放熱体の上部には前記複数のスイッチング素子が並列に並べて載置されていること特徴とする電力変換装置。
【請求項10】
請求項9に記載の電力変換装置において、
前記ケースと前記放熱体はアルミニウム系の金属材料であり、前記放熱体を形成するアルミニウム系の金属材料の方が前記ケースを形成するアルミニウム系の金属材料より伝熱特性が良いことを特徴とする電力変換装置。
【請求項11】
請求項10に記載の電力変換装置において、
前記放熱体の上部には前記絶縁材を介して前記複数のスイッチング素子が並べて載置され、前記複数のスイッチング素子の上部にはインダクタ素子であるコンデンサモジュールが載置されて前記放熱体と固定されていることを特徴とする電力変換装置。
【請求項12】
請求項11に記載の電力変換装置において、
前記コンデンサモジュールと前記放熱体には制御基板が固定され、前記制御基板と前記複数のスイッチング素子とは前記放熱体と前記コンデンサモジュールの間を通る端子によって接続されていることを特徴とする電力変換装置。
【請求項13】
請求項12に記載の電力変換装置において、
前記放熱体には凹部が設けられ、この凹部に前記絶縁材と、前記放熱体が載置されていることを特徴とする電力変換装置。
【請求項1】
少なくとも電圧変換するためのインダクタ素子と、前記インダクタ素子に流れる電流を制御する複数のスイッチング素子が搭載される金属製のケースを備えた電力変換装置において、
前記スイッチング素子は、前記金属製のケースに固定された前記金属製のケースよりも伝熱特性が良い金属製の放熱体に伝熱性を有する絶縁材を介して固定されていることを特徴とする電力変換装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電力変換装置において、
前記放熱体の上部には前記複数のスイッチング素子が並列に並べて載置されていること特徴とする電力変換装置。
【請求項3】
請求項2に記載の電力変換装置において、
前記ケースと前記放熱体はアルミニウム系の金属材料であり、前記放熱体を形成するアルミニウム系の金属材料の方が前記ケースを形成するアルミニウム系の金属材料より伝熱特性が良いことを特徴とする電力変換装置。
【請求項4】
請求項3に記載の電力変換装置において、
前記放熱体が位置する前記ケースの反対側の壁面には冷却水が流れる通路が配置されていることを特徴とする電力変換装置。
【請求項5】
請求項2に記載の電力変換装置において、
前記放熱体の上部には前記絶縁材を介して前記複数のスイッチング素子が並べて載置され、前記複数のスイッチング素子の上部にはインダクタ素子であるコンデンサモジュールが載置されて前記放熱体と固定されていることを特徴とする電力変換装置。
【請求項6】
請求項5に記載の電力変換装置において、
前記コンデンサモジュールと前記放熱体には制御基板が固定され、前記制御基板と前記複数のスイッチング素子とは前記放熱体と前記コンデンサモジュールの間を通る端子によって接続されていることを特徴とする電力変換装置。
【請求項7】
請求項6に記載の電力変換装置において、
前記放熱体には凹部が設けられ、この凹部に前記絶縁材と、前記放熱体が載置されていることを特徴とする電力変換装置。
【請求項8】
インバータケースに収納され、交流電流を出力する複数のパワー半導体モジュールが設
けられたインバータ装置と、前記インバータケースにネジ等の固定手段によって固定されるコンバータケースに収納される少なくとも電圧変換するためのインダクタ素子と、前記インダクタ素子に流れる電流を制御する複数のスイッチング素子を備えたDC−DCコンバータ装置と、を備えた電力変換装置において、
前記インバータケースには前記コンバータケースに熱的に接続された第1冷却通路と、前記第1冷却通路と平行に設けられた第2冷却通路と、前記第1及び第2の冷却通路を繋ぐ第3冷却通路が形成され、
前記コンバータケースには前記第1冷却通路をまたぐように配置された前記コンバータケースよりも伝熱特性が良い放熱体を固定し、前記複数のスイッチング素子を前記放熱体に伝熱性を有する絶縁材を介して固定されていることを特徴とする電力変換装置。
【請求項9】
請求項8に記載の電力変換装置において、
前記放熱体の上部には前記複数のスイッチング素子が並列に並べて載置されていること特徴とする電力変換装置。
【請求項10】
請求項9に記載の電力変換装置において、
前記ケースと前記放熱体はアルミニウム系の金属材料であり、前記放熱体を形成するアルミニウム系の金属材料の方が前記ケースを形成するアルミニウム系の金属材料より伝熱特性が良いことを特徴とする電力変換装置。
【請求項11】
請求項10に記載の電力変換装置において、
前記放熱体の上部には前記絶縁材を介して前記複数のスイッチング素子が並べて載置され、前記複数のスイッチング素子の上部にはインダクタ素子であるコンデンサモジュールが載置されて前記放熱体と固定されていることを特徴とする電力変換装置。
【請求項12】
請求項11に記載の電力変換装置において、
前記コンデンサモジュールと前記放熱体には制御基板が固定され、前記制御基板と前記複数のスイッチング素子とは前記放熱体と前記コンデンサモジュールの間を通る端子によって接続されていることを特徴とする電力変換装置。
【請求項13】
請求項12に記載の電力変換装置において、
前記放熱体には凹部が設けられ、この凹部に前記絶縁材と、前記放熱体が載置されていることを特徴とする電力変換装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2013−94022(P2013−94022A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−235999(P2011−235999)
【出願日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【出願人】(509186579)日立オートモティブシステムズ株式会社 (2,205)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【出願人】(509186579)日立オートモティブシステムズ株式会社 (2,205)
【Fターム(参考)】
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