説明

電動式のケーブル駆動装置および電動ブレーキ装置

【課題】手動で容易にブレーキを解除することができ、しかも構成が簡単な緊急解除機構を備えた電動式ケーブル駆動装置を提供する。
【解決手段】モータMと、回転部材71と、前記回転部材と螺合して、回転部材の回転を直進運動に変換する直進部材26と、前記直進部材に連結されるケーブル15と、外部操作でそのケーブルの操作力を開放するための緊急解除機構81とを備えており、その緊急解除機構が、前記回転部材を通常状態では軸方向に移動しないように拘束すると共に、異常時には外部操作で拘束を解除する拘束機構を備えており、その拘束機構が、回転部材の端部と対向するように配置され、その端部が拘束機構に向かって押圧されるときに受け入れて拘束し、逆方向の加圧に対しては、外部操作で解除するまで拘束するキャッチ機構を備えている電動式のケーブル駆動装置80。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電動式のケーブル駆動装置およびそれを用いた自動車などの電動式ブレーキ装置に関する。自動車などには、モータバイク、三輪自動車、パワーアシスト式自転車、ゴルフカート、フォークリフトなどが含まれる。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、図11に示す車両用の駐車ブレーキ100が開示されている。この駐車ブレーキ100は、外周に歯車101が形成され、内周にスプラインハブが形成されると共に、軸方向に移動しないように、かつ、回転自在に支持される構成部材102と、その構成部材の内周のスプラインハブと噛み合い、軸方向に移動自在に設けられる中空のスプライン103と、そのスプラインの内周に形成される雌ネジと螺合する雄ネジ部材(スピンドル)104とを備えている。
【0003】
スプライン103の一端には第1ブレーキケーブル105が係止され、雄ネジ部材104の一端には第2ブレーキケーブル106が係止されている。そして構成部材102の外周の歯車101はモータMによって駆動され、モータが一方向に回転すると、スプライン103の雌ネジと雄ネジ部材104とが相対的に螺進して左右のブレーキケーブル105、106同士が引き合う。それにより左右のブレーキがかかる。
【0004】
他方、モータMが逆方向に回転すると、スプライン103の雌ネジと雄ネジ部材104が前記とは逆周りに相対的に回転し、左右のブレーキケーブル105、106同士が引き合う張力を弱める。それによりブレーキが解除される。スプライン103と雄ネジ部材104とからなるテレスコープ装置は、構成部材102に対して軸方向移動自在であるので、左右のブレーキには同一の力が加わる。このように特許文献1の駐車ブレーキは、モータによってパーキングブレーキをかけたり解除したりすることができ、左右のブレーキ力を均等にすることができる。
【0005】
さらに特許文献1には、第2ケーブル106と雄ネジ部材104の連結を遠隔操作によって解除する解離装置107が示されている。この解離装置107は、雄ネジ部材104の端部に固定され、ハウジングの内面によってガイドされるガイド部材108と、そのガイド部材に回動自在に設けられ、バネ109によって時計方向に付勢されるロック解除レバー110と、そのロック解除レバーをバネ109の付勢力に抗して反時計方向に回動操作するロック解除ケーブル111とを備えている。
【0006】
図12に示すように、ロック解除レバー110を支持する軸112には、係止爪113がロック解除レバーと共回りするように連結されている。ガイド部材108には第2ケーブル106の端部に固定された係合部材114が軸方向移動自在に収容されており、その係合部材114には、係止爪113が離脱可能に係合する溝115が形成されている。
【0007】
この解離装置107は、ブレーキをかけた状態(左右のケーブル105、106の間隔が縮まった状態)で電気系統やモータMが故障した場合に、ロック解除ケーブル111を引くことにより、図12に示すように、ケーブル106と雄ネジ部材104の連結を手動操作で解除することができる。そして電気系統やモータMが回復したとき、ロック解除ケーブル111を引かない状態でモータMを左右のケーブル105、106の間隔を拡げるように、すなわちガイド部材108が左側に移動するように回転させることにより、係止爪113を溝115に係合させて元の状態に復帰させることができる。
【0008】
特許文献2には、図13に示すような、出力シャフト116を有する電気モータMと、出力シャフト116をリードスクリュー(ネジ)117に接続するトランスミッション(減速機構)118とを備えた電気パーキングブレーキアッセンブリ119が開示されている。リードスクリュー117にはネジ穴を備えたドライブナット120が螺合されており、そのドライブナット120にブレーキ操作用のケーブル121が連結されている。
【0009】
さらに特許文献2には、トランスミッション118に設けられるオーバーライドギヤ122と、そのオーバーライドギヤを手動による遠隔操作で回転させるためのオーバーライドケーブル123が開示されている。オーバードライブギヤ122は、トランスミッション118を介してリードスクリュー117を回転させることができる。オーバーライドケーブル123は、可撓性を有する導管と、その導管内に回転自在に、トルク伝達可能に収容されたコアとからなる、いわゆる回転ケーブルから構成されている。
【0010】
それにより電気モータが停止している場合でも、オーバーライドケーブル123の一端を回転させることにより、パーキングブレーキをかけたり、解除したりすることができる。特許文献3には、そのようなオーバーライドケーブル123の端部を回転操作するための操作側の構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特表2001−513179号公報
【特許文献2】特開2002−205627号公報
【特許文献3】米国特許第6386338号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
特許文献1の駐車ブレーキ100は、スプラインハブを備えた構成部材102やスプライン103を必要とするため、機構が複雑で、組立作業も繁雑である。また、解離装置107の係合を解除する場合は、ケーブル106の張力で強く係合しているロック解除レバー110を手動で回動させるため、かなりの労力を要する。
【0013】
また、特許文献2の電動パーキングブレーキアッセンブリ119は、オーバーライドケーブル123を回転させて減速機内のオーバーライドギヤ122を回転させるだけでよいので、操作力は弱くて済むが、何回も回転させる必要があり、手動でブレーキを解除する場合はかなり煩雑である。
【0014】
本発明は電気系統やモータが故障したときでも、手動で容易にブレーキを解除することができ、しかも構成が簡単な緊急解除機構を備えた電動式ケーブル駆動装置を提供することを技術課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明のケーブル駆動装置(請求項1)は、モータと、そのモータの出力軸に連結される減速機と、その減速機の出力側に連結される回転部材と、前記回転部材と螺合して、回転部材の回転を直進運動に変換する直進部材と、前記直進部材に連結されるケーブルと、外部操作でそのケーブルの操作力を開放するための緊急解除機構とを備えており、その緊急解除機構が、外部から回転部材を回転させる手段を備えていることを特徴としている。
【0016】
このようなケーブル駆動装置においては、前記回転部材の端部が減速機のハウジングから突出しており、前記回転手段を回転させる手段が、その突出している回転部材の端部に設けられる断面角形の係合部であるものが好ましい(請求項2)。
【0017】
本発明の電動式のケーブル駆動装置の第2の態様(請求項3)は、モータと、そのモータの出力軸に連結される減速機と、その減速機の出力側に連結される回転部材と、前記回転部材と螺合して、回転部材の回転を直進運動に変換する直進部材と、前記直進部材に連結されるケーブルと、外部操作でそのケーブルの操作力を開放するための緊急解除機構とを備えており、その緊急解除機構が、前記回転部材を通常状態では軸方向に移動しないように拘束すると共に、異常時には外部操作で拘束を解除する拘束機構とを備えていることを特徴としている。
【0018】
前記拘束機構としては、回転部材の端部と対向するように配置され、その端部が拘束機構に向かって押圧されるときに受け入れて拘束し、逆方向の加圧に対しては、外部操作で解除するまで拘束するキャッチ機構を備えているものが好ましい(請求項4)。
【0019】
前記いずれのケーブル駆動装置においても、前記ケーブルがブレーキを操作するプルコントロールケーブルの内索であり、その内索が、ブレーキのリターンスプリングによって常時張力が付与されているものとすることができる(請求項5)。
【0020】
本発明の自動車などの電動式ブレーキ装置(請求項6)は、前記プルコントロールケーブルの内索をケーブルとするケーブル駆動装置と、前記内索が連結されるブレーキレバーと、そのブレーキレバーをブレーキ解除側に付勢するリターンスプリングと、ブレーキレバーと連結されるブレーキ用摩擦部材とを備えていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0021】
本発明の電動式ケーブル駆動装置(請求項1)は、モータが回転するとその回転は減速機を介して回転部材を回転させ、さらに回転部材と螺合する直進部材の直進運動に変換する。モータが逆方向に回転すると、直進部材が逆方向に移動する。そのため、モータの回転方向を選択することにより、直進部材に連結されているケーブルを軸方向に往復操作することができる。
【0022】
電気系統に故障が生じたときは、緊急解除機構の回転部材を回転させる手段を用いて、回転部材を回転させることができる。それにより直進部材を移動させてケーブルを操作することができる。その場合、回転部材と直進部材の螺合により、大きい負荷に抗してケーブルを操作することができ、しかも回転部材を回転させる抵抗により、ケーブルの張力、ひいてはブレーキの効き状態などを感ずることができる。したがって適切な手動操作をすることができる。
【0023】
前記回転部材の端部が減速機のハウジングから突出しており、前記回転手段を回転させる手段が、その突出している回転部材の端部に設けられる断面角形の係合部である場合(請求項2)は、電気系統やモータが故障した場合などの緊急時には、減速機のハウジングから突出している断面角形の係合部を工具を用いて回転させることにより、容易に回転部材を回転させることができ、ケーブルの手動操作が一層容易になる。
【0024】
本発明の電動式のケーブル駆動装置の第2の態様(請求項3)においては、通常の状態では、緊急解除機構の拘束機構が回転部材を軸方向に移動しないように拘束しているので、モータおよび減速機が回転すると、回転部材が軸方向に移動しない状態で回転する。そのため、直進部材が直進運動を行い、被操作部材の負荷に抗してケーブルを操作することができる。
【0025】
ケーブルで被操作部材を一方向に操作している状態で電気系統の故障が生じた緊急時には、外部操作で拘束機構を操作して、回転部材の軸方向の移動の拘束を解除する。それに
より回転部材と直進部材が一体になって軸方向に移動自在となり、ケーブルによる操作状態を解消することができる。
【0026】
前記拘束機構が、回転部材の端部と対向するように配置され、その端部が拘束機構に向かって押圧されるときに受け入れて拘束し、逆方向の加圧に対しては、外部操作で解除するまで拘束するキャッチ機構を備えている場合(請求項4)は、通常状態ではキャッチ機構で回転部材の軸方向の移動を拘束する。それにより回転部材がケーブルの操作の反力に抗して直進部材でケーブルを操作することができる。緊急事態には、外部操作でキャッチ部材による回転部材の拘束を解除する。それによりケーブルの操作力を解消できる。そのときの操作は、回転部材を回転させる必要がないので、短時間で簡単にケーブルの操作力を解消できる利点がある。
【0027】
キャッチ部材による回転部材の拘束を解除している状態で、電気系統の故障が回復した場合は、モータを回転させて回転部材を回転させる。その場合、直進部材に対して回転部材が回転し、回転部材はキャッチ部材の側に加圧される。したがって簡単に元の拘束状態に復帰させることができる。
【0028】
前記ケーブルがブレーキを操作するプルコントロールケーブルの内索であり、その内索が、ブレーキのリターンスプリングによって常時張力が付与されている場合(請求項5)は、モータの一方向の回転により回転部材を回転させて内索を引っ張り操作することができ、モータの他方向の回転により、内索を引く力を弱めてリターンスプリングの付勢力に従わせてケーブルを送り出すことができる。ケーブルに大きい張力を負荷した状態で電気系統に故障が生じたときは、前述の緊急解除機構によってケーブルの張力を解消することができ、被操作部材の作動状態を解消できる。
【0029】
本発明の電動式ブレーキ装置(請求項6)は、前述の緊急解除機構を備えているので、モータ駆動でケーブルを引き操作してブレーキをかけた状態で電気系統に故障が生じたときでも、緊急解除機構で手動操作によってケーブルの張力を解消することができ、ブレーキを解除することができる。それにより、自動車などを移動させることができる。なお、移動中は別系統の油圧ブレーキを利用すればよい。そして停車するときに、前述と逆の方法で手動でブレーキをかけるか、タイヤに楔状のストッパをかませればよい。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明のケーブル駆動装置の一実施形態を示す一部断面平面図である。
【図2】図1のII-II線断面図である。
【図3】図1のIII-III線断面図である。
【図4】図1のケーブル駆動装置におけるモータの制御回路を示すブロック図である。
【図5】図1のケーブル駆動装置を用いた電動ブレーキ装置の一実施形態を示す概略平面図である。
【図6】本発明のケーブル駆動装置の他の実施形態を示す概略平面図である。
【図7】本発明のケーブル駆動装置の他の実施形態を示す一部断面平面図である。
【図8】図7のケーブル駆動装置における緊急解除機構の作用を示す工程図である。
【図9】図8に続く緊急解除機構の作用を示す工程図である。
【図10】本発明に関わるキャッチ機構の他の実施形態を示す概略側面図である。
【図11】従来のパーキングブレーキ装置の一例を示す斜視図である。
【図12】図11のパーキングブレーキ装置の要部拡大斜視図である。
【図13】従来のパーキングブレーキの他の例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1に示すケーブル駆動装置10は、本体11とカバー12とからなるハウジング13と、そのハウジングに取り付けられるモータMと、ハウジング13内に収容され、モータの回転を減速する減速機Gと、減速機の出力部に連結されるネジ−ナット機構(回転/直進変換機構)14と、そのネジ−ナット機構によって往復駆動されるコントロールケーブル15とを備えている。なお符号16はハウジング13を保持するベースブラケットである。
【0032】
前記ハウジング13の本体11には、モータMを取り付けるための取り付け座21が設けられ、ネジ(図2の符号22)によってモータMが固定されている。本体11とカバー12との間には、減速機のギヤを支持する第1軸23、第2軸24がモータMの出力軸25と平行に配置され、固定されている。さらにハウジング13には、ネジ−ナット機構14のナット部材26が回転自在に支持されている。ナット部材26の回転中心はモータMの出力軸25と平行である。
【0033】
減速機Gは、モータMの出力軸25に固定されているピニオン27と、第1軸23によって回転自在に支持され、ピニオン27と噛み合う第1ギヤ28と、前記第2軸24によって回転自在に支持され、第1ギヤ28と噛み合う第2ギヤ29と、ナット部材26の外周に固定され、第2ギヤ29と噛み合う第3ギヤ30とからなる。図2に示すように、第1ギヤ28はピニオン27と噛み合う大径ギヤ28aと、その大径ギヤと一体に回転する小径ギヤ28bとを備えている。第2ギヤ29は第1ギヤの小径ギヤ28bと噛み合う大径ギヤ29aと、その大径ギヤと一体に回転して第3ギヤ30と噛み合う小径ギヤ29bとを備えている。なお図2では、煩雑さを避けるために各ギヤは一点鎖線で有効径のみを示している。
【0034】
前記減速機Gでは、モータMの回転は、ピニオン27から第1ギヤの大径ギヤ28aへ伝達されるとき、第1ギヤの小径ギヤ28bから第2ギヤの大径ギヤ29aに伝達されるとき、および第2ギヤの小径ギヤ29bから第3ギヤ30に伝達されるときにそれぞれ減速され、全体として3段減速の作用が奏される。ギヤ比がたとえばそれぞれ1/3であれば、全体の減速比は1/27となる。
【0035】
図1に戻って、前記ネジ−ナット機構14は、前述のナット部材26と、そのナット部材26と螺合するロッド(スクリューシャフト)32と、そのロッドに固定される角形のスライダ33と、ロッドの回転を拘束するため、スライダ33を摺動自在にガイドするガイド部材34とを備えている。ナット部材26は円筒状を呈しており、ハウジングの本体11に設けられる筒状の受け部11aによって回転自在に支持される。ナット部材26の先端の内面には雌ネジ35が形成されている。長手方向の中心部の外周には、ケーブル操作の時のスラスト荷重、とくにケーブルを引っ張るときの反力を支持するフランジ36が形成されている。なお、符号37、38はスラスト荷重を受けるワッシャ39、40を保持するCリングであり、ナット部材26の外周に形成される環状溝に嵌合している。
【0036】
第3ギヤ30の内周は回り止めのための四角形の貫通孔が形成されており、ナット部材26の第3ギヤ30と嵌合する表面には、その貫通孔と嵌合する4個所の平坦面41が形成されている。さらにナット部材26の基端、すなわち雌ネジ35が形成されている側と反対側の端部はカバー(減速機のハウジング)12から突出しており、その端部内に、手動でブレーキ解除操作を行うための係合部材42がカシメなどで固定されている。係合部材42は緊急解除機構(エマージェンシー機構)である。
【0037】
係合部材42はいわゆる六角レンチと嵌合する断面六角形の係合穴42aを備えている。さらに係合部材42の内面には、ロッド32の端部と当接するゴムなどからなるストッパ43が取り付けられている。なお係合穴42aは四角形など、他の角形であってもよい
。また、係合穴42aに代えて、ソケットレンチと係合する係合突起を採用したり、先端自体を六角形などの角形にすることもできる。要は工具などでナット部材26を外部から回転させることができればよい。
【0038】
前記ロッド32の一端近辺にはナット部材26の雌ネジ35と螺合する雄ネジ44が形成されている。他端にはコントロールケーブル15の内索45の端部を嵌入してカシメなどで固定する穴46が形成されている。穴の周囲は薄肉の筒状部とされ、カシメ加工のときに角形に成形されて角形部47となる。その角形部の外周には前記スライダ33が嵌合され、固定されている。スライダ33の外周は図3に示すように、略四角形とされており、筒状(あるいは一対の板状)のガイド部材34の内面と回転しないように、軸方向に摺動自在に嵌合している。ガイド部材34の基端はハウジングの本体11に設けられる前記受け部11aの外周に嵌合固定されている。
【0039】
前記コントロールケーブル15は、可撓性を有する導管49と、その導管内に摺動自在に収容される前述の内索45とからなる公知のものである。導管49は断面角形の金属線を密に螺旋状に巻いた鎧層とその外周に設けられる合成樹脂製の被覆とからなる。内面に合成樹脂製のチューブ状のライナが設けられる場合もある。内索45は金属素線を撚り合わせたものであり、この実施形態ではその外周に合成樹脂製のコートを設けている。
【0040】
導管49の端部には筒状のケーシングキャップ50がカシメなどで固定され、そのケーシングキャップに設けられているフランジ部が前記ガイド部材34の自由端のフランジ部(図3の符号34a)に固定されている。ケーシングキャップ50の内側の端部には、筒状のクッションラバー51が設けられている。内索45の端部は前述のようにロッド32の穴46に嵌入され、カシメなどによって固定されている。この実施形態ではコントロールケーブル15は引き力を伝達するプルコントロールケーブルを採用している。ただし用途によってはプッシュプルコントロールケーブルであってもよい。
【0041】
前記のように構成されるネジ−ナット機構14とコントロールケーブル15においては、第3ギヤ30が回転するとナット部材26も一緒に回転する。そしてナット部材26と螺合しているロッド32は、ガイド部材34およびスライダ33によって回転が拘束されているので、ナット部材26に対して相対的に回転し、軸方向に移動する。それによりロッド32に連結されている内索45が軸方向に操作される。ネジ−ナット機構14では、ナット部材26が一回転するときにロッド32がネジの1ピッチ分(1リード分)移動するので、この機構でも減速作用が奏される。
【0042】
また、前記ケーブル駆動装置10において、コントロールケーブル15の内索45を引っ張り操作した状態で、モータMの電線が断線するなどの障害が発生したときは、カバー12から突出しているナット部材26の先端の係合穴42aに工具を挿入してロッド32をナット部材26から送り出す方向に回転させる。それにより内索45の張力が緩み、ブレーキ操作などが解除される。すなわち緊急解除機構によってコントロールケーブル15の操作力を解除することができる。なお、ロッド32が延び出したとき、ロッド32の端部が図1の左側のストッパ51に当接して止まるので、ロッド32がナット部材26から外れることはない。電気系統の故障が回復した場合は、そのままモータMによってケーブル操作をすることができる。
【0043】
前記モータMは、たとえば3相のコイル相を備えたDCブラシレスモータが用いられる。図4に示す回路では、モータMのロータとそのロータと対向する固定要素(たとえばモータハウジングなど)との間に、コイル相の磁極を反転励磁させるための位置検出用センサSe1〜3が設けられる。そのようなセンサとしては、ロータに設けられる3個の検出用磁石とモータハウジングに設けられるホールICセンサ(ホール効果素子センサ)との
組み合わせが好適である。検出用磁石に代えて、コイルCo1〜3と作用する駆動用の磁石を用いることもできる。そのほうが構成が簡単である。3個のホールICセンサのほか、光センサなど、他のセンサを用いることもできる。それらのセンサの出力はコンパレータなどの増幅回路52、コイルの磁極を反転させる転流回路53などを備えたモータドライバ54に送られる。
【0044】
このケーブル駆動装置10では、センサのパルス出力をケーブル操作位置検出回路55に送り、パルス数をカウントし、ケーブル位置を示す信号に換算する。得られたケーブル位置信号は、基本的にケーブルによる操作対象の位置信号として、マイクロプロセッサ56に送られ、ブレーキのON/OFF操作などのための操作スイッチSW、各種のインターロック信号に基づいてモータMの正転、停止、逆転の制御、回転数の制御信号を作成し、モータドライバ54を介してモータMを回転/停止させる。また、内索の永久伸びの補償、ブレーキ用摩擦部材の摩耗などによるケーブル基準位置の変化は、毎回あるいは数回のブレーキ操作のたびに演算され、記憶され、適切なブレーキ操作のために用いることができる。
【0045】
上記のケーブル駆動装置10では、モータMが1回転すると、減速機Gでたとえば1/27に減速されてナット部材26が1/27回転する。それによりネジの1ピッチの1/27だけ内索45を操作する。そして第2ギヤ29に検出用磁石をたとえば10個設け、ハウジングのカバー12にそれらの磁石を検知するホールIC素子を設けるとすると、モータ1回転当たり、パルスが10/9パルス発生する。しかしモータMに内蔵されている励磁センサをカウントすると、モータMの1回転で3パルスとしても、3/10×9で2.7倍の分解能となる。
【0046】
つぎに図5を参照して前記ケーブル駆動装置を備えた電動ブレーキ装置の実施形態を説明する。この電動ブレーキ装置60は、前述のケーブル駆動装置10と、そのコントロールケーブル15の他端側に揺動自在に連結されるイコライザ61と、そのイコライザに連結される左右の第2コントロールケーブル62、62と、第2コントロールケーブル62の他端側に連結されるブレーキ機構63とからなる。ブレーキ機構63は、ブレーキドラム64と、そのブレーキドラムに取り付けられるブレーキシュー65と、ブレーキドラム64を戻し方向(矢印R方向)に付勢するリターンスプリング66と、第2コントロールケーブル62で作動するパーキングレバー67とを備えた公知のものである。
【0047】
この電動ブレーキ装置60は、通常の状態ではリターンスプリング66の付勢力でブレーキドラム64が矢印R方向に回動してブレーキ解除の状態になっている。そして運転者がスイッチSWを入れるとケーブル駆動装置10のモータMが一方向に回転し、図1のナット部材26が回転し、ロッド32をナット部材の内部に引き込む。それによりロッドに連結されているコントロールケーブル15の内索45が引っ張られ、図5のイコライザ61を介して2本の第2コントロールケーブル62の内索を引く。それによりパーキングレバー67がブレーキ作動方向(矢印K)に回動してブレーキがかかる。このブレーキ作用のときは、前述のケーブル操作位置検出回路であらかじめ記憶されているデータと比較して停止信号が出され、モータが停止する。
【0048】
運転者がブレーキを解除する場合は、スイッチ(図4の符号SW)の操作によりモータMを逆方向に回転させ、ナット部材26からロッド32を送り出す。それにより内索45は図5の2本の第2コントロールケーブル62の内索およびイコライザ61を介してブレーキ機構63のリターンスプリング66の付勢力により引き戻される。モータMを停止させるタイミングでは、ブレーキが充分に掛かっている状態で、しかも内索45などに弛みが生じない状態である必要がある。前述のようにケーブル駆動装置10のモータMの制御は高精度であるので、ブレーキ操作は適切に行われ、摩擦部材の無駄な摩耗が抑制される
と共に、内索45の弛みや張り過ぎに基づく損耗が抑制される。
【0049】
上記のような電動ブレーキ装置60は、通常はパーキングブレーキの操作に用いられる。ただし緊急時にサービスブレーキに代わる非常用ブレーキとして操作できるようにしておくのが好ましい。前述の手動で操作ができる緊急解除機構は、電動ブレーキ装置60のようにブレーキをかけた状態で電気系統が故障したときに困る場合に採用される。前記実施形態ではモータMとして3相のブラシレスモータを用いているが、ブラシ付きのモータであってもよく、3相以上の励磁形式のモータも使用しうる。
【0050】
ブラシ付きのモータのように、内部にパルス発生手段を備えていないモータを用いる場合は、モータの出力軸、あるいは減速機のギヤ、ナット部材などの回転によってパルスを発生する手段を設けるのが好ましい。そのようなパルス発生手段は、回転軸やギヤなどの回転部材に設けられる検出用磁石(基本的に多極磁石1個)と、ケーシングなどの固定要素に設けられるホールICセンサ(ホール効果素子センサ)との組み合わせが好適である。
【0051】
本発明のケーブル操作装置は、ブレーキ操作のほか、種々のケーブルを押し引きするリニアクチュエータとして種々の用途などにも使用することもできる。ケーブルを押し引きして用いる場合は、プッシュプルケーブルが用いられる。
【0052】
図6に示すケーブル駆動装置70は、2本のコントロールケーブル15、15を同調して引き操作および戻し操作をするネジ−ナット機構を備えている。モータMおよび減速機Gは図1および図2のケーブル駆動装置10と実質的に同一であるので、同じ符号を付して説明を省略する。このケーブル駆動装置70では、第3ギヤ30を支持するスクリューシャフト71に雄ネジ44が形成されており、その雄ネジにナット部材26が螺合されている。それにより、スクリューシャフト71が回転部材で、ナット部材26が直進部材となるネジ−ナット機構を構成している。この場合も回転部材であるスクリューシャフト71の先端には、カバー12の外部から六角レンチなどで回転操作することができる角形の係合穴42aが形成されている。
【0053】
ナット部材26は合成樹脂製の円柱状の本体と、その本体内にインサート成形により固定された金属製の角柱状のナットとからなる。ナット本体の上端および下端は、イコライザ61の有底円筒部によって回動自在に抱持されている。イコライザ61は、金属板を折り曲げないし絞り成形した部品であり、中央部は2個の有底円筒部を向かい合わせにした形態で、左右のアーム部は2枚の金属板が向かい合わせに配置された形態である。アーム部の2枚の金属板同士は後端でつながっている。イコライザ61の有底円筒部は筒状(あるいは2枚の板状)のガイド部材72の内面によってケーブルの移動方向に摺動自在にガイドされている。
【0054】
ハウジング11に固定される筒状のガイド部材72の先端には、2本のコントロールケーブル15、15の導管がケーシングキャップ50、50によって固定されている。ケーシングキャップ50、50の一端はガイド部材72の内部に入り込んでおり、それらの先端に支持プレート73が固定されている。その支持プレート73は前記スクリューシャフト71の先端を回転自在に支持している。2本のコントロールケーブル15、15の内索45、45の先端は、それらの先端に固着したケーブルエンド74、74によってイコライザ61の左右のアーム部に形成された係止孔75、75に係止されている。
【0055】
このケーブル駆動装置70は2本のコントロールケーブル15、15の内索45、45を同調して引き操作および戻し操作をすることができるので、それらのコントロールケーブル15、15は図5の第2コントロールケーブル62、62のように、直接ブレーキ機
構63に連結することができる。また、コントロールケーブル15を引き操作した状態で電気系統が故障した場合は、スクリューシャフト71の先端に形成した係合穴42aを利用して、スクリューシャフト71を回転させてケーブル15の張力を緩めることができる。
【0056】
図7のケーブル駆動装置80は、遠隔操作ができる緊急解除機構(エマージェンシー機構)81を備えている。この緊急解除機構81は、図1あるいは図6などのケーブル駆動装置10、70に用いられる。このケーブル駆動装置80の基本構成は、図6のケーブル駆動装置10とほぼ同様であり、モータMおよび減速機Gを介してスクリューシャフト71を回転させ、そのスクリューシャフトと螺合するナット部材26を直進駆動し、プルコントロールケーブルの内索45を引き操作および送り出し操作するするものである。
【0057】
この緊急解除機構81では、スクリューシャフト(回転部材)71をケーブルから離れた通常位置と、ケーブル側に近づいた解除位置との間で軸方向に移動自在に構成している。このような構成は、たとえば第3ギヤ30とスクリューシャフト71とをスプラインなどで、軸方向に移動自在かつ、トルク伝達可能に連結することにより実現することができる。そしてこのエマージェンシー機構81はさらに、通常時はスクリューシャフト71の回転を許しながら通常位置に拘束すると共に、緊急時には回転部材スクリューシャフト71を解除位置に移動させるキャッチ機構82と、そのキャッチ機構82を遠隔操作するための手段、たとえば引きコントロールケーブルからなる解除ケーブル83とを備えている。
【0058】
図7の実施形態では、回転部材がスクリューシャフト71であり、直進部材はナット部材26である。しかし図1の場合のように、回転部材をナット部材26とし、直進部材を雄ネジを備えたロッド32とすることもできる。この実施形態ではスクリューシャフト71の一端は減速機Gのハウジング(あるいはカバー12)から突出させ、その端部に有底筒状のキャッチ部材84を軸方向に移動自在に、かつ回転自在に設け、第1バネ85でキャッチ部材84をスクリューシャフト71の端部から突出させるように付勢している。
【0059】
第1バネ85は圧縮コイルバネなどが用いられ、一端がキャッチ部材84に、他端がスクリューシャフト71に設けたCリング71aなどの係止部にそれぞれ係止されている。キャッチ部材84の内面には、ボール86の一部が入り込む凹部84aが形成されている。凹部84aは環状に形成されており、その端部はボール86が乗り上げやすいようにテーパ状にしている。
【0060】
そして自動車の車体などの静止部分に、キャッチ部材84の外周面とスライド自在に嵌合する円筒状のボール保持部材87を設けている。ボール保持部材87には、ボール86を収容する貫通孔88が複数個形成されており、その内部に前記ボール86が保持されている。ボール86は通常の鋼球などを用いることができる。
【0061】
ボール保持部材87の内部には、制御ロッド89が軸方向に移動自在に収容されている。制御ロッド89の外周には、ボール86の一部を収容するための凹溝89aが形成されている。凹溝89aは環状に形成されており、その端部はボール86が乗り上げやすいようにテーパ状にしている。制御ロッド89の端部には、遠隔操作用の解除ケーブル83の一端が連結されている。その解除ケーブル83あるいは制御ロッド89は、第2バネ90によって図7の左側に付勢されている。第2バネ90はたとえば圧縮コイルバネであり、一端が制御ロッド89のフランジ部89bに係止され、他端が静止部材91に係止されている。なお、引っ張りコイルバネを用いることもできる。
【0062】
上記のように構成される緊急解除機構81は、通常の状態では図7(および図8の第1
工程S1)のように、解除ケーブル83が引かれておらず、第2バネ90の付勢力にしたがって制御ロッド89が左側に移動している。そのためボール86が制御ロッド89の外周に乗り上げて、その一部がキャッチ部材84の凹部84aに入り込んでいる。それによりスクリューシャフト71は図7の右側、すなわち通常位置に拘束されている。したがってモータMの回転は減速機Gを介してスクリューシャフト71に伝達され、ネジ結合を介してナット部材26を軸方向に操作する。それにより、引きコントロールケーブルの内索45を引き操作および緩め操作をすることができ、たとえばパーキングブレーキのブレーキ作動および解除の操作を電気駆動によって行うことができる。
【0063】
ブレーキをかけた状態でモータMへの通電が止まるなどの緊急の事態では、解除ケーブル83を第1バネ85の付勢力に抗して図7の右側に引っ張る。それにより、図8の第2工程S2のように、制御ロッド89が引かれ、制御ロッド89の凹溝89aにボール86が落ち込む。それによりボール86とキャッチ部材84の係合が外れ、スクリューシャフト71およびそれに螺合しているナット部材26は軸方向に移動自在となる。それにより、ケーブル15が操作している対象物の操作、たとえばパーキングブレーキの作動が解除される。図8の第3工程S3は、ブレーキ側のリターンスプリングでケーブルが引かれ、スクリューシャフト71およびナット部材26が左側に移動している状態を示す。それにより、自動車を運転したり、手で押して移動させることができる。
【0064】
解除ケーブル83を引く操作は、通常はドライバが手元のレバーなどで操作する。ただし電気系統を別にしたソレノイドアクチュエータなどの他の手段で行うこともできる。モータMの通電が回復した後は、図8の第4工程S4に示すように、解除ケーブル83を引く力を緩め、第2バネ90の付勢力で制御ロッド89を左側に移動させる。それによりボール86は再び制御ロッド89の表面に乗り上げる。この状態でモータMをブレーキ解除方向と同方向に回転させる。この場合、スクリューシャフト71が軸方向に移動自在であるので、ナット部材26はブレーキ側のリターンスプリングの付勢力に抗して右側に移動することができず、逆にスクリューシャフト71が右側に移動する(図9の第5工程S5)。
【0065】
このときキャッチ部材84がボール保持部材87の外周に嵌合するが、キャッチ部材84の端部がボール86に当たっても、ボール86が制御ロッド89の表面に乗っているので、キャッチ部材84はそれ以上進まない。そしてスクリューシャフト71のみが第2バネ90に抗して右側に移動し、その先端が制御ロッド89の先端に当接する(第6工程S6)。そしてさらにスクリューシャフト71が回転すると、スクリューシャフト71は制御ロッド89を第1バネ85の付勢力に抗して右側に押し込む(第7工程S7)。そして制御ロッド89が右側に後退すると、制御ロッド89の表面の凹溝89aにボール86が入り込みむ。それによりキャッチ部材84がボール保持部材84の外周に深く嵌合し、キャッチ部材84がボール86の外周に被さることになる(第8工程S8)。その後は通常のパーキングブレーキ操作モードに戻り、モータMをブレーキをかける方向、すなわちケーブル15を引き込む方向に回転させることにより、ブレーキ操作をすることができ、逆方向に回転することによりブレーキを解除することができる。
【0066】
前記実施の形態では、キャッチ部材84をスクリューシャフト71に対して軸方向移動自在および回転自在に設けているが、キャッチ部材84をスクリューシャフト71に対して回転しないように設け、キャッチ部材84とボール86の間で回転を許すように構成することもできる。また、ボール保持部材87の外周にキャッチ部材84を被せ、内周に制御ロッド89を挿入しているが、ボール保持部材87の内周にキャッチ部材84を挿入して、筒状の制御部材をボール保持部材87の外周に設けることもできる。
【0067】
また、前記実施形態では、ボール86を利用したキャッチ機構82を用いているが、弾
力的に閉じる一対の爪部材などでキャッチ機構を構成することもできる。たとえば図10に示すように、スクリューシャフトや筒状のナット部材26などの回転部材の端部に回転自在に設けた係合部材92を一対の爪部材93が掴むように構成し、爪部材93をバネ94によって常時掴む方向に付勢する。さらに係合部材92が外れている状態から戻るときに、係合部材92の端部が爪部材93をバネ94の付勢力に抗して押し広げるように、爪部材93あるいは係合部材92にテーパ面を設けるのが好ましい。そして解除ケーブル83は、爪部材93を拡げるように操作できるように構成する。
【0068】
図7のケーブル駆動装置80では、解除ケーブル83の引き操作でスクリューシャフト71の軸方向の移動の拘束/解除を操作しているが、電気的な駆動手段を含む他の機構により、スクリューシャフト71の軸方向の移動の拘束/解除を遠隔操作するようにしてもよい。なお、緊急時の一時的な操作であるので、解除ケーブル83などの遠隔操作手段を用いず、ドライバや乗客が直接制御ロッド89などを操作するように構成することもできる。
【0069】
図1および図6のケーブル駆動装置10、70では、モータMの回転をギヤ並列タイプの減速機で減速して回転部材に伝達している。しかし本発明のケーブル駆動装置はそのような減速機に限られるものではなく、遊星ギヤ減速機を用いてもよい。さらにプーリとベルトを用いた減速機、あるいはチェーンとスプロケットを用いた、いわゆる巻き掛け伝導機構を利用した減速機を採用することもできる。さらに通常のギヤ式の減速機と巻き掛け伝導機構とを直列的に連結した減速機を採用することもできる。
【符号の説明】
【0070】
10 ケーブル駆動装置
11 本体
11a 受け部
12 カバー
13 ハウジング
M モータ
G 減速機
14 ネジ−ナット機構
15 コントロールケーブル
16 ベースブラケット
21 取り付け座
22 ネジ
M モータ
G 減速機
23 第1軸
24 第2軸
25 出力軸
26 ナット部材
27 ニオン
28 1ギヤ
28a 径ギヤ
28b 小径ギヤ
29 第2ギヤ
29a 大径ギヤ
29b 小径ギヤ
30 第3ギヤ
32 ロッド
33 スライダ
34 ガイド部材
34a フランジ部
35 雌ネジ
36 フランジ
37、38 Cリング
39、40 ワッシャ
41 平坦面
42 係合部材
42a 係合穴
43 ストッパ
44 雄ネジ
45 内索
46 穴
47 角形部
49 導管
50 ケーシングキャップ
51 クッションラバー
Se1〜3 センサ
Co1〜3 コイル
52 増幅回路
53 転流回路
54 モータドライバ
55 ケーブル操作位置検出回路
56 マイクロプロセッサ
SW 操作スイッチ
60 電動ブレーキ装置
61 イコライザ
61a 有底円筒部
62 第2コントロールケーブル
63 ブレーキ機構
64 ブレーキドラム
65 ブレーキシュー
66 リターンスプリング
67 パーキングレバー
70 ケーブル駆動装置
71 スクリューシャフト
71a Cリング
72 ガイド部材
73 支持プレート
74 ケーブルエンド
75 係止孔
80 ケーブル駆動装置
81 エマージェンシー機構
82 キャッチ機構
83 解除ケーブル
84 キャッチ部材
84a 凹部
85 第1バネ
86 ボール
87 ボール保持部材
88 貫通孔
89 制御ロッド
89a 凹溝
89b フランジ部
90 第2バネ
91 静止部材
92 係合部材
93 爪部材
94 バネ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車のブレーキを操作する電動式のケーブル駆動装置であって、
モータと、そのモータの出力軸に連結される減速機と、その減速機の出力側に連結される回転部材と、前記回転部材と螺合して、回転部材の回転を直進運動に変換する直進部材と、前記直進部材に連結されるケーブルと、外部操作でそのケーブルの操作力を開放するための緊急解除機構とを備えており、
その緊急解除機構が、前記回転部材を通常状態では軸方向に移動しないように拘束すると共に、異常時には外部操作で拘束を解除する拘束機構を備えており、
その拘束機構が、回転部材の端部と対向するように配置され、その端部が拘束機構に向かって押圧されるときに受け入れて拘束し、逆方向の加圧に対しては、外部操作で解除するまで拘束するキャッチ機構を備えている、
電動式のケーブル駆動装置。
【請求項2】
前記変換機構の回転部材が雄ネジであり、前記直進部材がその雄ネジと螺合するナット部材である請求項1記載の電動式のケーブル駆動装置。
【請求項3】
前記キャッチ機構が、前記回転部材の端部に設けられ、円筒状で、その内面に凹部が形成されたキャッチ部材と、
そのキャッチ部材の内面とスライド自在に嵌合し、円筒状で、その周壁に貫通孔が形成されたボール保持部と、
そのボール保持部の貫通孔に保持されるボールと、
前記ボール保持部の内部に軸方向に移動自在に収納され、その外周に凹溝が形成された制御ロッドとを備え、
前記通常状態では前記ボールの一部が、キャッチ部材の凹部に入り込んでキャッチ部材が拘束され、
前記ボールの一部が、前記キャッチ部材の凹部から制御ロッドの凹溝へ移動することにより拘束が解除され、
拘束が解除されたキャッチ部材をボール保持部側に移動させ、前記ボールの一部を制御ロッドの凹溝からキャッチ部材の凹部へ移動させることにより、再びキャッチ部材を拘束することができる請求項1または2のいずれかに記載の電動式のケーブル駆動装置。
【請求項4】
前記キャッチ機構が、
前記回転部材の端部に設けられた係合部材と、
その係合部材を掴む爪部材と、
その爪部材を、前記係合部材を掴む方向に常時付勢するバネとを備え、
前記通常状態では係合部材が爪部材に掴まれ拘束され、
前記係合部材が爪部材から外れることにより拘束が解除され、
拘束が解除された係合部材を、前記バネの付勢力に抗して爪部材を押し広げて爪部材に掴ませて再び拘束することができる請求項1または2のいずれかに記載の電動式のケーブル駆動装置。
【請求項5】
前記ケーブルがブレーキを操作するプルコントロールケーブルの内索であり、その内索が、ブレーキのリターンスプリングによって常時張力が付与されている請求項1、2、3または4記載の電動式のケーブル駆動装置。
【請求項6】
請求項5記載のケーブル駆動装置と、前記内索が連結されるブレーキレバーと、そのブレーキレバーをブレーキ解除側に付勢するリターンスプリングと、ブレーキレバーと連結されるブレーキ用摩擦部材とを備えている自動車などの電動式ブレーキ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−179686(P2011−179686A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−92531(P2011−92531)
【出願日】平成23年4月18日(2011.4.18)
【分割の表示】特願2005−51834(P2005−51834)の分割
【原出願日】平成17年2月25日(2005.2.25)
【出願人】(390000996)株式会社ハイレックスコーポレーション (362)
【Fターム(参考)】