説明

電動補助型車両の制御装置およびそれを用いた電動補助型車両

【課題】 介護者等の意図しない減速を行わないようにすることで、電動車椅子の操作感を向上させる。
【解決手段】 操作力検知部71R,71Lにより検知される操作力が付与されていないと判定しかつ当該車両が加速状態であるときに、制御部12はモータ31R,31Lを発電制動の状態にして減速させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動車椅子等の電動補助型車両の制御装置およびそれを用いた電動補助型車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電動補助型車両として、例えば、介護者が車体を押し引きする操作力と、この操作力に基づいてモータで発生させた駆動力とによって推進される電動車椅子がある。ここで、介護者の操作力の方向及び大きさは、介護者用のハンドルに設けた操作力検知手段により検知され、介護者がこのハンドルに加えた操作力が所定の設定値を超えると、モータにより駆動力が生じる。
【0003】
上記のような電動車椅子では、介護者がハンドルを握り、押し引きする等の操作力をハンドルに付与すれば、その操作力を操作力検知手段によって検知し、その検知結果に応じた駆動力がモータにより提供される。一方、介護者がハンドルを離すなどして操作力が付与されない状態(操作力解除状態)にすると、モータに発電制動力を発生させ、電動車椅子を停止させるように構成されている(例えば特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】特開平10−336803号公報(第9頁)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の電動補助型車両では、走行に伴う慣性の作用など、その走行条件によっては、介護者がハンドルを握って一定速度で安定走行しているときに、人力による操作力が不要となり、操作力が付与されない状態となることがある。このような場合、操作力検知手段には操作力が検知されないので、電動車椅子を停止させようと制動力を発生させる。一方、介護者にとっては、一定速度を保って走行している車両が意図せず減速するので、不快な操作感覚を与えてしまう。
【0006】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、介護者等の意図しない減速を行わないようにすることで、その操作感を向上させる電動補助型車両の制御装置およびそれを用いた電動補助型車両の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の電動補助型車両の制御装置は、駆動力を発生するモータを搭載した電動補助型車両に対して操作者が与える操作力を検知する操作力検知手段と、前記電動補助型車両の車両速度を検知する車両速度検知手段と、前記操作力検知手段によって検知された操作力の値に基づいた駆動力を前記モータに発生させる手段と、前記操作力の値から操作力が付与されているかどうかを判定する操作力判定手段と、前記車両速度検知手段によって検知された車両速度から当該電動補助型車両が加速しているかどうかを判定する加速判定手段と、前記操作力判定手段により操作力が付与されていないと判定するとともに、前記加速判定手段により当該電動補助型車両が加速していると判定した場合、制動力を発生させる処理を行う手段とを備えたものである。
【0008】
上記のように構成された電動補助型車両の制御装置によれば、前記操作力が付与されていないと判定しかつ当該電動補助型車両が加速していると判定する場合に、制動力を発生させる処理を行う。従って、操作者が当該電動補助型車両を一定速度で走行させている際に、操作力が付与されない状態となった場合にも、操作者の意図しない減速は行われない。
一方、下り坂を走行する際に操作力が付与されない状態であると判定される場合、当該電動補助型車両は下り方向に加速するので、制御装置は加速状態と判定し、制動力を発生させる処理を行う。従って、当該電動補助型車両を確実に減速させることができる。
【0009】
上記電動補助型車両の制御装置において、前記操作力判定手段は、前記操作力の値が所定値以下か否かを判定し、その判定の結果、前記操作力の値が所定値以下と判定された場合、前記操作力判定手段は操作力が付与されていないと判定するものであってもよい。
この場合、若干の操作力が付与されたとしても操作力が前記所定値以下の範囲であれば、操作力は付与されていないと判定される。よって、操作力が付与されていないと判定する操作力の値に一定の範囲を与えることができるので、振動などに起因して生じる操作力の値の誤差を許容することができる。
【0010】
また、上記の電動補助型車両の制御装置において、前記操作力判定手段は、前記操作力の値が所定値以下か否かを判定するとともに前記操作力の値に変動があるか否かを判定し、その判定の結果、前記操作力の値が所定値以下と判定されるとともに前記操作力に変動がないと判定した場合、前記操作力判定手段は操作力が付与されていないと判定するものであることが好ましい。
この場合、当該制御装置は、操作力が付与されていない状態であることを判定する要件として、前記操作力の値が所定値以下であることに加えて、当該操作力に変動がないことを要件としている。これは、操作力の値から操作力が付与されていないと判定される場合であっても、その操作力に変動があれば操作者が操作力を与えている可能性があるからである。これによって、より確実に操作力が付与されていない状態であることを判定することができる。
【0011】
また、上記の電動補助型車両の制御装置において、前記車両速度検知手段によって検知された車両速度が所定の高速度以上かどうかを判定する高速度判定手段と、前記操作力判定手段により操作力が付与されていないと判定するとともに、前記高速度判定手段により前記車両速度が所定の高速度以上と判定した場合、他の判定に関わらず制動力を発生させる処理を行う手段と、をさらに備えてもよい。
この場合、所定の高速度以上で走行中に、操作力が付与されていない状態であると判定されれば、当該制御装置は他の判定に関わらず制動力を発生させる処理を行う。従って例えば、高速度で走行中に操作者が当該電動補助型車両から手を離した場合、当該電動補助型車両に制動力を発生させて確実に減速させることができる。
【0012】
また、上記電動補助型車両の制御装置において、前記車両速度検知手段によって検知された車両速度が所定の低速度未満かどうかを判定する低速度判定手段と、前記操作力判定手段により操作力が付与されていないと判定するとともに、前記低速度判定手段により前記車両速度が所定の低速度未満であると判定した場合、他の判定に関わらず制動力を発生させる処理を行わない手段と、をさらに備えてもよい。
この場合、車両速度が制動力が不要な程度に十分低速度のときは、制動力を発生させる処理を行わず、減速させないので、当該電動補助型車両の操作感を向上できる。
【0013】
本発明は、操作者が与える操作力に基づいて搭載されたモータに駆動力を発生させる制御装置を備えた電動補助型車両であって、前記制御装置は、上述の電動補助型車両の制御装置であることを特徴としている。
このように構成された当該電動補助型車両によれば、上述したように前記車両速度がほぼ一定である場合、操作力が付与されていないと判定しても、前記制御装置は制動力を発生させる処理を行わない。従って、操作者が当該電動補助型車両を一定速度で走行させている際に、操作力が付与されない状態となった場合にも、操作者の意図しない減速は行われない。
【発明の効果】
【0014】
以上のように、本発明の電動補助型車両の制御装置およびこれを用いた電動補助型車両によれば、当該電動補助型車両が一定速度で走行している場合、操作者の意図しない制動を発生させないようにすることができるので、当該電動補助型車両の操作感を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
次に、本発明の好ましい実施形態について添付図面を参照しながら説明する。図7及び図8は、それぞれ、本発明の一実施形態に係る電動車両の制御装置を搭載した電動車椅子の側面図及び背面図である。図7及び図8において、電動車椅子Dの車体1は、複数のパイプ部材からなるフレーム2と、モータ及び減速機構等を内蔵した左右一対の駆動部ユニット3とによって構成されている。一対の駆動輪4(図7は輪郭のみを略記)は各駆動部ユニット3に取り付けられ、一対のキャスタ5は車体1の前部に取り付けられている。アームレスト6は、左右のフレーム2の上部に取り付けられている。左右のフレーム2間には、座シートT1及び背シートT2(図8)が張設されている。背シートT2の背面側には、バッテリポケットP1及び制御部ポケットP2が設けられている。
【0016】
車体1の後方最上部には、略水平に操作部(グリップ)7が設けられ、その下部にブレーキレバー8が取り付けられている。操作部7は内部に操作力検知部として例えばポテンショメータを有しており、電動車椅子Dを押し引きする介護者(操作者)の操作力を検知することができるようになっている。なお、ポテンショメータに代えて、ストレインゲージを含むブリッジ回路を用いてもよい。また、介護者なしでも電動補助ができるタイプの電動車椅子では、駆動輪4のハンドリム(図示せず)に操作力検知部が設けられ、この操作力検知部により、搭乗者がハンドリムに与える操作力が検知される。
上記ブレーキレバー8は、他のブレーキレバー9とワイヤ10を介して連係しており、どちらか一方からのブレーキ操作により、機械的に駆動輪4を制動することができる。
【0017】
図8において、上記バッテリポケットP1及び制御部ポケットP2にはそれぞれ、バッテリ11及び制御部12が収納されている。バッテリ11と制御部12とは、ケーブルC1により互いに接続されている。また、制御部12と、左右の駆動部ユニット3及び左右の操作部7とは、それぞれ、ケーブルC2,C3及びケーブルC4,C5によって接続されている。
【0018】
図1は、制御装置の電気回路接続図である。車体1の右側に設けられているものには符号にRを付けて表記し、車体1の左側に設けられているものには符号にLを付けて表記している。駆動部ユニット3R及び3L内のモータはそれぞれ、31R及び31L(31で総称する。)とする。また、操作部7R及び7L内の操作力検知部は、それぞれ71R及び71Lとする。
図1において、制御部12のケースの表面には、スイッチ13及び表示灯14が設けられている(図8も参照)。なお、図1におけるケーブルC1〜C5はそれぞれ、図8において示したものに相当する。
【0019】
上記制御部12内には、制御回路121、電源回路122、駆動回路123R及び123Lが設けられており、相互に接続されている。電源回路122には、バッテリ11から直流電圧が供給される。電源回路122は、供給された直流電圧に基づいて、制御回路121並びに駆動回路123R及び123Lに所定の電源電圧を供給する。制御回路121は、スイッチ13及び表示灯14と接続されており、スイッチ13のオン操作によって作動し、表示灯14を点灯させる。なお、制御部ポケットP2(図8)の上部には透明な柔らかいカバーが設けられており、このカバー越しにスイッチ13の操作や、表示灯14の点灯確認が可能である。
【0020】
駆動回路123R及び123Lは、例えば半導体スイッチング素子のブリッジ回路を含んでおり、電源回路122から供給された直流電圧を、制御回路121から供給されたPWM信号に基づいてスイッチングし、モータ31R及び31Lを駆動する。すなわち、駆動回路123R及び123Lは、制御回路121とともに、後述する操作力検知部71R及び71Lから得られる操作力検知信号に基づいた駆動力をモータ31R及び31Lに発生させる手段を構成している。
【0021】
また、電気制動時における駆動回路123R及び123Lは、モータ31R及び31Lが回転している状態で電圧の供給を停止するとともに、例えばPWM信号のHレベルの期間に各巻線端子を短絡し、Lレベルの期間に開放する。これにより、モータ31R及び31Lは、PWM信号のデューティ比に応じた発電制動を行う状態となる。
【0022】
制御回路121は、CPU、メモリ、A/Dコンバータ等を含むものであり、操作力検知部71R及び71Lから入力される操作力に相当する操作力信号をディジタル値に変換した後、所定の処理を施す。操作力検知部71R及び71Lは、介護者が付与した押し引きの操作力をそれぞれ独立に検知して、操作力信号を発生させる。操作力検知部71R及び71Lはそれぞれ、操作部7R及び7Lが操作されていない中立位置を基点としてそこから前方又は後方に操作部7R及び7Lが操作されたとき、その操作力に従って出力値を変化させる。例えば、操作力が付与されていない状態の中立位置では、操作力信号は所定の値(通常、0でない値)である。前進方向への操作力が操作部7R及び7Lに付与されたときは、その操作力に応じて操作力信号の電圧値が上記所定の値から増加する。後退方向への操作力が操作部7R及び7Lに付与されたときは、その操作力に応じて操作力信号の電圧値は上記所定の値から減少する。
【0023】
このように制御回路121は、操作力検知部71R及び71Lと共に操作力検知手段を構成しており、上記のように変化する操作力信号から上記所定の値を減算して得られる操作力検知信号に基づいて、モータ31R及び31Lの駆動又は制動を行う。
なお、操作部7R及び7Lに付与された操作力は、モータ31R及び31Lの発生する駆動力とは別に、それ自体が、それぞれ車体1を介して左右の駆動輪4(図7,図8)に伝達され、人力による駆動力となる。
【0024】
上記モータ31R及び31Lの各々は、3相ブラシレスモータであり、ステータ側に3個のホール素子Hが内蔵されている(図1)。ホール素子Hは、ロータの回転に応じてパルスを出力する。このパルスは、対応する駆動回路123R及び123Lを介して、制御回路121に送られる。制御回路121は単位時間あたりのパルス数をカウントすることにより、モータ31R及び31Lの回転速度を検知し、この回転速度から電動車椅子Dの速度を算出する。すなわち、制御回路121は、3個のホール素子Hと共に電動車椅子Dの速度を検知する車両速度検知手段を構成している。また、制御回路121は、ホール素子Hから出力されるパルスの位相に基づいて、モータ31R及び31Lの回転方向、すなわち、対応する左右の駆動輪4の回転方向を検知する。
なお、ホール素子Hの出力によらず、モータ31R,31L又は駆動輪4に付帯してタコジェネレータ等の速度センサを設けてもよい。この場合は、タコジェネレータの出力電圧により速度が、出力電圧の極性により回転方向が、それぞれ検出される。
【0025】
次に、制御回路121の動作について説明する。制御回路121は、駆動モード、制動モード、及びオフモードのうち1つのモードを選択的に実行する。
駆動モードは、操作部7R及び7Lに与えられた操作力に基づいて電動車椅子Dを推進させるようにモータ31R及び31Lを駆動するモードである。操作力が押し方向であるときは、モータ31R及び31Lは正転し、操作力が引き方向であるときは、モータ31R及び31Lは逆転する。制動モードは、操作力が付与されなくなったとき、一定の条件下でモータ31を制動するモードである。オフモードは、駆動モードもしくは制動モードのいずれも実行されない場合に、モータ31の出力を停止させるモードである。オフモードではモータ31R及び31Lは電気制御から解放され、自由回転の状態にある。
【0026】
上記の各モードの選択は、操作部7R及び7Lに付与された操作力に対応して選択されるように構成されている。すなわち、操作部7R及び7Lに付与された操作力に対応して操作力検知部71R及び71Lより出力される操作力信号の値から、操作力が付与されていないときの操作力信号の値を減算する処理(入力値変換)を行う。これにより、操作力検知部71Rに対する操作力に対応する操作力検知信号FinRと、操作力検知部71Lに対する操作力に対応する操作力検知信号FinLとが得られる。
【0027】
図2は、制御回路121のCPU(以下、単にCPUという。)によって実行されるモータ駆動又は制動のためのルーチンを示すフローチャートである。このルーチンは図示しないメインルーチンから所定のサンプリング時間ごとに繰り返し実行される。まず、ステップS1において、入力値の変換が行われる。すなわち、CPUは、操作部7R及び7Lに付与された操作力に対応して出力される操作力信号の値から、操作力が付与されていないときの操作力信号の値を減算する処理を行う。この処理によって、操作部7Rに対する操作力に対応する操作力検知信号FinRと、操作部7Lに対する操作力に対応する操作力検知信号FinLとが得られる。
【0028】
図3は、このときの「操作力」対「操作力検知信号」の関係を示すグラフである。操作力が付与されていないとき操作力検知信号は0であり、前進方向(押し方向)の操作力が付与されたときは一定勾配で増加する正の値となり、後退方向(引き方向)の操作力が付与されたときは、上記一定勾配で負の方向に増加する値となる。従って、前進又は後退の識別は操作力検知信号の正負をもって、また、操作力の大小は操作力検知信号の絶対値によって検知することができる。なお、図3において、操作力の「+Fs」及び「−Fs」は、所定の設定値である。
【0029】
図2に戻って、次にCPUは、ステップS2において、車両速度の算出を行う。この車両速度は、上述したモータ31L,31Rに内蔵されたホール素子Hから出力される単位時間あたりのパルス数をカウントすることにより検知される回転速度から算出され、左右のモータに対応する車両速度VelR及びVelLが得られる。
【0030】
次にCPUは、ステップS3において、操作力変動量及び車両速度変動量を算出する。
操作力変動量dFinR及びdFinLを算出するには、まず、ステップの実行回数をtとして、ステップS1で得られる操作力検知信号の現在値FinR(t)と前回値FinR(t−1)との差dFinR(t)、及び、現在値FinL(t)と前回値FinL(t−1)との差dFinL(t)を求める。
dFinR=dFinR(t)=FinR(t)−FinR(t−1) ・・・(1)
dFinL=dFinL(t)=FinL(t)−FinL(t−1) ・・・(2)
【0031】
なお、操作力変動量dFinR及びdFinLは、下記式(3),(4)に示す演算から求められる操作力変動量dFinRT及びdFinLTとしてもよい。
dFinRT={dFinR(t)+dFinRT(t−1)}/2 ・・・(3)
dFinLT={dFinL(t)+dFinLT(t−1)}/2 ・・・(4)
すなわち、上記(3),(4)式による操作力変動量dFinRT及びdFinLTは、操作力検知信号の前回値から今回値への変動量と、前回求めた操作力変動量との平均値であることを示している。このようにすることで、これらの値からノイズ等の急峻な変化を取り除くことができる。
【0032】
また、車両速度変動量dVelR及びdVelLを算出するには、ステップの実行回数をtとして、ステップS2で得られる車両速度の現在値VelR(t)の絶対値と前回値VelR(t−1)の絶対値との差dVelR(t)、及び、現在値VelL(t)の絶対値と前回値VelL(t−1)の絶対値との差dVelL(t)を求める。
dVelR(t)=|VelR(t)|−|VelR(t−1)| ・・・(5)
dVelL(t)=|VelL(t)|−|VelL(t−1)| ・・・(6)
このように車両速度変動量dVelR及びdVelLを車両速度の現在値の絶対値と前回値の絶対値との差とすることで、車両速度変動量dVelR及びdVelLが正の場合は加速状態にあり、負の場合には減速状態にあることが判断できる。
【0033】
次にCPUは、ステップS4において、既に制動モードが実行されているかどうかを判断する。制動モードである場合、CPUは引き続き制動モードの処理を実行し(ステップS11)、当該ルーチンを終了する。一方、制動モードでない場合、CPUは、既に駆動モードの処理が実行されているかどうかを判断する(ステップS5)。駆動モードである場合、CPUは引き続き駆動モードの処理を実行し(ステップS9)、当該ルーチンを終了する。
【0034】
なお、制動モードの処理及び駆動モードの処理が実行されているか否かの判断は、制御回路121内に設けられているメモリに、それぞれ制動モードフラグ及び駆動モードフラグがセットされているか否かをチェックすることにより行われる。また、制動モードフラグ及び駆動モードフラグは、これらのモードの処理が開始されたときセットされ、モードの処理が終了したときリセットされる。
【0035】
ステップS5における判断の結果、駆動モードでない場合、CPUは、ステップS6に進み、制動要否の判定を行う。このステップS6では、後述するように制動が必要と判断する場合には制動モードフラグをセットし、制動が不要と判断する場合には、制動モードフラグをセットしない。そして、ステップS6にて制動要否の判定を行った後、ステップS7に進み、制動モードが実行されているかどうかを判断する。制動モードフラグがセットされている場合、ステップS11にジャンプし、制動モードの処理を実行する。
【0036】
一方、制動モードでない場合、ステップS8に進み、操作力検知信号FinRの絶対値が所定の判別値Fs以上であるか、又は、操作力検知信号FinLの絶対値が判別値Fs以上であるかを判断する。この判断がイエスの場合、CPUは、駆動モードの処理を実行する(ステップS9)。一方、ノーの場合、オフモードの処理を実行する。
【0037】
ここで、上述のフローチャートに基づいて定まる、操作力検知信号FinR及びFinLと各モードとの関係について説明する。図4は、操作力検知信号FinR及びFinLと各モードとの関係を示す線図であり、横軸は操作力検知信号FinR及びFinLの値を示しており、正側が前進方向(押し方向)の操作力、負側が後退方向(引き方向)の操作力を示している。
図に示すように、駆動モードは、操作力検知信号FinR又はFinLが+Fs以上又は−Fs以下のとき実行される。ここで判別値Fsは、所定の値であり、判別値Fsに対応する所定の操作力以上の操作力が付与されたときに駆動モードが選択される。
【0038】
また、操作力検知信号FinR及びFinLが、−Fsから+Fsの範囲である場合には、操作力が操作部7R,7Lに付与されていない状態と判定する。この判別値Fsの値は、操作力が操作部7R,7Lに付与されていない状態において、振動や装置等に起因して生じる操作力の誤差を許容することができる範囲に設定されている。
【0039】
制動モードおよびオフモードは、操作力検知信号FinR及びFinLが−Fsから+Fsの範囲にある場合においてある一定の条件下にて選択的に実行するように構成されている。すなわち、CPUは、ステップS6において、操作力が操作部7R及び7Lに付与されているかどうかを判定し、操作力が付与されていないと判定する場合に制動の要否を判定する。
【0040】
ここで、上記ステップS6における制動要否の判定を行うサブルーチンについて、図5のフローチャートを参照しつつ詳細に説明する。まずステップS6−1において、CPUは操作力検知信号FinR及びFinLの各絶対値が、前述の判別値Fsより小さいか否かを判定する。この判定結果がイエスの場合、操作力が付与されていないと判定し、ステップS6−2に進む。
一方、ステップS6−1の判定結果がノーすなわち操作力検知信号FinR及びFinLが判別値Fsを超える場合、ステップS6−7に進み、カウンタFincntを0にリセットし、ステップS6−8で後述する操作力の変動が無い時間の経過に相当するカウンタdFincntを0にリセットして当該ルーチンを終了し、図2中のルーチンに戻る。すなわち、操作部7R,7Lに操作力が付与されていると判定された場合には、制動モードは実行されない。そしてこの場合、操作力検知信号FinR及びFinLは判別値Fs以上であるので、図2中のルーチンにおけるステップS8にてイエスと判定され、ステップS9に進み、駆動モードが実行される。
【0041】
次に、ステップS6−2において、CPUは操作力が付与されていない時間の経過に相当するカウント値であるカウンタFincnt(初期値は0)をFincnt=Fincnt+1により、1つ増加させ、ステップS6−3に進む。なお、カウンタFincntの1カウントに相当する実際の時間は、CPUがステップS6−2を実行する周期である。このようにカウンタFincntの値を積算することで、操作力検知信号FinR及びFinLが判別値Fsより小さいと判定された状態の経過時間を把握している。
【0042】
次にステップS6−3において、CPUはカウンタFincntの値が下記式(7)を満たすとともに、車両速度VelR,VelLが、下記式(8)、又は、下記式(9)のいずれかを満たすかどうかを判定する。
Fincnt≧Ts ・・・(7)
|VelR|≧V1 ・・・(8)
|VelL|≧V1 ・・・(9)
【0043】
ここでTsは所定のカウント数であり、V1は所定の高速度としての車両速度の値である。この判定結果がイエスの場合、ステップS6−9にジャンプし、ステップS6−9にて制動モードのフラグがセットされ、ステップS6−10にてカウンタFincnt及びカウンタdFincntを0にリセットされ当該ルーチンを終了する。その後、上述したモータ駆動又は制動のためのルーチンに戻り、CPUは制動モードを実行する。
すなわち、ステップS6−3において、当該電動車椅子Dが車両速度V1以上で走行しかつ、操作力が付与されていない状態が一定時間(Tsにより定まる時間)継続していると判定されれば、CPUは後述の制動要否の判定(S6−4〜S6−6)を行うこと無く、モータ31R及び31Lに制動力(手離し時ブレーキ力)を発生させる。従って例えば、車両速度V1を超える速度で走行中に介護者が当該電動車椅子Dから手を離した場合、当該電動車椅子Dに制動力を発生させて確実に減速させることができる。
このように、ステップS6−3は、車両速度がV1以上かどうかを判定する高速度判定手段を成している。また、ステップS6−3は、ステップS6−1,S6−9とともに、操作力が付与されていないと判定しかつ車両速度が車両速度V1以上と判定した場合、他の判定に関わらず制動力を発生させる処理を行う手段を成している。そして、これらの手段はCPUを含む制御回路121によって構成されている。
【0044】
一方、ステップS6−3の判定結果がノーの場合は、ステップS6−4に進み、操作力変動量dFinR及びdFinLの各絶対値が共に所定値Fdより小さいか否かを判定する。このステップS6−4の判定結果がノーの場合、介護者が直前の操作で操作力を付与していたと認定し、ステップS6−8に進み、後述する操作力の変動が無い時間の経過に相当するカウンタdFincntを0にリセットして当該ルーチンを終了する。
【0045】
ステップS6−4の判定結果がイエスの場合、操作力の変動が無いと判定し、ステップS6−5に進む。このステップS6−4において、CPUは、操作力変動量dFinR及びdFinLの各絶対値が所定値Fd未満である場合に、操作力検知信号FinR及びFinLに変動がないと判定する。
このようにしてCPUは、操作力検知信号FinR及びFinLの各絶対値が判別値Fsより小さいこと(ステップS6−1)に加えて、操作力変動量dFinR及びdFinLの値から操作力に変動がないと判定(ステップS6−4)した場合、操作部7R,7Lに操作力が付与されていない状態であると判定する。すなわち、ステップS6−4は、ステップS6−1とともに操作力判定手段を成しており、この手段はCPUを含む制御回路121によって構成されている。
【0046】
操作力判定手段に係る操作力が付与されているかどうかの判定は、操作力検知信号FinR及びFinLの各絶対値が判別値Fsより小さいかどうかの判定(ステップS6−1)のみによっても可能であるが、操作力検知信号FinR及びFinLの変動の有無の判定(ステップS6−4)を合わせて判定することが好ましい。この場合、より確実に操作力が付与されていない状態であることを判定できる。その理由は、操作力検知信号FinR及びFinLの絶対値が、判別値Fs以下であっても、その操作力に変動があれば介護者が操作力を与えている可能性があるからである。
【0047】
次にステップS6−5において、CPUは操作力の変動が無い時間の経過に相当するカウント値であるカウンタdFincnt(初期値は0)をdFincnt=dFincnt+1により、1つ増加させ、ステップS6−6に進む。なお、カウンタdFincntの1カウントに相当する実際の時間は、CPUがステップS6−5を実行する周期である。このようにカウンタdFincntの値を積算することで、操作力の変動が無いと判定された状態の経過時間を把握している。
【0048】
次にステップS6−6において、CPUはカウンタdFincntの値が下記式(10)を満たすとともに、車両速度変動量dVelR及び車両速度VelR、車両速度変動量dVelL及び車両速度VelLが、下記式(11)および下記式(12)を満たすか、又は、下記式(13)および下記式(14)を満たすかどうかを判定する。
dFincnt≧Td ・・・(10)
dVelR≧Vd ・・・(11)
|VelR|≧V2 ・・・(12)
dVelL≧Vd ・・・(13)
|VelL|≧V2 ・・・(14)
【0049】
上記式中、Tdは所定のカウント数であり、Vdは所定の車両速度変動量(ただし、Vd>0)、V2は低速度値としての制動力を要しない程度の低速度に相当する車両速度の値(V2<V1)である。この判定結果がイエスの場合、ステップS6−9に進み、ステップS6−9にて制動モードのフラグがセットされ、続いてステップS6−10にてカウンタFincnt及びカウンタdFincntを0にリセットされ当該ルーチンを終了する。
【0050】
ここで、上記式(11),(13)では、車両速度変動量dVelR,dVelLが所定の車両速度変動量Vd以上である場合、車両速度VelR,VelLは増加状態にあり、電動車椅子Dが加速していると判定する。すなわち、ステップS6−6において、CPUは、操作力が付与されていない状態が一定時間(Tdにより定まる時間)継続していると判断しかつ電動車椅子Dが加速していると判定したときに、CPUはステップS6−9に進み、制動モードフラグをセットし当該ルーチンを終了する。
【0051】
このように、ステップS6−6は、電動車椅子Dが加速しているかどうかを判定する加速判定手段を成している。また、ステップS6−6は、ステップS6−1,S6−4,S6−9とともに、操作力が付与されていない状態であると判定しかつ電動車椅子Dが加速していると判定した場合に、制動力を発生させる処理(制動モードフラグのセット)を行う手段を成している。これらの手段は、CPUを含む制御回路121によって構成されている。
【0052】
一方、ステップS6−6の判定結果がノーの場合、制動モードのフラグがセットされることなく当該ルーチンを終了する。従って、車両速度が一定、あるいは電動車椅子Dが減速している状態である(車両速度変動量dVelR,dVelLが所定の値Vd以下である)と判断した場合、操作力が付与されていない状態が一定時間(Tdにより定まる時間)継続していると判断しても、CPUは制動モードのフラグをセットせず当該ルーチンを終了する。
そして図2中ステップS6の制動要否の判定を終え、ステップS7においては制動モードでは無いと判断されるので、ステップS8に進む。そしてステップS8において、このときの操作力検知信号FinR及びFinLはFs未満であるので、CPUはNoと判断し、ステップS10に進みオフモードを実行する。よって、制動モードは実行されないので、電動車椅子Dを減速しない。従って、介護者が電動車椅子Dを一定速度で走行させている際に、操作力が付与されない状態となった場合にも、介護者等の意図しない減速が行われないので、電動車椅子Dの操作感を向上させることができる。
また、電動車椅子Dが例えば走行抵抗などにより減速している状態であって、介護者が操作部7R,7Lから手を離すことにより操作力が付与されない状態となった場合は、電動車椅子Dはすでに減速状態にあるので、制動力を発生させずともそのまま減速する。
【0053】
さらに、図5中、ステップS6−6において、上記式(12),(14)によって車両速度(車両速度VelR,VelL)が所定の低速度(V2)以上か否かを判定する。この車両速度VelR,VelLの各絶対値がV2より小さい場合は、CPUは制動モードのフラグをセットせず当該ルーチンを終える。
このようにステップS6−6は、車両速度がV2未満であるか否かを判定する低速度判定手段を成している。またステップS6−6は、ステップS6−1,S6−4とともに、操作力が付与されていないと判定しかつ車両速度が車両速度V2未満であると判定した場合、他の判定に関わらず制動力を発生させる処理を行わない手段を成しており、これらの手段はCPUを含む制御回路121によって構成されている。
【0054】
ここで上述のフローチャートに基づいて定まる、制動要否の判定と、操作力検知信号Fin(FinR,FinL)および車両速度Vel(VelR,VelL)との関係について説明する。図6は、操作力検知信号Finと車両速度Velとの関係を示すグラフであり、横軸には操作力検知信号Finを、縦軸には車両速度Velを示している。図中、操作力検知信号FinがFs以上もしくは−Fs以下の範囲において駆動モードが選択される。操作力検知信号Finが−FsからFs範囲である範囲(図中斜線の範囲)において、上述したルーチンによる制動要否の判定が行われる。
【0055】
範囲H1は、車両速度Velの絶対値が制動力を要しない程度の低速度に相当する車両速度V2以下の範囲であり、操作力検知信号Finおよび車両速度Velが範囲H1である場合、上述のように、制動モードのフラグはセットされず、制動は必要なしと判定される。そして図2中ステップS6の制動要否の判定を終え、ステップS7からステップS8に進む。そしてステップS8において、このときの操作力検知信号FinR及びFinLはFs未満であるので、CPUはNoと判断し、ステップS10に進みオフモードを実行する。従って、制動力を要しない程度の低速度の場合に操作力が付与されていない状態と判定すれば、制動力を発生させないので、低速度におけるスムーズな走行が妨げられることがなく、電動車椅子Dの操作感をより向上させることができる。
【0056】
また範囲H3は、車両速度Velの絶対値が車両速度V1以上の範囲を示しており、この範囲では上述のように制動は必要ありと判定され、制動モードのフラグがセットされる。そして図2中ステップS6の制動要否の判定を終え、ステップS7において制動モードであると判断され、ステップS11に進み、制動モードを実行する。
このように電動車椅子Dが高速度で走行している場合に操作力が付与されない状態と判定すれば、制動力を発生させるので、電動車椅子Dを確実に減速できる。
【0057】
車両速度VelがV2〜V1の範囲(−V2〜−V1の範囲)である範囲H2においては、操作力変動量dFinR,dFinL及び車両速度変動量dVelR,dVelLに基づいて、さらに上述の制動要否の判定を行う。ここで、一定速度で走行している場合、操作力が付与されていない状態と判定されたとしても制動は不要であると判定するので、介護者が意図しない減速は行われず、電動車椅子Dの操作感を向上させることができる。
【0058】
一方、この範囲H2において、例えば、下り坂を走行中に介護者が操作部7R,7Lから手を離し、電動車椅子Dが下り方向に向かって加速した場合、制御部は操作力が付与されていない状態であると判定するとともに電動車椅子が加速していると判定する。このような場合においては、制御部は発電制動力を発生させ、電動車椅子Dを確実に減速させる。
【0059】
以上のようにして、本実施形態に係る電動車椅子の制御装置は、操作力が付与されない場合における制動要否の判定を行うことで、当該電動車椅子の操作感をより向上させることができる。
【0060】
また、本実施形態に係る電動車椅子は、上述した電動車椅子の制御装置を備えているので、一定車両速度で走行中に、操作力が付与されない状態となった場合にも、介護者の意図しない減速は行われない。従って、当該電動車椅子の操作感を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の一実施形態である電動車椅子の制御装置の電気回路図である。
【図2】上記制御装置における制御回路の動作を示すフローチャートである。
【図3】上記制御装置における操作力と操作力検知信号との関係を示すグラフである。
【図4】上記制御装置における操作力検知信号と各モードとの関係を示す線図である。
【図5】図2のフローチャートにおけるステップS6の動作内容を示すフローチャートである。
【図6】上記制御装置における操作力検知信号と車両速度との関係を示すグラフである。
【図7】本発明の一実施形態である上記制御装置を搭載した電動車椅子の側面図である。
【図8】本発明の一実施形態である上記制御装置を搭載した電動車椅子の背面図である。
【符号の説明】
【0062】
12 制御部
31R,31L モータ
71R,71L 操作力検知部
121 制御回路
123R,123L 駆動回路
D 電動車椅子(電動補助型車両)
H ホール素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動力を発生するモータを搭載した電動補助型車両に対して操作者が与える操作力を検知する操作力検知手段と、
前記電動補助型車両の車両速度を検知する車両速度検知手段と、
前記操作力検知手段によって検知された操作力の値に基づいた駆動力を前記モータに発生させる手段と、
前記操作力の値から操作力が付与されているかどうかを判定する操作力判定手段と、
前記車両速度検知手段によって検知された車両速度から当該電動補助型車両が加速しているかどうかを判定する加速判定手段と、
前記操作力判定手段により操作力が付与されていないと判定するとともに、前記加速判定手段により当該電動補助型車両が加速していると判定した場合、制動力を発生させる処理を行う手段とを備えたことを特徴とする電動補助型車両の制御装置。
【請求項2】
前記操作力判定手段は、前記操作力の値が所定値以下か否かを判定し、その判定の結果、前記操作力の値が所定値以下と判定された場合、前記操作力判定手段は操作力が付与されていないと判定する請求項1に記載の電動補助型車両の制御装置。
【請求項3】
前記操作力判定手段は、前記操作力の値が所定値以下か否かを判定するとともに前記操作力の値に変動があるか否かを判定し、その判定の結果、前記操作力の値が所定値以下と判定されるとともに前記操作力に変動がないと判定した場合、前記操作力判定手段は操作力が付与されていないと判定する請求項1に記載の電動補助型車両の制御装置。
【請求項4】
前記車両速度検知手段によって検知された車両速度が所定の高速度以上かどうかを判定する高速度判定手段と、
前記操作力判定手段により操作力が付与されていないと判定するとともに、前記高速度判定手段により前記車両速度が所定の高速度以上と判定した場合、他の判定に関わらず制動力を発生させる処理を行う手段と、をさらに備えた請求項1〜3のいずれかに電動補助型車両の制御装置。
【請求項5】
前記車両速度検知手段によって検知された車両速度が所定の低速度未満かどうかを判定する低速度判定手段と、
前記操作力判定手段により操作力が付与されていないと判定するとともに、前記低速度判定手段により前記車両速度が所定の低速度未満であると判定した場合、他の判定に関わらず制動力を発生させる処理を行わない手段と、をさらに備えた請求項1〜4のいずれかに記載の電動補助型車両の制御装置。
【請求項6】
操作者が与える操作力に基づいて搭載されたモータに駆動力を発生させる制御装置を備えた電動補助型車両であって、
前記制御装置は、請求項1〜5のいずれかに記載の電動補助型車両の制御装置であることを特徴とする電動補助型車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−25979(P2006−25979A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−207145(P2004−207145)
【出願日】平成16年7月14日(2004.7.14)
【出願人】(503405689)ナブテスコ株式会社 (737)
【Fターム(参考)】