説明

電動車両のバッテリ固定構造

【課題】バッテリの固定を司るロック機構自身が、バッテリを引き込む必要のないようなバッテリ固定構造にしてその小型化を実現する。
【解決手段】バッテリフレーム2を実線矢印で示すごとく、バッテリ収納空所3に対し後退整列位置を保って上昇させることによりバッテリ収納空所3の下向き開口から当該空所3内に挿入し、その後バッテリフレーム2を空所3内で車両前方へスライドさせる。これにより、バッテリフレーム2の両側におけるバッテリ側フック22が、空所3の両側におけるバッテリ収納空所側フック21と係合し、このフック係合と、このとき窪み2b内に陥入するロック部材23によるバッテリフレーム2の後退防止機能とで、バッテリフレーム2を空所3内に固定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気自動車やハイブリッド車両などの電動車両にバッテリを固定するための電動車両のバッテリ固定構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電気自動車やハイブリッド車両などの電動車両は、走行用モータを駆動する大型のバッテリが必要であり、この種バッテリを車両に固定する構造としては従来、例えば特許文献1に記載のようなものが提案されている。
【0003】
このバッテリ固定構造は、車体床下に設定した下向き開口付きバッテリ収納空所内にバッテリを、以下のごとくに該下向き開口から挿入して固定するものである。
作業者はバッテリを台車に乗せて、バッテリ収納空所の下向き開口と整列する位置まで搬送し、この整列位置でバッテリを台車の操作により上昇させる。
このとき、バッテリ側に設けたストライカで、車体側に設けられているクロージャ付きロック機構の電動モータを附勢し、該電動モータを動力源としてロック機構が、バッテリをバッテリ収納空所内の完全ロック位置に引き込み(クロージャ作用)、バッテリをこの位置にロックして固定する。
【特許文献1】特開2003−118397号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし上記のような電動車両のバッテリ固定構造にあっては、ロック機構が電動モータを動力源とするクロージャ作用により、大型で重いバッテリをバッテリ収納空所内の完全ロック位置に引き込んでロックするため、
電動モータを含むクロージャ機構部分が、大型で重いバッテリの上記引き込みを遂行可能な強力なものである必要があり、電動モータなどの動力源を必須とすることとも相まって、その大型化を避けられないという問題がある。
【0005】
本発明は、バッテリの固定に際し、この固定を司るロック機構自身が、バッテリを完全ロック位置まで引き込む必要のないようなバッテリ固定構造にし、
これにより、バッテリ固定構造の小型化を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的のため、本発明による電動車両のバッテリ固定構造は、車体に設定したバッテリ収納空所の下向き開口から該バッテリ収納空所内にバッテリを挿入して固定するものである。
本発明においては、上記のバッテリ収納空所を、上記挿入後のバッテリが挿入方向と直交する一方向へスライド可能な形状となす。
また、かかるバッテリのスライド時に相互に係合してバッテリ収納空所内にバッテリを固定するフックを、バッテリ収納空所およびバッテリにそれぞれ設ける。
【0007】
他方で本発明においては、バッテリが当該スライド位置から後退するのを阻止するため、バッテリのスライド時に、該スライド方向と直交する水平方向へ突出して、該スライド方向後方におけるバッテリ後端との係合により、バッテリの後退を防止するためのロック部材を車体側に設ける。
【発明の効果】
【0008】
上記した本発明による電動車両のバッテリ固定構造にあっては、
バッテリをバッテリ収納空所の下向き開口から該バッテリ収納空所内に挿入し、その後、バッテリ挿入方向と直交する一方向へスライドするだけで、バッテリを上記フックの相互係合、および、ロック部材の突出によりバッテリ収納空所内に固定することができる。
【0009】
よって、前記した従来のように電動モータなどの動力源によりバッテリをバッテリ収納空所内に引き込む必要がないこととなり、
当該引き込みのための機構およびその動力源が不要であって、バッテリ固定構造の小型化を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を、図面に示す実施例に基づき詳細に説明する。
[第1実施例]
図1は、本発明の第1実施例になる電動車両のバッテリ固定構造を、車両の後部斜め上方から見て示す分解斜視図で、1は、バッテリ収納フレーム、2は、バッテリフレームを示す。
バッテリ収納フレーム1は、バッテリフレーム2の矩形、扁平形状やその大きさに対応した形状および大きさのバッテリ収納空所3を画成し得る矩形枠で構成し、
この矩形枠は、バッテリ収納空所3の対向内側壁4を画成する一対の側板5と、バッテリ収納空所3の前壁6を画成する前板7と、バッテリ収納空所3の後壁8を画成する後板9との枠組みにより造形する。
【0011】
バッテリ収納フレーム1は、その長辺を成す一対の対向側板5が車両前後方向に延在するよう、また、短辺を成す前板7および後板9のうち前板7が車両前方に位置し、後板9が車両の後方に位置する向きに配して車体フロア(図示せず)の下側に取着する。
かかる取着によりバッテリ収納フレーム1は、車体フロアとの共働により上記のバッテリ収納空所3を画成し、このバッテリ収納空所3を下向き開口により外部に開放させる。
よって、この下向き開口から外部のバッテリフレーム2をバッテリ収納空所3内に挿入することができる。
【0012】
バッテリフレーム2は、内部に多数のバッテリユニット(図示せず)をスタック状に整列配置して内部空間を外部から密封した扁平な矩形箱で構成し、
本実施例では、これらバッテリフレーム2およびバッテリユニットを纏めて「バッテリ」と称することとし、このバッテリをバッテリ収納空所3内に固定するための構造を以下のごときものとする。
【0013】
バッテリフレーム2を画成する矩形箱は、バッテリ収納空所3の内側壁4と対向する一対の外側壁11、バッテリ収納空所3の前壁6と対向する前壁12、バッテリ収納空所3の後壁8と対向する後壁13、これら壁11,12,13により区画されたバッテリユニット収容空間の下方開口を塞ぐ底壁14、および該バッテリユニット収容空間の上方開口を塞ぐ頂壁15より成るものとする。
【0014】
バッテリ収納フレーム1で画成されるバッテリ収納空所3は、前記のごとくこのバッテリ収納空所3内に挿入した後のバッテリフレーム2を、該挿入の方向と直交する一方向である車両前後方向前方へスライドさせ得るような形状にする。
このため、バッテリ収納フレーム1の対向側板5で画成されるバッテリ収納空所3の対向内側壁4の長さをそれぞれ、バッテリフレーム2の対応する外側壁11の長さよりも上記スライド分だけ長くする。
【0015】
バッテリ収納空所3の両内側壁4(一対の側板5)にそれぞれ、複数個のフック21(図示例では3個)を、バッテリフレーム2の上記スライド方向に配列して設け、
バッテリ収納空所3の両内側壁4(一対の側板5)と対向するバッテリフレーム2の両外側壁11にもそれぞれ、複数個のフック22(図示例では3個)を、バッテリフレーム2の上記スライド方向に配列して設ける。
【0016】
複数個のバッテリ収納空所側フック21および同数のバッテリ側フック22は対を成すもの同士が、バッテリ収納空所3内におけるバッテリフレーム2の上記車両前方へのスライド時に、相互に係合してバッテリ収納空所3内にバッテリフレーム2を固定するものとする。
このため複数個のバッテリ収納空所側フック21および同数のバッテリ側フック22はそれぞれ、上記の機能を果たし得るよう配置すると共に、以下に説明するような特異な形状となす。
【0017】
バッテリ収納空所側フック21は図2,3に明示するごとく、バッテリ収納空所3の内側壁4からL字状断面形状をなすよう上向きに突出させて設定したフック部21aを有する。
バッテリ側フック22は図3,4,6に明示するごとく、バッテリ収納空所3内へのバッテリフレーム2の前記挿入時に、バッテリ収納空所側フック21の進入を許可してバッテリフレーム2の当該挿入を可能にするための縦スリット22aを有する。
バッテリ側フック22は更に、図2,3,6,8に明示するごとく、バッテリ収納空所3内への上記挿入後においてバッテリフレーム2を車両前方へスライドさせる時、バッテリ収納空所側フック21のフック部21aと係合するフック部22aを有する。
【0018】
バッテリ収納空所側フック21およびバッテリ側フック22のかかる特異な形状によれば、
図1に示すようにバッテリ収納空所3に対し後退整列位置にあるバッテリフレーム2を上昇させてバッテリ収納空所3内へ挿入し、その後車両前方へスライドさせることにより、
以下のようにして、バッテリフレーム2をバッテリ収納空所3内に固定することができる。
【0019】
先ず、上記の通り後退整列位置のバッテリフレーム2を上昇させてバッテリ収納空所3内へ挿入するとき、
バッテリ収納空所側フック21が図1に実線矢印および破線矢印で示すように、バッテリ側フック22の縦スリット22a内に進入して、バッテリ収納空所側フック21のフック部21aが図4に示す進入限界位置になる。
【0020】
次に、かかる上昇位置のバッテリフレーム2をバッテリ収納空所3内で車両前方へ限界までスライドさせるとき、
図2,3,6,8に示すようにバッテリ収納空所側フック21のフック部21aと、バッテリ側フック22のフック部22bとが相互に係合し、これらフック部21a,22bの相互係合によりバッテリフレーム2をバッテリ収納空所3内の所定位置に固定することができる。
【0021】
本実施例においては更に、バッテリフレーム2の上記前方スライド時に、図1,7に示すごとくスライド方向と直交する水平方向へ突出して、該スライド方向後方(車両後方)におけるバッテリフレーム2の後壁13との係合により、バッテリフレーム2がバッテリ収納空所3内の固定位置から後退するのを阻止する一対のロック部材23を設ける。
これらロック部材23は、図1に示すように、バッテリフレーム2のスライド方向と直交する水平方向の両側に配置するが、
この際、図1に示すようにバネ(弾性手段)24によりバッテリフレーム2の側壁11に向け附勢して、バッテリ収納空所3の後板9上などの車体側に取り付ける。
【0022】
そして、バッテリフレーム2を図4,5,6の一点鎖線位置から図4,5の実線位置まで上昇させてバッテリ収納空所3内に挿入するとき、図5に示すごとくロック部材23がバッテリフレーム2とのカム作用によりバネ24に抗して、バッテリフレーム2の側板11と接する位置まで後退ストロークするよう、
ロック部材23およびバッテリフレーム2にそれぞれ、図1,5に示すような傾斜カム面23a,2aを設ける。
【0023】
よって、ロック部材23がバッテリ収納空所3内へのバッテリフレーム2の挿入を妨げることはない。
なお、バッテリフレーム2を図4の実線位置まで上昇させた後、図6の実線位置までスライドさせる間、ロック部材23はバッテリフレーム2の側板11に接しており、上記の後退ストローク位置に保たれる。
【0024】
しかして、バッテリフレーム2の前記限界位置への前方スライド時は、ロック部材23がバッテリフレーム2の側板11から外れて、バネ24により図1,7に示すごとくバッテリフレーム2の後壁13と係合する位置に突出される。
ところでロック部材23が当該突出によりバッテリフレーム2の後壁13と係合するに際しては、ロック部材23がバッテリフレーム2の後壁13に設けた窪み2bに陥入して該バッテリフレーム後壁13との係合を行うようにし、
この係合により、バッテリフレーム2をバッテリ収納空所3内の前方スライド位置に抑止する。
【0025】
図1に示すように、バッテリフレーム2の後壁13(窪み2b)と共働するロック部材23の箇所に楔部材25を貼設し、この楔部材25にも、バネ24と同様なバネ(弾性手段)26を作用させる。
これらバネ24,26および楔部材25の傾斜面25aは、図1のごとく窪み2bの底壁に設けた傾斜面2cとの間のカム作用により、バッテリフレーム2を車両前方に附勢する分力を発生し、バッテリフレーム2をバッテリ収納空所3内でガタ詰めしつつ前方限界位置(バッテリ収納空所3内の所定の取り付け位置)に抑止して固定することができる。
【0026】
ロック部材23には更に、図1,5,7,9,10に示すごとく上面に縦スリット23bを形成する。
そして、ロック部材23が図7に示すごとくバッテリフレーム2の後壁13(窪み2b)と共働してバッテリフレーム2の後退を阻止する位置にある間、当該ロック部材23の縦スリット23b内に進入してロック部材23が後退ストロークするのを防止するキー27を設ける。
このキー27は、図1に示すソレノイド28により進退可能とし、該ソレノイド28のOFF時はキー27が図示せざるバネにより突出方向に附勢され、ソレノイド28のON時はキー27が突出位置から後退されるものとする。
なおソレノイド28は、バッテリ収納空所3の後板9上などの車体側に取り付ける。
【0027】
ロック部材23が図7に示すごとくバッテリフレーム2の後壁13(窪み2b)と共働してバッテリフレーム2の後退を阻止する位置にある間は、
ソレノイド28のOFFによりキー27を図示せざるバネで、ロック部材23の縦スリット23b内に進入させて、ロック部材23がバッテリフレーム後壁窪み2bから抜け出す方向へ後退ストロークすることのないようにする。
従って、ロック部材23の縦スリット23b内に進入するキー27、および、このキー27を進退させるソレノイド28は、ロック部材23用の電磁式ロック部材拘束手段を構成する。
【0028】
バッテリフレーム2をバッテリ収納空所3内から取り出すに際しては、ソレノイド28のONによりキー27を縦スリット23b内から後退させ、
これにより、ロック部材23をバネ24,26に抗してバッテリフレーム後壁窪み2bから抜け出す方向へ後退ストロークさせ得るようにする。
当該ロック部材23の後退ストロークは、図1に示すロック解除部材29で当該後退ストロークを行うこととし、これらロック解除部材29はそれぞれ、バッテリフレーム2を搬送するための前記したバッテリ搬送治具に設ける。
【0029】
このためロック解除部材29は、バッテリフレーム2が前記した前方スライド位置にあるとき該バッテリフレーム2の底壁14に設けた透孔14aを経てバッテリフレーム後壁窪み2bの後方開口を塞ぐ位置へ上昇し得るよう、バッテリフレーム底壁14の下方に配置する。
なおバッテリフレーム底壁14の透孔14aは、通常はシャッター14bにより閉塞しておき、ロック解除部材29がこのシャッター14bを開きつつ上昇するものとする。
【0030】
一方、バッテリフレーム後壁窪み2bは、ロック部材23が図1のごとくスライド方向後方にはみ出す深さとする。
ロック部材23の当該はみ出し部においてロック解除部材29が上記の上昇時に、ロック部材23の傾斜カム面23aとのカム作用により該ロック部材23をバッテリフレーム後壁窪み2b内から外脱させるよう、ロック解除部材29に傾斜カム面29aを設定する。
【0031】
ロック解除部材29には更に、上記の上昇時にバッテリフレーム後壁13の下縁とのカム作用により、バッテリフレーム2を前方へ附勢する傾斜カム面29bを設定し、
これにより、ロック解除部材29が上記のごとくカム作用によりロック部材23をバッテリフレーム後壁窪み2b内から外脱させるとき、この外脱が容易に行われるようにする。
【0032】
本実施例においては更に、前記したようにバッテリフレーム2をバッテリ収納空所3内で車両前方へスライドさせ、フック21,22の係合を進行させている間、
バッテリフレーム2とのカム作用によりバッテリフレーム2をバッテリ収納空所3の下向き開口に向け附勢して、フック21,22の係合ガタを詰めつつバッテリフレーム2を上下方向に拘束するための上下方向拘束用楔部材31を図1〜4,6に示すように設ける。
【0033】
これら上下方向拘束用楔部材31は、図1に示すようにバッテリ収納フレーム1の対向側板5にそれぞれ同数ずつ、対称配置して設ける。
各上下方向拘束用楔部材31は図2,3に明示するごとく、バッテリ収納フレーム1の対向側板5上に、車両前後方向へ変位可能に取り付けると共に、バネ32で車両後方へ附勢する。
【0034】
また本実施例においては、同じくバッテリフレーム2をバッテリ収納空所3内で車両前方へスライドさせている間、
バッテリフレーム2とのカム作用によりバッテリフレーム2をバッテリ収納フレーム1の対向側板5に向け附勢して、バッテリフレーム2をバッテリ収納フレーム1の対向側板5間における横方向中央位置に拘束するための横方向拘束用楔部材33を図1に示すように設ける。
これら横方向拘束用楔部材33は、図1に示すようにバッテリ収納フレーム1の対向側板5にそれぞれ同数ずつ、対称配置して設ける。
各横方向拘束用楔部材33は、車両前後方向へ変位可能に取り付けると共に、図11に明示するごとくバネ34で車両後方へ附勢して、バッテリ収納フレーム1の対向側板5上に取着する。
【0035】
また図1に示すごとく、バッテリ収納フレーム1の前板7、および、バッテリフレーム2の前壁12に、
バッテリフレーム2をバッテリ収納空所3内で前方限界位置(バッテリ収納空所3内の所定の取り付け位置)にスライドさせるとき相互に嵌合する凹部35および凸部36を設け、
これらによりバッテリフレーム2をバッテリ収納空所3内の前方限界位置において、スライド方向に直角な全ての方向の位置決めを確実なものにする。
【0036】
バッテリ収納フレーム1の前板7、および、バッテリフレーム2の前壁12間には更に、図6に示すごとく、
バッテリフレーム2をバッテリ収納空所3内で前方限界位置にスライドさせるとき、バッテリフレーム2内におけるバッテリユニットと車体側電気系統との接続が完了するよう相互に接続されるコネクタジョイント37を設ける。
【0037】
[バッテリの着脱方法]
上記した構成になるバッテリ固定構造を用いたバッテリの固定方法、および、バッテリの取り外し方法を以下に説明する。
先ずバッテリの固定方法を説明するに、電動車両が所定のバッテリ交換位置に留めてあり、空のバッテリ収納空所3内にバッテリフレーム2を装着してバッテリを固定する場合につき説明を展開する。
【0038】
バッテリフレーム2をバッテリ搬送治具に乗せるなどして自動的にまたは手動で、空にされているバッテリ収納空所3の下方に搬送し、このバッテリ収納空所3に対しバッテリフレーム2を、自動的にまたは手動で図2に示す後退整列位置となるよう横方向に相対移動させる。
【0039】
次いでバッテリフレーム2を、自動的にまたは手動により図1に実線矢印で示すごとく、後退整列位置を保って上昇させ、その後バッテリフレーム2を車両前方へスライドさせる。
バッテリフレーム2は上記の上昇により、バッテリ収納空所3の下向き開口から該バッテリ収納空所3内に挿入される。
この挿入時に図4に示すごとく、バッテリ収納空所側フック21がバッテリ側フック22の縦スリット22a内に進入することで、バッテリフレーム2はバッテリ収納空所3内への上記挿入を妨げられない。
【0040】
かようにバッテリフレーム2をバッテリ収納空所3内へ挿入した後、上記のごとくバッテリフレーム2を車両前方へ限界位置までスライドさせる時、バッテリ側フック22のフック部22aが図2,3,6,8に示すごとくバッテリ収納空所側フック21のフック部21aと係合し、この係合によりバッテリフレーム2をバッテリ収納空所3内に固定することができる。
【0041】
ところで、バッテリフレーム2をバッテリ収納空所3内へ挿入するとき、バッテリフレーム2は図4,5の一点鎖線位置から実線位置へと上昇する。
この間バッテリフレーム2は図5に示すごとく、傾斜カム面2aをロック部材23の傾斜カム面23aに衝接され、両者間のカム作用によりロック部材23をバネ24に抗して、図5の一点鎖線位置から実線位置へと後退ストロークさせる。
【0042】
よって、ロック部材23の存在によってもバッテリ収納空所3内へのバッテリフレーム2の上記挿入が妨げられることがない。
この挿入後バッテリフレーム2を、上記のごとくバッテリ収納空所3内で前方(図5の図面直角方向)へ図6の実線位置(前方限界位置)までスライドさせる時、ロック部材23はバッテリフレーム2の側板11上に乗り、バネ24により当該バッテリフレーム側板11に押し付けられる。
しかして、ロック部材23とバッテリフレーム側板11との間は摺動可能であり、バッテリフレーム2の前方スライドが阻害されることはない。
【0043】
バッテリフレーム2が図6に実線で示すように、バッテリ収納空所3内の前方スライド限界位置に達すると、バッテリフレーム2の後壁13に設けた窪み2bがロック部材23と整列する。
これによりロック部材23は図7に示すごとく、バネ24のバネ力でバッテリフレーム後壁13の窪み2b内に陥入され、該バッテリフレーム後壁窪み2bとの係合により、バッテリフレーム2がバッテリ収納空所3内の固定位置から後退するのを防止することができる。
この際ロック部材23はバッテリフレーム後壁窪み2bとの係合により、バッテリフレーム2を上下方向にも支える用をなす。
【0044】
更にこのとき、図1に示すようロック部材23に設けた楔部材25の傾斜面25aが、バッテリフレーム後壁窪み2bの底壁に設けた傾斜面2cとのカム作用により、バッテリフレーム2を車両前方に附勢する分力を発生し、バッテリフレーム2をバッテリ収納空所3内でガタ詰めしつつ前方限界位置(バッテリ収納空所3内の所定の取り付け位置)に抑止して固定することができる。
【0045】
ロック部材23が図7に示すごとくバッテリフレーム後壁窪み2bと係合する位置に下降するとき、ロック部材23の縦スリット23bが同図に示すようにキー27と整列し、
今までソレノイド28のONにより後退させていたキー27を、ソレノイド28のOFFにより内蔵バネのバネ力で縦スリット23b内に進入させる。
キー27は縦スリット23b内への進入により、ロック部材23がバッテリフレーム後壁窪み2bから脱出するのを防止する。
これにより、バッテリフレーム2をバッテリ収納空所3内の前方限界位置(バッテリ収納空所3内の所定の取り付け位置)に固定した状態にロックすることができる。
【0046】
かようにバッテリフレーム2をバッテリ収納空所3内の前方限界位置(バッテリ収納空所3内の所定の取り付け位置)に固定し終えたところで、バッテリ搬送治具を車両の下方から除外する。
【0047】
前記したようにバッテリフレーム2をバッテリ収納空所3内で車両前方へスライドさせ、フック21,22の係合を進行させている間、
上下方向拘束用楔部材31は図2,3,6に示すように、バッテリフレーム2とのカム作用によってバッテリフレーム2をバッテリ収納空所3の下向き開口に向け附勢して、フック21,22の係合ガタを詰めつつバッテリフレーム2を上下方向に拘束することができる。
【0048】
同じくバッテリフレーム2をバッテリ収納空所3内で車両前方へスライドさせている間、横方向拘束用楔部材33は図11に示すように、
バッテリフレーム2とのカム作用によってバッテリフレーム2をバッテリ収納フレーム1の対向側板5間における横方向中央位置に拘束することができる。
【0049】
バッテリフレーム2をバッテリ収納空所3内の前方限界位置(バッテリ収納空所3内の所定の取り付け位置)に固定した状態では、
図1に示すごとくバッテリ収納フレーム1の前板7、および、バッテリフレーム2の前壁12にそれぞれ設けた凹部35および凸部36が相互に嵌合する。
これにより、バッテリフレーム2をバッテリ収納空所3内の前方限界位置において、スライド方向に直角な全ての方向の位置決めを確実なものにすることができる。
【0050】
バッテリフレーム2をバッテリ収納空所3内の前方限界位置(バッテリ収納空所3内の所定の取り付け位置)に固定した状態では、更に、
バッテリ収納フレーム1の前板7、および、バッテリフレーム2の前壁12間に設けたコネクタジョイント37が自動的に接続され、これにより、バッテリフレーム2内におけるバッテリユニットと車体側電気系統との接続を自動的に完了することができる。
【0051】
次いでバッテリ交換に際し、バッテリフレーム2をバッテリ収納空所3内から取り出す方法を説明する。
バッテリフレーム2をバッテリ収納空所3内から取り出すに当たっては、バッテリ搬送治具を、これに設けたロック解除部材29が図9に示すように、バッテリフレーム2の底壁14に設けた透孔14aと整列する位置へ移動させる。
次いでソレノイド28のONによりキー27を、図9に示すように縦スリット23b内から後退させ、ロック部材23をバネ24に抗して後退ストロークさせ得るようにする。
【0052】
かかるロック部材23の後退ストロークに際しては、ロック解除部材29を図9に示す下降位置から矢で示すように上昇させ、最終的には図10に示すごとく、バッテリフレーム2の底壁14に設けた透孔14aを経てバッテリフレーム後壁窪み2bの後方開口を塞ぐ位置へと上昇させる。
かかるロック解除部材29の上昇中、バッテリフレーム後壁窪み2bからバッテリフレーム2のスライド方向後方(図9,10の図面直角方向手前側)にはみ出したロック部材23の傾斜カム面23aに対しロック解除部材29の傾斜カム面29aが衝接してカム作用を惹起する。
【0053】
これら傾斜カム面23a,29a間のカム作用は、ロック部材23を図10に矢印で示すように、バッテリフレーム後壁窪み2b内から外脱させる。
この外脱は、ロック解除部材29が上記の上昇中に、図1に示した傾斜カム面29bでバッテリフレーム2をスライド方向前方に附勢して、バッテリフレーム後壁窪み2bの底壁とロック解除部材29との摩擦を減じ得るから、容易に遂行され得る。
【0054】
ロック部材23は、バッテリフレーム後壁窪み2b内から図10に示す位置へ外脱したとき、バッテリフレーム2の後壁13と干渉しないようになり、
バッテリフレーム2をバッテリ搬送治具により支持して、バッテリ収納空所3内で車両後方へ後退させることができ、
前記したバッテリ固定手順と逆の手順によりバッテリフレーム2をバッテリ収納空所3内から取り出すことができる。
【0055】
[主たる作用効果]
ところで本実施例においては上記したところから明らかなように、
バッテリフレーム2をバッテリ収納空所3の下向き開口から該バッテリ収納空所3内に挿入し、その後、バッテリ挿入方向と直交する車両前方へスライドするだけで、バッテリフレーム2をバッテリ側フック22およびバッテリ収納空所側フック21の相互係合およびロック部材23の突出によりバッテリ収納空所3内に固定することができるため、
従来のように電動モータなどの動力源によりバッテリフレーム2をバッテリ収納空所3内に引き込む必要がない。
【0056】
よって、当該引き込みのための機構およびその動力源が不要であって、バッテリ固定構造の小型化が可能となり、コスト増の問題を解消し得ると共に、バッテリ固定構造の設置スペースが小さいことで前記したバッテリ容量の制限に関する問題も解消することができる。
しかも、バッテリフレーム2をバッテリ収納空所3の下向き開口から該バッテリ収納空所3内に挿入し、その後、バッテリ挿入方向と直交する車両前方へスライドして、バッテリフレーム2をバッテリ収納空所3内に固定するということは、
バッテリフレーム2のスライドのみによりバッテリフレーム2をバッテリ収納空所3内に固定する場合に較べて、バッテリフレーム2のスライド量を短縮し得ることに繋がり、スペース的に有利である。
【0057】
更に上記作用効果を達成するためのロック部材23を図1に示すごとく一対1組とし、これらロック部材23をバッテリフレーム2のスライド方向と直交する水平方向の両側に配置したため、
バッテリフレーム2をスライド方向と直交する水平方向の両側において後退防止し得ることとなり、バッテリフレーム2の後退防止を確実に、且つ安定姿勢のまま遂行することができる。
【0058】
また上記のロック部材23が、バッテリ収納空所3内へのバッテリフレーム2の挿入時に、バッテリフレーム2との(傾斜カム面23a,2aを介した)カム作用によりバネ24,26に抗して、バッテリフレーム2の側壁11と接する位置へ押動され、バッテリ収納空所3内でのバッテリフレーム2の前方スライド時に、バネ24,26によりバッテリフレーム後壁13と係合する位置に突出されるものであるため、以下の作用効果が奏し得られる。
【0059】
先ず、バッテリフレーム2をバッテリ収納空所3の下向き開口から当該バッテリ収納空所3内に挿入する時、ロック部材23が自動的にバッテリフレーム2のスライドを妨げない位置に後退されることとなり、ロック部材23を当該位置に後退させる工程が不要である。
また、バッテリフレーム2をバッテリ収納空所3内で前方スライドさせる時、ロック部材23が自動的にバッテリフレーム後壁13と係合する位置へ突出することとなり、ロック部材23を当該係合位置へ突出させる工程も不要である。
【0060】
しかもロック部材23が、上記バッテリフレーム後壁13と係合する位置に突出するとき、ロック部材23に設けた楔部材25とバッテリフレーム後壁13に設けた傾斜面2cとのカム作用によりバッテリフレーム2をスライド位置に抑止するものであるため、
バッテリフレーム2をバッテリ収納空所3内でガタ詰めしつつ前方限界位置(バッテリ収納空所3内の所定の取り付け位置)に抑止して固定することができる。
【0061】
そしてロック部材23が、上記バッテリフレーム後壁13と係合する位置に突出するとき、該バッテリフレーム後壁13に設けた窪み2b内に陥入してバッテリフレーム2をスライド位置に抑止するものであるため、
ロック部材23とバッテリフレーム後壁窪み2bとの嵌合部が、バッテリフレーム2を上下方向に拘束する用もなす。
よって、フック21,22の破損でこれらフックによるバッテリフレーム2の支持が不能になったり、バッテリフレーム2の支持力が低下した場合においても、これをロック部材23とバッテリフレーム後壁窪み2bとの嵌合部により補って、要求されるバッテリフレーム2の支持力を不変に保つことができる。
【0062】
なお、バッテリフレーム後壁窪み2bを、ロック部材23がバッテリフレーム2のスライド方向後方にはみ出す深さとし、
ロック解除部材29が、当該はみ出したロック部材23の箇所(傾斜カム面23a)とのカム作用によりロック部材23をバッテリフレーム後壁窪み2b内から外脱させるよう構成したため、
ロック解除部材29の進出ストロークのみで、ロック部材23をバッテリフレーム後壁窪み2b内から外脱させて、バッテリフレーム2を後退ストロークさせ得ることとなり、バッテリフレーム2の取り外し作業が容易である。
【0063】
しかもロック解除部材29が、ロック部材23をバッテリフレーム後壁窪み2b内から外脱させる進出位置において、バッテリフレーム2を傾斜カム面29bによるカム作用で前方スライド方向へ附勢するものであるため、
ロック部材23をバッテリフレーム後壁窪み2b内から外脱させるときに、バッテリフレーム後壁窪み2bの底壁とロック解除部材29との摩擦を減じ得ることとなり、ロック部材23をバッテリフレーム後壁窪み2b内から容易に外脱させることができる。
【0064】
更に、ロック部材23がバッテリフレーム後壁13(窪み2b)と係合した位置において、ロック部材23を変位不能に拘束する電磁式ロック部材拘束手段(ロック部材23の縦スリット23b、キー27、ソレノイド28)を、バッテリ収納空所3の後板9上などの車体側に取り付けて設けたため、
バッテリフレーム2を取り外すとき以外は、ロック部材23をバッテリフレーム後壁13(窪み2b)と係合した位置に保つことができ、バッテリフレーム2が誤ってバッテリ収納空所3内の前方スライド位置から後退するのを確実に回避することができる。
【0065】
[付加的な作用効果]
また本実施例では、バッテリフレーム2のスライド方向が、スライド代を大きく取れる車両前後方向(図示例では車両前方)であるため、
バッテリ交換に際してバッテリフレーム2をスライドさせる必要があっても、このスライド方式を容易に採用し得て、設計上の自由度も高い。
【0066】
更に、バッテリ側フック22およびバッテリ収納空所側フック21を、バッテリフレーム2のスライド方向に平行なバッテリ収納空所3の対向内側壁5、および、これら対向内側壁5と対面するバッテリフレーム2の両外側壁11にそれぞれ設けたため、
バッテリ側フック22およびバッテリ収納空所側フック21を、簡単な形状で上記の係合が実現されるようにすることができる。
【0067】
また、バッテリ収納空所側フック21を、バッテリ収納空所3の対向内側壁5にそれぞれ複数個、上記バッテリフレーム2のスライド方向に配列して設け、
バッテリ側フック22を、バッテリ収納空所側フック21と同数だけ、これらフック21と対応する位置に配して、バッテリフレーム2の両外側壁11にそれぞれ設けたため、
バッテリ収納空所側フック21およびバッテリ側フック22の相互係合によるバッテリフレーム2の固定が安定したものになる。
【0068】
また、バッテリ側フック22にそれぞれ、バッテリ収納空所3へのバッテリフレーム2の挿入中、対応するバッテリ収納空所側フック21が進入する縦スリット2aを形成し、
バッテリ側フック22およびバッテリ収納空所側フック21にそれぞれ、バッテリ収納空所3内でのバッテリフレーム2の前方スライド中、相互に係合するフック部22b,21aを形成したため、
バッテリ側フック22およびバッテリ収納空所側フック21の存在によっても、バッテリ収納空所3へのバッテリフレーム2の挿入を妨げられることなく、上記諸々の作用効果を達成することができるほか、
バッテリフレーム2を小さなスライド量で、バッテリ側フック22およびバッテリ収納空所側フック21が相互に係合する位置へ持ち来すことができて、バッテリ固定構造の小型化を実現することができる。
【0069】
更に、バッテリフレーム2をバッテリ収納空所3内で車両前方へスライドさせ、フック21,22の係合を進行させている間、上下方向拘束用楔部材31が図3,4,6に示すごとく、バッテリフレーム2とのカム作用によってバッテリフレーム2をバッテリ収納空所3の下向き開口に向け附勢するため、
フック21,22の係合ガタを詰めつつバッテリフレーム2を上下方向に拘束することができ、バッテリフレーム2の上下方向における拘束を確実にした状態でバッテリフレーム2を固定することができる。
【0070】
同じくバッテリフレーム2をバッテリ収納空所3内で車両前方へスライドさせている間、横方向拘束用楔部材33が図9に示すようにバッテリフレーム2とのカム作用によってバッテリフレーム2をバッテリ収納フレーム1の対向側板5間における横方向中央位置に拘束するようにしたため、
バッテリフレーム2を横方向にも拘束することができ、バッテリフレーム2を横方向中央位置に拘束した状態でバッテリフレーム2を固定することができる。
【0071】
[変形例]
なお上記では、電動車両を固定とし、バッテリフレーム2をバッテリ収納空所3に対し相対変位させて着脱する場合につき説明したが、
逆に、バッテリフレーム2を固定台上に固定しておき、このバッテリフレーム2に対し電動車両を相対変位させて、バッテリ収納空所3に対するバッテリフレーム2の着脱を行うようにしてもよいのは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の一実施例になる電動車両のバッテリ固定構造を、車両の後部斜め上方から見て示す分解斜視図である。
【図2】図1に示すバッテリ固定構造におけるバッテリ収納空所側フックおよびバッテリ側フックの相互係合部を示す拡大詳細断面図である。
【図3】図2におけるバッテリ収納空所側フックおよびバッテリ側フックの相互係合部を、バッテリフレームの上下方向拘束構造と共に示す斜視図である。
【図4】同実施例になる電動車両のバッテリ固定構造を、バッテリフレームがバッテリ収納空所内に挿入された状態で示す要部断面図である。
【図5】図4のようにバッテリフレームをバッテリ収納空所内に挿入する過程で、バッテリフレームがバッテリフレーム後退防止用のロック部材を非ロック位置へストロークさせる状態を、図4のV−V線上から矢の方向に見て示す動作説明図である。
【図6】同実施例になる電動車両のバッテリ固定構造を、バッテリフレームがバッテリ収納空所内において車両前方にスライドされた状態で示す要部断面図である。
【図7】図6のようにバッテリフレームをバッテリ収納空所内において車両前方へスライドさせる過程で、バッテリフレーム後退防止用のロック部材がロック位置へストロークする状態を、図6のVII−VII線上から矢の方向に見て示す動作説明図である。
【図8】図6のVIII-VIII線上で断面とし、矢の方向に見て示す横断面図である。
【図9】バッテリフレームをバッテリ収納空所内から取り出すに際して行う第1工程を示す、図7と同様な動作説明図である。
【図10】バッテリフレームをバッテリ収納空所内から取り出すに際して行う第2工程を示す、図7と同様な動作説明図である。
【図11】同実施例のバッテリ固定構造におけるバッテリフレームの横方向拘束構造を示す拡大詳細断面図である。
【符号の説明】
【0073】
1 バッテリ収納フレーム
2 バッテリフレーム
2a 傾斜カム面
2b 窪み
2c 傾斜カム面
3 バッテリ収納空所
4 対向内側壁
5 側板
7 前板
8 後壁
9 後板
11 外側壁
12 前壁
13 後壁
14 底壁
14a 透孔
14b シャッター
15 頂壁
21 バッテリ収納空所側フック
21a フック部
22 バッテリ側フック
22a 縦スリット
22b フック部
23 ロック部材
23a 傾斜カム面
23b 縦スリット
24 バネ(弾性手段)
25 楔部材
25a 傾斜カム面
26 バネ(弾性手段)
27 キー(電磁式ロック部材拘束手段)
28 ソレノイド(電磁式ロック部材拘束手段)
31 上下方向拘束用楔部材
33 横方向拘束用楔部材
37 コネクタジョイント

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体の下向き開口付きバッテリ収納空所内にバッテリを、該下向き開口から挿入して固定するための電動車両のバッテリ固定構造において、
前記バッテリ収納空所を、前記挿入後のバッテリが該挿入の方向と直交する一方向へスライド可能な形状とし、
該バッテリのスライド時に相互に係合してバッテリ収納空所内にバッテリを固定するフックを、バッテリ収納空所およびバッテリにそれぞれ設け、
前記バッテリのスライド時に、該スライド方向と直交する水平方向へ突出して、該スライド方向後方におけるバッテリ後端との係合により、バッテリがスライド位置から後退するのを阻止するロック部材を、前記車体側に設けたことを特徴とする電動車両のバッテリ固定構造。
【請求項2】
請求項1に記載の電動車両のバッテリ固定構造において、
前記ロック部材を一対1組とし、これらロック部材を前記スライド方向と直交する水平方向の両側に配置したことを特徴とする電動車両のバッテリ固定構造。
【請求項3】
請求項1または2に記載の電動車両のバッテリ固定構造において、
前記ロック部材は、バッテリの前記挿入時に該バッテリとのカム作用により弾性手段に抗して、バッテリ側面と接する位置へ押動され、バッテリの前記スライド時に、該弾性手段により前記バッテリ後端と係合する位置に突出されるものであることを特徴とする電動車両のバッテリ固定構造。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の電動車両のバッテリ固定構造において、
前記ロック部材は、前記バッテリ後端と係合する位置に突出するとき、該バッテリ後端とのカム作用によりバッテリをスライド位置に抑止するものであることを特徴とする電動車両のバッテリ固定構造。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の電動車両のバッテリ固定構造において、
前記ロック部材は、前記バッテリ後端と係合する位置に突出するとき、該バッテリ後端に設けた窪みに陥入してバッテリをスライド位置に抑止するものであることを特徴とする電動車両のバッテリ固定構造。
【請求項6】
請求項5に記載の電動車両のバッテリ固定構造において、
前記窪みは、前記ロック部材が前記スライド方向後方にはみ出す深さとし、
該ロック部材はみ出し部とのカム作用によりロック部材を前記窪み内から外脱させるよう進出するロック解除部材をバッテリ搬送治具に設けたことを特徴とする電動車両のバッテリ固定構造。
【請求項7】
請求項6に記載の電動車両のバッテリ固定構造において、
前記ロック解除部材は、ロック部材を前記窪み内から外脱させる進出位置において、バッテリをカム作用により前記スライド方向へ附勢するものであることを特徴とする電動車両のバッテリ固定構造。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の電動車両のバッテリ固定構造において、
前記ロック部材が前記バッテリ後端と係合した位置において、該ロック部材を変位不能に拘束する電磁式ロック部材拘束手段を車体側に設けたことを特徴とする電動車両のバッテリ固定構造。
【請求項9】
車体の下向き開口付きバッテリ収納空所内にバッテリを、該下向き開口から挿入して固定するための電動車両のバッテリ固定構造において、
前記バッテリ収納空所を、前記挿入後のバッテリが該挿入の方向と直交する形状とし、
該バッテリを相互に係合してバッテリ収納空所内にバッテリを固定するフックを、バッテリ収納空所およびバッテリにそれぞれ設け、
前記バッテリを該挿入の方向と直交する形状に対して水平方向へ突出して、該挿入方向と直交する形状の後方におけるバッテリ後端との係合により、バッテリが該挿入位置から後退するのを阻止するロック部材を、前記車体側に設けたことを特徴とする電動車両のバッテリ固定構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−125867(P2010−125867A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−299144(P2008−299144)
【出願日】平成20年11月25日(2008.11.25)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】