説明

電動車両用充電機能付き電力系統無効電力補償装置、および電力系統無効電力補償機能付き電動車両用充電装置

【課題】電力系統無効電力補償装置の一般住宅地などにおける充分な設置場所の確保と、電動車両用充電器の充分な台数を確保する。
【解決手段】電力系統の電圧変動を抑制するための電力系統無効電力補償装置において、さらに、電動車両用の充電器を備え、電力系統の電圧変動を抑制する無効電力補償機能と、電動車両用の充電機能と、を併せ持つ。また、電動車両を充電する電動車両用充電装置において、さらに、電力系統の電圧変動を抑制するための無効電力補償器を備え、電動車両の充電機能と、電力系統の電圧変動を抑制する無効電力補償機能と、を併せ持つ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力系統の電圧変動を抑制するための無効電力補償装置に、電気自動車などの電動車両用の充電機能を付加したシステムと、その装置に関するものである。
また、逆に、電気自動車などの電動車両用の充電器に、電力系統の電圧変動を抑制するための無効電力補償機能を付加したシステムと、その装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電力系統、特に配電系統においては、配電線の電圧を負荷変動に影響にされることなく安定に制御することが重要である。このため、従来では配電変電所の負荷時タップ切替装置(LRTタップ:Load Ratio control Transfomer)による送り出し電圧の調整、および、配電線の必要な箇所に接続された自動電圧調整器(SVR:Step Voltage Regulator)などにより、配電線の電圧安定化を図るようにしてきた。
しかし、近年では、地球温暖化や化石燃料の枯渇などの問題から、クリーンな自然エネルギーとして風力発電や太陽光発電などの分散電源が増加しており、これらの分散電源が配電系統へ大量に設置されると、配電系統の逆潮流の問題や、気候変動時の急峻な出力変動による電圧変動の問題などが大きくなると予測されている。
【0003】
この対策として、前記したLRTやSVRによる電圧調整だけではなく、急峻な電圧変動対策用として無効電力補償装置(SVC:Static Var Compensator)の設置が必要となる。
また、自動車分野においては、バッテリーを搭載した電気自動車の開発および実用化が進んできている。そして、電気自動車の普及とともにバッテリーを充電するための急速充電器や充電スタンドなどの電気自動車用充電器のインフラ整備が進められている。
なお、特許文献1には電気自動車用充電器と無効電力補償装置を組み合わせた技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−312281号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、電力系統の特に配電系統に設置される無効電力補償装置は、今後の大規模な普及が望まれる設備であるものの、設置箇所に制約があるため普及が阻害されることがある。特に配電系統の電圧変動抑制用に設置される無効電力補償装置は、一般住宅地などにも設置されるため、設置スペースの確保が難しいとう問題がある。
また、電柱上に設置する場合においても、重量・サイズ・騒音などの面から環境への配慮が必要となり、設置場所の選定においても課題がある。
【0006】
また、電気自動車用充電器は、現状では設置台数が少なく、今後、電気自動車が普及していく為には、充分な台数を確保していく必要があるという課題がある。
それとともに電気自動車用の台数が少ない状況下において、電気自動車用充電器の設置に係る設備投資が厳しいという問題がある。
【0007】
また、特許文献1に開示された技術のように、電気自動車に搭載されるバッテリーが充電器に接続された状態で、バッテリーの電源を利用して電力系統の電圧変動を抑制する無効電力補償装置もあるが、これは、電気自動車と充電器が接続された状態にないと無効電力補償装置として使用できず、常用の無効電力補償装置として使用できないという問題がある。
【0008】
そこで、本発明はこのような問題点を解決するもので、その目的とするところは、無効電力補償装置の一般住宅地などにおける充分な設置場所の確保と、電動車両用充電器の充分な台数を確保することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記の課題を解決して、本発明の目的を達成するために、以下のように構成した。
すなわち、電力系統の電圧変動を抑制するための電力系統無効電力補償装置において、さらに、電動車両用の充電器を備え、電力系統の電圧変動を抑制する無効電力補償機能と、電動車両用の充電機能と、を併せ持つ。
また、電動車両を充電する電動車両用充電装置において、さらに、電力系統の電圧変動を抑制するための無効電力補償器を備え、電動車両の充電機能と、電力系統の電圧変動を抑制する無効電力補償機能と、を併せ持つ
【0010】
かかる構成により、電力系統無効電力補償装置に電気自動車(電動車両)用の充電機能が備えられる、もしくは電気自動車(電動車両)用充電装置に電力系統の電圧変動を抑制するための無効電力補償機能が備えられるので、電気事業者などが、無効電力補償装置をガソリンスタンド(充電スタンド)はじめ、共同駐車場や公共スペースに設置しやすくなる。それとともに、電気自動車用充電スタンドの設備投資が軽減されて、電気自動車用の充電器がガソリンスタンドをはじめ、共同駐車場や公共スペースに設置され、充分な台数が確保されやすくなる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、無効電力補償装置の一般住宅地などにおける充分な設置場所が確保され、かつ電動車両用充電器の充分な台数が確保できる可能性が高まる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の電気自動車(電動車両)用充電機能付き電力系統無効電力補償装置の第1の実施形態を示した構成図である。
【図2】本発明の電気自動車(電動車両)用充電機能付き電力系統無効電力補償装置において、出力側にバッテリーを備えた第2の実施形態を示した構成図である。
【図3】本発明の電気自動車(電動車両)用充電機能付き電力系統無効電力補償装置において、出力側に電圧変換回路を備えた第3の実施形態を示した構成図である。
【図4】本発明の電気自動車(電動車両)用充電機能付き電力系統無効電力補償装置の第1、第2、第3の実施形態におけるスイッチング変換回路の構成を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(第1の実施形態)
本発明の電気自動車(電動車両)用充電機能付き電力系統無効電力補償装置の第1の実施形態を、図1を参照して説明する。
図1は第1の実施形態と、電力系統、および電気自動車用充電スタンドにおける電気自動車との関連を示す構成図である。
図1において、実線21Aで囲まれた中の回路が第1の実施形態である電気自動車用充電機能付き電力系統無効電力補償装置(以下、「無効電力補償装置」と略す)21Aである。
【0014】
電力系統の配電変電所11から配電線路12を介して、各負荷13に電力が供給されており、電力系統のA点には配電線路103を通って、無効電力補償装置21Aが接続されている。
無効電力補償装置(電気自動車用充電機能付き電力系統無効電力補償装置)21Aの直流電力出力端子111、112には電気自動車41のバッテリー42が接続されている。
【0015】
<無効電力補償装置の構成と機能の概略>
次に、無効電力補償装置の構成と機能の概略について説明する。
図1において、無効電力補償装置21Aは設置点であるA点の電圧を、あらかじめ設定された電圧指令基準値23と同じ電圧となるように、電圧検出回路22、PWM制御回路26、電流制御回路25、電圧制御回路24などの制御回路と、変圧器27、スイッチング変換回路28、コンデンサ29を備えて構成されている。
【0016】
電力系統におけるA点の電圧を配電線路101を通して計器用変成器102で計測し、電圧検出回路22を経た出力と、電圧指令基準値23とを電圧制御回路24で比較して同じ電圧となるように信号を出力する。
また、A点に接続され、無効電力を伝送する配電線路103から計器用変流器104で電流を計測し、この計測値を電流制御回路25に、前記した電圧制御回路24の出力とともに入力する。
【0017】
電流制御回路25は前記2つの入力信号を基に所望の制御を行う信号をPWM(Pulse Width Modulation)制御回路26に出力する。
また、PWM制御回路26の制御出力で、スイッチング変換回路28を高速かつ適切に制御すること、およびコンデンサ29がスイッチング変換回路28の出力側に接続されていることで、等価的に無効電力(51)を発生させる。
この無効電力(51)を変圧器27で電圧を調整して、さらにA点を経由して無効電力51を電力系統(A点)に注入し、配電系統の電圧を一定に保つ作用をする。
【0018】
<スイッチング変換回路の構成、およびコンデンサとの作用>
なお、スイッチング変換回路28の回路例を図示したものが図4である。図4において、スイッチング変換回路28はスイッチング素子である絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT:Insulated Gate Bipolar Transistor、以下IGBTと略す)201〜206で構成される。
IGBT201はコレクタが正極端子111に接続され、エミッタはU相の入出力端子221に接続されている。IGBT202はエミッタが負極端子112に接続され、コレクタはU相の入出力端子221に接続されている。
IGBT203はコレクタが正極端子111に接続され、エミッタはV相の入出力端子234に接続されている。IGBT204はエミッタが負極端子112に接続され、コレクタはV相の入出力端子234に接続されている。
IGBT205はコレクタが正極端子111に接続され、エミッタはW相の入出力端子256に接続されている。IGBT206はエミッタが負極端子112に接続され、コレクタはW相の入出力端子256に接続されている。
なお、U相、V相、W相によって三相交流が構成されている。
【0019】
また、IGBT201〜206の各入力端子(ゲート端子)にはPWM制御回路26の制御信号がそれぞれ接続されている。
なお、IGBT201〜206の各エミッタ、コレクタ間には過電圧を防止する保護用のダイオード211〜216がそれぞれ接続されている。
また、正極端子111、負極端子112間には大容量(電力容量と静電容量が大きく、電力容量としては概ね100KVA以上)のコンデンサ29が接続されている。
【0020】
PWM制御回路26によって、IGBT201〜206のゲートをそれぞれ適切な制御信号でオン・オフ(ON、OFF)させることにより、三相交流(U相、V相、W相)を正極端子111、負極端子112間へ直流電力に変換することができる。このとき変換された直流電力はコンデンサ29に蓄積される。これは交流電力を直流電力に変換する機能である。なお、変換された直流電力は充電器としての直流電源となる。
【0021】
また、PWM制御回路26によって、IGBT201〜206のゲートをそれぞれ適切な別の制御信号でオン・オフ(ON、OFF)させることにより、三相交流(U相221、V相234、W相256)側と大容量(概ね100KVA以上)のコンデンサ29が接続された正極端子111、負極端子112間とが電気的に相互作用をし、三相交流(U相221、V相234、W相256)側に大容量のコンデンサ29が接続されたのと等価の作用をして、コンデンサ29による無効電力の発生をさせることができる。このとき、発生した無効電力(51)は、まず変圧器27、配電線路103、A点を経由して電力系統に注入し、三相交流の位相(力率)を変えることにより、配電系統(電力系統)の電圧を一定に保つ作用をする。これは無効電力補償機能である。
【0022】
このように、PWM制御回路26によって、IGBT201〜206のゲートをそれぞれ適切な制御信号でオン・オフ(ON、OFF)させることにより、スイッチング変換回路28は等価的に様々な機能、作用を有する。
なお、これらの機能は基本的にはPWM制御回路26とスイッチング変換回路28とコンデンサ29とによって行われるので、図1において、電気自動車41が充電しているか否かに関わらず、前記した交流電力を直流電力に変換する機能(変換された直流電力を電源とする充電機能)と、前記した電力系統の無効電力補償機能が作用する。
【0023】
<比較例>
なお、比較例1として、三相交流、もしくは単相交流をスイッチング素子とコンデンサを用いたコンバータによって交流電力を直流電力に変換して電気自動車の充電に用いる電気自動車用充電器も従来にはある。しかし、この方法は自動車を充電する直流電力を得るのが目的であるので、コンデンサの容量は概ね数10KVA未満である。
これに対して、前記したコンデンサ29は電力系統の無効電力を発生するのが主たる目的であるので、概ね100KVA以上、場合によっては概ね300KVAの大容量のコンデンサが用いられる。
【0024】
このように従来の自動車の充電のみの場合の充電器のコンデンサと、本実施形態のように電力系統の無効電力補償装置の無効電力補償機能のコンデンサ29ではコンデンサの容量が格段に異なる。また、前記した従来の電気自動車の充電に用いる電気自動車用充電器におけるスイッチング素子の制御回路の制御方法と、本実施形態の電力系統の無効電力補償装置の無効電力補償装置のスイッチング変換回路28の制御方法は異なる。
【0025】
また、比較例2として、無効電力補償機能用のコンデンサとして、大容量(例えば300KVA)を電力系統に遮断器のみを介して接続する場合には、使用するか否かの選択しかない。このとき、300KVAの無効電力補償機能用のコンデンサが電力系統に接続される場合と、されない場合とでは、発生する無効電力や、それによって電力系統の電圧は大きく変動してしまう。
【0026】
それに対して、図1と図4におけるスイッチング変換回路28と大容量(例えば300KVA)のコンデンサ29の組み合わせによる無効電力補償機能ではスイッチング変換回路28の制御(PWM制御回路)によって、コンデンサ29の等価的な容量を0〜300KVAまで連続的に可変することができるので、電力系統への無効電力の供給と電圧の改善が適正に行える。
【0027】
<電気自動車用充電機能>
次に、無効電力補償装置21Aに電気自動車用充電機能を付加した場合について説明する。
図1においては、前記したように三相交流電力をスイッチング変換回路28、PWM制御回路26、コンデンサ29によって、直流電力に変換する機能を有している。さらに接続状態検出回路30を備えている。
したがって、図1の構成において、無効電力補償装置(電気自動車用充電機能付き電力系統無効電力補償装置)21Aに、電気自動車41が充電のための接続または接続準備に取り掛かると、接続状態検出回路30により、それを検知し、前記した無効電力補償機能に加えて、電気自動車41のバッテリー42への充電を開始することができる。
【0028】
また、無効電力補償機能と電気自動車のバッテリーへの充電機能は、どちらか一方の機能を優先させることも、両方の機能を同時に実施することも可能である。また、条件の設定などによって、両方の機能分担の重み付けをすることも可能である。
なお、電気自動車用充電器もしくは電気自動車用充電装置としては、前記したことから、接続状態検出回路30と、それ以外に無効電力補償装置21Aのスイッチング変換回路28、PWM制御回路26、コンデンサ29、直流電力出力端子111、112が兼ねて、相当している。
【0029】
(第2の実施形態)
次に、本発明の電気自動車(電動車両)用充電機能付き電力系統無効電力補償装置(無効電力補償装置)の第2の実施形態を、図2を参照して説明する。
図2の無効電力補償装置21Bは、図1における無効電力補償装置21Aの中に、さらに充電用のバッテリー31を備えたものである。充電用のバッテリー31を取り付けることによって、電気自動車が接続された際にも、電気自動車のバッテリー42へは、無効電力補償装置21B内の充電用のバッテリー31に蓄えられた電力によって充電するため、一定期間は無効電力補償機能に必要な容量を低減することなく、動作させることが可能である。充電用のバッテリー31への充電は、電気自動車41が接続されていない間に充電すればよい。
【0030】
あるいは、またスイッチング変換回路28と大容量(例えば300KVA)のコンデンサ29の組み合わせによる無効電力補償機能ではスイッチング変換回路28の制御により、コンデンサ29の等価的な容量を0〜300KVAまで可変することができるので、電力系統の状態がコンデンサ29の等価的な容量を300KVAまで必要としない場合に、その余力分によって充電用のバッテリー31を充電することもできる。
これによって、電力系統への無効電力補償機能と、電気自動車用への充電機能とを併せて実施する機能の自由度と能力がさらに高まるという効果がある。
なお、コンデンサ29が前記した大容量を有することによって、電力系統への無効電力補償機能と、電気自動車用への充電機能とを併せもつことを、より有効にする。
【0031】
(第3の実施形態)
次に、本発明の電気自動車(電動車両)用充電機能付き電力系統無効電力補償装置(無効電力補償装置)の第3の実施形態を、図3を参照して説明する。
図3の無効電力補償装置21Cは、図1における無効電力補償装置21Aの出力回路に電気自動車のバッテリー42に適した電圧に変換するための電圧変換回路32をさらに備えたものである。
様々な仕様や形態によっては、無効電力補償装置21のコンデンサ29の電圧と電気自動車41のバッテリー42の充電電圧は一致しない場合がある。このときには、電圧変換回路32によって、適正な電圧に変換して無効電力補償装置21Cから電気自動車41のバッテリー42へ充電する。
【0032】
また、図1または図3におけるコンデンサ29が、前記したように例えば300KVAのような大容量であった場合には、電気自動車41のバッテリー42に直接接続すると、過電流が流れる危険性もある。このような場合には電圧変換回路32があると、前記した危険性が少なくなる効果もある。
したがって、この電圧変換回路32を備えることによって、電力系統への無効電力補償機能と、電気自動車用への充電機能とを、併せて実施する機能の適用範囲が広がるという効果がある。
【0033】
(電力系統無効電力補償機能付き電気自動車(電動車両)用充電装置としての発明)
以上においては、電力系統無効電力補償機能と電気自動車(電動車両)用充電機能を有する装置を、電力系統無効電力補償装置を主体とした観点からの発明であった。
しかし、ガソリンスタンド(充電スタンド)等に設置する電気自動車(電動車両)用充電装置に電力系統無効電力補償機能を設けることを主体とする観点もある。ガソリンスタンドに電気自動車用充電装置を設置して充電スタンドとする場合において、設備投資が問題となることがある。このときに、電力会社と提携することにより、設置費用の負担を軽減し、設備投資の観点から、より設置しやすくする場合もある。
【0034】
このとき、ガソリンスタンド(充電スタンド)側の観点が主となることもあり、電気的仕様や形状やデザインが電気自動車用充電装置を優先して選択されることがある。この場合には電力系統無効電力補償機能付き電気自動車(電動車両)用充電装置となる。
なお、前記したように電気自動車(電動車両)用充電装置に電力系統無効電力補償機能を設けることを主体とする観点の場合には、充電器を充電装置と表記し、無効電力補償装置を無効電力補償器と表記することもある。
【0035】
(第4の実施形態)
第4の実施形態は、図1の第1の実施形態と基本的には同じ構成であるが、電気的仕様や形状やデザインを、より電気自動車(電動車両)用充電機能に重点をおいた電力系統無効電力補償機能付き電気自動車(電動車両)用充電装置である。
【0036】
(第5の実施形態)
第5の実施形態は、図2の第2の実施形態と基本的には同じ構成であるが、電気的仕様や形状やデザインを、より電気自動車(電動車両)用充電機能に重点をおいた電力系統無効電力補償機能付き電気自動車(電動車両)用充電装置である。
【0037】
(第6の実施形態)
第6の実施形態は、図3の第3の実施形態と基本的には同じ構成であるが、電気的仕様や形状やデザインを、より電気自動車(電動車両)用充電機能に重点をおいた電力系統無効電力補償機能付き電気自動車(電動車両)用充電装置である。
【0038】
(その他の実施形態)
以上の実施形態においては、電動車両用充電機能、あるいは電動車両用充電器、あるいは電動車両用充電装置を、電気自動車での充電を行うものとして説明したが、電気自動車のみならず、ハイブリッド車において備えられたバッテリーにプラグイン充電する場合にも有効である。また、駆動力をバッテリーによって得られるものであれば自動車に限らない。ハイブリッドのバイクや電動機付自転車でもよい。
【0039】
また、電動車両は前記した道路を走行するものに限らない。鉄道においてもディーゼルとのハイブリッド鉄道車両などへの適用が可能である。
【0040】
また、電動車両以外にも、プラグイン充電する船舶や航空機にも適用可能である。
【0041】
また、スイッチング変換回路28の回路例を図4に示したが、前記した変換機能が構成できれば他の回路構成でもよい。また、スイッチング素子としてIGBTを示したが、スイッチング機能と耐圧性が満たされれば他の素子でもよい。
【0042】
また、図1〜図3において、PWM制御回路26は電流制御回路25の信号によって制御される回路を示したが、電圧制御回路24の出力と電流制御回路25の出力を別々に入力する回路構成にしてもよい。このときには、機能の制御において、より複雑な制御が可能となる。
【0043】
また、図1〜図3において、PWM制御回路26は電流制御回路25、電圧制御回路24の出力信号によって制御される回路を示したが、これらの信号以外に電力系統無効電力補償機能と電気自動車用充電機能の優先度と割合を制御する信号をPWM制御回路26に加えてもよい。このときには、機能の制御において、さらに複雑で自由度の高い制御が可能となる。
【0044】
また、電圧制御回路24、電流制御回路25、PWM制御回路26等における回路は、ハードウェアでも、ソフトウェアでも、またそれらの混成によって構成してもよい。
【0045】
以上、本発明は、一つの装置が電力系統の電圧変動を抑制するための電力系統無効電力補償機能と、電気自動車の充電機能と、を併せ持つものである。
これにより、一般住宅地などにおいて設置スペースの確保が難しかった、あるいは重量・サイズ・騒音などの面から環境への配慮で設置場所の選定が難しかった電力系統無効電力補償装置が、ガソリンスタンドや、共同駐車場や、公共スペースにおいても新たに設置できる可能性が増大する。
【0046】
また、電気自動車の普及ために電気自動車用充電器は不可欠であるが、現状では設置台数が少なく、充分な台数を確保していく必要がある。しかしながら、電気自動車用の台数が少ない状況下において、電気自動車用充電器の設置に係る設備投資が採算の観点から厳しい。そこで、電力系統無効電力補償機能をつけることによって、電力会社との共同出資が可能となり、設置台数の拡大が容易となる可能性がある。
【0047】
つまり、電力系統無効電力補償機能と、電気自動車の充電機能とを併せ持たせた装置を提供することにより、電力系統無効電力補償装置と電気自動車用充電器との設置が、急速に拡大する可能性を提示するものである。
【符号の説明】
【0048】
11 配電変電所
12 配電線路(線路インピーダンス)
13 負荷
21A、21B、21C 電気自動車(電動車両)用充電機能付き電力系統無効電力補償装置、無効電力補償装置、電力系統無効電力補償機能付き電気自動車(電動車両)用充電装置
22 電圧検出回路
23 電圧指令基準値
24 電圧制御回路
25 電流制御回路
26 PWM制御回路
27 変圧器
28 スイッチング変換回路
29 コンデンサ
30 接続状態検出回路
31 バッテリー、充電用のバッテリー
32 電圧変換回路、無効電力補償装置に取り付けた電圧変換回路
41 電気自動車(電動車両)
42 バッテリー、電気自動車(電動車両)のバッテリー
51 無効電力
101、103 配電線路
102 計器用変成器
104 計器用変流器
111 正極端子、直流電力出力端子
112 負極端子、直流電力出力端子
201、202、203、204、205、206 IGBT、(スイッチング素子)
211、212、213、214、215、216 ダイオード
221 U相(三相交流)、U相の入出力端子
234 V相(三相交流)、V相の入出力端子
256 W相(三相交流)、W相の入出力端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力系統の電圧変動を抑制するための電力系統無効電力補償装置において、
さらに、
電動車両用の充電器を備え、
電力系統の電圧変動を抑制する無効電力補償機能と、電動車両用の充電機能と、を併せ持つことを特徴とする電動車両用充電機能付き電力系統無効電力補償装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電動車両用充電機能付き電力系統無効電力補償装置において、
さらに、
前記電力系統無効電力補償装置の出力側にバッテリーを備え、
前記バッテリーが前記電動車両への充電に際して充分な電力容量を有することにより、
前記無効電力補償機能による電力系統の電圧変動の抑制と、前記充電機能による電動車両への充電と、を併せて行うことを特徴とする電動車両用充電機能付き電力系統無効電力補償装置。
【請求項3】
請求項1に記載の電動車両用充電機能付き電力系統無効電力補償装置において、
さらに、
前記電力系統無効電力補償装置の出力側に電圧変換回路を備え、
前記電圧変換回路が前記電力系統無効電力補償装置の出力電圧を前記電動車両の充電に適正となる電圧に変換にすることにより、
前記無効電力補償機能による電力系統の電圧変動の抑制と、前記充電機能による電動車両への充電と、併せて行うことを特徴とする電動車両用充電機能付き電力系統無効電力補償装置。
【請求項4】
電動車両を充電する電動車両用充電装置において、
さらに、
電力系統の電圧変動を抑制するための無効電力補償器を備え、
電動車両の充電機能と、電力系統の電圧変動を抑制する無効電力補償機能と、を併せ持つことを特徴とする電力系統無効電力補償機能付き電動車両用充電装置。
【請求項5】
請求項4に記載の電力系統無効電力補償機能付き電動車両用充電装置において、
さらに、
前記無効電力補償器の出力側にバッテリーを備え、
前記バッテリーが前記電動車両への充電に際して充分な電力容量を有することにより、
前記充電機能による電動車両への充電と、前記無効電力補償機能による電力系統の電圧変動の抑制と、を併せて行うことを特徴とする電力系統無効電力補償機能付き電動車両用充電装置。
【請求項6】
請求項4に記載の電力系統無効電力補償機能付き電動車両用充電装置において、
さらに、
前記無効電力補償器の出力側に電圧変換回路を備え、
前記電圧変換回路が前記無効電力補償器の出力電圧を前記電動車両の充電に適正となる電圧に変換にすることにより、
前記充電機能による電動車両への充電と、前記無効電力補償機能による電力系統の電圧変動の抑制と、を併せて行うことを特徴とする電力系統無効電力補償機能付き電動車両用充電装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−16072(P2012−16072A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−147175(P2010−147175)
【出願日】平成22年6月29日(2010.6.29)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】