説明

電動軽車両のバッテリ装置および電動軽車両

【課題】電動の軽車両に用いることに適した電動軽車両のバッテリ装置を提供する。
【解決手段】電動軽車両(電動自転車等)のバッテリ装置1は、積み重ねられた10個の直方体形状のバッテリ2が、バッテリボックス3に収納され、10個全てのバッテリ2に接触させた均熱板10を備えている。具体的には均熱板10はバッテリー2の底面に接触するように配置されており、熱伝導性の良い均熱板の配置により温度バラツキを低減する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動軽車両に用いられるバッテリ装置および電動軽車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数のバッテリをバッテリボックスに収納して使われることが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−241700号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、先行技術文献に開示されているバッテリ装置では、軽車両に用いるには適していない。
【0005】
例えば、軽車両には、強制通風を行うファンなどを備えていないため、バッテリ装置を効率良く冷却することが困難である。また、軽車両にバッテリ装置を使用する場合、バッテリ装置は、外気にさらされることも多く、複数のバッテリ間における温度を均一にすることができない。このため、各バッテリの耐用性にバラツキが生じることになる。
【0006】
そこで、本発明の目的は、電動の軽車両に用いることに適した電動軽車両のバッテリ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の観点に従った電動軽車両のバッテリ装置は、積み重ねられた2以上の直方体形状のバッテリと、前記バッテリを収納する直方体形状のバッテリボックスと、最上段に位置する全ての前記バッテリの上面に接触させて覆い、弾性体で封止され、該バッテリを加熱するためのヒータとを備えた構成である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、電動の軽車両に用いることに適した電動軽車両のバッテリ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るバッテリ装置の構成を示す構成図。
【図2】本発明の第2の実施形態に係るバッテリ装置の構成を示す構成図。
【図3】本発明の第3の実施形態に係るバッテリ装置の構成を示す構成図。
【図4】本発明の第4の実施形態に係るバッテリ装置の構成を示す構成図。
【図5】本発明の第5の実施形態に係るバッテリ装置の構成を示す構成図。
【図6】本発明の第6の実施形態に係るバッテリ装置の構成を示す構成図。
【図7】本発明の第7の実施形態に係るバッテリ装置の構成を示す構成図。
【図8】本発明の第8の実施形態に係るバッテリ装置の構成を示す構成図。
【図9】本発明の第9の実施形態に係るバッテリ装置の構成を示す構成図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。
【0011】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係るバッテリ装置1の構成を示す構成図である。なお、以降の図における同一部分には同一符号を付してその詳しい説明を省略し、異なる部分について主に述べる。以降の実施形態も同様にして重複する説明を省略する。
【0012】
ここで、図1において、バッテリ装置1が電動軽車両に取り付けられた状態では、Z軸の矢印方向は、上方向を示し、Y軸の矢印方向は、電動軽車両の進行方向を示している。また、X軸、Y軸及びZ軸は、それぞれ互いに90度になる軸である。
【0013】
電動軽車両は、例えば自転車である。バッテリ装置1は、自転車のサドルの下や荷台の下などに取り付けられる。従って、バッテリ装置1は、外気にさらされるなどの環境の厳しい箇所に置かれる。
【0014】
バッテリ装置1は、10個のバッテリ2と、10個のバッテリ2を収納するバッテリボックス3と、均熱板10とを備えている。
【0015】
バッテリ2は、略直方体形状である。10個のバッテリ2は、バッテリボックス3の中に、Y軸方向に4個並べられ、Z軸方向に、上段、中段、下段の三段に重ねられている。上段のバッテリ2と中段のバッテリ2との間、及び中段のバッテリ2と下段のバッテリ2との間には、それぞれ図示していないスペーサが設けられている。
【0016】
バッテリボックス3は、バッテリ2等を収納する箱である。バッテリボックス3は、略直方体形状である。
【0017】
バッテリボックス3内において、バッテリ装置1は、積み重ねられたバッテリ2の上段に、バッテリ2の2個分の空間ができる。この空間には、図示していないが、バッテリ装置1を制御する制御回路などの電子回路等が収納される。
【0018】
均熱板10は、10個全てのバッテリ2に接触するように取り付けられている。具体的には、均熱板10は、バッテリボックス3内に、全てのバッテリ2の底面に接触するように配置されている。ここで、バッテリ2の底面とは、図1のバッテリ2の状態において、X軸方向の一方の側面に位置する面である。
【0019】
本実施形態によれば、以下の作用効果を得ることができる。
【0020】
バッテリ2は、通電時、発熱する。このとき、バッテリ2の配置されている箇所により、バッテリ2の温度にバラツキが生じる。
【0021】
そこで、バッテリ装置1に、全てのバッテリ2に接触するように、熱伝導性の良い均熱板10を配することにより、各バッテリ2の温度のバラツキを小さくすることができる。
【0022】
従って、バッテリ装置1は、電動軽車両に用いることに適したバッテリ装置とすることができる。
【0023】
(第2の実施形態)
図2は、本発明の第2の実施形態に係るバッテリ装置1Aの構成を示す構成図である。バッテリ装置1Aは、図1に示す第1の実施形態に係るバッテリ装置1において、均熱板10の代わりに、均熱板10Aを設けた点以外は、同様である。
【0024】
均熱板10Aは、最下段に位置する全てのバッテリ2に接触するように取り付けられている。具体的には、均熱板10Aは、バッテリボックス3内に、最下段に位置する4個のバッテリ2の下側の面に接触するように配置されている。
【0025】
本実施形態によれば、以下の作用効果を得ることができる。
【0026】
電動軽車両に取り付けられたバッテリ装置1Aは、電動軽車両が走行することにより、Y軸の矢印方向から風を受ける。これにより、バッテリ装置1AのY軸の矢印方向(前輪側)に取り付けられたバッテリ2は、冷却され易い。一方、バッテリ装置1AのY軸の矢印方向の反対側(後輪側)に取り付けられたバッテリ2は、冷却され難い。従って、バッテリ2は、バッテリ装置1のY軸方向の取り付け位置により、温度にバラツキを生じる。
【0027】
そこで、バッテリ装置1Aは、最下段に位置する全てのバッテリ2に接触するように均熱板10Aを取り付けることで、バッテリ装置1のY軸方向の取り付け位置によるバッテリ2の温度のバラツキを抑えることができる。
【0028】
(第3の実施形態)
図3は、本発明の第3の実施形態に係るバッテリ装置1Bの構成を示す構成図である。バッテリ装置1Bは、図1に示す第1の実施形態に係るバッテリ装置1において、均熱板10の代わりに、均熱板10Bを設けた点以外は、同様である。
【0029】
均熱板10Bは、L字型の平面板である。均熱板10Bは、バッテリボックス3のX軸方向の側面側に位置する面と、バッテリボックス3の下側の面に位置する面とを含む。即ち、均熱板10Bは、図1に示す第1の実施形態に係る均熱板10と図2に示す第2の実施形態に係る均熱板10Aとを併せたような形状である。
【0030】
本実施形態によれば、均熱板10Bを設けることにより、第1の実施形態と第2の実施形態のそれぞれの作用効果を得ることができる。
【0031】
(第4の実施形態)
図4は、本発明の第4の実施形態に係るバッテリ装置1Cの構成を示す構成図である。
【0032】
バッテリ装置1Cは、図1に示す第1の実施形態に係るバッテリ装置1において、均熱板10の代わりに、均熱板10Cを設けた点以外は、同様である。
【0033】
均熱板10Cは、図1に示す均熱板10に、均熱板10に対して垂直な平面部101Cを取り付けた形状である。従って、均熱板10Cは、T字形状になっている。なお、均熱板10Cは、平面部101Cを均熱板10に相当する部分の端部に取り付けた形状とすることにより、L字形状としてもよい。均熱板10Cの平面部101Cは、バッテリボックス3に設けられた開口部から外部に突出している。
【0034】
本実施形態によれば、第1の実施形態による作用効果に加え、以下の作用効果を得ることができる。
【0035】
バッテリ装置1Cは、均熱板10Cの平面部101Cがバッテリボックス3の外部に突出することにより、バッテリ2の外気による直接的な冷却をすることができる。従って、平面部101Cが放熱板として機能することにより、バッテリ2の温度上昇を抑制することができる。
【0036】
(第5の実施形態)
図5は、本発明の第5の実施形態に係るバッテリ装置1Dの構成を示す構成図である。
【0037】
バッテリ装置1Dは、図2に示す第2の実施形態に係るバッテリ装置1Aにおいて、均熱板10Aの代わりに、均熱板10Dを設けた点以外は、同様である。
【0038】
均熱板10Dは、図2に示す均熱板10Aに、均熱板10Aに対して垂直な平面部101Dを取り付けた形状である。従って、均熱板10Dは、T字形状になっている。なお、均熱板10Dは、平面部101Dを均熱板10Aに相当する部分の端部に取り付けた形状とすることにより、L字形状としてもよい。均熱板10Dの平面部101Dは、バッテリボックス3に設けられた開口部から外部に突出している。
【0039】
本実施形態によれば、第2の実施形態による作用効果に加え、以下の作用効果を得ることができる。
【0040】
バッテリ装置1Dは、均熱板10Dの平面部101Dがバッテリボックス3の外部に突出することにより、バッテリ2の外気による直接的な冷却をすることができる。従って、平面部101Dが放熱板として機能することにより、バッテリ2の温度上昇を抑制することができる。
【0041】
(第6の実施形態)
図6は、本発明の第6の実施形態に係るバッテリ装置1Eの構成を示す構成図である。
【0042】
バッテリ装置1Eは、図1に示す第1の実施形態に係るバッテリ装置1において、均熱板10の代わりに、均熱板10Eを設けた点以外は、同様である。
【0043】
均熱板10Eは、図1に示す均熱板10を下側に延長させた形状である。従って、均熱板10Eは、1つの平面により形成される形状となっている。均熱板10Eは、バッテリボックス3に設けられた開口部から外部に突出する平面部101Eを含む形状である。
【0044】
本実施形態によれば、第1の実施形態による作用効果に加え、以下の作用効果を得ることができる。
【0045】
バッテリ装置1Eは、均熱板10Eの平面部101Eがバッテリボックス3の外部に突出することにより、バッテリ2の外気による直接的な冷却をすることができる。従って、平面部101Eが放熱板として機能することにより、バッテリ2の温度上昇を抑制することができる。
【0046】
また、均熱板10Eは、1つの平面を基本とする形状としているため、加工などにおける製造コストを低減することができる。
【0047】
(第7の実施形態)
図7は、本発明の第7の実施形態に係るバッテリ装置1Fの構成を示す構成図である。
【0048】
バッテリ装置1Fは、図1に示す第1の実施形態に係るバッテリ装置1において、断熱材12を追加して設けた点以外は、同様である。
【0049】
断熱材12は、最上段に位置するバッテリ2とバッテリボックス3の上面との間に設けられている。断熱材12は、積み重ねられたバッテリ2の全体の上面を覆っている。断熱材12は、バッテリボックス3の上面からバッテリ2への熱伝導性を阻害する役割を果す。
【0050】
本実施形態によれば、第1の実施形態による作用効果に加え、以下の作用効果を得ることができる。
【0051】
バッテリ装置1Fは、電動軽車両に取り付けられた状態では、上面に日が差すことになる。従って、バッテリボックス3の上面は、日射により温度が上昇する。そこで、バッテリ2とバッテリボックス3の上面との間に、断熱材12を設けることにより、バッテリ2の日射による温度上昇を抑えることができる。
【0052】
(第8の実施形態)
図8は、本発明の第8の実施形態に係るバッテリ装置1Gの構成を示す構成図である。
【0053】
バッテリ装置1Gは、図1に示す第1の実施形態に係るバッテリ装置1において、日除け11を追加して設けた点以外は、同様である。
【0054】
日除け11は、バッテリボックス3の上方に設けられている。日除け11は、バッテリボックス3への直射日光を遮断する役割を果す。
【0055】
本実施形態によれば、第1の実施形態による作用効果に加え、以下の作用効果を得ることができる。
【0056】
バッテリ装置1Gは、電動軽車両に取り付けられた状態では、直接日光が当たる場合がある。従って、バッテリボックス3は、日射により温度が上昇する。そこで、バッテリボックス3の上方に、日除け11を設けることにより、バッテリボックス3の日射による温度上昇を抑えることができる。従って、バッテリ装置1G全体の温度上昇を抑制することができる。
【0057】
(第9の実施形態)
図9は、本発明の第9の実施形態に係るバッテリ装置1Hの構成を示す構成図である。
【0058】
バッテリ装置1Hは、図1に示す第1の実施形態に係るバッテリ装置1において、均熱板10の代わりに、ヒータ13を設けた点以外は、同様である。
【0059】
ヒータ13は、積み重ねられたバッテリ2の全体の上面を覆っている。ヒータ13は、ラバーのような弾性体で封止されている。ヒータ13の形状は、面状である。
【0060】
バッテリ2は、寒冷地で低温になると性能が出にくくなる。このような時に、ヒータ13は、バッテリ2を加熱し、バッテリ2の温度を性能に必要な温度レベルにまで上昇させる。
【0061】
また、ヒータ13は、ラバーのような弾性体で封止されていることにより、第7の実施形態における断熱材12のような役割を持つ。
【0062】
本実施形態によれば、ヒータ13を設けることにより、第7の実施形態における断熱材12と同様の作用効果を得ることができる。また、ヒータ13を設けることで、バッテリ2の温度を性能に必要な温度レベルにまで上昇させることができ、寒冷地に適したバッテリ装置1Hを構成することができる。
【0063】
なお、各実施形態では、バッテリ装置1は、バッテリ2を10個用いて構成されているが、10個に限らない。バッテリ2を用いる個数は、2個以上であれば、いくつであってもよい。
【0064】
第6の実施形態では、第1の実施形態の均熱板10の端部を延長させた形状の均熱板10Eを設けた構成とした。同様にして、第2の実施形態の均熱板10Aの端部を延長させた形状の均熱板を設けた構成としてもよい。これにより、第2の実施形態及び第6の実施形態のそれぞれの作用効果と同様の作用効果を得ることができる。
【0065】
第7の実施形態では、断熱材12を、第1実施形態に係るバッテリ装置1に追加した構成について説明したが、他の実施形態に係るバッテリ装置でも同様の構成とすることができる。また、断熱材12は、第9の実施形態におけるヒータ13を代わりに用いても、同様の構成とすることができる。
【0066】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組合せにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0067】
1…バッテリ装置、2…バッテリ、3…バッテリボックス、10…均熱板、11…日除け、12…断熱材、13…ヒータ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
積み重ねられた2以上の直方体形状のバッテリと、
前記バッテリを収納する直方体形状のバッテリボックスと、
最上段に位置する全ての前記バッテリの上面に接触させて覆い、弾性体で封止され、該バッテリを加熱するためのヒータと
を備えた電動軽車両のバッテリ装置。
【請求項2】
積み重ねられた2以上の直方体形状のバッテリと、
前記バッテリを収納する直方体形状のバッテリボックスと、
最上段に位置する全ての前記バッテリの上面に接触させて覆い、弾性体で封止され、該バッテリを加熱するためのヒータと、
前記バッテリボックスの上方に設けられた日除けと
を備えた電動軽車両のバッテリ装置を備えた電動軽車両。
【請求項3】
積み重ねられた2以上の直方体形状のバッテリと、
前記バッテリを収納する直方体形状のバッテリボックスと、
最上段に位置する全ての前記バッテリの上面に接触させて覆い、弾性体で封止され、該バッテリを加熱するためのヒータと
を備えた電動軽車両のバッテリ装置を備えた電動軽車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−238598(P2012−238598A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−147612(P2012−147612)
【出願日】平成24年6月29日(2012.6.29)
【分割の表示】特願2008−56760(P2008−56760)の分割
【原出願日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】