説明

電圧変換装置、電圧変換装置の制御装置および電圧変換装置の制御方法

【課題】蓄電装置の数を調整できる柔軟性の高い電圧変換装置、その電圧変換装置の制御装置および電圧変換装置の制御方法を提供する。
【解決手段】電圧変換装置は、各々が単独で電圧変換可能な複数の電圧変換部12A〜12Cと、複数の電圧変換部12A〜12Cの出力が共通に接続される出力ノードT4と、複数の電圧変換部12A〜12Cの入力を分離および連結が可能な接続変更部19とを備える。接続変更部19は、接続変更部19が分離状態にある場合には複数の蓄電装置BA,BB,BCを複数の電圧変換部12A〜12Cの入力にそれぞれ接続し、接続変更部19が連結状態にある場合には複数の電圧変換部12A〜12Cの入力を連結して単数の蓄電装置に接続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電圧変換装置、電圧変換装置の制御装置および電圧変換装置の制御方法に関し、特に複数の電圧変換部を含んだ電圧変換装置、電圧変換装置の制御装置および電圧変換装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電気自動車、燃料電池自動車およびモータとエンジンとを併用するハイブリッド自動車等の環境にやさしい車両が注目されている。
【0003】
これらの車両には、蓄電装置(バッテリやキャパシタなど)が搭載されているが、要求される性能に基づいて蓄電装置の容量も様々である。この蓄電装置の容量のバリエーションを蓄電装置の個数を変更することにより実現しようという考えもある。
【0004】
しかし、複数の蓄電装置を同じ電圧にしておくことは難しい。このような場合、負荷と各蓄電装置との間に電圧コンバータを入れておくとよい。すると、複数の蓄電装置で電圧が異なっていても、電圧コンバータを介することによって短絡による過電流が流れることなく電力を供給することができる。
【0005】
特開平9−233710号公報(特許文献1)は、蓄電池と昇降圧コンバータとのセットを負荷に対して並列に複数セット接続した充放電装置の構成を開示している。
【特許文献1】特開平9−233710号公報
【特許文献2】特開2007−116834号公報
【特許文献3】特開2003−284333号公報
【特許文献4】特開2006−211815号公報
【特許文献5】特開2004−262357号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の特開平9−233710号公報で開示された構成では、蓄電池の個数を増減させることができるようにする場合には、昇降圧コンバータを多数予め設けておくことが考えられる。しかし、蓄電池の個数が少ない場合では未使用の昇降圧コンバータが生じ、無駄が生ずる。任意に蓄電装置の数を決定でき柔軟性が高く無駄の少ない電圧変換装置が望まれる。
【0007】
この発明の目的は、蓄電装置の数を調整できる柔軟性の高い電圧変換装置、その電圧変換装置の制御装置および電圧変換装置の制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は,要約すると、電圧変換装置であって、各々が単独で電圧変換可能な複数の電圧変換部と、複数の電圧変換部の出力が共通に接続される出力ノードと、複数の電圧変換部の入力を分離および連結が可能な接続変更部とを備える。接続変更部は、接続変更部が分離状態にある場合には複数の蓄電装置を複数の電圧変換部の入力にそれぞれ接続し、接続変更部が連結状態にある場合には複数の電圧変換部の入力を連結して単数の蓄電装置に接続する。
【0009】
好ましくは、接続変更部は、複数の蓄電装置がそれぞれ接続されている第1の端子群と、複数の電圧変換部の入力にそれぞれ接続されている第2の端子群と、第1の端子群と第2の端子群とをそれぞれ接続する接続部材とを含む。
【0010】
より好ましくは、接続部材は、バスバー群である。接続変更部は、第1の端子群をバスバー群の各一端にそれぞれ接続する複数の第1の締結部材と、第2の端子群をバスバー群の各他端にそれぞれ接続する複数の第2の締結部材とをさらに含む。
【0011】
好ましくは、接続変更部は、単数の蓄電装置が接続されている第1の端子と、複数の電圧変換部の入力にそれぞれ接続されている第2の端子群と、第2の端子群を第1の端子にともに接続する接続部材とを含む。
【0012】
より好ましくは、接続部材は、一端と複数の他端とを有するバスバーであり、接続変更部は、第1の端子をバスバーの一端に接続する第1の締結部材と、第2の端子群をバスバーの複数の他端にそれぞれ接続する複数の第2の締結部材とをさらに含む。
【0013】
この発明は、他の局面においては、各々が単独で電圧変換可能な複数の電圧変換部と、複数の電圧変換部の出力が共通に接続される出力ノードと、複数の電圧変換部の入力を分離および連結が可能な接続変更部とを備える電圧変換装置の制御装置であって、制御装置は、複数の電圧変換部の入力側に接続する蓄電装置の数に応じて、電圧変換装置に対する制御内容を変更する。
【0014】
好ましくは、制御装置は、複数の蓄電装置が複数の電圧変換部の入力にそれぞれ接続される場合には、第1の制御を複数の電圧変換部に対して実行し、単数の蓄電装置が複数の電圧変換部の入力に共通して接続される場合には、第1の制御とは異なる第2の制御を複数の電圧変換部に対して実行する。
【0015】
より好ましくは、第2の制御は、出力ノードの電圧を目標値に一致させるように複数の電圧変換部の各々に対して指令を与える制御であり、第1の制御は、出力ノードの電圧を目標値に一致させるように複数の電圧変換部のうちの第1の電圧変換部に指令を与えるとともに、複数の電圧変換部のうちの第2の電圧変換部に目標電流値が流れるように第2の電圧変換部に指令を与える制御である。
【0016】
好ましくは、制御装置は、複数の電圧変換部が第1の蓄電装置に接続される場合には、出力ノードから出力させる電力に応じて、複数の電圧変換部のうち作動させる電圧変換部の数を決定する。
【0017】
より好ましくは、制御装置は、複数の電圧変換部に対して出力ノードの電圧をフィードバックする制御を実行し、作動させる電圧変換部の数に対応させてフィードバックする制御のフィードバックループゲインを決定する。
【0018】
好ましくは、制御装置は、複数の電圧変換部が第1の蓄電装置に接続される場合には、出力ノードから出力させる電力に応じて、複数の電圧変換部のうち作動させる電圧変換部の数を決定するとともに、複数の電圧変換部の各々の温度に応じていずれの電圧変換部を作動させるかを決定する。
【0019】
この発明は、さらに他の局面においては、各々が単独で電圧変換可能な複数の電圧変換部と、複数の電圧変換部の出力が共通に接続される出力ノードと、複数の電圧変換部の入力を分離および連結が可能な接続変更部とを備える電圧変換装置の制御方法であって、複数の電圧変換部の入力側に接続する蓄電装置の数に応じた動作モードを決定するステップと、動作モードに対応する制御内容を、電圧変換装置に対して実行するステップとを備える。
【0020】
好ましくは、電圧変換装置の制御方法は、出力ノードから出力させる電力に応じて、複数の電圧変換部のうち作動させる電圧変換部の数を決定するステップをさらに備える。
【0021】
より好ましくは、電圧変換装置の制御方法は、出力ノードの電圧をフィードバックする制御を実行し、作動させる電圧変換部の数である運転相数に対応させてフィードバックする制御のフィードバックループゲインを決定するステップをさらに備える。
【0022】
好ましくは、電圧変換装置の制御方法は、複数の電圧変換部の一部が第1の蓄電装置に接続され、複数の電圧変換部の他の一部が第2の蓄電装置に接続される場合であって、一部が電圧変換部を複数含むときには、出力ノードから出力させる電力に応じて、複数の電圧変換部のうち作動させる電圧変換部の数を決定するとともに、複数の電圧変換部の各々の温度に応じていずれの電圧変換部を作動させるかを決定するステップをさらに備える。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、蓄電装置の数を調整できる柔軟性の高い電圧変換装置が実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0025】
[実施の形態1]
図1は、本実施の形態に係る車両100の主たる構成を示す図である。
【0026】
図1を参照して、車両100は、バッテリBA,BB,BCと、電圧コンバータ12と、平滑用コンデンサC2と、電圧センサ13と、インバータユニット23と、エンジン4と、モータジェネレータMG1,MG2と、動力分割機構3と、車輪2と、制御装置30とを含む。
【0027】
車両100は、さらに、バッテリBA,BB,BCの各正極にそれぞれ接続される正極母線PL1A,PL1B,PL1Cと、バッテリBA,BB,BCの各負極に共通に接続される負極母線SLと、バッテリBAの端子間の電圧VLAを検出する電圧センサ10Aと、バッテリBBの端子間の電圧VLBを検出する電圧センサ10Bと、バッテリBCの端子間の電圧VLCを検出する電圧センサ10Cと、正極母線PL2とを含む。
【0028】
バッテリBA,BB,BCとしては、たとえば、鉛蓄電池、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池等の二次電池や、電気二重層コンデンサ等を用いることができる。
【0029】
電圧コンバータ12は、電圧変換部12A,12B,12Cと、バッテリBBから正極母線PL1Bを経由して電圧変換部12Bに流れる電流ILBを検知する電流センサ11Bと、バッテリBCから正極母線PL1Cを経由して電圧変換部12Cに流れる電流ILCを検知する電流センサ11Cとを含む。
【0030】
コンデンサC2は、電圧変換部12A,12B,12Cの一部または全部によって昇圧された電圧を平滑化する。電圧センサ13は、平滑用コンデンサC2の端子間電圧VHを検知して制御装置30に出力する。
【0031】
インバータユニット23は、インバータ14および22を含む。インバータ14は、電圧コンバータ12から与えられる直流電圧を3相交流に変換してモータジェネレータMG1に出力する。インバータ22は、電圧コンバータ12から与えられる直流電圧を3相交流に変換してモータジェネレータMG2に出力する。
【0032】
動力分割機構3は、エンジン4とモータジェネレータMG1,MG2に結合されて、これらの間で動力を分配する機構である。たとえば動力分割機構としてはサンギヤ、プラネタリキャリヤ、リングギヤの3つの回転軸を有する遊星歯車機構を用いることができる。この3つの回転軸がエンジン4、モータジェネレータMG1,MG2の各回転軸にそれぞれ接続される。
【0033】
なおモータジェネレータMG2の回転軸は、図示しない減速ギヤおよび差動ギヤによって車輪2に結合されている。また動力分割機構3の内部に、モータジェネレータMG2の回転軸に対する減速機をさらに組み込んでもよい。また、この減速機の減速比を切り替え可能に構成しても良い。
【0034】
電圧変換部12Aは、一方端が接続変更部19を介して正極母線PL1Aに接続されるリアクトルL1Aと、正極母線PL2と負極母線SLとの間に直列に接続されるIGBT素子Q1A,Q2Aと、IGBT素子Q1A,Q2Aにそれぞれ並列に接続されるダイオードD1A,D2Aとを含む。
【0035】
リアクトルL1Aの他方端はIGBT素子Q1AのエミッタおよびIGBT素子Q2Aのコレクタに接続される。ダイオードD1AのカソードはIGBT素子Q1Aのコレクタと接続され、ダイオードD1AのアノードはIGBT素子Q1Aのエミッタと接続される。ダイオードD2AのカソードはIGBT素子Q2Aのコレクタと接続され、ダイオードD2AのアノードはIGBT素子Q2Aのエミッタと接続される。
【0036】
電圧変換部12Bは、一方端が接続変更部19を介して正極母線PL1Bに接続されるリアクトルL1Bと、正極母線PL2と負極母線SLとの間に直列に接続されるIGBT素子Q1B,Q2Bと、IGBT素子Q1B,Q2Bにそれぞれ並列に接続されるダイオードD1B,D2Bとを含む。
【0037】
リアクトルL1Bの他方端はIGBT素子Q1BのエミッタおよびIGBT素子Q2Bのコレクタに接続される。ダイオードD1BのカソードはIGBT素子Q1Bのコレクタと接続され、ダイオードD1BのアノードはIGBT素子Q1Bのエミッタと接続される。ダイオードD2BのカソードはIGBT素子Q2Bのコレクタと接続され、ダイオードD2BのアノードはIGBT素子Q2Bのエミッタと接続される。
【0038】
電圧変換部12Cは、一方端が接続変更部19を介して正極母線PL1Cに接続されるリアクトルL1Cと、正極母線PL2と負極母線SLとの間に直列に接続されるIGBT素子Q1C,Q2Cと、IGBT素子Q1C,Q2Cにそれぞれ並列に接続されるダイオードD1C,D2Cとを含む。
【0039】
リアクトルL1Cの他方端はIGBT素子Q1CのエミッタおよびIGBT素子Q2Cのコレクタに接続される。ダイオードD1CのカソードはIGBT素子Q1Cのコレクタと接続され、ダイオードD1CのアノードはIGBT素子Q1Cのエミッタと接続される。ダイオードD2CのカソードはIGBT素子Q2Cのコレクタと接続され、ダイオードD2CのアノードはIGBT素子Q2Cのエミッタと接続される。
【0040】
インバータ14は、電圧VHを受けて、たとえばエンジン4を始動させるために、モータジェネレータMG1を駆動する。また、インバータ14は、エンジン4から伝達される動力によってモータジェネレータMG1で発電された電力を電圧コンバータ12に戻す。このとき電圧コンバータ12は、降圧回路として動作するように制御装置30によって制御される。
【0041】
インバータ14は、U相アーム15と、V相アーム16と、W相アーム17とを含む。U相アーム15,V相アーム16,およびW相アーム17は、正極母線PL2と負極母線SLとの間に並列に接続される。
【0042】
U相アーム15は、正極母線PL2と負極母線SLとの間に直列接続されたIGBT素子Q3,Q4と、IGBT素子Q3,Q4とそれぞれ並列に接続されるダイオードD3,D4とを含む。ダイオードD3のカソードはIGBT素子Q3のコレクタと接続され、ダイオードD3のアノードはIGBT素子Q3のエミッタと接続される。ダイオードD4のカソードはIGBT素子Q4のコレクタと接続され、ダイオードD4のアノードはIGBT素子Q4のエミッタと接続される。
【0043】
V相アーム16は、正極母線PL2と負極母線SLとの間に直列接続されたIGBT素子Q5,Q6と、IGBT素子Q5,Q6とそれぞれ並列に接続されるダイオードD5,D6とを含む。ダイオードD5のカソードはIGBT素子Q5のコレクタと接続され、ダイオードD5のアノードはIGBT素子Q5のエミッタと接続される。ダイオードD6のカソードはIGBT素子Q6のコレクタと接続され、ダイオードD6のアノードはIGBT素子Q6のエミッタと接続される。
【0044】
W相アーム17は、正極母線PL2と負極母線SLとの間に直列接続されたIGBT素子Q7,Q8と、IGBT素子Q7,Q8とそれぞれ並列に接続されるダイオードD7,D8とを含む。ダイオードD7のカソードはIGBT素子Q7のコレクタと接続され、ダイオードD7のアノードはIGBT素子Q7のエミッタと接続される。ダイオードD8のカソードはIGBT素子Q8のコレクタと接続され、ダイオードD8のアノードはIGBT素子Q8のエミッタと接続される。
【0045】
モータジェネレータMG1は、3相の永久磁石同期モータであり、U,V,W相の3つのコイルは各々一方端が中性点に共に接続されている。そして、U相コイルの他方端がIGBT素子Q3,Q4の接続ノードに接続される。またV相コイルの他方端がIGBT素子Q5,Q6の接続ノードに接続される。またW相コイルの他方端がIGBT素子Q7,Q8の接続ノードに接続される。
【0046】
なお、以上のIGBT素子Q1A,Q2A,Q1B,Q2B,Q3〜Q8に代えてパワーMOSFET等の他の電力スイッチング素子を用いても良い。
【0047】
電流センサ24は、モータジェネレータMG1に流れる電流をモータ電流値MCRT1として検出し、モータ電流値MCRT1を制御装置30へ出力する。電流センサ25は、モータジェネレータMG2に流れる電流をモータ電流値MCRT2として検出し、モータ電流値MCRT2を制御装置30へ出力する。
【0048】
インバータ22は、正極母線PL2と負極母線SLに接続されている。インバータ22は、車輪2を駆動するモータジェネレータMG2に対して電圧変換部12A,12Bの出力する直流電圧VHを3相交流に変換して出力する。またインバータ22は、回生制動に伴い、モータジェネレータMG2において発電された電力を電圧変換部12A,12Bに戻す。このとき電圧変換部12A,12Bは、降圧回路として動作するように制御装置30によって制御される。なお、インバータ22の内部の構成は、図示しないがインバータ14と同様であり、詳細な説明は繰返さない。
【0049】
制御装置30は、トルク指令値TR1,TR2、モータ回転数MRN1,MRN2、電圧VLA,VLB,VLC,VH、電流ILA,ILB,ILCの各値、モータ電流値MCRT1,MCRT2および起動指示IGONを受ける。そして制御装置30は、電圧変換部12Aに対して駆動信号PWCAを出力し、電圧変換部12Bに対して駆動信号PWCBを出力し、電圧変換部12Cに対して駆動信号PWCCを出力する。
【0050】
さらに、制御装置30は、インバータ14に対して、駆動指示PWMI1と回生指示PWMC1とを出力する。駆動指示PWMI1は、電圧コンバータ12の出力である直流電圧を、モータジェネレータMG1を駆動するための交流電圧に変換させる指示である。また、回生指示PWMC1は、モータジェネレータMG1で発電された交流電圧を直流電圧に変換して電圧コンバータ12側に戻すための指示である。
【0051】
同様に制御装置30は、インバータ22に対して、駆動指示PWMI2と回生指示PWMC2とを出力する。駆動指示PWMI2は、モータジェネレータMG2を駆動するための交流電圧に、直流電圧を変換させる指示である。また回生指示PWMC2は、モータジェネレータMG2で発電された交流電圧を、直流電圧に変換して電圧コンバータ12側に戻すための指示である。
【0052】
なお、図1において、バッテリBA,BB,BCに対して車両外部から充電可能にするように車両を構成してもよい。たとえば、交流100Vの商用電源の電圧をバッテリに対して充電に適する直流電圧に変換する充電器を車両に搭載したり、モータジェネレータMG1,MG2のステータコイルの中性点から交流100Vを入れることが可能に車両を構成したりすることで、外部からバッテリに充電が可能となる。
【0053】
図2は、図1の制御装置30の機能ブロック図である。なお、この制御装置30は、ソフトウエアでもハードウエアでも実現が可能である。
【0054】
図1,図2を参照して、制御装置30は、電圧コンバータ12を制御する電圧変換制御部131と、モータジェネレータMG1を制御するMG1用インバータ制御部132と、モータジェネレータMG2を制御するMG2用インバータ制御部133とを含む。
【0055】
起動指示IGONに応じて、電圧変換制御部131は動作可能な状態となる。電圧変換制御部131からは、昇圧指示,降圧指示を行なうための駆動信号PWCA,PWCB,PWCCがそれぞれ図1の電圧変換部12A,12B,12Cに向けて出力される。また、MG1用インバータ制御部132は、トルク指令値TR1とモータ回転数MRN1に基づいて、インバータ14に対して駆動指示PWMI1、回生指示PWMC1を出力する。また、MG2用インバータ制御部133は、トルク指令値TR2とモータ回転数MRN2に基づいて、インバータ22に対して駆動指示PWMI2、回生指示PWMC2を出力する。
【0056】
図3は、図2の電圧変換制御部131の構成を説明する機能ブロック図である。なお、この電圧変換制御部131は、ソフトウエアでもハードウエアでも実現が可能である。
【0057】
図3を参照して、電圧変換制御部131は、電圧指令値VH*と電圧センサ13の検出した電圧VHの差分を出力する減算器152と、減算器152の出力に対して比例積分処理を行なうPI処理部153と、バッテリBAの電圧と電圧指令値との比VLA/VH*とPI処理部153の出力値との差分を出力する減算器162とを含む。
【0058】
電圧変換制御部131は、さらに、電流指令値ILB*と電流センサ11Bの検出した電流ILBの差分を出力する減算器154と、減算器154の出力に対して比例積分処理を行なうPI処理部155と、バッテリBBの電圧と電圧指令値との比VLB/VH*とPI処理部155の出力値との差分を出力する減算器164とを含む。
【0059】
電圧変換制御部131は、さらに、電流指令値ILC*と電流センサ11Cの検出した電流ILCの差分を出力する減算器156と、減算器156の出力に対して比例積分処理を行なうPI処理部157と、バッテリBCの電圧と電圧指令値との比VLC/VH*とPI処理部157の出力値との差分を出力する減算器166とを含む。
【0060】
電圧変換制御部131は、さらに、キャリア波を発生するキャリア波発生部167と、キャリア波の位相をシフトさせる位相シフト部168と、コンパレータ170,172,174と、スイッチ176,178とを含む。
【0061】
コンパレータ170は、減算器162の出力を+(プラス)入力ノードに受け、位相シフト部168から与えられるキャリア波を−(マイナス)入力ノードに受け、PWM信号PWCAを出力する。
【0062】
コンパレータ172は、減算器164の出力を+(プラス)入力ノードに受け、位相シフト部168から与えられるキャリア波を−(マイナス)入力ノードに受ける。
【0063】
コンパレータ174は、減算器166の出力を+(プラス)入力ノードに受け、位相シフト部168から与えられるキャリア波を−(マイナス)入力ノードに受ける。
【0064】
位相シフト部168は、好ましくは、コンパレータ170,172,174に与えるキャリア波を互いに120°位相をずらして供給する。
【0065】
スイッチ176はコンパレータ170,172の出力のいずれかを選択してPWM信号PWCBとして出力する。スイッチ178はコンパレータ170,174の出力のいずれかを選択してPWM信号PWCBとして出力する。
【0066】
スイッチ176,178は、図1の接続変更部19の状態および電圧コンバータ12に接続されるバッテリの数に対応させてON/OFFが切換えられる。
【0067】
図4は、電圧コンバータ12にバッテリが1つ接続される場合を示した回路図である。
図4を参照して、バッテリを1つだけ接続する場合には、接続変更部19Aに示されるように3つの電圧変換部の入力側は結合される。そして、各15kWの出力が可能な3つの電圧変換部が並列的に動作することにより出力ノードに45kWの電力を出力することができる。
【0068】
このような場合、図3のスイッチ176,178はともにON状態に設定されPWM信号PWCB,PWCCはともにコンパレータ170の出力する信号PWMAと同じ信号になる。
【0069】
図5は、電圧コンバータ12にバッテリが2つ接続される場合を示した回路図である。
図5を参照して、バッテリを2つ接続する場合には、接続変更部19Bに示されるように3つの電圧変換部のうちの2つの入力は結合されてバッテリBAの正極に接続される。残る1つの電圧変換部の入力はバッテリBBの正極に接続され、その接続経路には図中○印で示すように電流センサが設けられる。この電流センサにより1つの電圧変換部には電流制御が実行される。
【0070】
このような場合、図3のスイッチ176はON状態,スイッチ178はOFF状態に設定されPWM信号PWCBはコンパレータ170の出力する信号PWMAと同じ信号になる。また、信号PWCCは、電流制御のPWM波形であるコンパレータ174の出力信号となる。
【0071】
図6は、電圧コンバータ12にバッテリが3つ接続される場合を示した回路図である。
図6を参照して、バッテリを3つ接続する場合には、接続変更部19Cに示されるように3つの電圧変換部はそれぞれ3つのバッテリBA,BB,BCの正極に接続される。バッテリBB,BCの正極に接続される各接続経路には図中○印で示すように電流センサが設けられる。この電流センサにより2つの電圧変換部には電流制御が実行される。
【0072】
このような場合、図3のスイッチ176はOFF状態,スイッチ178はOFF状態に設定される。信号PWCBは、電流制御のPWM波形であるコンパレータ172の出力信号となる。また信号PWCCは、電流制御のPWM波形であるコンパレータ174の出力信号となる。
【0073】
図3に示した電圧変換制御部131は、スイッチ176,178を切り替えることにより図4〜6に示したような種々のバッテリ接続形態に対応した制御を行なうことができる。スイッチ176,178の切り替えは、バッテリ接続を検出するセンサを設けてそのセンサの出力に基づいて行ってもよいし、またバッテリ接続時にバッテリ接続形態を示す設定を入力装置から変更することで行ってもよい。
【0074】
次に、バッテリ数を変更可能に接続することができる接続変更部19について説明する。
【0075】
図7は、図4に対応する接続変更部19Aについて説明するための図である。
図7を参照して、電圧コンバータ12は、図1のIGBT素子Q1A〜Q1C,Q2A〜Q2C、ダイオードD1A〜D1C,D2A〜D2Cを内蔵するインテリジェントパワーモジュール(IPM)200と、リアクトルL1A〜L1Cと、銅などの導電体でできたバスバー202A〜202Cとを含む。バスバー202A〜202Cの各一方端はそれぞれボルトなどの締結部材206A〜206Cによって対応するリアクトルと接続される。バスバー202A〜202Cの各他方端はそれぞれボルトなどの締結部材204A〜204Cによって対応するIPM200と接続される。
【0076】
接続変更部19Aは、単数の蓄電装置が接続されている第1の端子211と、複数の電圧変換部の入力にそれぞれ接続されている第2の端子群208と、第2の端子群208を第1の端子にともに接続する接続部材とを含む。
【0077】
この接続部材は、一端と複数の他端とを有するバスバー210である。接続変更部19Aは、第1の端子をバスバーの一端に接続する第1の締結部材212と、第2の端子群208をバスバー210の複数の他端にそれぞれ接続する複数の第2の締結部材208A〜208Cとをさらに含む。
【0078】
図8は、図5に対応する接続変更部19Bについて説明するための図である。
図8における電圧コンバータ12については、図7で説明しているので説明は繰返さない。
【0079】
図5、図8を参照して、接続変更部19Bは、蓄電装置BAが接続されている第1の端子と、蓄電装置BBが接続されている他の端子と、複数の電圧変換部の入力にそれぞれ接続されている第2の端子群208と、第2の端子群208の一部を蓄電装置BAが接続されている端子にともに接続する接続部材と、第2の端子群208の他の一部を蓄電装置BBが接続されている端子に接続する接続部材と含む。
【0080】
これらの接続部材は、一端と複数の他端とを有する1対多の接続が可能なバスバー216と、1対1の接続が可能なバスバー214である。接続変更部19Bは、第1の端子をバスバー216の一端に接続する第1の締結部材220と、第2の端子群208の一部をバスバー216の複数の他端にそれぞれ接続する複数の第2の締結部材208A,208Bと、バスバー214の一端を蓄電装置BB側に接続する締結部材218と、バスバー214の他端をリアクトルL1Cに接続する締結部材208Cと、バスバー214に流れる電流を検出する電流センサ11Cとをさらに含む。
【0081】
図9は、図6に対応する接続変更部19Cについて説明するための図である。
図9における電圧コンバータ12については、図7で説明しているので説明は繰返さない。
【0082】
図6、図9を参照して、接続変更部19Cは、複数の蓄電装置BA,BB,BCがそれぞれ接続されている第1の端子群224と、複数の電圧変換部の入力にそれぞれ接続されている第2の端子群208と、第1の端子群224と第2の端子群208とをそれぞれ接続する接続部材とを含む。
【0083】
これらの接続部材は、バスバー群222A〜222Cである。接続変更部19Cは、第1の端子群224をバスバー群222A〜222Cの各一端にそれぞれ接続する複数の第1の締結部材224A〜224Cと、第2の端子群208をバスバー群222A〜222Cの各他端にそれぞれ接続する複数の第2の締結部材208A〜208Cとをさらに含む。
【0084】
接続変更部19Cは、さらに、バスバー222Bに流れる電流を検出する電流センサ11Bと、バスバー222Cに流れる電流を検出する電流センサ11Cとをさらに含む。
【0085】
このように、バスバーの形状を変えるだけで、複数のバッテリの増設が簡単にできるので、バッテリ電力での走行距離を伸ばすためにバッテリの数を簡単に増設したり、また部品の共通化を図り複数の車種に簡単に対応したりすることができる。
【0086】
図10は、図4に示した構成を実現するための他の変形例を示す図である。
図10における電圧コンバータ12については、図7で説明しているので説明は繰返さない。
【0087】
図10の接続変更部19Dは、図9に示した接続変更部19Cの構成に加えて、バスバー222Aとバスバー222Bとを接続するショートバスバー226と、バスバー222Bとバスバー222Cとを接続するショートバスバー228とを含む。これにより、図7に示したバスバー210を用いなくても図4に示した構成を実現することができる。なお、ショートバスバーは、端子群208側に取付けても良い。
【0088】
図11は、図5に示した構成を実現するための他の変形例を示す図である。
図11における電圧コンバータ12については、図7で説明しているので説明は繰返さない。
【0089】
図11の接続変更部19Eは、図9に示した接続変更部19Cの構成に加えて、バスバー222Aとバスバー222Bとを接続するショートバスバー226を含む。これにより、図8に示したバスバー216を用いなくても図5に示した構成を実現することができる。図11に示す場合も、ショートバスバーは、端子群208側に取付けても良い。
【0090】
以上説明したように、接続変更部19を種々の接続に変更し、それに合わせて図3に示した電圧変換制御部131の、スイッチ176,178を切換えることにより所望の制御が実現できる。なお、この電圧変換制御部131を含んだ制御装置30は、コンピュータを用いてソフトウエアで実現することも可能である。
【0091】
図12は、制御装置30としてコンピュータを用いた場合の一般的な構成を示した図である。
【0092】
図12を参照して、制御装置30は、CPU180と、A/D変換器181と、ROM182と、RAM183と、インターフェース部184とを含む。
【0093】
A/D変換器181は、各種センサの出力等のアナログ信号AINをディジタル信号に変換してCPU180に出力する。またCPU180はデータバスやアドレスバス等のバス186でROM182と、RAM183と、インターフェース部184に接続されデータ授受を行なう。
【0094】
ROM182は、たとえばCPU180で実行されるプログラムや参照されるマップ等のデータが格納されている。RAM183は、たとえばCPU180がデータ処理を行なう場合の作業領域であり、各種変数を一時的に記憶する。
【0095】
インターフェース部184は、たとえば他のECUとの通信を行なったり、ROM182として電気的に書換可能なフラッシュメモリ等を使用した場合の書換データの入力などを行なったり、メモリカードやCD−ROM等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体からのデータ信号SIGの読込みを行なったりする。
【0096】
なお、CPU180は、入出力ポートからデータ入力信号DINやデータ出力信号DOUTを授受する。
【0097】
制御装置30は、このような構成に限られるものでなく、複数のCPUを含んで実現されるものであっても良い。
【0098】
図13は、制御装置30で実行される電圧コンバータ12に対する制御プログラムの制御構造を示すフローチャートである。このフローチャートの処理は、所定のメインルーチンから一定時間毎または所定の条件が成立する毎に呼び出されて実行される。
【0099】
図1、図13を参照して、処理が開始されるとまずステップS1において、動作モード設定の読込が行われる。動作モードは、接続変更部19がどのような接続形態となっているかそのつど検出してもよいし、不揮発メモリなどに記憶させておいてもよい。
【0100】
ステップS2において動作モードがモード1(バッテリ接続数1)であるか否かが判断される。ステップS2において動作モードがモード1であると判断された場合には、ステップS3に処理が進む。ステップS3では、電圧指令値VH*および電圧センサ13,10Aでそれぞれ検出された電圧VH,VLに基づいてPWM信号PWCAが発生される。この場合、目標電圧値に検出された電圧を合わせるフィードバック制御や、バッテリ電圧値と目標電圧値との比に基づいて電圧コンバータのスイッチング比を決定するフィードフォワード制御が合わせて用いられる。
【0101】
そしてさらにステップS4では、発生されたPWM信号PWCAに基づいて、信号PWCB,PWCCが発生される。図3でスイッチ176,178をON状態に設定するようにそのままPWM信号PWCAを信号PWCB,PWCCとして出力するのでもよいが、各相の位相をたとえば120°ずつずらすとなお好ましい。
【0102】
一方ステップS2において動作モードがモード1でないと判断された場合にはステップS5に処理が進む。ステップS5では、動作モードがモード2(バッテリ接続数2)であるか否かが判断される。
【0103】
ステップS5において動作モードがモード2であると判断された場合には、ステップS6に処理が進む。ステップS6では、ステップS3と同様に、電圧指令値VH*および電圧センサ13,10Aでそれぞれ検出された電圧VH,VLに基づいてPWM信号PWCAが発生される。この場合、目標電圧値に検出された電圧を合わせるフィードバック制御や、バッテリ電圧値と目標電圧値との比に基づいて電圧コンバータのスイッチング比を決定するフィードフォワード制御が合わせて用いられる。
【0104】
そしてさらにステップS7では、発生されたPWM信号PWCAに基づいて、信号PWCBが発生される。さらにステップS8において電流目標値ILC*に基づいてPWM信号PWCCが発生される。電流目標値ILC*は、出力要求パワーなどに基づいて決定される。
【0105】
一方、ステップS5において動作モードがモード2でないと判断された場合には、ステップS9に処理が進む。この場合は、3個のバッテリが接続されている。ステップS9では、ステップS3と同様に、電圧指令値VH*および電圧センサ13,10Aでそれぞれ検出された電圧VH,VLに基づいてPWM信号PWCAが発生される。この場合、目標電圧値に検出された電圧を合わせるフィードバック制御や、バッテリ電圧値と目標電圧値との比に基づいて電圧コンバータのスイッチング比を決定するフィードフォワード制御が合わせて用いられる。
【0106】
そしてステップS10において、電流目標値ILB*に基づいてPWM信号PWCBが発生される。電流目標値ILB*は、出力要求パワーなどに基づいて決定される。さらにステップS11では電流目標値ILC*に基づいてPWM信号PWCCが発生される。電流目標値ILC*も、出力要求パワーなどに基づいて決定される。
【0107】
ステップS4,S8,S11のいずれかの処理が終了するとステップS12においてPWM信号PWCA,PWCB,PWCCが対応するIGBT素子に出力される。そしてステップS13において制御はメインルーチンに移される。
【0108】
以上説明したように、実施の形態1においては、容易に組み替え可能な接続変更部を設けることによって、車種展開やバッテリの増設が容易となり、さらに接続変更部の変更に対応させて制御を変更可能な制御装置を合わせて用いることによって、車種展開やバッテリの増設が一層容易となる。
【0109】
[実施の形態2]
実施の形態2では、図4や図5に示したような一つのバッテリに複数の電圧変換部が接続される部分を含む場合(マルチフェーズ接続)において、電圧変換部での回路損失を低減させるため、システム要求パワーが低いときに複数の電圧変換部のうちの一部を休止させる。そしてその休止させる際に出力する電圧VHの変動を最小限に抑えるために、制御指令値を変更する。
【0110】
図14は、実施の形態2の電圧変換装置の構成を示した図である。
図14を参照して、実施の形態2の電圧変換装置は、図1に示した実施の形態1の電圧変換装置の構成において、接続変更部19が、図4に示すような接続変更部19Aに設定され、そして電圧コンバータ12の第1〜第3相アームPHA〜PHCのうちの一部を休止させるゲート遮断部304A〜304Cが追加される。また、図14の制御装置30は、図3におけるPWM信号PWCAを発生するための構成に対し乗算部302が追加されたものである。
【0111】
すなわち、実施の形態2では、制御装置30は、電圧指令値VH*と電圧センサ13の検出した電圧VHの差分を出力する減算器152と、減算器152の出力に対して比例積分処理を行なうPI処理部153と、PI処理部153の出力に対してシャットダウン信号CSDNA〜CSDNCに応じた係数を乗算する乗算部302と、バッテリBAの電圧と電圧指令値との比VLA/VH*と乗算部302の出力値との差分を出力する減算器162とを含む。
【0112】
制御装置30は、さらに、キャリア波を発生するキャリア波発生部167と、コンパレータ170とを含む。コンパレータ170は、減算器162の出力を+(プラス)入力ノードに受け、キャリア波発生部167からのキャリア波を−(マイナス)入力ノードに受け、PWM信号PWCAを出力する。
【0113】
PWM信号PWCAは、ともにゲート遮断部304A〜304Cの一方の入力端子に与えられる。ゲート遮断部304A〜304Cの他方の端子にはそれぞれシャットダウン信号CSDNA〜CSDNCが与えられる。ゲート遮断部304A〜304Cは、入力されている対応のシャットダウン信号が活性化されると、PWM信号PWCAに関わらず第1〜第3相アームPHA〜PHCのうち対応するアームのスイッチング素子のゲートを非活性状態に固定する。
【0114】
乗算部302は、シャットダウン信号CSDNA〜CSDNCのうち活性化しているものが無い場合(3相駆動時)には、係数Xを1に設定して乗算を行なう。乗算部302は、シャットダウン信号CSDNA〜CSDNCのうち活性化しているもの1つである場合(2相駆動時)には、係数Xを1.5に設定して乗算を行なう。乗算部302は、シャットダウン信号CSDNA〜CSDNCのうち活性化しているものが2つである場合(1相駆動時)には、係数Xを3に設定して乗算を行なう。
【0115】
このようにすれば、運転相の数が変化したときに、指令値も対応して増減するので相の休止時および復帰時における電圧VHの変動を抑制することができる。
【0116】
図15は、図12に示したようなコンピュータを制御装置30として用いる場合の制御プログラムの制御構造を示すフローチャートである。このフローチャートの処理は、所定のメインルーチンから一定時間毎または所定の条件が成立する毎に呼び出されて実行される。
【0117】
図15を参照して、処理が開始されるとまずステップS1においてシステム要求パワーPが15kWより小さいか否かが判断される。P<15kWが成立する場合には、ステップS22に処理が進み、1相駆動を実行することが決定されシャットダウン信号CSDNA〜CSDNCのうち2つを活性化させ2相を休止させる。そして、ステップS23において係数がX=3に設定される。
【0118】
ステップS21においてP<15kWが成立しない場合には、ステップS24に処理が進む。ステップS24では、システム要求パワーPが30kWより小さいか否かが判断される。P<30kWが成立する場合には、ステップS25に処理が進み、2相駆動を実行することが決定されシャットダウン信号CSDNA〜CSDNCのうち1つを活性化させ1相を休止させる。そして、ステップS26において係数がX=1.5に設定される。
【0119】
ステップS24においてP<30kWが成立しない場合には、ステップS27に処理が進む。ステップS27では、3相駆動を実行することが決定されシャットダウン信号CSDNA〜CSDNCをすべて非活性化させ3相とも駆動させる。そして、ステップS28において係数がX=1に設定される。
【0120】
ステップS23,S26,S28のいずれかで係数が決定されたら、ステップS29に処理が進みPWM信号を発生するための指令値をX倍する処理が行なわれる。その後ステップS30に処理が進み制御はメインルーチンに移される。
【0121】
なお、実施の形態2では、指令値をX倍させる方法を採用したが、休止相の変更後の新しい制御指令を次式で予測した値に変更する方法を採用しても良い。
新しい制御指令=Power/Ncnv/VL×r
ここで、Powerはシステム要求パワーを示し、Ncnvは継続して運転する電圧変換部の台数を示し、VLはバッテリ電圧を示し、rは予め測定しておいた昇圧リアクトルなど充放電経路の抵抗値を示す。
【0122】
以上説明したように、実施の形態2の電圧変換装置は、複数相のうちの一部を休止および復帰させる際に指令値も併せて変更することになるので、出力電圧の変動が抑制される。
【0123】
[実施の形態3]
実施の形態2では、図4や図5に示したような一つのバッテリに複数の電圧変換部が接続される部分を含む場合において、電圧変換部での回路損失を低減させるため、システム要求パワーが低いときに複数の電圧変換部のうちの一部を休止させることについて説明した。しかし、休止させる相をどの相とするか、復帰させる相をどの相にするかについては、熱的余裕度の観点から改善の余地がある。
【0124】
すなわち、運転相を休止する場合、運転を継続する相に負荷が集中する。つまり運転相は休止相の分までカバーしなければならない。すると電圧コンバータの一部の構成要素の温度が上昇する可能性がある。また運転相を休止させるとその分過渡的にパワーが低下する。したがって複数の運転相を同時に休止すると過渡的なパワー低下が大きくなってしまう。
【0125】
また、図4や図5に示したような一つのバッテリに複数の電圧変換部が接続される部分を含む場合(マルチフェーズ接続)においては、各相とも電圧制御が行なわれ、各相の電流は制御されていないので、相間の電流にばらつきが発生する可能性がある。特に、1相だけ運転を継続する場合、その相が悪い方向にばらついている場合、その相の構成要素の温度が標準的な温度よりも上昇しやすくなる。
【0126】
実施の形態3では、たとえば2相の休止を行なう際に、パワー変動を減らすために所定時間ごとに1相ずつ休止させる。復帰の場合も同様に1相ずつ復帰させる。これにより、負荷であるモータのショックを緩和することができる。また、休止は温度が高い相から1相ずつ実施し、復帰は温度が低い相から1相ずつ実施する。これによりIGBTやリアクトルなどの構成要素の熱的な余裕度を高めることができる。
【0127】
図16は、実施の形態3の電圧変換装置の構成を示した図である。
図16を参照して、実施の形態3の電圧変換装置は、リアクトルL1A,L1B,L1Cの温度をそれぞれ検出する温度センサ350A,350B,350Cと、インテリジェントパワーモジュールIPMに含まれる第1相アームPHA、第2相アームPHB、第3相アームPHCの温度をそれぞれ検出する温度センサ352A,352B,352Cと、ゲート遮断部304A〜304Cとを含む。
【0128】
PWM信号PWCA,PWCB,PWCCは、それぞれゲート遮断部304A,304B,304Cの一方の入力端子に与えられる。ゲート遮断部304A〜304Cの他方の端子にはそれぞれシャットダウン信号CSDNA〜CSDNCが与えられる。
【0129】
ゲート遮断部304A〜304Cは、入力されている対応のシャットダウン信号が活性化されると、PWM信号PWCA,PWCB,PWCCに関わらず第1〜第3相アームPHA〜PHCのうち対応するアームのスイッチング素子のゲートを非活性状態に固定する。
【0130】
温度センサ350A,350B,350Cは、それぞれ検出した温度TLA,TLB,TLBを制御装置30に出力する。温度センサ352A,352B,352Cは、それぞれ検出した温度TQA,TQB,TQBを制御装置30に出力する。
【0131】
図17は、実施の形態3において制御装置30が実行する制御の内容を説明するための状態遷移図である。
【0132】
図17を参照して、状態S40は3相動作を行なっている状態であり、状態S41は2相動作を行なっている状態であり、状態S43は1相動作を行なっている状態である。状態S42は、2相動作を行ないつつ運転相を切換える制御を実行する状態である。状態S44は、1相動作を行ないつつ運転相を切換える制御を実行する状態である。
【0133】
状態S40から状態S41に状態遷移が発生する条件は、システム要求パワー<30kWかつその状態に入ってk秒経過するという条件である。逆に、状態S41から状態S40に状態遷移が発生する条件は、システム要求パワー>30kW+αかつその状態に入ってk秒経過するという条件である。
【0134】
2相動作の状態S41において運転相の切換えが発生する条件すなわち状態S41からS42に状態遷移する条件は、運転相温度>X℃となることである。運転相の切換え後には、状態S42からS41に状態が遷移する。
【0135】
状態S41から状態S43に状態遷移が発生する条件は、システム要求パワー<15kWかつその状態に入ってk秒経過するという条件である。逆に、状態S43から状態S41に状態遷移が発生する条件は、システム要求パワー>15kW+αかつその状態に入ってk秒経過するという条件である。
【0136】
1相動作の状態S43において運転相の切換えが発生する条件すなわち状態S43からS44に状態遷移する条件は、運転相温度>X℃となることである。運転相の切換え後には、状態S44からS43に状態が遷移する。
【0137】
図17を見れば分かるように、状態S40から状態S43にまたはその逆に状態遷移を発生させるには必ず状態S41を経由する必要がある。そしてk秒の期間状態S41が介在する。したがって、運転相の休止や復帰は1相ずつ行なわれ、一度に2相以上起こる事は無いので、複数相の同時休止や復帰を許可している場合に比べて出力電圧VHの急な変動が緩和される。
【0138】
図18は、実施の形態3において制御装置30が実行する運転相の休止や復帰についての制御を説明するためのフローチャートである。このフローチャートの処理は、所定のメインルーチンから一定時間毎または所定の条件が成立する毎に呼び出されて実行される。
【0139】
図18を参照して、処理が開始されると、まずステップS51においてシステム要求パワーとその継続時間から運転相数が決定される。この決定には、現在の運転相の数と図17の状態遷移図とが考慮される。
【0140】
続いて、ステップS52において、運転相数を増加させる必要があるか否かが判断される。ステップS52において運転相数を増加させる必要があると判断された場合には、ステップS53において温度がもっとも低い停止相(休止相)を復帰させる。
【0141】
一方ステップS52において運転相数を増加させる必要が無いと判断された場合には、ステップS54に処理が進む。ステップS54では、運転相数を減少させる必要があるか否かが判断される。ステップS54において運転相数を減少させる必要があると判断された場合には、ステップS55において温度がもっとも高い運転相を停止(休止)させる。
【0142】
ステップS54において運転相数を減少させる必要が無いと判断された場合には、運転相の数は同じでよい。したがって運転相と休止相を交代させるか否かを判断して実行する運転相切換え制御がステップS56において実行される。
【0143】
ステップS53,S55,S56のいずれかの処理が終了すると、ステップS57において制御はメインルーチンに移される。
【0144】
図19は、図18のステップS56で実行される運転相切換制御の内容を示したフローチャートである。
【0145】
図19を参照して、まず処理が開始されると、ステップS61において温度センサの出力に基づいて温度がX℃を超える運転相が有るか否かが判断される。この判定値のX℃は、リアクトルやIGBTの耐熱温度に基づいて定められる。温度がX℃を超える運転相が無ければ、運転相の切換えを行なう必要が無いのでステップS68に処理が進み、制御は図18のフローチャートに移る。
【0146】
ステップS61において温度がX℃を超える運転相があった場合には、コンバータの過熱を防ぐため、運転相の切換えかまたは出力の制限を行なう必要がある。この場合にはステップS62に処理が進み、温度がY℃より低い休止相が有るか否かが判断される。なお、Y℃はX℃よりも低い温度である。
【0147】
ステップS62において温度がY℃より低い休止相が無い場合には、運転相を切換えても電圧コンバータの温度を下げることができない。したがって、過熱を防ぐために、ステップS67において負荷率の制限が行なわれる。
【0148】
図20は、負荷率の制限について説明するための図である。
図20を参照して、電圧変換装置は最大出力パワーが規定されこの値を超えないように要求パワーが設定される。そしてある温度T0を超えると、過熱を防ぐため最大出力パワーが制限され温度の上昇とともに次第にゼロに近づけられる。この温度T0を超える部分のように最大要求パワーを温度の上昇とともに制限してやることで、電圧コンバータの更なる温度上昇を防止する。
【0149】
再び図19を参照して、ステップS62において、温度がY℃より低い休止相があった場合には、運転相を切換えれば電圧コンバータの温度を下げることができる。したがって、ステップS62からステップS63に処理が進む。
【0150】
ステップS63では、温度がもっとも低い休止相が起動される。そしてステップS64において所定時間経過したか否かが判断される。なお、所定時間が経過するまではステップS64において時間待ちが行なわれる。
【0151】
ステップS64において、所定時間が経過すると、ステップS65に処理が進む。ステップS65では、温度がもっとも高い運転相を停止する。そしてステップS66において所定時間経過したか否かが判断される。なお、所定時間が経過するまではステップS66において時間待ちが行なわれる。
【0152】
そしてステップS66において所定時間が経過したときに、ステップS68に処理が進み、ステップS68において制御はメインルーチンに移される。
【0153】
以上説明したように、実施の形態3においては、マルチフェーズ接続された電圧コンバータにおいて相間の特性にばらつきが有っても温度上昇が抑制される。また、運転相の数を変更する際に1相ずつ運転相の増減を行なうので、急激な出力の変動が抑制される。
【0154】
最後に、再び図1等を参照して、本実施の形態1〜3の電圧変換装置について総括的に説明する。本実施形態の電圧変換装置は、各々が単独で電圧変換可能な複数の電圧変換部12A〜12Cと、複数の電圧変換部12A〜12Cの出力が共通に接続される出力ノードT4と、複数の電圧変換部12A〜12Cの入力を分離および連結が可能な接続変更部19とを備える。接続変更部19は、接続変更部19が分離状態にある場合には複数の蓄電装置BA,BB,BCを複数の電圧変換部12A〜12Cの入力にそれぞれ接続し、接続変更部19が連結状態にある場合には複数の電圧変換部12A〜12Cの入力を連結して単数の蓄電装置に接続する。
【0155】
図9に示すように、好ましくは、接続変更部19Cは、複数の蓄電装置BA,BB,BCがそれぞれ接続されている第1の端子群224と、複数の電圧変換部の入力にそれぞれ接続されている第2の端子群208と、第1の端子群224と第2の端子群208とをそれぞれ接続する接続部材(バスバー222A,222B,222C)とを含む。
【0156】
より好ましくは、接続部材(バスバー222A,222B,222C)は、バスバー群222である。接続変更部19Cは、第1の端子群224をバスバー群222の各一端にそれぞれ接続する複数の第1の締結部材224A,224B,224Cと、第2の端子群をバスバー群222の各他端にそれぞれ接続する複数の第2の締結部材208A,208B,208Cとをさらに含む。
【0157】
また、図5に示すように、好ましくは、接続変更部19Aは、単数の蓄電装置が接続されている第1の端子211と、複数の電圧変換部の入力にそれぞれ接続されている第2の端子群208と、第2の端子群208を第1の端子にともに接続する接続部材とを含む。
【0158】
より好ましくは、この接続部材は、一端と複数の他端とを有するバスバー210であり、接続変更部19Aは、第1の端子211をバスバー210の一端に接続する第1の締結部材212と、第2の端子群208をバスバー210の複数の他端にそれぞれ接続する複数の第2の締結部材208A,208B,208Cとをさらに含む。
【0159】
この発明は、他の局面においては、各々が単独で電圧変換可能な複数の電圧変換部12A〜12Cと、複数の電圧変換部12A〜12Cの出力が共通に接続される出力ノードT4と、複数の電圧変換部12A〜12Cの入力を分離および連結が可能な接続変更部19とを備える電圧変換装置の制御装置30であって、制御装置30は、複数の電圧変換部12A〜12Cの入力側に接続する蓄電装置の数に応じて、電圧変換装置に対する制御内容を変更する。
【0160】
好ましくは、制御装置30は、図8に示すように、複数の蓄電装置BA,BB,BCが複数の電圧変換部12A,12B,12Cの入力にそれぞれ接続される場合には、第1の制御を複数の電圧変換部12A,12B,12Cに対して実行し、図4に示すように、単数の蓄電装置が複数の電圧変換部12A,12B,12Cの入力に共通して接続される場合には、第1の制御とは異なる第2の制御を複数の電圧変換部12A,12B,12Cに対して実行する。
【0161】
より好ましくは、第2の制御は、出力ノードの電圧を目標値に一致させるように複数の電圧変換部12A,12B,12Cの各々に対して指令を与える制御であり、第1の制御は、出力ノードの電圧VHを目標値VH*に一致させるように複数の電圧変換部のうちの第1の電圧変換部12Aに指令を与えるとともに、複数の電圧変換部のうちの第2の電圧変換部12Bまたは12Cに目標電流値が流れるように第2の電圧変換部12Bまたは12Cに指令を与える制御である。
【0162】
好ましくは、図14,図16に示すように、制御装置30は、複数の電圧変換部12A〜12Cが第1の蓄電装置BAに接続される場合には、出力ノードから出力させる電力に応じて、複数の電圧変換部のうち作動させる電圧変換部の数を決定する。
【0163】
より好ましくは、図14に示すように、制御装置30は、複数の電圧変換部に対して出力ノードの電圧をフィードバックする制御を実行し、作動させる電圧変換部の数に対応させてフィードバックする制御のフィードバックループゲイン(乗算部302の係数)を決定する。
【0164】
好ましくは、制御装置30は、複数の電圧変換部12A〜12Cが第1の蓄電装置BAに接続される場合には、出力ノードから出力させる電力に応じて、複数の電圧変換部のうち作動させる電圧変換部の数を決定するとともに、複数の電圧変換部の各々の温度TLA〜TLC,TQA〜TQCに応じていずれの電圧変換部を作動させるかを決定する。
【0165】
この発明は、さらに他の局面においては、各々が単独で電圧変換可能な複数の電圧変換部12A〜12Cと、複数の電圧変換部12A〜12Cの出力が共通に接続される出力ノードT4と、複数の電圧変換部12A〜12Cの入力を分離および連結が可能な接続変更部19とを備える電圧変換装置の制御方法であって、複数の電圧変換部の入力側に接続する蓄電装置の数に応じた動作モードを決定するステップ(図13:S1,S2,S5)と、動作モードに対応する制御内容を、電圧変換装置に対して実行するステップ(図13:S3〜S4,S6〜S8,S9〜S11)とを備える。
【0166】
好ましくは、電圧変換装置の制御方法は、出力ノードから出力させる電力に応じて、複数の電圧変換部のうち作動させる電圧変換部の数を決定するステップ(図15:S21〜S22,S24〜S26)をさらに備える。
【0167】
より好ましくは、電圧変換装置の制御方法は、出力ノードの電圧をフィードバックする制御を実行し、作動させる電圧変換部の数である運転相数に対応させてフィードバックする制御のフィードバックループゲインを決定するステップ(図15:S23,S27,S28)をさらに備える。
【0168】
好ましくは、電圧変換装置の制御方法は、複数の電圧変換部の一部が第1の蓄電装置に接続され、複数の電圧変換部の他の一部が第2の蓄電装置に接続される場合であって、一部が電圧変換部を複数含むときには、出力ノードから出力させる電力に応じて、複数の電圧変換部のうち作動させる電圧変換部の数を決定するとともに、複数の電圧変換部の各々の温度に応じていずれの電圧変換部を作動させるかを決定するステップ(図18:S51〜S57)をさらに備える。
【0169】
本実施の形態では、電圧コンバータとして蓄電装置からインバータへ向かう向きの昇圧およびインバータから蓄電装置に向かう向きの降圧の両方が可能な昇降圧コンバータの例を示したが、本発明はこれに限定されるものではない。たとえば、昇圧、降圧の一方のみが可能な電圧コンバータを備える電圧変換装置であっても本発明は好適に適用可能である。また、電圧コンバータの電圧変換部が図1の電圧変換部12A〜12Bのように3つである例を示したが2つまたは4つ以上の電圧変換部を備える場合であっても良い。
【0170】
なお、以上の実施の形態で開示された制御方法は、コンピュータを用いてソフトウエアで実行可能である。この制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムは、たとえば図12のROM182に記憶される。また、このプログラムをコンピュータ読み取り可能に記録した記録媒体(ROM、CD−ROM、メモリカードなど)から車両の制御装置中のコンピュータに読み込ませたり、また通信回線を通じて提供したりしても良い。
【0171】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0172】
【図1】本実施の形態に係る車両100の主たる構成を示す図である。
【図2】図1の制御装置30の機能ブロック図である。
【図3】図2の電圧変換制御部131の構成を説明する機能ブロック図である。
【図4】電圧コンバータ12にバッテリが1つ接続される場合を示した回路図である。
【図5】電圧コンバータ12にバッテリが2つ接続される場合を示した回路図である。
【図6】電圧コンバータ12にバッテリが3つ接続される場合を示した回路図である。
【図7】図4に対応する接続変更部19Aについて説明するための図である。
【図8】図5に対応する接続変更部19Bについて説明するための図である。
【図9】図6に対応する接続変更部19Cについて説明するための図である。
【図10】図4に示した構成を実現するための他の変形例を示す図である。
【図11】図5に示した構成を実現するための他の変形例を示す図である。
【図12】制御装置30としてコンピュータを用いた場合の一般的な構成を示した図である。
【図13】制御装置30で実行される電圧コンバータ12に対する制御プログラムの制御構造を示すフローチャートである。
【図14】実施の形態2の電圧変換装置の構成を示した図である。
【図15】図12に示したようなコンピュータを制御装置30として用いる場合の制御プログラムの制御構造を示すフローチャートである。
【図16】実施の形態3の電圧変換装置の構成を示した図である。
【図17】実施の形態3において制御装置30が実行する制御の内容を説明するための状態遷移図である。
【図18】実施の形態3において制御装置30が実行する運転相の休止や復帰についての制御を説明するためのフローチャートである。
【図19】図18のステップS56で実行される運転相切換制御の内容を示したフローチャートである。
【図20】負荷率の制限について説明するための図である。
【符号の説明】
【0173】
2 車輪、3 動力分割機構、4 エンジン、10A〜10C,13 電圧センサ、11B,11C,24,25 電流センサ、12 電圧コンバータ、12A〜12C 電圧変換部、14,22 インバータ、15 U相アーム、16 V相アーム、17 W相アーム、19,19A〜19E 接続変更部、23 インバータユニット、30 制御装置、100 車両、131 電圧変換制御部、132 MG1用インバータ制御部、133 MG2用インバータ制御部、152 減算器、153,155,157 PI処理部、154,156,162,164,166 減算器、167 キャリア波発生部、168 位相シフト部、170,172,174 コンパレータ、176,178 スイッチ、181 A/D変換器、184 インターフェース部、186 バス、202A〜202C,210,214,216,222A〜222C バスバー、204A〜204C,206A〜206C,208A〜208C,212,218,220,224A〜224C 締結部材、208,224 端子群、211 端子、222 バスバー群、226,228 ショートバスバー、302 乗算部、304A〜304C ゲート遮断部、350A〜350C,352A〜352C 温度センサ、BA,BB,BC バッテリ、C2 コンデンサ、D1A〜D1C,D2A〜D2C,D3〜D8 ダイオード、IPM インテリジェントパワーモジュール、L1A,L1B,L1C リアクトル、MG1,MG2 モータジェネレータ、PHA,PHB,PHC アーム、PL1A,PL1B,PL1C,PL2 正極母線、Q1A〜Q1C,Q2A〜Q2C,Q3〜Q8 IGBT素子、SL 負極母線。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々が単独で電圧変換可能な複数の電圧変換部と、
前記複数の電圧変換部の出力が共通に接続される出力ノードと、
前記複数の電圧変換部の入力を分離および連結が可能な接続変更部とを備え、
前記接続変更部は、前記接続変更部が分離状態にある場合には複数の蓄電装置を前記複数の電圧変換部の入力にそれぞれ接続し、前記接続変更部が連結状態にある場合には前記複数の電圧変換部の入力を連結して単数の蓄電装置に接続する、電圧変換装置。
【請求項2】
前記接続変更部は、
前記複数の蓄電装置がそれぞれ接続されている第1の端子群と、
前記複数の電圧変換部の入力にそれぞれ接続されている第2の端子群と、
前記第1の端子群と前記第2の端子群とをそれぞれ接続する接続部材とを含む、請求項1に記載の電圧変換装置。
【請求項3】
前記接続部材は、バスバー群であり、
前記接続変更部は、
前記第1の端子群を前記バスバー群の各一端にそれぞれ接続する複数の第1の締結部材と、
前記第2の端子群を前記バスバー群の各他端にそれぞれ接続する複数の第2の締結部材とをさらに含む、請求項2に記載の電圧変換装置。
【請求項4】
前記接続変更部は、
前記単数の蓄電装置が接続されている第1の端子と、
前記複数の電圧変換部の入力にそれぞれ接続されている第2の端子群と、
前記第2の端子群を前記第1の端子にともに接続する接続部材とを含む、請求項1に記載の電圧変換装置。
【請求項5】
前記接続部材は、一端と複数の他端とを有するバスバーであり、
前記接続変更部は、
前記第1の端子を前記バスバーの一端に接続する第1の締結部材と、
前記第2の端子群を前記バスバーの複数の他端にそれぞれ接続する複数の第2の締結部材とをさらに含む、請求項4に記載の電圧変換装置。
【請求項6】
各々が単独で電圧変換可能な複数の電圧変換部と、前記複数の電圧変換部の出力が共通に接続される出力ノードと、前記複数の電圧変換部の入力を分離および連結が可能な接続変更部とを備える電圧変換装置の制御装置であって、
前記制御装置は、前記複数の電圧変換部の入力側に接続する蓄電装置の数に応じて、前記電圧変換装置に対する制御内容を変更する、電圧変換装置の制御装置。
【請求項7】
前記制御装置は、複数の蓄電装置が前記複数の電圧変換部の入力にそれぞれ接続される場合には、第1の制御を前記複数の電圧変換部に対して実行し、単数の蓄電装置が前記複数の電圧変換部の入力に共通して接続される場合には、前記第1の制御とは異なる第2の制御を前記複数の電圧変換部に対して実行する、請求項6に記載の電圧変換装置の制御装置。
【請求項8】
前記第2の制御は、前記出力ノードの電圧を目標値に一致させるように前記複数の電圧変換部の各々に対して指令を与える制御であり、
前記第1の制御は、前記出力ノードの電圧を目標値に一致させるように前記複数の電圧変換部のうちの第1の電圧変換部に指令を与えるとともに、前記複数の電圧変換部のうちの第2の電圧変換部に目標電流値が流れるように前記第2の電圧変換部に指令を与える制御である、請求項7に記載の電圧変換装置の制御装置。
【請求項9】
前記制御装置は、前記複数の電圧変換部が第1の蓄電装置に接続される場合には、前記出力ノードから出力させる電力に応じて、前記複数の電圧変換部のうち作動させる電圧変換部の数を決定する、請求項6に記載の電圧変換装置の制御装置。
【請求項10】
前記制御装置は、前記複数の電圧変換部に対して前記出力ノードの電圧をフィードバックする制御を実行し、作動させる前記電圧変換部の数に対応させて前記フィードバックする制御のフィードバックループゲインを決定する、請求項9に記載の電圧変換装置の制御装置。
【請求項11】
前記制御装置は、前記複数の電圧変換部が第1の蓄電装置に接続される場合には、前記出力ノードから出力させる電力に応じて、前記複数の電圧変換部のうち作動させる電圧変換部の数を決定するとともに、前記複数の電圧変換部の各々の温度に応じていずれの電圧変換部を作動させるかを決定する、請求項6に記載の電圧変換装置の制御装置。
【請求項12】
各々が単独で電圧変換可能な複数の電圧変換部と、前記複数の電圧変換部の出力が共通に接続される出力ノードと、前記複数の電圧変換部の入力を分離および連結が可能な接続変更部とを備える電圧変換装置の制御方法であって、
前記複数の電圧変換部の入力側に接続する蓄電装置の数に応じた動作モードを決定するステップと、
前記動作モードに対応する制御内容を、前記電圧変換装置に対して実行するステップとを備える、電圧変換装置の制御方法。
【請求項13】
前記出力ノードから出力させる電力に応じて、前記複数の電圧変換部のうち作動させる電圧変換部の数を決定するステップをさらに備える、請求項12に記載の電圧変換装置の制御方法。
【請求項14】
前記出力ノードの電圧をフィードバックする制御を実行し、作動させる前記電圧変換部の数である運転相数に対応させて前記フィードバックする制御のフィードバックループゲインを決定するステップをさらに備える、請求項13に記載の電圧変換装置の制御方法。
【請求項15】
前記複数の電圧変換部の一部が第1の蓄電装置に接続され、前記複数の電圧変換部の他の一部が第2の蓄電装置に接続される場合であって、前記一部が電圧変換部を複数含むときには、前記出力ノードから出力させる電力に応じて、前記複数の電圧変換部のうち作動させる電圧変換部の数を決定するとともに、前記複数の電圧変換部の各々の温度に応じていずれの電圧変換部を作動させるかを決定するステップをさらに備える、請求項12に記載の電圧変換装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2009−232655(P2009−232655A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−78397(P2008−78397)
【出願日】平成20年3月25日(2008.3.25)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】