説明

電子デバイス

【課題】薄膜トランジスタおよび/または電子デバイスの電荷キャリア移動度を増大させ、高い移動度および優れた安定性を達成する。
【解決手段】薄膜トランジスタの半導体層は、半導体組成物として、ポリマー結合剤および小分子半導体を含む。また、半導体層は、ソース電極およびドレイン電極の間の方向に配列したアライメント層上に堆積されている。アライメント層は、電子デバイスの電界効果移動度を増大させるために使用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体層およびアライメント層を含む薄膜トランジスタ(TFT)および/または他の電子デバイスに関する。このアライメント層は、トランジスタおよび/または電子デバイスの電荷キャリア移動度を増大させるために使用される。高い移動度および優れた安定性が達成され得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0002】
本願は、種々の実施形態において、電子デバイスおよびこうした電子デバイスを製造するためのプロセスを開示する。電子デバイスは、半導体層およびアライメント層を含む。アライメント層は、半導体層の微視的および/または巨視的アライメントを誘導すると考えられる。
【0003】
実施形態において、小分子半導体およびポリマー結合剤を含む半導体層およびこの半導体層と接触した状態のアライメント層を含む電子デバイスが開示される。
【0004】
アライメント層は、約0.2ナノメートルから約1マイクロメートルの厚さを有していてもよい。
【0005】
アライメント層は、ポリイミド、ポリ(ビニルシンナメート)、アゾベンゼンポリマー、スチレン系ポリマーまたは式(A)のオルガノシラン剤から形成されてもよい。
(L)−[SiR(R’)4−m−t
式(A)
式中、Rはアルキルまたはアリールであり、R’はハロゲンまたはアルコキシであり、mは1〜4の整数であり、Lは連結原子であり、tは0または1であり、vは連結原子上の三置換されたシリル基の数を示す。
【0006】
実施形態において、小分子半導体は、液晶化合物であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本開示に従うTFTの第1の実施形態の図である。
【図2】本開示に従うTFTの第2の実施形態の図である。
【図3】本開示に従うTFTの第3の実施形態の図である。
【図4】本開示に従うTFTの第4の実施形態の図である。
【図5】特定の態様のアライメント層を示す斜視図である。
【図6】本開示に従うTFTの第5の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本開示は、アライメント層とポリマー結合剤および小分子半導体を含む半導体層とを含む電子デバイス、例えば薄膜トランジスタ(TFT)に関する。アライメント層は、電子デバイスの電界効果移動度を増大させるために使用される。
【0009】
図1は、本開示に従うボトムゲート型のボトムコンタクト型TFT構成を例示する。TFT10は、ゲート電極18およびゲート誘電体層14と接触した基板16を含む。ゲート電極18は、ここでは基板16の頂部上に記載されているが、ゲート電極はまた基板内のくぼみにあることもできる。ゲート誘電体層14は、ゲート電極18とソース電極20、ドレイン電極22、および半導体層12とを分離する。半導体層12は、ソース電極20およびドレイン電極22の間に延びる。半導体は、ソース電極20とドレイン電極22との間のチャンネル長さを有する。アライメント層13は、誘電体層14と半導体層12との間にある。アライメント層の第1の面15は、半導体層12と直接接触する。アライメント層の第2の面17は、誘電体層14と直接接触する。
【0010】
図2は、本開示に従う別のボトムゲート型のトップコンタクト型TFT構成を例示する。TFT30は、ゲート電極38およびゲート誘電体層34と接触した基板36を含む。アライメント層33は、ゲート誘電体層34の頂部上に位置する。アライメント層の第2の面37は、誘電体層34と直接接触する。半導体層32は、アライメント層33の第1の面35上に堆積される。半導体層はまた、誘電体層34を、ソース電極40およびドレイン電極42と分離する。
【0011】
図3は、本開示に従うボトムゲート型のボトムコンタクト型TFT構成を例示する。TFT50は、ゲート電極としても作用し、ゲート誘電体層54と接触する基板56を含む。アライメント層53は、ゲート誘電体層54の頂部上に位置する。ソース電極60、ドレイン電極62、および半導体層52は、アライメント層53の頂部にある。アライメント層の第1の面55は、半導体層52と直接接触する。
【0012】
図4は、本開示に従うトップゲート型のトップコンタクト型TFT構成を例示する。TFT70は、基板76を含む。アライメント層73は、基板76と半導体層72との間の基板76上にある。アライメント層の第1の面75は、半導体層75と直接接触する。アライメント層の第2の面77は、基板76と直接接触する。アライメント層はまた、ソース電極80とドレイン電極82と接触する。半導体層72は、ソース電極80およびドレイン電極82の間に延びる。ゲート誘電体層74は、半導体層72の頂部上にある。ゲート電極78は、ゲート誘電体層74の頂部上にあり、半導体層72と接触しない。
【0013】
アライメント層を用いることにより、電界効果移動度を劇的に増大させることを見出した。この増大は、アライメント層によって誘導されるトランジスタチャンネル方向に沿った半導体層のアライメントによるものであると考えられる。アライメント層自体の化学組成は、必ずしも重要でない。図5は、図1と同様の実施形態の斜視図である。アライメント層103は視覚可能である。ソース電極110およびドレイン電極112は、アライメント層上にある。ソース電極110とドレイン電極112との間の方向は、矢印105によって示され、または言い換えれば矢印105が、ソース電極110からドレイン電極112への方向を示す。アライメント層の面は、矢印105によって示される方向に配列している。この方向はまた、トランジスタチャンネル方向と称することができる。一方の電極が、他方の電極によって、この2つの電極間で環状形状を有する半導体層と共に取り囲まれている環状電極において、トランジスタチャンネル方向は、半径方向となる。このアライメントは、ソース電極とドレイン電極との間のトランジスタチャンネルにおいて少なくとも生じ、ライン120によって示される。例えば、アライメントは一方の電極で始まり、一方の電極で終わる。
【0014】
このアライメント効果は、機械的手段または間接的手段によって達成され得る。機械的処理の例は、その上に半導体層が堆積されているアライメント層の表面を摩擦することによるものである。この機械的摩擦は、レーヨン、綿またはポリアミドのような材料を含む摩擦布を用いて行われてもよい。摩擦布は、摩擦を行うために使用されるローラの周りに巻きつけることができる。間接的処理の例は、ソース電極とドレイン電極との間に直線偏光した光をアライメント層に照射することである。こうしたアライメント処理は、最小限で、半導体チャンネルに対応するソース電極とドレイン電極との間の領域に直接行われるべきである。
【0015】
アライメント層の第1表面は、半導体層と直接接触する。理論に束縛されないが、アライメント処理は、半導体層中の小分子半導体材料の巨視的アライメントを誘導し、さらに半導体層中のグレイン境界を低下させ得ると考えられる。これらの効果は、電荷キャリア移動度を向上させ得る。
【0016】
アライメント層は、いずれかの好適な材料から形成されてもよい。実施形態において、アライメント層は、ポリイミド、ポリ(ビニルシンナメート)、スチレン系ポリマー、アゾベンゼンポリマー、シンナメート基またはアゾベンゼン基を含む化合物などから形成される。シンナメート基は、構造C−CH=CH−COO−を有する。アゾベンゼン基は、アゾ基(−N=N−)を含み、それぞれの窒素原子は、フェニル基に結合し、アゾベンゼン基は、フェニル基の1つを通して別の原子に結合している。
【0017】
他の実施形態において、アライメント層は、式(A)のオルガノシラン剤から形成される。
(L)−[SiR(R’)4−m−t
式(A)
式中、Rはアルキルまたはアリールであり、R’はハロゲンまたはアルコキシであり、mは1〜4の整数であり、Lは連結原子であり、tは0または1であり、連結原子が存在するかどうかを示し、vは連結原子上の三置換されたシリル基の数を示す。(m+t)の合計は、決して4を超えない。tが0である場合、vは自動的に1である。式(A)の例示的なオルガノシラン剤としては、ヘキサメチルジシラザン(HMSD)(L=NH、t=1、R=メチル、m=3、v=2)、およびオクチルトリクロロシラン(OTS−8)(t=0、R=オクチル、m=1、R’=クロロ、v=1)が挙げられる。他の例示的なオルガノシラン剤としては、ドデシルトリクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、メチルトリメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、フェニルメチルジクロロシラン、フェニルトリメトキシシランなどが挙げられる。
【0018】
アライメント層は、約0.2ナノメートル(例えば自己組織化単層)〜約1マイクロメートル(約0.2ナノメートル〜約500ナノメートルを含む)の厚さまたは深さを有する。アライメント層は、特定材料について当該技術分野において既知の方法、例えばスピンコーティング、浸漬コーティング、蒸着、自己組織化、誘電体または基板表面からの化学的なグラフトなどを用いて形成できる。アライメント層は、例えば図1に示されるように、誘電体層14を半導体層12から分離する全体層13であることに留意すべきである。このタイプの構成が、製作し易い場合がある。しかし、アライメント効果はまた、例えば図6に見られるように、アライメント層13がソース電極20とソース電極22との間のチャンネルにのみ存在する場合にも達成され得る。
【0019】
半導体層は、直接アライメント層と接触する。半導体層は、ポリマー結合剤および小分子半導体を含む半導体組成物から形成されてもよい。この組成物から形成された半導体層は、空気中で非常に安定であり、高い移動度を有する。これらの半導体組成物は、電子デバイス、例えば薄膜トランジスタ(TFT)の層を形成するのに有用である。
【0020】
小分子半導体は、式(I)の構造を有していてもよい。
【化1】

式中、各Rは、独立に、アルキル、置換されたアルキル、アルケニル、置換されたアルケニル、アルキニル、置換されたアルキニル、アリール、置換されたアリール、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、アルコキシ、アルキルチオ、トリアルキルシリル、ケトニル、シアノ(CN)、およびハロゲンから選択され、mおよびnは、それぞれフェニルまたはナフチル環上のR側鎖の数であり、独立に0〜6の整数であり、Xは、O、S、およびSeからなる群から選択され、a、bおよびcは独立に0または1である。この点において、aまたはbが0である場合、化合物の外部部分は、4個までの側鎖を有していてもよいフェニル環である。aまたはbが1である場合、化合物の外側部分は、6個までの側鎖を有していてもよいナフチル環である。
【0021】
用語「置換された」とは、指名されたラジカルの少なくとも1つの水素原子が、別の官能基、例えばハロゲン、−CN、−NO、−COOHおよび−SOHで置換されていることを指す。例示的な置換されたアルキル基は、ペルハロアルキル基であり、ここでアルキル基中の1つ以上の水素原子は、ハロゲン原子、例えばフッ素、塩素、ヨウ素および臭素で置換される上述の官能基の他、アリールまたはヘテロアリール基はまた、アルキルまたはアルコキシ基で置換されてもよい。例示的な置換されたアリール基としては、メチルフェニルおよびメトキシフェニルが挙げられる。 例示的な置換されたヘテロアリール基としては、ドデシルチエニルが挙げられる。
【0022】
一般に、アルキルおよびアルコキシ基は、それぞれ独立に、1〜30個の炭素原子(約4〜約16個の炭素原子を含む)を含む。同様に、アリール基は、独立に6〜30個の炭素原子を含む。
【0023】
a、bおよびcが0であり、Xは硫黄であり、mおよびnはそれぞれ1である場合、式(I)の分子はまた、形式的には二置換された−[1]ベンゾチエノ[3,2−b]ベンゾチオフェンとして知られる。[1]ベンゾチエノ[3,2−b]ベンゾチオフェン部分(mおよびnがそれぞれ0である場合)は、本明細書において「BTBT」と略記されてもよい。例えば、式(I)の半導体は、二置換されたBTBTと称されることができる。
【0024】
実施形態において、小分子半導体は、約1.5〜約3.5eV(約1.8〜約2.8eVを含む)のバンドギャップを有する。このバンドギャップは、通常、小分子半導体が、ペンタセン系半導体と比較した場合に、良好な空気中での安定性を有することを意味する。小分子半導体は、結晶性または液晶構造を有する。特定実施形態において、式(I)の半導体は、電磁スペクトルの可視領域(すなわち、390nm〜750nm)において無色である。無色半導体は、それらの大きなバンドギャップのために優れた安定性を与えるだけでなく、透明デバイス用途のための透明性においても有利である。
【0025】
式(I)の一部の特定実施形態において、a、bおよびcは0であり、各Xは硫黄である。
【0026】
式(I)の化合物の5つの特定の変形例が、本開示によって想定される。1つの変形例において、小分子半導体は式(II)の構造を有する。
【化2】

式中、各RおよびRは、独立に、アルキル、置換されたアルキル、アルケニル、置換されたアルケニル、アルキニル、置換されたアルキニル、アリール、置換されたアリール、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、アルコキシ、アルキルチオ、トリアルキルシリル、ケトニル、シアノ、およびハロゲンから選択される。この式(II)の半導体化合物に関して、Rは2位であり、Rは7位にある。故に、式(II)の化合物は、2,7−二置換されたBTBTと称することができる。式(I)を参照して、式(II)の化合物は、a、bおよびcが0である場合に得られる。
【0027】
いくつかの実施形態において、RおよびRは、独立に、アルケニル、置換されたアルケニル、アルキニル、置換されたアルキニル、アリール、置換されたアリール、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、アルコキシ、アルキルチオ、トリアルキルシリル、ケトニル、シアノ、およびハロゲンから選択される。一部の他の実施形態において、RおよびRは、独立に、アルキルおよび置換されたアルキルから選択され、小分子半導体は、特定ポリマー結合剤と組み合わされて、高い電界効果移動度を達成する。ポリマー結合剤について本明細書においてさらに説明する。アルキル基は、約4〜約30個の炭素原子(約4〜約16個の炭素原子を含む)を含んでもよい。例示的なアルキル基としては、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、デシル、ドデシル、トリデシル、ヘキサデシルなどが挙げられる。いくつかの実施形態において、アルキル基は、奇数の炭素原子を有し、他の実施形態において、アルキル基は偶数の炭素原子を有する。特定実施形態において、RおよびRは同一である。
【0028】
別の変形例において、小分子半導体は、式(III)の構造を有する。
【化3】

式中、RおよびRは、独立に、アルキルまたは置換されたアルキルであり、各Arは、独立にアリーレンまたはヘテロアリーレン基である。式(I)を再び参照して、式(III)の化合物は、a、bおよびcが0であり、mおよびnが1であり、各Rがアルケニルまたは置換されたアルケニルである場合に得られる。アルキル基は、1〜約30個の炭素原子(約4〜約18個の炭素原子を含む)を含んでもよい。
【0029】
用語「アリーレン」は、2つの異なる原子と単結合を形成できる、全体として炭素原子および水素原子を含む芳香族ラジカルを指す。例示的なアリーレン基はフェニレン(−C−)である。
【0030】
用語「ヘテロアリーレン」は、2つの異なる原子と単結合を形成できる、炭素原子、水素原子および1つ以上のヘテロ原子を含む芳香族ラジカルを指す。炭素原子およびヘテロ原子は、ラジカルの環状環または骨格に存在する。ヘテロ原子は、O、SおよびNから選択される。例示的なヘテロアリーレン基は2,5−チエニルである。
【0031】
第3の変形例において、小分子半導体は式(IV)の構造を有する。
【化4】

式中、各RおよびRは、独立に、アルキル、置換されたアルキル、アルケニル、置換されたアルケニル、アルキニル、置換されたアルキニル、アリール、置換されたアリール、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、アルコキシ、アルキルチオ、トリアルキルシリル、ケトニル、シアノ、およびハロゲンから選択され、jおよびkは、独立に0〜6の整数である。式(I)を再び参照して、式(IV)の化合物は、aおよびbの両方が1であり、cが0である場合に得られる。RおよびR側鎖は、式(IV)の化合物の外部ナフチル部分のいずれかの炭素原子にあってもよい。
【0032】
式(IV)の特定実施形態において、RおよびRは独立にアルキルであり、jは1であり、kは1である。
【0033】
次の変形例において、小分子半導体は、式(V)の構造を有する。
【化5】

式中、各RおよびRは、独立に、アルキル、置換されたアルキル、アルケニル、置換されたアルケニル、アルキニル、置換されたアルキニル、アリール、置換されたアリール、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、アルコキシ、アルキルチオ、トリアルキルシリル、ケトニル、シアノ、およびハロゲンから選択され、pおよびqは、独立に0〜4の整数である。式(I)を再び参照して、式(V)の化合物は、aおよびbの両方が0であり、cが1である場合に得られる。
【0034】
最後の変形例において、小分子半導体は、式(VI)の構造を有する。
【化6】

式中、各R10およびR11は、独立に、アルキル、置換されたアルキル、アルケニル、置換されたアルケニル、アルキニル、置換されたアルキニル、アリール、置換されたアリール、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、アルコキシ、アルキルチオ、トリアルキルシリル、ケトニル、シアノ、およびハロゲンから選択され、a、bおよびcは独立に0または1である。
【0035】
式(VI)の特定実施形態において、R10はハロゲンまたはシアノであり、R11はアルキル、置換されたアルキル、アルケニル、置換されたアルケニル、またはケトニルである。他の実施形態において、R11はハロゲンまたはシアノであり、R10はアルキル、置換されたアルキル、アルケニル、置換されたアルケニル、またはケトニルである。
【0036】
式(I)の小分子半導体における他の特定変形例はまた、式(1)〜(50)としてここで示される。
【化7−1】

【化7−2】

【化7−3】

【化7−4】

【化7−5】

【化7−6】

【化7−7】

【化7−8】

【化7−9】

【化7−10】

式中、各R’は、独立に、約4〜約20個の炭素原子(約4〜約16個の炭素原子を含む)を含むアルキルまたは置換されたアルキル基である。
【0037】
式(2)、(3)、(7)、(8)、(9)、(13)、(14)、(15)、(20)、(21)および(43)〜(50)の半導体化合物はまた、式(II)の例示的な化合物でもある。
【0038】
式(2)、(3)、(13)、(14)、(15)、(20)、および(21)の半導体化合物も式(III)の例示的な化合物である。
【0039】
式(22)、(23)、(24)、(25)、(26)、(27)、(28)、(29)、(30)、(31)、(34)および(35)の半導体化合物も式(IV)の例示的な化合物である。
【0040】
式(36)、(37)、(38)、(39)および(40)の半導体化合物も式(V)の例示的な化合物である。
【0041】
式(4)、(5)、(10)、(11)、(12)、(18)、(19)、(24)、(25)、(26)、(27)、(37)、(38)、(39)、(41)および(42)の半導体化合物も式(VI)の例示的な化合物である。
【0042】
当該技術分野において既知の種々の方法は、本明細書に記載される小分子半導体を製造するために使用できる。例えば式(II)の小分子半導体を製造する方法は、2,7−ジハロ−BTBT Aとアルキンとを反応させ、2,7−ジアルキン−1−イル−BTBT1を形成することを含む。この初期反応を以下に例示する。
【化8】

式中、Xはハロゲンであり、Ra基はアルキルであり、Ph(PPhClはビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)クロライドであり、CuIはヨウ化銅であり、iPrNHはジイソプロピルアミンである。ここで示されるように、2つのR基は同一である。しかし、2つのR基はまた、例えばX基の1つにブロッキング/保護基を用いて、第1の反応を第1のアルキンを用いて行い、保護されていないX基を転化し、ブロッキング/保護基を除去し、次いで続いて第2の反応を第2の異なるアルキンを用いて行うことによって、異なることができる。
【0043】
次に、以下に示されるように、2,7−ジアルキン−1−イル−BTBT1は還元されて、2,7−ジアルキル−[1]ベンゾチエノ[3,2−b]ベンゾチオフェン1aとなることができる。
【化9】

ここで、Pd/Cはパラジウム炭素触媒であり、THFはテトラヒドロフランである。同様の反応は、他の可能なR置換基に関して行うことができる。
【0044】
化合物1aを調製するための方法はまた、三塩化アルミニウムの存在下、[1]ベンゾチエノ[3,2−b]−ベンゾチオフェンコアBと、置換された酸クロライドとを反応させ、2,7−ジケトニルBTBT2を形成することを含む。
【化10】

【0045】
次に、ジケトニルBTBT2は、ジエチレングリコール中の水酸化カリウムの存在下、ヒドラジンを用いて変更されたウォルフキッシュナー還元を用いて脱酸素化される。これにより2,7−ジアルキル−[1]ベンゾチエノ[3,2−b]ベンゾチオフェン1bを形成する。
【化11】

この2工程方法は、特に短鎖R置換基(C〜C)について特に有効である。
【0046】
小分子半導体自体は、その結晶または液晶性質により、不十分なフィルム形成特性を有する。故に、半導体組成物はまた、ポリマー結合剤を含み、均一なフィルムを得ることができ、デバイスの性能を大きく改善する。ポリマー結合剤は、小分子半導体が分散されたマトリックスを形成すると考えられ得る。
【0047】
いずれかの好適なポリマーは、半導体組成物のためのポリマー結合剤として使用できる。いくつかの実施形態において、ポリマーは非晶質ポリマーである。非晶質ポリマーは、小分子半導体の融点温度未満のガラス転移温度を有していてもよい。他の実施形態において、非晶質ポリマーは、小分子半導体の融点温度よりも高いガラス転移温度を有する。実施形態において、ポリマーは、室温にて60Hzで測定される場合、4.5未満、好ましくは3.5未満(3.0未満を含む)誘電率を有する。実施形態において、ポリマーは、C、H、F、ClまたはN原子を含むポリマーから選択される。いくつかの実施形態において、ポリマーは、低極性ポリマー、例えば極性基を有していない炭化水素ポリマーまたはフルオロカーボンポリマーである。例えば、ポリスチレンは、非晶質ポリマーであり、約2.6の誘電率を有する。他の低極性ポリマーのリストとしては、以下のものが含まれるが、これに限定されるわけではない。フルオロポリアリールエーテル、ポリ(p−キシリレン)、ポリ(ビニルトルエン)、ポリ(α−メチルスチレン)、ポリ(a−ビニルナフタレン)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソプレン、ポリ(テトラフルオロエチレン)、ポリ(クロロトリフルオロエチレン)、ポリ(2−メチル−1,3−ブタジエン)、ポリ(シクロヘキシルメタクリレート)、ポリ(クロロスチレン)、ポリ(4−メチルスチレン)、ポリ(ビニル、シクロヘキサン)、ポリフェニレン、ポリ−p−フェニルビニリデン、ポリ(アリーレンエーテル)、ポリイソブチレン、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ[1,1−(2−メチルプロパン)ビス−(4−フェニル)カーボネート]、ポリ(a−a−a’−a’テトラフルオロ−p−キシリレン)、フッ素化ポリイミド、ポリ(エチレン/テトラフルオロエチレン)、ポリ(エチレン/クロロトリフルオロエチレン)、フッ素化エチレン/プロピレンコポリマー、ポリ(スチレン−co−a−メチルスチレン)、ポリ(スチレン/ブタジエン)、ポリ(スチレン/2,4−ジメチルスチレン)、CYTOP、ポリ(プロピレン−co−1−テブン)、ポリ(スチレン−co−ビニルトルエン)、ポリ(スチレン−ブロック−ブタジエン−ブロック−スチレン)、ポリ(スチレン−ブロック−イソプレン−ブロック−スチレン)、テルペン樹脂、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、ポリカルバゾール、ポリトリアリールアミンなど。
【0048】
半導体組成物によって形成された半導体層の移動度は、小分子半導体と特定ポリマーとの組み合わせによって影響を受ける可能性があることを見出した。式(I)の化合物は、多くの異なるポリマーと組み合わせることができる。一部の特定実施形態において、ポリマー結合剤はスチレン系ポリマーである。
【0049】
スチレン系ポリマーは、式(a)のスチレンモノマーから誘導される繰り返し単位を含む。
【化12】

式中、R、R、RおよびRは、独立に、水素、ハロゲン、およびC〜C20アルキルから選択され、nは0〜5の整数である。スチレンモノマーは、スチレン(R、RおよびRはすべて水素であり、n=0)、α−メチルスチレン(Rはメチルであり、RおよびRは水素であり、n=0)、または4−メチルスチレン(R、RおよびRはすべて水素であり、n=1、Rは4位のメチルである)であることができる。用語「スチレン系ポリマー」は、ホモポリマーおよびコポリマーの両方を包含することを意図する。用語「コポリマー」は、ランダム、交互およびブロックコポリマーを包含することを意図する。
【0050】
他の特定実施形態において、ポリマー結合剤は、アリールアミン系ポリマーである。アリールアミン系ポリマーは、式(b)、式(c)または式(d)の構造を有するモノマーから誘導される繰り返しユニットを有する。
【化13】

式中、R、R、R、RおよびRは、独立に、水素、ハロゲン、C〜C20アルキル、およびアリールから選択され、p’およびq’は、独立に、0〜5の整数であり、Rは、C〜C20アルキル、アリール、および置換されたアリールから選択される。用語「アリールアミン系」ポリマーは、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、ポリカルバゾール、およびトリアリールアミン系ポリマーを包含することを意図する。
【0051】
特定実施形態において、スチレン系ポリマーおよびアリールアミン系ポリマーとしては、ポリスチレン、ポリ(α−メチルスチレン)、ポリ(4−メチルスチレン)、ポリ(ビニルトルエン)、ポリ(α−メチルスチレン−co−ビニルトルエン)、ポリ(スチレン−ブロック−ブタジエン−ブロック−スチレン)、ポリ(スチレン−ブロック−イソプレン−ブロック−スチレン)、テルペン樹脂、ポリ(スチレン−co−2,4−ジメチルスチレン)、ポリ(クロロスチレン)、ポリ(スチレン−co−α−メチルスチレン)、ポリ(スチレン/ブタジエン)、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、ポリカルバゾール、およびポリトリアリールアミンが挙げられる。1つ以上のポリマー結合剤は、半導体組成物中に使用できることに留意されたい。
【0052】
式(II)の化合物は、上記で議論されたポリマー結合剤、特に上記で記載されたスチレン系ポリマーまたはアリールアミン系ポリマーと組み合わせる場合に最良に作用する。
【0053】
より詳細な実施形態において、ポリマー結合剤はスチレン系ポリマーである。特定実施形態において、スチレン系ポリマーは、約40,000〜約2,000,000の重量平均分子量を有する。いくつかの実施形態において、スチレン系ポリマーは、約100,000〜約1,000,000の分子量を有する。1つの好ましい実施形態において、ポリマー結合剤は、約40,000〜約2,000,000の重量平均分子量を有するポリスチレン、ポリ(α−メチルスチレン)、またはポリ(4−メチルスチレン)である。
【0054】
式(III)、(IV)、(V)および(VI)の化合物は、一般にいずれかのポリマー結合剤と組み合わせることができる。例示的なポリマー結合剤としては、上記で議論されたポリマー結合剤が挙げられ、他のポリマー、例えばポリ(ビニルシンナメート)、ポリシロキサン、ポリピロール、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリエステル、およびこれらの混合物が挙げられる。ポリマーは、約10,000〜約2,000,000(約40,000〜約1,000,000を含む)の重量平均分子量を有していてもよい。
【0055】
式(I)の小分子化合物とポリマー結合剤との重量比は、約99:1〜約1:3(約10:1〜約1:2、約5:1〜約2:3、または約3:2〜約3:4を含む)であってもよい。いくつかの実施形態において、式(I)の小分子半導体とポリマー結合剤との重量比は、約1:1である。式(II)の小分子半導体とスチレン系ポリマー結合剤との重量比は、望ましく約3:2〜約2:3であり、約1:1の比で最適に作用する。
【0056】
半導体組成物はさらに、小分子半導体およびポリマー結合剤が可溶性である溶媒を含んでいてもよい。溶液中に使用される例示的な溶媒としては、塩化溶媒、例えばクロロベンゼン、クロロトルエン、ジクロロベンゼン、ジクロロエタン、クロロホルム、トリクロロベンゼンなど、アルコールおよびジオール、例えばプロパノール、ブタノール、ヘキサノール、ヘキサンジオールなど、炭化水素または芳香族炭化水素、例えばヘキサン、ヘプタン、トルエン、デカリン、キシレン、エチルベンゼン、テトラヒドロナフタレン、メチルナフタレン、メチシレン、トリメチルベンゼンなど、ケトン、例えばアセトン、メチルエチルケトンなど、アセテート、例えばエチルアセテート、ピリジン、テトラヒドロフランなどを挙げることができる。
【0057】
小分子半導体およびポリマー結合剤は、半導体組成物の約0.05〜約20重量%(半導体組成物の約0.1〜約10重量%、または半導体組成物の約0.1〜約1.0重量%を含む)である。
【0058】
実施形態において、小分子半導体およびポリマー結合剤を含む半導体組成物は、約1.5センチポイズ(cps)〜約100cps(約2〜約20cpsを含む)の粘度を有していてもよい。高分子量のポリマー結合剤の使用により、半導体組成物の粘度が増大する。結果として、溶液堆積技術、例えばインクジェット印刷およびスピンコーティングを用いる際に均一な半導体層を形成する助けとなる。
【0059】
ボトムゲート型TFTは、それらが一般に製作がより簡便であるために有利な場合がある。しかし、以前の半導体/ポリマー複合体システムは、トップゲート型デバイスにおいてのみ高い移動度を達成できた。本開示の半導体組成物を利用する場合、高い移動度はまた、図1〜3に示されるデバイスのようにボトムゲート型デバイスにおいて達成できる。
【0060】
半導体層は、当該技術分野において既知の従来のプロセスを用いて電子デバイスに形成されてもよい。実施形態において、半導体層は、溶液堆積技術を用いて形成される。例示的な溶液堆積技術としては、スピンコーティング、ブレードコーティング、ロッドコーティング、浸漬コーティング、スクリーン印刷、インクジェット印刷、スタンプ印刷、ステンシル印刷、スクリーン印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷などが挙げられる。
【0061】
堆積された後、半導体組成物は、場合により、半導体組成物中に使用される小分子半導体の融点よりも低い高温において熱処理(例えば乾燥またはアニーリングによる)される。使用される小分子半導体に依存して、熱処理の温度は変動し得る。例えば、熱処理は、200℃未満、150℃未満、または100℃未満の温度にて行われてもよい。一般に、半導体層は、小分子半導体の融点より高い温度を有する熱処理プロセスを行わない。いくつかの実施形態において、特に式(I)の小分子半導体を使用する実施形態では、半導体組成物から半導体層の製作中にアニーリング工程はない。小分子半導体の融点より高い温度でのアニーリングは、小分子半導体およびポリマー結合剤の顕著な相分離を生じ、ならびに小分子半導体の平均結晶サイズを増大させる。結果として電子デバイスは、不十分な電気性能を示す。
【0062】
図1〜4に示されるボトムゲート型およびトップゲート型実施形態において、アライメント層は、半導体層の前に載置される。アライメント処理は、ソース電極、ドレイン電極、および半導体層が堆積される前にアライメント層の表面にて行うことができる。図4のトップゲート型実施形態において、ゲート誘電体層およびゲート電極は、続いて半導体層上に堆積される。
【0063】
いくつかの実施形態において、小分子半導体は、液晶材料であり、または換言すれば、半導体は、高温にて液晶化合物(例えば、少なくとも液晶相、例えばネマチックまたはスメクチック相)である。アニーリングは、アライメント層上に小分子半導体の巨視的アライメントを達成することに役立つ。実施形態において、アニーリングは、小分子半導体の液晶相−等方相転移未満の温度にて行われる。いくつかの実施形態において、アニーリングは、小分子半導体の結晶−液晶相転移温度よりも高い温度にて行われる。他の実施形態において、アニーリングは、結晶−液晶相転移温度未満の温度にて行われる。
【0064】
特定実施形態において、小分子半導体は、特に室温にて結晶性であり、100ナノメートル以下の半導体層における平均結晶サイズを有する。特定実施形態において、平均結晶サイズは50ナノメートル以下である。より詳細な実施形態において、平均結晶サイズは35ナノメートル以下である。結晶性の小分子半導体は、一般に5ナノメートルを超える結晶サイズを有する。平均結晶サイズは、X線回折、透過電子顕微鏡(TEM)、走査電子顕微鏡(SEM)、原子間力顕微鏡(AFM)などのような方法を用いて測定できる。平均結晶サイズの測定は、球状体積の直径として表現される。しかし、特定のモルホロジーまたは形状を有する小分子半導体の結晶を必要とするものとして解釈されるべきではない。
【0065】
半導体組成物を用いて形成される半導体層は、約5ナノメートル〜約1000ナノメートル深さ(約20〜約100ナノメートル深さを含む)であることができる。特定構成、例えば図1に示される構成において、半導体層は、完全にソースおよびドレイン電極を覆う。
【0066】
TFTの性能は、移動度によって測定できる。移動度は、cm/V・secの単位で測定され、より高い移動度が望ましい。本開示のアライメント層および半導体層を含む得られたTFTは、少なくとも0.8cm/V・sec(少なくとも0.9cm/V・sec、または少なくとも1.0cm/V・secを含む)の電界効果移動度を有していてもよい。本開示のTFTは、少なくとも10(少なくとも10を含む)の電流オン/オフ比を有していてもよい。
【0067】
薄膜トランジスタはまた、アライメント層および半導体層に加えて、一般に基板、任意のゲート電極、ソース電極、ドレイン電極、および誘電体層を含む、
【0068】
基板は、ケイ素、ガラスプレート、プラスチックフィルムまたはシートが挙げられるが、これらに限定されない材料を含み得る。構造的に可撓性のデバイスのために、プラスチック基板、例えばポリエステル、ポリカーボネート、ポリイミドシートなどが好ましい場合がある。基板厚さは、約10マイクロメートルから10ミリメートルを超えてもよく、例示的な厚さは特に可撓性プラスチック基板について約50〜約100マイクロメートル、硬質基板、例えばガラスまたはケイ素については約0.5〜約10ミリメートルである。
【0069】
誘電体層は、一般に、無機材料フィルム、有機ポリマーフィルム、または有機−無機複合フィルムであることができる。誘電体層として好適な無機材料の例としては、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸化アルミニウム、チタン酸バリウム、チタン酸バリウムジルコニウムなどが挙げられる。好適な有機ポリマーの例としては、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリ(ビニルフェノール)、ポリイミド、ポリスチレン、ポリメタクリレート、ポリアクリレート、エポキシ樹脂などが挙げられる。誘電体層の厚さは、使用される材料の誘電率に依存し、例えば約10ナノメートル〜約500ナノメートルであることができる。誘電体層は、例えばセンチメートルあたり約10−12ジーメンス(S/cm)未満の伝導率を有していてもよい。誘電体層は、当該技術分野において既知の従来のプロセス(ゲート電極を形成する際に記載されたプロセスを含む)を用いて形成される。
【0070】
ゲート電極は、電気伝導性材料を含む。ゲート電極は、金属薄膜、伝導性ポリマーフィルム、伝導性インクまたはペーストから製造される伝導性フィルム、または基板自体、例えば重ドープされたケイ素であることができる。ゲート電極材料の例としては、これらに限定されないが、アルミニウム、金、銀、クロム、酸化インジウムスズ、伝導性ポリマー、例えばポリスチレンスルホネートドープされたポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(PSS−PEDOT)、およびカーボンブラック/グラファイトを含む伝導性インク/ペーストが挙げられる。ゲート電極は、真空蒸着、金属または伝導性金属酸化物のスパッタリング、従来のリソグラフィおよびエッチング、化学蒸着、スピンコーティング、キャスティングまたは印刷または他の堆積プロセスによって調製できる。ゲート電極の厚さは、例えば金属フィルムでは約10〜約200ナノメートル、伝導性ポリマーでは約1〜約10マイクロメートルの範囲である。ソースおよびドレイン電極として使用するのに好適な典型的な材料としては、ゲート電極材料の材料、例えばアルミニウム、金、銀、クロム、亜鉛、インジウム、伝導性金属酸化物、例えば酸化亜鉛ガリウム、酸化インジウムスズ、酸化インジウムアンチモン、伝導性ポリマーおよび伝導性インクが挙げられる。ソースおよびドレイン電極の典型的な厚さは、例えば約40ナノメートル〜約1マイクロメートル(より詳細な厚さは約100〜約400ナノメートルを含む)である。
【0071】
ソースおよびドレイン電極として使用するのに好適な典型的な材料としては、ゲート電極材料の材料、例えば金、銀、ニッケル、アルミニウム、白金、伝導性ポリマー、および伝導性インクが挙げられる。特定実施形態において、電極材料は、半導体に対して低接触抵抗を与える。典型的な厚さは、例えば約40ナノメートル〜約1マイクロメートルであり、より詳細な厚さは、約100〜約400ナノメートルである。本開示のOTFTデバイスは、半導体チャンネルを含む。半導体チャンネル幅は、例えば約5マイクロメートル〜約5ミリメートルであってもよく、特定のチャンネル幅は約100マイクロメートル〜約1ミリメートルである。半導体チャンネル長さは、例えば約1マイクロメートル〜約1ミリメートルであってもよく、より詳細にはチャンネル長さは約5マイクロメートル〜約100マイクロメートルである。
【0072】
ソース電極は、接地され、例えば約0ボルト〜約80ボルトのバイアス電圧は、ドレイン電極に印加され、例えば約+10ボルト〜約−80ボルトの電圧がゲート電極に印加される場合に、半導体チャンネルにわたって輸送された電荷キャリアを回収する。電極は、当該技術分野において既知の従来のプロセスを用いて形成または堆積されてもよい。
【0073】
所望により、バリア層はまた、電気的特性を劣化させ得る環境条件、例えば光、酸素および湿分などから保護するために、TFTの頂部上に堆積されてもよい。こうしたバリア層は、当該技術分野において既知であり、ポリマーだけからなってもよい。
【0074】
OTFTの種々の構成要素は、いずれかの順序で基板上に堆積されてもよい。しかし、一般に、ゲート電極および半導体層は両方とも、ゲート誘電体層と接触すべきである。加えて、ソースおよびドレイン電極は両方とも、半導体層と接触すべきである。「いずれかの順序で」という語句は、連続した形成および同時形成を含む。例えば、ソース電極およびドレイン電極は、同時または連続的に形成できる。基板「上(on)」または「上(upon)」という用語は、種々の層および構成要素が頂部上にあり、これらの底部または支持体である基板に対して種々の層および構成要素を言及する。換言すれば、構成要素のすべては、それらすべてが基板と直接接触しない場合であっても、基板上にある。例えば、誘電体層および半導体層の両方は、一方の層が他の層よりも基板に近くても、基板上にある。得られたTFTは、良好な移動度および良好な電流オン/オフ比を有する。
【0075】
次の実施例は、本開示をさらに例示するためのものである。実施例は、例示にすぎず、開示に従って製造されたデバイスを、そこに記載される材料、条件またはプロセスパラメータに限定することを意図しない。すべての部およびパーセンテージは、特に指示のない限り重量による。
【実施例】
【0076】
比較例1
n−ドープされたシリコンウェハを基板として提供した。酸化ケイ素誘電体層をウェハ上で熱成長させた。誘電体層を200nmの厚さに成長させた。誘電体層の表面をヘキサメチルジシラザン(HMDS)で修飾した。HMDS層は、約0.3nm厚さであった。
【0077】
半導体溶液は、15mgのポリスチレンおよび15mgの2,7−ジトリデシル−[1]ベンゾチエノ[3,2−b]ベンゾチオフェンを2グラムのクロロベンゼン溶媒に溶解させることによって形成した。半導体溶液を修飾された基板上にスピンコーティングし、均一フィルムを形成した。フィルムを70〜80℃で30分間乾燥させ、半導体層を形成した。金ソースおよびドレイン電極を半導体層の頂部上に真空蒸着し、デバイスを仕上げた。いくつかのデバイスを製造した。
【0078】
比較例2
デバイスは、比較例1に記載されるように形成された。しかし、誘電体層の表面は、代わりにオクチルトリクロロシラン(OTS−8)で修飾した。OTS−8層は約0.7nm厚さであった。
【0079】
比較例の試験
2つの比較例で形成されたトランジスタは、KEITHLEY(登録商標)4200 Semiconductor Characterization Systemを用いて周囲条件で特徴付けた。少なくとも10個のデバイスを評価した。測定された最高の移動度は、0.77cm/V・secであった。デバイスの平均移動度は、比較例1(HMDS修飾)のデバイスについて約0.48cm/V・sec、比較例2(OTS−8修飾)のデバイスについて約0.53cm/V・secであった。
【0080】
実施例1
n−ドープされたシリコンウェハを基板として提供した。酸化ケイ素誘電体層をウェハ上で熱成長させた。誘電体層を200nm厚さに成長させた。誘電体層の表面は、OTS−8で修飾した。OTS−8層は約0.7nm厚さであった。次いでOTS−8層を、摩擦機のビロード布を用いて一方向に1000rpmにて優しく摩擦した。
【0081】
半導体溶液は、15mgのポリスチレンおよび15mgの2,7−ジトリデシル−[1]ベンゾチエノ[3,2−b]ベンゾチオフェンを2グラムのクロロベンゼン溶媒に溶解させることによって形成した。半導体溶液を修飾された基板上にスピンコーティングし、均一フィルムを形成した。フィルムを70〜80℃で30分間乾燥させ、半導体層を形成した。
【0082】
金ソースおよびドレイン電極を半導体層の頂部上に真空蒸着し、チャンネル長さが摩擦方向に沿うようにした。いくつかのデバイスを製造した。
【0083】
トランジスタは、KEITHLEY(登録商標)4200 Semiconductor Characterization Systemを用いて周囲条件で特徴付けた。少なくとも10個のデバイスを評価した。測定された最高の移動度は、1.5cm/V・secであった。デバイスの平均移動度は、約0.9cm/V・secであった。比較例に比べて、平均移動度は、最高移動度と同様に約2倍改善された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
小分子半導体およびポリマー結合剤を含む半導体層と、
前記半導体層と接触した状態のアライメント層とを含む、電子デバイス。
【請求項2】
ゲート電極、ソース電極、およびドレイン電極であって、前記ソース電極およびド前記レイン電極がトランジスタチャンネルを規定する電極と、
ゲート誘電体層と、
小分子半導体とポリマー結合剤とを含む半導体層と、 前記半導体層と接触した状態のアライメント層であって、前記小分子半導体が、前記トランジスタチャンネルの方向に沿って配列しているアライメント層と、を含む薄膜トランジスタ。
【請求項3】
基板上にアライメント層を堆積させる工程と、
前記アライメント層をトランジスタチャンネル方向に配列させる工程と、
前記アライメント層上に半導体層を堆積させる工程と、
ソース電極およびドレイン電極を堆積させる工程であって、前記ソース電極および前記ドレイン電極がトランジスタチャンネルを規定する工程と、を含む薄膜トランジスタデバイスを形成する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−4965(P2013−4965A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−114902(P2012−114902)
【出願日】平成24年5月18日(2012.5.18)
【出願人】(596170170)ゼロックス コーポレイション (1,961)
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
【Fターム(参考)】