説明

電子ビームを受けて蒸発するターゲット、その製造方法、ターゲットから得られる遮熱材およびコーティング、ならびにこのコーティングを含む機械部品

【課題】電子ビームを照射された時の熱衝撃により破壊を生じないターゲットを提供する。
【解決手段】セラミック粉末で作成された棒の形態を有し、電子ビームを受けて気化するように設計された複合ターゲットで、このターゲットは、ジルコニアと少なくとも1種のジルコニア安定剤を含む。特徴として、前記ジルコニア安定剤が2%〜30%の範囲にあるモル含有率で存在し、前記ジルコニアが90%超で単斜晶相から形成される点に特徴がある。電子ビームを受けて気化することにより形成され、熱伝導率が低く熱機械強度が高いセラミック遮熱材を作成するのに応用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子ビームを受けて気化させる目的のセラミック粉末でできた棒の形態の複合ターゲットに関するものであり、前記の棒はジルコニアおよび少なくとも1種のジルコニア安定剤を含み、本発明はその製造方法にも関する。
【0002】
本発明は、このようなターゲットに電子ビームを当て蒸着させることによって形成され、セラミックでできた、低い熱伝導率および高い熱機械強度を有する遮熱材の作成にも関する。
【0003】
本発明は、遮熱材などを含むセラミックコーティング、およびこれらのコーティングを含む超合金機械部品にも関する。
【背景技術】
【0004】
特に航空機の分野においては、ターボマシンの効率を高め、燃費ならびにガスおよび未燃焼燃料の環境汚染性排出物を減少させようとして、燃料の燃焼は化学量論に近い条件で行われている。こうした状況に伴って、燃焼室を出てタービンに向かうガスの温度が上昇している。
【0005】
したがって、タービンブレード(中空ブレード)を冷却する技術を改良することにより、および/または高温耐性に関するこの様な材料の特性を改善することにより、タービン中で使用する材料をこの温度上昇に適合させることが必要になった。この第2の技術は、ニッケルおよび/またはコバルトをベースとする超合金の使用とあいまって、遮熱材として知られる断熱性材料のコーティングを堆積することを含め、種々の解決策をもたらした。
【0006】
定常的な運転条件では、冷却された部品に関して、セラミックコーティングは、厚さ約150マイクロメートル(μm)のコーティングに対して全体で200℃を超える差のある場合に、そのコーティングを通して温度勾配を確立することが可能である。例えばコーティングの基質を形成している下地金属の運転温度はその勾配によって低下し、したがって、必要とする冷却用空気の体積を著しく節約し、ならびに部品の寿命およびタービンエンジンの比燃費を顕著に改善する。
【0007】
もちろん、遮熱材の特性ならびに特に基質との結合性を改善するために、基質とコーティングとの間に下地層を含めることが可能である。特に、場合によって白金、クロム、パラジウム、ルテニウム、イリジウム、オスミウム、ロジウム、またはこれら金属の混合物から選択された金属、および/またはジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、およびイットリウム(Y)から選択された反応性元素を含むニッケルアルミニド、および/またはMCrAlY型の合金(Mはニッケル、コバルト、鉄、またはこれらの混合物から選択された金属)を含有する、1種または複数のアルミニドで構成された下地層を作成することが知られている。
【0008】
通常セラミックコーティングは、コーティングされる部品の上に、スプレー法(特にプラズマスプレー)、あるいは物理的蒸着技術、すなわち蒸着法、特に真空蒸着用容器内で電子の衝撃下に蒸着されるコーティングを形成する電子ビーム物理的蒸着法(EB−PVD)のいずれかによって蒸着される。
【0009】
スプレーされたコーティングに関しては、ジルコニアをベースとした酸化物がプラズマスプレー型の技法によって堆積され、溶融されて次いで衝突で急冷された多量の液滴で構成されたコーティングの形成をもたらし、不完全に緻密化されて一般に50μm〜1ミリメートル(mm)の範囲にある厚みをもつ沈着物を形成するために平らにされ積み重ねられる。
【0010】
物理的に堆積させられたコーティング、特に電子衝撃を受けた気化によって堆積させられたコーティングは、被覆される表面にほぼ垂直に配向した柱状物の集まりででき、20μm〜600μmの範囲にある厚みのコーティングになる。柱状物の間の空間は、コーティングが、稼動温度において超合金基質とは異なった伸びによる、およびブレードの回転による遠心機械応力による、熱機械応力を効果的に補償することを可能にして、有利である。こうして、高温での熱疲労を受けたときに長寿命を有する部品が得られる。
【0011】
通常あるように、このような遮熱材は、遮熱材を含む機械部品の外部コーティングと、部品を構成している材料を形成するコーティングの基質との間で、熱伝導性における不連続性をもたらす。
【0012】
熱伝導性に大きな不連続性をもたらす遮熱材は、コーティングと基質の間、さらに正確には、下地層とセラミック遮熱材の界面において、分断する高いリスクを受けていることが認められるのが通例である。
【0013】
現在、約1500℃の表面温度に、したがって基質内では約1300℃に上昇するのに、耐える機械部品を可能にする遮熱材組成物を得ることが望まれている。現在使用されている遮熱材は、約1200℃〜1300℃の表面温度に、したがって基質内が約1000℃〜1100℃に、耐える機械部品を可能にしている。
【0014】
膨張係数は基質を構成する超合金に近いものを有し、極めて低い熱伝導性の、ジルコニアによって構成されたベース材料から得られた遮熱材を使用することが知られている。
【0015】
本発明は、電子ビームを当ててターゲットを気化して得られる、コーティングの型に関する。使用したターゲットは電子ビームによって照射されたときに熱衝撃を受け、特にターゲットが欠陥および/または不規則性を示しているなら、その熱衝撃はターゲットの破壊をもたらしうる。ターゲットが破壊した場合、規則的に蒸発することによって材料を放出することがもはやできず、これ以上使用できない。
【0016】
欧州特許出願第1,055,743号は電子ビーム蒸発によって堆積できる材料に関するもので、この場合、照射によって温度が上昇したときに生じる材料の体積変化を、温度が500℃から1200℃に上昇するに従って正方晶ジルコニアに変化する単斜晶ジルコニアとの間での相転移によって引き起こされる4%の体積減少により、少なくとも部分的に補償することが望まれる。より正確には、この補償が極めて広い温度範囲で生じるのを確実にするために、単斜構造の粉末の粒子径を広い分布にする措置が講じられる。
【0017】
欧州特許第1,055,743号は、熱衝撃に耐える性能を改善する目的で、単斜晶ジルコニアを25%〜90%の濃度で、好ましくは40%〜85%の範囲で、使用することも提供している。ドイツ特許第4,302,167号にあるように、熱衝撃に対する改良された耐性は、正方晶相と単斜晶相の間での相転移の最中のマイクロクラックの出現によってもたらされ、温度が降下する間、このマイクロクラックはクラックが成長するのを阻止するために、熱衝撃エネルギーを吸収することができ、したがって材料が破壊するのを防ぐ。欧州特許第1,055,743号によれば、単斜晶ジルコニアの上述した2つの役割が、熱衝撃に対する耐性を高めるのに役立つ。
【0018】
欧州特許第1,055,743号によれば、ターゲットは、こうした数値範囲の外では使用できない。より正確には、ジルコニアの単斜晶相の含有率が25%未満である場合、相転移での体積減少による、蒸発の最中の熱膨張の補償が低下して、マイクロクラックの割合が少なくなりすぎ、したがって耐熱衝撃性を限定する。ジルコニアの単斜晶相含有率が90%を超える場合、蒸発に固有の温度上昇に続く冷却の最中には、正方晶ジルコニアから単斜晶ジルコニアに転移する相変化により誘導される体積膨張が大きすぎて、したがってクラック(シームまたは急冷クラック)を招き、ターゲットの強度を大きく低下させ、その破壊に至りうる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本発明の目的は、棒の形態をした、ジルコニアと少なくとも1種のジルコニア安定剤を含むセラミック粉末の1種または複数の混合物で構成され、電子ビームを当てて蒸発するように設計された、複合ターゲットを得ることを可能にする解決策を提供することであり、それは再現可能な方法で容易に実施できて、良好な品質のターゲットを与える。
【0020】
したがって本発明の目的は、ターゲットの組成と同一の組成を有する堆積セラミックス層を得るために、電子ビームを受けて気化させるためのセラミックターゲットが得られることを可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
この目的のために、本発明は、電子ビームを受けて蒸発するためのセラミック粉末でできた棒の形態をした複合ターゲットを提供するもので、このターゲットはジルコニアと少なくとも1種のジルコニア安定剤とを含み、安定剤は2%〜30%の範囲にあるモル含有率で含まれ、ジルコニアは90%超の単斜晶相から形成される特徴がある。
【0022】
驚くべきことに、欧州特許第1,055,743号の教示に反して、単斜晶ジルコニアの90%を超える含有率は、求められているターゲットの冷却時の強度特性および熱衝撃への耐性と完全に両立する。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明は、この用途で最適である機械特性をもつ、すなわち熱衝撃に対して良好な耐性を提供するためにかなり柔軟な、それでいて損傷を受けることなくターゲットを取り扱うことが可能な十分な強度のターゲットを得ることを可能にした。
【0024】
90%を超える含有率でジルコニアの単斜晶相を示すターゲットの気化挙動は、ターゲットの別の特性、特に細孔径、比重、および気孔率の変動には、影響がより小さいことが分った。
【0025】
例えば、一定の比重で、0.4μm〜1.5μmの範囲での細孔径の変動、または一定の細孔径で、2.8〜3.3の範囲での比重の変動は、気化によって堆積させる最中での挙動に関して、またはこの堆積によって得られたコーティングの特性に関して、同じ結果になることが観察された。
【0026】
ターゲットの特性の上述した変動は、粉末のバッチを交換したとき、したがって粉末中の粒子の平均粒子径および比表面積が変化したときに起こりうる。粉末の一つのバッチから別のバッチに換えると、粒子径または比表面積の小さな変動がしばしば観察される。
【0027】
したがって、ターゲット中で90%を超える含有率でジルコニアの単斜晶相を提供することを選択することにより、製造パラメータを修正することなく、あるいは使用する粉末の変動する特性値に拘わらず、同じターゲットの製造方法を使うことが可能である。
【0028】
ターゲットにおいては、前記ジルコニアは98%超の単斜晶相から形成されることが好ましい。
【0029】
好ましい処理では、前記安定剤は、希土類酸化物、酸化タンタル、および酸化ニオブから形成される群に属する少なくとも1種の元素を含む。この点に関して、希土類の語句は、ランタニド(ランタン、セリウム、プラセオジミウム、ネオジウム、プロメチウム、サマリウム、ユーロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、およびルテチウム)、ならびにスカンジウムおよびイットリウムを示すのに使用される。
【0030】
ターゲットの比重は、3.9未満が好ましく、2.5〜3.3の範囲にあるのが好ましい。
【0031】
また、ターゲットは、2μm未満の平均細孔径d50(0.2μm〜1.5μmの範囲にあるのが好ましく、0.4μm〜1.2μmの範囲にあるのがより好ましい)、30%〜50%の気孔率を示すのが好ましい。
【0032】
平均細孔径によって、およびターゲットの比重によって構成されるこれら2つのパラメータは、ターゲットの機械強度に、および気化の最中での挙動に、および特に熱衝撃に対する耐性に影響を及ぼす。これらの因子は、適切に出発原料を選択することにより、および製造パラメータを選択することにより、制御することができる。
【0033】
本発明は、高さに沿って変化する組成を示すターゲットにも関する。
【0034】
本発明は、先に定義したような、棒の形態をした、セラミック粉末からなり、電子ビームを受けて気化する目的のための、複合ターゲットの製造方法をも提供する。本発明によれば、この方法は、
a)バインダーとジルコニアおよび少なくとも1種のジルコニア安定剤を含む粉末とからなり、前記ジルコニアの90%超が単斜晶相から形成される第1組成物を含む、少なくとも第1混合物を調製するステップと、
b)前記混合物を型に導入するステップと、
c)前記の型内で混合物を圧縮成形するステップと、
d)圧縮成形した混合物を1500℃未満の温度で焼成するステップを、
含むことに特徴がある。
【0035】
安定化温度は、考察中の粉末系の関数である。それは通常1500℃未満であり、900℃〜1100℃の範囲にあるのが好ましい。
【0036】
ターゲット中での90%超の単斜晶相含有率を保持するためには、焼成温度は十分に低くなければならず、すなわち粉末の粒子間に確立されたブリッジに伴うジルコニアの安定化を制限すると、熱衝撃に対する耐性の低下を招く。
【0037】
純粋なジルコニア粉末、すなわち安定化されていない粉末を使用すると、ステップa)の中で、多様な組成をもつターゲットを低コストで作成することが可能になる。市場では、一定の含有率のY、MgO、CaO、およびCeOで構成されたより一般的な安定剤(特に、ZrOの量に対して、Yが3%、4%、または5%)で安定化された、ジルコニア類が一般に販売されている。別の型の安定化剤(例えば、希土類酸化物)により、または特殊な含有率で安定化された粉末を合成するのは高価になる。合成は、化学的方法(高価な前駆体)、または物理的方法(混合物の焼成、次いで粉砕および所望の粒径範囲を得るための篩い分け)で行われる。さらに、原料粉末の1種または複数の混合物を使用することで、ターゲットの長さに沿った全ての断面で化学組成を制御することができ、したがって、必要に応じて、コーティングの厚みの中で所与の化合物の含有率を変えることが可能である。したがってこの方法は、異なる組成をもつ複数のセグメントから作成される複合ターゲットを作成する場合、前もって数多くの安定化ジルコニア混合物の合成をしなくて済む。
【0038】
バインダーは水性、すなわち水分を含むものが好ましいが、ポリビニルアルコールなどの有機バインダーを含めてもよい。
【0039】
好ましい処理では、前記安定剤は、希土類酸化物、酸化タンタル、および酸化ニオブから作成される群に属す少なくとも1種の元素を含む。この点に関して、希土類の語句は、ランタニド(ランタン、セリウム、プラセオジミウム、ネオジウム、プロメチウム、サマリウム、ユーロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、およびルテチウム)、ならびにスカンジウムおよびイットリウムを示すのに使用される。
【0040】
ステップa)が、バインダーとジルコニアおよび少なくとも1種のジルコニア安定剤を含む粉末とから作成される第2組成物を有する、少なくとも第2の混合物を調製することを含み、前記ジルコニアが90%超が単斜晶相からなり、ステップb)は第1の混合物と第2の混合物を続けて導入し、それによって高さに沿って変化する組成を有するターゲットを得ることが好ましい。
【0041】
前記セラミック粉末は、5μm〜30μmの範囲にある平均粒子径、あるいはグラム当り10平方メートル(m/g)未満の比表面積、および3m/g〜8m/gの範囲にある比表面積を示すことが好ましい。
【0042】
別の処理では、前記セラミック粉末は5μm未満の平均粒子径を示し、ステップa)は粉末をバインダー中に導入する前に粉末を焼成するサブステップを含む。
【0043】
この焼成ステップは、粉末の粒子径を、5μm〜30μmの範囲にある数値に再調整することを可能にする。
【0044】
本発明はまた、低い熱伝導率および高い熱機械強度をもつセラミック遮熱材を提供するもので、上記で指定された型のターゲットを、電子ビームを受けて気化させることにより形成され、超合金基質上に堆積することに特徴がある。
【0045】
本発明はまた、結合下地層、4%〜12%の範囲にある酸化イットリウムのモル含有率を有するイットリウム化ジルコニアをベースとする第1セラミック層、および前段落で定義された遮熱材で形成された第2セラミック層を含み、前記第1セラミック層が前記結合下地層と前記第2セラミック層の間に位置しているセラミックコーティングを提供する。
【0046】
最後に、本発明は、超合金ででき、上記で指定された型のターゲットから得られた遮熱材を有するセラミックコーティングを含むことに特徴のある機械部品をも提供する。
【0047】
特に、機械部品に関する以下の有利な構成は、本発明に従って実施できる。
・前記セラミックコーティングをその上に堆積させる、結合下地層をさらに含み、
・前記結合下地層は酸化により保護アルミナ層を形成するのに適した合金によって構成され、
・前記結合下地層はMCrAlY型の合金で構成され、Mはニッケル、コバルト、鉄、およびこれら金属の混合物から選択された金属であり、
・前記結合下地層が、場合によって白金、クロム、パラジウム、ルテニウム、イリジウム、オスミウム、ロジウム、またはこれら金属の混合物から選択された金属、および/またはジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、およびイットリウム(Y)から選択された反応性元素を含むニッケルアルミニドで構成され、および/または
・前記セラミックコーティングがさらに、前記下地層の上に、4%〜12%の範囲にある酸化イットリウムのモル含有率を有するイットリウム化ジルコニアをベースとしたセラミック層を含む。
【0048】
本発明のこの他の有利な点および特徴的な点は、限界を設けずに与えられるターゲットの実施形態の以下の記述を読むと、明らかになる。
【実施例1】
【0049】
以下の条件下にターゲットを調製した。
・>99.9%の純度を有する、ZrO(100%単斜晶、平均粒子径d50=25μm、および比表面積1.20m/g)およびY粉末(ZrOの量に対して4モル%、平均粒子径d50=5.16μm)を混合し、
・全混合物に対して3.5重量%の含有率で、ポリビニルアルコールの形のバインダーを添加し、
・この混合物を型に導入し、
・100バールの圧を加え(等方圧加圧)、および
・1300℃で1時間焼成した。
【0050】
その様にして得られたターゲットは、比重3.27、平均細孔径d50=2.04μm、気孔率44%、単斜結晶相含有率91.7%、熱膨張係数6.8×10−2、および全体積収縮率3.7%を示した。
【0051】
それでも、ターゲットに成形した棒は850℃までの予熱でクラックが生じ、堆積させることは全くできなかった。
【実施例2】
【0052】
以下の条件下にターゲットを調製した。
・>99.9%の純度を有する、ZrO(100%単斜晶、平均粒子径d50=16.7μm、および比表面積4.4m/g)およびY粉末(ZrOの量に対して4モル%、平均粒子径d50=0.99μm)を混合し、
・全混合物に対して3.0重量%の含有率で、ポリビニルアルコールの形のバインダーを添加し、
・この混合物を型に導入し、
・1600バールの圧を加え(等方圧加圧)、および
・1000℃で1時間焼成した。
【0053】
その様にして得られたターゲットは、比重3.11、平均細孔径d50=0.75μm、気孔率44%、単斜結晶相含有率100%、熱膨張係数0.78×10−2、および全体積収縮率7.4%を示した。
【0054】
この棒で首尾よく堆積物を作ることができ、遮熱材を形成するセラミック層を創作した。
【実施例3】
【0055】
以下の条件下にターゲットを調製した。
・>99.9%の純度を有する、ZrO(100%単斜晶、平均粒子径d50=21.8μm、および比表面積7.7m/g)およびDy粉末(ZrOの量に対して12モル%、平均粒子径d50=2.97μm)を混合し、
・全混合物に対して4.0重量%の含有率で、ポリビニルアルコールの形のバインダーを添加し、
・この混合物を型に導入し、
・1600バールの圧を加え(等方圧加圧)、および
・1000℃で1時間焼成した。
【0056】
その様にして得られたターゲットは、比重3.14、平均細孔径d50=0.40μm、気孔率49%、単斜結晶相含有率95%、熱膨張係数0.55×10−2、および全体積収縮率9.5%を示した。
【0057】
この棒で首尾よく堆積物を作ることができ、遮熱材を形成するセラミック層を作成した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジルコニア安定剤が2%〜30%の範囲にあるモル含有率で含まれ、ジルコニアの90%超が単斜晶相から形成されることを特徴とする、ジルコニアおよび少なくとも1種のジルコニア安定剤を含み、電子ビームを受けて気化することを目的とするセラミック粉末で作成された棒の形態の複合ターゲット。
【請求項2】
安定剤が希土類酸化物、酸化タンタル、および酸化ニオブから形成される群に属する少なくとも1種の元素を含むことを特徴とする請求項1に記載のターゲット。
【請求項3】
3.9未満の比重を示すことを特徴とする請求項1または2に記載のターゲット。
【請求項4】
2μm未満の平均細孔径d50を示すことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のターゲット。
【請求項5】
30%〜50%の気孔率を示すことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のターゲット。
【請求項6】
高さに沿って変化する組成を示すことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載のターゲット。
【請求項7】
a)バインダーとジルコニアおよび少なくとも1種のジルコニア安定剤を含む粉末とからなり、前記ジルコニアの90%超が単斜晶相から形成される第1組成物を含む、少なくとも第1混合物を調製するステップと、
b)前記混合物を型に導入するステップと、
c)前記型内で混合物を圧縮成形するステップと、
d)圧縮成形した混合物を1500℃未満の温度で焼成するステップと、
を含むことを特徴とする、ターゲットがセラミック粉末で作成され、電子ビームを受けて気化するように意図された、請求項1から6のいずれか一項に記載の棒の形態の複合ターゲットの製造方法。
【請求項8】
前記安定剤が希土類酸化物、酸化タンタル、および酸化ニオブから形成される群に属する少なくとも1種の元素を含むことを特徴とする請求項7に記載の製造方法。
【請求項9】
ステップa)が、バインダーとジルコニアおよび少なくとも1種のジルコニア安定剤を含む粉末とからなる第2組成物を有する、少なくとも1種の第2の混合物を調製することを含み、前記ジルコニアが90%超が単斜晶相から形成され、ステップb)は第1の混合物と第2の混合物を続けて導入し、それによって高さに沿って変化する組成を有するターゲットを得ることを特徴とする請求項7または8に記載の製造方法。
【請求項10】
前記セラミック粉末が5μm〜30μmの範囲にある平均粒子径を示すことを特徴とする請求項7から9のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項11】
前記セラミック粉末が5μm未満の平均粒子径を示し、ステップa)がバインダーの導入に先立って粉末を焼成するサブステップを含むことを特徴とする請求項7から9のいずれか一項に記載の製造方法。

【公開番号】特開2010−209472(P2010−209472A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−94169(P2010−94169)
【出願日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【分割の表示】特願2004−295685(P2004−295685)の分割
【原出願日】平成16年10月8日(2004.10.8)
【出願人】(505277691)スネクマ (567)
【出願人】(599102789)
【Fターム(参考)】