説明

電子マネー機能付き通信装置

【課題】プリペイド機能を利用して、利便性を高めた電子マネー機能付き通信装置を提供することを目的とする。
【解決手段】電子マネー機能付き通信装置であって、無線通信を使用して電子貨幣供給装置から電子貨幣を記憶手段に蓄積する電子貨幣蓄積手段82と、電子貨幣蓄積手段82が記憶手段に蓄積した電子貨幣によって料金の精算を行う精算手段と、を備えた通信装置。
通信装置としては、携帯電話、PHS、電話、通信装置、可搬型端末、PDA、PC等を挙げることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
電子マネー機能付き通信装置に関する。通信装置としては、携帯電話、PHS(Personal Handyphone System)、電話、通信装置、可搬型端末、PDA(Personal Digital Assistant)、PC(Personal Computer)等を挙げることができる。
【背景技術】
【0002】
最近、IC(Integrated Circuit)タグ(タグチップ、RFID(Radio Frequency IDentI/Fication DevICe)チップ)を搭載した携帯電話が開発され、プリペイド機能を実現している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、商品化されてからまだ日が浅いので、単に商品の購入代金として電子マネーで支払うような利用のみであり、利便性に欠けるところが多々ある。
【0004】
そこで、本発明は、プリペイド機能を利用して、利便性を高めた電子マネー機能付き通信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明の通信装置は、無線通信を使用して電子貨幣供給装置から電子貨幣を記憶手段に蓄積する電子貨幣蓄積手段と、前記電子貨幣蓄積手段が記憶手段に蓄積した電子貨幣によって料金の精算を行う精算手段とを備えるように構成することができる。
【0006】
また、上記目的を達成するために、本発明の通信装置の前記精算手段は、所定の条件を満たす場合、マイナス精算を行うように構成することができる。
【0007】
また、上記目的を達成するために、本発明の通信装置の前記精算手段がマイナス精算を行う場合、前記マイナス精算は、あらかじめ設定されている所定の量以下であるように構成することができる。
【0008】
また、上記目的を達成するために、本発明の通信装置の前記電子貨幣蓄積手段は、マイナスの電子貨幣を記憶手段に蓄積するように構成することができる。
【0009】
また、上記目的を達成するために、本発明の通信装置は、前記マイナスの電子貨幣を精算するマイナス貨幣精算手段を備えるように構成することができる。
【0010】
また、上記目的を達成するために、本発明の通信装置は、第1の無線通信を使用して定期券を購入する電子定期券購入手段と、第2の無線通信を使用して前記電子定期の購入に関連する情報を送信する定期券情報送信手段とを備えるように構成することができる。
【0011】
また、上記目的を達成するために、本発明の通信装置の前記電子定期購入手段は、当該通信装置置の操作部を使用して電子定期券の購入に必要な情報を入力する電子定期券情報入力手段を備えるように構成することができる。
【0012】
また、上記目的を達成するために、本発明の通信装置の前記電子定期購入手段は、割引資格を証明する証明データを送信するように構成することができる。
【0013】
また、上記目的を達成するために、本発明の通信装置において、前記第1の無線通信は、自装置と基地局間の遠距離無線通信であって、前記第2の無線通信は、自装置と相手装置間の近距離無線通信であるように構成することができる。
【発明の効果】
【0014】
プリペイド機能を利用して、利便性を高めた電子マネー機能付き通信装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
発明を実施するための最良の形態について、図を用いて説明する。本発明の携帯電話装置は、電子マネー機能付き通信装置であって、無線通信を使用して電子貨幣供給装置から電子貨幣を記憶手段に蓄積する電子貨幣蓄積手段と、電子貨幣蓄積手段82が記憶手段に蓄積した電子貨幣によって料金の精算を行う精算手段とを備えている。
(ICタグ付き携帯電話装置のブロック図)
図1は、本発明の一実施例であるICタグ付き携帯電話装置のブロック図である。
CPU11は装置全体を制御するものであり、その実行プログラムはROM(リード・オンリー・メモリ)12に記憶され、CPU11はその実行プログラムをROM12から読み出し、その実行プログラムに含まれる命令を逐次解釈して装置全体の制御を行うものである。
【0016】
本実施するための最良の形態における電子マネー機能に係るプログラムは、ROM12に格納されている。最近ではフラッシュロム(FROM)に代表されるように書き換え可能なROMがあり、これを使用してもよい。
【0017】
RAM(ランダム・アクセス・メモリ)13はその制御に必要なワークエリアが形成されるともに、保存パラメータやそのほか制御に必要ないろいろなパラメータや管理情報等を記憶するものである。RAM13に、電子マネー機能に係るデータを格納する。また、RAM13に音声情報及びメール情報を記憶することができる。なお、RAM13に音声情報及びメール情報を記憶する代わりに、音声情報及び/又はメール情報を記憶する専用のRAMを設けてもよい。操作入力・表示部14は各種の操作キーと操作ガイダンス等を表示する表示器からなり、オペレータが装置を操作するためのものである。
【0018】
通話部15は、音声を出力するスピーカ153や音声を入力するマイク152や通話回路151から構成される。スピーカ153は、イヤホンであってもよい。通話回路151は、マイク152から入力されたアナログの音声信号をデジタル化として、通信手段16(広域通信及び有線通信手段)に送出し、通信手段16から入力されたデジタル音声信号をアナログに変換してスピーカ等に出力するものである。また、音声信号を増幅したり又は減衰することにより音量を調整したり、音声信号の周波数特性を変化させることにより音質を良くしたりする回路も含まれている。また、マイク152からスピーカ153への音の回り込みを制御するいわゆる側音制御もこの通話回路151で行う。
【0019】
通信手段16は通信網側との間で、音声信号とデータ信号を送受信する。携帯電話の場合は基地局との間で無線を使用して通信を行うが、有線で交換局と通信してもよい。
【0020】
撮影手段(カメラ手段)18は撮影対象物を画像データに変換するものであり、具体的には撮像素子であるCCD(CharGe Coupled DevICe)等が使用される。CCDは撮影対象物からの光信号を受光し、それをアナログの電気信号に変換して出力するものである。画像処理回路19はCCDが出力するアナログ電気信号を受信し、それをA/D変換することによりデジタル画像信号を得る。さらに、そのデジタル画像信号に対して画像処理(密度変換、フィルタリング、最適化処理、拡大縮小、圧縮伸張等)を行う。画像処理された画像データは画像(フレーム)メモリ20に記憶される。画像表示手段21は画像処理回路19によって画像処理された画像データを液晶画面等(プラズマディスプレイ、CRT(Cathode-ray Tube)等)の画像表示手段で表示するものである。TV受信手段22はTV用アンテナ、検波部、チューナ部等から構成されるもので、TV放送用電波を受信し、TV画像信号を出力する。TV画像信号は画像処理回路19に入力され、所定の画像処理を行った後、画像(フレーム)メモリ20に蓄積され、その画像(フレーム)メモリ20に蓄積された画像データは画像表示手段21に出力され、TV画像が表示される。また、画像(フレーム)メモリ20に蓄積された画像データはTV画像録画手段23で記憶媒体に保存することにより、TV画像を撮影手段18で取得した画情報と同様に取り扱うことができる。なお、画像表示手段21で表示する代わりに、操作入力・表示部14で表示するようにしてもよい。なお、TV画像録画手段23として、本体に内蔵した画像用メモリ、本体に内蔵したハードディスク、外付けのICカードメモリ、外付けのハードディスク等が用いられる。
【0021】
外部I/F手段24は、ケーブルなどの有線を使用してPC(パーソナルコンピュータ)等の外部機器に接続して、データ等の送受信を行うものである。具体的には、装置専用のI/FやUSB(Universal Serial Bus)等の汎用のI/Fがある。
【0022】
メモリカードI/F手段25は、ICカード、メモリカード、メモリユニット等、記憶媒体を搭載した装置と接続して、データの送受信を行うものである。GPS(全地球測位システム)手段26は、一般には、人工衛星からの電波を受信し、その到達時間のずれを検出し、最終的に通信装置が位置する緯度と経度などの地球上の位置情報を算出するものである。ICタグ手段27はリーダライタ装置と無線でデータの送受信を行うものである。ICタグ手段27は、電波信号を送受信するためのアンテナ用コイル、共振コンデンサ、変復調回路、整流平滑回路からなる無線通信手段とICタグに内蔵されたCPU、ROM(書き換え可能なROMでもよい。)、RAMから構成される。なお、ICタグ手段27が、電子マネー機能付き通信装置のメインのCPU11を直接制御するようにしてもよい。ICタグ手段27は、リーダライタ装置28から送信されてくる高周波の電力用電波信号をアンテナと共振用コンデンサで受信し、整流平滑回路で整流平滑化して、一定電圧の動作用電源を作成してICタグ内部に供給する。また、リーダライタ装置28から送信されてくる信号は、電力用電波信号に重畳されており、受信した信号は変復調回路によって復調される。ICタグ手段27のCPUはICタグ手段27のROMに記憶されたプログラムによって動作するものであり、ICタグ手段27のRAM上に動作に必要なワークエリアを形成しながら、ICタグ全体の動作の制御を行うものである。ICタグは一度情報を書き込んだら二度と変更できないリードオンリーのものと、後から書き換えが可能なものや、追記のみ可能なもの(追記型)がある。
【0023】
無線I/F手段29は、無線を使用してデータの送受信を行うものであり、無線USB、ブルートゥース、赤外線、無線LANなどの通信を行う。この無線I/F手段29及び/又は前述した外部I/F手段24を使用して、例えば、PC等が記憶している地図データ、音楽データ(楽曲データ)、その他の大容量のデータを、通信装置の記憶手段(例えば、画像(フレーム)メモリ20、又は、画像(フレーム)メモリ20とは別の画像メモリであってもよい。)に転送することにより記憶することができる。
【0024】
ラジオ放送受信手段30は、ラジオ放送局から送信されるラジオ放送用電波信号を受信し、受信した電波信号を音声データに変換する。音声データに変換されたデジタル音声は、通話回路でアナログ音声に変換され、スピーカ(又はイヤホン)153から出力するものである。
【0025】
また、言うまでもないが、図1の構成はすべて備えている必要はなく、必要な構成を最低限備えていればよいものである。
【0026】
なお、上記説明では、電子マネー機能に係るプログラムは、CPU11が処理するよう説明したが、ICタグ手段27に内臓されているROMに電子マネー機能に係るプログラムを格納し、そのプログラムを読み出して、ICタグ手段27に内臓されているCPUが処理するようにしてもよい。
【0027】
また、ROM12に、電子マネー機能に係るデータを格納するように説明したが、ICタグ手段27のRAM又は書き換え可能なROMに、電子マネー機能に係るデータの全部又は一部を記憶するようにしてもよい。
(オールIP化された携帯電話機のブロック図)
図2はオールIP(インターネットプロトコル)化された携帯電話機のブロック図である。図2の携帯電話機は、基地局用無線I/F手段31、LAN用無線I/F手段32、IP手段33、通話回路341、マイク342、スピーカ343、GPS手段35、操作入力・表示部36、CPU37、ROM38及びRAM39から構成されている。
【0028】
図2の携帯電話機において、基地局用無線I/F手段31は携帯電話機と基地局との間で無線交信を行うI/Fである。また、LAN用無線I/F手段32は、携帯電話機とLAN用無線基地局との間で無線交信を行うI/Fである。従来では、基地局用無線I/F手段は、専用のプロトコルが使用されていたが、基地局側とそれを利用する通信装置の間にインターネット網やIP網を利用するケースが増えている。さらに、LAN用のプロトコルはもともとIPによって、通信が行われていることから、基地局用無線I/F手段をIP化することにより、部品の共通化が図れ、コストダウンが見込める。そこで本実施例のように、基地局用無線I/F手段31とLAN用無線I/F手段32では、IPを使用する。
【0029】
IP手段33は、音声に使用するVOIP手段と、データ通信に使用するデータ用IP手段の2種類がある。
【0030】
音声に使用するVOIP手段は通話回路から送られてきたアナログの音声信号をデジタルデータに変換し、さらに必要であれば符号化圧縮する。次に、音声信号データを送信用のIPパケットに埋め込み、順次、基地局用無線I/F手段31又はLAN用無線I/F手段32に送り出す。また基地局用無線I/F手段31又はLAN用無線I/F手段32から入力される受信用のIPパケットから音声信号データを取り出し、必要であれば復号伸張し、さらにデジタルの音声信号データをアナログの音声信号に変換し、通話回路に送出する。
【0031】
データ通信に使用するデータ用IP手段の場合は、VOIP手段の通話回路の代わりに、例えばメモリ手段と入出力を行ってもよいし、専用のデータ処理手段を備えてもよい。また、IP手段33は呼制御を行うための制御用IPパケットを組立て、順次、基地局用無線I/F手段31又はLAN用無線I/F手段32に送り出す。さらに、基地局用無線I/F手段31又はLAN用無線I/F手段33から入力される受信した制御用IPパケットを、解析するために分解する。このような制御用IPパケットの送出、受信はIP手段33とは独立した別の手段で行うようにしてもよい。IP手段33の動作制御はCPU37で行ってもよいし、専用のLSIを使用してもよい。
【0032】
通話回路341、マイク342、スピーカ343、GPS手段35、操作入力・表示部36、CPU37、ROM38及びRAM39は、図1に準じて理解されるので、説明を省略する。
(一般のIP電話機のブロック図)
図3は一般のIP電話機のブロック図である。図3の携帯電話機は、IP手段41、回線接続I/F手段42、ICタグ手段44、通話回路431、マイク432、スピーカ433、GPS手段45、操作入力・表示部46、CPU47、ROM48、RAM49から構成されている。
【0033】
図3におけるブロックの各要素は、図2及び図3で説明したので、図3の説明は省略する。
(IP)
図4、図5に携帯電話で使用する通信プロトコルの一実施例を示す。まず、図4を用いて、発呼側端末と基地局間における発信接続と切断シーケンスについて説明する。発呼側端末はオフフック及びダイアルの後に、基地局へ呼設定信号(SETUP)、発信無線状態報告信号を送信し(S1)、基地局側から呼設定受付信号(CALL PROC)を受信する(S2)。基地局は認証手順(S3)を行った後、無線チャネル指定信号を送信する(S4)。発呼側端末は指定されたチャネルを捕捉し、無線回線の設定を行う。次に基地局から呼出信号(ALERT)を受信し(S5)、呼出音(RBT)を受話器に送出する。着信側の通信端末装置の応答があると、基地局から発呼側端末へ応答信号(CONN)が送信され(S6)、ここから課金が開始されるとともに、通話が始まる(S7)。通話が終了すると、発呼側端末から切断信号(DISC)が基地局へ送信される(S8)。基地局は解放信号(REL)を発信側の通信端末装置へ送信し(S9)、ここで課金が終了する。発呼側端末は基地局へ解放完了信号(REL COMP)を送信し(S10)、基地局から無線チャネル切断信号を受信する(S11)。最後に、発呼側端末は、無線チャネル切断確認信号を送信して(S12)、通信に使用した無線チャネルを開放し、無線回線の切断を行う。
【0034】
次に、図5を用いて、着呼側端末と基地局間における発信接続と切断シーケンスについて説明する。着呼側端末は、基地局からの呼出信号を受信すると(S21)、着信無線状態報告信号を基地局へ送信する(S22)。基地局では、着信無線状態報告信号受信して、認証手順を行う(S23)。基地局は認証を行った後、無線チャネル指定信号を着信側の通信端末装置へ送信し、無線回線の設定を行う(S24)。無線回線の設定後、基地局から着呼側端末へ、呼設定信号(SETUP)が送信され(S25)、着呼側端末は着信音(RGT)を生成した後、基地局へ呼出信号(ALERT)を送信する(S26)。着呼側端末のオフフックにより応答信号(CONN)が基地局へ送信され(S27)、通信(通話)が開始され(S29)、課金が始まる。切断シーケンスは、図4における発呼側からの切断とほぼ同じなので、説明を省略する。
【0035】
図6(A)及び(B)に携帯電話機のデータ通信のプロトコルの一実施例を示す。まず、端末側がサーバ手段からデータを取得する場合に使用するPull型シーケンスについて図6(A)を用いて説明する。
【0036】
最初に端末側は基地局に対して通信登録要求信号を送出する(S41)。基地局側は認証を要求するために通信認証要求信号を端末側へ送信する(S42)。端末側は、通信認証応答信号を基地局へ送信し(S43)、基地局側は認証が成立すれば、通信登録応答信号を端末側へ送信する(S44)。端末側は、回線接続を要求するために、仮想回線接続要求信号を基地局側へ送信し(S45)、基地局は、仮想回線接続応答信号を端末側へ送信することにより、通信回線が仮想的に確保される(S46)。次に、端末側はHTTPプロトコルを使用して、データを要求するGet信号を基地局側へ送信する(S47)。基地局側は、その応答信号として、Ack信号を端末側へ送信する(S48)。基地局は要求されたデータを含むResponse信号を端末側へ送信する(S49)。端末側はResponse信号の応答信号としてAck信号を基地局側へ送信する(S50)。以下、必要なだけデータ取得が行われる。
【0037】
次に、図6(B)を用いて、基地局側から通信端末装置へ着信通知して情報を送信(メール受信など)するPush型シーケンスについて説明する。
【0038】
まず、基地局から端末側へ呼び出し信号を送信する(S51)。次に、端末側は基地局に対して通信登録要求信号を送出する(S52)。基地局側は認証を要求するために通信認証要求信号を端末側へ送信する(S53)。端末側は、通信認証応答信号を基地局へ送信し(S54)、基地局側は認証が成立すれば、通信登録応答信号を端末側へ送信する(S55)。基地局は、回線接続を要求するために、仮想回線接続要求信号を端末側へ送信し(S56)、端末側は、仮想回線接続応答信号を基地局側へ送信することにより、通信回線が仮想的に確保される(S57)。基地局は着信通知信号を端末側へ送信し(S58)、端末側はその応答として、Ack信号を基地局側へ送信する(S59)。端末側はデータを要求するために、Get信号を基地局側へ送信する(S60)。基地局側はその応答信号として、Ack信号を端末側へ送信する(S61)。基地局は要求されたデータを含むResponse信号を端末側へ送信する(S62)。端末側はResponse信号の応答信号としてAck信号を基地局側へ送信する(S63)。以下必要なだけデータ取得が行われる。
【0039】
なお、前述したプロトコルシーケンス中において、通信装置又は相手装置の端末識別情報(電話番号、端末番号、ID番号、機番、移動機番号、メールアドレス、URL、URI等)やサービス識別情報(電話番号、メールアドレス、URL、通話、電子メール、インターネットアクセス、データダウンロード等)を含ませて、情報の授受を行うことができる。さらに、通信装置又は相手装置の端末識別情報やサービス識別情報を、それぞれについて複数持ち(通信装置の記憶手段に記憶する)、それらを選択して使用することにより、特定のサービスを特定の端末識別情報で使用することや、選択した端末識別情報に課金するなどの多彩なサービスを享受することができる。
(SIP)
図7に標準の呼制御プロトコルのうちの1つであるSIP(Session Initiation Protocol)の通信モデルのプロトコルを示す。まず、発呼側から「INVITE」というリクエストメッセージを送出する(S71)。「INVITE」はセッションの起動信号であり、それには発呼側が受信可能なセッションの属性がSDP(Session DescrIPtion Protocol)で示されている。具体的には、発呼側の受信条件(コーデック、ポート番号等)と送信条件を提示するものである。着呼側は「INVITE」を受信し、呼び出し状態になったことを通知するために「180 RINGING」を発呼側へ送信する(S72)。この「180 RINGING」で着呼側の受信条件(コーデック、ポート番号等)と送信条件を提示してもよいが、通常は次の「200 OK」で提示する。次に着呼側が通話可能状態になったことを通知するために「200 OK」を発呼側へ送信する(S73)。それには着呼側が受信可能なセッションの属性がSDPで示されている。この「200 OK」で着呼側の受信条件(コーデック、ポート番号等)と送信条件を提示する。次に、発呼側が「ACK」を着呼側へ送信し(S74)、これにより通信に利用可能な属性がネゴシエーションされる。本発明では便宜上ここまでを接続フェーズと定義している。次に、メディア(音声、画像、動画等)の転送が開始される(S75)。本発明ではこのメディアの転送期間中を便宜上、データ送受信フェーズと定義している。通信を終了するときには止める側が「BYE」信号を送信する(S76)ことにより通信終了を要求し、それを受信した側は、その応答である「200 OK」信号を送信して通信を終了する(S77)。本発明ではこのフェーズを便宜上、切断フェーズと定義している。
(携帯電話機のシステムの概要)
次に、携帯電話機(移動機)のシステムに概要を次に説明する。移動通信システムは、複数の移動通信交換局を有する移動通信用ネットワークと携帯電話機から構成されている。また、移動通信用ネットワークは、交換網と、移動機と実際に信号を送受信する基地局とを有する。移動機と基地局とは、共通制御チャネル及び通信チャネルを利用して通信を行う。
<ゾーン構成法>
公衆移動通信では、一般に広いサービスエリアをカバーすると同時に、多数の加入者を収容する必要があり、限られた周波数の中でこれを実現するためには、サービスエリアを多数のゾーンに分割し、分割したゾーン内にそれぞれの基地局を設置し、同じ周波数を地理的に離れたゾーンで再利用することにより、周波数の有効利用を図る方法が一般に採用される。このように、サービスエリアを複数のゾーンに分割してカバーする方法を、1つの基地局で広いサービスエリアをカバーする大ゾーン方式に対して、小ゾーン方式、又はセル方式と呼ぶ。セル方式には、1つの基地局において無指向性のアンテナを用いて1つのゾーンを構成する方法の他に、1つの基地局において指向性アンテナを用いて複数の扇形ゾーン(セクタ)を構成する方法も採用されている。これは干渉方向が実質上指向性方向に限定できるなどの利点がある。なお、大ゾーンは基地局毎に設定され、扇形ゾーンは、指向性アンテナ毎に、設定される。
<マルチチャネルアクセス方式>
移動機と基地局とが、呼損を少なくし、無線周波数をより有効に使用するためには、移動機により使用できる周波数を限定せずに、なるべく多くのチャネルを使用可能とするために、マルチチャネルアクセス方式を用いる。各移動機に複数の無線周波数を共通に所有させ、発着時には空いたチャネルを適時割り当てて使用する方法をマルチチャネルアクセス方式と呼ぶ。現在では、PLL(Phse Locked Loop)を用いた周波数シンセサイザの発達により、数千チャネル単位の切替が可能な移動機を低コストで実現している。
【0040】
マルチチャネルアクセス方式として、FDMA(Frequency Division Multiple Access)、TDMA(Time Division Multiple Access)、CDMA(Code Division Multiple Access)とを用いることができる。
<位置登録>
移動機は、ゾーンを跨いで移動を行うので、現在、どこのゾーン(エリア)に属しているのか、不明である。しかしながら、移動機の呼出が有った場合に、1つの移動機を呼び出すために、全国の基地局から呼出を行うのは非効率的であるので、移動機の位置をあるエリア単位(位置登録エリア)でネットワーク側に登録して、移動機に対する着信はどのエリア内だけを呼び出す方法が用いられる。このため、移動機が位置登録エリアを越えて移動した場合には、移動機からネットワーク側に位置登録を行う必要がある。これは以下の手順で行われる。
(1)移動機が基地局から共通制御チャネルで報知される位置登録を受信することにより、エリアを越えたことを認識する。
(2)移動機は共通制御チャネルで基地局を介して移動通信交換局に位置登録要求する。
(3)移動通信交換局はネットワーク側のホームメモリ局にある、当該移動機の位置登録を更新する。
(4)移動通信交換局は基地局を介して移動機に位置登録を受け付けた旨を通知する。
<着信接続>
移動機は通常、共通制御チャネルを受信しており、自移動機に対する呼出信号を待ち受けている。一般電話から移動機への着信時の接続制御は次のように行われる。
(1)発信した一般電話から一般電話網を介して移動通信網内の最寄りの移動通信交換局Aまで回線が接続される。
(2)移動通信交換局Aは、ホームメモリ局に問い合わせ、当該移動機の位置登録エリアを知る。
(3)移動通信交換局Aは、当該移動機にエリアの移動通信交換局Bまで回線を接続し、当該エリア内のすべての基地局から、移動機を呼び出す。
(4)移動機は、呼出に対して、基地局を介して移動通信交換局Aに応答を返し、移動通信ネットワーク側で当該移動機が存在する基地局が特例される。
(5)移動通信ネットワーク側では、未使用の通信チャネルから当該呼のための通信チャネルを選択し、基地局側からの送信を開始すると共に、移動機に通知する。
(6)移動機が、通知されたチャネルに切り換えて通信チャネルを確立することにより、無線回線接続制御は完了する。
<発信接続>
移動機から一般電話への発信は以下の手順で行われる。
(1)移動機は基地局を介して移動通信交換局に発信要求する。
(2)移動通信ネットワーク側では、未使用の通信チャネルから当該呼のための通信チャネルを選択し、基地局側からの送信を開始するとともに、移動機に通知する。
(3)移動機は、通知されたチャネルに切り換えて通信チャネルを確立する。
(4)移動通信交換局は相手の一般電話の最寄りの固定電話網との接続点まで移動通信網内の回線を伸ばし、固定網に乗り入れ、固定網で相手の一般電話まで接続する。
<ハンドオフ>
移動機が通信中にゾーンを越えて移動した場合には、通信を接続するために通信を行う基地局を移行先ゾーンの基地局に切り換える必要がある。この切替制御を通信中チャネル切替、又はハンドオフと呼ぶ。
【0041】
移動機のゾーン移行の検出方法にはいくつかの方法があり、TDMAを採用したデジタル方式では、移動機側でTDMAの空きスロットを利用して、周辺ゾーンからの信号の受信レベルを測定比較する方法が採用されている。
【0042】
移動機でゾーン移行を検出後、以下の手順でハンドオフを行う。
(1)移動機から切替先ゾーンの候補をある旨をネットワーク側に報告する。
(2)移動通信ネットワーク側では、切替先ゾーンの通話チャネルに空きがあることを確認し、その中から割り当てるチャネルを選択する。
(3)切替先のゾーンの基地局では、当該チャネルの送信を開始するとともに、通信中の基地局を介して、移動機に当該チャネルに切り替えるように通知する。
(4)移動機は当該チャネルに切り替えて、切替先ゾーンの基地局との間で通信チャネルを確立する。
<認証機能>
端末の正当性を検証するために、秘匿性を高めた暗号技術を用いている。ネットワークと端末には非公開の暗号化鍵を登録しており、ネットワークは乱数を端末に対して送信している。端末は乱数と暗号化鍵を用いて演算を行い、演算結果をネットワークへ返送する。ネットワークは自身で演算を行った結果と返送された結果を照合することにより、当該端末の正当性を確認する。無線区間上は乱数と演算結果のみが送受され安全性を確保している。認証は端末からの発信時、着信時、位置登録要求時、ハンドオーバ要求時に行われる。
(タグ手段)
図8(A)にタグ手段の実施例のICタグと、図8(B)にタグ通信手段の実施例であるICタグリーダライタ装置とを示す。本発明では、ICタグは商品に内蔵されているか、商品の近接に設置されている場合を想定している。内蔵される場合、ICタグは数ミリ角のシリコンチップで構成される場合もある。
【0043】
図8(A)に示すように、ICタグ手段27は、電波信号を送受信するためのアンテナ用コイル50、共振コンデンサと変復調回路と整流平滑回路等を有する無線通信手段51、RAM52、CPU53及びROM54から構成されている。リーダライタ装置27から送信されてくる高周波の電力用電波信号をアンテナ50と共振用コンデンサで受信し、整流平滑回路で整流平滑化して、一定電圧の動作用電源を作成してICタグ手段27の回路に電源として供給する。また、リーダライタ装置28から送信されてくる信号は、電力用電波信号に重畳されており、受信した信号は変復調回路によって復調される。ICタグ手段27は一度情報を書き込んだら二度と変更できないリードオンリーのものと、後から書き換えが可能なものや、追記のみ可能なもの(追記型)がある。ICタグ手段27は通常は電源を搭載していないが、電源として電池を搭載していてもよい。
【0044】
CPU53は、ROM54に記憶されたプログラムによって動作するものであり、RAM52上に動作に必要なワークエリアを形成しながら、リーダライタ装置27の全体の動作の制御を行うものである。
【0045】
具体的に言えば、例えば、ROM54(書き換え可能なROM、例えばフラッシュROMを使用してもよい)には、ICタグ手段27の全体を制御する基本ソフト(OS)と、電子マネー機能に係るアプリケーション用のソフト(電子マネー用、電子定期券用、電子乗車券用、電子運賃用、利息用、電子マネー変換用、チャージ用、相互利用用、認証用、警告用、その他の機能実行用等のソフト)が格納されている。リーダライタ装置から信号を受信すると、OSはその信号を解析して、必要なアプリケーションソフトを起動する。起動されたアプリケーションソフトウェアは、リーダライタ装置と通信を行うことにより、所定の機能を実行する。
【0046】
各アプリケーションソフトウェアは、本体装置のI/F(無線IF手段20等)を介して、サーバ装置又は他の装置の記憶手段からダウンロードするか、又は、ICタグの無線手段を使用してダウンロードしても良い。
また、各アプリケーション毎にフォルダーとファイルを用意しておき、お互いに独立に制御することが可能である。アプリケーションソフトウェアはあらかじめ起動されていてもよい。また、マルチタスクが可能なOSを使用することにより、複数のアプリケーションソフトウェアを同時に実行することもできる。
【0047】
図8(B)のリーダライタ装置28は、電波信号を送信する送信アンテナ用コイル54が接続された無線送信部52と、電波信号を受信する受信用アンテナコイル55が接続された無線受信部63と制御回路61とから構成される。制御回路61は、電力用電波信号を送信し、また、送信する信号を電力用電波信号に重畳して送信用アンテナ54から送信する。また、受信用アンテナ55から別の装置のICタグが送信した信号を受信し、それを復調して受信データを得る。このようにICタグとリーダライタ装置28との間では電波信号を使用して通信を行うことにより、ICタグの情報を読み出したり、逆にICタグに書き込みたい情報をICタグに書き込むことができる。また、リーダライタ装置28はリーダ部とライタ部を両方備えているが、用途によってはどちらか一方を備えているだけでもよい。
【0048】
一般に、ICタグとICタグリーダライタ装置間での伝送媒体方式としては、電磁結合型、電磁誘導型、マイクロ波型、光交信型などがある。
【0049】
また、複数のリーダライタ装置があると、相互干渉によるICタグの読み取りエラーが起こる。その対策としては、リーダライタ装置同士の交信状況を互い知らせることによって干渉を防ぐ同期手段がある。また、1つのリーダライタ装置が他のリーダライタ装置をコントロールするマスタスレーブ手段を備えていてもよい。
【0050】
電波信号を使用したICタグ用無線プロトコル又は通信方式は、例えばコマンド・レスポンスをベースとしたシンプルなプロトコルで構成されてもよいし、その他、プロトコルはいろいろあり、また、現在も多くのものが提案されているためここでは言及を避けるが、どのようなプロトコルであれ、本発明に使用できるものである。特にプロトコルにHTTPを使用するとともに、ファイル形式にML(マークアップ・ランゲージ)ベースのファイル(XML,HTML,SGML,XHTML,CHTML,HDML,DHTML等)を使用することにより、より汎用性の高い利用が期待できる。
【0051】
また、使用するICタグの種類、ICタグの使用用途又はICタグが使用する無線周波数等の違いによって多くの通信方式(エアインターフェイスとも呼ばれているもので、いわゆる通信の方式であり、具体的には、使用する電波の周波数、通信プロトコル、エラー訂正方式、符号方式、圧縮方式等がある)が存在するために、使用できる通信方式が相異するICタグが混在した場合に、リーダライタ装置が使用できる通信方式以外の通信方式を使用するICタグと交信できないという問題が生じる。これを解決するために、マルチ通信方式手段又は通信方式切替手段を備える。
【0052】
マルチ通信方式手段又は通信方式切替手段とは、通信プロトコルを例にとると、後述するSIPの標準呼設定プロトコルとローカル呼設定プロトコルを切替えて使用する場合と基本的な思想は同じもので、リーダライタ装置は所定のICタグ用無線プロトコルを送出した後に、別のICタグ用無線プロトコルを送出し、さらに次々にリーダライタ装置が持っている通信プロトコルを送出するものである。ICタグは自身が備えている通信プロトコルを受信した場合にはそのまま交信を行い、自身が備えていない通信プロトコルに対しては反応しないことになる。また通信プロトコルの他に使用する電波の周波数、エラー訂正方式、符号方式、圧縮方式も同様である。
【0053】
例えば、リーダライタ装置は、通信方式はA通信方式、B通信方式、C通信方式の3つの通信方式を備えているとする。図9に示すように、まず、最初にA通信方式によって電波を送信する(S31)。A通信方式を備えたICタグが電波の届く範囲に存在すれば(S32:YES)、ICタグはA通信方式によって応答(レスポンス)をリーダライタ装置に返す(S33)。リーダライタ装置はこの応答を受信した場合にはA通信方式によって交信を継続して所定の情報を読み出したり、書き込んだりする。このA通信方式によって複数のICタグが応答した場合には、複数のICタグと交信を行う。このA通信方式による通信が終了した場合やA通信方式による応答がなかった場合には(S32:NO)、次にB通信方式による電波を送信し(S34)、A通信方式と同様に、B通信方式で交信を行い(S35、S36)、最後にC通信方式での通信を行いことにより(S37、S38、S39)、リーダライタ装置が備えているすべての通信方式による通信を行う。
【0054】
このようにしてリーダライタ装置がマルチ通信方式手段又は通信方式切替手段を備えることにより、いろいろな通信方式を持つICタグが混在していても、1台のリーダライタ装置によってICタグの情報を読み出したり、書き込んだりすることができる。また、ICタグにマルチ通信方式手段又は通信方式切替手段を備えていてもよい。
【0055】
また、ICタグとリーダライタ装置との間の通信には暗号化を使用する。さらに、データを相互認証するごとに乱数を発生させ、暗号鍵を変えるようにして、データの改ざん防止を行う。
(電子マネー)
本発明の電子マネー機能を中心にした、ブロック構成例を図10に示す。
【0056】
図10のシステムは、入金装置70、支払い端末装置71、ネットワーク72、サーバ・金融機関システム73、サーバ・金融機関システム73に接続された記憶手段74、携帯電話装置80から構成されている。
【0057】
入金装置70は、本電子マネーシステムの電子マネーの入金装置である。現金で入金することもできるし又は電子的に入金することもできる。支払い端末装置71は、本電子マネーシステムの支払い装置である。店のレジスタ自体であっても良い。ネットワーク72は、有線ネットワーク、無線ネットワーク、広域ネットワーク等である。サーバ・金融機関システム73は、本電子マネーシステムサーバである。このサーバは、金融機関システムと連結されていてもよい。記憶手段74は、サーバ・金融機関システム73に接続されており、電子マネー基本情報及び携帯電話装置基本情報を記憶している。
【0058】
携帯電話装置80は、電子マネー機能を有する携帯電話装置であり、通信I/F部81、電子マネー機能処理部82、記憶手段83及び出力部84から構成されている。
【0059】
通信I/F部81は、入金装置70、支払い端末装置71及びネットワーク72と通信を行うためのインタフェースであり、近距離無線通信、広域無線通信及び有線通信が可能である。電子マネー機能処理部82は、電子マネー機能を処理するもので、
・記憶制御手段(記憶手段83の記憶及び読出しを制御する)
・プリペイド手段(電子マネーの入金及び出金を行う。電子貨幣蓄積手段とも言える。)
・精算手段(電子マネーにより精算を行う。物及びサービスを購入した際の対価の支払い手段でもある。)
・サーバ交信手段(サーバと交信する。)
・価値情報表示手段(表示手段に現在の価値情報を表示する。)
・電子認証手段(認証データを用いて、入金装置、支払い装置の認証を行う。)
・支払い限度判断手段(支払いの限度を判断する。)
・残高表示手段(電子マネーの使用できる残高を表示する。)
・利息手段(利息を計算する。)
・マイナス貨幣精算手段(支払いの結果、負になる場合の精算を扱う。)
を有する。
【0060】
記憶手段83は、電子マネーに係る次の情報を記憶している。
・電子マネー基本情報
・電子貨幣情報(価値情報)
・チャージ履歴情報
・逆チャージ履歴情報
・最大マイナス値情報
・最大チャージ値情報
・認証データ
・価値情報リスト
出力部84は、表示手段及び発光手段を有し、必要に応じて、表示又は発光するものである。
(プリペイド方式による支払い方法)
プリペイド方式とは、前もって所定の方法で支払精算(決算)を済ませておき、支払い精算で支払った金額情報に相当する価値情報(電子マネー(電子貨幣)という言葉がよく使われている)を記憶手段に蓄積しておくものである。
【0061】
プリペイド方式では、支払精算(決算)を済ませた範囲で、物品の購入又はサービスの購入を受けるものである。
【0062】
本発明の電子マネーは、この方式で支払いを行うことを前提とする。
(入金)
先ず、図10及び図11に基づいて、入金方法を説明する。駅や店等の公共的な場所に設置されている入金装置(チャージ装置、図10の入金装置70)を使用する。まず、電子マネーを蓄積(チャージ)したい携帯電話装置(図10の携帯電話装置80)を入金装置70とデータの交換ができるように通信の接続を行う(S81)。次に、入金装置70と携帯電話装置80との間で、相互に認証を行う(携帯電話装置では、例えば、図10の電子マネー機能処理部82の認証手段が、記憶手段83の認証データを用いて行う。)(S82)。なお、認証がOKということは、本入金方法に関するプログラムを相互に認証したことでもある。したがって、その後は、携帯電話装置80及び入金装置70に搭載された入金プログラムによって、入金処理が進められる。
【0063】
認証の結果、OKであれば、利用者は、入金装置70に対してチャージしたい電子マネーの額に相当するお金を支払う(S83)。通常は、入金装置70に対して、紙幣や硬貨などの現金を投入するが、電子入金、つまり、クレジットカードやその他の支払い可能なカード、電子マネー、電子マネー付きの携帯電話等で入金してもよい(S84)。
【0064】
その入金された金額に相当する価値情報(電子マネーに関する情報、例えば電子マネーの価値情報(額面、量、例えば1万円に対して1万電子マネー))が主であるが、その価値情報を間接的に表現する情報(1万電子マネーの代わりに1、1万、1ユニット)及び、電子マネーの名称、種類、利用できる期限(期間)、チャージした日時、使用できる範囲、取り扱い企業名、発行元、使用できる場所や店等の電子マネーの付加情報が、入金装置70から携帯電話装置80に転送される。携帯電話装置80では、これらの情報を受信して(S85)、携帯電話装置80の記憶手段83の電子貨幣情報(価値情報)及び電子マネー基本情報の領域に蓄積する(S86)。入金装置70と携帯電話装置80の通信は、USB等の有線のI/F(有線通信)やICタグ、IrDA、ブルートゥース、無線USB等の無線インターフェイス手段(近距離無線通信)を使用する。これにより入金装置70に手軽に接続することができ、チャージがしやすくなる。
別の方法としては、携帯電話装置80に備わっている無線通信手段(基地局側との通信;広域無線通信)を使用する。そうすると、いちいち、入金装置のあるところに行かなくても電子マネーをチャージすることができる。携帯電話装置80は、基地局(図10における移動通信ネットワークにおける基地局)と通信を行うが、基地局には、その携帯電話を提供するキャリアの通信網(キャリア通信網)が接続されており、その通信網には、携帯電話装置80のサービスを提供するための設備や装置(交換機、ルータ、サーバ装置等)等が接続されている。また、その通信網はゲートウェイ装置等を介して、インターネット等の通信網に接続されており、携帯電話装置80は、インターネットを利用することができる。
【0065】
電子マネーの入金装置としては、キャリア通信網やインターネット網に通信的に接続されている装置、いわゆるサーバ装置73(一般的にはPC、WS、ミニコンと大容量記憶装置、通信装置から構成される)を使用する。サーバ装置73には、接続する携帯電話装置80に関する情報(契約者名、携帯電話の電話番号、移動機番号、製造番号、端末識別用番号、暗証番号、口座番号等の携帯電話機基本情報及び預金の残高、電子マネーの残高、契約の種類などの電子マネーに係る基本情報)を記憶している。
【0066】
まず、電子マネーを蓄積(チャージ)したいサーバ装置73にアクセスする(S91)。次に、サーバ装置73と携帯電話装置80との間で、図11と同様に、相互に認証を行う(S92)。なお、認証がOKということは、本入金方法に関するプログラムを相互に認証したことでもある。したがって、その後は、携帯電話装置80及びサーバ装置73に搭載された入金プログラムによって、入金処理が進められる。その結果、サーバ装置73に直接蓄積されている電子マネー(他の装置に蓄積されていてもよい)を携帯電話装置に転送する(S93)。又は、金融機関の口座に預金している金額に対応した電子マネーを転送してもよい(S94:この場合はチャージ用のサーバ装置と金融機関のサーバ装置間で顧客情報、口座番号、口座の預金状況等の情報の送受信が必要である)。
【0067】
その後、図11と同様に、入金された金額に相当する価値情報及び電子マネーの付加情報が、入金装置70から携帯電話装置80に転送される。携帯電話装置80では、これらの情報を受信して(S95)、携帯電話装置80の記憶手段83の電子貨幣情報(価値情報)及び電子マネー基本情報の領域に蓄積する(S96)。このとき、サーバ装置73の電子マネー又は金融機関の口座の預金から、転送された電子マネーの額(量)に応じて額が減じられる。
【0068】
なお、入金した電子マネーの額に応じて口座の預金から減じる方法に代えて、別の入金方法として、携帯電話装置の通話料(あるいは通信料)と共に支払う方法もある。この場合、通話料と合算した額を支払うようにしてもよいし、あるいは別々に支払うようにしてもよい。
(逆チャージ、出金等)
逆に、図13に示すように、携帯電話に蓄積されている電子マネーをサーバ装置に転送(逆チャージ)することや、又はその転送によって金融機関の口座預金にその分を預金することも可能である(つまり前述した電子マネーの逆の動作を行う)。図13では、図12のステップS93、S94の入金に代えて、S103の逆チャージ処理が行われる。他のステップは同様であるので、その説明は省略する。
【0069】
又は、図14に示すように、前述した入金装置(専用端末)に逆チャージして直接現金に交換してもよい(出金)。図14では、図11のステップS83、S84の入金に代えて、S113の出金処理が行われる。他のステップは同様であるので、その説明は省略する。
【0070】
こうすることにより、電子マネーを他で使用したい場合や、携帯電話を修理に出したり、又は自分以外の人に貸したりする場合(電子マネーの保護)に便利である。また、サーバ装置は電子マネーのチャージ又は逆チャージする場合に、手数料として所定の金額の電子マネーを、サーバ装置に蓄積している電子マネーから徴収(転送する額から引いてもよい)してもよいし、また口座の預金から引いてもよい。
【0071】
また、前述した電子マネーのチャージ、逆チャージの履歴(チャージ金額、チャージ残高、日時、そのチャージにおけるチャージ方法(サーバ経由か専用端末使用か)、チャージ又は逆チャージした場所(店舗名や住所、GPS手段で取得した位置情報)等)を、携帯電話装置80の記憶手段83のチャージ履歴情報領域、逆チャージ履歴情報領、電子マネー基本情報領域に保存し、後で、出力部84の表示手段で表示するようにしてもよい。こうすることにより、利用状況を後から確認できる。
【0072】
また、チャージするときに、携帯電話装置80の記憶手段83の最大チャージ値情報領域に蓄積できる最大のチャージ量を設定できるようにしてもよい。また、この領域に、一度にチャージできる最大のチャージ量を設定できるようにしてもよい。チャージするときに、チャージしようとしている金額をチャージすると、チャージ限度額を超える場合はその旨を報知する(携帯電話が報知してもよいし、チャージ専用機が報知してもよい)ようにしてもよい。そのとき、チャージ限度額まではチャージするようにしてもよい。このとき、チャージ専用機の場合には、おつりを現金で払うようにすればよい。
【0073】
これにより携帯電話が壊れた場合、携帯電話を紛失した場合、携帯電話が盗難にあった場合等、被害を最小限に食い止めることができる。
(支払い)
電子マネーの支払い方法(支払い手段、精算手段)について、図15及び図16を用いて説明する。
【0074】
支払い専用端末装置(図10の支払端末装置71)は、買物をする店舗などの支払いをする場所に設置されているものであり、携帯電話装置80とは前述した入金装70と同様なインターフェイスを使用して接続し、情報の交換や支払い精算を行う。
【0075】
まず、支払いを行う携帯電話装置80を支払端末装置71とデータの交換ができるように通信の接続を行う(S121)。次に、図11と同様に、支払端末装置71と携帯電話装置80との間で、相互に認証を行う(S122)。なお、認証がOKということは、本入金方法に関するプログラムを相互に認証したことでもある。したがって、その後は、携帯電話装置80及び入金装置70に搭載された入金プログラムによって、支払い処理が進められる。
【0076】
携帯電話装置80の精算手段は、携帯電話装置80の入金・出金手段が、記憶手段83に蓄積した価値情報、すなわち蓄積価値情報から、支払い端末装置71の合計価値計算手段が計算した合計価値情報を減じることによって支払いを精算する(S123)。携帯電話装置80が支払いを精算すると、支払い端末装置71から支払いの受け取り情報及び付加情報が送信されるので、携帯電話装置80はこれらの情報を受信し(S124)、これらの情報を、合計価値情報を減じられた蓄積価値情報と共に記憶手段83に記憶する。ここで精算が終了(S126)するときに、専用端末機又は携帯電話機がある所定の音を出すことによって、精算の正常終了を知らせることができる。また、耳の不自由な人のために、専用端末機又は携帯電話機の表示部の表示、又はその表示部のバックライト、またはLED等の発光手段を点灯又は点滅させてもよい。
【0077】
なお、ここで精算される価値情報が携帯電話装置80が記憶している(所有している)蓄積価値情報よりも大きい場合には支払い精算をすることはできない。しかしながら、携帯電話装置80の電子マネー機能処理部82の支払い限度判断手段により、所定の条件に当てはまる場合には蓄積価値情報がマイナスになっても支払い精算ができるようにしてもよい。支払い精算によってマイナスの蓄積価値情報が記憶手段に記憶された場合、入金装置によってそのマイナス分の料金を支払うことによってマイナス分を精算することができる。
【0078】
プリペイド手段や精算手段は専用のハードウェアで構成してもよいし、CPUがRAMを使用してプリペイド動作や精算動作を行ってもよい。
【0079】
サーバ装置を用いた支払いを図16を用いて説明する。
【0080】
サーバ装置73の記憶手段74には、お金に相当するマネー情報(電子貨幣情報)が記憶されており、そのマネー情報に基づいて支払い精算ができる。このマネー情報は金融機関に預けている預金情報であってもよいし、あらかじめ支払い精算しておいたプリペイド情報(入金情報又はチャージ情報)でもよい。サーバ装置73は通信手段を備えており、通信を使用して支払い精算を行う。
【0081】
また、携帯電話装置80は、サーバ装置73と交信することにより価値情報の送受信を行うサーバ交信手段を電子マネー機能処理部82に備えている。電子マネー機能処理部82の精算手段は、サーバ交信手段によってサーバ73と交信を行い、サーバ73に記憶されているマネー基本情報から合計価値情報を減じることによって支払い精算を行う。合計価値情報を減じられたマネー情報はサーバ装置74の記憶手段74に記憶される。
【0082】
次に、サーバ装置を用いた支払いのフローを説明する。まず、精算を行う携帯電話装置80はサーバ装置73にアクセスする(S131)。次に、サーバ装置73と携帯電話装置80との間で、図11と同様に、相互に認証を行う(S132)。なお、認証がOKということは、本精算方法に関するプログラムを相互に認証したことでもある。したがって、その後は、携帯電話装置80及びサーバ装置73に搭載された精算プログラムによって、精算の特定を行った(S133)上で、精算処理が進められる(S134)。その結果、サーバ装置73に直接蓄積されている電子マネーが減額される。又は、金融機関の口座に預金している金額に対応した電子マネーを減額してもよい。
【0083】
その後、図11と同様に、精算された金額に相当する価値情報及び電子マネーの付加情報が、サーバ装置73から携帯電話装置80に転送される。携帯電話装置80では、これらの情報を受信して(S135)、携帯電話装置80の記憶手段83の電子貨幣情報(価値情報)及び電子マネー基本情報の領域に蓄積する(S136)。
【0084】
ここで合計価値情報がマネー情報よりも大きい場合には支払い精算をすることはできないが、所定の条件に当てはまる場合にはマネー情報がマイナスになっても支払い精算ができるようにしてもよい。所定の条件とは、ある金額以上の預金が所定の金融機関にある場合などがあり、その預金額に基づいて最大のマイナス分が設定されるようにしてもよい。またあらかじめある一定のマイナス分が許されるように、サーバ手段の記憶部に最大マイナス分の設定値を設定していてもよい。
【0085】
また、支払い精算によってマイナスのマネー情報がサーバ装置73の記憶手段74に記憶された場合、そのマイナス分の料金を支払うことによってマイナス分を精算することができる。
【0086】
電子マネー機能処理部82のサーバ交信手段は専用のハードウェアで構成してもよいし、CPUが簡単なハードウェアを制御することによって構成してもよい。
【0087】
サーバ交信手段に使用する具体的なプロトコルとしては、FTP、HTTP等の汎用プロトコルを使用してもよいし、専用プロトコルを使用してもよい。
【0088】
これにより、チャージ残高が少なくなってチャージすることができなくても買物等をすることができる。
【0089】
電子マネー機能処理部82の価値情報表示手段は、合計価値情報を出力部の表示手段である表示装置に表示するとともに、記憶手段83に蓄積されている蓄積価値情報を表示する。又は、合計価値情報の他に、その時に取得した商品の価値情報を表示してもよいし、合計価値情報とともに表示してもよい。又は、商品毎の価値情報をリスト化して価値情報リストを作成して、記憶手段83の価値情報リスト領域に記憶し、この価値情報リストを表示してもよい。また、価値情報とともに商品の名称やその他の情報を対応づけて価値情報リストを作成して、記憶手段83の価値情報リスト領域に記憶し、この価値情報リストを表示してもよい。また、記憶手段83に記憶された価値情報リストを、別の機器に転送することにより別の機器で利用できるようにしてもよい。電子マネー機能処理部82の価値情報表示手段は、専用のハードウェアで構成してもよいし、CPUが簡単なハードウェアを制御することによって構成してもよい。支払い方法が、サーバ装置を用いた場合は、価値情報は携帯電話装置80の表示装置に表示され、一方支払方法が支払い専用端末機の場合は、支払い専用端末機に表示装置に表示されるが、支払い専用機から表示データを転送することにより、携帯電話装置80の表示手段に表示させることができる。これにより、支払いの利用状況を確認することができる。
(限度処理)
図17を用いて、支払いにおける限度処理を説明する。
【0090】
精算される価値情報(合計価値情報)が携帯電話装置80が記憶している(所有している)蓄積価値情報よりも小さい場合には(S141;Y)、精算を行う(S143)。しかしながら、精算される価値情報が携帯電話装置80が記憶している(所有している)蓄積価値情報よりも大きい場合(S141;N)には支払い精算をすることはできない(S144)。
【0091】
電子マネー機能処理部82の支払い限度判断手段は、合計価値計算手段が出力した合計価値情報に基づいて支払い限度があるかどうかを判断するものである。プリペイド方式による支払う場合には、支払い限度判断手段は、記憶手段83に蓄積されている蓄積価値情報と合計価値計算手段が出力した合計価値情報に基づいて支払い限度を超えているかどうかを判断する。すなわち、蓄積価値情報と合計価値情報を比較して、合計価値情報が蓄積価値情報よりも大きい場合に、支払い限度量を超えている、又は支払い能力を超えていると判断する。サーバ装置を用いる場合には、サーバ交信手段はサーバ装置と交信することにより、サーバ装置の記憶手段に記憶されている価値情報を取得する。支払い限度判断手段は、サーバ装置から取得した価値情報と合計価値計算手段が出力した合計価値情報に基づいて支払い限度を超えているかどうかを判断する。すなわちサーバ装置から取得した価値情報と合計価値情報を比較して、合計価値情報が価値情報よりも大きい場合に、支払い限度量を超えている、又は支払い能力を超えていると判断する。
【0092】
その他の方法としては、所定の価値情報(所定の価値情報はいつでも任意な値に変更することができる)を用いる方法がある。すなわち、あらかじめ決められた所定の価値情報と合計価値情報を比較して、合計価値情報が所定の価値情報よりも大きい場合に、支払い限度量を超えている、又は支払い能力を超えていると判断する。限度を超えていると判断した場合には、支払い限度超信号を出力する。また限度を超している旨を知らせるメッセージを表示手段である表示装置に表示してもよいし、又は鳴動手段(図示せず)によって警告音を鳴動させてもよい。また限度を超えていないと判断した場合には、支払い限度内信号を出力する。また限度を超えていない旨を知らせるメッセージを表示手段に表示してもよいし、又はその旨を知らせる確認音を鳴動させてもよい。支払い限度判断手段は専用のハードウェアで構成してもよいし、CPUが簡単なハードウェアを制御することによって構成してもよい。これにより、支払いができない理由を確認することができる。
【0093】
上述したように、精算される価値情報が携帯電話装置80が記憶している(所有している)蓄積価値情報よりも大きい場合(S141;N)には支払い精算をすることはできない。しかしながら、携帯電話装置80の電子マネー機能処理部82の支払い限度判断手段により、所定の条件に当てはまる場合(S142:Y)には蓄積価値情報がマイナスになっても支払い精算ができるようにしてもよい。なお、所定の条件とは、ある金額以上の預金が所定の金融機関の口座にある場合などであり、その預金額に基づいて最大のマイナス分が設定されるようにしてもよい。また、あらかじめある一定のマイナス分が許されるように、携帯電話装置の記憶手段83の最大マイナス値領域に最大マイナス分の設定値を設定していてもよい。支払い精算によってマイナスの蓄積価値情報が記憶手段に記憶された場合、入金装置によってそのマイナス分の料金を支払うことによってマイナス分を精算することができる。
【0094】
図10における電子マネー機能処理部82の精算手段、プリペイド手段、サーバ交信手段、価値情報表示手段、支払い限度判断手段、電子認証手段、残高表示手段、利息手段及びマイナス貨幣精算手段は、必ずしもこれらすべての手段が必須ではなく、適宜組み合わせ可能である。また、精算手段、プリペイド手段、サーバ交信手段、価値情報表示手段、支払い限度判断手段、電子認証手段、残高表示手段、利息手段及びマイナス貨幣精算手段のおのおのの手段は専用のハードウェアで構成されてもよい。又はハードウェアとソフトウェアのバランスを考慮しながら、一部をハードウェアで構成し、残りをCPUによる制御手段によってハードウェアを制御して、前記おのおのの手段を実現してもよい。
(表示)
また、電子マネーの残高が所定の残量になった場合に、その旨を報知するようにしてもよい。その報知は所定の入力がされるまで表示手段に表示してもよい。又は、定期的にLEDやバックライトが点灯又は点滅するようにしてもよい。また報知すると共に、サーバ装置から電子マネーをチャージするかどうかのメッセージを表示し、チャージする旨が操作されると、前述したサーバ装置を使用した電子マネーのチャージを行う手順が始まるようにしてもよい。これにより、電子マネーの残高が少なくなったことが自動的に確認することができる。
(電子マネーの変換)
また、現在の電子マネーはそのサービスを提供する企業毎に異なる電子マネーが存在する。そこで異なる電子マネーの相互間の変換を行う一実施例を、図18及び図19を用いて説明する。電子マネーAと電子マネーBがあり、携帯電話装置80には電子マネーAがチャージされているとする。
【0095】
まず、電子マネーAのサーバ装置Aに接続して、電子マネーBに変換する旨を伝える(S151)。サーバ装置Aは、サーバ装置Bと接続し、サーバ装置Bに対して、電子マネーの変換が可能かどうかを問い合わせる(S152)。サーバ装置Bはその問い合わせに対して変換が可能か又は不可能かの返答をサーバ装置Aへ返す(S153)。そのとき、変換が可能であれば携帯電話装置に対して変換可能である旨を通知する。携帯電話装置80は、交換する電子マネーAをサーバ装置Aへ転送する(S154)。次いで、サーバ装置Aは、交換する電子マネーAをサーバ装置Bへ転送する(S155)。サーバ装置Bは、電子マネーAを電子マネーBに変換して、サーバ装置Aへ転送する(S156)。サーバ装置Aは、サーバ装置Bから受信した電子マネーBを携帯電話装置80に転送するものである(S157)。
【0096】
携帯電話装置80は受信した電子マネーBを記憶手段83に記憶することにより電子マネーBをチャージする。携帯電話装置70、サーバ装置A、サーバ装置Bの間で電子マネーの送受信が行われるが、実際の電子マネーのデータを送受信してもよいが、直接電子マネーのデータを送受信する代わりに、電子マネーの送受信に関する形式データ(ステータス情報、例えば電子マネーAを所定の量をサーバ装置Aからサーバ装置Bへ送信したという情報)をお互いに交換してもよい。このとき、変換手数料を徴収することもできる。
【0097】
また、電子マネー同士の変換の他に、電子マネーとポイント(買物ポイント、利用ポイント:買物をすると(又は何かを利用すると)所定の支払い金額に対してもらえるもので、買物券等に交換できるマイレージ(航空機のフライト距離に応じてもらえるポイント)を交換できるようにしてもよい。ポイントを電子マネーに変換(交換)する場合は、ポイントを管理するサーバ装置に接続して、サーバ装置からポイントに応じた電子マネーを受け取る方法や、携帯電話装置に用意された変換手段によって蓄積したポイントを電子マネーに変換するようにしてもよい。これにより、使用した電子マネーを増やすことができる。
(電子マネーの転送)
また、一方の携帯電話装置80の電子マネー(ポイントも含む)を他方の携帯電話装置80に転送できるようにしてもよい。転送手段としては、無線通信手段によって基地局側(ネットワーク)を介して相手電話装置に電子マネーを転送する方法と、携帯電話機装置同士を直接接続して(USB、無線USB、IrDA、ブルートゥース等を使用する)、電子マネーを転送する場合が考えられる。
【0098】
電子マネーの転送について、図20を用いて説明する。
【0099】
まず、転送元の携帯電話装置80は転送先の携帯電話装置80に対して転送する電子マネーの額、電子マネーの種類等の情報を送信する(S161)。その情報を受信した転送先は、電子マネーの受信が認容できるならば認容する旨の通知を転送元に対して行う(S162)。転送元は認容(転送OK)の旨の通知を受け取ると、電子マネーを転送先に転送すると共に(S163)、転送した電子マネー相当分を自装置に蓄積している電子マネーから差し引く。転送先は、電子マネーを受信したら自装置の電子マネーを蓄積しているメモリに蓄積するとともに、電子マネーを受け取った旨の通知を転送元に対して行う(S164)。このやり取りは送信元、送信先の携帯電話装置に履歴情報として記憶され、その履歴情報を表示装置に表示することにより確認することができる。
【0100】
これにより、電子マネーの貸し借りを手軽に清算したり、又は携帯電話機を複数台所有している場合に、一方から他方へ電子マネーを簡単に移すことができる。
【0101】
また、定期的な支払い(例えば公共料金(電気、水道、ガス代)等)を電子マネーによって支払う(いわゆる自動引き落とし)ことも考えられる。公共料金の引き落としを行うサーバ装置は、定期的に携帯電話に対して通信接続を行い、支払額に応じた電子マネーを携帯電話装置の精算手段を用いて、携帯電話装置80の記憶手段の電子マネーを引き落とすものである。電子マネーの引き落としはいわゆるプッシュ信号(プッシュ命令、プッシュプロトコル)と呼ばれるもので、基地局側から携帯電話機の設定を行うためのプロトコルによって行う。
【0102】
これにより、料金の引き落としを電子マネーで行うことができる。
【0103】
また携帯電話装置、又はサーバ装置に蓄積されている電子マネー(ポイントにも適用可能)に利息がつくようにしてもよい(利息手段)。具体的には蓄積されている電子マネーの量と蓄積されている時間に応じて、所定の量の電子マネーを、所定の時期(一年毎、半年毎、1ヶ月毎のように所定の周期で)に元の電子マネーにプラスして蓄積するものである。
【0104】
これにより、電子マネーを預金用(資産形成用)として使用することができる。
【0105】
また1種類の電子マネー(たとえば1つの電子マネー提供会社が提供している電子マネー)において、蓄積している記憶手段に複数のフォルダーを用意しておき、用途別(機能別)に分けて使用する。例えば、通常支払い用、貯金用(貯金箱手段)、予備用、自動引き落とし用、インターネット取引用、会社用、公用、Eコマース用等を用意する。通常支払い用は、一般の支払いに使用するもので、普通にチャージするときはここにチャージされる。おのおののフォルダーはチャージや支払いを独立しておこなうことができ、またフォルダー間の電子マネーの移動も簡単な操作で行うことができる。貯金用フォルダの場合は、チャージする場合や他のフォルダーからの電子マネーの移動は特に制限なくできるようにし、支払いや精算又は他のフォルダーへの移動はできないように設定しておく。又は所定の条件でできるように設定してもよい。所定の条件とは例えば、パスワードの入力等であり、これにより貯金箱としての機能を持たせることができる。
【0106】
このように複数のフォルダーを用意することにより、より細かく電子マネーの管理をすることができる。
(電子マネーの乗車運賃への適用)
本システムによるサービスは、携帯電話装置80にICタグを搭載したICカードを乗車券として使用するサービスがあるが、単にICカードの再利用に役に立っているのみ、まだまだ利便性に欠けている。
【0107】
そこで、次に、図1に示すICタグ手段を鉄道、バス、タクシー等の輸送システム(交通機関)における乗車運賃の支払いに使用する実施例を説明する。
【0108】
本発明の電子マネーの乗車運賃への適用を中心にした、ブロック構成例を図21に示す。
【0109】
図21のシステムは、専用端末装置90、改札機(精算機)91、ネットワーク94、サーバ・交通機関システム95、サーバ・交通機関システム95に接続された記憶手段96、携帯電話装置100、サービス提供会社101及びサービス提供会社101に接続された記憶手段102から構成されている。
【0110】
専用端末装置90は、本電子マネーシステムの電子切符、電子定期券を発券する専用の装置である。現金で切符又は定期を購入することもできるし又は電子的に購入することもできる。改札機(精算機)91は、本電子マネーシステムの改札機(精算機)であり。リーダライタ装置を備えている。ネットワーク94は、有線ネットワーク、無線ネットワーク、広域ネットワーク等である。サーバ・交通機関システム95は、電子マネーの乗車運賃への適用に係るサーバである。サーバ・交通機関システム95は、サービス提供会社のシステムであってもよい。このサーバは、交通機関システムと連結されていてもよい。記憶手段96は、サーバ・交通機関システム95に接続されており、電子マネー基本情報及び携帯電話装置基本情報を記憶している。サービス提供会社101は、電子マネーを利用した乗車運賃のサービスを行う会社である。サービス提供会社101に接続された記憶手段102には、携帯電話装置100の履歴情報が格納されている。
【0111】
携帯電話装置100は、電子マネー機能を有する携帯電話装置であり、通信I/F部93、電子マネー機能処理部97、記憶手段98及び出力部99から構成されている。
【0112】
通信I/F部93は、専用端末装置90、改札機(精算機)91及びネットワーク94と通信を行うためのインタフェースであり、近距離無線通信、広域無線通信及び有線通信が可能である。電子マネー機能処理972は、電子マネー機能を用いて、電子切符、電子定期等を処理するもので、次の手段を有する。
・記憶制御手段(記憶手段83の記憶及び読出しを制御する)
・プリペイド手段(電子マネーの入金及び出金を行う。電子貨幣蓄積手段とも言える。)
・精算手段(電子マネーにより精算を行う。物及びサービスを購入した際の対価の支払い手段でもある。)
・サーバ交信手段(サーバと交信する。)
・価値情報表示手段(表示手段に現在の価値情報を表示する。)
・電子認証手段(認証データを用いて、入金装置、支払い装置の認証を行う。)
・支払い限度判断手段(支払いの限度を判断する。)
・残高表示手段(電子マネーの使用できる残高を表示する。)
・利息手段(利息を計算する。)
・マイナス貨幣精算手段(支払いの結果、負になる場合の精算を扱う。)
を有する。
・列車リスト表示手段(列車予約のための列車リストを表示する)
・電子メール手段(改札を通過したとき、電子メールを送信する。)
・電子切符手段(切符を買う代わりに改札機で精算する。)
・電子定期購入手段(電子定を期購する。)
・期限情報通知手段(定期の期限を表示装置等で通知する。)
・電子乗車券手段(電子乗車券に係る処理を行う。)
・電子指定券手段(電子指定券に係る処理を行う。)
・時計手段(年月日時分秒の時計を行う。)
・電子チケット手段(電子チケットに係る処理を行う。)
・電子定期手段(電子定期に係る処理を行う。)
・電話帳手段(電話帳機能を実現する。)
・履歴手段(電子切符、電子定期等の履歴を処理する。)
を有する。
【0113】
記憶手段98は、携帯電話装置が、電子マネー機能を用いて、電子切符、電子定期等を行うために、次の情報を記憶している。
・定期券関連情報
・電子貨幣情報(価値情報)
・最大マイナス値
・定期関連券情報
・電子証明データ
・チケットデータ
・履歴情報
出力部99は、表示手段及び発光手段を有し、必要に応じて、表示又は発光するものである。
【0114】
図1のICタグ手段に乗車券(切符、定期券、電子指定券等)の機能を持たせる(図21の電子マネー機能処理部97における電子乗車券手段、電子切符手段、電子定期手段、電子指定券手段)。また、複数の交通機関の乗車券機能を実行させるようにしてもよい。また、この電子乗車券手段と前述したプリペイド方式の両方を使用できるようにしてもよい。ユーザは、リーダライタ装置が内蔵されている改札機(又は精算機)91に、ICタグ手段が内蔵されている携帯電話装置100をかざすだけで、定期券の提示、運賃の支払い、駅構内への入出場、乗り越しの精算、定期券区間外の乗り越し精算等をスピーディに行うことができる。
【0115】
記憶手段98には、電子マネー機能処理部97における電子定期手段が使用する情報である交通機関の種別(鉄道、電車、バス、タクシー等)、交通機関の名称、利用する区間の情報(駅名やバス停名等)と利用開始期日と利用終了期日、利用者の名称、性別、年齢、定期券料金、料金種別(大人、中人、小人等)、利用期間種別(1ヶ月、6ヶ月等)、割引(学生割引、優遇、その他)かどうか等の定期券関連情報が記憶されている。
【0116】
電子マネー機能処理部97における期限情報通知手段は、利用終了期日(定期券の有効期限が切れる日)の所定の日数前(有効期限切れの報知を開始する日又は日時)に、定期券の有効期限が切れる旨の報知(携帯電話装置80の表示装置にメッセージ(あと何日で切れる等)を表示したり、LED等の点灯又は点滅等)を行う。期限情報通知手段は、記憶手段98に記憶されている定期券関連情報利用終了期日を読み出して、時計手段から、そのときの日時情報を読み出して、両方を比較する。比較の結果、一致した場合に報知する。これにより、期限切れを自動的に報知することができる。
(定期の購入)
電子マネーを用いた定期の購入方法について、図22を用いて説明する。
【0117】
電子定期の新規購入や継続手続きは、上述したプリペイド方式による支払よる電子マネーをチャージする場合のように、専用の端末装置90を使用してもよいし、無線手段を使用して、サーバ装置94を用いてもよい。支払い方法、上述したプリペイド方式による支払い方法とほぼ同じであり、上述したプリペイド方式により支払うこともできる。
【0118】
先ず、定期を購入できるように携帯電話装置100を専用端末装置90又はサーバ装置94とデータの交換ができるように通信の接続を行う(S171)。次に、図11と同様に、専用端末装置90又はサーバ装置94と携帯電話装置100との間で、相互に認証を行う(S172)。なお、認証がOKということは、本定期購入方法に関するプログラムを相互に認証したことでもある。したがって、その後は、携帯電話装置100及び専用端末装置90又はサーバ装置94とに搭載された入金プログラムによって、定期購入処理が進められる。
【0119】
継続の場合は継続を示す要求命令を送信するのみで済むが、新規購入の場合は、購入する定期の交通機関名、利用する駅と区間、利用開始日と利用期間種別などの定期券関連情報を入力する必要があり、専用端末機の場合はその端末機から入力し(S173)、無線手段を利用する場合は携帯電話装置から入力することになる(S174)。
【0120】
専用端末装置90又はサーバ装置94との間で、図15、図16及び図17と同様に、精算を行う(S175)。
【0121】
精算手続きが済むと、専用端末装置90又はサーバ装置94は、定期券関連情報とその定期を使用できることを示す情報(有効情報)を携帯電話装置100に送信する(S175)。携帯電話装置100はこれらの情報を受信し(S176)、これらの情報を、合計価値情報を減じられた蓄積価値情報と共に記憶手段98に記憶する。
また、定期券の学生割引などに必要な証明書類(学生であることの証明書類、生徒手帳等)は証明データとして電子証明データを使用する。電子証明データは、あらかじめ携帯電話装置80の記憶手段98に記憶させておき、定期券関連情報とともにサーバ装置95又は専用端末機90に転送する。又は、継続の時には、定期券関連情報の学生割引情報を使用して、そのまま割引として精算することができる。これにより、新規、継続ともに簡単な手続きで定期を購入することができる。
(列車の予約)
電子マネーを用いた列車の予約方法について、図23を用いて説明する。
【0122】
電子乗車券を有する携帯電話装置100がある駅の改札機で使用した場合に(S181)、その駅から出発する列車又は電車の出発時刻のリストを、電子マネー機能処理部97における列車リスト表示手段により、携帯電話装置80の表示手段に表示させる(S182)。これにより利用できる列車を即座に確認することができる。表示させる情報としては、列車名、列車の種類(特急、急行、普通など)、行先、予約状況、出発時刻などがあり、リストに表示された列車を選択すると詳細な情報を表示するようにしてもよい。リスト表示する順番としては、出発時刻順がある。又は、列車の種類別、行先別に表示してもよい。特に、電子定期券の場合には、その定期券で使用する路線又は行き先の列車を自動的に選択して表示する。そのような列車情報は、列車情報を管理しているサーバ装置95に接続された改札機91とICタグ手段を経由して携帯電話機に転送される。表示された列車リストにおいて、予約(乗車券、指定席券、特急券等)できる列車(予約できる列車にはその旨を示すマークやそれと同じ機能を果たすものがついている)を選択して、予約の実行を行うと、予約用のアプリケーションソフトウェアが立ち上がり、サーバ装置95に接続され、予約手続きを実行することにより予約を行うことができる。サーバ装置95と通信するのに使用するインターフェイスとしては、基地局との無線手段又はLAN等の無線I/Fがある。これにより、利用できる列車を予約することができる。
(電子メールの送信)
電子マネーを用いた電子メールの送信方法について、図24を用いて説明する。
【0123】
また、電子乗車券手段をある駅の改札機で使用したとき(改札から入ったとき、又は改札から出たとき)に(S191)、電子マネー機能処理部97における電子メール手段により、自動的に所定の宛先へ電子メールを送信するようにしてもよい(S192)。所定の宛先の設定は、電話帳手段からそれに登録されている任意の宛先を選択することができる。これにより、手間をかけずに確実に所定の駅を利用したことを相手に知らせることができる。電子メールで送信する情報としてはあらかじめ用意しておいた文章データ、使用する駅に関する情報(駅名、日時、入退出、駅に関連する情報(駅案内情報)等)がある。駅に関する情報は改札機から受信した情報(駅名、入退出、駅に関連する情報)を使用してもよいし、携帯電話機の情報(日時、利用履歴情報、GPS手段によって取得した位置情報等)を使用してもよい。
(支払い限度処理)
電子マネー機能処理部97における電子切符手段は、切符を買う代わりに改札機で精算するためのものであり、前述したプリペイド方式による支払いを行う電子マネーとほぼ同じである。チャージする方法としてはプリペイド方式による支払いで説明したチャージ方法の他に、他のプリペイド方式の電子マネーを使用してチャージできるようにしてもよい。このとき、電子切符手段に転送した分だけ記憶手段の電子貨幣記憶領域に蓄積された電子マネーを減ることになる。
【0124】
図25を用いて、電子切符の購入における限度処理を説明する。
【0125】
電子切符の購入によって精算される価値情報(合計価値情報)が携帯電話装置100が記憶している(所有している)蓄積価値情報よりも小さい場合には(S201;Y)、電子切符の購入が行われる(S203)。しかしながら、精算される価値情報が携帯電話装置100が記憶している(所有している)蓄積価値情報よりも(S201;N)には支払い精算をすることはできない(S204)。
【0126】
電子マネー機能処理部97における支払い限度判断手段は、合計価値計算手段が出力した合計価値情報に基づいて支払い限度があるかどうかを判断するものである。プリペイド方式を用いる場合には、支払い限度判断手段は、記憶手段の電子貨幣記憶領域に蓄積されている蓄積価値情報と購入する電子切符の価値情報に基づいて支払い限度を超えているかどうかを判断する。すなわち、蓄積価値情報と電子切符の価値情報を比較して、合計価値情報が蓄積価値情報よりも大きい場合に、支払い限度量を超えている、又は支払い能力を超えていると判断する。サーバ装置95を用いる場合には、電子マネー機能処理部97におけるサーバ交信手段はサーバ装置と交信することにより、サーバ装置97の記憶手段96に記憶されている価値情報を取得する。支払い限度判断手段は、サーバ装置97から取得した価値情報と電子切符の価値情報に基づいて支払い限度を超えているかどうかを判断する。すなわちサーバ装置から取得した価値情報と電子切符の価値情報を比較して、電子切符の価値情報が価値情報よりも大きい場合に、支払い限度量を超えている、又は支払い能力を超えていると判断する。
【0127】
上述したように、精算される価値情報が携帯電話装置100が記憶している(所有している)蓄積価値情報よりも大きい場合(S201;N)には支払い精算をすることはできない。しかしながら、携帯電話装置100の電子マネー機能処理部97の支払い限度判断手段により、所定の条件に当てはまる場合(S202:Y)には蓄積価値情報がマイナスになっても支払い精算ができるようにしてもよい。なお、所定の条件とは、ある金額以上の預金が所定の金融機関の口座にある場合などであり、その預金額に基づいて最大のマイナス分が設定されるようにしてもよい。また、あらかじめある一定のマイナス分が許されるように、携帯電話装置の記憶手段200の最大マイナス値領域に最大マイナス分の設定値を設定していてもよい。支払い精算によってマイナスの蓄積価値情報が記憶手段に記憶された場合、入金装置によってそのマイナス分の料金を支払うことによってマイナス分を精算することができる。また、運賃の精算によって電子切符手段がマイナスになっても他のプリペイド方式の電子マネーで精算できるようにしてもよい。
【0128】
また、蓄積価値情報が減じられて所定の量に達した場合に、電子マネー機能処理部97の価値情報表示手段は、チャージされている電子マネーの量が少なくなってきた旨のメッセージを表示手段に表示することにより報知するようにしてもよい。
(利用履歴、電子チケット)
また、記憶手段98に電子乗車券の利用履歴情報を格納しておき、必要に応じて、電子マネー機能処理部97の履歴手段は、電子乗車券の利用履歴情報を参照して、表示するようにしてもよい。これにより後で利用状況を確認することができ、さらに、その情報を管理情報として使用することができる。履歴情報としては、利用鉄道名、路線名、利用駅名(入った駅、出た駅)、利用日時(入出日時)、使用した電子乗車券の種類(電子定期、電子切符、電子指定券など)、運賃、チャージ履歴等があり、携帯電話機のメモリに記憶しておき、必要な場合に表示装置に表示するものである。またこの履歴情報はリーダライタ装置側に接続されている記憶手段92に記憶するようにしてもよい。
【0129】
電子マネー機能処理部97の電子チケット手段は、あらかじめ料金を支払うことによりチケットデータを携帯電話装置100の記憶手段98に記憶させておき、イベント会場でそのチケットデータを、携帯電話装置100の表示装置に表示させて見せるたり、又はイベント会場のリーダライタ装置にチケットデータを読み込ませることにより入場するものである。
【0130】
チケットデータとしては、イベント名、イベントに関する情報、イベント内容、連絡先、開催日、開催時間、開催場所(住所、GPSで取得した位置情報、地図データ)、イベントの時間割(スケジュール)等のデータがある。開催日の所定の日数前に(その後は定期的に)、イベント開催が近づいた旨のメッセージを表示することにより報知する。報知するかどうかの判断は、電子チケット手段に記憶されている開催日を読み出して、そのときの日又は日時と比較することによって行う。比較の結果、一致した場合に報知する。これにより、紙チケットの代用とすることができ、携帯する場合や、保管する場合にも便利である。
【0131】
ICタグの利用状況は、サービス提供会社100が管理する履歴記憶用の記憶手段101に利用履歴として記憶される。
【0132】
チャージ用専用端末機(図示せず。)や支払い専用端末機(図示せず。)での利用状況や、サーバ装置95を使用したチャージや支払いの利用状況は、逐一利用履歴として記憶手101に記憶される。これにより、ある時点における携帯電話機にチャージされている電子マネーの情報、電子乗車券の情報、電子チケットの情報を確認することができるため、携帯電話装置100が壊れた場合、盗難にあった場合、紛失した場合等にその情報を活用することによって、電子マネーを保証することができる。たとえば、前の機種が壊れた場合や新しい機種に買い換えた場合に、履歴記憶用の記憶装置から電子マネー等の情報を新しい携帯電話装置100に転送することにより、前の携帯電話装置100の状態と同じ状態にすることができる。
(精算する対象が複数ある場合)
次に、携帯電話に1つのICタグを内蔵して、精算する対象が複数ある場合の実施例を説明する。複数の精算対象として、運賃、買物代金(ショッピング、飲食、各種サービスに対する支払い、電話代(パケット代も含む)の3つの例で説明するが、もちろんこの3つに限定する必要はなく、他の支払い対象にも実施可能である。まず、ICタグの無線I/F手段を使用して、ICタグリーダライタ装置を内蔵している入金装置から、電子マネー情報(価値情報)を自装置のICタグに蓄積する。この場合、対象となる電子マネーを扱う提供会社が3つの支払い対象を扱っている場合には、1つの入金装置から電子マネー情報を蓄積して、実際の精算も場合も、3つの支払い対象に対して蓄積した電子マネーを共通に使用することができる。しかしながら電子マネーを異なった支払い対象に共通に使用できるため、ある支払い対象の金額が高額になった場合に、残りの電子マネーで他の支払い対象を精算できないという不具合が生じる可能性がある。
【0133】
そこで本発明では、おのおのの支払い対象に対して、精算できる最大の電子マネーの金額を設定する支払い限度設定手段を備えるものである。支払い限度設定手段の1つの実施例としては、おのおのの支払い対象に対して支払いできる限度額を、蓄積した電子マネーの割合としてあらかじめ設定しておくものである。例えば、買物、電話代、運賃の割合をそれぞれ50%、20%、30%と設定しおくと、電子マネーの蓄積が1万円だった場合には、それぞれの支払い限度額は5千円、2千円、3千円となる。次に、買物で2千円分を支払った後に、さらなる電子マネーの蓄積が2万円だったとすると、それぞれの支払い限度額は1万3千円(3千円+1万円)、6千円(2千円+4千円)、9千円(3千円+6千円)となる。この場合、後述する支払い残高表示手段には、それぞれ1万3千円、6千円、9千円の残高が表示される。また別の実施例として、おのおのの支払い対象の支払い限度額を直接設定する場合も考えられる。たとえば、買物、電話代、運賃をそれぞれ1万円、4千円、6千円と設定するものである。精算する場合に、支払い限度額を超える場合には、精算を行えないようにするのが通常であるが、後述するように限度を超えることを警告しておいて、蓄積された電子マネー全体で支払うことができれば精算を行うようにしてもよい。また支払い限度設定手段は前述した実施例に限定されるものではなく、他の公知技術を適用できる。
【0134】
次に、実際に精算する場合に、支払い限度額を超える場合に警告をする支払い限度警告手段を備えていてもよい。例えば、警告音を発する、警告メッセージを表示手段に表示する等が考えられる。また支払い限度の設定を解除する支払い限度解除手段を備えていてもよい。この場合、支払い限度警告手段により警告された場合、支払い限度解除手段によって、その支払い対象の支払い限度を解除することにより、蓄積されている電子マネーのすべてから精算することができるようにするものである。
また、所定の支払い対象に対して支払いすることができる電子マネー情報(残高)を、支払い対象毎に表示する支払い残高表示手段を備えていてもよい。具体的には、表示装置に支払い対象の名称、すなわち前述した例では、「買物」「電話」「運賃」等の名称と、それに対応する残高、すなわち「1万3千円」「6千円」「9千円」の電子マネー情報を表示するものである。
【0135】
また、前実施例では、電子マネーと取り扱う提供会社が1社の場合を想定したが、複数の提供会社の場合を説明する。ICタグの通信方式は、その提供会社が異なるとその通信方式も異なるのが通常である。従って従来では、1種類のICタグには1つの通信方式しか対応していないため、1台の携帯電話では別の電子マネー提供会社の電子マネーを扱うことができないという問題が生じることが予想される。本発明はそのような課題を解決するものであり、ICタグ手段に複数の通信方式を持つICタグマルチ通信方式手段又はICタグ通信方式切替手段を備えるものである。例えばICタグ手段にA通信方式とB通信方式を備えた場合を考えると、A通信方式に対応している提供会社の入金装置から電波を受信するとA通信方式で交信を行い、入金装置から電子マネーをチャージして、A通信に関連した記憶媒体に電子マネー情報を記憶する。次にB通信方式に対応している提供会社の入金装置からの電波を受信するとB通信方式で交信を行い、B通信に関連した記憶媒体に電子マネー情報を記憶するものである。それぞれの提供会社で使用できる残高情報は、支払い残高表示手段により、その提供会社のサービス名などの名称とともに表示される。
また提供会社が異なっていても、提供会社同士で電子マネーサービスを相互に使用できるのであれば、別々にチャージされた電子マネーを一方から他方に移すことができる。これはあらかじめ共通で使用できる提供会社の情報を示す共通電子マネー情報を電子マネー情報に付加しておき、その共通電子マネー情報に応じて電子マネーの移動を自装置上で行うものである。具体的には、自装置上で電子マネーの移動を指示した場合に、共通電子マネー情報を解析し、その結果、共通で使用できる電子マネーと判断した場合に、電子マネーを移動させるものである。
【0136】
また、前述した実施例では、1台の携帯電話に1種類のICタグ手段を搭載した場合であるが、別の実施例として、1台の携帯電話に複数のICタグ手段を搭載した場合も考えられるが、動作は前述した実施例とほぼ同じである。
【0137】
また、別の実施例として、プリペイド方式を利用した場合に、その利用の態様を示す情報を利用ごとに記憶手段に記憶するプリペイド利用ログ手段(履歴手段)を備える。利用の場面として、入金時、支払い時、残高の照会時などがあり、利用の態様を示す情報として、利用日時、入金か支払いか、入金金額、支払い金額、支払い対象、入金又は支払い時のICタグリーダライタ装置の情報等がある。また上記ログ情報を定期的に又は所定のログ量(又はログ件数)に達した場合所定の通信アドレスに対して送信してもよい。送信手段としてはメール、FTTP、HTTPなどを使用できるが、他の公知技術でも可能である。
【0138】
運賃や買物の精算は、ICリーダ装置を内蔵した専用の精算装置によって精算を行うが、電話代の精算方法はそれと違っているため、携帯電話の電話代を記憶手段の電子貨幣記憶領域に蓄積された電子マネーで精算する実施例を説明する。1つの実施例としては前述したように携帯電話に内蔵されている記憶手段の電子貨幣記憶領域に電子マネーを蓄積し、そこから使用した電話料金を逐次差し引く方法がある。この場合、通話の終了時の基地局とのプロトコルを使用して、記憶手段の電子貨幣記憶領域に蓄積されている電子マネー情報から、基地局から受信した料金データを差し引くことにより精算を行う。又は、通話時に、制御プロトコルを使用して逐次基地局から受信した料金データを差し引いてもよい。また通話開始前の基地局とのプロトコル(呼制御プロトコル)において、携帯電話の記憶手段の電子貨幣記憶領域に電子マネーが残っているかどうかを検査し、電子マネーが残っていなければ通話を禁止することができる。この通話の禁止は、自装置が発信する場合も受信する場合も可能である。
【0139】
また、別の実施例として、使用する通話料金を支払うための電子マネー情報を、基地局側のサーバ装置等に記憶する方法も考えられる。まず、サーバ装置に接続されている入金装置に携帯電話の電話番号又は携帯電話を特定するための識別情報を入力し、次に通話料金を現金又はカード等で支払う。電話番号を入力する代わりに、携帯電話を入金装置に接続して、入金装置が携帯電話の記憶手段に記憶されている電話番号又は携帯電話を特定するための識別情報を読み出してもよい。さらに、携帯電話の記憶手段の電子貨幣記憶領域に蓄積されている電子マネーを通話料金として入金してもよい。その通話料金は電話番号又は識別情報と対応付けられて、電子マネーとしてサーバ装置の記憶手段に記憶される。次に通話する場合には、携帯電話からの発呼時に、基地局との通信プロトコルで、携帯電話の電話番号又は識別情報を、基地局側が受け取り、その情報に基づいて、サーバ手段に電子マネーの残高が残っているかどうか検査する。電子マネーの残高がなければ通話は行われない。電子マネーの残高が残っている場合には、通話が開始され、通話時間に応じて電子マネーは減じられる。電子マネーがなくなれば通話は中止される。通話中、サーバ手段に記憶されている電子マネー情報を、サーバ装置から受信して、携帯電話の表示装置に表示してもよい。
【0140】
ICタグに記憶するその他の情報として装置情報があるが、装置が通常の物の場合には、物の名称、機能、効能、スペック(使用方法、色、寸法、形状、重量等)、原材料、関連情報、製造年月日、販売年月日、販売国、製造国、製造メーカ名、販売店名、価格等の物の情報である。また装置についての情報(装置の種類(携帯電話、PHS、IP電話、IP端末装置、一般加入者電話機、ファクシミリ装置、通信機能付コンピュータ、PDA等)、装置の名称、装置の端末識別情報(電話番号、IPアドレス、URI、URL、ID等)、装置のスペック、設置場所、使用環境、使用履歴、装置のプロフィール等)、装置使用者についての情報(名前、性別、生年月日、年齢、勤務先会社名、住所、趣味、プロフィール等)、画像(装置の画像、使用者の顔画像、動画像、その他の画像)、音声データ(音声メッセージ、BGM、音楽等)等の装置の説明情報もある。装置情報は通常はテキストデータであるが、画像データやプログラム等のバイナリデータでもよい。また装置情報は前記情報に限定されるものではなく、対象物に関する情報すべてを含む。装置情報は通常はICタグのRAMやROMなどの記憶手段に記憶されている。さらに装置情報は前述した単なる装置の情報にとどまらず、装置の状態情報をも含む。装置の状態情報とは例えば、装置がある製品の場合には、製造中、検査中、保管中、出荷中、販売中、使用中、修理中、リサイクル中等、装置の状態又は時間的な状態を表す情報がある。例えば製品がユーザの手に渡った場合(販売された場合)に、使用中を表すビットを有効にすることにより、その製品が販売されユーザが使用中の状態になっていることを知ることができ、その情報を得ることによりさまざまなサービスを行うことができる。
(モバイルセントレックス)
最近、モバイルセントレックスなるシステムが開発されようとしている。モバイルセントレックスとは、携帯電話(モバイルセントレックス端末)を企業の内線電話として使用できるようにしたものであり、会社の外では、従来の携帯電話として使用できる。モバイルセントレックスは現在開発中であるため、発信者番号通知機能についてはその仕様は決まっていない。モバイルセントレックス用の携帯電話は、外線用電話番号と内線用電話番号というように複数の電話番号を持つため、どのように発信者番号通知を行うのか仕様が決まっていないのが現状であり、課題である。そこでそれを解決するための本発明の一実施例を説明する。
【0141】
モバイルセントレックスの方式としては、携帯電話に無線LANのI/Fを搭載して内線通話を実現する方法(方式A)と、通常の携帯電話を使用して、企業内に無線基地局を設置して内線通話を実現する方法(方式B)の2つの方法が考えられる。以下の実施例はその2つの方式に適用できるものである。
【0142】
図26及び図27にモバイルセントレックスのシステム図を示す。
【0143】
図26に示す方式Aの携帯電話は、社内では、社内に設置された無線LAN基地局(AP)につながるVoIP電話として利用でき、社外では携帯電話会社の基地局につながる携帯電話として利用できる。社内において、内線で通話する場合には、近くのAPに接続し、IP−PBXを介して、又は直接相手端末に接続されているAPを通して、相手端末と通話を行う。また、IP―PBXを介して、又はインターネットを介して外線で通話することもできる。また、通話中でもインターネットやサーバを利用してデータ通信を行うこともできる。電話網から到来する外線通話の場合には、IP―PBXにダイレクトインダイヤル機能を備えることにより、各携帯電話を呼び出すことができる。また、方式Aは一般の家庭にも適用できる。
【0144】
図27に示す方式Bの携帯電話は、社内では、社内に設置された小型基地局につながる内線電話として、社外では、携帯電話会社の基地局につながる携帯電話として利用できる。内線で通話する場合には、近くの小型基地局に接続し、小型交換機を介して、又は直接相手端末に接続されている小型基地局を通して、相手端末と通話を行う。また、PBX又は小型交換機を介して、外線で通話することもできる。また、通話中でも小型交換機を利用してデータ通信を行うこともできる。電話網からの外線通話の場合には、IP―PBX又は小型交換機、小型基地局にダイレクトインダイヤル機能を備えることにより、各携帯電話を呼び出すことができる。
【0145】
発信者番号通知の1つの実施例としては、発呼する携帯電話自身が、相手装置に通知する電話番号を決定する方式がある。今、携帯電話機が外線電話用の電話番号(携帯電話として使用する通常の電話番号)と、内線電話用の電話番号の2つの電話番号を使用できる場合を考える。内線電話番号として4桁の電話番号を使用すると仮定する。会社の中で内線電話番号を使用して電話をする場合、通常は相手の内線電話番号を発呼する。この場合、内線電話番号は4桁であるので、発呼する携帯電話機は、4桁の電話番号で発呼した場合は、内線電話による通話又は通信であることが判別できる。この通話又は通信が内線電話番号によるものと判断した場合には、相手先又は通信網へ通知する自端末装置の電話番号は、自端末装置の内線番号である。また、発呼する電話番号が内線電話番号ではない場合(外線電話番号の場合)、すなわち、発呼した電話番号が例えば5桁以上の場合は外線電話番号と判断して、自端末装置の外線電話番号を相手先又は通信網に通知する。又は、発呼する電話番号に限らず、自端末装置の持つすべての電話番号(外線電話番号と内線電話番号の2つ)を通知してもよい。通知された相手は、通知された電話番号の桁数から、どちらの番号が内線番号なのか外線番号なのかを知ることができる。また、会社の外(会社内の無線基地局のエリア外)から電話をかける場合には、自端末装置の外線電話番号を、相手装置又は通信網側に通知する。
(電話番号の選択)
通信網側(基地局側、無線局側、通信網側の装置)が、通知する電話番号を選択して、相手側装置(被呼側)に通知する方式がある。通信網側(AP,サーバ、IP−PBX、小型基地局、小型交換機等)は、あらかじめ、携帯電話機の外線電話番号と内線電話番号の対応テーブル(第28図の電話番号テーブル)を、扱う携帯電話機の台数分、電話番号対応テーブルとして記憶している。
【0146】
発呼側の携帯電話は、発呼するときに、通信網側に、相手側(被呼側)の電話番号を通知するとともに、自装置の電話番号(外線用電話番号又は内線電話番号のうち少なくとも1以上の電話番号)を通知する。通信網側は、発呼側の携帯電話機が発呼した相手側の電話番号を受信し、それが内線電話番号であれば、その電話番号が存在する基地局を探して(位置管理サーバ装置に問い合わせる)呼接続するとともに、その電話番号又は電話番号対応テーブルに記憶されている発呼側の携帯電話の内線電話番号を、相手側に通知する。受信した相手側の電話番号が外線用電話番号であれば、その電話番号が存在する基地局(会社の外の基地局、一般の基地局)を探して(携帯電話機の位置を管理する位置管理サーバ装置に問い合わせる)呼接続するとともに、電話番号対応テーブルに記憶されている発呼側の携帯電話の外線電話番号を、相手側に通知する。また、通信網側は、受信した被呼側の電話番号に関わらず、電話番号対応テーブルに記憶されている発呼側の外線電話番号と内線電話番号の2つ電話番号を通知してもよい。
(内線手段と外線手段の自動的切り換え)
会社内から会社内の相手側に内線電話番号で電話をかける場合、相手側が会社内にいないと、電話が繋がらないという問題がある。
この課題を解決するための発明の一実施例として、内線手段と外線手段を自動的に切り替える手段を説明する。相手先の内線電話番号を受信した会社内の無線基地局(又はサーバ装置)は、その内線電話番号の通信装置が会社内にいるかどうかを調査する。調査の結果、会社内に存在すれば、該当エリアを担当している会社内の無線基地局を通して該当の相手先を呼び出す。調査の結果、会社内にいなければ、電話番号対応テーブルにより、受信した相手先の内線電話番号に対応している外線電話番号を取得し、取得した外線電話番号によって、どこの基地局のエリアにいるかどうかを、会社外にある一般的な位置確認用サーバ装置に問い合わせる。その結果により、該当エリアを担当している一般の基地局と通して相手先を呼び出す。また、その逆に、会社内の無線基地局が相手先の外線番号を受信した場合は、電話番号対応テーブルにより、受信した相手先の外線電話番号に対応している内線電話番号を取得し、その内線電話番号の通信装置が会社内にいるかどうかを調査する。調査の結果、会社内に存在すれば、該当エリアを担当している会社内の無線基地局を通して該当の相手先を呼び出す。調査の結果、会社内にいなければ、先に受信した外線電話番号によって、どこの基地局のエリアにいるかどうかを、会社外にある一般的な位置確認用サーバ装置に問い合わせる。その結果により、該当エリアを担当している一般の基地局と通して相手先を呼び出す。また、この両方の機能を備えたものも考えられる。たとえば、発呼する通信端末装置が、電話番号ではなく相手先の名称を選択して発呼する場合である。通信端末装置は、相手装置の名称、外線電話番号、内線電話番号のうち少なくとも1つ以上を無線基地局側へ通知するものである。基地局側は受信した名称又は電話番号と電話番号対応テーブルを使用して、相手装置が会社内にいるかどうかを調査して、外線電話番号と内線電話番号のどちらを使用するか決定するものである(電話番号自動選択手段)。
この時、基地局側は、内線で繋がったか、外線で繋がったかの情報を発呼した通信端末装置に送信し、その情報を受信した通信端末装置は、表示部にその情報を表示する。
また、無線基地局側は、内線で繋がった場合の通話時間と、外線で繋がった場合の通話時間を記憶し管理することにより、それぞれの通話料金を算出することができる。このように別々に管理することにより、内線の場合は、無料にしたり、又は定額制にするというようなサービスを行うことができる。
【0147】
また、無線LANのアクセスポイントや小型基地局のエリア内にいる場合には、通話のために発呼する場合やあるいは通信のために接続する場合など、無線LANのアクセスポイントや小型基地局に優先的に接続し、無線LANのアクセスポイントや小型基地局のエリア内にいない場合には、基地局に接続するようにしてもよい。前述した選択を装置が自動で行っても良いし、また通信可能な複数のアクセスポイントや基地局を装置の表示部に表示し、操作者が接続する先を選択するようにしてもよい。
【0148】
以上の技術は小規模ユーザ(一般家庭、自治体、パーソナルユース等)においても応用できる。
(PTT方式)
通常の通話以外のサービスで、PTT(PUSH TO TALK)がある。専用ボタンを押し続けている間に、相手に対して音声データを送ることができるものであり、トランシーバ的な使い方ができる。通常の通話のように相手と同時に話すことはできない。しかしながら、複数の相手に対して音声データを送ることができる。しかしながら、まだ利便性に欠ける問題がある。
本発明の一実施例のPTTは通常の通話に比べて使用するプロトコルは簡易的なプロトコルを使用することによって手軽な通話を実現する。例えば、通常の通話を行うための呼制御を行わず、論理チャネルを確保するのみで(場合によっては論理チャネルの確保も省略する)直接音声データを相手装置に送りつけることでPTTを実現する。
【0149】
次に、PTTの通信方法について、図29を用いて説明する。
ステップ211:携帯電話装置Bの電話帳から、PTTで会話する相手である携帯電話装置A(名称、電話番号、アドレス等を選ぶ)を選択する。
ステップ212:PTTの通話用ボタンを押しつづけている間、マイクに向かって話す。通話ボタンを離すことによりその通話は終了する。
ステップ214:電話機Aに対して呼び出しが通知され、電話機Aの呼び出し音が鳴り、つづいて電話機Bからの音声が再生される。
ステップ215:電話機Aの通話用ボタンを押しながら話す。
ステップ217:電話機Bに呼出音が鳴り、つづいて電話機Aからの音声が再生される。
【0150】
このとき、PTTを行っている途中で、通常の通話に切替えたい場合に、電話機の切替ボタンを操作すると、そのときに行っていたPTTの相手先の電話番号を発呼することにより、通常の通話の呼制御を行い、相手電話機を呼び出して通常の電話(両方同時に会話することができる)をすることができる。このとき、一対一のPTTの場合には、相手は一つなのでその電話番号で呼び出せばよいが、PTTの相手が複数の場合には、その相手に対応した電話番号を複数表示し、その中から電話番号を選択して発呼するようにしてもよい。
【0151】
また、逆に、相手先と通常の通話を行っているときに、PTTへの切替操作を行うと、以後、PTTモードになり、その相手先とPTTによる会話が可能となる。
【0152】
通常の電話においては、発信記録や着信記録を記憶する履歴手段があるが、PTTの場合も発信や着信の履歴(相手名所、電話番号、通話日時等)を記憶することができる。
また、通常の電話をしているときや他の操作を行っていてPTTのメッセージを直接聞くことができないときにPTTの着信があった場合には、その着信履歴を記憶するとともに、PTTの音声データをメモリに記憶する。さらに、着信があった旨を示す表示を表示部に表示し、その表示が選択された場合には、PTTの会話モードに移行し、記憶しているPTTの音声データを再生するものである。その後はPTTの通話ボタンを押すことによって、着信のあった相手装置に対してPTTでの通話が可能となる。
【0153】
このようにPTTと通常の電話を簡単に切り替えられるようにすることにより、ユーザの使用状況に合った便利な使い方を提供することができる。
【0154】
また、110番や119番などの緊急用の電話番号や、特殊サービス用の電話番号等の所定の電話番号(PTTでは利用できない電話番号)に対してPTTの呼出をした場合には、自動的に通常の電話に切り替えて発呼するようにしてもよい。
【0155】
また、PTTで複数の相手と通話中に、その複数の相手のうち一以上の相手を選択した相手に対してのみ、自分の発した音声がその相手にのみ聞こえるように制御してもよい。その相手の選択は例えば表示された電話番号やその電話番号に対応させた表示情報(文字、アイコン、記号、キャラクター、画情報、アニメーション等)を選択することにより行う。
【0156】
また、PTT中に電話がかかってきた場合について説明する。発信者権(発呼した装置が持つもので、例えば発信者が通話を終了(切断)するとPTTが終了する)を持つ装置(通常は発呼装置)に電話の着呼があった場合、その電話に応答すると、通常はPTT終了してしまうので、電話に応答する前に、発信者権をPTTしている複数の通話相手のうち一以上の相手に渡す。相手装置の選択は、この場合も前述したような選択方法が使用できる。発信者権を渡したあとに着呼があった(呼出中の)電話に応答して、通常の通話を行えばよい。一方、PTT中に発信者権を持たない装置に電話の着呼があった場合には、そのまま応答することにより、PTTから離脱して通常の通話を行うものである。PTTの発呼装置又は着呼装置に表示部に、PTTに参加している一以上の相手装置(自装置も含む)の表示情報を表示し、さらに、その装置の状態表示(PTT呼出に応答無、PTT参加中、PTT途中離脱、発呼装置、発信者権等の表示やそのような表示に対応した文字、アイコン、記号、キャラクター、画情報、アニメーション等)を表示し、その装置の状態が変化する毎に状態表示を変更するようにしてもよい。
(位置情報を用いた通信)
GPS(全地球測位システム)とは、一般には、複数の人工衛星からの電波を受信し、その到達時間のずれから自分のいる緯度と経度などの地球上の位置情報を算出するシステムである。
【0157】
GPS機能を搭載した携帯電話が開発されており、GPS機能を使用して携帯電話の位置情報を取得して地図上に位置を表示するシステムがあるが、まだまだ利便性に欠けるところがある。本発明はGPS機能を使用した携帯電話の利便性をより高めることを目的としている。利便性に欠ける1つの課題として、自分の携帯電話の位置情報を通信又は通話している相手装置に送ることができず、相手装置に自分の携帯電話の位置を表示することができないという課題がある。
本発明はその課題を解決するために、通信装置はGPS手段と、通信相手識別手段と、通信手段とを備え、所定の通信相手と通信する場合には、GPS手段によって取得した位置情報を、通信相手装置に送信するものである。具体的には呼設定信号(SETUP)に位置情報データを含ませて通信相手装置へ送信する。もちろん、通信相手識別手段は必須ではなく、すべての相手に対して送信してもよい。通信相手装置は、受信した位置情報に基づいて、地図情報とその地図情報の所定の位置に、相手通信装置の位置を示すマークを表示する。
【0158】
また、相手装置もGPS機能を備えていれば、位置情報を送信してきた相手装置の位置情報とともに自分の位置情報も表示することができる。この場合、相手と自分を区別ができるマークを表示するとよい。具体的には、文字、数字、アルファベット、絵文字、絵、図、図形等のマークが考えられる。地図データは、あらかじめ通信相手装置のメモリ手段に記憶されている。また、必要な時に地図データを他の装置(例えば基地局又はサーバ装置等)からダウンロードしてもよい。また、通信装置が位置情報とともに地図データを送信してもよい。また通信装置同士でお互いに位置情報を交換することにより、お互いに相手装置の位置を自分の装置の表示部に表示することもできる。また双方の装置がGPS機能を搭載していれば、お互いに相手装置と自分の装置の位置を自分の装置の表示部に表示することができる。またこれは2者間に限らず多者間でも同様である。
【0159】
このように、所定の縮尺の地図データの上に2つ以上の位置情報を表示画面に表示する場合に、一方の位置情報(例えば自装置の位置)を地図データの領域内に表示できても、他方の位置情報(例えば通信相手装置)が表示する地図データの領域外になってしまうという課題がある。この課題の解決策としては、所定の数の位置情報が地図データの領域内になるように、複数の位置情報が示す位置関係に応じて所定の縮尺の地図データを使用する地図選択手段がある。
【0160】
地図選択手段の具体例として2つの位置情報を地図上に表示する場合を説明する。一方の位置情報と他方の位置情報のX方向とY方向の距離差をそれぞれx2とy2とし、表示装置に表示する地図データの水平方向の最大距離x1と、垂直方向の最大距離y1とすると、x1≧x2かつy1≧y2、となる地図の縮尺をSとすると、S以上の縮尺を持つ地図データの中から適宜選択する。この場合通常は縮尺S又はそれに近い縮尺を選択するがそれに限定されない。一方の位置情報を地図の中心付近に表示したい場合は、Sの2倍の縮尺以上を持つ地図データを使用すればよい。図6の例では、最初はs1の縮尺の地図とその地図上に片方(自装置)の位置を表示している。次にx2÷x1>y2÷y1なので、縮尺がs1×x2÷x1の地図を選択し表示する。次に自装置を地図の中央に表示するために、縮尺が2×s1×x2÷x1の地図を選択し表示し、自装置のマークを地図の中央に表示し、他の装置もマークも所定の地図上の位置に表示する。また以上の実施例を応用して、3以上の複数の装置を地図上の所定の位置に配置することができる。また縮尺の異なる地図を選択する地図選択手段はこれに限定する必要はなく、他の公知技術を適用してもよい。
【0161】
また、地図選択手段として、複数の位置情報に応じて表示する元の地図データをずらすことも考えられる。地図選択手段の具体例として2つの位置情報を地図上に表示する場合を説明する(図7)。一方の位置は地図データの領域の中にあり、他方の位置は地図データの左辺方向の領域外とする。一方の位置と地図データの右辺との距離差をx5、他方の位置と地図データの左辺との距離差をx6とすると、x5−x6≧0であれば、左辺側へx6移動した地図データを表示し、それぞれの位置情報に相当するマークを地図上に表示する。このままでは、他方の位置は地図の左辺上にあるので、さらに(x5−x6)÷2だけ左辺方向に地図データをずらすと丁度、それぞれの位置の辺からの距離が等分となる。これと同じように垂直方向にも適用すれば2つの位置情報を同一の地図データの領域上に表示することができる。
【0162】
さらに、今まで説明した表示する位置情報が2つの場合の実施例を、3つの以上の位置情報を表示する場合にも応用できことは言うまでもない。この場合、地図選択手段は自装置の位置が必ず地図上に表示されるようにしてもよい。また、端末装置に優先順位をつけて(例えば、通信が開始された順番)、地図上に表示することも考えられる。
【0163】
また、複数の位置情報を地図上に表示する場合において、すべての位置情報が地図上に表示できない場合もある。その場合には、地図の領域外であることを示すマーク(印)を地図上に表示することもできる。マークとしてどのようなものでも可能であるが、マーク位置から該当する位置の方向を指し示す矢印がよい。また、地図上に表示できない端末装置の名称や識別情報や、表示できない端末装置の数などの情報を表示装置に表示できる。
【0164】
また、端末装置同士の距離情報を表示してもよい。
【0165】
また、ここまでは通話しながら、位置情報を載せた制御プロトコルを送受信する場合を説明してきたが、端末装置同士では通話せずに、制御プロトコル(制御情報)のみで位置情報を逐次送受信するGPS専用の通信モードであるGPS通信手段を備えていてもよい。
【0166】
位置情報を送るべき所定の通信相手かどうかを判断する通信相手判断手段の具体例としては、相手の電話番号を記憶しておく電話帳手段を利用することが考えられる。電話帳手段に、位置情報を送信する電話番号を登録する。具体的には、電話帳に記憶されている電話番号に対応する記憶領域、すなわち位置情報送信ビットを用意し、位置情報を送る電話番号として登録された電話番号については位置情報送信ビットをアクティブにしておく。アクティブな位置情報送信ビットを持った電話番号が電話帳手段から選択された場合、又は直接テンキーで電話番号が入力された場合には、その電話番号が電話帳手段に登録されていて、かつ位置情報送信ビットがアクティブになっているかどうかを検査する電話番号検査手段により、入力された電話番号が電話帳手段に登録されていて、かつ位置情報送信ビットがアクティブになっていると判断された場合には、GPS手段によって取得された位置情報を通信プロトコル(例えば呼設定信号(SETUP))に挿入し相手装置に送信する。また相手識別情報としては前記電話番号の他にメールアドレス、IPアドレス、URIなどが考えられる。位置情報はそれぞれのプロトコルに挿入されて相手装置に転送される。また通信相手判断手段に関わらず、すべての通信に対して位置情報を送信するか、送信しないかを設定する位置情報送信設定手段を備えていてもよい。
【0167】
また、110番又は119番に代表されるようないわゆる緊急電話の場合には、前記位置情報送信設定手段によって位置情報を送信するように設定されていても、位置情報を送信するようにしてもよい。発信が緊急電話かどうかの判断は、自装置に入力手段によって入力された電話番号が、所定の電話番号であるかどうかを比較することによって行う。又は、緊急電話番号が入力されると、表示装置に、位置情報を送信するかどうかのメッセージを表示してもよい。この場合、肯定の入力があると位置情報を送信する。又は緊急電話番号の入力と、発呼指示の入力(いわゆる緑の電話ボタンやそれに相当する入力)があると、位置情報を送信するかどうかのメッセージを表示して、それに対する肯定の入力があると位置情報を送信してもよい。また、通話中に所定のボタンを押すことにより、制御プロトコルに位置情報を挿入して送信してもよい。その場合であって、緊急電話番号で繋がった場合にのみ、所定のボタンを押すと位置情報を送信するようにしてもよい。
【0168】
また、別の実施例として、目的地の住所情報を自端末装置に入力して、位置情報送信手段により位置情報を基地局に送信する。基地局は受信した位置情報を地図情報選択手段により解析し、その位置情報に対応する所定の領域の地図情報を選択し、位置情報を送ってきた端末装置に返信する。その地図情報を受信した端末装置は、自端末装置ありは外部に接続されている表示手段にその地図情報を表示するとともに、目的地マーク手段は目的地の場所を示すマークを地図情報の所定の位置に表示する。さらに、自端末装置の位置情報をGPS手段により取得し、自端末装置マーク手段は自端末装置の位置を示すマークを地図情報の所定の位置に表示するものである。
【0169】
住所情報は位置情報(緯度、経度)そのものでもよい。また、位置情報は通常使用されている住所(○○県××市)の場合は、住所データから位置情報に変換する位置情報変換手段を端末装置又は基地局が備えていてもよい。また住所情報は地図情報の任意の場所を端末装置の入力手段によって指定することによって位置情報に変換してもよい。また住所情報や位置情報としてはすでに説明したものに限定する必要はなく、他の公知技術を適用できる。
【0170】
置情報送信手段には、メール手段、サーバ接続手段、FTP手段、HTTP手段などがある。メール手段は、SMTPやPOP3を使用したいわゆるE-Mailや、独自プロトコルを採用するメール手段がある。位置情報はメールの本文やSubjectの欄に記載し送信する。サーバ接続手段とは、いわゆるNTTドコモのiモード(登録商標)やKDDIのEzweb(登録商標)やインターネットようにサーバ装置に接続して、サーバ装置と端末装置の間でデータのやり取りを行うものであり、位置情報をデータとして送信する。FTP手段やHTTP手段は、そのプロトコルのデータ領域に位置情報を含ませて、又はデータそのものとして送信するものである。
【0171】
地図情報選択手段は、あらかじめ地図情報を記憶している記憶手段から、位置情報が示す場所を含む地図情報を選択する。この選択の具体的手段は現在の公知技術を適用できる。
【0172】
目的地マーク手段は、目的の位置情報と一致又は近似する地図情報の位置情報を検索し、該当する位置情報に対応する地図情報の位置を示す所定のマークを、表示手段に表示された地図データ上に表示するものである。
【0173】
自端末装置マーク手段は、自端末装置の位置情報と一致又は近似する地図情報の位置情報を検索し、該当する位置情報に対応する地図情報の位置を示す所定のマークを、表示手段に表示された地図データ上に表示するものである。
【0174】
また、別の実施例として、自装置(端末装置)の位置情報と位置を知りたい対象の情報(識別情報、名称、識別番号、住所情報、エリア情報等)を基地局又はサーバ装置に送信し、サーバ装置は、その情報に基づいて、地図データと、位置を知りたい対象に該当する1以上の地図上の位置データを、端末装置に送信することが考えられる。例えば、自装置がある場所において、銀行を探したい場合において、GPS手段によって取得した自装置の位置情報と、銀行を表す識別情報(例えば「銀行」「スーパー」「都バス」「コンビニ」「トイレ」「駅」「タクシー」等)を基地局又はサーバ装置に送信する。サーバ装置は受信した位置情報を含む地図データをサーバ装置の記憶手段から選択し、さらに「銀行」として登録されているものの位置情報であって、地図データの領域に含まれるすべてをデータベース手段から検索して、対象物の位置情報と地図データを、端末装置に送信する。端末装置は受信した地図データを表示し、受信した銀行の位置情報に基づいて、地図上にマークを表示する。又は、サーバ手段は、対象物の位置情報を送信する代わりに、位置を示すマークを表示した地図データを送信してもよい。対象物とそれの位置情報はサーバ装置のデータベース手段にあらかじめ記憶されているが、例えば、対象物にGPS手段を設置し、GPS手段によって取得した位置情報を、ネットワークを使用して定期的にサーバ装置に送信し、サーバ装置はその情報でデータベースを更新してもよい。
このように、目的物を探すときに、自分のいる場所から一番近い場所を探すことができる。
【0175】
また、別の実施例としては、GPS手段と位置情報送信手段を備えた端末装置は、所定のコマンド情報を受信した場合に、位置情報送信手段は、GPS手段によって取得した位置情報を、コマンド情報を送信した通信装置に返信するものが考えられる。
【0176】
所定のコマンド情報を受信する手段としては、電話手段、メール手段、FTP手段、HTTP手段などがある。電話手段では、相手通信装置として電話機が使用され、電話機から本装置に発呼することにより本装置が着信して通話路が設定される。この場合に、電話機から所定のDTMF信号からなるコマンド情報が送信され、本装置はそのDTMF信号を検出ことによりその後の動作を行うものである。またメール手段では、メールの本文又はSubjectにコマンド情報に相当するデータを含ませたものを受信する。FTP手段、HTTP手段では、そのプロトコル又はデータに所定のコマンド情報を含ませたもの、又はコマンド情報をデータそのものとしたものを受信する。また電話手段、メール手段、FTP手段、HTTP手段の代わりに、他の公知技術を適用することもできる。
【0177】
また、別の実施例としては、端末装置が所定のコマンド情報を受信した場合に、ICタグ手段の利用を禁止又は禁止の解除するものが考えられる。又は入力手段からの所定の入力によってICタグ手段の利用を禁止又は禁止の解除するものが考えられる。
【0178】
また、別の実施例としては、GPS手段を備えた端末装置は、所定の条件に基づいて、GPS手段によって取得した位置情報を、位置情報送信手段によって所定の通信装置に送信することも考えられる。又は、所定の条件に基づいて、GPS手段によって取得した位置情報を、記憶手段に記憶する位置情報ログ手段を備えた端末装置も考えられる。
所定の条件とは、端末装置に備えられたICタグ手段が利用された場合や、所定の時間間隔になった場合、所定の時刻になった場合、所定のコマンド情報を受信した場合等が考えられる。また別の所定の条件としては、位置領域判断手段の出力がある。位置領域判断手段は、GPS手段によって定期的に取得された位置情報が、あらかじめ設定された位置情報の所定の領域内に入ったかどうかを判断するものである。所定の領域のデータ形式としては、位置情報を中心とした所定の半径の領域や、位置情報を中心とした所定の大きさの正方形又は長方形の領域等が考えられる。このように表現された領域情報(範囲情報)に、GPS手段により取得した位置情報がその範囲内に含まれるかどうかを判断する。位置領域判断手段の出力、すなわち、領域内や領域外を示す情報が前記所定の条件として使用される。
【0179】
位置情報ログ手段は、所定の条件が成立する毎に、GPS手段を使用して位置情報を取得して、記憶手段に記憶するものである。記憶されたログはまとめて他の通信装置に送信することもできる。また自装置の表示装置に表示することもできる。
また別の実施例として、位置情報ログ手段と後述する電波時計手段を備え、位置情報ログ手段は、GPS手段によって取得した位置情報と、電波時計手段によって取得した時刻情報を記憶手段に記憶できる。これにより正確な時刻を記録することができる。
(変形例)
今まで、実施例として携帯電話、IP電話を挙げたが、通信端末装置としてはその他にICカード、ICタグリーダ装置、移動無線機、無線LANを使用したIP電話、IP通信端末装置、一般加入者電話機、通信機能付コンピュータ、IPテレビ電話、腕時計、PHS、PDA等の通信機能を備えた通信端末装置があり、それぞれの通信端末装置が使用できる通信プロトコルを使用して実施可能である。ぞれぞれの通信端末装置の構成は公知であるため、ブロック図による図示は省略するが、本発明の特徴に係る手段は前記実施例と同様に備えているものである。
【0180】
また、本文中に記載があって、特にブロック図に図示していない「〜手段」は、専用ハードウェアで構成されているか、又はCPU,ROM,RAMと若干のハードウェアで構成されているものである。
【0181】
また、今までの実施例およびおのおのの構成は本発明の特徴を備えている限り適宜組み合わせ可能であり、1つの実施例の中で直接言及していない他の実施例および構成も適用可能である。多数の発明が本明細書に記載されているため、そのすべての組み合わせの説明とその効果を記載することは事実上不可能であるが、その組み合わせの具体的な実施と効果については当業者が想定できるものは、本明細書に記載されているものとみなすことができるのは言うまでもないことである。
【0182】
また、本発明において複数の要素(構成)を持つ場合には、その要素の数は本実施例に記載している要素の数には限定されるものではない。
また、実施例中に記述した発明はJAVA(登録商標)等のようにCPU又はOSに依存しないプログラム言語で作成してもよい。
【0183】
また、本発明においては、ICタグをプリペイド機能のみの使用ではなく、他の機能を実現させるために新たな使用方法やそれを使用した装置を提案し、さらに利便性を高めるものである。
【図面の簡単な説明】
【0184】
【図1】ICタグ機能付き携帯電話のブロック図である。
【図2】オールIP化された携帯電話のブロック図である。
【図3】IP電話のブロック図である。
【図4】発信接続と切断シーケンスを説明するための図である。
【図5】着信接続と切断シーケンスを説明するための図である。
【図6A】携帯電話のデータ通信(プル型)を説明するための図である。
【図6B】携帯電話のデータ通信(プッシュ型)を説明するための図である。
【図7】SIPの通信シーケンスを説明するための図である。
【図8】ICタグとリーダ装置のブロック図である。
【図9】リーダライタ装置がマルチ通信方式の場合を説明するための図である。
【図10】電子マネー機能を中心にした、システムブロック構成を説明するための図である。
【図11】入金処理(その1)を説明するための図である。
【図12】入金処理(その2)を説明するための図である。
【図13】逆チャージを説明するための図である。
【図14】出金処理を説明するための図である。
【図15】支払い方法(その1)を説明するための図である。
【図16】支払い方法(その2)を説明するための図である。
【図17】支払いの処理フローを説明するための図である。
【図18】電子マネーの交換を説明するための図である。
【図19】電子マネーの変換処理シーケンス
【図20】電子マネーの転送を説明するための図である。
【図21】電子マネーの乗車運賃への適用中心にした、システム構成ブロック構成を説明するための図である。
【図22】定期の購入処理を説明するための図である。
【図23】列車の予約処理を説明するための図である。
【図24】電子メールの送信処理を説明するための図である。
【図25】電子切符の購入の処理を説明するための図である。
【図26】モバイルセントレックスのシステム図(その1)である。
【図27】モバイルセントレックスのシステム図(その2)である。
【図28】電話番号テーブルである。
【図29】PTT方式を説明するための図である。
【符号の説明】
【0185】
51 TV放送受信手段
52 着信検出手段
53 メタデータ等を記憶するメモリ
54 通信手段
55 放送内容記憶制御手段
56 入力手段
57 表示手段
58 画像メモリ
59 画像メモリ制御
60 位置情報検出手段
61 メッセージメモリ
62 メッセージメモリ制御
63 予約設定手段
64 再生手段
65 通話部
71 ラジオ放送受信手段
72 中断検出手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信を使用して電子貨幣供給装置から電子貨幣を記憶手段に蓄積する電子貨幣蓄積手段と、
前記電子貨幣蓄積手段が記憶手段に蓄積した電子貨幣によって料金の精算を行う精算手段と、
を備えたことを特徴とする通信装置。
【請求項2】
前記精算手段は、所定の条件を満たす場合、マイナス精算を行うことを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記精算手段がマイナス精算を行う場合、前記マイナス精算は、あらかじめ設定されている所定の量以下であることを特徴とする請求項2に記載の通信装置。
【請求項4】
前記電子貨幣蓄積手段は、マイナスの電子貨幣を記憶手段に蓄積することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載の通信装置。
【請求項5】
前記マイナスの電子貨幣を精算するマイナス貨幣精算手段を備えた請求項4に記載の通信装置。
【請求項6】
第1の無線通信を使用して定期券を購入する電子定期券購入手段と、
第2の無線通信を使用して前記電子定期の購入に関連する情報を送信する定期券情報送信手段と、
を備えた通信装置。
【請求項7】
前記電子定期購入手段は、当該通信装置置の操作部を使用して電子定期券の購入に必要な情報を入力する電子定期券情報入力手段を備えた請求項6に記載の通信装置。
【請求項8】
前記電子定期購入手段は、割引資格を証明する証明データを送信することを特徴とする請求項6又は7に記載の通信装置。
【請求項9】
前記第1の無線通信は、自装置と基地局間の遠距離無線通信であって、
前記第2の無線通信は、自装置と相手装置間の近距離無線通信であることを特徴とする請求項6ないし8のいずれか一項に記載の通信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【公開番号】特開2007−157045(P2007−157045A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−354769(P2005−354769)
【出願日】平成17年12月8日(2005.12.8)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】