説明

電子内視鏡システム

【課題】微弱な特殊光によって被検体内を撮像する場合に、鮮明な画像を得られる電子内視鏡システムを提供する。
【解決手段】被検体内に撮像用の照明光として白色光を照明する投光ユニット36と、被検体内に挿入する挿入部14の先端19に設けられ、被検体内を白色光によって撮像するCCD43と、被検体内から蛍光を発生させるための励起光を照射する投光ユニット37と、挿入部14の先端19に設けられ、励起光の照射によって発生した蛍光によって被検体内を撮像するとともに、蛍光を光電変換して蓄積した信号電荷を増倍する電荷増倍部とを有するEMCCD46と、EMCCD46とともに設けられ、EMCCD46に入射する励起光を遮蔽する励起光カットフィルタと、白色光または励起光を被検体内に照射することによって被検体内から入射する光をCCD43とEMCCD46の2方向に分岐させるビームスプリッタ42と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子内視鏡によって被検体内を撮影する電子内視鏡システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、医療分野において、電子内視鏡システムを利用した検査が広く普及している。電子内視鏡システムは、被検体(患者)の体内に挿入される挿入部を有する電子内視鏡と、電子内視鏡に接続されるプロセッサ装置及び光源装置等から構成される。
【0003】
電子内視鏡は、被検体内に照明光を照射する照射窓や、被検体内を撮像する撮像素子を挿入部の先端(以下、先端部という)に有する。プロセッサ装置は、撮像素子から出力される撮像信号に対して各種処理を施し、診断に供する観察画像を生成する。観察画像は、プロセッサ装置に接続されたモニタに表示される。光源装置は、光量を調節可能な白色光源を有し、電子内視鏡に照明光を供給する。照明奥は、電子内視鏡内に挿通されたライトガイドを通じて先端部に導光され、レンズ等からなる照明光学系を介して照明窓から被検体内に照射される。
【0004】
挿入部は、被検体への負荷を低減するために細径であることが望まれる。このため、先端部に搭載する撮像素子は通常1個であるが、被検体内をより明瞭に観察するために、先端部に複数の撮像素子を搭載した電子内視鏡も知られている(特許文献1,2)。例えば、特許文献1には、ハーフミラーで光路を2方向に分岐し、各光路上に配置された撮像素子で各々露光時間を違えて撮像し、これらの画像を合成することでダイナミックレンジを拡大する技術が開示されている。また、特許文献2には、ダイクロイックプリズムによって緑色光(以下、G光という)と、赤色光(以下、R光という)及び青色光(以下、B光という)に分岐させ、G光によって撮像した画像と、R光及びB光によって撮像した画像を合成することによって解像度を向上させる技術が開示されている。
【0005】
また、近年では、腫瘍や粘膜表層の毛細血管等、特定の組織が強調するように、特定の波長帯の光(以下、特殊光という)によって被検体内を観察する方法が知られている。例えば、青色の狭い波長帯の光を照射し、その反射光で被検体内を撮像する狭帯域観察法や、励起光を照射することにより被検体内組織から発せられる自家蛍光を用いて被検体内を撮像する自家蛍光観察法、励起光を照射することにより投与した薬剤から発せられる薬剤蛍光を用いて被検体内を撮像する薬剤蛍光観察法、被検体内に赤外光を照射して撮像する赤外観察法等が知られている。
【0006】
なかでも、自家蛍光や薬剤蛍光、赤外光の信号によって得られる信号は微弱である。このため、微弱な特殊光によって被検体内を観察するために、専用の撮像素子を設ける例が知られている(特許文献3)。特許文献3には、被験体内から入射する光を、プリズムによって波長500nmを境に2つの波長に分岐させ、波長が500nm以下の光で撮像した画像と、波長が500nmより大きい光で撮像した画像の2種類の画像を各々取得することにより、高画質な特殊光画像を取得する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−40480号公報
【特許文献2】特開2008−79823号公報
【特許文献3】特開2007−50106号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
微弱な特殊光によって被検体内を撮像する場合、励起光の波長帯等、他の波長帯の光の入射を制限して特殊光だけで撮像するようにしても、特殊光自体が微弱であることから、微弱な特殊光によって撮像した画像は必ずしも観察しやすい画像ではない。このため、例えば特許文献2の場合、自家蛍光による画像を得る場合には、一方の撮像素子から得た信号を増幅して自家蛍光による画像を生成している。しかしながら、画像処理による信号の増幅は、ノイズ成分も同様に増幅されるという欠点がある。このため、微弱な特殊光で被検体を撮像する場合、励起光をカットするのみならず、微弱な特殊光による信号自体を増幅して、鮮明な画像を取得することが望まれる。
【0009】
本発明は上述の点に鑑みてなされたものであり、微弱な特殊光によって被検体内を撮像する場合に、鮮明な画像を得ることができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の電子内視鏡システムは、被検体内に撮像用の照明光として白色光を照射する白色光照射手段と、前記被検体内に挿入する挿入部の先端に設けられ、前記被検体内を前記白色光によって撮像する第1撮像手段と、前記挿入部の先端に設けられ、前記被検体内から入射する光量が微弱な光によって、前記被検体内を撮像するとともに、前記微弱な光を光電変換して蓄積した信号電荷を増倍する電荷増倍手段を有する第2撮像手段と、前記被検体内から入射する光を前記第1撮像手段と前記第2撮像手段の2方向に分岐させる分岐手段と、を備えることを特徴とする電子内視鏡システム。
【0011】
前記微弱な光は蛍光であり、前記被検体内から前記蛍光を発生させるための励起光を照射する励起光照射手段と、前記第2撮像手段とともに設けられ、前記第2撮像手段に入射する前記励起光を遮蔽する励起光遮蔽手段と、を備え、前記第2撮像手段は前記蛍光によって前記被検体内を撮像することを特徴とする請求項1に記載の電子内視鏡システム。
【0012】
前記第1撮像手段によって撮像された第1画像及び前記第2撮像手段によって撮像された第2画像を表示する表示手段を備え、前記表示手段には、前記第1画像と前記第2画像とが並べて表示されることが好ましい。
【0013】
前記第1撮像手段によって撮像された第1画像と前記第2撮像手段によって撮像された第2画像とを重畳した合成画像を生成する画像合成手段と、前記合成画像を生成する表示手段と、を備えることが好ましい。
【0014】
前記第1撮像手段と前記第2撮像手段は、前記分岐手段に対して画角が等しくなるように等価配置されることが好ましい。
【0015】
前記第2撮像手段を冷却する冷却手段を備えることが好ましい。
【0016】
前記冷却手段は、ペルチェ素子であることが好ましい。
【0017】
前記第2撮像手段には放熱板が設けられ、前記冷却手段は前記第2撮像手段で発生する熱を前記放熱板に放熱することが好ましい。
【0018】
前記分岐手段はビームスプリッタであることが好ましい。
【0019】
前記分岐手段はハーフミラーであることが好ましい。
【0020】
前記第1撮像手段はCCD型のイメージセンサであることが好ましい。
【0021】
前記第1撮像手段による撮像と前記第2撮像手段による撮像は、前記第2撮像手段の読み出し開始を前記第1撮像手段のいずれかのフレームの読み出し開始タイミングと同期して行われることが好ましい。
【0022】
前記励起光照射手段は、前記被検体内の組織から自家蛍光を発生させる励起光を前記被検体内に照射するとともに、前記第2撮像手段は、前記自家蛍光によって前記被検体内を撮像することが好ましい。
【0023】
前記励起光は波長400nm〜420nmの青紫光であることが好ましい。
【0024】
前記励起光照射手段は、前記被検体内の組織からの蛍光あるいは前記被検体内に投与された薬剤から薬剤蛍光を発生させる励起光を前記被検体内に照射するとともに、前記第2撮像手段は、前記薬剤蛍光によって前記被検体内を撮像することが好ましい。
【0025】
前記第2撮像手段は赤外蛍光を撮像し、前記第1撮像手段で撮像した通常光画像と比較表示することが好ましい。
【0026】
前記第1撮像手段が信号電荷を蓄積するために、または前記信号電荷を読み出すために費やす期間をフレーム期間とするときに、前記第2撮像手段は、2フレーム期間で前記信号電荷の蓄積を行ない、次の1フレーム期間で前記信号電荷を読み出すことが好ましい。
【0027】
前記第1撮像手段が信号電荷を蓄積するために、または前記信号電荷を読み出すために費やす期間をフレーム期間とするときに、前記第1撮像手段は、1フレーム期間おきに交互に、前記信号電荷の蓄積と読み出しを行い、前記第2撮像手段は、1フレーム期間おきに交互に、前記信号電荷の蓄積と読み出しを行うことが好ましい。
【0028】
前記第1撮像手段及び前記第2撮像手段は、同じフレーム期間に前記信号電荷の蓄積及び前記信号電荷の読み出しを行うことが好ましい。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、微弱な特殊光によって被検体内を撮像する場合に、鮮明な画像を得ることができる。なお、EMCCDとは、電荷転送部にアバランシェ増幅効果を利用して、微弱な画像信号を増幅して読み出す方式を言う。(Electronically Magnified CCD)
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】電子内視鏡システムの構成を示すである。
【図2】電子内視鏡システムの電気的構成を示す図である。
【図3】カメラヘッドアセンブリの構成を示す図である。
【図4】CCDの構成を模式的に示す図である。
【図5】EMCCDの構成を模式的に示す図である。
【図6】CCD及びEMCCDの撮像タイミングを示す図である。
【図7】CCD及びEMCCDの撮像タイミングを示す図である。
【図8】CCD及びEMCCDの撮像タイミングを示す図である。
【図9】CCD及びEMCCDの撮像タイミングを示す図である。
【図10】通常光画像と自家蛍光画像をモニタに並べて表示する例を示す図である。
【図11】通常光画像と自家蛍光画像を重畳した重畳画像をモニタに表示する例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1に示すように、電子内視鏡システム10は、電子内視鏡11、プロセッサ装置12、及び光源装置13を備える。電子内視鏡11は、被検者の体内に挿入される可撓性の挿入部14と、挿入部14の基端部分に連接された操作部16と、プロセッサ装置12及び光源装置13に接続されるコネクタ17と、操作部16とコネクタ17間を繋ぐユニバーサルコード18とを有する。挿入部14の先端である先端部19には、白色光で撮像するCCD43(図2参照)と特殊光で撮像するEMCCD46(図2参照)の2種類のイメージセンサを搭載したが設けられている。
【0032】
操作部16には先端部19を上下左右に湾曲させるためのアングルノブや、先端部19からエアーや水を噴出させるための送気/送水ボタン、観察画像を静止画記録するためのレリーズボタン、モニタ21に表示された観察画像の拡大/縮小を指示するズームボタンといった操作部材が設けられている。また、操作部16の先端側には、電気メス等の処置具が挿通される鉗子口が設けられている。鉗子口は、挿入部14内の鉗子チャネルを介して先端部19に設けられた鉗子出口に連通している。
【0033】
プロセッサ装置12は、電子内視鏡11及び光源装置13と電気的に接続され、電子内視鏡システム10の動作を統括的に制御する。プロセッサ装置12は、ユニバーサルコード18や挿入部14内に挿通された伝送ケーブルを介して電子内視鏡11に給電を行い、CCD43及びEMCCD46の駆動を制御する。また、プロセッサ装置12は、伝送ケーブルを介してCCD43及びEMCCD46から出力された撮像信号を取得し、各種画像データを生成する。プロセッサ装置12で生成された画像データは、プロセッサ装置12にケーブル接続されたモニタ21に観察画像として表示される。
【0034】
図2に示すように、電子内視鏡11には、観察窓26の奥に対物光学系27やカメラヘッドアセンブリ(CHA)31が設けられ、照明窓32,33の奥にそれぞれ投光ユニット36,37が設けられている。
【0035】
観察窓26は、先端部19の端面に設けられ、透明な材料からなる。観察窓26は、被検体内から入射する光を対物光学系27を介してCHA31に導く。対物光学系27は、レンズ等からなり、CHA31内に設けられたビームスプリッタ42を介して、CCD43やEMCCD46の撮像面に被検体内の像を結像させる。
【0036】
CHA31は、CPU41の制御のもとに被検体内を撮像するアセンブリであり、ビームスプリッタ42、CCD43、EMCCD46、CCD制御回路44、EMCCD制御回路47等を備える。ビームスプリッタ42、CCD43、EMCCD46は先端部19に設けられている。CPU41、CCD制御回路44、EMCCD制御回路47は、操作部16やユニバーサルコード18のコネクタ17等に設けられている。
【0037】
ビームスプリッタ42は、対物光学系27から入射される光を、CCD43とEMCCD46の2方向に分岐して入射させる。ビームスプリッタ42は三角柱状のプリズムを斜面を合わせて、立方体形状に形成されるとともに、プリズムの界面には半透膜51が設けられる。半透膜51は、入射光の一部を透過し、残りを反射する。また、半透膜51による入射光の分岐は入射光の波長によらず、半透膜51は全波長域の光をほぼ同じ比率で透過/反射する。半透膜51は、例えば入射光量の30%〜70%を透過し、残り70%〜30%を反射するように形成される。但し、半透膜51の透過率及び反射率は、50%ずつに分岐させる等、他の比率でも良く、CCD43やEMCCD46の感度等に応じて任意に定められる。ビームスプリッタ42は、半透膜51によって被検体内からの入射光のうち30%〜70%をEMCCD46に入射させ、70%〜30%をCCD43に入射させる。プリズム42とEMCCD46との間には励起光をカットするフィルター95を挿入する。励起光の反射光をEMCCD46が受光することを避けるためである。フィルター95の励起光透過率は0.1%以下とすることが望ましい。また、プリズム42のEMCCD側出射部にフィルターを形成することでフィルター95の代替としても良い。
【0038】
CCD43は、被検体内を白色光(以下、通常光という)によって撮像するイメージセンサであり、撮像面をビームスプリッタ42の出射面に向けて配置される。CCD43の動作は、CCD制御回路44によって行われる。CPU41はCCD制御回路44を通じてCCD43の動作タイミングを制御するとともに、CCD制御回路44はCCD43から出力される撮像信号を取得し、A/D変換してプロセッサ装置12のDSP62に入力する。CCD43の動画撮像時のフレームレートは通常30fpsまたは60fpsであるが、1〜200fpsの間の任意のフレームレートでも良い。また、静止画記録も可能である。
【0039】
EMCCD46は、微弱な特殊光である被検体内組織の自家蛍光によって撮像するイメージセンサである。また、後述するように、EMCCD46は自家蛍光を光電変換することにより発生した信号電荷を増倍し、撮像信号として出力する。EMCCD46の動作は、EMCCD制御回路47によって行われる。CPU41はEMCCD制御回路47を通じてEMCCD46の動作タイミングを制御するとともに、EMCCD制御回路47はEMCCD46から出力される撮像信号を取得し、A/D変換してプロセッサ装置12のDSP63に入力する。
【0040】
照明窓32,33は、被検体内の組織から自家蛍光を発生させる励起光(以下、単に励起光という)や、通常光を照射して、被検体内を照明するために先端部19の端面に設けられ、透明な材料から形成される。後述するように照明窓32,33は、投光ユニット36,37と一体に設けられる。図面を簡略化するために、照明窓32,33及び投光ユニット36,37は、それぞれ一つずつを図示するが、照明窓32,33及び投光ユニット36,37はそれぞれ複数箇所に設けられており、通常光や励起光を電子内視鏡11の視野内(撮像する範囲内)に均一に照射することができるようになっている。
【0041】
投光ユニット36,37は、光源装置13から光ファイバ52,53によって導光される光を、照明窓32,33を介して被検体内に照射するユニットである。投光ユニット36,37の先端は、保護ガラスによって封止されている。これらの保護ガラスは先端部19の端面に露呈され、それぞれ照明窓32,33として機能する。
【0042】
投光ユニット36は、通常光を被検体内に照射するユニットであり、光ファイバ52によって光源装置13から青色レーザー光が導光される。投光ユニット36の先端部分には、蛍光体54が設けられている。蛍光体54は、例えばYAGやBAM(BaMgAl10O17)からなり、光ファイバ52から出射される青色レーザー光の一部を吸収して緑色〜黄色を中心に励起発光する。このため、投光ユニット36は、蛍光体54を拡散しながら透過する青色の光と、蛍光体54から励起発光された光とが合わさって擬似白色の通常光を出射する。
【0043】
投光ユニット37は、励起光を被検体内に照射するユニットである。励起光は、光源装置13から光ファイバ53によって投光ユニット37に導光される。投光ユニット37の先端には、光ファイバ53から出射される励起光を拡散させる光拡散部材56が設けられている。このため、投光ユニット37が被検体内に照射する光は、一定の広がりを持った照射範囲となり、電子内視鏡11による撮影範囲をすべてカバーする。
【0044】
プロセッサ装置12は、CPU61、デジタル信号処理回路(DSP)62,63、デジタル画像処理回路(DIP)64、表示制御回路65、操作部66、ROM67、RAM68等を備える。
【0045】
CPU61は、データバスやアドレスバス、制御線(いずれも図示しない)を介して各部と接続されており、プロセッサ装置12全体の動作を統括的に制御する。ROM67にはプロセッサ装置12を制御するための各種プログラム(OS,アプリケーションプログラム等)やグラフィックデータ等の各種データが記憶されている。CPU61は、ROM67から必要なプログラムやデータを読み出して、作業メモリであるRAM68に展開し、読み出したプログラムを逐次処理する。また、CPU61は、検査日時、被検体や術者の情報等の文字情報を、操作部51やLAN等のネットワークより取得し、RAM68に記憶する。
【0046】
さらに、CPU61は、被検体内に照射する光の種類や照射タイミング等、撮影の態様に応じてCCD43やEMCCD46の電荷蓄積期間やその開始/終了のタイミングを調節する制御信号を電子内視鏡11のCPU41に入力する。電子内視鏡11のCPU41は、CPU61から入力される制御信号にしたがってCCD駆動回路98やEMCCD駆動回路98を駆動させることにより、CCD43やEMCCD46の動作を制御する。また、CCD43における通常光による撮像とEMCCD46における自家蛍光による撮像を交互に行う場合、これを指示するタイミング調節信号をCCD制御回路44及びEMCCD制御回路47に入力する。CCD43,EMCCD46による撮像は交互でも良く、またそれぞれのフレーム蓄積時間が異なっても良い。さらに、フレーム選択を1:1でなく、2:1,4:1,8:1,16:1の様にEMCCDでの撮像を少なくしても良い。表示においては、通常光画像・蛍光画像それぞれの画像更新に合わせて、静止画像を更新しても良い。双方の画像が同時更新される必要はない。
【0047】
また、CPU61は、電子内視鏡11のCPU41に入力するものと同じ制御信号を光源装置13のCPU71に入力する。これにより、撮影態様に応じて、CCD43やEMCCD46による撮像のタイミングに同期して、光源装置13から通常光や励起光を被検体内に照射させる。
【0048】
DSP62は、CCD43から入力される撮像信号に対して、色分離、色補間、ゲイン補正、ホワイトバランス調節、ガンマ補正等の各種信号処理を施し、通常光による撮影画像(以下、通常光画像という)を生成する。DSP62で生成された通常光画像は、DIP64の作業メモリに入力される。また、DSP62は、例えば生成した通常光画像の各画素の輝度を平均した平均輝度値等、照明光量の自動制御(ALC制御)に必要な第1ALC制御用データを生成し、CPU61に入力する。CPU61は、DSP62から入力される第1ALC制御用データを光源装置13のCPU71に入力する。
【0049】
DSP63は、EMCCD46から入力される撮像信号に対して、ゲイン補正、ガンマ補正等の各種信号処理を施し、自家蛍光による撮影画像(以下、自家蛍光画像という)を生成する。DSP63で生成された自家蛍光画像は、DIP64の作業メモリに入力される。また、DSP63は、生成した自家蛍光画像のコントラストやシャープネスに基づいて第2ALC制御用データを生成し、CPU61に入力する。CPU61は、自家蛍光画像に基づいた第2ALC制御用データを光源装置13のCPU71に入力する。
【0050】
DIP64は、DSP62及びDSP63で生成された通常光画像及び自家蛍光画像に対して、電子変倍、色強調処理、エッジ強調処理等の各種画像処理を施す。また、DIP64は、モニタ21への表示画像の設定によっては、通常光画像と自家蛍光画像を重畳した合成画像を生成する。DIP64で各種画像処理が施された通常光画像や自家蛍光画像、及びDIP64が生成した合成画像は、観察画像としてVRAM72に一時的に記憶された後、表示制御回路65に入力される。
【0051】
表示制御回路65は、VRAM72から観察画像を取得してモニタ21に表示する。また、表示制御回路65は、CPU61からROM67及びRAM68に記憶されたグラフィックデータ等を受け取る。グラフィックデータ等には、観察画像のうち被検体内が写された有効画素領域だけを表示させる表示マスク、検査日時,被検体や術者の情報等の文字情報、GUIといったものがある。表示制御回路65は、VRAM72から取得した観察画像に対してグラフィックデータ等の重畳処理を行うとともに、モニタ21の表示形式に応じたビデオ信号(コンポーネント信号、コンポジット信号等)に変換してモニタ21に出力する。これにより、モニタ21に観察画像が表示される。
【0052】
操作部66は、プロセッサ装置12に設けられる操作パネル、マウスやキーボード等の入力デバイスである。CPU61は、操作部66や電子内視鏡11の操作部16から入力される操作信号に基づいて電子内視鏡システム10の各部を動作させる。
【0053】
プロセッサ装置12には、上記の他にも各種画像に対して所定の圧縮形式(例えばJPEG形式)で画像圧縮処理を施す圧縮処理回路や、レリーズボタンの操作に連動して、圧縮された画像をリムーバブルメディアに記録するメディアI/F、LAN等のネットワークとの間で各種データの伝送制御を行うネットワークI/F等が設けられている。これらは、データバス等を介してCPU61と接続されている。
【0054】
光源装置13は、通常光用LD81と励起光用LD82を備える。
【0055】
通常光用LD81は、中心波長445nmの青色レーザー光を発する光源であり、レンズ86等を介して光ファイバ83に入射される。光ファイバ83はコネクタ17を介して電子内視鏡11の光ファイバ52に接続される。これにより、通常光用LD81が発光した青色レーザー光は、投光ユニット36に導光され、蛍光体54によって通常光となって被検体内に照射される。
【0056】
通常光用LD81の発光量は可変であり、光源ドライバ89を介してCPU71によって制御される。CPU71は、プロセッサ装置12のCPU61から入力される第1ALC制御用データや第2ALC制御用データに基づいて、通常光用LD81の発光量を自動調節することにより、被検体内に照射する通常光の光量を調節する。例えば、通常光画像を単独で撮像する場合、CPU71は、第1ALC制御用データに基づいて通常光用LD81の発光量を、通常光画像の撮像に最適になるように自動調節する。また、通常光画像と自家蛍光画像を同時撮影する場合、CPU71は、前述のように第1ALC制御用データに基づいて通常光の光量を自動調節するときに、EMCCD46に入射する通常光の反射光で自家蛍光画像のシャープネスやコントラストが低下しないように、第2ALC制御用データを勘案して、通常光の光量を自動調節する。
【0057】
励起光用LD82は、中心波長405nmの青紫色レーザー光を発する光源であり、レンズ87等を介して光ファイバ84に入射される。光ファイバ84はコネクタ17を介して電子内視鏡11の光ファイバ53に接続される。これにより、励起光用LD82が発光した青紫色レーザー光は、投光ユニット37から被検体内に照射される。励起光の照射によって被検体内から発生する自家蛍光の光量は微弱であるため、自家蛍光画像を撮像する場合には、自家蛍光の光量ができるだけ多くなるように、励起光用LD82は常に最大発光量となるように制御される。
【0058】
通常光用LD81及び励起光用LD82のオン/オフするタイミングは、光源ドライバ89を介してCPU71によって各々制御される。CPU71は、プロセッサ装置12から入力される制御信号に基づいて、通常光用LD81及び励起光用LD82をオン/オフを制御する。
【0059】
図3に示すように、CHA31は、ビームスプリッタ42、CCD43、EMCCD46とともに、ペルチェ素子91,92、放熱板93,94、励起光カットフィルタ95を備える。
【0060】
CCD43は、前述のように撮像面をビームスプリッタ42に向けて配置されるとともに、背面にはペルチェ素子91と放熱板93が設けられる。ペルチェ素子91は、直流電流で駆動されることにより、CCD43に接する面を吸熱し、放熱板93に接する面から放熱する。これにより、CCD43から発生する熱は放熱板93から効率よく放熱され、CCD43は冷却される。同様に、EMCCD46は、撮像面をビームスプリッタ42に向けて配置されるとともに、背面にはペルチェ素子92と放熱板94が設けられ、EMCCD46で発生する熱は放熱板93から効率良く放熱され、EMCCD46は冷却される。
【0061】
励起光カットフィルタ95は、EMCCD46とビームスプリッタ42の間に設けられ、ビームスプリッタ42からEMCCD46に入射する光のうち、励起光を遮蔽し、自家蛍光をEMCCD46に入射させる。これにより、被検体内に励起光だけを照射する場合、EMCCD46は自家蛍光によって被検体内を撮像することができる。なお、自家蛍光の光量は励起光と比較すると極めて小さい。また、自家蛍光の波長は、これを発する組織等の種類によって異なるが、例えば波長500nm近傍にピークを持ち、波長450nm〜700nmにわたって広がるブロードな波長域を持つ。したがって、励起光カットフィルタ95は、例えば励起光の405nmを含む青色光を0.1%以下に減衰させ、緑色〜赤色の光をほぼ透過するように形成される。
【0062】
CCD制御回路44は、タイミングジェネレータ(以下、TGという)96、駆動回路98、アナログ信号処理回路(以下、AFEという)101を備える。TG96は、CPU41から入力される制御信号に基づいて、駆動回路98にクロック信号を入力する。駆動回路98は、TG96から入力されるクロック信号を制御パルスに変換してCCD43に入力することによりCCD43の動作を制御する。AFE101は、CCD43が出力する撮像信号からノイズを除去しながらサンプリングし、増幅した後にデジタルな撮像信号に変換してDSP62に入力する。AFE101は、CPU41の制御のもとTG96から入力されるクロック信号に基づいて動作し、例えば、CPU41はプロセッサ装置12のCPU61から入力される制御信号に基づいて撮像信号の増幅率を調節する。
【0063】
EMCCD制御回路47は、CCD制御回路44と同様に、TG97、駆動回路99、AFE102を備える。EMCCD制御回路47の各部の動作は、EMCCD46の制御を行う点以外は上述のCCD制御回路44の各部と同様である。
【0064】
図4に示すように、CCD43は、受光素子(以下、PDという)105、垂直転送部(以下、VCCDという)106、水平転送部(以下、HCCDという)107、出力部108を有する。
【0065】
PD105は、マトリクス状に配置され、入射光を光電変換により信号電荷に変換して蓄積する。PD105の配列された領域が撮像面である。また、CCD43では、各PD105に対応するように、複数の色セグメントからなるカラーフィルタが形成されている。カラーフィルタは、例えばベイヤー配列の原色(RGB)あるいは補色(CMYまたはCMYG)カラーフィルタである。
【0066】
VCCD106は、垂直方向(Y方向)に並ぶPD105の列毎に設けられ、読み出しゲート109を介して各々のPD105と接続される。VCCD106は、読み出しゲート109を介してPD105から読み出された信号電荷を垂直方向に転送し、HCCD107に入力する。
【0067】
VCCD106は、複数の垂直転送電極を有し、駆動回路98のVCCDドライバ111から印加される垂直転送パルスφV1〜φV4によって4相駆動される。これらの垂直転送電極のうち、第1及び第3の垂直転送パルスφV1,φV3が印加される垂直転送電極は、読み出しゲート109のゲート電極を兼ねている。
【0068】
HCCD107は、各VCCD106から順次転送される1行分の信号電荷を水平方向(X方向)に転送する。HCCD107は複数の水平転送電極を有し、駆動回路98のHCCDドライバ112から水平転送電極に印加される水平転送パルスφH1,φH2によって2相駆動される。
【0069】
HCCD107の出力端には、フローティングディフュージョンアンプが出力部108として設けられている。出力部108は、HCCD107から転送された信号電荷を1画素(1つのPD105)分ずつ電圧信号に変換して、撮像信号Voutを出力する。
【0070】
駆動回路98は、VCCDドライバ111、HCCDドライバ112、リセットドライバ113を備える。
【0071】
VCCDドライバ111は、垂直転送用のクロック信号をレベル変換することにより垂直転送パルスφV1〜φV4を発生させる。VCCDドライバ111は、垂直転送パルスφV1〜φV4をVCCD106を制御する垂直転送電極に入力することにより、各画素における信号電荷の蓄積期間や、垂直方向への信号電荷の転送を制御する。
【0072】
HCCDドライバ112は、水平転送用のクロック信号をレベル変換して水平転送パルスφH1,φH2を発生させる。HCCDドライバ112は、水平転送パルスφH1,φH2をHCCD107を制御する水平転送電極に入力することにより、水平方向への信号電荷の転送を制御する。
【0073】
リセットドライバ113は、電荷リセット用のクロック信号をレベル変換することによりリセットパルスφRSを発生させる。リセットドライバ113は、リセットパルスφRSを出力部108に入力することにより、電荷電圧変換が終了して撮像信号Voutとして出力された信号電荷を画素毎に破棄させる。
【0074】
AFE101は、相関二重サンプリング回路(以下、CDSという)114、自動ゲイン調節回路(以下、AGCという)115、A/D変換器(以下、A/Dという)116を備える。CDS114は、CCD43が出力する撮像信号に対して相関二重サンプリング処理を施し、CCD43が駆動することによって生じるノイズを除去する。AGC115は、CDS114によってノイズが除去された撮像信号を増幅する。A/D116は、AGC115で増幅された撮像信号を所定のビット数のデジタルな撮像信号に変換する。
【0075】
図5に示すように、EMCCD46は、CCD43と同様にPD121、VCCD122、HCCD123、出力部124等を備える。これらの作用はCCD43と同様である。また、VCCDドライバ131、HCCDドライバ132、リセットドライバ133、CDS134、AGC135、A/D136も同様である。但し、EMCCD46は、HCCD123と出力部124の間に、電荷増倍部125が設けられている。なお、EMCCDとは、電荷転送部にアバランシェ増幅効果を利用して、微弱な画像信号を増幅して読み出す方式を言う。(Electronically Magnified CCD)
【0076】
電荷増倍部125は、HCCD123よりも高電圧で駆動される電荷転送路であり、EMドライバ137から入力されるEMパルスによって駆動される。EMドライバ137は、駆動回路99に設けられ、TG97から入力されるクロック信号からEMパルスを生成する。電荷増倍部125は、HCCD123から転送される信号電荷を、転送時に駆動電圧に応じた高電界によって加速することによって、結晶格子と衝突させ、新たな電荷(電子‐ホール対)を発生させる。このインパクトイオン効果により発生した新たな信号電荷もまた、高電界によって加速され、アバランシェ効果によってさらに新たな信号電荷を生み出す。これにより、電荷増倍部125は、HCCD123から転送された信号電荷を増倍する。電荷増倍部125によって増倍された信号電荷は、出力部124に入力される。
【0077】
EMCCD46は、上述のように電荷増倍部125によって信号電荷を増倍する。また、電荷増倍部125で信号電荷を増倍すると、撮像信号を増幅する場合と比較してノイズを抑えながら信号電荷だけを増倍することができるため、S/Nが良い。したがって、EMCCD46は、微弱な自家蛍光であっても、明瞭に被検体内を撮像することができる。
【0078】
上述のように構成される電子内視鏡システム10は、ビームスプリッタ42によって光路を分岐させ、CCD43とEMCCD46に常に同時に被検体内の像を結像させるため、通常光画像と自家蛍光画像をほぼ同時に取得することが可能である。
【0079】
図6に示す態様は、通常光画像と自家蛍光画像をほぼ同時に取得する場合の、CCD43及びEMCCD46の動作態様の一例である。1フレーム期間は、CPU41からTG96,97に制御信号として入力される垂直同期信VDが入力される間隔である。TG96,97は垂直同期信号VDが入力されると、これに応じたクロック信号をVCCDドライバ111,131に入力する。VCCDドライバ111,131は、垂直同期信号VDから生成された垂直転送パルスが入力されると、PD105に蓄積された信号電荷をVCCD106に読み出して転送する。
【0080】
CCD43は、1フレーム期間で蓄積した信号電荷を次のフレーム期間で読み出し、撮像信号として出力する。具体的には、CCD43への電子シャッタパルスの入力時から次の垂直同期信号VDの入力までの期間がCCD43の電荷蓄積期間であり、電荷蓄積期間終了後、次の垂直同期信号VDの入力までの期間が読み出し期間になる。これにより、CCD43は2フレーム期間に1枚の通常光画像を撮像する。なお、通常光はCCD43が信号電荷を蓄積するタイミングに同期して被検体内に照射され、CCD43が蓄積した信号電荷の読み出しを行う読み出し期間や、EMCCD46の電荷蓄積期間中は照射されない。ここで、電子シャッタパルスの入力タイミングは、次のVDタイミングまでの間で可変であり、入射光量に応じて決めることが可能である。
【0081】
また、励起光はEMCCD46が信号電荷を蓄積するタイミングに同期して被検体内に照射され、その他の期間には照射されない。そして、EMCCD46は、CCD43と同様に、1フレーム期間で蓄積した信号電荷を次のフレーム期間で読み出して撮像信号として出力することにより、2フレーム期間に1枚の自家系光画像を撮像する。EMCCD46の駆動態様は、CCD43と同様であり、EMCCD46への電子シャッタパルスの入力時から次の垂直同期信号VDの入力までの期間がEMCCD46の電荷蓄積期間であり、電荷蓄積期間終了後、次の垂直同期信号VDの入力までの期間が読み出し期間になる。但し、CCD43の電荷蓄積期間及び読み出し期間と、EMCCD46の電荷蓄積期間及び読み出し期間は1フレーム期間分ずれており、CCD43による通常光画像の撮像と、EMCCD46による自家系光画像の撮像は1フレーム期間毎に交互に行われる。ここで、電子シャッタパルスの入力タイミングは、次のVDタイミングまでの間で可変であり、入射光量に応じて決めることが可能である。
【0082】
こうして通常光画像と自家蛍光画像をフレーム期間毎に交互に取得することにより、通常光画像と自家蛍光画像をほぼ同時に観察できる。これにより、観察モードの切り替え等の操作を省略し、術者の負担を低減することができる。また、厳密に同時撮影された通常光画像と自家蛍光画像を比較することができるため、正確な診断を助ける。
【0083】
なお、上述の実施形態では、垂直同期信号VDの入力間隔を1フレーム期間とし、CCD43による通常光画像の撮像と、EMCCD46による自家蛍光画像の撮像を1フレーム期間毎に交互に行う例を説明したが、自家系光は微弱な光であるため、EMCCD46の電荷蓄積期間をより長くすることが好ましい。例えば、図7に示すように、EMCCD46では2フレーム期間をかけて信号電荷を蓄積するようにしても良い。この場合でも、信号電荷の読み出しに要する時間は1フレーム期間であり、CCD43はEMCCD46の読み出し期間に合わせて信号電荷を蓄積して通常光画像を撮像する。また、図8に示すように、EMCCD46の電荷蓄積期間を3フレーム期間とする等、1フレーム期間を単位としてその整数倍になるように、さらにEMCCD46の電荷蓄積期間を長く取っても良い。
【0084】
なお、上述の実施形態では、CCD43とEMCCD46に共通のタイミングで垂直同期信号VDが入力され、垂直同期信号VD間の間隔を1フレーム期間として、1フレーム期間毎に交互に通常光画像と自家系光画像を交互に撮像する例を説明したが、これに限らない。例えば、図9に示すように、CCD43とEMCCD46で各々異なる垂直同期信号VDを入力する。また、EMCCD46の垂直同期信号VDとCCD43の電子シャッタパルスの入力タイミングを同期させるとともに、CCD43の垂直同期信号とEMCCD46の電子シャッタパルスの入力タイミングを同期させる。そして、CCD43の電荷蓄積期間を前述の1フレーム期間よりも短くし、EMCCD46の電荷蓄積期間を前述の1フレーム期間よりも長くする。なお、読み出し期間は、CCD43,EMCCE46ともに前述の1フレーム期間と同じ長さである。こうして、CCD43の電荷蓄積期間を短くし、その代わりに、EMCCD46の電荷蓄積期間を1フレーム期間を長くすることにより、EMCCD46の電荷蓄積期間の空きが少なくなり、自家系光画像の撮影タイミング(EMCCD46による撮像のフレームレート)を向上させることができる。
【0085】
なお、電子内視鏡システム10では、図10に示すように、通常光画像141と自家蛍光画像142をモニタ21に並べて表示しても良く、図11に示すように、通常光画像141に自家蛍光画像142を重畳した合成画像143をモニタ21に表示させても良い。
【0086】
なお、CCD43とEMCCD46は、画角を合わせて等価配置することが好ましい。また、CCD43とEMCCD46は、撮像面のサイズ、画素(PD105,121)のサイズ、画素数が等しいことが好ましいが、これらの条件は等しくなくても良い。このように、撮像面のサイズや画素サイズ、画素数等が異なる場合に通常光画像141と自家蛍光画像142は、モニタ21に表示されるサイズが等しくなるようにDIP64で画像処理される。合成画像143を生成する場合も同様である。
【0087】
なお、上述の実施形態では、通常光画像を撮像するためのイメージセンサとしてCCD43を用いる例を説明したが、CCD43の代わりにCMOS型のイメージセンサを用いても良い。但し、CMOS型イメージセンサではノイズを抑えて撮像信号を増幅することが難しいため、上述の実施形態のようにCCD43を用いることが好ましい。上述の形態ではEMCCD46で自家発光画像を撮像する例を説明したが、薬剤投与と合わせた薬剤発光画像を撮像する場合も同様である。
【0088】
上述の説明にはCCD/EMCCD共にV:4相、H:2相のCCDについて駆動の説明をしたが良く知られている2相、3相、4相のいずれのCCDあるいはvirtual駆動CCDをVCCD/HCCDに用いても同様である。なお、上述の実施形態では、EMCCD46で自家蛍光画像を撮像する例を説明したが、EMCCD46で赤外光を照明光として用いて被検体を撮像するようにしても良い。また、赤外光の反射光によって撮像することによって、赤外光の吸収度合いを描出する撮像態様でも良い。この場合、励起光カットフィルタ95の特性を、励起光として用いる赤外光に合わせる必要がある。他の薬剤蛍光等、微弱な光によって被検体を撮像する場合も同様である。
【0089】
なお、上述の実施形態では、ビームスプリッタ42によって被検体からの光をCCD43とEMCCD46に分岐して入射させるが、ビームスプリッタ42の代わりにハーフミラーを用いても良い。
【0090】
なお、上述の実施形態では、EMCCD46にもCCD43と同様にカラーフィルタを設ける例を説明したが、EMCCD46はカラーフィルタを設けない白黒センサであっても良い。このようにEMCCD46として白黒センサを用いる場合には、EMCCD46の前面(撮像面)に自家蛍光を選択的に透過する波長選択フィルタを設けて用いても良い。また、EMCCD46として白黒センサを用い、波長選択フィルタを併用して自家蛍光画像を撮像する場合、全ての画素で自家蛍光を受光することができるため、高解像度で自家蛍光画像を撮像することができる。
【符号の説明】
【0091】
10 電子内視鏡システム
11 電子内視鏡
12 プロセッサ装置
13 光源装置
14 挿入部
16 操作部
17 コネクタ
18 ユニバーサルコード
19 先端部
21 モニタ
26 観察窓
27 対物光学系
31 CHA(カメラヘッドアセンブリ)
32,33 照明窓
36,37 投光ユニット
41,61,71 CPU
42 ビームスプリッタ
43 CCD
44 CCD制御回路
46 EMCCD
47 EMCCD制御回路
51 半透膜
52,53 光ファイバ
54 蛍光体
56 光拡散部材
62,63 デジタル信号処理回路(DSP)
64 デジタル画像処理回路(DIP)
65 表示制御回路
66 操作部
67 ROM
68 RAM
72 VRAM
81 通常光用LD
82 励起光用LD
83,84 光ファイバ
86,87 レンズ
89 光源ドライバ
91,92 ペルチェ素子
93,94 放熱板
95 励起光カットフィルタ
96,97 TG
98,99 駆動回路
101,102 AFE
105,121 PD
106,122 VCCD
107,123 HCCD
108,124 出力部
109 読み出しゲート
111,131 VCCDドライバ
112,132 HCCDドライバ
113,133 リセットドライバ
114,134 CDS
115,135 AGC
116,136 A/D
125 電荷増倍部
137 EMドライバ
141 通常光画像
142 自家蛍光画像
143 合成画像

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体内に撮像用の照明光として白色光を照射する白色光照射手段と、
前記被検体内に挿入する挿入部の先端に設けられ、前記被検体内を前記白色光によって撮像する第1撮像手段と、
前記挿入部の先端に設けられ、前記被検体内から入射する光量が微弱な光によって、前記被検体内を撮像するとともに、前記微弱な光を光電変換して蓄積した信号電荷を増倍する電荷増倍手段を有する第2撮像手段と、
前記被検体内から入射する光を前記第1撮像手段と前記第2撮像手段の2方向に分岐させる分岐手段と、
を備えることを特徴とする電子内視鏡システム。
【請求項2】
前記微弱な光は蛍光であり、
前記被検体内から前記蛍光を発生させるための励起光を照射する励起光照射手段と、
前記第2撮像手段とともに設けられ、前記第2撮像手段に入射する前記励起光を遮蔽する励起光遮蔽手段と、を備え、
前記第2撮像手段は前記蛍光によって前記被検体内を撮像することを特徴とする請求項1に記載の電子内視鏡システム。
【請求項3】
前記第1撮像手段によって撮像された第1画像及び前記第2撮像手段によって撮像された第2画像を表示する表示手段を備え、
前記表示手段には、前記第1画像と前記第2画像とが並べて表示されることを特徴とする請求項1または2に記載の電子内視鏡システム。
【請求項4】
前記第1撮像手段によって撮像された第1画像と前記第2撮像手段によって撮像された第2画像とを重畳した合成画像を生成する画像合成手段と、
前記合成画像を生成する表示手段と、を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の電子内視鏡システム。
【請求項5】
前記第1撮像手段と前記第2撮像手段は、前記分岐手段に対して画角が等しくなるように等価配置されることを特徴とする請求項1〜4いずれか1項に記載の電子内視鏡システム。
【請求項6】
前記第2撮像手段を冷却する冷却手段を備えることを特徴とする請求項1〜5いずれか1項に記載の電子内視鏡システム。
【請求項7】
前記冷却手段は、ペルチェ素子であることを特徴とする請求項6に記載の電子内視鏡システム。
【請求項8】
前記第2撮像手段には放熱板が設けられ、前記冷却手段は前記第2撮像手段で発生する熱を前記放熱板に放熱することを特徴とする請求項6または7に記載の電子内視鏡システム。
【請求項9】
前記分岐手段はビームスプリッタであることを特徴とする請求項1〜8いずれか1項に記載の電子内視鏡システム。
【請求項10】
前記分岐手段はハーフミラーであることを特徴とする請求項1〜9いずれか1項に記載の電子内視鏡システム。
【請求項11】
前記第1撮像手段はCCD型のイメージセンサであることを特徴とする請求項1〜10いずれか1項に記載の電子内視鏡システム。
【請求項12】
前記第1撮像手段による撮像と前記第2撮像手段による撮像は、前記第2撮像手段の読み出し開始を前記第1撮像手段のいずれかのフレームの読み出し開始タイミングと同期して行われることを特徴とする請求項1〜11いずれか1項に記載の電子内視鏡システム。
【請求項13】
前記励起光照射手段は、前記被検体内の組織から自家蛍光を発生させる励起光を前記被検体内に照射するとともに、
前記第2撮像手段は、前記自家蛍光によって前記被検体内を撮像することを特徴とする請求項2〜12いずれか1項に記載の電子内視鏡システム。
【請求項14】
前記励起光は波長400nm〜420nmの青紫光であることを特徴とする請求項13に記載の電子内視鏡システム。
【請求項15】
前記励起光照射手段は、前記被検体内の組織からの蛍光あるいは前記被検体内に投与された薬剤から薬剤蛍光を発生させる励起光を前記被検体内に照射するとともに、
前記第2撮像手段は、前記薬剤蛍光によって前記被検体内を撮像することを特徴とする請求項2〜12いずれか1項に記載の電子内視鏡システム。
【請求項16】
前記第2撮像手段は赤外蛍光を撮像し、前記第1撮像手段で撮像した通常光画像と比較表示することを特徴とする請求項15に記載の電子内視鏡システム。
【請求項17】
前記第1撮像手段が信号電荷を蓄積するために、または前記信号電荷を読み出すために費やす期間をフレーム期間とするときに、
前記第2撮像手段は、2フレーム期間で前記信号電荷の蓄積を行ない、次の1フレーム期間で前記信号電荷を読み出すことを特徴とする請求項1〜16いずれか1項に記載の電子内視鏡システム。
【請求項18】
前記第1撮像手段が信号電荷を蓄積するために、または前記信号電荷を読み出すために費やす期間をフレーム期間とするときに、
前記第1撮像手段は、1フレーム期間おきに交互に、前記信号電荷の蓄積と読み出しを行い、
前記第2撮像手段は、1フレーム期間おきに交互に、前記信号電荷の蓄積と読み出しを行うことを特徴とする請求項1〜16いずれか1項に記載の電子内視鏡システム。
【請求項19】
前記第1撮像手段及び前記第2撮像手段は、同じフレーム期間に前記信号電荷の蓄積及び前記信号電荷の読み出しを行うことを特徴とする請求項18に記載の電子内視鏡システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−157559(P2012−157559A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−19565(P2011−19565)
【出願日】平成23年2月1日(2011.2.1)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】