説明

電子写真用シームレスベルト、電子写真用シームレスベルトの製造方法、及び電子写真用シームレスベルトを有する画像形成装置

【課題】均一なトナー転写性を有し、且つクリーニング性及びトナーに対する耐フィルミング性に優れた電子写真用シームレスベルトを提供する。
【解決手段】少なくとも、ポリアセタール樹脂30〜90質量%と、ポリエーテルエステルアミド又はポリエーテルアミド1〜35質量%とを含有する電子写真用シームレスベルト5を用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に用いられる中間転写ベルト、転写搬送ベルト等の電子写真用シームレスベルト、電子写真用シームレスベルトの製造方法及び該電子写真用シームレスベルトを有する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
転写部材の1つである中間転写ベルトを使用した画像形成装置は、カラー画像情報や多色画像情報の複数の成分色画像を順次積層転写してカラー画像や多色画像を合成再現した、画像形成物を出力するカラー画像形成装置や多色画像形成装置、又はカラー画像形成機能や多色画像形成機能を具備させた画像形成装置として有効である。
【0003】
中間転写ベルトを用いたカラー画像形成装置に対し、従来の技術として、転写ドラム上に第2の画像担持体を張り付け又は吸着させ、そこへ第1の画像担持体上から画像を転写する方式の転写装置を有する画像形成装置がある(例えば、特許文献1参照)。このような転写装置と比較すると、中間転写ベルトを用いた画像形成装置においては、第2の画像担持体である転写材に何らの加工や制御(例えばグリッパーに把持する、吸着させる、また曲率をもたせるなど)を必要とせずに中間転写ベルトから転写材に画像を転写することができる。このため、封筒、ハガキ及びラベル紙などの薄い紙(40g/m紙)から厚い紙(200g/m紙)まで、幅の広狭又は長さの長短によらず、第2の画像担持体を多種多様に選択することができるという利点を有している。従って、既に市場においては中間転写ベルトを用いたカラー複写機やカラープリンターなどが稼動している。
【0004】
また、画像形成装置における転写部材の1つである転写搬送部材として、ベルト状の転写搬送ベルトを用いたカラー画像形成装置も知られている。このような画像形成装置においては、複数の画像形成ユニットを並列に配置して有し、各ユニットにおいて像担持体(感光体ドラム)に形成された画像を転写搬送ベルト上に順次重ね合わせて転写し、該転写搬送ベルト上に重ね合わされた画像を転写紙などの転写材に転写することによりカラー画像を得るものである。このような転写搬送ベルトを用いたカラー画像形成装置は、転写紙を各ユニットに順次搬送しながら各色画像を重畳転写するため1工程でカラー画像が形成されるので、画像出力時間が速いという利点がある。従って、既に市場においては転写搬送ベルトを用いたカラー複写機、カラープリンターなどが稼動し始めている。
【0005】
電子写真用シームレスベルトは、電子写真感光体から転写材への転写という、画像を形成する工程でも重要な工程を担っており、画像の品質をより高いものにする為には、電子写真用シームレスベルトの特性を良化させることが重要である。
【0006】
電子写真用シームレスベルトに求められる特性としては、画像領域における均一なトナー転写性やトナークリーニング性が挙げられ、更にトナーに対する耐フィルミング性が良いことが重要である。このような特性を満たす電子写真用シームレスベルトとして、フッ素系の樹脂を表層基材として用いたベルトが挙げられる(例えば、特許文献2及び3参照)。ところが、これらのシームレスベルトをリサイクルする場合、単一のフッ素樹脂で形成されていれば溶融再生することが比較的容易に行えるが、シームレスベルトは実際には様々な樹脂の複合物で形成されていることがほとんどである。この場合はシームレスベルトを焼却してサーマルリサイクルするという方法を取らなければならず、フッ素系の樹脂を焼却するとフッ化水素等のガスが発生し焼却炉を痛める原因となる。そのため、フッ素系の樹脂を基材のような主材料として用いることはリサイクル上の問題があった。
【0007】
フッ素系の樹脂以外の樹脂で転写性やトナークリーニング性に優れている樹脂としては、潤滑性の高いポリアセタール樹脂(POM)が挙げられる。このPOMを用いた電子写真用シームレスベルトも提案されている(例えば、特許文献4参照)。ところが、POMは結晶性が非常に高いため、成形収縮率が非常に高く、薄膜状に成形すると、膜厚のバラツキが大きくなり成形安定性にかけるという問題があった。また、成形収縮率が高いため、ベルトの層内で導電剤の分散状態のバラツキが生じやすく、抵抗のバラツキが大きくなるという問題があった。これらの結果、転写のバラツキが生じ、良好且つ均一な転写性やクリーニング性を得ることが難しかった。
【0008】
上記POMを用いた電子写真用シームレスベルトの成形収縮率を緩和させる方法として、POMと熱可塑性エラストマーなどの非結晶性の樹脂とのブレンドを行う方法が挙げられる。また、得られたシームレスベルトの抵抗のバラツキを緩和させる方法として、イオン系界面活性剤やポリエーテルのような高分子帯電防止剤をシームレスベルトに用いる方法が挙げられる。そこで、本発明者らは以前に、これらの材料をPOMと組み合わせることによって、得られるシームレスベルトの膜厚のバラツキや抵抗のバラツキを緩和させることを試みたが、これらのバラツキを満足できるレベルまで解消させることはできなかった。
【0009】
また、熱可塑性ポリアセタール、熱可塑性ポリアセタールと熱可塑性エラストマーとのポリマーアロイ、又は熱可塑性ポリアセタールと熱可塑性エラストマーとのポリマーブレンドを基材として用いることにより、シームレスベルトの耐屈曲性を改善することが提案されているが、POMの高成形収縮率性によって生じる膜厚のバラツキや抵抗のバラツキを制御する方法に関しては触れられておらず不十分である(例えば、特許文献5参照)。
【0010】
更に、POMとポリアセタール、ポリエーテルエステルアミド、及びポリオレフィン樹脂との樹脂組成物が知られているが、これを電子写真用シームレスベルトとした場合の転写性、クリーニング性向上方法については述べられていない。
【特許文献1】特開昭63−301960号公報
【特許文献2】特開平7−92825号公報
【特許文献3】特開平9−106196号公報
【特許文献4】特開2001−350346号公報
【特許文献5】特開2002−146212号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上記問題を解決する電子写真用シームレスベルト、該電子写真用シームレスベルトの製造方法、及び該電子写真用シームレスベルトを用いた画像形成装置を提供することを課題とする。
【0012】
即ち、本発明は、成形性に優れ、均一なトナー転写性を有し、且つクリーニング性及びトナーに対する耐フィルミング性に優れた電子写真用シームレスベルトを提供することを課題とする。また、本発明は、このような電子写真用シームレスベルトの製造方法、及び該電子写真用シームレスベルトを用いた画像形成装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
即ち本発明は、ポリアセタール樹脂30〜90質量%と、ポリエーテルエステルアミド又はポリエーテルアミドを1〜35質量%とを含有することを特徴とする電子写真用シームレスベルトに関する。
また本発明は、少なくとも、ポリアセタール樹脂30〜90質量%と、ポリエーテルエ
ステルアミド又はポリエーテルアミドを1〜35質量%とを含有する成形用原料を得、
該成形用原料を環状ダイスより溶融押出ししてチューブ状の溶融物を得、
該チューブ状の溶融物を冷却しながら所定の引き取り速度で引き取ることによりチューブを形成し、
該チューブを切断してシームレスベルトを得ることを特徴とする電子写真用シームレスベルトの製造方法に関する。
更に本発明は、像担持体に形成された静電潜像を現像剤により可視化し、これを転写材上に転写して定着させることにより画像を形成する画像形成装置であって、上記本発明の電子写真用シームレスベルトを有することを特徴とする画像形成装置に関する。
【発明の効果】
【0014】
以上のように、本発明によれば、成形性に優れ、転写時に画像ムラが発生せず、トナークリーニング性に優れた、高品質の電子写真用シームレスベルトを得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明の電子写真用シームレスベルト(以下、単に「シームレスベルト」ともいう)は、少なくとも、ポリアセタール樹脂(POM)30〜90質量%と、ポリエーテルエステルアミド又はポリエーテルアミド1〜35質量%とを含有することを特徴とする。このような構成とすることで、成形時の型への貼付が生じず、均一な転写性及び優れたクリーニング性を有する電子写真用シームレスベルトを得ることができる。
【0016】
上記電子写真用シームレスベルト中のポリアセタール樹脂の含有量は、30〜74質量%であることが好ましく、45〜70質量%であることがより好ましい。ポリアセタール樹脂の含有量が30%質量未満であると十分なベルトの強度が得られないことがある。また、ポリアセタール樹脂の含有量が90質量%より多いと該ポリアセタール樹脂の結晶性による成形収縮への影響が大きくなり膜厚ムラが発生しやすい。
【0017】
本発明において電子写真用シームレスベルトに用いることのできるポリアセタール樹脂は、ポリオキシメチレンのホモポリマーであっても、又はオキシメチレンと他のモノマーとのコポリマーであってもよい。
【0018】
また、本発明の電子写真用シームレスベルトは、その電気抵抗を調整するために、導電剤としてポリエーテルエステルアミド又はポリエーテルアミド1〜35%を含有する。
シームレスベルトの抵抗を制御する材料として一般には、カーボンブラックのような導電性無機微粒子、イオン系界面活性剤のような低分子帯電防止剤、又はポリエチレンオキサイド系の高分子帯電防止剤等が挙げられる。しかしながら、上記したような材料のみでは結晶性樹脂であるPOMの高成形収縮率から生じる膜厚のバラツキや、抵抗のバラツキを制御することはできない。また、イオン系界面活性剤のような低分子帯電防止樹脂やポリエチレンオキサイド系の高分子帯電防止剤帯電防止剤においては、帯電防止剤のブリードアウトを制御することができず、均一な転写性、クリーニング性を得ることが難しい。
【0019】
そこで、POMを含有する本発明のシームレスベルトでは、ポリエーテルエステルアミド又はポリエーテルアミドを導電剤として用いることで、成形安定性と転写性、クリーニング性を同時に満足することができる。
【0020】
本発明のシームレスベルトに用いることのできるポリエーテルエステルアミドとは、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン11及びナイロン12などのポリアミドブロック単位と、ポリエーテルエステル単位とからなる共重合体を主たる成分とする化合物を指す。本発明に用いられるポリエーテルエステル単位としては、例えば、ラクタム、ラクタムの塩
、アミノカルボン酸、アミノカルボン酸の塩などと、ポリエチレングリコール、ジカルボン酸(例えば、テレフタル酸、イソフタル酸及びアジピン酸など)などから誘導される共重合体が挙げられる。
【0021】
本発明におけるリエーテルエステルアミドのうち具体的なものとして、例えば、三洋化学工業社製のペレスタットNC6321、IRGASTAT P18(チバ・スペシャル
ティ・ケミカルズ社製)、IRGASTAT P22(チバ・スペシャルティ・ケミカル
ズ社製)等を入手して用いることができる。
【0022】
また、ポリエーテルアミドとは、ナイロン6、ナイロン66、11又は12等のポリアミドブロック単位とポリエーテル単位とからなる共重合体を主たる成分とする化合物を指す。なお、上記ポリエーテルエステルアミド及びポリエーテルアミドの説明における「主たる成分とする」とは、質量比で50%以上含有する状態を指す。本発明におけるポリエーテルアミドとしては、ナイロン12とポリテトラメチレンエーテルグリコールからなるポリエーテルアミドを好ましく使用することができる。
上記ポリエーテルエステルアミド及びポリエーテルアミドは、公知の重合方法により製造することができる。
【0023】
本発明のシームレスベルトは、上記ポリエーテルエステルアミド又はポリエーテルアミドを1〜35質量%含有する。これらの含有量は2〜20質量%であることが好ましく、13〜15質量%であることがより好ましい。本発明において、シームレスベルト中のポリエーテルエステルアミド又はポリエーテルアミドの含有量が1質量%未満であると、電子写真用シームレスベルトの抵抗値が高すぎて転写不良が発生することがある。一方、ポリエーテルエステルアミド又はポリエーテルアミドの含有量が35質量%より多い場合、これらは非常に軟らかいため、弾性率とクリープ特性が悪化するため色ずれが悪化することがある。また、シームレスベルト自体がベタついて転写性の悪化やクリーニング性の悪化が生じる。
【0024】
なお、本発明のシームレスベルトは、ポリエーテルエステルアミドのみを上記含有量で含有するものであっても、ポリエーテルアミドのみを上記含有量で含有するものであっても、またポリエーテルエステルアミド及びポリエーテルアミドの両方を総量で上記含有量となるように含有するものであってもよい。これらのうちより好ましいものは、ポリエーテルエステルアミドのみを上記含有量で、POMと共に含有するものである。
【0025】
即ち、ポリエーテルエステルアミドやポリエーテルアミドは加熱成形時に生じる粘着性のため熱可塑性樹脂の抵抗制御剤として用いた場合、シームレスベルト成形時の成形型等への貼付が問題であったが、潤滑性に優れたPOMと併用することにより、優れた転写性及びクリーニング性を維持しつつ上記貼付の問題を解決することができる。
【0026】
本発明のシームレスベルトは、上記POMとポリエーテルエステルアミド又はポリエーテルアミド以外に、以下に示すような導電性無機微粒子を更に含有していてもよい。本発明のシームレスベルトに用いられる導電性無機微粒子して、ケッチェンブラック、アセチレンブラック等の導電性カーボン;銅、ニッケル、鉄、アルミニウム等の金属粉;酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫等の金属酸化物粉等が挙げられるが、上記の材料に限らない。
【0027】
上記導電性無機微粒子は、シームレスベルト全量の1〜30質量%の範囲で添加することが好ましい。より好ましい添加量は1〜20質量%である。30質量%より多く添加すると、ベルト基材であるPOMに対する導電性無機微粒子の分散性が悪化し、得られるシームレスベルトの抵抗のバラツキが生じたり、ベルトの強度の低下を招いたりする。
【0028】
本発明のシームレスベルトは、更に以下に示すようなフッ素系添加剤を含有していてもよい。本発明に用いられるフッ素系添加剤としてポリテトラフロロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリエチレン−テトラフロロエチレン共重合体、PFA等のフッ素樹脂;ビニリデンフロライド系フッ素ゴム、プロピレン/テトラフロロエチレン系フッ素ゴム等のフッ素ゴム;フッ素化アルキルエステル等のフッ素系低分子材料が挙げられるが上記の材料に限らない。また、本発明においてフッ素系添加剤をシームレスベルト中に含有させる方法として、粉体分散、樹脂ブレンド等の公知の方法が挙げられるが、上記の方法のみに限定されるものではない。
【0029】
本発明では、上記フッ素系添加剤はシームレスベルト全量の0〜25質量%の範囲で添加することが好ましい。より好ましい添加量は1〜10質量%である。フッ素系添加剤を25質量%以上添加すると、ベルト基材であるPOMに対するフッ素系添加剤の分散性や相溶性が悪化しベルト強度の低下を招く。また、25質量%より多く添加すると、リサイクル時にフッ化水素が多く発生し、好ましくない。
【0030】
シームレスベルトを上述したような本発明に係る材料組成とすることで、すべり抵抗を1.0N以下、更には0.7N以下とすることができ、これによってシームレスベルトへのトナー融着を極めて有効に抑制することができ、その結果としてトナー転写性やトナークリーニング性も良好なものとなる。
【0031】
また、本発明のシームレスベルトの体積抵抗は、100〜1012Ωであることが好ましく、10〜1011Ωであることがより好ましい。また、本発明のシームレスベルトの表面抵抗は、100〜1017Ωであることが好ましく、10〜1014Ωであることがより好ましい。
【0032】
ここで、本発明の電子写真用シームレスベルトが画像形成装置の転写部材として充分に機能するためには、ベルト各部の体積抵抗及び表面抵抗は、その最大値を最小値の10倍以内とすることが好ましい。
【0033】
特に、シームレスベルトの周方向における体積抵抗の最大値と最小値の比(体積抵抗の最大値/体積抵抗の最小値)が10以下であることが好ましい。上記比はより好ましくは7以下である。その理由は以下の通りである。周方向における体積抵抗の最大値と最小値の比が10より大きいと、シームレスベルトの周方向に沿って転写ムラが発生することがある。また、転写時にシームレスベルト上の複数箇所において電圧を印加する場合、電圧が印加される一部の箇所から他の印加される箇所へ、周方向における抵抗が低い部分を介して電流が流れ込むことがある。これによりシームレスベルト上における電圧制御が乱され、正常な動作が行えない場合がある。
【0034】
また、シームレスベルトの周方向における表面抵抗の最大値と最小値の比(表面抵抗の最大値/表面抵抗の最小値)が10以下であることが好ましい。この比はより好ましくは7以下である。その理由は以下の通りである。周方向における表面抵抗の最大値と最小値の比が10より大きいと、シームレスベルトの周方向に沿って転写ムラが発生することがある。また、転写時にシームレスベルト上の複数箇所において電圧を印加する場合、電圧が印加される一部の箇所から他の印加される箇所へ、周方向における抵抗が低い部分を介して電流が流れ込むことがある。これによりシームレスベルト上における電圧制御が乱され、正常な動作が行えない場合がある。
【0035】
また、シームレスベルトの母線方向における体積抵抗の最大値と最小値の比(体積抵抗の最大値/体積抵抗の最小値)が10以下であることが好ましい。この比はより好ましくは7以下である。母線方向における体積抵抗の最大値と最小値の比が10より大きいと、
シームレスベルトの母線方向に沿って転写ムラが発生したり、抵抗最小部位に過大な電流が流れ込んで装置が誤作動したりする恐れがあるからである。
【0036】
更に、シームレスベルトの母線方向における表面抵抗の最大値と最小値の比(表面抵抗の最大値/表面抵抗の最小値)が10以下であることが好ましい。この比はより好ましくは7以下である。その理由は以下の通りである。母線方向における表面抵抗の最大値と最小値の比が10より大きいと、シームレスベルトの母線方向に沿って転写ムラが発生することがある。また、転写残トナーに所定の電荷を与え、電子写真感光体上に戻すクリーニング方法を用いる画像形成装置に適用する場合、電荷を与える帯電部材からシームレスベルトの表面抵抗最小部位に過大な電流が流れ込むと、その部位の母線方向には十分な電界が付与されないのでシームレスベルトの母線方向にクリーニングムラが発生する場合がある。
【0037】
本発明における体積抵抗と表面抵抗は、単に測定条件の違いではなく、全く別個の電気特性を示すものである。即ち、転写部材に印加される電圧/電流が厚み方向に加えられた場合、転写部材の電荷の移動は、主に転写部材内部の構造や物性によって決定され、その結果として転写部材の表面電位や除電速度などが決まる。一方、転写部材の表面のみで電荷の授受が行われるように電圧/電流が加えられた場合は転写部材の内部構造や層構成にほとんど依存せず、表面における添加剤や抵抗制御剤の存在割合によってのみ帯電や除電が決まる。従って、体積抵抗及び表面抵抗が相俟って上記範囲に入ることが、転写効率の維持、転写部材の均一な転写性、及びフィルミングなどの欠陥の発生を防いで画像全面にわたる良画質を得る観点から好ましい。本発明では、シームレスベルトを本発明に係る材料組成のものとすることで、該シームレスベルトの体積抵抗及び表面抵抗を上記各要件を満足するように調整することができる。
【0038】
本発明における電子写真用シームレスベルトの厚みは45〜300μm、特には50〜270μmとすることが好ましい。本発明に係る材料組成によれば、成形収縮率の高いPOMを用いているにも関らず、シームレスベルトの周方向の膜厚ムラを15%以内、更には10%以内に納めることができ、その結果としてベルト周速のバラツキ、それに起因する色ずれの発生を抑えることができる。
【0039】
なお、本発明の電子写真用シームレスベルトは、少なくとも、POMとポリエーテルエステルアミド又はポリエーテルアミドを含有する層からなる単層のものであっても、更に他の層を有する多層のものであってもよく、特に限定されない。
【0040】
本発明の電子写真用シームレスベルトの製造方法は、製造効率が高く且つコストを抑制できる製造方法であることが好ましい。本発明のシームレスベルトを好ましく製造できる方法として、成形材料を環状ダイスから連続溶融押出ししてチューブを形成し、得られたチューブを必要な長さに切断してシームレスベルトを製造し、その後、シームレスベルトの表面平滑性や寸法を調整する等の目的で型を使用して加工を行う方法が挙げられる。
【0041】
本発明のシームレスベルトを作製する方法として、例えば、インフレーション成形が好適に用いられる。以下、図3を用いて本発明の電子写真用シームレスベルトの製造方法の一態様を説明する。但し、その方法にのみ限定されるものではない。
【0042】
図3は、本発明に用いられる押し出し成形機の構成を示す概略図である。図3では、2層構成ベルトの成形用に、押し出し機100及び101の2基具備しているが、少なくとも本発明においては押し出し機を1基以上有していればよい。以下、単層のシームレスベルトの製造方法について述べる。まず、POMとポリエーテルエステルアミド又はポリエーテルアミドと、必要に応じて導電性無機微粒子、フッ素添加剤及び他の材料を、予め所
望の処方で予備混合後、混練分散させることにより成形用原料を得る。得られた成形用原料を押し出し機100に具備したホッパー102に投入する。押し出し機100においては、成形用原料が、後工程でのベルト成形が可能となる溶融粘度となり、また原料が相互に均一分散するように、設定温度及び押し出し機のスクリュー構成が選択される。成形用原料は押し出し機100中で溶融混練され溶融体となり環状ダイス103に入る。環状ダイス103には気体導入路104が配設されており、気体導入路104より空気が環状ダイス103に吹き込まれることにより環状ダイス103を通過した溶融体は径方向に拡大膨張する。なお、気体導入路104に空気を吹き込まずに上記溶融体の成形を行ってもよい。
【0043】
膨張した成形体(即ち、チューブ状の溶融物)は冷却リング105により冷却されつつ上方向に引き上げられる。これを所望の幅に切断することにより、シームレスベルトを得ることができる。本発明における押し出し成形比とは、環状ダイス103の口径に対する、環状ダイスを通過し口径が拡大膨張した成形後のチューブの形状寸法における口径の比であり下記式で表される。
押し出し成形比 = 成形後のチューブの口径/環状ダイス103の口径
【0044】
上述の説明は単層ベルトに関するものであったが、2層のシームレスベルトを製造する場合は図3に示すように更に押し出し機101を用い、該押し出し機101に他の層の成形用原料を投入する。この成形用原料を、押し出し機100内の成形原料と同時に2層用の環状ダイス103へ送り込み、2層同時に拡大膨張させることにより2層ベルトを得ることができる。もちろん3層以上の構成を有するシームレスベルトにおいても同様であり、層数に応じ相応に押し出し機を準備すればよい。
【0045】
また、環状ダイス103のダイギャップより、成形されたシームレスベルトの厚みを薄くすることが好ましい。これは、例えば150μmのダイギャップで150μmのチューブを作ろうとした場合、ダイギャップを50μm動かしたとき、チューブはそのまま50μm変化するが、実際にダイギャップを1μm単位で調整するのは困難であり、その結果、膜厚が不均一なチューブ(即ち、シームレスベルト)ができ易くなる。しかし、例えば1.5mmのダイギャップで150μmのチューブを作る場合は、ダイギャップ50μmのずれでも最終的なチューブの膜厚の振れは1/10になるので、実際の膜厚振れは5μmとなり、その結果最終的に精度高くチューブを作製することができるのである。よって、環状ダイスのダイギャップより、成形されたシームレスベルトの厚みを薄くすることが好ましい。
【0046】
環状ダイス103のダイギャップより、成形されたシームレスベルトの厚みを薄くする方法としては、環状ダイスの先端から押し出し機によって吐出するチューブ状の溶融物の吐出速度より、チューブの引き取り速度を速くする方法がある。例えば、ダイスの先端からチューブの引き取り無しで押し出されたチューブ状の溶融物の押し出し速度が1m/minで、ダイスの口径と成形されるチューブの口径が同一で、引き取り速度が10m/minであるときはチューブの厚みが環状ダイスのダイギャップの1/10となり、環状ダイスのダイギャップより成形されたシームレスベルトの厚みを薄くすることができる。
【0047】
更に、環状ダイスのダイギャップより、成形されたベルトの厚みを薄くする方法として、押し出し成形比を1より大きくする方法がある。即ち、ダイスの径よりチューブの径を大きくすることにより、引き取り速度が押し出し速度と同一であっても、チューブの径が大きくなった分フィルム厚みが薄くなるのである。このときの成形比の最大値は4.0以下が好ましい。これ以上大きいと膨張したチューブの安定性が悪くなる場合があり、得られるシームレスベルトの膜厚が不安定になることがあるからである。
【0048】
上述したような、押し出し成形比を1以下として引き取り速度を速くすることで、環状ダイスのダイギャップより成形されたシームレスベルトの厚みを薄くすることができるが、この方法は、主に成形時の樹脂(成形用原料)の分子量が低いなどの条件のとき有用である。
【0049】
即ち、成形用原料の溶融時の粘度が低い場合、成形比を1より大きくすると、チューブに穴が空いてしまったりすることがある。このような場合には、押し出し成形比を1以下にすることで、環状ダイスのダイギャップより、成形されたシームレスベルトの厚みを薄くすることが可能となるのである。このときの成形比の最小値は0.5以上が好ましい。0.5未満の場合にはチューブの引き取り速度を大幅に速くする必要があり、成形性が不安定になることがある。
【0050】
また、押し出し成形比を1より大きくする場合の成形方法として、環状ダイス103の先端から押し出し機の押し出しによって吐出されたチューブ状溶融物に、気体導入路104より大気圧以上の気体を吹き込むことにより、そのチューブを膨張させながら連続的に成形する方法がある。この場合、大気圧以上の気体がチューブに吹き込まれることでチューブが膨張し押し出し成形比を1より大きくすることができる。この時チューブ状溶融物に吹き込まれる気体は空気の他に、窒素、二酸化炭素及びアルゴンなどの任意のものを選択することができる。
【0051】
また、得られたチューブを所定の幅に切断する場合には、環状ダイスの先端から押し出し機より吐出されたチューブ状フィルムを母線方向に対して垂直方向に連続的に切断することが好ましい。切断の際にカッター歯を停止した状態でカットすると切り始めと切り終わりで時間差ができ、斜めにカットされてしまう。このためベルトに加工する場合に再度カットする必要が生じ、工数が増えるからである。チューブ状フィルムを母線方向に向かって垂直の方向に連続的に切断する方法としては、チューブ押し出し速度と同一速度で移動するカッター装置を用いる方法があるが、これに限らず任意の方法を用いることができる。
【0052】
次に、この筒状フィルムに表面平滑性や寸法を調整する等の目的で型を使用した加工を行う。具体的には、加熱熱膨張率の異なる材料で作られた直径の異なる一組の円筒型を使用する方法がある。小径の円筒型(内型)の熱膨張率は大径の円筒型(外型)の熱膨張率より大きくなるようにし、この内型に成形した筒状フィルムを被せた後、その内型を外型内に挿入して、内型と外型で筒状フィルムを挟み込むようにする。型の間のギャップは加熱する温度と内型・外型の熱膨張率の差及び必要とされる圧力を考慮して算出される。内型、筒状フィルム、外型の順で設置された型を樹脂の軟化点温度付近まで加熱する。加熱により熱膨張率の大きい内型は外型より膨張し、筒状フィルム全面に均一な圧力がかかる。この時、軟化点付近に達した樹脂フィルムの表面は平滑に加工した外型内面に押し付けられ、樹脂フィルム表面の平滑性が向上する。その後、冷却してフィルムを型から外すことで、例えば膜厚ムラが上記範囲であるような、平滑な表面性を得ることができる。
【0053】
また、外型の内表面の表面粗さを調整することでベルトの表面平滑性を調整することができる。この後、必要に応じて補強部材やガイド部材、位置検知部材の取り付けや精密カットを行って電子写真用シームレスベルトを得る。
【0054】
以下、上述した本発明の電子写真用シームレスベルトが好適に用いられる画像形成装置について説明する。図1は、本発明のシームレスベルトを中間転写ベルトとして用いた画像形成装置の一例の概略図である。図1に示す装置は電子写真プロセスを利用したカラー画像形成装置(複写機又はレーザービームプリンター)であり、本発明のシームレスベルトを中間転写ベルト5として有している。1は第1の像担持体として繰り返し使用される
回転ドラム型の電子写真感光体であり、矢印の時計方向に所定の周速度(プロセススピード)をもって回転駆動される。電子写真感光体1は回転過程で、一次帯電器2により所定の極性・電位に一様に帯電処理され、次いで不図示の像露光手段(カラー原稿画像の色分解・結像露光光学系や、画像情報の時系列電気デジタル画素信号に対応して変調されたレーザービームを出力するレーザースキャナによる走査露光系など)による画像露光3を受けることにより目的のカラー画像の第1の色成分像(例えば、イエロー色成分像)に対応した静電潜像が形成される。次いで、その静電潜像が第1の現像器(イエロー色現像器41)により第1色の現像剤であるイエロートナーYで現像される。この時第2〜第4の現像器(マゼンタ色現像器42、シアン色現像器43及びブラック色現像器44)の各現像器は作動−オフになっていて電子写真感光体1には作用せず、上記第1色のイエロートナー画像は上記第2〜第4の現像器により影響を受けない。
【0055】
中間転写ベルト5は図中時計方向に電子写真感光体1と同じ周速度をもって回転駆動されている。電子写真感光体1上に形成担持された上記第1色のイエロートナー画像が、電子写真感光体1と中間転写ベルト5とのニップ部を通過する過程で、一次転写ローラー6から中間転写ベルト5に印加される一次転写バイアスにより形成される電界により、中間転写ベルト5の外周面に順次中間転写(一次転写)されていく。中間転写ベルト5に対応する第一色のイエロートナー画像の転写を終えた電子写真感光体1の表面は、クリーニング装置13により清掃される。
【0056】
以下、同様に第2色のマゼンタトナー画像、第3色のシアントナー画像、第4色のブラックトナー画像が順次中間転写ベルト5上に重ね合わせて転写され、目的のカラー画像に対応した合成カラートナー画像が形成される。7は二次転写ローラーであり、二次転写対向ローラー8に対して平行に軸受させて中間転写ベルト5の下面部に離間可能な状態に配設してある。電子写真感光体1から中間転写ベルト5への第1〜第4色のトナー画像の順次重畳転写のための一次転写バイアスはトナーとは逆極性(+)であり、バイアス電源30から印加される。その印加電圧は例えば+100V〜2kVの範囲である。電子写真感光体1から中間転写ベルト5への第1〜第3色のトナー画像の一次転写工程において、二次転写ローラー7は中間転写ベルト5から離間することも可能である。
【0057】
中間転写ベルト5上に転写された合成カラートナー画像の、第2の画像担持体である転写材Pへの転写は次のように行われる。二次転写ローラー7が中間転写ベルト5に当接されると共に、給紙ローラー11から転写材ガイド10を通って、中間転写ベルト5と二次転写ローラー7との当接ニップに所定のタイミングで転写材Pが給送され、二次転写バイアスが電源31から二次転写ローラー7に印加される。この二次転写バイアスにより中間転写ベルト5から第2の画像担持体である転写材Pへ合成カラートナー画像が転写(二次転写)される。
【0058】
トナー画像の転写を受けた転写材Pは定着器15へ導入されて加熱定着される。転写材Pへの画像転写終了後、中間転写ベルト5にはクリーニング用帯電部材9が当接され、電子写真感光体1とは逆極性のバイアスを印加することにより、転写材Pに転写されずに中間転写ベルト5上に残留しているトナー(転写残トナー)に電子写真感光体1と逆極性の電荷が付与される。33はバイアス電源である。前記転写残トナーは、電子写真感光体1とのニップ部及びその近傍において電子写真感光体1に静電的に転写されることにより、中間転写部材がクリーニングされる。
【0059】
上記図1は、本発明のシームレスベルトを中間ベルトとして用いた画像形成装置の例であるが、本発明のシームレスベルトは、以下に示すように画像形成装置の転写搬送ベルトとしても好適に用いることができる。図2に、転写部材の1つである転写搬送ベルトとして本発明のシームレスベルトを用いた画像形成装置の一例の概略図を示す。
【0060】
図2に示す画像形成装置は、色分解像重ね合せ転写方式のカラー画像形成装置の一つの型式として、複数の感光体にそれぞれ異なる色のトナー像を形成し、これら各感光体に順次接触して搬送される1枚の転写材に位置を合わせて、各感光体上のトナー像を転写し、フルカラー画像を得るようにしたものである。図2に示す画像形成装置は、電子写真プロセス手段として4つの画像形成部I,II,III,及びIVを並設しており、各画像形成部I
〜IVは像担持体としての電子写真感光体301Y,301M,301C,301BK、一次帯電器としての一次帯電ローラー302Y,302M,302C,302BK、露光部303Y,303M,303C,303BK、現像器304Y,304M,304C,304BK、及びクリーナー305Y,305M,305C,305BKを有する構成である。なお、現像器304Y,304M,304C及び304BKにはそれぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(BK)の各色のトナーが収容されている。
【0061】
また、上記画像形成部I〜IVの下方には転写装置310が設けられている。転写装置310は、駆動ローラー311と従動ローラー312及びテンションローラー313の間に張設された無端状の転写搬送ベルト314と、各画像形成部I〜IVの電子写真感光体301Y,301M,301C及び301BKにそれぞれ対向して配置された転写ローラー315Y,305M,305C及び305BKを有している。他方、装置本体内の底部には、記録媒体として複数枚の記録紙Pを積層収容して成るカセット(図示せず)が設置されており、該カセット内の記録紙Pは給紙ローラー307によって1枚ずつ送り出され、搬送ガイド308を経て搬送される。そして、装置本体内の上記記録紙Pの搬送方向下流側には分離帯電器316及び定着器317が配設されている。
【0062】
各画像形成部I〜IVにおいては、電子写真感光体301Y,301M,301C及び301BKが図中矢印方向に所定の速度で回転駆動され、これらは一次帯電ローラー302Y,302M,302C,302BKによってそれぞれ一様に帯電処理される。このように帯電処理された各電子写真感光体301Y,301M,301C及び301BKに対して画像情報に応じた露光光303Y,303M,303C及び303BKが図示せぬ露光部より照射されると、各電子写真感光体301Y,301M,301C及び301BK表面には静電潜像が形成され、各静電潜像は各現像器304Y,304M,304C及び304BKに収容された各色のトナーによって現像されてイエロートナー像、マゼンタトナー像、シアントナー像及びブラックトナー像としてそれぞれ顕像化される。
【0063】
一方、前述のようにカセットから搬送ガイド308を経て搬送された転写材としての記録紙Pは、タイミングを合わされて転写装置310に送り出され、該転写装置310の転写搬送ベルト314に吸着されてこれと共に移動して各画像形成部I〜IVを通過し、その過程で該記録紙Pには転写帯電器315Y,315M,315C,315BKの作用によってイエロートナー像、マゼンタトナー像、シアントナー像及びブラックトナー像が重ね合わせて転写される。
【0064】
そして、各カラートナー像の転写を受けた記録紙Pは、分離帯電器316によって除電されて転写搬送ベルト314から分離された後、定着器317に搬送されてカラートナー像の加熱定着を受け画像出力される。
【0065】
本発明に用いられる各種物性値の測定方法は以下の通りである。
<電気抵抗測定方法>
本発明の電子写真用シームレスベルトの電気抵抗(体積抵抗及び表面抵抗)の測定は以下の装置及び条件により行う。
【0066】
(測定機)
抵抗計;超高抵抗計R8340A(アドバンテスト社製)
試料箱;超高抵抗測定用試料箱TR42(アドバンテスト社製)
但し、主電極の直径を25mm、ガード・リング電極の内径を41mm、外径を49mmとする。
【0067】
(サンプル)
中間転写ベルトを直径56mmの円形に切断する。切断後、片面はその全面にPt−Pd蒸着膜からなる電極を設け、もう一方の面はPt−Pd蒸着膜からなる直径25mmの主電極と内径38mm、外径50mmのガード電極を設ける。Pt−Pd蒸着膜は、マイルドスパッタE1030(日立製作所製)で蒸着操作を2分間行うことにより得られる。蒸着操作を終了したものを測定サンプルとする。
【0068】
(測定条件)
測定雰囲気;23℃、55%RH。なお、測定サンプルは予め23℃、55%RHの雰囲気中に12時間以上放置しておく。
測定モード;プログラムモード5(ディスチャージ10秒、チャージ及びメジャー30秒。)
印加電圧;100(V)
【0069】
<すべり抵抗測定方法>
本発明の電子写真用シームレスベルトの動摩擦抵抗は、本発明電子写真用シームレスベルトによるサンプルシートのポリエチレンテレフタレート(PET)シートに対するすべり抵抗で表される。具体的には表面性測定機:HEIDON−14DR(新束科学(株)製)を用いて測定することにより得られる。詳しくは、HEIDON−14DRのASTMD−1894で規定された平面圧子にポリエチレンテレフタレート(PET)シートを巻き付けて測定対象物とし、上記サンプルシートと平面圧子間に2Nの垂直荷重をかけ水平方向に100mm/min.の速度でサンプルシートを移動させたときのPETシートとサンプルシートのすべり抵抗を測定することによって得られる。
【0070】
<膜厚測定方法>
本発明の中間転写ベルトの膜厚は、最低値1μmのダイアルゲージにおいて、ベルト中央について周方向に等間隔で40点全周にわたって測定し平均した値である。また、膜厚の最大値と平均値との差分及び最小値と平均値との差分を膜厚ムラとする。
【実施例】
【0071】
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
〈実施例1〉
(原材料)
ポリアセタール(POM) 84部
ポリエーテルエステルアミド 15部
(三洋化成工業社製 ペレスタットNC6321)
アセチレンブラック 1部
(電気化学工業社製 デンカブラック粉状品)
【0072】
(混練装置及び混練条件)
・直径30mm同方向回転噛合2軸押し出し機を使用
・スクリュー:2条タイプ、L/D=38
・押し出し温度:180℃
・押し出し条件:スクリュー回転200rpm、吐出量15kg/h
上記原材料をタンブラーで混合した後、上記2軸押し出し混練機を用いて上記条件で混練することにより粒径2〜3mmの混練物とし、成形用原料1を得た。
【0073】
(成形)
図3に示す1軸押し出し機100のホッパー102へ成形用原料1を投入し、設定温度を175〜185℃の範囲に調節して押し出すことにより、溶融体とした。溶融体は引き続いて、ダイス直径100mm、ダイギャップの幅80μmの環状単層用押し出しダイス103に導かれた。この時にダイス先端から吐出されたチューブ状の溶融物の吐出速度は1m/minであった。この溶融物に気体導入路104より空気を吹き込んで該溶融物を拡大膨張させ、引き取り速度5m/minで引き取りながら成形を行いつつ、300mm毎にチューブ状フィルムを母線方向に対して垂直方向に連続的に切断することによりシームレスベルト1を得た。このときの押し出し成形比は1.6であった。
【0074】
このシームレスベルト1のサイズと表面平滑性の調整を、熱膨張率の異なる金属からなる一組の円筒型を用いて行った。内型には熱膨張率の高いアルミニウム材を、外型にはアルミニウムより熱膨張率の低いステンレスを用いた。外型は内表面にバフがけを行い鏡面に仕上げたものを用いた。内型の外径と外型の内径の寸法ギャップは140μmであった。熱膨張率の高い内型に筒状フィルム1を被せて、その内型を外型に挿入し、170℃で20分間加熱する。冷却後シリンダーから外して端部をカットし蛇行防止部材を取り付け、位置検知部材として黒色のシールを貼り付けて直径160mmの中間転写ベルト1を作製した。これと同様の方法により、続けて中間転写ベルトを10本作製したところ、型貼付等の問題もなく良好に中間転写ベルトを作製することができた。
【0075】
(評価)
中間転写ベルト1において、図4に示すように周方向に4箇所、各位置での軸方向に2箇所、計8箇所の体積抵抗及び表面抵抗及びこれらのバラツキを測定したところ、体積抵抗の中央値は3.2×1010Ω、表面抵抗の中央値は2.5×1011Ω、体積抵抗の最大値/最小値は1.5、表面抵抗の最大値/最小値は1.7であった。また、すべり抵抗は0.3Nであった。また、膜厚測定のバラツキは100μm±8μmの範囲であった。
【0076】
この中間転写ベルト1を図1に示されるフルカラー画像形成装置に装着し、市販のトナーを用いて80g/m紙に二次色フルカラーベタ画像、及びハーフトーン画像をプリントし、転写性とクリーニング性の評価を行った。なお、中間転写ベルトのクリーニング方式は、クリーニング用帯電部材7に1×10Ωの抵抗を持つ弾性ローラーを用いた一次転写同時クリーニング方式とした。その結果、転写ムラ、転写抜けの発生もなく、またクリーニング不良のない良好な画像を得ることができた。更に、この中間転写ベルト1を用いて5万枚の画像を出力したところ、ベルトのひび割れや裂けは発生せず、耐久性に優れたベルトであることが分かった。
【0077】
〈実施例2〉
ポリアセタール(POM) 80部
ポリエーテルエステルアミド 15部
(三洋化成工業社製 ペレスタットNC6321)
カーボンブラック 5部
(電気化学工業社製 デンカブラック粉状品)
原材料を上記の通りとした以外は実施例1と同様に中間転写ベルト2を作製した。また、実施例1と同様にベルト物性の評価を行ったところ、体積抵抗の中央値は7.8×10Ω、表面抵抗の中央値は1.1×1011Ω、体積抵抗の最大値/最小値は1.8、表
面抵抗の最大値/最小値は2.0であり、すべり抵抗は0.3N、膜厚測定のバラツキは100μm±8μmの範囲内であった。
【0078】
また、この中間転写ベルト2を用いて画像出力をしたところ、転写ムラ、転写抜けの発生もなく、またクリーニング不良のない良好な画像を得ることができた。更に、この中間転写ベルト2を用いて5万枚の画像を出力したところ、ベルトのひび割れや裂けは発生せず、耐久性に優れたベルトであることが分かった。
【0079】
〈実施例3〉
ポリアセタール(POM) 74部
ポリエーテルエステルアミド 16部
(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製 IRGASTAT P18)
導電性酸化亜鉛 10部
原材料を上記の通りとした以外は実施例1と同様に中間転写ベルト3を作製した。また、実施例1と同様にベルト物性の評価を行ったところ、体積抵抗の中央値は8.2×10Ω、表面抵抗の中央値は9.9×1010Ω、体積抵抗の最大値/最小値は1.7、表面抵抗の最大値/最小値は2.0であり、すべり抵抗は0.3N、膜厚測定のバラツキは100μm±7μmの範囲内であった。
【0080】
また、この中間転写ベルト3を用いて画像出力をしたところ、転写ムラ、転写抜けの発生もなく、またクリーニング不良のない良好な画像を得ることができた。更に、この中間転写ベルト3を用いて5万枚の画像を出力したところ、ベルトのひび割れや裂けは発生せず、耐久性に優れたベルトであることが分かった。
【0081】
〈実施例4〉
ポリアセタール(POM) 74部
ポリエーテルエステルアミド 6部
(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製 IRGASTAT P16)
カーボンブラック 5部
(電気化学工業社製 デンカブラック粉状品)
導電性酸化亜鉛 15部
(ハクスイテック社製 23−K)
原材料を上記の通りとした以外は実施例1と同様に中間転写ベルト4を作製した。また、実施例1と同様にベルト物性の評価を行ったところ、体積抵抗の中央値は6.6×10Ω、表面抵抗の中央値は7.7×1010Ω、体積抵抗の最大値/最小値は7.4、表面抵抗の最大値/最小値は5.0であり、すべり抵抗は0.3N、膜厚測定のバラツキは100μm±10μmの範囲内であった。
【0082】
また、この中間転写ベルト4を用いて画像出力をしたところ、転写ムラ、転写抜けの発生もなく、またクリーニング不良のない良好な画像を得ることができた。更に、この中間転写ベルト4を用いて5万枚画像出力したところ、ベルトのひび割れや裂けは発生せず、耐久性に優れたベルトであることが分かった。
【0083】
〈実施例5〉
ポリアセタール(POM) 65部
ポリエーテルエステルアミド 20部
(三洋化成工業社製 ペレスタットNC6321)
カーボンブラック 10部
(電気化学工業社製 デンカブラック粉状品)
PTFE粒子 5部
(喜多村社製 KTL−2N)
原材料を上記の通りとした以外は実施例1と同様に中間転写ベルト5を作製した。また、実施例1と同様にベルト物性の評価を行ったところ、体積抵抗の中央値は4.3×10Ω、表面抵抗の中央値は3.6×10Ω、体積抵抗の最大値/最小値は2.5、表面抵抗の最大値/最小値は2.1であり、すべり抵抗は0.4N、膜厚測定のバラツキは100μm±6μmの範囲内であった。
【0084】
また、この中間転写ベルト5を用いて画像出力をしたところ、転写ムラ、転写抜けの発生もなく、またクリーニング不良のない良好な画像を得ることができた。更に、この中間転写ベルト5を用いて5万枚画像出力したところ、ベルトのひび割れや裂けは発生せず、耐久性に優れたベルトであることが分かった。
【0085】
〈実施例6〉
ポリアセタール(POM) 55部
ポリエーテルエステルアミド 24部
(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製 P22)
カーボンブラック 1部
(電気化学工業社製 デンカブラック粉状品)
PTFE粒子 20部
(喜多村社製 KTL−8N)
原材料を上記の通りとした以外は実施例1と同様に中間転写ベルト6を作製した。また、実施例1と同様にベルト物性の評価を行ったところ、体積抵抗の中央値は6.9×10Ω、表面抵抗の中央値は5.9×1010Ω、体積抵抗の最大値/最小値は2.2、表面抵抗の最大値/最小値は2.4であり、すべり抵抗は0.3N、膜厚測定のバラツキは100μm±8μmの範囲内であった。
【0086】
また、この中間転写ベルト6を用いて画像出力をしたところ、転写ムラ、転写抜けの発生もなく、またクリーニング不良のない良好な画像を得ることができた。更に、この中間転写ベルト6を用いて5万枚画像出力したところ、ベルトのひび割れや裂けは発生せず、耐久性に優れたベルトであることが分かった。
【0087】
(実施例7)
ポリアセタール(POM) 55部
ポリエーテルエステルアミド 5部
(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製 IRGASTAT P20)
カーボンブラック 15部
(電気化学工業社製 デンカブラック粉状品)
導電性酸化亜鉛 20部
(ハクスイテック社製 23−K)
原材料を上記の通りとした以外は実施例1と同様に中間転写ベルト7を作製した。また、実施例1と同様にベルト物性の評価を行ったところ、体積抵抗の中央値は3.5×10Ω、表面抵抗の中央値は4.5×1011Ω、体積抵抗の最大値/最小値は8.3、表面抵抗の最大値/最小値は9.5であり、すべり抵抗は0.3N、膜厚測定のバラツキは100μm±11μmの範囲内であった。
【0088】
また、この中間転写ベルト7を用いて画像出力をしたところ、転写ムラ、転写抜けの発生もなく、またクリーニング不良のない良好な画像を得ることができた。更に、この中間転写ベルト7を用いて5万枚の画像を出力したところ、ベルトのひび割れや裂けは発生せず、耐久性に優れたベルトであることが分かった。
【0089】
〈実施例8〉
ポリアセタール(POM) 50部
ポリエーテルエステルアミド 20部
(三洋化成工業社 ペレスタットNC6321)
導電性酸化亜鉛 5部
(ハクスイテック社製 23−K)
PTFE粒子 25部
(喜多村社製 KTL―10N)
原材料を上記の通りとした以外は実施例1と同様に中間転写ベルト8を作製した。また、実施例1と同様にベルト物性の評価を行ったところ、体積抵抗の中央値は7.7×10Ω、表面抵抗の中央値は4.9×1010Ω、体積抵抗の最大値/最小値は3.3、表面抵抗の最大値/最小値は4.5であり、すべり抵抗は0.3N、膜厚測定のバラツキは100μm±9μmの範囲内であった。
【0090】
また、この中間転写ベルト8を用いて画像出力をしたところ、転写ムラ、転写抜けの発生もなく、またクリーニング不良のない良好な画像を得ることができた。更に、この中間転写ベルト8を用いて5万枚の画像を出力したところ、ベルトのひび割れや裂けは発生せず、耐久性に優れたベルトであることが分かった。
【0091】
〈比較例1〉
(原材料)
ポリカーボネート 85部
ポリエーテルエステルアミド 15部
(三洋ペレスタット社製 NC6321)
【0092】
(混練装置及び混練条件)
押出し温度を240℃とした以外は実施例1と同様の方法を用いて成形原料9を作製した。
【0093】
(成形)
1軸押し出し機の押出し時の設定温度を240℃とし、円筒型による加熱成形時の設定温度を240℃とした以外は実施例1と同様にして中間転写ベルト9を作製した。これと同様の方法により、続けて中間転写ベルトを合計10本作製したところ、10本中5本において型への貼付が発生した。
【0094】
実施例1と同様にベルト物性の評価を行ったところ、体積抵抗の中央値は4.3×1010Ω、表面抵抗の中央値は1.3×1011Ω、体積抵抗の最大値/最小値は1.9、表面抵抗の最大値/最小値は2.2であり、すべり抵抗は0.3N、膜厚測定のバラツキは100μm±7μmの範囲内であった。
【0095】
また、この中間転写ベルト9を用いて画像出力をしたところ、転写ムラ、転写抜けの発生が発生し、またクリーニング不良も発生した。更に、この中間転写ベルト9を用いて5万枚の画像を出力したところ、ベルトにクラックが発生した。
【0096】
〈比較例2〉
ポリアセタール(POM) 90部
カーボンブラック 10部
(電気化学工業社製 デンカブラック粉状品)
原材料を上記の通りとした以外は実施例1と同様に中間転写ベルト10を作製した。また、実施例1と同様にベルト物性の評価を行ったところ、体積抵抗の中央値は2.2×1
10Ω、表面抵抗の中央値は9.8×1010Ω、体積抵抗の最大値/最小値は10.1、表面抵抗の最大値/最小値は12.0であり、すべり抵抗は0.3N、膜厚測定のバラツキは100μm±16μmの範囲内であった。
【0097】
また、この中間転写ベルト10を用いて画像出力をしたところ、ガサツキ、転写ムラ等の転写不良が発生した。また、転写不良が原因となり、クリーニング不良も発生した。更に、この中間転写ベルト10を用いて5万枚の画像を出力したところ、ベルトのひび割れや裂けは発生しなかった。
【0098】
〈比較例3〉
ポリアセタール(POM) 80部
熱可塑性ポリウレタン 10部
(クラレ社製 クラミロンU1180)
カーボンブラック 10部
(電気化学工業社製 デンカブラック粉状品)
原材料を上記の通りとした以外は実施例1と同様に中間転写ベルト11を作製した。また、実施例1と同様にベルト物性の評価を行ったところ、体積抵抗の中央値は8.9×10Ω、表面抵抗の中央値は1.1×1011Ω、体積抵抗の最大値/最小値は11.0、表面抵抗の最大値/最小値は10.2であり、すべり抵抗は0.6N、膜厚測定のバラツキは100μm±17μmの範囲内であった。
【0099】
また、この中間転写ベルト11を用いて画像出力をしたところ、ガサツキ、転写ムラ等の転写不良が発生した。また、転写不良が原因となり、クリーニング不良も発生した。更に、この中間転写ベルト11を用いて5万枚の画像を出力したところ、ベルトのひび割れや裂けは発生しなかった。
【0100】
〈比較例4〉
ポリアセタール(POM) 70部
ポリエステル系エラストマー 15部
(東レ・ドュポン社製 ハイトレル5557)
カーボンブラック 15部
(電気化学工業社製 デンカブラック粉状品)
原材料を上記の通りとした以外は実施例1と同様に中間転写ベルト12を作製した。また、実施例1と同様にベルト物性の評価を行ったところ、体積抵抗の中央値は6.5×10Ω、表面抵抗の中央値は5.6×1010Ω、体積抵抗の最大値/最小値は13.0、表面抵抗の最大値/最小値は11.5であり、すべり抵抗は0.6N、膜厚測定のバラツキは100μm±15μmの範囲内であった。
【0101】
また、この中間転写ベルト12を用いて画像出力をしたところ、ガサツキ、転写ムラ等の転写不良が発生した。また、転写不良が原因となり、クリーニング不良も発生した。更に、この中間転写ベルト12を用いて5万枚画像出力したところ、ベルトのひび割れや裂けは発生しなかった。
【0102】
〈比較例5〉
ポリアセタール(POM) 80部
カーボンブラック 10部
(電気化学工業社製 デンカブラック粉状品)
ポリエチレンオキサイド 10部
(日本ゼオン社製 ZSN8100)
原材料を上記の通りとした以外は実施例1と同様に中間転写ベルト13を作製した。ま
た、実施例1と同様にベルト物性の評価を行ったところ、体積抵抗の中央値は5.8×10Ω、表面抵抗の中央値は6.9×1010Ω、体積抵抗の最大値/最小値は10.5、表面抵抗の最大値/最小値は13.0であり、すべり抵抗は0.7N、膜厚測定のバラツキは100μm±18μmの範囲内であった。
【0103】
また、この中間転写ベルト13を用いて画像出力をしたところ、ガサツキ、転写ムラ等の転写不良が発生した。また、転写不良が原因となり、クリーニング不良も発生した。更に、この中間転写ベルト13を用いて5万枚の画像を出力したところ、ベルトのひび割れや裂けは発生しなかった。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】本発明の中間転写ベルトを備えた画像形成装置の一例の概略図
【図2】本発明の転写搬送ベルトを備えた画像形成装置の一例の概略図
【図3】本発明に用いられる押し出し成形機の一例の概略図
【図4】シームレスベルトの電気抵抗の測定箇所の一例を示す図
【符号の説明】
【0105】
1 電子写真感光体
2 一次帯電機
3 露光光
5 中間転写ベルト
6 一次転写ローラー
7 二次転写ローラー
8 二次転写対向ローラー
9 クリーニング用帯電部材
10 転写材ガイド
11 給紙ローラー
12 テンションローラー
13 クリーニング装置
15 定着器
30,31,32,33 電源
41 イエロー色現像器
42 マゼンタ色現像器
43 シアン色現像器
44 ブラック色現像器
100,101 押し出し機
102 ホッパー
103 環状ダイス
104 気体導入路
105 外部冷却リング
106 安定板
107 ピンチローラー
108 カット装置
110 筒状フィルム
301Y,301M,301C,301BK 電子写真感光体
302Y,302M,302C,302BK 一次帯電器
303Y,303M,303C,303BK 露光部
304Y,304M,304C,304BK 現像器
305Y,305M,305C,305BK クリーニング手段
307 給紙ローラー
308 搬送ガイド
310 転写装置
311 駆動ローラー
312 従動ローラー
313 テンションローラー
314 転写搬送ベルト
315Y, 315M, 315C, 315BK 転写帯電器
316 分離帯電器
317 定着器
320Y, 320M, 320C, 320BK 電源
P 転写材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、ポリアセタール樹脂30〜90質量%と、ポリエーテルエステルアミド又はポリエーテルアミド1〜35質量%とを含有することを特徴とする電子写真用シームレスベルト。
【請求項2】
前記ポリアセタール樹脂を30〜74質量%含有することを特徴とする請求項1記載の電子写真用シームレスベルト。
【請求項3】
更に、導電性無機微粒子を1〜30質量%含有することを特徴とする請求項1又は2記載の電子写真用シームレスベルト。
【請求項4】
更に、フッ素系添加剤を0〜25質量%含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の電子写真用シームレスベルト。
【請求項5】
すべり抵抗が1.0N以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の電子写真用シームレスベルト。
【請求項6】
周方向における体積抵抗の最大値と最小値の比(体積抵抗の最大値/体積抵抗の最小値)が10以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の電子写真用シームレスベルト。
【請求項7】
周方向における表面抵抗の最大値と最小値の比(表面抵抗の最大値/表面抵抗の最小値)が10以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の電子写真用シームレスベルト。
【請求項8】
母線方向における体積抵抗の最大値と最小値の比(体積抵抗の最大値/体積抵抗の最小値)が10以下であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の電子写真用シームレスベルト。
【請求項9】
母線方向における表面抵抗の最大値と最小値の比(表面抵抗の最大値/表面抵抗の最小値)が10以下であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の電子写真用シームレスベルト。
【請求項10】
周方向における膜厚ムラが15%以内であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の電子写真用シームレスベルト。
【請求項11】
少なくとも、ポリアセタール樹脂30〜90質量%と、ポリエーテルエステルアミド又はポリエーテルアミドを1〜35質量%とを含有する成形用原料を得、
該成形用原料を環状ダイスより溶融押出ししてチューブ状の溶融物を得、
該チューブ状の溶融物を冷却しながら所定の引き取り速度で引き取ることによりチューブを形成し、
該チューブを切断してシームレスベルトを得ることを特徴とする電子写真用シームレスベルトの製造方法。
【請求項12】
前記チューブの厚みが環状ダイスのダイギャップより薄いことを特徴とする請求項11記載の電子写真用シームレスベルトの製造方法。
【請求項13】
前記引き取り速度が、前記環状ダイスより押し出されて吐出するチューブ状の溶融物の吐出速度より速いことを特徴とする請求項11又は12記載の電子写真用シームレスベルト
の製造方法。
【請求項14】
前記チューブの押し出し成形比を0.5〜4.0とすることを特徴とする請求項11〜13のいずれか一項に記載の電子写真用シームレスベルトの製造方法。
【請求項15】
前記環状ダイスより溶融押出しして得られたチューブ状の溶融物の内側に、大気圧以上の気体を吹き込むことにより前記溶融物を膨張させ、これを冷却しながら引き取ることによりチューブを形成することを特徴とする請求項11〜14のいずれか一項に記載の電子写真用シームレスベルトの製造方法。
【請求項16】
前記引き取り後のチューブを、母線に垂直な方向に連続的に切断することによりシームレスベルトを得ることを特徴とする請求項11〜15のいずれか一項に記載の電子写真用シームレスベルトの製造方法。
【請求項17】
像担持体に形成された静電潜像を現像剤により可視化し、これを転写材上に転写して定着させることにより画像を形成する画像形成装置であって、請求項1〜10のいずれかに記載の電子写真用シームレスベルトを有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項18】
前記シームレスベルトを中間転写ベルト及び/又は転写搬送ベルトとして用いることを特徴とする請求項17記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−133472(P2006−133472A)
【公開日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−321874(P2004−321874)
【出願日】平成16年11月5日(2004.11.5)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】