説明

電子写真装置

【課題】同一被記録媒体上に、均一ベタ画像と高精細細密画像を同時に形成させることのできる電子写真装置を提供する。
【解決手段】ひとつの表現色に対して2つ作像部を有し、先頭の直接転写作像部21の現像機4bに低抵抗現像剤を用いて感光体1a上に形成したトナー画像を被記録媒体7に直接転写し、後続の間接転写作像部22の現像機4bに高抵抗現像剤を用いて感光体1b上に形成されたトナー画像は中間転写体14に一度転写し、次いで直接転写作像部21により得られた被記録媒体7上の画像に重ねて転写し、定着して最終画像を得ることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばレーザプリンタなどの電子写真装置に係り、特にベタ画像の均一性と微小画像の高精細化を同時に両立させることのできる電子写真装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真方法には各種の方法が提案されているが、一般的には光導電性物質からなる感光体の表面に静電潜像を形成し、その静電潜像をトナーで現像した後、紙などの被記録媒体にトナー像を転写して定着する方法が用いられている。
【0003】
感光体表面上に形成される静電潜像を現像するための現像剤として、キャリアとトナーから成る二成分現像剤、及びキャリアを必要としない一成分現像剤(磁性トナー、非磁性トナー)が知られている。
【0004】
特に二成分現像剤は、現像剤の安定性、トナーに与える影響、高速帯電、長寿命などから高速の電子写真装置に用いられている。従来より前記トナーは、樹脂、着色剤、帯電制御剤、オフセット防止剤などを乾式混合により均一に混合して、溶融混練後に微粉砕されて用いられる。
【0005】
更に最近では、重合法トナーと呼ばれるスチレン−アクリル共重合系樹脂を用い重合法により球形化されたもの、ケミカルトナーと呼ばれるポリエステル系樹脂を用いた球形トナー及び微粉砕後加熱によりある程度球形化されたものが用いられてきている。
【0006】
これら球形化されたトナーは、特に重合法トナー及びケミカルトナーの場合、その製法上から比較的粒度分布を揃えることができると共に、小粒径化が比較的容易にできるという利点がある。さらに、帯電的にも均一になりやすく、帯電量の分布状態がシャープになり、画質の向上が期待できる。
【0007】
しかしその反面、キャリアとの摩擦によって帯電するには形状(球形)が問題になる。最近のキャリアは、現像剤の寿命から球形化方向にあり、球形トナーとの接触が点接触に近い状況となる。このため、摩擦による帯電量が十分でないという状況に陥り、長時間安定な画像を得ることが難しくなる。特に、ベタ画像と微小細線により複雑に表現された画像の再現には不利になる。また、見栄えをより重視するカラー画像を、忠実に高速で大量に出力するカラー電子写真装置には不利になる。
【0008】
また、高画質化の要求に伴って静電潜像の高精細化が一段と進行し、前記潜像を忠実に再現させるために、被記録媒体上に付着させるトナー及びトナーを搬送するキャリアの特性を高い精度で制御する必要が生じてきている。
【0009】
これまでに現像剤の特性の制御に関しては、トナーの平均粒径あるいは粒度分布、トナーの着色力などを制御することによって高画質の画像を得ようとする技術が提案されている。例えば具体的には、トナーの個数平均粒径と体積平均粒径との関係からトナーの粒度分布がシャープになるように規定して、連続画像形成に伴う画質の劣化を防止しようとしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0010】
また他の提案では、小粒径化したトナーの粒度分布における大粒径成分の比率と、定着前のトナー付着量と定着後の画像濃度(OD)との関係からトナーの着色力を規定して、所定の着色力のトナーを所定の付着量で画像形成することにより、ハイライト再現性とベタ画像の均一性を向上させようとしたものであった(例えば、特許文献2参照)。
【0011】
しかし、従来のトナー製造方法である溶融混練した塊を粉砕法で微粉化したトナーは、トナーの小粒径化あるいはトナー粒度分布の制御が困難であるため、前述の技術に適応させることを必ずしも容易にしていなかった。
【0012】
すなわち、粉砕法で製造したトナー(粉砕法トナー)は、粉砕によって小粒径化できる単位時間当りの生産量が少ないため、トナーの粒径が小さくなるほどトナーの生産コストが高まること、トナーの粒径が小さくなるほど粉砕後の凝集力が高まり、所望の粒度分布に分級制御することが困難になること、から小粒径化することの限界が存在していた。
【0013】
また、粉砕法トナーは、顔料の添加量を多くするほど樹脂における顔料の高分散性を維持するために樹脂の混練強度を大きくする必要があり、その結果として樹脂の溶融粘度の低下を伴うために、トナーの発色性とヒートロールによる定着時の耐オフセット性の両立を難しくしていた。
【0014】
近年、従来の粉砕法トナーに対して、懸濁重合法などによりトナー粒子を直接合成して得る所謂重合法トナーが提案され、体積平均粒径が7μm以下の小粒径トナーからなる1成分或いは2成分現像剤を製造することが容易になってきた。
【0015】
この重合法トナーは、例えば重合性単量体に着色剤、帯電制御剤、重合開始剤、分散剤、架橋剤などを加えて均一に分散あるいは溶解して単量体組成物とした後に、連続した液相からなる媒体(例えば水相媒体)中に滴下して分散機により前記単量体組成物を微細な液滴状に懸濁させて、重合を進行させることによって得た粒子状の合成物に外添用の微粉末を添加したものである。
【0016】
この重合法により製造されたトナーは、高い発色性と耐オフセット性を両立させることが可能である、トナーの小粒径化が容易である、トナーの粒度分布を粉砕法トナーよりシャープにすることができる、トナーの形状が平滑な表面を有する擬似球形であるという特徴を有している。
【0017】
また、複数の現像機を用いて画像を形成する方法で、被記録媒体上に感光体から直接転写する方法と中間転写体に一旦転写して間接転写方法を組み合わせた方法がある。これは、転写後に残った感光体上のトナーをエアーで吸引し、そのクリーニング機構からトナーホッパに戻して再利用するような構成にして、装置全体の省スペース化を目的にしたものであった(例えば、特許文献3参照)。
【0018】
更に、他の従来技術は、同一色のトナーを用い高光沢画像とそうでない画像を出力する方法により両方の特性を生かした、高画質(低,高光沢)が得られるように第1現像工程と第2現像工程を配置して、この各々の感光体の転写後に残された残留トナーをエアー吸引し、そのクリーニングする機構により感光体から採取し、それをトナーホッパに戻して再利用する構成であった(例えば、特許文献4参照)。
【0019】
前記特許文献3,4のような構成は、省スペース,画質向上(低光沢,高光沢の両立)を目的として、且つ単色のトナーのリサイクルを行っている。
【0020】
しかしながら、何れも感光体のトナーを用紙に転写する際、用紙に接触するため用紙表面の添加剤屑,用紙屑を付着してしまう。クリーニング機構によりトナーをクリーニングして再利用すると、これらの添加剤屑,用紙屑をも混入した状態でトナーホッパに戻される。このように戻されたトナーを再度トナーホッパから現像剤に添加すると、当然現像機内での帯電,現像,転写などに影響が出るため、高精細画像は得られにくくなってしまう。
【0021】
また、特許文献5には、2色電位分割現像方法における動的抵抗率をある数値範囲に規定した構成が記載されている。2つの現像部位を有するものであり、例えばこれらの2つの現像部位に、同色トナーを用いるといったことも考えられるが、このような構成では、高精細化の目的には不向きである。
【0022】
なぜならば、同一極性のトナーを用いることができず、被記録媒体に転写する前に極性が同一となるような処置が必要となり、このことは高精細の画質保持にはマイナス方向になる。さらに、片方を均一ベタ画像の現像、もう一方を高精細画像の現像とした場合、感光体から被記録媒体への転写条件は同一条件になる。
【0023】
同一感光体上に、可視化された高精細画像部とベタ部が混在した画像を、転写時に画像部位毎に区別して同時に転写するような技術は、現時点ではなく、混在させた場合、転写条件は同一条件になってしまう。
【0024】
このため、せっかく高精細(均一ベタ)化した画像の、各々最適転写条件での転写ができず、出力画像としてはどちらかに偏った画像か、どちらにもよらない中途半端な画像しか得られない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0025】
従来の電子写真装置において、一つの表現色に対し一つの現像手段を用いているため、大画面(ベタ画)の均一性と高精細な点画像や線画像などの画素を構成する微小画像との両立は非常に困難であるという課題を有していた。
【0026】
特に、前記した重合トナーを1成分現像剤として用いた場合、高精細な点画像や線画像などの画素を構成する微小潜像に対して現像装置によってトナーを付着し可視像とした後、被記録媒体上に画像を形成すると、前記微小潜像は従来の粉砕法トナーを用いた場合よりは良好であるものの、必ずしも忠実には再現されないという課題を有していた。
【0027】
微小潜像の輪郭は、ほぼ同サイズのトナーの粒子が不規則に配列して形成される微小な鋸歯状の凹凸となり、被記録媒体上に転写されたときにこの鋸歯状の凹凸がさらに拡大して、隣り合った画素のトナー層の一部と連結したり、トナー層が四方に発散して画素の一部が不鮮明になったりするという現象を生じていた。
【0028】
これら画素のミクロ的不均一化は、高精細画像の画質を決定する要因の一つである粒状性を低下させる直接の原因となる。
【0029】
また、2成分現像剤の場合、現像時の現像剤抵抗が低いとベタ画像が均一に再現(現像)されやすいが、微小潜像は現像されるトナー面方向に広がるため、ボケとなる鮮明度の低下が発生する。その反面、現像時の現像剤抵抗が高いと、潜像のエッジ効果によりベタ画像の周辺(エッジ部)は濃度の濃い画像となり、中心部に向かって画像濃度が低下してしまうという現象が発生するものの、点画像や線画像などの画素を構成する微小画像に対しては有効に効果を発生し、微小な画像の画質向上には有効である。
【0030】
本発明の目的は、ベタ画像の均一性と微小画像の高精細化を同時に両立させることのでき電子写真装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0031】
前記目的を達成するため、本発明は、
例えば用紙などの被記録媒体の搬送方向上流側に設置された直接転写作像部と、
前記直接転写作像部の被記録媒体搬送方向下流側に設置された間接転写作像部を備え、
前記直接転写作像部は、感光体と、その感光体の周囲に帯電手段、露光手段、現像手段ならびに被記録媒体転写用転写手段を有し、前記帯電手段、露光手段ならびに現像手段により前記感光体上に形成されたトナー画像を前記被記録媒体転写用転写手段により被記録媒体へ直接転写する構成になっており、
前記間接転写作像部は、感光体と、その感光体の周囲に帯電手段、露光手段、現像手段、中間転写体、中間転写体用転写手段ならびに被記録媒体転写用転写手段を有し、前記帯電手段、露光手段ならびに現像手段により前記感光体上に形成されたトナー画像を前記中間転写体用転写手段により前記中間転写体に移し、その中間転写体上のトナー画像を前記被記録媒体転写用転写手段により前記被記録媒体へ転写する構成になっており、
前記直接転写作像部の前記現像手段と前記間接転写作像部の前記現像手段には、表現色がほぼ同じ色の現像剤が用いられ、
前記直接転写作像部の前記現像手段には、低抵抗の現像剤が用いられ、
前記間接転写作像部の前記現像手段には、前記直接転写作像部の現像剤よりも抵抗値の高い高抵抗現像剤が用いられて、
前記直接転写作像部により前記被記録媒体へ前記低抵抗現像剤からなるトナー画像が転写され、引き続いて、前記間接転写作像部により前記被記録媒体へ前記高抵抗現像剤からなるトナー画像が転写される構成になっていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0032】
本発明は前述のような構成になっており、ベタ画像の均一性を有しながら高精細細密画像も同時に達成する画像を得ることができる電子写真装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の実施例に係る電子写真装置の一例を示す概略構成図である。
【図2】本発明の実施例などで用いる現像剤抵抗値測定装置の概略構成図である。
【図3】(a)〜(d)は、感光体上の潜像にトナーを付着した際のトナー付着のイメージと、転写後の感光体上の残留トナーのイメージを表した図である。
【図4】本発明の各実施例ならびに比較例での画像評価を含めた全体の評価を比較してに示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明者は、高速画像出力装置において、均一ベタ画像と高精細細密画像とを長期間安定して得るため、現像部並びに転写状況を確認して、その現象に着目して現像部と感光体上の可視画像,感光体上の可視画像と被記録媒体上へ転写に関し、その状況を鋭意検討した。その結果、現像剤の抵抗値と感光体上の可視像には大きな隔たりがあり、転写によっても画像の画質が変化してしまうことを見出した。
【0035】
つまり、均一ベタ画像と高精細細密画像とを同一の現像剤を用いて行うと、現像時及び被記録媒体上に転写する際にベタ画像或いは高精細細密画像のどちらかの影響を受けてしまい、現状以上の両立高精細画像を得ることが難しいことを見出した。
【0036】
ベタ画像の均一性を求めると、低抵抗現像剤或いは低抵抗現像方式が必要となる。しかし、この方式で高精細細密画像を現像すると、トナーにより可視像化された画像は静電潜像より大きな領域に付着した画像となってしまう。
【0037】
また、ベタ画像の均一性を求めるため、可視像化されたベタ画像のトナー像を被記録媒体に100%近く転写するため、高精細細密画像も同様に転写され、精細度は低下してしまう。
【0038】
さらに、高精細細密画像を求めると、高抵抗現像剤或いは高抵抗現像方式が必要となる。この方式は、静電潜像のエッジ効果を助長してしまい、ベタ画像の均一性が失われるため、ベタ画像の均一性と高精細細密画像の両立は成り立たない。
【0039】
これらのことから、現像時の手段,現像方法,転写手段,転写手段を変化させることにより、前述の相反する画像特性を両立する電子写真装置を見出した。
【0040】
なお、感光体上のトナー像を中間転写体に転写した後、トナー画像を中間転写体に転写して重ねた画像を被記録媒体に同時に転写することも考えられる。
【0041】
しかし、抵抗値の小さい現像剤を用いて可視化された画像と高抵抗の現像剤を用いて可視化された画像は、転写条件がそれぞれ異なることから、同じ条件で被記録媒体に転写されるとどちらかが最適な転写条件にならないため、その時点で画質低下が発生してしまう可能性がある。このため、被記録媒体に別々に転写することが望ましい。
【0042】
つまり、均一ベタ画像と高精細細密画像を同一被記録媒体上に形成する場合、一つの表現色について、感光体の周囲に帯電手段、露光手段、現像手段、クリーニング手段、被記録媒体への感光体上のトナー画像転写手段などの作像部を2つ備える。
【0043】
そして、最初の直接転写作像部の現像機に搭載する低抵抗現像剤によって感光体上に可視化された画像を被記録媒体に直接転写し、次に間接転写作像部の現像機に搭載する高抵抗現像剤によって感光体上に可視化された画像を中間転写体に一度転写する。次いで前記直接転写作像部により得られた被記録媒体上の画像に前記転写した画像を重ねて転写し、これら画像を定着して最終画像を得る。
前記直接転写作像部ならびに間接転写作像部の具体的な構成などについては、図1を用いて後で説明する。
【0044】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
<電子写真装置の概略構成>
図1は、本発明の実施の形態に係る電子写真装置の一例を示す概略構成図である。
この電子写真装置の作像部は、図1に示すように用紙7(被記録媒体)の搬送方向に沿って、搬送方向上流側に直接転写作像部21を、その下流側に間接転写作像部22を、それぞれ備えている。
【0045】
前記直接転写作像部21は、ドラム状の感光体1aと、その感光体1aの周囲に電子写真プロセスの順、すなわち感光体1aの回転方向に沿って配置された帯電器2a、露光手段である光源3a、現像機4a、被記録媒体用転写器6a、除電器9aならびにクリーニング機構11aなどを備えている。
【0046】
また、前記間接転写作像部22は、ドラム状の感光体1bと、その感光体1bの周囲に電子写真プロセス順、すなわち感光体1bの回転方向に沿って配置された帯電器2b、露光手段である光源3b、現像機4b、ベルト状の中間転写体14、中間転写体用転写器5、被記録媒体用転写器6b、除電器9b、トナー吸引クリーニング機構10、クリーニング機構11b、ならびに前記中間転写体14の回転方向に沿って配置された中間転写体用除電器8、中間転写体用クリーニング機構12などを備えている。
【0047】
前記感光体1a、1bは、アルミニウムの素管上にチタニルフタロシアニンなどの電荷発生材料とアクリル系樹脂などの結着剤からなる電荷発生層と、例えばヒドラゾン化合物などの電荷輸送材料とポリカーボネートなどの結着剤からなる電荷輸送層とを有する有機光導電体(OPC)からなる感光体、あるいはセレンなどからなる無機感光体から構成されている。
【0048】
また、間接転写作像部22の用紙搬送方向下流側には、用紙7上に転写されたトナー像を定着する、図示しない例えば加熱ローラと加圧ローラを備えた定着機13が設けられている。
【0049】
前記直接転写作像部21では、感光体1aの表面が帯電器2aにより一様に帯電され、光源3aから出射されたレーザ光が感光体1aの表面に照射されて静電潜像が形成されて、この静電潜像は現像機4aから供給された現像剤により顕像化されてトナー画像が形成される。
【0050】
図示しない搬送ローラなどの用紙搬送手段により用紙7が前記感光体1aと被記録媒体用転写器6aの間に供給され、前記感光体1aの表面に形成されたトナー画像が被記録媒体用転写器6aにより用紙7上に直接転写され、次の間接転写作像部22へ搬送される。転写後に感光体1aの表面は除電器9aで除電され、感光体1aの表面に残ったトナーはクリーニング機構11aにより感光体表面から除去され、清掃された感光体1aは次の静電潜像の形成に備えられる。
【0051】
前記間接転写作像部22では、感光体1bの表面が帯電器2bにより一様に帯電され、光源3bから出射されたレーザ光が感光体1bの表面に照射されて静電潜像が形成されて、この静電潜像は現像機4bから供給された現像剤により顕像化されてトナー画像が形成される。
【0052】
前記感光体1bの表面に形成されたトナー画像は、中間転写体用転写器5によりベルト状の中間転写体14上に一旦転写される。転写後に感光体1bの表面は除電器9bで除電され、感光体1bの表面に残ったトナーはトナー吸引クリーニング機構10により感光体表面から除去され、清掃された感光体1bは次の静電潜像の形成に備えられる。
【0053】
一方、中間転写体14上に転写されたトナー画像は、前記直接転写作像部21から搬送されて来た用紙7とタイミングを合わせて、被記録媒体用転写器6bにより用紙7上に転写される。
【0054】
転写後に中間転写体14の表面は中間転写体用除電器8で除電され、中間転写体14の表面に残ったトナーは中間転写体用クリーニング機構12により中間転写体14から除去され、清掃された中間転写体14は次のトナー画像の転写に備えられる。
【0055】
一方、前記直接転写作像部21ならびに間接転写作像部22によってトナー画像を転写した用紙7は定着機13に搬送され、加熱と圧着によりトナー画像が用紙7に定着され、図示しない排紙部へ搬送される。
【0056】
<残留トナーの回収方法>
残留トナーの回収方法には多くの方法がある。その一つには、感光体上の残留トナーを回転するファーブラシで擦り落とし、そのブラシに付着したトナーをブラシの回転を利用してブレードで離脱させて、離脱したトナーをスクリューなどで捕集する方法がある。
【0057】
また、感光体にブレードを押し当ててトナーを剃り落として、ブレードの下に設けられたトナー受けからスクリューなどでトナーを捕集する方法もある。しかしこれらは、回収時に残留トナーにダメージを与えてしまうため、その残留トナーをリサイクルすると画像欠陥に結びつくという欠点がある。
【0058】
さらに、例えば特開2004−279474号公報などでは、残留トナーを積極的に逆極性にして、最上流側の像担持体(感光体)に電気的に付着させて回収する方法が開示されている。しかし、初期帯電量の制御などに加えて、さら帯電量を制御する必要があるなど、制御が煩雑となるという問題を有している。
【0059】
本発明では、用紙7に直接接触して転写に関与した残留トナーには用紙屑や表面改質剤屑などの異物が混入する可能性があるから、トナーのリサイクルには適していないという理由から、前記直接転写作像部21のクリーニング機構11aで回収された残留トナー、ならびに間接転写作像部22の中間転写体用クリーニング機構12で回収された残留トナーは、リサイクルせずに廃棄23する。
【0060】
一方、間接転写作像部22において、感光体1bに残ったトナーは用紙7とは直接接触しないため、用紙屑や表面改質剤屑などの異物が混入する可能性がないから、前段階で除電器9bで残留トナーを除電することで、感光体1bから離れやすく、しかもトナーどうしが凝集しない状態にする。
【0061】
そして残留トナーをトナー吸引用クリーニング機構10でエアー吸引して、感光体1bから離す。このトナー吸引用クリーニング機構10による回収は、トナーに与えるダメージを小さくして回収できるため、トナーのリサイクルに好適である。残留トナーはトナー吸引用クリーニング機構10に内蔵されている図示しないサイクロンで捕集されて、回収ホッパーに回収され、再度、現像機4bに補給してリサイクル24されるシステムになっている。前述のようにクリーニング機構10によって回収されたトナーは異物を含んでいないため、リサイクルしても殆ど画質に影響せずに有効活用ができる。
【0062】
<現像剤の抵抗値測定>
次に、後述の実施例などで用いる現像剤の抵抗値測定装置の概略について図2を用いて説明する。
同図に示すように、ドクターブレード16とマグネットロール17が収納容器21内に配置され、その収納容器21内には現像剤18が装填されている。またマグネットロール17は、所定の間隔をおいて円筒形回転電極15と対向している。
【0063】
前記円筒形回転電極15の直径は66mm、周速は300mm/sに、また、前記マグネットロール17の周速は600mm/sに設定され、さらに、円筒形回転電極15とマグネットロール17の間隔は1.5mmに、ドクターブレード16とマグネットロール17との間隔は1.2mmに設定されている。
【0064】
図2に示すように現像剤18を円筒形回転電極15に接触させ、このとき円筒形回転電極15の表面に接触する幅(ニップ幅)は8mmとなるように設定されている。電源Eにより円筒形回転電極15とマグネットロール17の間に電圧を印加し、その電位差は150Vであり、このとき流れる電流を外部抵抗19を介して電流計20で測定し、円筒形回転電極15と現像剤18の接触面積を換算して、計算により現像剤18の抵抗値を算出する仕組みになっている。
【0065】
<現像剤の組成>
次に現像剤の組成について説明する。
乾式二成分系の現像剤組成物とする場合には、トナーをキャリア、つまり鉄粉、フェライト、マグネタイト、あるいは、樹脂などをコアとし、コアのまま、または、コアにシリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂などをコートした不定形もしくは球状の磁性粉体と適宜混合し、現像剤組成物として用いることができる。
【0066】
前記トナーに用いる樹脂としては、例えばポリエステル樹脂、スチレン樹脂、アクリル樹脂、スチレン−アクリル共重合系樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ジエン系樹脂、フェノール樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合系樹脂などが挙げられ、特に定着時の溶融性や画質の点から、ポリエステル樹脂が好ましい。
【0067】
また、架橋度の異なる2種以上の樹脂を混合して用いるのがよい。架橋度が低い樹脂を主成分とし、それよりも架橋度の高い樹脂を5〜50重量部混合して用いるのが好ましい。特に、非架橋(線型)ポリエステル樹脂を主成分に、3価以上の単量体、あるいは架橋剤を構成モノマーに有する架橋(非線型)ポリエステル樹脂を添加するのが良く、これにより耐久性,発色性,透明性を維持したまま、優れた耐オフセット性を実現することができる。
なお、架橋度の異なる2種以上の樹脂としては、THF不溶分が5%以下のものが望ましい。
【0068】
前述の非架橋(線型)ポリエステル樹脂を主成分とするのは、架橋度を上げ過ぎると、樹脂の溶融粘度が高くなり、定着画像の平滑性,光沢性が損なわれるためである。しかし、架橋型(非線型)樹脂は、高温側で発生するホットオフセットの低減、耐久性向上に優れた効果を発揮する。
【0069】
本発明における非架橋(線型)ポリエステル樹脂は、通常公知のエステル化反応、エステル交換反応などを利用して重合することができる。具体的には、例えば反応温度170〜220℃、反応圧力5mmHg〜常圧で、適宜触媒などを用いながら縮重合などを行い(最適温度や圧力はモノマーの反応性などで決める)、所定の物性になった時点で反応を終了すればよい。
【0070】
ポリエステルを構成している単量体のうち、アルコール成分としては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなどのジオール類がある。
【0071】
また、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、ポリオキシエチレン化ビスフェノールA、ポリオキシプロピレン化ビスフェノールAなどのビスフェノールAアルキレンオキシド付加物、その他の二価のアルコールを挙げることができる。
【0072】
これらのうちエチレングリコール、ポリオキシエチレン化ビスフェノールA、ポリオキシプロピレン化ビスフェノールAなどが好ましい。
【0073】
一方、酸成分としては、炭素数3以上の脂肪族系飽和ジカルボン酸もしくは炭素数5以上の脂肪族系不飽和ジカルボン酸、および/または、その酸無水物もしくは低級アルキルエステルが用いられる。
【0074】
炭素数3以上の脂肪族系飽和ジカルボン酸としては、例えば、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸、マロン酸、n−ドデシルコハク酸などのアルキルコハク酸類などが挙げられ、他にこの酸無水物もしくは低級アルキル(炭素数1〜5)エステルが用いられる。
【0075】
また、炭素数5以上の脂肪族系不飽和ジカルボン酸としては、例えばシトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、n−ドデセニルコハク酸などのアルケニルコハク酸類が挙げられ、他にこの酸無水物もしくは低級アルキル(炭素数1〜5)エステルが用いられる。
【0076】
また、前記の必須成分に加えて、任意の酸成分として炭素数のより小さいマレイン酸、フマル酸などの脂肪族系不飽和ジカルボン酸など:芳香族系ジカルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸など):脂環式ジカルボン酸(シクロヘキサンジカルボン酸など)、ならびに、これらの酸無水物および低級アルキル(炭素数1〜5)エステルからなる群より選ばれる少なくとも一種を使用することができる。
【0077】
次に、一般的に用いられるトナー中の離型剤について説明する。離型剤としては、公知のものが使用でき、特に制限しない。
【0078】
例えば、低分子量ポリプロピレン、低分子量ポリエチレン、エチレンビスアマイド、マイクロクリスタリンワックスなどのパラフィン系ワックスが適している。
【0079】
また、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、ライスワックス、モンタンワックスなどの天然ワックスや、低分子量ポリオレフィン類、およびステアリン酸などの高級脂肪酸、高級脂肪酸の金属塩、高級脂肪酸アミド類などを用いることができるが、樹脂1と相溶せず、その融点が70〜90℃のものが好ましい。
【0080】
即ち、主となる樹脂のTgよりも10〜20℃程度高く、Tmよりも20〜30℃程度低いものが好ましい。融点が70℃を下回ると、耐久性の低下やフィルミングの発生が顕著になり実用上好ましくない。また、90℃を上回ると、トナーの定着温度が高くなり、画質、省エネルギーの観点からも好ましくない。
【0081】
着色剤としては、公知の有機顔料や染料を使用でき、またこれらの併用も可能である。通常、イエロートナー、マゼンタトナー、シアントナーにそれぞれ対応する色彩のものが用いられる。
【0082】
例えば、従来モノクロ用として用いられているカーボンブラック、ニグロシン染料などの他に、アゾ系染料(例えば、C.I.ソルベントイエロー2,1,4,16,19,60、C.I.ソルベントレッド3,8,24,27)、アントラキノン系染料、インジコ染料、フタロシアニン系染料、キサンテン系染料(例えばC.I.ソルベントレッド48,49)などの染料、アゾ系顔料(例えば、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントレッド48,81、C.I.ピグメントグリーン4)、ベンズイミダゾロン系顔料(例えばC.I.ピグメントレッド185)、キナクリドン系顔料(例えばC.I.ピグメントレッド122,207,209)、フタロシアニン系顔料(例えばC.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントグリーン7)、イソインドリノン系顔料(例えば、C.I.ピグメントイエロー109,173)、ジオキサジン系顔料(例えば、C.I.ピグメントバイオレット23)、アントラキノン系顔料(例えば、C.I.ピグメントイエロー108、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントブルー6)、ペリレン系顔料(例えば、C.I.ピグメントオレンジ43)、チオインジコ系顔料(例えば、C.I.ピグメントバイオレット38)、キノフタロン系顔料(例えば、C.I.ピグメントイエロー153)などの有機系顔料、および、酸化チタン、モリブデンレッド、クロムイエロー、チタンイエロー、酸化クロム、ベルリンブルーなどの無機系顔料などの公知の染料,顔料が挙げられる。
【0083】
これらの着色剤は、単独、または、2種以上の混合物として、重量で樹脂100部に対して0.1〜10部使用される。
【0084】
また、トナー組成物中には、必要に応じて帯電制御剤,導電剤,流動性向上剤などのいずれも公知のものが使用できる。例えば、正の荷電制御剤としては、低分子化合物から高分子化合物(ポリマーも含む)まで特に制限はない。また、ニグロシン系の染料であるニグロシンベースEX、オイルブラックBS、オイルブラックSO(以上、オリエント化学社製)や、トリフェニルメタン系染料、4級アンモニウム化合物、アミノ基を有するビニル系ポリマーなどが挙げられる。
【0085】
また、負の荷電制御剤としては、モノアゾ染料の金属錯塩、ニトロフミン酸およびその塩、ニトロ基やハロゲン元素を持った物質、スルホン化銅フタロシアニン、無水マレイン酸コポリマーなどが挙げられる。
【0086】
これらの帯電制御剤の1種以上を樹脂100部に対して、0.1〜10部使用される。これらの導電剤は、例えば、酸化チタン、酸化アルミニウム、マグネタイトのような導電性を有する金属酸化物などが挙げられる。
【0087】
流動性向上剤としては、例えば、アモルファスシリカ、ポリテトラフロロエチレン微粉末、ステアリン酸亜鉛粉末などがある。これらの1種以上を樹脂100部に対して0.1〜10部使用できる。
【0088】
次に本発明の実施例ならびに比較例について説明する。
〔実施例1〕
非架橋(線型)ポリエステルA(Tg:60.5℃、軟化温度Tm:101℃)70部、架橋型(非線型)ポリエステルB(Tg:61.3℃、Tm:107℃)30部に対して、カルナウバワックス(融点:73℃)を5部、着色剤としてカーボンブラック3部、電荷調整剤としてボントロンE−84(オリエント化学工業製)2部を、2軸押し出し機を用いて混練し、冷却後通常の粉砕、分級工程を経て平均粒径約8μmのブラックトナーの微粉を得た。
【0089】
2リットルの広口ポリ瓶に直径1mmのガラスビーズ500gを入れ、前述のようにして得られたトナー母材500gと、そのトナー母材に対し添加量0.5Wt%となるようシリカTS−530(キャボット社製)を入れ、ターブラーシェーカミキサを用い64rpmの回転速度で15分間攪拌した。攪拌終了後、開口40μmのメッシュを有する篩を用いてガラスビーズと分離して、最終トナーを得た。
【0090】
次いで、固有抵抗値の異なるマグネタイトキャリア(85μm:関東電化(株)製)を用い、トナー濃度が4.0wt%となるよう調整し、図2に示す構成の抵抗値測定装置を用いて、所望の抵抗値となるような現像剤を作製した。
【0091】
直接転写作像部21に用いる現像剤として抵抗値(動的抵抗率)0.3×1010Ω・cmの低抵抗現像剤を作製し、間接転写作像部22に用いる現像剤として抵抗値(動的抵抗率)1.5×1012Ω・cmの高抵抗現像剤を作製した。
【0092】
これらの現像剤の初期帯電量を、ブローオフ帯電量測定装置(京セラケミカル(株)製TB−203)にて測定した結果、低抵抗現像剤の初期帯電量は−19.3μC/g、高抵抗現像剤の初期帯電量は−21.7μC/gであった。
【0093】
これらの現像剤を用い、図1に示すような構成の電子写真装置、一例として印刷速度90PPM(90枚/分:A4)のカット紙使用のレーザプリンタにより、ベタ画像の均一性,高精細細密画像の評価を行った。
【0094】
直接転写作像部21でのベタ画像は、通常の現像条件で現像し,その後被記録媒体への転写を行った。間接転写作像部22では、現像電位を最小から最大まで変化させて感光体上へのトナー現像量を変化させ、この状態から転写条件(具体的には転写電流)を各々変化させて中間転写体に転写後、被記録媒体へ転写した。
【0095】
この結果、間接転写作像部22の感光体に現像されたトナーを中間転写体へ転写する転写量を、80wt%〜10wt%の範囲に制御することで、より高精細細密画像を得ることができ、直接転写作像部21で現像したベタ画像も均一となり、下記の一例のような高精細な画像得ることができた。
【0096】
解像度:1200dpi(ドット/インチ)の8ドットライン線幅平均(定着後)≒195μm(光学理論上は約170μm)
≪評価法:実態顕微鏡100倍画像の線幅を測定。≫
画像均一性:1インチ角ベタ黒画像濃度;中央=1.19D,4角平均=1.22D
≪測定装置:エックスライト社(登録商標)製分光濃度計X−Rite(R)939(測定口径8mm)≫
また、この時の転写条件(具体的には転写電流)を変化させることにより、画像の高精細度を変化させることができるため、広範囲の画像表現を行うことができた。
【0097】
なお、間接転写作像部22で感光体1bから中間転写体14へ転写後、感光体1b上に残ったトナーをエアー吸引方式のトナー吸引クリーニング機構10で回収して、間接転写作像部22の捕集用トナーホッパ(図示せず)に戻した後、本来のトナー補給用ホッパからの補給量比1に対し、捕集用トナーホッパからの供給量を1/2となるようにして連続印刷(50,000枚/A4)においてトナー補給を行った結果、画質に何ら影響がないことを確認した。
【0098】
図3(a)〜(d)は、感光体上の潜像にトナーを付着した際のトナー付着のイメージと、転写後の感光体上の残留トナーのイメージを表した図である。
同図(a)に示すように、通常、潜像化された画像に現像剤によりトナーを付着させると、潜像のエッジ効果、トナー粒径などの影響により、トナー付着は潜像より広い範囲に現像される。この可視像をほとんど転写すると、すなわち、間接転写作像部22において感光体1bから中間転写体14への転写電流を大きくすると、同図(d)に示すように感光体1b上の残留トナー量は極めて少なく、殆どのトナーが中間転写体14上に転写されるから、画像の精細度は低下してしまう。
【0099】
このため本発明では、間接転写作像部22において高抵抗現像剤或いは高抵抗現像方式を用いて、現像時のエッジ効果を利用して現像させた後、転写条件を考慮して中間転写体14への転写量を調整する手段をとることにより、高精細細密画像を得ることができるようにしたものである。
【0100】
具体的には画像の状況(例えば画像及び線画端部の切れの向上、ハーフトーン画像の細密度の向上)に応じて、感光体1bから中間転写体14への転写電流を小さくすることにより、転写するトナー量を少なくして、同図(b),(c)に示すように感光体1b上の残留トナー量を調整する。
【0101】
同図(c)は前記同図(d)よりも残留トナー量が若干多くなった、換言すれば中間転写体14への転写量が若干少なくなったイメージを表している。また、同図(b)は同図(c)よりも残留トナー量がさらに多くなった、換言すれば中間転写体14への転写量がさらに少なくなったイメージを表している。
【0102】
このように画像に応じて感光体1bから中間転写体14への転写条件を任意に制御することにより、擬似的に精細度を向上させることができる。この方法は、低抵抗現像剤よりもエッジ効果の大きい(現像トナー量(高さ方向厚)大)の高抵抗現像剤において有効である。
【0103】
〔実施例2〕
トナーとして実施例1のトナーを用い、キャリアの抵抗値を変化させ直接転写作像部21の現像剤として実施例1と同様の測定法で1.0×10Ω・cmの低抵抗現像剤を作製し、間接転写作像部22に用いる現像剤としては7.5×1012Ω・cmの高抵抗現像剤を作製した。それら現像剤の初期帯電量は、低抵抗現像剤が−18.5μC/g、高抵抗現像剤が−23.7μC/gであった。
【0104】
これらを用いて、実施例1と同様の画像出力並びに画質評価を行った結果、ベタ画像はさらに均一性が向上し、高精細細密画像も何ら問題なく画像品質は良好で許容範囲であった。
【0105】
結果の一例を下記に示す。
解像度:1200dpi(ドット/インチ)の8ドットライン線幅平均(定着後)≒195μm(光学理論上は約170μm)
≪評価法:実態顕微鏡100倍画像の線幅を測定。≫
画像均一性:1インチ角ベタ黒画像濃度;中央=1.23D,4角平均=1.24D
≪測定装置:X−Rite(R)939(測定口径8mm)≫
〔比較例1〕
実施例1で評価したトナーを用い、実施例1の直接転写作像部21で用いた現像剤を、直接転写作像部21及び間接転写作像部22に用いて、実施例1と同様の連続印刷を行って画質評価を行った。
【0106】
その結果、直接転写作像部21でのベタ画像は実施例1と同様に均一で良好な画像が得られた。しかしながら、間接転写作像部22において現像電位を最小から最大まで変化させて感光体上へのトナー現像量を変化させ、この状態から転写条件を各々変化させて中間転写体に転写後、被記録媒体へ転写を試みたが、もともと低抵抗現像剤であるため所望のエッジ効果が得られず付着量(感光体上への現像量)が不足してしまうことと、静電潜像の範囲を大幅に逸脱して広い領域に現像されてしまい細密画像が確保できないという状況が発生した。
【0107】
このため、間接転写作像部22で転写条件を各々変化させて中間転写体に転写しても、高精細細密画像を出力することができず、品質として問題のある画像となった。
【0108】
結果の一例を下記に示す。
解像度:1200dpi(ドット/インチ)の8ドットライン線幅平均(定着後)≒265μm(光学理論上は約170μm)
≪評価法:実態顕微鏡100倍画像の線幅を測定。≫
画像均一性:1インチ角ベタ黒画像濃度;中央=1.19D,4角平均=1.22D
≪測定装置:X−Rite(R)939(測定口径8mm)≫
〔比較例2〕
実施例1で評価したトナーを用い、実施例1の間接転写作像部22で用いた高抵抗現像剤を、直接転写作像部21及び間接転写作像部22に用いて、実施例と同様の連続印刷を行って画質評価を行った。
【0109】
その結果、高精細細密画像を得ることはできたが、ベタ画像の均一性に問題がありベタ画像の周辺は十分な画像濃度を有していたが、画像の中心に向かうに従い、画像濃度が低下して被記録媒体の下地が見える状況となり、品質として問題のある画像となった。
【0110】
結果の一例を下記に示す。
解像度:1200dpi(ドット/インチ)の8ドットライン線幅平均(定着後)≒195μm(光学理論上は約170μm)
≪評価法:実態顕微鏡100倍画像の線幅を測定。≫
画像均一性:1インチ角ベタ黒画像濃度;中央=1.01D,4角平均=1.23D
≪測定装置:X−Rite(R)939(測定口径8mm)≫
以上述べたように本発明によれば、一つの表現色に対し現像,転写手段を二つ有し、最初の直接転写作像部21の現像機の低抵抗現像剤によって感光体上に可視化された画像を被記録媒体に直接転写し、二つめの間接転写作像部22の現像機の高抵抗現像剤によって感光体上に可視化された画像は中間転写体に一度転写し、次いで前記直接転写作像部21により得られた被記録媒体上の画像に重ねて転写し定着することにより、ベタ画像の均一性を有しながら高精細細密画像も同時に達成する画像を得ることができると同時に、信頼性の高い電子写真装置を得ることができる。
【0111】
次に直接転写作像部21と間接転写作像部22の現像機に用いる現像剤の抵抗値、ならびにトナーの初期帯電量について検討した結果を説明する。本発明の実施例3〜5ならびに比較例3〜7で使用する現像剤の抵抗値ならびに初期帯電量は下記の通りである。
【0112】
〔実施例3〕
☆トナー
ブラックトナー(最終トナー)
☆キャリア(マグネタイトキャリア85μm)
◎直接転写作像部21
○低抵抗現像剤
抵抗値(動的抵抗率):0.3×1010Ω・cm
初期帯電量:−19.3μC/g
◎間接転写作像部22
○高抵抗現像剤
抵抗値(動的抵抗率):1.5×1012Ω・cm
初期帯電量:−21.7μC/g
〔実施例4〕
☆トナー
実施例3と同様
☆キャリア
◎直接転写作像部21
○低抵抗現像剤
抵抗値(動的抵抗率):1.0×10Ω・cm
初期帯電量:−18.5μC/g
◎間接転写作像部22
○高抵抗現像剤
抵抗値(動的抵抗率):7.5×1012Ω・cm
初期帯電量:−23.7μC/g
〔実施例5〕
☆トナー
実施例3と同様
☆キャリア
◎直接転写作像部21
○低抵抗現像剤
抵抗値(動的抵抗率):5.9×10Ω・cm
初期帯電量:−18.9μC/g
◎間接転写作像部22
○高抵抗現像剤
抵抗値(動的抵抗率):0.5×1014Ω・cm
初期帯電量:−22.9μC/g
〔比較例3〕
☆トナー
実施例3と同様
☆キャリア
◎直接転写作像部21
○現像剤(実施例3の直接転写作像部21の現像剤)
抵抗値(動的抵抗率):0.3×1010Ω・cm
初期帯電量:−19.3μC/g
◎間接転写作像部22
○現像剤(実施例3の直接転写作像部21の現像剤)
抵抗値(動的抵抗率):0.3×1010Ω・cm
初期帯電量:−19.3μC/g
〔比較例4〕
☆トナー
実施例3と同様
☆キャリア
◎直接転写作像部21
○現像剤(実施例3の間接転写作像部22の現像剤)
抵抗値(動的抵抗率):1.5×1012Ω・cm
初期帯電量:−21.7μC/g
◎間接転写作像部22
○現像剤(実施例3の直接転写作像部21の現像剤)
抵抗値(動的抵抗率):1.5×1012Ω・cm
初期帯電量:−21.7μC/g
〔比較例5〕
☆トナー
実施例3と同様
☆キャリア
◎直接転写作像部21
○現像剤
抵抗値(動的抵抗率):1.2×10Ω・cm
初期帯電量:−18.9μC/g
◎間接転写作像部22
○現像剤
抵抗値(動的抵抗率):1.5×1012Ω・cm
初期帯電量:−21.7μC/g
〔比較例6〕
☆トナー
実施例3と同様
☆キャリア
◎直接転写作像部21
○現像剤
抵抗値(動的抵抗率):1.3×1010Ω・cm
初期帯電量:−22.5μC/g
◎間接転写作像部22
○現像剤
抵抗値(動的抵抗率):1.2×1015Ω・cm
初期帯電量:−23.2μC/g
〔比較例7〕
☆トナー
実施例3と同様
☆キャリア
◎直接転写作像部21
○現像剤
抵抗値(動的抵抗率):3.2×10Ω・cm
初期帯電量:−15.9μC/g
◎間接転写作像部22
○現像剤
抵抗値(動的抵抗率):3.7×1013Ω・cm
初期帯電量:−27.2μC/g
なお、このテストにおいては、キャリアのコート層の厚さ、コート剤の種類を変えるなどして抵抗値を調整したキャリアを使用し、それとトナーを組み合わせて前述のような各種現像剤を作成した。
【0113】
これら各実施例ならびに比較例での画像評価(ベタ画像の均一性、線幅)を含めた全体の評価を図4に示す。図中の○印は良好、△印は問題あり、×印は悪いと評価したものである。この図から明らかなように、比較例の中には評価が一部○印のものも有るが、画像評価において「濃度不均一」、「ベタ画像の中央部分が薄い」、「線太り発生」、「キャリアホルタ」、「現像不足」などの諸問題が発生し、全体的な評価は全てNGである。
なお、前記「キャリアホルタ」とは、トナーが現像に使用された後のキャリアが記録用紙の白地部分(トナーが付着されていない部分)に付着する現象のことであり、画像品質の低下の一因となる。
【0114】
これに対して本発明の実施例のものは、ベタ画像の均一性ならびに線幅の画像評価において全て○印であり、全体的な評価においても全て良好であると判断された。
【0115】
現像剤の抵抗値が高いと、現像時に静電潜像に影響を及ぼし、潜像(ベタ面積の大きな画像)周辺に電荷が集中するという現象が現れる(エッジ効果)。この電荷が集中した部分(静電電荷が高い部分)に集中的にトナーが付着(現像)する。ベタ画像の周辺から中央部分(潜像電荷が低い部分)へ向ってトナー付着量が少なくなり、ベタ画像の画像内濃度の均一性が保たれなくなる。この現象は、現像剤の抵抗値が高いほどエッジ部分に電荷集中が発生し、顕著となる。
【0116】
このような現象を抑制するには、現像剤の抵抗値を低くすることにより抑制できるため、抵抗値を制御して対応する必要がある。この制御すべき値としては、前記図4の結果から0.3×1010Ω・cm(図3の実施例3 直接転写作像部用現像剤参照)以下が望ましい。
【0117】
しかしながら、低抵抗現像剤はベタ画像の均一性は保てるが、微細な高精細画像に対しては不利に働いてしまうという欠点がある。低抵抗現像剤で現像すると、微小潜像は現像時に現像(付着)されるトナー面方向に電荷が広がってしまうため、広がった静電潜像にトナーが現像(付着)されて微細部が潰れてしまい、画像全体がボケて精細度が下がる。
【0118】
現像剤の抵抗値を高抵抗にすると、前述のようにエッジ効果により点画像や線画増などの画像を構成する微小画像に対して有効に働く(微小面積のためエッジ効果の周辺の差異が目立たない)ため、微細画像の画質向上には有利である。
【0119】
このようなことから、微細画像の画質向上の点からは、前記図4の結果から5.9×10Ω・cm(図4の実施例5 直接転写作像部用現像剤参照)以上が望ましい。
従って、本発明の直接転写作像部21に使用する低抵抗現像剤の抵抗値(動的抵抗率)は、5.9×10Ω・cm〜0.3×1010Ω・cmの範囲に規制することが望ましい。
【0120】
一般的には、画質の安定性および制御の問題からフロート現像方式(現像時に現像バイアス電圧によりトナー付着量を制御する方式)を採用する。この現像バイアス電圧が、現像機内でリークしない程度に現像剤の抵抗値を制御する必要がある。現像バイアス電圧がリークすると、画像に欠陥が発生することはもちろん、安定した画像出力が得られない。このような理由から、現像剤の抵抗値の望ましい下限値としては、前記図4の結果から1.5×1012Ω・cm(図4の実施例3 間接転写作像部用現像剤参照)となる。
【0121】
但し、現像ギャップ(現像ロールと感光体の隙間)およびドクターギャップ(現像剤量制御のためのドクターブレードと現像ロールの隙間)によっても影響される。これらのギャップがある程度広ければ、現像剤の抵抗値を低い方向へすることも可能である。
【0122】
現像剤の抵抗値が高くなると(キャリア抵抗値大)、帯電量が大きくなり、キャリアに蓄積する電荷も大きくなる。さらに、トナーが現像に使用されて、キャリアに残った電荷がスムーズにアース側にリーク(移動)できない現象(電荷の残り)が発生する。そのため、トナーが現像に使用された後のキャリアが記録用紙の白地部分(トナーが付着されていない部分)に付着する現象(キャリアホルタ)が発生し、画像が乱れる。
【0123】
このような理由から、現像剤の抵抗値は、前記図4の結果から0.5×1014Ω・cm(図4の実施例5 間接転写作像部用現像剤参照)以下が望ましい。
従って、本発明の間接転写作像部22に使用する高抵抗現像剤の抵抗値(動的抵抗率)は、1.5×1012Ω・cm〜0.5×1014Ω・cmの範囲に規制することが望ましい。
【0124】
一方、トナーの初期帯電量が高い場合、キャリアとの静電気による結びつきが強くなるため、現像能力の低下が発生する。また、現像剤の抵抗値が高すぎるとキャリアホルタ発生の原因となる。前記現像能力の低下ならびにキャリアホルタ発生による画像品質の低下を考慮すると、トナーの初期帯電量は前記図4の結果から|23.7|μC/g(図4の実施例4 間接転写作像部用現像剤参照)以下が望ましい。
【0125】
また、トナーの初期帯電量が低すぎると、現像剤の投入時あるいは電子写真装置の長期間休止などにおいて、装置立ち上げ時にトナーの飛散が発生し易い。さらに、装置立ち上げ直後の画像濃度の変動が大きくなり、印刷初期状態での画質低下に繋がる。前記装置立ち上げ時のトナーの飛散による装置内の汚染、ならびに初期画質の不安定を考慮すると、トナーの初期帯電量は前記図4の結果から|18.5|μC/g(図4の実施例4 直接転写作像部用現像剤参照)以上が望ましい。
従って、トナーの初期帯電量が|18.5|μC/g〜|23.7|μC/gの範囲に調整された現像剤を用いることにより、高精細画像を、初期から現像剤寿命時まで安定して得ることができる。
【0126】
更に、間接転写作像部22における感光体上の可視像を中間転写体に転写する工程において、転写条件を画質に応じて任意に制御することにより、感光体上のトナーを中間転写体上に所望の量となるように制御する方法を用いることにより、信頼性の高い高精細細密画像と均一ベタ画像を同時に出力することができる。
【0127】
前記実施例では、モノクロ機の場合について説明したが、カラー機に適用することも勿論可能である。
その場合、被記録媒体のパスを考慮しながら、実施例に示す構成4色分(Y,M,C,K)の機構を搭載するように構成する。すなわち、現像機8台(各色2台×4),感光体8個(各色2個×4),中間転写体4個となる。このように本発明をカラー機に適用した場合、各色における、均一ベタ画像及び微細画像の両立により高画質化となり、カラー表現が向上しフルカラー画像の高画質化に繋がるという効果を奏する。
【0128】
<高精細部とベタ部の処理>
次に高精細部とベタ部の処理について説明する。
直接転写作像部21と間接転写作像部22(ベタ部と高精細部)は、その電子データ上で判別・分解して各作像部(ベタ部と高精細部)に振り分けて制御して現像する。
【0129】
その現像された感光体上の可視像は、ベタ画像(直接転写作像部21)は感光体からそのまま被記録媒体上に転写され、間接転写作像部22の高精細部の画像は、感光体上から中間転写体に一旦転写し(ここでトナーの転写量を制御して、必要に応じて更なる高精細の可視像とする)、次いで直接転写作像部21で得られた被記録媒体上の画像に転写して最終画像となる。
【0130】

中間調:間接転写作像部22のみもしくは、直接転写作像部21+間接転写作像部22
ベタ:直接転写作像部21のみ(若しくは直接転写作像部21+間接転写作像部22)
電子データでの画像取込時或いは画像出力時にベタ,中間調,微細画像の閾値を設けて分解する。この内容を直接転写作像部21(ベタ),間接転写作像部22(中間調,微細画像)に振り分けて現像し、出力する。直接転写作像部21及び間接転写作像部22は、用紙(カット紙)の搬送中に実施される。具体的には、第1現像部,第2現像部の位置,印写プロセスタイミングを制御して、画像に位置ずれが発生しないように制御し出力する。中間転写体上にY,M,C,Kの画像を印写プロセスタイミングで調整して重ね合わせたのち、被記録媒体上に転写する。
【0131】

<ベタと中間調の境界>
ベタと中間調の境界はON,OFFのような一律の状況にならない場合が想定される。この場合は、電子データを予め強制的に補正するような手法、例えばベタと中間調の境界部分の画質を滑らかに表現するなどの手法を取り入れて、データを補正するとよい。
【0132】
前記実施例では二成分現像剤を使用した電子写真装置の場合について説明したが、本発明は一成分現像剤を使用する電子写真装置にも適用可能である。
【符号の説明】
【0133】
1a,1b…感光体ドラム、2a,2b…帯電器、3a,3b…光源(露光手段)、4a,4b…現像機、5…中間転写体用転写器、6a,6b…転写器、7…用紙(被記録媒体)、8…中間転写体用除電器、9a,9b…除電器、10…トナー吸引クリーニング機構、11a,11b…クリーニング機構、12…中間転写体用クリーニング機構、13…定着機、14…中間転写体、21…直接転写作像部、22…間接転写作像部、23…トナーの破棄、24…トナーのリサイクル。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0134】
【特許文献1】特許第2806453号公報
【特許文献2】特許第2992924号公報
【特許文献3】特開平11−109711号公報
【特許文献4】特開平9−90710号公報
【特許文献5】特開2007−193174号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被記録媒体の搬送方向上流側に設置された直接転写作像部と、
前記直接転写作像部の被記録媒体搬送方向下流側に設置された間接転写作像部を備え、
前記直接転写作像部は、感光体と、その感光体の周囲に帯電手段、露光手段、現像手段ならびに被記録媒体転写用転写手段を有し、前記帯電手段、露光手段ならびに現像手段により前記感光体上に形成されたトナー画像を前記被記録媒体転写用転写手段により被記録媒体へ直接転写する構成になっており、
前記間接転写作像部は、感光体と、その感光体の周囲に帯電手段、露光手段、現像手段、中間転写体、中間転写体用転写手段ならびに被記録媒体転写用転写手段を有し、前記帯電手段、露光手段ならびに現像手段により前記感光体上に形成されたトナー画像を前記中間転写体用転写手段により前記中間転写体に移し、その中間転写体上のトナー画像を前記被記録媒体転写用転写手段により前記被記録媒体へ転写する構成になっており、
前記直接転写作像部の前記現像手段と前記間接転写作像部の前記現像手段には、表現色がほぼ同じ色の現像剤が用いられ、
前記直接転写作像部の前記現像手段には、低抵抗の現像剤が用いられ、
前記間接転写作像部の前記現像手段には、前記直接転写作像部の現像剤よりも抵抗値の高い高抵抗現像剤が用いられて、
前記直接転写作像部により前記被記録媒体へ前記低抵抗現像剤からなるトナー画像が転写され、引き続いて、前記間接転写作像部により前記被記録媒体へ前記高抵抗現像剤からなるトナー画像が転写される構成になっていることを特徴とする電子写真装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電子写真装置において、
前記低抵抗現像剤の動的抵抗率が5.9×10Ω・cm〜0.3×1010Ω・cmの範囲に規制され、
前記高抵抗現像剤の動的抵抗率が1.5×1012Ω・cm〜0.5×1014Ω・cmの範囲に規制され、
トナーの初期帯電量が|18.5|μC/g〜|23.7|μC/gの範囲に規制された現像剤を用いることを特徴とする電子写真装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の電子写真装置において、
前記中間転写現像機構は、前記感光体上のトナーを前記中間転写体上に転写する量が画像に応じて調整できる構成になっていることを特徴とする電子写真装置。
【請求項4】
請求項1に記載の電子写真装置において、
前記直接転写作像部は、前記感光体上に残ったトナーを回収する感光体側トナー回収手段を有し、
前記間接転写作像部は、前記感光体上に残ったトナーを吸引して回収する感光体側トナー回収手段と、前記中間転写体上に残ったトナーを回収する中間転写体側トナー回収手段を有し、
前記間接転写作像部の感光体側トナー回収手段によって回収されたトナーは前記間接転写作像部の現像手段に再度補給でき、前記直接転写作像部の感光体側トナー回収手段ならびに前記間接転写作像部の中間転写体側トナー回収手段によって回収されたトナーは現像手段に補給できない構成になっていることを特徴とする電子写真装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−3165(P2013−3165A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−130573(P2011−130573)
【出願日】平成23年6月10日(2011.6.10)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】