説明

電子放出素子、その製造方法および表示素子

【課題】針状導電体(ナノワイヤ、ウイスカーなど)の微細な集合体構造を有する電子放出素子の提供、およびその安価で簡便な製造方法を提供する。また、その針状導電体(ナノワイヤ、ウイスカー)の集合体を、均一で安定した形状の微細多孔に規則的に配設し、低電圧で動作可能な電子放出素子および表示素子を提供し、またその製造方法を提供する。さらには、画素間で電子源としてのばらつきが小さく、輝度階調の良好な表示素子およびその製造方法の提供を目的とする。
【解決手段】触媒金属を表面に付した基板上に微粒子を配設させ、該微粒子配設基板上に少なくとも1層の薄膜を堆積した後、該微粒子を除去して微細多孔を形成し、該微細多孔の底部に露出した前記触媒金属上に針状導電体を集合体として成長させる電子放出素子を製造する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微粒子をシャドーマスクとして用いて基板上に形成した微細多孔を有する薄膜または積層膜を利用して、針状導電体(ナノワイヤ、ウイスカーなど)のようなアスペクト比の高い微結晶の集合体を、微細孔底部の触媒金属上に成長させ、各種デバイスを効率的に安価に製造する方法に関する。また、これを用いた電子放出素子(以下、「フィールドエミッタ素子」ともいう)および表示素子に関する。
【背景技術】
【0002】
ナノテクノロジーの発展に伴い、超微細加工技術による、ナノサイズの微細構造物の作製方法が開発されている。ナノサイズの微細構造物を、基板上に規則的に配列させるためのドットパターンやラインパターンの代表的な作製方法としては、電子線又は光露光によるレジストパターンの作製(いわゆるフォトリソグラフイー)が知られている。
図7は、その従来の方法を示す工程図である。従来の方法では、基板1の表面にレジスト層2を塗布し(工程I)、フォトマスク3を用いてレジスト層2の露光レジスト層2a部を透過光6により露光する(工程II)。次いで、現像によりパターニングされたレジスト層2bを形成し(工程III)、その上に金や白金などの触媒金属4を蒸着した後(工程IV)、パターニングされたレジスト層2bをリフトオフする工程からなる。この工程により基板1の表面にパターニングされた触媒金属4aが付着して残留する(工程V)。この後、化学気相成長(CVD)法や分子線エピタキシー(MBE)法などの触媒金属を用いるウィスカー結晶の成長法を用いて、基板1の上に微細構造物5aの形成を行い、さらに微細構造物5bのように成長させる(工程VI)。
【0003】
ウィスカー結晶は、例えば、直径が1.0〜100nm、長さが0.5〜100μm程度であり、ナノスケール導体、ナノワイヤともいわれ、ウィスカーの成長方法として、金属微粒子を触媒とした気相−液相、液相−固相界面で起きる特異な現象、VLS(Vapor-Liquid-Solid)機構を利用する、VLS法などが知られている。
ウィスカー結晶の制御成長方法、および該方法の尖頭小型カソード等の製造への応用例として、特許文献1〜3が開示されている。この方法では、ケイ素などの基板上に形成した酸化ケイ素(SiO)膜にエッチングにより開口を形成し、この開口に金やガリウム微粒子などを触媒金属として付着させて加熱することにより酸化ケイ素(SiO)やケイ素(Si)ウィスカー結晶を成長させている。工業利用として、電界放出装置、マイクロ波真空管増幅器、ディスプレー装置(特許文献4,5参照)、ナノスケール導電性コネクタ(特許文献6参照)、触覚センサ(特許文献7参照)、微小相互接続回路装置(特許文献8,9参照)、エミッタ構造(特許文献10参照)などが検討されている。
さらに、サファイヤ基板上にミクロン程度の大きさの金薄膜をレジストパターンで形成し、酸化亜鉛(ZnO)ウィスカー微結晶の集合体を基板に垂直方向に成長した例(非特許文献1参照)、熱処理により酸化チタンウィスカーを成長させる例(特許文献11参照)、超微小硬度計であるナノインデンターを用いてドットパターンを形成し、そこから結晶を成長させる方法(特許文献12)なども知られている。
しかしながら、これらの方法では、個々のウィスカー結晶を、微細な形状を維持して、基板上へ規則的に配列することは困難であり、電子放出素子をはじめとした電子デバイスへの応用は不可能である。
【0004】
基板上に微結晶を成長させる方法の他に、微細加工により形成した孔を型としてその中に薄膜を押し込む方法(特許文献13参照)、液状高分子をキャスチングする方法(特許文献14参照)、充填する方法(特許文献15参照)によりフォトニック結晶を作製する方法も知られている。最近、電子線又は光露光法に代わる微細加工方法として走査プローブ顕微鏡を用いてレジストに描画する微細加工法も知られている(特許文献16参照)。
しかしながら、これらの方法でも、微細化および素子構造の制御の点で満足できず、成長点を制御することも試みられているが、いずれも著しく精度の高い装置を必要とするなど、工業生産に適したものではなく採用できない。
【0005】
ウィスカー微結晶などの針状導電体は、とくに、フィールドエミッタ(単に「エミッタ」ともいう)への応用が期待されている。その先端の尖った形状は、シリコンや金属先端に強電界を印加して電子を放出させる、エミッタに適していると考えられるからである。さらに、この放出した電子を蛍光板に当てることにより蛍光板を光らせることができるため、フラットパネルディスプレー等への広範な応用展開が期待されるものである。
一方、現在のフィールドエミッタは、シリコンや金属を加工して尖らせるために、その先端径が20〜30nmと大きく、100V付近またはそれ以上の電圧を印加しないと電子放出ができない。また、微細加工のばらつきにより、尖ったシリコンや金属の先端の作製は歩留りが悪く、大きな問題となっている。
【0006】
この問題を解決する材料として、直径が1〜10nmという微細な構造を持つカーボンナノチューブを用いることが検討されている。カーボンナノチューブは、フィールドエミッタへの応用に適しているからである。しかしながら、そのあまりにも微細な構造の為に、取扱が非常に困難であり、必要な位置への選択的な配置が極めて困難である。結局、糊にカーボンナノチューブを大量に混ぜ込み、これを基板に張り付けるという、原始的な方法でフィールドエミッタ素子が形成されているのが現状である。この方法では、フィールドエミッタ素子の厳密な素子構造の制御が困難であり、電子放出にはやはり約100V以上の電圧を印加する必要がある。
【0007】
【特許文献1】特開平5−97598号公報
【特許文献2】特開平7−221344号公報
【特許文献3】特開2002−220300号公報
【特許文献4】特開2001−57146号公報
【特許文献5】特開2001−96499号公報
【特許文献6】特開2001−102381号公報
【特許文献7】特開2001−153738号公報
【特許文献8】特開2001−141633号公報
【特許文献9】特開2001−177052号公報
【特許文献10】特開2001−167692号公報
【特許文献11】特開2000−203998号公報
【特許文献12】特開2004−12283号公報
【特許文献13】特開2000−284136号公報
【特許文献14】特開2001−91777号公報
【特許文献15】特開2002−277659号公報
【特許文献16】特開2000−340485号公報
【非特許文献1】M.H.Huang外、「サイエンス(Science)」、Vol 292、1897、2001
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、針状導電体(ナノワイヤ、ウイスカーなど)の微細な集合体構造を有する電子放出素子の提供、およびその安価で簡便な製造方法を提供することを目的とする。また、その針状導電体(ナノワイヤ、ウイスカーなど)の集合体を、均一で安定した形状の微細多孔に規則的に配列し、低電圧で動作可能な電子放出素子および表示素子を提供し、またその製造方法を提供することを目的とする。さらには、画素間で電子源としてのばらつきが小さく、輝度階調の良好な表示素子およびその製造方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の課題は、以下の手段により達成された。
(1)触媒金属を表面に付した基板上に微粒子を配設させ、該微粒子配設基板上に少なくとも1層の薄膜を堆積した後、該微粒子を除去して微細多孔を形成し、該微細多孔の底部に露出した前記触媒金属上に針状導電体を集合体として成長させることを特徴とする電子放出素子の製造方法。
(2)前記微細多孔の平均開口径が1nm〜10μmであることを特徴とする(1)記載の電子放出素子の製造方法。
(3)前記微細多孔の開口率の変動係数が50%以下であることを特徴とする(1)または(2)記載の電子放出素子の製造方法。
(4)前記触媒金属の下に少なくとも1層の電極層を設けることを特徴とする(1)〜(3)のいずれか1項に記載の電子放出素子の製造方法。
(5)前記薄膜として絶縁体層と電極層を堆積することを特徴とする(1)〜(4)のいずれか1項に記載の電子放出素子の製造方法。
(6)前記微粒子の配設につき浸漬吸着法を用いることを特徴とする(1)〜(5)のいずれか1項に記載の電子放出素子の製造方法。
(7)前記針状導電体がカーボンナノチューブを成長させたウィスカーであることを特徴とする(1)〜(6)のいずれか1項に記載の電子放出素子の製造方法。
(8)(1)〜(7)のいずれか1項に記載の方法により製造された電子放出素子を備えてなる表示素子。
(9)基板上の少なくとも1層の薄膜層に、浸漬吸着法により微粒子を配設したのち除去して実質的に等間隔で任意に配置させて形成した微細多孔の底部に針状導電体の集合体を設けたことを特徴とする電子放出素子。
(10)前記微細多孔の底部にあたる層またはその下層に少なくとも1層の電極層を設け、前記薄膜層が少なくとも絶縁体層とその上層に位置する電極層とを含むことを特徴とする(9)記載の電子放出素子。
(11)前記基板上に触媒金属を付しておき、前記微粒子の除去後に露出した前記微細多孔底部の該触媒金属上に、前記針状導体を成長させたことを特徴とする(9)または(10)に記載の電子放出素子。
(12)前記微細多孔の平均開口径が1nm〜10μmであることを特徴とする(9)〜(11)のいずれか1項に記載の電子放出素子。
(13)前記針状導電体がカーボンナノチューブであることを特徴とする(9)〜(12)のいずれか1項に記載の電子放出素子。
(14)(9)〜(13)のいずれか1項に記載の電子放出素子を備えてなる表示素子。
【発明の効果】
【0010】
本発明の製造方法によれば、均一で安定した形状を有する微細多孔に規則的に配列された、針状導電体(ナノワイヤ、ウイスカーなど)の集合体を有する電子放出素子を安価で簡便に製造することができる。さらに、本発明の製造方法により得られる電子放出素子は、低電圧で安定に動作させることが可能であり、表示素子としたとき、優れた(画素間でばらつきの少ない、輝度階調の良好な)画像表示を可能とし、その他の電子デバイスにも広範に応用が可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の製造方法によれば、触媒金属を表面に付した基板上に微粒子を配設させ(本発明において特に断らない限り、「配設」とは「設置」および「吸着」の意味を含むものとする)、該微粒子配設基板上に少なくとも1層の薄膜を堆積した後、該微粒子を除去して微細多孔を形成し、該微細多孔の底部に露出した前記触媒金属上に針状導電体の集合体を成長させた電子放出素子を製造することが可能である。以下、本発明の好ましい実施態様について詳細に説明するが、本発明はこれに限られるものではない。
【0012】
電子放出素子とは、電子銃(エミッタ)となる構造体を素子内に有し、そこから放出する電子を利用して、電界放出型ディスプレー(FED)などに利用される素子であり、その構造の一例を概略的に図1に示している。図1の電子放出素子では、カソード電極層24の上に誘電体(絶縁体)層23およびグリッド電極層21を配置した積層構造を有する。グリッド電極層21および誘電体層23の一部は開口部27を有し、その開口部27に針状のエミッタ22が複数配置された構造となっている。カソード電極24とグリッド電極21は配線25により電気的に接続されており、電源26より電界を印加することにより、エミッタ22から電子線が放出されるものである。図1では、素子構造を単体として表わしているが、このような単位素子構造が、1つの基板上に多数連接した構造を有するものが好ましい。
電子放出素子は、エミッタが微細なためにその加工は難しく、また、安定した開口部を有する多孔構造の形成が求められることから、従来の製造方法では微細化が困難であった。本発明においては、このような問題を解決するため、新規な製造方法を見出し、簡便かつ安価な方法で、開口部を精度よく形成し、エミッタを安定して配設することを可能としている。
【0013】
図2、3により、本発明における電子放出素子の製造工程の一例を説明する。図2は本発明における電子放出素子の製造工程の一部を示した模式図である。図2においては、各工程を、工程Ia、IIa、IIIaに分けて部分断面図によって示しており、それぞれ対応する工程を、工程Ib、IIb、IIIbとして部分平面図によって示している。工程Ia、IIa、IIIaの部分断面図は、工程Ib、IIb、IIIbのA−A線断面に相当する拡大断面図である。
第1の工程(工程Ia、工程Ib)は、基板101に触媒金属104を付す工程である。このとき、基板101と触媒金属104の間に、素子としたときに所望の機能を有する薄膜層、例えば、下地層102、カソード電極103などを配置してもよい。
第2の工程(工程IIa、工程IIb)は、基板表面に微粒子105を配設する工程である。
第3の工程(工程IIIa、工程IIIb)は、上記で形成した微粒子配設基板の上に、素子としたときに所望の機能を有する層を薄膜として堆積する工程であり、例えば、誘電体(絶縁体)層106、グリッド電極層107などを堆積してもよく、その他の機能を有する層をさらに堆積してもよい。
第4の工程は、上記の第三の工程において形成された薄膜堆積基板から、第二の工程で配設させた微粒子105を除去する工程であり、図3における微細多孔(貫通孔)108を基板上に形成するものである。
第5の工程を示す図3は、エミッター109となる針状導電体を成長させる工程を示しており、図2のIa〜IIIaに対してさらに拡大した断面図である。微粒子が除去された後の多孔薄膜堆積基板は、形成された貫通孔(開口部)108の底部に触媒金属面が露出することとなり、この触媒上に選択的に針状導電体を成長させることができる。
【0014】
本発明の製造方法において、基板上に設ける薄膜の材料およびその配置は、目的に応じて適宜決めることができ、例えば、図4に示すようなナノワイヤ集合体としてもよい。これは、上記の工程において、第一工程で基板101上に触媒金属を直接付し、第三工程で薄膜として保護膜110を堆積し、その他の工程は上記と同様にして形成することができる。ナノワイヤ集合体は、その構造や材料を適宜設計することにより、電子放出素子に限られず、マイクロ波真空管増幅器、ナノスケール導電性コネクタ、触覚センサ、微小相互接続回路装置などとすることが可能である。
【0015】
基板の材質は特に制限されず、電子放出素子を支持できる基板であればどのようなものでも用いることができるが、基板上に配置する材料との密着性のよいものが好ましい。例えば、基板上に触媒金属を付す場合は、触媒金属との密着性のよいものが好ましく、基板上に電極を配置する場合には、電極材料と密着性のよいものが好ましい。
本発明の電子放出素子に用いられる基板として、例えば、ガラス、金属酸化物(例えば、酸化アルミニウム、シリカ(SiO2)、ITO)、これらの金属酸化物でコートしたプラスティックフィルム(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム、ポリカーボネートフィルム)などが好ましい。
基板と基板上に配置する材料(触媒金属、電極など)との密着性が不足している場合、製造時の歩留まりに影響を与えるため、密着性を確保するため、基板と基板上に配置する材料の間に下地層を設けてもよい。下地層に用いられる材料は、基板およびその上に配置する材料(触媒金属、電極など)により適宜選定されるが、例えば、基板がガラスであればクロムなどが好ましい。基板の厚さに特に制約はないが、ガラス基板であれば0.1mm〜10mmが好ましく、フィルム基板であれば1μm〜1mmが好ましい。
【0016】
本発明の電子放出素子に用いられる触媒金属は、針状導電体の成長に適したものが好ましく、例えば、鉄、コバルト、ニッケル、バナジウム、モリブデン、ロジウム、パラジウムなどやこれらの複合体が好ましい。触媒金属を付す方法は、例えば、スパッタリング法、蒸着法、めっき法、塗布法等の薄膜パターンニング法、スプレー法などの各種の薄膜形成方法によって形成することができ、これらの方法は使用する材料に応じて適宜選択することができる。触媒金属は、均一な薄膜層(例えば、1nm〜100nm)としてもよいが、素子としたときに必要とされる構造に応じて、パターニングしてもよく、薄膜層とせずに散在させて基板上に付してもよい。また、触媒金属の上に微粒子を配設することから、微粒子との吸着性、親和性なども考慮することが好ましい。
【0017】
微粒子の基板への配設方法は、浸漬吸着法、バーコート法、スキージ塗布法、スピンコート法(特願2003−308032号明細書)、インクジェット法、スプレー法などが好ましく、より均一で微細な多孔薄膜構造体の形成が可能な、浸漬吸着法がより好ましい。浸漬吸着法とは、微粒子を分散した分散液中に基板を浸漬し、基板と微粒子の静電的相互作用により、微粒子を基板に吸着させる方法である。本発明の電子放出素子においては、基板表面上に付した触媒金属上に微粒子を配設するため、触媒金属に対して、静電的相互作用または吸着力を有する微粒子を用いることが好ましい。また、微粒子の表面に金属と親和性の高い官能基を付加することにより、吸着力を持たせることができ、例えば、チオール基を付加すれば、金、銀、白金などに対して高い親和性を持たせることができる。その他、基板表面の性質に応じて、例えば、カルボキシル基、トリアルキルアンモニウム基、アミノ基、水酸基、スルホン酸基などを付加することが好ましい。
【0018】
分散液から引き上げた微粒子配設基板は、残留する分散媒を有するため、室温での自然乾燥、圧縮空気による送風乾燥、減圧乾燥、昇温などにより乾燥することが好ましい。
一方、基板を分散液から引き上げて乾燥する際に、配設した微粒子は凝集する性質をもつため問題となり、これを防ぐ手段が必要となる。微粒子が凝集してしまうと、配設した微粒子の均一な分散性は失われ、素子としたときの性能を低下させる原因となる。このような凝集は、基板の上に残留した分散媒を乾燥させる際、微粒子の間には微小なメニスカスが形成され、粒子の間にキャピラリーフォースが働くことによって凝集が生じる。凝集を制御するためには、前述の基板と粒子間の静電的相互作用を強め、微粒子の基板への固着力を高めることが好ましい。
【0019】
固着力を高めるために、加熱により微粒子を適度に軟化させ、微粒子と基板の配設面積を増大させることが好ましい。加熱する方法は、基板を劣化させず、配設した微粒子を適度に軟化できればどのような方法でもよいが、液中でリンスする方法、加熱した微粒子分散液中に基板を浸漬する方法、ホットプレートなどを用いて基板を直接加熱する方法などが好ましい。液中リンスによる加熱の場合、リンス溶媒としては、水系溶媒(例えば、蒸留水、超純水、イオン交換水など)、有機溶媒(例えば、アルコール、アセトンなど)、またはそれらの混合液が好ましく用いられ、取り扱い性や工業性の点からは、水系溶媒がより好ましい。液中リンスによる加熱時間は適宜設定できるが、1秒〜10分が好ましく、10秒〜1分がより好ましい。
加熱する温度は、微粒子が基板に固着するように、適度に軟化する温度が好ましく、用いられる微粒子によって適宜設定することができる。例えば、ポリマー微粒子を用いた場合、そのポリマーのガラス転移温度(Tg)付近で加熱し軟化させることが好ましく、ガラス転移温度より30℃高い温度以下、30℃低い温度以上が好ましく、ガラス転移温度より10℃高い温度以下、10℃低い温度以上がより好ましい。さらに、加熱温度は、水系溶媒による液中リンスによる加熱、および有機半導体の製造を考慮すると、70℃〜100℃が好ましく、80℃〜100℃がより好ましい。
【0020】
加熱後は、凝集を確実に防ぐため、冷却することが好ましく、例えば、冷却水(例えば室温以下の水)でリンスすることが好ましい。
また、微粒子を吸着させた後に、基板上の余分な粒子を洗浄することが好ましい。この処理をしない場合、微粒子が単粒子層にならず、粒子が積み重なった領域ができてしまうためである。
乾燥、加熱、冷却、および洗浄を行う工程は、作業効率を考慮し適宜決定することができるが、微粒子の配設後、これらの工程を経たのち、薄膜の形成に移行することが好ましい。また、加熱や冷却処理を液中リンスにより行う場合には、洗浄処理を兼ねることもできる。
【0021】
分散液は、微粒子と基板の静電的相互作用を妨げず、処理プロセス中、微粒子を安定して分散させることができる溶媒が好ましい。分散液は、水でも有機溶媒でもよいが、分散液の調製の容易さや、静電的相互作用を強く働かせるという観点からは水が好ましい。微粒子の分散性を良くするため適当な界面活性剤を添加してもよい。微粒子の分散濃度は、微粒子または基板の性質、得られる微粒子の配設密度によって適宜制御することができ、好ましくは0.01質量%〜10質量%であり、0.1質量%〜1質量%がより好ましい。
【0022】
微粒子の材質は特に制限されないが、表面に静電荷を持つ、または付与することができることが好ましい。また、上述の加熱処理により適度に軟化するものを用いることが好ましく、例えばポリマー微粒子の場合、ガラス転移温度が−100℃〜200℃が好ましく、0℃〜120℃がより好ましい。このような微粒子として、例えば、ポリスチレン微粒子、ポリメタクリル酸メチル微粒子、ポリメタクリル酸ベンジル微粒子などがあげられ、粒径が単分散で表面官能基の自由度が高く、入手も容易なことから、ポリスチレン微粒子がより好ましい。
また、微粒子と基板との静電的相互作用は、微粒子の形状や表面処理法によっても制御することができ、適切な形状、表面処理を施してもよい。このとき、薄膜の形成後に微粒子を除去することにも適した形状、表面処理とすることがより好ましい。微粒子の形状は球状、楕円球状、多面体等が好ましく、球状がより好ましい。微粒子の表面修飾としては、置換基の付加のほか、微粒子のコアシェル化、化学修飾、プラズマ処理、界面活性剤の添加などが好ましい。
さらに、薄膜に形成される微細孔のサイズ(開口径)は、微粒子のサイズ(粒径)によって制御できるので、所望の電子放出素子の設計に適したサイズの粒子を選択することが好ましく、粒径(本発明において、粒径とは粒子の投影面積と等価な円の直径をいう)は1nm〜10μmが好ましく、10nm〜10μmがより好ましく、30nm〜1μmが特に好ましい。微粒子の粒径分布に特に制限はないが、単分散であることが好ましく、変動係数(ここで、変動係数とは個々の粒径の標準偏差を、粒径の平均に対する百分率で表わしたものであり、CV値ということもある)において50%以下が好ましく、20%以下がより好ましく、10%以下が特に好ましい。
【0023】
本発明の多孔薄膜堆積基板の製造方法における薄膜は、例えば、スパッタリング法、蒸着法、めっき法、塗布法等の薄膜パターンニング方法、スプレー法などの各種の薄膜形成方法によって形成することができ、これらの方法は使用する材料に応じて適宜選択することができる。薄膜の厚さは、素子動作のための設計的観点と機械的選択剥離のための感度や選択比によって材料ごとに設定することができ、1nm〜10μmが好ましい。ただし、配設した微粒子を除去する観点から、微細孔を形成する薄膜の厚さは、粒径と同等以下が好ましく、粒径の1/2以下がより好ましい。薄膜を積層膜とする場合、積層膜数に制限はない。積層膜としたときの各層は素子としたときの各機能層とすることができ、例えば、例えば、電極(カソード電極、ゲート電極など)、触媒金属層、誘電体(絶縁体)層、保護膜(例えば、金属、金属酸化物、ポリマーなど)とすることができる。
【0024】
本発明の多孔薄膜堆積基板における微粒子の除去は、形成した薄膜を損傷せず、微粒子を確実に除去できる方法が好ましく、例えば、液中超音波処理による除去、粘着シートにより剥離する方法が挙げられる。
液中超音波処理により除去する場合、用いる溶媒は、微粒子を分散させることができ、触媒金属や薄膜などを損なわない溶媒を選択することが好ましい。例えば、形成する膜が有機溶媒に溶解しにくい材料で微粒子が親水性であれば、親水性の有機溶媒を用いる。剥離能および選択性を高めるため、必要に応じて洗浄液の温度や超音波の強度および周波数を選択する。超音波の周波数としては100 Hz〜100 MHzが好ましく、1kHz〜10
MHzがより好ましい。広範囲にわたる複数の周波数の超音波を同時に照射したり、順次周波数を切り替えて照射したりするのも好ましい。
粘着シートにより剥離して除去する場合、粘着シートは、微粒子の形状、微粒子の粒径、触媒金属や薄膜の材質、薄膜の厚さ(粒径との関係)などによって適宜選定することができる。微粒子への選択的な接着を確保するためには、粘着面は平滑であることが好ましく、適度な接着性を有することが好ましく、基板表面に均一に密着するよう、支持体を含めたシートが適度に柔軟であることが好ましい。
貼り付け、剥離プロセスにおいては、貼り付け時に気泡を巻き込まないことが好ましく、圧着時の圧力、圧着および剥離速度、圧着および剥離時の温度、および剥離時の基板とシートの角度などを適切に制御することが好ましい。
超音波による除去は溶媒による薄膜の侵食や汚染の問題があり、薄膜が厚くなると微粒子が除去されにくく、照射時間を長くしたときなど、薄膜を破壊するおそれがある。これらの問題を解消しうる点で、粘着シートを剥離して微粒子を除去する方法が好ましい。
【0025】
本発明の電子放出素子における微細多孔(貫通孔)の開口径(以下、「孔径」ともいう)は、形成過程で用いられる微粒子の粒径にほぼ等しくなり、微細多孔の底部の径についても同様である。したがって、微粒子の粒径、粒径の分布により、薄膜の孔径、孔径の分布を自由に制御することができる。孔の位置は基本的にはランダムであるが、孔と孔の相対的位置関係には一定の規則性を有する。これは、孔の位置は微粒子を配設した位置と同じ位置であり、孔間距離は粒子間距離によって定まるからである。図5により説明すると、薄膜412に形成された微細孔408の中心間の距離(孔間距離)dは、配設した微粒子の中心間距離に等しく、この距離はコロイド分散系のDLVO理論でいうところのデバイ長(1/k)の2倍に相当する。この領域は、デバイ長の領域435として破線で示されている。デバイ長は、浸漬吸着を行う分散液のpHや添加する塩の濃度を変化させて制御することができ、孔間距離を制御することができる。
開口部の好ましい孔径およびその好ましい変動係数の範囲は微粒子の粒径と同様である。開口径が小さすぎると針状導電体の成長を妨げることとなり、大きすぎると針状導電体のサイズや配向を乱す原因となる。開口径の変動係数が大きすぎる、つまり形状が安定しないと、電子放出特性の均一性が低下する原因となる。また、開口部の開口率(開口部の総面積X100/貫通孔が形成されている領域の総面積)は10〜90%が好ましく、20〜80%がより好ましい。開口率が小さすぎると放電しにくくなるためしきい値増大の原因となり、大きすぎると電極の抵抗が大きくなるため放電効率が低下する原因となる。
【0026】
上述のとおり、本発明の電子放出素子の微細孔は、微粒子を用いた新規な製造方法で得られるため、通常の加工技術を用いて作成した微細孔と配置、配列が大きく異なる。EB(電子ビーム)を用いた加工技術などでは、加工装置もしくは加工プロセスの制約から規則的配列(典型的には、縦横直線状に整列した配列)となる。
一方、本発明の電子放出素子の微細孔は、デバイ長の関係から各微細孔が等間隔とされるものの、それ以外は自由に配置しており、製造上の制約などなく、この新規な微細多孔の配置とすることが可能である。このように、微細孔を、等間隔である以外、任意な配置とすることで、製造コストを下げることができる。ここで、各微細孔の間隔は実質的に等間隔であればよく、表示素子としたときの性能を大きく害さなければ、ばらつき(例えば変動係数で、0%〜100%程度、好ましくは0%〜40%)があってもよい。
【0027】
本発明の電子放出素子は、例えば、カソード電極、グリッド(ゲート)電極などの電極を有していることが好ましい。
カソード電極は、導電性を有すれば材質は特に限定されず、白金、タンタル、クロム、アルミニウム、銀などを用いることがでる。
グリッド(ゲート)電極は、導電性を有すれば材質は特に限定されず、白金、タンタル、クロム、アルミニウム、銀などを用いることができる。
また、電極形状は、シート状に形成されていればよく、平面状でも、曲面状でも、円筒状、メッシュ状でもよい。
【0028】
本発明の電子放出素子における針状導電体は、エミッタとして電子放出能に優れていれば特に制約されないが、触媒金属を起点に成長するナノワイヤ、ウィスカーなどが好ましい。エミッタの形状に特に制約はないが、先端が尖った針状形状が好ましく、向きが垂直にそろっていること、高さがそろっていることがそれぞれ好ましい。向きが揃っていることにより、均一な電子放出源となる。また、高さが揃っていることにより、先端と電極の距離を短くすることができ、より低電圧での電子放出が可能となる。
針状導電体は、例えば、カーボンナノチューブなどを用いることができる。本発明で用いられるカーボンナノチューブは、管径のより細い方が望ましい。より細い方が電界集中しやすく、より低電圧で電子を放出する。好ましい管径は50nm以下、より好ましくは10nm以下、さらに好ましくは5nm以下である。層数については特に規定はしないが、管径を細くすることにより、おのずと層数は少なくなる。また、好ましいカーボンナノチューブ密度は、1〜1000000本/μm、より好ましくは、100〜100000本/μmである。この他、柱状導体群としては、β−タングステンの柱状結晶の集合体なども好ましく用いられる(特開平8−264108号公報参照)。
針状導電体の成長は常用の方法で行うことができるが、例えば、プラズCVD法で触媒金属上にカーボンナノチューブによるウィスカー結晶を成長させる方法が好ましい。プラズマCVD法における供給ガスは、水素およびメタンの混合ガスなどが好ましく用いられ、基板上に設けたカソード電極に直流バイアス電圧を印加しつつ成長させることも好ましい。
【0029】
本発明の電子放出素子の好ましい実施態様の1つである、カーボンナノチューブを用いた場合についてさらに詳細に説明する。
カーボンナノチューブを用いた電子放出素子における課題は、ディスプレーを構成する画素間で電子放出特性が安定せず、画像表示を行った際に輝度がばらつくことである。このばらつきを補正するため、輝度階調の幅(ダイナミックレンジ)を犠牲にせざるを得ず、十分な階調の画質を得ることが難しい。つまり、画素間のばらつきの小さい電子源を実現できれば、上記の階調不足の問題が解消し、ダイナミックレンジの広い躍動感ある映像が表示可能となる。
この解決方法として、CVD法により電子放出特性が揃ったカーボンナノチューブ膜をカソード全面にわたって均質かつ平坦に形成することが考えられている。しかし、ディスプレーの画素サイズは数十μm〜数百μmであり、この面積全体にカーボンナノチューブを均一に高密度且つ垂直に配向して成長させるのは困難である。
一方、本発明の製造方法により形成した微細多孔は、その開口径が、例えば、数十nm〜数百nmであるため、カーボンナノチューブを安定して高密度且つ垂直配向することができる。さらに、微細孔の間隔が均一であり、その数(密度)も任意に制御できるため、目的とする電子放出特性をばらつきなく得ることができる。中でも、電子放出特性に優れかつ寿命等の信頼性の点でも優れる二重構造ナノチューブ(DWNT)及び多層構造ナノチューブ(MWNT)を組み合わせれば、優れた電子放出素子とすることが可能である。
さらに付言すると、その他の製造方法では(例えば、フォトリソグラフィー、EB(電子ビーム)リソグラフィーなど)、本願発明の製造方法で得られるようなサイズの微細孔を得ることは困難である。できたとしても、非常に高価なナノ加工技術を必要とするか、加工に多大な時間を要し、大面積化に適していない。
【0030】
本発明の電子放出素子は、カソード電極とグリッド電極を隔てる絶縁体層(誘電体層)を有していることが好ましい。絶縁体層は、各開口部の電気的影響を遮蔽できれば特に制限はないが、例えば、シリカ(SiO)、SiN、SiONなどを材料として用いることが好ましく、厚さは10nm〜10μmとすることが好ましい。
【0031】
本発明の電子放出素子を備えてなる表示素子として、電界放出型ディスプレー(フィールド・エミッション・ディスプレイ:FED)の一例を図6に示す。
基板501の上にカソード電極503を配し、その上に誘電体(絶縁体)層506を設け、該カソード電極503および該誘電体層506の一部には開口部508が形成されている。開口部508の底部にはエミッタ509が多数固定され、電子放出素子が形成されている。
一方、アノード基板517の上に、ブラックマトリックス516の層が配置され、その一部に蛍光体511を設け、その上をアノード電極515で覆って、アノード積層基板が形成されている。アノード基板517の材料および厚さは電子放出素子の基板501と同様とすることができ、アノード電極515の材料および厚さはカソード電極503と同様とすることができる。ブラックマトリックス516および蛍光体511は常用のもの、常用の方法を用いることができる。
電子放出素子とアノード積層基板は、スペーサー514により対向する関係で接合されている。このとき、電源519から配線518を介して印加される電界によりエミッタ509から放出される電子がぶつかり発光するよう、開口部508と蛍光体511は実質的に同じ位置に配置されることが好ましい。この図では、表示素子は1つの開口部508のみを有するようにみえるが、実際は、素子内に多数の開口部508が設けられ、それぞれの底部には多数のエミッタ509が固定されることが好ましい。さらに、エミッタ509から近い位置にゲート電極507が配置されることが好ましく、また、エミッタ509として、例えば、カーボンナノチューブなどの非常にアスペクト比の高いウィスカー結晶が用いられることが好ましい。
本発明の電子放出素子が好ましく用いられる表示素子は、図6の表示素子に限られるものではなく、その他の構造を有するFEDなど多様な表示素子、その他の電子デバイスなどに好適に用いることができる。
【実施例】
【0032】
以下に本発明を実施例に基づきさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
厚さ約0.7mmのガラス製基板101の上に、スパッタリングにより下地層102としてクロムを約1nmの厚さで堆積し、その上にカソード電極103としてタンタルを約100nmの厚さで堆積し、さらに触媒金属104としてニッケルを約20nmの厚さで堆積させた(図2の工程Ia、Ib)。
続いて、触媒金属104の上に、シャドーマスクとなる微粒子105を、以下の方法で配設した。微粒子として、表面にカルボキシル基が付加された、粒径1μm、変動係数3%の単分散ポリスチレン微粒子用い、この分散液を0.1質量%に調整して、透析処理を行った。この分散液に上記の基板を室温で30分浸漬し、次いで、沸騰超純水で30秒リンスした後、室温の超純水で30秒リンスした。その後、減圧乾燥を3時間行うことで、触媒層104の上に微粒子105が固定された微粒子配設基板を得た(図2の工程IIa、IIb)。
(実施例2)
実施例1で得られた微粒子配設基板の上に、スパッタリング法で絶縁体層106としてシリカ(SiO2)を約400nm堆積した。その後、絶縁層106の上に、ゲート電極107としてタンタルを約100nmの厚さで堆積させた(図2の工程IIIa、IIIb)。
次いで、粘着テープによって粒子を除去し、開口部108を形成した。そして、アセトン洗浄、超純水洗浄を行い、マスク粒子や粘着テープの残渣を除去した。
得られた多孔薄膜堆積基板の微細孔の平均開口径は1.3μm、開口率は37%であり、開口径の変動係数は7%であった。
(実施例3)
続いて、プラズマCVD法を用い、カーボンナノチューブを、開口部108の底部に露出した触媒金属104上に選択的に成長させ、以下の手順で、針状導電体群109を形成した。基板101上のカソード電極103に約140Vの直流負バイアス電圧を印加しつつ、約3Torrの水素ガス中、マイクロ波で30分間プラズマを放電させ、触媒金属104の表面をエッチングした。次に、水素:メタン=4:1の混合ガス中で基板上のカソード電極103に約185Vの直流負バイアス電圧を印加しつつ、全圧が約3Torrの条件で、マイクロ波で5分間プラズマ放電させ、触媒層104表面にカーボンナノチューブを選択的に成長させた。ここで形成された針状導電体群(エミッタ)109は、平均高さが約300nm、直径が約5nm〜20nmであった。このようにして、触媒層104上に針状導電体109が固定された(図3)。
実施例3で得られた電子放出素子は、従来にない、均一な形状の微細多孔に、規則的に配列された針状導電体群を有するものであった。
【0033】
国等の委託研究の成果に係る特許出願(平成16年度独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構 「ナノテクノロジープログラム(ナノ加工・計測技術)機能性カプセル活用フルカラーリライタブルペーパープロジェクト」に関する委託研究、産業活力再生特別措置法第30条の適用を受ける特許出願)
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】電子放出素子の一例を概略的に示す斜視図である。
【図2】電子放出素子の製造工程の一部を概略的に示す模式図である。
【図3】電子放出素子の一例を概略的に示す部分断面図である。
【図4】ナノワイヤ集合体の一例を概略的に示す部分断面図である。
【図5】多孔薄膜堆積基板の孔間距離の関係を説明する模式図である。
【図6】表示素子の一例を概略的に示す部分断面図である。
【図7】フォトリソグラフィーの工程を概略的に示す模式図である。
【符号の説明】
【0035】
1 基板
2 レジスト
2a 露光レジスト層
2b パターニングされたレジスト層
3 フォトマスク
4 触媒金属
4a パターニングされた触媒金属
5a、5b 微細構造物
6 透過光
21 グリッド電極(ゲート電極)
22 エミッタ
23 誘電体(絶縁体)層
24 カソード電極
25 配線
26 電源
27 開口部
101 基板
102 下地層
103 カソード電極
104 触媒金属
105 微粒子
106 誘電体(絶縁体)層
107 グリッド電極(ゲート電極)
108 貫通孔(開口部)
109 エミッタ(針状導電体群)
412 薄膜
408 微細孔
435 デバイ長の領域
110 保護層
501 基板(カソード基板)
503 カソード電極
506 誘電体(絶縁体)層
507 グリッド電極(ゲート電極)
508 貫通孔(開口部)
509 エミッタ(針状導電体群)
511 蛍光体
514 スペーサー
515 アノード電極
516 ブラックマトリックス
517 アノード基板
518 配線
519 電源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
触媒金属を表面に付した基板上に微粒子を配設させ、該微粒子配設基板上に少なくとも1層の薄膜を堆積した後、該微粒子を除去して微細多孔を形成し、該微細多孔の底部に露出した前記触媒金属上に針状導電体を集合体として成長させることを特徴とする電子放出素子の製造方法。
【請求項2】
前記微細多孔の平均開口径が1nm〜10μmであることを特徴とする請求項1記載の電子放出素子の製造方法。
【請求項3】
前記微細多孔の開口径の変動係数が50%以下であることを特徴とする請求項1または2記載の電子放出素子の製造方法。
【請求項4】
前記触媒金属の下に少なくとも1層の電極層を設けることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の電子放出素子の製造方法。
【請求項5】
前記薄膜として絶縁体層と電極層を堆積することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の電子放出素子の製造方法。
【請求項6】
前記微粒子の配設につき浸漬吸着法を用いることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の電子放出素子の製造方法。
【請求項7】
前記針状導電体がカーボンナノチューブであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の電子放出素子の製造方法。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法により製造された電子放出素子を備えてなる表示素子。
【請求項9】
基板上の少なくとも1層の薄膜層に、浸漬吸着法により微粒子を配設したのち除去して実質的に等間隔で任意に配置させて形成した微細多孔の底部に針状導電体の集合体を設けたことを特徴とする電子放出素子。
【請求項10】
前記微細多孔の底部にあたる層またはその下層に少なくとも1層の電極層を設け、前記薄膜層が少なくとも絶縁体層とその上層に位置する電極層とを含むことを特徴とする請求項9記載の電子放出素子。
【請求項11】
前記基板上に触媒金属を付しておき、前記微粒子の除去後に露出した前記微細多孔底部の該触媒金属上に、前記針状導体を成長させたことを特徴とする請求項9または10に記載の電子放出素子。
【請求項12】
前記微細多孔の平均開口径が1nm〜10μmであることを特徴とする請求項9〜11のいずれか1項に記載の電子放出素子。
【請求項13】
前記針状導電体がカーボンナノチューブであることを特徴とする請求項9〜12のいずれか1項に記載の電子放出素子。
【請求項14】
請求項9〜13のいずれか1項に記載の電子放出素子を備えてなる表示素子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−87605(P2007−87605A)
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−271192(P2005−271192)
【出願日】平成17年9月16日(2005.9.16)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国等の委託研究の成果に係る特許出願(平成16年度独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構 「ナノテクノロジープログラム(ナノ加工・計測技術)機能性カプセル活用フルカラーリライタブルペーパープロジェクト」に関する委託研究、産業活力再生特別措置法第30条の適用を受ける特許出願)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】