説明

電子機器

【課題】筐体空間をより効率的に活用することが出来ると共に、クリック感を発生させる操作においてクリック感にバラツキが無い電子機器を提供する。
【解決手段】表示器側筐体11、キー側筐体12内に配置され切り替え動作を行うカメラモジュールと、リアケース15に取り付けられて移動によりカメラモジュールを切り替え操作するマクロノブ20とを備えた電子機器において、リアケース15は、取り付けたマクロノブ20が係止してマクロノブ20の取付方向とは反対方向への移動を規制する爪状突起23を有し、マクロノブ20は、移動時にカメラモジュールの切り替え操作を行う凹部25aと爪状突起23に係止可能な凸部25cを有し、凸部25cは、マクロノブ20の取付方向へ弾性変形可能に構成され、マクロノブ20の移動に伴い、爪状突起23との係止状態に応じて節度感を発生させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器に関し、例えば、カメラモジュールが搭載され、カメラの焦点を手動で切り替える切替ノブを備えた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話装置やノートPC(Personal Computer),PDA(Personal Digital Assistant)等の携帯型情報端末装置に、カメラモジュールを搭載したものが増えている。搭載するカメラモジュールは、単焦点のものからオートフォーカスのものまで幅広く使用されているが、焦点を手動で切り替えるタイプ(焦点切り替え型)の場合、焦点切り替えノブを外装ケースに固定したり、クリック(節度)感を出す工夫を凝らしたりする等、機構的には多少複雑な構造となる傾向がある。
【0003】
この焦点切り替えノブのようなスライド操作部をスライドすることによりマクロ切替が可能な構成を有するものとして「モード切換用レバー機構を有するカメラ」(特許文献1参照)が知られている。
ここでは、従来の携帯電話装置の表示器側ケースを例にして、概略構造を説明する。携帯電話装置の表示器側ケースは、フロントケースとリアケースによって構成されており、焦点切り替え型のカメラモジュールが、それらのケースに収納されている。
【0004】
図6は、従来の携帯電話装置の表示器側筐体に収納される焦点切り替え型のカメラモジュールを示し、(a)は平面図、(b)は斜視図である。図6に示すように、カメラモジュール1には、焦点を切り替える切り替えレバー2が設けられており、この切り替えレバー2を操作するために、別部品として、カメラ焦点切り替えノブ(以下、マクロノブと称する)3を備えている。マクロノブ3をユーザが操作することで、間接的に切り替えレバー2を操作し((b)、白抜き矢印参照)、カメラモジュール1の鏡筒が回動して((b)矢印参照)カメラの焦点を切り替える仕組みになっている。
【0005】
図6に示すように、マクロノブ3は、共に細板状の操作部3aと作動部3bが連結部3cにより連結された平面視略横向きH形に形成されている。作動部3bには、切り替えレバー2を操作する凹部3d、検出スイッチを操作する凸部3e、及びクリック感を発生させる凸部3fが形成されている。
【0006】
マクロノブ3は、通常、筐体側にスライド可能に装着されている。カメラモジュール1それ自体には、切り替えレバー2の操作時にクリック感を発生させないものが大半であるため、マクロノブ3側でクリック感を発生させる工夫が必要であり、マクロノブ3を筐体に装着する際には、クリック感を発生させる構造としての凸部3fも必要となる。また、カメラモジュール1には、焦点が変化したことを検出するセンサーも組み込まれていないため、マクロノブ3には焦点の変化を検出する検出スイッチ(図示しない)を操作する機能としての凸部3eも必要となる。
【0007】
このように、マクロノブ3には、筐体にスライド可能に装着する機能、切り替えレバー2を操作する機能、検出スイッチを操作する機能、及びクリック感を発生させる機能の4つの機能を備えることが求められるが、従来の携帯電話装置においては、それぞれの機能が独立して備えられていた。この各機能が独立して備えられた従来の携帯電話装置を、フロントケースとリアケースの間にマクロノブが挟み込まれる構造を例に挙げて説明する。
【0008】
図7は、従来の携帯電話装置の表示器側ケースの分解構成を概略的に示す全体説明図である。図8は、図7のリアケース4のマクロノブ装着部分を内面側から見た斜視説明図であり、(a)は、マクロノブのケース装着前の説明図、(b)は装着後の説明図である。
図7に示すように、マクロノブ3は、表示器側筐体11を構成するリアケース4とフロントケース5の何れか(リアケース4の例を図示)に仮固定された状態で、カメラモジュール1は、カメラレンズ1aをリアケース4のカメラ窓4aに位置させた状態で、それぞれリアケース4とフロントケース5の間に挟み込まれている。検出スイッチ6も同様に、リアケース4とフロントケース5の間に挟み込まれている。
【0009】
図8に示すように、リアケース4のカメラ窓4a側の短辺に形成された周壁部4bは、切欠き状の凹部4cを有している。凹部4cの両側の周壁部4bの内面には、装着されたマクロノブ3を位置決めする爪状突起7a,7bが突設されており、一方の爪状突起7aの下方のマクロノブスライド軌跡上には、山形状の凸部7cが形成されている。
図8に示すように、マクロノブ3を、リアケース4の壁部切欠き4bに落とし込み((a)参照)、両爪状突起7a,7bに係止させる((b)参照)ことで、マクロノブ3が仮固定される。仮固定されたマクロノブ3は、マクロノブ長手方向(図面左右方向)にスライドさせても、両爪状突起7a,7bから外れることはない。
【0010】
図8(b)に示すように、リアケース4の周壁部4bに装着されたマクロノブ3は、切欠き4cに連結部3cが位置し、リアケース4の外側に操作部3aが、リアケース4の内側に作動部3bが、それぞれ位置している。そして、マクロノブ3のスライド時、リアケース4の周壁部4b内面に形成した凸部7cを、マクロノブ3の凸部3fが乗り越える際に、クリック感を発生させることが出来る。
【0011】
上述したマクロノブ3と同様な構成を有するスライド部材を携帯端末装置の筐体の側面に配置したものとして、本出願人の出願に係る「電子機器」(特願2004−378212参照)がある。図9は、本出願人の出願に係る「電子機器」のスライド部材装着部分を示す拡大説明図である。
【特許文献1】実開平06−043611号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ところで、近年、携帯電話装置には薄型化が求められており、設計する上では筐体の容積効率を高めることが要求されている。特に、カメラモジュール周りには焦点切り替え構造やフラッシュ用のLED(Light Emitting Diode)構造、防塵防水構造等の様々な構造を備えるための空間が必要となっている。
【0013】
しかしながら、従来のマクロノブ構造においては、備えるべき複数の機能を実現するための構造(形状)を、その機能の数と同じ数だけ備えていたため、マクロノブ3のスライド時に必要とする空間を考慮すると空間的ロスが大きかった。具体的な例として、マクロノブ3とケースを結合する爪状突起6を設けた構造及びクリック感を発生させる構造を別々の場所に設けているため、空間をより効率的に使用する余地は十分にあった。
【0014】
また、クリック感を発生させる際には、マクロノブ3のスライド操作による往復時にバラツキが無いことが理想であるが、マクロノブ3が片持ち構造である場合、往復時にクリック感のバラツキが出てしまうこともあり得る。つまり、マクロノブ3が片持ち構造であると、マクロノブ3のアームの先端部でクリック感を発生させているため、スライド操作のフィーリングが往復時で異なりクリック感のバラツキが生じてしまう。
【0015】
図10は、従来のマクロノブ構造におけるマクロノブ操作時のマクロノブの軌跡を示す説明図である。図13に示すように、マクロノブ3は、スライド操作時にケース側の凸形状(周壁部4b内面の山形状の凸部8)を乗り越える際、リアケース4の周壁部4bと略直交するケース内平面(X−Y)方向に作動部3bが変位するため、スライド操作時のマクロノブ3の軌跡は乗り越え時にケース内側にはみ出る円弧状となる。この結果、マクロノブ3の移動空間を、乗り越え時のはみ出し部分を含むようにケース内側に大きめに確保する必要があった。
本発明の目的は、筐体空間をより効率的に活用することが出来ると共に、クリック感を発生させる操作においてクリック感にバラツキが無い電子機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するため、本発明に係る電子機器は、ケース部材を有して構成される筐体と、前記筐体内に配置される、切り替え動作を行う切替機構と、前記ケース部材に移動自在に取り付けられて、移動により前記切替機構を切り替え操作する切替操作部とを備えた電子機器において、前記ケース部材は、前記切替操作部を取り付けることにより前記切替操作部が係止して、前記切替操作部の取付方向とは反対方向への移動を規制する係止部を有し、前記切替操作部は、前記切替機構と係合して前記切替操作部の移動時に前記切替機構の切り替え操作を行う切替部、及び前記係止部に係止可能な被係止部を有して構成され、前記被係止部は、前記切替操作部の取付方向へ弾性変形可能に構成され、前記切替操作部の移動に伴い、前記係止部との係止状態に応じて節度感を発生させることを特徴としている。
【0017】
また、本発明は、前記係止部は、前記切替操作部の取付方向へ突出する凸部を有し、
前記被係止部は、前記切替操作部の取付方向に窪む凹部を有し、前記凹部が前記凸部を乗り越えることにより節度感を発生させることを特徴とすることが好ましい。
また、本発明は、前記係止部は、前記切替操作部の取付方向に傾斜してテーパー状に形成されていることを特徴とすることが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、筐体空間をより効率的に活用することが出来ると共に、クリック感を発生させる操作においてクリック感にバラツキが無い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施の形態に係る携帯電話機の開状態を示し、(a)は操作キー面側の斜視図、(b)は操作キー面の裏面側の斜視図である。図1に示すように、電子機器としての携帯電話機10は、第1筐体としての表示器側筐体11と、第2筐体としてのキー側筐体12を備えており、表示器側筐体11とキー側筐体12は、それぞれの一端部がヒンジ部13を介して連結されることにより、自在に相互開閉することができる。
【0020】
表示器側筐体11は、フロントケース14とリアケース(ケース部材)15を重ね合わせて構成され、フロントケース14には、液晶表示装置(Liquid Crystal Display:LCD)等の表示器16が装着されている。キー側筐体12は、キーフロントケース17とキーリアケース18を重ね合わせて構成され、キーフロントケース17には、複数の操作キー19が装着されている。
【0021】
また、表示器側筐体11には、カメラモジュール(切替機構、図6参照)が搭載されている。カメラモジュールは、カメラレンズをリアケース15のカメラ窓15aに位置させた状態で、リアケース15とフロントケース14の間に挟み込まれている。このカメラモジュールは、焦点を手動で切り替えるタイプ(焦点切り替え型)であって、焦点を切り替える切り替えレバー(切替機構)が設けられており、切り替えレバーを操作するために、別部品として、後述するカメラ焦点切り替えノブ(以下、マクロノブと称する)を備えている(図2参照)。このマクロノブをユーザが手で操作することで、間接的に切り替えレバーを操作し、カメラモジュールの鏡筒が回動してカメラの焦点を切り替える仕組みになっている。
【0022】
図2は、図1の表示器側筐体11のリアケース15の部分斜視図である。図2に示すように、表示器側筐体11(図1参照)のリアケース15には、マクロノブ(切替操作部)20が装着されている。マクロノブ20は、リアケース15のヒンジ部13側の周壁部15bに、後述する操作部24を周壁部15b外面側に露出させ、後述する作動部25を周壁部15b内面側に位置させて、マクロノブ長手方向(図面左右方向)にスライド可能に取り付けられている。
【0023】
図3は、図2のリアケース15のマクロノブ装着部分を内面側から見た斜視説明図である。図3に示すように、リアケース15のカメラ窓15a側の短辺に形成された周壁部15bは、切欠き状の凹部21を有している。凹部21の両側の周壁部15bの内面には、装着されたマクロノブ20を位置決めする爪状突起(係止部)22,23が突設されており、他方の爪状突起23は、下端面23aが、下方に向けて山形状に突出して、即ち、両爪状突起22,23の下方のマクロノブスライド軌跡上に突出して、形成されている。
つまり、従来、山形状の凸部8(図8参照)が形成されていた一方の爪状突起22の下方のマクロノブスライド軌跡上には、何も形成されていないが、従来、何も形成されていなかった他方の爪状突起23の下方のマクロノブスライド軌跡上には、爪状突起23の下端面23aが突出している(図2参照)。
【0024】
図4は、マクロノブ20をケース内に位置する作動部側から見た斜視図である。図4に示すように、マクロノブ20は、共に細板状の操作部24と作動部25を二列に並置し連結部26により連結した平面視略横向きH形に形成されている。
作動部25は、カメラモジュールの切り替えレバー(図6参照)を操作する凹部(切替部)25a、焦点が変化したことを検出する検出スイッチ(図示しない)を操作する凸部25b、及びクリック(節度)感を発生させる凸部(被係止部)25cを有している。
【0025】
凹部25aは、作動部25の略中央の連結部26との接続位置に連結部26側に窪ませて形成されており、切り替えレバーが凹部25a内に挿入係止することで、マクロノブ20のスライド動作に伴って切り替えレバーが切り替え操作される。凸部25bは、作動部25の一方の端部に操作部24側とは反対側に突出して形成されており、マクロノブ20のスライド動作に伴って検出スイッチを操作する。検出スイッチは、凸部25bにより操作することができるように、ケース内の凸部25b移動時に接触可能な位置に配置されている。
【0026】
凸部25cは、作動部25の他方の端部の、マクロノブ20のスライド方向に略直交する、作動部25平面に沿った作動部25上下方向の上端部に、上方に突出して形成されている。この凸部25cに対応して、凸部25c下方の作動部25には、凸部25cが作動部25上下方向に撓み易くするための、作動部25の凸部25c側端に開口する凹部状の切欠き25dが形成されている。この凸部25cと凹部25aの間の作動部25の上端部には、爪状突起23の下端面23aの突出形状に対応して窪んだ形状の凹部(被係止部)25eが形成されている。
【0027】
つまり、従来、クリック感を発生させる凸部3f(図6参照)が形成されていた作動部25の操作部24側の面には、凸部が形成されていないので、作動部25の全域にわたる操作部24側の面は凹凸の無い平坦面になっている。
このように、電子機器としての携帯電話機10は、2つのケースが互いに係合されることにより構成される筐体(表示器側筐体11とキー側筐体12)と、筐体内に配置される、切り替え動作を行うカメラモジュールと、一方のケース(リアケース15)の縁部に移動自在に取り付けられて、移動によりカメラモジュールを切り替え操作するマクロノブ20とを備えている。
【0028】
そして、リアケース15は、マクロノブ20を取り付けることによりマクロノブ20が係止して、マクロノブ20の取付方向とは反対方向への移動を規制する係止部(爪状突起23)を有し、マクロノブ20は、切り替えレバーと係合してマクロノブ20の移動時に切り替えレバーの切り替え操作を行う凹部25a、及び爪状突起23に係止可能な被係止部(凸部25c)を有して構成され、凸部25cは、マクロノブ20の取付方向へ弾性変形可能に構成され、マクロノブ20の移動に伴い、爪状突起23との係止状態に応じて節度感を発生させる。
【0029】
また、爪状突起23は、マクロノブ20の取付方向へ突出する凸部(下端面23a)を有し、作動部25は、爪状突起23の凸部23aに対向してマクロノブ20の取付方向とは反対方向に突出する凸部25cを有すると共に、マクロノブ20の取付方向に窪む凹部25eを有し、凸部25cが下端面23aを乗り越えることにより節度感を発生させると共に、凸部25cが爪状突起23に係止する、或いは爪状突起23の凸部23aが作動部25の凹部25eに嵌合することにより、マクロノブ20のスライド方向での位置決めがなされる。なお、係止部を、下端面23aが下方に向けて山形状に突出する爪状突起23に形成する他、マクロノブ20の取付方向に傾斜してテーパー状に形成してもよい。
【0030】
図5は、マクロノブ20の図中右方向へのスライド操作後における、図1の表示器側筐体11のリアケース15の部分斜視図である。図5に示すように、ケース外に露出する操作部24に手を掛けてマクロノブ20をスライド操作することにより、作動部25がスライドして、凸部25cが凹部状の切欠き25d側に撓んで爪状突起23の下端面23aを乗り越えることにより、クリック感を発生させる。
マクロノブ20をスライド操作する前、爪状突起23の手前に位置していた凸部25c(図2参照)は、マクロノブ20のスライド操作に伴って作動部25がスライドし、爪状突起23の下端面23aを乗り越える。凸部25cが下端面23aを乗り越えた後、作動部25の凹部25eには下端面23aが入り込んだ状態となる(図5参照)。凸部25cが下端面23aを乗り越えるとき、切欠き25dにより凸部25cが下方へ撓むことで、凸部25cは下端面23aを容易に乗り越えることが出来る。
【0031】
このマクロノブ20の操作部24は、リアケース15の外側に露出しているので、ケース外側から操作部24をマクロノブ長手方向(図面左右方向)にスライド操作することにより、連結部26が凹部21内を周壁部15bに沿って移動し作動部25をスライドさせることができる。作動部25がスライドすることで、カメラの焦点を切り替える切り替えレバーを操作し、検出スイッチを操作し、更に、クリック感を発生させる。
【0032】
上述したように、マクロノブ20を固定するリアケース15側の他方の爪状突起23を従来よりも大きく設定し、クリック感を発生させる凸形状(下端面23a)を爪状突起形状に一体的に盛り込む(図3参照)。この凸形状の先端は、R形状としてクリック感が滑らかになるような形状とする。マクロノブ20側では、爪状突起23に係止させていた部分に凹形状(凹部25e)を形成し、凸部25cが下端面23aを乗り越える際に撓むような切り欠き形状(切欠き25d)を追加する(図4参照)。
【0033】
実際にマクロノブ20を操作した場合には、爪状突起23の下端面23aを作動部25の凸部25cが乗り越える際にクリック感が発生する(図5参照)。同時に、リアケース15側の凸形状(爪状突起22,23)はマクロノブ20を固定し、マクロノブスライド時にも外れない構造とする。これにより、従来は別々に作成していた構造を1つの構造内で完結させることができ、
【0034】
つまり、装着されたマクロノブ20を位置決めする両爪状突起22,23の一方の爪状突起23に、マクロノブ20のスライド時に凸部25cが乗り越える下端面23aを形成している。従って、マクロノブ20をケースに固定する構造(爪状突起23)とマクロノブ20のクリック感を発生させる構造(下端面23a)が一体的に形成されることになり、ケース固定構造とクリック感発生構造が別々に設けられていた従来構造に比べ、空間をより効率的に活用することが出来、筐体をコンパクトに構成することが出来る。
【0035】
クリック感の発生は、マクロノブ20の凸部25cによる上下方向移動による変位で、従来の構造における、リアケース15の周壁部15bと略直交するケース内面方向への変位ではないため、スライド時のマクロノブ20の移動軌跡は略周壁部15bに沿う直線状となり、マクロノブ20の移動空間をケース内面方向に大きめに確保する必要がなく、空間的に省スペース化することができる。
また、クリック感は、従来のマクロノブ3の左右方向(ケース内平面(X−Y)方向)移動による変位で発生するのではなく、マクロノブ20の凸部25cによる上下方向(Z方向)移動による変位で発生するので、マクロノブ20の操作距離が伸びた場合にも可動領域を最小限に抑えることが出来る。
【0036】
また、マクロノブ20のスライド時、下端面23aを凸部25cが乗り越える際の荷重が往時と復時で変わらないため、クリック感にバラツキが発生しないので、信頼性も向上する。つまり、従来は、マクロノブ20の移動方向とクリック感を発生させるための撓み変化方向が同じであったため、マクロノブ20の往復時でクリック感を発生させるための変化量は異なっていたが、本発明では、マクロノブ20の移動方向とクリック感を発生させるための撓み変化方向が異なっており、マクロノブ20の往復時におけるクリック感を発生させるための変化量、即ち、上下に撓む量は同一である。
【0037】
以上、図示例に基づき説明したが、この発明は上述の例に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載範囲内で適宜変更し得るものであり、例えばこの発明は、折り畳み式だけでなく水平回転式、2軸ヒンジ式、又はストレートタイプの携帯電話機にも適用でき、更にはカメラモジュールを搭載したノートPCやPDA等の携帯情報端末装置にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の一実施の形態に係る携帯電話機の開状態を示し、(a)は操作キー面側の斜視図、(b)は操作キー面の裏面側の斜視図である。
【図2】図1の表示器側筐体のリアケースの部分斜視図である。
【図3】図2のリアケースのマクロノブ装着部分を内面側から見た斜視説明図である。
【図4】マクロノブをケース内に位置する作動部側から見た斜視図である。
【図5】マクロノブのスライド操作後における、図1の表示器側筐体のリアケースの部分斜視図である。
【図6】従来の携帯電話装置の表示器側ケースに収納される焦点切り替え型のカメラモジュールを示し、(a)は平面図、(b)は斜視図である。
【図7】従来の携帯電話装置の表示器側ケースの分解構成を概略的に示す全体説明図である。
【図8】図6のマクロノブのケース装着前後の状態を示し、(a)は装着前の説明図、(b)は装着後の説明図である。
【図9】本出願人の出願に係る「電子機器」のスライド部材装着部分を示す拡大説明図である。
【図10】従来のマクロノブ構造におけるマクロノブ操作時のマクロノブの軌跡を示す説明図である。
【符号の説明】
【0039】
10 携帯電話機
11 表示器側筐体
12 キー側筐体
13 ヒンジ部
14 フロントケース
15 リアケース
15a カメラ窓
15b 周壁部
16 表示器
17 キーフロントケース
18 キーリアケース
19 操作キー
20 マクロノブ
21 凹部
22,23 爪状突起
23a 下端面
24 操作部
25 作動部
25a 凹部
25b 凸部
25c 凸部
25d 切欠き
25e 凹部
26 連結部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケース部材を有して構成される筐体と、
前記筐体内に配置される、切り替え動作を行う切替機構と、
前記ケース部材に移動自在に取り付けられて、移動により前記切替機構を切り替え操作する切替操作部と
を備えた電子機器において、
前記ケース部材は、前記切替操作部を取り付けることにより前記切替操作部が係止して、前記切替操作部の取付方向とは反対方向への移動を規制する係止部を有し、
前記切替操作部は、前記切替機構と係合して前記切替操作部の移動時に前記切替機構の切り替え操作を行う切替部、及び前記係止部に係止可能な被係止部を有して構成され、
前記被係止部は、前記切替操作部の取付方向へ弾性変形可能に構成され、前記切替操作部の移動に伴い、前記係止部との係止状態に応じて節度感を発生させることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記係止部は、前記切替操作部の取付方向へ突出する凸部を有し、
前記被係止部は、前記切替操作部の取付方向に窪む凹部を有し、前記凹部が前記凸部を乗り越えることにより節度感を発生させることを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記係止部は、前記切替操作部の取付方向に傾斜してテーパー状に形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の電子機器。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−4389(P2008−4389A)
【公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−172683(P2006−172683)
【出願日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】