説明

電子機器

【課題】複数のサブユニットとメインユニットとを備えた電子機器において、メインユニットのCPUに異常検出結果用の入力端子を、全てのサブユニットに設けた異常検出手段の合計数だけ設けなくても、各サブユニットの異常の情報を取得し、障害排除用のガイダンスをユーザに報知する。
【解決手段】各サブユニットは、異常を検出する異常検出手段と、メインユニット12に対して異常検出結果の情報を無線で送信する無線送信手段(ICタグで例示)とを有する。メインユニット12のCPU12aは、無線受信手段(受信部12bで例示)で受信した情報を入力する1つの入力端子を有し、そこに入力された情報に基づき電子機器で発生中の障害を判定し、その障害を排除するためのガイダンスを、報知機能付きサブユニット(ユニット14,16でなる表示ユニットで例示)に報知するよう指示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のサブユニットとそれらを制御するメインユニットとを備えた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器には、複数のサブユニットとそれらを制御するメインユニットとで構成されているものがある。このような電子機器としては、例えば、テレビ装置、AV(Audio Visual)レコーダ、AVプレーヤ等のAV機器などが挙げられる。そして、このような電子機器では、各ユニットにて異常や故障が起こり得る。
【0003】
特許文献1には、保守対象の装置を操作することなく、独立に保守対象の装置のユニット毎の障害情報を収集して障害発生したユニットを特定し、障害解析結果を提示することが可能な故障診断システムが開示されている。このシステムでは、装置を構成するユニット又は複数のユニットに対応づけてIC(Integrated Circuit)タグを装着し、ICタグに、ユニット又は複数のユニットから収集した障害情報を読み出し可能に書き込んでいる。ここで、読み出しは、ICタグ読取部を備えた診断用の端末で行われる。
【0004】
また、特許文献2には、ログ情報を収集、及び診断コマンドを送付してその診断結果を簡易に収集することが可能な診断システムが開示されている。この診断システムは、各ユニット部品に自己診断機能を持たせ且つその診断結果を書き込むICタグを貼付してなる診断対象装置を、複数備え、これら複数の診断対象装置での診断結果やログ情報を、ICタグリーダ・ライタを備えた診断用PCで読み出すようになっている。
【特許文献1】特開2005−293345号公報
【特許文献2】特開2006−178803号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1,2に記載のシステムでは、サービスマン等が専用機器を用いないと故障等の情報を取得できないだけでなく、診断対象装置のユーザに故障等の情報をサービスマン経由でしか伝えることができない。
【0006】
一方で、専用機器を用いずに、診断対象装置自身でエラー表示を行うことで、ユーザに知らせることも従来からなされている。
【0007】
しかしながら、メインユニットと複数のサブユニットを備えた電子機器においては、そのエラーとなる要因が複数のユニットに存在する場合があることもあり、メインユニットのCPUには、各サブユニットからの異常情報を収集するための入力端子を、少なくとも全てのサブユニットに設けた異常検出手段の合計数だけ備えておく必要があった。つまり、従来の電子機器で、CPUの端子数以上のサブユニットの検知が不可能である。
【0008】
また、自身でエラー表示が可能な電子機器においては、特許文献1,2の技術とは異なりユーザがエラー表示を視認できるため、その電子機器のメーカー等に修理の依頼を行うことも可能であるが、修理が必要なエラーであるのかそうでないエラーであるのかの区別がユーザにはつかないため、余計な修理の依頼やサポート窓口への問い合わせが増えてしまう。
【0009】
本発明は、上述のごとき実状に鑑みてなされたものであり、複数のサブユニットとそれらを制御するメインユニットとを備えた電子機器において、メインユニットのCPUに、異常検出結果入力用の入力端子を、全てのサブユニットに設けた異常検出手段の合計数だけ設けなくても、各サブユニットの異常の情報を取得し、障害を排除するためのガイダンスをユーザに報知することを可能にすることを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述のごとき課題を解決するために、本発明の第1の技術手段は、複数のサブユニットと、各サブユニットを制御するメインユニットとを備えた電子機器において、各サブユニットは、異常を検出する異常検出手段と、前記メインユニットに対して該異常検出手段での検出結果の情報を無線で送信する無線送信手段とを有し、前記メインユニットは、前記無線送信手段で送信された情報を無線で受信する無線受信手段と、CPUとを有し、前記複数のサブユニットのうち少なくとも一つは、ガイダンスを報知する報知手段を有する報知機能付きサブユニットであり、前記CPUは、前記無線受信手段で受信した情報を入力するための入力端子を1つ有し、該入力端子に入力された情報に基づき当該電子機器で発生中の障害を判定し、前記報知機能付きサブユニットに、前記障害を排除するためのガイダンスを報知するよう指示することを特徴としたものである。
【0011】
第2の技術手段は、第1の技術手段において、前記メインユニットは、異常を検出する異常検出手段と、前記無線受信手段に対して該異常検出手段での検出結果の情報を無線で送信する無線送信手段とを有し、前記無線受信手段は、前記メインユニット側の無線送信手段で送信された情報も無線で受信することを特徴としたものである。
【0012】
第3の技術手段は、第1又は第2の技術手段において、前記無線送信手段は、前記異常検出手段で異常が検出されたときに固有のIDを無線で送信するICタグであり、前記無線受信手段は、ICタグリーダであることを特徴としたものである。
【0013】
第4の技術手段は、第1又は第2の技術手段において、前記無線送信手段は、異常の有無を示す異常情報、又は異常の有無及び種類を示す異常情報を記憶するメモリを有し、前記異常検出手段で異常が検出されたときに該メモリ内の異常情報を書き換えるICタグであり、該ICタグは、前記異常検出手段で異常が検出され前記異常情報の書き換えがなされたときに、固有のIDと前記異常情報とを無線で送信するアクティブ型のICタグ、或いは、外部から送信要求を受けたときに、固有のIDと前記異常情報とを無線で返信するパッシブ型のICタグであり、前記無線受信手段は、ICタグリーダであることを特徴としたものである。
【0014】
第5の技術手段は、第1〜第4のいずれかの技術手段において、前記CPUは、前記障害を排除するために修理しか方法がない場合には、前記報知機能付きサブユニットに、前記ガイダンスとして当該電子機器の製造元又は販売元の連絡先の情報を報知するよう指示することを特徴としたものである。
【0015】
第6の技術手段は、第1〜第5のいずれかの技術手段において、前記複数のサブユニットのうちの1つは通信ユニットであり、前記CPUは、前記障害を排除するために修理しか方法がない場合には、前記通信ユニットに、前記障害に関する情報と当該電子機器のユーザの連絡先を特定可能な情報とを、当該電子機器の製造元又は販売元として予め登録されたアドレスにネットワーク経由で通報するよう指示することを特徴としたものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、複数のサブユニットとそれらを制御するメインユニットとを備えた電子機器において、メインユニットのCPUに異常検出結果入力用の入力端子を、全てのサブユニットに設けた異常検出手段の合計数だけ設けなくても、各サブユニットの異常の情報を取得し、障害を排除するためのガイダンスをユーザに報知できる。また、修理が必要なエラーであるのかそうでないエラーであるのかの区別をユーザに報知できるので、余計な修理の依頼やサポート窓口への問い合わせを減らすことができ、さらに、各種の異常情報の中から本質的な障害となるものを抽出し、それらの分析も容易となる。その結果、電子機器の信頼性向上にもつなげることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明に係る電子機器は、複数のサブユニットと、各サブユニットを制御するメインユニットとを備えた機器であり、例えば、テレビ装置、AVレコーダ、AVプレーヤ等のAV機器をはじめ、様々な機器が挙げられる。以下、テレビ装置を例に挙げて本発明の説明を行うが、他の電子機器に対しても同様に適用でき、また例示する構成以外のテレビ装置にも同様に適用できる。
【0018】
図1は、本発明の一実施形態に係るテレビ装置の一構成例を示す図で、図中、1はテレビ装置である。図1で例示するテレビ装置1は、全体を制御するメインユニット12を備え、さらに、デジタル放送ユニット11、インターフェース(IF)ユニット13、パネル制御ユニット14、インバータユニット15、ディスプレイ16、及びバックライト17を備える。ここで、IFユニット13は、サービスセンタ等と通信するための通信ユニット13cと、リモコンから発光された操作信号を受光する受光ユニット13dとを有する。
【0019】
また、ディスプレイ16は液晶パネル等でなり、パネル制御ユニット14により制御され。バックライト17は蛍光管等でなり、インバータユニット15により制御される。そして、ディスプレイ16とパネル制御ユニット14とで表示ユニットを構成し、バックライト17とインバータユニット15とでバックライトユニットを構成する。このように、テレビ装置1は、メインユニット12によって制御されるサブユニットとして、デジタル放送ユニット11、IFユニット13、表示ユニット、及びバックライトユニットを備える。
【0020】
各サブユニットは、異常を検出する異常検出手段(図示せず)と、メインユニット12に対して異常検出手段での検出結果の情報を無線で送信する無線送信手段とを備える。ここで、表示ユニット、バックライトユニットをそれぞれサブユニットとして説明したように、ディスプレイ16の例えば温度超過が所定期間連続するなどの異常は、パネル制御ユニット14側で検出可能とし、バックライト17の例えばランプ切れなどの異常は、インバータユニット15側で検出可能とする。つまり、異常検出手段及び無線送信手段は、各ユニット11,13〜15のそれぞれに設けられるものとして説明する。
【0021】
異常検出手段は、各ユニット11,13〜15の回路上の要所要所に設置しておけばよい。異常検出手段は、通常、それが搭載されるユニット11,13〜15に依って検出対象や検出方法が異なる。異常としては、温度センサ等の各種センサにより検出される異常、電流の有無、電流値、電圧値等により検出される異常、使用時間(例えば蛍光管の使用時間)の超過により検出される異常、或いは、プログラム(ファームウェア)の動作停止異常や例外処理異常などが挙げられる。
【0022】
また、無線送信手段は、設置されている異常検出手段のそれぞれに接続されている。なお、複数の異常検出手段に1つ無線送信手段が接続されていてもよいが、1つのユニット内に少なくとも1つの無線送信手段を設置するものとする。
【0023】
図1では、このような無線送信手段をICタグで例示している。ICタグは、RFID(Radio Frequency IDentification)の技術を用いたRFタグなど、電磁界や電波などを用いて近距離無線通信を行うタグであり、通常、固有IDをメモリに記憶したICチップとアンテナとで構成されている。
【0024】
図1の例では、デジタル放送ユニット11には第1〜第3ICタグ11a〜11cを、IFユニット13には第7,第8ICタグ13a,13bを、パネル制御ユニット14には第9,第10ICタグ14a,14bを、インバータユニット15には第11,第12ICタグ15a,15bを、それぞれ設けている。ここでは、1つのサブユニットのそれぞれに対して複数のICタグを設けた例のみ示しているが、1つのユニットに対して1つのICタグを設けるだけでもよい。
【0025】
メインユニット12は、CPU12aと、無線送信手段で送信された情報を無線で受信する無線受信手段(受信部12bで例示)とを備える。ここで、「CPU」としては、例えばMPU(Micro Processing Unit)などと呼ばれるユニットも概念として含むものとする。
【0026】
また、メインユニット12にも、サブユニットと同様に、異常を検出する異常検出手段と、自身が持つ受信部12bに対してこの異常検出手段での検出結果の情報を無線で送信する無線送信手段とを設けることが好ましい。メインユニット12側の無線送信手段で送信された情報も受信部12bで受信される。異常検出手段及び無線送信手段の詳細については、ユニット11,13〜15について説明した通りである。また、メインユニット12の無線送信手段として、図1では3つのICタグ12c〜12dを設けた例を示している。
【0027】
また、テレビ装置1に搭載された複数のサブユニットのうち少なくとも一つは、報知手段を有する報知機能付きサブユニットとする。報知手段とは、ガイダンスを報知する手段であり、ガイダンスについては後述する。図1の例では、パネル制御ユニット14及びディスプレイ16でなる表示ユニットを、この報知機能付きサブユニットに該当するものとして説明する。なお、ガイダンスを音声出力により報知可能なスピーカユニットを、報知機能付きサブユニットとして適用し、CPU12aがスピーカユニットへ報知指示を送信するよう構成することもできる。これにより、ユーザは音声により報知内容を知ることができる。また、IFユニット13中の通信ユニット13cを報知機能付きサブユニットとして適用し、CPU12aが通信ユニット13cへ報知指示を送信するよう構成することもできる。この場合の報知指示は、予め登録したユーザの電子メールアドレスに報知内容の文章を送信する指示が該当し、これによりユーザは自身が持つ携帯電話やPCで報知内容を得ることができる。また、火災の原因となるような重大な異常を検出した場合には、テレビ装置1の製造元又は販売元として予め登録されたアドレスにネットワーク経由で通報するようにし、安全面での強化を図ることができる。
【0028】
図2は、図1のテレビ装置におけるメインユニットと従来のテレビ装置におけるメインユニットとの違いを説明するための図である。ここで、図2(A)が図1のテレビ装置におけるメインユニットの構成を示す図で、図2(B)が従来のテレビ装置におけるメインユニットの構成を示す図である。
【0029】
本発明では、図2(A)に示すように、上述のCPU12aは受信部12bで受信した情報を入力するための入力端子を1つ有する。CPU12aは、その入力端子に入力された情報(異常に関する情報)に基づき、テレビ装置1で発生中の障害を判定する。ここで、障害には、テレビ装置1の再起動など簡単な操作で復旧可能な「一時的な障害」や、修理が必要な「故障」が含まれる。
【0030】
このように、テレビ装置1では、メインユニット12のCPU12aに異常検出結果用の入力端子を、全てのサブユニットに設けた異常検出手段の合計数だけ設けなくても、各サブユニットの異常(エラー)の情報を1つの無線受信手段から取得し、障害判定を行うことができる。換言すると、テレビ装置1では、CPU12aの異常検出結果入力用の端子数以上のサブユニットでの異常検知が可能になっている。
【0031】
これに対して、従来のシステムでは、CPUは各端子の入力状態を監視することによりエラー検知を行っており、エラーの種類によっては専用の端子を使用する必要がある。例えば、従来の温度エラー検知はAD端子の入力状態で、従来の同期エラー検知はINT(割り込み)端子又はタイマ端子(T端子)の入力状態で、従来の電源エラー検知はINT端子の入力状態で、それぞれ検知できる。図2(B)のように各端子が3つずつ設けられている場合には、CPU30では、温度エラーの発生、同期エラーの発生、電源エラーの発生を、それぞれ3箇所から入力可能(つまりそれぞれ3箇所でのエラー発生を検知可能)となっている。そして、CPU30では、それらの端子が他の用途で用いられる場合には検知専用に端子を増設する必要がある。このように、従来のCPU30は端子数の制約により検知できるエラー数に限界があるため、モデルチェンジやマイナーチェンジに伴う設計変更やシステムアップなどで電子機器にサブユニットを追加したいときには、同じCPU30をそのまま使用できず端子が多いCPUに取り替える必要が生じることもある。
【0032】
また、本発明において、CPU12aは、判定された障害を排除するためのガイダンスを報知するよう、報知機能付きサブユニットに指示する。図1の例の場合、CPU12aはパネル制御ユニット14に指示を送る。
【0033】
ガイダンスは、障害を排除するために、つまり各ユニットで検出された異常の元となる障害を解消させ復帰させるために、表示及び/又は音声出力によりユーザに提示するものである。障害、及び障害を排除する手法は、異常発生場所や異常発生場所の組み合わせによって異なる。従って、CPU12aは、内部メモリ12f(又は接続されたメモリ)に障害情報リストを格納しておき、この障害情報リストを参照して、入力端子に入力された情報(異常に関する情報)に応じて、異なるガイダンスを選択し、パネル制御ユニット14に報知指示を行う。異常に関する情報は、異常検知されたユニット(この例ではユニット11〜15に設置の異常検出手段のうち異常検出された1又は複数)に応じてCPU12aに入力されるものであるため、ガイダンスは異常検出場所に応じたガイダンスが選択されることになる。このようにして、テレビ装置1では障害を排除するためのガイダンスをユーザに報知できる。障害情報リストについては例を挙げて後述する。
【0034】
また、報知機能付きサブユニット(この例では表示ユニット)で報知不可能となる障害、この例ではディスプレイ16で表示不可能となるような障害の場合には、CPU12aは、例えばIFユニット13の通信ユニット13c又は図示しない映像出力端子など第2の報知機能付きサブユニットに報知指示を送るとよい。これにより、ディスプレイ16での報知ができなくても、映像出力端子からの出力やPC/携帯電話への電子メールなどでユーザがガイダンスを知ることができる。
【0035】
上述の障害情報リスト及びガイダンスの選択について、図3を参照して例示する。図3は、図1のテレビ装置におけるCPUでガイダンス表示指示を実行するための参照テーブル(障害情報リスト)の一例を示す図で、図中、20は障害情報リストである。
【0036】
ここでは、各ユニットに搭載されたICタグがアクティブ型であるものとする。つまり、各ICタグが異常発生(対応する異常検出手段での異常の検出)をトリガ(情報出力条件)としてICタグ自ら情報を送信し、受信部12bがICタグリーダである例を挙げる。さらに、各ICタグは、それぞれに固有のIDを情報として送信するものとする。
【0037】
各ICタグのうち異常検出手段での異常検出を受けたICタグは、検出時に固有のIDを自発的に無線で送信する。ICタグリーダである受信部12bは、このIDを受信し、CPU12aに伝送する。つまり、この例における受信部12bは、CPU12aに接続されたID受信回路となり、ICタグから受信したIDをCPU12aに伝えるだけである。一方、CPU12aはこのIDを受信するが、IDを受信することはICタグからの異常情報を受信することを意味する。CPU12aは、メモリ12f内の障害情報リスト20を参照し、受信した1又は複数のIDを検索キーとして対応するガイダンスを検索する。CPU12aは、検索されたガイダンスを選択して、パネル制御ユニット14にディスプレイ16での表示指示を行う。ガイダンスには、IDを受信したときの時刻情報も含めることが好ましい。
【0038】
CPU12aは、例えば受信したIDがID=1のみであった場合、障害情報リスト20を参照して「Aエラーです。○○してください。」などといったガイダンスを選択し、選択したガイダンスを表示するよう表示ユニット(実際にはパネル制御ユニット14)に指示する。パネル制御ユニット14は、そのガイダンス表示をディスプレイ16に行い、ユーザはこのガイダンスを視認し、それに従って障害を排除するための作業(例えばテレビ装置1を再起動する操作、テレビ装置1の製造元等への修理依頼など)を行う。障害情報リスト20は、図3に例示したように、ID=1であった場合とID=2であった場合とID=1,2であった場合とで、異なるガイダンスを返すようなリストとなっており、これにより受信したIDに応じたガイダンスを返すことができる。
【0039】
このように、異常をIDで通知するようにすれば、異常検知処理が一元化でき、処理が簡略化できる。また、IDの場合、メモリ12fにIDに対する障害情報リストを持たせ、通知されたIDにより障害情報リストに対応して処理するだけで済み、エラー検知数を増やしたい場合にも、障害情報リストに、増やしたいID及び対応するガイダンスを追加するだけでよい。
【0040】
また、CPU12aは、後日実施される可能性のある故障解析のときに参照できるように、障害判定時に、障害の状態をその発生日時と共に障害履歴リストとして、内部メモリ12f(又は接続されたメモリ)に記憶させることが好ましい。障害の状態としては、上述の障害情報リスト20のガイダンスを選択するための検索キーに相当する情報(異常検知により受信したID)だけでなく、そのときのテレビ装置1のユーザ設定なども含めることが好ましい。このような障害履歴リストを読み出すことで、障害発生時のテレビ装置1の状況や障害に至ったときのユーザの使用状況を確認することができるため、メインユニットと多くのサブユニットを備えている構成でも障害箇所の特定を容易に行うことができる。従って、障害箇所が特定しきれないことによる修理の繰り返しやユニット単位での交換などを防止でき修理の効率化が図れると共に、サービス対応のコストを低減することもできる。
【0041】
次に、判定された障害がユーザ対応で解消できる一時的な障害である場合の処理(ガイダンス報知も含む)と、判定された障害が修理を依頼しなければ解消できない故障である場合の処理(ガイダンス報知も含む)とを、区別して説明する。
【0042】
一時的な障害の場合には、障害解消のための操作を示すような情報をガイダンスとして報知するように、障害情報リスト20を作成しておき、実際に一時的な障害が発生したときに対応するガイダンスを報知するとよい。例えば、「再起動(電源OFF/ON)してください。」、「電源コンセントの一度抜いて差し直してください。」などのガイダンスを報知すればよい。デジタル放送ユニット11での異常検知を例に挙げると、ユーザ対応可能な障害とは、チューナ周辺に設置した温度センサが所定温度以上を検知した場合などが挙げられる。このような場合、ガイダンスとして、通気口が塞がっていないかの確認を促すメッセージを表示するとよい。また、パネル制御ユニット14で、温度センサにより閾値以上の温度が所定時間経過したときに、同じようなガイダンスを表示させてもよい。
【0043】
一方、故障である場合とは、致命的なエラーでありユーザ対応では復帰不可能で修理を依頼するしかない場合を指す。例えば、デジタル放送ユニット11を例に挙げると、チューナの電源部に設置した異常検出手段で検出され、対応するICタグで発信されたIDをCPU12aが受信した場合などである。
【0044】
このような場合、CPU12aは、報知機能付きサブユニットに対し(この例ではパネル制御ユニット14に対し)、ガイダンスとしてテレビ装置1の製造元(製造元のサポートセンタ等)又は販売元の連絡先の情報を報知するよう指示する。連絡先としては、電話番号、住所、電子メールアドレスなどが挙げられる。また、製造元又は販売元に連絡するときに伝えるエラー番号なども同時に報知することが好ましい。なお、一時的な障害の場合にもこのような連絡先も表示しておいてもよい。
【0045】
図1の例のように、テレビ装置1に搭載される複数のサブユニットのうちの1つが通信ユニットである場合には、CPU12aは、報知指示だけでなく、この通信ユニット13cにサポートセンタへの通報を行うよう指示することが好ましい。なお、図1の例では、IFユニット13をサブユニットと捉えているが、通信ユニット13cにもICタグ13bが設けられており、サブユニットと見なせる。
【0046】
より具体的に説明すると、CPU12aは、故障の場合、すなわち判定された障害を排除するために修理しか方法がない場合には、通信ユニット13cに対し、障害に関する情報とテレビ装置1のユーザの連絡先を特定可能な情報とを、テレビ装置1のサポートセンタとして予め登録されたアドレスにネットワーク経由で通報するよう指示する。また、サポートセンタへの通知を行う場合には、通知を行った旨もガイダンスに含めるとよい。
【0047】
ここで、サポートセンタはテレビ装置1の製造元又は販売元が設置したものであり、アドレスはIPアドレス又は電子メールアドレスでよい。また、ユーザの連絡先を特定可能な情報とは、機器特定情報やテレビ装置1に予め登録したユーザ連絡先等を指す。機器特定情報の場合、製造元又は販売元にそれとユーザの連絡先(住所又は電話番号又は電子メールアドレス等)とを関連付ける情報が、製造元又は販売元にあれば、ユーザ連絡先を特定することができる。
【0048】
なお、通信ユニット13cを介したサポートセンタへの通報は、ユーザが対処できない「故障」に対してのみ実行する例を示したが、任意に区分けした一部の障害に対してのみ実行してもよい。
【0049】
また、一時的な障害と故障とを区別して説明したが、異常の種類によっては一時的な障害か故障かが一度で判定できない場合がある。そのような場合、ガイダンスに沿ってユーザに操作させた後に同じIDを受信したときに故障と判定してもよい。なお、同じ障害(つまり受信したIDが同じ)であるか否かは、CPU12aがメモリ12fの故障履歴リストを参照することで判断でき、ガイダンスも1回目用と2回目以降用とで別々に障害情報リスト20に用意しておけばよい。
【0050】
例えば、1回目のガイダンスでは、「○○異常です。電源を入れなおしてください。」などと表示し、2回目以降は、「○○異常です。修理が必要です。サービスセンタに通知しました。連絡があるまで暫くお待ちください。」などと表示してもよい。別の例では、1回目のガイダンスは「△△異常です。コンセントを一度抜いてください。」などと表示し、2回目以降は、「△△異常です。修理が必要です。サービスセンタに通知しました。連絡があるまで暫くお待ちください。」などと表示してもよい。また、2回目以降は、このようなガイダンスと同時に、「ユーザ宅で故障が発生しました。◇◇異常です。電話番号xxx−xxx−xxxxまで連絡してください。」などとサービスセンタに通報すればよい。
【0051】
図4を参照して、上述のごときテレビ装置1での処理の流れについて、一例を挙げて説明する。図4は、図1のテレビ装置におけるガイダンス表示及び通報の処理例を説明するためのフロー図である。
【0052】
まず、ICタグに異常検出手段から異常検知の信号が入力される(ステップS1)。次に、異常検知に係わるICタグがIDを発信し、受信部12bがそのIDを受信する(ステップS2)。続いて、受信部12bがCPU12aにそのIDを伝送し、CPU12aがそのIDを受信し(ステップS3)、受信時刻と共にそのIDをメモリ12fの障害履歴リストに追加して保存する(ステップS4)。そして、CPU12aは、メモリ12fから障害情報リスト20を読み出し(ステップS5)、受信したIDに対応するガイダンスを検索する(ステップS6)。続いて、CPU12aは、読み出したガイダンスが表示ユニットで表示可能なものであるか、すなわち受信したIDに対応する障害が表示ユニットが表示不可能であることを示す障害であるか否かを判定する(ステップS7)。
【0053】
ステップS7でYES(表示可能)の場合、CPU12aはガイダンスを画面に表示する指示をパネル制御ユニット14に送り、ディスプレイ16がそのガイダンスを表示してユーザに知らせる(ステップS8)。一方、ステップS7でNO(表示不可能)の場合、CPU12aはガイダンスを報知するよう他の手段(ここでは通信ユニット13c)に指示し、通信ユニット13cが報知内容を電子メール等で送信してユーザに報知する(ステップS9)。ステップS8/S9の後、CPU12aは、受信したIDに基づき、サービスセンタに通知する必要がある障害であるか否かを判定する(ステップS10)。ステップS10でNOの場合には処理を終了し、YESの場合(必要がある場合)のみ、障害の情報、発生時刻(上記受信時刻)、ユーザの連絡先を通知するよう、通信ユニット13cに指示を行い、通信ユニット13cがその指示に従って通知を行う(ステップS11)。
【0054】
以上、固有IDのみを発するアクティブ型ICタグについて説明したが、上述の例では異常の場所しかCPU12aが得ることができない。異常検出手段の設置場所に依っては異常の場所だけで異常の種類が特定できるものもあるが、そうでない場合もある。
【0055】
そこで、1つの異常検出手段に対して2つ以上のICタグを設け、異常検出手段が異常の種類に応じて検出結果を伝えるICタグを異ならせるように構成してもよい。このような構成を採用することで、異常時にICタグがIDのみを発信する場合であっても、CPU12aが受信部12bを経由してIDを受信し、予め格納した障害情報リスト20から検出された異常の種類を判定することができる。また、異常の種類の分け方について、異常検出手段が、ユーザにて対応できるような異常(一時的な障害)であったときに一方のICタグに検出結果を出力し、ユーザにて対応できないような異常(故障)であったときに他方のICタグに検出結果を出力するようにしてもよい。
【0056】
以上、無線送信手段がID(固有ID)のみを発するアクティブ型のICタグである場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明では、異常の種類を示す異常情報を固有IDと共に発信するアクティブ型のICタグを無線送信手段として採用してもよい。
【0057】
このようなICタグは、メモリを有し、そのメモリに、異常の有無を示す異常情報、又は異常の有無及び種類を示す異常情報を記憶するように構成しておけばよい。そして、このICタグは、異常検出手段で異常が検出されたときにメモリ内の異常情報を書き換え、書き換えがなされたときに、固有のIDと異常情報とを無線で送信するよう構成しておけばよい。
【0058】
このようなICタグから固有ID及び異常情報を受信したCPU12aの処理については、固有IDのみの処理と基本的に同じであるが、障害情報リスト20の中身や検索方法が異なる。異常情報が異常の有無のみである場合には、例えば、CPU12aが異常有りを示すIDのみを抽出してから、異常有りのIDを検索キーとして、図3と同様の障害情報リスト20を用いてガイダンスの選択などを行えばよい。一方、異常情報が異常の有無と異常の種類を示すものである場合には、図3の障害情報リスト20とは異なる障害情報リストを用意しておく必要がある。例えば、CPU12aが異常有りを示すIDのみを抽出してから、異常の種類(及び異常有りのID)を検索キーとして、異常の種類(及びID)とガイダンスとを対応付けた障害情報リストを参照し、ガイダンスの選択などを行えばよい。
【0059】
また、異常情報を記憶しその書き換えが可能なICタグが、アクティブ型である例を挙げて説明したが、本発明では、書き換え可能なパッシブ型のICタグを使用してもよい。図5を参照してパッシブ型ICタグを用いた例を説明する。図5は、本発明の他の実施形態に係るテレビ装置の一構成例を示す図である。図5で例示するテレビ装置1は、図1のテレビ装置1と各ICタグがパッシブ型である点が異なり、重複部分の説明は省略する。
【0060】
パッシブ型のICタグの場合、リモコンでの専用キーの押下操作の結果として発せられる信号(異常情報送信要求信号)を受光ユニット13dで受信したとき、CPU12aは、受光ユニット13dを経由してこの信号を受ける。CPU12aは、この異常情報送信要求信号を受けたときに、ICタグリーダでなる受信部12bに情報読み出しを指示し、受信部12bが情報を読み出すための電波を発する。これに応じて、各ICタグは固有ID及び異常情報を発信し、受信部12bがこれを受信することが可能となる。また、CPU12aが、定期的や電源ON時など、予め決められたタイミングで、異常情報送信要求を、ICタグリーダでなる受信部12bに送ることでも、同様に受信部12bが各ICタグの固有ID及び異常情報を受信することができる。このように、この例でのICタグからの情報出力条件は、リモコンからのCPU12a及びICタグリーダを経由した要求や、CPU12aからのICタグリーダを経由した要求などが挙げられる。また、リモコンから直接ICタグに異常情報送信要求を発するような構成を採用してもよい。
【0061】
このように、外部(ICタグリーダやリモコン等)から送信要求を受けたときに、各ICタグは、図5の点線矢印で示すように固有のIDと異常情報とを無線で一斉に送信(返信)する。ICタグリーダでなる受信部12bは、これら一斉に送信されたID及び異常情報を順番に受信し、CPU12aへ伝送する。
【0062】
CPU12aは、ID及び異常情報をテレビ装置1に搭載されたICタグの分だけ得た時点で、障害情報リストを参照して、障害を解消させるためのガイダンスを読み出し、報知機能付きサブユニットに報知指示を行う。これにより、パッシブ型のICタグを用いても障害に応じたガイダンス報知が可能となる。なお、パッシブ型のICタグであっても、メモリ内の異常情報の書き換えを行うための電源は必要となる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の一実施形態に係るテレビ装置の一構成例を示す図である。
【図2】図1のテレビ装置におけるメインユニットと従来のテレビ装置におけるメインユニットとの違いを説明するための図である。
【図3】図1のテレビ装置におけるCPUでガイダンス表示指示を実行するための参照テーブルの一例を示す図である。
【図4】図1のテレビ装置におけるガイダンス表示及び通報の処理例を説明するためのフロー図である。
【図5】本発明の他の実施形態に係るテレビ装置の一構成例を示す図である。
【符号の説明】
【0064】
1…テレビ装置、11…デジタル放送ユニット、11a〜11c,12c〜12e,13a,13b,14a,14b,15a,15b…ICタグ、12…メインユニット、12a…CPU、12b…受信部、12f…メモリ、13…IFユニット、13c…通信ユニット、13d…受光ユニット、14…パネル制御ユニット、15…インバータユニット、16…ディスプレイ、17…バックライト、20…障害情報リスト。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のサブユニットと、各サブユニットを制御するメインユニットとを備えた電子機器において、
各サブユニットは、異常を検出する異常検出手段と、前記メインユニットに対して該異常検出手段での検出結果の情報を無線で送信する無線送信手段とを有し、
前記メインユニットは、前記無線送信手段で送信された情報を無線で受信する無線受信手段と、CPUとを有し、
前記複数のサブユニットのうち少なくとも一つは、ガイダンスを報知する報知手段を有する報知機能付きサブユニットであり、
前記CPUは、前記無線受信手段で受信した情報を入力するための入力端子を1つ有し、該入力端子に入力された情報に基づき当該電子機器で発生中の障害を判定し、前記報知機能付きサブユニットに、前記障害を排除するためのガイダンスを報知するよう指示することを特徴とする電子機器。
【請求項2】
請求項1に記載の電子機器において、前記メインユニットは、異常を検出する異常検出手段と、前記無線受信手段に対して該異常検出手段での検出結果の情報を無線で送信する無線送信手段とを有し、前記無線受信手段は、前記メインユニット側の無線送信手段で送信された情報も無線で受信することを特徴とする電子機器。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の電子機器において、前記無線送信手段は、前記異常検出手段で異常が検出されたときに固有のIDを無線で送信するICタグであり、前記無線受信手段は、ICタグリーダであることを特徴とする電子機器。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の電子機器において、前記無線送信手段は、異常の有無を示す異常情報、又は異常の有無及び種類を示す異常情報を記憶するメモリを有し、前記異常検出手段で異常が検出されたときに該メモリ内の異常情報を書き換えるICタグであり、該ICタグは、前記異常検出手段で異常が検出され前記異常情報の書き換えがなされたときに、固有のIDと前記異常情報とを無線で送信するアクティブ型のICタグ、或いは、外部から送信要求を受けたときに、固有のIDと前記異常情報とを無線で返信するパッシブ型のICタグであり、前記無線受信手段は、ICタグリーダであることを特徴とする電子機器。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の電子機器において、前記CPUは、前記障害を排除するために修理しか方法がない場合には、前記報知機能付きサブユニットに、前記ガイダンスとして当該電子機器の製造元又は販売元の連絡先の情報を報知するよう指示することを特徴とする電子機器。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の電子機器において、前記複数のサブユニットのうちの1つは通信ユニットであり、前記CPUは、前記障害を排除するために修理しか方法がない場合には、前記通信ユニットに、前記障害に関する情報と当該電子機器のユーザの連絡先を特定可能な情報とを、当該電子機器の製造元又は販売元として予め登録されたアドレスにネットワーク経由で通報するよう指示することを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−193317(P2009−193317A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−33163(P2008−33163)
【出願日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】