説明

電子機器

【課題】 電子機器の温度が低温時に、水晶発振器を加熱するためのヒータに電源投入から所定時間通電して、発振周波数が安定するまでの時間を短縮し、かつ、希望発振周波数からのズレを小さくすること。
【解決手段】 電子機器100の筐体に、この筐体の温度を検出する温度検出手段と、水晶発振器610と、この水晶発振器610を加熱するヒータ620と、このヒータ620への通電を制御するヒータ制御手段640とを備え、このヒータ制御手段640は、電源投入時に計時を開始し予め定めた所定時間を計時する計時手段を含み、電源投入時、筐体の温度が所定温度以下のときにヒータ620への通電を開始し、上述の所定時間経過後、ヒータ620への通電を停止する構成にした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水晶発振器を備えた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、マイクロ波の電波を送受信する電子機器では、高精度の発振周波数安定度が要求されている。例えば、電子機器として、12GHz帯の電波を受信し、同軸ケーブルで伝送できる1GHz帯の中間周波数に変換する衛星通信用LNB(ローノイズ・ブロック・ダウンコンバータ)がある。この衛星通信用LNBの筐体内に、局部発振回路としてPLL回路が設けられ、このPLL回路の基準信号源として、例えば、温度補償型水晶発振器(TCXO)が備えられている。この温度補償型水晶発振器は、電圧で発振周波数を可変できる電圧制御水晶発振器に温度補償回路を設け、水晶発振器の温度の変化による発振周波数の変化を補償するようにしている。
【0003】
このような温度補償型水晶発振器を使用したPLL回路によって、高い精度の発振周波数安定度が得られるが、更に高精度の発振周波数安定度を得るには、恒温槽型水晶発振器(OCXO)を使用するのが最良である。ただし、恒温槽型水晶発振器は、ヒータや温度センサなどとともに水晶発振回路を恒温槽で密閉して恒温に保持する構造となっているので、温度補償型水晶発振器と比べて消費電力が大きく、しかも大変高価になる。
【0004】
したがって、低価の温度補償型水晶発振器を使用したPLL回路では、広い動作温度範囲にて高精度の発振周波数安定度を実現することが難しかった。これは次の2つの理由による。第1の理由は、温度補償型水晶発振器に用いられる水晶振動子の温度特性が低温域で急峻になるからである。例えば、図7(A)に示すように、温度補償型水晶発振器としても、周囲温度が−35℃以下では、水晶発振器の発振周波数の変動が大きく、水晶振動子自体の温度特性のバラツキの個体差も大きく、温度補償回路だけでは補償できない。
【0005】
第2の理由は、−35℃以下で衛星通信用LNBの電源投入後、その筐体が電源回路などの発熱によって暖まり、温度補償型水晶発振器の周囲温度が上昇し、温度補償型水晶発振器の発振周波数が安定するまでに一定の時間が必要となるからである。ただし、−20℃以上なら温度補償回路および水晶振動子の特性により温度変化に対する発振周波数の変動が少なく、温度補償型水晶発振器の発振周波数が安定するまでにそれ程時間が必要とならない。
【0006】
以上のことから広い動作温度範囲、特に低温時に、温度補償型水晶発振器の発振周波数を短時間で安定させ、かつ、希望発振周波数からのズレを、例えば±0.5ppm以内に抑えることが難しかった。
【0007】
これらの欠点に鑑み、水晶発振器の低温域の発振周波数安定度を向上したヒータ内蔵型水晶発振器がある(例えば、特許文献1参照。)。図10に示すように、この特許文献1によるヒータ内蔵型水晶発振器は、パッケージ1内のプリント基板5−1上に、水晶発振器2とPTCサーミスタ3とコンデンサ4とを実装し、カバー10を取付けて水晶発振器2を気密封止したもので、水晶発振器2の近傍にPTCサーミスタ3を配置した構造になっている。
【0008】
このようなヒータ内蔵型水晶発振器の温度が低温時には、PTCサーミスタ3の抵抗値が小さくなるので、16番ピン9に電源電圧を印加することによってPTCサーミスタ3に電流が流れ発熱するようになっている。これにより、PTCサーミスタ3がヒータとして作用し、このヒータの発熱により水晶発振器2を加熱することで、水晶発振器2の低温域の発振周波数安定度を改善している。
【0009】
以上説明したヒータ内蔵型水晶発振器では、水晶発振器2の加熱によって、その発振周波数が安定するまでの時間を短縮できるが、発振周波数が安定した後も、電源電圧の印加によりPTCサーミスタ3は常に通電されているので、消費電力を低減できなかった。また、水晶発振器2の低温域の発振周波数安定度を水晶発振器単体で改善しているので、温度補償型水晶発振器を衛星通信用LNBなどの筐体内に取付けた時の筐体の熱特性(熱容量)の影響も考慮されていなかった。
【特許文献1】特開2000−201024号公報(第3頁−第4頁、第1図、第2図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は上記問題点に鑑み、電子機器の温度が低温時に、電源投入から所定時間の間ヒータに通電し水晶発振器を加熱することにより発振周波数が安定するまでの時間を短縮し、かつ、希望発振周波数からのズレを小さくできる電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は上記課題を解決するため、請求項1記載の発明は、筐体に、同筐体の温度を検出する温度検出手段と、水晶発振器と、同水晶発振器を加熱するヒータと、同ヒータへの通電を制御するヒータ制御手段とを備え、同ヒータ制御手段は、電源投入時に計時を開始し予め定めた所定時間を計時する計時手段を含み、電源投入時、前記筐体の温度が所定温度以下のときに前記ヒータへの通電を開始し、前記所定時間経過後、前記ヒータへの通電を停止することを特徴とする構成となっている。
【0012】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の電子機器において、前記所定時間は、電源投入により前記ヒータに通電する第1の所定時間と、同第1の所定時間経過後、通電量を徐々に減少させ前記ヒータへの通電を停止する第2の所定時間とからなることを特徴とする構成となっている。
【0013】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の電子機器において、前記第1の所定時間が経過する前に前記筐体の温度が所定温度以上となった場合、その時点から前記第2の所定時間をかけて通電量を徐々に減少させ前記ヒータへの通電を停止することを特徴とする構成となっている。
【0014】
請求項4記載の発明は、筐体に、同筐体の温度を検出する温度検出手段と、水晶発振器と、同水晶発振器を加熱するヒータと、同ヒータへの通電を制御するヒータ制御手段とを備え、同ヒータ制御手段は、電源投入時、予め定めた第1の所定時間だけ電圧を出力するタイマー回路と、前記筐体の温度が所定温度以下のとき前記タイマー回路の出力電圧により動作し所定温度以上のとき非動作となるスイッチ回路と、同スイッチ回路の動作により前記ヒータに通電するヒータ通電回路とからなるヒータ制御回路を含み、電源投入時、前記筐体の温度が所定温度以下で前記スイッチ回路が動作状態である時、前記第1の所定時間が経過するまで、または、前記筐体の温度が所定温度以上となり前記スイッチ回路が非動作状態となるまで前記ヒータに通電した後、前記ヒータへの通電を停止することを特徴とする構成となっている。
【0015】
請求項5記載の発明は、請求項4記載の電子機器において、前記ヒータ通電回路は、前記第1の所定時間が経過するまで、または、前記筐体の温度が所定温度以上となり前記スイッチ回路が非動作状態となるまで前記ヒータに通電した後、前記筐体の温度上昇に伴い予め定めた第2の所定時間をかけて前記ヒータへの通電量を徐々に減少させ前記ヒータへの通電を停止することを特徴とする構成となっている。
【0016】
請求項6記載の発明は、請求項2、請求項3または請求項5記載の電子機器において、前記第1の所定時間と前記第2の所定時間とは、前記筐体の熱的特性と前記水晶発振器の発振周波数の温度特性とに応じて決定することを特徴とする構成となっている。
【発明の効果】
【0017】
請求項1記載の本発明によれば、電子機器において、ヒータ制御手段は、電源投入時に計時を開始し予め定めた所定時間を計時する計時手段を含み、電源投入時、筐体の温度が所定温度以下のときにヒータへの通電を開始し、所定時間経過後、ヒータへの通電を停止するようにした。これにより、電子機器の温度が低温時に、電源投入から所定時間の間ヒータに通電し水晶発振器を加熱することにより、発振周波数が安定するまでの時間を短縮し、かつ、希望発振周波数からのズレを小さくすることができる。また、電源投入から所定時間の間のヒータへの通電のみで水晶発振器を加熱するので、消費電力を低減することができる。
【0018】
また、請求項2記載の本発明によれば、所定時間は、電源投入によりヒータに通電する第1の所定時間と、第1の所定時間経過後、通電量を徐々に減少させヒータへの通電を停止する第2の所定時間とからなるようにした。これにより、請求項1記載の発明と同様な効果を得ることができるとともに、ヒータへの通電停止による急激な温度変化を招くことがなく、ヒータへの通電停止時の発振周波数の変動をなくすことができる。
【0019】
また、請求項3記載の本発明によれば、第1の所定時間が経過する前に筐体の温度が所定温度以上となった場合、その時点から第2の所定時間をかけて通電量を徐々に減少させヒータへの通電を停止するようにした。これにより、請求項2記載の発明と同様な効果を得ることができるとともに、ヒータへの通電を更に効率的に制御することができる。
【0020】
また、請求項4記載の本発明によれば、電子機器において、ヒータ制御手段は、電源投入時、予め定めた第1の所定時間だけ電圧を出力するタイマー回路と、筐体の温度が所定温度以下のときタイマー回路の出力電圧により動作し所定温度以上のとき非動作となるスイッチ回路と、スイッチ回路の動作によりヒータに通電するヒータ通電回路とからなるヒータ制御回路を含み、電源投入時、筐体の温度が所定温度以下でスイッチ回路が動作状態である時、第1の所定時間が経過するまで、または、筐体の温度が所定温度以上となりスイッチ回路が非動作状態となるまでヒータに通電した後、ヒータへの通電を停止するようにした。これにより、電子機器の温度が低温時に、電源投入から第1の所定時間以内のヒータへの通電により、発振周波数が安定するまでの時間を短縮し、かつ、希望発振周波数からのズレを小さくすることができる。
【0021】
また、請求項5記載の本発明によれば、ヒータ通電回路は、第1の所定時間が経過するまで、または、筐体の温度が所定温度以上となりスイッチ回路が非動作状態となるまでヒータに通電した後、筐体の温度上昇に伴い予め定めた第2の所定時間をかけてヒータへの通電量を徐々に減少させ、ヒータへの通電を停止するようにした。これにより、請求項4記載の発明と同様な効果を得ることができるとともに、ヒータへの通電停止による急激な温度変化を招くことがなく、ヒータへの通電停止時の発振周波数の変動をなくすことができる。
【0022】
更に、請求項6記載の本発明によれば、第1の所定時間と第2の所定時間とは、筐体の熱的特性と水晶発振器の発振周波数の温度特性とに応じて決定するようにした。これにより、請求項2または請求項5記載の発明と同様な効果を得ることができるとともに、水晶発振器を筐体に取付けた時の筐体の熱特性の影響をなくすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づき詳細に説明する。図1は本発明による電子機器としての衛星通信用LNBを示すブロック図、図2は図1のヒータおよびヒータ制御手段としてのヒータ制御回路を示すブロック図、図3は図2のヒータおよびヒータ制御回路を示す回路図、図4は図1のヒータおよびヒータ制御手段としてのヒータ制御回路のその他の実施例を示すブロック図、図5はヒータおよびヒータ制御回路の動作を説明するタイミングチャート、図6は温度補償型水晶発振器および筐体の温度特性を説明する説明図である。
【0024】
そして、図7は筐体の周囲温度と局部発振周波数の周波数偏差との関係を説明する説明図で、(A)はヒータ制御回路なしの場合の説明図、(B)はヒータ制御回路ありの場合の説明図、図8は電子機器としての衛星通信用LNBを概略的に示す説明図で、(A)は平面図、(B)は(A)のB−B’断面図、図9は電子機器としてのその他の衛星通信用LNBを概略的に示す説明図で、(A)は平面図、(B)は(A)のC−C’断面図である。
【0025】
本発明による電子機器としての一例の衛星通信用LNBは、図1に示すように、12GHz帯(Kuバンド)のマイクロ波の電波を受信し、受信した電波を同軸ケーブルで伝送できる1GHz帯の中間周波数(IF)に変換する周波数変換装置100であり、この周波数変換装置100は、コンバータ部と局部発振回路600とを備えている。
【0026】
このコンバータ部は、導波管200とRF増幅器300と帯域通過フィルタ400と混合器500とIF増幅器700と第1のキャパシタ800とIF出力コネクタ1100とチョークコイル1000と電源回路1200と第2のキャパシタ900を備えている。
【0027】
導波管200は、その内部にアンテナプローブ210を備え、このアンテナプローブ210により、衛星から送信される12GH帯(例えば、12.25〜12.75GHz)の高周波信号(RF信号)を受信する。RF増幅器300は2段のアンプを備え、アンテナプローブ210により受信した高周波信号を低雑音増幅する。帯域通過フィルタ400は、低雑音増幅された高周波信号の帯域を制限してイメージ周波数帯域の信号を除去する。混合器500は、帯域通過フィルタ400を通過した帯域通過信号と局部発振回路600から入力される11GHz帯(例えば、11.3GHz)の局部発振信号とを混合して、1GHz帯(例えば、950〜1450MHz)の中間周波数のIF信号に周波数変換する。
【0028】
また、IF増幅器700は2段のアンプを備え、IF信号を適切な雑音特性と利得特性を持つように増幅する。第1のキャパシタ800は、IF増幅器700とIF出力コネクタ1100とを接続してIF信号を通過させるとともに、直流分をカットする。
【0029】
更に、チョークコイル1000と第2のキャパシタ900とからなる並列共振回路が、IF出力コネクタ1100と電源回路1200の間に接続されている。この並列共振回路のチョークコイル1000により、外部のチューナなどからケーブルを介して供給されるLNB駆動用の直流電源を電源回路1200に入力するとともに、並列共振回路によりIF信号に対してインピーダンスが無限大になるようにし、IF信号の電源回路1200への漏洩をなくすようにしている。電源回路1200は、チョークコイル1000を介して入力される直流電源から、必要な電源電流やバイアス電圧を生成し、局部発振回路600や、RF増幅器300、IF増幅器700などに供給する。
【0030】
一方、局部発振回路600は、水晶発振器としての温度補償型水晶発振器610とヒータ620とPLL回路630とヒータ制御手段としてのヒータ制御回路640とを備えている。
【0031】
温度補償型水晶発振器610は、外部から供給されるコントロール電圧で発振周波数を可変できる電圧制御水晶発振器に温度補償回路を設けたもので、温度変化に伴う発振周波数の変化を補償して所定の周波数の発振信号(例えば、14.71354MHz)を出力し、PLL回路630の基準発振器として動作する。ヒータ620は、温度補償型水晶発振器610に近接して加熱するもので、温度補償回路により補償できない低温域の発振周波数の急峻な変動を補償している。
【0032】
また、PLL回路630は、温度補償型水晶発振器610の発振信号を基準信号として入力し、例えば11.3GHzの局部発振信号を出力するもので、ループフィルタ631とVCO632と分周器633と位相比較器634とを備えている。
【0033】
このPLL回路630では、温度補償型水晶発振器610と分周器632の出力を位相比較器634に入力し、位相比較器634の出力をループフィルタ631に入力し、その位相差に応じた直流電圧をループフィルタ631から出力して、VCO632の発振周波数を制御する。こうして、分周器633でVCO632の出力周波数を設定した分周比で所定の周波数に分周し、位相比較器634で温度補償型水晶発振器610の発振信号の周波数と分周器632の出力信号の周波数との位相差に比例した直流電圧をループフィルタ631を介してVCO632に帰還させ局部発振信号を安定化して出力する。
【0034】
更に、ヒータ制御回路640は、後述する衛星通信用LNBの筐体101内に設けられ、ヒータ620への通電を制御する。このヒータ制御回路640は、筐体101の温度が例えば−20℃以下のときに、電源投入時にヒータ620の通電を開始し、筐体101の温度上昇に伴って、ヒータ620への通電量を徐々に減少させ、ヒータ620への通電を停止する。
【0035】
したがって、局部発振回路600では、ヒータ制御回路640でヒータ620への通電を制御することにより、温度補償型水晶発振器610の低温域での発振周波数の変動を抑制し、この温度補償型水晶発振器610の発振信号に基づく局部発振信号の発振周波数を、電源投入から短時間で安定させ、かつ、広い動作温度範囲に亘って周波数偏差を小さくし、発振周波数精度を向上させることができる。また、周波数変換装置100のコンバータ部では、混合器500により、高精度で安定な局部発振信号に基づいてRF信号がIF信号に変換されるので、そのIF信号の周波数精度も向上させることができ、扱う信号が狭帯域信号であっても相互干渉などの妨害を起こさないようにすることができる。
【0036】
次に、図2および図3を用いて、ヒータ制御回路640を詳細に説明する。ヒータ制御回路640は、図2に示すように、タイマー回路641とスイッチ回路642とヒータ通電回路643とを備えている。このヒータ制御回路640は、電源投入時に計時を開始し、予め定めた所定時間を計時する計時手段を含んでいる。この所定時間は、電源投入によりヒータ620に通電する第1の所定時間と、この第1の所定時間経過後、通電量を徐々に減少させヒータ620への通電を停止させるための第2の所定時間からなっている。そして、第1の所定時間がタイマー回路641により計時されるとともに、第2の所定時間がヒータ通電回路643により計時される。次にこれらの回路動作を説明する。タイマー回路641は、電源投入により後述する第1の所定時間T1(=t1−t0)、電圧V1を出力する。このタイマー回路641は、電源回路1200から電圧Vccが印加され、抵抗R1および抵抗R2を介して電流が流れ、コンデンサC1に電荷が充電される。これにより、トランジスタTr1のベース電圧がVccと等しくなるまでの第1の所定時間T1の間、トランジスタTr1がオンとなる。この第1の所定時間T1は、抵抗R1、抵抗R2、コンデンサC1の時定数で決定される。したがって、タイマー回路641により、トランジスタTr1がオンの間、電圧V1が出力され、スイッチ回路642のトランジスタTr2のベース端子に接続する抵抗R3に印加される。
【0037】
また、スイッチ回路642は、筐体101の温度が所定温度、例えば、−20℃以下のときタイマー回路641のバイアス電圧V1により動作し、−20℃以上のとき非動作となる。このスイッチ回路642のオン/オフ(動作、非動作の切替えでもよい)は、抵抗R3とNTCサーミスタRth1の分圧で生成されるトランジスタTr2のベースバイアス電圧が温度上昇とともに低下する特性を利用している。これは、抵抗R3の抵抗値とNTCサーミスタRth1の抵抗値の特性とを適宜決定することで、温度上昇でNTCサーミスタRth1の抵抗値が低下して電流が流れ、トランジスタTr2のベースバイアス電圧が低下し、トランジスタTr2がオフ、トランジスタTr3がオフになる所定温度を設定できる。
【0038】
なお、ここでいう所定温度は、温度補償型水晶発振器610の発振周波数変動が温度変化に対して小さい温度領域の温度に基づいて決定される。例えば、図7(A)では筐体周囲温度が−35℃を超えると温度変化に対する発振周波数変動が小さくなっており、本実施例では所定温度を−35℃以上である−20℃と決定した。また、第1の所定時間T1は、衛星通信用LNB100の使用が想定される低温領域において、温度変化に対して温度補償型水晶発振器610の発振周波数変動が小さくなる温度まで、温度補償型水晶発振器610をヒータ620で加熱できる時間として決定される。つまり、第1の所定時間T1は温度補償型水晶発振器610の発振周波数の温度特性、ヒータ620の発熱量、筐体101に設けられた電源回路1200等の発熱部品の発熱量、筐体101の熱容量等の熱的特性に基づいて決定される時間である。更に、後述する第2の所定時間T2も第1の所定時間T1と同様にそれぞれの熱的特性に基づいて決定されるものである。
【0039】
また、スイッチ回路642では、筐体101の温度を検出する温度検出手段としての温度検出部642aが、抵抗R3とNTCサーミスタRth1によって構成され、これが温度センサのように働き、筐体101の温度が所定温度以下のときに電源投入すると、第1の所定時間T1の間だけ、トランジスタTr2がオン、トランジスタTr3がオンとなり、トランジスタTr3のコレクタ端子にコレクタ電流が流れ、第1の所定時間T1が経過、または、電源回路1200の発熱などによる温度上昇で筐体101が所定温度以上になると、トランジスタTr2がオフ、トランジスタTr3がオフとなり、トランジスタTr3のコレクタ電流が流れない。なお、スイッチ回路642としてトランジスタを用いたが、コンパレータなどで代用してもよい。
【0040】
更に、ヒータ通電回路643はスイッチ回路642の動作時、ヒータ620の通電を開始し、筐体101の温度上昇に伴って、第1の所定時間T1が経過後、後述する第2の所定時間T2(=t2−t1)をかけてヒータ620への通電量を徐々に減少させ、ヒータ620への通電を停止する。このヒータ通電回路643は、スイッチ回路642のトランジスタTr3がオンになると、抵抗R6を介してトランジスタTr4にベース電流が流れ、トランジスタTr4がオンとなり、ヒータ620としての抵抗R7に電流が流れて発熱し、この間にコンデンサC2に電荷が充電される。そして、第1の所定時間T1が経過後、スイッチ回路642のトランジスタTr3がオフになると、コンデンサC2に充電された電荷が抵抗R6を介してトランジスタTr4のベース電流として供給され、トランジスタTr4がオンとなり抵抗R7が発熱し続ける。なお、ヒータ通電回路643は、第1の所定時間T1が経過前に、筐体101の温度が所定温度以上となりスイッチ回路642のトランジスタTr3がオフとなった場合には、この時点から第2の所定時間T2をかけてヒータ620への通電量を徐々に減少させ、ヒータ620への通電を停止する。
【0041】
このように、トランジスタTr4のベース電流が流れることにより、コンデンサC2に充電された電荷が放電され、第2の所定時間T2をかけて、トランジスタTr4のベース電流が徐々に減少し、抵抗R7を流れる電流も減少するため、抵抗R7で発生する後述の発熱量Pは徐々に低下する。この第2の所定時間T2は、スイッチ回路642がオフとなってコンデンサC2の電荷が放電されるまでの時間であり、コンデンサC2と抵抗R6、抵抗R7の直流電流増幅率hfe(トランジスタTr4)倍の時定数で決定される。なお、トランジスタTr4をダーリントン接続することで、1つのトランジスタのときよりも放電される時間を長くしたり、コンデンサC2の容量を小さくしたりすることができ、抵抗R7の発熱量の変化を調整できる。また、ヒータ制御回路640としてトランジスタ、抵抗、コンデンサを用いたが、マイコンを使用してヒータ620への通電量を制御させるものでもよい。
【0042】
このマイコンを使用したヒータ制御回路は例えば、図4のようになっている。図4に示すように、ヒータ制御回路650はマイコン651と温度センサ652と駆動回路653とを備えている。マイコン651は電源投入時に計時を開始し、ヒータ620に通電する第1の所定時間T1と、第1の所定時間T1経過後、ヒータ620への通電率を徐々に減少するように可変させ、ヒータ620への通電を停止させるための第2の所定時間T2とが予め設定されており、この予め設定された所定時間を計時する計時手段を備えている。また、マイコン651には電源投入時、筐体101の温度が所定温度以下のときにヒータ620への通電を開始するための所定温度が予め設定されている。温度検出手段としての温度センサ652は筐体101内に設けられたサーミスタからなり、電源投入時、筐体101の温度を検出してマイコン651へ出力する。駆動回路653はマイコン651からの制御信号によりヒータ620への通電を制御する。
【0043】
このような構成により、マイコン651はこの検出温度と予め設定された所定温度とを比較し、検出温度が所定温度以下のときにヒータ620への通電を開始するための通電制御信号を駆動回路653へ出力する。駆動回路653は通電制御信号に基づいてヒータ620へ通電する。計時手段により第1の所定時間T1が計時されると、この第1の所定時間T1経過後から第2の所定時間T2経過までの間、マイコン651は複数段階に亘って通電率が徐々に低くなるように、ヒータ620への通電率を設定し、駆動回路653へこの設定した通電率に基づいて通電制御信号を出力する。駆動回路653はこの通電制御信号に基づいてヒータ620への通電率を可変する。そして、第2の所定時間T2経過後、ヒータ620への通電を停止する。また、マイコン651は電源投入後も温度センサ652の検出温度と予め設定された所定温度とを比較し、第1の所定時間T1が経過前に、筐体101の温度が所定温度以上になった場合、この時点から第2の所定時間T2経過までの間、ヒータ620への通電率を徐々に低くなるように設定し、駆動回路653はヒータ620への通電率を徐々に低くなるように可変させ、ヒータ620への通電を停止する。
【0044】
以上説明してきたヒータ制御回路640の動作をタイミングチャートで表すと、図5および図6のようになる。図5はヒータ通電および電源投入中の時間と、ヒータ制御回路640の要部電圧およびヒータ発熱量との関係を示し、実線グラフは、電源投入後の筐体101の温度が所定温度以下のヒータ制御回路640の動作時のグラフである。第1の所定時間T1は、電源投入時にヒータ620への通電を開始した時刻t0から、トランジスタTr3がオフとなる時刻t1までの時間であり、第2の所定時間T2は、この時刻t1から、コンデンサC2の電荷が放電され、抵抗R7に流れる電流がゼロになる時刻t2までの時間である。
【0045】
この第1の所定時間T1の間、電圧V1、電圧V2および電圧V3が出力され、ヒータ620への通電で所定の発熱量Pが得られる。また、第2の所定時間T2の間、電圧V1、電圧V2がゼロに、電圧V3が徐々に低下してゼロになり、ヒータ620への電流も徐々に減少してゼロになるため、発熱量Pも徐々に低下してゼロになる。
【0046】
また、点線グラフは、電源投入後の筐体101の温度が所定温度以上のヒータ制御回路640の非動作時のグラフである。電圧V1のみが実線グラフと同一となるが、スイッチ回路642が非動作であるため、電圧V2、電圧V3および発熱量Pはゼロとなるので、ヒータ620への通電は行われない。
【0047】
一方、図6はヒータ通電および電源投入中の時間と、温度補償型水晶発振器610および筐体101の温度との関係を示し、黒丸印のグラフは温度補償型水晶発振器610の温度特性、四角印のグラフは筐体101の温度特性を表わしたものである。時刻t0は、温度補償型水晶発振器610の温度と筐体101の温度とが−40℃のときに電源投入と同時にヒータ620への通電を開始した時刻である。時刻t1は、第1の所定時間T1が経過し、温度補償型水晶発振器610の温度はヒータ620によって−40℃から−35℃に上昇し、筐体101の温度が電源回路1200などの発熱によって−40℃から徐々に上昇したところで、ここからヒータ620への通電量(発熱量)が徐々に減少する時刻である。
【0048】
時刻t2は、第2の所定時間T2が経過し、ヒータ620への通電量(発熱量)がゼロとなるとともに、温度補償型水晶発振器610と筐体101との温度が−36℃で等しくなる時刻である。このとき、温度補償型水晶発振器610の温度勾配と筐体101の温度勾配(時間に対する温度の変化率)とをそれぞれ小さくして時刻t2のときに緩やかに交わるようにし、筐体101の熱特性(熱容量)を考慮して、第2の所定時間T2を設定している。そして、それぞれの温度勾配が交わる時刻t2のときの温度は、発振周波数の変動が小さい温度領域となっている。時刻t3は、更に所定時間が経過し、温度補償型水晶発振器610と筐体101との温度が−36℃から−25℃に上昇し、ここからそれぞれの温度上昇が飽和する時刻である。
【0049】
このような温度補償型水晶発振器610の温度特性と筐体101の熱特性とを考慮して、第1の所定時間T1と第2の所定時間T2とを設定し、ヒータ制御回路640により温度補償型水晶発振器610を加熱しているため、ヒータ620への通電は筐体101の温度が低温時、電源投入から筐体101が暖まり、温度上昇が飽和する前のみに限定した、電源投入後の所定時間の通電1回のみ動作する。これにより、ヒータ620を常に通電オンにする恒温槽型水晶発振器や特許文献1のようなPTCサーミスタを常に通電オンにするヒータ内蔵型水晶発振器と比べ低消費電力化を図ることができる。また、ヒータ620への通電量(発熱量)を徐々に減少させるため、ヒータ620への通電停止による温度補償型水晶発振器610の急激な温度変化を招くことがなく、ヒータ620への通電停止時の局部発振周波数の変動をなくすことができる。
【0050】
次に、図7を用いて、PLL回路630の出力周波数、すなわち、局部発振周波数の安定度について説明する。図7は、−40〜60℃の動作温度範囲に対する周波数偏差について、従来のヒータ制御回路なしの場合と本発明のヒータ制御回路ありの場合とを示すものである。周波数偏差は常温25℃での局部発振周波数f0を基準とし、この局部発振周波数f0からの各動作温度での局部発振周波数のずれΔfを比Δf/f0で表わしたもので、10の−6乗を示す単位(ppm)を用いて示したものである。そして、この周波数偏差について、衛星通信用LNB100をそれぞれの周囲温度雰囲気中に放置して電源投入(通電開始)したときの、60秒後、120秒後、180秒後の3回の測定結果を示している。
【0051】
従来は図7(A)に示すように、−40〜60℃の動作範囲温度での周波数偏差が±1.20ppm以内であるのに対し、本発明では図7(B)に示すように、±0.5ppm以内になり、特に、−20℃以下の低温域で±0.2ppm以内の結果が得られた。このときの条件として、ヒータ制御回路640は−20℃以下の時に動作させ、ヒータ620への通電を180秒後に完全停止するようにした。
【0052】
そして、ヒータ制御回路640がある場合の特に顕著な効果は、筐体101の温度が−35℃以下でも周波数偏差を±0.2ppm以内にすることができ、広い動作温度範囲に亘って高い精度の局部発振周波数安定度が得られていることである。例えば、−40℃のとき、従来では図7(A)に示すように、電源投入(通電開始)後、180秒後の周波数偏差が−0.6ppmであるが、本発明では図7(B)に示すように、+0.2ppmにすることができる。これは、図7(A)に模式的に示すように、ヒータ制御回路640によりヒータ620への通電量を制御し、温度補償型水晶発振器610を加熱することで得られる温度上昇に応じて、周波数偏差が破線矢印のように左に平行移動したからである。また、本発明では筐体101の温度が−35℃以下で局部発振周波数が安定するまでの時間短縮が成されている。例えば、−38℃のとき、従来では図7(A)に示すように、電源投入後、60秒後の周波数偏差が−0.6ppmであるが、本発明では図7(B)に示すように、+0.05ppmにすることができる。これは、従来では電源投入後、60秒後から更に時間経過して筐体101が暖まり、−35℃に温度上昇するまで、本発明のように+0.05ppmまで到達しないからである。
【0053】
以上説明してきたように、衛星通信用LNB100の筐体101内に、ヒータ620とヒータ制御回路640とを備えているので、その筐体101の温度が所定温度以下の時、電源投入から温度補償型水晶発振器610の発振周波数に基づく局部発振周波数が安定するまでの時間を短縮でき、かつ、希望発振周波数からのズレを小さくすることができる。
【0054】
次に、図8および図9を用いて、衛星通信用LNB100の筐体101内のヒータとヒータ制御回路と温度補償型水晶発振器の配置構造例について説明する。図8に示すように、筐体101内に、ヒータ620とヒータ制御回路640と温度補償型水晶発振器610とがプリント基板102の表面上に配置され、ヒータ620を温度補償型水晶発振器610に近接させた構造となっている。これにより、温度補償型水晶発振器610に近接させたヒータ620で温度補償型水晶発振器610を加熱することができる。また、温度補償型水晶発振器610をより効果的に加熱するため、グラファイトシートなどの熱伝導率が高い材料からなる伝熱部材611を、ヒータ620と温度補償型水晶発振器610との表面を繋ぐように貼り付けた構造となっており、この伝熱部材611によって温度補償型水晶発振器610にヒータ620の発熱を伝達するようにしている。
【0055】
また、図9に示すように、その他の配置構造例として、筐体101内に、ヒータ制御回路640と温度補償型水晶発振器610とがプリント基板102の表面上に配置され、ヒータ620が筐体101に設けた凹部101aに収まるように、温度補償型水晶発振器610の配置されたプリント基板102の真裏に配置された構造となっている。これにより、プリント基板102を介して温度補償型水晶発振器610にヒータ620の発熱を伝達するようにしている。なお、図8および図9では、筐体101内のヒータ制御回路640に温度検出部640aを備えているが、この温度検出部640aを筐体101の外部表面や筐体101と別体(輻射センサなどでも可)に備えた場合であってもよい。また、これまで説明してきた配置構造例に限らず、ヒータ620で温度補償型水晶発振器610を加熱できれば、その他の配置構造であっても構わない。更に、筐体101が衛星通信用LNBの放熱のためのヒートシンクの役割を担っているとともに、筐体101内に図示を省略した電源回路1200を備えているので、電源投入からヒータ620への通電をオフした後も電源オフするまで、この電源回路1200などの発熱によって筐体101の温度が保持され、温度補償型水晶発振器610として高精度の発振周波数安定度を維持することができる。
【0056】
以上説明してきた本発明の実施形態では、計時手段での予め定めた所定時間を第1の所定時間と第2の所定時間からなるものとして説明したが、本発明はこれに限らず、第1の所定時間のみ決定するようにしてもよく、ヒータ制御回路640に備えるスイッチ回路642をヒータ640としての抵抗R7に接続し、ヒータ通電回路643を省略することにより適用できる。この場合には、ヒータ制御回路640は電源投入時、筐体101の温度が所定温度以下でスイッチ回路642が動作状態である時、第1の所定時間が経過するまでヒータ620に通電した後、ヒータ620への通電を停止し、また、筐体101の温度が所定温度以上となりスイッチ回路642が非動作状態となるまでヒータ620に通電した後、ヒータ620への通電を停止することになる。
【0057】
このとき、第1の所定時間の間、ヒータ620に通電することにより、温度補償型水晶発振器610が温度補償型水晶発振器610の発振周波数変動が温度変化に対して小さい温度領域の温度まで加熱され、第1の所定時間経過後に筐体101の温度も同温度領域の温度に達するようにすることで、第1の所定時間経過直後にヒータ610への通電を停止し、温度補償型水晶発振器610の温度と筐体101の温度に多少の差異があったとしても温度変化による発振周波数変動が小さいため、ヒータ610の通電停止時の発振周波数の変動を抑えることができる。
【0058】
以上説明してきた本発明の実施形態では、電子機器として衛星通信用LNBに適用されたものを説明したが、本発明はこれに限らず、この衛星通信用LNB以外の周波数変換機能を備える携帯電話機、移動無線機、GPS受信機、衛星通信用通信機などに適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明による電子機器としての衛星通信用LNBを示すブロック図である。
【図2】図1のヒータおよびヒータ制御手段としてのヒータ制御回路を示すブロック図である。
【図3】図2のヒータおよびヒータ制御回路を示す回路図である。
【図4】図1のヒータおよびヒータ制御手段としてのヒータ制御回路のその他の実施例を示すブロック図である。
【図5】ヒータおよびヒータ制御回路の動作を説明するタイミングチャートである。
【図6】温度補償型水晶発振器および筐体の温度特性を説明する説明図である。
【図7】筐体の周囲温度と局部発振周波数の周波数偏差との関係を説明する説明図で、(A)はヒータ制御回路なしの場合の説明図、(B)はヒータ制御回路ありの場合の説明図である。
【図8】本発明による電子機器としての衛星通信用LNBを概略的に示す説明図で、(A)は平面図、(B)は(A)のB−B’断面図である。
【図9】本発明による電子機器としてのその他の衛星通信用LNBを概略的に示す説明図で、(A)は平面図、(B)は(A)のC−C’断面図である。
【図10】従来による電子機器に使用される水晶発振器を示す説明図で、(A)は平面図、(B)は(A)のA−A’断面図である。
【符号の説明】
【0060】
100 周波数変換装置(電子機器、衛星通信用LNB)
101 筐体
101a 凹部
102 プリント基板
200 導波管
210 アンテナプローブ
300 RF増幅器
400 帯域通過フィルタ
500 混合器
600 局部発振回路
610 温度補償型水晶発振器(水晶発振器)
611 伝熱部材
620 ヒータ
630 PLL回路
631 ループフィルタ
632 VCO
633 分周器
634 位相比較器
640 ヒータ制御回路(ヒータ制御手段)
641 タイマー回路(計時手段)
R1 抵抗
R2 抵抗
C1 コンデンサ
Tr1 トランジスタ
642 スイッチ回路
642a 温度検出部(温度検出手段)
R3 抵抗
Rth1 NTCサーミスタ
R4 抵抗
R5 抵抗
Tr2 トランジスタ
Tr3 トランジスタ
643 ヒータ通電回路(計時手段)
C2 コンデンサ
R6 抵抗
Tr4 トランジスタ
R7 抵抗(ヒータ)
650 ヒータ制御回路(ヒータ制御手段)
651 マイコン(計時手段)
652 温度センサ(温度検出手段)
653 駆動回路
700 IF増幅器
800 第1のキャパシタ
900 第2のキャパシタ
1000 チョークコイル
1100 IF出力コネクタ
1200 電源回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体に、同筐体の温度を検出する温度検出手段と、水晶発振器と、同水晶発振器を加熱するヒータと、同ヒータへの通電を制御するヒータ制御手段とを備え、同ヒータ制御手段は、電源投入時に計時を開始し予め定めた所定時間を計時する計時手段を含み、電源投入時、前記筐体の温度が所定温度以下のときに前記ヒータへの通電を開始し、前記所定時間経過後、前記ヒータへの通電を停止することを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記所定時間は、電源投入により前記ヒータに通電する第1の所定時間と、同第1の所定時間経過後、通電量を徐々に減少させ前記ヒータへの通電を停止する第2の所定時間とからなることを特徴とする請求項1記載の電子機器。
【請求項3】
前記第1の所定時間が経過する前に前記筐体の温度が所定温度以上となった場合、その時点から前記第2の所定時間をかけて通電量を徐々に減少させ前記ヒータへの通電を停止することを特徴とする請求項2記載の電子機器。
【請求項4】
筐体に、同筐体の温度を検出する温度検出手段と、水晶発振器と、同水晶発振器を加熱するヒータと、同ヒータへの通電を制御するヒータ制御手段とを備え、同ヒータ制御手段は、電源投入時、予め定めた第1の所定時間だけ電圧を出力するタイマー回路と、前記筐体の温度が所定温度以下のとき前記タイマー回路の出力電圧により動作し所定温度以上のとき非動作となるスイッチ回路と、同スイッチ回路の動作により前記ヒータに通電するヒータ通電回路とからなるヒータ制御回路を含み、電源投入時、前記筐体の温度が所定温度以下で前記スイッチ回路が動作状態である時、前記第1の所定時間が経過するまで、または、前記筐体の温度が所定温度以上となり前記スイッチ回路が非動作状態となるまで前記ヒータに通電した後、前記ヒータへの通電を停止することを特徴とする電子機器。
【請求項5】
前記ヒータ通電回路は、前記第1の所定時間が経過するまで、または、前記筐体の温度が所定温度以上となり前記スイッチ回路が非動作状態となるまで前記ヒータに通電した後、前記筐体の温度上昇に伴い予め定めた第2の所定時間をかけて前記ヒータへの通電量を徐々に減少させ前記ヒータへの通電を停止することを特徴とする請求項4記載の電子機器。
【請求項6】
前記第1の所定時間と前記第2の所定時間とは、前記筐体の熱的特性と前記水晶発振器の発振周波数の温度特性とに応じて決定することを特徴とする請求項2、請求項3または請求項5記載の電子機器。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−62868(P2010−62868A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−226409(P2008−226409)
【出願日】平成20年9月3日(2008.9.3)
【出願人】(000006611)株式会社富士通ゼネラル (1,266)
【Fターム(参考)】