説明

電子機器

【課題】 手間をかけることなく外部回路の接続を検出できるようにする。
【解決手段】 本体部に対して上蓋部を変位させて該上蓋部を閉じた際に、所定電位電極と外部信号取り込み電極及び外部回路接続検出電極とが所定の間隔を保って対向する位置関係になり、該対向する位置関係にあるときの前記所定電位電極と前記外部信号取り込み電極及び外部回路接続検出電極との間に外部回路が挟装保持され、且つ、前記挟装保持された状態で、前記外部回路に設けられている信号取り出し電極と前記外部信号取り込み電極とが接触し、さらに、前記外部回路に設けられている、電気的に接続された一対の電極の各々が前記所定電位電極と前記外部回路接続検出電極とに接触するように構成されていることを特徴とする電子機器。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器に関し、詳細には、外部回路の接続を検出する電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
様々な電子機器の中には、その電子機器の性能を高めたり、機能を増やしたり、または仕様上の要求などから、必要に応じて所要の外部回路を接続可能になっているものがある。このような外部回路としては、たとえば、イヤホンや外部増幅器、スピーカ、または外部マイクなどが典型であるが、今日においては、携帯型ワンセグ受信機に用いられる外部アンテナもその一例である。携帯型のワンセグ受信機は、筐体サイズが小さく高感度なアンテナを内蔵しにくいからであり、室内等の電波環境の悪い場所で使用する際には、高感度な外部アンテナを接続して使用できるようになっているからである。
【0003】
さて、上記のような内外回路、たとえば、ワンセグ受信機のように内外アンテナを選択的に使用する電子機器においては、その電子機器本体に外部アンテナの接続部を有しており、外部アンテナが接続されたときに、その接続を検出して、内部アンテナから外部アンテナに自動的に切換える仕組みになっている。
【0004】
かかる仕組みに関する従来技術としては、たとえば、下記の特許文献1に記載のものが知られている。
【0005】
図23は、従来技術の構成図である。この図において、ワンセグ受信機の本体100には、アンテナジャック101が設けられており、このアンテナジャック101に、外部アンテナ102のアンテナプラグ103が接続可能になっている。アンテナジャック101とアンテナプラグ103は符号a〜cで示す三つの対向接点対を有しており、アンテナジャック101とアンテナプラグ103の接続時において、同符号の接点対が電気的に接触するようになっている。具体的には、アンテナジャック101のa接点とアンテナプラグ103のa接点が接触し、アンテナジャック101のb接点とアンテナプラグ103のb接点が接触し、アンテナジャック101のc接点とアンテナプラグ103のc接点が接触するようになっている。
【0006】
アンテナプラグ103のa接点とb接点の間は導線104でジャンパされており、c接点には外部回路(ここでは外部アンテナ素子)105からの導線106が接続されている。
【0007】
一方、アンテナジャック101のa接点は導線107を介して検出回路108に接続されており、b接点は導線109を介して接地電位(0V)に落とされている。さらに、c接点は導線110を介して切換回路111に接続され、この切換回路111には、検出回路108からの導線112と、内部回路(ここでは内部アンテナ素子)113からの導線114が接続されている。
【0008】
このような構成において、本体100に外部アンテナ102が接続されたときの動作、すなわち、外部アンテナ102の接続を検出して、内部アンテナから外部アンテナに自動的に切換える動作は以下のとおりである。
【0009】
まず、本体100に外部アンテナ102が接続されていないとき、アンテナジャック101のa接点はオープン状態(フローティング状態ともいう。)にある。
【0010】
このため、このa接点に繋がる検出回路108の入力電位は、接地電位等の確定電位ではなく、非確定の電位(いわゆる不定電位)になっている。
【0011】
このような状態でアンテナジャック101にアンテナプラグ103が差し込まれると、接地電位→導線109→アンテナジャック101のb接点→アンテナプラグ103のb接点→導線104→アンテナプラグ103のa接点→アンテナジャック101のa接点→導線107→検出回路108の経路が形成され、検出回路108に接地電位が入力されることになる。
【0012】
検出回路108は、「接地電位」の入力を検出すると、アンテナジャック101にアンテナプラグ103が差し込まれたと判断(外部回路の接続を検出)し、切換回路111に対して所要の切換信号を出力する。切換回路111は、この切換信号に応答して内部回路(内部アンテナ素子)113から外部回路(外部アンテナ素子)105へと信号経路を切換える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開平11−239070号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
前記のとおり、従来技術においては、アンテナジャック101にアンテナプラグ103を差し込むと、検出回路108から切換回路111に対して所要の切換信号が出力され、この切換信号に応答して切換回路111が内部回路(内部アンテナ素子)113から外部回路(外部アンテナ素子)105へと信号経路を切換えるので、スイッチ等の人為的操作を必要とせずに、内外回路を切換えることができるという利点があるものの、以下の不都合があった。
【0015】
たとえば、携帯型のワンセグ受信機を浴室で使用することがある。このような使用環境で内部アンテナを用いている場合、未使用のアンテナジャック101に水滴がかかることがあるが、この水滴は「電気的な導体」とみなすことができるので、仮に、アンテナジャック101のa接点とb接点に水滴がかかった場合、それらのa−b接点同士が水滴によってショートする。
【0016】
その結果、水滴を介して検出回路108に接地電位が供給されることとなり、不本意ながら、検出回路108から切換回路111に対して所要の切換信号が誤出力されてしまうことになる。つまり、このような場合は、外部アンテナ102が接続されていないにもかかわらず、内部回路から外部回路への切換えが実行されてしまい、受信不能になるという不都合がある。
【0017】
この対策としては、アンテナジャック101に防水キャップを取り付けるという方法もあるが、コスト増を招くうえ、防水キャップの脱着に手間がかかって面倒であるという問題点がある。
【0018】
また、従来技術のような外部アンテナ接続方式(いわゆる、プラグ/ジャック方式)の場合は、外部アンテナの使用を迫られる度に、いちいちプラグをジャックに差し込まなければならず、またその逆に、外部アンテナを使用する必要がなくなる度に、いちいちジャックからプラグを引き抜かなければならず、同様に、手間がかかって面倒であるという問題点がある。
【0019】
そこで、本発明の目的は、手間をかけることなく外部回路の接続を検出できる電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明に係る電子機器は、本体部と、該本体部に対して変位可能に連結された上蓋部と、前記本体部と前記上蓋部の一方に設けられた所定電位電極と、前記本体部と前記上蓋部の他方に設けられた外部信号取り込み電極及び外部回路接続検出電極とを備え、前記本体部に対して前記上蓋部を変位させて該上蓋部を閉じた際に、前記所定電位電極と前記外部信号取り込み電極及び外部回路接続検出電極とが所定の間隔を保って対向する位置関係になり、該対向する位置関係にあるときの前記所定電位電極と前記外部信号取り込み電極及び外部回路接続検出電極との間に外部回路が挟装保持され、且つ、前記挟装保持された状態で、前記外部回路に設けられている信号取り出し電極と前記外部信号取り込み電極とが接触し、さらに、前記外部回路に設けられている、電気的に接続された一対の電極の各々が前記所定電位電極と前記外部回路接続検出電極とに接触するように構成されていることを特徴とする(請求項1に記載の発明)。
【0021】
なお、上述した請求項1記載の発明は次のようなものであってもよい。
前記上蓋部は、前記本体部に対して折り畳み可能に連結されていることを特徴とする(請求項2に記載の発明)。
前記上蓋部は、前記本体部に対して2軸ヒンジ方式で相対回転可能に連結されていることを特徴とする(請求項3に記載の発明)。
前記上蓋部は、前記本体部に対してスライド方式で相対移動可能に連結されていることを特徴とする(請求項4に記載の発明)。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、手間をかけることなく外部回路の接続を検出できる電子機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】第一の実施形態における電子機器の外観図である。
【図2】第一の実施形態における外部アンテナ12を装着した電子機器10を示す図である。
【図3】第一の実施形態における外部アンテナ12の接続部分の詳細図である。
【図4】第一の実施形態における本体13側の接続部分(凹部17)の詳細図である。
【図5】第一の実施形態における外部アンテナ12側の接続部分(凸部18)の詳細図である。
【図6】第一の実施形態における電気的構成を示す図である。
【図7】第一の実施形態における外部アンテナ12が接続されている場合の誤判定回避の説明図である。
【図8】第一の実施形態における外部アンテナ12が接続されていない場合で且つ「小さな付着物」がある場合の誤判定回避の説明図である。
【図9】第一の実施形態における外部アンテナ12が接続されていない場合で且つ「大きな付着物」がある場合の誤判定回避の説明図である。
【図10】第二の実施形態における検出回路26と切換回路28の構成例を示す図である。
【図11】第三の実施形態における接点形状の変形例を示す図である。
【図12】第三の実施形態における接点形状の他の変形例を示す図である。
【図13】第四の実施形態におけるプラグ/ジャックの一例を示す図である。
【図14】第四の実施形態におけるプラグを差し込まないときのジャックを示す図である。
【図15】第四の実施形態に汎用の4極プラグを適用した場合を示す図である。
【図16】第五の実施形態における第一の取り付け形態例を示す図である。
【図17】第五の実施形態における外部アンテナ63を示す図である。
【図18】外部アンテナ63を接続して折り畳んだ状態の電子機器59を示す図である。
【図19】第五の実施形態における第二の取り付け形態例を示す図である。
【図20】外部アンテナ63を接続して折り畳み回転させた状態の電子機器64を示す図である。
【図21】第五の実施形態における第三の取り付け形態例を示す図である。
【図22】外部アンテナ63を接続して閉じた状態(非スライド状態)の電子機器59を示す図である。
【図23】従来技術の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照しながら説明する。
(1)第一の実施形態
図1は、第一の実施形態における電子機器の外観図である。この図において、電子機器10は、たとえば、携帯型のワンセグ受信機であるが、これに限定されない。要は、必要に応じて内外回路を切換えて使用することができるものであればよい。以下、説明の便宜上、電子機器10を携帯型のワンセグ受信機とするとともに、内外回路の一方(内部回路)を内部アンテナ11、他方(外部回路)を外部アンテナ12とする。
【0025】
電子機器10の本体13は、ここでは便宜的にストレートタイプの筐体であるものとする。その本体13の一側面上部には、外部アンテナ12の根本15を装着するための溝部16と、その溝部16の底を一段掘り下げた凹部17とが形成されており、また、外部アンテナ12の根本15には、本体13の凹部17に係合可能な凸部18が形成されている。
【0026】
図2は、第一の実施形態における外部アンテナ12を装着した電子機器10を示す図である。この図に示すように、電子機器10の本体13の一側面上部に装着された高感度の外部アンテナ12は、本体13の一側面から上方に突き出し、その状態で電子機器10の内部アンテナ11の代わりに電波を受信(ただし、ワンセグ等の受信専用機の場合である。送信機又は送受信兼用機の場合は、送信アンテナ又は送受信アンテナとなる。)する。
【0027】
図3は、第一の実施形態における外部アンテナ12の接続部分の詳細図であり、図4は、本体13側の接続部分(凹部17)の詳細図、図5は、外部アンテナ12側の接続部分(凸部18)の詳細図である。これらの図において、本体13の凹部17の底には、微細な間隔を保って並行する四つの接点(a〜d接点)が取り付けられており、同様に、外部アンテナ12の凸部18の表面にも、微細な間隔を保って並行する四つの接点(a〜d接点)が取り付けられている。これらの接点は同一符号の接点同士が接触するようになっており、説明の便宜上、凸部18のa〜d接点にダッシュ(´)を付して識別することにすると、a−a´、b−b´、c−c´、d−d´の各接点が接触するようになっている。
【0028】
ここで、“微細”とは、不本意なショートを引き起こす可能性がある付着物(典型的には水滴)19の大きさ相当またはそれよりも小さいという意味である。たとえば、付着物19の大きさがXmmの場合、前記の「微細な間隔」はXmmまたはそれ以下の寸法になる。このような寸法に設定すれば、b接点とc接点との電気的接続により、不本意なショートを引き起こす可能性がある付着物(典型的には水滴)19を支障なく検出することができる。
【0029】
図6は、第一の実施形態における電気的構成を示す図である。この図において、外部アンテナ12は、四つの接点(a´〜d´接点)を有すると共に、内部回路(内部アンテナ素子)20とd´接点の間を導線21で接続し、また、a´接点と、そのa´接点の二つ隣のc´接点との間を導線22で接続して構成している。なお、a´接点とc´接点との間に位置するb´接点は、どこにも接続されないフローティング接点となっている。
【0030】
一方、本体13も、四つの接点(a〜d接点)を有し、そのa接点を導線23を介して所定電位(確定電位のこと。ここでは接地電位とする。)に接続すると共に、b接点とc接点を、それぞれ導線24、25を介して検出回路26に接続し、さらに、残りのd接点を導線27を介して切換回路28に接続して構成している。
【0031】
ここで、検出回路26は、b接点とc接点の電位関係に基づいて、外部アンテナ12の接続/非接続を判定し、接続判定時に切換回路28に対して所定の切換信号を出力するものであり、切換回路28は、通常は内部回路(内部アンテナ素子)29からの信号を選択する一方、検出回路26から所定の切換信号が入力された場合は、d接点を介して取り込まれた外部アンテナ12の信号(正確には外部アンテナ素子20の信号)に切換えるためのものである。この切換回路28により、内部回路29から外部回路(外部アンテナ12)への切換、又は、その逆の切換を自動化することができる。
【0032】
検出回路26の判定動作は、(1)外部アンテナ12が接続されていない場合はb接点とc接点が共にフローティング電位(不定電位)になるが、(2)外部アンテナ12が接続された場合は、b接点だけがフローティング電位で、c接点はc´接点→導線22→a´接点→a接点→導線23の経路で接地電位(確定電位)となる、という事実に基づいて行われる。つまり、検出回路26は、二つの入力がいずれもフローティング電位になっていれば「外部アンテナ12の非接続」を判定し、一方入力がフローティング電位で他方入力が接地電位になっていれば「外部アンテナ12の接続」を判定する。
【0033】
加えて、この検出回路26は、ショートを引き起こす可能性がある水滴等の付着物(図4の符号19参照)による誤判定を回避する。
【0034】
図7は、第一の実施形態における外部アンテナ12が接続されている場合の誤判定回避の説明図である。この図に示すように、外部アンテナ12が接続されている場合は、接地電位→導線23→a接点→a´接点→導線22→c´接点→c接点→導線25→検出回路26の経路が形成されるため、検出回路26の一方入力に接地電位が供給され、また、b接点に接触するb´接点がフローティング状態にあるため、検出回路26の他方入力にフローティング電位が供給される。したがって、この場合、検出回路26は前記のとおり、「外部アンテナ12の接続」を判定する。
【0035】
図8は、第一の実施形態における外部アンテナ12が接続されていない場合で且つ「小さな付着物」がある場合の誤判定回避の説明図、図9は、第一の実施形態における外部アンテナ12が接続されていない場合で且つ「大きな付着物」がある場合の誤判定回避の説明図である。
【0036】
外部アンテナ12を接続していないときに、本体13の接点部分(a〜d接点の部分)に水滴が付着した場合を想定する。図8及び図9は、その付着状態を示す図であり、図8は小さめの付着物(以下、小付着物)30を、図9は大きめの付着物(以下、大付着物)31を示す図である。もちろん、かかる付着物は仮にそれが水滴であったとしても、その大きさはまちまちであり、一概に規定できないが、ここでは説明の便宜上、小付着物30はa接点とb接点をブリッジする程度の大きさであり、また、大付着物31はa接点、b接点及びc接点をブリッジする程度の大きさであるものとする。
【0037】
図8及び図9のいずれにおいても、外部アンテナ12が接続されていないのであるから、本来であれば、b接点とc接点がフローティング状態にあるので、検出回路26の一方入力と他方入力に共にフローティング電位が与えられるはずである。しかし、図8に示すように、a接点とb接点をブリッジする小付着物30が存在する場合は、接地電位→導線23→a接点→小付着物30→b接点→導線24→検出回路26の経路が形成されるため、検出回路26の他方入力に接地電位が供給されることになる。
【0038】
同様に、図9に示すように、a〜c接点をブリッジする大付着物31が存在する場合も、接地電位→導線23→a接点→大付着物31→b接点→導線24→検出回路26の経路が形成されると共に、接地電位→導線23→a接点→大付着物31→c接点→導線25→検出回路26の経路が形成されるため、検出回路26の一方入力と他方入力に共に接地電位が供給されることになる。
【0039】
以上をまとめると、次のような組み合わせになる。
<外部アンテナ12の接続時>
検出回路26の一方入力:接地電位
検出回路26の他方入力:フローティング電位
<外部アンテナ12の非接続時/付着物なし>
検出回路26の一方入力:フローティング電位
検出回路26の他方入力:フローティング電位
<外部アンテナ12の非接続時/付着物(小付着物30)あり>
検出回路26の一方入力:フローティング電位
検出回路26の他方入力:接地電位
<外部アンテナ12の非接続時/付着物(大付着物31)あり>
検出回路26の一方入力:接地電位
検出回路26の他方入力:接地電位
【0040】
ここで、フローティングとは、一般的に電気的に浮いた状態(オープン状態)のことをいい、その状態の電位(フローティング電位)は確定電位ではなく、少なくとも接地電位に確定されない不定電位である。したがって、本願の技術においては、原理上、前記の検出回路26は前記四つの組み合わせに従い、「外部アンテナ12の接続時」、「外部アンテナ12の非接続時/付着物なし」、「外部アンテナ12の非接続時/付着物(小付着物30)あり」、及び、「外部アンテナ12の非接続時/付着物(大付着物31)あり」を判別することができ、これにより、冒頭で説明した従来技術の不都合(浴室等で使用する際の外部アンテナ接続の誤判定)を回避できるようになる。
【0041】
これは、接続部(本体13の凹部17)に、共通接点領域(a接点)と第一の接点領域(c接点)のいずれとも絶縁されていて、且つ、幾何学上の位相関係において共通接点領域(a接点)と第一の接点領域(c接点)との間にある第二の接点領域(b接点)を設けたからである。このようにすることにより、第一の接点領域(c接点)の共通接点領域(a接点)に対する(電気的な)接続関係と、第二の接点領域(b接点)の共通接点領域(a接点)に対する(電気的な)接続関係との変化が、外部回路(外部アンテナ等)の正常な接続によるものか、あるいは、水滴やゴミ等の外的要因によるものかを適切に区別(判別)することができるようになり、加えて、その判別結果に基づいて適切に内部回路と外部回路とを切換えることができるようになる。
【0042】
(2)第二の実施形態
ただし、前記のとおりフローティング電位は「確定電位」でないため、実用上は、プルアップ抵抗やプルダウン抵抗を使用するなどしてフローティング電位を所定の電位に規定する(確定電位とする)ことが望ましい。
【0043】
たとえば、プルアップ抵抗を使用してフローティング電位をHレベル相当の高電位に規定した場合、前記の四つの組み合わせは以下のとおりになる。ただし、以下の組み合わせでは、このHレベルに対応させて、接地電位をLレベルと書き表している。
【0044】
<外部アンテナ12の接続時>
検出回路26の一方入力:Lレベル
検出回路26の他方入力:Hレベル
<外部アンテナ12の非接続時/付着物なし>
検出回路26の一方入力:Hレベル
検出回路26の他方入力:Hレベル
<外部アンテナ12の非接続時/付着物(小付着物30)あり>
検出回路26の一方入力:Hレベル
検出回路26の他方入力:Lレベル
<外部アンテナ12の非接続時/付着物(大付着物31)あり>
検出回路26の一方入力:Lレベル
検出回路26の他方入力:Lレベル
【0045】
図10は、第二の実施形態における検出回路26と切換回路28の構成例を示す図である。この図において、検出回路26は二つの入力(一方入力32と他方入力33)を有しており、一方入力32とHレベル相当の高電位Vpとの間に挿入された第一プルアップ抵抗34と、他方入力33と高電位Vpとの間に挿入された第二プルアップ抵抗35とを備えると共に、各一個のインバータゲート36とアンドゲート37を備える。インバータゲート36は、一方入力32の論理反転信号を出力し、アンドゲート37は、他方入力33の論理がHレベルで且つインバータゲート36の出力論理がHレベルの時、つまり、一方入力32の論理がLレベルで且つ他方入力33の論理がHレベルの時にHレベルとなる切換信号を切換回路28に出力する。
【0046】
なお、ここでは、プルアップ抵抗(第一プルアップ抵抗34と第二プルアップ抵抗35)を使用しているが、これは、フローティング電位をHレベル相当の確定電位(Vp)に規定する例を示しているに過ぎない。Lレベル相当の確定電位(接地電位)に規定する場合は、第一プルアップ抵抗34と第二プルアップ抵抗35をそれぞれプルダウン抵抗に置き換えると共に、Vpを接地電位とすればよい。
【0047】
切換回路28は、この図ではスイッチ記号として描いているが、これに限定されない。要するに、検出回路26からの切換信号がHレベル以外の時には、図示のとおり、内部回路(内部アンテナ素子)29の信号を選択して所要の回路(図では受信回路38)に出力する一方、検出回路26からの切換信号がHレベルの時には、d接点を介して入力される不図示の外部回路(図6の符号20参照)からの信号を選択して所要の回路(図では受信回路38)に出力する機能を有していればよく、その機能の実現態様は特定しない。
【0048】
このように検出回路26を構成すれば、前記の論理の組み合わせから、外部アンテナ12の接続/非接続の判定を行うことができると共に、外部アンテナ12の非接続時における水滴等の付着に起因する誤判定(非接続を接続と誤判定する)も確実に回避することができる。
【0049】
具体的には、検出回路26の一方入力32がLレベルで他方入力33がHレベルであれば「外部アンテナ12の接続時」を判定することができ、また、検出回路26の一方入力32と他方入力33が共にHレベルであれば「外部アンテナ12の非接続時/付着物なし」を判定することができる。さらに、検出回路26の一方入力32がHレベルで他方入力33がLレベルであれば「外部アンテナ12の非接続時/付着物(小付着物30)あり」を判定することができ、あるいは、検出回路26の一方入力32と他方入力33が共にLレベルであれば「外部アンテナ12の非接続時/付着物(大付着物31)あり」を判定することができる。
【0050】
このように、この第二の実施形態においても、接続部(本体13の凹部17)に、a接点とc接点のいずれとも絶縁されていて、且つ、幾何学上の位相関係においてa接点とc接点との間にあるb接点を設けたので、c接点のa接点に対する(電気的な)接続関係と、b接点のa接点に対する(電気的な)接続関係との変化が、外部回路(外部アンテナ等)の正常な接続によるものか、あるいは、水滴やゴミ等の外的要因によるものかを適切に区別(判別)することができるようになり、加えて、その判別結果に基づいて適切に内部回路と外部回路とを切換えることができるようになる。すなわち、前記の第一の実施形態と同様の効果を得られると共に、さらに、プルアップ抵抗34、35によって、オープン状態にあるときのb接点とc接点の電位を所定電位(Hレベル相当の電源電位)に確定したので、各々1個のインバータゲート36とアンドゲート37の組み合わせで検出回路26を構成することができ、この検出回路26の構成の簡素化を図ることができる。
【0051】
なお、本願の技術は、以上の実施形態に限定されず、その思想の範囲内において様々な変形例や発展例を包含することはもちろんである。たとえば、以下のようにしてもよい。
【0052】
(3)第三の実施形態
図11は、第三の実施形態における接点形状の変形例を示す図である。前記の第一の実施形態では、本体13の凹部17の底と、外部アンテナ12の凸部18の表面に、それぞれ微細な間隔を保って並行する四つの接点(a〜d接点とa´〜d´接点)を取り付けているが、これに限らず、たとえば、この図11に示すように、一つの中心接点39と、その中心接点39を取り囲む同心円状の三つの環状接点40〜42としてもよい。中心接点39は前記の実施形態のd接点(d´接点)に置き換わり、三つの環状接点40〜42はそれぞれ前記の実施形態のa〜c接点(a´〜c´接点)に置き換わる。ただし、三つの環状接点40〜42のうち中間に位置するもの(環状接点41)は、前記の実施形態のb接点(b´接点)として用いなければならない。接点間隔、とりわけ、三つの環状接点40〜42の間隔は、前記の実施形態における“微細な間隔”、すなわち、不本意なショートを引き起こす付着物(典型的には水滴)の大きさ相当またはそれよりも小さくする。
【0053】
この変形例においても、前記の第一の実施形態と同様に、簡単な形状で、共通接点領域(環状接点40又は42)と第一の接点領域(環状接点42又は40)のいずれとも絶縁されていて、且つ、幾何学上の位相関係において共通接点領域と第一の接点領域との間にある第二の接点領域(環状接点41)を設けることができる。
【0054】
図12は、第三の実施形態における接点形状の他の変形例を示す図である。この変形例では、一つの中心接点43と、その中心接点43を取り囲む相似形の三つのロの字状接点44〜46としており、中心接点43は前記の実施形態のd接点(d´接点)に置き換わり、三つのロの字状接点44〜46はそれぞれ前記の実施形態のa〜c接点(a´〜c´接点)に置き換わる。ただし、三つのロの字状接点44〜46のうち中間に位置するもの(ロの字状接点45)は、前記の実施形態のb接点(b´接点)として用いなければならない。この例でも接点間隔、とりわけ、三つのロの字状接点44〜46の間隔は、前記の実施形態における“微細な間隔”、すなわち、不本意なショートを引き起こす付着物(典型的には水滴)の大きさ相当またはそれよりも小さくする。
【0055】
この変形例においても、前記の第一の実施形態と同様に、簡単な形状で、共通接点領域(環状接点44又は46)と第一の接点領域(環状接点46又は44)のいずれとも絶縁されていて、且つ、幾何学上の位相関係において共通接点領域と第一の接点領域との間にある第二の接点領域(環状接点45)を設けることができる。
なお、三つのロの字状接点44〜46の接頭語である“ロの字”は、単に多角形を意味する便宜的表現に過ぎない。すなわち、三つのロの字状接点44〜46は、図示のように四つの角を持つ形状であってもよいし、あるいは、三つ乃至は四つ以上の角を持つ形状であってもよい。要は多角形状であればよい。
【0056】
さらに、接点形状は他のいろいろな形も考えられる。ここでは敢えて図示しないが、要するに、以下の要点を備えていればよい。
(A)外部回路用の信号伝達接点を備えていること。具体的には、実施の形態のd接点(d´接点)や中心接点39、43に相当するものを備えていること。
(B)外部回路用の信号伝達接点の近傍に、外部回路に対して所定の電位(実施の形態ではLレベル相当の接地電位であるが、Hレベル相当の電位であってもよい。)を与える第一接続用接点を備えていること。具体的には、実施の形態のa接点(a´接点)や環状接点42、46(又は環状接点40、44)に相当するものを備えていること。
(C)外部回路用の信号伝達接点の近傍に、外部回路を接続した際に所定の電位(例:接地電位)となる第二接続用接点を備えていること。具体的には、実施の形態のc接点(c´接点)や環状接点40、44(又は環状接点42、46)に相当するものを備えていること。
(D)前記の第一接続用接点と第二接続用接点との間に、フローティング状態の付着物判定用接点を備えていること。具体的には、実施の形態のb接点(b´接点)や環状接点41、45に相当するものを備えていること。
(E)前記の第一接続用接点と第二接続用接点及び付着物判定用接点の間隔は、不本意なショートを引き起こす可能性がある付着物の大きさ相当またはそれよりも小さいこと。
かかる要点(A)〜(E)を満たしている限り、如何なる形の接点であっても構わない。
【0057】
(4)第四の実施形態
あるいは、接点ではなくプラグ/ジャックの形態としてもよい。
図13は、第四の実施形態におけるプラグ/ジャックの一例を示す図である。この図において、ジャック47は、バネ性を有する三つの接点(第一接点48、第二接点49及び第三接点50)と導電体からなる差し込み口51とを備えており、差し込み口51には接地電位が与えられている。一方、必要に応じて、この差し込み口51から挿入されるプラグ52は、たとえば、先端導体(チップともいう)53と中間導体54(リングともいう)と根本導体55(スリーブともいう)との間に絶縁体56、57(絶縁リングともいう)を挟み込んで構成されており、中間導体54と根本導体55は、このプラグ52の内部で接続されていると共に、先端導体53は不図示の外部回路(図6の外部アンテナ素子20参照)に接続されている。
【0058】
このような構成において、図示のように、プラグ52をジャック47に完全に差し込んだ場合は、プラグ52の先端導体53とジャック47の第一接点48が接触し、プラグ52の中間導体54とジャック47の第二接点49が接触し、さらに、プラグ52の根本導体55とジャック47の差し込み口51が接触する。したがって、この場合は、接地電位(Lレベル)→差し込み口51→根本導体55→中間導体54→第二接点49→導線25→検出回路26の一方入力32という経路が形成され、検出回路26の一方入力32にLレベルが供給される。また、このとき、第三接点50と絶縁体57が接触しているため、Vp→プルアップ抵抗35の経路で検出回路26の他方入力33にHレベルが供給される。以上の結果、前記の論理の組み合わせより、検出回路26の一方入力→Lレベル、且つ、検出回路26の他方入力→Hレベルであるから、「外部アンテナ12の接続時」を判定することができる。
【0059】
図14は、第四の実施形態におけるプラグを差し込まないときのジャックを示す図である。
この図に示すように、プラグ52をジャック47に差し込んでいない場合で、しかも、水滴等の付着物58によって、差し込み口51と第三接点50の間がブリッジされてしまったときを想定すると、この状態においては、接地電位→差し込み口51→付着物58→第三接点50→導線24→検出回路26の他方入力33の経路が形成されるため、検出回路26の他方入力33にLレベルが供給される。したがって、前記の論理の組み合わせより、「検出回路26の他方入力→Lレベル」となる条件は、「外部アンテナ12の非接続時/付着物(小付着物30)あり」または「外部アンテナ12の非接続時/付着物(大付着物31)あり」であるから、かかるプラグ/ジャック方式の場合であっても、「外部アンテナ12の非接続時」を支障なく判定することができ、冒頭の従来技術のような誤判定を招くことがない。
【0060】
なお、図13のプラグ52は、先端導体53と中間導体54と根本導体55との間に絶縁体56、57を挟み込んだ特殊な構造を有しているが、これに限定されず、たとえば、汎用の4極プラグを用いてもよい。
【0061】
図15は、第四の実施形態に汎用の4極プラグを適用した場合を示す図である。この図において、汎用の4極プラグは、先端から順にチップ(T)、第1絶縁リング(ZR1)、第1リング(R1)、第2絶縁リング(ZR2)、第2リング(R2)、スリーブ(S)を同軸上に並べて構成されており、T、R1、R2及びSのそれぞれに固有の端子番号が割り当てられている。図中の丸付き数字は端子番号を表し、具体的には、T→1、R1→2、R2→3、S→4の端子番号が割り当てられている。
【0062】
このような構成の4極プラグをジャック47に差し込むと、プラグのTとジャック47の第一接点48が接触し、プラグのR1とジャック47の第二接点49が接触し、プラグのR2とジャック47の第三接点50が接触し、プラグのSとジャック47の差し込み口51が接触するから、プラグのTを外部回路に接続すると共に、プラグのR1とSの間を内部で接続し、プラグのR2を未使用状態(どこにも接続しない状態)としておけばよい。
【0063】
また、以上の説明では、電子機器の適用例として、ストレートタイプの筐体を有する携帯型のワンセグ受信機を例示したが、これに限定されないことはもちろんである。要は内部回路と外部回路とを適宜に切換えて使用する電子機器であればよく、ワンセグ受信機以外の電子機器、たとえば、携帯電話機やオーディオ端末、録音機、無線機等々、如何なるものであってもよい。さらに、内外回路の例もアンテナに限らず、機能や仕様上の要求などから適宜に選択して用いられる、たとえば、イヤホンや外部増幅器、スピーカ、または外部マイクなどであってもよい。
【0064】
(5)第五の実施形態
次に、電子機器本体への外部回路(以上の説明では外部アンテナ12)の取り付け形態について、他の好ましい例を開示する。
【0065】
図16は、第五の実施形態における第一の取り付け形態例を示す図である。電子機器59は、ここでは折りたたみ式の携帯電話機(ワンセグ放送受信機能付き)である。すなわち、この電子機器59は、ヒンジ機構60によって連結され、折り畳み可能な上蓋部61と本体部62とを有しており、折り畳んだ状態で対向する上蓋部61と本体部62の所定位置に、それぞれ外部アンテナ63を取り付けるための溝64、65を形成すると共に、一方の溝64の内部に接地電極(ここでは接地電極とするが、これは一例である。所定電位の電極であればよい。)64aを、また、他方の溝65の内部に外部アンテナ接続検出電極65aと外部信号取り込み電極65bとを設けている。なお、いずれか一方の溝を浅溝又は平坦面としてもよい。
【0066】
図17は、外部アンテナ63を示す図である。外部アンテナ63の基部一側面には第1電極63aが配置されており、また、この一側面の反対側面には第2電極63bと第3電極63cが配置されている。第1電極63aと第2電極63bとの間はアンテナ内部で電気的に接続されており、さらに、第3電極63cとアンテナ素子63dの間が接続されている。なお、この図では、アンテナ素子63dを“アンテナ記号”で表しているが、これは便宜である。電波を受信し又は送信し若しくは送受信するものであればよく、アンテナ素子63dの種類や形式あるいは構造等は特に限定しない。
【0067】
図18は、外部アンテナ63を接続して折り畳んだ状態(クローズスタイル状態)の電子機器59を示す図である。
図示のように、外部アンテナ63の基部を、電子機器59の上蓋部61と本体部62に形成された溝64、65のいずれか一方に嵌め込んで上蓋部61を閉じる(クローズする)と、外部アンテナ63の基部が、それら一対の溝64、65によってしっかりと保持される。このとき、一方の溝64の接地電極64aと外部アンテナ63の第1電極63aとが接触すると共に、他方の溝65の外部アンテナ接続検出電極65aと外部アンテナ63の第2電極63bとが接触し、さらに、他方の溝65の外部信号取り込み電極65bと外部アンテナ63の第3電極63cとが接触する。
【0068】
したがって、電子機器59の側で、たとえば、冒頭で引用した特許文献1の技術を利用するなどして、外部アンテナ接続検出電極65aに「接地電位」が与えられたか否かを判定することによって、外部アンテナ63の接続/被接続を判断することができるようになる。加えて、この構成によれば、電子機器59を折り畳む(クローズする)際に、一対の溝64、65に外部アンテナ63を挟み込むだけで、その外部アンテナ63の接続を検出し、内部アンテナから外部アンテナ63への切換を自動で行うことができるから、折り畳みタイプの電子機器に支障なく適用することができるという利点が得られる。
【0069】
図19は、第五の実施形態における第二の取り付け形態例を示す図である。電子機器64は、ここでは2軸ヒンジ方式の携帯電話機(ワンセグ放送受信機能付き)である。すなわち、この電子機器64は、2軸ヒンジ機構65によって連結され、折り畳み回転(矢印66参照)と水平回り回転(矢印67参照)とが可能な上蓋部68と本体部69とを有しており、裏返し状態で対向する上蓋部68と本体部69の所定位置に、それぞれ外部アンテナ70を取り付けるための溝71、72を形成すると共に、一方の溝71の内部に接地電極71aを、また、他方の溝72の内部に外部アンテナ接続検出電極72aと外部信号取り込み電極72bとを設けている。外部アンテナ70は前記の実施形態の外部アンテナ12に相当し、図17の外部アンテナ63と同じものである。なお、いずれか一方の溝を浅溝又は平坦面としてもよい。
【0070】
図20は、外部アンテナ63を接続して折り畳み回転させた状態の電子機器64を示す図である。
図示のように、外部アンテナ63の基部を、電子機器64の本体部69に形成された溝72に嵌め込んで上蓋部61を折り畳み回転させて閉じる(表示部を表に出して閉じる;いわゆるビュースタイルにする)と、外部アンテナ63の基部が、一対の溝71、72によってしっかりと保持される。このとき、一方の溝71の接地電極71aと外部アンテナ63の第1電極63aとが接触すると共に、他方の溝72の外部アンテナ接続検出電極72aと外部アンテナ63の第2電極63bとが接触し、さらに、他方の溝72の外部信号取り込み電極72bと外部アンテナ63の第3電極63cとが接触する。
【0071】
したがって、電子機器64の側で、たとえば、冒頭で引用した特許文献1の技術を利用するなどして、外部アンテナ接続検出電極72aに「接地電位」が与えられたか否かを判定することによって、外部アンテナ63の接続/被接続を判断することができるようになる。加えて、この構成においても、電子機器64を折り畳み回転する際に、一対の溝71、72に外部アンテナ63を挟み込むだけで、その外部アンテナ63の接続を検出し、内部アンテナから外部アンテナ63への切換を自動で行うことができるから、2軸ヒンジ機構タイプの電子機器に支障なく適用することができるという利点が得られる。また、とりわけ、2軸ヒンジ機構タイプの電子機器にあっては、上蓋部61を回転させ、その上蓋部61の液晶パネルを表に出した状態で上蓋部61を閉じて、たとえば、地上デジタル放送の視聴に使用するという、いわゆる「ビュースタイル」の利用が可能であるので、この2軸ヒンジ機構タイプの電子機器に適用した場合には、クローズスタイルからビュースタイル又はその逆へのスタイル変更の際に、確実に内外回路の切り換えを行うことができるという格別の効果が得られる。
【0072】
図21は、第五の実施形態における第三の取り付け形態例を示す図である。電子機器73は、ここではスライド方式の携帯電話機(ワンセグ放送受信機能付き)である。すなわち、この電子機器73は、スライド機構74によって連結され、前後方向(矢印75参照)にスライド可能な上蓋部76と本体部77とを有しており、閉鎖状態で対向する上蓋部76と本体部77の所定位置に、それぞれ外部アンテナ78を取り付けるための平坦部79と溝80を形成すると共に、平坦部79に接地電極79aを、また、溝80の内部に外部アンテナ接続検出電極80aと外部信号取り込み電極80とを設けている。
【0073】
図22は、外部アンテナ63を接続して閉じた状態(クローズ状態)の電子機器73を示す図である。
図示のように、外部アンテナ63の基部を、電子機器73の上蓋部76と本体部77の一方に形成された溝80に嵌め込み、上蓋部76をスライドさせて閉じると、外部アンテナ63の基部が、平坦部79と溝80によってしっかりと保持される。このとき、平坦部79の接地電極79aと外部アンテナ63の第1電極63aとが接触すると共に、溝80の外部アンテナ接続検出電極80aと外部アンテナ63の第2電極63bとが接触し、さらに、溝80の外部信号取り込み電極80bと外部アンテナ63の第3電極63cとが接触する。
【0074】
したがって、電子機器73の側で、たとえば、冒頭で引用した特許文献1の技術を利用するなどして、外部アンテナ接続検出電極80aに「接地電位」が与えられたか否かを判定することによって、外部アンテナ63の接続/被接続を判断することができるようになる。加えて、この構成によれば、電子機器73をスライドさせて閉じる際に、平坦部79と溝80に外部アンテナ63を挟み込むだけで、その外部アンテナ63の接続を検出し、内部アンテナから外部アンテナ63への切換を自動で行うことができるから、スライドタイプの電子機器に支障なく適用することができるという利点が得られる。
【0075】
以上説明した第五の実施形態によれば、折り畳みタイプの電子機器や、2軸ヒンジ機構タイプの電子機器、あるいは、スライドタイプの電子機器等に適用することができ、それらの電子機器のスタイル変更時に、手間をかけることなく、確実に外部回路の接続を検出できるという格別の効果が得られる。加えて、ジャックやプラグが必要なくなり、構造を簡素化できるという効果が得られる。また、外部アンテナを確実に保持することができる上、メンテナンス(電極の掃除)の容易化を図ることができる。特に、本体と上蓋の双方に溝がある場合は、各々の溝を浅くすることができるため、それだけメンテナンス性を改善できる。さらに、外部回路の選択自由度が上がり、デザインの自由度も向上するという効果も得られる。
【0076】
なお、第五の実施形態における三つの変形例(第一〜第三の変形例)においては、上蓋部に接地電極を設けると共に、本体部に外部アンテナ接続検出電極と外部信号取り込み電極とを設けているが、逆であってもよい。つまり、上蓋部に外部アンテナ接続検出電極と外部信号取り込み電極とを設けると共に、本体部に接地電極を設けていてもよい。
【0077】
また、前記の第一〜第三の実施形態における技術思想(a〜d電極を有するもの)を併用してもよく、この併用により、水滴等の付着物による誤判定を回避することもできる。
【0078】
以下、本発明の特徴を付記する。
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
(付記1)
付記1は、本体部に設けられた、外部回路の接続部と、
前記接続部に前記外部回路が接続されたことを検出する検出部とを備えた外部回路接続検出装置において、
前記接続部は、
前記外部回路用の信号伝達接点と、
前記外部回路用の信号伝達接点の近傍に位置して前記外部回路に対して所定の電位を与える第一接続用接点と、
前記外部回路用の信号伝達接点の近傍に位置して前記外部回路が接続された際に所定の電位となる第二接続用接点と、
前記第一接続用接点と第二接続用接点との間に位置すると共に前記信号伝達接点や第一接続用接点及び第二接続用接点と絶縁された付着物判定用接点とを備え、
前記検出部は、
前記第二接続用接点と付着物判定用接点との電位関係に基づいて前記外部回路の接続を検出することを特徴とする外部回路接続検出装置である。
(付記2)
付記2は、前記第一接続用接点、第二接続用接点及び付着物判定用接点の間隔を、ショートを引き起こす可能性がある付着物の大きさ相当またはそれよりも小さくしたことを特徴とする付記1に記載の外部回路接続検出装置である。
(付記3)
付記3は、前記検出部の検出結果に基づいて内部回路と前記外部回路とを切換える切換部をさらに備えたことを特徴とする付記1に記載の外部回路接続検出装置である。
(付記4)
付記4は、着脱可能な外部回路を接続するための接続部と、
前記接続部に前記外部回路が接続されたことを検出する検出部とを有する電子機器であって、
前記接続部は、
所定電位電源に電気的に接続されている共通接点領域と、
前記共通接点領域と絶縁されている第一の接点領域と、
前記共通接点領域と前記第一の接点領域のいずれとも絶縁され且つ前記共通接点領域と前記第一の接点領域との間に位置する第二の接点領域とを含み、
前記検出部は、
前記接続部に前記外部回路が接続された際に、前記外部回路の被接続部の接続構造により、前記第一の接点領域の前記共通接点領域に対する接続関係と、前記第二の接点領域の前記共通接点領域に対する接続関係とが変化したことを検出することを特徴とする電子機器である。
(付記5)
付記5は、前記検出部の検出結果に基づいて前記外部回路の機能を有効にする切換部をさらに備えたことを特徴とする付記4に記載の電子機器である。
(付記6)
付記6は、前記検出部は、
プルアップ抵抗またはプルダウン抵抗と、
前記接続関係の組み合わせを判断する論理回路とを含むことを特徴とする付記4に記載の電子機器である。
(付記7)
付記7は、前記共通接点領域は、円環状または多角形状を有していることを特徴とする付記4に記載の電子機器である。
(付記8)
付記8は、前記第一の接点領域は、円環状または多角形状を有していることを特徴とする付記4に記載の電子機器である。
(付記9)
付記9は、前記第二の接点領域は、円環状または多角形状を有していることを特徴とする付記4に記載の電子機器である。
(付記10)
付記10は、前記外部回路は、外部アンテナであることを特徴とする付記4に記載の電子機器である。
(付記11)
付記11は、前記外部回路は、イヤホン、外部増幅器、スピーカまたは外部マイクであることを特徴とする付記4に記載の電子機器である。
(付記12)
付記12は、本体部と、
該本体部に対して変位可能に連結された上蓋部と、
前記本体部と前記上蓋部の一方に設けられた所定電位電極と、
前記本体部と前記上蓋部の他方に設けられた外部信号取り込み電極及び外部回路接続検出電極とを備え、
前記本体部に対して前記上蓋部を変位させて該上蓋部を閉じた際に、
前記所定電位電極と前記外部信号取り込み電極及び外部回路接続検出電極とが所定の間隔を保って対向する位置関係になり、
該対向する位置関係にあるときの前記所定電位電極と前記外部信号取り込み電極及び外部回路接続検出電極との間に外部回路が挟装保持され、
且つ、前記挟装保持された状態で、
前記外部回路に設けられている信号取り出し電極と前記外部信号取り込み電極とが接触し、
さらに、前記外部回路に設けられている、電気的に接続された一対の電極の各々が前記所定電位電極と前記外部回路接続検出電極とに接触する
ように構成されていることを特徴とする電子機器である(請求項1)。
(付記13)
付記13は、前記上蓋部は、前記本体部に対して折り畳み可能に連結されていることを特徴とする付記12に記載の電子機器である(請求項2)。
(付記14)
付記14は、前記上蓋部は、前記本体部に対して2軸ヒンジ方式で相対回転可能に連結されていることを特徴とする付記12に記載の電子機器である(請求項3)。
(付記15)
付記15は、前記上蓋部は、前記本体部に対してスライド方式で相対移動可能に連結されていることを特徴とする付記12に記載の電子機器である(請求項4)。
(付記16)
付記16は、電子機器の接続部に接続可能な被接続部を有する外部回路であって、
前記被接続部は、
前記電子機器に接続されたときに前記電子機器から所定の電位が供給される共通接点領域と、
前記共通接点領域と電気的に接続されている第一の接点領域と、
前記共通接点領域と前記第一の接点領域のいずれとも絶縁され且つ前記共通接点領域と前記第一の接点領域との間に位置する第二の接点領域とを含むことを特徴とする外部回路である。
【符号の説明】
【0079】
a 接点
b 接点
c 接点
d 接点
10 電子機器
13 本体部
17 凹部
18 凸部
19 付着物
20 外部アンテナ素子
26 検出回路
28 切換回路
30 付着物
31 付着物
34 プルアップ抵抗
35 プルアップ抵抗
36 インバータゲート
37 アンドゲート
39 接点
40 接点
41 接点
42 接点
43 接点
44 接点
45 接点
46 接点
61 上蓋部
62 本体部
63 外部アンテナ
64 溝
65 溝
68 上蓋部
69 本体部
71 溝
72 溝
76 上蓋部
77 本体部
79 溝
80 溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体部と、
該本体部に対して変位可能に連結された上蓋部と、
前記本体部と前記上蓋部の一方に設けられた所定電位電極と、
前記本体部と前記上蓋部の他方に設けられた外部信号取り込み電極及び外部回路接続検出電極とを備え、
前記本体部に対して前記上蓋部を変位させて該上蓋部を閉じた際に、
前記所定電位電極と前記外部信号取り込み電極及び外部回路接続検出電極とが所定の間隔を保って対向する位置関係になり、
該対向する位置関係にあるときの前記所定電位電極と前記外部信号取り込み電極及び外部回路接続検出電極との間に外部回路が挟装保持され、
且つ、前記挟装保持された状態で、
前記外部回路に設けられている信号取り出し電極と前記外部信号取り込み電極とが接触し、
さらに、前記外部回路に設けられている、電気的に接続された一対の電極の各々が前記所定電位電極と前記外部回路接続検出電極とに接触する
ように構成されていることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記上蓋部は、前記本体部に対して折り畳み可能に連結されていることを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記上蓋部は、前記本体部に対して2軸ヒンジ方式で相対回転可能に連結されていることを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項4】
前記上蓋部は、前記本体部に対してスライド方式で相対移動可能に連結されていることを特徴とする請求項1に記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2013−21702(P2013−21702A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−187287(P2012−187287)
【出願日】平成24年8月28日(2012.8.28)
【分割の表示】特願2008−105309(P2008−105309)の分割
【原出願日】平成20年4月15日(2008.4.15)
【出願人】(310006855)NECカシオモバイルコミュニケーションズ株式会社 (1,081)
【Fターム(参考)】