説明

電子的に制御された分注システムにおける停止状態のポンプをリセットする方法

【課題】流体分注システム内の停止状態のポンプをリセットする多様な方法が開示される。
【解決手段】一実施形態において、レフィルコンテナ32が分注システム10内に収容されているかを判定し、その後、レフィルコンテナ32が取り外されている場合、ポンプアクチュエータ40を装填位置へと移動させる。別の方法では、ランタイマー60をセットし、ポンプアクチュエータ40を開始し、ランタイマー60の経過時にポンプアクチュエータ40がまだ流体分注システム10からの流体を分注しているかを判定し、その後、ランタイマー60が終了した場合においてポンプアクチュエータ40がまだ分注している場合、ポンプアクチュエータ40を移動させる。別の方法では、カバーが開いていることを検出し、モータ26を作動させてアクチュエータ40を装填位置へと移動させ、アクチュエータ40が装填位置に来ていることを判定し、その後モータ26をオフにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に流体分注システムに関する。詳細には、本発明は、分注可能な材料を含む指定されたレフィルコンテナのみをディスペンサ内に取り付けることを可能にし、かつ、所望であれば、選択された配給業者による取り付けを可能にするディスペンサに関する。より詳細には、本発明は、電子キーイングが施された流体分注システムにおいて用いられている停止状態のポンプをリセットすることに関する。
【背景技術】
【0002】
レストラン、工場、病院、浴室および家庭において用いられる流体ディスペンサを提供することが、周知である。これらのディスペンサは、石鹸、抗菌洗剤、消毒剤、ローションなどの流体を含み得る。また、何らかの種類のポンプ作動機構を備えたディスペンサを提供することも公知であり、このようなディスペンサの場合、ユーザは、レバーを押すかまたは引いて、一定量の流体をユーザの手の中に分注する。「ハンズフリー」ディスペンサも利用可能であり、その場合、ユーザはディスペンサハウジングによって維持されているセンサの下側に自分の手を置くだけで、一定量の流体が電動ポンプによって分注される。関連した種類のディスペンサが、粉末、エアロゾル材料または紙製品の分注用に利用可能である。
【0003】
ディスペンサは、一定量の流体を直接保持できるものの、使うのが面倒であり、困難でもあることが分かっている。そのため、一定量の流体を保持し、ポンプおよびノズル機構を提供するレフィルバッグまたはコンテナを用いることが知られている。これらのレフィルバッグは、取り付けが煩雑ではなく、容易に取り付け可能であるため、有利である。その上、このディスペンサは使用状況を見ることが可能であるため、レフィルバッグが残り少ないのを知り、他のディスペンサ状態情報も得ることができる。
【0004】
不正な人間が質の悪い製品を分注システムに補充しないようにするために、電子的キーまたは機械的キーなどの識別子を用いたレフィルコンテナが開発されている。詳細には、レフィルコンテナおよび前記レフィルコンテナ内に収容された流体を特定のディスペンサと関連付けるために、多様な種類の機械的キーまたは電子キーが利用可能である。電子キーを挙げると、磁気センサ、光学センサ、無線周波数識別デバイスなどがある(ただし、これらに限定されない)。これらの種類のディスペンサにおいては、識別子をレフィルコンテナ上に適切に配置または関連付けし、レフィルコンテナをディスペンサハウジング内に適切に収容することが重要である。識別キーの配置が不適切である場合、レフィルコンテナが分注システムによって読み取れず、停止状態となる。しかし、レフィルコンテナを動作可能な様態で分注システムによって検出することは可能であるものの、その場合、当該レフィルコンテナは、ポンプおよびノズル機構が詰まったままの状態で取り付けられたままである。不適切に取り付けられたレフィルコンテナが停止または詰まった場合、レフィルコンテナによって維持されているポンプアクチュエータならびに/またはモータアセンブリおよびポンプアクチュエータを動かす関連付けられた連結部に損傷が発生し得る。レフィルコンテナが不適切に取り付けられた場合またはポンプアクチュエータが停止となった場合、余分な流体が分注される可能性が出てくる。
【0005】
ディスペンサハウジングによって維持されているポンプアクチュエータまたはレフィルコンテナによって維持されているポンプおよびノズル機構は、任意の数の理由に起因して、詰まりまたは停止になり得る。例えば、ポンプが前回の分注サイクルからの流体材料で詰まる可能性がある。破片または他の障害物もポンプアクチュエータの動きを妨げ得、あるいは、上述したように、レフィルコンテナが分注ハウジングに適切に取り付けられていない場合もある。例えば、ポンプをアクチュエータの下側に取り付けられた場合、ディスペンサおよびレフィルコンテナの動作が妨げられる場合がある。従来、この問題は、ユーザが停止状態を認識し、ユーザがディスペンサハウジング内のレフィルコンテナを手作業で正確にリセットすることで解消されていた。そのため、従来のポンプ停止イベントを解消する方法は信頼性が低く、残念なことに、実行された修理によってシステムにさらなる損傷が発生する場合もある。そのため、当該分野において、電子的に制御された分注システム内の停止状態のポンプをリセットするための向上した方法が必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
上記を鑑みて、本発明の第1の局面は、電子キーイングが施された分注システムにおいて、停止状態のポンプをリセットする方法を提供することである。
【0007】
詳細な説明が進むにつれて明らかになる本発明の別の局面は、流体分注システムにおける停止状態のポンプをリセットする方法により、達成される。前記方法は、レフィルコンテナが前記分注システム内に収容されているか否かを判定することと、前記レフィルコンテナが取り外された際に、ポンプアクチュエータを装填位置に移動させることとを含む。
【0008】
本発明のさらに別の局面は、流体分注システム内の停止状態のポンプをリセットする方法を提供する。前記方法は、ランタイマーを開始することと、ポンプアクチュエータを起動させることと、前記ランタイマーの経過時に前記ポンプアクチュエータが前記流体分注システムからの流体をまだ分注しているか否か判定することと、前記ランタイマーの終了時に前記ポンプアクチュエータがまだ分注している場合、前記ポンプアクチュエータを反対方向に移動させることとを含む。
【0009】
本発明のさらに別の局面は、流体分注システム内の停止状態のポンプをリセットする方法を提供する。前記方法は、カバーが開いていることを検出することと、モータを作動させて、アクチュエータを装填位置に移動させることと、前記アクチュエータが前記装填位置に来たことを判定することと、前記モータをオフにすることとを含む。
本発明のさらに別の局面は、分注システムを提供する。前記分注システムは、製品が充填されたレフィルコンテナと、前記レフィルコンテナを受容するように適合されたハウジングと、製品を前記レフィルコンテナから分注するように前記レフィルコンテナまたは前記ハウジングのいずれかによって維持されたポンプであって、前記ポンプは、装填位置および分注位置を有する、ポンプと、前記ポンプと関連付けられた電子キーイング機構であって、前記電子キーイング機構は、停止状態が検出された場合、前記ポンプを前記装填位置に自動的に返送するように構成される、前記電子キーイング機構とを含む。
本発明の上記および他の局面ならびに本発明が先行技術の形態に比して有する利点は、以下の説明から明らかになり、また、以下に説明するおよび特許請求の範囲に記載する改善策により、達成される。
【0010】
本発明の目的、技術および構造の完全な理解のために、以下の詳細な説明および添付図面が参照されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明のコンセプトに従って作製された電子的に制御された分注システムの正面斜視図である。
【図2】前記電子的に制御された分注システムの模式図である。
【図3】分注システム内の停止状態のポンプをリセットする方法の動作フローチャートである。
【図4】前記分注システム内の停止状態のポンプをリセットする方法の動作フローチャートの別の実施形態である。
【図5】前記分注システム内の停止状態のポンプをリセットする方法の動作フローチャートのさらに別の実施形態である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
ここで図面及び特に図1および図2を参照して、分注システムが符号10によって主に指定されていることが分かる。分注システム10は、ハウジング12を含む。ハウジング12は、バックプレート14を提供する。バックプレート14は、壁部または他の固定面に取り付けられ得る。ハウジング10はまた、フロントカバー16も含む。フロントカバー16を図1中透視図として図示する。フロントカバー16は、バックプレート14に対して移動可能である。フロントカバー16は、ヒンジ機構、屈折可能なディテント、摩擦フィット、ファスナーなどにより、バックプレート14に連結され得る。本発明を壁に取り付けられた分注システムとして説明するが、本明細書中の教示内容は、カウンターに取り付けられた分注システム、独立型分注システムあるいは他の類似の種類の分注システムに適用可能ことが理解されるであろう。任意のイベントにおいて、フロントカバー16は、底面17を含む。底面17は、分注システムからの流体材料の分注を可能にするように、開口部18を提供する。フロントカバー16は、カバーセンサ20と関連付けられる。カバーセンサ20は、カバーのバックプレート14に対する位置を検出する。換言すれば、カバーセンサ20は、フロントカバー16の位置がバックプレート14から遠位方向に移動した場合または別離するたびに、この遠位移動または別離を検出する。このようなイベントは典型的にはレフィルコンテナを交換するために前記ハウジングが開けられた際に発生するが、前記フロントカバーが前記バックプレートとぴったりはまっていない場合にも発生し得る。ホール効果スイッチ、磁気センサ、光学センサ、マイクロスイッチまたは他の類似の構成も、カバーセンサ20に用いることが可能である。また、分注システムは、開口部18の近隣においてハンドセンサ24を提供する。ハンドセンサ24は、ユーザがノズルの近隣に居る際にユーザの手などの対象物の存在を検出し、これにより分注イベントを開始する。センサ24は、赤外線または超音波センサ、容量性センサまたは類似の種類のセンサでよい。
【0013】
分注システム10は、モータ26を有する。モータ26は、回転可能シャフト27を有する。回転可能シャフト27は、一方向型であってもよいし、あるいは可逆型であってもよい。換言すれば、いくつかの実施形態において、モータシャフトは1方向のみに回転可能であり、他の実施形態において、モータシャフトは可逆型であるため、1方向に回転した後必要があれば方向を変える。分注システム10への電力は、適切なサイズにされた電池区画内に収容された少なくとも1つの電池28により、提供される。この電池は充電式であり得、必要な電力を提供し、図2中記号V+によって表される。当業者であれば理解するように、センサ20および24ならびにモータ26は、電池および後述するような分注システム内の他のコンポーネントにより、電力供給される。
【0014】
レフィルコンテナ32は、フロントカバーがバックカバー14から開いた際に、ハウジング12内に収容される。レフィルコンテナ32は、分注対象となる流体または製品を搬送する。前記流体または製品は、石鹸、ローション、消毒剤、あるいは特定のエンドユースにおいて必要とされるような他の任意の流体材料または製品であり得る。各レフィルコンテナ32は、識別子キー34を提供する。識別子(ID)キー34は、電子キーとも呼ばれる。本実施形態において、識別子キーは、円形型の針金コイルであり、レフィルコンテナ32の首部周囲に巻かれている。この特定の種類の電子キーに関する詳細な説明について、「ELECTRONICALLY KEYED DISPENSING SYSTEMS AND RELATED MEMTHODS UTILIZING FIELD FREQUENCY RESPONSE」という名称の米国特許出願シリアル番号第11/013,727号に記載がある。本明細書中、同出願を参考のため援用する。簡潔にいうと、識別子キー34は、コンデンサが取り付けられた針金コイルである。レフィルコンテナ32が前記ハウジングに適切に取り付けられた場合、識別子キー34は、空間を空けて配置された他の2本のコイルの間に受容される。前記空間を空けて配置されたコイルのうちの1本が作動すると、識別子キーとして用いられる針金コイルが作動し、前記コンデンサに対して特有の符号化信号を放出する。この符号化信号は、他方の空間を空けて配置されたコイルによって検出され、その後、保存されている符号とコントローラによって比較される。前記符号化信号が許容可能である場合、システムは意図したように動作する。前記符号化信号が前記保存されている符号とマッチしない場合、システムは動作不能にされる。当業者であれば、上記した識別子キー構成の代わりに、他の電子的キーイングシステム、光学キーイングシステムまたは機械的キーイングシステムを用いてもよいことを理解する。
【0015】
レフィルコンテナ32からは、ポンプ36が軸方向に延びている。ポンプ36からは、ノズルが延びている。レフィルコンテナ32が前記ハウジング内に取り付けられると、前記ポンプは、ポンプアクチュエータ40内に受容されるか、あるいはポンプアクチュエータ40に連結される。ポンプアクチュエータ40は、前記ハウジングによって搬送される。前記ハウジングは、前記レフィルコンテナからの流体を分注するように、前記ポンプを移動させる。ポンプアクチュエータ40は初めは、前記レフィルコンテナが取り付けられる際、主に符号42によって示される装填位置に配置される。機械的連結部44は、多様な種類の歯車を含み得、モータ26のシャフト27をポンプアクチュエータ40と相互接続させる。そのため、前記モータシャフトが特定方向に回転すると、連結部44は、この回転運動を直線運動に変換して、ポンプアクチュエータ40を所望の方向に移動させて、ポンプを作動させる。アクチュエータセンサ46は、ポンプアクチュエータが装填位置42にあるか否かを検出するために、機械的連結部44および/またはモータ26および/またはポンプアクチュエータ40に接続される。ほとんどの実施形態ではアクチュエータセンサ46を提供しているが、いくつかの実施形態において、アクチュエータセンサを設けなくてもよい場合もあることが理解される。
【0016】
キーリーダーは、主に符号52によって示され、ハウジング12によって搬送される。リーダー52は、電池28によって電力供給され、識別子キー34の存在を検出する。上述したように、キーリーダー52は、空間を空けて配置された針金コイルであってもよいし、用いられる識別子の種類に応じて、リーダー52は、バーコードセンサ、磁気を検出するホール効果センサ、またはレフィルコンテナが分注システム10内に受容されていることを示す電子信号を検出および生成することが可能な任意のセンサであればよい。
【0017】
コントローラ56は、電池28によって電力供給され、カバーセンサ20、ハンドセンサ24、モータ26およびアクチュエータセンサ46に接続され、かつ、カバーセンサ20、ハンドセンサ24、モータ26およびアクチュエータセンサ46からの対応する信号を受信し、これにより、その動作を制御する。コントローラ56は、前記多様なセンサによって提供される入力または入力の欠如の検出に関連する分注システムの動作および任意のサブルーチンを実行するために必要なハードウェアおよびソフトウェアを提供する。コントローラ56は、マッチングキー58を維持する。マッチングキー58は、レフィルコンテナと関連付けられた電子キーと比較される。換言すれば、コントローラ56は、識別子キーと、前記識別子キー内において関連付けられた符号とを検出して、マッチングキー58と関連付けられた符号と比較する。前記符号および/またはキーがマッチする場合、分注システムはイネーブルされる。しかし、前記符号および/またはキーがマッチしない場合、分注システムはディセーブルされ、動作不能にされる。当業者であれば理解するように、タイマー60は、コントローラ56に接続してもよいし、あるいは、コントローラ内に設けてもよい。
【0018】
当業者であれば、モータ26、コントローラ56、センサ、識別子キー34、キーリーダー52、およびマッチングキーのうち、キー34およびリーダー52を光学構成としてもよく、その場合これを電子キーイング機構70と呼ぶ場合があることを理解する。電子キーイング機構70は、図2に示すように、前記コントローラ、前記キーおよび前記リーダーと直接関連付けられた任意のコンポーネントも含み、これらのコンポーネントは、電子的に制御された分注システム内の停止状態のポンプをリセットするために用いられる。以下の説明において説明するように、電子キーイング機構内に含まれるコンポーネントのうちの任意の1つまたはその組み合わせからの選択された入力に応じて、機構70は、停止状態が検出された際に、前記ポンプを自動的に装填位置へと返送するように構成される。
【0019】
通常動作時において、レフィルコンテナは適切に取り付けられ、分注システム10用の適切なレフィルコンテナとして検出され、フロントカバーはバックプレート14上で適切に閉められている。この状態において、コントローラ56は、対象物が適切に開口部18の下側に配置された旨を示す検出信号がハンドセンサ24から来るのを待機する。これが発生すると、コントローラ56は、モータ26によって制御されるモータシャフト27の回転を開始させ、前記シャフトの回転運動は、連結部44によって直線運動に変換される。前記連結部の運動に起因して、アクチュエータ40の運動が発生し、その結果、分注イベントが行われる。前記分注イベントの間、ポンプアクチュエータ40は、装填位置42から作動位置64(図2中に透視図として図示)へと移動した後、前記機械的連結部、重力または前記ポンプ内に保持されたバネ付勢のいずれかを介して、装填位置に戻る。
【0020】
背景技術の項で説明したように、レフィルコンテナがポンプアクチュエータに対して適切に取り付けられていないか、システムは停止状態になり得るか、または、システム内の障害物または機械的連結部との他の問題に起因して停止状態が発生し得る。コントローラ56によって維持されているソフトウェアが急停止した場合、ポンプアクチュエータ40は装填位置に戻らないことがさらに理解されるであろう。停止状態に対処するために、ポンプアクチュエータ40を装填位置に戻して分注システムが適切に動作できるようにするためのいくつかの動作シナリオを本明細書中開示する。
【0021】
ここで図3を参照して、電子分注システムにおける停止状態のポンプをリセットする方法が、主に符号100によって示されている。この方法は、ステップ102によって示される主要動作ルーチンから開始する。この主要動作ルーチンは、分注システムの通常の動作(例えば、ユーザの手の検出、通常の動作モードにおけるモータの動作、および分注システムによって用いられる他の任意のプログラミング機能)を制御する。停止状態が検出されると、ユーザまたは当該ディスペンサを担当する技術者は、フロントカバー16を開ける。フロントカバー16は、ステップ104において、カバーセンサ20によって検出され、その後、カバーセンサ20から適切な信号がコントローラ56へと送られる。ステップ106において、コントローラタイマー60を開始して、これにより、リセットプロセスが効率的に進行することを保証する。他の場合において、タイマーを用いない場合、望ましくない電池の電力枯渇が発生し得る。任意の期間が設定可能であるが、例示的な実施形態において、5秒の期間が用いられ得る。任意のイベントにおいて、ステップ108に進み、コントローラ56は、レフィルコンテナ32が取り外されたか否かを判定する。これは、電子キーおよびキーリーダー52を用いることにより、行われる。換言すれば、レフィルコンテナおよびその関連付けられた電子キーがキーリーダーによって検出されなくなった場合、ステップ110において、コントローラは、タイマーが時間切れとなったか否かについてクエリを送る。タイマーが時間切れとなっている場合、本方法またはプロセスは、ステップ102に戻る。上記したように、このようにしてタイマーを用いることで、望ましくない電池枯渇を回避できる。しかし、タイマーが時間切れになっていない場合、本プロセスはステップ108に戻り、当該レフィルコンテナは最終的に前記技術者によって取り外されるであろうと仮定される。
【0022】
ステップ108においてレフィルコンテナの取り外しが検出されると、本プロセスはステップ112へと進み、ステップ112において、コントローラ56は、モータ26を介して、ポンプアクチュエータを装填位置42へと移動させる。その結果、ポンプアクチュエータ40がリセットされ、その後、本プロセスは、ステップ114において、分注システムによって維持されている主要動作プロシージャに戻る。その後は、ユーザがレフィルコンテナの再取り付けを適切な方法で行うことが予測され、その結果、分注システムは、停止すること無く、意図される動作を適切に行う。
【0023】
要約すると、分注システム10は、レフィルコンテナが分注システムから取り外される度に、アクチュエータをデフォルトの「装填」位置42へと自動的に返送するようにプログラムされている。先ず、コントローラは、電子キーの検出を行わないことにより、レフィルの取り外しをロックする。当該レフィルコンテナが取り外されると、先行ポンプが停止状態であったか否かに関係なく自動アクチュエータのリセットが行われ、これにより、前記ポンプが取り外される前に停止状態であったか否かを判定するためにアクチュエータの位置決めについてクエリを送る必要が無くなる。これは、アクチュエータの自動リセットにより、次のレフィルコンテナおよびそのポンプが必ず正しい位置に取り付けられる点において、有利である。このような構成は、ディスペンサドアが開いておりかつレフィルが取り外されていない場合に、所定の期間後にリセット機能が時間切れとなる点においても、有利である。
【0024】
ここで図4を参照して、電子分注システムにおける停止状態のポンプをリセットするための別の方法を主に符号140によって示す。方法140において、主要動作を主に符号142によって示す。この実施形態において、ユーザは、フロントカバーを開ける必要は無く、コントローラは、停止状態を内的に修正するように構成される。そのため、ステップ144において、ハンドセンサ24は、ユーザの手の存在を検出し、ランタイマーをステップ146において開始する。任意の期間が設定可能であるが、例示的な実施形態において、3秒の期間が設定され得る。その後、ステップ148において、モータ26を起動または作動させるように、ポンプアクチュエータサイクルがコントローラ56によって開始され、その結果、モータ26は、ポンプアクチュエータ40を所望の態様で移動させる。ステップ150において、前記コントローラは、ランタイマーが時間切れとなったか否かについて問い合わせる。ステップ150により、分注サイクルの通常の動作が可能となる。しかし、ランタイマーがステップ150において時間切れとなった場合、コントローラは、ステップ152において、モータ26がまだ動作しているか否かについて問い合わせる。通常の動作において予測されるように前記モータがもはや動作していない場合、本プロセスは、ステップ142において主要動作に進む。しかし、ステップ152において前記モータがまだ動作していると判定された場合、本プロセスはステップ154に進み、コントローラは、モータシャフト27の回転を反転させて、アクチュエータを装填位置42へと返送させる。アクチュエータが装填位置に戻ったことの確認は、センサ46によって生成された信号により、確認される。ポンプアクチュエータが装填位置に戻った後、動作はステップ142へと戻る。
【0025】
上述したリセット方法は、技術者がハウジングを開けてレフィルコンテナを取り外した後に新規コンテナを再度取り付ける必要が無い点において、有利である。ポンプの作動の時間を計測するための最大ランタイム機能(ステップ146および150)を用いることにより、停止が発生したかを容易に判定することができる。停止が実際に発生した場合、ポンプは作動を望ましくない状態でより長時間継続する。この状況を修正するため、モータシャフトの回転を反転させ、これによりアクチュエータを再度位置決めする。この実施形態では、連結部を介してアクチュエータの位置を監視するようにコントローラ56に接続されたアクチュエータセンサ46を用いており、これにより、アクチュエータが装填位置に戻ることを保証する。
【0026】
図5中に示すさらに別の実施形態において、方法を主に符号160によって示す。主要動作ステップ162は、本実施形態においても用いられ、カバーセンサ20は、ステップ164において、フロントカバーが開いたのを検出する。これが発生すると、ステップ166においてタイマーが開始され、その後、ステップ168において、モータが徐々に作動して、アクチュエータを装填位置へと移動させる。任意の期間が設定可能であるが、例示的な実施形態において、5秒の期間が用いられ得る。この実施形態では、モータシャフトは一方向型である。換言すれば、モータは可逆型ではない。
【0027】
ステップ170において、コントローラは、タイマーが時間切れになっているか否かについて問い合わせる。タイマーが時間切れになっていない場合、ステップ170において、コントローラは、アクチュエータによって判定されるような、アクチュエータが装填位置にあるのか否かについて問い合わせる。アクチュエータが装填位置に来ていないと判定された場合、本方法は、ステップ174において、ユーザに当該レフィルコンテナを取り外すよう要求する。ステップ174が完了すると、本方法はステップ168に戻り、モータは徐々に作動してアクチュエータを移動させ、ステップ170および172が繰り返される。ステップ170においてタイマーが時間切れであると判定された場合、コントローラは、ステップ178においてモータをオフにする。あるいは、ステップ170においてタイマーが時間切れになっていないと判定されたがステップ172においてアクチュエータが装填位置に来ている場合、モータはオフにされる。ステップ178が終了すると、本プロセスは、ステップ180において、センサ20によって判定されるようにフロントカバーが閉められた場合に、主要動作に戻る。
【0028】
本方法は、分注システムの構成を、フロントカバーが開けられた際に、モータシャフトを自動的にジョグまたは回転させるような構成にできる点において、有利である。その後、モータは、アクチュエータが適切な位置に戻るまで、電力を幾分継続的に付与する。ポンプが停止状態である場合、アクチュエータは、停止状態のポンプおよびレフィルコンテナが取り外されるまで、その装填位置に戻らない。ポンプが停止状態でない場合、モータシャフトは回転し、その後、ポンプアクチュエータの最終サイクルからアクチュエータが正しい位置にきているため、オフにされる。ポンプが停止状態であったか否かに関係無く、アクチュエータは、新規レフィルコンテナを受容できるよう、適切な位置におかれる。このタイマー機能により、電池枯渇を回避できる。
【0029】
よって、上記の方法に基づいて、ポンプアクチュエータを装填位置にリセットすることで、レフィルコンテナへの損傷または望ましくない分注イベントが無く、停止状態のポンプを容易に修正できるようにするための多様なシナリオが利用可能であることが理解される。これにより、レフィルコンテナからの流体の損失を節約でき、また、分注システムの動作機構への可能性のある損傷も回避できる。
【0030】
よって、本発明の目的は、上記の用途のための構造およびその方法により満足されることが分かる。特許規則に従い、最良の形態および好適な実施形態を詳細に提示および説明してきたが、本発明はこれらに限定されずまたこれらによって限定されないことが理解される。よって、本発明の真なる範囲の理解のために、以下の特許請求の範囲が参照されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体分注システム内の停止状態のポンプをリセットする方法であって、
レフィルコンテナが前記分注システム内に収容されているか判定することと、
前記レフィルコンテナが取り外された際、ポンプアクチュエータを装填位置に移動させること、
とを含む、方法。
【請求項2】
前記分注システムは、フロントカバー付きのハウジングを含み、前記レフィルコンテナは前記ハウジング内に受容可能であり、前記方法は、
前記判定ステップの前に前記フロントカバーが開いているかを検出することと、
前記判定ステップの前にタイマーを開始することと、
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記レフィルコンテナには、前記分注システムによる読み取りが可能な検出可能なキーが設けられ、前記方法は、
前記レフィルコンテナが前記分注システム内に収容されているかを判定するために、前記検出可能なキーを読み取ること、
をさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記タイマーが時間切れとなるまでまたは前記レフィルコンテナが前記ハウジングから取り外されたと判定されるまで、前記読み取りステップを繰り返すこと、をさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
流体分注システムにおける停止状態のポンプをリセットする方法であって、
ランタイマーを開始することと、
ポンプアクチュエータを起動させることと、
前記ランタイマーの経過時において、前記ポンプアクチュエータが未だ前記流体分注システムからの流体を分注しているかを判定することと、
前記ランタイマーの終了時において前記ポンプアクチュエータが未だ分注している場合、前記ポンプアクチュエータを反対方向に移動させることと、
を含む、方法。
【請求項6】
ユーザの手の存在を検出して、前記ランタイマーを開始することをさらに含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
ユーザの手の存在を検出して、前記アクチュエータを開始することをさらに含む、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記モータシャフトの回転により前記ポンプアクチュエータを一方向に移動させ、前記モータシャフトの反転により前記ポンプアクチュエータを反対方向に移動させるように、前記ポンプアクチュエータをモータシャフトを有するモータと関連付けることをさらに含む、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
前記ランタイマーが時間切れとなった後に主要動作ルーチンに戻り、前記モータシャフトがもはや回転していないと判定することをさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
流体分注システムにおける停止状態のポンプをリセットする方法であって、
カバーが開いていることを検出することと、
モータを作動させて、アクチュエータを装填位置に移動させることと、
前記アクチュエータが前記装填位置に来たことを判定し、前記モータをオフにすることと、
を含む、方法。
【請求項11】
前記モータの作動前にタイマーを開始することと、
前記タイマーが時間切れとなっている場合、前記モータをオフにすることと、
をさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記タイマーが時間切れになっておらずかつ前記アクチュエータが前記装填位置に来ていない場合、前記分注システムからレフィルコンテナを取り外すこと
をさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記レフィルコンテナが取り外された後、前記タイマーがまだ時間切れになっていない間、前記モータを作動させて前記アクチュエータを前記装填位置へと移動させることをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記アクチュエータが前記装填位置に来ている場合、前記モータをオフにすることをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
分注システムであって、
製品が充填されたレフィルコンテナと、
前記レフィルコンテナを受容するように適合されたハウジングと、
前記レフィルコンテナからの製品を分注するように、前記レフィルコンテナまたは前記ハウジングのいずれかによって維持されるポンプであって、前記ポンプは、装填位置および分注位置を有する、ポンプと、
前記ポンプと関連付けられた電子キーイング機構であって、前記電子キーイング機構は、停止状態が検出された場合、自動的に前記ポンプを前記装填位置に返送するように構成される、電子キーイング機構と、
を含む、システム。
【請求項16】
前記電子キーイング機構は、
前記フロントカバーが開いたことを判定するための、前記ハウジングのフロントカバーに関連付けられたカバーセンサと、
レフィルコンテナが前記ハウジング内に受容されているか否かを判定するための、前記レフィルコンテナ上に設けられた検出可能なキーであって、前記フロントカバーが開いておりかつ前記レフィルコンテナが検出されていない場合、前記電子キーイング機構は、前記ポンプを前記装填位置へと移動させる、検出可能なキーと、
を含む、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記電子キーイング機構は、
前記ポンプに接続されかつタイマーを維持するコントローラと、
前記コントローラに接続されたハンドセンサと、
可逆型シャフトを備えたモータであって、前記モータは、前記コントローラに接続されかつ前記ポンプと係合可能であり、前記ハンドセンサが手を検出した場合、前記コントローラは、前記モータを通じて前記タイマーおよび前記ポンプを開始し、前記タイマーが時間切れとなっておりかつ前記モータがまだ回転している場合、前記コントローラは、前記可逆型シャフトを反対方向に回転させて、前記ポンプを前記装填位置に戻す、モータと、
を含む、請求項15に記載のシステム。
【請求項18】
前記電子キーイング機構は、
前記ポンプに接続されかつタイマーを維持するコントローラと、
前記フロントカバーが開いていることを判定するための、前記ハウジングのフロントカバーと関連付けられたカバーセンサと、
前記コントローラに接続されかつ前記ポンプと係合可能なモータと、
前記コントローラに接続されかつ前記ポンプを監視するアクチュエータセンサと、
前記レフィルコンテナ上に設けられた検出可能なキーであって、前記フロントカバーが開いている場合、前記タイマーが開始し、前記コントローラが徐々に前記モータを作動させて、前記アクチュエータセンサによって判定されるように、前記ポンプを前記装填位置へと移動させ、前記タイマーが時間切れになるまでに前記ポンプが前記装填位置に返送されない場合、ユーザは、前記検出可能なキーの存在によって判定されるように前記レフィルコンテナを移動させ、前記コントローラは、前記モータを作動させて、前記ポンプを前記装填位置へと移動させる、検出可能なキーと、
を含む、請求項15に記載のシステム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2011−106451(P2011−106451A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−252265(P2010−252265)
【出願日】平成22年11月10日(2010.11.10)
【出願人】(506190555)ゴジョ・インダストリーズ・インコーポレイテッド (44)
【Fターム(参考)】