説明

電子装置およびその製造方法

【課題】導電性接着剤によって異なる電位とされる2つのパッドが電気的に接続されることを防止することができる電子装置を提供することを目的とする。また、その電子装置の製造方法を提供することを第2の目的とする。
【解決手段】平板10の一面13に設けられた第1電極11および第1電極11とは異なる電位とされる第2電極12の上にそれぞれバンプ20を設ける。そして、各電極11、12の上に導電性接着剤30を設け、チップ部品40がバンプ20および導電性接着剤30に接触するように固定する。これにより、平板10の一面13を基準としてバンプ20がチップ部品40の接着高さを確保できるので、平板10の一面13とチップ部品40との隙間に導電性接着剤30が導電性接着剤30の表面張力によって引っ張られないようにすることができる。これにより、異電位の各電極11、12のショートを防止できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平板にチップ部品が実装された電子装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、平板とチップ部品とを備えた電子装置が、例えば特許文献1、2で提案されている。このような電子装置では、平板に異なる電位とされる少なくとも2つのパッドが形成されており、チップ部品がこれらのパッドに導電性接着剤によって接着されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭62−179796号公報
【特許文献2】特開平2−8705号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の技術では、導電性接着剤を用いてチップ部品をパッドに接合する場合、導電性接着剤が表面張力によってチップ部品の腹下(つまりチップ部品と平板との間)の狭小部に広がり、異なる電位とされるパッド間でショート不良を起こす問題がある。
【0005】
これを解決するため、導電性接着剤の粘度を上げて、導電性接着剤の広がり量を減らす対策も採られている。しかし、導電性接着剤作製時に特にディスペンス装置等を使用するとリードタイムの増加・塗布時のばらつきの増加等の問題がある。
【0006】
また、平板に溝を設けて広がりを防止することも検討されているが、これは平板に溝を作製するときに特にセラミック基板等では、平板の変形やデザインルール上の制限から作製困難な場合が多いことがあった。
【0007】
本発明は上記点に鑑み、導電性接着剤によって異なる電位とされる2つのパッドが電気的に接続されることを防止することができる電子装置を提供することを目的とする。また、その電子装置の製造方法を提供することを第2の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、一面(13)を有する平板(10)と、平板(10)の一面(13)に設けられた第1電極(11)と、平板(10)の一面(13)に設けられると共に第1電極(11)とは異なる電位とされる第2電極(12)と、第1電極(11)上および第2電極(12)上にそれぞれ設けられ、第1電極(11)に設けられる数と第2電極(12)に設けられる数との合計が少なくとも3個のバンプ(20)と、バンプ(20)を取り囲むと共に第1電極(11)上および第2電極(12)上に設けられた導電性接着剤(30)と、第1電極(11)に設けられたバンプ(20)および導電性接着剤(30)に接触すると共に導電性接着剤(30)を介して第1電極(11)に電気的に接続され、第2電極(12)に設けられたバンプ(20)および導電性接着剤(30)に接触すると共に導電性接着剤(30)を介して第2電極(12)に電気的に接続されたチップ部品(40)と、を備えていることを特徴とする。
【0009】
これによると、バンプ(20)が第1電極(11)および第2電極(12)に対してチップ部品(40)の接着高さを確保できるので、導電性接着剤(30)の表面張力によって導電性接着剤(30)がチップ部品(40)と平板(10)との隙間に引っ張られないようにすることができる。したがって、異なる電位とされる第1電極(11)と第2電極(12)とが導電性接着剤(30)によって電気的に接続されることを防止することができる。
【0010】
請求項2に記載の発明では、バンプ(20)は、金属材料としてAuもしくはAlで形成されたものであることを特徴とする。これにより、チップ部品(40)と各電極(11、12)とが導電性接着剤(30)だけでなくバンプ(20)を介しても電気的に接続されるので、チップ部品(40)と各電極(11、12)との導電性を向上させることができる。
【0011】
そして、請求項3に記載の発明のように、導電性接着剤(30)は、樹脂材料(31)にAgフィラー(32)が配合されたものを用いることができる。
【0012】
請求項4に記載の発明では、平板(10)は、セラミック基板であることを特徴とする。このように、平板(10)がセラミック基板であるので、平板(10)に高密度配線を形成することができる。また、セラミック基板は硬いので、バンプ(20)がAuやAlで形成されたものである場合にバンプ(20)にチップ部品(40)が押し付けられてチップ部品(40)と各電極(11、12)との導電性を良くすることができる。
【0013】
請求項5に記載の発明では、平板(10)は、有機樹脂製プリント基板であることを特徴とする。このように、平板(10)が有機樹脂製プリント基板であると、当該基板の表面にレジストが形成されているため、平板(10)のうちチップ部品(40)と対向する部分の疎水性を予め良くしておくことができる。これにより、導電性接着剤(30)が平板(10)の表面で弾かれるので、導電性接着剤(30)を広がりにくくすることができる。
【0014】
請求項6に記載の発明では、第1電極(11)および第2電極(12)のうち少なくともチップ部品(40)側に向いている面がAu層(14)でそれぞれ被覆されており、バンプ(20)および導電性接着剤(30)はAu層(14)の上に設けられていることを特徴とする。
【0015】
これによると、特に、バンプ(20)がAuで形成されたものである場合、Au層(14)の上にバンプ(20)が形成されやすい構造とすることができる。
【0016】
請求項7に記載の発明では、第1電極(11)は、当該第1電極(11)のうち第2電極(12)側が第2電極(12)側とは反対側よりも高くなるように傾斜している。また、第2電極(12)は、当該第2電極(12)のうち第1電極(11)側が第1電極(11)側とは反対側よりも高くなるように傾斜していることを特徴とする。
【0017】
これにより、第1電極(11)上の導電性接着剤(30)は第2電極(12)側に移動しにくくなり、第2電極(12)上の導電性接着剤(30)が第1電極(11)側に移動しにくくなる。このため、導電性接着剤(30)をチップ部品(40)と平板(10)との間に広がりにくくすることができる。
【0018】
請求項8に記載の発明では、第1電極(11)の傾斜は、平板(10)の一面(13)を基準として第1電極(11)のうち第2電極(12)側の最厚部と第2電極(12)側とは反対側の最薄部との高低差が20μm以上の傾斜である。また、第2電極(12)の傾斜は、平板(10)の一面(13)を基準として第2電極(12)のうち第1電極(11)側の最厚部と第1電極(11)側とは反対側の最薄部との高低差が20μm以上の傾斜であることを特徴とする。
【0019】
これによると、チップ部品(40)と第1電極(11)との間の導電性接着剤(30)を導電性接着剤(30)の表面張力によって第2電極(12)側に引っ張られにくくすることができる。また、チップ部品(40)と第2電極(12)との間の導電性接着剤(30)を導電性接着剤(30)の表面張力によって第1電極(11)側に引っ張られにくくすることができる。
【0020】
請求項9に記載の発明では、第1電極(11)および第2電極(12)は、チップ部品(40)側に向いている面が凹んだ凹部(15)をそれぞれ有していることを特徴とする。
【0021】
これによると、導電性接着剤(30)が凹部(15)内に入り込んで固定されるので、導電性接着剤(30)がチップ部品(40)と平板(10)との間に広がらないようにすることができる。
【0022】
請求項10に記載の発明のように、請求項9に記載の発明において、凹部(15)の深さは、平板(10)の一面(13)を基準として20μm以上の深さにすることが好ましい。
【0023】
請求項11に記載の発明では、バンプ(20)は、第1電極(11)もしくは第2電極(12)に複数設けられている場合、第1電極(11)と第2電極(12)とが並べられた方向に対して直交する方向に沿って配置されていることを特徴とする。
【0024】
これによると、第1電極(11)と第2電極(12)とが並べられた方向すなわちチップ部品(40)の長手方向に対して直交する方向に沿って複数のバンプ(20)が配置されるので、チップ部品(40)の姿勢を安定させることができる。
【0025】
請求項12に記載の発明では、平板(10)として、当該平板(10)の一面(13)に第1電極(11)および第2電極(12)が形成されたものを用意する工程と、ワイヤボンディング法により第1電極(11)上および第2電極(12)上にバンプ(20)をそれぞれ形成する工程と、バンプ(20)を取り囲むように第1電極(11)上および第2電極(12)上に導電性接着剤(30)を塗布する工程と、第1電極(11)および第2電極(12)の上に形成したバンプ(20)および導電性接着剤(30)にチップ部品(40)を接触させて導電性接着剤(30)を硬化させる工程と、を含んでいることを特徴とする。
【0026】
これにより、平板(10)の一面(13)を基準としてバンプ(20)がチップ部品(40)の接着高さを確保した状態でチップ部品(40)を固定できるので、平板(10)の一面(13)とチップ部品(40)との隙間に導電性接着剤(30)が導電性接着剤(30)の表面張力によって引っ張られない構造を得ることができる。これにより、異電位の各電極(11、12)のショートを防止できる電子装置を得ることができる。
【0027】
請求項13に記載の発明では、バンプ(20)を形成する工程の後、平板(10)、第1電極(11)、第2電極(12)、およびバンプ(20)を冷却することなく塗布する工程および硬化させる工程を行うことを特徴とする。
【0028】
これにより、バンプ(20)を形成した後に平板(10)、第1電極(11)、第2電極(12)、およびバンプ(20)に残された熱を利用して、この後の工程で導電性接着剤(30)を硬化させることができる。
【0029】
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の第1実施形態に係る電子装置の断面図である。
【図2】図1のA部拡大図である。
【図3】図1に示される電子装置の製造工程を示した図である。
【図4】本発明の第2実施形態に係る電子装置の一部拡大図である。
【図5】本発明の第3実施形態に係る電子装置の一部拡大図である。
【図6】本発明の第4実施形態に係る電子装置の一部拡大図である。
【図7】他の実施形態を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付してある。
【0032】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について図を参照して説明する。図1は、本実施形態に係る電子装置の断面図である。この図に示されるように、電子装置は、平板10と、第1電極11と、第2電極12と、バンプ20と、導電性接着剤30と、チップ部品40と、を備えて構成されている。
【0033】
平板10は、一面13を有する板状の配線基板である。平板10の構成材料としては、セラミックスが用いられる。すなわち、平板10はセラミック基板である。この場合、平板10に高密度配線を形成することができる。平板10の一面13やこの一面13の反対側の他面に図示しない配線パターンや複数の電極が設けられている。そして、平板10の一面13にはチップ部品40の他に複数の図示しない部品が搭載されている。
【0034】
なお、セラミック基板が6層積層されたセラミック多層基板が採用された場合、平板10の内部にも図示しない配線パターンが設けられている。また、平板10の一面13に設けられた電極はボンディングワイヤにより平板10が収納されるパッケージに設けられた電極に電気的に接続される。
【0035】
第1電極11および第2電極12は、平板10の一面13に設けられた複数の電極のうちの2つの電極であり、いわゆるパッドである。これら第1電極11および第2電極12は平板10の一面13に形成された配線パターンにそれぞれ接続されている。
【0036】
また、第1電極11と第2電極12とは異なる電位とされる。「異なる電位」とは、例えば第1電極11が正極であり第2電極12が負極であるというように、各電極11、12間に電位差が生じる関係をいう。
【0037】
バンプ20は、第1電極11上および第2電極12上にそれぞれ設けられた突起物である。このバンプ20は、各電極11、12(言い換えると平板10の一面13)に対してチップ部品40を所定の高さに維持するためのスペーサ手段であり、チップ部品40と各電極11、12との両方に接触している。本実施形態では、例えば各電極11、12毎に4個のバンプ20が設けられている。
【0038】
また、バンプ20は、ワイヤボンディング工程において形成されたボンディングボールバンプである。バンプ20の材質はAuやAl等の金属材料であり、チップ部品40と各電極11、12との電気伝導に寄与する。
【0039】
導電性接着剤30は、チップ部品40を各電極11、12に固定する固定手段であると共に、チップ部品40と各電極11、12とを電気的に接続するための導通手段である。図1に示されるように、導電性接着剤30は第1電極11上および第2電極12上においてバンプ20を取り囲んでいる。
【0040】
また、図2は、図1のA部拡大図である。この図に示されるように、導電性接着剤30は、エポキシ樹脂、シリコーン系樹脂、アクリル樹脂等の樹脂材料31にAgフィラー32が配合されたものである。このような構成の導電性接着剤30のAgフィラー32がチップ部品40と各電極11、12との電気伝導に寄与する。
【0041】
チップ部品40は、電極を備えた電子部品である。本実施形態では、チップ部品40として一方の電極と他方の電極とを備えたチップコンデンサが採用される。チップ部品40の一方の電極が第1電極11に設けられたバンプ20および導電性接着剤30に接触すると共に導電性接着剤30を介して第1電極11に電気的に接続されている。同様に、チップ部品40の他方の電極は、第2電極12に設けられたバンプ20および導電性接着剤30に接触すると共に導電性接着剤30を介して第2電極12に電気的に接続されている。
【0042】
すなわち、平板10の一面13を基準としたチップ部品40の高さは、各電極11、12に設けられたバンプ20によって一定に保持されている。これにより、チップ部品40の腹下すなわちチップ部品40のうち平板10の一面13に対向する面と当該平板10の一面13との隙間に導電性接着剤30が広がって第1電極11と第2電極12とがショートすることが阻止される。
【0043】
以上が、本実施形態に係る電子装置の構成である。次に、上記の電子装置の製造方法について、図3を参照して説明する。なお、図3では導電性接着剤30のAgフィラー32を省略している。
【0044】
まず、図3(a)に示す工程では、平板10を用意する。具体的には、平板10として、平板10の一面13に配線パターンや各電極11、12を含む複数の電極が形成されたものを用意する。平板10は上述のようにセラミック基板である。
【0045】
図3(b)に示す工程では、ワイヤボンディング工程を行う。すなわち、ワイヤボンディング法により第1電極11上および第2電極12上にバンプ20をそれぞれ形成する。
【0046】
このワイヤボンディング工程は、バンプ20を形成するための単独の工程でも良いし、例えば平板10の一面13に形成された複数の電極と平板10の周囲に設けられた他の電極とをボンディングワイヤで接合するワイヤボンディング工程に含まれていても良い。このように、電子装置を製造する上で既存のワイヤボンディング工程を本工程に流用することで、新規工程を追加する必要がない。
【0047】
ここで、バンプ20を形成した後の熱履歴後に、各電極11、12上にバンプ20が形成されたワークの熱を冷却せずにワークに残しておく。この熱を、この後の工程で利用するためである。
【0048】
続いて、図3(c)に示す工程では、バンプ20を取り囲むように第1電極11上および第2電極12上に導電性接着剤30を塗布するディスペンス工程を行う。これにより、バンプ20は導電性接着剤30によって完全に覆われた状態となる。そして、ワークに残された熱を利用して、導電性接着剤30を仮硬化させる。
【0049】
この後、図3(d)に示す工程では、マウント工程と行う。具体的には、チップ部品40を用意し、このチップ部品40の一方の電極を第1電極11上の導電性接着剤30に接触させ、チップ部品40の他方の電極を第2電極12上の導電性接着剤30に接触させる。そして、チップ部品40を平板10側に押し込むことで、チップ部品40の各電極をバンプ20にそれぞれ接触させて導電性接着剤30を硬化させる。このようにして、チップ部品40を平板10に固定する。
【0050】
本実施形態では、平板10として硬いセラミック基板を用いているので、バンプ20にチップ部品40を押し付けやすく、チップ部品40と各電極11、12との導電性を良くすることができる。また、本工程においても、ワークに残された熱を利用して導電性接着剤30を硬化させることができる。このようにして、図1に示される電子装置が完成する。
【0051】
以上説明したように、本実施形態では、平板10の一面13に設けられた各電極11、12の上にバンプ20を設けたことが特徴となっている。これにより、平板10の一面13(すなわち第1電極11および第2電極12)に対してバンプ20によってチップ部品40の接着高さが確保されるので、導電性接着剤30の表面張力によって導電性接着剤30がチップ部品40と平板10との隙間に引っ張られないようにすることができる。したがって、異なる電位とされる第1電極11と第2電極12とが導電性接着剤30によって電気的に接続されることを防止することができる。
【0052】
また、本実施形態では、バンプ20としてAuやAl等の金属材料を用いているので、導電性接着剤30だけでなくバンプ20を介してもチップ部品40と各電極11、12との電気的接続を行うことができる。したがって、チップ部品40と各電極11、12との導電性を向上させることができる。
【0053】
そして、バンプ20を形成した後はワークを冷却せずにワークに残った熱を導電性接着剤30の硬化に利用することができる。このため、導電性接着剤30を硬化させる工程を簡略化することができる。
【0054】
(第2実施形態)
本実施形態では、第1実施形態と異なる部分について説明する。図4は、本実施形態に係る電子装置の一部拡大図であり、図1のA部に相当する図である。この図に示されるように、第1電極11のうちチップ部品40側に向いている面がAu層14で被覆されている。また、バンプ20および導電性接着剤30はAu層14の上に設けられている。
【0055】
上述のように、バンプ20がAuを材料として形成されている場合、ワイヤボンディング工程でAu層14の上にバンプ20を形成しやすくすることができる。
【0056】
なお、上記では第1電極11上にAu層14が設けられていると説明したが、もちろん、第2電極12上にもAu層14が形成されている。また、Au層14は第1電極11および第2電極12において少なくともチップ部品40側に向いている面に設けられていれば良く、Au層14が各電極11、12の側面に設けられていても良い。
【0057】
(第3実施形態)
本実施形態では、第1、第2実施形態と異なる部分について説明する。図5は、本実施形態に係る電子装置の一部拡大図であり、図1のA部に相当する図である。この図に示されるように、第1電極11は、当該第1電極11のうち第2電極12側が第2電極12側とは反対側よりも高くなるように傾斜している。この第1電極11の傾斜は、平板10の一面13を基準として第1電極11のうち第2電極12側の最厚部と第2電極12側とは反対側の最薄部との高低差が20μm以上の傾斜である。
【0058】
このように、第1電極11が傾斜していることで、第1電極11上の導電性接着剤30が第2電極12側に移動しにくくなる。また、平板10の一面13を基準とした第1電極11の高低差が20μm以上あることで、チップ部品40をバンプ20に接触させたときに、第1電極11とチップ部品40との間の導電性接着剤30が表面張力によって第2電極12側に引っ張られることはない。このため、導電性接着剤30がチップ部品40と平板10との間により広がりにくくなる。
【0059】
なお、上記では第1電極11が傾斜していると説明したが、もちろん、第2電極12も当該第2電極12のうち第1電極11側が第1電極11側とは反対側よりも高くなるように傾斜している。同様に、第2電極12の傾斜は、平板10の一面13を基準として第2電極12のうち第1電極11側の最厚部と第1電極11側とは反対側の最薄部との高低差が20μm以上の傾斜になっている。
【0060】
また、図5では、第1電極11の傾斜により第1電極11の表面のうち第2電極12とは反対側が平板10の一面13に滑らかに繋がっているが、これは第1電極11の構造の一例である。すなわち、第1電極11が図5に示されたものよりも厚い場合でも良く、この場合は第1電極11のうちチップ部品40側に上記の傾斜が設けられている。このことは、第2電極12についても同様である。
【0061】
(第4実施形態)
本実施形態では、第1〜第3実施形態と異なる部分について説明する。図6は、本実施形態に係る電子装置の一部拡大図であり、図1のA部に相当する図である。この図に示されるように、第1電極11は、チップ部品40側に向いている面が凹んだ凹部15を有している。この凹部15は第1電極11の中央部に設けられている。また、凹部15の深さは、平板10の一面13を基準として20μm以上の深さになっている。
【0062】
これにより、導電性接着剤30が凹部15内に入り込んで固定されてアンカー効果を発揮するので、導電性接着剤30がチップ部品40と平板10との間に広がらないようにすることができる。また、凹部15を20μm以上の深さとしているので、硬化前は液状である導電性接着剤30の移動を止めやすくすることができる。
【0063】
なお、上記では第1電極11に凹部15が形成されていると説明したが、もちろん、第2電極12にも第1電極11と同様に凹部15が設けられている。そして、その深さは20μm以上の深さであることが好ましい。
【0064】
(他の実施形態)
上記各実施形態で示された構造は一例であり、上記で示した構造に限定されることなく、本発明の特徴を含んだ他の構造とすることもできる。例えば、チップ部品40はチップコンデンサではなく、半導体素子等の電極を備えたものでも良いし、第2実施形態で示されたAu層14が第3、第4実施形態に係る各電極11、12の上に設けられていても良い。各電極11、12には導電性接着剤30をせき止めるための堤部が設けられていても良い。この堤部は第1電極11では第2電極12側、第2電極12では第1電極11側に設けられていることが好ましい。
【0065】
また、バンプ20は上述のように金属材料で形成されたものでなくても良く、ガラスや架橋ポリスチレン等の絶縁材料で形成されたものでも良い。そして、バンプ20の形状は特に限定されず、球状等でも良い。
【0066】
さらに、平板10として有機樹脂製プリント基板を用いることもできる。有機樹脂製プリント基板の表面にはレジストが形成されていることが一般的であるため、平板10のうちチップ部品40と対向する部分の疎水性が良い。このため、導電性接着剤30が平板10の表面で弾かれるので、導電性接着剤30を広がりにくくすることができる。
【0067】
第4実施形態で示された凹部15は、各電極11、12の中央部に限らず、外縁部に設けられていても良い。
【0068】
そして、平板10の一面13に対するチップ部品40の接着高さ確保の観点ではバンプ20が各電極11、12に設けられていれば良いが、チップ部品40の姿勢を考慮すると第1電極11に設けられるバンプ20の数と第2電極12に設けられるバンプ20の数との合計が少なくとも3個であることが好ましい。これにより、バンプ20は、第1電極11もしくは第2電極12に複数設けられることになるが、さらに、第1電極11もしくは第2電極12にバンプ20が2個等の複数設けられた場合には第1電極11と第2電極12とが並べられた方向に対して直交する方向に沿ってバンプ20が配置されることが好ましい。この様子を図7に示す。
【0069】
図7に示されるように、第1電極11に2個のバンプ20が設けられ、第2電極12に1個のバンプ20が設けられた場合、第1電極11に設けられた2個のバンプは、第1電極11と第2電極12とが並べられた方向すなわちチップ部品40の長手方向に対して直交する方向に沿って配置される。これにより、チップ部品40が平板10の一面13に対して傾きにくくなり、チップ部品40の姿勢を安定させることができる。
【符号の説明】
【0070】
10 平板
11 第1電極
12 第2電極
13 平板の一面
14 Au層
15 凹部
20 バンプ
30 導電性接着剤
31 樹脂材料
32 Agフィラー
40 チップ部品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一面(13)を有する平板(10)と、
前記平板(10)の一面(13)に設けられた第1電極(11)と、
前記平板(10)の一面(13)に設けられると共に前記第1電極(11)とは異なる電位とされる第2電極(12)と、
前記第1電極(11)上および前記第2電極(12)上にそれぞれ設けられ、前記第1電極(11)に設けられる数と前記第2電極(12)に設けられる数との合計が少なくとも3個のバンプ(20)と、
前記バンプ(20)を取り囲むと共に前記第1電極(11)上および前記第2電極(12)上に設けられた導電性接着剤(30)と、
前記第1電極(11)に設けられた前記バンプ(20)および前記導電性接着剤(30)に接触すると共に前記導電性接着剤(30)を介して前記第1電極(11)に電気的に接続され、前記第2電極(12)に設けられた前記バンプ(20)および導電性接着剤(30)に接触すると共に前記導電性接着剤(30)を介して前記第2電極(12)に電気的に接続されたチップ部品(40)と、を備えていることを特徴とする電子装置。
【請求項2】
前記バンプ(20)は、金属材料としてAuもしくはAlで形成されたものであることを特徴とする請求項1に記載の電子装置。
【請求項3】
前記導電性接着剤(30)は、樹脂材料(31)にAgフィラー(32)が配合されたものであることを特徴とする請求項1または2に記載の電子装置。
【請求項4】
前記平板(10)は、セラミック基板であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の電子装置。
【請求項5】
前記平板(10)は、有機樹脂製プリント基板であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の電子装置。
【請求項6】
前記第1電極(11)および前記第2電極(12)のうち少なくとも前記チップ部品(40)側に向いている面がAu層(14)でそれぞれ被覆されており、
前記バンプ(20)および前記導電性接着剤(30)は前記Au層(14)の上に設けられていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1つに記載の電子装置。
【請求項7】
前記第1電極(11)は、当該第1電極(11)のうち前記第2電極(12)側が前記第2電極(12)側とは反対側よりも高くなるように傾斜しており、
前記第2電極(12)は、当該第2電極(12)のうち前記第1電極(11)側が前記第1電極(11)側とは反対側よりも高くなるように傾斜していることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1つに記載の電子装置。
【請求項8】
前記第1電極(11)の傾斜は、前記平板(10)の一面(13)を基準として前記第1電極(11)のうち前記第2電極(12)側の最厚部と前記第2電極(12)側とは反対側の最薄部との高低差が20μm以上の傾斜であり、
前記第2電極(12)の傾斜は、前記平板(10)の一面(13)を基準として前記第2電極(12)のうち前記第1電極(11)側の最厚部と前記第1電極(11)側とは反対側の最薄部との高低差が20μm以上の傾斜であることを特徴とする請求項7に記載の電子装置。
【請求項9】
前記第1電極(11)および前記第2電極(12)は、前記チップ部品(40)側に向いている面が凹んだ凹部(15)をそれぞれ有していることを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1つに記載の電子装置。
【請求項10】
前記凹部(15)の深さは、前記平板(10)の一面(13)を基準として20μm以上の深さになっていることを特徴とする請求項9に記載の電子装置。
【請求項11】
前記バンプ(20)は、前記第1電極(11)もしくは前記第2電極(12)に複数設けられている場合、前記第1電極(11)と前記第2電極(12)とが並べられた方向に対して直交する方向に沿って配置されていることを特徴とする請求項1ないし10のいずれか1つに記載の電子装置。
【請求項12】
平板(10)の一面(13)にチップ部品(40)が実装された電子部品の製造方法であって、
前記平板(10)として、当該平板(10)の一面(13)に第1電極(11)および第2電極(12)が形成されたものを用意する工程と、
ワイヤボンディング法により前記第1電極(11)上および前記第2電極(12)上にバンプ(20)をそれぞれ形成する工程と、
前記バンプ(20)を取り囲むように前記第1電極(11)上および前記第2電極(12)上に導電性接着剤(30)を塗布する工程と、
前記第1電極(11)および前記第2電極(12)の上に形成した前記バンプ(20)および前記導電性接着剤(30)に前記チップ部品(40)を接触させて前記導電性接着剤(30)を硬化させる工程と、を含んでいることを特徴とする電子装置の製造方法。
【請求項13】
前記バンプ(20)を形成する工程の後、前記平板(10)、前記第1電極(11)、前記第2電極(12)、および前記バンプ(20)を冷却することなく前記塗布する工程および前記硬化させる工程を行うことを特徴とする請求項12に記載の電子装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−258794(P2011−258794A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−132715(P2010−132715)
【出願日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】