説明

電子装置およびその製造方法

【課題】半導体基板に設けられた貫通穴に、絶縁体を介して2つの導電体を充填してなるキャパシタ構造体を有する電子装置において、2つの導電体間の容量を大きくするのに適した構成を提供する。
【解決手段】半導体基板10の表裏両主面11、12間を貫通する貫通穴30には、当該穴の内面側から第1の導電体40、絶縁体50、第2の導電体60が順次充填されてキャパシタ構造体20が形成されており、キャパシタ構造体20は、貫通穴30の内部から半導体基板10の両主面11、12まで連続して形成され、キャパシタ構造体20の静電容量は、キャパシタ構造体20のうち貫通穴30に位置する部位の容量と両主面11、12に位置する部位の容量との合計とされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体基板に設けられた貫通穴に、導電体および絶縁体より構成されるキャパシタ構造体を配置してなる電子装置、および、そのような電子装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば、この種の電子装置としては、半導体基板の表裏両面を電気的に接続するための貫通電極部を有するものが提案されている(たとえば、特許文献1、特許文献2参照)。このものは、半導体チップの性能向上、小型化のためにチップを積層する場合などに用いて好適なものである。
【0003】
このものにおける電極部は、具体的には、エッチングなどにより、半導体基板の表裏両主面に開口する貫通穴を設け、その貫通穴の中に、スパッタやCVDなどにより、穴の内面側から筒状の第1の導電体、その第1の導電体の内面を被覆する筒状の絶縁体、さらにこの絶縁体の中空部に充填された柱状の第2の導電体を充填してなる。そして、これにより、貫通穴には、両導電体間に絶縁体が介在してなるキャパシタ構造体が形成される。
【0004】
そして、この貫通電極部においては、たとえば、第2の導電体を信号用、第1の導電体をGND用として、第2の導電体を第1の導電体でシールドすることにより、第2の導電体におけるノイズ低減を図るようにする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−19455号公報
【特許文献2】特開2007−81100号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、上記したようなシールド効果を大きくするためには、絶縁体を介して配置された第1の導電体と第2の導電体とによって構成されるキャパシタ構造体の静電容量が大きい方が望ましい。
【0007】
しかしながら、当該静電容量を大きくしようとするためには、両導電体の対向する面積を大きくする必要があり、上記した従来のものでは、貫通穴の径を大きくする方法が必要となる。このような貫通穴の増大は、結果的に装置体格の大型化を招きくため、好ましくない。
【0008】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、半導体基板に設けられた貫通穴に、絶縁体を介して2つの導電体を充填してなるキャパシタ構造体を有する電子装置において、2つの導電体間の容量を大きくするのに適した構成を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、第1の主面(11)と第2の主面(12)とが表裏の関係にある半導体基板(10)を備え、半導体基板(10)には両主面(11、12)間を貫通する貫通穴(30)が設けられており、
貫通穴(30)には、当該穴の内面側に位置し当該内面を被覆する筒状の第1の導電体(40)と、第1の導電体(40)の中空部に位置し第1の導電体(40)の内面を被覆する筒状の絶縁体(50)と、絶縁体(50)の中空部に位置し絶縁体(50)の内面を被覆する第2の導電体(60)とが充填されて、両導電体(40、60)間に絶縁体(50)が介在してなるキャパシタ構造体(20)が形成されており、
キャパシタ構造体(20)は、貫通穴(30)の内部から半導体基板(10)の両主面(11、12)の少なくとも一方の主面にまで連続して形成され、当該少なくとも一方の主面においては、キャパシタ構造体(20)は、当該主面側から第1の導電体(40)、絶縁体(50)、第2の導電体(60)が順次積層された構成とされており、
キャパシタ構造体(20)の静電容量は、キャパシタ構造体(20)のうち貫通穴(30)に位置する部位の容量と少なくとも一方の主面に位置する部位の容量との合計とされていることを特徴とする。
【0010】
それによれば、キャパシタ構造体(20)は、貫通穴(30)の内部だけでなく、半導体基板(10)の主面まで形成されたものにできるから、貫通穴(30)の径を大きくすることなく、その容量を大きくできる。よって、本発明によれば、2つの導電体(40、60)間の容量を大きくするのに適した構成を提供することができる。
【0011】
ここで、請求項2に記載の発明のように、請求項1に記載の電子装置において、キャパシタ構造体(20)は、貫通穴(30)の内部から半導体基板(10)の両主面(11、12)にまで連続して形成され、当該両主面(11、12)のそれぞれにおいては、キャパシタ構造体(20)は、当該主面側から第1の導電体(40)、絶縁体(50)、第2の導電体(60)が順次積層された構成とされており、キャパシタ構造体(20)の静電容量は、キャパシタ構造体(20)のうち貫通穴(30)に位置する部位の容量と両主面に位置する部位の容量との合計とされているものとしてもよい。
【0012】
また、請求項3に記載の発明のように、請求項1に記載の電子装置において、キャパシタ構造体(20)は、貫通穴(30)の内部から半導体基板(10)の両主面(11、12)の一方の主面のみにまで連続して形成され、当該一方の主面においては、キャパシタ構造体(20)は、当該一方の主面側から第1の導電体(40)、絶縁体(50)、第2の導電体(60)が順次積層された構成とされており、キャパシタ構造体(20)の静電容量は、キャパシタ構造体(20)のうち貫通穴(30)に位置する部位の容量と一方の主面に位置する部位の容量との合計とされているものとしてもよい。
【0013】
また、請求項4に記載の発明のように、請求項1ないし3のいずれか1つに記載の電子装置においては、キャパシタ構造体(20)の静電容量において、キャパシタ構造体(20)のうち貫通穴(30)に位置する部位の容量よりも少なくとも一方の主面に位置する部位の容量の方が大きいものとしてもよい。
【0014】
また、請求項5に記載の発明のように、請求項1ないし3のいずれか1つに記載の電子装置においては、キャパシタ構造体(20)の静電容量において、キャパシタ構造体(20)のうち貫通穴(30)に位置する部位の容量よりも少なくとも一方の主面に位置する部位の容量の方が小さいものとしてもよい。
【0015】
また、請求項6に記載の発明のように、請求項1ないし5のいずれか1つに記載の電子装置においては、貫通穴(30)は複数個あり、各々の貫通穴(30)についてキャパシタ構造体(20)が貫通穴(30)の内部から半導体基板(10)の両主面(11、12)の少なくとも一方の主面にまで連続して形成されており、各々のキャパシタ構造体(20)は、互いに電気的に分離されて並列に接続されたものとなっているものとしてもよい。
【0016】
また、請求項7に記載の発明のように、請求項1ないし5のいずれか1つに記載の電子装置においては、貫通穴(30)は複数個あり、各々の貫通穴(30)についてキャパシタ構造体(20)が貫通穴(30)の内部から半導体基板(10)の両主面(11、12)の少なくとも一方の主面にまで連続して形成されており、各々のキャパシタ構造体(20)は、さらに互いに連続して形成されることで一体に電気的に接続されたものとなっているものとしてもよい。
【0017】
また、請求項8に記載の発明のように、請求項1ないし7のいずれか1つに記載の電子装置においては、貫通穴(30)の内部にて、第2の導電体(60)は絶縁体(50)の中空部の全体に充填されているものとしてもよい。
【0018】
また、請求項9に記載の発明のように、請求項1ないし7のいずれか1つに記載の電子装置においては、貫通穴(30)の内部にて、第2の導電体(60)は絶縁体(50)の中空部の内面を被覆する筒状のものとされているものとしてもよい。
【0019】
また、請求項10に記載の発明のように、請求項1ないし9のいずれか1つに記載の電子装置においては、貫通穴(30)において、キャパシタ構造体(20)は、貫通穴(30)の深さ方向の全体に亘って形成されているものとしてもよい。それによれば、貫通穴(30)内におけるキャパシタ構造体(20)の容量を大きくするために好ましい。
【0020】
また、請求項11に記載の発明のように、請求項1ないし9のいずれか1つに記載の電子装置においては、キャパシタ構造体(20)は、貫通穴(30)の内部から半導体基板(10)の両主面(11、12)の一方の主面のみにまで連続して形成され、当該一方の主面においては、キャパシタ構造体(20)は、当該一方の主面側から第1の導電体(40)、絶縁体(50)、第2の導電体(60)が順次積層された構成とされており、貫通穴(30)において、キャパシタ構造体(20)は、貫通穴(30)における一方の主面側の開口部から貫通穴(30)の深さ方向の途中までに形成されているものとしてもよい。
【0021】
また、請求項12に記載の発明は、請求項2に記載の電子装置を製造する電子装置の製造方法であって、半導体基板(10)に貫通穴(30)を形成した後、半導体基板(10)の両主面(11、12)および貫通穴(30)の内部に、第1の導電体(40)を一括して成膜し、次に、半導体基板(10)の両主面(11、12)および貫通穴(30)の内部に、絶縁体(50)を一括して成膜し、次に、半導体基板(10)の両主面(11、12)および貫通穴(30)の内部に、第2の導電体(60)を一括して成膜することにより、キャパシタ構造体(20)を形成することを特徴とする。
【0022】
それによれば、請求項2に記載のような、貫通穴(30)の内部および半導体基板(10)の両主面(11、12)にキャパシタ構造体が形成された電子装置を適切に製造することができる。
【0023】
また、請求項13に記載の発明は、請求項2に記載の電子装置を製造する電子装置の製造方法であって、半導体基板(10)に貫通穴(30)を形成した後、半導体基板(10)の両主面(11、12)の一方の主面側から当該一方の主面および貫通穴(30)の内部に、第1の導電体(40)を成膜し、次に、前記半導体基板(10)の両主面(11、12)の一方の主面側から当該一方の主面および貫通穴(30)の内部に、絶縁体(50)を成膜し、
続いて、半導体基板(10)の他方の主面側から当該他方の主面に、第1の導電体(40)を成膜し、次に、半導体基板(10)の他方の主面側から当該他方の主面に、絶縁体(50)を成膜し、その後、半導体基板(10)の両主面(11、12)の一方の主面側からと、他方の主面側からとで分けて、第2の導電体(60)の成膜を行うことにより、当該両主面および貫通穴(30)の内部に、第2の導電体(60)を形成することを特徴とする。
【0024】
成膜方法や貫通穴の深さ、径の大きさ等によっては、各導電体(40、60)や絶縁体(50)の成膜時において、半導体基板(10)の一方の主面側から貫通穴(30)を介して他方の主面側への回り込み性が小さく、十分な成膜が確保されにくくなる。その点、本製造方法によれば、各成膜について、半導体基板(10)の一方の主面側と他方の主面側とで分けて成膜を行うようにしているから、上記回り込み性が小さい場合でも、良好な成膜が可能となる。
【0025】
なお、特許請求の範囲およびこの欄で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の第1実施形態に係る電子装置の一部断面斜視図である。
【図2】図1中の電子装置における1個のキャパシタ構造体の概略断面図である。
【図3】第1実施形態の電子装置における各キャパシタ構造体同士の電気的な配線構成を模式的に示す図である。
【図4】第1実施形態に係る電子装置の製造方法を示す工程図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係る電子装置の製造方法を示す工程図である。
【図6】本発明の第3実施形態に係る電子装置の製造方法を示す工程図である。
【図7】本発明の第4実施形態に係る電子装置の製造方法を示す工程図である。
【図8】本発明の第5実施形態に係る電子装置の一部断面斜視図である。
【図9】第5実施形態の電子装置における各キャパシタ構造体の電気的な配線構成を模式的に示す図である。
【図10】本発明の第6実施形態に係る電子装置におけるキャパシタ構造体の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、説明の簡略化を図るべく、図中、同一符号を付してある。
【0028】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る電子装置の一部断面斜視図である。この図1においては、半導体基板10の厚さ方向の断面とともに第1の主面である表面11を示している。また、図2は、本電子装置における1個のキャパシタ構造体20の概略断面構成を示す図である。
【0029】
本電子装置は、半導体基板10に設けられた貫通穴30に、絶縁体50を介して2つの導電体40、60を充填してなる貫通電極部としてのキャパシタ構造体20を有するものである。この半導体基板10は、シリコン半導体などよりなる板状を成すもので、第1の主面を表面11、これとは反対側の第2の主面を裏面12とするものである。
【0030】
そして、半導体基板10には、表裏両主面11、12間を貫通し、表裏両主面11、12に開口する貫通穴30が複数個設けられている。この貫通穴30は1個でもかまわないが、ここでは図1に示されるように、複数個の貫通穴30が設けられている。
【0031】
また、この複数個の貫通穴30の配列形態については特に限定するものではないが、ここでは縦横に行列をなす格子状に配置されている。このような貫通穴30は、一般的なトレンチエッチングなどにより形成されるものである。また、ここでは、貫通穴30は開口形状が円である円形穴であるが、貫通穴30としては、その他、開口形状が角形の穴などであってもかまわない。
【0032】
また、図1、図2に示されるように、個々の貫通穴30においては、貫通穴30の内面側に位置し当該内面を被覆する筒状の第1の導電体40と、第1の導電体40の中空部に位置し第1の導電体40の内面を被覆する筒状の絶縁体50と、絶縁体50の中空部に位置し絶縁体50の内面を被覆する第2の導電体60とが充填されている。
【0033】
また、ここでは、図1、図2に示されるように、貫通穴30の内部にて、第2の導電体60は絶縁体50の中空部の全体に充填されている。つまり、ここでは、貫通穴30内にて、第1の導電体40および絶縁体50により2重円筒が形成され、その中空部を中実円柱状の第2の導電体60が埋めている状態となっている。
【0034】
また、絶縁体50は、両導電体40、60間に介在し、これら両導電体40、60間を電気的に絶縁している。それにより、両導電体40、60間に絶縁体50が介在してなるキャパシタ構造体20が形成されている。そして、このキャパシタ構造体20は、貫通穴30の深さ方向の全体に亘って形成されている。
【0035】
また、図1、図2に示されるように、キャパシタ構造体20は、従来のように貫通穴30の内部だけに形成されたものとは異なり、本実施形態では、貫通穴30の内部から半導体基板10の表裏両主面11、12にまで連続して形成されている。ここで、各主面11、12においては、キャパシタ構造体20は、当該主面側から第1の導電体40、絶縁体50、第2の導電体60が順次積層された構成とされている。
【0036】
このように、本実施形態のキャパシタ構造体20は、貫通穴30から半導体基板10の主面まではみ出して拡がったものとされている。つまり、このキャパシタ構造体20の静電容量は、キャパシタ構造体20のうち貫通穴30に位置する部位の容量と両主面11、12に位置する部位の容量との合計とされている。
【0037】
また、上述したように、本実施形態では、貫通穴30は複数個あり、各々の貫通穴30についてキャパシタ構造体20が貫通穴30の内部から半導体基板10の両主面11、12にまで連続して形成されている。
【0038】
ここにおいて、本実施形態では、各々のキャパシタ構造体20は、さらに互いに連続して形成されることで一体に電気的に接続されたものとなっている。ここでは、図1に示されるように、半導体基板10の各主面11、12にて、第1の導電体40、絶縁体50、第2の導電体60が積層されてなる積層体が、各主面11、12の全体に連続して形成されている。
【0039】
そして、このように半導体基板10の各主面11、12の全面に形成されているキャパシタ構造体20によって、各貫通穴30におけるキャパシタ構造体20同士が一体に電気的に接続されている。
【0040】
ここで、図3は、本実施形態の電子装置における各キャパシタ構造体20同士の電気的な配線構成を模式的に示す図である。第1の導電体40、第2の導電体60はそれぞれ、半導体基板10の各主面11、12に引き出され、各主面11、12にてワイヤボンディングなどにより外部と電気的に接続されるようになっている。
【0041】
たとえば、第2の導電体60は信号端子としてワイヤボンディングにより外部と接続され、第1の導電体40はGND端子として、第2の導電体60および絶縁体50に設けられた開口部を介してワイヤボンディングにより外部と接続される。
【0042】
そして、たとえば半導体基板10の表面11側からキャパシタ構造体20に入力された信号は、上記GND端子の機能によって、裏面12側からはノイズ成分が低減された信号として出力されるようになっている。
【0043】
なお、図1に示されるような半導体基板10の各主面11、12の全面にキャパシタ構造体20を形成する例以外にも、たとえば当該各主面11、12において各貫通穴30間を線状に延びるキャパシタ構造体20を形成し、これにより各貫通穴30におけるキャパシタ構造体20同士を電気的に接続するようにしてもよい。
【0044】
つまり、複数個のキャパシタ構造体20を電気的に接続する場合、各主面11、12の全面にキャパシタ構造体20を形成してもよいが、各主面11、12に部分的にキャパシタ構造体20を形成して当該接続を行うようにしてもよい。
【0045】
ここで、第1の導電体40、第2の導電体60としては、たとえばCuやAlなどの金属、または、これらを含む導電性に優れた材料が挙げられ、これらは、ALD法(原子層成長法)、スパッタ、蒸着などにより成膜されるものである。また、絶縁体50としては、誘電率および絶縁耐圧が共に高い材料、たとえばSiO、Ta等が挙げられ、これらは、たとえばALD法、スパッタ、CVDなどにより形成される。
【0046】
ところで、本実施形態によれば、キャパシタ構造体20は、貫通穴30の内部だけでなく、半導体基板10の両方の主面つまり表裏両主面11、12まで形成されたものにされているから、貫通穴30の径を大きくすることなく、その容量を大きくできる。よって、本実施形態によれば、2つの導電体40、60間の容量を大きくするのに適した構成を実現することができる。
【0047】
また、本実施形態の電子装置において、キャパシタ構造体20の静電容量においては、キャパシタ構造体20のうち貫通穴30に位置する部位の容量(以下、貫通穴部分容量という)と、貫通穴20の外側すなわち半導体基板10の表面11および裏面12に位置する部位の容量(以下、両主面部分容量という)とを比べた場合、前者の方が後者よりも大きいものであってもよいし、前者よりも後者の方が小さいものであってもよい。
【0048】
このような貫通穴部分容量と両主面部分容量との大小関係の実現方法については、キャパシタの原理より明らかであるが、たとえばキャパシタ構造体20のうち貫通穴30に位置する部位と、両主面11、12に位置する部位とで、両導電体40、60間の対向面積や絶縁体50の厚さを変えてやればよい。両導電体40、60間の対向面積の大きい方が容量の大きい方となり、絶縁体50が薄い方が容量の大きい方となる。
【0049】
次に、本実施形態の電子装置の製造方法について、図4を参照して述べる。図4は本製造方法を示す工程図であり、各工程におけるワークを断面的に示すものである。本電子装置は、上述したように、半導体基板10の貫通穴30および両主面11、12にキャパシタ構造体20を形成してなるものである。
【0050】
まず、図4(a)に示されるように、第1の主面11と第2の主面12とが表裏の関係にある半導体基板10を用意し、これを図4(b)に示されるように、研磨やエッチングにより所望の厚さまで薄肉化する。この研磨やエッチングは半導体基板10の表面11側または裏面12側にて行うが、ここでは、裏面12側から薄肉化を行っている。
【0051】
次に、図4(c)に示されるように、半導体基板10に両主面11、12間を貫通する貫通穴30を形成する。この貫通穴30は上記したように、一般的なトレンチエッチングによって形成する。ここでは、薄肉化され強度低下した半導体基板10を支持するため、支持基板K上に半導体基板10を搭載して、エッチングを行う。なお、この支持基板Kは必要に応じて使用すればよいものである。
【0052】
次に、図4(d)に示されるように、たとえば半導体基板10の外周部にて半導体基板10を支持基板Kに支持し、それ以外の半導体基板10の部位は支持基板Kより離した状態とする。そして、この状態で、半導体基板10の両主面11、12および貫通穴30の内部に、第1の導電体40を一括して成膜する。
【0053】
この第1の導電体40の成膜は、表面反応を主体とした成膜手法、たとえばALD(原子層成長法)などの回り込み性に優れた手法により行う。それにより、半導体基板10の表裏両主面11、12および貫通穴30の内面において、均一な膜厚とされた第1の導電体40が形成される。
【0054】
次に、図4(e)に示されるように、半導体基板10の両主面11、12上および貫通穴30の内部に、絶縁体50を一括して成膜する。この成膜も、表面反応を主体とした成膜手法、たとえばALD(原子層成長法)などの回り込み性に優れた手法により行う。
【0055】
それにより、半導体基板10の両主面11、12の第1の導電体40上および貫通穴30の内部における円筒状の第1の導電体40の中空部の内面に、均一な膜厚とされた絶縁体50が形成される。
【0056】
次に、図4(f)に示されるように、半導体基板10の両主面11、12および貫通穴30の内部に、第2の導電体60を一括して成膜する。たとえば、まず、上記第1の導電体40と同様に、表面反応を主体とした成膜手法を行い、半導体基板10の両主面11、12の絶縁体50上および貫通穴30の内部における円筒状の絶縁体50の中空部の内面に、均一な膜厚とされた第2の導電体60を形成する。
【0057】
その後、この第2の導電体60をシード層として、このシード層の上に、さらに電気メッキにより第2の導電体60を形成する。これにより、貫通穴30の内部にて、第2の導電体60を絶縁体50の中空部の全体に充填した構成が形成される。
【0058】
こうして、貫通穴30では、当該穴の内面側に位置し当該内面を被覆する筒状の第1の導電体40と、第1の導電体40の中空部に位置し第1の導電体40の内面を被覆する筒状の絶縁体50と、絶縁体50の中空部に位置し絶縁体50の内面を被覆する第2の導電体60とが充填されてなり、表裏両主面11、12では、当該主面側から第1の導電体40、絶縁体50、第2の導電体60が順次積層されてなるキャパシタ構造体20が形成される。
【0059】
その後は、半導体基板10の各主面11、12において、各導電体40、60と外部との配線等を行うことにより、本実施形態の電子装置ができあがる。以上が本実施形態の電子装置の製造方法であり、この製造方法によれば、表面反応を主体とした成膜方法を使用することで、一括した成膜が可能となり、プロセスの簡便化が図れる。
【0060】
(第2実施形態)
図5は、本発明の第2実施形態に係る電子装置の製造方法を示す工程図であり、各工程におけるワークの概略断面構成を示す図である。本実施形態は、上記第1実施形態に比べて製造方法が相違するものであり、ここでは、その相違点を中心に述べることとする。
【0061】
図5に示されるように、本実施形態も、半導体基板10の貫通穴30および両主面11、12にキャパシタ構造体20を形成してなる電子装置を形成するものである。
【0062】
まず、図5(a)、(b)に示されるように、半導体基板10を用意し、これを研磨やエッチングにより所望の厚さまで薄肉化する。そして、図5(c)に示されるように、半導体基板10にトレンチエッチングにより貫通穴30を形成する。
【0063】
次に、図5(d)に示されるように、半導体基板10の表面11側から当該表面11および貫通穴30の内部に、第1の導電体40を成膜し、次に、同じく表面11側から当該表面11および貫通穴30の内部に、絶縁体50を成膜する。
【0064】
続いて、図5(e)に示されるように、支持基板K上にて半導体基板10をひっくり返し、今度は、半導体基板10の裏面12側から当該裏面12に、第1の導電体40を成膜する。
【0065】
次に、図5(f)に示されるように、半導体基板10の裏面12側から当該裏面12に、絶縁体50を成膜する。ここで、本製造方法における上記第1の導電体40および絶縁体50の成膜は、上記表面反応を主体とした成膜手法でもよいが、それ以外にも蒸着などの一般的な成膜手法により行える。
【0066】
その後、図5(g)に示されるように、第2の導電体60の形成を行う。この場合、半導体基板10の表面11側からと裏面12側からとで分けて、第2の導電体60の成膜を行う。
【0067】
具体的に、この第2の導電体60の成膜については、蒸着などによりシード層を形成した後、電気メッキを行うが、このとき、当該シード層の形成を、半導体基板10の表面11側からと裏面12側からとで分けて行う。それにより、絶縁体50の中空部の全体に充填された第2の導電体60が形成される。
【0068】
こうして、半導体基板10の両主面11、12および貫通穴30の内部に、第2の導電体60が形成され、本実施形態においても、上記第1実施形態と同様のキャパシタ構造体20ができあがる。
【0069】
なお、本製造方法における第2の導電体60の成膜、具体的には上記シード層の成膜については、半導体基板10の表面11側からと裏面12側からとで分けて成膜を行えばよく、当該表面11側の成膜と裏面12側の成膜との実行順序は問わない。
【0070】
その後は、本実施形態においても、半導体基板10の各主面11、12において、各導電体40、60と外部との配線等を行うことにより、電子装置ができあがる。以上が本実施形態の電子装置の製造方法である。
【0071】
この製造方法によれば、各導電体40、60や絶縁体50の成膜について、半導体基板10の表面11と裏面12とで分けて成膜を行うようにしているから、上記回り込み性が小さい場合でも、良好な成膜が可能となる。
【0072】
なお、図5に示される例では、第1の導電体40および絶縁体50を、半導体基板10の表面11側から当該表面11および貫通穴30の内部に形成し、次に、裏面12側に形成したが、これとは逆に、第1の導電体40および絶縁体50を、半導体基板10の裏面側12側から当該裏面12および貫通穴30の内部に形成し、次に、表面11側に形成するようにしてもよい。
【0073】
(第3実施形態)
図6は、本発明の第3実施形態に係る電子装置の製造方法を示す工程図であり、各工程におけるワークの概略断面構成を示す図であり、最終的に図6(f)に示される構造を有する電子装置を形成するものである。ここでは、本実施形態について、上記第1実施形態との相違点を中心に述べることとする。
【0074】
上記第1実施形態の電子装置は、上記図1、図2に示したように、半導体基板10の貫通穴30および両主面11、12にキャパシタ構造体20を形成してなるものであった。それに対して、本実施形態の電子装置は、図6(f)に示されるように、キャパシタ構造体20を、貫通穴30の内部から半導体基板10の表面11のみにまで連続して形成し、裏面12には形成しないものとしている。
【0075】
この場合も、図6に示されるように、半導体基板10の表面11においては、キャパシタ構造体20は、当該表面11側から第1の導電体40、絶縁体50、第2の導電体60が順次積層された構成とされている。そして、キャパシタ構造体20の静電容量は、キャパシタ構造体20のうち貫通穴30に位置する部位の容量と表面11に位置する部位の容量との合計とされている。
【0076】
次に、図6を参照して、本実施形態の電子装置の製造方法について述べる。まず、図6(a)、(b)に示されるように、半導体基板10を用意し、これを研磨やエッチングにより所望の厚さまで薄肉化する。そして、図6(c)に示されるように、半導体基板10にトレンチエッチングにより貫通穴30を形成する。
【0077】
次に、図6(d)に示されるように、半導体基板10の表面11側から当該表面11および貫通穴30の内部に、第1の導電体40を成膜し、次に、図6(e)に示されるように、同じく表面11側から当該表面11および貫通穴30の内部に、絶縁体50を成膜する。
【0078】
ここで、本製造方法における上記第1の導電体40および絶縁体50の成膜は、上記表面反応を主体とした成膜手法でもよいが、それ以外にも蒸着などの一般的な成膜手法により行える。
【0079】
その後は、図6(f)に示されるように、第2の導電体60の形成を行う。この成膜については、蒸着などによりシード層を形成した後、電気メッキを行うことにより、絶縁体50の中空部の全体に充填された第2の導電体60が形成される。
【0080】
こうして、半導体基板10の表面11および貫通穴30の内部に、第2の導電体60が形成され、本実施形態のキャパシタ構造体20ができあがる。
【0081】
つまり、本実施形態の電子装置は、上記第1実施形態において半導体基板10の裏面12側のキャパシタ構造体20を省略した構成であり、第1の導電体40および絶縁体50の成膜においても、当該裏面12への回り込みを考慮しなくてもよいから、回り込み性に優れた成膜手法を用いなくてもよい。
【0082】
なお、本実施形態においては、半導体基板10の片方の主面のみにキャパシタ構造体20が形成されたものとしているが、当該片方の主面とは、図6のように半導体基板の表面11でもよいし、それとは逆に裏面12でもよい。
【0083】
そして、この場合も、キャパシタ構造体20は、貫通穴30の内部だけでなく、半導体基板10の片方の主面まで形成されたものとなっているから、貫通穴30の径を大きくすることなく、その容量を大きくできる。よって、本実施形態によっても、2つの導電体40、60間の容量を大きくするのに適した構成を実現することができる。
【0084】
なお、本実施形態においても、上記第1実施形態と同様に、キャパシタ構造体20の静電容量においては、キャパシタ構造体20のうち貫通穴30内に位置する部位の容量と、半導体基板10の表面11に位置する部位の容量とを比べた場合、前者の方が後者よりも大きいものであってもよいし、前者よりも後者の方が小さいものであってもよい。
【0085】
(第4実施形態)
図7は、本発明の第4実施形態に係る電子装置の製造方法を示す工程図であり、各工程におけるワークの概略断面構成を示す図であり、最終的に図7(c)に示される構造を有する電子装置を形成するものである。本実施形態は上記第3実施形態を変形したものであり、上記第3実施形態との相違点を中心に述べることとする。
【0086】
上記第3実施形態の電子装置では、上記図6に示したように、キャパシタ構造体20を、半導体基板10の貫通穴30の内部から半導体基板10の表面11のみにまで連続して形成しており、さらに、貫通穴30において、キャパシタ構造体20を、貫通穴30の深さ方向の全体に亘って形成していた。
【0087】
それに対して、本実施形態では、図7(c)に示されるように、貫通穴30において、キャパシタ構造体20は、貫通穴30における表面11側の開口部から貫通穴30の深さ方向の途中までに形成されている。
【0088】
本実施形態のような構成は、たとえば各膜40〜60の成膜手法や貫通穴30の構成により、貫通穴30における半導体基板10の裏面12寄りの部位や半導体基板10の裏面12まで、膜形成が成されない場合などに発生する。
【0089】
しかし、このような場合でも、キャパシタ構造体20は貫通穴30だけでなく、半導体基板10の表面11にも形成されるから、貫通穴30の径を大きくすることなく、2つの導電体40、60間の容量を大きくするのに適した構成を実現することができる。
【0090】
次に、図7を参照して、本実施形態の電子装置の製造方法について述べる。まず、図示しないが、上記同様に、半導体基板10を研磨やエッチングにより所望の厚さまで薄肉化し、半導体基板10にトレンチエッチングにより貫通穴30を形成する。
【0091】
次に、図7(a)に示されるように、半導体基板10の表面11側から当該表面11および貫通穴30の途中まで、第1の導電体40を成膜し、次に、図7(b)に示されるように、同じく表面11側から当該表面11および貫通穴30の途中まで、絶縁体50を成膜する。
【0092】
その後は、図7(c)に示されるように、第2の導電体60の形成を行う。これら各膜40〜60の成膜については、上記第3実施形態と同様である。こうして、第2の導電体60が形成され、本実施形態のキャパシタ構造体20ができあがる。
【0093】
なお、本実施形態においても、貫通穴30および半導体基板10の表面11のみにキャパシタ構造体20が形成されたものとしているが、貫通穴30および半導体基板10の裏面12のみにキャパシタ構造体20が形成されたものでもよい。この場合、キャパシタ構造体20は、半導体基板10の裏面12から貫通穴30に入り込み貫通穴30の途中まで形成されたものとなる。
【0094】
また、本実施形態においても、キャパシタ構造体20の静電容量においては、キャパシタ構造体20のうち貫通穴30内に位置する部位の容量と、半導体基板10の表面11に位置する部位の容量とを比べた場合、前者の方が後者よりも大きいものであってもよいし、前者よりも後者の方が小さいものであってもよい。
【0095】
(第5実施形態)
図8は、本発明の第5実施形態に係る電子装置の一部断面斜視図である。この図8においては、半導体基板10の厚さ方向の断面とともに第1の主面である表面11を示している。
【0096】
また、図9は、本実施形態の電子装置における各キャパシタ構造体20の電気的な配線構成を模式的に示す図である。ここでは、本第5実施形態について、上記第1実施形態との相違点を中心に述べる。
【0097】
本実施形態の電子装置においても、上記第1実施形態と同様に、図8および図9に示されるように、貫通穴30は複数個設けられており、各々の貫通穴30についてキャパシタ構造体20が貫通穴30の内部から半導体基板10の両主面11、12にまで連続して形成されている。
【0098】
ここで、上記第1実施形態では、各々のキャパシタ構造体20は、さらに互いに連続して形成されることで一体に電気的に接続されたものとなっている。具体的には、上記図1に示したように、半導体基板10の各主面11、12の全面に形成されているキャパシタ構造体20によって、各貫通穴30におけるキャパシタ構造体20同士が一体に電気的に接続されている。
【0099】
それに対して、本実施形態の電子装置では、図8および図9に示されるように、各々のキャパシタ構造体20は、互いに電気的に分離されて並列に接続されたものとなっている。
【0100】
具体的には、図9に示されるように、個々のキャパシタ構造体20について、第1の導電体40、第2の導電体60はそれぞれ、半導体基板10の各主面11、12に引き出され、各主面11、12にてワイヤボンディングなどにより外部と電気的に接続されるようになっている。
【0101】
本実施形態では、図8に示されるように、半導体基板10の各主面11、12にて、キャパシタ構造体20が形成されずに分断されている部位、すなわち分断部70が設けられている。この分断部70では、各主面11、12が露出した状態となっており、この分断部70によって、各キャパシタ構造体20の隣り合う同士が、互いに電気的に分離されている。
【0102】
図8に示される例では、格子状に配置された貫通穴30のうち隣り合う貫通穴30の間のすべてに分断部70が設けられている。ここでは、分断部70は碁盤のマス目状に設けられ、1個の貫通穴30は1個のマス目を構成する矩形の分断部70に囲まれている。そして、この矩形の分断部70に囲まれた部分が、電気的に分離された1個のキャパシタ構造体20とされている。
【0103】
また、本実施形態においても、電気的に独立した個々のキャパシタ構造体20の静電容量においては、キャパシタ構造体20のうち貫通穴30内に位置する部位の容量と、半導体基板10の表裏両主面11、12に位置する部位の容量とを比べた場合に、前者の方が後者よりも大きいものであってもよいし、前者よりも後者の方が小さいものであってもよい。
【0104】
また、図8に示される例では、分断部70は、格子状に配列された貫通穴30の間にて縦横に碁盤の目状に設けられていたが、当該基板の面のうち縦方向だけ、あるいは横方向だけに分断部70を設けてもよい。
【0105】
この場合、たとえば縦方向または横方向にて一直線上に並んでいる複数個のキャパシタ構造体20が、一体に電気的に接続されたものとなる。また、たとえば、分断部70は、キャパシタ構造体20を隣り合う複数個毎(たとえば4個毎あるいは2個毎)の群に分断するものであってもかまわない。
【0106】
また、本実施形態は、上記第3実施形態のように、キャパシタ構造体20を貫通穴30から半導体基板10の一方の主面のみに形成した構成のもの、あるいは、上記第4実施形態のように、キャパシタ構造体20を貫通穴30の深さ方向の途中までに形成した構成のものに対しても、組み合わせて適用することが可能であることは明らかである。
【0107】
(第6実施形態)
図10は、本発明の第6実施形態に係る電子装置におけるキャパシタ構造体の概略断面構成を示す図である。ここでは、本実施形態について、主として上記第1実施形態との相違点を述べることとする。
【0108】
上記第1実施形態では、上記図1、図2に示したように、貫通穴30の内部にて、第2の導電体60は絶縁体50の中空部の全体に充填されていたが、本実施形態では、図10に示されるように、貫通穴30の内部にて、第2の導電体60は絶縁体50の中空部の内面を被覆する筒状のものとされている。
【0109】
本実施形態の場合も、キャパシタ構造体20は、貫通穴30の内部だけでなく、半導体基板10の両方の主面つまり表裏両主面11、12まで形成されたものにされているから、貫通穴30の径を大きくすることなく、2つの導電体40、60間の容量を大きくするのに適した構成を実現することができる。
【0110】
また、本実施形態のような筒状の第2の導電体60は、蒸着やALD法などにより形成することができる。そして、本実施形態の構成は、上記第1実施形態のように、電気メッキによって絶縁体50の中空部全体に第2の導電体60を埋め込むことが難しいサイズの貫通穴20に対しても、有効に適用できる。
【0111】
また、本実施形態は、絶縁体50の中空部全体に第2の導電体60を埋め込むものではないことが特徴点であるから、この特徴点を有する構成であれば、上記第1実施形態以外にも、上記すべての実施形態と組み合わせて適用することが可能である。
【符号の説明】
【0112】
10 半導体基板
11 半導体基板の第1の主面としての表面
12 半導体基板の第2の主面としての裏面
20 キャパシタ構造体
30 貫通穴
40 第1の導電体
50 絶縁体
60 第2の導電体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の主面(11)と第2の主面(12)とが表裏の関係にある半導体基板(10)を備え、
前記半導体基板(10)には前記両主面(11、12)間を貫通する貫通穴(30)が設けられており、
前記貫通穴(30)には、当該穴の内面側に位置し当該内面を被覆する筒状の第1の導電体(40)と、前記第1の導電体(40)の中空部に位置し前記第1の導電体(40)の内面を被覆する筒状の絶縁体(50)と、前記絶縁体(50)の中空部に位置し前記絶縁体(50)の内面を被覆する第2の導電体(60)とが充填されて、前記両導電体(40、60)間に前記絶縁体(50)が介在してなるキャパシタ構造体(20)が形成されており、
前記キャパシタ構造体(20)は、前記貫通穴(30)の内部から前記半導体基板(10)の前記両主面(11、12)の少なくとも一方の主面にまで連続して形成され、当該少なくとも一方の主面においては、前記キャパシタ構造体(20)は、当該主面側から前記第1の導電体(40)、前記絶縁体(50)、前記第2の導電体(60)が順次積層された構成とされており、
前記キャパシタ構造体(20)の静電容量は、前記キャパシタ構造体(20)のうち前記貫通穴(30)に位置する部位の容量と前記少なくとも一方の主面に位置する部位の容量との合計とされていることを特徴とする電子装置。
【請求項2】
前記キャパシタ構造体(20)は、前記貫通穴(30)の内部から前記半導体基板(10)の前記両主面(11、12)にまで連続して形成され、当該両主面(11、12)のそれぞれにおいては、前記キャパシタ構造体(20)は、当該主面側から前記第1の導電体(40)、前記絶縁体(50)、前記第2の導電体(60)が順次積層された構成とされており、
前記キャパシタ構造体(20)の静電容量は、前記キャパシタ構造体(20)のうち前記貫通穴(30)に位置する部位の容量と前記両主面に位置する部位の容量との合計とされていることを特徴とする請求項1に記載の電子装置。
【請求項3】
前記キャパシタ構造体(20)は、前記貫通穴(30)の内部から前記半導体基板(10)の前記両主面(11、12)の一方の主面のみにまで連続して形成され、当該一方の主面においては、前記キャパシタ構造体(20)は、当該一方の主面側から前記第1の導電体(40)、前記絶縁体(50)、前記第2の導電体(60)が順次積層された構成とされており、
前記キャパシタ構造体(20)の静電容量は、前記キャパシタ構造体(20)のうち前記貫通穴(30)に位置する部位の容量と前記一方の主面に位置する部位の容量との合計とされていることを特徴とする請求項1に記載の電子装置。
【請求項4】
前記キャパシタ構造体(20)の静電容量においては、前記キャパシタ構造体(20)のうち前記貫通穴(30)に位置する部位の容量よりも前記少なくとも一方の主面に位置する部位の容量の方が大きいことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の電子装置。
【請求項5】
前記キャパシタ構造体(20)の静電容量においては、前記キャパシタ構造体(20)のうち前記貫通穴(30)に位置する部位の容量よりも前記少なくとも一方の主面に位置する部位の容量の方が小さいことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の電子装置。
【請求項6】
前記貫通穴(30)は複数個あり、各々の前記貫通穴(30)について前記キャパシタ構造体(20)が前記貫通穴(30)の内部から前記半導体基板(10)の前記両主面(11、12)の少なくとも一方の主面にまで連続して形成されており、
各々の前記キャパシタ構造体(20)は、互いに電気的に分離されて並列に接続されたものとなっていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1つに記載の電子装置。
【請求項7】
前記貫通穴(30)は複数個あり、各々の前記貫通穴(30)について前記キャパシタ構造体(20)が前記貫通穴(30)の内部から前記半導体基板(10)の前記両主面(11、12)の少なくとも一方の主面にまで連続して形成されており、
各々の前記キャパシタ構造体(20)は、さらに互いに連続して形成されることで一体に電気的に接続されたものとなっていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1つに記載の電子装置。
【請求項8】
前記貫通穴(30)の内部にて、前記第2の導電体(60)は前記絶縁体(50)の中空部の全体に充填されていることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1つに記載の電子装置。
【請求項9】
前記貫通穴(30)の内部にて、前記第2の導電体(60)は前記絶縁体(50)の中空部の内面を被覆する筒状のものとされていることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1つに記載の電子装置。
【請求項10】
前記貫通穴(30)において、キャパシタ構造体(20)は、前記貫通穴(30)の深さ方向の全体に亘って形成されていることを特徴とする請求項1ないし9のいずれか1つに記載の電子装置。
【請求項11】
前記キャパシタ構造体(20)は、前記貫通穴(30)の内部から前記半導体基板(10)の前記両主面(11、12)の一方の主面のみにまで連続して形成され、当該一方の主面においては、前記キャパシタ構造体(20)は、当該一方の主面側から前記第1の導電体(40)、前記絶縁体(50)、前記第2の導電体(60)が順次積層された構成とされており、
前記貫通穴(30)において、前記キャパシタ構造体(20)は、前記貫通穴(30)における前記一方の主面側の開口部から前記貫通穴(30)の深さ方向の途中までに形成されていることを特徴とする請求項1ないし9のいずれか1つに記載の電子装置。
【請求項12】
請求項2に記載の電子装置を製造する電子装置の製造方法であって、
前記半導体基板(10)に前記貫通穴(30)を形成した後、
前記半導体基板(10)の前記両主面(11、12)および前記貫通穴(30)の内部に、前記第1の導電体(40)を一括して成膜し、
次に、前記半導体基板(10)の前記両主面(11、12)および前記貫通穴(30)の内部に、前記絶縁体(50)を一括して成膜し、
次に、前記半導体基板(10)の前記両主面(11、12)および前記貫通穴(30)の内部に、前記第2の導電体(60)を一括して成膜することにより、前記キャパシタ構造体(20)を形成することを特徴とする電子装置の製造方法。
【請求項13】
請求項2に記載の電子装置を製造する電子装置の製造方法であって、
前記半導体基板(10)に前記貫通穴(30)を形成した後、
前記半導体基板(10)の前記両主面(11、12)の一方の主面側から当該一方の主面および前記貫通穴(30)の内部に、前記第1の導電体(40)を成膜し、
次に、前記半導体基板(10)の前記両主面(11、12)の一方の主面側から当該一方の主面および前記貫通穴(30)の内部に、前記絶縁体(50)を成膜し、
続いて、前記半導体基板(10)の他方の主面側から当該他方の主面に、前記第1の導電体(40)を成膜し、
次に、前記半導体基板(10)の他方の主面側から当該他方の主面に、前記絶縁体(50)を成膜し、
その後、前記半導体基板(10)の前記両主面(11、12)の一方の主面側からと、他方の主面側からとで分けて、前記第2の導電体(60)の成膜を行うことにより、当該両主面および前記貫通穴(30)の内部に、前記第2の導電体(60)を形成することを特徴とする電子装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−89743(P2012−89743A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−236486(P2010−236486)
【出願日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】