説明

電子部品の実装装置及び実装方法

【課題】パネルに貼着された粘着テープから離型テープを確実に剥離することができるようにした実装装置を提供する。
【解決手段】インデックステーブルを回転駆動し、吸着ヘッド18を受け取りポジション、貼着剥離ポジション及び実装ポジションのそれぞれに順次位置決めする第1の回転駆動源と、粘着テープが貼着された離型テープを繰り出す供給リール38及び粘着テープが除去された離型テープを送るチャック47と、貼着剥離ポジションで離型テープに係合し離型テープを粘着テープから剥離する方向に変換する第2のガイドローラ42と、チャックが離型テープを送るときにその送りと第1の回転駆動源によるインデックステーブルの回転駆動を同期させることで離型テープを第2のガイドローラによって粘着テープから剥離させる制御装置を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は基板としてのたとえば液晶表示装置に用いられるガラス製のパネルに、電子部品としてのたとえばTCP(Tape Carrier Package)を実装する電子部品の実装装置及び実装方法に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば、液晶表示装置を製造する場合、基板としての上記パネルに、電子部品としての上記TCPを実装するための実装装置が用いられる。上記TCPは金型によってキヤリアテープから打ち抜かれた後、所定角度ずつ間欠的に回転駆動されるインデックステーブルに供給される。このインデックステーブルには1回当たりの回転角度に応じた間隔で周方向に複数の吸着ヘッドが設けられている。そして、上記金型によって打ち抜かれたTCPは複数の吸着ヘッドに順次供給される。
【0003】
上記パネルはXYテーブルに位置決め載置されていて、このXYテーブルによってXY方向に駆動されるようになっている。上記インデックステーブルの実装ポジションにおいて、上記TCPに設けられた位置合わせマークと、上記パネルに設けられた位置合わせマークとが撮像カメラによって撮像され、その撮像信号が画像処理部で処理される。そして、画像処理部での処理に基いて、上記TCPの位置合わせマークに上記パネルの位置合わせマークが一致するよう、上記XYテーブルの駆動が制御されて上記パネルが位置決めされるようになっている。
【0004】
上記TCPに対して上記パネルが位置決めされると、そのTCPを吸着保持した吸着ヘッドが下降方向に駆動され、上記パネルに設けられた異方性導電部材からなる粘着テープに加圧して貼着する。このとき、上記粘着テープは加熱されて溶融硬化し、上記TCPが上記パネルに固着される。つまり、TCPを実装するようになっている。インデックステーブルを用いて基板にTCPを実装する従来の実装装置は、たとえば特許文献1に開示されている。
【0005】
ところで、特許文献1に開示された実装装置においては、基板にTCPを実装するための粘着テープを、上記基板の一側の長手方向全長にわたって貼着し、そこに上記TCPを所定間隔で実装するようにしている。
【0006】
そのため、粘着テープは、パネルに所定間隔で貼着されたTCPの間に位置する部分がTCPの実装に必要のない部分となるから、その部分が無駄になり、コスト上昇につながるということがある。
【0007】
そこで、最近では基板に粘着テープを貼着せず、TCPに、このTCPの幅寸法に対応する長さで粘着テープを貼着することで、粘着テープの無駄をなくすということが考えられている。
【0008】
その場合、離型テープに貼着された粘着テープをTCPの幅寸法に対応する長さで切断し、その粘着テープを上にして離型テープとともに押し上げ、インデックステーブルの吸着ヘッドに保持されたTCPに貼着した後、その粘着テープの下面から離型テープを剥離する。そして、粘着テープの離型テープが剥離された面を基板に貼着することで、上記TCPを基板に実装することになる。
【0009】
特許文献2には、離型テープに一側面が貼着された粘着テープの他側面を基板の一側の長手方向全長にわたって貼着してから、上記離型テープをローラユニットによって剥離することが示されている。
【0010】
そして、従来、インデックステーブルの吸着ヘッドに保持された電子部品に貼着された粘着テープから離型テープを剥離する場合、特許文献2に示されるローラユニットを用いるようにしていた。
【特許文献1】特開2002−305398号
【特許文献2】特開2001−294361号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
インデックステーブルの吸着ヘッドに保持されたTCPに貼着された粘着テープから離型テープを剥離するためにローラユニットを用いる場合、上記ローラユニットに上下方向及び水平方向に所定間隔で離間して設けられた一対のローラに上記離型テープを係合させる。
【0012】
そして、このローラユニットをTCPに貼着された粘着テープに沿って駆動することで、一対のローラによって上記離型テープをTCPに貼着された粘着テープから引き剥がす方向に付勢し、この離型テープを上記粘着テープから剥離するようにしている。
【0013】
したがって、このような構成によると、ローラユニットやこのローラユニットを駆動する駆動手段が必要となるから、構成の複雑化及びコストの上昇を招くということがある。しかも、ローラユニットによって離型テープを剥離する間はインデックステーブルを回転させることができない。つまり、離型テープを剥離するためには専用の作業時間が必要となるから、そのことによって生産性の低下を招くということもある。
【0014】
この発明は、簡単な構成で、しかも専用の作業時間を必要とせずに、インデックステーブルの吸着ヘッドに保持された電子部品に貼着された粘着テープから離型テープを剥離することができるようにした電子部品の実装装置及び実装方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
この発明は、基板に電子部品を実装する実装装置であって、
上記電子部品を吸着保持する複数の吸着ヘッドが周方向に所定間隔で設けられたインデックステーブルと、
このインデックステーブルを回転駆動し、上記吸着ヘッドを上記電子部品を受ける受け取りポジション、受け取りポジションで受けた電子部品に一方の面に離型テープが貼着されて所定長さに切断された粘着テープの他方の面を貼着して上記一方の面から上記離型テープを剥離する貼着剥離ポジション及び離型テープが剥離された粘着テープの一方の面によって上記電子部品を上記基板に実装する実装ポジションのそれぞれに順次位置決めする駆動手段と、
上記粘着テープが貼着された上記離型テープを繰り出す供給手段及び上記貼着剥離ポジションで上記粘着テープが上記電子部品に貼着されて除去される上記離型テープを送る送り手段と、
上記貼着剥離ポジションで上記離型テープに係合し上記巻き取り手段によって巻き取られる上記離型テープの走行方向を上記電子部品に貼着された粘着テープから剥離する方向に変換する係合部材と、
上記送り手段が上記離型テープを送るときにその送りと上記駆動手段による上記インデックステーブルの回転駆動を同期させることで上記離型テープを上記係合部材によって上記粘着テープから剥離させる制御手段と
を具備したことを特徴とする電子部品の実装装置にある。
【0016】
上記送り手段は上記離型テープを挟持して所定方向に牽引する牽引機構であって、
上記制御手段は上記インデックステーブルの回転駆動に上記牽引機構の牽引動作を同期させることが好ましい。
【0017】
上記供給手段から繰り出されて上記牽引機構によって牽引される離型テープの走行方向は上記インデックステーブルの接線方向に設定されていて、
上記貼着剥離ポジションで上記離型テープから上記粘着テープが上記電子部品に貼着された後、上記インデックステーブルの回転と上記離型テープの走行によってこの離型テープが幅方向に捩じられながら上記電子部品に貼着された粘着テープの幅方向の一端から剥離されることが好ましい。
【0018】
上記電子部品は上記吸着ヘッドによって水平に保持され、
上記離型テープは上記係合部材によって下方に方向変換されて上記牽引手段によって牽引されることが好ましい。
【0019】
この発明は、基板に電子部品を実装する実装方法であって、
インデックステーブルの周方向に所定間隔で設けられた複数の吸着ヘッドに上記電子部品を吸着保持する工程と、
上記インデックステーブルを回転駆動し、上記吸着ヘッドを上記電子部品を受ける受け取りポジション、受け取りポジションで受けた電子部品に一方の面に離型テープが貼着されて所定長さに切断された粘着テープの他方の面を貼着して上記一方の面から上記離型テープを剥離する貼着剥離ポジション及び離型テープが剥離された粘着テープの一方の面によって上記電子部品を上記基板に実装する実装ポジションのそれぞれに順次位置決めする工程と、
上記貼着剥離ポジションで上記電子部品に上記粘着テープを貼着してから上記インデックステーブルを回転駆動させるとき、このインデックステーブルの回転に同期させて上記離型テープを上記電子部品に貼着された粘着テープから離反する方向に牽引する工程と
を具備したことを特徴とする電子部品の実装方法にある。
【0020】
上記貼着剥離ポジションで上記離型テープから上記粘着テープが上記電子部品に貼着されるまでは上記離型テープを上記インデックステーブルの接線方向に沿って走行させ、上記粘着テープが上記電子部品に貼着された後、上記離型テープを上記吸着ヘッドに保持された電子部品から離反する下方に向かって牽引することが好ましい。
【発明の効果】
【0021】
この発明によれば、貼着剥離ポジションにおいて、インデックステーブルの回転に同期させて離型テープを電子部品に貼着された粘着テープから離反する方向に走行させるようにした。
【0022】
そのため、電子部品に貼着された粘着テープからの離型テープの剥離を、インデックステーブルの回転駆動とともに行なうことができるから、その剥離作業を比較的簡単に、しかも専用の作業時間を必要とせずに行なうことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、この発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1はこの発明の一実施の形態の電子部品の実装装置の全体構成を示す概略図である。この実装装置は基板としてのたとえば液晶表示装置用のパネル1を搬送する第1の搬送手段であるパネルテーブル2と、電子部品としてのTCP3を搬送する第2の搬送手段としてのインデックステーブル4を有する。
【0024】
上記パネルテーブル2はベース5上にX方向(図1の紙面に直交する方向)に沿って移動可能に設けられたXテーブル6を有する。このXテーブル6は、上記ベース5に設けられた第1のX駆動源7によって上記ベース5上をX方向に沿って駆動されるようになっている。
【0025】
上記Xテーブル6にはX方向と直交するY方向(矢印で示す)に沿って移動可能なYテーブル8が設けられている。このYテーブル8は上記Xテーブル6に設けられた第1のY駆動源9によってY方向に沿って駆動される。上記Yテーブル8にはθテーブル10が回転方向に移動可能に設けられ、上記Yテーブル8に設けられたθ駆動源10aによって回転方向に駆動されるようになっている。
【0026】
そして、上記θテーブル10の上面に上記パネル1が供給され、たとえば真空吸着などの手段によって保持される。それによって、上記パネル1は上記パネルテーブル2によってXY及びθ方向に対して位置決め可能となっている。なお、θテーブル10はパネル1よりも小さく形成されている。そのため、パネル1は周辺部をθテーブル10の周辺部から外方へ突出させている。
【0027】
上記インデックステーブル4は、中心に回転軸11が設けられ、この回転軸11は駆動手段としての第1の回転駆動源12によって図2に矢印Rで示す時計方向に所定角度ずつ間欠的に回転駆動されるようになっている。この実施の形態では、上記インデックステーブル4は90度の回転角度で間欠駆動されるようになっている。
【0028】
上記インデックステーブル4の上面には、90度間隔で4つの支持体13が設けられている。図1では2つの支持体13だけを図示し、他の支持体13を省略している。この支持体13は側面形状がL字状をなしていて、その垂直面には可動体14がリニアガイド15によって垂直方向に移動可能に支持されている。
【0029】
図1に示すように、上記支持体13の上端にはブラケット16が設けられ、このブラケット16には実装シリンダ17が軸線を垂直にし、かつロッド17aの先端を上記可動体14の上端に連結して設けられている。なお、図2においては上記実装シリンダ17の図示を省略している。
【0030】
各可動体14の下端面には実装手段として側面形状がL字状の吸着ヘッド18が設けられている。この吸着ヘッド18は、図2にAで示す受け取りポジションで後述する部品供給部21から供給されたTCP3を吸着保持し、上記パネル1に実装するようになっている。なお、インデックステーブル4は上述した受け取りポジションAの他に、B〜Dで示す3つのポジション、つまり合計で4つのポジションを有する。
【0031】
Bは受け取りポジションAで吸着ヘッド18に供給されたTCP3の端子部をブラシ(ともに図示せず)で洗浄する洗浄ポジション、Cは洗浄されたTCP3の端子部に図3に示すように離型テープ20に貼着された状態で所定長さに切断された異方性導電部材からなる粘着テープ19を後述するように貼着してから、その粘着テープ19から離型テープ20を剥離する貼着剥離ポジション、Dは端子部に粘着テープ19が貼着されたTCP3をパネル1の側辺部の上面に上記粘着テープ19によって実装するための実装ポジションである。
【0032】
上記部品供給部21は、図1に示すようにキヤリアテープ22から上記TCP3を打ち抜く金型23を有する。この金型23は上下方向に駆動される上型23aと、この上型23aに対向して固定的に配置された下型23bとを有し、上型23aにはポンチ24が設けられ、下型23bには上型23aが下降したときに上記ポンチ24が入り込む貫通孔25が設けられている。
【0033】
上記キヤリアテープ22は上型23aと下型23bとの間に通され、上型23aが下降することで上記TCP3が打ち抜かれ、上昇したときに+Yで示す矢印方向に所定ピッチで送られて新たにTCP3が打ち抜き可能な状態となる。
【0034】
上記下型23bの下方には受け具26が配置されている。この受け具26はXテーブル27に設けられたZθ駆動源28によって上下方向となるZ方向及び回転方向となるθ方向に駆動されるようになっている。上記Xテーブル27はYテーブル29に上記Y方向と直交するX方向に沿って移動可能に設けられている。このYテーブル29には上記Xテーブル27をX方向に沿って駆動する第2のX駆動源31が設けられている。
【0035】
上記Yテーブル29は図1に矢印で示すY方向に沿って配置されたベース32にY方向に沿って移動可能に設けられている。このベース32の一端には上記Yテーブル29をY方向に沿って駆動する第2のY駆動源33が設けられている。上記ベース32の他端は上記インデックステーブル4の受け取りポジションAの下方に位置している。
【0036】
上記金型23によってキヤリアテープ22から打ち抜かれたTCP3を受け具26が受けて下降すると、Yテーブル29が第2のY駆動源33によってベース32の一端から他端へ駆動される。それによって、TCP3を保持した受け具26が図1に鎖線で示すようにインデックステーブル4の受け取りポジションAの下方に位置決めされる。
【0037】
受け具26が受け取りポジションAの下方に位置決めされると、上記受け具26が上昇方向に駆動され、可動体14の下端に設けられた吸着ヘッド18によって上記受け具26に保持されたTCP3の端子部が設けられた一端部の上面を吸着する。
【0038】
吸着ヘッド18が受け取りポジションAでTCP3を吸着すると、インデックステーブル4が90度回転駆動され、その吸着ヘッド18が洗浄ポジションBに位置決めされる。洗浄ポジションBでは図示しないブラシによって吸着ヘッド18に吸着保持されたTCP3の端子部がブラッシングされる。それによって、端子部に付着した汚れが除去される。
【0039】
洗浄ポジションBでTCP3の汚れが除去されると、インデックステーブル4は90度回転駆動されて上記TCP3は貼着剥離ポジションCに位置決めされる。貼着剥離ポジションCでは、上記TCP3の端子部に所定長さに切断された粘着テープ19を貼着する。
【0040】
上記貼着剥離ポジションCは、図3と図6に示すように貼着剥離ポジションCに位置決めされた吸着ヘッド18の下方に対向してこの吸着ヘッド18とほぼ同じ大きさの押圧ブロック34が設けられている。この押圧ブロック34には上記TCP3に貼着される粘着テープ19を加熱するためのヒータ34aが内蔵されている。
【0041】
上記押圧ブロック34は軸線を垂直にして配置された駆動シリンダ35のロッド35aに取付けられ、図3に矢印Zで示す上下方向に駆動可能となっている。それによって、上記駆動シリンダ35が作動して上記ロッド35aが突出方向に駆動されると、上記押圧ブロック34が上記吸着ヘッド18に向かって上昇する。
【0042】
上記押圧ブロック34の上面側には、一方の面に上記粘着テープ19が貼着された上記離型テープ20が上記粘着テープ19を上に向けて供給手段としての供給リール38から繰り出される。供給リール38から繰り出された離型テープ20は第1乃至第4のガイドローラ41〜44にガイドされて巻き取りリール45に巻き取られるようになっている。
【0043】
上記第4のガイドローラ44と上記巻き取りリール45の間には、離型テープ20を挟持して上記巻き取りリール45に巻き取られる方向に所定長さづつ間欠的に牽引する牽引機構としての一対の挟持片47aからなるチャック47が設けられている。このチャック47は牽引駆動源52によって開閉及び図3に実線で示す位置と鎖線で示す位置との間で上下方向に直線駆動されるようになっている。
【0044】
上記巻き取りリール45と上記チャック47とで上記離型テープ20を送るための送り手段を構成している。
【0045】
上記供給リール38から繰り出された離型テープ20は、第1のガイドローラ41と第2のガイドローラ42によってガイドされて粘着テープ19が貼着された面が上を向くよう上記吸着ヘッド18の下端面と平行に、しかも図4に示すように上記インデックステーブル4の接線方向に沿って走行する。ついで、上記離型テープ20は上記第2のガイドローラ42によって垂直方向下方に向かって走行するよう方向変換される。
【0046】
つまり、第2のガイドローラ42は、上記貼着剥離ポジションCで上記離型テープ20に係合し、この離型テープ20が上記チャック47によって牽引されるとともに、その牽引長さに応じて上記巻き取りリール45によって巻き取られることで、この離型テープ20の走行方向を上記粘着テープ19から離反する方向に変換する。
【0047】
すなわち、上記第2のガイドローラ42は、上記TCP3に貼着された粘着テープ19の、上記インデックステーブル4の回転方向先端側に位置する端部で、上記離型テープ20との係合によってこの離型テープ20の走行方向を上記粘着テープ19から剥離する方向に変換する係合部材として作用するようになっている。
【0048】
上記第2のガイドローラ42によって垂直方向下方へガイドされた離型テープ20は第3のガイドローラ43によって水平に方向変換された後、第4のガイドローラ44によって垂直方向下方へガイドされて上記巻き取りリール45に巻き取られる。この巻き取りリール45は第2の回転駆動源51によって回転駆動されるようになっている。
【0049】
上記第1の回転駆動源12、第2の回転駆動源51及び上記牽引駆動源52は、上記押圧ブロック34が上昇方向に駆動されて吸着ヘッド18に吸着保持された上記TCP3に粘着テープ19の一側面が貼着された後、上記押圧ブロック34が所定の位置まで下降したときに、図8に示す制御装置53によって同期して駆動される。
【0050】
すなわち、上記制御装置53は、第1の回転駆動源12を作動させてインデックステーブル4を所定の角度で回転する。それと同時に、牽引駆動源52を作動させてチャック47によって離型テープ20を所定の長さだけ下方へ牽引するとともに、第2の回転駆動源51を作動させて巻き取りリール45に離型テープ20を上記チャック47によって牽引された長さ分だけ巻き取らせる。
【0051】
上記制御装置53は、図8に示すように上述した第1のX駆動源7、第1のY駆動源9、実装シリンダ17、Zθ駆動源28、第2のX駆動源31、第2のY駆動源33及び駆動シリンダ35の駆動を予め設定されたタイミングで制御するようになっている。
【0052】
上記TCP3に一側面が貼着された上記粘着テープ19の他側面に貼着された離型テープ20の、上記インデックステーブル4の回転方向先端側に位置する端部は、第2のガイドローラ42との係合によって上述したように上記粘着テープ19から離反する方向に走行方向が変換される。
【0053】
そのため、制御装置53によって上記第1の回転駆動源12、第2の回転駆動源51及び牽引駆動源52が同期して駆動されると、上記インデックステーブル4の回転駆動に同期して上記チャック47の一対の挟持片47aが閉じられ、このチャック47が図3に実線で示す位置から鎖線で示す位置に駆動されて、上記離型テープ20が上記チャック47によって上記巻き取りリール45に巻き取られる方向に牽引され、その分が上記巻き取りリール45によって巻き取られる。それによって、上記離型テープ20が上記粘着テープ19から剥離されることになる。
【0054】
しかも、上記離型テープ20が牽引されて上記粘着テープ19から剥離される際、それに同期して上記インデックステーブル4は図4に示す位置から図5に矢印θで示す方向に回転駆動される。なお、図6は上記インデックステーブル4が回転した状態を示す側面図である。
【0055】
このように、上記離型テープ20がチャック47によって牽引される際、上記インデックステーブル4が回転すると、吸着ヘッド18に保持されたTCP3に貼着された粘着テープ19は図5にθで示すインデックステーブル4の回転方向に進むのに対して、離型テープ20はインデックステーブル4の回転方向θと異なる方向である、同図にAで示すインデックステーブル4の接線方向に走行する。
【0056】
そのため、離型テープ20の上記粘着テープ19からの剥離はTCP3に貼着された粘着テープ19に対してひねられながら進行する。つまり、上記離型テープ20の上記粘着テープ19からの剥離は、この粘着テープ19の幅方向において、上記インデックステーブル4の径方向内側に位置する一端から開始される。
【0057】
つまり、粘着テープ19からの離型テープ20の剥離は、離型テープ20がTCP3に貼着された粘着テープ19に対してひねられることで、図7にL1で示す粘着テープ19の幅方向に直交する直線に対し、粘着テープ19の幅方向に対して角度αで傾斜した直線L2に沿って進行する。つまり、同図にE1で示す粘着テープ19の幅方向の一端からE2で示す幅方向他端に向かって進行する。
【0058】
しかも、上記角度αはインデックステーブル4の回転に伴って大きくなるから、その角度αの増加に伴って離型テープ20の粘着テープ19に対するひねり度合も大きくなる。
【0059】
それによって、離型テープ20の剥離が粘着テープ19の幅方向に対して直交する直線L1に沿う全域で同時に進行する場合に比べ、その剥離が容易かつ確実に行なわれるから、TCP3に貼着された粘着テープ19に無理な力が加わって、粘着テープ19がTCP3から剥がれたり、TCP3が変形するなどのことが防止される。
【0060】
しかも、TCP3は吸着ヘッド18によって水平に保持され、上記離型テープ20は第2のガイドローラ42によって上記TCP3に貼着された粘着テープ19に対して直交する下方に方向変換されて牽引される。
【0061】
そのため、離型テープ20に加わる牽引力が粘着テープ19との貼着部位に確実に、しかも効率よく作用することになるから、そのことによっても離型テープ20の剥離を確実に行なうことが可能となる。
【0062】
このように、TCP3に貼着された粘着テープ19から離型テープ20を剥離する際、第2のガイドローラ42によって走行方向が変換された離型テープ20をチャック47によって牽引しながら、巻き取りリール45によって巻き取るとともに、その牽引及び巻き取りに同期させてインデックステーブル4を回転させて離型テープ20を粘着テープ19から剥離するようにした。
【0063】
そのため、離型テープ20を剥離するために専用の駆動機構、たとえば第2のガイドローラ42を駆動させるようなことをせずに、粘着テープ19から離型テープ20を剥離することができるから、装置全体の構成の簡略化及びそれによるコストの低減を図ることができる。
【0064】
しかも、インデックステーブル4の回転駆動と同時に、上記離型テープ20の剥離を行なうことができる。つまり、インデックステーブル4の回転駆動による作業の進行と同時に離型テープ20の剥離を行うことができる。そのため、離型テープ20の剥離のめに専用の作業時間を必要としないから、タクトタイムを短縮することができるということもある。
【0065】
なお、上記一実施の形態では粘着テープから離型テープを剥離する際、離型テープを牽引しながら送る送り手段を、巻き取りリールと牽引機構であるチャックとで構成したが、巻き取りリールをなくし、チャックだけによって離型テープを牽引して走行させるようにしてもよい。その場合、チャックによって牽引走行させられた離型テープは、たとえば回収ボックスなどに捨てるようにすればよい。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】この発明の一実施の形態を示す実装装置の概略的構成図。
【図2】インデックステーブルとパネルテーブルを示す平面図。
【図3】貼着剥離ポジションの構成を示す側面図。
【図4】貼着剥離ポジションにおいて、離型テープの剥離を開始する前の状態を示す平面図。
【図5】貼着剥離ポジションにおいて、インデックステーブルを回転させながら離型テープの剥離しているときの状態を示す平面図。
【図6】同じく離型テープを剥離しているときの状態を示す側面図。
【図7】TCPに貼着された粘着テープから離型テープが剥離されるときの状態を説明した模式図。
【図8】制御系統のブロック図。
【符号の説明】
【0067】
1…パネル(基板)、3…TCP(電子部品)、4…インデックステーブル、12…第1の回転駆動源(駆動手段)、18…吸着ヘッド、19…粘着テープ、20…離型テープ、38…供給リール(供給手段)、42…第2のガイドローラ(係合部材)、45…巻き取りリール(送り手段)、47…チャック(送り手段)、51…第2の回転駆動源(送り手段)、52…牽引駆動源、53…制御装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に電子部品を実装する実装装置であって、
上記電子部品を吸着保持する複数の吸着ヘッドが周方向に所定間隔で設けられたインデックステーブルと、
このインデックステーブルを回転駆動し、上記吸着ヘッドを上記電子部品を受ける受け取りポジション、受け取りポジションで受けた電子部品に一方の面に離型テープが貼着されて所定長さに切断された粘着テープの他方の面を貼着して上記一方の面から上記離型テープを剥離する貼着剥離ポジション及び離型テープが剥離された粘着テープの一方の面によって上記電子部品を上記基板に実装する実装ポジションのそれぞれに順次位置決めする駆動手段と、
上記粘着テープが貼着された上記離型テープを繰り出す供給手段及び上記貼着剥離ポジションで上記粘着テープが上記電子部品に貼着されて除去される上記離型テープを送る送り手段と、
上記貼着剥離ポジションで上記離型テープに係合し上記巻き取り手段によって巻き取られる上記離型テープの走行方向を上記電子部品に貼着された粘着テープから剥離する方向に変換する係合部材と、
上記送り手段が上記離型テープを送るときにその送りと上記駆動手段による上記インデックステーブルの回転駆動を同期させることで上記離型テープを上記係合部材によって上記粘着テープから剥離させる制御手段と
を具備したことを特徴とする電子部品の実装装置。
【請求項2】
上記送り手段は上記離型テープを挟持して所定方向に牽引する牽引機構であって、
上記制御手段は上記インデックステーブルの回転駆動に上記牽引機構の牽引動作を同期させることを特徴とする請求項1記載の電子部品の実装装置。
【請求項3】
上記供給手段から繰り出されて上記牽引機構によって牽引される離型テープの走行方向は上記インデックステーブルの接線方向に設定されていて、
上記貼着剥離ポジションで上記離型テープから上記粘着テープが上記電子部品に貼着された後、上記インデックステーブルの回転と上記離型テープの走行によってこの離型テープが幅方向に捩じられながら上記電子部品に貼着された粘着テープの幅方向の一端から剥離されることを特徴とする請求項1記載の電子部品の実装装置。
【請求項4】
上記電子部品は上記吸着ヘッドによって水平に保持され、
上記離型テープは上記係合部材によって下方に方向変換されて上記牽引手段によって牽引されることを特徴とする請求項3記載の電子部品の実装装置。
【請求項5】
基板に電子部品を実装する実装方法であって、
インデックステーブルの周方向に所定間隔で設けられた複数の吸着ヘッドに上記電子部品を吸着保持する工程と、
上記インデックステーブルを回転駆動し、上記吸着ヘッドを上記電子部品を受ける受け取りポジション、受け取りポジションで受けた電子部品に一方の面に離型テープが貼着されて所定長さに切断された粘着テープの他方の面を貼着して上記一方の面から上記離型テープを剥離する貼着剥離ポジション及び離型テープが剥離された粘着テープの一方の面によって上記電子部品を上記基板に実装する実装ポジションのそれぞれに順次位置決めする工程と、
上記貼着剥離ポジションで上記電子部品に上記粘着テープを貼着してから上記インデックステーブルを回転駆動させるとき、このインデックステーブルの回転に同期させて上記離型テープを上記電子部品に貼着された粘着テープから離反する方向に牽引する工程と
を具備したことを特徴とする電子部品の実装方法。
【請求項6】
上記貼着剥離ポジションで上記離型テープから上記粘着テープが上記電子部品に貼着されるまでは上記離型テープを上記インデックステーブルの接線方向に沿って走行させ、上記粘着テープが上記電子部品に貼着された後、上記離型テープを上記吸着ヘッドに保持された電子部品から離反する下方に向かって牽引することを特徴とする請求項5記載の電子部品の実装方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2010−114301(P2010−114301A)
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−286470(P2008−286470)
【出願日】平成20年11月7日(2008.11.7)
【出願人】(000002428)芝浦メカトロニクス株式会社 (907)
【Fターム(参考)】