説明

電子部品の樹脂成形方法及び成形装置

【課題】電子部品の圧縮成形用金型3(上型3a、下型3b)を搭載した成形ユニット4を所要複数個、有する電子部品の樹脂成形装置1において、各成形ユニット4における成形温度(成形ユニットの成形温度及び樹脂成形型の成形温度)を効率良く均等にする。
【解決手段】所要複数個の成形ユニット4(4A、4B、4C)を一列に配置した電子部品の樹脂成形装置において、各成形ユニット4間に及び一列に配置した成形ユニット群7
の両側に、断熱手段(樹脂板20、真空断熱部材30)を設けて構成する。成形ユニット4に断熱手段(樹脂板20、真空断熱部材30)を設けた状態で、成形装置1に設けた成形ユニット4の圧縮成形用金型3で基板2に装着した電子部品を圧縮成形する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、基板に装着したIC等の電子部品を樹脂材料にて封止成形する電子部品の樹脂成形方法及びその成形装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、トランスファモールド法、圧縮成形法(コンプレッションモールド法)、或いは射出成形法(インジェクションモールド法)にて、基板に装着したIC等の電子部品を樹脂材料にて封止成形することが行われている。
【0003】
例えば、基板2に装着した電子部品を樹脂材料にて圧縮成形(封止成形)する圧縮成形法については、図7(1)、図7(2)に示すような電子部品の樹脂成形装置81に搭載された圧縮成形用金型3(上型3a及び下型3b)を用いて、次のようにして行われている。
即ち、電子部品の圧縮成形用金型3(上型3a及び下型3b)を用いて、まず、金型3を加熱手段にて所要の金型成形温度(型成形温度)、例えば、175度Cにまで加熱すると共に、離型フィルム(図示無し)を被覆した下型キャビティ16内に樹脂材料(例えば、顆粒樹脂、液状樹脂)を供給する。
このとき、離型フィルムを被覆した下型キャビティ16内に供給した樹脂材料は加熱されて溶融樹脂(流動性を有する樹脂)となる。
次に、圧縮成形用金型3(上型3a及び下型3b)を型締めすることにより、下型キャビティ16内の溶融樹脂内に、基板2に装着した電子部品を浸漬すると共に、下型キャビティ16の底面に設けたキャビティ底面部材18を上動させることにより、下型キャビティ16内の樹脂を加圧する。
従って、下型キャビティ16内で下型キャビティ16の形状に対応した樹脂成形体(パッケージ)内に基板2に装着した電子部品を圧縮成形(封止成形)し、成形品(基板と樹脂成形体)を得ることができる。
硬化に必要な所要時間の経過後、金型3を型開きすることにより、下型キャビティ16から樹脂成形体を離型する。
【0004】
ところで、成形品(製品)の生産性を効率良く向上させることを目指して、前述した圧縮成形法による電子部品の圧縮成形用金型3を搭載した成形ユニット4を、所要複数個、一列に配置した電子部品の樹脂成形装置81が検討されている。
例えば、図7(1)、図7(2)に示すような電子部品の樹脂成形装置81が検討されている。
この装置81においては、3個の成形ユニット4(4A、4B、4C)が一列に配置して構成されている。
即ち、この装置においては、まず、成形ユニット4A、4B、4Cの夫々において、加熱手段にて、成形ユニット4A、4B、4Cに各別に搭載された金型3(上型3a及び下型3b)を所要の成形温度(金型の成形温度)にまで各別に加熱する。
次に、成形ユニット4A、4B、4Cの夫々において、前述したように、当該ユニット4に搭載した金型3にて、基板2に装着した電子部品を樹脂材料にて各別に圧縮成形して製品(成形品)を得ていた。
なお、従来の装置81の基本的な構成部材は、後述する実施例1と同じであるため、同じ符号を付すものである。
【0005】
また、前述した圧縮成形法と同様に、従来から、前述したトランスファモールド法或いは射出成形法にて、基板2に装着した電子部品を封止成形することが行われている。
また、前述した圧縮成形法と同様に、従来から、基板2に装着した電子部品を封止成形するために、前述したトランスファモールド法或いは射出成形法による電子部品の樹脂成形用金型(電子部品の樹脂成形型)を搭載した成形ユニットを、所要複数個、一列に配置した電子部品の樹脂成形装置が用いられている。
また、従来から、例えば、圧縮成形用金型3(型組品)を所要複数個、垂直方向に積層した積層型(例えば、ダブルレイヤー方式)が用いられ、この積層型を搭載した成形ユニットを、所要複数個、一列に配置した電子部品の樹脂成形装置が用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−251094号公報(図1、図2)
【特許文献2】特開2009−39985号公報(図2、図3)
【特許文献3】特許第2932136号公報(図4)
【特許文献4】特許第2932137号公報(図4)
【特許文献5】特許第2666041号公報(図4)
【特許文献6】特許第4162474号公報(図10)
【特許文献7】特開2010−94931号(図2、図4、段落0062)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
また、前述したように、一列に配置した成形ユニット4(4A、4B、4C)の夫々において、当該成形ユニット4に搭載した金型(樹脂成形型)3にて、基板2に装着した電子部品を樹脂材料にて各別に圧縮成形することによって製品(成形品)を得ていた。
また、成形ユニット4の内部に搭載された金型3は加熱手段にて所要の成形温度に設定されるように制御されて構成されている。
また、このとき、一列に配置した成形ユニット4(4A、4B、4C)の夫々においては、成形ユニット4ごとに、所要の成形温度にまで加熱された金型3の熱にて、成形ユニット4(全体)は所要のユニット成形温度にまで加熱されることになる。
例えば、成形ユニット4(全体)は、金型3からの伝導熱及び輻射熱によって、また、当該ユニット4内における空気の対流熱によって加熱されることになる。
【0008】
しかしながら、金型3は加熱手段にて所要の成形温度までに加熱するように制御されているものの、外周の雰囲気に影響され易く、また、金型の熱が他の成形ユニットに影響を及ぼしている。
即ち、各成形ユニットから出入りする熱量差が大きいため、金型温度を効率良く均等に制御することができず、成形ユニット4に搭載された金型3間の温度は、ばらついて温度差が大きくなり易い。
また、このため、成形ユニット4(4A、4B、4C)の各ユニット間のユニット成形温度は均等にならず、温度差は非常に大きくなる傾向にある。
例えば、図7(3)における概略グラフの線82(上方に凸形状の線)で示すように、一列に配置した成形ユニット4(4A、4B、4C)、即ち、一列配置の成形ユニット群7におけるユニット成形温度は各成形ユニット4(4A、4B、4C)間で特有の傾向を示すことが知られている。
即ち、一列配置の成形ユニット群7における成形ユニット4(4A、4B、4C)のユニット成形温度を比べると、一列配置の成形ユニット群7の中央に位置する成形ユニット4Bの温度が、それと隣接する二つの成形ユニット4A、4Cに比べて高くなる傾向にある。
これは、隣接する二つの成形ユニット4A、4Cは冷め易く、中央ユニット4Bには熱が籠もるためと思われ、その結果、エネルギー損失が発生してエネルギー効率が悪くなっているものと思われる。
なお、このことは、成形ユニット4に搭載された金型3自体の温度に影響を与え、成形ユニット4に搭載した金型成形温度(成形型の成形温度)は、ユニット成形温度と同様に、均等に効率良く制御できず、ばらつきが発生している。
また、各成形ユニット4におけるタイバー13に熱膨張による差異が生じ易く、タイバー13の長さが成形装置81における成形ユニット4間で均等にならないのが通例であった。
【0009】
従って、従来から、一列に配置した成形ユニット7の各成形ユニット4において、或いは、成形ユニット4に搭載した金型3において、同じ成形条件で成形することが望まれている。
このため、一列に配置した成形ユニット4(4A、4B、4C)のユニット成形温度が効率良く均等にすること(設定すること)が求められていた。
【0010】
なお、前述した課題を解決するために、成形ユニット4(4A、4B、4C)を離間して設置する構成が検討されているが、工場内の設置スペース(装置のフットプリント)の最小化が求められているため、本発明の課題は解決に至っていない。
【0011】
即ち、従来の電子部品の樹脂成形装置81においては、3個の成形ユニット4(4A、4B、4C)間におけるユニット成形温度にばらつきが発生し易く、成形ユニット4(4A、4B、4C)間におけるユニット温度を効率良く均等にすることができないと云う弊害がある。
また、成形ユニット4(4A、4B、4C)の夫々に搭載された金型3の成形温度にばらつきが発生し易く、当該金型成形温度を効率良く均等にすることができないと云う弊害がある。
なお、図7(3)に示す概略グラフ(グラフの線82)について、横軸が成形ユニット4(4A、4B、4C)の配置(横軸)であり、縦軸がユニット成形温度である。
【0012】
従って、本発明は、電子部品の樹脂成形装置に設けられた所要複数個の成形ユニットにおける成形温度(ユニットの成形温度及び成形型の成形温度)を効率良く均等にすることができる電子部品の樹脂成形方法及び成形装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記した技術的課題を解決するための本発明に係る電子部品の樹脂成形方法は、電子部品の樹脂成形型を有する成形ユニットを所要複数個、備えた電子部品の樹脂成形装置を用いて、前記各成形ユニットで各別に電子部品を樹脂成形して成形品を形成する電子部品の樹脂成形方法であって、前記した成形ユニットの所要個所に断熱手段を設ける工程と、
前記した成形ユニットの所要個所に設けた断熱手段にて前記した成形ユニットを各別に断熱した状態で電子部品を樹脂成形する工程とを含むことを特徴とする。
【0014】
また、前記した技術的課題を解決するための本発明に係る電子部品の樹脂成形装置は、電子部品の樹脂成形型を有する成形ユニットを所要複数個、備えた電子部品の樹脂成形装置であって、前記した成形ユニットの所要個所に断熱手段を設けて構成したことを特徴とする。
【0015】
また、前記した技術的課題を解決するための本発明に係る電子部品の樹脂成形装置は、電子部品の樹脂成形型を有する成形ユニットを所要複数個、備えた電子部品の樹脂成形装置であって、前記所要複数個の成形ユニットを各別に隣接した状態で配置すると共に、前記各成形ユニット間に断熱手段を設けたことを特徴とする。
【0016】
また、前記技術的課題を解決するための本発明に係る電子部品の樹脂成形装置は、電子部品の樹脂成形型を有する成形ユニットを所要複数個、備えた電子部品の樹脂成形装置であって、前記所要複数個の成形ユニットを一列に配置すると共に、前記した各成形ユニット間に断熱手段を設けて構成したことを特徴とする。
【0017】
また、前記技術的課題を解決するための本発明に係る電子部品の樹脂成形装置は、前記した一列に配置した成形ユニットの両側に断熱手段を設けて構成したことを特徴とする。
【0018】
また、前記した技術的課題を解決するための本発明に係る電子部品の樹脂成形装置は、電子部品の樹脂成形型を有する成形ユニットを所要複数個、備えた電子部品の樹脂成形装置であって、前記所要複数個の成形ユニットを一列に配置すると共に、前記した各成形ユニットの夫々において、前記した成形ユニットの両側面となるユニット接続面に各別に断熱手段を設けて構成したことを特徴とする。
【0019】
また、前記技術的課題を解決するための本発明に係る電子部品の樹脂成形装置は、前記した所要複数個の成形ユニットを着脱自在に装設したことを特徴とする。
【0020】
また、前記した技術的課題を解決するための本発明に係る電子部品の樹脂成形装置は、前記した断熱手段が、樹脂板であることを特徴とする。
【0021】
また、前記技術的課題を解決するための本発明に係る電子部品の樹脂成形装置は、前記した断熱手段が、真空部を有する真空断熱部材であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、電子部品の樹脂成形装置に設けられた所要複数個の成形ユニットにおける成形温度(ユニットの成形温度及び成形型の成形温度)を効率良く均等にすることができる電子部品の樹脂成形方法及び成形装置を提供するができると云う優れた効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】図1は、本発明に係る電子部品の樹脂成形装置を概略的に示す概略平面図である(実施例1)。
【図2】図2(1)は図1に示す装置要部を概略的に示す概略平面図であり、図2(2)は図2(1)に示す装置を概略的に示す概略正面図であり、図2(3)は図2(2)に示す装置における成形ユニットの配置に対応するユニット成形温度の傾向を概略的に示す概略グラフ図である(実施例1)。
【図3】図3(1)は本発明に係る他の電子部品の樹脂成形装置を概略的に示す概略平面図であり、図3(2)は図3(1)に示す装置に設けられた真空断熱部材を示す概略断面図である(実施例2)。
【図4】図4(1)は図3(1)に示す装置要部を概略的に示す概略平面図であり、図4(2)は図4(1)に示す装置を概略的に示す概略正面図であり、図4(3)は図4(2)に示す装置における成形ユニットの配置に対応するユニット成形温度の傾向を概略的に示す概略グラフ図である(実施例2)。
【図5】図5は、本発明に係る他の電子部品の樹脂成形装置を概略的に示す概略平面図である(実施例3)。
【図6】図6は、本発明に係る他の電子部品の樹脂成形装置を概略的に示す概略平面図である(実施例4)。
【図7】図7(1)は従来の電子部品の樹脂成形装置の要部を概略的に示す概略平面図であり、図7(2)は図7(1)に示す装置を概略的に示す概略正面図であり、図7(3)は図7(2)に示す装置における成形ユニットの配置に対応するユニット成形温度の傾向を概略的に示す概略グラフ図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明は、電子部品の樹脂成形型を搭載した成形ユニットを、所要複数個、装設した電子部品の樹脂成形装置において、成形ユニットの所要個所に断熱手段を設けて構成したものである。
なお、断熱手段は成形ユニットの外周囲における所要個所に設けることができる。
また、断熱手段は、例えば、後述するような断熱部材(断熱板)或いは真空部を有する真空断熱部材を設けて構成することができる。
また、電子部品の樹脂成形型は成形ユニットの内部に配置することができるように構成されている。
即ち、本発明によれば、成形ユニット(成形型)に発生する伝導熱、輻射熱、対流熱などの熱(熱量)を、断熱手段にて断熱することによって、当該成形ユニットからその外部に移動しないように効率良く遮断することができる。
従って、断熱手段にて、各成形ユニット間で熱が移動することを効率良く防止することができる。
このため、成形装置における各成形ユニットのユニット成形温度を効率良く均等にすることができ、更に、各成形ユニットに搭載された樹脂成形型の成形温度を効率良く且つ安定して制御し得て均等に設定することができる。
従って、本発明によれば、電子部品の樹脂成形装置に設けられた所要複数個の成形ユニット間における成形温度(成形ユニットの成形温度及び成形型の成形温度)を効率良く均等にすることができる電子部品の樹脂成形方法及び成形装置を提供するができる。
なお、このため、各成形ユニット(樹脂成形型)において、同じ成形条件で成形することができるので、均等な製品を効率良く得ることができる。
また、成形装置を構成するタイバーの熱膨張による差異を効率良く防止し得て、タイバーの長さを成形装置における成形ユニット間で効率良く均等にすることができる。
【0025】
また、本発明においては、例えば、所要複数個の成形ユニットを一列に配置した電子部品の樹脂成形装置において、一列に配置した成形ユニット群の各成形ユニット間に所要数の断熱手段を設けて構成することができる。
なお、この場合、一列配置の成形ユニット群の両側に断熱手段を設けて構成することができる。
また、本発明に係る成形装置に装設される成形ユニットの前面、背面、及び、ユニット接続面のとなる左右両側面において、例えば、ユニット接続面のとなる左右両側面に断熱手段を設けて構成することができる。
この場合に、成形ユニットの背面(或いは前面)に断熱手段を設けて構成しても良い。
なお、本発明において、所要複数個の成形ユニットを互いに着脱自在に装設する構成を採用することができる。
【0026】
即ち、本発明によれば、一列配置の各成形ユニット間に設けた(ユニット接続面に設けられた)断熱手段にて、加熱手段にて加熱された樹脂成形型の熱にて加熱される成形ユニットから発生する熱を、他の成形ユニットに移動しないように効率良く遮断することができる。
即ち、成形ユニット(樹脂成形型)から発生する伝導熱、輻射熱、対流熱などの熱を、断熱手段にて断熱することによって、当該成形ユニットから他の成形ユニットに熱(熱量)が移動することを効率良く遮断することができる。
従って、この断熱手段にて、成形ユニット間で熱が移動することを効率良く防止することができる。
このため、本発明に係る成形装置において、各成形ユニットのユニット成形温度を効率良く均等にすることができる。
また、ユニット成形温度を効率良く均等にすることができるので、各成形ユニットに搭載された樹脂成形型の成形温度を効率良く制御し得て均等にすることができる。
従って、本発明によれば、電子部品の樹脂成形装置に設けられた所要複数個の成形ユニット間における成形温度(成形ユニットの成形温度及び成形型の成形温度)を効率良く均等にすることができる電子部品の樹脂成形方法及び成形装置を提供するができる。
【0027】
なお、本発明において、一列に配置した成形ユニット群の各成形ユニット(樹脂成形型)において、同じ成形条件で成形することができるので、各成形ユニット(樹脂成形型)で均等な製品を効率良く得ることができる。
また、前述したように、本発明によれば、成形ユニットからその外部に出る熱を断熱手段で遮断することができるので、エネルギー損失を効率良く低減し得て、エネルギー効率を効率良く改良することができる。
また、前述したように、各成形ユニット間における成形温度を効率良く均等にすることができるので、各成形ユニットにおけるタイバーの熱膨張による差異を効率良く防止し得て、タイバーの長さを成形装置における成形ユニット間で効率良く均等にすることができる。
【実施例1】
【0028】
まず、実施例1を図1、図2(1)〜(3)を用いて詳細に説明する。
図1、図2(1)〜(2)は、実施例1に係る電子部品の樹脂成形装置(電子部品の圧縮成形装置)である。
図2(3)は、実施例1に係るユニット成形温度の傾向を示す概略グラフである。
【0029】
(実施例1に係る電子部品の樹脂成形装置の構成について)
図1、図2(1)〜(2)に示すように、実施例1に係る電子部品の圧縮成形装置(電子部品の樹脂成形装置)1には、基板2に装着した電子部品を圧縮成形する電子部品の圧縮成形用金型(電子部品の樹脂成形型)3を搭載した成形ユニット4と、成形ユニット4に成形前材料(成形前基板2、樹脂材料)を供給するインユニット5と、成形ユニット4から取り出された成形品(封止済基板)を収容するアウトユニット6とが設けられて構成されている。
また、実施例1に係る装置においては、所要複数個(図例では3個)の成形ユニット4(4A、4B、4C)が一列に配置されて構成されている(一列配置された成形ユニット4のグループとなる一列配置の成形ユニット群7)。
また、図例では、成形ユニット4の配置は、向かっては左側から右側に4A、4B、4Cの順で示され、成形ユニット4が互いに隣接した状態で配置されている。
また、成形ユニット4において、水平面的に見て、10aは前面であり、10bは背面であり、10cは左側面であり、10dは右側面である。
なお、所要複数個の成形ユニット4(4A、4B、4C)を互いに着脱自在に装設することができるように構成されている。
【0030】
また、所要複数個の成形ユニット4(一列配置の成形ユニット群7)の一方の側にインユニット5が着脱自在に設けられ、且つ、所要複数個の成形ユニット4、7の他方の側にアウトユニット6が着脱自在に設けられて構成されている。
即ち、所要複数個の成形ユニット4(一列配置の成形ユニット群7)の両側にインユニット5とウトユニット6とが設けられて構成されている(インアウト分離型)。
図例では、成形ユニット4Aの左側面10cにインユニット5が設けられ、且つ、成形ユニットCの右側面10dにアウトユニット6が設けられている。
【0031】
また、実施例1に係る装置1には、インユニット5から成形ユニット4に成形前材料(2)を搬送するインローダ8と、成形ユニット4からアウトユニット6に成形品を搬送するアウトローダ9とが設けられて構成されている。
また、インローダ8に係着された成形前材料(2)は、成形ユニット4の前面10aから供給され、成形品はアウトローダ9にて成形ユニット4の背面10dから取り出されるように構成されている。
また、成形ユニットの二つの側面(左側面10c、右側面10d)は隣接する成形ユニットと互いに着脱自在に装設(接続)することができるように構成されており、この二つの側面(左側面10c、右側面10d)はユニット接続面となるものである。
従って、実施例1において、成形前材料(成形前基板2、樹脂材料)をインローダ8に係着してインユニット5から各成形ユニット4に各別に成形前材料(2)を供給することができるように構成されている。
また、各成形ユニット4で各別に圧縮成形された成形品をアウトローダ9で取り出してアウトユニット9に収容することができるように構成されている。
なお、図1において、インローダ8とアウトローダ9とを、一列配置の成形ユニット群7(各成形ユニット4A、4B、4C)における前面10a側で走行させる構成を採用しても良い。
【0032】
(実施例1に係る成形ユニットの構成について)
即ち、成形ユニット4は、上部固定盤11と、下部固定盤12と、上部固定盤11と下部固定盤12と固設する所要数本のタイバー(図例では4本)13と、タイバー(ポスト)13に上下摺動自在に設けられて移動盤14とが設けられて構成されている。
また、成形ユニット4に搭載された電子部品の圧縮成形用金型(電子部品の樹脂成形型)3は、上型3aと、上型3aに対向配置した下型3bとから構成されている。
また、上型3aは上部固定盤11の下面に設けられ、下型3bは移動盤14の上面に設けられて構成されている。
また、下部固定盤12の上面には型締機構15が配置されると共に、型締機構15にて移動盤14を上動することにより、上型3aの型面と下型3bの型面とを接合して型締めすることができるように構成されると共に、型締機構15にて移動盤14を下動することにより、上型3aの型面と下型3bの型面とを離間して型開きすることができるように構成されている。
【0033】
(実施例1に係る電子部品の圧縮成形用金型の構成について)
即ち、図例に示すように、成形ユニット4に搭載された電子部品の圧縮成形用金型(電子部品の樹脂成形型)3には、前述した上型3a及び下型3bと、下型キャビティ16と、上型3aの基板セット部17と、下型キャビティ16の底面に設けられたキャビティ底面部材17と、上型3aと下型3bとに設けられた加熱手段(図示無し)と、少なくとも
金型3(上型3a、下型3b)を所要の成形温度に制御する制御機構(図示無し)とが設けられて構成されている。
従って、制御機構にて、少なくとも、成形ユニット4に搭載された金型(成形型)3を加熱手段にて所要の成形温度に加熱するように構成されている。
なお、実施例1において、下型キャビティ16内に被覆される離型フィルムを用いても良い。
【0034】
即ち、実施例1に係る電子部品の圧縮成形装置1における成形ユニット4に搭載した金型3において、まず、下型キャビティ16内に樹脂材料(例えば、顆粒樹脂材料、或いは液状樹脂材料)を供給して加熱する。
次に、金型3を型締めすることにより、下型キャビティ16内の溶融樹脂(流動性を有する樹脂)中に、上型基板セット部17に供給セットした基板2に装着した電子部品を浸漬する。
次に、下型キャビティ16内の樹脂をキャビティ底面部材18にて加圧することができるように構成されている。
従って、下型キャビティ16の形状に対応した樹脂成形体(パッケージ)内に電子部品を封止成形して成形品(基板2と樹脂成形体)を得ることができる。
硬化に必要な所要時間の経過後、金型(上型及び下型)を型開きすることにより、上型キャビティから樹脂成形体(固化樹脂)を適宜な離型手段にて離型している。
【0035】
(実施例1に係る断熱部材について)
本発明に係る成形装置1における成形ユニット4の所要個所には断熱手段が設けられて構成されている。
この断熱手段は、後述するように、成形ユニット4間を断熱し或いは成形ユニット4自体を保温するものである。
即ち、実施例1に示す成形装置1における成形ユニット4の所要個所には、断熱手段として、断熱部材(断熱板)20が設けられて構成されている。
例えば、実施例1に示す各成形ユニット4(一列配置の成形ユニット群7;4A、4B、4C)の間には、断熱手段として、断熱部材(断熱板)20を設けて構成することができる。
また、一列配置の成形ユニット群7の両側には、即ち、成形ユニット4Aのインユニット5側(10c)と、成形ユニット4Cのアウトユニット6側(10d)には断熱部材(断熱板)20が各別に設けられて構成されている。
【0036】
また、実施例1における各成形ユニット4の夫々において、ユニット前面10a、ユニット背面10bを除く両ユニット側面(ユニット接続面)10c、10dに断熱部材(断熱板)20が各別に設けられて構成されている。
また、成形ユニット4の断熱板20は、ユニット接続面10c、10dの全面を被覆するように構成され、上部固定盤11と下部固定盤12との間に貼り付けた状態で設けられて構成されている。
このため、各成形ユニット4間には2枚の断熱板20が重なった状態で設けられて構成されることになる。
また、実施例1に示す装置1の各成形ユニット4(4A、4B、4C)において、両ユニット接続面10c、10dに断熱部材(断熱板)20が各別に貼り付けた状態で設けられて構成されている。
従って、実施例1は、両ユニット接続面10c、10dに断熱部材(断熱板)20を設けた成形ユニット4が一列に(着脱自在に)装設されて構成されていることになる。
【0037】
(実施例1における作用効果について)
実施例1において、各成形ユニット4間に設けた断熱板20にて、加熱手段にて加熱された金型3の熱にて加熱された当該成形ユニット4から発生する熱を、隣接した成形ユニット4に移動しないように効率良く遮断することができるように構成されている。
即ち、成形ユニット4(金型3)に発生する熱を、ユニット接続面10c、10dに設けられた断熱板20で効率良く遮断することができるため、成形ユニット4間において、例えば、伝導熱、輻射熱、対流熱による熱の移動を効率良く防ぐことができる。
従って、この断熱板20にて、隣接する成形ユニット4間で熱が移動することを効率良く防止することができる。
このため、実施例1によれば、図2(3)のグラフ図にグラフの線19(水平状の線)で概略的に示すように、装置1における各成形ユニット4(4A、4B、4C)のユニット成形温度を効率良く均等にすることができる。
また、ユニット成形温度を効率良く均等にすることができるので、各成形ユニット4に搭載された金型3の成形温度を効率良く制御し得て均等にすることができる。
従って、実施例1(本発明)によれば、電子部品の樹脂成形装置(電子部品の圧縮成形装置)1に設けられた所要複数個の成形ユニット4間における成形温度(成形ユニット4の成形温度及び成形型3の成形温度)を効率良く均等にすることができる電子部品の樹脂成形方法及び成形装置を提供するができる。
【0038】
また、前述したように、実施例1によれば、成形ユニット4からその外部に出る熱を断熱板20で遮断することができるので、エネルギー損失を効率良く低減し得て、エネルギー効率を効率良く改良することができる。
また、前述したように、各成形ユニット4(4A、4B、4C)間における成形温度を効率良く均等にすることができるので、各成形ユニットにおけるタイバー13の熱膨張による差異を効率良く防止し得て、タイバー13の長さが成形装置における成形ユニット4(4A、4B、4C)間で効率良く均等にすることができる。
【実施例2】
【0039】
次に、実施例2を詳細に説明する。
図3(1)、図4(1)〜(2)は、実施例2に係る電子部品の樹脂成形装置(電子部品の樹脂封止成形装置)である。
図3(2)は真空断熱部材である。
図4(3)は、実施例1に係るユニット成形温度の傾向を示す概略グラフである。
【0040】
(実施例2に係る電子部品の樹脂成形装置の構成について)
図3(1)、図4(1)〜(2)に示すように、実施例2に係る電子部品の樹脂封止成形装置(電子部品の樹脂成形装置)21には、基板2に装着した電子部品を樹脂封止成形する電子部品の樹脂封止成形用金型(電子部品の樹脂成形型)22を搭載した成形ユニット23と、成形ユニット23に成形前材料(成形前基板2、樹脂材料)を装填し且つ成形ユニット23から取り出された成形品(封止済基板)を収容するインアウトユニット24とが設けられて構成されている。
また、実施例2に係る装置21においては、所要複数個(図例では4個)の成形ユニット23(23E、23F、23G、23H)がインアウトユニット24に対して一列に(着脱自在に)配置されて構成されている。
【0041】
また、実施例2に示す成形ユニット23(23E、23F、23G、23H)において、実施例1と同様に、水平面的に見て、25aは前面であり、25bは背面であり、25cは左側面であり、25dは右側面である。
また、図例では、成形ユニット23の配置は、向かっては左側から右側の順に23E、23F、23G、23Hで示され、成形ユニット24Eの左側面25cにインアウトユニット24が設けられている。
また、実施例2に係る装置21には、実施例1と同様に、インアウトユニット24から成形ユニット23に成形前材料(2)を搬送するインローダ8と、成形ユニット23からインアウトユニット24に成形品(基板2と樹脂成形体)を搬送するアウトローダ9とが設けられて構成されている。
また、インローダ8に係着された成形前材料(2)は、成形ユニット23の背面25dから供給されると共に、成形品はアウトローダ9にて成形ユニット23の前面25aから取り出されるように構成されている。
また、二つの側面(左側面25c、右側面25d)はユニット接続面となるものである。
また、成形ユニット23の二つの側面(左側面25c、右側面25d)は隣接する成形ユニット23と互いに着脱自在に装設(接続)することができるように構成されている。
従って、実施例2において、成形前材料(成形前基板2、樹脂材料)をインローダ8に係着してインアウトユニット24から各成形ユニット23(23E、23F、23G、23H)に各別に成形前材料(2)を供給することができるように構成されている。
また、各成形ユニット23(23E、23F、23G、23H)において各別に樹脂封止成形された成形品をアウトローダ9で取り出してインアウトユニット24に収容することができるように構成されている。
【0042】
(実施例2に係る成形ユニットの構成について)
また、実施例2に示す成形ユニット23(23E、23F、23G、23H)の構成は、基本的には実施例1と同様の構成であって、樹脂封止成形用金型22と、上部固定盤11と、下部固定盤12と、タイバー13と、移動盤14と、型締機構15とが設けられて構成されている。
従って、実施例2において、実施例1と同様に、型締機構15にて、金型22を型締めし、金型22を型開きすることができるように構成されている。
【0043】
(実施例2に係る電子部品の樹脂封止成形用金型の構成について)
即ち、実施例2に示す金型は、トランスファモールド法による金型22であって、上型22aと、上型22aに対向配置した下型22bとから構成されている。
また、実施例2に示す金型22(上型22aと及び下型22b)には、上型キャビティと、上型キャビティに対設した下型キャビティ26と、下型の基板セット部(セット用凹所)と、樹脂材料供給用の下型ポット27、下型ポット27内で上下摺動する樹脂加圧用のプランジャ28と、金型22に設けた加熱手段と、金型22の型締時に上下キャビティ(26)とポット27とを連通接続する樹脂通路(カル、ゲート、ランナ)とが設けられて構成されている。
なお、制御機構にて、少なくとも、成形ユニット23に搭載された金型22を所要の成形温度に制御して加熱するように構成されている。
【0044】
即ち、電子部品の樹脂封止成形用金型(電子部品の樹脂成形型)22を搭載した電子部品の樹脂成形装置21を用いて、まず、下型ポット27内に供給された樹脂材料(例えば、樹脂タブレット)を加熱して溶融化すると共に、下型ポット27内の溶融樹脂を樹脂加圧用のプランジャ28にて加圧することにより、基板2に装着した電子部品を嵌装セットした上下キャビティ(26)内に樹脂通路(カル、ランナ、ゲート)を通して注入して充填している。
従って、次に、上下キャビティ(26)内で上下キャビティ(26)の形状に対応した樹脂成形体内に基板2に装着した電子部品を封止成形して成形品(基板2と樹脂成形体)を得ることができる。
硬化に必要な所要時間の経過後、金型22(上型22a及び下型22b)を型開きすることにより、上下キャビティ(26)内から樹脂成形体(パッケージ)を適宜な離型手段(例えば、エジェクターピン)にて離型している。
【0045】
(実施例2に係る真空断熱部材について)
また、実施例2に係る装置21においては、実施例1と同様に、成形ユニット23の所要個所に、断熱手段として、真空断熱部材30を各別に設けて構成することができる。
例えば、実施例2に示す成形ユニット23間(成形ユニット23のユニット接続面25c、25d)に、断熱手段として、真空断熱部材30を各別に設けて構成することができる。
即ち、成形ユニットの23Eの右側面25dと成形ユニットの23Fの左側面25cとの間に真空断熱部材30を設けて構成することができる。
更に、一列配置の成形ユニット29群(23E、23F、23G、23H)の両側に、断熱手段として、真空断熱部材30を設けて構成することができる。
なお、図4(2)に示すように、例えは、成形ユニット23Fと成形ユニット23Gとの間に、真空断熱部材30を、上部固定盤11と、下端位置にある(型開状態にある)移動盤14との間に、被覆させた状態で設けて構成しても良い。
【0046】
(実施例2に係る真空断熱部材の構成について)
また、真空断熱部材30は、例えば、二枚の同じ大きさのシート31(31a、31b)の外周を閉じ合わせることにより二枚のシート31(31a、31b)間に所要の間隔を有する隔壁部(中空部)を形成し、その隔壁部間の内部を外気遮断状態にして所要の真空度を有する真空部32を形成するものである。この真空部32が断熱作用を有するものである。
また、真空断熱部材30において、シート31(31a、31b)の内面或いは外面を鏡面とすることができる。
このシート31(31a、31b)の鏡面にて熱を反射させることができるように構成され、熱を反射させることかできるように構成されている。
また、真空断熱部材30において、その内部(真空部32)に、ガラスウール、硬質ウレタンフォームなどの断熱材33などを装填して断熱性能を向上させることができる。
また、真空断熱材30において、硬質ウレタンフォームの内部に形成される独立気泡を真空状態に形成することができる。
【0047】
(実施例2における作用効果について)
実施例2において、実施例1と同様の作用効果を得ることができる。
即ち、各成形ユニット23間に設けた(ユニット接続面25c、25dに設けられた)真空断熱部材(断熱手段)30にて、加熱手段にて加熱された金型22の熱にて加熱される当該成形ユニット23から発生する(放射される)熱を、隣接した成形ユニット23に移動しないように、例えば、伝導熱、輻射熱、対流熱による熱の移動を効率良く遮断することができるように構成されている。
従って、この真空断熱部材30にて、隣接する成形ユニット23間で熱が移動することを効率良く防止することができる。
このため、実施例2によれば、図4(3)のグラフ図にグラフの線34で概略的に示すように、装置21における各成形ユニット23(23E、23F、23G、23H)のユニット成形温度を効率良く均等にすることができる。
また、ユニット成形温度を効率良く均等にすることができるので、各成形ユニット23に搭載された金型22の成形温度を効率良く制御し得て均等にすることができる。
従って、実施例2(本発明)によれば、電子部品の樹脂成形装置21に設けられた所要複数個の成形ユニット23間における成形温度(成形ユニット23の成形温度及び成形型22の成形温度)を効率良く均等にすることができる電子部品の樹脂成形方法及び成形装置を提供するができる。
【0048】
また、前述したように、実施例2によれば、成形ユニット23からその外部に出る熱を真空断熱部材30で遮断することができるので、エネルギー損失を効率良く低減し得て、エネルギー効率を効率良く改良することができる。
また、前述したように、各成形ユニット23間における成形温度を効率良く均等にすることができるので、各成形ユニット23におけるタイバー13の熱膨張による差異を効率良く防止し得て、タイバー13の長さが成形装置21における成形ユニット23間で効率良く均等にすることができる。
【実施例3】
【0049】
次に、実施例3を詳細に説明する。
図5は、実施例3に係る電子部品の樹脂成形装置である。
また、図5には圧縮成形用金型を搭載した成形ユニットを着脱自在に装着した電子部品の樹脂成形装置が示されている。
また、図5においては、成形ユニットに成形前材料を搬送して供給する機構と、成形ユニットから成形品を取り出して搬送する機構とを兼用したローダが用いられ、ローダは成形ユニット間を移動する構成である。
また、各成形ユニットの夫々において、3面(例えば、前面を除く背面及び左右両側面)に断熱手段が設けられて構成されている。
【0050】
〔実施例3に示す電子部品の樹脂成形装置について〕
即ち、図5に示す電子部品の樹脂成形装置(電子部品の圧縮成形装置)41には、圧縮成形用キャビティを2個、有する圧縮成形用金型42(圧縮成形用キャビティ16、キャビティ底面部材18、基板セット部)を搭載した成形ユニット43と、成形前材料〔例えば、基板(2)、樹脂材料〕を装填し且つ成形品を収容するインアウトユニット44と、インアウトユニット44から成形ユニット43に成形前材料を供給し且つ成形ユニット43から成形品を取り出す(兼用)ローダ45とが設けられて構成されている。
【0051】
(実施例3に示す成形ユニットの配置について)
図5に示す装置41の成形ユニット43の配置について、4個の成形ユニット43(43J、43K、43L、43M)がインアウトユニット44の一方側(図例では右側)に、2行2列にては配置されて構成されている。
従って、行方向に(図例では左右方向に)接続配置した2個の成形ユニット群43J、43K、及び、行方向に接続配置した2個の成形ユニット群43L、43Mの両群者間には、行方向にローダ45の移動領域が設定されている。
また、ローダ45にて、4個の成形ユニット43(43J、43K、43L、43M)の夫々に対して、その前面46aから各別に成形前材料の供給及び成形品の取り出しを行うことができるように構成されている。
なお、図5に示す装置41において、成形ユニット43(43J、43K)及び成形ユニット43(43L、43M)は、行方向(図例では右方向)に着脱自在に増減が可能なように構成されている。
また、図5に示すローダ45は、成形ユニット43(43J、43K、43L、43M)のローダ移動領域側となる前面46aから進入退出することになる。
【0052】
(実施例3に示す断熱手段及び作用効果について)
また、図5に示す装置の成形ユニット43(43J、43K、43L、43M)の3面に(前面46aを除き、背面46b、左側面46c、右両側面46dに)、断熱手段47(断熱部材20、真空断熱部材30)が設けられて構成されている。
従って、実施例3において、前記した断熱手段47によって、前記した各実施例と同様の作用効果を得ることができる。
即ち、実施例3における成形ユニット43間に、即ち、ユニット接続面46c、46dに設けられた断熱手段47(断熱部材20、真空断熱部材30)にて、加熱手段にて加熱された金型の熱にて加熱される当該成形ユニット43から発生する熱を、隣接した成形ユニット43に移動しないように効率良く遮断することができるように構成されている。
従って、この断熱手段47にて、隣接する成形ユニット43間で熱が移動することを効率良く防止することができる。
このため、実施例3によれば、装置41における各成形ユニット43のユニット成形温度を効率良く均等にすることができる。
また、ユニット成形温度を効率良く均等にすることができるので、各成形ユニット43に搭載された金型42の成形温度を効率良く制御し得て均等にすることができる。
従って、実施例3によれば、電子部品の樹脂成形装置に設けられた所要複数個の成形ユニット43間における成形温度(成形ユニットの成形温度及び成形型の成形温度)を効率良く均等にすることができる電子部品の樹脂成形方法及び成形装置を提供するができる。
【実施例4】
【0053】
次に、実施例4を詳細に説明する。
図6は、実施例4に係る電子部品の樹脂成形装置である。
また、図6には樹脂封止成形用金型(トランスファ方式)を搭載した成形ユニットを着脱自在に装着した電子部品の樹脂成形装置が示されている。
また、図6においては、成形ユニットに成形前材料を供給する機構と、成形ユニットから成形品を取り出す機構とを兼用したローダが用いられ、この兼用ローダは成形ユニット間を移動することになる。
また、各成形ユニットの夫々において、3面(例えば、前面を除く背面及び左右両側面)に断熱手段が設けられて構成されている。
【0054】
また、図6に示す電子部品の樹脂成形装置(電子部品の樹脂封止成形装置)51には、樹脂封止成形用金型52(樹脂成形用キャビティ26、ポット27、プランジャ28、基板セット部)を搭載した成形ユニット53と、インアウトユニット54と、兼用ローダ55とが設けられて構成されている。
また、図6に示す装置51の成形ユニット53の配置について、4個の成形ユニット53(53P、53Q、53R、53S)がインアウトユニットの両側(図例では左右両側)に、2行2列にては配置されて構成されている。
また、図6に示す装置51において、成形ユニット53(53P、53Q、53R、53S)は、行方向(図例では左方向或いは右方向)に着脱自在に増減が可能なように構成されている。
従って、図5に示す装置41と同様に、行方向に配置した(行配置した)成形ユニット53Pと成形ユニット53Rとの間には、或いは、行配置した成形ユニット53Qと成形ユニット53Sとの間には、行方向にローダ55の移動領域が設定されている。
また、4個の成形ユニット53(53P、53Q、53R、53S)の夫々に対してローダ55にて各別に成形前材料の供給及び成形品の取り出しを行うことができるように構成されている。
また、図6に示すローダ55は、成形ユニット53(53P、53Q、53R、53S)のローダ移動領域側となる前面56aから進入退出することになる。
また、図6に示す装置51の成形ユニット53(53P、53Q、53R、53S)の3面(前面56aを除き、背面56b、左側面56c、右側面56dに)には、断熱手段57(断熱部材20、真空断熱部材30)が設けられて構成されている。
【0055】
実施例4に示す装置51における成形ユニット53の配置について、前述した各実施例に比べて、各成形ユニット53の夫々は、インアウトユニット54或いはローダ55の移動領域をそれらの間においた状態で、若干離れて配置されているものの、従来は、成形温度(成形ユニットの成形温度及び成形型の成形温度)を効率良く均等にすることができなかった。
しかしながら、実施例4(本発明)において、装置51の成形ユニット53の3面(例えば、前面56aを除く背面56b及び左右両側面56c、56d)に断熱手段57を設けて構成することができる。
従って、実施例4において、前記した断熱手段57によって、前記した各実施例と同様の作用効果を得ることができる。
【0056】
即ち、実施例4における成形ユニット53に設けられた断熱手段57(断熱部材20、真空断熱部材30)にて、加熱手段にて加熱された金型52の熱にて加熱される当該成形ユニット53から発生する熱を、成形ユニット53に移動しないように効率良く遮断することができるように構成されている。
従って、この成形ユニット53の3面に装設された断熱手段57(断熱部材20、真空断熱部材30)にて、成形ユニット53間で熱が移動することを効率良く防止することができる。
このため、実施例4によれば、装置51における各成形ユニット53のユニット成形温度を効率良く均等にすることができる。
また、ユニット成形温度を効率良く均等にすることができるので、各成形ユニット、53に搭載された金型52の成形温度を効率良く制御し得て均等にすることができる。
従って、実施例4によれば、電子部品の樹脂成形装置に設けられた所要複数個の成形ユニット53間における成形温度(成形ユニットの成形温度及び成形型の成形温度)を効率良く均等にすることができる電子部品の樹脂成形方法及び成形装置を提供するができる。
【0057】
また、本発明は、前述した実施例に限定されるものでなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、必要に応じて、任意に且つ適宜に変更し選択して採用することができる。
【0058】
(断熱板の材料について)
また、前記した各実施例において、断熱手段として、断熱部材(断熱板)20を用いることができる。
この断熱板(20)として、樹脂板(樹脂製の板状部材)を用いることができ、樹脂板を形成する材料として、熱硬化性樹脂、耐熱性を有する熱可塑性樹脂を用いることができる。
なお、熱硬化性の樹脂としては、エポキシ系樹脂、シリコン系樹脂、フェノール系樹脂、メラミン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ジアリルフタレート系樹脂などがある。
また、断熱板(20)を形成する材料として、金属板を用いることができる。
この金属板による断熱については、金属板の表面における熱反射性作用を利用することができる。
なお、この金属板の材料として、鉄、銅、金、銀、アルミニウム、亜鉛、錫、ステンレスなどが挙げられる。
【0059】
また、前記した各実施例において、断熱手段として、前述したような真空部を有する真空断熱部材を設けて構成することができる。
【0060】
(離型フィルムを用いる構成について)
また、前記した各実施例において、成形用キャビティの内面に離型フィルムを被覆し、この離型フィルムを被覆したキャビティ内に樹脂を供給し或いは樹脂を注入する構成を採用することができる。
【0061】
(強制排気手段を用いる構成について)
また、前記した各実施例において、成形用キャビティ内で基板に装着した電子部品を樹脂材料で封止成形する前に、まず、少なくとも、成形用キャビティ内を外気遮断状態に形成すると共に、外気遮断状態にあるキャビティ内の空気を真空ポンプ等の強制排気手段にて強制的に排出することにより、キャビティ内を所要の真空度に設定する構成を採用することができる。
【0062】
(積層型を用いる構成について)
また、前記した各実施例において、1つの成形ユニットに1つの樹脂成形型(型組品)を搭載した構成を例示したが、1つの成形ユニットに所要複数個の樹脂成形型を垂直方向に積層した積層型を設ける構成を採用しても良い。
【0063】
(断熱手段における他の取付位置について)
前記した各実施例において、成形ユニットの所要個所に断熱手段〔例えば、前述した断熱部材(断熱板)、真空断熱部材〕を設けることができる。
また、前記した各実施例において、成形ユニットの前面、背面、左右両側面の所要個所に、断熱手段を設けることができる。
例えば、成形ユニットの前面を除く、成形ユニットの背面及び左右両側面に断熱手段を設けて構成することができる。
【0064】
また、前記した各実施例において、成形ユニットの前面におけるインローダ8が進入退出する作業領域(垂直面)を除外した面に、断熱手段20を設ける構成を採用することができる〔図2(2)に示す図例では、成形ユニット4Aに当該断熱手段20を2点鎖線で記す。〕。
また、前記した各実施例において、成形ユニットの前面と同様に、成形ユニットの背面におけるアウトローダ9が進入退出する作業領域(垂直面)を除外した面に、断熱手段20を設ける構成を採用することができる。
【0065】
また、前記した各実施例において、断熱手段を、成形ユニット4の天面(上部固定盤11の上面)側に、或いは、成形ユニット4の底面(下部固定盤12の下面)側に設けて構成しても良い。
【0066】
また、前記した各実施例において、前記した各成形ユニット4間に設けた断熱手段を、少なくとも、1つ以上省略する構成を採用することができる。
【0067】
(電子部品を封止する樹脂材料について)
また、前記した各実施例において、熱硬化性の樹脂材料、或いは、熱可塑性の樹脂材料を用いても良い。
また、前記した各実施例において、例えば、顆粒状の樹脂材料(顆粒樹脂)、所要の粒径分布を有するパウダー状の樹脂材料(パウダー樹脂)、粉末状の樹脂材料(粉末樹脂)、ペースト状の樹脂材料(ペースト樹脂)、タブレット状の樹脂材料(タブレット樹脂)などの固形状の樹脂材料、液状の樹脂材料(液状樹脂)など種々の形状の樹脂材料を採用することができる。
また、前記した各実施例において、例えば、シリコン系の樹脂材料(シリコーン樹脂)、エポキシ系の樹脂材料(エポキシ樹脂)を用いることができる。
また、前記した各実施例において、透明性を有する樹脂材料、半透明性を有する樹脂材料、燐光物資、蛍光物質を含む樹脂材料など種々の樹脂材料を用いることができる。
【符号の説明】
【0068】
1 電子部品の圧縮成形装置(電子部品の樹脂成形装置)
2 成形前基板(基板)
3 圧縮成形用金型(樹脂成形型)
3a 上型
3b 下型
4 成形ユニット
4A 成形ユニット
4B 成形ユニット
4C 成形ユニット
5 インユニット
6 アウトユニット
7 一列配置の成形ユニット群
8 インローダ
9 アウトローダ
10a 前面
10b 背面
10c 左側面(ユニット接続面)
10d 右側面(ユニット接続面)
11 上部固定盤
12 下部固定盤
13 タイバー(ポスト)
14 移動盤
15 型締機構
16 下型キャビティ
17 基板セット部
18 キャビティ底面部材
19 グラフの線
20 断熱部材(断熱板)
21 電子部品の樹脂封止成形装置(電子部品の樹脂成形装置)
22 樹脂封止成形用金型(樹脂成形型)
22a 上型
22b 下型
23 成形ユニット
23E 成形ユニット
23F 成形ユニット
23G 成形ユニット
23H 成形ユニット
24 インアウトユニット
25a 前面
25b 背面
25c 左側面
25d 右側面
26 下型キャビティ
27 ポット
28 プランジャ
29 一列配置の成形ユニット群
30 真空断熱部材
31 シート
31a シート
31b シート
32 真空部(中空部)
33 断熱材
34 グラフの線
41 電子部品の圧縮成形装置(電子部品の樹脂成形装置)
42 圧縮成形用金型(樹脂成形型)
43 成形ユニット
43J 成形ユニット
43K 成形ユニット
43L 成形ユニット
43M 成形ユニット
44 インアウトユニット
45 ローダ
46a 前面
46b 背面
46c 左側面
46d 右側面
47 断熱手段
51 電子部品の樹脂封止成形装置(電子部品の樹脂成形装置)
52 樹脂封止成形用金型(樹脂成形型)
53 成形ユニット
53P 成形ユニット
53Q 成形ユニット
53R 成形ユニット
53S 成形ユニット
54 インアウトユニット
55 ローダ
56a 前面
56b 背面
56c 左側面
56d 右側面
57 断熱手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品の樹脂成形型を有する成形ユニットを所要複数個、備えた電子部品の樹脂成形装置を用いて、前記各成形ユニットで各別に電子部品を樹脂成形して成形品を形成する電子部品の樹脂成形方法であって、
前記した成形ユニットの所要個所に断熱手段を設ける工程と、
前記した成形ユニットの所要個所に設けた断熱手段にて前記した成形ユニットを各別に断熱した状態で電子部品を樹脂成形する工程とを含むことを特徴とする電子部品の樹脂成形方法。
【請求項2】
電子部品の樹脂成形型を有する成形ユニットを所要複数個、備えた電子部品の樹脂成形装置であって、前記した成形ユニットの所要個所に断熱手段を設けて構成したことを特徴とする電子部品の樹脂成形装置。
【請求項3】
電子部品の樹脂成形型を有する成形ユニットを所要複数個、備えた電子部品の樹脂成形装置であって、前記所要複数個の成形ユニットを各別に隣接した状態で配置すると共に、前記各成形ユニット間に断熱手段を設けたことを特徴とする電子部品の樹脂成形装置。
【請求項4】
電子部品の樹脂成形型を有する成形ユニットを所要複数個、備えた電子部品の樹脂成形装置であって、前記所要複数個の成形ユニットを一列に配置すると共に、前記した各成形ユニット間に断熱手段を設けて構成したことを特徴とする電子部品の樹脂成形装置。
【請求項5】
一列に配置した成形ユニットの両側に断熱手段を設けて構成したことを特徴とする請求項4に記載の電子部品の樹脂成形装置。
【請求項6】
電子部品の樹脂成形型を有する成形ユニットを所要複数個、備えた電子部品の樹脂成形装置であって、前記所要複数個の成形ユニットを一列に配置すると共に、前記した各成形ユニットの夫々において、前記した成形ユニットの両側面となるユニット接続面に各別に断熱手段を設けて構成したことを特徴とする電子部品の樹脂成形装置。
【請求項7】
所要複数個の成形ユニットを着脱自在に装設したことを特徴とする請求項4または請求項5または請求項6に記載の電子部品の樹脂成形装置。
【請求項8】
断熱手段が、樹脂板であることを特徴とする請求項2または請求項3または請求項4または請求項5または請求項6に記載の電子部品の樹脂成形装置。
【請求項9】
断熱手段が、真空部を有する真空断熱部材であることを特徴とする請求項2または請求項3または請求項4または請求項5または請求項6に記載の電子部品の樹脂成形装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−164820(P2012−164820A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−24191(P2011−24191)
【出願日】平成23年2月7日(2011.2.7)
【出願人】(390002473)TOWA株式会社 (192)
【Fターム(参考)】