説明

電子部品実装用配線基板の製造方法、電子部品実装用配線基板、及び電子部品付き配線基板の製造方法

【課題】電子部品と配線基板とを半田の再溶融によって接続する場合に、隣接する半田同士の接続を防止できる電子部品実装用配線基板の製造方法、電子部品実装用配線基板、及び電子部品付き配線基板の製造方法を提供すること。
【解決手段】チップ実装用端子パッド17上に半田と樹脂製の電気絶縁材とを含む接合材ペースト85を配置し、接合材ペースト85を加熱することによって、半田を溶融させるとともに電気絶縁材を軟化させる。その後、半田を固化させて半田バンプ9を形成するとともに、電気絶縁材を半田バンプ9の表面及び半田バンプ9の周囲の積層基板5の表面にて硬化させて電気絶縁表面層45を形成する。従って、この構造の半田バンプ9を備えた実装用配線基板1にICチップ3を実装する際に、半田を再溶融させた場合には、電気絶縁表面層45によって、隣合う半田バンプ9同士が接続し難いという利点がある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば導体層と樹脂絶縁層とが交互に積層されたコアレス基板等の積層基板の端子パッドに形成された半田バンプによって電子部品が実装される電子部品実装用配線基板、この電子部品実装用配線基板を製造する電子部品実装用配線基板の製造方法、及び電子部品実装用配線基板を用いて電子部品付き配線基板を製造する電子部品付き配線基板の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば半導体素子(例えばICチップ)の様な電子部品を、例えば半導体パッケージの様な配線基板に実装する方法として、配線基板に形成されたパッドと電子部品に形成されたパッドとを、半田を利用して接合する方法が広く知られている。
【0003】
例えば半導体パッケージのパッド(端子パッド)上に半田バンプを形成するとともに、ICチップのパッド(素子パッド)上にも半田バンプを形成し、それらの半田バンプ同士を接合することにより、ICチップを半導体パッケージに実装するフリップチップという技術が知られている(特許文献1参照)。
【0004】
また、近年では、半田接合によるICチップの半導体パッケージへの実装方法として、熱硬化性樹脂中に半田粒子を混入した接合材を用いる方法が知られている。
この方法では、半田バンプを備えたICチップの搭載に先立って、半導体パッケージの端子パッド側に予め接合材を供給しておき、ICチップの搭載後に半導体パッケージを加熱することによって、接合材中の半田粒子を溶融・固化させて半田接合部を形成するとともに、熱硬化性樹脂を軟化・硬化させて樹脂層を形成している。これによって、半導体パッケージの端子パッドとICチップの半田バンプとを半田接合により導通させるとともに、硬化した熱硬化性樹脂によって半田接合部を覆って補強している(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−227654号公報
【特許文献2】特開2010−161419号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した様に、半導体パッケージの半田バンプをICチップの半田バンプに接合して電気的に接続する場合には、(半導体パッケージの半田バンプの)半田を再溶融することによって半導体パッケージとICチップとを接続するが、図12(a)に示す様に、半田バンプP1の半田のボリュームが多い場合や、図12(b)に示す様に、半導体パッケージP2とICチップP3とのバンプピッチ(半田パンプの配置間隔)等に微小なズレがある場合には、隣り合う半田同士が接続してしまうという問題があった。
【0007】
特に、近年の様に、精密な配線が要求され、バンプピッチが小さくなる傾向がある場合には、隣接する半田同士の接続が生じ易いという問題がある。
本発明は、こうした問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、電子部品と配線基板とを半田の再溶融によって接続する場合に、隣接する半田同士の接続を防止できる電子部品実装用配線基板の製造方法、電子部品実装用配線基板、及び電子部品付き配線基板の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本発明は、請求項1に記載の様に、導体層と樹脂絶縁層とが交互に積層されてなる積層基板上の端子パッドに、半田バンプを形成し、該半田バンプによって電子部品が実装される電子部品実装用配線基板を製造する製造方法において、前記端子パッド上に半田と樹脂製の電気絶縁材とを含む接合材を配置し、該接合材を加熱することによって、前記半田を溶融させるとともに前記電気絶縁材を軟化させ、その後、前記半田を固化させて半田バンプを形成するとともに、前記電気絶縁材を前記半田バンプの表面及び該半田バンプの周囲の前記積層基板の表面にて硬化させて電気絶縁表面層を形成することを特徴とする。
【0009】
本発明では、端子パッド上に半田と樹脂製の電気絶縁材とを含む接合材を配置し、その接合材を加熱することによって、半田を溶融させるとともに電気絶縁材を軟化させる。そして、その後、半田を固化させて半田バンプを形成するとともに、電気絶縁材を半田バンプの表面及び半田バンプの周囲の積層基板の表面にて硬化させて電気絶縁表面層を形成する。
【0010】
つまり、本発明では、半田バンプの周囲に電気絶縁表面層を形成するので、この構造の半田バンプを備えた電子部品実装用配線基板に半導体パッケージ等の電子部品を実装する際に、半田を溶融(再溶融)させた場合には、半田バンプの周囲に電気絶縁表面層が形成されていることにより、隣合う半田同士が接続し難いという利点がある。特に、半田ボリュームが大きい場合や、パッドピッチが小さい場合には、半田同士の接続が生じ易いが、本発明では、その様な場合でも、好適に半田同士の接続を防止できるという利点がある。
【0011】
ここで、半田バンプの周囲には電気絶縁表面層が形成されているが、この電気絶縁表面層は、主として半田バンプの下側(配線基板側)を覆うように構成され、上部に到らない様に形成することが望ましい。これは、半田バンプの上部には、実装する電子部品の端子等に接合(及び電気的接続)するためである。
【0012】
なお、電気絶縁材としては、電子部品を実装する際に半田が溶融(再溶融)する場合に、電気絶縁表面層が軟化するもの又は軟化しないものが挙げられるが、仮に軟化するものでも、各半田バンプは(自身の表面張力によって)一体化してその周囲に電気絶縁材が存在する構成であるので、同様に、半田同士の接続を防止するという効果が得られる。
【0013】
ここで、前記積層基板としては、(コア基板を取り除いた)コアレス基板を採用できる。
前記電子部品としては、半導体素子(例えばICチップ)、コンデンサ、インダクタ、フィルタ、抵抗などが挙げられる。
【0014】
前記導体層及び前記端子パッドの形成材料としては、銅、銅合金、ニッケル、ニッケル合金、スズ、スズ合金などを採用できる。この導体層及び端子パッドは、サブトラクティブ法、セミアディティブ法、フルアディティブ法などといった公知の手法によって形成することができる。例えば、銅箔のエッチング、無電解銅メッキあるいは電解銅メッキなどの手法が適用される。なお、スパッタリングやCVD等の手法により薄膜を形成した後にエッチングを行うことで導体層や端子パッドを形成したり、導電性ペースト等の印刷により導体層や端子パッドを形成することもできる。
【0015】
前記樹脂絶縁層は、絶縁性、耐熱性、耐湿性等を考慮して適宜選択することができる。この樹脂絶縁層を形成するための高分子材料の好適例としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミド樹脂などの熱硬化性樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリプロピレン樹脂などの熱可塑性樹脂等が挙げられる。そのほか、これらの樹脂とガラス繊維(ガラス織布やガラス不織布)やポリアミド繊維等の有機繊維との複合材料、あるいは、連続多孔質PTFE等の三次元網目状フッ素系樹脂基材にエポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂を含浸させた樹脂−樹脂複合材料等を使用してもよい。
【0016】
前記接合材中の半田の材料としては、90Pb−10Sn、95Pb−5Sn、40Pb−60SnなどのPb−Sn系半田、Sn−Bi系半田、Sn−Sb系半田、Sn−Ag系半田、Sn−Ag−Cu系半田、Au−Ge系半田、Au−Sn系半田などの半田が挙げられる。
【0017】
前記接合材中の電気絶縁材としては、熱硬化性樹脂が挙げられる。この熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂が好適に使用でき、エポキシ樹脂の種類としては、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、多官能型、脂環式型、ビフェニル型などを採用できる。なお、熱硬化性樹脂として、エポキシ樹脂以外にも、アクリル樹脂、オキセタン樹脂、ポリイミド樹脂、イソシアネート樹脂などを用いてもよい。
【0018】
(2)本発明では、請求項2に記載の様に、前記接合材はペースト状であり、該接合材のうち、前記加熱後の冷却によって固体となる成分は、前記半田が50〜95重量%、前記電気絶縁材が5〜50重量%である構成を採用でき、さらに好ましくは、半田が80〜90重量%、樹脂製の電気絶縁材が10〜20重量%の構成を採用できる。
【0019】
この構成により、容易に半田の周囲を電気絶縁材で覆う構造とすることができる。
ここで、前記接合材としては、熱硬化性樹脂等の樹脂に半田(半田粒子等)を含有させたペースト状のものを採用できる。また、この接合材中には、樹脂や半田以外に、各種の成分を含んでいてもよい。例えば、樹脂として熱硬化性樹脂を用いる場合には、熱硬化性樹脂及び半田以外に、熱硬化性樹脂の硬化剤、半田の酸化膜を除去する活性作用付与する活性剤、ペーストのチクソ性を調整するチクソ剤、その他の添加剤が添加されているものを採用できる。これらの配合量は、接合材に含有される半田の含有量、半田の粒径および接合対象の酸化の進行度合いなどに応じて適宜調整される。
【0020】
前記熱硬化性樹脂としては、上述の様に、エポキシ樹脂が好適に使用され、エポキシ樹脂の種類としては、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、多官能型、脂環式型、ビフェニル型などを採用できる。
【0021】
前記硬化剤は、使用される熱硬化性樹脂に対応した種類のものが選定され、エポキシ樹脂の場合には、イミダゾール類、酸無水物類、アミン類、ヒドラジド類、マイクロカプセル型硬化剤などが選定される。前記活性剤としては、無機ハライド、アミン、有機酸など、一般的なクリーム半田に使用されるものを採用できる。前記チクソ剤としては、一般的に電子材料用の接着剤に使用される無機系微粉末が配合される。
【0022】
さらに、添加剤として、シランカップリング剤、有機溶剤、可撓材、顔料、触媒などが、必要に応じて配合される。シランカップリング剤は密着性を向上させる目的で配合され、有機溶剤は接合材の粘度を調整するために用いられる。
【0023】
(3)本発明では、請求項3に記載の様に、電気絶縁材として、熱硬化性樹脂からなり、そのガラス転移温度が半田の融点以下の材料を採用できる。
これにより、加熱によって半田が溶融する前に、熱硬化性樹脂を軟化させることができる。よって、軟化した熱硬化性樹脂中で半田を溶融させて半田バンプを形成するとともに、その周囲に電気絶縁表面層を好適に形成することができる。
【0024】
前記熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂が好適であり、それ以外に、アクリル樹脂、オキセタン樹脂、ポリイミド樹脂、イソシアネート樹脂等を採用できる。
前記ガラス転移点としては、80〜220℃の範囲が挙げられ、半田の融点としては、120〜230℃の範囲が挙げられる。
【0025】
(4)本発明は、請求項4に記載の様に、導体層と樹脂絶縁層とが交互に積層されてなる積層基板と、該積層基板上に形成された端子パッドと、該端子パッド上に形成された半田バンプとを備え、該半田バンプによって電子部品が実装される電子部品実装用配線基板において、前記半田バンプには、該半田バンプの表面から該半田バンプの周囲の前記積層基板の表面にわたって電気絶縁材からなる電気絶縁表面層が形成されていることを特徴とする。
【0026】
本発明では、半田バンプの周囲に電気絶縁表面層が形成されているので、この構造の半田バンプを備えた電子部品実装用配線基板に半導体パッケージ等の電子部品を実装する際に、半田を溶融させた場合には、半田バンプの周囲に形成された電気絶縁表面層によって、隣合う半田同士が接続し難いという利点がある。特に、半田ボリュームが大きい場合や、パッドピッチが小さい場合には、半田同士の接続が生じ易いが、その様な場合でも、好適に半田同士の接続を防止できるという利点がある。
【0027】
(5)本発明は、請求項5に記載の様に、前記請求項4に記載の電子部品実装用配線基板を用いて電子部品付き配線基板を製造する製造方法であって、前記電子部品実装用配線基板の半田バンプに電子部品の端子を接触又は近接させた状態で、加熱することにより、前記半田バンプを溶融させ、その後冷却することにより、固化した半田バンプと前記電子部品の端子とを接合して、該電子部品を前記電子部品実装用配線基板に実装することを特徴とする。
【0028】
本発明では、電子部品実装用配線基板の(周囲が電気絶縁表面層で覆われた)半田バンプに、電子部品の端子を接触又は近接させた状態で加熱する。これにより、半田バンプが溶融するので、溶融した半田が電子部品の端子と接合する。この半田の溶融の際には、半田バンプの周囲に電気絶縁表面層が存在することにより、隣接する半田同士の接続を防止することができる。
【0029】
なお、前記電子部品の端子としては、電子部品の端子パッド又は端子パッド上に形成された半田バンプが挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】(a)は電子部品実装用配線基板を厚み方向に破断した概略構成を示す断面図、(b)は電子部品付き配線基板を厚み方向に破断した概略構成を示す断面図である。
【図2】(a)は電子部品実装用配線基板の第1主面側を示す平面図、(b)は電子部品実装用配線基板の第2主面側を示す平面図である。
【図3】(a)は積層基板の縦断面(主面に垂直な断面)の一部を拡大して示す断面図、(b)は半田バンプの周辺を拡大して示す断面図である。
【図4】(a)、(b)、(c)、(d)、(e)は、電子部品実装用配線基板の製造方法の手順を各部材を厚み方向に破断して示す説明図である。
【図5】(a)、(b)、(c)は、電子部品実装用配線基板の製造方法の手順を各部材を厚み方向に破断して示す説明図である。
【図6】(a)、(b)は、電子部品実装用配線基板の製造方法の手順を各部材を厚み方向に破断して示す説明図である。
【図7】(a)、(b)は、電子部品実装用配線基板の製造方法の手順を各部材を厚み方向に破断して示す説明図である。
【図8】(a)、(b)、(c)、(d)は、半田バンプを形成する際の手順を電子部品実装用配線基板を厚み方向に破断して示す説明図である。
【図9】(a)、(b)は、電子部品付き配線基板の製造方法をその配線基板を厚み方向に破断して示す説明図である。
【図10】他の電子部品実装用配線基板の製造方法をその配線基板を厚み方向に破断して示す説明図である。
【図11】他の電子部品付き配線基板の製造方法をその配線基板を厚み方向に破断して示す説明図である。
【図12】従来技術の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明が適用される実施例について図面を用いて説明する。
【実施例】
【0032】
ここでは、コアレス基板の一方の主面にICチップ等を実装するための電子部品実装用配線基板と、ICチップ等を実装した電子部品付き配線基板を例に挙げて説明する。
a)まず、本実施例の電子部品実装用配線基板及び電子部品付き配線基板の構成について、図1〜図3に基づいて説明する。
【0033】
図1(a)に示す様に、本実施例の電子部品実装用配線基板(以下単に実装用配線基板と記す)1は、ICチップ3を実装するための半導体パッケージであり、この実装用配線基板1は、主として、コア基板を含まずに形成されたコアレス基板(積層基板)5を備えている。
【0034】
この積層基板5の一方の主面側(第1主面:図1上側)、即ちICチップ3が実装される側には、ICチップ3の実装領域7(図2(a)参照)内に、多数の半田バンプ9が形成され、更に実装領域7の周囲には、多数のチップコンデンサ(CP)11が実装されるとともに、積層基板5の反りを矯正するために補強板(スティフナ)13が接合されている。
【0035】
なお、図1(b)に示す様に、ICチップ3が実装された実装用配線基板1を、電子部品付き配線基板15と称する。
以下、各構成について詳しく説明する。
【0036】
図2(a)に示す様に、積層基板5の第1主面側には、その中央に、略正方形の実装領域7が設けられており、この実装領域7には、ICチップ3を積層基板5に接合するための半田バンプ9が形成されるチップ実装用端子パッド17がアレイ状に複数形成されている。
【0037】
また、同第1主面側には、実装領域7の周囲(四方)に、各辺に沿って多数のチップコンデンサ11が実装されている。
更に、同第1主面側には、ICチップ3の実装領域7及びチップコンデンサ11の長方形状の実装領域19以外を覆うように、スティフナ13が接合されている。
【0038】
一方、図2(b)に示す様に、積層基板5の裏側(第2主面側)には、図示しないマザーボード(母基板)を接合するためのLGA(ランドグリッドアレイ)が形成される母基板用端子パッド21がアレイ状に複数形成されている。
【0039】
また、図3(a)に実装用配線基板1の一部を拡大して示す様に、前記積層基板5は、同じ樹脂絶縁材料(電気絶縁材)を主体とした複数層(例えば4層)の樹脂絶縁層25、27、29、31と銅からなる導体層33とを交互に積層した配線積層部35を有している。
【0040】
前記樹脂絶縁層25〜31は、光硬化性を付与していない樹脂絶縁材料、具体的には、熱硬化性エポキシ樹脂の硬化体を主体としたビルドアップ材を用いて形成されている。
この樹脂絶縁層25〜31には、それぞれビア穴37及びビア導体39が設けられている。ビア導体39は、第1主面側が拡径するテーパー形状を有し、導体層33、チップ実装用端子パッド17、母基板用端子パッド21を、相互に電気的に接続している。
【0041】
配線積層部35の第1主面側において、最外層の樹脂絶縁層31には、複数の表面開口部41が形成されるとともに、表面開口部41内には、樹脂絶縁層31の外側表面よりも低くなるようにチップ実装用端子パッド17が形成されている。なお、チップ実装用端子パッド17は、主体の銅層の上面のみを銅以外のメッキ層(ニッケル−金メッキ)43で覆った構造を有している。
【0042】
そして、このチップ実装用端子パッド17上に、表面開口部41を埋めて(同図の)上方に突出する略球状の半田バンプ9が形成されている。
特に本実施例では、図3(b)に要部を拡大して示す様に、半田バンプ9の下半分の表面から半田バンプ9の周囲の配線積層部35の表面を覆うように、電気絶縁表面層45が形成されている。この電気絶縁表面層45は、電気絶縁材である熱硬化性樹脂(例えばエポキシ樹脂)からなる層である。
【0043】
つまり、各半田バンプ9の下半分は電気絶縁表面層45に覆われており、それぞれの半田バンプ9の電気絶縁表面層45は、半田が再溶融した場合でも半田同士が接続しない様に、所定の間隔を開けて配置されている。
【0044】
なお、熱硬化性樹脂として、そのガラス転移温度が半田の融点以下の材料を用いている。例えばガラス転移点としては、80〜220℃の範囲の例えば95℃のものを用い、半田の融点としては、120〜230℃の範囲の例えば139℃のSn−Bi系半田を用いている。但し、この熱硬化性樹脂は、一端軟化した後に硬化した後は、半田が再溶融する温度となっても、再び軟化することはない。
【0045】
前記図3(a)に戻り、前記積層基板5の第1主面側には、チップコンデンサ11が接合されるコンデンサ用端子パッド47が形成されており、このコンデンサ用端子パッド47は、銅層を主体に構成されている。なお、コンデンサ用端子パッド45は、主体の銅層の上面及び側面を銅以外のメッキ層(ニッケル−金メッキ)49で覆った構造を有している。
【0046】
一方、前記配線積層部35の下面側(第2主面側)において、最外層の樹脂絶縁層25には、複数の裏側開口部51が形成されるとともに、それらの裏側開口部51に対応して母基板用端子パッド21が配置されている。具体的には、母基板用端子パッド21は、裏側開口部51内に位置する下段金属導体部53と、下段金属導体部53及びその周囲を覆う上段金属導体部55との2段構造を有している。なお、母基板用端子パッド21は、主体の銅層の上面及び側面を銅以外のメッキ層(ニッケル−金メッキ)57で覆った構造を有している。
【0047】
b)次に、本実施例の実装用配線基板1の製造方法について、図4〜図8に基づいて説明する。
<積層基板製造工程>
まず、十分な強度を有する支持基板(ガラスエポキシ基板など)を準備し、その支持基板65上に、樹脂絶縁層25〜31及び導体層33をビルドアップして、配線積層部35を形成する。
【0048】
詳しくは、図4(a)に示す様に、支持基板65上に、エポキシ樹脂からなるシート状の絶縁樹脂基材を貼り付けて下地樹脂絶縁層67を形成することにより、基材69を作製する。
【0049】
次に、図4(b)に示す様に、基材69の上面に、積層金属シート体71を配置する。この積層金属シート体71は、2枚の銅箔73、75を剥離可能に密着させたものである。
【0050】
次に、図4(c)に示す様に、積層金属シート体71の上面に、下段金属導体部53を形成するために、下段金属導体部53の形状に対応したメッキレジスト77を形成する。
具体的には、積層金属シート体71の上面に、メッキレジスト77形成用のドライフィルムをラミネートし、このドライフィルムの露光及び現像を行って、メッキレジスト77を形成する。
【0051】
次に、図4(d)に示す様に、メッキレジスト77を形成した状態で、選択的に電解銅メッキを行って、積層金属シート体71上に下段金属導体部53を形成した後、メッキレジスト77を剥離する。
【0052】
次に、図4(e)に示す様に、下段金属導体部53が形成された積層金属シート体71を包むようにシート状の樹脂絶縁層25を配置し、樹脂絶縁層25を下段金属導体部53及び積層金属シート体71に密着させる。
【0053】
次に、図5(a)に示す様に、例えばエキシマレーザやUVレーザやCO2レーザなどを用いたレーザ加工によって、樹脂絶縁層25の所定の位置(下段金属導体部53の上部)にビア穴37を形成する。次いで、過マンガン酸カリウム溶液などのエッチング溶液やO2プラズマを用いて、ビア穴37内のスミアを除去する。
【0054】
次に、図5(b)に示す様に、従来公知の手法に従って、無電解銅メッキ及び電解銅メッキを行うことにより、各ビア穴37内にビア導体39を形成する。更に、従来公知の手法(例えばセミアディティブ法)によってエッチングを行うことにより、樹脂絶縁層25の上に導体層33をパターン形成する。
【0055】
次に、図5(c)に示す様に、他の樹脂絶縁層27〜31及び導体層33についても、上述した樹脂絶縁層25及び導体層33と同様な手法によって順次形成する。そして、最外層の樹脂絶縁層31に対して、レーザ加工によって複数の表面開口部41を形成する。次いで、過マンガン酸カリウム溶液やO2プラズマを用いて、各表面開口部41内のスミアを除去する。
【0056】
次に、樹脂絶縁層31の上面に無電解銅メッキを行い、樹脂絶縁層31の表面開口部41内及び樹脂絶縁層31の上面を覆う全面メッキ層(図示せず)を形成する。そして、配線積層部35の上面に、コンデンサ用端子パッド47の対応箇所に開口部を有する前記と同様なメッキレジスト(図示せず)を形成する。
【0057】
その後、メッキレジストを形成した基板表面に、選択的にパターンメッキを行うことで、図6(a)に示す様に、複数の表面開口部41の一部の内部に、ビア導体39を形成するとともに、ビア導体39の上部にコンデンサ用端子パッド47を形成する。その後、セミアディティブ法でパターニングすることによって、ビア導体39及びコンデンサ用端子パッド47を残しつつ、前記全面メッキ層を除去する。
【0058】
次に、配線積層部35をダイシング装置(図示せず)により、矢印部分で切断し、配線積層部35の周囲部分を除去する。
次に、図6(b)に示す様に、積層金属シート体71の一対の銅箔73、75を、その界面にて剥離することで、配線積層部35から基材69を除去して、銅箔73を露出させる。
【0059】
次に、図7(a)に示す様に、配線積層部35の下面側(第2主面側)において、下段金属導体部53を残しつつ銅箔73を部分的にエッチング除去することによって、上段金属導体部55を形成する。
【0060】
次に、図7(b)に示す様に、チップ実装用端子パッド17、コンデンサ用端子パッド47、母基板用端子パッド21の表面に対し、無電解ニッケルメッキ、無電解金メッキを順次施すことにより、ニッケル−金メッキ層43、49、57を形成し、積層基板5を完成する。
【0061】
<半田バンプ形成工程>
ここでは、チップ実装用端子パッド17上に、半田バンプ9を形成する方法について説明する。
【0062】
まず、図8(a)に要部を拡大して示す様に、上述した製造方法によって製造した積層基板5の上に、半田印刷用マスク81を配置する。この半田印刷用マスク81には、チップ実装用端子パッド17に対応する位置に、チップ実装用端子パッド17の平面形状と同様な形状の開口部83が形成してある。
【0063】
次に、図8(b)に示す様に、半田印刷用マスク81と印刷用の材料であるペースト状の接合材(接合用ペースト)85とを用いて周知の印刷を行って、接合体ペースト85を半田印刷用マスク81の開口部83に充填する。
【0064】
ここで、接合用ペースト85について説明する。
本実施例で用いる接合用ペースト85には、半田及び熱硬化性樹脂以外にペースト化するための成分など各種の成分(例えば有機溶剤、添加剤)が含まれている。ここでは、接合用ペーストの組成として、例えばSn−Bi系半田85重量%、熱硬化性樹脂である例えばエポキシ樹脂10重量%、その他の成分5重量%を採用できる。
【0065】
このうち、接合後の固体成分(即ち半田と熱硬化性樹脂)において、半田と熱硬化性樹脂との割合は、半田が50〜95重量%の範囲の内の例えば85重量%、熱硬化性樹脂が5〜50重量%の範囲内の例えば15重量%である。
【0066】
次に、図8(c)に示す様に、半田印刷用マスク81を積層基板5から剥がす。これにより、チップ実装用端子パッド17上に、接合用ペースト85が層状に配置された状態となる。
【0067】
次に、図8(d)に示す様に、接合用ペースト85を加熱し、その後冷却することにより、半田バンプ9及び電気絶縁表面層45を形成する。
詳しくは、例えば140〜230℃の範囲の加熱温度、5〜300秒の範囲の加熱時間に基づき設定された加熱プロファイルが適用される。ここでは、例えば180℃の加熱温度、180秒の加熱時間が設定される。なお、この加熱温度は、前述の半田の溶融温度及び熱硬化性樹脂のガラス転移温度よりも高くなるように設定されている。
【0068】
従って、本実施例では、接合用ペースト85中のエポキシ樹脂は、そのガラス転移点以上の温度(例えば120℃)に加熱されると軟化する。
その後、更に半田が溶融する温度(例えば140℃)に加熱されると、軟化したエポキシ樹脂中で半田が溶融して一体化し、この半田が半田バンプ9の形状となる。それとともに、半田バンプ9の下半分の表面がエポキシ樹脂で覆われる。そして、更に温度が上昇すると、その状態でエポキシ樹脂が硬化して電気絶縁表面層45となる。
【0069】
その後、温度が常温に下げられると、半田が固化し、半田バンプ9の下半分の表面が電気絶縁表面層45で覆われた接合構造が得られる。
なお、その後、チップコンデンサ11の実装や、ステンレス製のスティフナ13の接合が行われ、本実施例の実装用配線基板1が完成する。
【0070】
c)次に、実装用配線基板1にICチップ3を実装して電子部品付き配線基板1を製造する方法について、図9に基づいて説明する。
図9(a)に示す様に、ここでは、一方の面に多数の半田バンプ91を備えたICチップ3を実装用配線基板1に実装する方法(フリップチップ)について説明する。
【0071】
前記ICチップ3には、実装用配線基板1の半田バンプ9の配置と同様な配置で半田バンプ91が形成されている。なお、ICチップ3の半田バンプ91の半田は、実装用配線基板の半田バンプ9より融点の高い半田が使用されている。
【0072】
そして、同図に示す様に、実装用配線基板1の上方より、ICチップ3を近づける。詳しくは、実装用配線基板1の半田バンプ9とICチップ3の半田バンプ91との先端同士を近接又は接触させる。
【0073】
この状態で、例えば140℃に加熱し、実装用配線基板1の半田バンプ9のみを再溶融させる。このとき、電気絶縁表面層45は、硬化後の構造であるので、半田バンプ9が再溶融しても軟化しない。
【0074】
この半田バンプ9の再溶融によって、図9(b)に示す様に、半田バンプ9を構成する半田は、表面張力によって、ICチップ3の半田バンプ91の周囲を包み込む様にして広がり、半田バンプ91と一体化する。
【0075】
その後、冷却することによって、(向かい合う半田バンプ9、91同士が一体となった)単一の半田バンプ93が形成され、これらの半田バンプ93によって、実装用配線基板1にICチップ3が接合される。
【0076】
d)この様に、本実施例では、チップ実装用端子パッド17上に半田と樹脂製の電気絶縁材とを含む接合材ペースト85を配置し、その接合材ペースト85を加熱することによって、半田を溶融させるとともに電気絶縁材を軟化させる。その後、半田を固化させて半田バンプ9を形成するとともに、電気絶縁材を半田バンプ9の表面及び半田バンプ9の周囲の積層基板5の表面にて硬化させて電気絶縁表面層45を形成している。
【0077】
つまり、本実施例では、半田バンプ9の周囲に電気絶縁表面層45を形成するので、この構造の半田バンプ9を備えた実装用配線基板1にICチップ3を実装する際に、半田を再溶融させた場合には、半田バンプ9の周囲に電気絶縁表面層45が形成されていることにより、隣合う半田バンプ9同士が接続し難いという利点がある。
【0078】
特に、半田ボリュームが大きい場合や、パッドピッチが小さい場合には、半田同士の接続が生じ易いが、本実施例では、その様な場合でも、好適に半田同士の接続を防止できるという利点がある。
【0079】
また、本実施では、半田バンプ9の下半分の表面に電気絶縁表面層45が形成されているので、半田を再溶融して接合する際に、電気絶縁表面層45が邪魔にならず、好適にICチップ3を実装できるという効果がある。なお、スティフナ13を接合した積層基板5は、積層基板5の反りが矯正されているので、半田の再溶融時に半田同士が接続されることを効果的に防止することができる。
【0080】
更に、本実施例では、接合材ペースト35として、その固体となる成分として、半田が50〜95重量%、電気絶縁材が5〜50重量%である構成を採用するので、容易に半田バンプの周囲を電気絶縁材で覆う構造とすることができる。
【0081】
なお、本発明は、前記実施例に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採りうる。
(1)例えば電子部品実装用配線基板の表面に、ソルダーレジストがある場合でも無い場合でも、本発明を採用できる。具体的には、図10に示す様に、積層基板を構成する樹脂絶縁層101の表面に凸状の端子パッド103を形成するとともに、端子パッド103の表面に半田バンプ105を形成し、更に半田バンプ105の下半分を覆うように電気絶縁表面層107を形成してもよい。なお、この場合には、端子パッド103の上面と側面とからなる全表面が半田バンプ105と接合されるので、後に実装する電子部品との接続信頼性が高いという利点がある。
【0082】
(2)前記実施例では、ICチップのフリップチップ実装について説明したが、本発明は、図11に示す様に、実装する電子部品(例えばICチップ)111に半田バンプが形成されていない場合には、電子部品111の表面に形成されたパッド113等に、電子部品実装用配線基板115側の(電気絶縁表面層117を備えた)半田バンプ119を、直接に接合してもよい。
【0083】
(3)前記実施例では、電子部品実装用配線基板の半田バンプのみを再溶融させて、ICチップと接合する方法について説明したが、電子部品実装用配線基板の半田バンプとICチップの半田バンプの両方を再溶融させ、一体化することでICチップと接合する方法を採用しても良い。
【0084】
(4)前記実施例では、ステンレス製のスティフナを備えた配線基板について説明したが、スティフナについては、積層基板の熱膨脹率や要求される剛性を勘案して材質を決定すればよく、例えば、剛性の高い金属材料やセラミック材料を用いて形成することが好ましく、また、樹脂材料や樹脂材料中に無機材料を含有させた複合材料によって形成されるものであっても良い。
【0085】
(5)前記実施例では、CPやスティフナを備えた配線基板について説明したが、本発明は、CPやスティフナを備えない配線基板にも適用できる。
(6)なお、本発明者らの研究によれば、前記接合材の成分の数値範囲の半田の下限値(半田が50重量%、電気絶縁材が50重量%)及び上限値(半田が95重量%、電気絶縁材が5重量%)の場合でも、前記実施例と同様な効果があった。
【符号の説明】
【0086】
1、115…電子部品実装用配線基板
3…ICチップ
5…積層基板
9、91、93、105、119…半田バンプ
15…電子部品付き配線基板
17…チップ実装用端子パッド
45、107…電気絶縁表面層
85…接合用ペースト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導体層と樹脂絶縁層とが交互に積層されてなる積層基板上の端子パッドに、半田バンプを形成し、該半田バンプによって電子部品が実装される電子部品実装用配線基板を製造する製造方法において、
前記端子パッド上に半田と樹脂製の電気絶縁材とを含む接合材を配置し、該接合材を加熱することによって、前記半田を溶融させるとともに前記電気絶縁材を軟化させ、
その後、前記半田を固化させて半田バンプを形成するとともに、前記電気絶縁材を前記半田バンプの表面及び該半田バンプの周囲の前記積層基板の表面にて硬化させて電気絶縁表面層を形成することを特徴とする電子部品実装用配線基板の製造方法。
【請求項2】
前記接合材はペースト状であり、該接合材のうち、前記加熱後の冷却によって固体となる成分は、前記半田が50〜95重量%、前記電気絶縁材が5〜50重量%であることを特徴とする請求項1に記載の電子部品実装用配線基板の製造方法。
【請求項3】
前記電気絶縁材は、熱硬化性樹脂からなり、そのガラス転移温度が前記半田の融点以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の電子部品実装用配線基板の製造方法。
【請求項4】
導体層と樹脂絶縁層とが交互に積層されてなる積層基板と、該積層基板上に形成された端子パッドと、該端子パッド上に形成された半田バンプとを備え、該半田バンプによって電子部品が実装される電子部品実装用配線基板において、
前記半田バンプには、該半田バンプの表面から該半田バンプの周囲の前記積層基板の表面にわたって電気絶縁材からなる電気絶縁表面層が形成されていることを特徴とする電子部品実装用配線基板。
【請求項5】
前記請求項4に記載の電子部品実装用配線基板を用いて電子部品付き配線基板を製造する製造方法であって、
前記電子部品実装用配線基板の半田バンプに電子部品の端子を接触又は近接させた状態で、加熱することにより、前記半田バンプを溶融させ、その後冷却することにより、固化した半田バンプと前記電子部品の端子とを接合して、該電子部品を前記電子部品実装用配線基板に実装することを特徴とする電子部品付き配線基板の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2012−156161(P2012−156161A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−11293(P2011−11293)
【出願日】平成23年1月21日(2011.1.21)
【出願人】(000004547)日本特殊陶業株式会社 (2,912)
【Fターム(参考)】