説明

電子部品実装装置

【課題】基板を搬送する時間の増加を抑制すること。
【解決手段】電子部品実装装置100は、基板に電子部品を実装する装置である。電子部品実装装置100は、複数のステージ3FI、3RI、3FE、3REを有している。これらは、電子部品を搭載する基板を搭載して支持する。電子部品を搭載する基板は、基板供給部1から基板搬出部2へ搬送される。2つのステージ3FI、3RIは、基板の搬送方向と直交する方向に配列され、その方向に移動する。また、2つのステージ3FE、3REも、基板の搬送方向と直交する方向に配列されてその方向に移動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板上に電子部品を実装する電子部品実装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
基板上に電子部品を実装する装置として、多数のノズルを備えるヘッドを有し、当該ノズルで電子部品を吸着して基板上に搭載する電子部品実装装置がある。ここで、ヘッドは、ノズルを基板の表面に直交する方向に移動させることで、吸着した電子部品を基板上に実装する。このような電子部品実装装置は、電子部品を搭載する領域に位置決めされた基板に対する電子部品の搭載が終了した場合、この基板を下流側へ搬出した後、新たな基板を前記領域へ搬入するようになっている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−189595号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された技術は、生産位置に基板を搬入又は搬出する際に、基板を搬入レール又は搬出レールの位置で一度停止させ、その後、基板の搬送方向と直交する方向に基板を移動しなければならない場合がある。前記停止によって、基板を搬送する際の時間を増加させてしまうという問題がある。一回の停止は短くても、回数が多くなると基板を搬送する際の時間は大幅に増加し、生産効率の低下を招いてしまう。本発明は、電子部品を基板に搭載する際において、基板を搬送する時間の増加を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、基板に電子部品を実装する電子部品実装装置において、前記基板を支持する支持部及び前記支持部への前記基板の搬入と前記支持部からの前記基板の搬出とを行う基板搬送機構を含み、前記基板搬送機構が前記基板を搬送する方向と直交する方向に配列された少なくとも2つのステージと、前記少なくとも2つのステージを、前記基板搬送機構が前記基板を搬送する方向と直交する方向に移動させるステージ移動機構と、前記ステージが支持する前記基板に前記電子部品を搭載するヘッドと、を含み、前記少なくとも2つのステージ及びこれらを移動させる前記ステージ移動機構を含むステージ段を、前記基板が搬送される方向に向かって少なくとも2段有することを特徴とする電子部品実装装置である。
【0006】
本発明の望ましい態様としては、前記ヘッドは少なくとも2つであることが好ましい。
【0007】
本発明の望ましい態様としては、前記支持部は、前記ステージに前記基板を固定又は前記固定の解除を行う基板固定・解除機構を有し、前記基板固定・解除機構は、前記ステージが移動している最中に、前記基板の固定又は前記固定の解除を行うことが好ましい。
【0008】
本発明の望ましい態様としては、前記ステージ移動機構は、前記少なくとも2つのステージを連動して移動させることが好ましい。
【0009】
本発明の望ましい態様としては、前記少なくとも2つのステージ及びこれらを移動させる前記ステージ移動機構を含むステージ段を、前記基板が搬送される方向に向かって少なくとも2段有することが好ましい。
【0010】
本発明の望ましい態様としては、それぞれの前記ステージ移動機構は、隣接する前記ステージ段同士を互いに反対方向に移動させる第1の生産モードと、隣接する前記ステージ段同士を同じ方向に連動して移動させる第2の生産モードとを有することが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、電子部品を基板に搭載する際において、基板を搬送する時間の増加を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、本実施形態に係る電子部品実装装置を示す平面図である。
【図2】図2は、本実施形態に係る電子部品実装装置を図1の矢印A方向から見た正面図である。
【図3】図3は、本実施形態に係る電子部品実装装置が有する基板搬送部の平面図である。
【図4】図4は、基板搬送部が有するステージを基板が搬送される方向から見た図である。
【図5】図5は、図4のB−B矢視図である。
【図6】図6は、基板支持搬送装置の平面図である。
【図7】図7は、基板支持搬送装置が有する搬送ベルトの駆動機構を示す図である。
【図8】図8は、基板固定装置を示す図である。
【図9】図9は、基板固定装置を示す図である。
【図10】図10は、基板搬送部が有する各種のセンサの位置及び機能を説明するための模式図である。
【図11】図11は、本実施形態に係る電子部品実装装置が有する部品搭載部の平面図である。
【図12】図12は、本実施形態に係る電子部品実装装置が有するヘッドの説明図である。
【図13】図13は、本実施形態に係る電子部品実装装置が有する部品供給部の平面図である。
【図14】図14は、本実施形態に係る電子部品実装装置を制御する制御装置の構成図である。
【図15】図15は、本実施形態に係る電子部品実装装置が基板に電子部品を搭載する際における第1の生産モードの手順を示すフローチャートである。
【図16】図16は、第1の生産モードの説明図である。
【図17】図17は、第1の生産モードの説明図である。
【図18】図18は、第1の生産モードの説明図である。
【図19】図19は、第1の生産モードの説明図である。
【図20】図20は、第1の生産モードの説明図である。
【図21】図21は、第1の生産モードの変形例を示す説明図である。
【図22】図22は、第1の生産モードの変形例を示す説明図である。
【図23】図23は、第1の生産モードの変形例を示す説明図である。
【図24】図24は、基板供給部と基板搬出部とが移動し、基板に電子部品を搭載する際に前記基板を保持するステージを固定した電子部品実装装置を示す模式図である。
【図25】図25は、本実施形態に係る電子部品実装装置が基板に電子部品を搭載する際における第2の生産モードの手順を示すフローチャートである。
【図26】図26は、第2の生産モードの説明図である。
【図27】図27は、第2の生産モードの説明図である。
【図28】図28は、第2の生産モードの説明図である。
【図29】図29は、第2の生産モードの説明図である。
【図30】図30は、第2の生産モードの説明図である。
【図31】図31は、第2の生産モードの変形例を示す説明図である。
【図32】図32は、第2の生産モードの変形例を示す説明図である。
【図33】図33は、第2の生産モードの変形例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
【0014】
図1は、本実施形態に係る電子部品実装装置を示す平面図である。図2は、本実施形態に係る電子部品実装装置を図1の矢印A方向から見た正面図である。電子部品実装装置100は、基板の表面に電子部品を搭載(実装)する装置である。電子部品実装装置100は、基板搬送部101と、部品搭載部102と、部品供給部103と、制御部104とを含む。電子部品実装装置100は、電子部品を搭載しようとする基板を基板搬送部101が部品搭載部102へ搬送し、電子部品を搭載した後の基板を基板搬送部101が部品搭載部102から搬送する。基板が搬送される方向を図1、図2中のX方向とし、基板が搬送される方向と直交する方向をY方向とし、X方向及びY方向及び基板の板面と直交する方向をZ方向とする。電子部品実装装置100は、基板の板面が水平になる(鉛直方向、すなわち重力の作用する方向と直交する)ように配置されるのが一般的である。このため、通常は、Z方向は、鉛直方向と平行になる。
【0015】
基板搬送部101は、電子部品が実装される基板を部品搭載部102へ搬送し、また、電子部品が搭載された基板を部品搭載部102から搬送するものである。基板搬送部101は、基板供給部1と、複数のステージ3FI、3RI、3FE、3REと、基板搬出部2とを含む。基板供給部1は、電子部品を搭載しようとする基板をそれぞれのステージ3FI、3RI、3FE、3REへ搬送するものである。基板供給部1は、それぞれのステージ3FI、3RIよりも、基板が搬送される方向の進行方向反対側(上流側)に配置される。
【0016】
それぞれのステージ3FI、3RI、3FE、3REは、部品搭載部102の下方(鉛直方向側)に配置されている。2つのステージ3FI、3RIは、2つのステージ3FE、3REよりも基板供給部1側に配置される。それぞれのステージ3FI、3RI、3FE、3REは、電子部品が基板に搭載される間、基板供給部1から搬送された基板を支持する。また、それぞれのステージ3FI、3RI、3FE、3REは、電子部品が搭載された基板を基板搬出部2へ搬送する。それぞれのステージ3FI、3RI、3FE、3REは、ステージ移動機構4I、4Eによって、基板が搬送される方向と直交する方向に移動する。より具体的には、基板が搬送される方向と直交する方向に配列された2つのステージ3FI、3RIは、ステージ移動機構4Iによって移動する。また、基板が搬送される方向と直交する方向に配列された2つのステージ3FE、3REは、ステージ移動機構4Eによって移動する。
【0017】
基板搬出部2は、それぞれのステージ3FE、3REよりも、基板が搬送される方向の進行方向側に配置される。基板搬出部2は、それぞれのステージ3FI、3RI、3FE、3REから搬送された、電子部品が搭載された基板を受け取る。そして、基板搬出部2は、受け取った前記基板を、次工程(例えば、リフロー工程)に用いられる装置へ搬送する。
【0018】
部品搭載部102は、複数(本実施形態では2個)のヘッド6F、6Rと、複数のヘッド6F、6Rを別個に移動させるヘッド移動装置5とを含む。ヘッドは少なくとも1つあればよいが、少なくとも2つとすることがより好ましい。このようにすれば、製造効率が向上する。ヘッド6F、6Rは、電子部品を吸着する複数のノズルを有している。ヘッド6F、6Rは、前記ノズルに電子部品を吸着し、吸着した電子部品を基板の表面に搭載する装置である。ヘッド移動装置5は、ヘッド6F、6RをX方向及びY方向に移動させる装置である。すなわち、ヘッド移動装置5は、ヘッド6F、6RをXY平面内で移動させる。ヘッド移動装置5は、ヘッド6F、6RをXY方向に移動させることで、ヘッド6F、6Rを基板と対面する位置又は後述する部品供給装置8と対面する位置に移動させることができる。また、ヘッド移動装置5は、ヘッド6F、6Rを移動させることで、ヘッド6F、6Rと基板との相対位置を調整する。このような機能により、ヘッド移動装置5は、ヘッド6F、6Rが保持した電子部品を基板の表面の任意の位置に移動させることができる。その結果、ヘッド6F、6Rは、電子部品を基板の表面の任意の位置に搭載することができる。
【0019】
部品供給部103は、基板に電子部品を搭載するヘッド6F、6Rに電子部品を供給するものである。本実施形態において、電子部品実装装置100は、複数(本実施形態では2つ)の部品供給部103F、103Rを有する。それぞれの部品供給部103F、103Rは、基板が搬送される方向、すなわちX方向と直交する方向(Y方向)における、2つのステージ3FI、3RI(2つのステージ3FE、3REも同様)の両側に、それぞれ配置される。
【0020】
このようにすることで、ヘッド6F、6Rは、より近い位置の部品供給部103F、103Rから基板に搭載する電子部品の供給を受けることができるので、電子部品を基板に搭載する時間を短縮することができる。部品供給部103F、103Rは、支持台7と、支持台7に搭載されて支持される部品供給装置8とを有する。支持台7は、複数の部品供給装置8を搭載したり、部品供給装置8の他の装置(例えば、計測装置やカメラ等)を搭載したりすることができる。
【0021】
制御部104は、制御装置105と、入力装置105Cと、表示装置105Mとを有する。制御装置105は、電子部品実装装置100のそれぞれのステージ3FI、3RI、3FE、3REの動作、ステージ移動機構4I、4Eの動作、それぞれのヘッド6F、6Rの動作及びヘッド移動装置5の動作等を制御する。入力装置105Cは、作業者が制御装置105に電子部品の吸着位置をティーチングさせたり、電子部品の配置及び種類等のデータを入力したりする際に、作業者の操作を受け付けて、必要な情報を制御装置105へ入力する装置である。表示装置105Mは、生産工程の進捗状況を表示したり、前記ティーチングの際に必要な情報を表示したりする。
【0022】
表示装置105M及び入力装置105Cが電子部品実装装置100へ取り付けられる位置は、作業者の操作性及び視認性を考慮して、作業者が操作でき、かつ視認できる位置になる。本実施形態においては、表示装置105M及び入力装置105Cが取り付けられている側を、電子部品実装装置100の前面とし、表示装置105M及び入力装置105Cが取り付けられていない側を、電子部品実装装置100の背面とする。
【0023】
電子部品実装装置100は、ステージ3FI、3RI、3FE、3REが配置され、かつこれらがY方向に移動可能な領域が、電子部品を基板に搭載することのできる領域である。以下において、この領域を生産領域という。電子部品実装装置100は、Y方向、すなわち、基板が搬送される方向であるX方向と直交する方向において、生産領域は3つに分割されている。本実施形態において、電子部品実装装置100の前面側の生産領域を前面側領域MAf、背面側の生産領域を背面側領域MAr、前面側領域MAfと背面側領域MArとの間の生産領域を中間領域MAmという。本実施形態において、Y方向に隣接して配列されたステージ3FI、3RI及びステージ3FE、3REは、Y方向に移動する。このため、Y方向における生産領域の分割数は、Y方向におけるステージ3FI、3RI等の配列数よりも大きければよい。このようにすることで、Y方向に隣接して配列されたステージ3FI、3RI等は、Y方向に移動することができる。次に、基板搬送部101と、部品搭載部102と、部品供給部103と、制御部104が有する制御装置105との各部について、より詳細に説明する。
【0024】
図3は、本実施形態に係る電子部品実装装置が有する基板搬送部の平面図である。図4は、基板搬送部が有するステージを基板が搬送される方向から見た図である。図5は、図4のB−B矢視図である。それぞれのステージ3FI、3RI、3FE、3REは、いずれも同じ構造なので、次の説明においては、必要に応じてそれぞれのステージ3FI、3RI、3FE、3REを単にステージ3というものとする。
【0025】
基板搬送部101は、対向して配置された一対のフレームFL、FLの間に配置される。フレームFLは、図1に示す電子部品実装装置100のフレームである。一対のフレームFL、FLの間には、ステージ3FI、3RI、3FE、3REを案内する案内部材として、複数のガイドレール43I、43I、43E、43Eが掛け渡されている。複数のガイドレール43I、43I、43E、43Eは、棒状の構造体であり、それぞれの長手方向はY方向と平行である。このような構成により、複数のガイドレール43I、43I、43E、43Eは、一対のフレームFL、FLに支持される。
【0026】
一対のガイドレール43I、43Iは、Y方向に配列されたステージ3FI、3RIを貫通している。ステージ3FI、3RIとそれぞれのガイドレール43I、43Iとの間には、滑り軸受31が設けられる。また、一対のガイドレール43E、43Eは、Y方向に配列されたステージ3FE、3REを貫通している。ステージ3FE、3REとそれぞれのガイドレール43E、43Eとの間には、滑り軸受31が設けられる。このような構成により、ステージ3FI、3REはガイドレール43I、43Iに案内され、ステージ3FE、3RIはガイドレール43E、43Eに案内されて、Y方向に移動する。
【0027】
ステージ移動機構4I、4Eは、それぞれ電動機40と、電動機40によって回転させられるねじ41とを含む。このように、ねじ41は、ステージ移動機構4I、4Eの構成部材の1つである。それぞれのステージ移動機構4I、4Eのねじ41は、それぞれのフレームFL、FLに設けられた軸受42F、42Rによって回転可能に支持される。ねじ41は、その軸方向がY方向と平行である。また、それぞれのステージ3FI、3RI、3FE、3REは、ねじ41と噛み合うナット32が固定されている。
【0028】
このような構成により、電動機40によってねじ41が回転すると、ねじ41の軸方向(ねじ41の進行方向)におけるナット32とねじ41との相対的な位置が変化する。ナット32はステージ3FI、3RI、3FE、3REに固定されているので、電動機40によってねじ41が回転すると、ステージ3FI、3RI、3FE、3REはY方向に移動する。
【0029】
ステージ移動機構4Iは、Y方向に配列されたステージ3FI、3RIをY方向に移動させ、ステージ移動機構4Eは、Y方向に配列されたステージ3FE、3REをY方向に移動させる。ステージ3FI、3FEは、図1に示す電子部品実装装置100の前面側に配置され、ステージ3RI、3REは、電子部品実装装置100の背面側に配置される。また、Y方向に配列されたステージ3FI、3RIは、基板供給部1側に配置され、Y方向に配列されたステージ3FE、3REは、基板搬出部2側に配置される。このため、ステージ移動機構4Iは、基板供給部1側に配置され、ステージ移動機構4Eは、基板搬出部2側に配置される。
【0030】
本実施形態において、ねじ41は、電動機40によって直接回転させられるが、減速装置によって電動機40の回転速度を減速してねじ41を回転させてもよい。このようにすれば、トルクの小さい電動機を用いた場合でも、ステージ移動機構4I、4Eは、ステージ3FI、3RI等を移動させることができる。その結果、電動機の小型化、軽量化を図ることができる。ねじ41とナット32との種類は特に限定されるものではないが、ボールねじを用いると、ステージ3FI、3RI、3FE、3REの位置決め精度を向上させることができるので好ましい。なお、ねじ41及びナット32及び電動機40を用いたステージ移動機構4I、4Eの代わりに、エアシリンダや油圧シリンダを用いてもよい。
【0031】
Y方向に配列されたステージ3FI、3RI及びこれらを移動させるステージ移動機構4Iは、第1ステージ段3Iを構成する。また、Y方向に配列されたステージ3FE、3RE及びこれらを移動させるステージ移動機構4Eは、第2ステージ段3Eを構成する。第1ステージ段3Iと第2ステージ段3Eとは、基板が搬送される方向、すなわちX方向に向かって配列されており、互いに隣接している。Y方向におけるステージの配列数及びX方向におけるステージ段の配列数は、ともに2以上であればよい。なお、X方向におけるステージ段の配列数は、後述する電子部品実装装置100の制御を簡単にできることから、偶数であることが好ましい。このように、基板搬送部101は、少なくとも2つのステージ及びこれらを移動させるステージ移動機構4E、4Iを含むステージ段を、前記基板が搬送される方向に向かって少なくとも2段配列することが好ましい。このようにすれば、より多くの基板をステージで支持して、電子部品を基板に搭載できるので、電子部品を搭載した基板の生産効率が向上する。また、このようにしても、X方向に向かって基板供給部1と複数のステージと基板搬出部2とを一列に配列できるので、一度に多くのステージに基板を搬送でき、また、多くのステージから基板を搬出できる。この場合でも、基板供給部1又は基板搬出部2は、ステージの位置に移動する必要はないので、これらが停止する機会はない。その結果、基板供給部1又は基板搬出部2が停止することに起因する基板の搬送時間の増加を抑制できるので、電子部品を搭載した基板の生産効率が向上する。
【0032】
Y方向に配列されたステージ3FI、3RI及びステージ3FE、3REは、前面側領域MAfと、中間領域MAmと、背面側領域MArとの間を移動する。図3に示す例では、ステージ3FI、3FEが中間領域MAmに存在し、ステージ3RI、3REが背面側領域MArに存在する。この場合、図1に示した部品搭載部102は、中間領域MAm及び背面側領域MArで、それぞれに存在するステージ3FI、3FE及びステージ3RI、3REがそれぞれ支持した基板に電子部品を搭載する。
【0033】
本実施形態においては、Y方向に配列された2つのステージ3FI、3RI(又はステージ3FE、3RE)は、連動して移動する。このようにすれば、電子部品実装装置100の構造を簡単にできるので好ましい。また、Y方向に配列された2つのステージ3FI、3RI(又はステージ3FE、3RE)を連動して移動させることにより、制御も簡単にすることができる。
【0034】
なお、Y方向に配列された2つのステージ3FI、3RI(又はステージ3FE、3RE)は、別個独立に移動するようにしてもよい。この場合、2つのステージ3FI、3RIをそれぞれ独立のステージ移動機構で移動させる。このようにすると、電子部品実装装置100の構造は複雑になるが、制御の自由度は向上する。例えば、前面側領域MAfと、背面側領域MArとにそれぞれステージ3FI、3RIを配置して、電子部品を基板に搭載することもできる。この場合には、ステージ3FI、3RIは、それぞれ部品供給部103F、103Rに接近するので、ヘッド6F、6Rが部品供給部103F、103Rとステージ3FI、3RIとの間を移動する距離を小さくできる。その結果、ヘッド6F、6Rは速やかに電子部品の供給を受けることができるので、電子部品を基板に搭載する時間を短縮できる。
【0035】
図4、図5に示すように、それぞれのステージ3FI、3RI、3FE、3REは、基板支持搬送装置10及び基板固定装置20を含んでいる。基板支持搬送装置10は、基板供給部1及び基板搬出部2にも設けられる。基板支持搬送装置10は、基板を支持する支持部及び支持部への基板の搬入と支持部からの基板の搬出とを行う基板搬送機構を含んでいる。また、それぞれのステージ3FI、3RI、3FE、3REが有する基板固定装置20は、それぞれのステージ3FI、3RI、3FE、3REに基板を固定又は前記固定の解除を行う。
【0036】
図4に示すように、ステージ3は、対向して配置される一対の枠部材30、30を有している。そして、一対の枠部材30、30の一方の端部には、一対の基板押さえ部材34、34が取り付けられている。図4、図5に示すように、一対の枠部材30、30には、ガイドレール43I(又はガイドレール43E)が貫通している。一対の枠部材30の間には、基板支持搬送装置10と基板固定装置20とが配置されている。
【0037】
基板支持搬送装置10は、基板を搬送する基板搬送手段としての一対の搬送ベルト11、11と、一対の搬送ベルト11、11を介して基板を支持する支持部としての、対向して配置される一対の基板支持部材12、12と、一対の搬送ベルト11、11を駆動するための動力源としての搬送用電動機13と、を含む。一対の搬送ベルト11、11は、いずれも無端のベルトである。基板支持搬送装置10の搬送ベルト11の外周面は、ステージ3の一対の枠部材30、30に取り付けられている基板押さえ部材34、34と対向している。一対の搬送ベルト11、11の外周面に基板が接した状態で一対の搬送ベルト11、11が駆動されると、基板が一対の搬送ベルト11、11によって搬送される。また、基板は、一対の搬送ベルト11、11を介して一対の基板支持部材12、12に支持される。
【0038】
図5に示すように、基板支持部材12は、一方が基板支持部材12の外周部に開口した長孔14、14を有している。長孔14、14は、ステージ3の枠部材30に設けられている位置決め部材33、33と係り合う。このような構成により、基板支持搬送装置10は、ステージ3の一対の枠部材30、30に取り付けられ、支持される。また、長孔14、14と位置決め部材33、33とが係り合うので、基板支持搬送装置10は、一対の基板押さえ部材34、34へ向かう動きが許容される。また、基板支持搬送装置10は、長孔14、14と位置決め部材33、33とが係り合うまでにおいては、一対の基板押さえ部材34、34から離れる動きも許容される。このように、基板支持搬送装置10は、ステージ3の一対の枠部材30、30に対して相対移動が許容された状態で支持される。
【0039】
基板支持搬送装置10が有する一対の基板支持部材12、12は、搬送ベルト11が配置されている側とは反対側に、複数の脚部15を有する。それぞれの脚部15は、基板支持部材12に対して片持ち構造で取り付けられている。したがって、それぞれの脚部15は、基板支持部材12側が固定端、固定端とは反対側が開放端となる。
【0040】
基板固定装置20は、ステージ3に基板を固定し、また、ステージ3に対する基板の固定を解除する。基板固定装置20は、基板支持搬送装置10を一対の基板押さえ部材34、34に向かって押し付けるテーブル21と、基板固定装置20をステージ3に取り付けるためのフレーム22とを含む。フレーム22は、ステージ3の一対の枠部材30、30に取り付けられる。このような構成により、基板固定装置20はステージ3に取り付けられて支持される。基板固定装置20は、テーブル21が基板支持搬送装置10を一対の基板押さえ部材34、34に向かって押し付けることにより、基板支持搬送装置10の搬送ベルト11と一対の基板押さえ部材34、34との間に基板を挟持する。ステージ3は、このような基板固定装置20を用いた基板固定・解除機構を有している。なお、基板固定・解除機構は、ステージ3が有していなくてもよい。次に、基板支持搬送装置10が一対の搬送ベルト11、11を駆動する機構について、より詳細に説明する。
【0041】
図6は、基板支持搬送装置の平面図である。図7は、基板支持搬送装置が有する搬送ベルトの駆動機構を示す図である。搬送用電動機13は、一対の基板支持部材12、12に掛け渡された支持板16に固定される。搬送用電動機13の出力軸13Sには、出力プーリー24Aが取り付けられている。図7に示すように、搬送ベルト11は、駆動プーリー18Cと、複数の案内プーリー18Dと、基板支持部材12に設けられた搬送ベルト支持部12Sの位置で搬送ベルト11を張架する一対の張架プーリー18E、18Eに掛け回されている。このような構造により、一対の搬送ベルト11、11の内周面側には、両方の基板支持部材12、12、より具体的には一対の搬送ベルト支持部12S、12Sが配置される。基板支持搬送装置10は、一対の基板支持部材12、12を有するが、一対の搬送ベルト11、11は、両方の基板支持部材12、12に同様な構造で取り付けられている。
【0042】
図6に示すように、一対の駆動プーリー18C、18Cは、駆動軸17に取り付けられている。駆動軸17は、一対の基板支持部材12、12によって回転可能に支持されている。また、駆動軸17には入力プーリー18Bが取り付けられている。搬送用電動機13の出力軸13Sに取り付けられた出力プーリー24Aと駆動軸17に取り付けられた入力プーリー18Bとには、無端の伝達ベルト19が掛け回されている。このような構成により、搬送用電動機13の動力は、出力プーリー24Aと、伝達ベルト19と、入力プーリー18Bとを介して駆動軸17に入力される。駆動軸17に入力された前記動力は、駆動軸17に取り付けられた一対の駆動プーリー18C、18Cを介して一対の搬送ベルト11、11を駆動する。
【0043】
一対の搬送ベルト11、11が駆動され、一対の基板支持部材12、12の搬送ベルト支持部12S、12Sの位置で回転すると、一対の搬送ベルト11、11の外周面と接する基板CBが一対の搬送ベルト支持部12S、12S上を移動する。基板支持搬送装置10は、このような構成により一対の搬送ベルト11、11を駆動して、基板CBを一対の基板支持部材12、12に搬入する。基板CBが一対の搬送ベルト支持部12S、12S上で停止すると、一対の搬送ベルト支持部12S、12Sは基板CBを支持する。すなわち、一対の基板支持部材12、12はプラテンとして基板CBを支持する。この状態で、さらに一対の搬送ベルト11、11が駆動されると、基板CBは基板支持部材12、12から搬出される。このように、基板支持搬送装置10は、基板CBを支持する支持部としての一対の基板支持部材12、12及び一対の基板支持部材12、12への基板CBの搬入と一対の基板支持部材12、12からの基板CBの搬出とを行う基板搬送機構を含んでいる。この基板搬送機構が基板CBを搬送する方向は、図1のY方向であり、ステージ3FI、3RI及びステージ3FE、3REが配列される方向である。次に、基板固定装置20について、より詳細に説明する。
【0044】
図8、図9は、それぞれ基板固定装置を示す図である。両図ともに、基板CBが搬送される方向と直交する方向から基板固定装置20を見た状態を示している。図8は、ステージ3に対する基板CBの固定を解除した状態を示し、図9はステージ3に対して基板CBを固定した状態を示している。いずれの図においても、基板CBは、ステージ3の基板押さえ部材34と、基板支持搬送装置10の搬送ベルト11との間に存在している。
【0045】
基板固定装置20は、基板支持搬送装置10の基板支持部材12が有する脚部15の開放端と対向して配置される。基板固定装置20は、テーブル21によって基板支持搬送装置10を基板押さえ部材34に向かって移動させて押し付けるものである。このため、基板固定装置20は、テーブル21を駆動するための動力源として基板固定用電動機23を有する。また、基板固定装置20は、前記動力をテーブル21に伝達するための動力伝達機構を有する。この動力伝達機構は、基板固定用電動機23の回転を直線運動に変換する機能を有する。図8、図9に示すように、基板固定用電動機23は、フレーム22に取り付けられる。基板固定用電動機23の出力軸23Sには、出力プーリー24Aが取り付けられている。
【0046】
前記動力伝達機構として、本実施形態では、雄ねじを有するねじシャフト28と、このねじシャフト28と噛み合う雌ねじを有する回転体26とを用いる。このようなねじシャフト28と回転体26とは、両者が相対的に回転すると、軸方向(ねじの進行方向)におけるねじシャフト28と回転体26との相対的な位置が変化する。これを利用して、基板固定用電動機23の回転を直線運動に変換する。
【0047】
回転体26は、筒状の構造体である。回転体26の一方の端部には、入力プーリー24Bが取り付けられる。回転体26は、軸受27を介してフレーム22に取り付けられる。このような構成により、フレーム22が回転体26を回転可能に支持する。本実施形態において、基板固定装置20は、複数の回転体26を備える。ねじシャフト28は、それぞれの回転体26にねじ込まれている。ねじシャフト28の一方の端部は、テーブル21の基板支持搬送装置10とは反対側における面に設けられた取付部材21Bに取り付けられる。
【0048】
複数の回転体26が有する入力プーリー24Bと、基板固定用電動機23の出力軸23Sに取り付けられた出力プーリー24Aと、エンコーダ24Cとには、無端の駆動ベルト25が掛け回されている。このような構成により、基板固定用電動機23の動力は、出力プーリー24Aと、駆動ベルト25と、入力プーリー24Bと、を介してそれぞれの回転体26に伝達される。エンコーダ24Cの出力を用いて、基板固定用電動機23の動作が制御される。前記動力によってそれぞれの回転体26が回転すると、それぞれの回転体26にねじ込まれたねじシャフト28は、テーブル21に固定されているため、軸方向におけるねじシャフト28と回転体26との相対的な位置が変化する。より具体的には、ねじシャフト28が回転体26から突出したり、回転体26に進入したりする。回転体26は、フレーム22に固定されているので、基板固定用電動機23の動力により回転体26が回転すると、フレーム22とテーブル21との距離が変化する。
【0049】
上述したように、フレーム22は、ステージ3の一対の枠部材30、30に固定されている(図4参照)。また、基板支持搬送装置10は、ステージ3の一対の枠部材30、30に対して相対移動が許容された状態で支持される。また、基板固定装置20のテーブル21は、フレーム22と基板支持搬送装置10との間に配置される。このため、テーブル21がフレーム22から離れると、テーブル21と基板支持搬送装置10との距離が小さくなって、両者は接触する。本実施形態においては、テーブル21が有する緩衝部材29と基板支持部材12が有する脚部15とが接触する。緩衝部材29は、ゴムや樹脂等の弾性部材である。緩衝部材29は必須ではないが緩衝部材29が脚部15と接触することにより、両者の接触時における騒音及び衝撃を抑制できる。
【0050】
両者が接触した後もテーブル21がフレーム22から離れると、基板支持搬送装置10は、基板押さえ部材34に向かって移動する。このような構成により、基板固定装置20は、基板支持搬送装置10の搬送ベルト11を基板押さえ部材34に押し付けることができるので、図9に示すように、搬送ベルト11を介して基板支持搬送装置10の基板支持部材12とステージ3の基板押さえ部材34との間で基板CBを挟持することができる。その結果、基板CBは、ステージ3に固定される。この固定は、基板固定装置20がテーブル21をフレーム22に接近させることにより解除される。基板固定装置20によって実現されるこのような機構が、ステージ3に基板CBを固定又は前記固定の解除を行う基板固定・解除機構である。
【0051】
回転体26及びねじシャフト28の数は限定されるものではないが、基板支持搬送装置10を安定して移動させるために、回転体26及びねじシャフト28の数は3以上、好ましくは4以上とすることが望ましい。このようにすれば、基板固定装置20は、基板支持搬送装置10を安定して支持することができる。この作用によって、基板固定装置20は、基板CBをより均一に基板押さえ部材34に押し付けることができるので、基板CBの位置ずれも抑制できる。次に、基板搬送部101が有するセンサについて説明する。
【0052】
図10は、基板搬送部が有する各種のセンサの位置及び機能を説明するための模式図である。基板に電子部品を実装するにあたって、基板供給部1からそれぞれのステージ3FI、3RI、3FE、3REに基板が搬送される際、ステージ3FI、3RI、3FE、3REから基板搬出部2へ基板が搬送される際には、基板を停止させたり、基板を搬入出させたりする必要がある。このため、基板搬送部101は、基板の位置を検出するセンサを有する。搬入センサ90は、基板供給部1へ基板が搬入されたことを検出する。搬出センサ91は、基板搬出部2から基板が搬出されたことを検出する。待機センサ92は、基板供給部1で基板が待機する位置に前記基板が存在するか否かを検出する。停止センサ93は、それぞれのステージ3FI、3RI、3FE、3REにおいて、基板に電子部品が搭載される位置(部品搭載位置)に、前記基板が存在するか否かを検出する。搬送センサ94は、それぞれのステージ3FI、3RI、3FE、3REの部品搭載位置から基板が搬出されたことを検出する。ステージ検出センサ95は、ステージ3FI、3RI、3FE、3REのY方向における位置を検出する。この機能を利用して、基板供給部1とステージ3FI、3RI、3FE、3REとの位置及び基板搬出部2とステージ3FI、3RI、3FE、3REとの位置を合わせることができる。ステージ検出センサ95は、図1に示すMAfの位置に設けられる。搬入センサ90、搬出センサ91、待機センサ92、停止センサ93、搬送センサ94及びステージ検出センサ95は、特に方式が限定されるものではないが、例えば、光学式の非接触センサを用いることができる。図1に示す制御装置105は、搬入センサ90、搬出センサ91等が検出した基板の位置に関する情報を取得して、基板を搬送する際の制御に用いる。次に、部品搭載部102(図1参照)について説明する。
【0053】
図11は、本実施形態に係る電子部品実装装置が有する部品搭載部の平面図である。部品搭載部102が有するヘッド移動装置5は、2つのX方向移動装置50F、50Rと、2つのY方向移動装置54I、54Eとを含む。本実施形態において、これらはいずれもリニアモータであるが、ヘッド移動装置5はこれに限定されるものではない。例えば、ラックアンドピニオンを利用して回転運動を直線運動に変換する機構、ボールねじを用いて回転運動を直線運動に変換する機構又はベルトを用いて回転運動を直線運動に変換する機構等をヘッド移動装置5として用いることもできる。しかし、リニアモータをヘッド移動装置5に用いる場合、回転運動を直線運動に変換する必要はないので、変換によるロスを低減できる。その結果、リニアモータをヘッド移動装置5に用いた場合は、ヘッド移動装置5を駆動するエネルギーを抑制できる。
【0054】
X方向移動装置50F、50Rは、支持体51と、支持体51に取り付けられて支持された固定子52と、ヘッド6F、6Rが取り付けられるとともに、固定子52との間で発生する電磁力によって支持体51に沿って移動する可動子53とを有する。Y方向移動装置54I、54Eは、支持体55と、支持体55に取り付けられて支持された固定子56と、固定子56との間で発生する電磁力によって支持体55に沿って移動する可動子57とを有する。
【0055】
一方のX方向移動装置50Fは、図1に示す電子部品実装装置100の前面側に配置され、他方のX方向移動装置50Rは背面に配置される。一方のY方向移動装置54Iは、図1に示す電子部品実装装置100の基板供給部1側に配置され、他方のY方向移動装置54Eは基板搬出部2側に配置される。一対のX方向移動装置50F、50Rは、それぞれが対向するとともに、長手方向がX方向と平行になるように配置される。また、一対のY方向移動装置54I、54Eは、それぞれが対向するとともに、長手方向がY方向と平行になるように配置される。X方向移動装置50F、50RとY方向移動装置54I、54Eとは、それぞれ直交して矩形形状に組み合わされる。一対のY方向移動装置54I、54Eが有する一対の可動子57、57はX方向移動装置50Fを支持し、他の一対の可動子57、57はX方向移動装置50Rを支持する。このような構成により、ヘッド移動装置5は、それぞれのヘッド6F、6Rを独立に、X方向とY方向との少なくとも一方へ移動させることができる。なお、ヘッド6F、6Rは2個に限定されるものではなく、3個以上であってもよい。
【0056】
図12は、本実施形態に係る電子部品実装装置が有するヘッドの説明図である。ヘッド6F、6Rは、同一の構造なので、次の説明においてはヘッド6Fについて説明する。ヘッド6Fは、X方向移動装置50Fによって駆動される。ヘッド6Fは、制御基板60と、Z軸モータ61と、θモータ62と、エア制御弁63と、基板認識カメラ64と、レーザアラインセンサ65と、電子部品を吸着するノズル(吸着ノズル)とを含む。制御基板60は、Z軸モータ61、エア制御弁63及びθモータ62等を駆動するための駆動回路を有している。
【0057】
Z軸モータ61は、吸着ノズルをZ軸方向に移動させる。この機能により、Z軸モータ61は、吸着ノズルを基板に接近させ、また、基板に接近させた吸着ノズルを基板から遠ざける。Z軸モータ61は、電子部品を吸着した吸着ノズルを基板に接近させ、電子部品を基板の端子電極に接触させることにより、電子部品を基板に搭載する。θモータ62は、Z軸を中心として吸着ノズルを、回転させる。Z軸は、XY平面に直交するが、XY平面は電子部品が搭載される基板の表面と平行であるため、θモータ62は、前記基板の表面と直交する軸を中心として前記ノズルを回転させる。θモータ62は、この機能により、電子部品と基板との位置関係を調整することができる。
【0058】
エア制御弁63は、吸着ノズルの吸引と吸引停止とを切り替える。すなわち、エア制御弁63は、吸着ノズルの開口部から空気を吸引させることによって、電子部品を吸着ノズルの開口部に吸着させる。また、エア制御弁63は、前記吸引を停止させることによって、吸着ノズルの開口部に吸着させられている電子部品を前記開口部から開放する。エア制御弁63は、このような動作を吸着ノズルにさせることによって、吸着ノズルによる電子部品の吸着と開放とを制御する。
【0059】
基板認識カメラ64は、ヘッド6F、6Rにそれぞれ1台備えられる。基板認識カメラ64は、基板に設けられたアライメントマークの他、吸着位置基準等に設けられた認識マークを撮像する。この動作によって、基板認識カメラ64は、基板及びステージ3の位置についての情報(位置情報)を検出する。基板認識カメラ64は、基板に電子部品を搭載している最中に前記位置情報を検出したり、電子部品の吸着位置のティーチング及び搭載位置の検査等において前記位置情報を検出したりする。レーザアラインセンサ65は、レーザ測定機能を有している。この機能により、ヘッド6Fと基板との距離、ヘッド6Fの傾斜等の情報を検出する。ヘッド6Fが有するZ軸モータ61及びθモータ62等の制御、吸着ノズルからの空気の吸引、基板認識カメラ64が検出した情報の伝送等のために、ヘッド6Fには、フレキシブルケーブル及び吸引チューブが束ねられたフレキシブルケーブル群66が接続されている。次に、部品供給部103(図1参照)について説明する。
【0060】
図13は、本実施形態に係る電子部品実装装置が有する部品供給部の平面図である。部品供給部103F、103Rは、基板が搬送される方向と直交する方向、すなわちY方向における両側に配置される。それぞれの部品供給部103F、103Rは、支持台7に複数の部品供給装置8を搭載している。部品供給装置8は、基板に搭載する電子部品をヘッド6F、6Rに連続して供給可能であり、ヘッド6F、6Rがそれぞれ備えた複数の吸着ノズルに電子部品を吸着可能な状態とする。部品供給装置8は、凹部に電子部品を保持して封止材によって凹部を封止されたテープを送ると同時にテープの封止材を取り除いて、凹部内の電子部品を露出させ、ヘッド6F、6Rの吸着ノズルに電子部品を吸着させる。部品供給装置8はこのような方式(テープフィーダー)に限定されるものではないが、支持台7に対して着脱可能とすることが好ましい。
【0061】
部品供給部103Fの部品供給装置8は、ヘッド6Fに電子部品を供給する。また、部品供給部103Rの部品供給装置8は、ヘッド6Rに電子部品を供給する。このように、部品供給部103は、それぞれのヘッド6F、6Rに電子部品を供給する部品供給装置8を別個に備え、それぞれのヘッド6F、6Rは、より近い部品供給装置8から電子部品の供給を受ける。このような構成により、それぞれのヘッド6F、6Rは迅速に電子部品の供給を受けることができ、部品供給装置8へのアクセスも高速になるので、電子部品を搭載した基板の生産性が向上する。
【0062】
部品供給部103F、103Rは、部品認識カメラ83を有する。部品認識カメラ83は、部品供給装置8と生産領域との間に設置されて、ヘッド6F、6Rの吸着ノズルの開口側から吸着ノズルが吸着した電子部品を撮像する。図1に示す制御装置105は、部品認識カメラ83が撮像した情報から吸着ノズルに吸着された電子部品の姿勢等を求め、得られた前記姿勢等の情報に基づいて、電子部品が搭載される位置決めをする。部品認識カメラ83は、図12に示すレーザアラインセンサ65で代用することもできる。次に、図1に示す制御部104が有する制御装置105について説明する。
【0063】
図14は、本実施形態に係る電子部品実装装置を制御する制御装置の構成図である。制御装置105は、図1に示す電子部品実装装置100の動作を制御するものである。制御装置105は、演算部106と、記憶部107と、基板認識カメラ制御部108と、部品認識カメラ制御部109と、情報検出部110と、ヘッド位置制御部111と、レーザ制御部112と、ヘッド制御部113と、基板搬送制御部114と、XY制御部115と、基板固定用モータドライバ116と、基板搬送用モータドライバ117と、ステージ移動用モータドライバ118と、サーボアンプ119とを含む。制御装置105のうち、基板固定用モータドライバ116、基板搬送用モータドライバ117、ステージ移動用モータドライバ118及びサーボアンプ119は、半導体素子、抵抗及びコンデンサ等の電子部品(ハードウェア)を組み合わせた電子デバイスである。
【0064】
演算部106は、例えば、CPU(Central Processing Unit:中央演算装置)である。演算部106は、図10に示す搬入センサ90及び搬出センサ91等が検出した情報、図13に示す部品認識カメラ83が撮像した情報等に基づいて、ステージ移動機構4I、4E、ステージ3、基板支持搬送装置10、基板固定装置20、ヘッド移動装置5及びヘッド6F、6R等といった電子部品実装装置100を構成する装置の動作を制御する。記憶部107は、RAM(Random Access Memory)若しくはROM(Read Only Memory)若しくは半導体記憶デバイス又はこれらを組み合わせたものである。記憶部107は、電子部品実装装置100の動作を制御するためのコンピュータプログラム、基板や電子部品の種類についての情報及び電子部品を基板に搭載する際に必要な情報等を記憶している。
【0065】
基板認識カメラ制御部108は、演算部106からの指令によって、基板認識カメラ64の動作を制御するものである。部品認識カメラ制御部109は、演算部106からの指令によって、部品認識カメラ83の動作を制御するものである。情報検出部110は、基板認識カメラ64、部品認識カメラ83、搬入センサ90、搬出センサ91及びレーザアラインセンサ65等が検出した情報を、演算部106が処理できる信号に変換する。ヘッド位置制御部111は、演算部106からの指令により、サーボアンプ119を介してX方向移動装置50F、50R、Y方向移動装置54I、54Eを制御する。この制御によって、基板搬送部101が搬送する基板及び部品搭載部102が有するヘッド6F、6RのX方向における位置とY方向における位置とが制御される。レーザ制御部112は、演算部106からの指令によって、レーザアラインセンサ65の動作を制御する。ヘッド制御部113は、演算部106からの指令によってヘッド6F、6Rの動作を制御する。基板搬送制御部114は、演算部106からの指令によって、基板固定用モータドライバ116を介して基板固定用電動機23の動作を制御する。この制御によって、ステージ3への基板の固定及び前記固定の解除が実現される。また、基板搬送制御部114は、演算部106からの指令によって、基板搬送用モータドライバ117を介して搬送用電動機13の動作を制御する。この制御によって、ステージ3への基板の搬送及びステージ3からの基板の搬送が実現される。XY制御部115は、演算部106からの指令に基づき、ステージ移動用モータドライバ118を介して、ステージ移動機構4I、4Eの動作を制御する。この制御によって、ステージ3のX方向における位置とY方向における位置とが制御される。
【0066】
本実施形態において、基板認識カメラ制御部108と、部品認識カメラ制御部109と、情報検出部110と、ヘッド位置制御部111と、レーザ制御部112と、ヘッド制御部113と、基板搬送制御部114と、XY制御部115とは、それぞれ専用の回路基板又はコプロセッサで実現される。なお、これらの機能は、ソフトウェアで実現されてもよい。この場合、演算部106がこれらの機能を実現するソフトウェアを実行することにより、これらの機能を実現する。次に、図1に示す電子部品実装装置100が基板に電子部品を搭載する際の生産モードの一例を説明する。
【0067】
(第1の生産モード)
図15は、本実施形態に係る電子部品実装装置が基板に電子部品を搭載する際における第1の生産モードの手順を示すフローチャートである。図16〜図20は、第1の生産モードの説明図である。第1の生産モードは、図1に示す電子部品実装装置100のステージ移動機構4I、4Eが、隣接する少なくとも2つのステージの段(図16に示す例では、第1ステージ段3Iと第2ステージ段3E)を、互いに反対方向に移動させて、基板に電子部品を搭載するものである。図16に示すように、第1ステージ段3Iは、Y軸方向に隣接するステージ3FI、3RIであり、第2ステージ段3Eは、Y軸方向に隣接するステージ3FE、3REである。
【0068】
電子部品実装装置100が第1の生産モードにより基板に電子部品を搭載する場合、作業者は、図1に示す入力装置105Cの第1の生産モードによる生産を開始させるためのスタートボタンを押す。入力装置105Cから、第1の生産モードによる生産開始の信号を受信した制御装置105は、図3に示すステージ移動機構4I、4Eを駆動して、ステージ3FI、3RI、3FE、3REを第1の生産モードにおける初期位置へ移動させる(ステップS101)。この移動において、ステージ移動機構4I、4Eは、第1ステージ段3Iを背面側領域MArに向かって移動させ、第2ステージ段3Eを前面側領域MAfに向かって移動させることになる。すなわち、第1ステージ段3Iと第2ステージ段3Eとは、互いに逆方向に移動する。また、図16に示すように、ステージ3FIとステージ3REとが中間領域MAmに、ステージ3RIが背面側領域MArに、ステージ3FEが前面側領域MAfに存在する状態が、ステップS101における初期位置の状態である。
【0069】
次に、ステップS102へ進み、制御装置105は、基板搬送部101から2枚の基板(第1基板CB1及び第2基板CB2)を、中間領域MAmに存在するステージ3FIとステージ3REとに搬送する。この場合、制御装置105は、基板供給部1の搬入センサ90がONであることをトリガーとして基板供給部1の基板支持搬送装置10(図6、図7)を駆動する。そして、制御装置105は、待機センサ92がONであることをトリガーとしてそれぞれのステージ3FI、3REが有する基板支持搬送装置10を駆動する。制御装置105は、それぞれのステージ3FI、3REの停止センサ93が両方ともONであることをトリガーとして、それぞれのステージ3FI、3REが有する基板支持搬送装置10を停止する(ステップS103)。このような処理によって、図17に示すように、ステージ3FIは第2基板CB2を搭載して支持し、ステージ3REは第1基板CB1を搭載して支持する。なお、基板供給部1には、第3基板CB3が搬送されている。
【0070】
次に、ステップS104に進み、いずれかのステージに電子部品を搭載中、すなわち実装中の基板が存在するか否かが判定される。制御装置105は、いずれのステージでもヘッド6F、6Rが電子部品を基板に搭載していないことを検出した場合に、ステップS104の処理を肯定(Yes)へ分岐させて、第2の生産モードをステップS105へ進める。
【0071】
ステップS105において、制御装置105は、ステージ移動機構4I、4Eを駆動して、第1ステージ段3I(ステージ3FI、3RI)と、第2ステージ段3E(ステージ3FE、3RE)とを、互いに逆方向に移動させる。この例では、図17に示すように、ステージ移動機構4I、4Eは、第1ステージ段3Iを前面側領域MAfに向かって移動させ(図17の矢印Fで示す方向)、第2ステージ段3Eを背面側領域MArに向かって移動させる(図17の矢印Rで示す方向)。ステージ3FI、3RE等が移動を開始すると、図10に示すステージ検出センサ95はステージ3FI、3REを検出しなくなるので、OFFを出力する(ステップS106)。
【0072】
次に、ステップS107に進み、制御装置105は、ステージ検出センサ95のOFFをトリガーとして、基板固定動作を実行する。具体的には、制御装置105は、第1基板CB1を支持しているステージ3REの基板固定装置20(図8、図9参照)及び第2基板CB2を支持しているステージ3FIの基板固定装置20を駆動して、第1基板CB1をステージ3REに、第2基板CB2をステージ3FIに固定する。ステップS107における基板固定動作は、ステージ3FI、3REに対して実行されるので、ステージ3FI、3REが停止した直後から、あるいは停止してから短い時間で電子部品の基板への搭載を開始できる。その結果、基板の搬送から電子部品の搭載が終了するまでの時間を短縮できる。このように、ステージ3FI、3REの移動中に基板固定動作を実行する場合、ステージ3FI、3REが停止する前に、基板固定動作が終了するようにすると、ステージ3FI、3REの停止直後から電子部品の搭載に移行できるので好ましい。なお、本実施形態は、ステージ3FI、3REが停止してから基板固定動作を実行する処理を除外するものではない。
【0073】
次に、ステップS108に進み、制御装置105は、ステージ検出センサ95がステージ3RI、3FEを検出してONを出力した場合、これをトリガーとしてステージ移動機構4I、4Eを停止する。次に、ステップS109に進み、制御装置105は、図1に示す部品搭載部102によってステージ3REに固定された第1基板CB1と、ステージ3FIに固定された第2基板CB2とに電子部品Aの搭載を開始する(図18参照)。この状態では、図18に示すように、ステージ3FIの第2基板CB2は前面側領域MAfで、ステージ3REの第1基板CB1は背面側領域MArで電子部品Aが搭載される。また、ステージ3RI、3FEは、中間領域MAmに移動している。
【0074】
次に、ステップS110へ進む。待機センサ92がONである場合、基板供給部1には中間領域MAmに移動してきたステージ3RI、3FEに対して搬送すべき基板が存在している。制御装置105は、待機センサ92がONであることを検出したら、ステップS110の処理を否定(No)へ分岐させる。この分岐処理によって、第1の生産モードはステップS102に戻る。ステップS102、ステップS103において、基板供給部1からは、ステージ3FEには第3基板CB3が、ステージ3RIには第4基板CB4が搬送される(図18参照)。この状態において、ステージ3FI、3REでは、すでに第2基板CB2、第1基板CB1に対して電子部品の搭載が開始されている。したがって、ステップS104において、制御装置105は、ステップS104の処理を否定(No)へ分岐させて、第1の生産モードをステップS111へ進める。
【0075】
ステップS111において、制御装置105は、基板固定動作を実行する。具体的には、制御装置105は、第3基板CB3を支持しているステージ3FEの基板固定装置20及び第4基板CB4を支持しているステージ3RIの基板固定装置20を駆動して、第3基板CB3をステージ3FEに、第4基板CB4をステージ3RIに固定する。そして、ステップS112へ進み、制御装置105は、第1基板CB1及び第2基板CB2に電子部品の搭載が終了したことを検出したら、第1の生産モードをステップS113に進める。ステップS113において、制御装置105は、ステージ移動機構4I、4Eを駆動して、第1ステージ段3I(ステージ3FI、3RI)と、第2ステージ段3E(ステージ3FE、3RE)とを、互いに逆方向に移動させる。ステップS113では、ステージ移動機構4I、4Eは、第2ステージ段3Eを前面側領域MAfに向かって移動させ(図18の矢印Fで示す方向)、第1ステージ段3Iを背面側領域MArに向かって移動させる(図18の矢印Rで示す方向)。これは、電子部品の搭載が終了した第1基板CB1及び第2基板CB2を、生産領域から搬出させるためである。
【0076】
ステージ3FI、3RE等が移動を開始すると、図10に示すステージ検出センサ95はステージ3FI、3REを検出しなくなるので、OFFを出力する(ステップS114)。次に、ステップS115に進み、制御装置105は、ステージ検出センサ95のOFFをトリガーとして、基板固定解除動作を実行する。具体的には、制御装置105は、第1基板CB1を支持しているステージ3REの基板固定装置20及び第2基板CB2を支持しているステージ3FIの基板固定装置20を駆動して、第1基板CB1のステージ3REに対する固定及び第2基板CB2のステージ3FIに対する固定を解除する。ステップS115における基板固定解除動作は、ステージ3FI、3REに対して実行される。このため、ステージ3FI、3REが停止した直後から、あるいは停止してから短い時間で、電子部品の搭載が終了した第1基板CB1及び第2基板CB2の基板搬出部2への搬送を開始できる。その結果、生産領域から基板搬出部2へ基板を搬送する時間を短縮できる。このように、ステージ3FI、3REの移動中に基板固定解除動作を実行する場合、ステージ3FI、3REが停止する前に、基板固定解除動作が終了するようにすると、生産時間の短縮を実現できる。また、このようにすると、ステージ3FI、3REの停止直後から基板の搬送に移行できるので好ましい。なお、本実施形態は、ステージ3FI、3REが停止してから基板固定解除動作を実行する処理を除外するものではない。
【0077】
次に、ステップS116に進み、制御装置105は、ステージ検出センサ95がステージ3FI、3REを検出してONを出力した場合、これをトリガーとしてステージ移動機構4I、4Eを停止する(図19参照)。次に、ステップS117に進み、制御装置105は、ステージ3FI、3REが備える基板支持搬送装置10を駆動して、第1基板CB1及び第2基板CB2を、ステージ3FI、3REから基板搬出部2へ搬送する。このとき、制御装置105は、搬送センサ94がONを出力したことをトリガーとして、基板搬出部2が備える基板支持搬送装置10を駆動する。
【0078】
次に、ステップS118へ進み、生産を終了するか否か、すなわち、電子部品を搭載する基板があるか否かが決定される。例えば、制御装置105は、すべてのステージ3FI、3RI、3FE、3RE及び基板供給部1に基板が存在しないことを検出した場合に、ステップS118の処理を肯定(Yes)へ分岐させて、第1の生産モードを終了させる。また、制御装置105は、電子部品を搭載中である基板を検出した場合に、ステップS118の処理を否定(No)へ分岐させて、第1の生産モードをステップS109へ進める。この場合、電子部品を搭載する基板が存在するため、生産が継続される。本例においては、図19に示す第1基板CB1及び第4基板CB4にはこれから電子部品Aを搭載するので、ステップS109からの処理が実行される。
【0079】
図19に示す例では、基板供給部1に第5基板CB5が存在している。このため、第1の生産モードがステップS109に戻った後のステップS110において、待機センサ92がONである。制御装置105は、待機センサ92がONである場合、基板供給部1には中間領域MAmに移動してきたステージ3FI、3REに対して搬送すべき基板が存在している。制御装置105は、待機センサ92がONであることを検出したら、ステップS110の処理を否定(No)へ分岐させる。この分岐処理によって、第1の生産モードはステップS102に戻る。ステップS102、ステップS103において、基板供給部1からは、ステージ3FIには第6基板CB6が、ステージ3REには第5基板CB5が搬送される(図20参照)。以後の処理は上述した通りである。
【0080】
第1の生産モードがステップS109に戻った後のステップS110において、基板供給部1に基板が存在しない、すなわち、待機センサ92がOFFである場合、制御装置105は、ステップS110の処理を肯定(Yes)へ分岐させる。そして、この時点でステージ3FI、3RI、3FE、3FRに存在するすべての基板に対する電子部品の搭載が終了するまで、ステップS109〜ステップS118が繰り返される。
【0081】
上述したように、本実施形態の電子部品実装装置100は、Y方向に配列された少なくとも2つのステージ3FI、3RI等がY方向に移動して、基板供給部1から基板を受け取り、基板搬出部2に基板を搬送する。このため、基板供給部1及び基板搬出部2は、基板の受け渡しにあたってY方向に配列されたステージ3FI、3RI等まで移動する必要はない。その結果、基板供給部1からステージ3FI、3RI等に基板を受け渡す場合又はステージ3FI、3RI等から基板搬出部2へ基板を受け渡す場合のいずれにおいても、基板供給部1及び基板搬出部2が停止することはないので、これらの停止に起因して発生する、基板を搬送する時間の増加を抑制できる。特に、第1の生産モードのように、X方向に配列された複数のステージ3FI、3FR等をそれぞれ用いる場合には、基板を搬送する時間の増加を抑制できる効果は非常に大きくなる。
【0082】
また、第1の生産モードでは、このようにすると、隣接するステージ段を反対方向に移動させることで、生産領域を部品供給部に近づけることができる。具体的には、図18に示すように、前面側領域MAfと背面側領域MArとにそれぞれステージ3FIとステージ3REとが配置される。前面側領域MAfは部品供給部103Fに隣接し、背面側領域MArは部品供給部103Rに隣接している。このため、図1に示すヘッド6Fは前面側領域MAfに配置されたステージ3FIの基板に対して電子部品を搭載し、ヘッド6Rは背面側領域MArに配置されたステージ3REの基板に対して電子部品を搭載することができる。また、ヘッド6F、6Rは、より近い位置の部品供給部103F、103Rから基板に搭載する電子部品の供給を受けることができるので、電子部品を基板に搭載する時間を短縮することができる。
【0083】
図21〜図23は、第1の生産モードの変形例を示す説明図である。本変形例は、図18に示す状態、すなわち、第1基板CB1及び第2基板CB2に電子部品Aが搭載された後、図21に示すように、これらを基板搬出部2へ搬送しないで、第3基板CB3及び第4基板CB4に電子部品を搭載する。そして、第3基板CB3及び第4基板CB4に電子部品が搭載されたら、これらを基板搬出部2へ搬送する。同時に、基板供給部1から、第5基板CB5、第6基板をステージ3FE、3RIに搬送する。次に、図21に示すように、制御装置105は、ステージ移動機構4I、4Eを駆動して、第5基板CB5、第6基板CB6が搬送されたステージ3FE、3RIを互いに逆方向に移動させる。図21に示す例では、ステージ移動機構4I、4Eは、第1ステージ段3I(ステージ3FI、3RI)を背面側領域MArに向かって移動させ、第2ステージ段3E(ステージ3FE、3RE)を前面側領域MAfに向かって移動させる。この移動が終了したら、ステージ3FEが支持する第5基板CB5及びステージ3RIが支持する第6基板CB6は、電子部品の搭載が開始される。
【0084】
上述した処理により、ステージ3FI、3REは、中間領域MAmに移動する。この状態で、図22に示すように、電子部品の搭載が終了した第1基板CB1及び第2基板CB2は、ステージ3RE、3FIから基板搬出部2へ搬送される。同時に、図23に示すように、基板供給部1からは、第7基板CB7、第8基板CB8が、それぞれステージ3RE、3FIに搬送される。以後、上述した手順を繰り返して、基板に電子部品が搭載される。
【0085】
この変形例は、すべてのステージ3FI、3RI、3FE、3REに基板を支持させた後、すべての基板への電子部品の搭載が終了してから、すべての基板を基板搬出部2へ搬送する。このような処理によっても、基板供給部1からステージ3FI、3RI等に基板を受け渡す場合又はステージ3FI、3RI等から基板搬出部2へ基板を受け渡す場合のいずれにおいても、基板供給部1及び基板搬出部2が停止することはない。その結果、これらの停止に起因して発生する基板を搬送する時間の増加を抑制できる。
【0086】
図24は、基板供給部と基板搬出部とが移動し、基板に電子部品を搭載する際に前記基板を保持するステージを固定した電子部品実装装置を示す模式図である。この電子部品実装装置200は、上述した特許文献1に記載された電子部品実装装置において、本実施形態の電子部品実装装置100のステージ3に相当する位置決め部を4個にしたものである。電子部品実装装置200は、4個の固定ステージ203FI、203RI、203FE、203REを有するとともに、基板供給部201と基板搬出部202とがY方向の第1位置Mfと第2位置Mrへ移動するものである。
【0087】
4枚の基板CBに電子部品を実装する場合、本実施形態の電子部品実装装置100が要する基板の搬送及びステージの移動に要する工程は、
(1)第1基板CB1と第2基板CB2とをステージ3RE、3FIに搬送する工程
(2)第1ステージ段3Iと第2ステージ段3Eとを互いに逆方向に移動させる工程
(3)第3基板CB3と第4基板CB4とをステージ3FE、3RIに搬送する工程
(4)第1ステージ段3Iと第2ステージ段3Eとを互いに逆方向に移動させる工程
(5)電子部品を搭載した第1基板CB1と第2基板CB2とを基板搬出部2へ搬送する工程
(6)第3基板CB3と第4基板CB4とに電子部品を搭載した後、第1ステージ段3Iと第2ステージ段3Eとを互いに逆方向に移動させる工程
(7)第3基板CB3と第4基板CB4とを基板搬出部2へ搬送する工程
の計7工程が必要になる。
【0088】
これに対して電子部品実装装置200は、4枚の基板CBに電子部品を実装する場合、
(1)基板供給部201から2枚の基板CBがステージ203FE、203FIに搬送されるとともに、基板供給部201が一枚の基板CBを受け取る工程
(2)基板供給部201が第1位置Mfから第2位置Mrへ移動する工程
(3)基板供給部201から一枚の基板CBがステージ203REへ搬送される工程
(4)基板供給部201が第2位置Mrから第1位置Mfへ移動する工程
(5)基板供給部201が一枚の基板CBを受け取る工程
(6)基板供給部201が第1位置Mfから第2位置Mrへ移動する工程
(7)基板供給部201から一枚の基板CBがステージ203RIへ搬送される工程
(8)2枚の基板CBがステージ203FE、203FIから基板搬出部202へ搬送される工程
(9)基板搬出部202が第1位置Mfから第2位置Mrへ移動する工程
(10)一枚の基板CBがステージ203REから基板搬出部202へ搬送される工程
(11)基板搬出部202が第2位置Mrから第1位置Mfへ移動する工程
(12)基板搬出部202が一枚の基板CBを搬出する工程
(13)基板搬出部202が第1位置Mfから第2位置Mrへ移動する工程
(14)一枚の基板CBがステージ203RIから基板搬出部202へ搬送される工程
(15)基板搬出部202が第2位置Mrから第1位置Mfへ移動する工程
の計15工程が必要になる。
【0089】
電子部品実装装置200(すなわち特許文献1の電子部品実装装置)は、基板供給部201及び基板搬出部202が基板CBの搬送において一度停止する。このため、電子部品実装装置200は、同じ数の基板CBに電子部品を搭載する場合には、本実施形態に係る電子部品実装装置100と比較して、倍以上の工程が必要になる。このように、電子部品実装装置100は、特許文献1に記載された電子部品実装装置と比較して、大幅に生産性を向上させることができる。次に、第2の生産モードを説明する。
【0090】
(第2の生産モード)
図25は、本実施形態に係る電子部品実装装置が基板に電子部品を搭載する際における第2の生産モードの手順を示すフローチャートである。図26〜図30は、それぞれ第2の生産モードの説明図である。第2の生産モードは、図1に示す電子部品実装装置100のステージ移動機構4I、4Eが、隣接する少なくとも2つのステージの段(図26に示す例では、第1ステージ段3Iと第2ステージ段3E)を同じ方向に連動して移動させて、基板に電子部品を搭載するものである。図26に示すように、第1ステージ段3Iは、Y軸方向に隣接するステージ3FI、3RIであり、第2ステージ段3Eは、Y軸方向に隣接するステージ3FE、3REである。第2の生産モードは、1つのステージ3FI等では支持できない程度の大きさの基板を、隣接する2つのステージ3FI、3FE又は隣接する2つのステージ3RI、3REで支持して、電子部品を搭載するものである。
【0091】
電子部品実装装置100が第2の生産モードにより基板に電子部品を搭載する場合、作業者は、図1に示す入力装置105Cの第2の生産モードによる生産を開始させるためのスタートボタンを押す。入力装置105Cから、第2の生産モードによる生産開始の信号を受信した制御装置105は、図3に示すステージ移動機構4I、4Eを駆動して、ステージ3FI、3RI、3FE、3REを第2の生産モードにおける初期位置へ移動させる(ステップS201)。この移動において、ステージ移動機構4I、4Eは、第1ステージ段3I及び第2ステージ段3Eの両方を背面側領域MArに向かって移動させる。すなわち、第1ステージ段3Iと第2ステージ段3Eとは、互いに同じ方向に移動する。また、図26に示すように、ステージ3FIとステージ3FEとが中間領域MAmに、ステージ3RIとステージ3REとが背面側領域MArに存在する状態が、ステップS201における初期位置の状態である。
【0092】
次に、ステップS202へ進み、制御装置105は、基板供給部1から1枚の基板(第1基板CB1)を、中間領域MAmに存在するステージ3FIとステージ3FEとに搬送する。この場合、制御装置105は、基板供給部1の搬入センサ90がONであることをトリガーとして基板供給部1の基板支持搬送装置10を駆動する。そして、制御装置105は、待機センサ92がONであることをトリガーとしてそれぞれのステージ3FI、3FEが有する基板支持搬送装置10を駆動する。制御装置105は、基板搬出部2に近い方のステージ3FEの停止センサ93がONであることをトリガーとして、それぞれのステージ3FI、3REが有する基板支持搬送装置10を停止する(ステップS203)。このような処理によって、図27に示すように、ステージ3FIとステージ3FEとで、1つのステージでは支持できない大きさの第1基板CB1を搭載して支持する。なお、基板供給部1には、第2基板CB2が搬送されている。
【0093】
次に、ステップS204に進み、いずれかのステージに電子部品を搭載中、すなわち実装中の基板が存在するか否かが判定される。制御装置105は、いずれのステージでも、ヘッド6F、6Rが電子部品を基板に搭載していないことを検出した場合に、ステップS204の処理を肯定(Yes)へ分岐させて、第2の生産モードをステップS205へ進める。
【0094】
ステップS205において、制御装置105は、ステージ移動機構4I、4Eを駆動して、第1ステージ段3I(ステージ3FI、3RI)と、第2ステージ段3E(ステージ3FE、3RE)とを、互いに同じ方向に移動させる。この例では、図27に示すように、ステージ移動機構4I、4Eは、第1ステージ段3I及び第2ステージ段3Eを前面側領域MAfに向かって移動させる(図27の矢印Fで示す方向)。ステージ3FI、3FE等が移動を開始すると、ステージ検出センサ95はステージ3FI、3REを検出しなくなるので、OFFを出力する(ステップS206)。
【0095】
次に、ステップS207に進み、制御装置105は、ステージ検出センサ95のOFFをトリガーとして、基板固定動作を実行する。具体的には、制御装置105は、第1基板CB1を支持しているステージ3FI、3FEの基板固定装置20を駆動して、第1基板CB1をステージ3FI、3FEに固定する。ステップS207における基板固定動作は、ステージ3FI、3FEに対して実行されるので、ステージ3FI、3FEが停止した直後から、あるいは停止してから短い時間で電子部品の基板への搭載を開始できる。その結果、基板の搬送から電子部品の搭載が終了するまでの時間を短縮できる。このように、ステージ3FI、3FEの移動中に基板固定動作を実行する場合、ステージ3FI、3FEが停止する前に、基板固定動作が終了するようにすると、ステージ3FI、3FEの停止直後から電子部品の搭載に移行できるので好ましい。なお、本実施形態は、ステージ3FI、3FEが停止してから基板固定動作を実行する処理を除外するものではない。
【0096】
次に、ステップS208に進み、制御装置105は、ステージ検出センサ95がステージ3RI、3REを検出してONを出力した場合、これをトリガーとしてステージ移動機構4I、4Eを停止する。次に、ステップS209に進み、制御装置105は、部品搭載部102によってステージ3FI、3FEに固定された第1基板CB1に電子部品Aの搭載を開始する。
【0097】
次に、ステップS210へ進む。待機センサ92がONである場合、基板供給部1には中間領域MAmに移動してきたステージ3RI、3REに対して搬送すべき基板が存在している。制御装置105は、待機センサ92がONであることを検出したら、ステップS210の処理を否定(No)へ分岐させる。この分岐処理によって、第2の生産モードはステップS202に戻る。ステップS202、ステップS203において、基板供給部1からは、ステージ3RI及びステージ3REに第2基板CB2が搬送される(図28参照)。この状態において、ステージ3FI、3FEでは、すでに第1基板CB1に対して電子部品の搭載が開始されている。したがって、ステップS204において、制御装置105は、ステップS204の処理を否定(No)へ分岐させて、第2の生産モードをステップS211へ進める。
【0098】
ステップS211において、制御装置105は、基板固定動作を実行する。具体的には、制御装置105は、第2基板CB2を支持しているステージ3RI、3REの基板固定装置20を駆動して、第2基板CB2をステージ3RI、3REに固定する。そして、ステップS212へ進み、制御装置105は、第1基板CB1に電子部品の搭載が終了したことを検出したら、第2の生産モードをステップS213に進める。ステップS213において、制御装置105は、ステージ移動機構4I、4Eを駆動して、第1ステージ段3Iと、第2ステージ段3Eとを、互いに同じ方向に移動させる。ステップS213では、ステージ移動機構4I、4Eは、第1ステージ段3I及び第2ステージ段3E背面側領域MArに向かって移動させる(図28の矢印Rで示す方向)。これは、電子部品の搭載が終了した第1基板CB1を、生産領域から搬出させるためである。
【0099】
ステージ3FI、3RE等が移動を開始すると、ステージ検出センサ95はステージ3RI、3REを検出しなくなるので、OFFを出力する(ステップS214)。次に、ステップS215に進み、制御装置105は、ステージ検出センサ95のOFFをトリガーとして、基板固定解除動作を実行する。具体的には、制御装置105は、第1基板CB1を支持しているステージ3FI、3FEの基板固定装置20を駆動して、第1基板CB1のステージ3FI、3FEに対する固定を解除する。ステップS215における基板固定解除動作は、ステージ3FI、3FEに対して実行される。このため、ステージ3FI、3FEが停止した直後から、あるいは停止してから短い時間で、電子部品の搭載が終了した第1基板CB1の基板搬出部2への搬送を開始できる。その結果、生産領域から基板搬出部2へ基板を搬送する時間を短縮できる。このように、ステージ3FI、3FEの移動中に基板固定解除動作を実行する場合、ステージ3FI、3FEが停止する前に、基板固定解除動作が終了するようにすると、生産時間の短縮を実現できる。また、このようにすると、ステージ3FI、3FEの停止直後から電子部品の搭載に移行できるので好ましい。なお、本実施形態は、ステージ3FI、3FEが停止してから基板固定解除動作を実行する処理を除外するものではない。
【0100】
次に、ステップS216に進み、制御装置105は、ステージ検出センサ95がステージ3FI、3REを検出してONを出力した場合、これをトリガーとしてステージ移動機構4I、4Eを停止する(図29参照)。次に、ステップS217に進み、制御装置105は、ステージ3FI、3FEが備える基板支持搬送装置10を駆動して、第1基板CB1及び第2基板CB2を、ステージ3FI、3REから基板搬出部2へ搬送する。このとき、制御装置105は、ステージ3FEの搬送センサ94がONを出力したことをトリガーとして、基板搬出部2が備える基板支持搬送装置10を駆動する。
【0101】
次に、ステップS218へ進み、生産を終了するか否か、すなわち、電子部品を搭載する基板があるか否かが決定される。例えば、制御装置105は、すべてのステージ3FI、3RI、3FE、3RE及び基板供給部1に基板が存在しないことを検出した場合に、ステップS218の処理を肯定(Yes)へ分岐させて、第2の生産モードを終了させる。また、制御装置105は、電子部品の搭載中又はこれから電子部品を搭載する基板を検出した場合に、ステップS218の処理を否定(No)へ分岐させて、第2の生産モードをステップS209へ進める。この場合、電子部品を搭載する基板が存在するため、生産が継続される。本例においては、図29に示す第2基板CB2にはこれから電子部品Aを搭載するので、ステップS209からの処理が実行される。ステップS209において、制御装置105は、背面側領域MArで第2基板CB2に電子部品を搭載させる。
【0102】
図29に示す例では、基板供給部1に第3基板CB3が存在している。このため、第2の生産モードがステップS209に戻った後のステップS210において、待機センサ92がONである。制御装置105は、待機センサ92がONである場合、基板供給部1には中間領域MAmに存在するステージ3FI、3FEに対して搬送すべき基板が存在している。制御装置105は、待機センサ92がONであることを検出したら、ステップS210の処理を否定(No)へ分岐させる。この分岐処理によって、第2の生産モードはステップS202に戻る。ステップS202、ステップS203において、基板供給部1からは、ステージ3FI、3FEに第3基板CB3が搬送される(図30参照)。以後の処理は上述した通りである。
【0103】
第2の生産モードがステップS209に戻った後のステップS210において、基板供給部1に基板が存在しない、すなわち、待機センサ92がOFFである場合、制御装置105は、ステップS210の処理を肯定(Yes)へ分岐させる。そして、この時点でステージ3FI、3RI、3FE、3FRに存在するすべての基板に対する電子部品の搭載が終了するまで、ステップS209〜ステップS218が繰り返される。
【0104】
第2の生産モードは、基板が搬送される方向、すなわちX方向に向かって複数のステージ段を配列するともに、隣接するステージ段同士を同じ方向に連動して移動させる。このような処理によって、1つのステージに搭載できない寸法の基板であっても、電子部品実装装置100を用いて電子部品を搭載できる。
【0105】
図31〜図33は、それぞれ第2の生産モードの変形例を示す説明図である。本変形例は、図28に示す状態において、第1基板CB1及び第2基板CB2の両方に電子部品を搭載する。そして、第1基板CB1及び第2基板CB2の両方に電子部品を搭載したら、図31に示すように、ステージ3RI、3REから第2基板CB2を基板搬出部2に搬送するとともに、基板供給部1からステージ3RI、3REに第3基板CB3を搬送する。次に、図32に示すように、ステージ3FI、3FEが移動する(図32の矢印R方向)。そして、ステージ3FI、3FEから第1基板CB1を基板搬出部2に搬送するとともに、基板供給部1からステージ3FI、3FEに第4基板CB4を搬送する。そして、図33に示す状態で、第3基板CB3及び第4基板CB4の両方に電子部品を搭載する。次に部品を搭載する基板がある場合、現在第4基板CB4を支持しているステージ3FI、3FEから電子部品が搭載された第4基板CB4を基板搬出部2へ搬送するとともに、次の基板を基板供給部1からステージ3FI、3FEへ搬送する。
【0106】
このような処理によっても、基板供給部1からステージ3FI、3FE等に基板を受け渡す場合又はステージ3FI、3FE等から基板搬出部2へ基板を受け渡す場合のいずれにおいても、基板供給部1及び基板搬出部2が停止することはない。その結果、これらの停止に起因して発生する、基板を搬送する時間の増加を抑制できる。
【0107】
以上、本実施形態では、ステージがY方向に配列され、かつY方向に移動することにより、基板供給部及び基板搬出部は移動する必要がない。このため、これらがステージの位置に移動した後、基板を受け渡しする前の停止を回避できるので、前記停止に起因して発生する、基板を搬送する際における時間の増加を抑制できる。また、本実施形態では、ステージの移動中に、基板をステージに固定したり、ステージに対する基板の固定を解除したりする。このような処理によって、基板を搬送する際における時間の増加をさらに抑制できる。また、本実施形態では、隣接したステージ段同士を互いに反対方向に移動させることにより、ヘッドの移動距離を最小限にして基板に電子部品を搭載する時間を短縮できる。また、本実施形態では、隣接したステージ段同士を互いに同じ方向に連動して移動させることにより、1つのステージには搭載できなかった寸法の基板であっても搭載することができる。その結果、基板に電子部品を搭載する際の自由度が向上するので、様々な生産計画に対しても柔軟に対応できる。
【産業上の利用可能性】
【0108】
以上のように、本発明に係る電子部品実装装置は、電子部品を基板に搭載する際において、基板を搬送する時間の増加を抑制することに有用である。
【符号の説明】
【0109】
1、201 基板供給部
2、202 基板搬出部
3、3FI、3RI、3FE、3RE ステージ
3I 第1ステージ段
3E 第2ステージ段
4E、4I ステージ移動機構
5 ヘッド移動装置
6F、6R ヘッド
8 部品供給装置
10 基板支持搬送装置
11 搬送ベルト
12 基板支持部材
12S 搬送ベルト支持部
13 搬送用電動機
20 基板固定装置
23 基板固定用電動機
30 枠部材
31 滑り軸受
32 ナット
34 基板押さえ部材
40 電動機
43E、43I ガイドレール
50F、50R X方向移動装置
54E、54I Y方向移動装置
64 基板認識カメラ
65 レーザアラインセンサ
83 部品認識カメラ
100、200 電子部品実装装置
101 基板搬送部
102 部品搭載部
103、103F、103R 部品供給部
104 制御部
105 制御装置
106 演算部
107 記憶部
108 基板認識カメラ制御部
109 部品認識カメラ制御部
110 情報検出部
111 ヘッド位置制御部
112 レーザ制御部
113 ヘッド制御部
114 基板搬送制御部
115 XY制御部
116 基板固定用モータドライバ
117 基板搬送用モータドライバ
118 ステージ移動用モータドライバ
119 サーボアンプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に電子部品を実装する電子部品実装装置において、
前記基板を支持する支持部及び前記支持部への前記基板の搬入と前記支持部からの前記基板の搬出とを行う基板搬送機構を含み、前記基板搬送機構が前記基板を搬送する方向と直交する方向に配列された少なくとも2つのステージと、
前記少なくとも2つのステージを、前記基板搬送機構が前記基板を搬送する方向と直交する方向に移動させるステージ移動機構と、
前記ステージが支持する前記基板に前記電子部品を搭載するヘッドと、
を含み、
前記少なくとも2つのステージ及びこれらを移動させる前記ステージ移動機構を含むステージ段を、前記基板が搬送される方向に向かって少なくとも2段有することを特徴とする電子部品実装装置。
【請求項2】
前記ヘッドは少なくとも2つである請求項1に記載の電子部品実装装置。
【請求項3】
前記ステージは、前記支持部に前記基板を固定又は前記固定の解除を行う基板固定・解除機構を有し、
前記基板固定・解除機構は、前記ステージが移動している最中に、前記基板の固定又は前記固定の解除を行う請求項1又は2に記載の電子部品実装装置。
【請求項4】
前記ステージ移動機構は、前記少なくとも2つのステージを連動して移動させる請求項1から3のいずれか1項に記載の電子部品実装装置。
【請求項5】
前記基板が搬送される方向と直交する方向における、前記少なくとも2つのステージの両側には、前記基板に前記電子部品を搭載するヘッドに前記電子部品を供給する部品供給部がそれぞれ配置される請求項1から4のいずれか1項に記載の電子部品実装装置。
【請求項6】
それぞれの前記ステージ移動機構は、
隣接する前記ステージ段同士を互いに反対方向に移動させる第1の生産モードと、隣接する前記ステージ段同士を同じ方向に連動して移動させる第2の生産モードとを有する請求項1から5のいずれか1項に記載の電子部品実装装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【公開番号】特開2012−129254(P2012−129254A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−277432(P2010−277432)
【出願日】平成22年12月13日(2010.12.13)
【出願人】(000003399)JUKI株式会社 (1,557)
【Fターム(参考)】