説明

電子部品装着装置

【課題】電子部品供給装置の頭出し動作を行ったとき等の作業者のピッチ送りの作業を軽減することができ、また、部品取出しミスを回避して吸着率を維持する。
【解決手段】ポケット認識が実行されCPUは認識結果の判定を行う。この認識結果の判定において、ポケットの位置と吸着位置との距離(ずれ)が、判定距離以上であり、ピッチ送りの修復条件を満たしているときには、CPUは吸着対象部品供給ユニットに最小ピッチ送りの信号を出力し、部品供給ユニットは最小ピッチでテープを送り、自動的にピッチ送りの修復を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品を部品供給装置より取出し、位置決めされたプリント基板上に装着する電子部品装着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の電子部品装着装置は、例えば、特許文献1などに開示されている。一般に、電子部品を供給するテープには、送り出し方向に間隔を存して並んで形成されたそれぞれの収納部に電子部品を収納している。そして、テープが巻かれた新しいリールの最初の部分には電子部品が収納されていない。このため、部品供給が終わったリールを電子部品供給装置から取り外し、新しいリールのテープをセットした電子部品供給装置を電子部品装着装置に取り付けた後、或いは、新しいリールのテープをセットした電子部品供給装置を搭載したカートを電子部品装着装置に接続した後、テープからの電子部品の取り出しを開始するときに、取り出し異常が発生しないように、予め、作業者が電子部品供給装置に設けられているテープ送り動作ボタンを操作し、テープをそのテープの部品収納部の間隔である1ピッチずつ送ったり、又は、特許文献1に記載されているように、例えば、自動的にテープを1ピッチずつ送り、電子部品の頭出し動作を行っていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−12888号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述したように、作業者が電子部品供給装置に設けられているテープ送りボタンを操作し、電子部品供給装置を動作させ、テープを1ピッチずつ送ったとき、又は、特許文献1に記載されているように、自動的にテープを1ピッチずつ送り、電子部品の頭出し動作を行ったときの何れのときにも、例えば新しいテープの送りピッチ(例えば4mm)が取り替えられる前のテープの送りピッチ(例えば2mm)より大きい場合等には、送られて停止した新しいテープの部品収納部(以下、ポケットという。)の位置が基準の位置、即ち、電子部品の取出位置からずれる虞があった。そして、ずれていないか、作業者が目視で確認したり、カメラに撮像されたポケットをモニタに表示して確認する必要があり、作業が煩雑であった。また、ずれていた場合には、テープ送りボタンを操作してずれを補正することはできるが、作業は煩雑であり、特に微小部品については、目視が困難であり、電子部品の頭出し動作は難しかった。
【0005】
そして、頭出し動作の確認を行なわず、ポケットがずれていた場合には、ポケットから電子部品を例えば吸着して取出すとき、吸着ミスが発生する虞があり、吸着ミスの発生により電子部品の吸着率が低下するという問題も発生する。
【0006】
そこで、本発明は、電子部品供給装置の頭出し動作を行ったとき等の作業者の作業を軽減すること、また、部品取出しミスを回避して吸着率を維持することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このため第1の発明は、送り出し方向に間隔を存して並んで形成されたそれぞれの収納部に電子部品を収納したテープを設定ピッチで送り、電子部品を部品取出位置に送る電子部品供給装置を着脱自在に備え、取り付けられた前記電子部品供給装置のテープから電子部品を取出して移動しプリント基板上に装着する装着ヘッドを備えた電子部品装着装置において、前記部品取出位置の前記収納部を撮像するカメラと、前記電子部品供給装置を取り付けたとき、前記カメラが撮像した画像に基づいて前記収納部の位置を認識し、認識された前記収納部の位置が予め設定されている位置からずれていると判定された場合に、前記設定ピッチより小さい前記電子部品供給装置のピッチでテープ送りさせる制御装置とを備えたことを特徴とする。
【0008】
第2の発明は、送り出し方向に間隔を存して並んで形成されたそれぞれの収納部に電子部品を収納したテープを間欠的に送り電子部品を部品取出位置に送る電子部品供給装置を着脱自在に備え、取り付けられた前記電子部品供給装置のテープから電子部品を取出して移動しプリント基板上に装着する装着ヘッドを備えた電子部品装着装置において、前記部品取出位置の前記収納部を撮像するカメラと、前記電子部品供給装置を取り付けたとき、前記カメラが撮像した画像に基づいて前記収納部の位置を認識し、認識された前記収納部の位置が予め設定されている位置からずれていると判定された場合に、前記設定ピッチより小さい前記電子部品供給装置のピッチでテープ送りさせ、認識された前記収納部の位置が予め設定されている位置からずれていないと判定された場合に、テープ送り動作を停止させる制御装置とを備えたことを特徴とする。
【0009】
第3の発明は、送り出し方向に間隔を存して並んで形成されたそれぞれの収納部に電子部品を収納したテープを間欠的に送り電子部品を部品取出位置に送る電子部品供給装置を着脱自在に備え、取り付けられた前記電子部品供給装置のテープから電子部品を取出して移動しプリント基板上に装着する装着ヘッドを備えた電子部品装着装置において、前記部品取出位置の前記収納部を撮像するカメラと、前記電子部品供給装置を取り付けたとき、前記カメラが撮像した画像に基づいて前記収納部の位置を認識し、認識された前記収納部の位置が予め設定されている位置からずれていると判定された場合に、前記設定ピッチより小さい前記電子部品供給装置のピッチでテープ送りさせ、認識された前記収納部の位置が予め設定されている位置からずれていないと判定された場合に、前記装着ヘッドによる部品取り出し動作を開始させる制御装置とを備えたことを特徴とする。
【0010】
第4の発明は、送り出し方向に間隔を存して並んで形成されたそれぞれの収納部に電子部品を収納したテープを設定ピッチで送り、電子部品を部品取出位置に送る電子部品供給装置を着脱自在に備え、取り付けられた前記電子部品供給装置のテープから電子部品を取出部材により取出して移動しプリント基板上に装着する装着ヘッドを備えた電子部品装着装置において、前記取出部材により取り出された前記電子部品を撮像するカメラと、前記カメラが撮像した画像に基づいて取出部材に対する前記電子部品の位置を認識し、認識された前記電子部品の位置の予め設定されている位置からのずれ量が所定のずれ量より大きいと判定された場合に、前記設定ピッチより小さい前記電子部品供給装置のピッチでテープ送りさせる制御装置とを備えたことを特徴とする。
【0011】
第5の発明は、送り出し方向に間隔を存して並んで形成されたそれぞれの収納部に電子部品を収納したテープを設定ピッチで送りし、電子部品を部品取出位置に送る電子部品供給装置を着脱自在に備え、取り付けられた前記電子部品供給装置のテープから電子部品を取出部材により取出して移動しプリント基板上に装着する装着ヘッドを備えた電子部品装着装置において、前記取出部材により取り出された前記電子部品を撮像するカメラと、前記カメラが撮像した画像に基づいて取出部材に対する前記電子部品の位置を認識し、認識された前記電子部品の位置の予め設定されている位置からのずれ量が所定のずれ量より大きいと判定された場合に、前記設定ピッチより小さい前記電子部品供給装置の最小ピッチでテープ送りさせるとともに、前記テープを設定ピッチで送り、前記カメラが撮像した画像に基づいて取出部材に対する前記電子部品の位置を認識し、認識された前記電子部品の位置の予め設定されている位置からのずれ量が所定のずれ量より大きいと判定された場合に、電子部品装着装置の電子部品装着運転を停止させる制御装置とを備えたことを特徴とする。
【0012】
第6の発明は、請求項1、2、3、4または5に記載の電子部品装着装置において、前記設定ピッチより小さい前記電子部品供給装置のピッチは、前記設定ピッチを整数で除したピッチであることを特徴とする。
【0013】
第7の発明は、請求項1、2、3、4、または5に記載の電子部品装着装置において、前記設定ピッチより小さい前記電子部品供給装置のピッチは、前記電子部品供給装置によりピッチ送り可能な最小のピッチであることを特徴とする。
【0014】
第8の発明は、請求項1、2、3、4、5または6に記載の電子部品装着装置において、前記制御装置により電子部品装着運転が停止したときに、異常停止した旨を表示する表示装置を備えたことを特徴とする。
【0015】
第9の発明は、前記設定ピッチより小さい前記電子部品供給装置のピッチは、スプロケットの隣り合う歯の間隔を整数で割ったピッチもしくは整数倍のピッチであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、電子部品供給装置の頭出し動作を行ったとき等の作業者のピッチ送りの作業を軽減することができ、また、部品取出しミスを回避して吸着率を維持する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施の形態の電子部品装着装置の概略平面図である。
【図2】制御ブロック図である。
【図3】モニタの正面図である。
【図4】ポケット認識が可能な電子部品に対してのピッチ送り修正の制御を示すフローチャートである。
【図5】ピッチ送り修正前及び修正後の吸着位置付近のテープの説明図である。
【図6】撮像された部品取出口、テープ、ポケット及び電子部品48の画像の図である。
【図7】ポケット認識が不可能な部品に対してのピッチ送り修正の制御を示すフローチャートの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下図1乃至図3に基づいて、プリント基板上に電子部品を装着する電子部品装着装置について、第1の実施の形態を説明する。電子部品装着装置1には、プリント基板PをX方行に搬送する搬送装置2と、この搬送装置2の一方の側、即ち奥側(設置した装置では後側であり、図1においては上)に設けられ電子部品を供給する例えば複数の部品供給ユニット13を着脱自在に並べたカートなどの部品供給装置5と、搬送装置2の他方の側、即ち手前側(設置した装置では前側であり、図1においては下)に設けられ電子部品を供給する例えば複数の部品供給ユニット13を着脱自在に並べたカートなどの部品供給装置3と、駆動源により一方向に移動可能な一対のビーム7、8と、それぞれ吸着ノズルを備えて前記各ビーム7、8に沿った方向に各駆動源により移動可能な装着ヘッド10、11とが設けられている。
【0019】
部品供給装置3は電子部品装着装置1の本体に対して着脱自在であり、複数の部品供給ユニット13を搭載した部品供給装置3を電子部品装着装置1の本体に接続したときには、部品供給ユニット13に設けられた図示しないテープ送り駆動装置(モータ)及び制御装置が部品供給装置3を介して電子部品装着装置本体の電源及びCPU16に接続される。
【0020】
前記搬送装置2は電子部品装着装置1の中間部に配設され、上流側装置からプリント基板Pを受け継ぐ基板供給部と、前記各装着ヘッド10、11の各吸着ノズル101、111に吸着保持された電子部品を装着するために基板供給部から供給されたプリント基板Pを位置決め固定する位置決め部と、この位置決め部で電子部品が装着されたプリント基板Pを受け継いで下流側装置に搬送する排出部とから構成される。
【0021】
また、前記部品供給装置3、5はフィーダベース12を備え、それぞれのフィーダベース12の各レーンには複数の部品供給ユニット13が着脱自在に並べられており、種々の電子部品を夫々その部品取出し部(部品吸着位置)に1個ずつ供給する。
【0022】
X方向に長い前後一対の一方の側(部品供給装置5側)のビーム7と、他方の側(部品供給装置3側)のビーム8は、Y方向駆動モータである各Y方向リニアモータ9、99の駆動により左右一対の前後に延びたガイドに沿って前記各ビームに固定されたスライダが摺動して個別にY方向に移動する。前記Y方向リニアモータ9、99は、左右一対の基体1A、1Bに沿って固定された一対の固定子と、前記ビーム7、8の両端部に設けられた取付板の下部に固定された可動子9a、99aとから構成される。
【0023】
また、前記ビーム7、8にはその長手方向(X方向)にX方向駆動モータであるX方向リニアモータ23、223(図2参照)によりガイドに沿って移動する装着ヘッド10、11が夫々内側に設けられており、前記X方向リニアモータは各ビーム7、8に固定された前後一対の固定子と、各固定子の間に位置して前記装着ヘッド10、11に設けられた可動子とから構成される。
【0024】
従って、各装着ヘッド10、11は向き合うように各ビーム7、8の内側に設けられ、前記搬送装置2の位置決め部上のプリント基板Pや部品供給装置3、5の部品供給ユニット(電子部品供給装置)13の部品取出し位置上方を移動する。
【0025】
そして、各装着ヘッド10、11には例えば4本の各バネにより下方へ付勢されている吸着ノズル101、111が円周上に所定間隔を存して配設されており、各装着ヘッド10、11の3時と9時の位置に位置する吸着ノズルにより並設された複数の部品供給ユニット13から電子部品を同時に取出しすることも可能である。この吸着ノズルは上下軸モータ25、225(図2参照)により昇降可能であり、またθ軸モータ26、226(図2参照)により装着ヘッド10、11を鉛直軸周りに回転させることにより、結果として各装着ヘッド10、11の各吸着ノズル5はX方向及びY方向に移動可能であり、垂直線回りに回転可能で、且つ上下動可能となっている。
【0026】
また、各装着ヘッド10、11には基板認識カメラ14、14が設けられ、位置決めされているプリント基板Pに付された位置決めマークを撮像する。また、部品認識カメラ15で、各吸着ノズルに吸着保持された電子部品を一括して撮像する。
【0027】
更に、電子部品装着装置1の前後には、操作画面等を表示するモニタ20、201が設けられている。これらのモニタ20、201には、入力手段としてのタッチパネルスイッチ21、211(図2参照)及び操作パネル31、32が設けられている。
【0028】
操作パネル31、32は同様に構成され、図3に示したようにモニタ20の下部に設けられ、操作パネル31には、左側から右側に間隔を存して部品供給ユニット準備(FEEDER READY)ボタン51、電源(POWER)ボタン52、スタート(START)ボタン53、停止(STOP)ボタン54及び操作パネル指定(PANEL)ボタン55が配置されている。
【0029】
各ボタン51乃至55はそれぞれ着色されたカバー61乃至65と各カバーの内側に設けられた例えば発光素子(LED)等の発光体71乃至75等から構成されている。
【0030】
部品供給ユニット準備ボタン51は部品供給ユニット13を交換するときに作業者によって押され、押すことによって部品供給ユニット3のロック状態が解除され、交換が可能になる。また、電源ボタン52は電源を投入する或いは遮断するときに押され、スタートスイッチ53は電源投入後、装置の運転をスタートするときに押される。また、停止スイッチ54は運転している装置を停止するときに押される。更に、操作パネル指定ボタン55は作業者によって操作されるタッチパネルスイッチ21、211を指定するときに押され、タッチパネルスイッチ21、211のうち、操作パネル指定ボタン55が押された一方のタッチパネルスイッチのスイッチのみが作業者の操作を受け付け、他方のモニタのタッチパネルスイッチのスイッチの操作は受け付けない。
【0031】
図2は電子部品装着装置1の電子部品装着に係る制御のための制御ブロックであり、以下説明する。電子部品装着装置1の各要素は制御装置であるCPU(セントラル・プロセッシング・ユニット)16が統括制御しており、この制御に係るプログラムを格納するROM(リ−ド・オンリー・メモリ)36及び各種データを格納するRAM(ランダム・アクセス・メモリ)17がバスライン18を介して接続されている。また、CPU16にはモニタ20、201及びタッチパネルスイッチ21、211がインターフェース22を介して接続されている。また、前記Y方向リニアモータ9等が駆動回路24、インターフェース22を介して前記CPU16に接続されている。
【0032】
前記RAM17には、生産するプリント基板Pの種類(基板種)毎にNCデータが格納されているが、このNCデータはオペレーションデータ、段取りデータ、装着データ等から構成される。前記オペーレーションデータはNCデータ名であるコメント、プリント基板のX方向及びY方向のサイズ、プリント基板の厚み、先付部品の有無、先付部品の高さ、基板仕上げモードから構成される。また、RAM17には、生産する異なる複数の基板種のプリント基板に電子部品を供給する部品供給ユニット13を極力載置し、生産する基板種が変った場合でも、部品供給装置3、5の部品供給ユニット13の交換作業を極力回避するように予め設定した部品配置データが格納されている。
【0033】
また、前記RAM17には、形状データ・認識データ・制御データ・部品供給データから構成して各電子部品の特徴を表す部品ライブラリデータ等も格納されている。
【0034】
また、CPU16にはスタートボタン53が押されてからの時間をカウントするタイマ33が接続されている。
【0035】
27はインターフェース22を介して前記CPU16に接続される認識処理装置で、前記基板認識カメラ14や部品認識カメラ15により撮像して取込まれた画像の認識処理が認識処理装置27にて行われ、CPU16に処理結果が送られる。即ち、CPU16は基板認識カメラ14や部品認識カメラ15により撮像された画像を認識処理(位置ずれ量の算出など)するように指示を認識処理装置27に出力すると共に、認識処理結果を認識処理装置27から受取るものである。
【0036】
以上の構成により、以下、電子部品装着装置の動作について説明する。
プリント基板Pが上流側装置(図示せず)より受継がれて搬送装置2の供給部上に存在すると、供給部上のプリント基板Pを位置決め部へ移動させ、このプリント基板Pの平面方向及び上下方向における位置決めがなされて固定する。
【0037】
そして、プリント基板Pの位置決めがされると、奥側のビーム7がY方向リニアモータ9の駆動により前後に延びたガイドに沿ってスライダが摺動してY方向に移動すると共にX方向リニアモータ23により装着ヘッド10がX方向に移動し、部品供給ユニット13の部品取出し位置上方まで移動して上下軸モータの駆動により吸着ノズル101を下降させて部品供給ユニット13から電子部品を取り出す。この場合、装着ヘッド10をX方向に移動させると共に回転させ、更に吸着ノズル101を昇降させることにより、複数の吸着ノズル101がトレイ4から電子部品を取り出すことができる。また、奥側のビーム7と同様に、手前側のビーム8がY方向リニアモータの駆動により前後に延びたガイドに沿ってY方向に移動すると共にX方向リニアモータにより装着ヘッド11がX方向に移動し、部品供給ユニット13の部品取出し位置上方まで移動して上下軸モータの駆動により吸着ノズル111を下降させて部品供給ユニット13から電子部品を取り出す。この場合、装着ヘッド11をX方向に移動させると共に回転させ、更に吸着ノズル111を昇降させることにより、複数の吸着ノズル111が部品供給ユニット13から電子部品を取り出すことができる。
【0038】
即ち、初めに、装着データの例えばステップに従って、部品供給装置5の部品供給ユニット13から奥側のビーム7に設けられた装着ヘッド10により4個の電子部品が順に取出されると同時に、部品供給装置3の部品供給ユニット13から手前側のビーム8に設けられた装着ヘッド11により4個の電子部品が順に取出される。即ち、奥側のビーム7に設けられた装着ヘッド10の4本の吸着ノズル101が部品供給ユニット13から電子部品を順番に取り出すと同時に、手前側のビーム8に設けられた装着ヘッド11の4本の吸着ノズル111が部品供給ユニット13から電子部品を取り出すというように、それぞれの装着ヘッド10、11が対応するステップに従って4個の電子部品を吸着して取り出す。このとき、手前側の装着ヘッド11による部品吸着の開始と奥側の装着ヘッド10による部品吸着の開始とが、また手前側の装着ヘッド11による全ての部品の吸着の終了と奥側の装着ヘッド10による全ての部品の吸着の終了とがずれるときもある。
【0039】
また、この取出した後は、両装着ヘッド10、11の吸着ノズル101、111を上昇させて、装着ヘッド10、11を部品認識カメラ15上方を通過させ、この移動中に両装着ヘッド10、11の4本の吸着ノズル101、111に吸着保持されたそれぞれ4個の電子部品を一括して撮像して、この撮像された画像を認識処理装置27が認識処理して各吸着ノズル101、111に対する電子部品の位置ずれを把握する。
【0040】
その後、両ビーム7、8の装着ヘッド10、11に設けられた基板認識カメラ8を各プリント基板P上方へ移動させて、搬送装置2上で位置決めされているプリント基板Pに付された位置決めマークを撮像し、この撮像された画像を認識処理装置27が認識処理して各プリント基板Pの位置を把握する。そして、装着データの装着座標にそれぞれのプリント基板Pの位置認識結果及び各部品認識処理結果を加味して、各吸着ノズル101、111が位置ずれを補正しつつ、それぞれ電子部品を各プリント基板P上に装着する。
【0041】
上述したように、電子部品をプリント基板P上に装着しているとき、部品供給装置3の部品供給ユニット13に部品切れが発生したときには、CPU16が動作して部品切れが発生したことがモニタ20、201に表示され、また、電子部品装着装置1に設けられた図示しない表示灯などの表示装置が点滅し、作業者に報知する。また、CPU16が動作し、Y方向リニアモータ9、99、X方向リニアモータ23、223等のモータが停止し、電子部品の装着運転が停止する。そして、作業者がモニタ20或いはモニタ201のフィーダ準備ボタン51を押すと、点灯していた発光体71が消灯し、フィーダ準備ボタン51は消灯する。また、部品供給ユニット13が交換可能になり、作業者は、部品切れが発生した部品供給ユニット13を交換する。
【0042】
交換作業の終了後、まず、作業者がフィーダ準備ボタン51を押すと、発光体71が点灯し、フィーダ準備ボタン51は点灯する。次に、作業者がスタートボタン53を押すと、電子部品の装着運転が開始する。
【0043】
以下、部品供給ユニット13が交換された後であり、部品供給ユニット13からの電子部品の取出し動作が開始される前に行われる電子部品の自動頭出動作について、図4のフローチャートに基づいて説明する。
【0044】
CPU16では、部品供給ユニット13からの電子部品の吸着取り出し動作を行う前に、吸着対象の部品供給ユニット(以下、吸着対象部品供給ユニットという)13について、ポケット認識が可能か否かを例えばRAM17に格納されているライブラリデータに記載されているテープの種類に応じた認識可能か否かのデータにより判定する。そして、上述したように吸着対象部品供給ユニット13が、それまでセットされていなく、交換された新たに取り付けられた部品供給ユニット13であり、図5の(a)に示したように、この部品供給ユニット13が供給する部品を収納したテープ46の幅が8mmであり、部品の収納部であるそれぞれのポケット47のピッチが4mm(すべての隣り合うポケット間の間隔即ちピッチが4mmである。)のときには、例えば、CPU16は吸着対象部品供給ユニット13に設けられた制御装置13Sから送られたフィーダ番号(シリアル番号)に基づいて、ポケット認識が可能であると判断する。また、図6のテープ46にはテープの送りモータ13Mにより駆動されて回転し、テープ送りを駆動するスプロケットの周縁に配設された歯が嵌合する送り穴49が設けられており、すべての隣り合う送り穴49の間隔はスプロケットの隣り合う歯の間隔と同じ間隔(図6の場合4mm)で配設されている。
【0045】
この結果、CPU16は対象の吸着対象部品供給ユニット3にピッチ送りの信号を出力し、吸着対象部品供給ユニット13は予め設定されている指定ピッチである1ピッチ(例えば4mm)、即ち、電子部品を収納するポケットの間隔分の距離だけテープを送る(ステップS1)。このテープ送りの動作が終了すると、CPU16は吸着対象部品供給ユニット13と装着ヘッド10、11の位置とに基づいて装着ヘッド10又は11に設けられた基板認識カメラ14、14のうち吸着対象部品供給ユニット13に近い基板認識カメラ14を選択する。そして、装着ヘッド10又は11の移動に伴い選択された基板認識カメラ14が吸着対象部品供給ユニット13に設けられたテープ押さえであるサプレッサに形成された部品取出口の上方へ移動する(ステップS2)。
【0046】
そして、ポケット認識が実行される(ステップS3)。即ち、部品取出口の上方に到達した基板認識カメラ14は部品取出口45を介して部品吸着位置付近のテープ46のポケット47を撮像する。そして、図5に示したような部品取出口45、テープ46及びポケット47の画像が認識処理装置27に取り込まれ、画像処理される。画像処理結果はCPU16に送られ、CPU16は認識結果の判定を行う(ステップS4)。この認識結果の判定において、ポケット47の位置と吸着位置との距離(ずれ)が、予め設定されRAMに格納されている判定距離であり例えば最小ピッチより小さい値(最小ピッチ以上に設定するとピッチずれしている可能性が高いにもかかわらず、後述するピッチずれ補正が行われなくなってしまうため、最小ピッチよりは小さな値が好ましい。)である1.5mm以上である否か、即ち、ピッチ送りの修復条件を満たしているか否かをCPU16は判断する(ステップS5)。
【0047】
そして、ポケット47の位置と吸着位置との距離が判定距離以上であり、修復条件を満たしているときには、CPU16は吸着対象部品供給ユニット3に最小ピッチ送りの信号を出力し、吸着対象部品供給ユニット13は予め設定されRAMに格納されている最小ピッチである例えば2mm(図5参照)、即ち、電子部品を収納するポケットの間隔(後述するスプロケットの隣り合う歯の間隔と等しい)が4mmのときは、そのピッチより小さいピッチであり、ポケットのピッチを整数で割った値(この場合は1/2のピッチの2mm)でテープを送る(ステップS6)。
【0048】
ここで、最小ピッチは、部品供給ユニット13の機種(フィーダ番号)毎に設定され、その部品供給ユニットが供給する電子部品が収納されているテープのポケットのピッチ、即ち、通常のテープ送りピッチを上述したように整数(上述した2に限定されるものではなく、2以外の、例えば4或いは6等の整数でもよく、設定ピッチより小さければよい。)で割った値、あるいは部品供給ユニットがテープを間欠送りすることが可能な最小のピッチである。または、この整数で割ったピッチは必ずしも最小のピッチでなくてもよい。または、設定ピッチを整数で割ったピッチでなくとも、設定ピッチより小さく、設定ピッチを整数で割ったこのフィーダにおける最小ピッチの整数倍であるピッチで送ってもよい。部品供給ユニット13は、最小ピッチあるいはその整数倍のピッチで送るべき複数種類のテープ(そのピッチで部品を収納するポケットが配置されている)を送ることができる。そのため、最小のピッチのテープを使用した後にそれより大きなピッチのテープを装填して使用すると、部品供給ユニット13に設けられ最小ピッチのテープを最後に送ったスプロケットの位置によっては吸着位置とポケットの位置が合わず、その後その所定のピッチで送り続けてもズレたままでいることになる。このとき少なくとも最小ピッチで何回かテープを送れば収納ポケットを吸着位置に合わせることができる。最小ピッチの2倍のテープを使用するときには、ズレがあるときは、1回送れば正常の位置にすることができる。
【0049】
さらには、通常のテープの送りピッチはスプロケットの隣り合う歯の間隔(即ち、例えば図5(a)、(b)に示すテープ46の送り穴49の間隔)またはその整数で割った距離(1/2または1/4等)、あるいはその整数倍の距離に設定されており、当該部品供給ユニット13で送り得るピッチが複数ある場合(送ることができる複数種類テープの送りピッチが異なる場合)、最小ピッチをこれら複数のピッチのうち最小のものとすることができる。さらにまた、これらのスプロケットの隣り合う歯の間隔の整数分の1または整数倍のピッチであって、送ろうとするテープの通常の送りピッチの整数分の1であれば、必ずしも当該部品供給ユニット13の送りうる最小のピッチでないピッチをも修復のための送りピッチとしてもよい。
【0050】
なお、CPU16が認識結果の判定を行ったとき、ポケット47の位置と吸着位置との距離が判定距離より小さく、修復条件を満たしていないときには、CPU16が動作し、部品取出口45を介して吸着ノズルによる電子部品が吸着、取出し動作が行われる(ステップS8)。また、モニタ20、201に例えば「ピッチ送り正常」と表示される。
【0051】
また、最小のピッチでのテープ送りが行われた後、CPU16はテープ送りが終了し完了するのを待ち(ステップS7)、テープ送りが完了すると、CPU16は前回ポケット47を撮像した基板認識カメラ14へ撮像信号を出力し、再びポケット認識(2回目のポケット認識)が実行される(ステップS3)。即ち、上述したように、基板認識カメラ14は部品取出口を介してテープのポケットを撮像し、図5の(b)に示したような部品取出口45、テープ46及びポケット47の画像が認識処理装置27に取り込まれ、画像処理される。画像処理結果はCPU16に送られ、CPU16は認識結果の判定を行う(ステップS4)。この認識結果の判定において、図5の(b)に示したように、ポケット47の位置と吸着位置とが一致、或いは、ポケット47の位置と吸着位置とのずれが、予め設定されRAMに格納されている判定ずれ値より小さいときには、CPU16はピッチ送りの修復条件を満たしていないと判断する(ステップS5)。即ち、修復する必要が無いと判定する。このように、上述した最小ピッチ送りにより、自動的にピッチ送りの修復を行うことができる。
【0052】
この結果、その後、CPU16が動作し、部品取出口45を介して吸着ノズルによる電子部品の吸着、取出し動作が行われる(ステップS8)。このとき、上述したように、ピッチ送りのポケット47から電子部品を確実に取り出すことができる。また、電子部品の取出し動作と共に、モニタ20、201に例えば「ピッチ送り修復終了」と表示することにより、作業者は、ピッチ送りの修復が正常に行われたことを確認することができる。
【0053】
なお、2回目のポケットの認識が行われたときに、CPU16がピッチ送りの修復条件を満たしていると判断すると(ステップS5)、電子部品実装装置1の電子部品装着運転を停止する。また、モニタ20、201に例えばピッチ送りに異常が発生して異常停止したこと、及びピッチ送り異常が発生した部品供給ユニットが搭載されている部品供給装置でのレーン番号を表示する。また、撮像されたポケットと吸着ノズルのグラフィックをモニタ20、201に表示させ、吸着ノズルをポケットに対して移動させて吸着位置を目合わせする吸着位置目合わせ画面で、テープ送りスイッチを操作して行う最小ピッチ送りが必要であることを表示する。
【0054】
また、吸着対象部品供給ユニット13で、テープの部品残数が減少、或いは無くなり、古いテープに新しいテープを連結したとき、古いテープと新しいテープとの継ぎ目を検出センサ等で検出したときには新しいテープのポケットを上述したようにポケット認識し、認識結果に基づいて最小ピッチ送り動作を行うことにより、古いテープと新しいテープとの接続時に例えばピッチが最小ピッチ分ずれて連結された場合も、ピッチ送りが自動修復される。
【0055】
そして、撮像されたポケットの画像が認識処理装置27に取り込まれ、画像処理される。画像処理結果はCPU16に送られ、CPU16はポケット内に電子部品が有るか否かを判断する。そして、電子部品が無いときには、再びステップ2は戻り、上述した吸着対象部品供給ユニット13で、テープが1ピッチ送られる。なお、認識カメラ14が撮像した画像に基づいて、認識処理装置27により電子部品がポケット内に有るか否かを認識し、この結果をCPU16に送るようにしてもよい。
【0056】
以後、同様にステップ5の電子部品の有無判断により電子部品が有ると判断されるまで、ステップ2からステップ5までのテープの1ピッチ送り、ポケットの撮像、画像認識、ポケットでの電子部品の有無判断が繰り返される。
【0057】
そして、電子部品を収納したポケットが部品取出口45に到達し、基板認識カメラ14が部品取出口を介してテープのポケットを撮像する。そして、図6に示したような部品取出口45、テープ46、ポケット47及び電子部品48の画像が認識処理装置27に取り込まれ、画像処理される。画像処理結果はCPU16に送られ、CPU16はポケット内に電子部品が有るか否かを判断する。そして、CPU16は電子部品がポケットに有ると判断すると、電子部品の頭出し処理が終了してCPU16は、頭出しが終了した電子部品を吸着する動作を開始するための信号を出力し、上述したように装着ヘッド10によりその電子部品が取出される。また、自動頭出しが終了した部品供給ユニット13については、頭出しが完了したことを示すフラグをRAM17に設けて、その部品供給ユニット13についての以後の自動頭出しの要否の判定に用いてもよい。更に、自動頭出しが終了した部品供給ユニット13については、部品供給装置で交換されなく、その後、生産機種の変更があったとき、生産に使用されなく、生産機種の切替に伴い、再び使用される場合にも、その部品供給ユニット13については自動頭出し動作を行わないようにCPU16により継続管理する。
【0058】
このように、吸着対象部品供給ユニット13が、それまでセットされていなく、交換されて新たに取り付けられた部品供給ユニット13のときには、CPU16は自動頭出処理が必要だと判断し、上述したように基板認識カメラ14によるポケットの撮像結果に基づいて電子部品を収納したポケットが部品取出口に到達するまでテープが1ピッチずつ送られ、自動的に電子部品の頭出し動作が行われるので、吸着対象部品供給ユニット13を交換したとき、作業者は頭出し作業を行う必要が無くなり、この結果、準備作業を簡略化することができ、作業時間を短縮することができる。また、作業者による頭出し作業が不十分であったときに発生する電子部品の取り出し異常を確実に回避することもできる。
【0059】
更に、準備作業に要する時間を短縮でき、電子部品装着装置1の非稼働時間を低減して稼働時間を増加させることも可能になる。
【0060】
また、部品供給装置3又は5のフィーダベース12の空きレーンに新たに部品供給装置3を搭載した場合においても、部品供給ユニット13から電子部品を始めて取り出す際、或いは、電子部品装着装置1での1つの基板機種の生産が終了して次の機種の基板を生産するときに、部品供給ユニット13を搭載した部品供給装置3又は5交換した場合においても、各部品供給ユニット13から電子部品を取り出す際に、上記部品供給ユニット13の交換時と同様に、ポケットを認識し、自動的にピッチ送りの修復することにより同様の作用効果を得ることができる。
【0061】
以下、本願の第2の実施形態について、上述した第1の実施形態と異なる点を中心に図7に示したフローチャートに基づいて説明する。
【0062】
第1の実施形態では、ポケット認識が可能なテープ46により部品を供給する場合について説明したが、第2の実施形態は、ポケット認識が不可能なテープを用いて部品供給ユニット13により部品を供給する実施例である。
【0063】
まず、基板への電子部品の装着運転が行われているときのテープのピッチ送りの修復について説明する。吸着ノズルが電子部品を取り出した後、装着ヘッド10、11は部品認識カメラ15上方を通過し、この移動中に両装着ヘッド10、11の4本の吸着ノズル101、111に吸着保持されたそれぞれ4個の電子部品を一括して撮像して、この撮像された画像を認識処理装置27が認識処理し(ステップS11)し、各吸着ノズル101、111に吸着保持された電子部品の位置を計算(部品認識結果計算)する(ステップS12)。
【0064】
以下、吸着ノズル101、111に吸着保持されたそれぞれの電子部品のうち、代表して1つの吸着ノズルに保持された電子部品について、説明する。CPU16は、認識処理装置27から部品認識結果を取り込み、部品認識結果に基づいてその電子部品について、ピッチずれ補正量を計算する(ステップS13)。即ち、部品認識結果である吸着ノズルに対する電子部品の位置ずれのうち、部品供給ユニット13でのテープ送り方向、例えば、図5でのY方向のずれ量をピッチずれ補正量として計算する。
【0065】
CPU16は計算したピッチずれ補正量が正常か否かを判断する(ステップS14)。即ち、予め設定されたピッチずれ判定値(例えば最小のピッチの2mmに対応して 1.5mm)がRAM17に格納されており、CPU16は、計算結果のピッチずれ補正量がピッチずれ判定値より大きいか否か(正常の範囲外か範囲内か)を判断する。そして、ピッチずれ補正量がピッチずれ判定値以上の場合(即ち、正常の範囲外と判断される場合には)には、CPU16は、ピッチ送りの1回目の自動修復を設定して(ステップS15)設定した旨のフラッグをRAM17に格納する。またその後、部品供給ユニット13での次の部品取出しのためテープ送りが開始され(ステップS17)、テープ送りの完了を待つ(ステップS18)。
【0066】
また、モニタ20、201に、テープ送りが自動修復されること、或いは、テープの最小ピッチ送りが設定されてテープ送りが自動修復すること等を表示してもよく、このように表示することにより、作業者は、テープ送りの修復作業を自ら行わなくても、電子部品装着装置1で、自動的にテープ送りの修復が行われることを知ることができる。
【0067】
そして、テープ送りが完了すると、次に、CPU16は、自動修復設定がされているか否かを判断する(ステップS19)。そして、自動修復が設定されているので、直ちにCPU16は上述したポケット認識時と同様に、部品認識した電子部品を供給した部品供給ユニット3に最小ピッチ送りの信号を出力し、その部品供給ユニット13は予め設定されてRAM17に格納されている部品供給ユニット3に対応した最小ピッチの距離(例えば2mm)だけテープを送り(ステップS20)、テープのピッチ送りの修復が行われる。その後、CPU16は、部品供給ユニット13での最小ピッチ送りの完了を待ち(ステップ21)、完了すると、電子部品の吸着動作を待つ(ステップS22)。
【0068】
なお、ステップS14でピッチずれ補正量がピッチずれ判定値未満の場合(ピッチずれ補正量が正常の範囲内と判断される場合)CPU16は、RAM17に既に自動修復設定が格納されていたときにはその自動修復設定を初期化し(ステップS16)、その後部品供給ユニット13での次の部品取出しのためのテープ送りが開始され(ステップS17)、テープ送りの完了を待つ(ステップS18)。
【0069】
また、ステップS19の自動修復設定がされているか否かの判断において自動修復が設定されていないと判断されたときには、最小ピッチ送りをすることなく電子部品の吸着動作を待つ(ステップS22)。
【0070】
このように、ポケット認識が不可能なテープを用いて部品供給ユニット13により部品を供給するときに、部品装着動作の途中(吸着ノズルの移動の途中)に部品認識を行った結果に基づいて、電子部品の位置ずれのうち、部品供給ユニット13でのテープ送り方向のずれをピッチずれ補正量として計算する。そして、ピッチずれ補正量がピッチずれ判定値以上であり、正常の範囲外であるときには、CPU16は、部品供給ユニット13に最小ピッチ送りの信号を出力し、信号を入力した部品供給ユニット13は上述したように次の部品取出し動作の前に電子部品の位置ずれの原因になる最小ピッチのずれに対応して最小ピッチの距離だけテープを送るので、部品供給ユニット3での部品供給位置が最小ピッチのずれ分修正され、次に吸着ノズルが電子部品を取り出すとき、或いは、その後、テープがピッチ送りされるときには、吸着ノズルによる電子部品の吸着ミスを回避することができ、一層確実に部品を取り出すことができる。
尚このとき、部品の認識時のずれ量が最小ピッチの整数倍程度ある場合、最小ピッチでなくとも最小ピッチの整数倍のピッチ(通常の送りピッチよりは小さい)を一回で送りピッチずれの補正を行ってもよい。
【0071】
その後、最小ピッチ送りが完了した部品供給ユニット13から電子部品が取り出され、吸着保持されたそれぞれ電子部品が撮像され、画像を認識処理装置27が認識処理する。そして、CPU16が、部品認識結果に基づいてその電子部品について、再びピッチずれ補正量を計算し(ステップS13)、ピッチずれ補正量が正常か否かを判断する(ステップS14)。
【0072】
ピッチずれ補正量がピッチずれ判定値以上であり、正常の範囲外のときには、CPU16は、正常の範囲外の判断が連続し、2回目であるので、ピッチ送りが異常と判断し、電子部品実装装置1の電子部品装着運転を停止する。また、モニタ20、201に例えばピッチ送りに異常が発生して異常停止したこと、ピッチ送り異常が発生した部品供給ユニットが搭載されている部品供給装置でのレーン番号を表示する。また、撮像されたポケットと吸着ノズルのグラフィックをモニタ20、201に表示させ、吸着ノズルをポケットに対して移動させて吸着位置を目合わせする吸着位置目合わせ画面で、テープ送りスイッチを操作して行う最小ピッチ送りが必要であることを表示する。
【0073】
このように表示することにより、作業者は、異常停止の原因が部品供給ユニットのテープ送りの異常にあるかも知れない点を知ることができ、また、部品供給ユニット13のスイッチ部(テープ送り動作ボタン)を操作し、最小ピッチ送りを行い修復作業が必要なことを知ることができる。
【0074】
なお、ピッチずれ補正量が正常の範囲内のときには、CPU16は、RAM17に格納されていた1回目の自動修復設定を初期化し、フラッグを消去する(ステップS16)。そして、部品供給ユニット13での部品取出し後のテープ送りが開始され(ステップS17)、テープ送りの完了後、自動修復設定は無いため、次の電子部品の吸着動作を待つ(ステップS22)。
【0075】
以後、例えば、モニタ20、201に設けられたタッチパネルスイッチ21、211の図示しない設定スイッチにより、ポケット認識の結果に基づいて、テープのピッチ送りの修復を実行することが設定されている場合には、上述したように、ポケット認識結果に基づいて、テープのピッチ送りの修復が行われる。
【0076】
なお、ポケット認識が不可能なテープを用いて部品供給ユニット13により部品を供給するときに、上述したように、部品認識の結果に基づいて、テープのピッチ送りの修復を実行するか実行しないかは、例えば、モニタ20、201に設けられたタッチパネルスイッチ21、211の図示しない設定スイッチを操作することにより設定することができる。
【0077】
以上のように本発明の実施態様について説明したが、上述の説明に基づいて当業者にとって種々の代替例、修正又は変形が可能であり、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲で前述の種々の代替例、修正又は変形を包含するものである。
【符号の説明】
【0078】
1 電子部品装着装置
2 搬送装置
3 部品供給装置
5 部品供給装置
7、8 ビーム
10、11 装着ヘッド
13 部品供給ユニット
16 CPU(制御装置)
17 RAM(記憶装置)
20 モニタ
47 ポケット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送り出し方向に間隔を存して並んで形成されたそれぞれの収納部に電子部品を収納したテープを設定ピッチで送り、電子部品を部品取出位置に送る電子部品供給装置を着脱自在に備え、取り付けられた前記電子部品供給装置のテープから電子部品を取出して移動しプリント基板上に装着する装着ヘッドを備えた電子部品装着装置において、前記部品取出位置の前記収納部を撮像するカメラと、前記電子部品供給装置を取り付けたとき、前記カメラが撮像した画像に基づいて前記収納部の位置を認識し、認識された前記収納部の位置が予め設定されている位置からずれていると判定された場合に、前記設定ピッチより小さい前記電子部品供給装置のピッチでテープ送りさせる制御装置とを備えたことを特徴とする電子部品装着装置。
【請求項2】
送り出し方向に間隔を存して並んで形成されたそれぞれの収納部に電子部品を収納したテープを間欠的に送り電子部品を部品取出位置に送る電子部品供給装置を着脱自在に備え、取り付けられた前記電子部品供給装置のテープから電子部品を取出して移動しプリント基板上に装着する装着ヘッドを備えた電子部品装着装置において、前記部品取出位置の前記収納部を撮像するカメラと、前記電子部品供給装置を取り付けたとき、前記カメラが撮像した画像に基づいて前記収納部の位置を認識し、認識された前記収納部の位置が予め設定されている位置からずれていると判定された場合に、前記設定ピッチより小さい前記電子部品供給装置のピッチでテープ送りさせ、認識された前記収納部の位置が予め設定されている位置からずれていないと判定された場合に、テープ送り動作を停止させる制御装置とを備えたことを特徴とする電子部品装着装置。
【請求項3】
送り出し方向に間隔を存して並んで形成されたそれぞれの収納部に電子部品を収納したテープを間欠的に送り電子部品を部品取出位置に送る電子部品供給装置を着脱自在に備え、取り付けられた前記電子部品供給装置のテープから電子部品を取出して移動しプリント基板上に装着する装着ヘッドを備えた電子部品装着装置において、前記部品取出位置の前記収納部を撮像するカメラと、前記電子部品供給装置を取り付けたとき、前記カメラが撮像した画像に基づいて前記収納部の位置を認識し、認識された前記収納部の位置が予め設定されている位置からずれていると判定された場合に、前記設定ピッチより小さい前記電子部品供給装置のピッチでテープ送りさせ、認識された前記収納部の位置が予め設定されている位置からずれていないと判定された場合に、前記装着ヘッドによる部品取り出し動作を開始させる制御装置とを備えたことを特徴とする電子部品装着装置。
【請求項4】
送り出し方向に間隔を存して並んで形成されたそれぞれの収納部に電子部品を収納したテープを設定ピッチで送り、電子部品を部品取出位置に送る電子部品供給装置を着脱自在に備え、取り付けられた前記電子部品供給装置のテープから電子部品を取出部材により取出して移動しプリント基板上に装着する装着ヘッドを備えた電子部品装着装置において、前記取出部材により取り出された前記電子部品を撮像するカメラと、前記カメラが撮像した画像に基づいて取出部材に対する前記電子部品の位置を認識し、認識された前記電子部品の位置の予め設定されている位置からのずれ量が所定のずれ量より大きいと判定された場合に、前記設定ピッチより小さい前記電子部品供給装置のピッチでテープ送りさせる制御装置とを備えたことを特徴とする電子部品装着装置。
【請求項5】
送り出し方向に間隔を存して並んで形成されたそれぞれの収納部に電子部品を収納したテープを設定ピッチで送りし、電子部品を部品取出位置に送る電子部品供給装置を着脱自在に備え、取り付けられた前記電子部品供給装置のテープから電子部品を取出部材により取出して移動しプリント基板上に装着する装着ヘッドを備えた電子部品装着装置において、前記取出部材により取り出された前記電子部品を撮像するカメラと、前記カメラが撮像した画像に基づいて取出部材に対する前記電子部品の位置を認識し、認識された前記電子部品の位置の予め設定されている位置からのずれ量が所定のずれ量より大きいと判定された場合に、前記設定ピッチより小さい前記電子部品供給装置の最小ピッチでテープ送りさせるとともに、前記テープを設定ピッチで送り、前記カメラが撮像した画像に基づいて取出部材に対する前記電子部品の位置を認識し、認識された前記電子部品の位置の予め設定されている位置からのずれ量が所定のずれ量より大きいと判定された場合に、電子部品装着装置の電子部品装着運転を停止させる制御装置とを備えたことを特徴とする電子部品装着装置。
【請求項6】
前記設定ピッチより小さい前記電子部品供給装置のピッチは、前記設定ピッチを整数で除したピッチであることを特徴とする請求項1、2、3、4または5に記載の電子部品装着装置。
【請求項7】
前記設定ピッチより小さい前記電子部品供給装置のピッチは、前記電子部品供給装置によりピッチ送り可能な最小のピッチであることを特徴とする請求項1、2、3、4、または5に記載の電子部品装着装置。
【請求項8】
前記制御装置により電子部品装着運転が停止したときに、異常停止した旨を表示する表示装置を備えたことを特徴とする請求項5に記載の電子部品装着装置。
【請求項9】
前記設定ピッチより小さい前記電子部品供給装置のピッチは、スプロケットの隣り合う歯の間隔を整数で割ったピッチもしくは整数倍のピッチであることを特徴とする請求項1、2、3、4、5または6に記載の電子部品装着装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−155051(P2011−155051A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−14249(P2010−14249)
【出願日】平成22年1月26日(2010.1.26)
【出願人】(300022504)株式会社日立ハイテクインスツルメンツ (607)
【Fターム(参考)】