説明

電子部品

【課題】抵抗溶接によりベースとキャップとを接合するのに対してスプラッシュが発生するのを防止する。
【解決手段】水晶振動子1の本体筐体4は、ベース2とキャップ3とから構成され、本体筐体4の内部空間5に水晶振動素子6が設けられている。接合材7は、結晶構造が面心立方形であり、ベース2とキャップ3との接合時に塑性変形するとともに拡散接合されている。また、本体筐体4にはフランジ41が形成され、このフランジ41においてベース2とキャップ3とが接合材7を介して低温低圧により接合されている。また、本体筐体4のフランジ41に、接合材7の塑性変形による応力を緩衝する緩衝材8が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、気密封止を必要とする電子部品の例として、水晶振動子などの圧電振動デバイスがある。ここでいう水晶振動子では、水晶振動素子の両主面に励振電極を形成し、この励振電極による励振を安定させるために励振電極は水晶振動子の本体筐体により気密封止されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
具体的に、特許文献1に記載の水晶振動子では、ベースとキャップとから本体筐体が構成されている。そして、ベース上に水晶振動素子が載置され、この状態でベースとキャップとが溶融されることで本体筐体の内部空間が形成されるとともに内部空間が気密封止され、内部空間に水晶振動素子が保持される。また、ベースには、一対のリード端子が本体筐体の内部空間から外部へ貫通して設けられ、このリード端子と水晶振動素子の励振電極が電気的に接続されている。
【0004】
上記した構成からなる水晶振動子では、本体筐体(ベースとキャップ)の外周にフランジを有し、この本体筐体のフランジにおいてベースとキャップとを接合材を介して抵抗溶接により接合する。
【特許文献1】特開平11−97964号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ベースとキャップとを抵抗溶接により接合した場合、その加熱温度が高温(実際にコバール材が約890℃、鉄が約1500℃)であるために、本体筐体や本体筐体に形成されたメッキなどの金属部材のスプラッシュが発生する。このスプラッシュが、内部空間に載置保持された水晶振動素子に付着すると、発振周波数が変動し、その結果、発振特性が悪化する。
【0006】
そこで、上記課題を解決するために、本発明は、抵抗溶接によりベースとキャップとを接合するのに対してスプラッシュが発生するのを防止する電子部品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するため、本発明にかかる電子部品は、ベースとキャップとから本体筐体が構成され、前記本体筐体の内部空間に電子部品素子が設けられ、前記本体筐体にはフランジが形成され、このフランジにおいて前記ベースと前記キャップとが接合材を介して低温低圧により接合され、前記接合材は、結晶構造が面心立方形であり、前記ベースと前記キャップとの接合時に塑性変形するとともに拡散接合され、前記本体筐体のフランジに対応する前記キャップのフランジに、前記接合材の塑性変形による応力を緩衝する材料が用いられたことを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、抵抗溶接によりベースとキャップとを接合するのに対してスプラッシュが発生するのを防止することが可能となる。また、本発明によれば、前記ベースと前記キャップとが前記接合材を介して低温低圧により接合される際に前記接合材の塑性変形による応力を前記キャップのフランジで緩衝させることが可能となり、その結果、前記接合材による前記ベースと前記キャップとの接合を確実にすることが可能となり、前記ベースと前記キャップとの間に異物やコンタミネーション、または金属欠陥などがあったとしても前記キャップのフランジで緩衝(吸収)させることが可能となる。すなわち、本発明によれば、低温低圧によって接合材を拡散し易い(すべり易い)状態にして前記ベースと前記キャップとの接合を行うことが可能となる。また、本発明によれば、前記キャップのフランジの緩衝作用により、前記ベースや前記キャップのフランジの表面粗さに関係なく前記ベースと前記キャップとの接合を良好にすることが可能となる。また、本発明によれば、前記本体筐体のフランジを接合部位としているので、前記接合材を介した前記ベースと前記キャップとの低温低圧による接合がし易い。
【0009】
前記構成において、前記本体筐体のフランジに対応する前記キャップのフランジが、凹凸状に成形され、前記本体筐体のフランジに対応する前記ベースのフランジが、前記キャップの凹凸形状に対応した凹凸状に成形されてもよい。
【0010】
この場合、前記キャップのフランジおよび前記ベースのフランジが凹凸状に成形されることで前記ベースおよび前記キャップそれぞれの前記接合材との接合面を拡げることが可能となる。その結果、前記接合材の拡散接合によるすべりの特性を効率よく利用することが可能となり、前記接合材および前記キャップのフランジによって前記ベースと前記キャップとの接合強度を上げることが可能となる。具体的に、低温低圧による圧力を凹凸の凹みや突起に集中させ、そのほかの部位では低温低圧による圧力を分散させることが可能となり、接合力を強化させたい位置への接合強化を図ることが可能となる。そのため、前記接合材のすべりの特性による作用が顕著に顕れる。
【0011】
また、上記の目的を達成するため、本発明にかかる電子部品は、ベースとキャップとから本体筐体が構成され、前記本体筐体の内部空間に電子部品素子が設けられ、前記本体筐体にはフランジが形成され、このフランジにおいて前記ベースと前記キャップとが接合材を介して低温低圧により接合され、前記接合材は、結晶構造が面心立方形であり、前記ベースと前記キャップとの接合時に塑性変形するとともに拡散接合され、前記本体筐体のフランジに、前記接合材の塑性変形による応力を緩衝する緩衝材が設けられたことを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、抵抗溶接によりベースとキャップとを接合するのに対してスプラッシュが発生するのを防止することが可能となる。また、本発明によれば、前記ベースと前記キャップとが前記接合材を介して低温低圧により接合される際に前記接合材の塑性変形による応力を前記緩衝材で緩衝させることが可能となり、その結果、前記接合材による前記ベースと前記キャップとの接合を確実にすることが可能となり、前記ベースと前記キャップとの間に異物やコンタミネーション、または金属欠陥などがあったとしても前記緩衝材で緩衝(吸収)させることが可能となる。すなわち、本発明によれば、低温低圧によって接合材を拡散し易い(すべり易い)状態にして前記ベースと前記キャップとの接合を行うことが可能となる。また、本発明によれば、前記緩衝材の緩衝作用により、前記ベースや前記キャップのフランジの表面粗さに関係なく前記ベースと前記キャップとの接合を良好にすることが可能となる。また、本発明によれば、前記緩衝材が形成されるので、前記接合材を介した前記ベースと前記キャップとの低温低圧による接合がし易い。
【0013】
前記構成において、前記緩衝材には、前記キャップより柔らかい材料が用いられてもよい。
【0014】
この場合、前記ベースと前記キャップとが前記接合材を介して低温低圧により接合される際に前記接合材の塑性変形による応力を前記緩衝材で緩衝させることが可能となり、低温低圧によって前記接合材を拡散し易い(すべり易い)状態にして前記ベースと前記キャップとを接合するのに好適である。
【0015】
前記構成において、本体筐体のフランジに対応する前記キャップもしくは前記ベースの少なくとも1つのフランジが、凹凸状に成形され、前記凹凸状に成形された前記キャップもしくは前記ベースの少なくとも1つのフランジに対応して、前記緩衝材の接合面が凹凸状に成形されてもよい。
【0016】
この場合、前記キャップもしくは前記ベースの少なくとも1つのフランジが凹凸状に成形され、この凹凸状に成形されたフランジに対応して、前記緩衝材の接合面が凹凸状に成形されることで前記ベースおよび前記キャップそれぞれの前記接合材との接合面を拡げることが可能となる。その結果、前記接合材の拡散接合によるすべりの特性を効率よく利用することが可能となり、前記接合材および前記緩衝材によって前記ベースと前記キャップとの接合強度を上げることが可能となる。具体的に、低温低圧による圧力を凹凸の凹みや突起に集中させ、そのほかの部位では低温低圧による圧力を分散させることが可能となり、接合力を強化させたい位置への接合強化を図ることが可能となる。そのため、前記接合材のすべりの特性による作用が顕著に顕れる。
【0017】
また、上記の目的を達成するため、本発明にかかる電子部品の製造方法は、当該電子部品は、ベースとキャップとから、フランジを形成した本体筐体を構成し、前記本体筐体の内部空間に電子部品素子を設け、前記本体筐体のフランジに対応する前記キャップのフランジであって、前記ベースと接合面に、結晶構造が面心立方形である接合材を設け、前記本体筐体のフランジに対応する前記ベースのフランジであって、前記キャップと接合面に、前記接合材を設け、前記キャップと前記ベースとを前記本体筐体のフランジにおいて低温低圧により接合し、当該接合時に前記接合材は塑性変形するとともに拡散接合し、前記キャップのフランジに、前記接合材の塑性変形による応力を緩衝する材料を用いることを特徴とする。
【0018】
本発明によれば、抵抗溶接によりベースとキャップとを接合するのに対してスプラッシュが発生するのを防止することが可能となる。また、本発明によれば、前記ベースと前記キャップとが前記接合材を介して低温低圧により接合される際に前記接合材の塑性変形による応力を前記キャップのフランジで緩衝させることが可能となり、その結果、前記接合材による前記ベースと前記キャップとの接合を確実にすることが可能となり、前記ベースと前記キャップとの間に異物やコンタミネーション、または金属欠陥などがあったとしても前記キャップのフランジで緩衝(吸収)させることが可能となる。すなわち、本発明によれば、低温低圧によって接合材を拡散し易い(すべり易い)状態にして前記ベースと前記キャップとの接合を行うことが可能となる。また、本発明によれば、前記キャップのフランジの緩衝作用により、前記ベースや前記キャップのフランジの表面粗さに関係なく前記ベースと前記キャップとの接合を良好にすることが可能となる。また、本発明によれば、前記本体筐体のフランジを接合部位としているので、前記接合材を介した前記ベースと前記キャップとの低温低圧による接合がし易い。
【0019】
また、上記の目的を達成するため、本発明にかかる電子部品の製造方法は、当該電子部品は、ベースとキャップとから、フランジを形成した本体筐体を構成し、前記本体筐体の内部空間に電子部品素子を設け、前記本体筐体のフランジに対応する前記キャップのフランジであって、前記ベースと接合面に、結晶構造が面心立方形である接合材を設け、前記本体筐体のフランジに対応する前記ベースのフランジであって、前記キャップと接合面に、前記接合材を設け、前記キャップと前記ベースとを前記本体筐体のフランジにおいて低温低圧により接合し、当該接合時に前記接合材は塑性変形するとともに拡散接合し、前記接合材の塑性変形による応力を緩衝する緩衝材を設けることを特徴とする。
【0020】
本発明によれば、抵抗溶接によりベースとキャップとを接合するのに対してスプラッシュが発生するのを防止することが可能となる。また、本発明によれば、前記ベースと前記キャップとが前記接合材を介して低温低圧により接合される際に前記接合材の塑性変形による応力を前記緩衝材で緩衝させることが可能となり、その結果、前記接合材による前記ベースと前記キャップとの接合を確実にすることが可能となり、前記ベースと前記キャップとの間に異物やコンタミネーション、または金属欠陥などがあったとしても前記緩衝材で緩衝(吸収)させることが可能となる。すなわち、本発明によれば、低温低圧によって接合材を拡散し易い(すべり易い)状態にして前記ベースと前記キャップとの接合を行うことが可能となる。また、本発明によれば、前記緩衝材の緩衝作用により、前記ベースや前記キャップのフランジの表面粗さに関係なく前記ベースと前記キャップとの接合を良好にすることが可能となる。また、本発明によれば、前記緩衝材が形成されるので、前記接合材を介した前記ベースと前記キャップとの低温低圧による接合がし易い。
【0021】
なお、上記した本発明でいう低温低圧とは、具体的に温度が25〜360℃の範囲内に設定され、圧力が1〜100kg/cm2の範囲内に設定された条件のことをいう。
【発明の効果】
【0022】
本発明にかかる電子部品によれば、抵抗溶接によりベースとキャップとを接合するのに対してスプラッシュが発生するのを防止することが可能となる。加えて、本体筐体内部の雰囲気が変化することがないため、高安定な気密封止が実現されたより高精度な電子部品を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、以下に示す各実施例では、電子部品として圧電振動デバイスである水晶振動子に本発明を適用した場合を示す。しかしながら、これらの実施例は好適な例であり、圧電振動を行う材料であれば圧電振動材料は水晶に限定されるものではない。
【実施例1】
【0024】
本実施例1にかかる水晶振動子1では、図1に示すように、ベース2とキャップ3とから本体筐体4が構成される。この本体筐体4の内部空間5のベース2には、水晶振動素子6が設けられ、水晶振動素子6が気密封止されている。また、本体筐体4にはフランジ41が形成され、このフランジ41においてベース2とキャップ3とが接合材7を介して低温低圧(25〜360℃、1〜100kg/cm2)により接合されている。
【0025】
水晶振動子1の各構成について、図1〜3を用いて以下に説明する。
【0026】
水晶振動素子6は、主面61が円形形状となる薄圧の円筒状形体からなり、その両主面61にそれぞれ励振電極62が形成され、励振電極62を外部と電気的に接続するために励振電極62から引出電極63が引出形成されている。なお、水晶振動素子6の周波数は、励振電極62間の水晶振動素子6の厚みに関係する。
【0027】
ベース2は、鉄やコバール等からなり、図2に示すように、ベース2には一対のリード端子21が本体筐体4の内部空間5から外部へ貫通して設けられている。また、ベース2には、本体筐体4の内部空間5において水晶振動素子6の励振電極62(正確には引出電極63)と電気的に接続するとともに、水晶振動素子6を内部空間5において保持するサポート部材22が設けられている。このサポート部材22はリード端子21に電気機械的に接続され、サポート部材22に水晶振動素子6が載置され、サポート部材22を介してリード端子21に水晶振動素子6が電気的に接続されている。
【0028】
また、ベース2には、図2に示すように、その平面視外周に本体筐体4のフランジ41に対応する(フランジ41の構成部材の一つである)フランジ23が設けられ、このフランジ23がキャップ3との接合面24とされる。このフランジ23のキャップ3との接合面24は、図2に示すように凹凸状に形成されている。さらに詳説すると、フランジ23のうちベース2の内側(内方)が凹状に形成され、その凹み25の凹端形状が例えば75度の鋭角に設定されている。また、フランジ23のうちベース2の外側(外方)が凸状に形成され、その突起26の先端形状が例えば75度の鋭角に設定されている。また、フランジ23のキャップ3との接合面24には、キャップ3との接合に用いる接合材7がフランジ23の形状に沿って形成されている。なお、本実施例で用いる接合材7は、ニッケルめっき上に金めっきを積層したものであり、主構成を金メッキとしている。この接合材7では、ニッケルめっきが、金めっきとベース2との接合を良好にするために用いている。
【0029】
キャップ3は、図3に示すように、天面31と筒状の外周壁面32とから構成され、これら天面31と外周壁面32とが一体形成されている。また、外周壁面32の下端33には本体筐体4のフランジ41に対応する(フランジ41の構成部材の一つである)フランジ34が形成され、このフランジ34がベース2との接合面35とされる。このフランジ34のベース2との接合面35は、図3に示すようにキャップ3の凹凸形状に対応した凹凸状に形成されている。さらに詳説すると、フランジ34のうちキャップ3の内側(内方)が凹状に形成され、その凹み36の凹端形状が例えば75度の鋭角に設定されている。また、フランジ34のうちキャップ3の外側(外方)が凸状に形成され、その突起37の先端形状が例えば75度の鋭角に設定されている。また、フランジ34のベース2との接合面35には、ベース2との接合に用いる接合材7がフランジ34の形状に沿って形成されている。なお、本実施例で用いる接合材7は、ニッケルめっき上に金めっきを積層したものであり、主構成を金メッキとし、ベース2に形成した接合材7と同一材料からなる。この接合材7では、ニッケルめっきが、金めっきとキャップ3との接合を良好にするために用いている。そのため、本実施例では、ニッケルめっき上に金めっきを積層しているが、これに限定されるものではなく、接合材7が金めっきからなってもよい。
【0030】
また、キャップ3には、接合材7の塑性変形による応力を緩衝する材料が用いられている。具体的に、本実施例では、キャップ3に、洋白やキュプロニッケル等を用いている。
【0031】
上記したキャップ3とベース2とのそれぞれフランジ23、34に形成した接合材7は、結晶構造が面心立方形からなり、ベース2とキャップ3との接合時に塑性変形するとともに拡散接合される。
【0032】
次に、上記した構成からなる水晶振動子1の製造方法について、図1〜3を用いて説明する。
【0033】
まず、ベース2に設けられたサポート部材22に水晶振動素子6を保持し、サポート部材22と水晶振動素子6(励振電極62および引出電極63)とを電気的に接続する。また、ベース2のフランジ23の接合面24に接合材7を形成する。そして、これらの製造工程により図2に示すベース2を製造する。
【0034】
キャップ3のフランジ34の接合面35に接合材7を形成し、図3に示すキャップを製造する。
【0035】
なお、上記したベース2とキャップ3の製造工程は、それぞれ独立して行う工程であり、その順番は固定されるものではない。また、ベース2への各構成の配設および形成順は、固定されるものではない。
【0036】
上記した製造工程により製造されたキャップ3とベース2とを本体筐体4のフランジ41において接合材7を介して低温低圧(本実施例では200℃、100kg/cm2)により接合し、図1に示す水晶振動子1を製造する。この接合時、接合材7は塑性変形するとともに拡散接合し、キャップ3のフランジ34では接合材7の塑性変形による応力を緩衝する。
【0037】
上記したように、本実施例にかかる水晶振動子1およびその製造方法によれば、抵抗溶接によりベース2とキャップ3とを接合するのに対してスプラッシュが発生するのを防止することができる。
【0038】
また、本実施例によれば、ベース2とキャップ3とが接合材7を介して低温低圧により接合される際に接合材7の塑性変形による応力をキャップ3のフランジ34で緩衝させることができ、その結果、接合材7によるベース2とキャップ3との接合を確実にすることができ、ベース2とキャップ3との間に異物やコンタミネーション、または金属欠陥などがあったとしてもキャップ3のフランジ34で緩衝(吸収)させることができる。すなわち、本実施例によれば、低温低圧によって接合材7を拡散し易い(すべり易い)状態にしてベース2とキャップ3との接合を行うことができる。また、本実施例によれば、キャップ3のフランジ34の緩衝作用により、ベース2のフランジ23やキャップ3のフランジ34の表面粗さに関係なくベース2とキャップ3との接合を良好にすることができる。また、本実施例によれば、本体筐体4のフランジ41を接合部位としているので、接合材7を介したベース2とキャップ3との低温低圧による接合がし易い。すなわち、接合時に低い圧力をかけるが、この圧力が内部空間5内の構成(水晶振動素子6など)にかかることはない。
【0039】
また、キャップ3のフランジ34が凹凸状に成形され、ベース2のフランジ23が、キャップ3の凹凸形状に対応した凹凸状に成形されるので、ベース2およびキャップ3それぞれの接合材7との接合面24、35を拡げることができる。その結果、接合材7の拡散接合によるすべりの特性を効率よく利用することができ、接合材7およびキャップ34のフランジ34によってベース2とキャップ3との接合強度を上げることができる。具体的に、低温低圧による圧力をベース2とキャップ3それぞれの凹凸の凹み25、36や突起26、37に集中させて、そのほかの部位では低温低圧による圧力を分散させることができ、接合力を強化させたい位置(凹み25、36や突起26、37)への接合強化を図ることができる。そのため、接合材7の拡散接合によるすべりの特性による作用が顕著に顕れる。
【0040】
また、ベース2とキャップ3とにはそれぞれ凹凸状のフランジ23、34が形成されているので、接合時に外部から異物などが内部空間5に侵入する場合であっても、凹み25、36や突起26、37などを防護壁として利用することができ、異物などが内部空間5に侵入するのを防止することができる。
【0041】
なお、本実施例では、接合材7の主構成に金めっきを用いているがメッキ形成は好適な一実施例でありこれに限定されるものではない。また、金以外であっても、結晶構造が面心立方形であり、ベース2とキャップ3との接合時に塑性変形するとともに拡散接合するものであれば、他の材料(例えば、銅やアルミニウムなど)であってもよい。
【0042】
また、本実施例では、キャップ3の材料に洋白やキュプロニッケル等の接合材7の塑性変形による応力を緩衝する材料が用いられているが、この形態に限定されるものではなく、少なくともキャップ3のフランジ34に、接合材7の塑性変形による応力を緩衝する材料が用いられていればよく、例えばキャップ3の天面31に他の材料を用いてもよい。
【0043】
また、本実施例では、キャップ3のフランジ34が凹凸状に成形され、ベース2のフランジ23が、キャップ3の凹凸形状に対応した凹凸状に成形されているが、これは好適な例であり、凹凸の数や形状はこれに限定されるものではない。特に、本実施例では、凹凸の角度を75度としているが、これは好適な例であり、これに限定されるものではない。具体的に、凹凸の角度は45〜90度に設定されることが好適である。
【0044】
また、本実施例では、低温低圧の設定を、200℃、100kg/cm2としているが、これは最適な例であり、温度が25〜360℃、圧力が1〜500kg/cm2に設定されることが好適である。
【0045】
また、本実施例では、キャップ3の材料に洋白やキュプロニッケル等を用いているが、これに限定されるものではなく、接合材7の塑性変形による応力を緩衝する材料であれば、他の材料であってもよい。具体的に、モース硬さが3.0以下のものであることが好ましく、材料として亜鉛、アルミニウ、アンチモン、銀、すず、銅、マグネシウムなどが挙げられる。
【0046】
また、本実施例では、水晶振動子を例にして説明したが、電子部品としてこれに限られるものではなく、キャップとベースとを本体筐体のフランジにおいて気密封止するあらゆる電子部品のパッケージに適用でき、例えば、水晶フィルタ、水晶発振器、セラミック振動子、セラミックフィルタ、SAW共振子、SAWフィルタ、コンデンサ、抵抗器、焦電センサ、半導体素子といった電子部品にも適用できる。
【実施例2】
【0047】
次に、本実施例2にかかる水晶振動子1を図面を用いて説明する。なお、本実施例2にかかる水晶振動子1は、上記した実施例1に対して、緩衝材を付加した点で異なる。そこで、本実施例2では、上記した実施例1と異なる構成について説明し、同一の構成についての説明を省略する。そのため、同一構成による作用効果及び変形例は、上記した実施例1と同様の作用効果及び変形例を有する。
【0048】
本実施例2にかかる水晶振動子1では、図4に示すように、ベース2とキャップ3とから本体筐体4が構成される。この本体筐体4の内部空間5のベース2には、水晶振動素子6が設けられ、水晶振動素子6が気密封止されている。また、本体筐体4にはフランジ41が形成され、このフランジ41においてベース2とキャップ3とが接合材7を介して低温低圧(25〜360℃、1〜100kg/cm2)により接合されている。
【0049】
水晶振動子1の各構成について、図2,4,5を用いて以下に説明する。
【0050】
水晶振動素子6は、実施例1と同一構成からなり、ここでの説明は省略する。また、ベース2も、実施例1と同一構成からなり、ここでの説明は省略する。
【0051】
キャップ3は、図5に示すように、天面31と筒状の外周壁面32とから構成され、これら天面31と外周壁面32とが一体形成されている。また、外周壁面32の下端33には本体筐体4のフランジ41に対応するフランジ34が形成され、このフランジ34がベース2との接合面35とされる。このフランジ34のベース2との接合面35は、図5に示すように平坦に形成され外周壁面32の下端33から直角に折曲した形状に成形されている。また、フランジ34のベース2との接合面35には、接合材7の塑性変形による応力を緩衝する緩衝材8が設けられ、この緩衝材8上に、ベース2との接合に用いる接合材7が積層して形成されている。この緩衝材8の接合材7との接合面81は、図5に示すようにベース2の凹凸形状に対応した凹凸状に形成されている。さらに詳説すると、フランジ34のうちキャップ3の外側(外方)上に設けられた緩衝材8の部位が凹状に形成され、その凹み82の凹端形状が例えば75度の鋭角に設定されている。また、フランジ34のうちキャップ3の内側(内方)上に設けられた緩衝材8の部位が凸状に形成され、その突起83の先端形状が例えば75度の鋭角に設定されている。また、ベース2との接合に用いる接合材7が、緩衝材8の凹凸状に形成された接合面81に沿って形成されている。なお、本実施例では、キャップ3に洋白やキュプロニッケル等を用い、緩衝材8にはキャップ3より柔らかい材料であるアルミニウムや銅やマグネシウムを用いている。また、接合材7は、緩衝材8より柔らかい材料であって、ニッケルめっき上に金めっきを積層したものであり、主構成を金メッキとし、ベース2に形成した接合材7と同一材料からなる。この接合材7では、ニッケルめっきが、金めっきとキャップ3との接合を良好にするために用いている。そのため、本実施例では、ニッケルめっき上に金めっきを積層しているが、これに限定されるものではなく、接合材7が金めっきからなってもよい。
【0052】
上記したキャップ3とベース2とのそれぞれのフランジ23、34に形成した接合材7は、結晶構造が面心立方形からなり、ベース2とキャップ3との接合時に塑性変形するとともに拡散接合される。
【0053】
次に、上記した構成からなる水晶振動子1の製造方法について図2,4,5を用いて説明する。
【0054】
まず、ベース2に設けられたサポート部材22に水晶振動素子6を保持し、サポート部材22と水晶振動素子6(励振電極62および引出電極63)とを電気的に接続する。また、ベース2のフランジ23の接合面24に接合材7を形成する。そして、これらの製造工程により図2に示すベース2を製造する。
【0055】
キャップ3のフランジ34の接合面35に緩衝材8を形成し、この緩衝材8の接合面81上に接合材7を形成して、図5に示すキャップを製造する。
【0056】
なお、上記したベース2とキャップ3の製造工程は、それぞれ独立して行う工程であり、その順番は固定されるものではない。また、ベース2への各構成の配設および形成順は、固定されるものではない。
【0057】
上記した製造工程により製造されたキャップ3とベース2とを本体筐体4のフランジ41において接合材7と緩衝材8とを介して低温低圧(本実施例では200℃、100kg/cm2)により接合し、図4に示す水晶振動子1を製造する。この接合時、接合材7は塑性変形するとともに拡散接合し、さらに緩衝材8が接合材7の塑性変形にともなって変形して接合材7の塑性変形による応力を緩衝する。
【0058】
上記したように、本実施例にかかる水晶振動子1およびその製造方法によれば、上記した実施例1と同様に、抵抗溶接によりベース2とキャップ3とを接合するのに対してスプラッシュが発生するのを防止することができる。そのため、上記した実施例1およびその変形例と同様の作用効果に関する記載は省略する。
【0059】
また、本実施例によれば、ベース2とキャップ3とが接合材7を介して低温低圧により接合される際に接合材7の塑性変形による応力を緩衝材8(およびキャップ3のフランジ34)で緩衝させることができ、その結果、接合材7によるベース2とキャップ3との接合を確実にすることができ、ベース2とキャップ3との間に異物やコンタミネーション、または金属欠陥などがあったとしても緩衝材8(およびキャップ3のフランジ34)で緩衝(吸収)させることができる。すなわち、本実施例によれば、低温低圧によって接合材7を拡散し易い(すべり易い)状態にしてベース2とキャップ3との接合を行うことができる。また、本実施例によれば、緩衝材8(およびキャップ3のフランジ34)の緩衝作用により、ベース2のフランジ23やキャップ3のフランジ34の表面粗さに関係なくベース2とキャップ3との接合を良好にすることができる。また、本実施例によれば、本体筐体4のフランジ41を接合部位としているので、接合材7を介したベース2とキャップ3との低温低圧による接合がし易い。
【0060】
また、ベース2とキャップ3とが接合材7を介して低温低圧により接合される際に接合材7の塑性変形による応力を緩衝材8(およびキャップ3のフランジ34)で緩衝させることができ、上記した実施例1と比較して、低温低圧によって接合材7を拡散し易い(すべり易い)状態にしてベース2とキャップ3とを接合するのに好適である。
【0061】
また、ベース2のフランジ23が凹凸状に成形され、この凹凸状に成形されたフランジ23に対応して、緩衝材8の接合面が凹凸状に成形されることでベース2およびキャップ3それぞれの接合材7との接合面24、35を拡げることができる。その結果、接合材7の拡散接合によるすべりの特性を効率よく利用することができ、接合材7と緩衝材8(およびキャップ34のフランジ34)によってベース2とキャップ3との接合強度を上げることができる。具体的に、低温低圧による圧力をベース2と緩衝材8それぞれの凹凸の凹み25、82や突起26、83に集中させて、そのほかの部位では低温低圧による圧力を分散させることができ、接合力を強化させたい位置(凹み25、82や突起26、83)への接合強化を図ることができる。そのため、接合材7の拡散接合によるすべりの特性による作用が顕著に顕れる。
【0062】
なお、本実施例では、ベース2のフランジ23が凹凸状に成形され、緩衝材8の接合面81が凹凸状に成形されているが、これは好適な例であり、凹凸の数や形状はこれに限定されるものではない。特に、本実施例では、凹凸の角度を75度としているが、これは好適な例であり、これに限定されるものではない。具体的に、凹凸の角度は45〜90度に設定されることが好適である。
【実施例3】
【0063】
次に、本実施例3にかかる水晶振動子1を図面を用いて説明する。なお、本実施例3にかかる水晶振動子1は、上記した実施例2に対して、緩衝材で異なる。そこで、本実施例3では、上記した実施例1,2と異なる構成について説明し、同一の構成についての説明を省略する。そのため、同一構成による作用効果及び変形例は、上記した実施例1,2と同様の作用効果及び変形例を有する。
【0064】
本実施例3にかかる水晶振動子1では、図3,6,7に示すように、ベース2とキャップ3とから本体筐体4が構成される。この本体筐体4の内部空間5のベース2には、水晶振動素子6が設けられ、水晶振動素子6が気密封止されている。また、本体筐体4にはフランジ41が形成され、このフランジ41においてベース2とキャップ3とが接合材7を介して低温低圧(25〜360℃、1〜100kg/cm2)により接合されている。
【0065】
水晶振動子1の各構成について、図3,6,7を用いて以下に説明する。
【0066】
水晶振動素子6は、実施例1,2と同一構成からなり、ここでの説明は省略する。また、キャップ3も、実施例1と同一構成からなり、ここでの説明は省略する。
【0067】
ベース2は、鉄やコバール等からなり、図7に示すように、ベース2には一対のリード端子21が本体筐体4の内部空間5から外部へ貫通して設けられている。また、ベース2には、本体筐体4の内部空間5において水晶振動素子6の励振電極62(正確には引出電極63)と電気的に接続するとともに、水晶振動素子6を内部空間5において保持するサポート部材22が設けられている。このサポート部材22はリード端子21に電気機械的に接続され、サポート部材22に水晶振動素子6が載置され、サポート部材22を介してリード端子21に水晶振動素子6が電気的に接続されている。
【0068】
また、ベース2には、図7に示すように、その平面視外周に本体筐体4のフランジ41に対応するフランジ23が設けられ、このフランジ23がキャップ3との接合面24とされる。このフランジ23のキャップ3との接合面24は、図7に示すように平坦に形成されている。また、フランジ23のキャップ3との接合面24には、接合材7の塑性変形による応力を緩衝する緩衝材8が形成されている。この緩衝材8の接合材7との接合面81は、図7に示すようにキャップ3の凹凸形状に対応した凹凸状に形成されている。さらに詳説すると、フランジ23のうちベース2の内側(内方)上の緩衝材8の部位が凹状に形成され、その凹み82の凹端形状が例えば75度の鋭角に設定されている。また、フランジ23のうちベース2の外側(外方)上の緩衝材8の部位が凸状に形成され、その突起83の先端形状が例えば75度の鋭角に設定されている。また、キャップ3との接合に用いる接合材7が、緩衝材8の凹凸状に形成された接合面81に沿って形成されている。本実施例では、緩衝材8にキャップ3より柔らかい材料であるアルミニウムや銅やマグネシウムを用いている。そして、この緩衝材8上に、キャップ3との接合に用いる接合材7が積層して形成されている。なお、本実施例で用いる接合材7は、緩衝材8より柔らかい材料であって、ニッケルめっき上に金めっきを積層したものであり、主構成を金メッキとしている。この接合材7では、ニッケルめっきが、金めっきと緩衝材8との接合を良好にするために用いている。そのため、本実施例では、ニッケルめっき上に金めっきを積層しているが、これに限定されるものではなく、接合材7が金めっきからなってもよい。
【0069】
上記したキャップ3とベース2とのそれぞれのフランジ23、34に形成した接合材7は、結晶構造が面心立方形からなり、ベース2とキャップ3との接合時に塑性変形するとともに拡散接合される。
【0070】
次に、上記した構成からなる水晶振動子1の製造方法について図3,6,7を用いて説明する。
【0071】
まず、ベース2に設けられたサポート部材22に水晶振動素子6を保持し、サポート部材22と水晶振動素子6(励振電極62および引出電極63)とを電気的に接続する。また、ベース2のフランジ23の接合面24に緩衝材8を形成し、その上に接合材7を積層して形成する。そして、これらの製造工程により図7に示すベース2を製造する。
【0072】
キャップ3のフランジ34の接合面35に接合材7を形成して、図3に示すキャップを製造する。
【0073】
なお、上記したベース2とキャップ3の製造工程は、それぞれ独立して行う工程であり、その順番は固定されるものではない。また、ベース2への各構成の配設および形成順は、固定されるものではない。
【0074】
上記した製造工程により製造されたキャップ3とベース2とを本体筐体4のフランジ41において低温低圧(本実施例では200℃、100kg/cm2)により拡散接合し、図6に示す水晶振動子1を製造する。この接合時、接合材7は塑性変形するとともに拡散接合し、さらに緩衝材8が接合材7の塑性変形にともなって変形して接合材7の塑性変形による応力を緩衝する。
【0075】
上記したように、本実施例にかかる水晶振動子1およびその製造方法によれば、上記した実施例1,2と同様に、抵抗溶接によりベース2とキャップ3とを接合するのに対してスプラッシュが発生するのを防止することができる。なお、上記した実施例1,2およびその変形例と同様の作用効果に関する記載は省略する。
【0076】
また、本実施例によれば、ベース2とキャップ3とが接合材7を介して低温低圧により接合される際に接合材7の塑性変形による応力を緩衝材8(およびキャップ3のフランジ34)で緩衝させることができ、その結果、接合材7によるベース2とキャップ3との接合を確実にすることができ、ベース2とキャップ3との間に異物やコンタミネーション、または金属欠陥などがあったとしても緩衝材8(およびキャップ3のフランジ34)で緩衝(吸収)させることができる。すなわち、本実施例によれば、低温低圧によって接合材7を拡散し易い(すべり易い)状態にしてベース2とキャップ3との接合を行うことができる。また、本実施例によれば、緩衝材8(およびキャップ3のフランジ34)の緩衝作用により、ベース2のフランジ23やキャップ3のフランジ34の表面粗さに関係なくベース2とキャップ3との接合を良好にすることができる。また、本実施例によれば、本体筐体4のフランジ41を接合部位としているので、接合材7を介したベース2とキャップ3との低温低圧による接合がし易い。
【0077】
また、ベース2とキャップ3とが接合材7を介して低温低圧により接合される際に接合材7の塑性変形による応力を緩衝材8(およびキャップ3のフランジ34)で緩衝させることができ、上記した実施例1と比較して、低温低圧によって接合材7を拡散し易い(すべり易い)状態にしてベース2とキャップ3とを接合するのに好適である。
【0078】
また、キャップ3のフランジ34が凹凸状に成形され、この凹凸状に成形されたフランジ34に対応して、緩衝材8の接合面が凹凸状に成形されることでベース2およびキャップ3それぞれの接合材7との接合面24、35を拡げることができる。その結果、接合材7の拡散接合によるすべりの特性を効率よく利用することができ、接合材7と緩衝材8(およびキャップ34のフランジ34)によってベース2とキャップ3との接合強度を上げることができる。具体的に、低温低圧による圧力をキャップ3と緩衝材8それぞれの凹凸の凹み36、82や突起37、83に集中させて、そのほかの部位では低温低圧による圧力を分散させることができ、接合力を強化させたい位置(凹み36、82や突起37、83)への接合強化を図ることができる。そのため、接合材7の拡散接合によるすべりの特性による作用が顕著に顕れる。
【0079】
なお、本実施例では、キャップ3のフランジ34が凹凸状に成形され、緩衝材8の接合面81が凹凸状に成形されているが、これは好適な例であり、凹凸の数や形状はこれに限定されるものではない。特に、本実施例では、凹凸の角度を75度としているが、これは最適な例であり、これに限定されるものではない。具体的に、凹凸の角度は45〜90度に設定されることが好適である。
【0080】
また、本発明は、その精神や主旨または主要な特徴から逸脱することなく、他のいろいろな形で実施することができる。そのため、上述の実施例はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、なんら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明は、水晶振動子に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】図1は、本実施例1にかかる水晶振動子の概略構成図であり、その内部空間を一部公開した概略側面図である。
【図2】図2は、本実施例1,2にかかるベースの概略構成図であり、貫通して設けたリード端子を一部公開した概略側面図である。
【図3】図3は、本実施例1,3にかかるキャップの概略構成図であり、内部を公開した概略端面図である。
【図4】図4は、本実施例2にかかる水晶振動子の概略構成図であり、その内部空間を一部公開した概略側面図である。
【図5】図5は、本実施例2にかかるキャップの概略構成図であり、内部を公開した概略端面図である。
【図6】図6は、本実施例3にかかる水晶振動子の概略構成図であり、その内部空間を一部公開した概略側面図である。
【図7】図7は、本実施例3にかかるベースの概略構成図であり、貫通して設けたリード端子を一部公開した概略側面図である。
【符号の説明】
【0083】
1 水晶振動子
2 ベース
23 ベースのフランジ
3 キャップ
34 キャップのフランジ
4 本体筐体
41 本体筐体のフランジ
5 内部空間
6 水晶振動素子
7 接合材
8 緩衝材
81 接合面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品において、
ベースとキャップとから本体筐体が構成され、前記本体筐体の内部空間に電子部品素子が設けられ、
前記本体筐体にはフランジが形成され、このフランジにおいて前記ベースと前記キャップとが接合材を介して低温低圧により接合され、
前記接合材は、結晶構造が面心立方形であり、前記ベースと前記キャップとの接合時に塑性変形するとともに拡散接合され、
前記本体筐体のフランジに対応する前記キャップのフランジに、前記接合材の塑性変形による応力を緩衝する材料が用いられたことを特徴とする電子部品。
【請求項2】
請求項1に記載の電子部品において、
前記本体筐体のフランジに対応する前記キャップのフランジが、凹凸状に成形され、
前記本体筐体のフランジに対応する前記ベースのフランジが、前記キャップの凹凸形状に対応した凹凸状に成形されたことを特徴とする電子部品。
【請求項3】
電子部品において、
ベースとキャップとから本体筐体が構成され、前記本体筐体の内部空間に電子部品素子が設けられ、
前記本体筐体にはフランジが形成され、このフランジにおいて前記ベースと前記キャップとが接合材を介して低温低圧により接合され、
前記接合材は、結晶構造が面心立方形であり、前記ベースと前記キャップとの接合時に塑性変形するとともに拡散接合され、
前記本体筐体のフランジに、前記接合材の塑性変形による応力を緩衝する緩衝材が設けられたことを特徴とする電子部品。
【請求項4】
請求項3に記載の電子部品において、
前記緩衝材には、前記キャップより柔らかい材料が用いられたことを特徴とする電子部品。
【請求項5】
請求項3または4に記載の電子部品において、
前記本体筐体のフランジに対応する前記キャップもしくは前記ベースの少なくとも1つのフランジが、凹凸状に成形され、
前記凹凸状に成形された前記キャップもしくは前記ベースの少なくとも1つのフランジに対応して、前記緩衝材の接合面が凹凸状に成形されたことを特徴とする電子部品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−10601(P2009−10601A)
【公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−169144(P2007−169144)
【出願日】平成19年6月27日(2007.6.27)
【出願人】(000149734)株式会社大真空 (312)
【Fターム(参考)】