説明

電極とその製造方法およびそれを用いたリード配線とその接続方法およびそれらを用いた電子部品と電子機器

【課題】
電子デバイスの微細化高密度化に伴い、電子デバイスやプリント基板上の配線を微細化する必要があり、配線端部の電極突起を均一な厚みに形成する必要があった。
【解決手段】
配線端部またはリード線端部の表面に選択的に1層形成された導電性微粒子の膜が配線端部表面またはリード線端部に選択的に形成された第1の有機膜と導電性微粒子表面に形成された第2の有機膜を介して互いに共有結合していることを特徴とする電極およびこれらの有機膜が互いに異なることを特徴とする請求項1記載の電極。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器や電子デバイス、プリント基板に用いる電極およびその製造方法とそれを用いたリード配線とその接続方法に関するものである。さらに詳しくは、表面に熱反応性または光反応性、あるいはラジカル反応性またはイオン反応性を付与した導電性微粒子を用いた単層の導電性微粒子膜や導電性微粒子の積層体を用いた電極とその製造方法およびそれを用いたリード配線とその接続方法およびそれらを用いた電子部品と電子機器に関するものである。
【0002】
本発明において、「導電性微粒子」には、金、銀、銅、ニッケル、あるいは、銀メッキした貴金属や銅、ニッケルの金属微粒子、あるいは金属酸化物微粒子であるITOやSnOが含まれる。
【背景技術】
【0003】
従来から、電子機器や電子デバイス、プリント基板に用いるバンプ電極およびその製造方法やそれを用いたリード配線とその接続方法として、導体ペーストを配線先端部に印刷塗布して外部リード線を接着する方法や、あらかじめ別基板に形成したバンプを配線先端部転写し、前記バンプを介して外部リード線を圧着する方法が知られている。
【特許文献1】特開2002-016169号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、電子デバイスやプリント基板の微細化高密度化に伴い、銀ペーストの印刷やバンプ方式では、高密度化の点で十分対応しきれなくなってきている。
【0005】
電子デバイスやプリント基板上の配線を微細化するためには、配線端部の電極突起を均一な厚みに形成する必要がある。しかしながら、導電性微粒子を用いて単層毎に累積し、粒子サイズレベルで均一厚みの被膜を製造するという思想はなかった。
【0006】
本発明は、導電性微粒子を用い、導電性微粒子本来の機能を損なうことなく、新たな機能を付与し、任意の配線端部表面に選択的に導電性微粒子を1層のみの並べた粒子サイズレベルで均一厚みの被膜(パターン状の単層導電性微粒子膜)を用いた電極や導電性微粒子を1層のみ並べた膜を複数層選択的に累積した被膜(パターン状の導電性微粒子膜積層体)を用いた電極及びその製造方法とそれを用いたリード配線とその接続方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するための手段として提供される第一の発明は、配線端部またはリード線端部の表面に選択的に1層形成された導電性微粒子の膜が配線端部表面またはリード線端部に選択的に形成された第1の有機膜と導電性微粒子表面に形成された第2の有機膜を介して互いに共有結合していることを特徴とする電極である。
【0008】
第二の発明は、第一の発明において、配線端部表面またはリード線端部の表面に形成された第1の有機被膜と導電性微粒子表面に形成された第2の有機膜が互いに異なることを特徴とする電極である。
【0009】
第三の発明は、第一の発明において、共有結合が、エポキシ基とイミノ基の反応で形成された−N−C−の結合であることを特徴とする電極である。
第四の発明は、第一の発明及び第二の発明において、配線端部表面またはリード線端部の表面に形成された第1の有機被膜と導電性微粒子表面に形成された第2の有機膜が単分子膜で構成されていることを特徴とする電極である。
【0010】
第五の発明は、配線端部表面またはリード線端部の表面を少なくとも第1のアルコキシシラン化合物とシラノール縮合触媒と非水系の有機溶媒を混合して作成した化学吸着液中に接触させてアルコキシシラン化合物と配線端部表面またはリード線端部の表面を反応させて配線端部表面またはリード線端部の表面に第1の反応性の有機膜を形成する工程と、前記第1の反応性の有機膜を所定のパターンに加工する工程と、導電性微粒子を少なくとも第2のアルコキシシラン化合物とシラノール縮合触媒と非水系の有機溶媒を混合して作成した化学吸着液中に分散させてアルコキシシラン化合物と導電性微粒子表面を反応させて導電性微粒子表面に第2の反応性の有機膜を形成する工程と、第1の反応性の有機膜の形成された配線端部表面またはリード線端部に第2の反応性の有機膜で被覆された導電性微粒子を接触させて選択的に反応させる工程と、余分な第2の反応性の有機膜で被覆された導電性微粒子を洗浄除去することを特徴とする電極の製造方法である。
【0011】
第六の発明は、第五の発明において、配線端部表面またはリード線端部の表面を少なくとも第1のアルコキシシラン化合物とシラノール縮合触媒と非水系の有機溶媒を混合して作成した化学吸着液中に接触させてアルコキシシラン化合物と配線端部表面またはリード線端部の表面を反応させて配線端部表面またはリード線端部の表面に第1の反応性の有機膜を形成する工程、および導電性微粒子を少なくとも第2のアルコキシシラン化合物とシラノール縮合触媒と非水系の有機溶媒を混合して作成した化学吸着液中に分散させてアルコキシシラン化合物と導電性微粒子表面を反応させて導電性微粒子表面に第2の反応性の有機膜を形成する工程の後に、それぞれ端部および導電性微粒子表面を有機溶剤で洗浄して端部及び導電性微粒子表面に共有結合した第1及び第2の反応性の単分子膜を形成することを特徴とする電極の製造方法である。
【0012】
第七の発明は、第五の発明において、第1の反応性の有機膜がエポキシ基を含み第2の反応性の有機膜がイミノ基を含むことを特徴とする電極の製造方法である。
【0013】
第八の発明は、第六の発明において、第1の反応性の単分子膜がエポキシ基を含み第2の反応性の単分子膜がイミノ基を含むことを特徴とする電極の製造方法。
【0014】
第九の発明は、配線端部表面またはリード線端部の表面に選択的に層状に累積され導電性微粒子が導電性微粒子表面に形成された有機被膜を介して層間で互いに共有結合していることを特徴とする電極。
第十の発明は、第九の発明において、導電性微粒子表面に形成された有機被膜が2種類有り、第1の有機膜が形成された導電性微粒子と第2の有機膜が形成された導電性微粒子とが交互に積層されていることを特徴とする電極である。
【0015】
第十一の発明は、第十の発明において、第1の有機膜と第2の有機膜が反応して共有結合を形成していることを特徴とする電極である。
【0016】
第十二の発明は、第九の発明において、共有結合が、エポキシ基とイミノ基の反応で形成された−N−C−の結合であることを特徴とする電極である。
【0017】
第十三の発明は、少なくとも配線端部表面またはリード線端部の表面を第1のアルコキシシラン化合物とシラノール縮合触媒と非水系の有機溶媒を混合して作成した化学吸着液中に接触させてアルコキシシラン化合物と配線端部表面またはリード線端部の表面を反応させて配線端部表面またはリード線端部の表面に第1の反応性の有機膜を形成する工程と、前記第1の反応性の有機膜を所定のパターンに加工する工程と、第1の導電性微粒子を少なくとも第2のアルコキシシラン化合物とシラノール縮合触媒と非水系の有機溶媒を混合して作成した化学吸着液中に分散させてアルコキシシラン化合物と導電性微粒子表面を反応させて第1の導電性微粒子表面に第2の反応性の有機膜を形成する工程と、第1の反応性の有機膜の形成された配線端部表面またはリード線端部の表面に第2の反応性の有機膜で被覆された第1の導電性微粒子を接触させて反応させる工程と、余分な第2の反応性の有機膜で被覆された第1の導電性微粒子を洗浄除去して第1のパターン状の単層導電性微粒子膜を選択的に形成する工程と、第2の導電性微粒子を少なくとも第3のアルコキシシラン化合物とシラノール縮合触媒と非水系の有機溶媒を混合して作成した化学吸着液中に分散させてアルコキシシラン化合物と導電性微粒子表面を反応させて第2の導電性微粒子表面に第3の反応性の有機膜を形成する工程と、第2の反応性の有機膜で被覆された第1のパターン状の単層導電性微粒子膜が形成された配線端部表面またはリード線端部の表面に第3の反応性の有機膜で被覆された第2の導電性微粒子を接触させて反応させる工程と、余分な第3の反応性の有機膜で被覆された第2の導電性微粒子を洗浄除去して第2のパターン状の単層導電性微粒子膜を選択的に形成する工程とを含むことを特徴とする電極の製造方法である。
【0018】
第十四の発明は、第十三の発明において、第1の反応性の有機膜と第3の反応性の有機膜が同じものであることを特徴とする電極の製造方法である。
【0019】
第十五の発明は、第十三の発明において、2のパターン状の単層導電性微粒子膜を形成する工程の後、同様に第1のパターン状の単層導電性微粒子膜を形成する工程と第2のパターン状の単層導電性微粒子膜を形成する工程を繰り返し行うことを特徴とする電極の製造方法である。
【0020】
第十六の発明は、大十三の発明において、第1〜3の反応性の有機膜を形成する工程の後に、それぞれ基材あるいは導電性微粒子表面を有機溶剤で洗浄して基材や導電性微粒子表面に共有結合した第1〜3の反応性の単分子膜を形成することを特徴とする電極の製造方法である。
【0021】
第十七の発明は、第十三の発明において、第1および3の反応性の有機膜がエポキシ基を含み第2の反応性の有機膜がイミノ基を含むことを特徴とする電極の製造方法である。
【0022】
第十八の発明は、第五の発明及び第十三の発明において、シラノール縮合触媒の代わりに、ケチミン化合物、又は有機酸、アルジミン化合物、エナミン化合物、オキサゾリジン化合物、アミノアルキルアルコキシシラン化合物を用いることを特徴とする電極の製造方法である。
【0023】
第十九の発明は、第五の発明及び第十三の発明において、シラノール縮合触媒に助触媒としてケチミン化合物、又は有機酸、アルジミン化合物、エナミン化合物、オキサゾリジン化合物、アミノアルキルアルコキシシラン化合物から選ばれる少なくとも1つを混合して用いることを特徴とする電極の製造方法である。
【0024】
第二十の発明は、回路基板上の配線端部とリード線が、配線端部表面に形成された第1の有機膜と導電性微粒子表面に形成された第2の有機膜とリード線表面に形成された第3の有機膜を介して接続されていることを特徴とするリード配線である。
【0025】
第二十一の発明は、導電性微粒子が層状に1層あるいは複数層形成されていることを特徴とするリード配線である。
【0026】
第二十二の発明は、第二十の発明において、第一の有機膜と第3の有機膜が導電性微粒子表面に形成された第2の有機膜を介して互いに直接あるいは間接に共有結合で結合していることを特徴とするリード配線である。
第二十三の発明は、第二十一の発明において、共有結合が、エポキシ基とイミノ基の反応で形成された−N−C−の結合であることを特徴とするリード配線である。
【0027】
第二十四の発明は、第二十乃至第二十三の発明において、第1の有機膜と第2の有機膜と有機膜と第3の有機膜が単分子膜で構成されていることを特徴とするリード配線である。
【0028】
第二十五の発明は、配線端部表面またはリード線端部の表面を少なくとも第1のアルコキシシラン化合物とシラノール縮合触媒と非水系の有機溶媒を混合して作成した化学吸着液中に接触させてアルコキシシラン化合物と配線端部表面またはリード線端部の表面を反応させて配線端部表面に第1の反応性の有機膜を形成する工程と、リード線端部の表面を少なくとも第3のアルコキシシラン化合物とシラノール縮合触媒と非水系の有機溶媒を混合して作成した化学吸着液中に接触させてアルコキシシラン化合物と配線端部表面またはリード線端部の表面を反応させて配線端部表面またはリード線端部の表面に第3の反応性の有機膜を形成する工程と、前記第1または第3の反応性の有機膜を所定のパターンに加工する工程と、導電性微粒子を少なくとも第2のアルコキシシラン化合物とシラノール縮合触媒と非水系の有機溶媒を混合して作成した化学吸着液中に分散させてアルコキシシラン化合物と導電性微粒子表面を反応させて導電性微粒子表面に第2の反応性の有機膜を形成する工程と、パターン状の第1または第3の反応性の有機膜の形成された配線端部またはリード線端部の表面に第2の反応性の有機膜で被覆された導電性微粒子を接触させて選択的に反応させる工程と、余分な第2の反応性の有機膜で被覆された導電性微粒子を洗浄除去して第24の反応性の有機膜で被われた導電性微粒子層を形成する工程と、前記配線端部とリード線端部を導電性微粒子層を挟んで圧着接続する工程を含むことを特徴とするリード配線の接続方法である。
【0029】
第二十六の発明は、第二十五の発明において、導電性微粒子層を複数層形成しておくことを特徴とするリード配線の接続方法である。
【0030】
第二十七の発明は、第二十五の発明において、パターン状の第1および第3の反応性の有機膜の形成された配線端部およびリード線端部の最表面にそれぞれ第2および第4の反応性の有機膜で被覆された導電性微粒子を接触させて選択的に反応させてそれぞれの最表面に第2および第4の反応性の有機膜で被われた導電性微粒子層を形成することを特徴とするリード配線の接続方法である。
【0031】
第二十八の発明は、第二十七の発明において、第2および第4の反応性の有機膜が互いに反応する官能基を含むことを特徴とするリード配線の接続方法である。
【0032】
第二十九の発明は、第一の発明 乃至第四の発明の電極、第九の発明乃至第十二の電極および第二十乃至第二十四の発明のリード配線を用いた電子部品である。
【0033】
第三十の発明は、第一の発明 乃至第四の発明の電極、第九の発明乃至第十二の電極および第二十乃至第二十四の発明のリード配線を用いた電子機器である。
【0034】
以上の発明に関して、更に要旨の説明を加えると、配線端部表面またはリード線端部の表面を少なくとも第1のアルコキシシラン化合物とシラノール縮合触媒と非水系の有機溶媒を混合して作成した化学吸着液中に接触させてアルコキシシラン化合物と配線端部表面またはリード線端部の表面を反応させて配線端部表面またはリード線端部の表面に第1の反応性の有機膜を形成する工程と、前記第1の反応性の有機膜を所定のパターンに加工する工程と、導電性微粒子を少なくとも第2のアルコキシシラン化合物とシラノール縮合触媒と非水系の有機溶媒を混合して作成した化学吸着液中に分散させてアルコキシシラン化合物と導電性微粒子表面を反応させて導電性微粒子表面に第2の反応性の有機膜を形成する工程と、第1の反応性の有機膜の形成された配線端部表面またはリード線端部に第2の反応性の有機膜で被覆された導電性微粒子を接触させて選択的に反応させる工程と、余分な第2の反応性の有機膜で被覆された導電性微粒子を洗浄除去する工程を用いて、配線端部またはリード線端部の表面に選択的に1層形成された導電性微粒子の膜が配線端部表面またはリード線端部に選択的に形成された第1の有機膜と導電性微粒子表面に形成された第2の有機膜を介して互いに共有結合している電極を製造提供することを要旨とする
【0035】
このとき、配線端部表面またはリード線端部の表面を少なくとも第1のアルコキシシラン化合物とシラノール縮合触媒と非水系の有機溶媒を混合して作成した化学吸着液中に接触させてアルコキシシラン化合物と配線端部表面またはリード線端部の表面を反応させて配線端部表面またはリード線端部の表面に第1の反応性の有機膜を形成する工程、および導電性微粒子を少なくとも第2のアルコキシシラン化合物とシラノール縮合触媒と非水系の有機溶媒を混合して作成した化学吸着液中に分散させてアルコキシシラン化合物と導電性微粒子表面を反応させて導電性微粒子表面に第2の反応性の有機膜を形成する工程の後に、それぞれ端部および導電性微粒子表面を有機溶剤で洗浄して端部及び導電性微粒子表面に共有結合した第1及び第2の反応性の単分子膜を形成すると電極の導電性を向上する上で都合がよい。
【0036】
また、第1の反応性の有機膜あるいは単分子膜にエポキシ基を含ませ第2の反応性の有機膜にイミノ基を含ませておくと、強固な共有結合を生成する上で都合がよい。
【0037】
ここで、配線端部表面またはリード線端部の表面に形成された第1の有機被膜と導電性微粒子表面に形成された第2の有機膜が互いに共有結合反応する官能基であれば、電極の強度を高める上で都合がよい。また、共有結合が、エポキシ基とイミノ基の反応で形成された−N−C−の結合であると、電極の安定性を高める上で都合がよい。
【0038】
また、配線端部表面またはリード線端部の表面に形成された第1の有機被膜と導電性微粒子表面に形成された第2の有機膜が単分子膜で構成されていると、導電性に優れた電極を作成する上で都合がよい。
【0039】
一方、本発明は、少なくとも配線端部表面またはリード線端部の表面を第1のアルコキシシラン化合物とシラノール縮合触媒と非水系の有機溶媒を混合して作成した化学吸着液中に接触させてアルコキシシラン化合物と配線端部表面またはリード線端部の表面を反応させて配線端部表面またはリード線端部の表面に第1の反応性の有機膜を形成する工程と、前記第1の反応性の有機膜を所定のパターンに加工する工程と、第1の導電性微粒子を少なくとも第2のアルコキシシラン化合物とシラノール縮合触媒と非水系の有機溶媒を混合して作成した化学吸着液中に分散させてアルコキシシラン化合物と導電性微粒子表面を反応させて第1の導電性微粒子表面に第2の反応性の有機膜を形成する工程と、第1の反応性の有機膜の形成された配線端部表面またはリード線端部の表面に第2の反応性の有機膜で被覆された第1の導電性微粒子を接触させて反応させる工程と、余分な第2の反応性の有機膜で被覆された第1の導電性微粒子を洗浄除去して第1のパターン状の単層導電性微粒子膜を選択的に形成する工程と、第2の導電性微粒子を少なくとも第3のアルコキシシラン化合物とシラノール縮合触媒と非水系の有機溶媒を混合して作成した化学吸着液中に分散させてアルコキシシラン化合物と導電性微粒子表面を反応させて第2の導電性微粒子表面に第3の反応性の有機膜を形成する工程と、第2の反応性の有機膜で被覆された第1のパターン状の単層導電性微粒子膜が形成された配線端部表面またはリード線端部の表面に第3の反応性の有機膜で被覆された第2の導電性微粒子を接触させて反応させる工程と、余分な第3の反応性の有機膜で被覆された第2の導電性微粒子を洗浄除去して第2のパターン状の単層導電性微粒子膜を選択的に形成する工程とを用いて、配線端部表面またはリード線端部の表面に選択的に層状に累積され導電性微粒子が導電性微粒子表面に形成された有機被膜を介して層間で互いに共有結合している電極を製造提供することを要旨とする。
【0040】
このとき、第1の反応性の有機膜と第3の反応性の有機膜が同じものであると電極製造のコストを下げる上で都合がよい。
また、第2のパターン状の単層導電性微粒子膜を形成する工程の後、同様に第1のパターン状の単層導電性微粒子膜を形成する工程と第2のパターン状の単層導電性微粒子膜を形成する工程を繰り返し行うと、電極の突起を大きくできて外部リード線との接続の上で都合がよい。
【0041】
さらに、第1〜3の反応性の有機膜を形成する工程の後に、それぞれ基材あるいは導電性微粒子表面を有機溶剤で洗浄して基材や導電性微粒子表面に共有結合した第1〜3の反応性の単分子膜を形成しておくと、電極の導電性を高める上で都合がよい。
【0042】
さらにまた、第1および3の反応性の有機膜にエポキシ基を含ませ第2の反応性の有機膜にイミノ基を含ませておくと、安定性の高い電極を製造する上で都合がよい。シラノール縮合触媒の代わりに、ケチミン化合物、又は有機酸、アルジミン化合物、エナミン化合物、オキサゾリジン化合物、アミノアルキルアルコキシシラン化合物を用いると、有機膜の作成の効率を高める上で都合がよい。シラノール縮合触媒に助触媒としてケチミン化合物、又は有機酸、アルジミン化合物、エナミン化合物、オキサゾリジン化合物、アミノアルキルアルコキシシラン化合物から選ばれる少なくとも1つを混合して用いると、有機膜の作成の効率を高める上でさらに好都合である。
【0043】
ここで、導電性微粒子表面に形成された有機被膜を2種類作り、第1の有機膜が形成された導電性微粒子と第2の有機膜が形成された導電性微粒子とを交互に積層すると、電極の高さを調整する上で都合がよい。また、第1の有機膜と第2の有機膜が反応してエポキシ基とイミノ基の反応で形成された−N−C−の結合等の共有結合を形成していると、電極の強度を向上する上で好都合である。
【0044】
さらにまた、本発明は、配線端部表面またはリード線端部の表面を少なくとも第1のアルコキシシラン化合物とシラノール縮合触媒と非水系の有機溶媒を混合して作成した化学吸着液中に接触させてアルコキシシラン化合物と配線端部表面またはリード線端部の表面を反応させて配線端部表面に第1の反応性の有機膜を形成する工程と、リード線端部の表面を少なくとも第3のアルコキシシラン化合物とシラノール縮合触媒と非水系の有機溶媒を混合して作成した化学吸着液中に接触させてアルコキシシラン化合物と配線端部表面またはリード線端部の表面を反応させて配線端部表面またはリード線端部の表面に第3の反応性の有機膜を形成する工程と、前記第1または第3の反応性の有機膜を所定のパターンに加工する工程と、導電性微粒子を少なくとも第2のアルコキシシラン化合物とシラノール縮合触媒と非水系の有機溶媒を混合して作成した化学吸着液中に分散させてアルコキシシラン化合物と導電性微粒子表面を反応させて導電性微粒子表面に第2の反応性の有機膜を形成する工程と、パターン状の第1または第3の反応性の有機膜の形成された配線端部またはリード線端部の表面に第2の反応性の有機膜で被覆された導電性微粒子を接触させて選択的に反応させる工程と、余分な第2の反応性の有機膜で被覆された導電性微粒子を洗浄除去して第2の反応性の有機膜で被われた導電性微粒子層よりなる電極を形成する工程と、前記配線端部とリード線端部を導電性微粒子層よりなる電極を挟んで圧着接続する工程とにより、回路基板上の配線端部とリード線が、配線端部表面に形成された第1の有機膜と導電性微粒子表面に形成された第2の有機膜とリード線表面に形成された第3の有機膜を介して接続されているリード配線を製造提供することを要旨とする。
【0045】
このとき、導電性微粒子層を複数層形成しておくこと、基板段差を解消する上で都合がよい。また、パターン状の第1および第3の反応性の有機膜の形成された配線端部およびリード線端部の最表面にそれぞれ第2および第4の反応性の有機膜で被覆された導電性微粒子を接触させて選択的に反応させてそれぞれの最表面に第2および第4の反応性の有機膜で被われた導電性微粒子層を形成しておき、これら第2および第4の反応性の有機膜が互いに反応する官能基であれば、配線とリード線を接続する上で都合がよい。
【0046】
ここで、導電性微粒子が層状に1層あるいは複数層形成されていると信頼性の高いリード配線が得られる。
また、第1の有機膜と第3の有機膜が導電性微粒子表面に形成された第2の有機膜を介して互いに直接あるいは間接にエポキシ基とイミノ基が反応して形成された−N−C−の共有結合で結合していると、信頼性の高いリード配線を形成する上で都合がよい。
さらにまた、第1の有機膜と第2の有機膜と有機膜と第3の有機膜が単分子膜で構成されていると、接続抵抗の低いリード配線を形成する上で都合がよい。
【発明の効果】
【0047】
以上説明したとおり、本発明によれば、導電性微粒子を用い、導電性微粒子本来の機能を損なうことなく、新たな機能を付与し、任意の回路基板表面の配線端部やリード線端部表面に選択的に導電性微粒子を1層のみ並べた粒子サイズレベルで均一厚みの被膜を用いた電極や、導電性微粒子を1層のみ並べた膜を複数層選択的に累積した被膜を用いた電極及びその製造方法とそれを用いた高密度リード配線とその接続方法を低コストで提供できる格別の効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0048】
本発明は、配線端部表面またはリード線端部の表面を少なくとも第1のアルコキシシラン化合物とシラノール縮合触媒と非水系の有機溶媒を混合して作成した化学吸着液中に接触させてアルコキシシラン化合物と配線端部表面またはリード線端部の表面を反応させて配線端部表面に第1の反応性の有機膜を形成する工程と、リード線端部の表面を少なくとも第3のアルコキシシラン化合物とシラノール縮合触媒と非水系の有機溶媒を混合して作成した化学吸着液中に接触させてアルコキシシラン化合物と配線端部表面またはリード線端部の表面を反応させて配線端部表面またはリード線端部の表面に第3の反応性の有機膜を形成する工程と、前記第1または第3の反応性の有機膜を所定のパターンに加工する工程と、導電性微粒子を少なくとも第2のアルコキシシラン化合物とシラノール縮合触媒と非水系の有機溶媒を混合して作成した化学吸着液中に分散させてアルコキシシラン化合物と導電性微粒子表面を反応させて導電性微粒子表面に第2の反応性の有機膜を形成する工程と、パターン状の第1または第3の反応性の有機膜の形成された配線端部またはリード線端部の表面に第2の反応性の有機膜で被覆された導電性微粒子を接触させて選択的に反応させる工程と、余分な第2の反応性の有機膜で被覆された導電性微粒子を洗浄除去して第2の反応性の有機膜で被われた導電性微粒子層よりなる電極を形成する工程と、前記配線端部とリード線端部を前記導電性微粒子層よりなる電極を挟んで圧着接続する工程とにより、回路基板上の配線端部とリード線が、配線端部表面に形成された第1の反応性の有機膜と導電性微粒子表面に形成された第2の反応性の有機膜とリード線表面に形成された第3の反応性の有機膜を介して接続されているリード配線を製造提供するものである。
【0049】
したがって、本発明では、反応性の有機被膜で被われた配線端部と反応性の有機被膜で被われたリード線を反応性の有機膜で被われた導電性微粒子よりなる電極用いることにより、接続抵抗が低く且つ信頼性の高いリード配線を簡便で低コストに製造できる作用がある。
【0050】
以下、本願発明の詳細を実施例を用いて説明するが、本願発明は、これら実施例によって何ら限定されるものではない。
【0051】
また、本発明に関するパターン状の単層導電性微粒子膜を用いた電極やパターン状の導電性微粒子膜積層体を用いた電極の作成には、銀、銅、ニッケル、あるいは、銀メッキした貴金属や銅、ニッケルの微粒子が利用可能であるが、代表例として銀微粒子を取り上げて説明する。
【実施例1】
【0052】
まず、配線1の形成された電子デバイスを用意し、よく乾燥した。次に、化学吸着剤として機能部位に反応性の官能基、例えば、エポキシ基と他端にアルコキシシリル基を含む薬剤、例えば、下記式(化1)に示す薬剤を99重量%、シラノール縮合触媒として、例えば、ジブチル錫ジアセチルアセトナートを1重量%となるようそれぞれ秤量し、シリコーン溶媒、例えば、ヘキサメチルジシロキサン溶媒に1重量%程度の濃度(好ましくい化学吸着剤の濃度は、0.5〜3%程度)になるように溶かして化学吸着液を調製した。
【0053】
【化1】

【0054】
次に、この吸着液に、電子デバイスを漬浸して普通の空気中で(相対湿度45%)で2時間反応させた。このとき、電子デバイス表面には水酸基3が多数含まれているの(図1(a))で、前記化学吸着剤の−Si(OCH)基と前記水酸基がシラノール縮合触媒の存在下で脱アルコール(この場合は、脱CHOH)反応し、下記式(化2)に示したような結合を形成し、配線1の表面全面に亘り表面と化学結合したエポキシ基を含む化学吸着単分子膜4が約1ナノメートル程度の膜厚で形成される。
【0055】
【化2】

【0056】
その後、塩素系溶媒であるトリクレンを用いて洗浄すると、表面に反応性の官能基、例えばエポキシ基を有する化学吸着単分子膜で被われた電子デバイス、がそれぞれ作製できた。(図1(b))
【0057】
なお、洗浄せずに空気中に取り出すと、反応性はほぼ変わらないが、溶媒が蒸発し電子デバイスの表面に残った化学吸着剤が表面で空気中の水分と反応して、表面に前記化学吸着剤よりなる極薄の反応性のポリマー膜が形成された電子デバイスが得られた。
【0058】
次に、エキシマレーザーとマスクを用いて、前記配線端部表面の不要部を選択的に照射し、配線端部1’以外を前記反応性の単分子膜をアブレーションで除去する(図1(c))か、あるいはエポキシ基を開環させて失活させた。(図1(d))すなわち、電子デバイス表面にエポキシ基を持ったパターン状の被膜6、6’ (第1の反応性の有機膜)で選択的に被われた配線7’を製作できた。
【0059】
他の方法として、前記被膜表面にカチオン系の重合開始剤、例えばチバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製のイルガキュア250をMEKで希釈してエポキシ被膜表面に適量塗布し、遠紫外線で選択的に露光しても、選択的にエポキシ基を開環重合させてパターン状に失活できた。
【実施例2】
【0060】
実施例1と同様に、まず、大きさが100nm程度の無水の銀微粒子11を用意し、よく乾燥した。次に、化学吸着剤として機能部位に反応性の官能基、例えば、エポキシ基あるいはイミノ基と他端にアルコキシシリル基を含む薬剤、例えば、前記式(化1)あるいは下記式(化3)に示す薬剤を99重量%、シラノール縮合触媒として、例えば、ジブチル錫ジアセチルアセトナート、あるいは有機酸である酢酸を1重量%となるようそれぞれ秤量し、シリコーン溶媒、例えば、ヘキサメチルジシロキサンとジメチルホルムアミド(50:50)混合溶媒に1重量%程度の濃度(好ましくい化学吸着剤の濃度は、0.5〜3%程度)になるように溶かして化学吸着液を調製した。
【0061】
【化3】

【0062】
この吸着液に無水の銀微粒子11を混入撹拌して普通の空気中で(相対湿度45%)で2時間反応させた。このとき、無水の銀微粒子表面には水酸基12が多数含まれているの(図2(a))で、前記化学吸着剤の−Si(OCH)基と前記水酸基がシラノール縮合触媒、あるいは有機酸である酢酸の存在下で脱アルコール(この場合は、脱CHOH)反応し、前記式(化2)あるいは下記式(化4)に示したような結合を形成し、導電性銀微粒子表面全面に亘り表面と化学結合したエポキシ基を含む化学吸着単分子膜13あるいはアミノ基を含む化学吸着膜14が約1ナノメートル程度の膜厚で形成される(図2(b)、2(c))。
【0063】
【化4】

【0064】
なお、ここで、アミノ基を含む吸着剤を使用する場合には、スズ系の触媒では沈殿が生成するので、酢酸等の有機酸を用いた方がよかった。また、アミノ基はイミノ基を含んでいるが、アミノ基以外にイミノ基を含む物質には、ピロール誘導体や、イミダゾール誘導体等がある。さらに、ケチミン誘導体を用いれば、被膜形成後、加水分解により容易にアミノ基を導入できた。
その後、トリクレンやn−メチルピロリディノンを添加して撹拌洗浄すると、表面に反応性の官能基、例えばエポキシ基を有する化学吸着単分子膜(第2の反応性の有機膜)で被われた銀微粒子15、あるいはアミノ基を有する化学吸着単分子膜(これも第2の反応性の有機膜)で被われた銀微粒子16をそれぞれ作製できた。
【0065】
また、微粒子の素材がAuの場合には、表面に水酸基を持ってないが、化学吸着剤として末端のSiCl3基やSi(OCH)3を−SH基やトリアジンチオール基で置換した薬剤(例えば、H2N(CH2)−SH(nは整数))、具体的には、H2N(CH2)11−SH等を用いれば、Sを介してアミノ基を含む単分子膜が形成された金微粒子を製造できた。一方、−SHとメトキシシリル基を両末端にもつ薬剤(例えば、HS(CH)Si(OCH)3(mは整数))、具体的には、HS(CH)Si(OCH)3等を用いれば、Sを介して表面に反応性のメトキシシリル基を含む単分子膜が形成された金微粒子を製造できた。
【0066】
なお、この被膜はナノメートルレベルの膜厚で極めて薄いため、粒子径を損なうことはなかった。
一方、洗浄せずに空気中に取り出すと、反応性はほぼ変わらないが、溶媒が蒸発し粒子表面に残った化学吸着剤が表面で空気中の水分と反応して、表面に前記化学吸着剤よりなる極薄の反応性ポリマー膜が形成された導電性銀微粒子が得られた。
【0067】
この方法の特徴は、脱アルコール反応であるため、導電性微粒子が有機、あるいは無機物であったとしても使用可能であり、適用範囲が広い。
また、微粒子の素材がAuの場合には、末端のSi(OCH)3を−SH、あるいはトリアジンチオール基で置換した薬剤、例えば、H2N(CH2)11−SH、あるいはH2N(CH2)−SH等を用いれば、Sを介して同様の反応性アミノ基を持つ単分子膜が形成された金微粒子を製造できた。一方、−SHとメトキシシリル基を両末端にもつ薬剤、例えばHS(CH)3Si(OCH)3をもちいれば、Sを介して表面にメトキシシリル基を含む単分子膜が形成された金微粒子を製造できた。
【実施例3】
【0068】
次に、前記エポキシ基を有する化学吸着単分子膜21(第1の反応性の有機膜)で選択的に被われた電子デバイス22表面に、アミノ基を有する化学吸着単分子膜(第2の反応性の有機膜)で被われた銀微粒子をアルコールに分散させて塗布し、200℃加熱すると、配線端部表面のエポキシ基と接触している銀微粒子表面のアミノ基が下記式(化5)に示したような反応で付加して導電性銀微粒子と配線端部は二つの単分子膜を介して選択的に結合する。(なお、このとき、超音波を当てながらアルコールを蒸発させると、被膜の膜厚均一性を向上できた。)
【0069】
【化5】

そこで、再びアルコールで配線端部表面を洗浄し、余分で未反応のアミノ基を有する化学吸着単分子膜で被われた銀微粒子を洗浄除去すると、電子デバイス22表面に共有結合したアミノ基を有する化学吸着単分子膜で被われた銀微粒子23を選択的に1層のみ並べた状態で、且つ粒子サイズレベルで均一厚みのパターン状の単層導電性銀微粒子膜よりなる電極24を形成できた。(図3(a))
【0070】
ここで、導電性銀微粒子は、絶縁性の有機薄膜で被われていたが、膜厚が極めて薄いため、導電性は、アルミニウム並が確保できた。特に、有機薄膜が単分子膜である場合には、銀と同レベルの導電性が得られた。具体的には、エポキシ基とアミノ基が付加して銀微粒子が結合硬化した電極の電導度は、およそ0.1×10ジーメンスであった。
【実施例4】
【0071】
さらに、電極部の導電性銀微粒子膜の膜厚を厚くしたい場合、実施例3に引き続き、共有結合したアミノ基を有する化学吸着単分子膜で被われた銀微粒子がパターン状に1層のみ並べた状態で、且つ粒子サイズレベルで均一厚みのパターン状の単層導電性銀微粒子膜よりなる電極24が形成された配線端部表面に、エポキシ基を有する化学吸着単分子膜で被われた銀微粒子25をアルコールに分散させて塗布し、200℃に加熱すると、アミノ基を有する化学吸着単分子膜で被われた銀微粒子がパターン状に単層形成された部分のアミノ基と接触している銀微粒子表面のエポキシ基が前記式(化5)に示したような反応で付加して、配線端部表面でアミノ基を有する化学吸着単分子膜で被われた銀微粒子とエポキシ基を有する化学吸着単分子膜で被われた銀微粒子は、二つの単分子膜を介して選択的に結合固化した。
【0072】
そこで、再びアルコールで配線端部表面を洗浄し、余分で未反応のエポキシ基を有する化学吸着単分子膜で被われた銀微粒子を洗浄除去すると、配線端部表面に共有結合した2層目の銀微粒子が1層のみ並んだ状態で、且つ粒子サイズレベルで均一厚みの2層構造のパターン状の単層導電性銀微粒子膜よりなる電極26が形成できた。(図3(b))
以下同様に、アミノ基を有する化学吸着単分子膜で被われた銀微粒子とエポキシ基を有する化学吸着単分子膜で被われた銀微粒子を交互に積層すると、多層構造の導電性銀微粒子の累積被膜よりなる高さが制御された電極を製造できた。
【実施例5】
【0073】
実施例4と同様の方法で作成した電極最表面の銀微粒子がアミノ基を含む単分子膜で覆われた電子デバイス22の電極と、実施例1と同様の方法で作成したエポキシ基を含む単分子膜(第3の反応性の有機膜)で覆われたリード線先端部27を位置合わせし、圧着して200℃加熱するとエポキシ基と接触している銀微粒子表面のアミノ基が前記式(化5)に示したような反応で付加して、電極表面のアミノ基を有する化学吸着単分子膜で被われた銀微粒子とエポキシ基を有する化学吸着単分子膜で被われたリード線28は、化学結合して導通し、リード配線29を形成できた。(図4)
【0074】
ここで、電極最表面の銀微粒子がエポキシ基を含む単分子膜(第2の反応性の有機膜)で覆われた電子デバイスの場合には、実施例1と同様の方法で作成したアミノ基を含む単分子膜(第3の反応性の有機膜)で覆われたリード線先端部をもつリード線を用いればよい。
また、あらかじめ、リード線先端部にも、実施例4と同様の方法で反応性の官能基を有する複数層の有機膜で覆われた電極を形成しておいても良い。さらにまた、電子デバイスの方は、反応性の単分子膜のみで覆い、リード線先端部に、実施例3と同様の方法で反応性の官能基を有する有機膜で覆われた電極を形成しておいても同様の結果が得られた。
さらに、このような電極を用いてリード線を接続した半導体素子やプリント基板は、従来の超音波圧着した電子部品に比べ格段に信頼性の高い電気接続が達成できた。また、それらを用いた電子機器では、信頼性試験による不良発生率が大幅に減少した。
【0075】
なお、上記実施例1および2では、反応性基を含む化学吸着剤として式(化1)あるいは(化3)に、示した物質を用いたが、上記のもの以外にも、下記(1)〜(16)に示した物質が利用できた。
【0076】
(1) (CHOCH)CH2O(CH2)Si(OCH)3
(2) (CHOCH)CH2O(CH2)11Si(OCH)3
(3) (CHCHOCH(CH)CH(CH2)Si(OCH)3
(4) (CHCHOCH(CH)CH(CH2)Si(OCH)3
(5) (CHCHOCH(CH)CH(CH2)Si(OCH)3
(6) (CH2OCH)CH2O(CH2)Si(OC)3
(7) (CHOCH)CH2O(CH2)11Si(OC)3
(8) (CHCHOCH(CH)CH(CH2)Si(OC)3
(9) (CHCHOCH(CH)CH(CH2)Si(OC)3
(10) (CHCHOCH(CH)CH(CH2)Si(OC)3
(11) H2N (CH2)Si(OCH)3
(12) H2N (CH2)Si(OCH)3
(13) H2N (CH2)Si(OCH)3
(14) H2N (CH2)Si(OC)3
(15) H2N (CH2)Si(OC)3
(16) H2N (CH2)Si(OC)3
【0077】
ここで、(CHOCH)−基は、下記式(化6)で表される官能基を表し、(CHCHOCH(CH)CH−基は、下記式(化7)で表される官能基を表す。
【0078】
【化6】

【0079】
【化7】

【0080】
なお、実施例1および2に置いて、シラノール縮合触媒には、カルボン酸金属塩、カルボン酸エステル金属塩、カルボン酸金属塩ポリマー、カルボン酸金属塩キレート、チタン酸エステル及びチタン酸エステルキレート類が利用可能である。さらに具体的には、酢酸第1錫、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジオクテート、ジブチル錫ジアセテート、ジオクチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジオクテート、ジオクチル錫ジアセテート、ジオクタン酸第1錫、ナフテン酸鉛、ナフテン酸コバルト、2−エチルヘキセン酸鉄、ジオクチル錫ビスオクチリチオグリコール酸エステル塩、ジオクチル錫マレイン酸エステル塩、ジブチル錫マレイン酸塩ポリマー、ジメチル錫メルカプトプロピオン酸塩ポリマー、ジブチル錫ビスアセチルアセテート、ジオクチル錫ビスアセチルラウレート、テトラブチルチタネート、テトラノニルチタネート及びビス(アセチルアセトニル)ジープロピルチタネートを用いることが可能であった。
【0081】
また、膜形成溶液の溶媒としては、水を含まない有機塩素系溶媒、炭化水素系溶媒、あるいはフッ化炭素系溶媒やシリコーン系溶媒、あるいはそれら混合物を用いることが可能であった。なお、洗浄を行わず、溶媒を蒸発させて粒子濃度を上げようとする場合には、溶媒の沸点は50〜250℃程度がよい。
【0082】
具体的に使用可能なものは、クロロシラン系非水系の石油ナフサ、ソルベントナフサ、石油エーテル、石油ベンジン、イソパラフィン、ノルマルパラフィン、デカリン、工業ガソリン、ノナン、デカン、灯油、ジメチルシリコーン、フェニルシリコーン、アルキル変性シリコーン、ポリエーテルシリコーン、ジメチルホルムアミド等を挙げることができる。さらに、吸着剤がアルコキシシラン系の場合で且つ溶媒を蒸発させて有機被膜を形成する場合には、前記溶媒に加え、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール系溶媒、あるいはそれら混合物が使用できた。
【0083】
また、フッ化炭素系溶媒には、フロン系溶媒や、フロリナート(3M社製品)、アフルード(旭社製品)等がある。なお、これらは1種パターン状の単層独で用いても良いし、良く混ざるものなら2種以上を組み合わせてもよい。さらに、クロロホルム等有機塩素系の溶媒を添加しても良い。
【0084】
一方、上述のシラノール縮合触媒の代わりに、ケチミン化合物又は有機酸、アルジミン化合物、エナミン化合物、オキサゾリジン化合物、アミノアルキルアルコキシシラン化合物を用いた場合、同じ濃度でも処理時間を半分〜2/3程度まで短縮できた。
【0085】
さらに、シラノール縮合触媒とケチミン化合物、又は有機酸、アルジミン化合物、エナミン化合物、オキサゾリジン化合物、アミノアルキルアルコキシシラン化合物を混合(1:9〜9:1範囲で使用可能だが、通常1:1前後が好ましい。)して用いると、処理時間をさらに数倍早く(30分程度まで)でき、製膜時間を数分の一まで短縮できる。
【0086】
例えば、シラノール触媒であるジブチル錫オキサイドをケチミン化合物であるジャパンエポキシレジン社のH3に置き換え、その他の条件は同一にしてみたが、反応時間を1時間程度にまで短縮できた他は、ほぼ同様の結果が得られた。
【0087】
さらに、シラノール触媒を、ケチミン化合物であるジャパンエポキシレジン社のH3と、シラノール触媒であるジブチル錫ビスアセチルアセトネートの混合物(混合比は1:1)に置き換え、その他の条件は同一にしてみたが、反応時間を30分程度に短縮できた他は、ほぼ同様の結果が得られた。
【0088】
したがって、以上の結果から、ケチミン化合物や有機酸、アルジミン化合物、エナミン化合物、オキサゾリジン化合物、アミノアルキルアルコキシシラン化合物がシラノール縮合触媒より活性が高いことが明らかとなった。
【0089】
さらにまた、ケチミン化合物や有機酸、アルジミン化合物、エナミン化合物、オキサゾリジン化合物、アミノアルキルアルコキシシラン化合物の内の1つとシラノール縮合触媒を混合して用いると、さらに活性が高くなることが確認された。
【0090】
なお、ここで、利用できるケチミン化合物は特に限定されるものではないが、例えば、2,5,8−トリアザ−1,8−ノナジエン、3,11−ジメチル−4,7,10−トリアザ−3,10−トリデカジエン、2,10−ジメチル−3,6,9−トリアザ−2,9−ウンデカジエン、2,4,12,14−テトラメチル−5,8,11−トリアザ−4,11−ペンタデカジエン、2,4,15,17−テトラメチル−5,8,11,14−テトラアザ−4,14−オクタデカジエン、2,4,20,22−テトラメチル−5,12,19−トリアザ−4,19−トリエイコサジエン等がある。
【0091】
また、利用できる有機酸としても特に限定されるものではないが、例えば、ギ酸、あるいは酢酸、プロピオン酸、ラク酸、マロン酸等があり、ほぼ同様の効果があった。
【産業上の利用可能性】
【0092】
上記実施例1〜5では、電子デバイスと銀微粒子を例として説明したが、本発明は、電子回路が形成された半導体デバイスやプリント基板など如何なる電子デバイスにも用いることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】本発明の第1の実施例における配線端部表面の反応を分子レベルまで拡大した概念図であり、(a)は反応前の表面の図、(b)は、エポキシ基を含む単分子膜が形成された後の図、(c)は、アミノ基を含む単分子膜が形成された後の図を示す。
【図2】本発明の第2の実施例における導電性銀微粒子表面の反応を分子レベルまで拡大した概念図であり、(a)は反応前の導電性銀微粒子表面の図、(b)は、エポキシ基を含む単分子膜が形成された後の図、(c)は、アミノ基を含む単分子膜が形成された後の図を示す。
【図3】本発明の第3および第4の実施例における配線端部表面の反応を分子レベルまで拡大した概念図であり、(a)はパターン状の単層導電性銀微粒子膜電極として形成された配線端部表面の図、(b)は、パターン状の単層導電性銀微粒子膜が電極として2層形成された配線端部表面の図を示す。
【図4】本発明の第5の実施例における電子デバイスの配線端部とリード線の電極を介した接続部を拡大したリード配線の概念図を示す。
【符号の説明】
【0094】
1 配線
2 電子デバイス
3 水酸基
4 エポキシ基を含む単分子膜
、5’ エポキシ基を含む単分子膜で選択的に被われた電子デバイス
’ パターン状の被膜
’ 配線
11 銀微粒子
12 水酸基
13 エポキシ基を含む単分子膜
14 アミノ基を含む単分子膜
15 エポキシ基を含む単分子膜で被われた銀微粒子
16 アミノ基を含む単分子膜で被われた銀微粒子
21 エポキシ基を有する化学吸着単分子膜
22 電子デバイス
23 アミノ基を有する化学吸着単分子膜で被われた銀微粒子
24 パターン状の単層導電性銀微粒子膜よりなる電極
25 エポキシ基を有する化学吸着単分子膜で被われた銀微粒子
26 2層構造のパターン状の単層導電性微粒子膜よりなる電極
27 リード線先端部
28 リード線
29 リード配線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配線端部またはリード線端部の表面に選択的に1層形成された導電性微粒子の膜が配線端部表面またはリード線端部に選択的に形成された第1の有機膜と導電性微粒子表面に形成された第2の有機膜を介して互いに共有結合していることを特徴とする電極。
【請求項2】
配線端部表面またはリード線端部の表面に形成された第1の有機被膜と導電性微粒子表面に形成された第2の有機膜が互いに異なることを特徴とする請求項1記載の電極。
【請求項3】
共有結合が、エポキシ基とイミノ基の反応で形成された−N−C−の結合であることを特徴とする請求項1記載の電極。
【請求項4】
配線端部表面またはリード線端部の表面に形成された第1の有機被膜と導電性微粒子表面に形成された第2の有機膜が単分子膜で構成されていることを特徴とする請求項1および2記載の電極。
【請求項5】
配線端部表面またはリード線端部の表面を少なくとも第1のアルコキシシラン化合物とシラノール縮合触媒と非水系の有機溶媒を混合して作成した化学吸着液中に接触させてアルコキシシラン化合物と配線端部表面またはリード線端部の表面を反応させて配線端部表面またはリード線端部の表面に第1の反応性の有機膜を形成する工程と、前記第1の反応性の有機膜を所定のパターンに加工する工程と、導電性微粒子を少なくとも第2のアルコキシシラン化合物とシラノール縮合触媒と非水系の有機溶媒を混合して作成した化学吸着液中に分散させてアルコキシシラン化合物と導電性微粒子表面を反応させて導電性微粒子表面に第2の反応性の有機膜を形成する工程と、第1の反応性の有機膜の形成された配線端部表面またはリード線端部に第2の反応性の有機膜で被覆された導電性微粒子を接触させて選択的に反応させる工程と、余分な第2の反応性の有機膜で被覆された導電性微粒子を洗浄除去することを特徴とする電極の製造方法。
【請求項6】
配線端部表面またはリード線端部の表面を少なくとも第1のアルコキシシラン化合物とシラノール縮合触媒と非水系の有機溶媒を混合して作成した化学吸着液中に接触させてアルコキシシラン化合物と配線端部表面またはリード線端部の表面を反応させて配線端部表面またはリード線端部の表面に第1の反応性の有機膜を形成する工程、および導電性微粒子を少なくとも第2のアルコキシシラン化合物とシラノール縮合触媒と非水系の有機溶媒を混合して作成した化学吸着液中に分散させてアルコキシシラン化合物と導電性微粒子表面を反応させて導電性微粒子表面に第2の反応性の有機膜を形成する工程の後に、それぞれ端部および導電性微粒子表面を有機溶剤で洗浄して端部及び導電性微粒子表面に共有結合した第1及び第2の反応性の単分子膜を形成することを特徴とする請求項5記載の電極の製造方法。
【請求項7】
第1の反応性の有機膜がエポキシ基を含み第2の反応性の有機膜がイミノ基を含むことを特徴とする請求項5記載の電極の製造方法。
【請求項8】
第1の反応性の単分子膜がエポキシ基を含み第2の反応性の単分子膜がイミノ基を含むことを特徴とする請求項6記載の電極の製造方法。
【請求項9】
配線端部表面またはリード線端部の表面に選択的に層状に累積され導電性微粒子が導電性微粒子表面に形成された有機被膜を介して層間で互いに共有結合していることを特徴とする電極。
【請求項10】
導電性微粒子表面に形成された有機被膜が2種類有り、第1の有機膜が形成された導電性微粒子と第2の有機膜が形成された導電性微粒子とが交互に積層されていることを特徴とする請求項9記載の電極。
【請求項11】
第1の有機膜と第2の有機膜が反応して共有結合を形成していることを特徴とする請求項10記載の電極。
【請求項12】
共有結合が、エポキシ基とイミノ基の反応で形成された−N−C−の結合であることを特徴とする請求項9記載の電極。
【請求項13】
少なくとも配線端部表面またはリード線端部の表面を第1のアルコキシシラン化合物とシラノール縮合触媒と非水系の有機溶媒を混合して作成した化学吸着液中に接触させてアルコキシシラン化合物と配線端部表面またはリード線端部の表面を反応させて配線端部表面またはリード線端部の表面に第1の反応性の有機膜を形成する工程と、前記第1の反応性の有機膜を所定のパターンに加工する工程と、第1の導電性微粒子を少なくとも第2のアルコキシシラン化合物とシラノール縮合触媒と非水系の有機溶媒を混合して作成した化学吸着液中に分散させてアルコキシシラン化合物と導電性微粒子表面を反応させて第1の導電性微粒子表面に第2の反応性の有機膜を形成する工程と、第1の反応性の有機膜の形成された配線端部表面またはリード線端部の表面に第2の反応性の有機膜で被覆された第1の導電性微粒子を接触させて反応させる工程と、余分な第2の反応性の有機膜で被覆された第1の導電性微粒子を洗浄除去して第1のパターン状の単層導電性微粒子膜を選択的に形成する工程と、第2の導電性微粒子を少なくとも第3のアルコキシシラン化合物とシラノール縮合触媒と非水系の有機溶媒を混合して作成した化学吸着液中に分散させてアルコキシシラン化合物と導電性微粒子表面を反応させて第2の導電性微粒子表面に第3の反応性の有機膜を形成する工程と、第2の反応性の有機膜で被覆された第1のパターン状の単層導電性微粒子膜が形成された配線端部表面またはリード線端部の表面に第3の反応性の有機膜で被覆された第2の導電性微粒子を接触させて反応させる工程と、余分な第3の反応性の有機膜で被覆された第2の導電性微粒子を洗浄除去して第2のパターン状の単層導電性微粒子膜を選択的に形成する工程とを含むことを特徴とする電極の製造方法。
【請求項14】
第1の反応性の有機膜と第3の反応性の有機膜が同じものであることを特徴とする請求項13に記載の電極の製造方法。
【請求項15】
第2のパターン状の単層導電性微粒子膜を形成する工程の後、同様に第1のパターン状の単層導電性微粒子膜を形成する工程と第2のパターン状の単層導電性微粒子膜を形成する工程を繰り返し行うことを特徴とする請求項13に記載の電極の製造方法。
【請求項16】
第1〜3の反応性の有機膜を形成する工程の後に、それぞれ基材あるいは導電性微粒子表面を有機溶剤で洗浄して基材や導電性微粒子表面に共有結合した第1〜3の反応性の単分子膜を形成することを特徴とする請求項13に記載の電極の製造方法。
【請求項17】
第1および3の反応性の有機膜がエポキシ基を含み第2の反応性の有機膜がイミノ基を含むことを特徴とする請求項13に記載の電極の製造方法。
【請求項18】
シラノール縮合触媒の代わりに、ケチミン化合物、又は有機酸、アルジミン化合物、エナミン化合物、オキサゾリジン化合物、アミノアルキルアルコキシシラン化合物を用いることを特徴とする請求項5および13に記載の電極の製造方法。
【請求項19】
シラノール縮合触媒に助触媒としてケチミン化合物、又は有機酸、アルジミン化合物、エナミン化合物、オキサゾリジン化合物、アミノアルキルアルコキシシラン化合物から選ばれる少なくとも1つを混合して用いることを特徴とする請求項5および13に記載の電極の製造方法。
【請求項20】
回路基板上の配線端部とリード線が、配線端部表面に形成された第1の有機膜と導電性微粒子表面に形成された第2の有機膜とリード線表面に形成された第3の有機膜を介して接続されていることを特徴とするリード配線。
【請求項21】
導電性微粒子が層状に1層あるいは複数層形成されていることを特徴とするリード配線。
【請求項22】
第1の有機膜と第3の有機膜が導電性微粒子表面に形成された第2の有機膜を介して互いに直接あるいは間接に共有結合で結合していることを特徴とする請求項20記載のリード配線。
【請求項23】
共有結合が、エポキシ基とイミノ基の反応で形成された−N−C−の結合であることを特徴とする請求項21記載のリード配線。
【請求項24】
第1の有機膜と第2の有機膜と有機膜と第3の有機膜が単分子膜で構成されていることを特徴とする請求項20乃至23記載のリード配線。
【請求項25】
配線端部表面またはリード線端部の表面を少なくとも第1のアルコキシシラン化合物とシラノール縮合触媒と非水系の有機溶媒を混合して作成した化学吸着液中に接触させてアルコキシシラン化合物と配線端部表面またはリード線端部の表面を反応させて配線端部表面に第1の反応性の有機膜を形成する工程と、リード線端部の表面を少なくとも第3のアルコキシシラン化合物とシラノール縮合触媒と非水系の有機溶媒を混合して作成した化学吸着液中に接触させてアルコキシシラン化合物と配線端部表面またはリード線端部の表面を反応させて配線端部表面またはリード線端部の表面に第3の反応性の有機膜を形成する工程と、前記第1または第3の反応性の有機膜を所定のパターンに加工する工程と、導電性微粒子を少なくとも第2のアルコキシシラン化合物とシラノール縮合触媒と非水系の有機溶媒を混合して作成した化学吸着液中に分散させてアルコキシシラン化合物と導電性微粒子表面を反応させて導電性微粒子表面に第2の反応性の有機膜を形成する工程と、パターン状の第1または第3の反応性の有機膜の形成された配線端部またはリード線端部の表面に第2の反応性の有機膜で被覆された導電性微粒子を接触させて選択的に反応させる工程と、余分な第2の反応性の有機膜で被覆された導電性微粒子を洗浄除去して第24の反応性の有機膜で被われた導電性微粒子層を形成する工程と、前記配線端部とリード線端部を導電性微粒子層を挟んで圧着接続する工程を含むことを特徴とするリード配線の接続方法。
【請求項26】
導電性微粒子層を複数層形成しておくことを特徴とする請求項25記載のリード配線の接続方法。
【請求項27】
パターン状の第1および第3の反応性の有機膜の形成された配線端部およびリード線端部の最表面にそれぞれ第2および第4の反応性の有機膜で被覆された導電性微粒子を接触させて選択的に反応させてそれぞれの最表面に第2および第4の反応性の有機膜で被われた導電性微粒子層を形成することを特徴とする請求項25記載のリード配線の接続方法。
【請求項28】
第2および第4の反応性の有機膜が互いに反応する官能基を含むことを特徴とする請求項27記載のリード配線の接続方法。
【請求項29】
請求項1乃至4記載の電極、9乃至12記載の電極および20乃至24記載のリード配線を用いた電子部品。
【請求項30】
請求項1乃至4記載の電極、9乃至12記載の電極および20乃至24記載のリード配線を用いた電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−220884(P2007−220884A)
【公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−39273(P2006−39273)
【出願日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【出願人】(304028346)国立大学法人 香川大学 (285)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】