説明

電気モータ

【課題】電気モータの複数のコイルを適切に冷却する。
【解決手段】電気モータは、モータの磁場を発生するように配置された一つまたは複数のコイルセットを含む。電気モータは、電流制御のためにコイルのそれぞれのコイルサブセットに接続された複数の制御装置も含む。同様の構成が、発電機についても提案される。電気モータまたは発電機用のコイル取り付けシステムは、モータのコイルを巻き取り可能に受け入れる一つまたは複数のコイル歯と、複数のコイル歯を取り外し可能に受け入れる後部とを含む。それぞれのモータで独立して駆動される複数の車輪を有する車両のトラクション制御システムおよび方法が提供される。各車輪が車両のサスペンションアームに取り付けられそれぞれのモータで独立して駆動される複数の車輪を有する車両のサスペンション制御システムおよび方法が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気モータまたは発電機、およびトラクション制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
既知の電気モータシステムは、一般的にモータと、モータの電力を制御する制御装置とを含む。既知の種類の電気モータには、誘導電動機、ブラシレス永久磁石モータ、可変リラクタンスモータおよび同期スリップリングマシンが含まれる。三相電動機は、利用できる電動機のうち最も一般的な種類である。
【0003】
図1は、典型的な三相モータの模式図である。この例では、モータは三つのコイルセットを含む。各コイルセットは、モータの三相のうち一相に関連する磁場を発生する。より一般的な例では、N個のコイルセットを使用して、N相電動機、すなわち多相電動機を作り出すことができる。各コイルセットは、モータの周囲に配置される一つ以上のコイルのサブセットを含むことができる。本実施例では、コイルセットはそれぞれ四つのサブセットを含む。各コイルセットのコイルサブセットには、図1においてそれぞれ14、16、18と符号が付けられている。図1に示すように、コイルサブセット14、16、18はモータ10の周りに等間隔に配置され、協働して回転磁場を生成する。回転磁場内では、典型的に一つ以上の永久磁石を含む中心ロータ12が矢印Cで示すように回転することができる。各コイルセットのコイルサブセットは、図1に接続24、26、28で示すように直列に接続される。これにより、各コイルセットのコイル電流の釣り合いがとれ、実質的に共通の位相を生じることができる。各コイルセットの導線は、図1に34、36および38で示すように終端処理される。典型的に、各コイルセットの導線の一端は共通の基準端子に接続され、別の端はそのコイルセットの全コイル内の電流を制御するスイッチングシステムに接続される。典型的に、各コイルセットの電流を制御するには、多数のコイルを通って流れる共通電流の制御を必要とする。
【0004】
図2に示すように、各コイルサブセットは一つ以上のコイルを含むことができる。特に、図2はコイルサブセット14のうち一つの中のコイル24A、24Bを示している。この例では、コイルサブセットにつき二つのコイルが存在する。二つのコイルは反対方向に巻かれており、各コイルを流れる電流が実質的に同一となるように相互接続される。ロータ12の極がコイル24A、24Bを横切ると、コイル24A、24B内の電流のスイッチングによってロータを引き寄せまた反発する適切な磁場が発生し、ロータを継続的に回転させることができる。二つの逆向きに巻かれたコイル24A、24Bにより発生する磁場は、この三相電動機の同一の相に属するものとして参照される。モータ10の周囲に配置された三番目のコイルサブセットは全て、共通の位相を有する磁場を発生する。コイルと相互接続は典型的にモータの周囲に回される一つの導線(例えば銅の導線)からなり、適当な場所でコイルの状態に巻かれてもよい。
【0005】
三相電動機の場合、スイッチングシステムはほぼ必ず、多数のスイッチを備える三相ブリッジ回路である。
【0006】
金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)および絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)を含む典型的なパワー電子スイッチは、二つの主要な損失、すなわちスイッチング損失と伝導損失を示す。
【0007】
スイッチング損失はスイッチング速度とともに減少するが、スイッチング速度が速くなると電磁妨害(EMI)ノイズが増加する。スイッチング速度とEMIノイズの間のこの問題となるトレードオフは、電力定格が高くなると(例えば、より大きなモータ)倍加されるが、これはより大きなスイッチが必要となるためである。パワースイッチおよびその接続システムに関連するインダクタンスは、スイッチの物理サイズとともに増加する。このインダクタンスはパワーデバイスのスイッチング速度に影響を与え、したがってパワーデバイスのスイッチング速度は典型的にデバイスの物理サイズによって制限される。したがって、電力定格を高くするためにはより大きなスイッチを使わなければならないが、スイッチが大きくなるほどスイッチング速度が低下し、スイッチング損失が大きくなる。さらに、パワーデバイスのコストは、大体デバイスの寸法の二乗で増加する。伝導損失も電力の増加とともに増加する。
【0008】
スイッチング損失と伝導損失を含むトータルの損失は、電力の二乗にほぼ比例する。このことはモータの深刻な熱管理問題を引き起こすが、これは、例えば電力が二倍になると熱損失は四倍増加するからである。デバイスの温度を安全な動作レベルよりも上昇させることなくこの熱を取り出すことは、デバイスの処理できる電力の制限因子となる。実際、今日では、例えば500Aの固有電流処理能力を有するより大きなパワーデバイスは、熱制約のために200Aに制限されている。
【0009】
所与の電力定格を持つ従来の三相電動機を考慮する。より大きな電力定格が望ましい場合、より大きな直径のモータを製作することでこれを達成することができる。モータの直径を大きくすると、所与の角速度に対するロータの周速は増加する。こうすると、所定の供給電圧に対してモータコイルの巻数を減らす必要がある。なぜなら、誘導電圧は、ロータの周速とコイルの巻数の関数であるからである。誘導電圧は、常に供給電圧以下でなければならない。
【0010】
しかしながら、コイルの巻き数を減らすとモータのインダクタンスも低下する。これは、モータのインダクタンスが巻き数の二乗に比例するためである。
【0011】
電動機用の電子制御装置のほとんど全てが、今日では何らかのパルス幅変調(PWM)電圧制御によって動作する。PWM制御装置は、モータインダクタンスを用いて印加パルス電圧を平均化し、必要な電流をモータコイルに流すように動作する。PWM制御を用いることで、パワーデバイスのスイッチング特性により決まる最小期間の間、モータ巻線の中で印加電圧がスイッチングされる。この間、モータ巻線のインダクタンスと印加電圧により決まる割合で巻線内の電流が増加する。続いて、PWM制御はスイッチオフするよう要求され、その後電流の精密な制御が達成されるように電流が変更される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上述したように、大きなパワーデバイスを使用するほどスイッチング速度は遅くなり、またモータが大きくなるほどインダクタンスは小さくなる。より高出力のモータでは、これら二つの要因は制御システムとしてもPWMの有効性を阻害する。なぜなら、モータコイル内の電流は(コイルの巻数の少なさによるモータの低いインダクタンスのために)より速く増加するものの、PWM制御は(高出力のスイッチングデバイスを用いて達成可能な低いスイッチング速度のために)より粗くなるからである。
【0013】
この問題に対する既知の解決策は、モータ巻線と直列にされた電流制限チョークの形でモータ内にさらなるインダクタンスを導入することである。この追加のインダクタンスは、モータコイル内の電流の立ち上がり時間を増大させる。しかしながら、一般にチョークはモータそのものと同じかそれよりも大きく、フル電流を伝えるとき大きな追加の熱損失を消費し、同様にかなりの余分な体積、重量、コストを必要とする。
【0014】
既知のモータに関する他の問題は、その製造に関するものである。図1に関して述べたように、モータを作成するには、一般に単一の長さの導線を用いてモータ各相の巻線を作る必要がある。導線はモータの周囲を回り、モータの磁界の一相を発生させるために適切な位置にコイルが巻かれる。モータのコイルを巻くことと、モータの周囲に散在する各コイルサブセットの間の接続を終端処理することは、労働集約型の仕事である。モータ巻線で通常用いられる太い導線(例えば銅の導線)は取り扱いが難しく、多くのモータ設計において、コイルと相互接続を設置するためのモータ内部へのアクセスは制限されている。既知のコイル取り付けシステムはサイズが大きく、熱拡散能力も限られている。
【0015】
車両トラクション制御を用いて、車両の移動中に生じうる横滑りの危険性を最小にすることができる。車輪の牽引力に頼って駆動力を生み出す車両は、車輪の横滑り現象に苦しまされる。ステアリング・スキッドも発生しうる。ステアリング・スキッドでは、車両の運動と前輪(一般にアンダーステアとして知られる)または後輪(オーバーステア)の運動とのアライメントがずれる。
【0016】
一般に、横滑りの開始は突然の事象ではなく、ある程度の車輪のスリップとともに始まり、それから完全な車輪の横滑りへと至る。車輪のスリップまたは横滑りが起こるのに必要な力の量は、車輪にかかる重量にタイヤと路面の間の摩擦係数を乗じることによって計算することができる。この力を上回ると、車輪のスリップまたは横滑りが生じる。車輪のスリップまたは横滑りが生じる力のすぐ下の力では、車輪のグリップを維持しつつ最大の運転性能が達成される。トラクション制御システムは一般にこの領域での操作を可能にすることを目的とし、これによって車輪のスリップまたは横滑りを起こさせつつ最大の力を車輪に与えることができる。
【0017】
既知のシステムでは、中心内燃機関から駆動軸および差動歯車を介して車両の車輪にトルクが加えられる。トラクション制御は、通常、ブレーキディスク圧(制動用)を調整することによって、または各車輪でスリップ・クラッチ機構(加速用)を調整することによって適用される。これらトラクション制御システムは高価な機構部品を必要とし、必ずしも最高の性能を提供する訳ではない。例えば、ABSブレーキは粗いオン/オフの単位で動作するとき激しく震動しがちである。スリップ・クラッチはエンジンからの左右のトルクバランスに影響を及ぼす。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の態様は、添付の特許請求の範囲で定められる。理解を容易にするために、添付の詳細な説明の部分に対応する小見出しを発明の態様に付けているが、誤解を避けるため、本発明の単一の実施形態においてこれらの態様を共に使用してもよい。
【0019】
コイル制御
本発明の一態様によると、電気モータが提供される。モータは、モータの磁場を発生させるように構成された一つまたは複数の別々のコイルセットを含む。各コイルセットは複数のコイルサブセットを含む。各コイルサブセットは一つまたは複数のコイルを含む。各コイルセットのコイルにより生じる磁場は、ほぼ共通の位相を持つ。モータは複数の制御装置も含み、各制御装置はそれぞれのコイルサブセットに接続され、そのコイルサブセットのコイルの電流を制御する。各制御装置は入力同期信号を必要とすることなく動作可能である。
【0020】
各コイルサブセットの電流を別のコイルサブセットの電流と独立して制御できるので、モータのコイルの電流制御が強化される。各コイルセットの全てのコイルが直列に接続されている訳ではないので、各コイルサブセットのコイル(単数または複数)の巻数をより多くすることができる。各コイルの巻数が増加すると、モータ全体のインダクタンスが増大する。これは、各コイルサブセットのコイルでより低い電流を使用でき、熱放散問題を減少させ、使用するスイッチングデバイスをより小型にできることを意味する。より小型のスイッチングデバイスを使用することで、スイッチング速度をより高速にし、スイッチング損失をより低下させることができる。
【0021】
制御装置は、コイルサブセットの一つ以上のコイルにパルス電圧を印加するための一つ以上のスイッチを含むことができる。コイルに含めることができる巻数が増加するため、モータコイル電流のPWM制御を強化することができる。より小型のスイッチングデバイスを用いることができるので、コスト、重量および熱放散を相当に節減することができる。
【0022】
制御装置の一部は、コイルサブセットのコイル内の逆起電力を監視する手段を含むことができる。制御装置は、高速のパワー制御のために、監視された逆起電力に応じてパルス化電圧のパルス(例えば、パルス幅)を調節することができる。各制御装置は、ロータの位置を定め適当な電圧を印加してそれぞれのコイルサブセットの電流を制御するための十分なロジックを含むので、制御装置は互いに独立して作動することができる。制御装置はブレーキペダルセンサなどの外部装置から要求信号を受け取り、コイル特性、ロータ位置および要求信号に基づき適切なコイル制御を適用することができる。
【0023】
より小さな部品(例えばスイッチングデバイス)を用いることができるので、大きくかさばるスイッチングデバイスを用いる既知のシステムとは対照的に、モータのケーシング内にスイッチングデバイスを収容することができる。例えば、モータ内のそれぞれのコイルサブセットに隣接して制御装置を配置することができ、これによってコイル巻線の終端処理が簡単になる。モータのケーシングには、ロータ/ケーシングおよび制御装置の方向に応じて制御装置に一度に一つずつアクセスできる寸法にされた一つ以上の開口部を含むことができる。
【0024】
複数の制御装置の動作を調整するために、共通の制御装置を設けることができる。例えば、共通の制御装置を用いて複数の制御装置内のスイッチを調整し、各コイルセット内の電流のスイッチングをほぼ確実に同位相とすることができる。このように、制御装置は、各コイルセットのコイルが全て直列に接続されたモータをエミュレートするよう動作できる。代替的に、各制御装置はモータのロータ位置を検出することによって位相関係を制御することができ、こうして中央制御装置に依存することなく完全な並列動作を達成することができる。これによりモータ内のあらゆる故障に対しての免疫が強化される。
【0025】
共通の制御装置は、一つ以上の制御装置を選択的に使用不能として部分的な動力動作を可能にするよう動作する。
【0026】
本発明の別の態様によると、上述の種類の電気モータを操作する方法を提供することができる。この方法は、モータの磁場を発生させるそれぞれのコイルサブセットのコイルに電力を供給する複数の制御装置を用いることを含む。
【0027】
発電機が電気モータと構造的に類似しており、上述の議論のうちいくつかを新規の発電機でも使用できることは認められよう。
【0028】
本発明のさらなる態様によると、発電機を提供することができる。発電機は、発電機内で生じた磁場による誘導電流を発生するように構成された一つまたは複数の別々のコイルセットを含む。各コイルセットは複数のコイルサブセットを含む。各コイルサブセットは一つまたは複数のコイルを含む。各コイルセットのコイルに生じる電流は共通の位相を有する。
【0029】
発電機は、それぞれのコイルサブセットのコイルに生じる電流を出力するコイルサブセットにそれぞれ接続される複数の電力出力を含む。
【0030】
位置検出
本発明のさらなる態様によると、ステータに対するロータの位置を検出するために使用される磁場のアライメントを援助するために鉄の焦点リング(iron focussing ring)を使用する。
【0031】
制動装置
本発明のさらなる態様によると、制動モードで動作するように構成可能な電気モータが提供される。モータは、磁場を生じるように配置された一つまたは複数のコイルセットを含む。各コイルセットは複数のサブセットを含む。各コイルサブセットは一つまたは複数のコイルを含む。モータは、コイルサブセットの一つ以上のコイルの電流を制御するためにそれぞれのコイルサブセットに接続される複数の制御装置も含む。制御装置は、制動モードであるときコイルから流れる電流によって動作することができる。
【0032】
制御装置がコイルから流れる電流で動作できるので、電源が故障した場合でも制御装置が動作し続けられる(制御ブレーキをし続けられる)フェールセーフのブレーキ構成が提供される。好ましくは、制動モード時にコイルの一つのサブセットからの電流で動作できるように、各制御装置が構成される。これによって、一つのコイルが故障した場合に他のコイルと制御装置が依然として制動力を供給するよう動作できるような冗長性を制動装置に確実に組み入れることができる。
【0033】
モータは、コイルと電源用の接続との間に接続されるキャパシタンスも含むことが好ましい。キャパシタンスにより、電力消費モードと非電力消費モードの間の移行が生じるときに、制御装置に電流を確実に供給し続けることができる。モータは、制御装置に選択的に接続される抵抗も含み、非常制動モード時にコイルからの電力を抵抗により消費することができる。非常制動モードは、例えばバッテリなどの電源が故障していたり、バッテリが完全に充電されていたりまたは接続が故障しているために電源がコイルからの電力を受け取ることができないモードである。抵抗は、制御装置およびコイルの非常に近くに配置され、これによって接続故障のリスクを低減することが好ましい。
【0034】
本発明の一態様は、上述のモータと共に用いる制御装置も提供する。この装置は、複数のブレーキコントローラ回路に接続される機械式ブレーキ制御装置を含み、各ブレーキコントローラ回路はそれぞれの電気モータに接続される。車両の実施例では、機械式ブレーキ制御装置はブレーキペダルであり、別個のブレーキコントローラ回路がブレーキペダルに接続され、これによりいずれのブレーキコントローラ回路が故障した場合であっても、車両の車輪それぞれを駆動するために接続されるモータのうち一つにより提供されるブレーキ力を制御するように他の回路が動作するという冗長性が得られる。
【0035】
コイル・スイッチング
複数の制御装置を、モータの多相サイクルの範囲内でモータのコイルに電流の交互(staggered)スイッチングを提供するように構成することができる。これにより、所与の期間にわたりスイッチングイベントを分散させることによってEMI雑音を軽減することができる。この態様は、PWMスイッチングイベントが異なるコイルで異なる時間に生じるようにすることによって機能する。
【0036】
この発明の実施形態を利用して、例えばリニアモータまたは回転モータを製作することができる。例えば、回転磁場を生じるようにコイルセットを配置することができ、モータは回転磁場内を回転するように取り付けられた磁石を含むことができる。
【0037】
コイル取り付け
本発明の別の態様によると、電気モータ用のコイル取り付けシステムを提供することができる。このシステムは、モータのコイルを巻き取り可能に(windably)受け入れるための一つ以上のコイル歯を含む。システムは、複数のコイル歯を取り外し可能に受け入れるための後部も含む。
【0038】
コイル歯は、コイル巻線を別個に用意してモータおよび他のコイルから遠ざける手段を提供する。このようにして、コイル歯へのアクセスが簡単になり、モータの他の構成要素が邪魔になることなく各コイルを比較的簡単に準備することができる。後部は、一旦巻かれた取り付けシステムのコイルを、適切な磁場を生じさせるような所望の配置で取り付けることができる手段を提供する。
【0039】
コイル歯は、コイルを巻き取り可能に受け入れるための細長い腕部を含むことができる。これによりコイルを作成する仕事が単純化される。
【0040】
コイル歯は成型された取り付け部を含むことができ、後部は対応して成型された受け入れ部を含むことができる。これにより、歯と後部の間で簡単かつ堅固な取り付けを実現できる。コイル歯の取り付け部は、V字型に構成された二つの指部を有することができる。指部はコイル巻線により生じる磁場線にほぼ沿って走るように角度が付けられており、これによって指部と磁場との干渉を低減することができる。
【0041】
複数の相互接続された後部を設けることができる。これにより、モータの設計および組み立てにさらなる柔軟性が与えられる。例えば、それぞれが多数の歯を有する複数の後部を別々に組み立てて、その後互いに接続してより大きな後部およびモータ用の歯の配置を形成することができる。後部を上に積み重ねることができ、各層の後部を、相互接続部が垂直方向に一致することがないようスタガ型(staggered、段状)に接続することができる。これにより構造強度が増す。後部間の相互接続は歯を介してなすことができる。
【0042】
後部に取り付けられるコイル歯に所望の配置を与えるように後部を成型し大きさを決めることができる。例えば、後部は円弧形であってもよい。これにより、取り付けシステムを含む円形のモータを作ることができる。後部および/またはコイル歯は積層構造を持つ。
【0043】
本発明のさらなる態様によると、上述のコイル取り付けシステムを含む電気モータまたは発電機を提供することができる。
【0044】
本発明の別の態様によると、上述の種類のモータを含む車両を提供することができる。
【0045】
発明のさらなる態様によると、上述の電気モータまたは発電機を製造する方法を提供することができる。この方法は、電気モータまたは発電機用のコイルをコイル歯に巻き付けることを含む。方法は、コイル歯をコイルと共に後部に取り付けることも含む。
【0046】
方法は、コイルの個別電流制御を実施するよう構成された制御装置にコイルを接続することを含む。この方法は、この種の制御装置を含むモータの役に立つが、これは、それぞれの歯の巻線を作成するために単一のコンダクタを用いる必要がないからである。その代わりに、各歯のコイルを別個に巻いて、その後制御装置に直接接続することができる。
【0047】
トラクション制御
本発明の別の態様によると、複数の車輪を備え各車輪がそれぞれのモータにより独立して駆動される車両向けのトラクション制御システムを提供することができる。制御システムは、各車輪の回転加速度を検出するセンサを含む。制御システムは、一つ以上の車輪の回転における所定の加速度の検出に応じてそれぞれのモータにより各車輪に与えられるトルクを調節するための制御装置も含む。所定の加速度は横滑りを示すものである。
【0048】
それぞれの制御装置は車輪毎に設けることができる。各制御装置は、所定の規則にしたがってシステム内の他の制御装置とは独立してトラクション制御を実行するように動作可能であってもよい。車輪の加速度データを交換するために制御装置がネットワーク化されていてもよい。制御装置は、車輪の連続的なトルク調整を実行するよう動作可能であってもよい。
【0049】
本発明のさらなる態様によると、複数の車輪を備え各車輪がそれぞれのモータにより独立して駆動される車両を提供することができる。この車両は上述のトラクション制御システムを含む。
【0050】
サスペンション制御
本発明の別の態様によると、複数の車輪を備え、各車輪が車両のサスペンションアームに取り付けられており、それぞれのモータにより独立して駆動される車両のサスペンション制御システムを提供することができる。このシステムは、各車輪に与えられるトルクを選択的に調節して各サスペンションアームに力を与えるための制御装置を含む。
【0051】
制御装置は、各車輪に与えられるトルクを選択的に調節し、各サスペンションアームに力を与えて車高を変えるように動作可能である。
【0052】
本発明のさらなる態様によると、複数の車輪を備え、各車輪がサスペンションアームに取り付けられ、それぞれのモータにより独立して駆動される車両を提供することができる。この車両は、上述のサスペンション制御システムを含む。
【0053】
上述の車両のモータは、上述した電気モータのような電気モータであってもよい。
【0054】
本発明の別の態様によると、複数の車輪を備え各車輪が別個のモータにより駆動される車両のトラクション制御方法を提供することができる。この方法は、一つ以上の車輪の回転加速度を検出することを含む。方法は、一つ以上の車輪における所定の回転加速度の検出に応じて各モータにより各車輪に与えられるトルクを調節することを含む。所定の加速度は横滑りを示している。
【0055】
所定の加速度は、車両の加速度に対して定められた上限値によって計算することができる。
【0056】
それぞれの制御装置を用いて各車輪に与えられるトルクを調節することができる。各制御装置は、所定の規則にしたがって、システム内の他の制御装置とは独立してトラクション制御を実施してもよい。車輪加速度データを制御装置間で交換してもよい。車輪に対して連続的なトルク調節を実行することができる。
【0057】
本発明のさらなる態様によると、複数の車輪を備え、各車輪が車両のサスペンションアームに取り付けられており、それぞれのモータによって独立して駆動される車両のサスペンション制御方法を提供することができる。この方法は、各車輪に与えられるトルクを選択的に調節してそれぞれのサスペンションアームに力を与えることを含む。
【0058】
本発明の別の態様によると、上述のトラクション制御方法および/またはサスペンション制御方法を実行するコンピュータ・プログラムを提供することができる。
【0059】
本発明を実装するコンピュータ・プログラムは、キャリア媒体上のコンピュータ・プログラムの形態であってもよい。キャリア媒体は、ソリッドステート、磁気、光学、光磁気、または他の記憶媒体などの記憶媒体であってもよい。キャリア媒体は、例えば放送、電話、コンピュータ・ネットワーク、有線、無線、電気、電磁気、光学または任意の他の伝送媒体などの伝送媒体であってもよい。
【0060】
シール構成
本発明の別の態様は、ステータとロータからなるモータ装置である。ステータはステータハウジングを有し、ロータはロータハウジングを有する。ロータハウジングはステータの構成部品を実質的に取り囲み、ロータはロータハウジングとステータハウジングの間に配置されたシール構成を有する。シール構成の部材(単数または複数)は、ロータハウジングの回転の遠心力によってステータハウジングに接触する位置からステータハウジングから離れた位置にまで移動可能であるようにシールが構成されている。この構成は、ロータが静止しているか低速で回転しているときには、シール構成がロータとステータの間の空隙をシールするが、ロータが高速回転しているときには、ロータと共に動くシールとステータハウジングとのこすれによる摩擦によってシールがすり減らないという利点を有する。高速では、ロータの遠心効果によってハウジング内への材料の進入が妨げられる。このプロセスは、ロータに取り付けられたシールの可動要素(単数または複数)とステータハウジングとの間の圧力が静止時に最大になり、接触が終わるレベルまでロータ速度が増加するにつれて圧力が低下するという点で、段階的なものである。
【0061】
ロータの遠心動作も、ロータ/ステータアセンブリ内部の圧力差を引き起こす。この圧力差は半径方向のものであり、中心で低圧、半径方向に次第に圧力が高くなる。適切に保護された入口オリフィスをステータの中心近くに組み込むことによって、ステータ接点のシール部で空気を引き込みまた実質的にはき出すことができる。このメカニズムは、過度の摩耗からシールを保護する空気の膜を提供し、存在する空気が材料の進入を排除するという点で追加のシーリング利点をもたらす。この特徴により、例えば結露のためにモータに入ったあらゆる水分が除去されたりもする。
【0062】
適切に保護された入口オリフィスは、例えばステータの外部に取り付けられたパイプを持つオリフィスであってもよい。パイプは、もう一つの開口端が水に浸かることが決してない位置にあるほど十分な長さを持つ。開口端には、安全なサイズよりも大きな物質の粒子がモータ内に進入するのを防ぐための小片フィルタがさらに備えられている。
【0063】
入口オリフィスを保護するもう一つの方法は、半透過膜を用いるものである。この種の膜は、水または小片を通すことなく空気を通過させる(例えば、ゴアテックス)。この方法は、ステータに位置するか、上述のパイプを介して遠隔に位置することができる。
【0064】
冷却構成
本発明のさらなる態様は、冷却構成を備えたモータである。モータは、円周に配置された複数のコイルと、複数のコイルに隣接して配置され、ポンプによりまたは対流によってその中を冷却流体が循環する冷却流路とを備える。この態様は、複数の面を持つ冷却プレートを使用する。冷却プレートは三面から巻線を包囲し、電動装置、ダンプ(dump)パワー装置およびダンプレジスタを取り付けるための面を提供する。コイル、歯、および後部からなるステータアセンブリは、冷却プレート上に直接組み立てられる。続いて、ステータアセンブリは、例えば酸化アルミニウム、窒化アルミニウムまたはカーボンで満たされたエポキシなどの熱伝導性材料を用いて冷却プレート上にポッティングされる。このポッティングプロセスは、機構的な完全性をアセンブリ全体に与えるために重要であり、全ての部品が一体化し振動や衝撃への耐性が増加する。ポッティングにより、巻線システム内のあらゆるエアポケットの存在が防止されるという点で、絶縁システムの電気的強度がさらに改善される。スイッチング速度が高速であるため、dv/dtが高く、これにより巻線の絶縁媒体中に電気的応力を生じる。エア・ポケットはイオン化の危険があり、早期の絶縁故障につながる。電子制御モータまたは発電機では、スイッチングイベントにより誘導される繰り返しの電気的応力によってもたらされるこの絶縁破壊は主要な信頼性の問題であり、ポッティングはこのリスクをかなりの程度低下させる。ポッティングは真空下でなされるのが最適であるが、低粘度のポッティング材料を大気圧の下で使用することができる。ポッティングは、熱を発生する巻線、後部鉄(back iron)の積層、および冷却流体を中に含むヒートシンク冷却プレートの間の熱伝導性を改善する点で重要である。ポッティングは、電気的な故障の恐れなしで巻線システムを完全に水に浸けることを可能にするという点で、さらに大きな利益をもたらす。これは、結露または他の水の進入に対して電気システムが影響を受けないようにする必要があるために、重要である。
【0065】
本発明をより良く理解し、また発明の実現の仕方を示すために、添付の図面を一例として参照する。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】三相モータの例示的な構成の模式図である。
【図2】図1に示したコイルサブセットの一つにおけるコイルの構成を示す図である。
【図3】本発明を具現化するモータの分解図である。
【図4】別の角度から見た図3のモータの分解図である。
【図5】本発明の一実施形態による三相モータの例示的な構成の模式図である。
【図6】本発明の一実施形態による、図3に示したコイルサブセットの一つにおけるコイルの例示的な構成を模式的に示す図である。
【図7】本発明の一実施形態による三相モータの例示的な構成の模式図である。
【図8】本発明の一実施形態による、図7に示したコイルサブセットの一つにおけるコイルの例示的な構成を模式的に示す図である。
【図9】実施形態のコイルを磁石に対して模式的に示す図である。
【図10】本発明の一実施形態による制御装置の一例の模式図である。
【図11】スイッチング構成の回路図である。
【図12】複数の制御装置の動作を調整するために共通の制御装置を用いる構成を模式的に示す図である。
【図13】本発明の一実施形態によるコイル歯の正面図である。
【図14】本発明の一実施形態によるコイル歯の側面図である。
【図15】本発明の一実施形態による、後部と受け入れ可能に取り付けられた複数のコイル歯とを模式的に示す図である。
【図16】本発明の一実施形態による後部とコイル歯の詳細図である。
【図17】本発明の一実施形態による後部と複数のコイル歯の詳細図である。
【図18】本発明の一実施形態による後部とコイル歯の詳細図である。
【図19】より大きな後部を作るために互い違いに積層された相互接続された複数の後部の例を示す図である。
【図20】より大きな後部を作るために互い違いに積層された相互接続された複数の後部の例を示す図である。
【図21】シール構成を示す図である。
【図22】四つの車輪を持つ車両の一例の模式図であり、車輪にかかる力を示す図である。
【図23】サスペンションアームに取り付けられた車輪の一例の模式図である。
【図24】本発明の一実施形態の磁石取り付け構成の模式図である。
【図25】本発明の一実施形態のステータコイル用の冷却構成の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0067】
記載する本発明の実施形態は、車両の車輪に使用する電気モータである。モータは、車輪に取り付けられる一組の磁石を有するロータにより放射状に取り囲まれ、車両に取り付けられるステータの一部である一組のコイルを有するタイプのものである。誤解を避けるために、本発明の様々な態様は、同様の構成を有する発電機にも等しく適用することができる。さらに、本発明の態様の一部は、放射状に取り囲むコイル内の中心に取り付けられるモータを有する構成にも適用することができる。
【0068】
物理的な構成
実施形態のアセンブリの物理的な構成は、図3および図4において最も良く理解される。アセンブリは、内蔵の電子機器およびベアリングを持つモータとして述べることもできるし、あるいは、別個の車輪を収容するために組み込まれたハブ・モータまたはハブ・ドライブとして述べることもできる。
【0069】
最初に図3を参照すると、アセンブリは、アセンブリ・ハウジングの第1の部分を形成する後部230を有するステータ252と、ヒートシンクと、コイルおよびヒートシンクを駆動する複数のコイルと電子機器からなる駆動装置231と、を備える。コイル駆動装置231は後部230に固定されてステータ252を形成する。ステータ252は車両に固定され、使用中に回転しない。コイル自体は積層歯235上に形成され、積層歯235は駆動装置231および後部230とともにステータ252を形成する。
【0070】
ロータ240は、前部220と、ステータ252を実質的に取り囲むカバーを形成する円筒部221とからなる。ロータは、円筒部221の内周に配置される複数の磁石242を含む。このように、磁石はアセンブリ231上でコイルに近接しており、したがって、アセンブリ231のコイルにより発生した磁場がロータ240の円筒部221の内周に配置された磁石242に力を発生させ、これによってロータ240を回転させる。
【0071】
ロータ240は、軸受ブロック223によりステータ252に取り付けられる。軸受ブロック223は、このモータアセンブリが固定される車両で使用されるような標準的な軸受ブロックであってよい。軸受ブロックは二つの部品、すなわちステータに固定される第1部分と、ロータに固定される第2部分とからなる。軸受ブロックは、ステータ252の壁230の中心部233と、ロータ240のハウジング壁220の中心部225とに固定される。このように、ロータ240は、ロータ240の中心部225で軸受ブロック223を介して車両に回転可能に固定される。これには重要な利点がある。つまり、通常の車輪ボルトを用いて中心部225でホイールリムとタイヤをロータ240に取り付けることができ、したがってホイールリムとタイヤが軸受ブロック223の回転側にしっかりと固定される。車輪ボルトは、ロータの中心部225を通して軸受ブロック自体に固定されてもよい。この構成の第1の利点は、車輪、軸受ブロック、およびブレーキ構成などの任意の他の部品を取り外すことによって、アセンブリの全体を既存の車両に簡単に取り付けることができる点である。続いて、既存の軸受ブロックがアセンブリ内に取り付けられ、全体の構成がステータ側で車両に取り付けられ、通常のリムと車輪がロータに取り付けられ、こうしてリムと車輪がモータアセンブリの全体を取り囲むようになる。したがって、既存の車両への取り付けが非常に容易である。
【0072】
第2の利点は、ロータ240の外側で、特に円周内で磁石を保持する周壁221において、車両を支持するための力が不要であるという点である。これは、車輪を保持する力が、軸受ブロックの一方に固定されるサスペンションから(ステータ壁の中心部を通って)、軸受ブロックの他方に取り付けられるロータを取り囲む車輪の中心部まで(ロータ壁の中心部を通って)伝えられるからである。このことは、ロータの周壁221が、壁を変形させ磁石の不揃いを引き起こしうるいかなる力も受けないことを意味する。円周のロータ壁の整列を維持するために、複雑な軸受機構は必要がない。
【0073】
ロータは、後述する位置検出のための焦点リングと磁石227も備える。
【0074】
図4は、図3と同じアセンブリを反対側から見た分解図であり、後部ステータ壁230、コイルおよび電子アセンブリ231からなるステータ252を示している。ロータ240は、外部ロータ壁220と、磁石242が円周方向に配置される周壁221とからなる。上述したように、ステータ252はロータとステータの壁の中心部で軸受ブロックによってロータ240に接続されている。
【0075】
図3には、後述する制御電子機器を有する回路基板80も示されている。これらの回路基板は、その形状のために凧(kite)基板と呼ばれることがある。さらに、図3および図4には、ロータの周壁221とステータハウジング230の外端の間にV字形のシール350が設けられているが、これについては詳細に後述する。さらに、図4には、整流(commutation)焦点リングと複数の磁石とを備える磁石リング227が設けられているが、これは、ステータ252の回路基板80に配置された一連のセンサに対して、ステータに対するロータの位置を示す目的で設けられる。これについてもより詳細に後述する。
【0076】
コイル制御
図5は、本発明の一実施形態による電気モータの一例を模式的に示す。この実施例では、モータは全体的に円形である。しかしながら、本発明の実施形態は他のトポロジーも採用できることは認められよう。例えば、線形移動を生み出す線形の配置が想定される。
【0077】
この実施例におけるモータ40は三相モータである。また、本発明によるモータは、任意の数の相(N=1、2、3、...)を含むことができることも認められよう。三相モータであるので、モータ40は三つのコイルセットを含む。この実施例では、各コイルセットは二つのコイルサブセットを含む。各コイルセットのコイルサブセットには、それぞれ44、46、48の符号が付されている。コイルサブセット44、46、48は、モータ40の周辺に配置される。この実施例では、各コイルサブセットはそのコイルセット内の他のコイルサブセットの反対側に位置するが、このような構成は本発明の作用にとって厳密に必須という訳ではない。各コイルサブセットは、図6に関して後述するように、一つ以上のコイルを含む。
【0078】
モータ40は、モータの様々なコイルの位置づけによって定まる円の中心に位置するロータ(図5には示さず)を備えることができ、これによって、コイルにより発生する回転磁場内でロータを回転させることができる。しかし、好ましくは、図3および図4で明らかにされるように、ロータはコイルの周りに配置される。通常、ロータは、磁石の極がモータ40のコイルの端部を横切って回転するように配置された一つ以上の永久磁石を備える。コイルサブセットのコイルの電流を適切にスイッチングすることで、ロータの永久磁石の極に同期された吸引と反発が起こり、モータ40の回転動作を生み出すことができる。図5は模式図であって、実際には、コイルサブセットはロータ磁石がコイルを囲んだ状態でステータの外周に配置されることは言うまでもない。
【0079】
各コイルセット44、46、48は一つ以上のコイルを含む。図6で示すように、本実施例では、コイルサブセットにつき一つのコイルがある。コイルサブセットにつき複数のコイルがある例は、図7および図8に関連して以下で述べる。複数のコイルが所与のコイルサブセットに設けられる場合、これらのコイルは通常、各コイルにより生じる磁場が隣接するコイルの磁場に対して正反対(anti-parallel)の構成となるように反対方向に巻き付けられる。上述したように、コイルの電流を適切にスイッチングすることで、ロータの永久磁石が回転する。
【0080】
図5で示すように、本発明の一実施形態によると、各コイルサブセットのコイル(単数または複数)が別々の制御装置80に接続していてもよい。図5において、各コイルサブセットがそれぞれの制御装置80の端子54、56、58に接続している様子が図式的に示されている。したがって、所与のコイルセット内の対応するコイルサブセットのコイルは直列接続されていない。その代わりに、各コイルサブセットは個別に制御され駆動される。制御装置と各コイルサブセットのコイルは、例えば、図6に模式的に示すように単一の導線(例えば銅の導線)を用いて接続することができる。各コイルサブセットのコイルを個別に電力制御することには多くの利点がある。
【0081】
モータの周囲に接続導線を取り回して各コイルサブセットのコイルを直列接続する必要がないので、モータの製造に用いる導線が少なくなる。これにより製造コストが減り、またモータ作成の複雑度も減る。導線の減少により伝導損失も低下する。
【0082】
各コイルサブセットのコイルを個別に電力制御することによって、また各コイルサブセットのコイルが直列に接続されるモータを用いて達成されるよりもコイル当たりの巻数を多くすることによって、モータの総インダクタンスを大きく増加させることができる。次に、これにより、各コイルサブセットを流れる電流を遙かに小さくすることができ、これにより、より低い電力定格を有するスイッチングデバイスを用いて電流制御をすることができる。したがって、より安価で軽くかさばらないスイッチングデバイスを用いてモータを動作させることができる。
【0083】
より低い電流を使用することで熱放散の問題も減じられ、利用できるより小さなスイッチングデバイスがより高速であるために、スイッチング損失も低下する。より小型のスイッチングデバイスがより高い周波数で動作できるという事実は、より精細で応答性の高いモータ制御を可能にする。実際、非常に高い応答性でトルクの調整を行うことができ、単一のPWM周期内で調整を行うことができる。本発明の一実施形態による典型的なPWM周期はおよそ50秒である。
【0084】
より小型のスイッチングデバイスを使用するもう一つの利点は、デバイスが制御するコイルの近くにデバイスを配置できることである。直列接続されたコイルサブセットの動作を制御するために比較的大きなスイッチングデバイスが採用された従来の電気モータでは、制御装置が比較的大きいため他のモータ部品(例えば、ステータ、ロータ等)に含めることができず、別個に設けなければならなかった。対照的に、本発明の一実施形態によると小型のスイッチングデバイスが使用できるため、スイッチングデバイスと、スイッチングデバイスを備える制御装置とを、例えば他のモータ部品と同じハウジング/ケーシングの中に配置することができる。スイッチングデバイスを備えた制御装置の例に関する詳細は、図10および図11に関連して以下で述べる。
【0085】
図7および図8は、本発明の一実施形態によるモータ40の別の構成例を示す。図5に示すモータ40は三相モータである。したがって、モータは三つのコイルセットを有する。この実施例では、各コイルセットは8つのコイルサブセットを備える。コイルセットのコイルサブセットには、図7においてそれぞれ44、46、48の符号が付されている。図5に関して上述した例と同様に、各コイルセットは、モータ40の周囲に互いに反対側に配置されるコイルサブセットの組を有する。しかしながら、この場合も、各コイルサブセットは、モータ40の周囲の反対側に対応するコイルサブセットを有する明らかな必要性はないことに留意すべきである。
【0086】
図7に関して上述したように、各コイルサブセットをそれぞれの制御装置80に接続することができる。各コイルセットの各コイルサブセットの端子には、図7においてそれぞれ54、56、8と符号が付されている。図7に示す構成は、例えば図3に示した構成よりも多数のコイルサブセットを含むが、これは、増加した数のコイルサブセットを直列に接続する場合にモータを動作させるのに用いられるスイッチング手段の寸法および容積を著しく増大させる訳ではない。その代わりに、追加のコイルサブセットそれぞれに対し上述の比較的小さなスイッチングデバイスを備えた追加の制御装置80を設ける必要があるに過ぎない。上述したように、これらの制御装置80は、例えばモータ40と同一のケーシング内に、対応するコイルサブセットに近接して制御装置を配置できるほど十分に小さい。
【0087】
上述したように、各コイルサブセットは一つまたは複数のコイルを含むことができる。この実施例では、図8に模式的に示すように、各コイルサブセットは三つのコイルを含む。図8では、これらの三つのコイルに74A、74B、74Cと符号が付されている。三つのコイル74A、74B、74Cは、所与の電流の方向に対して隣接するコイル(単数または複数)とは正反対の磁場を各コイルが生じるように、交互に巻線される。上述したように、モータ40のロータの永久磁石がコイル74A、74B、74Cの端部を横切るので、コイルの電流の適切なスイッチングを用いてロータにインパルスを与える所望の力を作り出すことができる。図6に模式的に示されているように、コイルサブセット内の各コイルを直列に巻くことができる。
【0088】
各サブセット内のコイル74A、74B、74Cを反対方向に巻いて正反対向きの磁場を与える理由は、ステータのコイル44、46、48を囲むロータ上の磁石242の配列を示す図9に関して理解することができる。簡単のために、磁石とコイルを線形に配置した構成が示されているが、本発明の実施形態では、既に述べたように、コイルは、ロータ円周の内部に配された磁石とともに、ステータの周囲に配置されることは理解されよう。
【0089】
磁石242は、コイルサブセット44、46、48に向けて磁極が交互になるように配置される。したがって、三つのコイル74A、74B、74Cの各サブセットは、交互の磁極面に対して交替磁場を生じる。したがって、サブセットの左手のコイルが磁石の一つのN極に対して反発力を有するとき、隣接する中心のコイルは磁石のS極に対して反発力を有し、以下同様である。
【0090】
図9に模式的に示すように、磁石とコイルの比率は、9つのコイルに対して磁石が8つである。この構成の利点は、磁石とコイルの位置が完全に揃うことが決してないということである。このような完全な位置の一致が起こると、モータの回転の検出に関してはっきりとした方向を与えるようコイルと磁石の間に力が付与されない位置でモータが静止することがある得る。モータの周囲に異なる数のコイルと磁石を配置することで、ロータとモータがどのような位置で静止した場合でも、常に特定の方向に力が生じるようになる。
【0091】
別々の制御装置によってコイルサブセットを独立して制御することの特別な利点は、通常よりも多数の相を配置できることである。例えば、図7で述べたように、三相モータの代わりに、異なる数の磁石およびコイルとともに24相や36相などのより多数の相とすることができる。16個の磁石に対し18個のコイル、32個の磁石に対し36個のコイルといったように、磁石に対するコイルの比率も完全に実施可能である。実際、好適な構成では、図3および図4に示したように、それぞれがサブセット内の三つのコイルを制御する24個の別個の「凧型の」制御基板80を設ける。これにより24相モータが提供される。例えば24相のような多相の構成を使用すると、多数の利点が得られる。各サブセット内の個々のコイルはより少ない数の相を持つ構成よりも大きなインダクタンスを有することができるが、これは、各制御回路が多数のコイルを制御する(これは、大きな合計インダクタンスを制御する必要がある)必要がないからである。相を多数とすることでリップル電流のレベルも低くなる。これは、モータ操作に必要とされる電流形状の起伏が、三相モータの形状よりもかなり小さくなることを意味している。したがって、モータ内部に必要とされるキャパシタンスのレベルが低下する。相を多数とすることで、電源ラインを通して大きな電流を迅速に移動させる必要性から生じる高電圧の過渡現象が起こる可能性が最小となる。リップルが小さいので電源ケーブルのインダクタンスの影響も小さく、したがって電圧の過渡応答レベルも減少する。ブレーキ構成(後述)で用いる場合、数秒にわたり数百キロワットを移動する必要があるような困難なブレーキ条件においては、これは大きな利点となり、多相の構成によりこの状況における高電圧の過渡応答の危険性が減少する。
【0092】
図9に示す磁石とコイルの相対的な構成を、ロータおよびステータ構成の360度の機械角の周りに二回、三回、四回、または適切な数だけ繰り返すことができる。独立した相を持つ、コイルの別個のサブセットの数が多くなるほど、高電圧の過渡応答または重大な電圧リップルの可能性が低くなる。
【0093】
本発明の一実施形態によると、電力制御が個別である複数のコイルサブセットをモータ内で互いに隣接して配置することができる。このような例では、例えば図8に示したような三つのコイルをモータ内で互いに隣接させて設けることができるが、同一の制御装置80に直列に接続されてはいない。その代わり、各コイルは自身の制御装置80を備えている。
【0094】
各コイルサブセットに対し個別の電力制御がなされる場合、関連する制御装置を動作させてモータを低減された定格で動かすことができる。これは、例えば、選択されたコイルサブセットのコイルをパワーダウンすることで実現することができる。
【0095】
一例として、図7では、コイルサブセットの一部が「*」印で強調されている。これらのコイルサブセットがパワーダウンされると、性能は低下するものの、モータは依然として動作することができる。このように、所与の適用先の要件に応じてモータの電力出力を調節することができる。一例では、自動車のような車両でモータを使用する場合、コイルサブセットの一部のパワーダウンを用いて車両の性能を調節することができる。図7に示した例では、「*」で表したコイルサブセットのそれぞれがパワーダウンされると、結果として残りのコイルサブセットが図5に示したのと同様の構成となる。しかし、当然ながら、図5のコイルサブセット当たり一つのコイルに対して、コイルサブセット当たり三つのコイルの構成になる。
【0096】
コイルサブセットのうち一つまたは複数をパワーダウンすることは、コイルサブセットの一つが故障した場合に、モータ40の他のコイルサブセットをパワーダウンして、適切な多相動作のためにモータの周りにバランスの取れた磁場形状を保持したかたちでモータ40を継続して動作できるというさらなる利点を有する。対照的に、コイルサブセットのコイルの直列接続を含む従来のシステムでは、コイルまたは任意の所与のコイルセットに関連する接続が故障すると、大きな電流を伴う破滅的で非常に危険な状態になりうる。さらに、コイルまたは所与のコイルセットのコイル間の接続内の任意の場所の故障により、モータはどんな形であれ機能し続けることができなくなる。
【0097】
要約すると、本発明の一実施形態によるコイルサブセットの個別の電力制御によって、異なる電力要件および/または誤作動またはコイルサブセット内の故障に反応するために、選択されたコイルサブセットを個々にパワーアップまたはパワーダウンすることが可能になる。
【0098】
制御回路
図10は、本発明の一実施形態による制御装置80の一例を示す。上述したように、制御装置80は、典型的に一つ以上の半導体装置で構成できる複数のスイッチを備える。図10に示す制御装置80は、いくつかの部品が取り付けられるプリント回路基板82を含む。回路基板82は、制御装置80を、例えばそれが制御するコイルサブセットに隣接して、モータ内部で冷却プレートに直接固定する手段を備える。図示した例では、これらの手段はネジなどが貫通できる開口部84を含む。この例では、プリント回路基板は実質的にくさび形である。この形状により、複数の制御装置80を、モータ内部に扇状の構成で互いに隣接させて配置することが可能になる。
【0099】
制御装置80のプリント回路基板82上には、後述する制御装置92からの信号を送受信するための導線を受け入れるための端子86を設けることができる。
【0100】
図10に示す例では、制御装置80は複数のスイッチ88を含む。スイッチはMOSFETまたはIGBTなどの半導体デバイスであってもよい。本実施例では、スイッチはIGBTからなる。制御装置80に関連するコイルサブセットのコイル内の電流を制御するために、任意の適切な既知のスイッチング回路を利用することができる。そのようなスイッチング回路の周知例の一つは、Hブリッジ回路である。この回路は、図10に示すような四つのスイッチングデバイスを必要とする。コイルサブセットの導線(例えば、銅の導線)は適切なかたちでスイッチングデバイス88に直接接続することができ、スイッチングデバイス88間の接続はプリント回路基板82の上に形成することができる。上述のように、スイッチングデバイス88をコイルサブセットに隣接して配置することができるので、スイッチングデバイス88におけるコイルサブセットの導線の終端処理をより簡単にすることができる。
【0101】
図11に示すように、制御装置はHブリッジ構成に配置された半導体スイッチを含む。当然ながらHブリッジは当業者にとって既知であり、電圧源(ここでは300ボルト)とグラウンドに接続された四つの別個の半導体スイッチ88からなる。各サブコイルのコイルは端子81および83をつないで接続される。ここでは、サブコイル44が端子間を接続するように示されている。単純化すると、モータを動かし電圧を一方向に供給するために、スイッチ88Aおよび88Dが閉じられ、他のスイッチが開いたままとされて、回路を電流が一方向に流れるようになる。モータを動かすために、この電流の向きは、交替磁極がコイルを通過するのと一致して変化する。モータの回転方向を変えるために、反対の方向に力が生じるようにコイルの電流のタイミングおよび極性が変化する。スイッチ88Bおよび88Cが閉じられ、他の二つのスイッチが開いたままにされると、コイルの電流の向きが逆になる。実際には、パルス幅変調の技術を用いて半導体スイッチのゲートに付与される信号をパルス幅変調して、コイルに付与される電圧を制御する。ブレーキ構成は従来技術では知られていない方法で動作し、全体的な制御構成を述べた後に説明される。
【0102】
図12に示すように、共通制御装置92を使用して、モータに設けられた複数の制御装置80の動作を調整することができる。従来のモータでは、各コイルサブセットのコイルにより生じる磁場の同期は、コイルが直列接続されているという事実によって自動的に達成される。しかしながら、各コイルサブセットが個別に電力制御される場合、この種の自動的な同期は起こらない。したがって、本発明の一実施形態によると、直列接続されたコイルを含む多相システムの正確なエミュレーションを保証するために、図12に示すような共通制御装置92を設けることができる。図11に関して上述したように、複数の制御装置80に端子86を設けて、複数の制御装置80と共通制御装置92との間の相互接続90を形成することができる。
【0103】
相互接続90は、多相の直列接続システムの適切なエミュレーションをするためのタイミング/同期信号などの信号を、共通制御装置92と制御装置80の間で受け渡すことができる。
【0104】
他の実施形態では、各制御装置は中心制御装置を必要とせずに独立して動作することができる。例えば、各制御装置はモータのロータ位置を検出する独立したセンサを備えることができ、これは上述した種類の同期信号の提供を不要とする。その代わりに、各制御装置は、関連する制御装置に別々に付与される電圧を制御できるようにする要求信号を受け取る。
【0105】
好適な実施形態は、モータを含む各車輪の動作のための中心制御装置をいかなる形でも必要としないことが強調される。好ましくは、各モータは内蔵型であり(self-contained)、各モータ内で制御回路80が内蔵され、動作のためにトルク要求信号以外のものに依存しない。これは、駆動システム全体の中でのいかなる故障にも関わりなく、要素が機能し続け要求されたトルクレベルを供給し続けることができることを意味する。それぞれがモータを備えた複数の車輪を含むシステムでは、各モータはその挙動を管理するために必要な全ての情報を持つ。各モータは車両における自身の位置を理解し、それにしたがって自身の挙動を制御する。各モータに速度、トルクおよび状況などの他のモータに関する情報が供給され、車両における位置に関する各モータの知識や他のモータの状態および状況に基づき、所与の要求トルクに対して付与すべき最適のトルクレベルを各モータが決定できることが好ましい。たとえこのような他の情報がなくても、モータは要求されたトルクに応答し続けることができる。
【0106】
パワー・アップ/パワー・ダウン制御信号のような他の制御信号を、相互接続を介して送受信することもできる。これらの信号は、モータを駆動するために制御装置により関連するコイルサブセットのコイルに付与される、電圧パルスを調整/定義する信号を含んでもよい。
【0107】
例えば、本発明の一実施形態によると、コイルサブセットのコイル(単数または複数)内の逆起電力を監視するための手段を設けることができる。上述したように、直列接続されたコイルサブセットを持つモータをエミュレートする仕事は、モータと関連する逆起電力のために複雑なものとなる。直列接続されたシステムでは、逆起電力も直列であり、これにより滑らかな正弦波逆起電力プロファイルとなる。したがって、直列構成では、正弦波の逆起電力は、コイル内の電流の制御時に駆動装置から要求される帯域幅を最小化する。
【0108】
対照的に、本発明の一実施形態による直列接続されたコイルサブセットの数を減らした構成では、非正弦波の逆起電力を生じることができる。したがって、コイル内の電流が正弦波のままとなることを確実にするために、より機敏な制御システムが望ましい。
【0109】
この発明の一実施形態によると、逆起電力のために、およびシステムのDC供給電圧のいかなる変動をも調整するために、ほぼ瞬間的な補償を行うことができる。逆起電力を測定する手段は、各コイルサブセットのコイル(単数または複数)を流れる実電流のフィードバックを提供するように構成された、電流検出デバイスを備えることができる。一実施例では、スイッチングデバイスと直列に、十分に低い値を持つ単純な直列のレジスタを使用することができる。例えば、一実施形態では、「H」ブリッジの電力段の下部のエミッタに二つのレジスタを設けることができる。
【0110】
逆起電力はロータ角度およびロータ速度とともに変化するので、これはコイル内電流の変化率を変更する。この電流の変化率は、レジスタまたは他の電流検出デバイスにより電圧変化として検出することができる。さらに、この変化を微分して逆起電力に比例する電圧を求めることができる。
【0111】
同様に、各PWM周期の開始時に、キャパシタに供給電圧を印加することができる。結果として生じる電圧傾斜を逆起電力信号に加えてフィード・フォワード期間として組み合わせ、電流PWM周期を上下に修正することができる。このように、供給の変動と逆起電力の変化は両方ともほぼ瞬間的にPWM周期およびコイルに印加される電圧を調節し、これにより、コイル電流が要求された値に追従するように迅速に調節される。
【0112】
さらなる実施例では、検出コイルを設けることができる。検出コイルは、例えば、以下に述べる種類のコイル歯のサブセットの周りに設けることができる。そして、適切な時間に逆起電力電圧を求めて検出コイルを監視することができる。上述の方法と同様にこれを用いることで、逆起電力の大きさに応答して、中間のサイクルでPWM周期を調整する期間をフィード・フォワードすることができる。
【0113】
各駆動モジュールが自身のPWM信号を生成する実施形態では、逆起電力の修正が、他のモジュールと同期しないように、分散されたランダムな速度スペクトルを生じるような態様で発生することができる。あるいは、制御装置は、共通制御装置92のようなオフボードの装置により同期されたPWM生成器を有することができる。
【0114】
制御装置は、モータ内部の温度、例えば制御装置80に関連するコイルサブセットのコイル内部の温度を監視する手段を選択的に含んでもよい。制御装置は、温度測定に自動的に応答して、例えば、コイルサブセットに加わる電力を低下させてオーバーヒートを避けるように構成されていてもよい。あるいは、測定された温度が各制御装置80から共通制御装置92に渡されてもよく、これにより、共通制御装置92はモータ内部の全体的な温度を監視し、これにしたがって制御装置80の動作を調整することができる。
【0115】
雑音の低減
本発明の一実施形態によると、各制御装置80内でスイッチの交互の(staggered)スイッチングを行うことによって、EMI雑音を低減することができる。モータ内の様々なスイッチングデバイスのスイッチング間にわずかな遅れを含めることによって、短時間に多数のスイッチング事象が発生しEMI雑音のピークに至る状況を回避することができる。このように、制御装置80のスイッチ88内でスイッチングを交互にすることで、モータの動作の間、スイッチング事象に関連するEMI雑音をより広い期間にわたり分散させることができ、これによってEMI雑音のピークを避けることができる。この種のスイッチング事象の分散は、個々の制御装置80でローカルに調節することもできるし、代わりに、相互接続90を介して送られる調節されたタイミング信号を用いて共通制御装置92によって調節することもできる。
【0116】
電力供給
この出願で説明する制御装置80はモータ内の各コイルサブセットのコイルの個別の電力制御をすることができ、これは様々な種類のスイッチングデバイスおよび装置を用いて実現できるけれども、制御装置システムのセルをDC電源のような共通の電源に接続することができる。特に有用なDC電源の構成は、円形のバス・バーを設けることである。制御装置80がリング状に構成されるので、DC電源供給もリング状に構成されてもよい。これにより、リングの各側(国内環状主回路(domestic ring main)と同じ方向)を回る電流経路、したがって一点におけるDC電源の破壊が制御回路に達する電力を妨げることがないという点で、安全性を増大させる。加えて、電流がソース電源から円形バス・バーを通る二つの経路により各制御回路に流れることができるので、バス・バー上の電流要求が半分になる。
【0117】
ブレーキ構成
既に述べたいくつかの特徴は、車両の車輪内のモータに実装される際、制動力を付与する安全機構を提供し、これにより別個の機械式ブレーキ装置の必要性をなくすという点で、重要な長所を有する。モータそのものが制動力を出すことができ、これにより、この構成が「回生」制動と呼ばれるように、エネルギーを電源に戻すことができる。このモードで動作するとき、モータは発電機として働いている。
【0118】
制動装置は、全体としてモータアセンブリに組み入れられる相当な冗長性を利用している。図7および図8に示すように、それぞれ別個のコイルサブセット44がスイッチング回路80によって個別に制御されるという事実は、一つまたは複数のスイッチング回路が故障しても、制動力が全く失われる結果になることがないことを意味する。スイッチング回路の一部を動作できないように故意にスイッチングすることで、駆動力の発生時にモータが低減された動力で動作できるのと同様に、モータは、一つまたは複数のスイッチング回路が故障した場合でも、制動力がわずかに減少した状態で動作することができる。この冗長性は既に述べた設計に内在するものであるが、モータを駆動と制動の両方の構成に置き換えることができるので、車両で用いるときに非常に有効な構成となる。
【0119】
モータアセンブリが効率的なブレーキ構成を提供できるさらなる理由は、力の取り扱いに関するものである。既に述べたように、複数の独立して制御されるコイルを使用することは、発電モードでの動作時に、各コイルを流れる電流が、より少数の位相を持つ等価の構成を流れる電流ほど高い必要がないことを意味する。したがって、コイルにより生じた電力を電源に戻すことがより簡単である。
【0120】
電源が故障した場合であっても制動構成が確実に安全動作するように、個々のコイルサブセットの回路80は車輪そのものからの電力供給によって自らで電力を得る。車輪が回転すると、磁石がコイルを通過するにつれ電流を生成する。電源が故障した場合、この電流はスイッチ80に電力を供給するために用いられる。
【0121】
さらなる冗長手段は、車両のブレーキペダル(または、他の機械式ブレーキ装置)に接続された別個の物理センサを、各車輪に一つずつ設けることである。例えば、典型的な四輪車では、四つの別個のブレーキセンサ構成が、四つの別個のモータにつながる四本の別個のケーブルを持つブレーキペダルに物理的に接続される。したがって、機械式ブレーキペダルまたは別々のケーブルに接続されたこれら別々の電気センサの一つまたは複数が故障したとしても、一つ以上の車輪が依然として制動力を操作するように制御される。制御装置の相互通信能力のために、ソフトウェア特徴によって、任意のセンサまたはそのケーブルが故障してもモータの動作に影響を及ぼさないようにすることができる。これは、センサ・データが他の三つのセンサと異なる場合に、各モータがセンサ情報を調停して他のモータからのセンサデータを用いることができるようにすることで、実現される。
【0122】
さらに別の冗長手段は、いわゆるダンプ・レジスタを用いることである。電源が故障した場合、車輪により生じるエネルギーが、制動力の提供時に消散される必要がある。こうするために、車輪により生じた電力を熱として消費する抵抗が設けられる。各サブ・コイルの個別の電気スイッチングを持つ多相デザインを使用することで、各サブコイルが電力を抵抗で消費し、したがって全体としてダンプ抵抗を車輪の周りに分散させるような分散された抵抗を使用することができる。これにより、発生した熱の、車輪および冷却構成の質量を通じた均一な放散を確実に行うことができる。
【0123】
再び図11を参照して、各コイルサブセット44用のスイッチ80の動作モードは、制動モード時には、以下の通りである。コイルにより発生する電圧を制御するために、上側のスイッチ88A、88Bが開かれ、スイッチ88Cはオン/オフのPWMモードで動作される。磁石がコイルサブセット44を通過すると、接続点83の電圧が上昇する。続いて、PWMプロセスの一部としてスイッチ88Cが開かれると、点83の電圧が上昇してコイル電流を維持し、したがってエネルギーが(スイッチ88Bを横切るダイオードを介して)電源に戻される。この構成は、モータ自身のコイルを、ブースト型(boost form)DCーDCコンバータにおけるインダクタとして効果的に使用する。Hブリッジ回路内で制御をスイッチングすることで、電源に戻されるDC電圧を制御する。
【0124】
回生制動のために採用された、昇圧型のDC/D昇圧型のCコンバータスイッチング戦略は、バッテリの負荷を減らすという点でさらなる明確な利点を有する。既知のシステムでは、回生モードは、モータコイルおよび逆起電力と直列にバッテリ電圧を提供するよう、一番上のスイッチをスイッチングすることにより動作する。これは、バッテリを通して電流が確立されることを要求する。したがって、たとえコイルが電流を生成していても、電流が放電方向にバッテリを流れなければならないので、バッテリの充電状態を低下させる。上述のDC/DCコンバータ構成を採用することによって、コイルは、下部のスイッチにより作られる、コイルを横切る有効な短絡回路によってローカルに電流を定めることができる。生成した電流が確立されると、電流は充電方向に戻って流れる。どちらの構成も、底部のスイッチが通常のPWMシーケンスでオフにされると一時的なエネルギーを集める一方で、従来のシステムは発生した電流を確立する間にバッテリ電流を消費するが、ここで述べた構成はバッテリ電流を消費しない。
【0125】
コイルで発生する電圧が例えば4ボルトを下回ると、Hブリッジ回路内で用いられるスイッチまたはダイオードにわたる電圧の降下のため、もはや電流は流れない。実施形態では、毎時1マイルにつき約1.75ボルトの電圧が発生するので、毎時3マイルを下回る速度で、この状況が生じる。この速度において、スイッチング戦略はDCプラギング(plugging)の形に変わる。DCプラギングでは、全電圧の位相が同一に構成される。この全電圧共通の位相は、回転力を取り除き静的力を与えることにつながる。静的力は、ロータを一つの位置に保持しようとする。このように通常のPWM制御が用いられるが、各コイルサブセットがその印加電圧を他の全てと同位相になるようにする。このDC動作モードは、車両の安全な停止を確実にするので、特に低速のとき有益である。車両が完全に停止すると、静的磁場によってロータのいかなる動きも阻止されるので、車両は止まったままになる。したがって、モータが図らずも前後に動くという危険がない。
【0126】
バッテリが単にフル充電であり、制動時にエネルギーを消散する必要がある場合、既に述べたダンプレジスタ構成を用いてもよい。電源の電圧が所与の閾値を上回る場合、エネルギーをダンプ・レジスタに移してもよい。
【0127】
本発明の実施形態は、上述したように、少なくとも部分的にはコイルサブセットの別個の電力制御によって、非常に信頼性の高いモータまたは発電機を提供することができる。したがって、この発明によるモータまたは発電機は、高度な信頼性が必要とされるアプリケーションに特に適している。
【0128】
車両に組み込むときに特に有益である別の安全上の特徴は、モータ内のスイッチだけでなく、図12に共通制御装置92として示したような主コントローラ・プロセッサを含む、全システムの遠隔の態様や、ブレーキペダルセンサなどの他のセンサにもにも電力を供給できることである。このように、たとえ車両内の電源が完全に故障した場合でも、依然としてブレーキ構成が動作することができる。
【0129】
例えば、風力タービンのようなアプリケーションでは成功が左右されまたコストと信頼性を必要とする。典型的なタービンシステムは25年間動作し、理想的にはメンテナンス/故障、その他のためのサービスダウン時間が最小になるべきである。本発明の一実施形態により実現可能であるような、コンパクトな巻線を持つ駆動電気装置をコンパクトなかたちで組み込むことによって、システム全体のコストを最小化することができる。本発明の一実施形態によると、コイルサブセットの独立した電力制御により、システムが部分的に故障した場合でも動作を継続することができる。
【0130】
特に、効率的な動作のために近年人気が増している垂直軸タービンは、本発明によるモータの組み込みから利益を得ることができる。これは、達成可能な高い出力対重量比のためであり、これにより、マストヘッド質量を小さくでき、したがって支持柱/構造のコストを少なくできる。
【0131】
陸軍、海軍の航空機および地上の駆動システムの全ては、現在のところ、古典的な三相ブリッジトポロジーの単一装置の信頼性に依存しているため、望ましい信頼性よりも信頼性が低い。本発明の一実施形態によるモータを使用して、その種の車両の信頼性を改善することができる。
【0132】
上述の説明から、電気モータは一般的に相互接続と巻線の複雑な構成を含むことが明らかである。上述したように、このような特徴を含む電気モータの製造は面倒で時間がかかるプロセスである。電気モータの製造に必要とされる時間および努力は、通常、巻線と相互接続のために例えば銅の導線を用いることで悪化する。この種の導線は(高電流を処理可能とするために)比較的太いことが多く、取り扱いが困難である。また、導線の取り扱いが困難であるために、モータ製造中に導線に設けられる電気絶縁の損傷を避けることは困難であり得る。巻線および相互接続を組み入れるためのモータの関連部分へのアクセスは制限されていることが多く、またモータの他の部品により妨げられることが多い。
【0133】
コイル取り付け
図13ないし図18は、モータの製造および組み立てを簡単にする、電気モータまたは発電機用のコイル取り付けシステムの一例を模式的に示す。図15に示すように、コイル取り付けシステムは、後部150と複数のコイル歯100を含む。複数のコイル歯100は、コイル取り付け部150の周縁に散在している。歯は、モータコイルの巻線を受け入れて所望のN相モータを作成できるように配置される。図15に示す歯の構成を用いて、例えば上述した種類の三相電気モータを作成することができる。
【0134】
コイル歯100は、図13および図14にさらに詳細に示されている。図13はコイル歯の正面図であり、図14はコイル歯の側面図である。歯100は、電気モータのコイルを巻き取って受け入れる細長い腕部102を含む。フランジ104がコイル歯100の細長い腕部102の一端に設けられ、コイル歯の上にコイルが巻かれた後、歯からコイルが不注意でほどけないようにしている。
【0135】
本発明の一実施形態によると、各コイル歯は後部150に取り外し可能に受け入れられる。したがって、各コイル歯は、コイル歯100を後部150に取り付ける手段を含むことができる。図9および図10に示す例では、これらの手段は二つの細長い指部106である。これらの指部は、フランジ104の反対側に概ねV字型をして細長い腕部102の一端から延びる。以下に述べるように、後部150は、これらの指部を受け入れてコイル歯102を後部150に取り付けるための対応した形状の部分を備えることができる。
【0136】
図16および図17は、後部および受け入れられたコイル歯をさらに詳細に示す。図16と図17に示す例では、後部は互いに接合された複数のより小さな後部150から構成される。
【0137】
図16は、後部150に取り外し可能に受け入れられた一つのコイル歯100を示す。図16に示すように、後部150は、上述したV字型の指部106のようなコイル歯100の対応する作りを受け入れるための複数の開口部126を備え、歯100を後部150に取り付けることができる。
【0138】
図16は、モータコイルの導線をコイル歯100の細長い腕部102の周りに巻き取るように受け入れ、端子142で終端処理する方法の一例を示す。端子は、例えば上述の種類の制御装置の端子であってもよい。歯100が後部150に取り外し可能に受け入れられるので、歯100と後部150とを取り付ける前の製造段階で、コイルの巻線をコイル歯100で受け入れることができる。これにより、巻線過程がモータ部品で妨げられることのないように、残りのモータ部品から離して巻線過程を実行することが可能になる。したがって、歯100が後部150から離れている間、細長い腕部102へのアクセスが簡単になり、またコイルの上に設けられる電気絶縁に与えるリスクを最小にした状態でコイルを巻くことができる。これにより、より電気装備材料の少ない導線を用いることができ、コイルの長さ当たりの熱放散をより良くすることができる。これにより、コイル取り付けシステムを備えるモータの電力定格を最大化することができる。
【0139】
ここで述べるコイル取り付けシステムは、図1に関して説明した直列接続されたコイルサブセットを採用する電気モータと共に使用することができる。このような例では、電気モータの製造は、一つの導線を使って後部から離れた複数のコイル歯に導線を巻く一方、各歯の間の長さの導線を残して適切な直列接続を提供することを含む。一旦これがなされると、コイル歯を適切な位置で後部に取り付けることができる。
【0140】
しかしながら、ここで述べるコイル取り付けシステムは、特にコイルサブセットが個別に制御されるモータの役に立つ。これは、個別制御には各コイルサブセットのコイル歯の別々の終端が必要であり、これによって後部から離れたコイル歯の周りに導線を巻くときに、各コイル歯間の複数の直列相互接続の適切な長さを判断する必要がないからである。その代わり、複数のコイル歯および関連した巻線を最初のステップで作成することができ、その後これらのコイル歯を後部150に必要に応じて単に配置することができる。
【0141】
上述したように、コイルサブセットあたりのコイルを複数にすることができる。図17は、本コイル取り付けシステムがそのようなコイルサブセットとも互換性があることを示す。特に、図17は、本コイル取り付けシステムにしたがい、三つのコイル歯100に巻線をし、コイルサブセットのコイルを形成するように配置する方法の一例を示す。図17に示す巻線の構成は、上述の図8に示したコイルの構成と対応している。
【0142】
後部150のさらなる詳細事項を図18に関して説明する。図示の後部150は実質的に円弧形である。これにより、複数の後部を相互接続してより大きな円形の後部を形成して、円形のモータを作成することができる。後部150は、より大きな後部を形成するように相互接続可能である。図18に示す例では、コイル歯100の造りを用いて後部を相互接続することができる。特に、図18に示すコイル歯100が、後部150のそれぞれの受け入れ開口部126に指部106の一つが受け入れられることで、二つの後部150を接合していることが分かる。他の実施例では、後部を相互接続する代わりの手段を設けることができる。一つの構造を有する円形の後部150を設けることもできることが想定される。
【0143】
コイル歯100の一つによって複数の後部150を相互接続してより大きな後部を形成する一方、隣接する後部150間の接続部は、コイル歯100に巻かれた状態で受け入れられるコイルにより発生する磁場とほぼ平行の向きに延び、これにより、接続部がコイルにより発生する磁場と干渉することが実質的にないことに注意すべきである。
【0144】
図18に示すように、コイル歯の形状と一致するように、後部150の外周に隆起部128を設けることができる。
【0145】
後部150に、熱放散を助ける特徴を設けてもよい。本実施例では、後部150に切取部130が設けられている。これらの切取部は、典型的に鋼または他の金属で作成される後部150の構造を軽くする役に立つ。本発明の一実施形態によると、後部150とステータなどのモータの別の部品との間の熱接続を改善するために、例えばアルミニウムで作成可能な一つまたは複数のピン134を切取部130に挿入することができる。
【0146】
図18に示すように、後部150は複数の層115からなる積層構造を持つことができる。後部の所望の形状および構成にしたがって複数の層115が打ち抜かれる打ち抜きプロセスを用いて後部を作成し、図18に示すように積み重ね、互いに接合して後部150を形成することができる。
【0147】
複数の相互接続された後部150からなるコイル取り付けシステムにより、積層構造を用いて歯および/または後部150を作成するための効率的な打ち抜きプロセスが可能になる。これは、相互接続126を持たない単一部品の積層構造からなる後部を打ち抜く場合と比較して、打ち抜きプロセスにおいて失われたり無駄になる材料が比較的少ないからである。
【0148】
上述したように、複数の後部150を相互接続してより大きな後部を形成することができる。さらに、そのような相互接続された後部の複数の層を積み重ねてさらに大きな後部を形成することができる。この例を図19および図20に示す。図19および図20は、積層された後部および対応する接合部126の側面図である。図19および図20に示すように、相互接続された後部150の隣り合う層が垂直方向に一致する相互接続126を持たないように、接合部126をいくつかの異なる構成でスタガ型(staggered、段状)にすることができる。このことは、積み重ねられ相互接続された後部150からなるより大きな後部の強度を増大する役に立つ。
【0149】
図13ないし図17に示す構成とともに多数のコイルを用いることの利点は、所与のアプリケーションに対し必要とされる鉄の後部150の厚みに関連する。典型的に、後部150の厚さは、磁束を扱うために磁石幅のおよそ1/4から1/2である。コイルを少なくすると必要となる磁石は大きくなり、したがって、鉄の質量を多くするとモータの設計がより重くなる。多数の別々のコイルを用いることで、鉄の後部150の厚さを減らすことができる。ロータ上の磁石を支持する鉄の厚さも減らすことができる。コイルと磁石の間の力を外縁にできる限り近く印加するために、ロータの厚さを全体としてできるだけ薄くし、これにより与えられるターニングモメント(turning moment)を増加させることが重要である。
【0150】
シール構成
図3および4は、本発明の一実施形態によるモータの一例の様々な図を示し、エンクロージャのシール機構について説明する。図3および図4は、それぞれモータ210の正面図および背面図である。この実施例におけるモータ210は、前部220と後部230とを有するケーシングを備える。図3では、後部230とカバー部とが取り除かれてケーシングの中身が明らかになっている。
【0151】
この実施例では、モータ210はステータ252に対して回転するロータ240を備える。ステータ252はモータ210の動作中に静止したままである。この実施例では、ロータ240は複数の永久磁石242を含み、これらは実質的に円形のロータ内部に円形に配置される。上述したように、モータ210内に形成される回転磁場は、ロータ240の回転運動を生成するために必要な引力と反発力を提供することができる。
【0152】
ステータ252は、上述のようなコイルのセットを構成を含むことができる。特に、本実施例では、コイルがコイルサブセット内に配置され、コイルサブセットのそれぞれが対応する制御装置280によって個々に制御される。これらの制御装置80は図3の中に見ることができる。前部220の下には、モータ210の制御装置280の部品を保護するために複数のプレートを設けることができる。図7に関して上述したように、これらの部品は、MOSFETまたはIGBTなどの一つ以上の半導体デバイスを含むことができる。本実施例では、図10に示すように、プリント回路基板82の上にIGBTが装着される。この実施例では、制御装置80につき四つのIGBT88が存在する。
【0153】
上述したように、各制御装置80はそれぞれのコイルサブセットのコイルを制御することができる。本実施例では、ステータ252は複数のコイル歯200を含み、これらは後部250に取り付けられる。コイル歯200および後部250は、例えば図13ないし図20に関して上述した種類のものであってよい。
【0154】
図3に戻り、モータケーシングの前部220には第1および第2のハッチ222が設けられていることが分かる。これらのハッチ222により、設置、メンテナンスおよび/または修理を目的としたモータ210の制御装置80へのアクセスが可能になる。ネジ224などの手段を設けて、ハッチ222のカバーを前部220に取り外し可能に取り付けることが可能である。ステータ252および様々な制御装置80に対してモータケーシングの前部220を回転させることによって、所望の制御装置280の適切なプレートへのアクセスを得ることができる。制御装置80自体にアクセスできるようにするためにプレートを取り外すことができる。このように、モータ210から前部220を完全に取り外すことなく、制御装置80を維持/修理等することができる。
【0155】
図21は、モータアセンブリのハウジング内への材料の進入を防止するシール構成の別の部分を示す。これは、ステータ壁230とロータの周壁221とが出会う点の拡大図である。ロータ壁とステータ壁との間には、他方に対する一方の回転を可能にするために小さな空隙が必然的に存在する。図3および図4に示し、また図21により詳細に示すように、この空隙はVシール350で満たされる。シールはロータハウジングの一つの周壁に取り付けられ、シールの自由端がステータハウジングの壁230に接する。ロータの回転速度が増加すると、シールの自由端が遠心力のためにステータ壁230から離れるように屈曲し、これによってシール350の摩耗を最小にする。ハウジング内へのほこりまたは他の材料の進入は、ロータの回転に起因する遠心力によって防止される。加えて、ステータ壁の小さな穴351を通して空気を流すことによってこれが促進される。これにより、ステータ壁230の内面を横切る小さな穴から、屈曲したシール350により提供される空隙を通る空気の流れが可能になり、これによって、ほこりまたは他の材料の進入の防止が保証される。
【0156】
部分的に構造上および概念上の類似のために、本発明の実施形態を電気モータと同様に発電機にも適用可能であることは、前述の内容から明らかである。例えば、上述のように、発電機はコイルサブセットのコイルの別々の電力終端処理から利益を得ることができる。さらに、上述のコイル取り付けシステムは、発電機およびモータにおけるコイル構成の作成に等しく適用することができる。
【0157】
トラクション制御
上述したように、本発明の一実施形態にしたがって作成されたモータは、非常に応答性の高いトルク制御を可能にする。さらに、本発明の一実施形態によると、車両の各車輪は自身のモータを備えることができる。例えば、上述した種類のモータを車輪毎にローカルに設けることができる。
【0158】
車両の各車輪に対して別々のモータを使用することで、車両のトラクション制御を扱う際の柔軟性を増大させることができる。さらに、本発明の一実施形態にしたがったモータにより与えられるトルク制御の短い応答時間により、この柔軟性を強化することができる。
【0159】
本発明の一実施形態によると、車両の各車輪をそれ自身のモータおよび対応する駆動ソフトウェアによって制御することができ、これにより各モータが自身のトラクション制御を処理することが可能になる。このことは、各モータが、例えば他の車輪とは独立して横滑り状況の処理ができることを意味する。さらに、本発明の実施形態により与えられる高速の応答時間(例えば50秒である一つのPWM期間内)により、各車輪に独立して付与されるトルクを複雑に制御して横滑りを処理する際の効率性を増加させることが可能になる。
【0160】
本発明の一実施形態によると、高速の連続範囲トルクループによるモータ制御が行われる。これにより、応答をより滑らかにし、また機械的に調整された横滑り管理システムよりも達成されるグリップを大きくすることができる。コントローラ・エリア・ネットワーク(CAN)によってモータ駆動部をネットワーク化することができる。これにより、モータ駆動部間で例えば横滑り事象に関する情報を交換して、実行すべきアクションを調整することが可能になる。一実施例では、この情報は、各車輪の角加速度を示す加速度データを含む。角加速度の急激な増加は、車輪横滑りの車輪スリップと解釈することができる。
【0161】
したがって、横滑り管理の重要な部分は、横滑り事象の開始を検知することである。自動車のような車両は相当な質量があり、車輪の質量はそれよりもかなり小さいため、それを越えると横滑りが必ず起こる上限値を車輪の角速度の変化率に対し設定することができる。この上限値は、車両および車輪の重量を含む要因にしたがって予め定めることができる。
【0162】
本発明の一実施形態によると、内蔵の磁気角度センサなどのセンサを、各車輪のモータ内または車輪自体に設けることができる。これらのセンサは、各車輪の角速度を感知することができる。センサで測定される角速度の一次微分を取ることによって、車輪の横滑りを決定するための各車輪の角加速度を求めることができる。
【0163】
別の実施形態では、各車輪の速度を他の車輪の速度と比較して車輪横滑りを検知することができる。
【0164】
上述したように、車輪の各速度の変化を検知することによって車輪の横滑りを検知することができる。
【0165】
車両の加速度に対する上限値を、全モータの出力の合計(Pmotors)および車両の質量(mvehicle)に関して定めることができる:

ここで、vvehicleは車両の速度であり、Fairは車両が遭遇する空気抵抗の程度である。式(1)を再構成して、車両により達成可能な加速度の上限値を表す式を作ることができる:

【0166】
式(2)を用いて、車両の車輪の加速度に対して可能な上限値を表す式を求めることができる:

ここで、rwheelは車輪の半径である。この式は、空気抵抗が無視できる(すなわち、Fairが0)と仮定することによって単純化することができる:

【0167】
式(3)または式(4)のいずれかで定義される値を上回る車輪加速度に対して、その車輪で横滑りが生じていると結論することができる。
【0168】
車輪の実際の角加速度は、車輪の角度位置の時間微分を計算することによって求めることができる。
【0169】
本発明の一実施形態によると、ニュートン有限要素法などの方法を使用してこれを実現することができる。
【0170】
本発明の別の実施形態によると、車輪の角度位置の測定を補間し、その後補間した関数の微分を取ることによって、これを実現することができる。一実施例では、プロニー(Pronney)展開を使用することができる。この展開を用いて、関数f(x)の一次微分および二次微分を以下のように定義することができる:

および

【0171】
式(5)および(6)に関して、角速度を推定する基本公式を以下のように定義することができる:

これは次式を与える:

ここで、添字kは車輪の角度位置のk番目の測定を表す。したがって、一実施例では、三点で定義される少なくとも二つの間隔に基づき加速度の推定をすることができる(各点が角度位置のk番目の測定を構成する):

【0172】
上述のように、各車輪について求められた実際の加速度を、例えば上記式(3)および/または(4)により与えられる値で定められる上限値と比較して、横滑りの発生を決定することができる。
【0173】
横滑りが検知されると、できるだけ早く車輪を横滑りの状態から脱することがモータ駆動ソフトウェアの目的となる。これを達成するために、横滑りしている車輪(単数または複数)に付与されるトルクを低減させることができる。トルクが低減すると、車輪の横滑りが止まるまで車輪の角速度が減少する。したがって、駆動ソフトウェアの仕事は、横滑りが迅速に弱まるような方法で横滑りしている車輪に付与されているトルクを減じることである。
【0174】
トラクションを回復するために横滑りしている車輪に付与されているトルクを低減できる方法はいくつかある。例えば、トラクションが回復したことが検知されるまで、計算されたトルクの段階的な低減とその後の線形的な低減との組み合わせを付与することができる。あるいは、トルクをゼロまたは非常に低い値まで落としてもよい。続いて、車輪が平均車両速度にまで安定するのにかかる時間を求めることができる。車輪の回転慣性は事前に分かっているので、これはタイヤのグリップ係数を見つけるのに十分な情報を与える。次に、この測定値を用いて、車輪モータで発生するトルクを調整することができる。
【0175】
上述したように、車両のモータ駆動部を、例えばコントローラ・エリア・ネットワーク(CAN)によってネットワーク化することができる。この種類のネットワーク化によりモータ駆動部に通信させ、車両の全体的な状況に関する各モータ駆動部の認識を改善することができる。例えば、このような構成において、モータ駆動部は、例えば自動車の四つの車輪間での左右のトラクションバランスを維持することができる。これにより、車両のステアリング方向の変化や車両のスピンを引き起こしうる、相当程度の左右の不均衡を修正することができる。
【0176】
図22に関して、一つの車輪の横滑りが検知されると、同様の動作をとることによって車輪の組(例えば、車輪312と314、または車輪316と318)がそれに反応することができる。しかしながら、車両の反対側の車輪がその動作をとるような状況は回避すべきである。なぜなら、これはトルクを発生させることで車両の回転を引き起こしうるからである。車両の別々の側(左または右)で非対称の力を出すと、このようなトルクが発生する。例えば、車両の左輪が草の上に、右輪がタールマックの上にある柔らかな道端に沿って車両が走行しておりドライバーが急ブレーキをかけた場合、車両は右向きに方向を変えることで応答し、恐らく対向車線に突っ込むだろう。
【0177】
本発明の一実施形態によると、上述のように、車輪の組のトラクションの均衡を取るトラクションバランスを利用することができる。例えば、左右の組のモータのトルク負荷を均衡を一致させるあるレベルのバッファの範囲内で左右のバランス取りを実行することができる。この種のバランス取りは、低速の場合、またはかなりの量の制動が行われていない場合には必要でないかもしれない。別の実施例では、前後のバランス取りを使用することができる。これにより、車両は各モータの最大出力を利用することができる。
【0178】
一例として、四輪を備える自動車のような車両では、左前輪が横滑りしているが残りの全ての車輪は横滑りしていない場合、左前輪のトルクを低減し、左後輪のトルクを増加して差分を補うようにしてもよい。しかしながら、ある状況では、左後輪が左前輪のトルクの減少を完全には補うことができないこともあり得る。この条件の場合、右側の両方のモータのトルクを低減して、ある「バッファ」量の範囲内で左右のトルクのバランスを等しくしてもよい。所与の状況においていかに反応すべきかを定める所定の規則を各駆動モータで利用することができる。規則は予め決まっているので、各モータは、車両の他の駆動モータがこれらの規則で定義される態様で反応すると仮定することができる。このように、駆動モータは上述のように協調して動作することができる。さらに、例えば路面の湿りや路面の温度を含む運転条件によって、所定の規則を変更することができる。
【0179】
サスペンション制御
車両の各車輪に対して別々のモータを使用すると、車両のサスペンション制御の処理においても柔軟性を増大させることができる。また、本発明の一実施形態によるモータによりもたらされるトルク制御の応答時間の短さのために、この柔軟性がさらに強化される。
【0180】
本発明の一実施形態によると、複数の車輪を備える車両用のサスペンション制御システムを提供することができる。図23に関して、この例における各車輪330はサスペンションアーム340に取り付けることができる。
【0181】
図23において、面350に対する車両の通常の移動方向に矢印Zが示されている。したがって、図23に示すように、車輪330は矢印Xで示す方向に回転する。車輪の矢印Xで示す方向にさらにトルクが付与されると、サスペンションアーム340にトルクが伝えられることになり、これのため、図23中に矢印Yで示す方向にサスペンションアーム340が上昇する。この例では、車輪330は自動車などの車両の前輪である。したがって、図23中に矢印Yで示す方向へのサスペンションアーム340の上昇により、自動車のフロントも車輪330の近辺で上昇する。このように、車両の車輪にかかるトルクを調節することで、車両用のサスペンション制御システムを実装することができる。
【0182】
本発明の一実施形態によると、車両の各車輪にかかるトルクを選択的に調節してサスペンションおよび/または車高を調節するサスペンション制御システムを提供することができる。制御システムは、それぞれの車輪に設けることが可能な、あるいは複数の車輪を制御するために動作する中央制御装置として設けることが可能な制御装置によって実装することができる。各車輪は、例えば、上述の種類の電気モータで駆動することができる。このような実施形態では、上述のモータによりもたらされる精密な制御と素早い応答時間のために、サスペンション制御の応答性を強化することができる。サスペンションを制御する制御装置は、上述のコントロール・エリア・ネットワーク(CAN)を用いてネットワーク化することができる。
【0183】
トルク制御を用いて複数の車輪のサスペンションを個別に制御できる状況の第1の実施例は、車両がコーナーを回っている場合である。車両がコーナーを回っているとき、コーナー内側の車両サイドに対してコーナー外側の車両サイドを上昇させるように車両を傾けることが望ましい。これを用いて、車両の外側が路面に対して下方に傾く傾向の釣り合いをとることができる。この実施例では、車両の外側を持ち上げるために、車両の外側の車輪(すなわち、コーナー外側の車輪)により多くのトルクを与えることができる。逆に言えば、コーナー内側の車輪により少ないトルクを与えることができる。これにより、コーナー内側の車両のサスペンションが望み通りに降下する。
【0184】
上述の実施例は、車両の車輪の組が共に制御されて、車両の一部を上下させる状況について述べている。別の実施例では、車両の前輪および後輪が互いに対して動くよう制御して、車両の全体的な高さを上げることができる。特に、車両の前後輪に対してより多くの/より少ないトルクを与えて車両の前後輪のサスペンションアームを互いに対して効果的に押すことができ、これにより両方を上昇させることができる。
【0185】
本発明の一実施形態によると、トラクション制御システムおよび/またはサスペンション制御システムなどの制御システムに対して、ステアリングホイールセンサ、車高センサおよびヨーセンサを介して入力を与えることができる。
【0186】
一実施例では、車両が横滑り管理状態(一つまたは複数の車輪で横滑りが検知された状態)にあり、ドライバーがステアリングホイールを一方向に急に動かすことを選んだ場合、この動きの大きさと変化率が上述の制御装置に通信されて、制御装置によりトラクション制御戦略にしたがい適切な補償動作を実施することができる。したがって、ドライバー意図のフィード・フォワード関数を車輪駆動ソフトウェア戦略に追加して、横滑りの処理とドライバー命令への応答を改善することができる。上述の種類の電気モータの応答性が増大したため、個々の車輪の反応を既存のシステムよりも速くすることができる。さらに、各車輪は自身のローカルな条件にしたがって反応するので、既存のシステムと比較して、より安定した制御となる可能性がある。
【0187】
上述のトラクション制御システムおよびサスペンション制御システムは、マイクロプロセッサ上で実行されるソフトウェアを用いて実装されてもよい。ソフトウェアはキャリア媒体で提供されてもよい。
【0188】
磁石の取り付け
磁石を取り付ける特に有効な方法が図24に示される。既に述べたように、磁石はロータ252の内周壁221の周りに取り付けられる。磁石はコイルの磁場からロータへの力の全てを伝えるので、磁石は円周のロータ壁221にしっかりと取り付けられなければならないことを認めた。
【0189】
磁石242を含む周壁の一部が図24に拡大図Aとして示されている。各磁石位置には3個の別々の磁石401、402、403があり、これらはロータの後部鉄407の蟻継ぎ(dovetail)スロット405に挿入される。この構成にはいくつかの利点がある。最初に、別々の磁石部分を用いて各磁石位置に単一の磁石を形成することで、磁石内の渦電流を減らすことができる。三つの別々の磁石部分とすることが好ましいが、他の数の磁石でも全く構わない。第2に、蟻継ぎ取り付け構成により、周壁221上に磁石を正確に位置決めすることが保証され、また磁石がしっかりと取り付けされることが保証される。他のスロットタイプ構成も可能であるが、蟻継ぎ取り付け構成が好ましい。
【0190】
冷却構成
コイルを冷却する特に有効な構成が図25に示される。このステータの図は、ステータ軸の平面の断面図である。簡単に図3を参照して、図3のコイル歯235が単一のコイル歯514とともに図25の断面図に示されている。コイル歯514は、巻線空間510および512にはめ込まれる巻線を受け入れることができる。図16および図17に関して述べたように、歯は後部鉄150に取り付けられる。後部鉄は冷却プレート516上に直接取り付けられる。冷却プレート516は他の壁とともに冷却流路502および504を画成する。冷却流路502および504を通って、対流またはポンプによって冷却流体が循環する。加えて、空間512内のコイルの一方の側にある冷却流路508が歯の一方の側のコイルを冷却し、反対側の冷却流路506が空間510内のコイルを冷却する。したがって、巻線を三面で包囲するこの複数面の冷却プレートによってコイルが冷却される。加えて、冷却流路の面は、制御装置80やダンプ・レジスタなどの電気パワーデバイスの取り付け部を提供する。このように、単一の三面冷却構成により、熱を発生するコイルおよび関連する部品の冷却を行う。
【0191】
酸化アルミニウムで満たされたエポキシなどの熱伝導性であるが電気絶縁材料を用いて、コイルアセンブリ全体が冷却プレート上にポッティングされる。これにより、コイルから後部鉄および冷却プレートへの熱伝導が改善される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステータ周囲の歯の上に複数のコイルが円周方向に取り付けられ、ロータに複数の磁石が取り付けられた種類の電気モータであって、
前記コイルを三面で冷却するよう構成された流路を有する冷却プレートを備え、
前記歯の第1側面に位置する前記コイルの第1側面に第1流路が設けられ、
前記歯の第2側面に位置する前記コイルの第2側面に第2流路が設けられ、
前記歯の前記第1および第2側面に隣接する前記歯の第3側面に第3流路が設けられることを特徴とする電気モータ。
【請求項2】
前記冷却プレートは、前記コイルと反対側の面が制御回路を受け入れるように構成されることを特徴とする請求項1に記載の電気モータ。
【請求項3】
前記コイルが熱伝導材料でポッティングされることを特徴とする請求項1または2に記載の電気モータ。
【請求項4】
前記コイルが熱伝導材料を用いて前記冷却プレート上にポッティングされることを特徴とする請求項3に記載の電気モータ。
【請求項5】
前記第1、第2および第3流路を通して冷却流体が流れるように構成されることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の電気モータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2013−39032(P2013−39032A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−209533(P2012−209533)
【出願日】平成24年9月24日(2012.9.24)
【分割の表示】特願2009−518966(P2009−518966)の分割
【原出願日】平成19年7月13日(2007.7.13)
【出願人】(512188177)プロテアン エレクトリック リミテッド (2)
【Fターム(参考)】