説明

電気光学装置、その製造方法、および電子機器

【課題】タッチパネルを搭載した薄型の電気光学装置を提供すること。
【解決手段】表示装置100によれば、トップエミッション型の有機ELパネル20の封止基板として、タッチパネル40のガラス基板31を用いている。換言すれば、タッチパネル40のガラス基板31が有機ELパネル20の封止基板の機能を兼ねている。また、ガラス基板31は、封止基板が担う防湿性能を十分確保することができる厚さに設定されている。よって、タッチパネルを搭載した薄型の表示装置100を提供することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気光学装置、および当該電気光学装置の製造方法、並びに当該電気光学装置を備えた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、タッチパネルを搭載した携帯電話や、マルチメディアプレイヤーなどの携帯機器が増えている。これは、画面に表示されたアイコンを直接押せば良いというタッチパネルの扱い易さ、換言すれば、直感的に理解し易い操作性が利用者に評価されているからであると考察される。また、これらの携帯機器には、一般的に表示パネルとタッチパネルとを一体化した表示装置(電気光学装置)が搭載されており、当該表示装置には、携帯性という観点から薄型化が求められていた。
例えば、特許文献1には、液晶パネルの表示面側に、弾性部材を介してタッチパネルを積層した液晶表示装置が開示されている。
【0003】
しかし、液晶パネルを用いる場合、タッチパネル操作時の応力が液晶に加わると表示不具合が発生してしまうため、特許文献1のように、弾性部材を介在させたり、または、間隙(ギャップ)を設ける必要があった。また、液晶パネルは、バックライトのような外部光源を必要とする他発光デバイスであるということもあり、薄型化は容易ではなかった。
【0004】
そこで、液晶パネルと同様な構成でありながらも、外部光源を必要としない自発光デバイスである有機EL(Electro Luminescence)パネルに、タッチパネルを装着することが考えられる。
図6は、有機ELパネルにタッチパネルを装着した表示装置の側断面図である。図6に示すように、表示装置300は、ガラス基板からなる素子基板81と封止基板82との間に有機EL層を含む機能層83を備えた有機ELパネル80上に、タッチパネル90を貼り合せた構成となっている。なお、有機EL層は固体であるため、液相の液晶とは異なり、多少の圧力では表示不具合が生じないため、間隙などを設けなくても良い。有機ELパネル80は、素子基板81側にスイッチング素子や有機EL層を含む機能層83が形成されており、有機EL層が発する表示光を素子基板81側から出射するボトムエミッション型の構成を採用していた。また、水分の浸入による機能層83の劣化を防止するために、周縁部のシール材85によって対向基板82を貼り合せて、機能層83を密閉していた。なお、有機ELパネル80の構成を反転させて、機能層83が発する表示光を対向基板82側から出射させるトップエミッション型としても良いが、この場合も、機能層83を密閉するために、タッチパネル90側には、ガラス基板(封止基板)が必要であった。
【0005】
タッチパネル90は、ガラス基板91と樹脂フィルム92とを周縁部のシール材95で貼り合せた構成となっており、ガラス基板91、および樹脂フィルム92の内面には、それぞれ透明電極93,94が形成されていた。また、透明電極93(下)と透明電極94(上)との間は、複数のスペーサー96によって隙間(ギャップ)が確保されており、樹脂フィルム92面がペンなどで押されると、押された部分の上下電極が接触して、操作入力が検出されていた。また、タッチパネル90全体を支える基材であるガラス基板91は、タッチパネル単品での取り扱いや、取り付け時の作業性を考慮して、0.3〜0.5mm程度の厚さに設定されていた。
このような構成によれば、特許文献1における弾性部材(または間隙)分、総厚を薄くすることが可能であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3198046号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、市場の薄型化への要求は高く、液晶表示装置よりも若干薄くなった程度では、十分とはいい難かった。換言すれば、従来の表示装置300の構成および製造方法では、求められる薄さ(総厚)にすることは困難であった。
特に、従来の表示装置300において、素子基板81とガラス基板91とが重なる部分、換言すれば、2枚のガラス基板が積層した部分の厚さは、その部分だけで1mm程度の厚さを占めており、薄型化の障害となっていた。
つまり、従来の技術では、タッチパネルを搭載した薄型の電気光学装置を実現することは困難であるという課題があった。また、その製造方法も知られていなかった。
また、タッチパネル90の操作面が樹脂フィルム92であるため、表面硬度がガラスよりも低く、傷が付き易いという課題もあった。また、操作感も良いとは言えなかった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の適用例又は形態として実現することが可能である。
【0009】
(適用例)
素子基板上に、少なくとも有機EL層を有し、有機EL層側から表示光を出射するトップエミッション型の有機ELパネルと、共にガラスからなり、間隙を持って対向する第1基板と第2基板とを含んで構成され、有機ELパネルに重ねられたタッチパネルと、を備え、少なくとも周縁部において素子基板と接着されるとともに、有機EL層を介在して素子基板と向い合って配置される封止基板として、タッチパネルの第1基板を用いたことを特徴とする電気光学装置。
【0010】
この電気光学装置によれば、トップエミッション型の有機ELパネルの封止基板として、タッチパネルの第1基板が用いられることになる。
よって、この電気光学装置によれば、有機ELパネルとタッチパネルとの接合部における2枚のガラス基板の積層構造に起因して、薄型化が困難であった従来の有機EL表示装置(電気光学装置)よりも、ガラス基板1枚分、総厚を薄くすることができる。
また、トップエミッション型を採用したことにより、この薄型化を実現している。詳しくは、図6の表示装置300のように、ボトムエミッション型を採用した場合、有機EL層が素子基板81と一体化しているため、素子基板81をタッチパネルの第1基板に置き換えることは出来ず、従来の表示装置と同様に、2枚のガラス基板が積層した構造となってしまい、薄型化は困難であった。
従って、タッチパネルを搭載した薄型の電気光学装置を提供することができる。
さらに、タッチパネルの操作面が樹脂フィルムから構成されていた従来の表示装置と異なり、操作面となる第2基板は、ガラスから構成されているため、傷が付き難く、また、操作感も優れている。
【0011】
また、有機ELパネルは、複数の画素からなる表示領域を備え、複数の画素の各々は、素子基板上において、反射層と、画素電極と、有機EL層と、陰極と、透明絶縁層とを、この順番で有し、素子基板と第1基板とは、透明絶縁層を覆って充填された透明樹脂により、密閉して接着されていることが好ましい。
また、第1基板、および第2基板の厚さは、30〜70μmの範囲内であり、間隙は、10〜30μmの範囲内に設定され、素子基板の厚さは、30〜70μmの範囲内であることが好ましい。
【0012】
上記記載の電気光学装置を表示部として備えたことを特徴とする電子機器。
【0013】
素子基板上に、少なくとも有機EL層を有し、有機EL層側から表示光を出射するトップエミッション型の有機ELパネルに対して、共にガラスからなり、間隙を持って対向する第1基板と第2基板とを含んで構成されたタッチパネルを装着した電気光学装置の製造方法であって、(a)素子基板の周縁部にシール材を形成する工程と、(b)シール材に囲まれた領域において、有機EL層を覆って透明樹脂を充填する工程と、(c)タッチパネルの第1基板を素子基板と向い合せて、透明樹脂を接着剤として、素子基板と第1基板とを貼り合せる工程と、を含み、少なくとも(b)〜(c)工程を減圧環境下で行うことを特徴とする電気光学装置の製造方法。
【0014】
また、透明樹脂は、熱硬化型のエポキシ樹脂であり、有機ELパネルが案内板に搭載された状態で、(b)〜(c)工程が行われ、(c)工程に続いて、(d)案内板を加熱する工程と、をさらに含むことが好ましい。
また、初期段階における素子基板、および第1基板、並びに第2基板の厚さは、0.3〜0.7mmの範囲内とされ、タッチパネルにおける第1基板は、あらかじめ30〜70μmの範囲内の厚さに研磨、またはエッチングされてなり、(d)工程に続いて、(e)素子基板、および第2基板を研磨、またはエッチングする工程と、をさらに含み、(e)工程後の素子基板、および第2基板の厚さが共に30〜70μmの範囲内であることが好ましい。
また、タッチパネルには、あらかじめ間隙と外気とを連通する通気孔が設けられており、(d)工程、または(e)工程の後に、通気孔を密閉することが好ましい。
また、複数個の有機ELパネルが面付けされた大判パネルと、大判パネルと同数のタッチパネルが面付けされた大判タッチパネルとを用いて、各工程を行うことが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施形態1に係る表示装置の一態様を示す斜視図。
【図2】図1のf−f断面における側断面図。
【図3】表示装置の製造方法の流れを示すフローチャート図。
【図4】(a)〜(d)各工程における製造態様図。
【図5】実施形態2に係る大判パネルの概要を示す斜視図。
【図6】従来の表示装置の側断面図。
【図7】電子機器としての携帯型プレーヤーを示す斜視図。
【図8】変形例1に係る表示装置の側断面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下の各図においては、各層や各部位を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各層や各部位の縮尺を実際とは異ならしめてある。
【0017】
(実施形態1)
「表示装置の概要」
図1は、本実施形態に係る表示装置の一態様を示す斜視図である。
まず、本発明の実施形態1に係る電気光学装置としての表示装置100の概要について説明する。
【0018】
表示装置100は、有機ELパネル20の表示面にタッチパネル40を重ねて配置したタッチパネル付きの有機EL表示装置である。有機ELパネル20は、素子基板1上に形成された有機EL層が放つ表示光をタッチパネル40側から出射するトップエミッション型の表示パネルである。
有機ELパネル20は、マトリックス状に配置された複数の画素からなる表示領域Vを備えている。表示領域Vには、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の各色画素が周期的に配置されており、各画素が出射する表示光によりフルカラーの画像が表示される。なお、カラー表示を行う表示パネルに限定するものではなく、モノクロ表示を行う表示パネルであっても良い。
有機ELパネル20は、横長の長方形をなしており、図1を含む各図においては、当該横方向をX軸方向とし、横方向よりも短い縦方向をY軸方向と定義している。また、有機ELパネル20の厚さ方向をZ軸方向としている。
【0019】
タッチパネル40は、間隙を持って2枚のガラス基板31,34を重ねた構成となっており、表示領域Vを覆って配置されている。タッチパネル40は、各ガラス基板31,34の内面に形成された透明電極同士が接触した際に生じる抵抗変化から、入力操作を検出する抵抗膜方式を採用している。詳しくは、操作面となるガラス基板34の表面を入力ペン60で押し圧すると、ガラス基板34が撓み、透明電極同士が接触して抵抗変化が生じる。この抵抗変化を電位変化として捕らえて、入力操作を検出する。なお、抵抗膜方式に限定するものではなく、2枚のガラス基板を重ねた構成のタッチパネルであれば良い。例えば、静電容量方式、赤外線方式、超音波方式、電磁誘導方式、静電結合方式などの方式であっても良い。また、入力ペン60の代わりに、指先や爪で操作することであっても良い。
【0020】
ここで、タッチパネル40における操作面の反対側のガラス基板31は、有機ELパネル20の封止基板を兼ねている。詳しくは、ガラス基板34の周縁部に形成されたシール材16によって、有機EL層を介在させた状態で、ガラス基板34と有機ELパネル20(素子基板1)とが接着されている。
表示領域Vに表示された画像は、タッチパネル40を介して観察されるため、例えば、複数の操作ボタンや、操作バー、プログラムなどのアイコンが表示された画像において、所望のアイコンを触る(押す)ことにより、所望の操作を行うことができる。
また、図1では、単品状態の表示装置100に対して入力操作を行っている状態を示しているが、表示装置100は、その総厚が0.2mm以下と薄く構成されているため、実際は、携帯電話の外装ケースなどの支持ケースに組み込まれて、補強された状態で使用される。なお、このような薄型化を実現するための製造方法については、後述する。
【0021】
「表示装置の詳細な構成」
図2は、図1のf−f断面における側断面図である。
ここでは、表示装置100の詳細な構成について説明する。
有機ELパネル20は、素子基板1、機能層15、シール材16、充填材17などから構成されている。
素子基板1は、透明な無機ガラスから構成されている。本実施形態では、好適例として、無アルカリガラスを用いている。
機能層15は、素子層2、平坦化層4、画素電極6、隔壁7、電気光学層としての有機EL層8、共通電極9、電極保護層10、緩衝層11、透明絶縁層としてのガスバリア層12などから構成されている。
素子層2には、各画素をアクティブ駆動するための画素回路が形成されている。画素回路には、TFT(Thin Film Transistor)からなる画素を選択するための選択トランジスターや、有機EL層8に電流を流すための駆動トランジスター3などが含まれており、画素ごとに対応して形成されている。
【0022】
素子層2の上層(Z軸(−)方向)には、例えば、アクリル樹脂などからなる絶縁層である平坦化層4が形成されている。
平坦化層4の上層には、画素ごとに区画されて、反射層5と、画素電極6とがこの順番で積層されている。反射層5は、例えば、アルミニウムなどからなる反射層であり、有機EL層8から素子基板1側に向かう光を反射して、表示に寄与する光にする。
画素電極6は、ITO(Indium Tin Oxide)や、ZnOなどの透明電極から構成されており、画素ごとに素子層2の駆動トランジスター3のドレイン端子と平坦化層4を貫通するコンタクトホールにより接続されている。
隔壁7は、光硬化性の黒色樹脂などから構成され、平面的に各画素を格子状に区画している。光学的には、ブラックマトリックスの機能を果たしている。なお、素子層2における駆動トランジスター3を含む画素回路は、光による誤動作を防止するために、平面的に隔壁と重なるように配置されている。
【0023】
有機EL層8は、各画素において、それぞれ隔壁7に囲まれた領域内に選択的に配置されている。また、図2では1層で示されているが、実際は、それぞれが有機物の薄膜からなる正孔輸送層、発光層、電子注入層などから構成されており、画素電極6上にこの順番に積層されている。
正孔輸送層は、芳香族ジアミン(TPAB2Me−TPD,α−NPD)などの昇華性の材料から構成されている。
発光層は、RGBの色画素ごとに組成は異なるが、Alq3(アルミキノリノール錯体)などの昇華性の材料から構成されている。
電子注入層は、LiF(フッ化リチウム)などから構成されている。なお、これらの各有機薄膜層は、色画素ごとに、真空蒸着法による3色塗り分け法によって形成される。
また、本実施形態では、好適例として、有機EL層8に低分子材料を用いているが、高分子材料を用いた構成であっても良い。高分子材料を用いる場合には、RGBの色画素ごとに、インクジェット法による3色塗り分けでそれぞれの有機EL層8を形成する。
【0024】
共通電極9は、陰極であり、MgAgなどの金属を、光を透過するようにごく薄く成膜した金属薄膜層である。
電極保護層10は、シリコン酸化膜(SiO2)や、シリコン窒化膜(Si34)などの透明で、かつ、水分を遮断する機能を有する材質から構成されている。
緩衝層11は、熱硬化性のエポキシ樹脂などの透明な有機緩衝層である。
ガスバリア層12は、シリコン酸化膜や、シリコン窒化膜などの透明かつ、水分を遮断する機能を有する封止層であり、有機EL層8への水分の浸入を防止する機能を担う。
このような機能層15において、各画素R,G,Bからは、図2で白抜きの矢印で示すように、発光層が放射する色光の表示光R,G,Bが出射される。これにより、有機ELパネル20では、機能層15から出射される複数の色画素による表示光によってフルカラーの画像が表示されることになる。
【0025】
充填材17は、硬化後に透明となる充填材であり、本実施形態では、好適例として熱硬化性のエポキシ樹脂を用いている。なお、エポキシ樹脂に限定するものではなく、硬化後に透明となる充填材であれば良い。例えば、アクリル系樹脂や、ウレタン系樹脂、または紫外線硬化性樹脂などであっても良い。
シール材16は、紫外線硬化型のエポキシ系接着剤であり、平面的に機能層15(表示領域V)を囲って形成されている。換言すれば、タッチパネル40のガラス基板31の周縁部に重なるように形成されている。また、当該接着剤は、紫外線を照射することにより塗布された状態を維持する程度に半硬化し、その後、加熱することにより所期の硬度に本硬化するタイプの接着剤である。例えば、常温(20±15℃)下では、液体であり、ビスフェノール型エポキシ樹脂、光重合開始剤、シランカップリング剤などを含んだ紫外線硬化型のエポキシ系接着剤が好適である。
【0026】
タッチパネル40は、第1基板としてのガラス基板31、透明電極32,33、第2基板としてのガラス基板34などから構成されている。
ガラス基板31,34は、無機ガラスからなるガラス基板であり、本実施形態では、好適例としてソーダガラスを用いている。
ガラス基板31上には、ITO(Indium Tin Oxide)膜からなる透明電極32が形成されている。なお、図2では、ガラス基板31上に一面に隙間無く透明電極32が形成されているように示されているが、実際は、複数の配線から形成されている。詳しくは、X軸方向に延在する複数の配線がストライプ状に形成されている。
ガラス基板34上には、ITOからなる透明電極33が形成されている。透明電極33を構成する複数の配線は、その延在方向が透明電極32の配線と交差している。つまり、透明電極33は、Y軸方向に延在するストライプ状の複数の配線から構成されている。
【0027】
また、透明電極32,33の配線態様は、平面的に交差する配線態様に限定するものではなく、ガラス基板34への操作入力を検出可能な配線態様であれば良い。なお、上記においては、透明電極としてITO膜を用いることとして説明したが、透明電極であれば良い。例えば、ZnO(酸化亜鉛)膜や、IZO(登録商標)(酸化インジウム+酸化亜鉛)膜であっても良い、またはポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)などの導電性高分子膜を用いても良い。
透明電極32と透明電極33との間には、当該間の間隙を保つための複数のスペーサー35が配置されている。本実施形態では、好適例としてフォトリソ法によって形成した透明樹脂からなる貝柱状のスペーサーを用いている。スペーサー35は、経時変化に伴うガラス基板34の撓みなどによる誤接触を防止するとともに、平面的な検出領域を明確に区画するために配置されている。なお、貝柱状スペーサーに代えて、ビーズ状のスペーサーを用いても良い。
【0028】
ガラス基板31とガラス基板34とは、その周縁部に形成されたシール材37によって一体化され、内部は気密とされている。シール材37は、紫外線硬化型のエポキシ系接着剤、または熱硬化性のエポキシ樹脂などを用いることができる。なお、詳細は後述するが、有機ELパネル20にタッチパネル40を貼り合せる段階では、シール材の一部をカットして外気と連通する通気孔を形成しておき、充填材17を硬化させるための加熱工程の後に当該通気孔を塞いでいる。これは、加熱に伴うタッチパネル40の膨張を抑制するためである。
【0029】
図2では、各構成部位の積層関係を明確にするために、特に機能層15に関連する部位の縮尺を他の部位よりも大きくしているが、実際は、機能層15の部分が最も薄く構成されることになる。以下に、好適例における表示装置100の寸法(厚さ)を紹介する。
まず、機能層15の厚さは、数μm〜10μm程度の厚さである。このうち、緩衝層11が半分以上の厚さを占めている。ちなみに、厚さがnmオーダーの複数の薄膜からなる有機EL層8の厚さは1μmに満たない。
素子基板1の厚さは、好適例として約50μmとしている。
ガラス基板31,34の厚さは、好適例として約50μmとしている。なお、発明者等の実験結果によれば、有機ELパネル20の封止基板として必要な防湿性能は、ガラス基板31の厚さが約10μm以上あれば、確保できることが解っている。他方、ある程度の強度も必要なことから、素子基板1、およびガラス基板31,34の厚さは、それぞれ30〜70μmの範囲内とすることが好ましい。
透明電極32と透明電極33との間における間隙は、好適例として約20μmとしているが、10〜30μmの範囲内であれば良い。
よって、好適例における表示装置100の総厚は、170〜180μm程度となり、総厚が0.2mm以下に収められている。
【0030】
ここで、素子基板1、およびガラス基板31,34は、それぞれが初期段階で0.3〜0.7mm程度の厚さであったものを研磨、またはエッチングして薄くしたものである。
つまり、上記好適例の数値に限定することなく、研磨(エッチング)量を調整することにより、表示装置100を所望の厚さにすることができる。
続いて、このような薄型化のための研磨、またはエッチング工程を含む表示装置100の製造方法について説明する。
【0031】
「表示装置の製造方法」
図3は、表示装置の製造方法の流れを示すフローチャートである。図4(a)〜(d)は、各工程における製造態様を示す図である。
ここでは、表示装置100の製造方法について、図3のフローチャートに沿って詳細に説明する。
【0032】
ステップS1では、図4(a)に示すように、ガラス基板31側を薄く加工した状態のタッチパネル40aを準備する。また、研磨前の厚い状態のガラス基板34をガラス基板34aとしている。また、シール材37の一部には、外気と連通するための通気孔37aが設けられている。
ステップS1は、準備工程であり、この態様のタッチパネル40aを都度購入しても良いし、あらかじめ必要数量ストックしておいても良い。なお、図4(a)において点線で示された初期段階の厚いガラス基板(31)を薄くする方法としては、研磨材を含んだ研磨液を用いた研磨法や、10〜50wt%範囲内の濃度のフッ酸(フッ化水素酸)の水溶液をエッチング溶液として用いたエッチング法を用いることができる。また、これらを組み合せても良い。
【0033】
ステップS2では、機能層15までが形成された素子基板1a上にシール材の原料を塗布した後、紫外線を照射して半硬化させる。シール材原料の塗布は、塗布位置、および塗布量の管理が可能なディスペンサー装置によって行われる。また、研磨前の厚い状態の素子基板1を素子基板1aとしている。なお、塗布位置、および塗布量の制御が可能な方法であれば良く、例えば、スクリーン印刷法などの他の塗布方法であっても良い。図4(b)には、半硬化させた状態のシール材16aが示されている。また、素子基板1aは、例えば、アルミニウムなどの金属から構成された案内板70上にセットされている。
ステップS3では、半硬化状態のシール材16aに囲まれた領域内に充填材原料17aを塗布する。この塗布工程は、減圧環境下で行われる。詳しくは、案内板70に搭載された状態の素子基板1aを減圧チャンバー装置などの減圧環境下に持ち込み、その状態で、ディスペンサー装置などを用いて充填材原料17aを塗布する。なお、図4(b)では、充填材原料17aを液滴状に示しているが、シール材16aによって区画された領域(表示領域)内において、略均一な厚さとなるように塗布される。
【0034】
ステップS4では、充填材原料17aが塗布された状態の素子基板1aに、タッチパネル40aを貼り合せる。この工程も、減圧環境下で行われる。なお、異物の付着や気泡の発生を低減するという観点からすれば、ステップS2〜S4までを一貫して減圧環境下で行うことが好ましい。
ステップS5では、貼り合わされた表示パネルを加熱して充填材17、およびシール材16を硬化させる。また、案内板70の底面側にはヒーターが設置されており、図4(c)に示すように、素子基板1aは、案内板70を介してヒーターによって加熱される。これにより、熱伝達効率が悪い減圧環境下においても、効率的に加熱を行うことを可能としている。また、加熱条件は、充填材や、シール材の原料接着剤によっても異なるが、例えば、80〜120℃の温度環境で約4時間程度とする。
【0035】
ステップS6では、タッチパネル40aの通気孔37aを接着剤で充填して、内部を密閉する。なお、接着剤は、作業効率を考慮して、紫外線硬化型の接着剤が好ましい。また、密閉工程は、表示装置全体が十分に冷めた状態(常温)で行う。
ステップS7では、図4(d)に示すように、素子基板1a、およびガラス基板34aを研磨、またはエッチングすることにより、所期の厚さ(薄さ)の素子基板1、およびガラス基板34を得る。換言すれば、表示装置100の表裏面のガラス基板を研磨、またはエッチングにより薄くして、表示装置100を所期の厚さに加工する。また、研磨、およびエッチングは、前述した研磨法、エッチング法を適用することができる。
なお、エッチングを行う場合には、表示装置100の端面(側面)などのエッチングしたくない部分には、マスキング処理を施しておくことが好ましい。エッチング溶液としてフッ酸溶液を用いる場合には、フッ酸に対する耐性を持つ耐性材料を用いてテーピングなどのマスキング処理を行う。例えば、テフロン(登録商標)などのフッ素系樹脂や、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)などの耐性材料を基材としたテープを用いることができる。また、テーピングによるマスキング処理に限定するものではなく、これらの耐性樹脂を表示装置100の側面にコーティングすることであっても良い。
【0036】
上述した製造方法によって、図4(d)に点線で示した部分が研磨、またはエッチングされ、表裏面のガラス基板が薄型化された表示装置100が完成する。なお、この完成状態は、図1、および図2で説明した通りである。
【0037】
上述した通り、本実施形態に係る表示装置100、および製造方法によれば、以下の効果を得ることができる。
表示装置100によれば、トップエミッション型の有機ELパネル20の封止基板として、タッチパネル40のガラス基板31を用いている。換言すれば、タッチパネル40のガラス基板31が有機ELパネル20の封止基板の機能を兼ねている。また、ガラス基板31は、封止基板が担う防湿性能を十分確保することができる厚さに設定されている。
よって、表示装置100によれば、有機ELパネルとタッチパネルとの接合部における2枚のガラス基板の積層構造に起因して、薄型化が困難であった従来の表示装置よりも、ガラス基板1枚分、総厚を薄くすることができる。
従って、タッチパネルを搭載した薄型の表示装置100を提供することができる。
【0038】
また、タッチパネル40の操作面となるガラス基板34がガラスから構成されているため、タッチパネルの操作面が樹脂フィルムから構成されていた従来の表示装置よりも、操作面の表面硬度が高くなっている。
よって、タッチパネル40は、従来の表示装置のタッチパネルよりも、傷が付き難く、操作感も優れている。
従って、傷が付き難く、かつ操作感が優れたタッチパネル40を搭載した表示装置100を提供することができる。
【0039】
表示装置100は、その総厚を0.2mm以下と非常に薄く構成することができる。よって、例えば、画像表示および入力操作が可能なID(Identity)カードなどの薄型の電子機器を厚くすることなく、当該機器にスマートに表示装置100を搭載することができる。従って、使い勝手の良い表示装置100を提供することができる。
【0040】
上述した製造方法によれば、ステップS3の充填材塗布工程、およびステップS4のタッチパネルの貼り合せ工程を減圧環境下で行っている。
タッチパネル40は、有機ELパネル20の表示領域上に重ねて配置されるため、当該間に充填される充填材17に気泡が発生すると表示に影響を及ぼす懸念があったが、充填材塗布、および貼り合せ工程を減圧環境下で行うことによって、気泡の発生を抑制することができる。よって、表示装置100の品質を安定させることができる。
従って、この製造方法によれば、タッチパネルを搭載した薄型の表示装置100を安定した品質で製造することができる。
【0041】
ステップS1で準備されるタッチパネル40aには、外気と連通するための通気孔37aが設けられている。
これにより、減圧環境下で行われるステップS3の充填材塗布工程、およびステップS4のタッチパネルの貼り合せ工程、並びにステップS5の加熱工程において、タッチパネルの内気圧が上昇することを防止することができる。詳しくは、タッチパネルの内圧が通気孔37aを介して外圧と同様になるため、減圧環境下であっても、また、加熱された場合であっても、タッチパネルの膨張や収縮による破壊を防止することができる。
従って、この製造方法によれば、タッチパネルを搭載した薄型の表示装置100を安定した品質で製造することができる。
【0042】
また、ステップS5の加熱工程は、金属製の案内板70によって加熱される。よって、熱伝達効率が悪い減圧環境下においても、効率的に加熱を行うことができる。
従って、この製造方法によれば、タッチパネルを搭載した薄型の表示装置100を効率的に製造することができる。
【0043】
(実施形態2)
図5は、本実施形態に係る大判パネルの概要を示す斜視図であり、図1に対応している。以下、本発明の実施形態2に係る製造方法について説明する。なお、実施形態1と同一の構成部位については、同一の番号を附し、重複する説明は省略する。
本実施形態における製造方法は、図3および図4を用いて説明した製造方法を複数のタッチパネルが面付けされた大判タッチパネル、および複数の有機ELパネルが面付けされた大判表示パネルを用いて行うことが、実施形態1の製造方法と異なる。それ以外は、実施形態1の製造方法と同様である。
【0044】
図5に示す大判表示装置150には、表示装置100が4つ面付けされている。それぞれの表示装置100は、面付けされていること以外は、実施形態1の表示装置100と同一である。4個の表示装置100は、大判表示装置150においてX軸方向に2列、Y軸方向に2行の行列をなして配置されている。なお、ここでは説明を容易にするために、2行2列の事例を用いて説明するが、面付け数は、いくつであっても良い。例えば、1個であっても良いし、5個以上であっても良い。
また、図5において、大判ガラス基板131は、ガラス基板31が4つ面付けされた大判ガラス基板を示している。同様に、大判ガラス基板134はガラス基板34が4つ面付けされた大判ガラス基板であり、大判素子基板101は素子基板1が4つ面付けされた大判基板である。また、大判タッチパネル140はタッチパネル40が4つ面付けされた大判タッチパネルであり、大判表示パネル120は有機ELパネル20が4つ面付けされた大判表示パネルである。
【0045】
以下、図3のフローチャートに基づき、相違点のみ説明する。
ステップS1では、大判ガラス基板131側を薄く加工した状態の大判タッチパネル140を準備する。なお、通気孔(図示せず)は、大判タッチパネル140の周縁部において、1つのタッチパネル40ごとに1ヶ所ずつ形成されている。換言すれば、1つのタッチパネル40ごとに大判タッチパネル140の状態で外部に露出している部分(周縁部)に通気孔が形成されている。
ステップS2では、各表示パネルの領域ごとに、大判素子基板101上にシール材原料を塗布した後、紫外線を照射して半硬化させる。
ステップS3では、各表示パネルの領域ごとに、半硬化状態のシール材に囲まれた領域内に充填材原料を塗布する。
ステップS4では、充填材原料が塗布された状態の大判素子基板101に、大判タッチパネル140を貼り合せる。
ステップS5では、貼り合わされた大判表示パネル120を加熱して充填材、およびシール材を硬化させる。
ステップS6では、全ての通気孔を接着剤で充填して、内部を密閉する。
ステップS7では、大判素子基板101、および大判ガラス基板134を研磨、またはエッチングすることにより、大判表示装置150を所期の厚さとする。
【0046】
そして、完成した大判表示装置150に対して、ダイヤモンドカッターなどを用いてスクライブラインを入れて、ブレイク装置を用いて単品に切り分けることにより、表示装置100が完成する。
【0047】
上述した通り、本実施形態によれば、実施形態1における効果に加えて、以下の効果を得ることができる。
この製造方法によれば、複数個の表示装置100を大判の面付け基板を用いて製造することができるため、製造効率を高めることができる。
従って、この製造方法によれば、タッチパネルを搭載した薄型の表示装置100を製造効率の良く製造することができる。
【0048】
(電子機器)
図7は、上述の表示装置を搭載した携帯型プレーヤーを示す斜視図である。
上述した表示装置100は、例えば、電子機器としての携帯型プレーヤー200に搭載して用いることができる。
携帯型プレーヤー200は、マルチメディアプレイヤーであり、内蔵したフラッシュメモリーなどの不揮発性メモリーに、音楽や、静止画像、動画像データを記憶して、表示部170で画像を表示するとともに、附属するイヤホン180で音声を出力可能に構成されている。また、表示部170には、実施形態1に係る表示装置100が使用されている。
携帯型プレーヤー200は、略カードサイズに形成されており、特にその厚さは約1mmと非常に薄型に構成されている。
携帯型プレーヤー200の操作は、表示部170に表示されたアイコンを指先でタッチすることにより行われる。図7の事例では、表示部170に3曲の楽曲のいずれかを選択するための3つのアイコンが表示されており、使用者が2曲目の楽曲を選択している様子が示されている。この操作により、携帯型プレーヤー200は、2曲目の楽曲をイヤホン180から出力するとともに、当該楽曲とセットとして登録されている静止画像、または動画像を表示部170に表示する。
【0049】
このように、携帯型プレーヤー200は、タッチパネルを搭載した薄型の表示装置100を表示部170に搭載しているため、薄型に構成することができる。また、表示装置100がタッチパネルを備えているため、別途、操作ボタンや、スイッチなどを設ける必要がないため、使い勝手が良い。
従って、タッチパネルを搭載した薄型の携帯型プレーヤー200を提供することができる。
【0050】
また、電子機器は、携帯型プレーヤー200に限定するものではなく、表示部を備えた電子機器であれば良い。例えば、携帯電話であっても良い。詳しくは、一体型の携帯電話や、折畳み式の携帯電話、またはスライド式の携帯電話であっても良い。または、カーナビゲーションシステム用の表示装置や、PDA(Personal Digital Assistants)、モバイルコンピューター、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、車載機器、オーディオ機器などの各種電子機器にも用いることができる。
【0051】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されず、上述した実施形態に種々の変更や改良などを加えることが可能である。変形例を以下に述べる。
【0052】
(変形例1)
図8は、変形例1に係る表示装置の側断面図であり、図2に対応している。
上記各実施形態では、表示装置100は、有機EL層8においてRGBの色画素ごとに、RGBの各色の発光層を形成した、いわゆる3色塗り分け方式による構成として説明したが、これに限定するものではなく、色画素ごとに、RGBの色光が出射可能な構成であれば良い。例えば、有機EL層における発光層は、全画素共通で白色光を出射し、表示面側に白色光からRGBの各色光を選択的に透過するカラーフィルターを設けた構成であっても良い。以下、変形例1に係る表示装置160の構成について説明する。なお、実施形態1の表示装置100と同一の構成部位については、同一の番号を附し、重複する説明は省略する。
【0053】
表示装置160は、トップエミッション型の有機ELパネル25、タッチパネル45などから構成されている。
有機ELパネル25の機能層19において、有機EL層18は、各画素電極6、および各隔壁7を覆って形成されている。また、有機EL層18を覆って、換言すれば、有機EL層18の上層に、共通電極9が形成されている。これらの点以外は、有機ELパネル20と同様である。
有機EL層18における発光層は、白色光を発光する有機材料から構成されている。その他の各層の構成は、実施形態1での説明と同様である。また、実施形態1と同様に、有機材料は、低分子材料であっても良いし、高分子材料を用いても良い。また、その形成方法は、蒸着法を用いても良いし、インクジェット法であっても良い。
【0054】
タッチパネル45は、カラーフィルター層38を備えていることが、実施形態1のタッチパネル40と異なる。詳しくは、ガラス基板31の上層(Z軸(−)側)に、カラーフィルター層38と、透明電極32とを、この順番で備えている。これらの点以外は、タッチパネル40と同様である。
カラーフィルター層38には、各色画素と平面的に重なる部分に、赤色のカラーフィルター38r、緑色のカラーフィルター38g、青色のカラーフィルター38bがそれぞれ形成されている。また、各カラーフィルター間には、図8でハッチングで示すように、黒色樹脂からなる遮光部が形成されている。平面的に遮光部は、格子状をなしており、隔壁7と重なるように配置されている。また、遮光部は、光学的にブラックマトリックスとして機能する。
カラーフィルター層38は、例えば、フォトリソ法を用いて形成する。なお、フォトリソ法を用いる場合には、ガラス基板31を無アルカリガラスとすることが好ましい。また、インクジェット法を用いて形成しても良い。
【0055】
このような構成において、例えば、赤色画素Rの場合、有機EL層18で放射された白色光は、赤色カラーフィルター38rにより色光選択されて、赤色の光となってガラス基板34から出射される。また、緑色、青色の画素G,Rにおいても同様である。
このように変形例1の表示装置160であっても、表示装置100と同様な画像表示、および操作入力を行うことができる。また、表示装置100と同様な製造方法によって、表示装置160を製造することができる。
従って、表示装置160においても、上記各実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0056】
1…素子基板、5…反射層、6…画素電極、8,18…有機EL層、9…陰極としての共通電極、12…透明絶縁層としてのガスバリア層、16…シール材、17…透明樹脂としての充填材、20,25…有機ELパネル、31…第1基板としてのガラス基板、34…第2基板としてのガラス基板、37a…通気孔、40,45…タッチパネル、70…案内板、100,160…電気光学装置としての表示装置、120…大判パネルとしての大判表示パネル、140…大判タッチパネル、200…電子機器としての携帯型プレーヤー。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
素子基板上に、少なくとも有機EL層を有し、前記有機EL層側から表示光を出射するトップエミッション型の有機ELパネルと、
共にガラスからなり、間隙を持って対向する第1基板と第2基板とを含んで構成され、前記有機ELパネルに重ねられたタッチパネルと、を備え、
少なくとも周縁部において前記素子基板と接着されるとともに、前記有機EL層を介在して前記素子基板と向い合って配置される封止基板として、前記タッチパネルの前記第1基板を用いたことを特徴とする電気光学装置。
【請求項2】
前記有機ELパネルは、複数の画素からなる表示領域を備え、
複数の前記画素の各々は、前記素子基板上において、反射層と、画素電極と、前記有機EL層と、陰極と、透明絶縁層とを、この順番で有し、
前記素子基板と前記第1基板とは、前記透明絶縁層を覆って充填された透明樹脂により、密閉して接着されていることを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置。
【請求項3】
前記第1基板、および前記第2基板の厚さは、30〜70μmの範囲内であり、
前記間隙は、10〜30μmの範囲内に設定され、
前記素子基板の厚さは、30〜70μmの範囲内であることを特徴とする請求項1または2に記載の電気光学装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の電気光学装置を表示部として備えたことを特徴とする電子機器。
【請求項5】
素子基板上に、少なくとも有機EL層を有し、前記有機EL層側から表示光を出射するトップエミッション型の有機ELパネルに対して、共にガラスからなり、間隙を持って対向する第1基板と第2基板とを含んで構成されたタッチパネルを装着した電気光学装置の製造方法であって、
(a)前記素子基板の周縁部にシール材を形成する工程と、
(b)前記シール材に囲まれた領域において、前記有機EL層を覆って透明樹脂を充填する工程と、
(c)前記タッチパネルの前記第1基板を前記素子基板と向い合せて、前記透明樹脂を接着剤として、前記素子基板と前記第1基板とを貼り合せる工程と、を含み、
少なくとも前記(b)〜(c)工程を減圧環境下で行うことを特徴とする電気光学装置の製造方法。
【請求項6】
前記透明樹脂は、熱硬化型のエポキシ樹脂であり、
前記有機ELパネルが案内板に搭載された状態で、前記(b)〜(c)工程が行われ、
前記(c)工程に続いて、
(d)前記案内板を加熱する工程と、をさらに含むことを特徴とする請求項5に記載の電気光学装置の製造方法。
【請求項7】
初期段階における前記素子基板、および前記第1基板、並びに前記第2基板の厚さは、0.3〜0.7mmの範囲内とされ、
前記タッチパネルにおける前記第1基板は、あらかじめ30〜70μmの範囲内の厚さに研磨、またはエッチングされてなり、
前記(d)工程に続いて、
(e)前記素子基板、および前記第2基板を研磨、またはエッチングする工程と、をさらに含み、
前記(e)工程後の前記素子基板、および前記第2基板の厚さが共に30〜70μmの範囲内であることを特徴とする請求項6に記載の電気光学装置の製造方法。
【請求項8】
前記タッチパネルには、あらかじめ前記間隙と外気とを連通する通気孔が設けられており、
前記(d)工程、または(e)工程の後に、前記通気孔を密閉することを特徴とする請求項6または7に記載の電気光学装置の製造方法。
【請求項9】
複数個の前記有機ELパネルが面付けされた大判パネルと、前記大判パネルと同数の前記タッチパネルが面付けされた大判タッチパネルとを用いて、前記各工程を行うことを特徴とする請求項5〜8のいずれか一項に記載の電気光学装置の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2010−243930(P2010−243930A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−94638(P2009−94638)
【出願日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】