説明

電気光学装置、電子機器、電気光学装置の駆動方法

【課題】解像度を低下させることなく、異なる方向に異なる画像を同時に表示することが可能な電気光学装置、電子機器、電気光学装置の駆動方法を提供すること。
【解決手段】液晶表示装置1は、画素αと画素βとが交互に配列された複数の画素列と偏光板62とを有する液晶パネル2と、領域分割位相差板32と、制御用液晶装置3と、偏光板63とを備えている。領域分割位相差板32は、偏光板62の透過軸と平行な遅相軸を有しリタデーションがλ/2である領域Aと、偏光板62の透過軸との相対角が45度である遅相軸を有しリタデーションがλ/2である領域Bとを有している。制御用液晶装置3の配向状態に応じて、領域A又は領域Bのいずれかが遮光され、視差バリアを形成する。画素α、画素βは、制御用液晶装置3の配向状態の切り替えに応じて、第1の画像又は第2の画像を表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つの異なる画像を異なる方向に同時に表示可能な電気光学装置、電子機器、電気光学装置の駆動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電気光学装置の表面に、開口部を有するバリア層(視差バリア)が形成されたバリアマスク基板を一定の距離をおいて重ねることで、2つの画像を異なる方向に同時に表示できることが知られている。これは、視角を変えると、視差バリアによって異なる画素が遮光されることを利用したものである。特許文献1には、異なる方向に表示される2つの画像を用いて立体的な表示を行うことができる3次元画像表示装置が記載されている。
【0003】
また、表示画素と視差バリアとの距離を短くすることで、上記2つの画像の表示方向をより大きく異ならせることができる。これにより、例えば異なる観察者が当該2つの画像を斜め左右方向から別々に視認できるように構成することもできる。
【0004】
【特許文献1】特許第2857429号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の構成によれば、ある視角において視差バリアによって遮蔽される画素はその視角での表示に寄与しないこととなるため、異なる方向に表示された2つの画像の解像度は、本来電気光学装置が有する表示の解像度より低下してしまうという問題点がある。
【0006】
本発明は、以上の問題点に鑑みてなされたものであり、本発明の奏する効果の一つにより、解像度を低下させることなく、異なる方向に異なる画像を同時に表示することが可能となる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の電気光学装置は、第1の画像及び第2の画像を異なる方向に同時に表示する電気光学装置であって、第1の画素と第2の画素とが交互に配列された複数の画素列と第1の偏光板とを有し、前記第1の偏光板を通して表示光を射出する電気光学パネルと、前記第1の偏光板の表示側に配置された位相差板と、前記位相差板の表示側に配置され、前記第1の偏光板の透過軸に平行又は垂直な偏光軸を有する直線偏光に対し位相差を与えない第1の配向状態と、λ/2の位相差を与える第2の配向状態との間で配向状態を切り替え可能な液晶層を有する液晶装置と、前記液晶装置の表示側に配置され、前記第1の偏光板の透過軸と平行又は垂直な透過軸を有する第2の偏光板と、を備え、前記位相差板は、前記第1の偏光板の透過軸と平行又は垂直な遅相軸を有しリタデーションがλ/2である領域Aと、前記第1の偏光板の透過軸との相対角が45度である遅相軸を有しリタデーションがλ/2である領域Bとを有し、前記領域A及び前記領域Bは、前記電気光学パネルの法線方向から見て、前記画素列に沿って前記第1の画素及び前記第2の画素の配置ピッチに対して半ピッチずれた状態に交互に配列され、前記第1の画素は、前記液晶層が前記第1の配向状態にあるときには前記第1の画像を表示し、前記液晶層が前記第2の配向状態にあるときには前記第2の画像を表示し、前記第2の画素は、前記液晶層が前記第1の配向状態にあるときには前記第2の画像を表示し、前記液晶層が前記第2の配向状態にあるときには前記第1の画像を表示することを特徴とする。
【0008】
上記電気光学装置は、第1の偏光板の透過軸と第2の偏光板の透過軸とが平行である場合には、位相板、液晶層、及び第2の偏光板の作用により次のように動作する。まず、液晶層が第1の配向状態にあるときは、第1の偏光板を透過した光は、領域Aに対応する部位では第2の偏光板を透過し、領域Bに対応する部位では第2の偏光板により遮光される。このとき、電気光学パネルの法線方向から画素列に沿った方向で視角を傾けると、ある方向に傾けた場合には第1の画素による第1の画像が視認され、これとは逆の方向に傾けた場合には第2の画素による第2の画像が視認される。一方、液晶層が第2の配向状態にあるときは、第1の偏光板を透過した光は、領域Aに対応する部位では第2の偏光板によって遮光され、領域Bに対応する部位では第2の偏光板を透過する。このとき、上記のある方向に視角を傾けた場合には第2の画素による第1の画像が視認され、これとは逆の方向に傾けた場合には第1の画素による第2の画像が視認される。このように、液晶層の配向状態に応じて、領域A又は領域Bのいずれかが視差バリアとして機能し、いずれの場合にも、視角をある方向に傾けると第1の画像が視認され、逆の方向に傾けると第2の画像が視認される。このような構成によれば、第1の画素及び第2の画素は、第1の画像の表示及び第2の画像の表示のいずれにも寄与するため、解像度を低下させることなく、異なる方向に異なる画像を表示することができる。なお、第1の偏光板の透過軸と第2の偏光板の透過軸とが垂直である場合には、透過領域と遮光領域とが逆転する。この場合にも、上記と同様の作用により、解像度を低下させることなく、異なる方向に異なる画像を同時に表示することができる。
【0009】
上記電気光学装置において、前記領域A及び前記領域Bは、前記画素列に直交する方向について交互に配列されていてもよい。このような構成によれば、領域A及び領域Bは横長の市松模様を形成するように(モザイク状に)配列されることとなる。よって、液晶層の配向状態に応じて、位相差板の位置にモザイク状の視差バリア(ステップバリア)を形成することができる。これにより、液晶層がある配向状態を取っている場合に、第1の画像の表示及び第2の画像の表示の解像度の低下を抑制することができる。したがって、液晶層の配向状態の切り替え周波数が低い場合であっても高品位な2画面表示を行うことができる。
【0010】
上記電気光学装置において、前記領域A及び前記領域Bは、前記画素列に直交する方向について一つながりに形成されていてもよい。このような構成によれば、領域A及び領域Bはストライプ状に配列されることとなる。このため、位相差板のうち領域A又は領域Bが一つながりに形成される領域の面積が大きくなるため、同一領域内における位相差値のばらつきを低減することができる。また、領域Aと領域Bとの境界付近における位相差値の変動を抑制することができる。これにより、より高品位な2画面表示を行うことが可能となる。
【0011】
上記電気光学装置において、前記電気光学パネルは、第1の基板と、前記第1の基板の表示側に配置された第2の基板と、前記第1の基板と前記第2の基板との間に配置された電気光学物質とを備え、前記第1の偏光板は、前記第2の基板の前記電気光学物質側の面に配置されてることが好ましい。このような構成によれば、電気光学パネルの第1の画素及び第2の画素と、上記位相差板との距離を短縮させることができる。これにより、第1の画像が視認される視角と第2の画像が視認される視角との相対角をより大きくすることが可能となり、視認性の高い電気光学装置を得ることができる。
【0012】
上記電気光学装置において、前記位相差板は、前記第2の基板と前記第1の偏光板との間に配置されていることが好ましい。このような構成によれば、電気光学パネルの第1の画素及び第2の画素と、上記位相差板との距離をさらに短縮させることができる。これにより、第1の画像が視認される視角と第2の画像が視認される視角との相対角をより大きくすることが可能となり、視認性の高い電気光学装置を得ることができる。また、第2の基板が、位相差板を形成するための基板を兼ねることとなるため、基板の数を抑えることができ、電気光学装置の厚さを低減することが可能となる。
【0013】
本発明の電子機器は、上記電気光学装置を表示部に備えたことを特徴とする。このような構成によれば、解像度を低下させることなく、異なる方向に異なる画像を同時に表示可能な電子機器が得られる。
【0014】
本発明の電気光学装置の駆動方法は、第1の画素と第2の画素とが交互に配列された複数の画素列と第1の偏光板とを有し、前記第1の偏光板を通して表示光を射出する電気光学パネルと、前記第1の偏光板の表示側に配置された位相差板と、前記位相差板の表示側に配置され、前記第1の偏光板の透過軸に平行又は垂直な偏光軸を有する直線偏光に対し位相差を与えない第1の配向状態と、λ/2の位相差を与える第2の配向状態との間で配向状態を変更可能な液晶層を有する液晶装置と、前記液晶装置の表示側に配置され、前記第1の偏光板の透過軸と平行又は垂直な透過軸を有する第2の偏光板と、を備え、前記位相差板は、前記第1の偏光板の透過軸と平行又は垂直な遅相軸を有しリタデーションがλ/2である領域Aと、前記第1の偏光板の透過軸との相対角が45度である遅相軸を有しリタデーションがλ/2である領域Bとを有し、前記領域A及び前記領域Bは、前記電気光学パネルの法線方向から見て、前記画素列に沿って前記第1の画素及び前記第2の画素の配置ピッチに対して半ピッチずれた状態に交互に配列されている、第1の画像及び第2の画像を異なる方向に同時に表示する電気光学装置の駆動方法であって、前記液晶層を第1の配向状態とするとともに、前記第1の画素により前記第1の画像を表示し、前記第2の画素により前記第2の画像を表示する第1の状態と、前記液晶層を第2の配向状態とするとともに、前記第1の画素により前記第2の画像を表示し、前記第2の画素により前記第1の画像を表示する第2の状態と、を一定の周波数で繰り返すことを特徴とする。
【0015】
上記電気光学装置は、第1の偏光板の透過軸と第2の偏光板の透過軸とが平行である場合には、位相板、液晶層、及び第2の偏光板の作用により次のように動作する。まず、第1の状態においては、液晶層は第1の配向状態にあり、第1の偏光板を透過した光は、領域Aに対応する部位では第2の偏光板を透過し、領域Bに対応する部位では第2の偏光板により遮光される。このとき、電気光学パネルの法線方向から画素列に沿った方向で視角を傾けると、ある方向に傾けた場合には第1の画素による第1の画像が視認され、これとは逆の方向に傾けた場合には第2の画素による第2の画像が視認される。一方、第2の状態においては、液晶層は第2の配向状態にあり、第1の偏光板を透過した光は、領域Aに対応する部位では第2の偏光板によって遮光され、領域Bに対応する部位では第2の偏光板を透過する。このとき、上記のある方向に視角を傾けた場合には第2の画素による第1の画像が視認され、これとは逆の方向に傾けた場合には第1の画素による第2の画像が視認される。このように、液晶層の配向状態に応じて、領域A又は領域Bのいずれかが視差バリアとして機能し、いずれの場合にも、視角をある方向に傾けると第1の画像が視認され、逆の方向に傾けると第2の画像が視認される。そして、これら2つの状態、すなわち第1の状態と第2の状態とを一定の周波数で繰り返すことにより、観察者は、視角をある方向に傾けると第1の画素及び第2の画素がいずれも第1の画像を表示しているように視認し、視角を逆の方向に傾けると第1の画素及び第2の画素がいずれも第2の画像を表示しているように視認する。よって、上記駆動方法によれば、第1の画素及び第2の画素は、第1の画像の表示及び第2の画像の表示のいずれにも寄与することとなるため、解像度を低下させることなく、異なる方向に異なる画像を同時に表示することができる。なお、第1の偏光板の透過軸と第2の偏光板の透過軸とが垂直である場合には、透過領域と遮光領域とが逆転する。この場合にも、上記と同様の作用により、解像度を低下させることなく、異なる方向に異なる画像を同時に表示することができる。
【0016】
上記電気光学装置の駆動方法において、前記周波数は、前記電気光学装置による前記第1の画像及び前記第2の画像の表示における見かけのフレーム周波数の2倍であることが好ましい。このような方法によれば、電気光学装置の表示のフレーム周波数を保ちながら、解像度を低下させることなく、異なる方向に異なる画像を同時に表示することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態について説明する。なお、以下に示す各図においては、各構成要素を図面上で認識され得る程度の大きさとするため、各構成要素の寸法や比率を実際のものとは適宜に異ならせてある。
【0018】
(第1の実施形態)
<A.電気光学装置>
図1は、本発明の第1の実施形態に係る、電気光学装置としての液晶表示装置1の断面図である。液晶表示装置1は、バックライト60、電気光学パネルとしての液晶パネル2、位相差基板30、液晶装置としての制御用液晶装置3、第2の偏光板としての偏光板63がこの順に積層された構造を有している。位相差基板30、制御用液晶装置3、及び偏光板63によって、バリアマスク4が構成される。以下、順に各構成要素について詳述する。
【0019】
バックライト60は、LED(Light Emitting Diode)等を用いて構成された面状光源であり、主に図の+Z方向に向けて光を照射する。観察者は、バックライト60からの光のうち、液晶パネル2及びバリアマスク4を透過した光によって表示を視認する。以下では、ある構成要素の+Z方向側を表示側とも呼び、−Z方向側を背面側とも呼ぶ。
【0020】
液晶パネル2は、互いに対向して配置された素子基板10と対向基板20とを有している。素子基板10と対向基板20との間には、TN(Twisted Nematic)モードの液晶層64が封入されている。液晶層64は、本発明における電気光学物質に対応する。素子基板10の背面側には偏光板61が、また対向基板20の表示側には第1の偏光板としての偏光板62がそれぞれ配置されている。
【0021】
図2(a)は、液晶パネル2を表示側から観察したときの平面図である。液晶パネル2は、画素5r,5g,5b(以下ではまとめて「画素5」とも呼ぶ)を有している。画素5r,5g,5bは、それぞれ赤、緑、青のカラーフィルタ22r,22g,22b(以下ではまとめて「カラーフィルタ22」とも呼ぶ)を有しており、赤、緑、青の表示を行う。画素5r,5g,5bは、図中のY軸方向にこの順に繰り返し配置されており、X軸方向については、同一の色に対応する画素5が一列にストライプ状に並ぶように配置されている。隣接する画素5の間には、黒色の樹脂からなる遮光層23が形成されている。
【0022】
各画素5は、本発明における第1の画素としての画素α、又は本発明における第2の画素としての画素βのいずれかに分類される。画素αと画素βとは、X軸方向について交互に並ぶように配列されている。画素5のX軸方向についての列を、画素列6と呼ぶ。本実施形態では、画素αと画素βとは、Y軸方向についても交互に並ぶように配列されている。したがって、画素αと画素βとは、横長の市松模様を構成するように(モザイク状に)配列されている。
【0023】
図1に戻り、素子基板10及び対向基板20の構成について説明する。素子基板10は、ガラス基板11上に、画素5ごとに形成されたTFT(Thin Film Transistor)素子12と、TFT素子12に接続された走査線71(図3)、データ線16、及び画素電極19等を含む、いわゆるTFT素子基板である。ガラス基板11は、本発明における第1の基板に対応する。ガラス基板11の液晶層64側表面には、第1層から第4層までの構成要素が積層されている。また、これらの各層間の構成要素が短絡するのを防止するため、第1層と第2層の間には層間絶縁層13が、第2層と第3層の間には層間絶縁層14が、第3層と第4層の間には層間絶縁層15が、それぞれ形成されている。なお、スイッチング素子としては、3端子のTFT素子12に代えて、2端子のTFD(Thin Film Diode)素子等を用いてもよい。
【0024】
ガラス基板11の表面に設けられた第1層には、TFT素子12のゲート電極12gが形成されている。第1層の上には、SiO2などからなる層間絶縁層13を挟んで第2層が形成されている。第2層には、ゲート電極12gに重なる位置に、アモルファスシリコンからなる半導体層12aが形成されている。また、半導体層12aのソース領域にはソース電極12sが、またドレイン領域にはドレイン電極12dが一部重なった状態で形成されている。ソース電極12sは、データ線16に接続され、ドレイン電極12dは、画素電極19に接続されている。半導体層12a、ソース電極12s、ドレイン電極12d、ゲート電極12gにより、TFT素子12が構成される。
【0025】
第2層の上には、SiO2などからなる層間絶縁層14を挟んで第3層が形成されている。第3層には、データ線16が形成されている。第3層の上には、SiO2などからなる層間絶縁層15を挟んで、第4層が形成されている。第4層には、透光性を有するITO(Indium Tin Oxide)からなる画素電極19が形成されている。画素電極19は、層間絶縁層14,15を貫通して形成されたコンタクトホールを介してTFT素子12のドレイン電極12dに接続されている。第4層の表層には、ポリイミドからなる配向膜(不図示)が形成されている。
【0026】
一方、対向基板20は、ガラス基板21上にカラーフィルタ22等が形成された、いわゆるカラーフィルタ基板である。ガラス基板21は、本発明における第2の基板に対応する。ガラス基板21の液晶層64側表面には、画素5r,5g,5bにそれぞれ対応して、赤、緑、青のカラーフィルタ22r,22g,22b(図2)が形成されている。カラーフィルタ22は、入射した光のうち特定の波長の光を吸収する樹脂であり、カラーフィルタ22によって透過光を所定の色(例えば赤、緑、又は青)とすることができる。また、隣接する画素5の間の領域には、遮光性を有する黒色の樹脂からなる遮光層23が形成されている。カラーフィルタ22及び遮光層23の表層には、ITOからなる対向電極29が形成されている。対向電極29上には、ポリイミドからなる配向膜(不図示)が形成されている。なお、カラーフィルタ22及び遮光層23の上に、透光性を有する樹脂からなるオーバーコートを積層し、その上に対向電極29及び配向膜を形成してもよい。
【0027】
なお、ガラス基板21は、ケミカルエッチング又はCMP(Chemical Mechanical Polishing)等により約50μmの厚さに研磨加工されている。この加工によって、実質的に表示光が射出されるカラーフィルタ22と、後述する領域分割位相差板32との距離が調節される。
【0028】
図3は、液晶パネル2の電気的な構成を示す模式図である。この図に示すように、画素領域においては、複数本の走査線71と複数本のデータ線16とが交差するように配線されている。走査線71とデータ線16とで区画された領域には、画素電極19がマトリクス状に配置されている。そして、走査線71とデータ線16の各交差部分に対応してTFT素子12が設けられ、このTFT素子12に画素電極19が接続されている。
【0029】
TFT素子12は、走査線71から供給される走査信号G1,G2,…,Gmに含まれるON信号によってオンとなり、このときデータ線16に供給された画像信号S1,S2,…,Snが画素電極19に供給される。この画素電極19と対向電極29(図1)との間の電圧が液晶層64に印加される。また、画素電極19と並列に容量線72との間で蓄積容量70が設けられている。この蓄積容量70によって、画素電極19の電圧は、画像信号が印加された時間よりも例えば3桁も長い時間にわたって保持される。このように電圧保持特性が改善されると、表示のコントラスト比が向上する。
【0030】
画素電極19と対向電極29との間に駆動電圧が印加されると、液晶層64に電界が生じる。液晶層64の液晶分子は、この電界に従って配向方向を変える。液晶パネル2は、液晶層64に含まれる液晶分子の配向方向に応じた偏光変換機能に基づいて表示を行う装置であり、表示光は、偏光板62を通して表示側に射出される。
【0031】
なお、図3においては、走査線71が左右方向に延設され、データ線16が上下方向に延設されているが、液晶表示装置1に適用するに際しては、図1において走査線71をX軸に沿って配置するとともにデータ線16をY軸に沿って配置する構成としてもよいし、走査線71をY軸に沿って配置するとともにデータ線16をX軸に沿って配置する構成としてもよい。
【0032】
図1に戻り、液晶パネル2の表示側には、位相差基板30が配置されている。位相差基板30は、ガラス基板31と、ガラス基板31の背面側に形成された、本発明における位相差板としての領域分割位相差板32とから構成されている。
【0033】
図2(b)は、領域分割位相差板32を表示側から観察したときの平面図であり、表示側から見て図2(a)と重なる部分を切り出して示したものである。この図に示すように、領域分割位相差板32は、液晶パネル2の法線方向(+Z方向)から見て、画素列6に沿って交互に配列された領域Aと領域Bとを有している。領域A及び領域Bは、画素5と同一の大きさの矩形をなしており、Y軸方向については画素列6とちょうど重なるように配置されている。一方、X軸方向については、画素α及び画素βの配置ピッチに対して半ピッチずれた状態に交互に配列されている。より詳しくは、領域Aは、画素αの右半分と画素βの左半分とに重なるように配置され、領域Bは、画素βの右半分と画素αの左半分とに重なるように配置されている。したがって、領域A及び領域Bは、画素α及び画素βと同様、X軸方向のみならず、Y軸方向についても交互に並ぶように配列されている。すなわち、領域Aと領域Bとは、横長の市松模様を構成するように(モザイク状に)配列されている。
【0034】
また、図2(b)中の矢印は、領域分割位相差板32の遅相軸を示している。領域分割位相差板32の領域Aは、偏光板62の透過軸と平行な遅相軸を有しており、かつリタデーションがλ/2となるように設定されている。また、領域Bは、偏光板62の透過軸との相対角が45度となるような遅相軸を有しており、かつリタデーションがλ/2となるように設定されている。このような領域A及び領域Bの分布を有する領域分割位相差板32としては、例えば領域A及び領域Bで配向軸が異なるように液晶ポリマーを配列させて固形化させた液晶フィルムを用いることができる。
【0035】
図1に戻り、位相差基板30の表示側には、制御用液晶装置3が配置されている。制御用液晶装置3は、互いに対向して配置された背面側基板40と表示側基板50とを有している。背面側基板40は、ガラス基板41を基体とし、表示側基板50は、ガラス基板51を基体としている。背面側基板40と表示側基板50との間には、液晶層65が配置されている。背面側基板40及び表示側基板50の液晶層65側の面には、それぞれ略全面にITOからなる電極49,59が形成されている。電極49,59の間に電圧を印加することにより、液晶層65に電界を生じさせて液晶層65を駆動することができる。電極49,59の液晶層65側表面には、ポリイミドからなる配向膜(不図示)が形成されている。
【0036】
本実施形態では、液晶層65はホモジニアス配向をしており、電圧非無印加時には液晶分子が基板面に対して平行に並んでいる。液晶層65は、この状態において、偏光板62の透過軸に平行又は垂直な偏光軸を有する直線偏光に対しλ/2の位相差を与えるように、配向軸及びリタデーションが設定されている。この配向状態が、本実施形態における第2の配向状態に対応する。以下では、制御用液晶装置3のこのような状態を、OFF状態とも呼ぶ。
【0037】
また、液晶層65に、電極49,59を介して駆動電圧を印加すると、液晶分子は基板面に対して垂直に立ち上がり、偏光板62の透過軸に平行又は垂直な偏光軸を有する直線偏光に対して位相差を与えない状態となる。この配向状態が、本実施形態における第1の配向状態に対応する。以下では、制御用液晶装置3のこのような状態を、ON状態とも呼ぶ。
【0038】
以上のように、制御用液晶装置3は、駆動電圧の印加、無印加を切り替えることにより、液晶層65の配向状態を第1の配向状態と第2の配向状態との間で切り替えることができる。
【0039】
なお、本明細書において、リタデーションがλ/2である、又はλ/2の位相差を与える、との記載は、厳密に入射光に対してλ/2の位相差を与えるもののみならず、可視光領域のいずれかの波長(λ)の光に対してλ/2の位相差を与えるものも含む。
【0040】
制御用液晶装置3の表示側には、偏光板62の透過軸と平行な透過軸を有する偏光板63が配置されている。
【0041】
<B.電気光学装置の動作及び駆動方法>
続いて、以上に説明した電気光学装置としての液晶表示装置1の動作及び駆動方法について、図4から図9を用いて説明する。液晶表示装置1は、液晶パネル2から射出された表示光の一部をバリアマスク4の機能によって遮光することにより、異なる方向に異なる画像を同時に表示(2画面表示)することが可能な表示装置である。以下では、バリアマスク4による遮光の原理と、その遮光により2画面表示を実現する原理について説明する。
【0042】
図4(a)は、制御用液晶装置3がON状態の場合における、領域分割位相差板32の領域A、領域Bに対応する部位を透過する表示光の偏光状態を示す模式図である。より詳しくは、表示光が偏光板62、領域分割位相差板32、制御用液晶装置3の液晶層65、偏光板63を透過した後の偏光状態をそれぞれ示すものである。この図における偏光軸及び光学軸は、図1中の+Z方向から見たものであり、表示光の偏光軸は二重線の矢印で、また各構成要素の光学軸は単線の矢印で、それぞれ示されている。
【0043】
領域Aに対応する部分に入射した表示光は、偏光板62に入射し、偏光板62の透過軸と平行な偏光成分のみが透過し、直線偏光となる。この直線偏光は、続いて領域分割位相差板32を透過する。ここで、領域分割位相差板32の領域Aは、遅相軸が偏光板62の透過軸と平行になっているので、入射した直線偏光は位相差を与えられない。よって、入射光は偏光軸を変えずに直線偏光のまま透過する。この直線偏光は、続いて液晶層65を透過する。今、制御用液晶装置3はON状態であるので、液晶層65は基板面に対して垂直に配向しており、入射した直線偏光は液晶層65によって位相差を与えられない。よって、入射光は偏光軸を変えずに直線偏光のまま透過する。この直線偏光は、最後に偏光板63に入射する。偏光板63の透過軸は、偏光板62の透過軸と平行になっているので、入射した直線偏光は、吸収されずに透過する。したがって、領域Aに対応する部分に入射した表示光は、バリアマスク4を透過して観察者に視認される。
【0044】
一方、領域Bに対応する部分に入射した表示光は、偏光板62に入射し、上記と同様に直線偏光が透過する。この直線偏光は、続いて領域分割位相差板32を透過する。ここで、領域分割位相差板32の領域Bは、遅相軸が偏光板62の透過軸に対して45度傾いており、入射した直線偏光はλ/2の位相差を与えられて、入射時の偏光軸と直交する偏光軸を有する直線偏光に変換されて透過する。この直線偏光は、続いて液晶層65を透過する。今、制御用液晶装置3はON状態であるので、入射した直線偏光は液晶層65によって位相差を与えられず、偏光軸を変えずに直線偏光のまま透過する。この直線偏光は、最後に偏光板63に入射する。このとき、入射光の偏光軸と偏光板63の透過軸は直交するので、入射光は偏光板62に吸収される。したがって、領域Bに対応する部分に入射した表示光は、バリアマスク4によって遮光され、観察者には視認されない。
【0045】
このように、制御用液晶装置3がON状態の場合は、領域Bを透過した表示光のみが遮光される結果、観察者は、バリアマスク4の中の領域分割位相差板32の位置に、図4(b)に示す形状の視差バリアが形成されているように視認する。すなわち、領域Bの分布に対応する、横長の市松模様の視差バリア(ステップバリア)が形成されているように視認する。
【0046】
次に、図5を用いて、制御用液晶装置3がOFF状態の場合の遮光の様子について説明する。図5(a)は、制御用液晶装置3がOFF状態の場合における、領域分割位相差板32の領域A、領域Bに対応する部位を透過する表示光の偏光状態を示す模式図である。
【0047】
領域Aに対応する部分に入射した表示光は、偏光板62に入射し、上記と同様に直線偏光が透過する。この直線偏光は、続いて領域分割位相差板32の領域Aに入射し、上記したように、偏光軸を変えられずに直線偏光のまま透過する。この直線偏光は、続いて液晶層65を透過する。今、制御用液晶装置3はOFF状態であるので、液晶層65は基板面に対して平行に配向しており、入射した直線偏光は液晶層65によってλ/2の位相差を与えられる。よって、入射光は、入射時の偏光軸と直交する偏光軸を有する直線偏光に変換されて透過する。この直線偏光は、最後に偏光板63に入射する。このとき、入射光の偏光軸と偏光板63の透過軸は直交するので、入射光は偏光板62に吸収される。したがって、領域Aに対応する部分に入射した表示光は、バリアマスク4によって遮光され、観察者には視認されない。
【0048】
一方、領域Bに対応する部分に入射した表示光は、偏光板62に入射し、上記と同様に直線偏光が透過する。この直線偏光は、続いて領域分割位相差板32の領域Bに入射し、上記したように、λ/2の位相差を与えられて、入射時の偏光軸と直交する偏光軸を有する直線偏光に変換されて透過する。この直線偏光は、続いて液晶層65を透過する。今、制御用液晶装置3はOFF状態であり、入射した直線偏光は液晶層65によってλ/2の位相差を与えられる。よって、入射光は、液晶層65への入射時の偏光軸と直交する偏光軸を有する直線偏光に再度変換されて透過する。すなわち、最初の偏光板62の透過軸と平行な偏光軸を有する直線偏光となって透過する。この直線偏光は、最後に偏光板63に入射する。偏光板63の透過軸は、偏光板62の透過軸と平行になっているので、入射した直線偏光は、吸収されずに透過する。したがって、領域Bに対応する部分に入射した表示光は、バリアマスク4を透過して観察者に視認される。
【0049】
このように、制御用液晶装置3がOFF状態の場合は、領域Aを透過した表示光のみが遮光される結果、観察者は、バリアマスク4の中の領域分割位相差板32の位置に、図5(b)に示す形状の視差バリアが形成されているように視認する。すなわち、領域Aの分布に対応する、横長の市松模様の視差バリア(ステップバリア)が形成されているように視認する。
【0050】
以上のように、制御用液晶装置3がON状態のときは領域Bが、またOFF状態のときは領域Aが遮光される。よって、図4(b)と図5(b)とを比較すれば分かるように、制御用液晶装置3のON/OFFを切り替えることにより、領域分割位相差板32の位置に形成される視差バリアを反転させることができる。ここで、制御用液晶装置3がONとなる状態は、本発明における第1の状態に対応し、制御用液晶装置3がOFFとなる状態は、本発明における第2の状態に対応する。
【0051】
次に、制御用液晶装置3がON状態又はOFF状態となっているときの、液晶表示装置1による表示について説明する。図6、図7は、それぞれ制御用液晶装置3がON状態、OFF状態の場合における液晶表示装置1による表示について示した模式図である。
【0052】
図6(a)は、制御用液晶装置3がON状態の場合に、液晶表示装置1(図1)を正面から観察したときの平面図である。制御用液晶装置3がON状態の場合は、液晶パネル2の画素αでは画像L1の表示が、また画素βでは画像R1の表示が行われる。ここで、画像L1、画像R1は、それぞれ本発明における第1の画像、第2の画像に対応する。今、画素αの右半分及び画素βの左半分は、領域Bに形成された視差バリアによって遮光されているので、正面から液晶表示装置1を観察すると、画素αの左半分による画像L1の表示と、画素βの右半分による画像R1の表示とが視認される。
【0053】
図6(b)は、この状態で視角を左右に傾けた場合に観察者に視認される表示を示した図であり、図6(c)は、当該表示が行われる原理を示した断面図である。視角を左に(すなわち−X方向に)傾けると、図6(c)に示すように、画素βによる画像R1の表示は視差バリアによって遮光されて視認されず、画素αによる画像L1の表示のみが視認される。一方、視角を右に(すなわち+X方向に)傾けると、画素αによる画像L1の表示は視差バリアによって遮光されて視認されず、画素βによる画像R1の表示のみが視認される。よって、視角を左に傾けると、図6(b)の左側の図に示すように、視差バリアの間隙部分から、画素αによる画像L1の表示が視認される。同様に、視角を右に傾けると、図6(b)の右側の図に示すように、視差バリアの間隙部分から、画素βによる画像R1の表示が視認される。
【0054】
なお、遮光される画素が上記のように切り替わる視角を調節するには、実質的に表示光が射出されるカラーフィルタ22(図1)と、視差バリアが形成される領域分割位相差板32との間の距離を、画素α、画素βのX軸方向の配置ピッチに応じて変更すればよい。本実施形態では、画素α、画素βのX軸方向の配置ピッチが約200μm、カラーフィルタ22と領域分割位相差板32との間の距離が約190μm(ガラス基板21の厚さが約50μm、偏光板62の厚さが約140μm)となっている。遮光される画素が切り替わる角度を大きくするためにはカラーフィルタ22と領域分割位相差板32との間の距離を短くすればよく、逆に小さくするためには当該距離を長くすればよい。
【0055】
一方、図7(a)は、制御用液晶装置3がOFF状態の場合に、液晶表示装置1(図1)を正面から観察したときの平面図である。制御用液晶装置3がOFF状態の場合は、液晶パネル2の画素αでは画像R2の表示が、また画素βでは画像L2の表示が行われる。ここで、画像L2、画像R2は、それぞれ上記した画像L1、画像R1と同一の画像であり、本発明における第1の画像、第2の画像に対応する。今、画素αの左半分及び画素βの右半分は、領域Aに形成された視差バリアによって遮光されているので、正面から液晶表示装置1を観察すると、画素αの右半分による画像R2の表示と、画素βの左半分による画像L2の表示とが視認される。
【0056】
図7(b)は、この状態で視角を左右に傾けた場合に観察者に視認される表示を示した図であり、図7(c)は、当該表示が行われる原理を示した断面図である。視角を左に傾けると、図7(c)に示すように、画素αによる画像R2の表示は視差バリアによって遮光されて視認されず、画素βによる画像L2の表示のみが視認される。一方、視角を右に傾けると、画素βによる画像L2の表示は視差バリアによって遮光されて視認されず、画素αによる画像R2の表示のみが視認される。このため、視角を左に傾けると、図7(b)の左側の図に示すように、視差バリアの間隙部分から、画素βによる画像L2の表示が視認される。同様に、視角を右に傾けると、図7(b)の右側の図に示すように、視差バリアの間隙部分から、画素αによる画像R2の表示が視認される。
【0057】
液晶表示装置1においては、制御用液晶装置3のON/OFFを切り替えることで、図6に示した表示状態と、図7に示した表示状態とを切り替えることができる。図8は、制御用液晶装置3を切り替えた際に視認される表示を示した図である。
【0058】
観察者は、左に傾いた視角から観察する場合は、図8(a)に示すような表示を視認する。すなわち、制御用液晶装置3がON状態のときには、画素5r,5g,5bを含む画素αによる、画像L1のカラー表示を視認し、制御用液晶装置3がOFF状態のときには、画素5r,5g,5bを含む画素βによる、画像L2のカラー表示を視認する。そして、制御用液晶装置3のON/OFFを高速で切り替えることにより、これらの表示が重なった状態で視認され(図8(a)際下段の図)、すべての画素α、画素βによって、画像L1及び画像L2(すなわち本発明における第1の画像)が表示されているように視認する。
【0059】
一方、観察者は、右に傾いた視角から観察する場合は、図8(b)に示すような表示を視認する。すなわち、制御用液晶装置3がON状態のときには、画素5r,5g,5bを含む画素βによる、画像R1のカラー表示を視認し、制御用液晶装置3がOFF状態のときには、画素5r,5g,5bを含む画素αによる、画像R2のカラー表示を視認する。そして、制御用液晶装置3のON/OFFを高速で切り替えることにより、これらの表示が重なった状態で視認され(図8(b)際下段の図)、すべての画素α、画素βによって、画像R1又は画像R2(すなわち本発明における第2の画像)が表示されているように視認する。
【0060】
このように、本実施形態の液晶表示装置1によれば、左方向の視角において第1の画像を、また右方向の視角において第2の画像を同時に表示することができる。そして、各瞬間においては、表示画像は視差バリアによって一部が遮光されているものの、当該視差バリアを高速で反転させながら、これにあわせて画素α、画素βによる表示画像を反転させることにより、すべての画素α、画素βを左右それぞれの画像の表示に寄与させることができる。このため、視差バリアによる解像度の低下のない、高品位な2画面表示を行うことができる。
【0061】
図9は、上記した液晶表示装置1の駆動方法を示すタイムチャートである。この図において、期間T1では制御用液晶装置3がON状態となっており、期間T2では制御用液晶装置3がOFF状態となっている。領域A、領域Bの欄の「○」「×」は、制御用液晶装置3のON/OFFに連動しており、「○」は表示光を透過させることを示し、「×」は表示光を遮光することを示す。また、画素α、画素βは、期間T1,T2の切り替えに応じて、すなわち制御用液晶装置3のON/OFFに応じて、上記したように画像L1,L2,R1,R2を適宜表示する。液晶表示装置1の駆動に際しては、一定の周波数で期間T1と期間T2とを繰り返す。
【0062】
そして、上記期間T1,T2を合わせた期間が、液晶表示装置1の表示における見かけのフレーム周期に対応する。したがって、期間T1,T2の繰り返し周波数は、液晶表示装置1による第1の画像及び第2の画像の表示における見かけのフレーム周波数の2倍に相当する。それぞれの見かけのフレーム周期1,2,3,…においては、画素α及び画素βはいずれも第1の画像(画像L1又は画像L2)を行う期間があるため、すべての画素が第1の画像の表示に寄与する。同様に、それぞれの見かけのフレーム周期1,2,3,…においては、画素α及び画素βはいずれも第2の画像(画像R1又は画像R2)を行う期間も有しているため、すべての画素が第2の画像の表示にも寄与する。
【0063】
例えば、液晶表示装置1の表示における見かけのフレーム周波数が毎秒30フレームである場合には、期間T1,T2の繰り返し周波数は毎秒60回に設定する。このように高速で制御用液晶装置3のON/OFFを切り替えることにより、観察者は、各フレーム周期において、すべての画素α、画素βによって第1の画像及び第2の画像の表示が行われているように視認する。このため、左右それぞれの画像の表示にすべての画素α、画素βが寄与することとなり、視差バリアによる解像度の低下のない、高品位な2画面表示を行うことができる。
【0064】
なお、本実施形態では、領域A及び領域Bはモザイク状に配列されているため、領域分割位相差板32の位置にモザイク状の視差バリア(ステップバリア)が形成される。これにより、制御用液晶装置3がON状態、OFF状態のいずれの状態にある場合においても、ストライプバリア方式と比較して、第1の画像の表示及び第2の画像の表示の解像度の低下を抑制することができる。したがって、制御用液晶装置3のON/OFFの切り替え周波数が低い場合であっても高品位な2画面表示を行うことができる。
【0065】
(第2の実施形態)
続いて、本発明の第2の実施形態について説明する。第2の実施形態は、第1の実施形態における液晶表示装置1において、領域分割位相差板32の領域A、領域Bの配置をモザイク状からストライプ状に変更したものである。以下では、主に第1の実施形態との差異について説明することとし、第1の実施形態と共通する内容については説明を省略する。
【0066】
図10(a)は、液晶パネル2を表示側から観察したときの平面図である。本実施形態では、画素αと画素βとは、X軸方向については交互に並ぶように配列される一方、Y軸方向については、同一種類の画素が一列に配列されている。すなわち、画素αと画素βとは、ストライプ状に配列されている。
【0067】
図10(b)は、領域分割位相差板32を表示側から観察したときの平面図であり、+Z方向から見て図10(a)と重なる部分を切り出して示したものである。本実施形態でも、領域A及び領域Bは、Y軸方向については画素列6とちょうど重なるように配置され、X軸方向については、画素α及び画素βの配置ピッチに対して半ピッチずれた状態に交互に配列されている。より詳しくは、領域Aは、画素αの右半分と画素βの左半分とに重なるように配置され、領域Bは、画素βの右半分と画素αの左半分とに重なるように配置されている。したがって、領域A及び領域Bは、X軸方向には交互に並ぶように配列され、Y軸方向についてはストライプ状に配列される。
【0068】
領域A及び領域Bは、第1の実施形態と同様に、制御用液晶装置3のON/OFFにともなって入射光を透過する状態と遮光する状態とが切り替えられ、視差バリアとして機能する。図11は、領域分割位相差板32の位置に形成される視差バリアの形状を示す図であり、(a)は、制御用液晶装置3がON状態の場合の形状を示す図、(b)は、制御用液晶装置3がOFF状態の場合の形状を示す図である。すなわち、制御用液晶装置3がON状態の場合には、図11(a)に示すように、領域分割位相差板32のうちの領域Bが遮光され、領域Aに入射した表示光のみが透過する。同様に、制御用液晶装置3がOFF状態の場合には、図11(b)に示すように、領域Aが遮光され、領域Bに入射した表示光のみが透過する。本実施形態では、領域A、領域Bがストライプ状に配置されているため、形成される視差バリアもストライプ状となる。また、図11(a)と図11(b)とを比較すれば分かるように、制御用液晶装置3のON/OFFを切り替えることにより、領域分割位相差板32の位置に形成される視差バリアを反転させることができる。
【0069】
次に、制御用液晶装置3がON状態又はOFF状態となっているときの、液晶表示装置1による表示について説明する。図12、図13は、それぞれ制御用液晶装置3がON状態、OFF状態の場合における液晶表示装置1による表示について示した模式図である。
【0070】
図12(a)は、制御用液晶装置3がON状態の場合に、液晶表示装置1(図1)を正面から観察したときの平面図である。制御用液晶装置3がON状態の場合は、液晶パネル2の画素αでは画像L1の表示が、また画素βでは画像R1の表示が行われる。ここで、画像L1、画像R1は、それぞれ本発明における第1の画像、第2の画像に対応する。今、画素αの右半分及び画素βの左半分は、領域Bに形成された視差バリアによって遮光されているので、正面から液晶表示装置1を観察すると、画素αの左半分による画像L1の表示と、画素βの右半分による画像R1の表示とが視認される。
【0071】
図12(b)は、この状態で視角を左右に傾けた場合に観察者に視認される表示を示した図である。視角を左に傾けると、図6(c)において示したように、画素βによる画像R1の表示は視差バリアによって遮光されて視認されず、画素αによる画像L1の表示のみが視認される。一方、視角を右に傾けると、画素αによる画像L1の表示は視差バリアによって遮光されて視認されず、画素βによる画像R1の表示のみが視認される。よって、視角を左に傾けると、図12(b)の左側の図に示すように、視差バリアの間隙部分から、画素αによる画像L1のストライプ状の表示が視認される。同様に、視角を右に傾けると、図12(b)の右側の図に示すように、視差バリアの間隙部分から、画素βによる画像R1のストライプ状の表示が視認される。
【0072】
一方、図13(a)は、制御用液晶装置3がOFF状態の場合に、液晶表示装置1を正面から観察したときの平面図である。制御用液晶装置3がOFF状態の場合は、液晶パネル2の画素αでは画像R2の表示が、また画素βでは画像L2の表示が行われる。今、画素αの左半分及び画素βの右半分は、領域Bに形成された視差バリアによって遮光されているので、正面から液晶表示装置1を観察すると、画素αの右半分による画像R2の表示と、画素βの左半分による画像L2の表示とが視認される。
【0073】
図13(b)は、この状態で視角を左右に傾けた場合に観察者に視認される表示を示した図である。視角を左に傾けると、図7(c)において示したように、画素αによる画像R2の表示は視差バリアによって遮光されて視認されず、画素βによる画像L2の表示のみが視認される。一方、視角を右に傾けると、画素βによる画像L2の表示は視差バリアによって遮光されて視認されず、画素αによる画像R2の表示のみが視認される。よって、視角を左に傾けると、図13(b)の左側の図に示すように、視差バリアの間隙部分から、画素βによる画像L2のストライプ状の表示が視認される。同様に、視角を右に傾けると、図13(b)の右側の図に示すように、視差バリアの間隙部分から、画素αによる画像R2のストライプ状の表示が視認される。
【0074】
本実施形態においても、制御用液晶装置3のON/OFFを切り替えることで、図12に示した表示状態と、図13に示した表示状態とを切り替えることができる。図14は、制御用液晶装置3を切り替えた際に視認される表示を示した図である。
【0075】
観察者は、左に傾いた視角から観察する場合は、図14(a)に示すような表示を視認する。すなわち、制御用液晶装置3がON状態のときには、画素5r,5g,5bを含む画素αによる、画像L1のカラー表示を視認し、制御用液晶装置3がOFF状態のときには、画素5r,5g,5bを含む画素βによる、画像L2のカラー表示を視認する。そして、制御用液晶装置3のON/OFFを高速で切り替えることにより、これらの表示が重なった状態で視認され(図14(a)の最下段の図)、すべての画素α、画素βによって、画像L1及び画像L2(すなわち本発明における第1の画像)が表示されているように視認する。
【0076】
一方、観察者は、右に傾いた視角から観察する場合は、図14(b)に示すような表示を視認する。すなわち、制御用液晶装置3がON状態のときには、画素5r,5g,5bを含む画素βによる、画像R1のカラー表示を視認し、制御用液晶装置3がOFF状態のときには、画素5r,5g,5bを含む画素αによる、画像R2のカラー表示を視認する。そして、制御用液晶装置3のON/OFFを高速で切り替えることにより、これらの表示が重なった状態で視認され(図14(b)の最下段の図)、すべての画素α、画素βによって、画像R1又は画像R2(すなわち本発明における第2の画像)が表示されているように視認する。
【0077】
このように、本実施形態の構成によっても、左方向の視角において第1の画像を、また右方向の視角において第2の画像を同時に表示することができる。そして、各瞬間においては、表示画像は視差バリアによって一部が遮光されているものの、当該視差バリアを高速で反転させながら、これにあわせて画素α、画素βによる表示画像を反転させることにより、すべての画素α、画素βを左右それぞれの画像の表示に寄与させることができる。このため、視差バリアによる解像度の低下のない、高品位な2画面表示を行うことができる。
【0078】
また、本実施形態では、領域分割位相差板32の領域A、領域Bをストライプ状に形成する。このような構成によれば、領域A、領域Bをモザイク状に形成する場合と比較して、一つながりに形成される領域の面積が大きくなるため、同一領域内における位相差値のばらつきを低減することができるとともに、領域Aと領域Bとの境界付近における位相差値の変動を抑制することができる。これにより、より高品位な2画面表示を行うことが可能となる。
【0079】
(電子機器への搭載例)
上述した液晶表示装置1は、例えば、図20に示すような電子機器としてのカーナビゲーションシステム用の表示装置100に搭載して用いることができる。この表示装置100は、表示部110に組み込まれた液晶表示装置1によって、2つの画像を異なる方向に同時に表示することができる。例えば、運転席側に地図の画像を表示するとともに、助手席側に映画の画像を表示することができる。その際、視差バリアによる解像度の低下のない、高品位な表示を行うことができる。
【0080】
なお、本発明を適用した液晶表示装置1は、上記表示装置100の他、モバイルコンピュータ、携帯電話機、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、車載機器、オーディオ機器などの各種電子機器に用いることができる。
【0081】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態に対しては、本発明の趣旨から逸脱しない範囲で様々な変形を加えることができる。変形例としては、例えば以下のようなものが考えられる。
【0082】
(変形例1)
上記各実施形態の構成に代えて、偏光板62を、液晶パネル2の対向基板20に内蔵させてもよい。より詳しくは、ガラス基板21の液晶層64側の面に偏光板62を形成してもよい。図15は、こうした構成の液晶表示装置1Aの断面図である。偏光板62としては、例えば微細な金属膜のスリットを多数並べたワイヤグリッド型の偏光子を用いることができる。こうした構成によれば、偏光板62の厚さを低減することができる。このため、実質的に表示光が射出されるカラーフィルタ22と、視差バリアが形成される領域分割位相差板32との間の距離を短縮することができる。これによれば、第1の画像が表示される角度と第2の画像が表示される角度との相対角を大きく取ることができる。あるいは、当該相対角を一定に保った上で、画素5のX軸方向の幅を狭めることが可能となるので、例えば画素5をY軸方向に長い矩形の形状とすることができる。
【0083】
この構成においては、さらに領域分割位相差板32をガラス基板21と偏光板62との間に形成してもよい。すなわち、ガラス基板21の液晶層64側の面に、領域分割位相差板32、偏光板62をこの順に形成してもよい。図16は、こうした構成の液晶表示装置1Bの断面図である。こうした構成によれば、領域分割位相差板32を形成するためのガラス基板31を別途用いる必要がないため、液晶表示装置1Bをさらに薄くすることができる。また、実質的に表示光が射出されるカラーフィルタ22と、視差バリアが形成される領域分割位相差板32との間にガラス基板が存在しない構成となるので、当該距離を調整するためのガラス基板の研磨工程が不要となり、製造工程を簡略化することができる。なお、領域分割位相差板32及び偏光板62をともに対向基板20に内蔵させると、カラーフィルタ22と領域分割位相差板32との間の距離が小さくなり過ぎる場合があるため、偏光板62とカラーフィルタ22との間に透光性を有する樹脂24を積層して上記距離を調整することが好ましい。
【0084】
(変形例2)
上記各実施形態は、ガラス基板31の表面に領域分割位相差板32を形成して位相差基板30を作り、当該位相差基板30を液晶パネル2と制御用液晶装置3との間に配置する構成であるが、この構成に代えて、制御用液晶装置3の背面側基板40の表面に領域分割位相差板32を形成する構成としてもよい。より詳しくは、背面側基板40を構成するガラス基板41の、液晶層65とは反対側の面に領域分割位相差板32を形成する。図17は、こうした構成の液晶表示装置1Cの断面図である。このような構成によれば、領域分割位相差板32を形成するためのガラス基板31を別途用いる必要がないため、液晶表示装置1Cを薄くすることができる。
【0085】
(変形例3)
上記各実施形態において、偏光板63の透過軸は、偏光板62の透過軸と平行となるように構成されるが、これに代えて、偏光板63の透過軸と偏光板62の透過軸とが垂直になるような構成とすることもできる。図18は、こうした構成における、領域分割位相差板32の領域A、領域Bに対応する部位を透過する表示光の偏光状態を示す模式図であり、(a)は、制御用液晶装置3がON状態の場合の偏光状態、(b)は、制御用液晶装置3がOFF状態の場合の偏光状態を示している。
【0086】
制御用液晶装置3がON状態の場合は、上記各実施形態では、表示光は、領域Aを透過し、領域Bでは遮光されるが(図4(a))、本変形例では偏光板63の透過軸が90度回転しているため、領域Aでは遮光され、領域Bを透過する(図18(a))。同様に、制御用液晶装置3がOFF状態の場合は、上記第1の実施形態では、表示光は、領域Aでは遮光され、領域Bを透過するが(図5(a))、本変形例では偏光板63の透過軸が90度回転しているため、領域Aを透過し、領域Bでは遮光される(図18(b))。すなわち、本変形例では、領域A、領域Bのうち、表示光を透過する領域と遮光する領域とが上記各実施形態に対して常に反転する。このような構成によっても、制御用液晶装置3のON/OFFの切り替えによって遮光部位を切り替えることができるため、上記実施形態と同様の作用により、視差バリアによる解像度の低下のない、高品位な2画面表示を行うことができる。
【0087】
(変形例4)
上記各実施形態では、領域Aの遅相軸は、偏光板62の透過軸と平行となるように構成されているが、偏光板62の透過軸に垂直となるように配置してもよい。このような構成によっても、表示光は上記各実施形態と同様の振る舞いをするため、視差バリアによる解像度の低下のない、高品位な2画面表示を行うことができる。
【0088】
(変形例5)
液晶表示装置1の駆動方法としては、上記各実施形態のものに代えて、図19のタイムチャートに示すように、見かけのフレーム周期ごとに期間T1(第1の状態、すなわち制御用液晶装置3がONとなる状態)と、期間T2(第2の状態、すなわち制御用液晶装置3がOFFとなる状態)との順序を入れ替える駆動方法とすることもできる。すなわち、あるフレーム期間に制御用液晶装置3をON状態からOFF状態に切り替えて駆動した場合には、その次のフレーム期間ではOFF状態からON状態に切り替えるようにする。このようにすれば、フレーム期間の切り替えの際に制御用液晶装置3の配向状態を切り替える必要がないため、制御用液晶装置3の切り替え周波数を上記実施形態の半分に低減することができる。
【0089】
(変形例6)
液晶パネル2に含まれる液晶層64のモードは、TNモードに限られず、VA(Vertical Alignment:垂直配向)、IPS(In Plain Switching)、FFS(Fringe Field Switching)、STN(Super Twisted Nematic)等、種々のモードを採用することができる。これらのモードの中では、広視野角の得られるVA、IPS、FFSが好適である。液晶層64を広視野角の得られるモードとすれば、正面から左右に傾いた視角において視認される第1の画像及び第2の画像を高輝度かつ高品位に表示することができる。
【0090】
また、制御用液晶装置3に含まれる液晶層65は、上記実施形態のようなホモジニアス配向に限られない。液晶層65は、偏光板62の透過軸に平行又は垂直な偏光軸を有する直線偏光に対し位相差を与えない第1の配向状態と、λ/2の位相差を与える第2の配向状態との間で配向状態を切り替え可能なモードであればどのようなモードでもよく、例えばTN、VA等、種々のモードとすることができる。
【0091】
(変形例7)
上記実施形態は、本発明における電気光学パネルとして液晶パネル2を用いているが、これに限定する趣旨ではない。本発明における電気光学パネルとしては、画素αと画素βに相当する画素が交互に配列された画素列を複数有し、偏光板62に相当する偏光板を通して表示光を射出する電気光学パネルであればどのようなものであってもよく、例えば有機EL装置、プラズマディスプレイパネル、CRTディスプレイ等を用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る、電気光学装置としての液晶表示装置の断面図。
【図2】(a)は、液晶パネルを表示側から観察したときの平面図、(b)は、領域分割位相差板を表示側から観察したときの平面図。
【図3】液晶パネルの電気的な構成を示す模式図。
【図4】(a)は、制御用液晶装置がON状態の場合における、領域分割位相差板の領域A、領域Bに対応する部位を透過する表示光の偏光状態を示す模式図、(b)は、領域分割位相差板の位置に形成される視差バリアの形状を示す図。
【図5】(a)は、制御用液晶装置がOFF状態の場合における、領域分割位相差板の領域A、領域Bに対応する部位を透過する表示光の偏光状態を示す模式図、(b)は、領域分割位相差板の位置に形成される視差バリアの形状を示す図。
【図6】制御用液晶装置がON状態の場合における液晶表示装置による表示について示した模式図であり、(a)は平面図、(b)は、視角を左右に傾けた場合に観察者に視認される表示を示した図、(c)は、当該表示が行われる原理を示した断面図。
【図7】制御用液晶装置がOFF状態の場合における液晶表示装置による表示について示した模式図であり、(a)は平面図、(b)は、視角を左右に傾けた場合に観察者に視認される表示を示した図、(c)は、当該表示が行われる原理を示した断面図。
【図8】(a)及び(b)は、制御用液晶装置を切り替えた際に視認される表示を示した図。
【図9】液晶表示装置の駆動方法を示すタイムチャート。
【図10】(a)は、液晶パネルを表示側から観察したときの平面図、(b)は、領域分割位相差板を表示側から観察したときの平面図。
【図11】領域分割位相差板の位置に形成される視差バリアの形状を示す図であり、(a)は、制御用液晶装置がON状態の場合の形状を示す図、(b)は、制御用液晶装置がOFF状態の場合の形状を示す図。
【図12】制御用液晶装置がON状態の場合における液晶表示装置による表示について示した模式図であり、(a)は平面図、(b)は、視角を左右に傾けた場合に観察者に視認される表示を示した図。
【図13】制御用液晶装置がOFF状態の場合における液晶表示装置による表示について示した模式図であり、(a)は平面図、(b)は、視角を左右に傾けた場合に観察者に視認される表示を示した図。
【図14】(a)及び(b)は、制御用液晶装置を切り替えた際に視認される表示を示した図。
【図15】本発明の変形例に係る液晶表示装置の断面図。
【図16】本発明の変形例に係る液晶表示装置の断面図。
【図17】本発明の変形例に係る液晶表示装置の断面図。
【図18】領域A、領域Bに対応する部位を透過する表示光の偏光状態を示す模式図であり、(a)は、制御用液晶装置がON状態の場合の偏光状態、(b)は、制御用液晶装置がOFF状態の場合の偏光状態を示す図。
【図19】本発明の変形例に係る液晶表示装置の駆動方法を示すタイムチャート。
【図20】カーナビゲーションシステム用の表示装置の斜視図。
【符号の説明】
【0093】
1,1A,1B,1C…電気光学装置としての液晶表示装置、2…電気光学パネルとしての液晶パネル、3…液晶装置としての制御用液晶装置、4…バリアマスク、5…画素、6…画素列、10…素子基板、11…第1の基板としてのガラス基板、20…対向基板、21…第2の基板としてのガラス基板、22…カラーフィルタ、23…遮光層、30…位相差基板、32…位相差板としての領域分割位相差板、60…バックライト、61…偏光板、62…第1の偏光板としての偏光板、63…第2の偏光板としての偏光板、64,65…液晶層、100…電子機器としての表示装置、110…表示部、α…第1の画素、β…第2の画素、L1,L2…第1の画像、R1,R2…第2の画像。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の画像及び第2の画像を異なる方向に同時に表示する電気光学装置であって、
第1の画素と第2の画素とが交互に配列された複数の画素列と第1の偏光板とを有し、前記第1の偏光板を通して表示光を射出する電気光学パネルと、
前記第1の偏光板の表示側に配置された位相差板と、
前記位相差板の表示側に配置され、前記第1の偏光板の透過軸に平行又は垂直な偏光軸を有する直線偏光に対し位相差を与えない第1の配向状態と、λ/2の位相差を与える第2の配向状態との間で配向状態を切り替え可能な液晶層を有する液晶装置と、
前記液晶装置の表示側に配置され、前記第1の偏光板の透過軸と平行又は垂直な透過軸を有する第2の偏光板と、を備え、
前記位相差板は、前記第1の偏光板の透過軸と平行又は垂直な遅相軸を有しリタデーションがλ/2である領域Aと、前記第1の偏光板の透過軸との相対角が45度である遅相軸を有しリタデーションがλ/2である領域Bとを有し、
前記領域A及び前記領域Bは、前記電気光学パネルの法線方向から見て、前記画素列に沿って前記第1の画素及び前記第2の画素の配置ピッチに対して半ピッチずれた状態に交互に配列され、
前記第1の画素は、前記液晶層が前記第1の配向状態にあるときには前記第1の画像を表示し、前記液晶層が前記第2の配向状態にあるときには前記第2の画像を表示し、
前記第2の画素は、前記液晶層が前記第1の配向状態にあるときには前記第2の画像を表示し、前記液晶層が前記第2の配向状態にあるときには前記第1の画像を表示することを特徴とする電気光学装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電気光学装置であって、
前記領域A及び前記領域Bは、前記画素列に直交する方向について交互に配列されていることを特徴とする電気光学装置。
【請求項3】
請求項1に記載の電気光学装置であって、
前記領域A及び前記領域Bは、前記画素列に直交する方向について一つながりに形成されていることを特徴とする電気光学装置。
【請求項4】
請求項1に記載の電気光学装置であって、
前記電気光学パネルは、第1の基板と、前記第1の基板の表示側に配置された第2の基板と、前記第1の基板と前記第2の基板との間に配置された電気光学物質とを備え、
前記第1の偏光板は、前記第2の基板の前記電気光学物質側の面に配置されていることを特徴とする電気光学装置。
【請求項5】
請求項4に記載の電気光学装置であって、
前記位相差板は、前記第2の基板と前記第1の偏光板との間に配置されていることを特徴とする電気光学装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の電気光学装置を表示部に備えたことを特徴とする電子機器。
【請求項7】
第1の画素と第2の画素とが交互に配列された複数の画素列と第1の偏光板とを有し、前記第1の偏光板を通して表示光を射出する電気光学パネルと、
前記第1の偏光板の表示側に配置された位相差板と、
前記位相差板の表示側に配置され、前記第1の偏光板の透過軸に平行又は垂直な偏光軸を有する直線偏光に対し位相差を与えない第1の配向状態と、λ/2の位相差を与える第2の配向状態との間で配向状態を変更可能な液晶層を有する液晶装置と、
前記液晶装置の表示側に配置され、前記第1の偏光板の透過軸と平行又は垂直な透過軸を有する第2の偏光板と、を備え、
前記位相差板は、前記第1の偏光板の透過軸と平行又は垂直な遅相軸を有しリタデーションがλ/2である領域Aと、前記第1の偏光板の透過軸との相対角が45度である遅相軸を有しリタデーションがλ/2である領域Bとを有し、
前記領域A及び前記領域Bは、前記電気光学パネルの法線方向から見て、前記画素列に沿って前記第1の画素及び前記第2の画素の配置ピッチに対して半ピッチずれた状態に交互に配列されている、第1の画像及び第2の画像を異なる方向に同時に表示する電気光学装置の駆動方法であって、
前記液晶層を第1の配向状態とするとともに、前記第1の画素により前記第1の画像を表示し、前記第2の画素により前記第2の画像を表示する第1の状態と、
前記液晶層を第2の配向状態とするとともに、前記第1の画素により前記第2の画像を表示し、前記第2の画素により前記第1の画像を表示する第2の状態と、
を一定の周波数で繰り返すことを特徴とする電気光学装置の駆動方法。
【請求項8】
請求項7に記載の電気光学装置の駆動方法であって、
前記周波数は、前記電気光学装置による前記第1の画像及び前記第2の画像の表示における見かけのフレーム周波数の2倍であることを特徴とする電気光学装置の駆動方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2008−175857(P2008−175857A)
【公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−6675(P2007−6675)
【出願日】平成19年1月16日(2007.1.16)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】