電気光学装置、電気光学装置の駆動方法及び電子機器
【課題】3D眼鏡を装着した視聴者に対しフリッカー等を抑えた3D映像を知覚させる。
【解決手段】1フレームを前半1フィールドfaおよび後半フィールドfbに分割するとともに、各フィールドをさらにサブフィールドsf1〜sf20に分割する。そして、サブフィールド毎に画素をオンまたはオフのいずれかに制御して階調表示を行う。奇数ブロックの前半フィールドfaで右目画像を正極性で形成し、後半フィールドfbで左目画像を負極性で形成する。一方、偶数ブロックでは、前半フィールドfaで右目画像を負極性で形成し、後半フィールドfbで左目画像を正極性で形成する。
【解決手段】1フレームを前半1フィールドfaおよび後半フィールドfbに分割するとともに、各フィールドをさらにサブフィールドsf1〜sf20に分割する。そして、サブフィールド毎に画素をオンまたはオフのいずれかに制御して階調表示を行う。奇数ブロックの前半フィールドfaで右目画像を正極性で形成し、後半フィールドfbで左目画像を負極性で形成する。一方、偶数ブロックでは、前半フィールドfaで右目画像を負極性で形成し、後半フィールドfbで左目画像を正極性で形成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、三次元(3 Dimensions、以下「3D」と略する)映像を表示する際のフリッカーや焼き付きを低減する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば液晶素子を画素に有する電気光学装置において、階調表示を行うために次のような技術が提案されている。すなわち、1フレーム(1フィールド)を分割した複数のサブフィールド毎に画素をオンまたはオフのいずれかでデジタル的に駆動するとともに、オン(またはオフ)で駆動する時間の割合を変化させて中間階調を表示する技術が提案されている。
このデジタル駆動において、液晶素子の焼き付きを防止するために、フィールド内において極性を複数回反転させるとともに、あるフィールドを構成するサブフィールドの書込極性を、次のフィールドを構成するサブフィールドの書込極性と反転させる技術(例えば、特許文献1参照)や、1フレーム内において正極性でオンする時間と負極性でオンする時間とを等しくした技術(例えば、特許文献2参照)が提案されている。また、液晶素子の光学応答速度が比較的低いことを利用して、サブフィールド数に比べて表示可能な階調数を増加させた技術も提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−271611号公報
【特許文献2】特開2010−85955号公報
【特許文献3】特開2003−114661号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで近年では、通常の(2D)映像とは別に、3D映像の表示が注目されつつある。3D映像を表示する方式は各種提案されているが、いわゆる3D眼鏡方式が一般的である。詳細には、右目画像と左目画像とを交互に表示させるとともに、左目画像が表示されているときに3D眼鏡の右眼部分を不透過状態とさせる一方、右目画像が表示されているときに3D眼鏡の左眼部分を不透過状態とさせる方式である。この3D眼鏡方式によれば、3D眼鏡を装着した視聴者は左目画像を左眼だけで視認し、右目画像を右眼だけで視認するので、表示された映像があたかも奥行きや立体感を持つかのように知覚することができる。
【0005】
しかしながら、3D映像をデジタル駆動で表示する場合、左目画像および右目画像をそれぞれ表示するためにサブフィールド数が増加するので、多階調の表現(階調性)が困難になる。さらに液晶表示装置のような電気光学装置では、左目画像および右目画像を両極性で駆動するとともに、極性差が発生しないように駆動する必要もある。
本発明は、上述した背景に鑑みてなされたもので、その目的の一つは、3D映像の表示において、良好な階調性を確保するとともに、左目画像および右目画像を両極性で極性差が発生しないように駆動することが可能な技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために本発明に係る電気光学装置の駆動方法にあっては、1フレームを少なくとも第1フィールドおよび第2フィールドに分割するとともに、各フィールドを複数のサブフィールドに分割し、前記サブフィールド毎に画素をオンまたはオフに制御して階調表示を行う電気光学装置の駆動方法であって、3D映像の表示時では、前記第1フィールドで右目画像または左目画像のうち一方の画像を第1極性で形成し、前記第2フィールドで右目画像または左目画像のうち他方の画像を第2極性で形成し、複数フレーム経過したとき、前記第1フィールドで前記一方の画像を前記第2極性で形成し、前記第2フィールドで前記他方の画像を前記第1極性で形成することを特徴とする。本発明によれば、良好な階調性を確保できるとともに、左目画像および右目画像を両極性で極性差が発生しないように駆動することが可能となる。また、画素を駆動する際に高い駆動能力を必要としないで済む。
【0007】
本発明において、2D映像の表示時では、前記第1フィールドで一のフレームの画像を前記第1極性または前記第2極性のうちの一方極性で形成し、前記第2フィールドで当該フレームの画像を前記第1極性または前記第2極性のうちの他方極性で形成する態様が好ましい。この態様によれば、3D映像の表示のみならず、2D映像の表示においても、極性の反転が同様な周期で実行される。
ここで、前記3D映像の表示から前記2D映像の表示に切り替える際には、前記3D映像の表示時における前記第2フィールドで前記他方の画像を前記第2極性で形成した後に、前記2D映像の表示時における前記第1フィールドで前記一のフレームの画像を前記第1極性で形成しても良いし、逆に、前記2D映像の表示から前記3D映像の表示に切り替える際には、前記2D映像の表示時における前記第2フィールドで当該フレームの画像を前記第2極性で形成した後に、前記3D映像の表示時における前記第1フィールドで前記一方の画像を前記第1極性で形成しても良い。
なお、本発明は、電気光学装置の駆動方法のほか、電気光学装置それ自体や、当該電気光学装置を有する電子機器として概念することも可能である。このような電子機器としてはプロジェクターなどが挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施形態に係る電気光学装置の構成を示すブロック図である。
【図2】電気光学装置における画素の等価回路を示す図である。
【図3】電気光学装置において3D映像表示時の動作を示す図である。
【図4】各種極性反転方式の比較を示す図である。
【図5】各種極性反転方式の比較を示す図である。
【図6】電気光学装置において2D映像表示時の動作を示す図である。
【図7】電気光学装置において3D映像から2D映像への切り替え例を示す図である。
【図8】電気光学装置において2D映像から3D映像への切り替え例を示す図である。
【図9】電気光学装置を適用したプロジェクターの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る電気光学装置の全体構成を示すブロック図である。
この図において、電気光学装置1は、3D眼鏡60を掛けた状態で3D映像の知覚が可能であり、液晶パネル100、制御回路20、メモリー30、変換部40および送信部50を含む構成となっている。
【0010】
このうち、制御回路20は、図示省略した上位装置から供給される垂直走査信号Vs、水平走査信号Hsおよびドットクロック信号Clkに同期して各部を制御する。
液晶パネル100は、表示領域Aにおいて画素110がマトリクス状に配列している。詳細には、表示領域Aには、m行の走査線112が図においてX(水平)方向に延在する一方、n列のデータ線114が走査線112と電気的な絶縁を保ちつつ、図においてY(垂直)方向に延在している。そして、走査線112とデータ線114との交差に対応するように画素110がそれぞれ設けられている。したがって、本実施形態において、画素110は、縦m行×横n列のマトリクス状に配列することになる。なお、m、nは、いずれも自然数である。
【0011】
メモリー30は、縦m行×横n列で配列する画素110の各々に対応した記憶領域を有し、各記憶領域は、それぞれ画素110に対応した映像信号Vidを格納する。映像信号Vidは、画素110の明るさ(階調レベル)を8ビットで指定するデジタルデータである。なお、この映像信号Vidは、制御回路20にしたがって画素に対応する記憶領域に格納される一方で、液晶パネル100において走査対象となった画素に対応したものがメモリー30から表示データDaとして読み出される構成となっている。
変換部40は、読み出された表示データDaを、当該表示データDaで指定される階調レベルとデータsfnで規定されるサブフィールドとにしたがって、画素110(液晶素子)をオンまたはオフさせるかを指定する表示ビットDbに変換するものである。
なお、3D映像の表示時には、視差のある左目画像と右目画像との各々に対応する2系統の映像信号Vidが例えば時分割で供給されるので、液晶パネル100で形成する画像が右目用なのか左目用なのかに合わせて、メモリー30への格納・読出、および、変換部40による変換が制御される。
【0012】
説明の便宜上、画素110の構成について図2を参照して説明する。なお、図2には、i行目及び当該i行目に対し下側で隣り合う(i+1)行目の走査線112と、j列目及び当該j列目に対し右側で隣り合う(j+1)列目のデータ線114との交差に対応する2×2の計4画素分の画素110が示されている。ここで、i、(i+1)は、走査線112の行または画素110の行を一般的に示す場合の記号であって、1以上m以下の整数である。同様に、j、(j+1)は、データ線114の列または画素110の列を一般的に示す場合の記号であって、1以上n以下の整数である。
【0013】
図2に示されるように、各画素110は、Nチャネル型のTFT(Thin Film Transistor:薄膜トランジスター)116と液晶素子120と補助容量125とを含む。
ここで、各画素110については互いに同一構成なので、i行j列に位置するもので代表して説明すると、当該i行j列の画素110におけるTFT116のゲート電極はi行目の走査線112に接続される一方、そのソース電極はj列目のデータ線114に接続され、そのドレイン電極は液晶素子120の一端である画素電極118と補助容量125の一端とにそれぞれ接続されている。また、液晶素子120の他端は、コモン電極108である。このコモン電極108は、全ての画素110にわたって共通であって、本実施形態では電圧LCcomに保たれている。また、補助容量125の他端は、容量線115であり、全ての画素110にわたって共通であって、コモン電極108と同じ電圧LCcomに保たれている。このため、補助容量125は、画素110毎に液晶素子120に対して並列に接続された構成になっている。
なお、本実施形態において、液晶素子120は、例えば透過型であって、電圧無印加状態で透過率が最小になるノーマリーブラックモードとする。
【0014】
液晶パネル100は、走査線112や、データ線114、TFT116、画素電極118、補助容量125などが形成された素子基板と、コモン電極108が形成された対向基板とが一定の間隙を保って、電極形成面が互いに対向するように貼り合わせられるとともに、この間隙に液晶105を挟持した構造になっている。このため、液晶素子120は、画素電極118とコモン電極108とが液晶105を誘電体として挟持した一種の容量になる。
本実施形態では、素子基板および対向基板にガラス等の透明基板を用いるとともに、素子基板の対向面には、例えば高温ポリシリコンプロセスによって、TFT116などとともに走査線駆動回路130、データ線駆動回路140が形成される。なお、素子基板にシリコン基板を用いて、いわゆるLCOS(Liquid Crystal on Silicon)型として、制御回路20や、メモリー30、変換部40を形成した構成としても良い。LCOS型の場合、液晶素子120は反射型となる。
【0015】
説明を再び図1に戻すと、走査線駆動回路130は、制御回路20から供給されるスタートパルスDyをクロック信号Clyにしたがって順次シフトし、1、2、3、…、(m−1)、m行目の走査線112に、走査信号G1、G2、G3、…、G(m-1)、G(m)として、供給する。
データ線駆動回路140は、変換部40によって変換された表示ビットDbを、クロック信号Clxで順次サンプリングするとともに、信号Polで指定された極性の電圧に変換して、1、2、3、…、(n−1)、n列目のデータ線114に、データ信号d1、d2、d3、…、d(n-1)、d(n)として供給する。
制御回路20が供給する信号Polは、画素(液晶素子120)への書込極性を指定する信号であり、例えばHレベルであれば正極性書込を、Lレベルであれば負極性書込を、それぞれ指定する。ここで、書込極性については、画素電極118がコモン電極108よりも高位側とする場合を正極性とし、低位側とする場合を負極性とする。なお、例えば第1極性を正極性とした場合、第2極性は負極性となる。
【0016】
一方、送信部50は、制御回路20から供給されるとともに、3D映像の表示時において右目画像が形成されているのか、左目画像が形成されているのかを示す制御信号R(/L)を、3D眼鏡60に例えば赤外線で送信する。3D眼鏡60は、右眼のレンズ部分が液晶シャッター62Rであり、左眼のレンズ部分が液晶シャッター62Lである。液晶シャッター62R、62Lは、受信部61によって受信された制御信号R(/L)等にしたがって、それぞれ透過状態または不透過状態に制御される。詳細には、3D映像の表示時において、後述するフィールドにおいて制御信号R(/L)がHレベルであるときに、液晶シャッター62Rは、当該フィールドの一部期間(例えば当該フィールドの後半50%の期間)にわたって透過状態になり、液晶シャッター62Lは、当該フィールドにわたって不透過状態になる。反対に、あるフィールドにおいて制御信号R(/L)がLレベルであるときに、液晶シャッター62Rは、当該フィールドにわたって不透過状態になり、液晶シャッター62Lは、当該フィールドの一部期間(例えば当該フィールドの後半50%の期間)にわたって透過状態になる。
なお、2D映像の表示時においては、制御信号R(/L)とは無関係に、液晶シャッター62R、62Lが、ともに透過状態になる。
【0017】
ところで一般に、液晶素子120によって階調を表現する場合、走査線112を選択し、HレベルとしてTFT116をオンさせて、データ線114を介して液晶素子120に目的とする階調に応じたアナログ電圧を印加する、という電圧変調方式(アナログ駆動)が採られる。これに対して本実施形態では、画素電極118にオン電圧またはオフ電圧のいずれかを印加して次のようにして階調表示を行う。詳細には、本実施形態においては、複数のサブフィールドにおいて画素電極118にオン電圧またはオフ電圧のいずれかを印加し、液晶素子120をオン状態またはオフ状態とさせる期間の割合を変化させることによって中間階調を表現する、というデジタル駆動方式が採られている。
一方、本実施形態では、3D映像の表示も可能である。そこで次に、3D映像の表示時のサブフィールド構成について説明することにする。
【0018】
図3は、本実施形態において3D映像を表示する場合におけるサブフィールドの構成を示す図である。
この図において、1フレームとは、1カット(コマ)分の映像信号Vidが上位装置から供給される期間、または、1カットの分の画像を液晶パネル100が形成するのに要する期間をいい、垂直走査信号Vsの周波数が60Hzであれば、その1周期分の16.67ミリ秒になる。
【0019】
この図に示されるように、本実施形態では、ブロックという単位が4フレーム毎に構成されている。便宜的に、互いに連続する2つブロックを区別するために、時間的に先のものを奇数ブロックと呼び、時間的に後のものを偶数ブロックと呼ぶことにする。
本実施形態において、1フレームの期間は、2つのフィールドに分割されるとともに、3D映像の表示時には、時間的に前のフィールドfaが右目画像用に割り当てられ、時間的に後のフィールドfbが左目画像用に割り当てられている。このため、制御信号R(/L)は、1フレームのうち、前半のフィールドfaにおいてHレベルとなり、後半のフィールドfbにおいてLレベルとなる。なお、例えば第1フィールドをフィールドfaとした場合、第2フィールドはフィールドfbとなる。
【0020】
また、フィールドfa、fbの各々は、さらに期間長が互いに等しい20個のサブフィールドにそれぞれ分割されている。便宜的に、各サブフィールドについては時間的な順にsf1、sf2、sf3、…、sf20と呼ぶことにする。
本実施形態において、表示データDaで指定される階調レベルに対し、サブフィールドsf1〜sf20のオンオフは、おおよそ次のように割り当てられる。
すなわち、原則として、指定される階調レベルが明るくなるにつれて、例えばサブフィールドsf1から、sf2、sf3、…、へと順番にオンさせて、オンするサブフィールドが、時間的に後方に向かうようにサブフィールドのsf1〜sf20のオンオフが割り当てられる。
ただし、このようにオンオフを規定するだけでは、表現可能な階調数は、サブフィールドのsf1〜sf20のすべてオフにした状態から、段階的にオンにして、すべてのオンにした状態までの「21」に限られてしまう。このため、本実施形態では、次のような特性も利用して、表現可能な階調数を増加させている。
【0021】
液晶素子120は、電圧に対する光学応答が比較的遅いので、画素電極へのオンレベル(オフレベル)の印加に対して透過率(または反射率)が緩慢に変化する。このため、ノーマリーブラックモードにおいて例えばサブフィールドsf1とsf11とで離散的にオン駆動したときと、サブフィールドsf1とsf2とにわたって連続的にオン駆動したときとでは、フィールドにおいてオン駆動の占める期間(サブフィールド数)が同じであっても、実際の透過率は、連続的にオン駆動したときの方が離散的にオン駆動したときよりも大きくなる(明るくなる)。
また、離散的にオン駆動する場合でも、互いに接近させてオン駆動する場合と離間させてオン駆動する場合とを比較したときでも、実際の透過率は、接近させてオン駆動するときの方が離間させてオン駆動するときよりも大きくなる(明るくなる)。
このように、サブフィールドを離散的にオンオフすることによって、フィールドにおいてオンオフ)駆動の占める期間(サブフィールド数)が同じであっても、実際の透過率等を異ならせることができるので、本実施形態では、サブフィールドの個数以上の256階調を表現することが可能になっている。
なお、このようなサブフィールドを用いて中間階調を表現する技術については、上述した特開2003−114661号公報(特許文献3参照)に開示されている。
【0022】
変換部40には、具体的な変換内容については特に示さないが、表示データDaによって指定される階調レベル毎に、サブフィールドsf1〜sf20においてオンまたはオフにするかを規定するテーブルが予め記憶されている。そして、変換部40は、メモリー30から読み出された表示データDaを、階調レベルとデータsfnで示されるサブフィールドとに応じて、表示ビットDbに画素毎に変換する。
【0023】
一方、画素への書込極性を指定する信号Polは、奇数ブロックにおけるフィールド(fa)ではHレベルになって正極性を指定し、フィールド(fb)ではLレベルとなって負極性を指定する。信号Polは、偶数ブロックにおけるフィールド(fa)ではLレベルになって負極性を指定し、フィールド(fb)ではHレベルとなって正極性を指定する。
【0024】
次に、実施形態に係る電気光学装置1の動作について説明する。
まず、3D映像の表示動作について説明する。図3に示されるように垂直走査信号Vsが供給されると、制御回路20は、スタートパルスDyを、当該垂直走査信号Vsで規定される1フレームにおいて、上述したサブフィールドsf1〜sf20の開始期間毎に出力する。また、制御回路20は、偶数ブロックにあっては信号Polを、1フレームのうち、右目画像用のフィールドfaではHレベルとして正極性を指定し、左目画像用のフィールドではLレベルとして負極性を指定する。また、制御回路20は、1フレームの開始時からスタートパルスDyを出力した回数をカウントして、そのカウント回数を、現時点における液晶パネル100のサブフィールドを示すデータsfnとして変換部40に供給する。
【0025】
制御回路20は、垂直走査信号Vs、水平走査信号Hsおよびドットクロック信号Clkに同期して供給される右目画像の映像信号Vidをメモリー30に一旦格納する。格納後、制御回路20は、各サブフィードにおいて、ある行の走査線の選択前に当該行であって1〜1920列の画素に対応した表示データDaをメモリー30から読み出す。変換部40は、読み出された表示データDaを、階調レベルとデータsfnで示されるサブフィールドとに応じて、表示ビットDbに画素毎に変換する。
なお、映像信号Vidの供給によって規定されるフレーム(供給系)と、液晶パネル100の書込走査によって規定されるフレーム(パネル系)とは厳密にいえば同一ではなく、映像信号Vidの供給によって規定されるフレームに対して液晶パネル100の書込走査によって規定されるフレームが遅延した関係になる。ただし、期間長そのものは、いずれも16.67ミリ秒で共通であるので(垂直走査周波数が60Hzの場合)、ここでは厳密に区別してはいない。
【0026】
走査線駆動回路130は、スタートパルスDyを、クロック信号Clyにしたがって転送することによって、各サブフィールドにおいて走査信号G(1)〜G(m)を順番にHレベルにする。ここで、ある行の走査線が走査線駆動回路130によって選択される前に、メモリー30から当該行の表示データDaが読み出されるとともに変換部40によって表示ビットDbに変換されている。このため、データ線駆動回路140には、当該走査線の選択前において、当該走査線に対応する1〜n列の画素に対応し、かつ、当該選択において書き込むべきサブフィールドに対応した表示ビットDbが供給されていることになる。
データ線駆動回路140は、当該1行分の表示ビットDbを、それぞれオン電圧またはオフ電圧に、信号Polで指定された極性のデータ信号に変換するとともに、当該行の走査線が選択されたときに、データ信号を1〜n列のデータ線114に供給する。
当該行の走査線が選択されたとき、データ線114に供給されたデータ信号は、当該行に対応するTFT116が導通状態となることによって液晶素子120の画素電極118に印加され、これにより、当該液晶素子120は、指定された極性でオンまたはオフ駆動されることになる。
なお、当該走査線の選択が終了すると、TFT116が非導通状態となるが、液晶素子120は、TFT116の導通状態であったときに画素電極118に印加された電圧を容量性によって保持するので、次回走査線が再び選択されるまで、オンまたはオフ駆動が維持される。
【0027】
このような動作が1つのサブフィールドにおいて1〜m行目について順番に実行される。さらに、この動作が前半のフィールドfaにおいて、サブフィールドsf1〜sf20の順に実行される。
これにより、各画素は、サブフィールドsf1〜sf20のそれぞれにおいて、表示ビットDbに応じてオンまたはオフ駆動されるので、フィールドfaを単位期間としてみたときの平均的な透過率は、階調レベルに応じた値となる。
【0028】
3D映像の表示時において、前半のフィールドfaでは制御信号R(/L)がHレベルとなるので、3D眼鏡60の液晶シャッター62Rは当該フィールドfaの一部期間において透過状態となるが、液晶シャッター62Lは不透過状態となる。このため、液晶パネル100に表示された画像は、視聴者の右眼だけに視認されることになる。
【0029】
次の後半のフィールドfbにおいても、同様にして左目画像が液晶パネル100に表示される。ただし、奇数ブロックの後半のフィールドfbにおいては、信号PolがLレベルになるので、左目画像は負極性で形成される。
また、フィールドfbでは制御信号R(/L)がLレベルとなるので、液晶シャッター62Rは不透過状態となり、液晶シャッター62Lは当該フィールドfbの一部期間において透過状態となる。このため、液晶パネル100に表示された画像は、視聴者の左眼だけに視認されることになる。
このような動作は、奇数ブロックの各フレームにおいて実行される。
偶数ブロックでは、前半のフィールドfaと後半のフィールドfbとにおいて、書込極性が入れ換えられる。このため、偶数ブロックでは、フィールドfaで表示される左目画像は負極性で形成され、フィールドfbで表示される右目画像は正極性で形成される。
【0030】
なお、図3において※で示しされるように、奇数ブロックで、時間的に前のフィールドfaを右目画像用、時間的に後のフィールドfbを左目画像用とし、偶数ブロックで、時間的に前のフィールドfaを左目画像用、時間的に後のフィールドfbを右目画像用とした場合、奇数ブロックでも偶数ブロックでも、フィールドfaを正極性で形成し、フィールドfbを負極性で形成することで、奇数ブロックと偶数ブロックとでは、右目用画像と左目用画像の書き込み極性が入れ替えられる。
【0031】
本実施形態では、1フレームの半分期間でそれぞれ右目画像と左目画像とを形成しており、そのサブフィールド数はいずれも「20」であるので、7〜8ビットの階調表現(128〜256階調)が可能となっている。
さらに、極性がフィールド毎に反転するので、フリッカーが視認されにくい。すなわち、本実施形態では、垂直走査信号Vsの周波数が60Hzであれば、フリッカー成分も60Hzとなるので、視認されにくい。また、本実施形態では、奇数ブロックと偶数ブロックとで、フィールドにおける書込極性が入れ換えられるが、その入れ換え周期は、本実施形態では4フレーム毎であり、周波数成分でみても低いので、やはりフリッカーとして視認されにくい。
また、本実施形態によれば、奇数ブロックまたは偶数ブロックのいずれかの1フレームでみたとき、右目画像は一方の極性で形成され、右目画像は他方の極性で形成されるが、右目画像と左目画像とは視差を伴うので、互いに同一ではない。このため、右目画像が一方の極性で形成され、右目画像が他方の極性で形成されても、当該フレームにおいて液晶素子120に印加される直流成分がゼロにはならない。ただし、奇数ブロックおよび偶数ブロックを通した8フレームを単位期間としてみたときに、右目画像および左目画像は、それぞれ正極性で4フィールド形成され、負極性で4フィールド形成される。このため、当該8フレームを通してみたときには、液晶素子120の交流駆動が完結するので、いわゆる焼き付き現象が抑えられる。
【0032】
ここで、本実施形態における優位性を説明するために、各種の比較例について説明する。図4は、本実施形態(f)に対する比較例(a)、(b)、(c)、(d)、(e)について、3D映像の表示時における右目画像、左目画像とを、いかなるフィールドで、いかなる周期で極性を反転させるかについて簡易的に示す図である。また、図5は、これらの比較例と本実施形態との評価を示す図である。
図4において、本実施形態を示す(f)は、ブロックを構成するフレーム数を「2」として簡易的に表現している。また、フィールドを構成するサブフィールド数について省略して「8」としているが、実際には上述したように「20」程度が適切である。
なお、本実施形態を示す(f)については、フィールド毎に極性を反転させるとともに、複数フレームのブロック毎に極性を入れ換えているので、図5において、2倍速極性反転・複数フレーム毎極性入換と表記している。
【0033】
図4において、比較例(a)は、1フレームのフィールドfaで右目画像を表示し、フィールドfbで左目画像を表示する点と、各フィールドを構成するサブフィールド数とにおいて、本実施形態と共通である。ただし、この比較例(a)では、フィールド毎ではなく、サブフィールド毎に極性が反転される点において、本実施形態と相違している。
その意味で、比較例(a)は、図5において、サブフィールド毎極性反転と表記している。
図5に示されるように、比較例(a)のサブフィールド毎極性反転では、階調表現数(階調性)、フリッカーが視認されにくい点、および、焼き付きの点においては、本実施形態とほぼ同等であるが、極性がサブフィールド毎に反転するので、高い駆動能力が要求される。例えば、すべてのサブフィールドをオンさせる場合、正極性のオン電圧および負極性のオン電圧を、サブフィールド毎に交互に供給する必要があり、容量である液晶素子120を非常に高い周波数で駆動する必要がある。
これに対して、本実施形態では、極性はフィールド毎に反転するので、当該フィールドにおいては一定である。このため、たとえ、フィールドを構成するサブフィールドのすべてをオンさせる場合であっても、当該フィールドにわたって極性が同一であるので、比較例(a)と比べて高い駆動能力が要求されないのである。
【0034】
図4において、比較例(b)は、1フレームを4つのフィールドに分割するとともに、例えば第1フィールドにおいて正極性で右目画像を、第2フィールドにおいて負極性で右目画像を、第3フィールドにおいて正極性で左目画像を、第4フィールドにおいて負極性で左目画像を、それぞれ形成するという方式である。
すなわち、比較例(b)では、極性が1つのフレームを4つに分割したフィールド毎に反転されるので、その意味で、図5において、4倍速極性反転と表記している。
図5に示されるように、比較例(b)の4倍速極性反転では、1フレームにおいて右目画像および左目画像の交流駆動が完結するので、焼き付き現象が抑えられる。また、極性が1フレームを4つに分割したフィールド毎という短い時間毎で反転するので、フリッカーはほとんど視認されない。
ただし、比較例(b)では、1フレームを4つに分割した各フィールドにおいて、さらにサブフィールドに分割しなければならない。このため、比較例(b)では、フィールドを構成するサブフィールド数については、本実施形態の半分の「10」程度でしか確保できない。このため、比較例(b)では、4〜5ビットの階調(16〜32階調)しか表現できず、この点において、本実施形態よりも劣る、といえる。
【0035】
図4において、比較例(c)は、1フレームの前半フィールドおよび後半フィールドにおいてそれぞれ右目画像と左目画像とを形成する点と、各フィールドを構成するサブフィールド数とにおいて、本実施形態と共通である。ただし、この比較例(c)では、前半フィールドと後半フィールドとにおいて極性が固定的である。
その意味で、比較例(c)は、図5において、2倍速極性反転と表記している。
図5に示されるように、比較例(c)の2倍速極性反転では、階調表現数(階調性)、および、フリッカーが視認されにくい点において、本実施形態とほぼ同等である。
ここで、比較例(c)では、ある1フレームでみたとき、右目画像が一方の極性で形成され、右目画像が他方の極性で形成されるので、液晶素子120に印加される直流成分がゼロになることはない。さらに、比較例(c)では、本実施形態のように奇数ブロックおよび偶数ブロックにおいて極性が入れ換わることもないので、複数フレームで通してみても、交流駆動が完結することはない。このため、比較例(c)は、焼き付きという面において本実施形態と比べて劣る。
【0036】
図4において、比較例(d)は、1フレームの前半フィールドおよび後半フィールドにおいてそれぞれ右目画像と左目画像とを形成する点と、各フィールドを構成するサブフィールド数とにおいて、本実施形態と共通である。ただし、この比較例(d)では、極性がフレーム毎に反転する。
その意味で、比較例(d)は、図5において、1倍速極性反転と表記している。
図5に示されるように、比較例(d)の1倍速極性反転では、階調表現数(階調性)、および、焼き付きの点においては、本実施形態とほぼ同等である。しかしながら、比較例(d)では、極性がフレーム毎に反転するので、垂直走査信号Vsの周波数が60Hzであれば、フリッカー成分は、その半分の30Hzとなるので、非常に視認されやすくなる。
【0037】
図4において、比較例(e)は、1フレームの前半フィールドおよび後半フィールドにおいてそれぞれ右目画像と左目画像とを形成する点と、各フィールドを構成するサブフィールド数とにおいて、本実施形態と共通である。ただし、この比較例(e)では、極性が2フレーム毎に反転する。なお、3フレーム以上の周期で反転させても良い。
その意味で、比較例(e)は、図5において、複数フレーム毎極性反転と表記している。
図5に示されるように、比較例(e)の複数フレーム毎極性反転では、階調表現数(階調性)について、本実施形態とほぼ同等である。しかしながら、比較例(e)では、極性が2以上のフレーム毎に反転するので、フリッカーは、比較例(d)ほどではないにしても、本実施形態と比較すれば視認されやすい。また、比較例(e)では、4フレームを単位としてみたときには交流駆動が完結しているが、1フレームを単位としてみたときには一方の極性に固定となっている。
本実施形態(f)では、1フレームでみたとき、右目画像は一方の極性で形成され、右目画像は他方の極性で形成されるので、直流成分をゼロにすることはできないが、それでも、一方極性で固定される比較例(e)と比べると、焼き付きを抑える点では明らかに有利である。
【0038】
このように、本実施形態(f)は、他の比較例(a)〜(e)と比べると、階調性、フリッカー、焼き付き、および、高い駆動能力が要求されない点において、優位性を有することが判る。
【0039】
また、本実施形態によれば、3D映像から2D映像へ、または、その反対に2D映像から3D映像へも、スムーズに切り替えることが可能である。そこで以下、この点について説明する。
【0040】
図6は、本実施形態において2D映像を表示する場合のサブフィールドの構成を示す図である。
この図に示されるように2D映像の表示時においては、右目画像、左目画像という概念が存在しないが、1フレームが前半のフィールドfaと後半のフィールドfbとに分割される点においては3D映像の表示時と共通である。
ただし、本実施形態において2D映像を表示する場合、フィールドfaにおいて正極性または負極性のうち一方の極性で画像が形成され、後半フィールドfbにおいて正極性または負極性のうち他方の極性でフィールドfaと同じ画像が形成される。これには、次のように2通りがある。詳細には、図に示されるように、信号Polが、前半のフィールドfaでHレベルとなって正極性で画像が形成されるとともに、後半のフィールドfbでLレベルとなって負極性で画像が形成されるケース(a)と、反対に、前半のフィールドfaでLレベルとなって負極性で画像が形成されるとともに、後半のフィールドfbでHレベルとなって正極性で画像が形成されるケース(b)との2通りがある。
【0041】
なお、各フィールドにおけるサブフィールドの構成は、図3に示した3D映像を表示する時の構成と共通である。
また、2D映像の表示時においては、3D眼鏡60では、液晶シャッター62R、62Lが、ともに透過状態になる。
【0042】
図7に示されるように、本実施形態では3D映像から2D映像へは、3D映像の表示時における奇数ブロックまたは偶数ブロックの終端で切り替わる。
上述したように信号Polは、3D映像の表示時において、奇数ブロックでは前半フィールドfaでHレベルとなり、後半フィールドfbでLレベルとなる一方、偶数ブロックでは前半フィールドfaにおいてLレベルとなり、後半フィールドでHレベルとなる。一方、信号Polは、2D映像の表示時においてケース(a)とケース(b)との2通りがある。
このため、本実施形態では信号Polは、3D映像から2D映像へは、図7に示されるように4通りの組み合わせが考えられる。すなわち、奇数ブロックの終端でケース(a)に切り替える第1の場合と、奇数ブロックの終端でケース(b)に切り替える第2の場合と、偶数ブロックの終端でケース(b)に切り替える第3の場合と、偶数ブロックの終端でケース(a)に切り替える第4の場合と、の計4通りである。
この4通りのうち、第1の場合と第3の場合では、3D映像から2D映像への切り替えに際し、前半フィールドfaの極性と後半フィールドfbの極性とが変更されないので、切り替わりに伴う変化を小さく抑えることが可能となる。
【0043】
図8に示されるように、本実施形態では2D映像から3D映像へは、2D映像の表示時におけるフレーム(後半フィールドfb)の終端で切り替わる。
信号Polは、2D映像の表示時においてケース(a)とケース(b)との2通りがあり、3D映像の表示時において奇数ブロックと偶数ブロックとの2通りがある。このため、2D映像から3D映像への切り替えに際し、信号Polは、図8に示されるように4通りの組み合わせが考えられる。すなわち、ケース(a)から奇数ブロックに切り替える第5の場合と、ケース(a)から偶数ブロックに切り替える第6の場合と、ケース(b)から偶数ブロックに切り替える第7の場合と、ケース(b)から奇数ブロックに切り替える第8の場合と、の4通りである。
この4通りのうち、第5の場合と第7の場合では、2D映像から3D映像への切り替えに際し、前半フィールドfaの極性と後半フィールドfbの極性とが変更されないので、切り替わりに伴う変化を小さく抑えることが可能となる。
【0044】
このように本実施形態によれば、3D映像の表示においても、2D映像の表示においても極性がフィールド毎に反転するので、表示が切り替わることによる違和感を小さく抑えることが可能になる。
【0045】
本発明は、上述した実施形態に限られず、次のような応用・変形が可能である。
実施形態では、3D映像の表示時において前半フィールドfaにおいて右目画像を形成し、後半フィールドfbにおいて左目画像を形成したが、反対に、前半フィールドfaにおいて左目画像を形成し、後半フィールドfbにおいて右目画像を形成しても良い。
また、3D映像の表示時において奇数ブロックおよび偶数ブロックを構成するフレーム数は「4」に限られず、「2」以上の複数であれば良い。
【0046】
<電子機器>
次に、上述した実施形態に係る電気光学装置1を適用した電子機器について、プロジェクターを例にとって説明する。
図9は、プロジェクターの構成を示す平面図である。
この図に示されるように、プロジェクター2100の内部には、ハロゲンランプ等の白色光源からなるランプユニット2102が設けられている。このランプユニット2102から射出された投射光は、内部に配置された3枚のミラー2106および2枚のダイクロイックミラー2108によってR(赤)色、G(緑)色、B(青)色の3原色に分離されて、各原色に対応するライトバルブ100R、100Gおよび100Bにそれぞれ導かれる。なお、B色の光は、他のR色やG色と比較すると、光路が長いので、その損失を防ぐために、入射レンズ2122、リレーレンズ2123および出射レンズ2124からなるリレーレンズ系2121を介して導かれる。
【0047】
このプロジェクター2100では、実施形態に係る表示装置が、R色、G色、B色のそれぞれに対応して3組設けられる。そして、R色、G色、B色のそれぞれに対応する映像信号がそれぞれ上位装置から供給される。ライトバルブ100R、100Gおよび100Bは、上述した液晶パネル100と同様であり、R色、G色、B色のそれぞれに対応する映像信号に応じて駆動される。
ライトバルブ100R、100G、100Bによってそれぞれ変調された光は、ダイクロイックプリズム2112に3方向から入射する。そして、このダイクロイックプリズム2112において、R色およびB色の光は90度に屈折する一方、G色の光は直進する。したがって、各色の画像が合成された後、スクリーン2120には、投射レンズ2114によってカラー画像が投射されることとなる。
【0048】
ライトバルブ100R、100Gおよび100Bには、ダイクロイックミラー2108によって、R色、G色、B色のそれぞれに対応する光が入射するので、カラーフィルターを設ける必要はない。また、ライトバルブ100R、100Bの透過像は、ダイクロイックプリズム2112により反射した後に投射されるのに対し、ライトバルブ100Gの透過像はそのまま投射されるので、ライトバルブ100R、100Bによる水平走査方向は、ライトバルブ100Gによる水平走査方向と逆向きにして、左右を反転させた像を表示する構成となっている。
なお、スクリーン2120に投写された画像を上述した3D眼鏡60を掛けて視聴すれば、3D映像の知覚が可能になる。
ライトバルブ100R、100Gおよび100Bで、奇数ブロックと偶数ブロックの切り替えは同時に行う。すなわち、ライトバルブ100Rにおいて、左目画像が正極性で形成され、右目画像が負極性で形成されているときは、ライトバルブ100Gおよび100Bでも、左目画像が正極性で形成され、右目画像が負極性で形成される。ライトバルブ100Rにおいて、左目画像が負極性で形成され、右目画像が正極性で形成されているときは、ライトバルブ100Gおよび100Bでも、左目画像が負極性で形成され、右目画像が正極性で形成される。
【0049】
なお、電子機器としては、図9を参照して説明したプロジェクターの他、電子ビューファインダーや、リヤ・プロジェクション型のテレビジョン、ヘッドマウントディスプレイなどが挙げられる。
【符号の説明】
【0050】
1…電気光学装置、20…制御回路、30…メモリー、40…変換部、50…送信部、60…3D眼鏡、100…液晶パネル、110…画素、112…走査線、114…データ線、120…液晶素子、130…走査線駆動回路、140…テータ線駆動回路、2100…プロジェクター。
【技術分野】
【0001】
本発明は、三次元(3 Dimensions、以下「3D」と略する)映像を表示する際のフリッカーや焼き付きを低減する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば液晶素子を画素に有する電気光学装置において、階調表示を行うために次のような技術が提案されている。すなわち、1フレーム(1フィールド)を分割した複数のサブフィールド毎に画素をオンまたはオフのいずれかでデジタル的に駆動するとともに、オン(またはオフ)で駆動する時間の割合を変化させて中間階調を表示する技術が提案されている。
このデジタル駆動において、液晶素子の焼き付きを防止するために、フィールド内において極性を複数回反転させるとともに、あるフィールドを構成するサブフィールドの書込極性を、次のフィールドを構成するサブフィールドの書込極性と反転させる技術(例えば、特許文献1参照)や、1フレーム内において正極性でオンする時間と負極性でオンする時間とを等しくした技術(例えば、特許文献2参照)が提案されている。また、液晶素子の光学応答速度が比較的低いことを利用して、サブフィールド数に比べて表示可能な階調数を増加させた技術も提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−271611号公報
【特許文献2】特開2010−85955号公報
【特許文献3】特開2003−114661号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで近年では、通常の(2D)映像とは別に、3D映像の表示が注目されつつある。3D映像を表示する方式は各種提案されているが、いわゆる3D眼鏡方式が一般的である。詳細には、右目画像と左目画像とを交互に表示させるとともに、左目画像が表示されているときに3D眼鏡の右眼部分を不透過状態とさせる一方、右目画像が表示されているときに3D眼鏡の左眼部分を不透過状態とさせる方式である。この3D眼鏡方式によれば、3D眼鏡を装着した視聴者は左目画像を左眼だけで視認し、右目画像を右眼だけで視認するので、表示された映像があたかも奥行きや立体感を持つかのように知覚することができる。
【0005】
しかしながら、3D映像をデジタル駆動で表示する場合、左目画像および右目画像をそれぞれ表示するためにサブフィールド数が増加するので、多階調の表現(階調性)が困難になる。さらに液晶表示装置のような電気光学装置では、左目画像および右目画像を両極性で駆動するとともに、極性差が発生しないように駆動する必要もある。
本発明は、上述した背景に鑑みてなされたもので、その目的の一つは、3D映像の表示において、良好な階調性を確保するとともに、左目画像および右目画像を両極性で極性差が発生しないように駆動することが可能な技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために本発明に係る電気光学装置の駆動方法にあっては、1フレームを少なくとも第1フィールドおよび第2フィールドに分割するとともに、各フィールドを複数のサブフィールドに分割し、前記サブフィールド毎に画素をオンまたはオフに制御して階調表示を行う電気光学装置の駆動方法であって、3D映像の表示時では、前記第1フィールドで右目画像または左目画像のうち一方の画像を第1極性で形成し、前記第2フィールドで右目画像または左目画像のうち他方の画像を第2極性で形成し、複数フレーム経過したとき、前記第1フィールドで前記一方の画像を前記第2極性で形成し、前記第2フィールドで前記他方の画像を前記第1極性で形成することを特徴とする。本発明によれば、良好な階調性を確保できるとともに、左目画像および右目画像を両極性で極性差が発生しないように駆動することが可能となる。また、画素を駆動する際に高い駆動能力を必要としないで済む。
【0007】
本発明において、2D映像の表示時では、前記第1フィールドで一のフレームの画像を前記第1極性または前記第2極性のうちの一方極性で形成し、前記第2フィールドで当該フレームの画像を前記第1極性または前記第2極性のうちの他方極性で形成する態様が好ましい。この態様によれば、3D映像の表示のみならず、2D映像の表示においても、極性の反転が同様な周期で実行される。
ここで、前記3D映像の表示から前記2D映像の表示に切り替える際には、前記3D映像の表示時における前記第2フィールドで前記他方の画像を前記第2極性で形成した後に、前記2D映像の表示時における前記第1フィールドで前記一のフレームの画像を前記第1極性で形成しても良いし、逆に、前記2D映像の表示から前記3D映像の表示に切り替える際には、前記2D映像の表示時における前記第2フィールドで当該フレームの画像を前記第2極性で形成した後に、前記3D映像の表示時における前記第1フィールドで前記一方の画像を前記第1極性で形成しても良い。
なお、本発明は、電気光学装置の駆動方法のほか、電気光学装置それ自体や、当該電気光学装置を有する電子機器として概念することも可能である。このような電子機器としてはプロジェクターなどが挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施形態に係る電気光学装置の構成を示すブロック図である。
【図2】電気光学装置における画素の等価回路を示す図である。
【図3】電気光学装置において3D映像表示時の動作を示す図である。
【図4】各種極性反転方式の比較を示す図である。
【図5】各種極性反転方式の比較を示す図である。
【図6】電気光学装置において2D映像表示時の動作を示す図である。
【図7】電気光学装置において3D映像から2D映像への切り替え例を示す図である。
【図8】電気光学装置において2D映像から3D映像への切り替え例を示す図である。
【図9】電気光学装置を適用したプロジェクターの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る電気光学装置の全体構成を示すブロック図である。
この図において、電気光学装置1は、3D眼鏡60を掛けた状態で3D映像の知覚が可能であり、液晶パネル100、制御回路20、メモリー30、変換部40および送信部50を含む構成となっている。
【0010】
このうち、制御回路20は、図示省略した上位装置から供給される垂直走査信号Vs、水平走査信号Hsおよびドットクロック信号Clkに同期して各部を制御する。
液晶パネル100は、表示領域Aにおいて画素110がマトリクス状に配列している。詳細には、表示領域Aには、m行の走査線112が図においてX(水平)方向に延在する一方、n列のデータ線114が走査線112と電気的な絶縁を保ちつつ、図においてY(垂直)方向に延在している。そして、走査線112とデータ線114との交差に対応するように画素110がそれぞれ設けられている。したがって、本実施形態において、画素110は、縦m行×横n列のマトリクス状に配列することになる。なお、m、nは、いずれも自然数である。
【0011】
メモリー30は、縦m行×横n列で配列する画素110の各々に対応した記憶領域を有し、各記憶領域は、それぞれ画素110に対応した映像信号Vidを格納する。映像信号Vidは、画素110の明るさ(階調レベル)を8ビットで指定するデジタルデータである。なお、この映像信号Vidは、制御回路20にしたがって画素に対応する記憶領域に格納される一方で、液晶パネル100において走査対象となった画素に対応したものがメモリー30から表示データDaとして読み出される構成となっている。
変換部40は、読み出された表示データDaを、当該表示データDaで指定される階調レベルとデータsfnで規定されるサブフィールドとにしたがって、画素110(液晶素子)をオンまたはオフさせるかを指定する表示ビットDbに変換するものである。
なお、3D映像の表示時には、視差のある左目画像と右目画像との各々に対応する2系統の映像信号Vidが例えば時分割で供給されるので、液晶パネル100で形成する画像が右目用なのか左目用なのかに合わせて、メモリー30への格納・読出、および、変換部40による変換が制御される。
【0012】
説明の便宜上、画素110の構成について図2を参照して説明する。なお、図2には、i行目及び当該i行目に対し下側で隣り合う(i+1)行目の走査線112と、j列目及び当該j列目に対し右側で隣り合う(j+1)列目のデータ線114との交差に対応する2×2の計4画素分の画素110が示されている。ここで、i、(i+1)は、走査線112の行または画素110の行を一般的に示す場合の記号であって、1以上m以下の整数である。同様に、j、(j+1)は、データ線114の列または画素110の列を一般的に示す場合の記号であって、1以上n以下の整数である。
【0013】
図2に示されるように、各画素110は、Nチャネル型のTFT(Thin Film Transistor:薄膜トランジスター)116と液晶素子120と補助容量125とを含む。
ここで、各画素110については互いに同一構成なので、i行j列に位置するもので代表して説明すると、当該i行j列の画素110におけるTFT116のゲート電極はi行目の走査線112に接続される一方、そのソース電極はj列目のデータ線114に接続され、そのドレイン電極は液晶素子120の一端である画素電極118と補助容量125の一端とにそれぞれ接続されている。また、液晶素子120の他端は、コモン電極108である。このコモン電極108は、全ての画素110にわたって共通であって、本実施形態では電圧LCcomに保たれている。また、補助容量125の他端は、容量線115であり、全ての画素110にわたって共通であって、コモン電極108と同じ電圧LCcomに保たれている。このため、補助容量125は、画素110毎に液晶素子120に対して並列に接続された構成になっている。
なお、本実施形態において、液晶素子120は、例えば透過型であって、電圧無印加状態で透過率が最小になるノーマリーブラックモードとする。
【0014】
液晶パネル100は、走査線112や、データ線114、TFT116、画素電極118、補助容量125などが形成された素子基板と、コモン電極108が形成された対向基板とが一定の間隙を保って、電極形成面が互いに対向するように貼り合わせられるとともに、この間隙に液晶105を挟持した構造になっている。このため、液晶素子120は、画素電極118とコモン電極108とが液晶105を誘電体として挟持した一種の容量になる。
本実施形態では、素子基板および対向基板にガラス等の透明基板を用いるとともに、素子基板の対向面には、例えば高温ポリシリコンプロセスによって、TFT116などとともに走査線駆動回路130、データ線駆動回路140が形成される。なお、素子基板にシリコン基板を用いて、いわゆるLCOS(Liquid Crystal on Silicon)型として、制御回路20や、メモリー30、変換部40を形成した構成としても良い。LCOS型の場合、液晶素子120は反射型となる。
【0015】
説明を再び図1に戻すと、走査線駆動回路130は、制御回路20から供給されるスタートパルスDyをクロック信号Clyにしたがって順次シフトし、1、2、3、…、(m−1)、m行目の走査線112に、走査信号G1、G2、G3、…、G(m-1)、G(m)として、供給する。
データ線駆動回路140は、変換部40によって変換された表示ビットDbを、クロック信号Clxで順次サンプリングするとともに、信号Polで指定された極性の電圧に変換して、1、2、3、…、(n−1)、n列目のデータ線114に、データ信号d1、d2、d3、…、d(n-1)、d(n)として供給する。
制御回路20が供給する信号Polは、画素(液晶素子120)への書込極性を指定する信号であり、例えばHレベルであれば正極性書込を、Lレベルであれば負極性書込を、それぞれ指定する。ここで、書込極性については、画素電極118がコモン電極108よりも高位側とする場合を正極性とし、低位側とする場合を負極性とする。なお、例えば第1極性を正極性とした場合、第2極性は負極性となる。
【0016】
一方、送信部50は、制御回路20から供給されるとともに、3D映像の表示時において右目画像が形成されているのか、左目画像が形成されているのかを示す制御信号R(/L)を、3D眼鏡60に例えば赤外線で送信する。3D眼鏡60は、右眼のレンズ部分が液晶シャッター62Rであり、左眼のレンズ部分が液晶シャッター62Lである。液晶シャッター62R、62Lは、受信部61によって受信された制御信号R(/L)等にしたがって、それぞれ透過状態または不透過状態に制御される。詳細には、3D映像の表示時において、後述するフィールドにおいて制御信号R(/L)がHレベルであるときに、液晶シャッター62Rは、当該フィールドの一部期間(例えば当該フィールドの後半50%の期間)にわたって透過状態になり、液晶シャッター62Lは、当該フィールドにわたって不透過状態になる。反対に、あるフィールドにおいて制御信号R(/L)がLレベルであるときに、液晶シャッター62Rは、当該フィールドにわたって不透過状態になり、液晶シャッター62Lは、当該フィールドの一部期間(例えば当該フィールドの後半50%の期間)にわたって透過状態になる。
なお、2D映像の表示時においては、制御信号R(/L)とは無関係に、液晶シャッター62R、62Lが、ともに透過状態になる。
【0017】
ところで一般に、液晶素子120によって階調を表現する場合、走査線112を選択し、HレベルとしてTFT116をオンさせて、データ線114を介して液晶素子120に目的とする階調に応じたアナログ電圧を印加する、という電圧変調方式(アナログ駆動)が採られる。これに対して本実施形態では、画素電極118にオン電圧またはオフ電圧のいずれかを印加して次のようにして階調表示を行う。詳細には、本実施形態においては、複数のサブフィールドにおいて画素電極118にオン電圧またはオフ電圧のいずれかを印加し、液晶素子120をオン状態またはオフ状態とさせる期間の割合を変化させることによって中間階調を表現する、というデジタル駆動方式が採られている。
一方、本実施形態では、3D映像の表示も可能である。そこで次に、3D映像の表示時のサブフィールド構成について説明することにする。
【0018】
図3は、本実施形態において3D映像を表示する場合におけるサブフィールドの構成を示す図である。
この図において、1フレームとは、1カット(コマ)分の映像信号Vidが上位装置から供給される期間、または、1カットの分の画像を液晶パネル100が形成するのに要する期間をいい、垂直走査信号Vsの周波数が60Hzであれば、その1周期分の16.67ミリ秒になる。
【0019】
この図に示されるように、本実施形態では、ブロックという単位が4フレーム毎に構成されている。便宜的に、互いに連続する2つブロックを区別するために、時間的に先のものを奇数ブロックと呼び、時間的に後のものを偶数ブロックと呼ぶことにする。
本実施形態において、1フレームの期間は、2つのフィールドに分割されるとともに、3D映像の表示時には、時間的に前のフィールドfaが右目画像用に割り当てられ、時間的に後のフィールドfbが左目画像用に割り当てられている。このため、制御信号R(/L)は、1フレームのうち、前半のフィールドfaにおいてHレベルとなり、後半のフィールドfbにおいてLレベルとなる。なお、例えば第1フィールドをフィールドfaとした場合、第2フィールドはフィールドfbとなる。
【0020】
また、フィールドfa、fbの各々は、さらに期間長が互いに等しい20個のサブフィールドにそれぞれ分割されている。便宜的に、各サブフィールドについては時間的な順にsf1、sf2、sf3、…、sf20と呼ぶことにする。
本実施形態において、表示データDaで指定される階調レベルに対し、サブフィールドsf1〜sf20のオンオフは、おおよそ次のように割り当てられる。
すなわち、原則として、指定される階調レベルが明るくなるにつれて、例えばサブフィールドsf1から、sf2、sf3、…、へと順番にオンさせて、オンするサブフィールドが、時間的に後方に向かうようにサブフィールドのsf1〜sf20のオンオフが割り当てられる。
ただし、このようにオンオフを規定するだけでは、表現可能な階調数は、サブフィールドのsf1〜sf20のすべてオフにした状態から、段階的にオンにして、すべてのオンにした状態までの「21」に限られてしまう。このため、本実施形態では、次のような特性も利用して、表現可能な階調数を増加させている。
【0021】
液晶素子120は、電圧に対する光学応答が比較的遅いので、画素電極へのオンレベル(オフレベル)の印加に対して透過率(または反射率)が緩慢に変化する。このため、ノーマリーブラックモードにおいて例えばサブフィールドsf1とsf11とで離散的にオン駆動したときと、サブフィールドsf1とsf2とにわたって連続的にオン駆動したときとでは、フィールドにおいてオン駆動の占める期間(サブフィールド数)が同じであっても、実際の透過率は、連続的にオン駆動したときの方が離散的にオン駆動したときよりも大きくなる(明るくなる)。
また、離散的にオン駆動する場合でも、互いに接近させてオン駆動する場合と離間させてオン駆動する場合とを比較したときでも、実際の透過率は、接近させてオン駆動するときの方が離間させてオン駆動するときよりも大きくなる(明るくなる)。
このように、サブフィールドを離散的にオンオフすることによって、フィールドにおいてオンオフ)駆動の占める期間(サブフィールド数)が同じであっても、実際の透過率等を異ならせることができるので、本実施形態では、サブフィールドの個数以上の256階調を表現することが可能になっている。
なお、このようなサブフィールドを用いて中間階調を表現する技術については、上述した特開2003−114661号公報(特許文献3参照)に開示されている。
【0022】
変換部40には、具体的な変換内容については特に示さないが、表示データDaによって指定される階調レベル毎に、サブフィールドsf1〜sf20においてオンまたはオフにするかを規定するテーブルが予め記憶されている。そして、変換部40は、メモリー30から読み出された表示データDaを、階調レベルとデータsfnで示されるサブフィールドとに応じて、表示ビットDbに画素毎に変換する。
【0023】
一方、画素への書込極性を指定する信号Polは、奇数ブロックにおけるフィールド(fa)ではHレベルになって正極性を指定し、フィールド(fb)ではLレベルとなって負極性を指定する。信号Polは、偶数ブロックにおけるフィールド(fa)ではLレベルになって負極性を指定し、フィールド(fb)ではHレベルとなって正極性を指定する。
【0024】
次に、実施形態に係る電気光学装置1の動作について説明する。
まず、3D映像の表示動作について説明する。図3に示されるように垂直走査信号Vsが供給されると、制御回路20は、スタートパルスDyを、当該垂直走査信号Vsで規定される1フレームにおいて、上述したサブフィールドsf1〜sf20の開始期間毎に出力する。また、制御回路20は、偶数ブロックにあっては信号Polを、1フレームのうち、右目画像用のフィールドfaではHレベルとして正極性を指定し、左目画像用のフィールドではLレベルとして負極性を指定する。また、制御回路20は、1フレームの開始時からスタートパルスDyを出力した回数をカウントして、そのカウント回数を、現時点における液晶パネル100のサブフィールドを示すデータsfnとして変換部40に供給する。
【0025】
制御回路20は、垂直走査信号Vs、水平走査信号Hsおよびドットクロック信号Clkに同期して供給される右目画像の映像信号Vidをメモリー30に一旦格納する。格納後、制御回路20は、各サブフィードにおいて、ある行の走査線の選択前に当該行であって1〜1920列の画素に対応した表示データDaをメモリー30から読み出す。変換部40は、読み出された表示データDaを、階調レベルとデータsfnで示されるサブフィールドとに応じて、表示ビットDbに画素毎に変換する。
なお、映像信号Vidの供給によって規定されるフレーム(供給系)と、液晶パネル100の書込走査によって規定されるフレーム(パネル系)とは厳密にいえば同一ではなく、映像信号Vidの供給によって規定されるフレームに対して液晶パネル100の書込走査によって規定されるフレームが遅延した関係になる。ただし、期間長そのものは、いずれも16.67ミリ秒で共通であるので(垂直走査周波数が60Hzの場合)、ここでは厳密に区別してはいない。
【0026】
走査線駆動回路130は、スタートパルスDyを、クロック信号Clyにしたがって転送することによって、各サブフィールドにおいて走査信号G(1)〜G(m)を順番にHレベルにする。ここで、ある行の走査線が走査線駆動回路130によって選択される前に、メモリー30から当該行の表示データDaが読み出されるとともに変換部40によって表示ビットDbに変換されている。このため、データ線駆動回路140には、当該走査線の選択前において、当該走査線に対応する1〜n列の画素に対応し、かつ、当該選択において書き込むべきサブフィールドに対応した表示ビットDbが供給されていることになる。
データ線駆動回路140は、当該1行分の表示ビットDbを、それぞれオン電圧またはオフ電圧に、信号Polで指定された極性のデータ信号に変換するとともに、当該行の走査線が選択されたときに、データ信号を1〜n列のデータ線114に供給する。
当該行の走査線が選択されたとき、データ線114に供給されたデータ信号は、当該行に対応するTFT116が導通状態となることによって液晶素子120の画素電極118に印加され、これにより、当該液晶素子120は、指定された極性でオンまたはオフ駆動されることになる。
なお、当該走査線の選択が終了すると、TFT116が非導通状態となるが、液晶素子120は、TFT116の導通状態であったときに画素電極118に印加された電圧を容量性によって保持するので、次回走査線が再び選択されるまで、オンまたはオフ駆動が維持される。
【0027】
このような動作が1つのサブフィールドにおいて1〜m行目について順番に実行される。さらに、この動作が前半のフィールドfaにおいて、サブフィールドsf1〜sf20の順に実行される。
これにより、各画素は、サブフィールドsf1〜sf20のそれぞれにおいて、表示ビットDbに応じてオンまたはオフ駆動されるので、フィールドfaを単位期間としてみたときの平均的な透過率は、階調レベルに応じた値となる。
【0028】
3D映像の表示時において、前半のフィールドfaでは制御信号R(/L)がHレベルとなるので、3D眼鏡60の液晶シャッター62Rは当該フィールドfaの一部期間において透過状態となるが、液晶シャッター62Lは不透過状態となる。このため、液晶パネル100に表示された画像は、視聴者の右眼だけに視認されることになる。
【0029】
次の後半のフィールドfbにおいても、同様にして左目画像が液晶パネル100に表示される。ただし、奇数ブロックの後半のフィールドfbにおいては、信号PolがLレベルになるので、左目画像は負極性で形成される。
また、フィールドfbでは制御信号R(/L)がLレベルとなるので、液晶シャッター62Rは不透過状態となり、液晶シャッター62Lは当該フィールドfbの一部期間において透過状態となる。このため、液晶パネル100に表示された画像は、視聴者の左眼だけに視認されることになる。
このような動作は、奇数ブロックの各フレームにおいて実行される。
偶数ブロックでは、前半のフィールドfaと後半のフィールドfbとにおいて、書込極性が入れ換えられる。このため、偶数ブロックでは、フィールドfaで表示される左目画像は負極性で形成され、フィールドfbで表示される右目画像は正極性で形成される。
【0030】
なお、図3において※で示しされるように、奇数ブロックで、時間的に前のフィールドfaを右目画像用、時間的に後のフィールドfbを左目画像用とし、偶数ブロックで、時間的に前のフィールドfaを左目画像用、時間的に後のフィールドfbを右目画像用とした場合、奇数ブロックでも偶数ブロックでも、フィールドfaを正極性で形成し、フィールドfbを負極性で形成することで、奇数ブロックと偶数ブロックとでは、右目用画像と左目用画像の書き込み極性が入れ替えられる。
【0031】
本実施形態では、1フレームの半分期間でそれぞれ右目画像と左目画像とを形成しており、そのサブフィールド数はいずれも「20」であるので、7〜8ビットの階調表現(128〜256階調)が可能となっている。
さらに、極性がフィールド毎に反転するので、フリッカーが視認されにくい。すなわち、本実施形態では、垂直走査信号Vsの周波数が60Hzであれば、フリッカー成分も60Hzとなるので、視認されにくい。また、本実施形態では、奇数ブロックと偶数ブロックとで、フィールドにおける書込極性が入れ換えられるが、その入れ換え周期は、本実施形態では4フレーム毎であり、周波数成分でみても低いので、やはりフリッカーとして視認されにくい。
また、本実施形態によれば、奇数ブロックまたは偶数ブロックのいずれかの1フレームでみたとき、右目画像は一方の極性で形成され、右目画像は他方の極性で形成されるが、右目画像と左目画像とは視差を伴うので、互いに同一ではない。このため、右目画像が一方の極性で形成され、右目画像が他方の極性で形成されても、当該フレームにおいて液晶素子120に印加される直流成分がゼロにはならない。ただし、奇数ブロックおよび偶数ブロックを通した8フレームを単位期間としてみたときに、右目画像および左目画像は、それぞれ正極性で4フィールド形成され、負極性で4フィールド形成される。このため、当該8フレームを通してみたときには、液晶素子120の交流駆動が完結するので、いわゆる焼き付き現象が抑えられる。
【0032】
ここで、本実施形態における優位性を説明するために、各種の比較例について説明する。図4は、本実施形態(f)に対する比較例(a)、(b)、(c)、(d)、(e)について、3D映像の表示時における右目画像、左目画像とを、いかなるフィールドで、いかなる周期で極性を反転させるかについて簡易的に示す図である。また、図5は、これらの比較例と本実施形態との評価を示す図である。
図4において、本実施形態を示す(f)は、ブロックを構成するフレーム数を「2」として簡易的に表現している。また、フィールドを構成するサブフィールド数について省略して「8」としているが、実際には上述したように「20」程度が適切である。
なお、本実施形態を示す(f)については、フィールド毎に極性を反転させるとともに、複数フレームのブロック毎に極性を入れ換えているので、図5において、2倍速極性反転・複数フレーム毎極性入換と表記している。
【0033】
図4において、比較例(a)は、1フレームのフィールドfaで右目画像を表示し、フィールドfbで左目画像を表示する点と、各フィールドを構成するサブフィールド数とにおいて、本実施形態と共通である。ただし、この比較例(a)では、フィールド毎ではなく、サブフィールド毎に極性が反転される点において、本実施形態と相違している。
その意味で、比較例(a)は、図5において、サブフィールド毎極性反転と表記している。
図5に示されるように、比較例(a)のサブフィールド毎極性反転では、階調表現数(階調性)、フリッカーが視認されにくい点、および、焼き付きの点においては、本実施形態とほぼ同等であるが、極性がサブフィールド毎に反転するので、高い駆動能力が要求される。例えば、すべてのサブフィールドをオンさせる場合、正極性のオン電圧および負極性のオン電圧を、サブフィールド毎に交互に供給する必要があり、容量である液晶素子120を非常に高い周波数で駆動する必要がある。
これに対して、本実施形態では、極性はフィールド毎に反転するので、当該フィールドにおいては一定である。このため、たとえ、フィールドを構成するサブフィールドのすべてをオンさせる場合であっても、当該フィールドにわたって極性が同一であるので、比較例(a)と比べて高い駆動能力が要求されないのである。
【0034】
図4において、比較例(b)は、1フレームを4つのフィールドに分割するとともに、例えば第1フィールドにおいて正極性で右目画像を、第2フィールドにおいて負極性で右目画像を、第3フィールドにおいて正極性で左目画像を、第4フィールドにおいて負極性で左目画像を、それぞれ形成するという方式である。
すなわち、比較例(b)では、極性が1つのフレームを4つに分割したフィールド毎に反転されるので、その意味で、図5において、4倍速極性反転と表記している。
図5に示されるように、比較例(b)の4倍速極性反転では、1フレームにおいて右目画像および左目画像の交流駆動が完結するので、焼き付き現象が抑えられる。また、極性が1フレームを4つに分割したフィールド毎という短い時間毎で反転するので、フリッカーはほとんど視認されない。
ただし、比較例(b)では、1フレームを4つに分割した各フィールドにおいて、さらにサブフィールドに分割しなければならない。このため、比較例(b)では、フィールドを構成するサブフィールド数については、本実施形態の半分の「10」程度でしか確保できない。このため、比較例(b)では、4〜5ビットの階調(16〜32階調)しか表現できず、この点において、本実施形態よりも劣る、といえる。
【0035】
図4において、比較例(c)は、1フレームの前半フィールドおよび後半フィールドにおいてそれぞれ右目画像と左目画像とを形成する点と、各フィールドを構成するサブフィールド数とにおいて、本実施形態と共通である。ただし、この比較例(c)では、前半フィールドと後半フィールドとにおいて極性が固定的である。
その意味で、比較例(c)は、図5において、2倍速極性反転と表記している。
図5に示されるように、比較例(c)の2倍速極性反転では、階調表現数(階調性)、および、フリッカーが視認されにくい点において、本実施形態とほぼ同等である。
ここで、比較例(c)では、ある1フレームでみたとき、右目画像が一方の極性で形成され、右目画像が他方の極性で形成されるので、液晶素子120に印加される直流成分がゼロになることはない。さらに、比較例(c)では、本実施形態のように奇数ブロックおよび偶数ブロックにおいて極性が入れ換わることもないので、複数フレームで通してみても、交流駆動が完結することはない。このため、比較例(c)は、焼き付きという面において本実施形態と比べて劣る。
【0036】
図4において、比較例(d)は、1フレームの前半フィールドおよび後半フィールドにおいてそれぞれ右目画像と左目画像とを形成する点と、各フィールドを構成するサブフィールド数とにおいて、本実施形態と共通である。ただし、この比較例(d)では、極性がフレーム毎に反転する。
その意味で、比較例(d)は、図5において、1倍速極性反転と表記している。
図5に示されるように、比較例(d)の1倍速極性反転では、階調表現数(階調性)、および、焼き付きの点においては、本実施形態とほぼ同等である。しかしながら、比較例(d)では、極性がフレーム毎に反転するので、垂直走査信号Vsの周波数が60Hzであれば、フリッカー成分は、その半分の30Hzとなるので、非常に視認されやすくなる。
【0037】
図4において、比較例(e)は、1フレームの前半フィールドおよび後半フィールドにおいてそれぞれ右目画像と左目画像とを形成する点と、各フィールドを構成するサブフィールド数とにおいて、本実施形態と共通である。ただし、この比較例(e)では、極性が2フレーム毎に反転する。なお、3フレーム以上の周期で反転させても良い。
その意味で、比較例(e)は、図5において、複数フレーム毎極性反転と表記している。
図5に示されるように、比較例(e)の複数フレーム毎極性反転では、階調表現数(階調性)について、本実施形態とほぼ同等である。しかしながら、比較例(e)では、極性が2以上のフレーム毎に反転するので、フリッカーは、比較例(d)ほどではないにしても、本実施形態と比較すれば視認されやすい。また、比較例(e)では、4フレームを単位としてみたときには交流駆動が完結しているが、1フレームを単位としてみたときには一方の極性に固定となっている。
本実施形態(f)では、1フレームでみたとき、右目画像は一方の極性で形成され、右目画像は他方の極性で形成されるので、直流成分をゼロにすることはできないが、それでも、一方極性で固定される比較例(e)と比べると、焼き付きを抑える点では明らかに有利である。
【0038】
このように、本実施形態(f)は、他の比較例(a)〜(e)と比べると、階調性、フリッカー、焼き付き、および、高い駆動能力が要求されない点において、優位性を有することが判る。
【0039】
また、本実施形態によれば、3D映像から2D映像へ、または、その反対に2D映像から3D映像へも、スムーズに切り替えることが可能である。そこで以下、この点について説明する。
【0040】
図6は、本実施形態において2D映像を表示する場合のサブフィールドの構成を示す図である。
この図に示されるように2D映像の表示時においては、右目画像、左目画像という概念が存在しないが、1フレームが前半のフィールドfaと後半のフィールドfbとに分割される点においては3D映像の表示時と共通である。
ただし、本実施形態において2D映像を表示する場合、フィールドfaにおいて正極性または負極性のうち一方の極性で画像が形成され、後半フィールドfbにおいて正極性または負極性のうち他方の極性でフィールドfaと同じ画像が形成される。これには、次のように2通りがある。詳細には、図に示されるように、信号Polが、前半のフィールドfaでHレベルとなって正極性で画像が形成されるとともに、後半のフィールドfbでLレベルとなって負極性で画像が形成されるケース(a)と、反対に、前半のフィールドfaでLレベルとなって負極性で画像が形成されるとともに、後半のフィールドfbでHレベルとなって正極性で画像が形成されるケース(b)との2通りがある。
【0041】
なお、各フィールドにおけるサブフィールドの構成は、図3に示した3D映像を表示する時の構成と共通である。
また、2D映像の表示時においては、3D眼鏡60では、液晶シャッター62R、62Lが、ともに透過状態になる。
【0042】
図7に示されるように、本実施形態では3D映像から2D映像へは、3D映像の表示時における奇数ブロックまたは偶数ブロックの終端で切り替わる。
上述したように信号Polは、3D映像の表示時において、奇数ブロックでは前半フィールドfaでHレベルとなり、後半フィールドfbでLレベルとなる一方、偶数ブロックでは前半フィールドfaにおいてLレベルとなり、後半フィールドでHレベルとなる。一方、信号Polは、2D映像の表示時においてケース(a)とケース(b)との2通りがある。
このため、本実施形態では信号Polは、3D映像から2D映像へは、図7に示されるように4通りの組み合わせが考えられる。すなわち、奇数ブロックの終端でケース(a)に切り替える第1の場合と、奇数ブロックの終端でケース(b)に切り替える第2の場合と、偶数ブロックの終端でケース(b)に切り替える第3の場合と、偶数ブロックの終端でケース(a)に切り替える第4の場合と、の計4通りである。
この4通りのうち、第1の場合と第3の場合では、3D映像から2D映像への切り替えに際し、前半フィールドfaの極性と後半フィールドfbの極性とが変更されないので、切り替わりに伴う変化を小さく抑えることが可能となる。
【0043】
図8に示されるように、本実施形態では2D映像から3D映像へは、2D映像の表示時におけるフレーム(後半フィールドfb)の終端で切り替わる。
信号Polは、2D映像の表示時においてケース(a)とケース(b)との2通りがあり、3D映像の表示時において奇数ブロックと偶数ブロックとの2通りがある。このため、2D映像から3D映像への切り替えに際し、信号Polは、図8に示されるように4通りの組み合わせが考えられる。すなわち、ケース(a)から奇数ブロックに切り替える第5の場合と、ケース(a)から偶数ブロックに切り替える第6の場合と、ケース(b)から偶数ブロックに切り替える第7の場合と、ケース(b)から奇数ブロックに切り替える第8の場合と、の4通りである。
この4通りのうち、第5の場合と第7の場合では、2D映像から3D映像への切り替えに際し、前半フィールドfaの極性と後半フィールドfbの極性とが変更されないので、切り替わりに伴う変化を小さく抑えることが可能となる。
【0044】
このように本実施形態によれば、3D映像の表示においても、2D映像の表示においても極性がフィールド毎に反転するので、表示が切り替わることによる違和感を小さく抑えることが可能になる。
【0045】
本発明は、上述した実施形態に限られず、次のような応用・変形が可能である。
実施形態では、3D映像の表示時において前半フィールドfaにおいて右目画像を形成し、後半フィールドfbにおいて左目画像を形成したが、反対に、前半フィールドfaにおいて左目画像を形成し、後半フィールドfbにおいて右目画像を形成しても良い。
また、3D映像の表示時において奇数ブロックおよび偶数ブロックを構成するフレーム数は「4」に限られず、「2」以上の複数であれば良い。
【0046】
<電子機器>
次に、上述した実施形態に係る電気光学装置1を適用した電子機器について、プロジェクターを例にとって説明する。
図9は、プロジェクターの構成を示す平面図である。
この図に示されるように、プロジェクター2100の内部には、ハロゲンランプ等の白色光源からなるランプユニット2102が設けられている。このランプユニット2102から射出された投射光は、内部に配置された3枚のミラー2106および2枚のダイクロイックミラー2108によってR(赤)色、G(緑)色、B(青)色の3原色に分離されて、各原色に対応するライトバルブ100R、100Gおよび100Bにそれぞれ導かれる。なお、B色の光は、他のR色やG色と比較すると、光路が長いので、その損失を防ぐために、入射レンズ2122、リレーレンズ2123および出射レンズ2124からなるリレーレンズ系2121を介して導かれる。
【0047】
このプロジェクター2100では、実施形態に係る表示装置が、R色、G色、B色のそれぞれに対応して3組設けられる。そして、R色、G色、B色のそれぞれに対応する映像信号がそれぞれ上位装置から供給される。ライトバルブ100R、100Gおよび100Bは、上述した液晶パネル100と同様であり、R色、G色、B色のそれぞれに対応する映像信号に応じて駆動される。
ライトバルブ100R、100G、100Bによってそれぞれ変調された光は、ダイクロイックプリズム2112に3方向から入射する。そして、このダイクロイックプリズム2112において、R色およびB色の光は90度に屈折する一方、G色の光は直進する。したがって、各色の画像が合成された後、スクリーン2120には、投射レンズ2114によってカラー画像が投射されることとなる。
【0048】
ライトバルブ100R、100Gおよび100Bには、ダイクロイックミラー2108によって、R色、G色、B色のそれぞれに対応する光が入射するので、カラーフィルターを設ける必要はない。また、ライトバルブ100R、100Bの透過像は、ダイクロイックプリズム2112により反射した後に投射されるのに対し、ライトバルブ100Gの透過像はそのまま投射されるので、ライトバルブ100R、100Bによる水平走査方向は、ライトバルブ100Gによる水平走査方向と逆向きにして、左右を反転させた像を表示する構成となっている。
なお、スクリーン2120に投写された画像を上述した3D眼鏡60を掛けて視聴すれば、3D映像の知覚が可能になる。
ライトバルブ100R、100Gおよび100Bで、奇数ブロックと偶数ブロックの切り替えは同時に行う。すなわち、ライトバルブ100Rにおいて、左目画像が正極性で形成され、右目画像が負極性で形成されているときは、ライトバルブ100Gおよび100Bでも、左目画像が正極性で形成され、右目画像が負極性で形成される。ライトバルブ100Rにおいて、左目画像が負極性で形成され、右目画像が正極性で形成されているときは、ライトバルブ100Gおよび100Bでも、左目画像が負極性で形成され、右目画像が正極性で形成される。
【0049】
なお、電子機器としては、図9を参照して説明したプロジェクターの他、電子ビューファインダーや、リヤ・プロジェクション型のテレビジョン、ヘッドマウントディスプレイなどが挙げられる。
【符号の説明】
【0050】
1…電気光学装置、20…制御回路、30…メモリー、40…変換部、50…送信部、60…3D眼鏡、100…液晶パネル、110…画素、112…走査線、114…データ線、120…液晶素子、130…走査線駆動回路、140…テータ線駆動回路、2100…プロジェクター。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1フレームを少なくとも第1フィールドおよび第2フィールドに分割するとともに、各フィールドを複数のサブフィールドに分割し、前記サブフィールド毎に画素をオンまたはオフに制御して階調表示を行う電気光学装置の駆動方法であって、
3D映像の表示時では、
前記第1フィールドで右目画像または左目画像のうち一方の画像を第1極性で形成し、
前記第2フィールドで右目画像または左目画像のうち他方の画像を第2極性で形成し、
複数フレーム経過したとき、
前記第1フィールドで前記一方の画像を前記第2極性で形成し、
前記第2フィールドで前記他方の画像を前記第1極性で形成する
ことを特徴とする電気光学装置の駆動方法。
【請求項2】
2D映像の表示時では、
前記第1フィールドで一のフレームの画像を前記第1極性または前記第2極性のうちの一方極性で形成し、
前記第2フィールドで当該フレームの画像を前記第1極性または前記第2極性のうちの他方極性で形成する
ことを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置の駆動方法。
【請求項3】
前記3D映像の表示から前記2D映像の表示に切り替える際には、
前記3D映像の表示時における前記第2フィールドで前記他方の画像を前記第2極性で形成した後に、前記2D映像の表示時における前記第1フィールドで前記一のフレームの画像を前記第1極性で形成する
ことを特徴とする請求項2に記載の電気光学装置の駆動方法。
【請求項4】
前記2D映像の表示から前記3D映像の表示に切り替える際には、
前記2D映像の表示時における前記第2フィールドで当該フレームの画像を前記第2極性で形成した後に、前記3D映像の表示時における前記第1フィールドで前記一方の画像を前記第1極性で形成する
ことを特徴とする請求項2または3に記載の電気光学装置の駆動方法。
【請求項5】
1フレームを少なくとも第1フィールドおよび第2フィールドに分割するとともに、各フィールドを複数のサブフィールドに分割し、前記サブフィールド毎に画素をオンまたはオフに制御して階調表示を行う電気光学装置であって、
3D映像の表示時では、
前記第1フィールドで右目画像または左目画像のうち一方の画像を第1極性で形成し、
前記第2フィールドで右目画像または左目画像のうち他方の画像を第2極性で形成し、
複数フレーム経過したとき、
前記第1フィールドで前記一方の画像を前記第2極性で形成し、
前記第2フィールドで前記他方の画像を前記第1極性で形成する
駆動回路を有する
ことを特徴とする電気光学装置。
【請求項6】
請求項5に記載の電気光学装置を有することを特徴とする電子機器。
【請求項1】
1フレームを少なくとも第1フィールドおよび第2フィールドに分割するとともに、各フィールドを複数のサブフィールドに分割し、前記サブフィールド毎に画素をオンまたはオフに制御して階調表示を行う電気光学装置の駆動方法であって、
3D映像の表示時では、
前記第1フィールドで右目画像または左目画像のうち一方の画像を第1極性で形成し、
前記第2フィールドで右目画像または左目画像のうち他方の画像を第2極性で形成し、
複数フレーム経過したとき、
前記第1フィールドで前記一方の画像を前記第2極性で形成し、
前記第2フィールドで前記他方の画像を前記第1極性で形成する
ことを特徴とする電気光学装置の駆動方法。
【請求項2】
2D映像の表示時では、
前記第1フィールドで一のフレームの画像を前記第1極性または前記第2極性のうちの一方極性で形成し、
前記第2フィールドで当該フレームの画像を前記第1極性または前記第2極性のうちの他方極性で形成する
ことを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置の駆動方法。
【請求項3】
前記3D映像の表示から前記2D映像の表示に切り替える際には、
前記3D映像の表示時における前記第2フィールドで前記他方の画像を前記第2極性で形成した後に、前記2D映像の表示時における前記第1フィールドで前記一のフレームの画像を前記第1極性で形成する
ことを特徴とする請求項2に記載の電気光学装置の駆動方法。
【請求項4】
前記2D映像の表示から前記3D映像の表示に切り替える際には、
前記2D映像の表示時における前記第2フィールドで当該フレームの画像を前記第2極性で形成した後に、前記3D映像の表示時における前記第1フィールドで前記一方の画像を前記第1極性で形成する
ことを特徴とする請求項2または3に記載の電気光学装置の駆動方法。
【請求項5】
1フレームを少なくとも第1フィールドおよび第2フィールドに分割するとともに、各フィールドを複数のサブフィールドに分割し、前記サブフィールド毎に画素をオンまたはオフに制御して階調表示を行う電気光学装置であって、
3D映像の表示時では、
前記第1フィールドで右目画像または左目画像のうち一方の画像を第1極性で形成し、
前記第2フィールドで右目画像または左目画像のうち他方の画像を第2極性で形成し、
複数フレーム経過したとき、
前記第1フィールドで前記一方の画像を前記第2極性で形成し、
前記第2フィールドで前記他方の画像を前記第1極性で形成する
駆動回路を有する
ことを特徴とする電気光学装置。
【請求項6】
請求項5に記載の電気光学装置を有することを特徴とする電子機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【公開番号】特開2012−189965(P2012−189965A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−55741(P2011−55741)
【出願日】平成23年3月14日(2011.3.14)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月14日(2011.3.14)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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