説明

電気光学装置の駆動方法、画素回路、電気光学装置および電子機器

【課題】 サブフィールド駆動を用いた電気光学装置において、電気光学材料の種類とサブフィールド期間の時間長によって定まる分解能よりも、さらに細かい階調を刻むこと(すなわち、分解能のさらなる向上)を、サブフィールド数を増やすことなく実現する。
【解決手段】 画素回路に、第1の保持容量(C3)および第2の保持容量(C4)を設け、各保持容量の電気光学素子(LC)への接続を、スイッチ素子(SW1,SW2)によって制御する。第1の保持容量(C3)の容量値は、1サブフィールド期間において画素の表示電圧を一定に維持できないほど小さく設定されているため、電気光学素子に印加される電圧は微小となり、したがって電気光学素子(LC)に従来にない微小な過渡応答が生じ、これによって細かな階調を刻むことが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サブフィールド駆動により所望階調の画像表示を行う電気光学装置の駆動方法、画素回路、電気光学装置および電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
電気光学装置、例えば、液晶装置における駆動方式として、1フィールドを時間軸上で複数のサブフィールドに分割し、サブフィールドを画素の駆動の制御単位とするサブフィールド駆動方式が知られている。
【0003】
このサブフィールド駆動方式は、電圧パルスの印加時間を制御することによって、液晶に与える電圧の実効値を変化させ、液晶素子の透過率を制御するデジタル的な駆動方式であり、液晶の駆動に必要な電圧レベルはオンレベルとオフレベルの2値のみである。
【0004】
但し、単純なサブフィールド駆動方式では、表示可能な階調が、分割したサブフィールドの数によって制限されてしまう。そこで、本発明の出願人は、先に、サブフィールド数を超える多階調の表示を実現する駆動方式を提案している(特許文献1参照)。
【0005】
特許文献1に記載の技術では、サブフィールドを画素の駆動の制御単位とすると共に、各画素の飽和応答時間(液晶素子にオン電圧を印加した場合に、液晶の透過率が飽和するまでの時間)および非透過応答時間(液晶素子にオフ電圧を印加した場合に、液晶の透過率が飽和状態から非透過状態に移行するまでの時間)よりも、サブフィールドの期間を短く設定し、各サブフィールド期間における液晶の過渡応答特性を利用して、多階調の表示を実現する。
【0006】
すなわち、液晶の応答速度がそれほど速くはないことに着目し、サブフィールド期間を液晶の応答時間よりも短く設定する。すると、1サブフィールド期間において液晶にオン電圧を印加したとしても、液晶の透過率は、そのサブフィールド期間内では100%には達しない。このような過渡応答を多階調表示に積極的に利用する。例えば、液晶の透過率が飽和するまでの透過率の変化の振幅を“10”と設定したとき、過渡応答では、例えば透過率が“4”しか変化しないとすると、そのサブフィールド期間では、従来は不可能だった“4/10”の階調表示が可能である。このように、液晶のサブフィールド期間における透過率の過渡応答を組み合わせることによって、より多階調の表示が可能となる。
【0007】
図10は、特許文献1に記載される技術を説明するための図(特許文献1の図24の内容と同じ)である。図10は、1フィールドを時間軸上で6つのサブフィールドSf1〜Sf6に分割した例を示している。図10において、斜線部はオン電圧を印加するサブフィールド期間を示し、無地部はオフ電圧を印加するサブフィールド期間を示す。各画素について、指定された階調データに基づいて各サブフィールド期間Sf1〜Sf6毎に、各画素をオン状態(白表示)又はオフ状態(黒表示)にすることによって、階調表示が実現される。
【0008】
図10(A)はフィールド期間の前半の3サブフィールド期間にオン電圧を印加し、後半の3サブフィールド期間にオフ電圧を印加した例を示している。液晶の透過率は、1つ目のサブフィールド期間で飽和透過率の4/10まで上昇し、2つ目のサブフィールド期間で飽和透過率の7/10まで上昇し、3つ目のサブフィールド期間で飽和透過率の8/10まで上昇する。更に、4つ目のサブフィールド期間で透過率は飽和透過率の5/10に低下し、5つ目のサブフィールド期間で3/10の透過率に低下し、6つ目のサブフィールド期間で1/10の透過率に低下する。
【0009】
サブフィールド駆動の周期(1フィールド期間)が十分に短い場合には、透過率の積分値に比例して明るさが変化する。すべてのサブフィールド期間において100%の透過率で表示を行った場合に完全な白表示が得られるものとすると、図10(A)のフィールド期間における明るさは完全な白表示の{(4+7+8+5+3+1)/10}×1/6=28/60の明るさとなる。
【0010】
同様に、図10(B)の例では、完全な白表示の{(4+3+1)/10}×1/6=8/60の明るさとなる。また、図10(C)の例では、完全な白表示の{(4+3+1+4+3+1)/10}×1/6=16/60の明るさとなる。また、図12(D)の例では、完全な白表示の{(4+7+4+3+2+1)/10}×1/6=21/60の明るさとなる。
【0011】
単純にオン電圧を印加するサブフィールド期間を連続させた場合には、6分割したサブフィールド期間によって、6+1=7階調の表示しか得られないが、図10(A)〜(D)に示されるような、液晶の過渡応答を利用する駆動方式を採用し、オン電圧を印加するサブフィールド期間の位置とオフ電圧を印加するサブフィールド期間の位置を適宜設定することによって、7階調よりも著しく多い多数の階調数での表示が可能となる。
【特許文献1】特開2003−114661号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
液晶の種類(液晶の特性)が固定されれば、電圧を印加したときの液晶の過渡応答特性は一義的に定まり、1サブフィールド期間が設定されれば、その1サブフィールド期間における液晶の過渡応答特性も、当然のことながら一義的に定まる。
【0013】
そして、その1サブフィールド期間における液晶の応答特性(応答時間)が階調表示の分解能を決定することから、上述の特許文献1に記載の技術を利用した場合でも、その分解能以上の細かな階調表示は実現できない。より細かな階調表示を実現しようとすれば、サブフィールド数を増やすしかなく、この場合には、液晶駆動回路の動作周波数が高くなることから回路の負担が増大する。
【0014】
例えば、ホームシアターに用いられる反射型液晶を用いたプロジェクタ(光投射型の液晶表示装置)では、低消費電力でありながら、さらなる高精細画像の表示を実現することが望まれている。
【0015】
本発明は、このような考察に基づいてなされたものであり、その目的は、サブフィールド駆動を用いた電気光学装置において、電気光学材料の種類とサブフィールド期間の時間長によって定まる分解能よりも、さらに細かい階調を刻むこと(すなわち、分解能のさらなる向上)を、サブフィールド数を増やすことなく実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の電気光学装置の駆動方法は、1フィールドを時間軸上で複数のサブフィールドに分割し、前記サブフィールドを画素の駆動の制御単位とし、かつ、前記画素を構成する電気光学素子にオン電圧を印加した場合に前記電気光学素子の透過率が飽和するまでの飽和応答時間およびオフ電圧を印加した場合に前記電気光学素子の透過率が飽和状態から非透過状態に移行するまでの非透過応答時間よりも、前記サブフィールドの期間を短く設定し、これによって前記サブフィールド数を超える多階調表示を実現する電気光学装置の駆動方法であって、前記画素の表示電圧を保持するための保持容量として、少なくとも一つの第1の保持容量と、少なくとも一つの第2の保持容量と、を設けると共に、前記第1の保持容量の容量値は前記表示電圧を1サブフィールドの期間において一定に維持することができない容量値に設定し、前記第2の容量の容量値を前記第1の保持容量の容量値よりも大きく設定し、前記1フィールド内において、使用する保持容量を選択的に切換える。
【0017】
画素回路には、電気光学素子(例えば、液晶素子)への印加電圧(表示電圧:書込み電圧ともいう)を一時的に保持するための保持容量が設けられるのが一般的である。本発明では、1画素中に複数の保持容量を設け、サブフィールド駆動中に、それらの保持容量の全部を使用するか、あるいは一部のみを使用するかを切り換えることによって、電気光学素子に印加される電圧波形を積極的に制御する。電気光学素子に印加される電圧の波形が微小に変化すれば、電気光学素子の応答もそれに従って微小な応答となる。その応答が、従来の1サブフィールド期間における最小応答よりもさらに微小であるならば、その微小応答は、より細かな階調を刻むために有効な応答とみることができる。本発明は、この点に着目し、その微小な応答を利用して、サブフィールド数を増加させずに、電気光学装置の階調特性(表示の分解能)を向上させるものである。すなわち、少なくとも一つの第1の保持容量は、画素の印加電圧(表示電圧)を1サブフィールド期間にわたって一定に維持できないような小さな容量値に設定される。従って、第1の保持容量のみを使用する場合には、画素に対する表示電圧の書込みが終了すると、その直後から電圧は降下しはじめ、例えば、1サブフィールド期間内に電圧は0Vに戻ってしまう。したがって、1サブフィールド期間当たりで電気光学素子に印加される電圧(電圧の実効値)は、極めて小さく、これによって、電気光学素子は、従来の1サブフィールド期間における最小応答よりもさらに微小な応答を示すことになる。なお、第1の保持容量は複数の容量で構成されてもよいが、その場合には、それらの容量の合成容量が、上記のような小さな容量値に設定される。一方、少なくとも一つの第2の保持容量は、第1の保持容量の容量値よりも大きく設定されている。第2の保持容量は複数の容量で構成されてもよいが、その場合は、それらの容量の合成容量が、第1の保持容量の容量値よりも大きく設定される。したがって、第2の保持容量単独で、あるいは、第1および第2の保持容量の双方を用いて、画素電圧をサブフィールド期間において一定値に維持することができる。そして、1フィールド内において使用する保持容量を選択的に切換え、第1の保持容量のみを使用して、従来の電気光学素子の最小応答よりもさらに細かな微小応答を生じさせ、その微小応答を適宜、組み合わせて、従来実現できなかったより細かな階調を刻む。一方、第2の保持容量を使用する場合(第2の容量を単独で使用する場合、第1および第2の保持容量の双方を用いる場合を含む)は、従来と同様の分解能の階調を実現する。そして、1フィールド内に含まれる複数のサブフィールドの各々において、電気光学素子が示した各応答を総合することによって、表示階調が一義的に定まる。上述のとおり、第1の保持容量のみを用いるサブフィールド期間においては、従来の分解能よりも細かな階調を刻むことができるため、サブフィールド数を増やすことなく、表示可能な階調数を効果的に増大させることができ、より高精細な画像表示が可能となる。
【0018】
また、本発明の電気光学装置の駆動方法の一態様では、さらに、前記第1および第2の保持容量の合計の容量値を、前記表示電圧を前記1サブフィールドの期間において維持することができる容量値に設定し、前記1フィールドの期間内において、使用する保持容量を選択的に切換え、これによって、前記複数のサブフィールドの内の一部のサブフィールドについては、前記第1の保持容量のみを使用し、その他のサブフィールドについては前記第1および第2の保持容量を使用する。
【0019】
保持容量の切換えの態様として、第1の保持容量を単独で使用するか、あるいは第2の容保持量を単独で使用するかを切換える態様と、第1の保持容量を単独で使用するか、第1および第2の保持容量の双方を使用するかを切換える態様とがある。いずれの場合も、上述のとおり、従来の分解能よりもさらに細かな階調表示を実現できるが、後者の場合、第1の保持容量は常に使用されるため、その分だけ第2の保持容量の容量値を減らすことが可能であるという利点がある。すなわち、後者の場合、第1および第2の保持容量の合計の容量値が表示電圧を1サブフィールドにわたって保持できる容量値であればよく、従来の同等の保持容量を、第1および第2の保持容量に分割しているだけであり、保持容量の占有面積自体は従来と変化せず、容量の占有面積の増大を抑えることができるという利点がある。また、保持容量の切換え制御も容易化されるという利点もある。この点に着目し、本実施態様では、保持容量の切換えの態様として、第1の保持容量を単独で使用するか、第1および第2の保持容量の双方を使用するかを切換える態様(後者の態様)を採用するものである。
【0020】
また、本発明の電気光学装置の駆動方法の他の態様では、前記電気光学素子の一端に前記第1の保持容量の一端を接続すると共に、前記電気光学素子と前記第2の保持容量と間にスイッチ素子を設け、前記スイッチ素子がオンしたときに前記第2の保持容量の一端が前記電気光学素子の前記一端に電気的に接続されるようにし、前記スイッチ素子のオン/オフを容量切換え制御信号によって制御し、これによって、使用する保持容量を、前記サブフィールド単位で切換える。
【0021】
第1の保持容量を単独で使用するか、第1および第2の保持容量の双方を使用するかを切換えるための具体的な回路方式の例を示したものである。第1の保持容量の一端は、常に電気光学素子の一端に接続されている。第2の保持容量の一端は、スイッチ素子がオンしたときのみ、電気光学素子の一端に接続される。スイッチ素子のオン/オフは、容量切換え制御信号によって制御される。スイッチ素子は1個でよく、そのオン/オフを制御するための制御線も1本ですむという利点がある。
【0022】
また、本発明の電気光学装置の駆動方法の他の態様では、前記1フィールドに含まれる前記複数のサブフィールドの内の、先頭のサブフィールドを含む連続した所定数のサブフィールドの期間を、前記第1の保持容量のみを使用する期間とする。
【0023】
第1の保持容量のみを使用する期間は、電気光学素子の微小応答を利用した、従来方式では実現できなかったより細かな階調を刻む期間であり、この期間を、1フィールド中においてどのように設けるかは重要な問題である。まず、微小応答を実現する期間があまりに長すぎると、結果的に表示可能な最大輝度が低下してしまうため、その期間は所定数に限定する必要がある。また、電気光学素子が微小応答を行う期間を連続させ、従来どおりの階調を刻む期間と区別した方が、電気光学素子の応答同士の干渉が少なくなる。また、1フィールドの冒頭に、従来どおりの階調を刻むための区間を設けると、その区間における大きな透過率の変動の影響が、後続の微小応答の区間に悪影響を与える場合がないとはいえない。このような考察から、先頭のサブフィールドを含む連続した所定数(例えば、所定数=3)のサブフィールドの期間を、微小応答による細かな階調を刻む期間(第1の保持容量のみを使用する期間)とするものである。
【0024】
また、本発明の電気光学装置の駆動方法の他の態様では、前記第1の保持容量のみを使用する期間を、前記1フィールドの期間中で分散させる。
【0025】
上述のように、微小応答による細かな階調を刻む期間(第1の保持容量のみを使用する期間)は、先頭のサブフィールドを含む連続した所定数のサブフィールドの期間とするのが望ましいが、これに限定されるものではない。例えば、先頭のサブフィールドを含む連続した所定数のサブフィールドの期間を、第1の保持容量のみを使用することが許容される期間としておき、その期間内において、実際に第1の保持容量のみが使用される期間を、意図的に分散させて、電気光学素子の過渡応答を微妙に変化させ、階調表示のバリエーションを豊富化する、というような応用も可能である。このように、本態様は、細かな階調を刻む期間が1フィールド中において分散されることもあり得る点を、明らかとしたものである。
【0026】
また、本発明の画素回路は、1フィールドを時間軸上で複数のサブフィールドに分割し、前記サブフィールドを画素の駆動の制御単位とし、かつ、前記画素を構成する電気光学素子にオン電圧を印加した場合に前記電気光学素子の透過率が飽和するまでの飽和応答時間およびオフ電圧を印加した場合に前記電気光学素子の透過率が飽和状態から非透過状態に移行するまでの非透過応答時間よりも、前記サブフィールドの期間を短く設定し、これによって前記サブフィールド数を超える多階調表示を実現する電気光学装置に用いられる画素回路であって、一端がデータ線に接続され、かつ走査線によってオン/オフが制御される画素選択トランジスタと、前記画素選択トランジスタを経由して書き込まれる表示電圧に基づいて光透過率が変化する電気光学材料からなる電気光学素子と、前記表示電圧を一時的に保持するための、少なくとも一つの第1の保持容量と、前記表示電圧を一時的に保持するための、少なくとも一つの第2の保持容量と、前記第1および第2の保持容量の少なくとも一つについての、前記電気光学素子への電気的な接続/不接続を切換えるために設けられ、容量切換え制御信号によってオン/オフが制御される少なくとも一つのスイッチ素子と、を有し、前記第1の保持容量の容量値は、前記表示電圧を1サブフィールドの期間において一定に維持することができない容量値に設定され、前記第2の保持容量の容量値は前記第1の保持容量(C3)の容量値よりも大きく設定されている。
【0027】
本発明の画素回路は、第1および第2の保持容量と、それらの保持容量の電気光学素子に対する接続状態を切換えるための少なくとも一つのスイッチ素子と、を有している。保持容量の電気光学素子への接続を、スイッチ素子を用いて切換えることによって、電気光学素子に印加される電圧の波形を変化させ、電気光学素子の微小応答を積極的に生じさせて、表示の多階調化を効率的に達成する。また、スイッチ素子のオン/オフのパターンを固定化すれば、スイッチ素子のオン/オフ制御を行い易くなり、本発明の駆動方式の採用が容易となる。
【0028】
また、本発明の画素回路の一態様は、1フィールドを時間軸上で複数のサブフィールドに分割し、前記サブフィールドを画素の駆動の制御単位とし、かつ、前記画素を構成する電気光学素子にオン電圧を印加した場合に前記電気光学素子の透過率が飽和するまでの飽和応答時間およびオフ電圧を印加した場合に前記電気光学素子の透過率が飽和状態から非透過状態に移行するまでの非透過応答時間よりも、前記サブフィールドの期間を短く設定し、これによって前記サブフィールド数を超える多階調表示を実現する電気光学装置に用いられる画素回路であって、一端がデータ線に接続され、かつ走査線によってオン/オフが制御される画素選択トランジスタと、前記画素選択トランジスタを経由して書き込まれる表示電圧に基づいて光透過率が変化する電気光学材料からなる電気光学素子と、前記表示電圧を一時的に保持するための、一端が前記電気光学素子の一端に接続された、少なくとも一つの第1の保持容量と、前記表示電圧を一時的に保持するための、少なくとも一つの第2の保持容量と、前記第2の容量素子の一端を前記電気光学素子の前記一端に電気的に接続するか否かを切換えるために設けられ、前記容量切換え制御信号によってオン/オフが制御されるスイッチ素子と、を有し、前記第1の保持容量の容量値は、前記表示電圧を1サブフィールド期間において維持することができない容量値に設定され、前記第2の保持容量の容量値は前記第1の保持容量の容量値よりも大きく設定され、かつ、前記第1および第2の保持容量の保持容量の合計の容量値は、前記表示電圧を前記1サブフィールドの期間において一定に維持することができる容量値に設定されている。
【0029】
第1の保持容量を単独で使用するか、第1および第2の保持容量の双方を使用するかを切換える場合の画素回路の構成を明らかとしたものである。
【0030】
また、本発明の電気光学装置は、本発明の画素回路と、前記走査線を駆動すると共に、前記容量切換え制御信号を前記画素回路に供給する走査線駆動回路と、前記データ線を経由して前記画素回路に前記表示電圧を供給するデータ線駆動回路と、1フィールドを分割したサブフィールドを制御単位としたデジタル駆動によって所望階調の表示を行うために、表示階調に応じた2値データを生成して前記走査線駆動回路に供給するデータコーディング回路と、前記サブフィールドを制御単位としたデジタル駆動を実行するためのタイミング信号を生成して前記走査線駆動回路、前記データ線駆動回路および前記データコーディング回路の各々に供給すると共に、前記容量切換え制御信号を出力するために必要なタイミング情報を前記走査線駆動回路に与えるタイミング生成回路と、を有する。
【0031】
本発明の電気光学装置の全体の具体的な回路構成例を明らかとしたものである。走査線駆動回路は、走査線を駆動する機能と共に、スイッチ素子をオン/オフするための容量切換え制御信号を各画素に供給する働きをする。データ線駆動回路はデータ線を経由して各画素回路に表示電圧を供給する。表示電圧生成の基礎となる2値データは、データコーディング回路により生成される。各部の動作タイミングは、タイミング生成回路からのタイミング信号に基づいて制御され、また、容量切換え制御信号の電圧レベルの変化タイミングも、タイミング生成回路からのタイミング情報に基づいて決定される。
【0032】
また、本発明の電気光学装置の一態様では、前記容量切換え制御信号による容量切換えによって、前記1フィールドに含まれる複数の前記サブフィールドの内の、先頭のサブフィールドを含む連続した所定数のサブフィールドの期間が、前記第1の保持容量のみを使用する期間となる。
【0033】
サブフィールド駆動を用いた電気光学装置において、先頭のサブフィールドを含む連続した所定数のサブフィールドの期間を、第1の容量のみを使用する期間(細かな階調を刻む期間)とする点を明らかとしたものである。
【0034】
また、本発明の電気光学装置の他の態様では、前前記容量切換え制御信号による容量切換えによって、前記第1の保持容量のみを使用する期間が、前記1フィールドの期間中に分散される。
【0035】
第1の容量のみを使用する期間(細かな階調を刻む期間)が、1フィールド中において分散して設けられることもあることを明らかとしたものである。
【0036】
また、本発明の電気光学装置の他の態様では、前記電気光学装置は液晶装置である。
【0037】
本発明が適用される電気光学装置の代表的な例として、液晶装置があげられる点を明らかとしたものである。
【0038】
また、本発明の電子機器は、本発明の電気光学装置を搭載する。
【0039】
本発明によれば、サブフィールド数を増やすことなく、より細かな(高分解能の)階調表示を実現することができる。例えば、ホームシアターに用いられる反射型液晶を用いたプロジェクタ(光投射型の液晶表示装置)に本発明を適用することによって、低消費電力でありながら、さらなる高精細画像の表示が可能となり、電子機器の性能が向上する。
【0040】
このように、本発明によれば、サブフィールド駆動を用いた電気光学装置において、電気光学材料の種類とサブフィールド期間の時間長によって定まる分解能よりも、さらに細かい階調を刻むこと(すなわち、分解能のさらなる向上)を、サブフィールド数を増やすことなく実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
次に、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下に説明する本実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成のすべてが、本発明の解決手段として必須であるとは限らない。
【0042】
(第1の実施形態)
(本発明の原理)
以下の説明では、電気光学素子として液晶素子を利用した場合について説明する。
【0043】
図1(A)〜(C)は、本発明の、保持容量切換えによる微小過渡応答を利用したサブフィールド駆動方式の原理を説明するための図であり、(A)は、液晶素子に第1の保持容量を接続した画素回路を示し、(B)は液晶素子に第2の保持回路を接続した画素回路を示し、(C)は、(A),(B)各々に示される画素回路の動作を説明するためのタイミング図である。
【0044】
図1(A),(B)に示される液晶素子(LC)は、等間隔サブフィールド駆動(デジタル駆動)によって駆動され、これによって、所望階調の画像が表示されるものとする。
液晶素子(LC)には、画素の表示電圧(書込み電圧)を一時的に保持するための保持容量が設けられるが、本発明では、1画素中に複数の保持容量を設け、等間隔サブフィールド駆動中に、それらの保持容量の全部を使用するか、あるいは一部のみを使用するかを切り換えることによって、電気光学素子に印加される電圧波形を積極的に制御する。
【0045】
電気光学素子に印加される電圧の波形が微小に変化すれば、電気光学素子の応答もそれに従って微小な応答となる。その応答が、従来の1サブフィールド期間における最小応答よりもさらに微小であるならば、その微小応答は、より細かな階調を刻むために有効な応答となる。本発明では、その微小な応答を利用して、サブフィールド数を増加させずに、電気光学装置の階調特性(表示の分解能)を向上させる。
【0046】
図1(A)の第1の保持容量(C1)の容量値は、画素の印加電圧(表示電圧)を1サブフィールド期間にわたって一定に維持できないような小さな容量値に設定される。一方、図1(B)の第2の保持容量(C2)は、第1の保持容量の容量値よりも大きく設定されている。ここでは、説明の便宜のため、第2の保持容量(C2)単独で、画素電圧(表示電圧)を1サブフィールド期間において一定値に維持することができるものとする(但し、第1および第2の容量(C1,C2)の合計の容量値を、電圧を一定値に保つことが可能な容量値とすることもでき、この点は後述する)。本発明では、1フィールド期間中において、上述の第1および第2の保持容量(C1,C2)を切換えることによって、液晶素子(LC)に印加される電圧波形(実効電圧)を積極的に制御し、液晶の微小応答を利用して、従来の分解能よりも細かな階調を刻むことを可能とする。
【0047】
図1(C)では、1フィールド(1f)を6つのサブフィールド(Sf1〜Sf6)に分割し、各サブフィールド(Sf1〜Sf6)において、書込みパルス(GWRT)によって画素選択トランジスタ(図1では図示されない)をオンさせ、書込み電圧(表示電圧:VDATA)を画素回路に加える。
【0048】
図1(C)に示されるように、1サブフィールド期間において、書込みパルス(GWRT)が印加される期間が書込み期間T1であり、残りの期間が、保持容量によって書き込まれた電圧が維持される期間(保持期間)T2となる。
【0049】
また、書込み電圧(表示電圧)VDATAは時刻t1にローレベルからハイレベルに変化し、以後、時刻t7までハイレベルが維持される。
【0050】
ここで、図1(B)に示される画素回路(容量値が大きな第2の保持容量を用いた画素回路)における、液晶の応答について考察する。
【0051】
上述のとおり、第2の保持容量(C2)は単独で、1フィールド期間中、書込まれた電圧を維持することができるため、図1(C)の上から3番目の図に示されるように、画素容量C2を用いた場合の画素の印加電圧では、各サブフィールド(Sf1〜Sf6)において一定に保たれる。
【0052】
よって、図1(C)の中段に示されるように、液晶の透過率(保持容量C2を用いた場合)は、時刻t1から時刻t5にかけて徐々に上昇し、その後、飽和する。透過率のダイナミックレンジを“10”としたとき、透過率が飽和しないサブフィールド(Sf1〜Sf4)では、その透過率は、例えば、4/10,7/10,8/10,9/10というように変化する。上述のように、特許文献1の技術では、このような液晶の過渡応答を利用して、サブフィールド数以上の階調表示を可能としている。
【0053】
次に、図1(A)に示される画素回路(容量値が小さな第1の保持容量を用いた画素回路)における、液晶の応答について考察する。
【0054】
第1の保持容量(C1)は、容量値が小さく、画素の電圧を1サブフィールド期間において維持できない。このため、第1の保持容量(C1)のみを使用する場合には、図1(C)の下から2番目の図に示されるように、画素に対する表示電圧の書込み期間(T1)が終了すると、その直後から電圧は降下しはじめ、1サブフィールド期間内に電圧は0Vに戻ってしまう。したがって、1サブフィールド期間当たりで電気光学素子に印加される電圧(電圧の実効値)は、極めて小さくなる。
【0055】
この結果、図1(C)の最下段に示されるように、第1の保持容量(C1)のみを使用したときの液晶素子(LC)は、従来の1サブフィールド期間における最小応答よりも、さらに微小な応答を示す(透過率の変化は例えば、1/10程度となる)。本発明では、その微小応答を適宜、組み合わせて、従来実現できなかった、より細かな階調を刻む。
【0056】
本発明では、1フィールド期間内において、使用する保持容量を選択的に切換える。すなわち、第1の保持容量(C1)のみを使用するときは、従来の液晶素子(LC)の最小応答よりもさらに細かな微小応答を生じさせ、その微小応答を適宜、組み合わせて、従来実現できなかったより細かな階調を刻む。
【0057】
一方、第2の保持容量(C2)の保持容量を、第1の保持容量(C1)の容量値よりも大きく設定し、第2の保持容量(C2)単独で(あるいは、第1および第2の保持容量の双方を用いて)、画素電圧を1サブフィールド期間において一定値に維持することができるようにしておき、この場合には、各サブフィールド期間における過渡応答特性を利用して、特許文献1に記載される技術と同様の多階調表示を行う。
【0058】
最終的な画素の階調は、1フィールド内に含まれる複数のサブフィールド(Sf1〜Sf6)の各々において、液晶素子(LC)が示した各応答を総合することによって一義的に定まる。上述のとおり、第1の保持容量(C1)のみを用いるサブフィールド期間においては、従来の分解能よりも細かな階調を刻むことができるため、サブフィールド数を増やすことなく、表示可能な階調数を効果的に増大させることができ、より高精細な画像表示が可能となる。
【0059】
なお、第1および第2の保持容量(C1,C2)は各々、複数の容量で構成されてもよいが、その場合は、それらの容量の合成容量を、上述の条件を満たすように設定する。
【0060】
(画素回路の構成)
図2(A),(B)は各々、本発明の画素回路の構成例を示す図である。図2(A)では、液晶素子(LC)に並列に第1および第2の保持容量(C1,C2)を設け、第1および第2の保持容量(C1,C3)の各々の、液晶素子(LC)への接続を、スイッチ素子(SW1,SW2)によって切換える。
【0061】
スイッチ素子(SW1.SW2)は相補的にオンする。上述のとおり、第1の保持容量(C1)の容量値は、画素の電圧(表示電圧)を1サブフィールド期間にわたって維持できないほど小さく設定されており、第2の保持容量(C2)の容量値は、第2の保持容量単独で、画素の電圧(表示電圧)を1サブフィールド期間にわたって維持できる容量に設定されている。
【0062】
図2(A)において、スイッチ素子(SW1)が閉状態となると、第1の保持容量(C1)の一端が液晶素子(LC)の一端に電気的に接続される。また、スイッチ素子(SW2)が閉状態となると、第2の保持容量(C2)の一端が液晶素子(LC)の一端に電気的に接続される。なお、液晶素子(LC)の他端と、第1および第2の保持容量(C1,C2)の他端は共通接続され、共通電位(Vcom:液晶の共通基板電位であり、例えば、グランド)に接続される。
【0063】
図2(B)では、スイッチ素子(SW2)のみを使用し、また、第2の保持容量として容量C3を使用する。図2(B)における第2の保持容量(C3)は、その容量値が、第1の保持容量(C1)よりも大きい点において図2(A)と共通する。但し、図2(B)の第2の保持容量(C3)の容量値は、単独で、画素の電圧を1サブフィールド期間にわたって維持するには十分とはいえない容量値に設定されており、かつ、第1の保持容量(C1)との合計の容量値(C1+C3の容量値)が、画素の電圧を1サブフィールド期間にわたって維持することができる値に設定されている。
【0064】
図2(B)の画素回路では、第1の保持容量(C1)は、液晶素子(LC)に常時接続されているため、その分だけ、第2の保持容量(C2)の容量値を小さくすることができる。つまり、従来の保持容量を、2つの容量(C1とC3)に分割しているだけであるため、保持容量の全体の占有面積は増加しない。また、図2(B)の画素回路では、スイッチ素子が一つですみ(スイッチ素子SW2だけでよく)、画素回路の構成が簡素化され、かつ、スイッチ素子のオン/オフ制御を行うための制御線も1本ですむといった利点がある。
【0065】
図3は、図2(B)に示される画素回路の、より具体的な回路構成を示す回路図である。図示されるように、画素回路は、画素選択トランジスタ(NMOSトランジスタ)M1と、スイッチ素子としての容量切換えトランジスタM2(NMOSトランジスタであり、図2(B)のスイッチ素子SW2に相当する)と、第1および第2の容量(C1,C3)によって構成される。
【0066】
画素選択トランジスタ(M1)は、ゲートが走査線(WL1)に接続され、一端(ソースまたはドレイン)がデータ線(DL)に接続される。画素選択トランジスタ(M1)のオン/オフは、走査線(WL1)に印加される書込みパルス(GWRT)によって制御される。画素選択トランジスタ(M1)がオン状態のとき、データ線(DL)を経由して与えられる表示電圧(書込み電圧)VDATAが液晶素子LCに印加される。
【0067】
また、容量切換えトランジスタ(M2)のゲートは、容量切換えのための制御線(WL2)に接続されており、容量切換えトランジスタ(M2)のオン/オフは、制御線(WL2)を経由して与えられる容量切換え信号(GSEL)によって制御される。
【0068】
図4は、図3の画素回路を用いた液晶装置における駆動方法の概要を説明するためのタイミング図である。液晶装置における表示部には、図3に示されるような画素回路がマトリクス状に配置される。ここでは、走査線の数を1000本として説明する。
【0069】
図4に示されるように、1フィールド(1f)は、16個のサブフィールド(Sf1〜Sf16)に分割されており、各サブフィールド(Sf1〜Sf16)においては、1000本の走査線(ライン1〜ライン1000)が線順次で駆動される。すなわち、各走査線には、1サブフィールドに1回、書込みパルス(GWRT)が印加されることになる。
【0070】
図4では、1000本の走査線のうちの、1ライン目の走査線に接続される一つの画素回路に着目し、その動作状態の変化を時系列的に示している。
【0071】
図示されるように、書込みパルス(GWRT)は、各サブフィールド(Sf1〜Sf16)の開始タイミングで入力され、その書込みパルス(GWRT)が入力されている期間(T1)が書込み期間であり、残りの期間(T2)が保持期間(すなわち、保持容量に蓄積された電荷による電圧が液晶素子に印加される期間)である。
【0072】
容量切換え制御信号(GSEL)は、最初の3つのサブフィールド(Sf1〜Sf3)においてローレベルとなり、この期間(時刻t1〜t4)において、図3の容量切換えトランジスタM2がオフする。したがって、この期間(t1〜t4)においては、図3の第1の保持容量(C1)のみが使用されることになる。
【0073】
また、後続のサブフィールド(Sf4〜Sf16)では、容量切換え制御信号(GSEL)はハイレベルとなり、この期間(時刻t4〜t17)においては、図3の容量切換えトランジスタM2がオンする。したがって、この期間(t4〜t17)においては、図3の第1および第2の保持容量(C1,C3)の双方が使用されることになる。容量切換え制御信号(GSEL)の電圧パターンは、制御の容易性を考慮して固定されているものとする(但し、これに限定されるものではなく、動的に電圧パターンを変更することもあり得る)。
【0074】
ここで、注目すべき点は、先頭のサブフィールドを含む連続した3つのサブフィールド(Sf1〜Sf3)の期間が、微小応答による細かな階調を刻む期間(第1の保持容量C1のみを使用する期間)となっている点である。
【0075】
すなわち、第1の容量(C1)のみを使用する期間は、液晶素子(LC)の微小応答を利用した、従来方式では実現できなかった、より細かな階調を刻む期間であり、この期間を、1フィールド中においてどのように設けるかは重要な問題である。まず、微小応答を実現する期間があまりに長すぎると、結果的に表示可能な最大輝度が低下してしまうため、その期間は所定数に限定する必要がある。また、電気光学素子が微小応答を行う期間を連続させ、従来どおりの階調を刻む期間と区別した方が、電気光学素子の応答同士の干渉が少なくなる。また、1フィールドの冒頭に、従来どおりの階調を刻むための区間を設けると、その区間における大きな透過率の変動の影響が、後続の微小応答の区間に悪影響を与える場合がないとはいえない。このような考察から、先頭のサブフィールドを含む連続した所定数(図4では、所定数=3)のサブフィールドの期間を、微小応答による細かな階調を刻む期間(第1の保持容量C1のみを使用する期間)としたものである。
【0076】
また、図4において、データ線(DL)を介して与えられる表示電圧(書込み電圧)VDATAは、時刻t1〜t2においてハイレベルであり、時刻t3〜t6においてローレベルとなり、時刻t6〜t12においてハイレベルとなり、時刻t12〜t17においてローレベルとなる。
【0077】
1ライン目の画素回路における、画素に印加される電圧は、図4の下から2番目に記載されるとおりとなる。すなわち、サブフィールド(Sf1,Sf2)の期間(時刻t1〜t3)では、第1の保持容量(C1)の容量値が小さいため、書込み期間T1が終了すると、保持電圧はすぐに下降し、1サブフィールド期間内においてローレベル(0V)となるような微小応答波形となる。
【0078】
したがって、液晶素子(LC)に印加される電圧の実効値が微小となり、図4の最下段に示されるように、液晶素子(LC)の透過率の変化(液晶の応答)が微小である。この微小応答による透過率の微小変化を細かな階調を刻むための1単位として利用し、その微小応答を、所望のサブフィールド分だけ(ただし、図4の場合には、最初のサブフィールドSf1〜Sf3の期間内という制限が課せられる)積算することによって、所望の細かな階調の表示が可能となる。
【0079】
時刻t6〜t12における1ライン目の画素の印加電圧ならびに液晶の応答特性は、特許文献1に記載されるものと同様である。
【0080】
(電気光学装置の全体構成と動作)
図5は、本発明の電気光学装置(ここでは、液晶装置)の全体の具体的な構成を示すブロック図である。図示されるように、液晶装置は、画素部101と、タイミング生成回路201と、データコーディング回路301と、フィールドメモリ310と、走査線駆動回路401と、データ線駆動回路500と、を有する。画素部101には、複数の画素110がマトリクス状に配置される。
【0081】
走査線駆動回路401は、書込みパルス(G1〜Gn)によって、走査線(WL1)を駆動する機能と共に、スイッチ素子をオン/オフするための容量切換え制御信号(GSEL1〜GSELn)を各画素110に供給する働きをする。走査線の書込みパルス(G1〜Gn)は、前掲の図面の書込みパルス(GWRT)に相当する。
【0082】
また、データ線駆動回路500は、データ線(DL)を経由して各画素110に表示電圧(書込み電圧)d1〜dnを供給する。d1〜dnは、前掲の図のVDATAに相当する。
【0083】
表示電圧(d1〜dn)の生成の基礎となる2値データ(Ds)は、データコーディング回路301により生成される。各部の動作タイミングは、タイミング生成回路201から出力される各種のタイミング信号に基づいて制御され、また、容量切換え制御信号(GSEL1〜GSELn)の電圧レベルの変化タイミングも、タイミング生成回路201からのタイミング情報(TGsel)に基づいて決定される。
【0084】
タイミング信号生成回路201は、上位装置(不図示)から供給される垂直同期信号Vs、水平同期信号Hs、ドットクロック信号DCLK等のタイミング信号に従って、極性反転信号FR、走査スタートパルスDY、走査側転送クロックCLY、データイネーブル信号ENBX、データ転送クロックCLX、データ転送スタートパルスDDS、サブフィールド識別信号SFを生成する。各信号の機能を以下に説明する。
【0085】
極性反転信号FRは、1フィールド毎に極性が反転する信号である。走査スタートパルスDYは、各サブフィールドの最初に出力されるパルス信号であり、これが走査線駆動回路401に入力されることにより、走査線駆動回路401は書込みパルス(G1〜Gn)を出力する。走査側転送クロックCLYは、走査側(Y側)の走査速度を規定する信号であり、書込みパルス(G1〜Gn)はこの転送クロックに同期して走査線毎送られる。
【0086】
データイネーブル信号ENBXは、データ線駆動回路500中にあるシフトレジスタに蓄えられたデータを水平画素数分並列に出力させるタイミングを決定するものである。データ転送クロックCLXは、データ線駆動回路500ヘデータを転送するためのクロック信号である。サブフィールド識別信号SFは、そのパルス(サブフィールド)が何番目のパルスであるかを、データコーディング回路301へ知らせるためのものである。
【0087】
TGselは、上述のとおり、容量切換え制御信号(GSEL1〜GSELn)の生成の基礎となるタイミング情報である。
【0088】
データコーディング回路301では、表示データを2値化する際に、1フィールドのうちのどのサブフィールドであるかを認識する必要がある。本実施の形態では、タイミング信号生成回路201で、走査スタートパルスDYを計数し、その結果をサブフィールド識別信号SFとしてデータコーディング回路301に向けて出力するようになっている。データコーディング回路301は、このサブフィールド識別信号SFによりサブフィールドを認識する。
【0089】
データコーディング回路301に接続されるフィールドメモリ310には、例えば、2フィールド分の表示データを蓄えられる分の容量が設けられている。ここで、第1のフィールドメモリは、外部より入力される表示データが書き込まれるメモリであり、第2のフィールドメモリは1フィールド前に入力された表示データが格納されているメモリである。フィールドメモリ310は、第1のフィールドメモリに外部から人力されている表示データが書き込まれている間に、データコーディング回路301が第2のフィールドメモリにアクセスし、各画素の表示データが読み出されるようになっている。第1のフィールドメモリと第2のフィールドメモリの役割は、フィールド毎に交換される。
【0090】
(第2の実施形態)
図6は、本発明のサブフィールド駆動方式の他の例を示すタイミング図である。上述のように、微小応答による細かな階調を刻む期間(第1の保持容量C1のみを使用する期間)は、先頭のサブフィールドを含む連続した所定数のサブフィールドの期間とするのが望ましいが、これに限定されるものではない。すなわち、微小応答による細かな階調を刻む期間(第1の保持容量C1のみを使用する期間)を1フィールド(1f)中に分散させる場合もあり得る。
【0091】
図6では、1ライン目の画素の容量切換え信号(GSEL)がローレベルとなる期間が、時刻t1〜t2の期間と、時刻t3〜t5の期間に分割されている。図6では、先頭のサブフィールドを含む連続した4つのサブフィールド(Sf1〜Sf4)の期間(時刻t1〜時刻t5)を、第1の保持容量(C1)のみを使用することが許容される期間として設定しておき、その期間内において、実際に第1の保持容量(C1)のみが使用される期間を、意図的に分散させて、電気光学素子の過渡応答を微妙に変化させ、階調表示のバリエーションを豊富化している。ただし、図6の例に限定されるものではなく、上記の期間を、1フィールド中において自由に分散させて設けることもできる。
【0092】
(第3の実施形態)
本実施形態では、本発明の電気光学装置を搭載した電子機器の例について説明する。
【0093】
(プロジェクタ)
まず、本発明の電気光学装置をライトバルブとして用いたプロジェクタについて説明する。図7は、本発明の電気光学装置(反射型液晶装置)を搭載したプロジェクタの全体構成を示す図である。図示されるように、プロジェクタ1100内部には、偏光照明装置1110がシステム光軸PLに沿って配置されている。この偏光照明装置1110において、ランプ1112からの出射光は、リフレクタ1114による反射で略平行な光束となって、第1のインテグレータレンズ1120に入射する。これにより、ランプ1112からの出射光は、複数の中間光束に分割される。この分割された中間光束は、第2のインテグレータレンズを光入射側に有する偏光変換素子1130によって、偏光方向が略々揃った一種類の偏光光束(s偏光光束)に変換されて、偏光照明装置1110から出射される。
【0094】
偏光照明装置1110から出射されたs偏光光束は、偏光ビームスプリッタ1140のs偏光光束反射面1141によって反射される。この反射光束のうち、青色光(B)の光束がダイクロイックミラー1151の青色光反射層にて反射され、反射型の電気光学装置100Bによって変調される。また、ダイクロイックミラー1151の青色光反射層を透過した光束のうち、赤色光(R)の光束は、ダイクロイックミラー1152の赤色光反射層にて反射され、反射型の液電気光学装置100Rによって変調される。
【0095】
一方、ダイクロイックミラー1151の青色光反射層を透過した光束のうち、緑色光(G)の光束は、ダイクロイックミラー1152の赤色光反射層を透過して、反射型の電気光学装置100Gによって変調される。
【0096】
このようにして、電気光学装置100R、100G、100Bによってそれぞれ色光変調された赤色、緑色、青色の光は、ダイクロイックミラー1152、1151、偏光ビームスプリッタ1140によって順次合成された後、投射光学系1160によって、スクリーン1170に投射されることとなる。なお、電気光学装置100R、100Bおよび100Gには、ダイクロイックミラー1151、1152によって、R、G、Bの各原色に対応する光束が入射するので、カラーフィルタは必要ない。
【0097】
上述のとおり、本発明の電気光学装置(100R、100G、100B)は、サブフィールド数を増加させることなく、より細かな階調表現が可能である。よって、図7のプロジェクタは、低消費電力性を維持しつつ、より高精細な画像表示が可能であり、例えば、ホームシアター用のプロジェクタとして有用である。
【0098】
なお、上述の例では反射型の電気光学装置を用いたが、透過型表示の電気光学装置を用いたプロジェクタとすることもできる。
【0099】
(モバイル型コンピュータ)
次に、本発明の電気光学装置を、モバイル型のパーソナルコンピュータに適用した例について説明する。図8は、本発明の電気光学機器を搭載したパーソナルコンピュータの構成を示す斜視図である。
【0100】
図8において、コンピュータ1200は、キーボード1202を備えた本体部1204と、表示ユニット1206とから構成されている。この表示ユニット1206は、先に述べた電気光学装置100の前面にフロントライトを付加することにより構成されている。なお、この構成では、電気光学装置100を反射直視型として用いることになるので、画素電極118において、反射光が様々な方向に散乱するように、凹凸が形成される構成が望ましい。
【0101】
上述のとおり、本発明の電気光学装置は、サブフィールド数を増加させることなく、より細かな階調表現が可能である。よって、図10のモバイル型コンピュータは、低消費電力性を維持しつつ、従来に比べて高精細な画像表示が可能である。
【0102】
(携帯端末)
図9は、本発明の電気光学装置を搭載した携帯端末(ここでは、携帯電話端末とする)の構成を示す斜視図である。同図において、携帯電話1300は、複数の操作ボタン1302のほか、受話口1304、送話口1306と共に、電気光学装置100を備えるものである。この電気光学装置100にも、必要に応じてその前面にフロントライトが設けられる。また、この構成でも、電気光学装置100が反射直視型として用いられることになるので、画素電極118に凹凸が形成される構成が望ましい。
【0103】
上述のとおり、本発明の電気光学装置は、サブフィールド数を増加させることなく、より細かな階調表現が可能である。よって、図9の携帯端末は、低消費電力性を維持しつつ、従来に比べて高精細な画像表示が可能である。
【0104】
なお、本発明は、その他の電子機器(例えば、液晶テレビや、ビューファインダ型、モニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた機器等)にも適用が可能である。
【0105】
以上、本発明の実施形態を参照して本発明の内容を説明したが、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、多くの変形が可能であることは、当業者には容易に理解できるであろう。したがって、このような変形例は、すべて本発明に含まれるものとする。例えば、電気光学材料としては、電圧印加によって透過率が変化する材料を広く利用することができる。また、第1および第2の保持容量の各々を複数の容量で構成することや、スイッチ素子を、トランジスタではなくダイオードで構成するといった変形がなされた画素回路は、すべて本発明の技術範囲に含まれる。
【0106】
以上説明したように、本発明の実施形態によれば、以下の主要な効果を得ることができる。但し、以下のすべての効果が同時に得られるとは限らず、以下の効果の記載が、本発明を不当に限定する根拠とされてはならない。
(1)使用する保持容量を、サブフィールドを単位として切換え、電気光学材料に微小な電圧を印加し、電気光学材料に細かな微小応答を生じさせ、その微小応答を積極的に利用することによって、サブフィールド数を増やすやことなく(回路の負担を極端に増大させることなく)、従来にない精緻な階調特性を実現することが可能となる。
(2)本発明は、基本的には、画素回路における保持容量の容量値を最適化すると共に、スイッチ素子を追加することによって実現することができる。特に、第1の保持容量の容量値を小さく設定し、第1および第2の保持容量の合計の容量値を画素の表示電圧を維持できる容量値に設定する実施態様を採用する場合、保持容量の全体の占有面積は従来と変わらず、スイッチ素子も1個ですみ、そのスイッチ素子のオン/オフを制御するための構成も簡単化される。
(3)先頭のサブフィールドを含む連続した所定数(例えば、所定数=3)のサブフィールドの期間を、微小応答による細かな階調を刻む期間(第1の保持容量のみを使用する期間)とすることによって、表示可能な最大輝度の低下を最小限に抑え、かつ、電気光学材料の応答に起因する悪影響を最小化しつつ、従来方式では実現できなかったより細かな階調を正確に刻むことを実現することができる。
(4)また、第1の保持容量のみを使用する期間を、1フィールド中で分散させること(例えば、先頭のサブフィールドを含む連続した所定数のサブフィールドの期間を、第1の保持容量のみを使用することが許容される期間としておき、その期間内において、実際に第1の保持容量のみが使用される期間を、意図的に分散させること)によって、電気光学素子の過渡応答を微妙に変化させ、階調表示のバリエーションを豊富化する、というような応用も可能である。
(5)また、各画素回路のスイッチ素子のオン/オフのパターンを固定することによって、スイッチ素子の開閉制御が容易化される。
(6)例えば、ホームシアターに用いられる反射型液晶を用いたプロジェクタ(光投射型の液晶表示装置)に本発明を適用することによって、低消費電力でありながら、さらなる高精細画像の表示が可能となり、電子機器の性能が向上する。
(7)本発明によって、サブフィールド駆動を用いた電気光学装置において、電気光学材料の種類とサブフィールド期間の時間長によって定まる分解能よりも、さらに細かい階調を刻むこと(すなわち、分解能のさらなる向上)を、サブフィールド数を増やすことなく実現することができる。このことは、サブフィールド駆動方式の適用可能範囲を拡大することにつながる。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】(A)〜(C)は各々、本発明の保持容量切換えによる微小過渡応答を利用したサブフィールド駆動方式の原理を説明するための図であり、(A)は、液晶素子に第1の保持容量を接続した画素回路を示し、(B)は液晶素子に第2の保持回路を接続した画素回路を示し、(C)は、(A),(B)各々に示される画素回路の動作を説明するためのタイミング図である。
【図2】(A),(B)は各々、本発明の画素回路の構成例を示す図である。
【図3】図2(B)に示される画素回路の、より具体的な回路構成を示す回路図である。
【図4】図3の画素回路を用いた電気光学装置(液晶装置)における駆動方法の概要を説明するためのタイミング図である。
【図5】本発明の電気光学装置(例えば、液晶装置)の全体の具体的な構成を示すブロック図である。
【図6】本発明の、保持容量切換えによる微小過渡応答を利用したサブフィールド駆動方式の他の例を示すタイミング図である。
【図7】本発明の電気光学装置(反射型液晶装置)を搭載したプロジェクタの全体構成を示す図である。
【図8】本発明の電気光学機器を搭載したパーソナルコンピュータの構成を示す斜視図である。
【図9】本発明の電気光学装置を搭載した携帯端末(ここでは、携帯電話端末とする)の構成を示す斜視図である。
【図10】(A)〜(D)の各々は、特許文献1に記載される技術を説明するための図(特許文献1の図24の内容と同じ)である。
【符号の説明】
【0108】
101 画素部 201 タイミング信号生成回路、301 データコーディング回路、
310 フィールドメモリ、401 走査線駆動回路、500 データ線駆動回路、
C1(C3) 第1の保持容量、C2(C4) 第2の保持容量、
LC 電気光学素子(液晶素子)、SW1(SW2) スイッチ素子、
M1 画素選択トランジスタ、M2 スイッチ素子としてのトランジスタ、
DL データ線、WL1 走査線、WL2 トランジスタM2のオン/オフ制御線
GWRT 画素選択信号、
GSEL 容量切換え制御信号(M2のオン/オフ切換え信号)、
VDATA 書込み電圧(表示電圧)、Vcom 電気光学素子の共通基板電圧

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1フィールドを時間軸上で複数のサブフィールドに分割し、前記サブフィールドを画素の駆動の制御単位とし、かつ、前記画素を構成する電気光学素子にオン電圧を印加した場合に前記電気光学素子の透過率が飽和するまでの飽和応答時間およびオフ電圧を印加した場合に前記電気光学素子の透過率が飽和状態から非透過状態に移行するまでの非透過応答時間よりも、前記サブフィールドの期間を短く設定し、これによって前記サブフィールド数を超える多階調表示を実現する電気光学装置の駆動方法であって、
前記画素の表示電圧を保持するための保持容量として、少なくとも一つの第1の保持容量と、少なくとも一つの第2の保持容量と、を設けると共に、前記第1の保持容量の容量値は前記表示電圧を1サブフィールドの期間において一定に維持することができない容量値に設定し、
前記第2の保持容量の容量値を前記第1の保持容量の容量値よりも大きく設定し、
前記1フィールドの期間内において、使用する保持容量を選択的に切換える、ことを特徴とする電気光学装置の駆動方法。
【請求項2】
請求項1記載の電気光学装置の駆動方法であって、
さらに、前記第1および第2の保持容量の合計の容量値を、前記表示電圧を前記1サブフィールドの期間において維持することができる容量値に設定し、
前記1フィールドの期間内において、使用する保持容量を選択的に切換え、これによって、前記複数のサブフィールドの内の一部のサブフィールドについては、前記第1の保持容量のみを使用し、その他のサブフィールドについては前記第1および第2の保持容量を使用する、ことを特徴とする電気光学装置の駆動方法。
【請求項3】
請求項2記載の電気光学装置の駆動方法であって、
前記電気光学素子の一端に前記第1の保持容量の一端を接続すると共に、前記電気光学素子と前記第2の保持容量と間にスイッチ素子を設け、前記スイッチ素子がオンしたときに前記第2の保持容量の一端が前記電気光学素子の前記一端に電気的に接続されるようにし、
前記スイッチ素子のオン/オフを容量切換え制御信号によって制御し、これによって、使用する保持容量を、前記サブフィールド単位で切換えることを特徴とする電気光学装置の駆動方法。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれかに記載の電気光学装置の駆動方法であって、
前記1フィールドに含まれる前記複数のサブフィールドの内の、先頭のサブフィールドを含む連続した所定数のサブフィールドの期間を、前記第1の保持容量のみを使用する期間とすることを特徴とする電気光学装置の駆動方法。
【請求項5】
請求項1〜請求項3のいずれかに記載の電気光学装置の駆動方法であって、
前記第1の保持容量のみを使用する期間を、前記1フィールドの期間中で分散させることを特徴とする電気光学装置の駆動方法。
【請求項6】
1フィールドを時間軸上で複数のサブフィールドに分割し、前記サブフィールドを画素の駆動の制御単位とし、かつ、前記画素を構成する電気光学素子にオン電圧を印加した場合に前記電気光学素子の透過率が飽和するまでの飽和応答時間およびオフ電圧を印加した場合に前記電気光学素子の透過率が飽和状態から非透過状態に移行するまでの非透過応答時間よりも、前記サブフィールドの期間を短く設定し、これによって前記サブフィールド数を超える多階調表示を実現する電気光学装置に用いられる画素回路であって、
一端がデータ線に接続され、かつ走査線によってオン/オフが制御される画素選択トランジスタと、
前記画素選択トランジスタを経由して書き込まれる表示電圧に基づいて光透過率が変化する電気光学材料からなる電気光学素子と、
前記表示電圧を一時的に保持するための、少なくとも一つの第1の保持容量と、
前記表示電圧を一時的に保持するための、少なくとも一つの第2の保持容量と、
前記第1および第2の保持容量の少なくとも一つについて、前記電気光学素子への電気的な接続/非接続を切換えるために設けられ、容量切換え制御信号によってオン/オフが制御される少なくとも一つのスイッチ素子と、
を有し、前記第1の保持容量の容量値は、前記表示電圧を前記1サブフィールドの期間において一定に維持することができない容量値に設定され、前記第2の保持容量の容量値は前記第1の保持容量の容量値よりも大きく設定されている、
ことを特徴とする画素回路。
【請求項7】
1フィールドを時間軸上で複数のサブフィールドに分割し、前記サブフィールドを画素の駆動の制御単位とし、かつ、前記画素を構成する電気光学素子にオン電圧を印加した場合に前記電気光学素子の透過率が飽和するまでの飽和応答時間およびオフ電圧を印加した場合に前記電気光学素子の透過率が飽和状態から非透過状態に移行するまでの非透過応答時間よりも、前記サブフィールドの期間を短く設定し、これによって前記サブフィールド数を超える多階調表示を実現する電気光学装置に用いられる画素回路であって、
一端がデータ線に接続され、かつ走査線によってオン/オフが制御される画素選択トランジスタと、
前記画素選択トランジスタを経由して書き込まれる表示電圧に基づいて光透過率が変化する電気光学材料からなる電気光学素子と、
前記表示電圧を一時的に保持するための、一端が前記電気光学素子の一端に接続された、少なくとも一つの第1の保持容量と、
前記表示電圧を一時的に保持するための、少なくとも一つの第2の保持容量と、
前記第2の容量素子の一端を前記電気光学素子の前記一端に電気的に接続するか否かを切換えるために設けられ、前記容量切換え制御信号によってオン/オフが制御されるスイッチ素子と、を有し、
前記第1の保持容量の容量値は、前記表示電圧を1サブフィールド期間において一定に維持することができない容量値に設定され、前記第2の保持容量の容量値は前記第1の保持容量の容量値よりも大きく設定され、かつ、前記第1および第2の保持容量の保持容量の合計の容量値は、前記表示電圧を前記1サブフィールドの期間において一定に維持することができる容量値に設定されている、
ことを特徴とする画素回路。
【請求項8】
請求項6または請求項7記載の画素回路と、
前記走査線を駆動すると共に、前記容量切換え制御信号を前記画素回路に供給する走査線駆動回路と、
前記データ線を経由して前記画素回路に前記表示電圧を供給するデータ線駆動回路と、
1フィールドを分割したサブフィールドを制御単位としたデジタル駆動によって所望階調の表示を行うために、表示階調に応じた2値データを生成して前記走査線駆動回路に供給するデータコーディング回路と、
前記サブフィールドを制御単位としたデジタル駆動を実行するためのタイミング信号を生成して前記走査線駆動回路、前記データ線駆動回路および前記データコーディング回路の各々に供給すると共に、前記容量切換え制御信号を出力するために必要なタイミング情報を前記走査線駆動回路に与えるタイミング生成回路と、
を有することを特徴とする電気光学装置。
【請求項9】
請求項8記載の電気光学装置であって、
前記容量切換え制御信号による容量切換えによって、前記1フィールドに含まれる複数の前記サブフィールドの内の、先頭のサブフィールドを含む連続した所定数のサブフィールドの期間が、前記第1の保持容量のみを使用する期間となることを特徴とする電気光学装置。
【請求項10】
請求項8記載の電気光学装置であって、
前記容量切換え制御信号による容量切換えによって、記第1の保持容量のみを使用する期間が、前記1フィールドの期間中に分散されることを特徴とする電気光学装置。
【請求項11】
請求項7〜請求項10のいずれかに記載の電気光学装置であって、
前記電気光学装置は液晶装置であることを特徴とする電気光学装置。
【請求項12】
請求項7〜請求項10のいずれかに記載の電気光学装置を搭載した電子機器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2008−151835(P2008−151835A)
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−336802(P2006−336802)
【出願日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】