説明

電気光学装置及び電子機器

【課題】回折光の混合によるコントラスト低下を抑制可能な電気光学装置及び電子機器を提供すること。
【解決手段】液晶装置は、第1の画像を構成する光を射出する画素4Lと、第2の画像を構成する光を射出する画素4Rとを有する。画素4の光射出部7の観察側には、開口部54Aを有する光学素子54が配置されている。開口部54Aは、画素4Lからの光を第1の表示角度範囲に通過させ、画素4Rからの光を第1の表示角度範囲と異なる範囲を含む第2の表示角度範囲に通過させる。画素4の光学素子54側には、平面視で光学素子54の開口部54Aの縁に沿う領域の少なくとも一部に形成された位相差層52が配置されている。位相差層52の、画素4とは反対側には、偏光板47が配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明に係る一態様は、電気光学装置及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
電気光学パネルに、開口部を有する遮光性の光学素子を重ねることで、2以上の異なる方向に異なる画像を指向性表示できることが知られている(例えば特許文献1)。図20は、指向性表示が可能な電気光学装置の模式断面図である。電気光学パネルとしての液晶パネル2の画素4L,4Rからは、それぞれ異なる画像の表示に寄与する光が射出される。以下では、画素4Lにより表示される画像を第1の画像、画素4Rにより表示される画像を第2の画像とも呼ぶ。液晶パネル2に対向する位置には、開口部54Aを有する光学素子54が配置されている。画素4Lから射出され、開口部54Aを通過した光は、図中左寄りに偏在する表示角度範囲3Lにおいて視認される。同様に、画素4Rから射出され、開口部54Aを通過した光は、図中右寄りに偏在する表示角度範囲3Rにおいて視認される。そして、表示角度範囲3Lのうち表示角度範囲VLでは、画素4Lからの光のみが視認され、表示角度範囲3Rのうち表示角度範囲VRでは、画素4Rからの光のみが視認される。よって、表示角度範囲VLでは第1の画像のみが視認され、表示角度範囲VRでは第2の画像のみが視認される。
【0003】
こうした指向性表示が可能な電気光学装置によれば、例えば、表示角度範囲VL,VRに異なる人物を位置させることにより、第1の画像と第2の画像とを当該異なる人物に同時に視認させることができる。あるいは、表示角度範囲VL,VRにそれぞれ左目、右目が位置するように構成すれば、第1の画像が左目に、第2の画像が右目に入射することとなるため、立体表示を行うことができる。
【0004】
【特許文献1】特許第3096613号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記構成においては、液晶パネル2から射出された光の一部が、光学素子54の開口部54Aを通過する際に回折し、適視範囲が狭まるという課題がある。すなわち、図20において、画素4Lから射出された光の一部は、開口部54Aの縁で回折して回折光9Ldとなり、本来の表示角度範囲3Lからはずれた位置に入射してしまう。同様に、画素4Rから射出された光の一部は、開口部54Aの縁で回折して回折光9Rdとなり、本来の表示角度範囲3Rからはずれた位置に入射してしまう。この結果、第1の画像のみ、又は第2の画像のみを視認できる表示角度範囲VL,VRが狭まってしまうという課題がある。また、第1の画像又は第2の画像の一方が暗表示、他方が明表示のとき、暗表示であるべき画像に他方の明表示画像の回折光が混合されて、表示のコントラストが低下するという問題点がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0007】
[適用例1]第1の画像を構成する光を射出する第1の画素と、第2の画像を構成する光を射出する第2の画素とを有する電気光学パネルと、前記第1の画素からの光を第1の表示角度範囲に通過させ、前記第2の画素からの光を前記第1の表示角度範囲と異なる範囲を含む第2の表示角度範囲に通過させる開口部を有する、前記第1の画素及び前記第2の画素の光射出側に配置された遮光性の光学素子と、前記第1の画素及び前記第2の画素の前記光学素子側に、平面視で前記光学素子の前記開口部の縁に沿う領域の少なくとも一部に形成された第1の位相差層と、前記第1の位相差層の、前記第1の画素及び前記第2の画素とは反対側に配置された第1の偏光板と、を備える電気光学装置。
【0008】
このような構成の電気光学装置によれば、第1の画像と第2の画像とを互いに異なる表示角度範囲に指向性表示することができる。ここで、第1の画素からの光の一部は、光学素子の開口部の縁において回折し、第2の画素からの光のみが視認されるべき表示角度範囲に進行する。同様に、第2の画素からの光の一部は、光学素子の開口部の縁において回折し、第1の画素からの光のみが視認されるべき表示角度範囲に進行する。これらの回折光は、光学素子の開口部の縁に沿う領域に形成された第1の位相差層を透過することにより、偏光状態が変化する。そして、第1の偏光板によれば、偏光状態が変化した当該回折光の少なくとも一部を遮光することができる。よって、上記構成によれば、不要な回折光を遮光することにより、第1の画像及び第2の画像の適視範囲が狭まる不具合を抑制することができる。また、不要な回折光によるコントラストの低下を抑制することができる。
【0009】
[適用例2]上記電気光学装置であって、前記第1の画素及び前記第2の画素は、少なくとも明表示を行う場合には、前記第1の画素及び前記第2の画素から直線偏光を射出する電気光学装置。
【0010】
このような構成によれば、明表示を行っている第1の画素又は第2の画素から射出され、第1の位相差層に入射する回折光が、直線偏光となる。このため、第1の位相差層によって、回折光の偏光状態を、第1の偏光板によって遮光される偏光状態に容易に変化させることができる。よって、より多くの回折光を遮光することができる。特に、明表示を行っている第1の画素又は第2の画素からの回折光が、暗表示を行っている表示角度範囲に入射してコントラストを低下させる不具合を、効果的に抑制することができる。
【0011】
[適用例3]上記電気光学装置であって、前記第1の偏光板の透過軸は、明表示の際に前記第1の画素及び前記第2の画素から射出される直線偏光の偏光軸に沿った方向に配置されており、前記第1の位相差層は、遅相軸が前記第1の偏光板の透過軸に対して平面視で略45度の角度をなす1/2波長板である電気光学装置。
【0012】
このような構成によれば、第1の画素又は第2の画素から射出され、第1の位相差層を透過せずに第1の偏光板に入射する直線偏光(すなわち回折光でない光)を、第1の偏光板からそのまま射出することができる。一方、第1の画素又は第2の画素から射出され、第1の位相差層に入射する回折光(直線偏光)は、第1の位相差層によって入射時と直交する偏光軸を有する直線偏光に変換され、第1の偏光板に吸収される。これにより、表示光を高効率で第1の偏光板から射出できるとともに、回折光を効果的に遮光することができる。
【0013】
[適用例4]上記電気光学装置であって、前記第1の位相差層は、前記光学素子の前記第1の画素及び前記第2の画素とは反対側の層、及び前記光学素子と同一の層の少なくとも一方に形成されている電気光学装置。
【0014】
このような構成によれば、回折光が入射する位置に第1の位相差層を配置することができる。
【0015】
[適用例5]上記電気光学装置であって、前記第1の位相差層は、前記光学素子の前記開口部の縁の全周に沿う領域に形成されている電気光学装置。
【0016】
このような構成によれば、開口部において回折する全ての回折光を第1の位相差層に入射させることができる。
【0017】
[適用例6]上記電気光学装置であって、前記第1の位相差層は、平面視で前記光学素子の前記開口部の縁をまたぐ領域に形成されている電気光学装置。
【0018】
このような構成によれば、平面視で開口部の縁の近傍の一定範囲に第1の位相差層が形成されることとなるため、回折光をより確実に第1の位相差層に入射させることができる。
【0019】
[適用例7]上記電気光学装置であって、前記第1の位相差層と同一の層の、平面視で前記開口部の少なくとも一部に重なる領域に、遅相軸が前記第1の位相差層とは異なる第2の位相差層が形成されている電気光学装置。
【0020】
このようにすれば、第2の位相差層によって、第1の画素又は第2の画素から射出され、光学素子の開口部を通過する光に対して光学補償を行うことができる。これにより、第1の画像及び第2の画像の表示品位を向上させることができる。
【0021】
[適用例8]上記電気光学装置であって、前記第2の位相差層の遅相軸は、前記第1の偏光板の透過軸に対して略平行又は略垂直である電気光学装置。
【0022】
このようにすれば、第2の位相差層によって、第1の画素又は第2の画素から射出され、光学素子の開口部を通過する光に対して好適な光学補償を行うことができる。
【0023】
[適用例9]上記電気光学装置であって、前記第1の画素及び前記第2の画素は、第2の偏光板を介して光を射出する電気光学装置。
【0024】
このような構成によれば、第1の画素及び第2の画素から射出される光を直線偏光とすることができる。このため、第1の位相差層によって、回折光の偏光状態を、第1の偏光板によって遮光される偏光状態に容易に変化させることができる。よって、より多くの回折光を遮光することができる。
【0025】
[適用例10]上記電気光学装置であって、前記第1の画素と前記第2の画素とが交互に配列された画素行を複数有し、前記開口部は、平面視で前記画素行のうち前記第1の画素と前記第2の画素との境界領域の少なくとも一部を含む領域に形成されるとともに、前記画素行に沿った一の方向について、前記第1の画素、前記開口部、前記第2の画素がこの順に並ぶ位置に配置されている電気光学装置。
【0026】
このような構成によれば、開口部は、第1の画素からの光を第1の表示角度範囲に通過させ、第2の画素からの光を第1の表示角度範囲と異なる範囲を含む第2の表示角度範囲に通過させることができる。よって、2つの画像を、互いに異なる2つの表示角度範囲に指向性表示することができる。
【0027】
[適用例11]上記電気光学装置であって、前記第1の位相差層は、前記光学素子の前記開口部の、前記画素行の延在方向に交差する縁に沿う領域に形成されている電気光学装置。
【0028】
このような構成によれば、画素行の延在方向に沿った進行方向成分を有する回折光を、第1の位相差層に入射させることができ、当該回折光の少なくとも一部を第1の偏光板によって遮光することができる。また、上記構成では、指向性表示される2つの画像の表示角度範囲は、画素行の延在方向に沿って分離される。こうした構成においては、回折光の混合は、光学素子の開口部の、画素行の延在方向に交差する縁において回折した回折光の影響が大きいため、上記構成によれば回折光の混合によるコントラストの低下や適視範囲の減少を効率的に抑制することができる。
【0029】
[適用例12]上記電気光学装置であって、前記画素行と交差する方向に配置され、前記第1の画素と前記第2の画素とが交互に配列された画素列を複数有する電気光学装置。
【0030】
このような構成によれば、第1の画素と第2の画素とが市松模様をなすように配置される。よって、光学素子の開口部も市松模様をなすように配置される。こうした配置によれば、第1の画像及び第2の画像の解像度の低下を抑制することができる。
【0031】
[適用例13]上記電気光学装置を搭載する電子機器。
【0032】
このような構成によれば、適視範囲が広く高コントラストな表示が可能な電子機器が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、図面を参照し、電気光学装置及び電子機器の実施形態について説明する。なお、以下に示す各図においては、各構成要素を図面上で認識され得る程度の大きさとするため、各構成要素の寸法や比率を実際のものとは適宜に異ならせてある。
【0034】
(第1の実施形態)
<A.電気光学装置の構成>
図1は、電気光学装置としての液晶装置1の構成を示す図であり、(a)は斜視図、(b)は(a)中のA−A線における断面図である。液晶装置1は、電気光学パネルとしての液晶パネル2と、液晶パネル2に対向して配置されたマスク基板50とを有している。以下では、液晶パネル2のマスク基板50側の方向を「観察側」とも呼び、マスク基板50とは反対側の方向を「背面側」とも呼ぶ。マスク基板50には、開口部54Aを有する遮光性の光学素子54(図2、図5)が形成されている。マスク基板50の観察側には偏光板47が配置され、液晶パネル2の背面側には偏光板46が配置されている。液晶パネル2は、素子基板10と、素子基板10の観察側に配置された対向基板30とを有している。素子基板10と対向基板30とは、枠状のシール剤41を介して貼り合わされている。素子基板10、対向基板30、シール剤41によって囲まれた空間には、液晶層40が配置されている。素子基板10上には、液晶層40を駆動するためのドライバIC42が配置されている。偏光板46の背面側には、バックライト49が配置されている。液晶装置1は、バックライト49から入射した光を変調し、観察側に透過させることによって、表示領域43において表示を行う。
【0035】
図2は、液晶装置1の表示領域43の拡大平面図である。この図は、液晶装置1を観察側から、より詳しくはマスク基板50の法線方向から見た図である。本明細書では、マスク基板50の法線方向から見ることを「平面視」とも呼ぶ。マスク基板50の法線方向をZ軸と定義する。また、図3(a)は、液晶パネル2の拡大平面図であり、図3(b)は、マスク基板50の拡大平面図である。図2は、図3(a)の液晶パネル2に図3(b)のマスク基板50を重ねた状態の平面図でもある。
【0036】
液晶パネル2は、マトリクス状に配置された、平面視で矩形の画素4r,4g,4bを有しており、これらはそれぞれ赤、緑、青の表示に寄与する(以下では、対応する色を区別しない場合には単に「画素4」とも呼ぶ)。画素4r,4g,4bは、一の方向にこの順に繰り返し配置されて、画素行5を構成している。画素4は、画素行5に直交する方向については、同一の色に対応する画素4が一列にストライプ状に並ぶように配置されて、画素列6を構成している。隣り合う画素4の間には、遮光性の樹脂からなる遮光層34が配置されている。平面視での画素4の領域は、遮光層34に囲まれた領域である。また、本明細書では、画素行5の延在方向をX軸、画素列6の延在方向をY軸と定義する。
【0037】
各画素4から射出される光は、第1の画像又は第2の画像のいずれかを構成する。第1の画像を構成する光を射出する画素4を画素4L、第2の画像を構成する光を射出する画素4を画素4Rとも呼ぶ。画素4L,4Rは、それぞれ第1の画素、第2の画素に対応する。画素4L,4Rは、画素行5に沿って交互に繰り返し配置されており、また画素列6に沿って交互に繰り返し配置されている。
【0038】
画素4の観察側には、マスク基板50に形成された光学素子54が位置している。光学素子54は遮光性を有しており、光学素子54に設けられた開口部54Aにおいては、光が通過するようになっている。図2、図3(b)中の網掛け部は、光学素子54の配置領域を表している。開口部54Aは、平面視で画素行5のうち画素4Lと画素4Rとの境界領域の少なくとも一部を含む領域に形成されている。ここで、画素4Lと画素4Rとの境界領域とは、本実施形態では画素4Lと画素4Rとの間に配置された遮光層34の形成領域である。開口部54Aの画素行5方向の幅は、遮光層34の幅より大きくなっている。また、開口部54Aは、−X方向に沿って、画素4L、開口部54A、画素4Rがこの順に並ぶような位置に配置されている。したがって、ある開口部54Aの+X方向には画素4Lが配置され、−X方向には画素4Rが配置されている。なお、−X方向に沿って画素4R,4Lがこの順に並んでいる部位には開口部54Aは設けられていない。
【0039】
画素4L,4Rは、画素行5に沿って交互に配置されているので、画素行5に沿った開口部54Aの配置ピッチは、画素4の配置ピッチの2倍となる。すなわち、開口部54Aは、画素行5に沿った方向については、1つおきの遮光層34に対応して配置されている。また、画素4L,4Rは、画素列6に沿って交互に配置されているので、画素列6に沿った開口部54Aの配置ピッチも、画素4の配置ピッチの2倍となる。すなわち、開口部54Aは、画素列6に沿った方向については、1つおきの画素行5に配置されている。したがって、画素行5、画素列6のいずれの方向についても、開口部54Aのなす列は、隣り合う列が互いに半ピッチずつずれるように配置されている。換言すれば、開口部54Aは、市松模様をなすように、チェック状に、又はモザイク状に配置されている。開口部54Aがこのような配置となることにより、第1の画像及び第2の画像の解像度の低下を抑制することができる。
【0040】
こうした構成によれば、図20に示すように、画素4Lから射出され、開口部54Aを通過した光は、−X方向に偏在する表示角度範囲3Lにおいて視認される。同様に、画素4Rから射出され、開口部54Aを通過した光は、+X方向に偏在する表示角度範囲3Rにおいて視認される。ここで、表示角度範囲3Rは、表示角度範囲3Lと異なる範囲を含む。したがって、開口部54Aは、第1の画素からの光を第1の表示角度範囲に通過させ、第2の画素からの光を第1の表示角度範囲とは異なる第2の表示角度範囲に通過させる。そして、表示角度範囲3Lのうち表示角度範囲VLでは、画素4Lからの光のみが視認され、表示角度範囲3Rのうち表示角度範囲VRでは、画素4Rからの光のみが視認される。よって、表示角度範囲VLでは第1の画像のみが視認され、表示角度範囲VRでは第2の画像のみが視認される。ただし、画素4Lから射出された光の一部は、開口部54Aの縁において回折して回折光9Ldとなり、表示角度範囲3Lを+X方向にはずれた位置に入射する。同様に、画素4Rから射出された光の一部は、開口部54Aの縁において回折して回折光9Rdとなり、表示角度範囲3Rを−X方向にはずれた位置に入射する。本実施形態の液晶装置1によれば、回折光9Ld,9Rdの一部を遮光することができるが、その詳細については後述する。このように、液晶装置1は、第1の画像及び第2の画像を互いに異なる表示角度範囲に指向性表示することができる。
【0041】
図4は、画素4の近傍の構成要素を拡大して示した平面図である。図5は、図4中のB−B線における断面図である。図4に示すように、画素4の行方向に沿ってゲート線12が形成されており、画素4の列方向に沿って、ソース線14が形成されている。ゲート線12とソース線14との交差に対応する位置には、半導体層20aを含む、スイッチング素子としてのTFT(Thin Film Transistor)素子20が形成されている。
【0042】
ゲート線12、ソース線14に囲まれた矩形の領域には、共通電極17、画素電極16が形成されている。共通電極17は、この矩形領域の略全面にわたって形成されている。共通電極17は、液晶パネル2の略全面に形成されていてもよい。画素電極16は、ゲート線12、ソース線14に囲まれた矩形の領域に形成されており、細長いくの字形状のスリット16Aが平行に多数設けられている。共通電極17は、図示しない定電位線に接続されており、画素電極16は、コンタクトホール25を介してTFT素子20のドレイン電極20dに接続されている。
【0043】
ゲート線12が選択電位となると、当該ゲート線12に接続されたTFT素子20がオン状態となる。TFT素子20がオン状態となっている期間においては、ソース線14に供給された画像信号が、TFT素子20を介して画素電極16に印加される。画素電極16に印加された所定のレベルの画像信号と、共通電極17の共通電位とで定まる電圧が駆動電圧となる。
【0044】
図5に示すように、素子基板10は、基板11を基体として構成される。基板11としては、ガラス基板や石英基板等を用いることができる。基板11の液晶層40側には、ゲート線12が形成されている。基板11と、ゲート線12との間には、さらに酸化シリコン(SiO2)、窒化シリコン(SiN)等からなる絶縁層が設けられていてもよい。ゲート線12の上層には、酸化シリコン(SiO2)、窒化シリコン(SiN)等からなるゲート絶縁層21を挟んで半導体層20aが形成されている。半導体層20aは、例えばアモルファスシリコンやポリシリコン等から構成することができる。また、半導体層20aに一部が重なる状態で、ソース電極20sとドレイン電極20dが形成されている。ソース電極20sは、ソース線14(図4)と一体で形成することができる。半導体層20a、ソース電極20s、ドレイン電極20d、ゲート線12等からTFT素子20が構成される。ゲート線12は、TFT素子20のゲート電極20gの役割を兼ねる。ゲート線12(ゲート電極20g)、ソース電極20s、ドレイン電極20d、ソース線14は、例えば、チタン(Ti)、クロム(Cr)、タングステン(W)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)等の高融点金属のうちの少なくとも一つを含む、金属単体、合金、金属シリサイド、ポリシリサイド、これらを積層したもの、あるいは導電性ポリシリコン等から構成することができる。なお、スイッチング素子としては、3端子のTFT素子20に代えて、2端子のTFD(Thin Film Diode)素子等を用いてもよい。
【0045】
TFT素子20の上層には、酸化シリコン(SiO2)、窒化シリコン(SiN)等からなる層間絶縁層22を挟んで、透光性を有するITO(Indium Tin Oxide)からなる共通電極17が形成されている。
【0046】
共通電極17上には、酸化シリコン(SiO2)、窒化シリコン(SiN)等からなる層間絶縁層23を挟んで、ITOからなる画素電極16が形成されている。画素電極16は、層間絶縁層22,23を貫通して形成されたコンタクトホール25を介してTFT素子20のドレイン電極20dに接続されている。また、画素電極16上には、ポリイミドからなる配向膜(不図示)が形成されている。素子基板10は、基板11から当該配向膜までの要素により構成される。
【0047】
共通電極17と画素電極16との間に駆動電圧が印加されると、画素電極16の上面から出て共通電極17の上面に至る(又は共通電極17の上面から出て画素電極16の上面に至る)電気力線を有する電界が発生する。このとき、液晶層40には、基板11に平行な成分を有する電界、すなわち横電界が生じる。液晶層40中の液晶分子40Aは、この横電界に従って基板11に平行な平面内で配向方向を変える。その結果、偏光板46,47の透過軸との相対角度が変化し、その相対角度に応じた偏光変換機能に基づいて表示が行われる。こうした液晶モードはFFS(Fringe Field Switching)モードと呼ばれ、液晶分子40Aが常に基板11に対して平行な状態で駆動されることに起因して、広い視野角が得られる。
【0048】
対向基板30は、基板31を基体として構成される。基板31は、基板11に対向して配置されている。基板31としては、ガラス基板や石英基板等を用いることができる。基板31の液晶層40側には、カラーフィルタ32が形成されている。カラーフィルタ32は、入射した光のうち特定の波長の光を吸収する部材であり、カラーフィルタ32によって透過光を所定の色(例えば赤、緑、又は青)とすることができる。カラーフィルタ32は、赤、緑、青の各色に対応する3種の色要素を含んで構成され、これらの色要素はそれぞれ画素4r,4g,4bに配置されている。ここで、カラーフィルタ32の上面は、各画素4において光が射出される、光射出部7となる。すなわち、図5の断面における画素4の占有領域は、光射出部7を観察側表面とする直方体である。
【0049】
カラーフィルタ32と同一の層には遮光層34が形成されている。遮光層34は、画素間領域からの光漏れを防止して表示のコントラストを向上させる役割を果たす。カラーフィルタ32及び遮光層34の表層には、ポリイミドからなる配向膜(不図示)が形成されている。なお、カラーフィルタ32及び遮光層34の上に、透光性を有する樹脂からなるオーバーコートを積層し、その上に配向膜を形成してもよい。対向基板30は、基板31から当該配向膜までの要素により構成される。
【0050】
素子基板10と対向基板30との間には、上述のように液晶層40が配置されている。素子基板10、対向基板30に形成された配向膜は、いずれもX方向(図4)に沿ってラビング処理がなされている。これにより、液晶分子40Aは、電圧非印加時にはX方向に沿って配向する。したがって、液晶層40は電圧非印加時には平行配向となっている。
【0051】
対向基板30の、液晶層40とは反対側の表面には、接着剤56を介してマスク基板50が貼り付けられている。マスク基板50は、ガラスや石英等からなる基板51を基体として構成される。基板51の液晶層40側の面には、第1の位相差層としての位相差層52、光学素子54がこの順に積層されている。よって、光学素子54は、画素4の光射出側に位置している。また、位相差層52は、画素4の光学素子54側に位置している。また、位相差層52は、光学素子54の画素4とは反対側の層に形成されている。
【0052】
位相差層52の平面視での配置領域は、図18(g)に示すように、光学素子54の開口部54Aの縁に沿う領域を含んでいる。詳しくは、位相差層52は、光学素子54に重なる領域と、開口部54Aの縁をまたぐ領域とに形成されている。したがって、位相差層52は、開口部54Aの内部に一部がかかるように配置されている。また、位相差層52は、光学素子54の開口部54Aの縁の全周に沿う領域に形成されている。
【0053】
位相差層52は、画素4から射出される光のうち少なくとも1つの波長の光に対して、リタデーションが1/2波長となるように設定されている。すなわち、位相差層52は1/2波長板である。位相差層52としては、例えば液晶ポリマーを基板51上に配列させて固形化させた液晶フィルムを、フォトリソグラフィー等によりパターニングしたものを用いることができる。又は、ポリカーボネート等からなる位相差フィルムを基板51上に貼り付け、当該位相差フィルムをフォトリソグラフィー等によりパターニングしたものを用いてもよい。
【0054】
なお、対向基板30に含まれる基板31は、ケミカルエッチング又はCMP(Chemical Mechanical Polishing)等により約50μmの厚さに加工されている。この加工によって、画素4の光射出部7と、光学素子54の開口部54Aとの距離が調節され、その結果、光射出部7から開口部54Aに至る光路の角度が調節される。これにより、液晶装置1によって第1の画像及び第2の画像が指向性表示される表示角度範囲3L,3R,VL,VR(図20)を調節することができる。本実施形態のように、基板31の厚さを約50μmとした場合、第1の画像が表示される表示角度範囲3L,VLと第2の画像が表示される表示角度範囲3R,VRとが大きく異なるため、第1の画像と第2の画像とを異なる人物に同時に視認させることができる。基板31の厚さをより大きくすれば、第1の画像が表示される表示角度範囲3L,VLと第2の画像が表示される表示角度範囲3R,VRとが接近していく。この場合は、第1の画像を左目に、第2の画像を右目に入射させることが可能となり、立体表示を行うことができる。
【0055】
上述したように、素子基板10の背面側には偏光板46が、マスク基板50の観察側には偏光板47が、それぞれ配置されている。すなわち、偏光板47は、位相差層52の、画素4とは反対側に配置されている。また、偏光板46の背面側には、偏光板46に向けて光を照射するバックライト49が配置されている。
【0056】
図6は、偏光板46,47、位相差層52、液晶層40の光学的な配置を示す模式図である。偏光板46,47に付された矢印は、透過軸を示す。位相差層52に付された矢印は、遅相軸を示す。液晶層40に付された実線の矢印は、対向基板30側の配向方向を示し、破線の矢印は、素子基板10側の配向方向を示す。上記したように、液晶層40の配向方向は、いずれもX軸に沿った方向となっている。偏光板46の透過軸はX軸方向に沿って配置されており、偏光板47の透過軸はY軸方向に沿って配置されている。したがって、偏光板46,47の透過軸は、相互に直交するように配置されるとともに、液晶層40の配向方向と平行又は垂直となるように配置されている。位相差層52の遅相軸は、偏光板46,47の透過軸に対して略45度の角度をなすように配置されている。上記したように位相差層52は1/2波長板なので、X軸(Y軸)に沿った偏光軸を有する直線偏光が位相差層52に入射した場合には、Y軸(X軸)に沿った偏光軸を有する直線偏光に変換されて透過する。位相差層52の開口領域52Aと光学素子54の開口部54Aとの平面視での位置関係は、上記の通りであり、図18(g)に示されている。
【0057】
<B.回折光遮光効果>
続いて、上記構成の液晶装置1による回折光の遮光効果について、図7、図8を用いて説明する。図7は、画素4Rからの光9R、及び画素4Lからの回折光9Ldの振る舞いを示す模式図である。図8は、図7と同じ構成において、画素4Lからの光9L、及び画素4Rからの回折光9Rdの振る舞いを示す模式図である。図7、図8では、光路の説明の便宜上、光学的作用をもたない(又は光学的作用が少ない)構成要素は省略されている。図7、図8においては、画素4Rは暗表示を行う構成となっており、画素4Lは明表示を行う構成となっている。したがって、液晶装置1は、表示角度範囲VRにおいては、画素4Rによる、第2の画像を構成する暗表示が行われる(図7)。また、液晶装置1は、表示角度範囲VLにおいては、画素4Lによる、第1の画像を構成する明表示が行われる(図8)。
【0058】
詳しくは、このとき画素4Rでは、液晶層40の液晶分子40AはX軸に沿って配列している。この液晶層40には、図7に示すように、偏光板46を透過したX方向の偏光軸を有する直線偏光が入射する。この光の偏光軸は液晶分子40Aと平行であるため、直線偏光のまま液晶層40及びカラーフィルタ32を透過し、画素4Rの光射出部7から射出される。画素4Rから射出された光9Rは、光学素子54の開口部54Aを通過して偏光板47によって吸収される。このように、画素4Rからの光9Rは、偏光板47により吸収されるため、表示角度範囲VRでは暗表示となる。
【0059】
一方、画素4Lでは、液晶分子40AはX軸に対して所定の角度を有する方向に沿って配列しており、偏光板46を透過した直線偏光に対して略1/2波長の位相差を与える状態となっている。この液晶層40には、図8に示すように、偏光板46を透過したX方向の偏光軸を有する直線偏光が入射する。この光は、液晶層40によって1/2波長分の位相差を受けて、Y方向の偏光軸を有する直線偏光に変換されて液晶層40及びカラーフィルタ32を透過し、画素4Lの光射出部7から射出される。画素4Lから射出された光9Lは、光学素子54の開口部54A、偏光板47を順に透過する。このように、画素4Lからの光9Lは、偏光板47を透過するため、表示角度範囲VLでは明表示となる。
【0060】
ところで、上記したように、図7の表示角度範囲VRにおいては、画素4Lによる、第1の画像を構成する明表示は基本的に視認されない。しかしながら、画素4Lから射出される光の一部は、開口部54Aの縁において回折し、回折光9Ldとなって表示角度範囲VRに向けて進行する。以下この回折光9Ldの振る舞いについて説明する。画素4Lでは、偏光板46を透過して液晶層40に入射した直線偏光は、Y方向の偏光軸を有する直線偏光に変換されて画素4の光射出部7から射出される。画素4Lから射出されたこの光は、開口部54Aの縁において回折して回折光9Ldとなる。回折光9Ldは、光学素子54の観察側に配置された位相差層52に入射する。位相差層52は1/2波長板であり、遅相軸が、入射する回折光9Ldの偏光軸に対して略45度の角度をなしているので、回折光9Ldは1/2波長分の位相差を受け、X方向の偏光軸を有する直線偏光に変換されて位相差層52を透過する。そして、回折光9Ldは、偏光板47によって吸収される。
【0061】
このように、画素4Lからの回折光9Ldは、偏光板47によって吸収され、観察者には視認されない。すなわち、明表示を行う構成となっている画素4Lから射出された回折光9Ldであっても、位相差層52を透過させることによって偏光状態を変化させることができ、偏光板47によって吸収することができる。画素4Rが暗表示状態、画素4Lが明表示状態である場合、位相差層52がない従来の構成では、画素4Rによる暗表示に、画素4Lからの明表示の回折光9Ldが混合してコントラストを低下させるという問題点があるが、本実施形態の構成によれば、画素4Lからの回折光9Ldが遮光されるため、高コントラストの表示を行うことができる。ひいては、画素4Rからの光のみによる表示が行われる表示角度範囲VRを広げることが可能となる。
【0062】
一方、図8に示すように、画素4Rからの、第1の画像を構成する光の一部は、開口部54Aの縁において回折し、回折光9Rdとなって表示角度範囲VLに向けて進行する。以下この回折光9Rdの振る舞いについて説明する。画素4Rでは、偏光板46を透過して液晶層40に入射した直線偏光は、位相差を受けずに液晶層40を透過する。この透過光は、開口部54Aの縁において回折して回折光9Rdとなる。回折光9Rdは、光学素子54の観察側に配置された位相差層52に入射する。位相差層52は1/2波長板であるので、回折光9Rdは1/2波長分の位相差を受け、Y方向の偏光軸を有する直線偏光に変換されて位相差層52を透過する。そして、回折光9Rdは、偏光板47を透過して表示角度範囲VLに向けて射出される。
【0063】
このように、暗表示状態である画素4Rからの回折光9Rdは、偏光板47を透過し、観察者に視認されうる。しかしながら、表示角度範囲VLにおいては、画素4Lからの光9Lによる明表示が行われているため、若干の回折光9Rdが混合されても表示に大きな影響を与えない。
【0064】
なお、図8において画素4Rが明表示状態となっている場合には、図7と同様の作用により画素4Rからの回折光9Rdを偏光板47によって遮光することができる。また、図7、図8において画素4L,4Rの表示状態を反転させた場合にも、上記と同様の効果が得られる。
【0065】
以上のように、本実施形態の液晶装置1によれば、暗表示を行っている表示角度範囲VR(VL)においては、明表示状態の画素4L(4R)からの回折光9Ld(9Rd)を遮光することにより、コントラストの向上及び表示角度範囲VR(VL)の拡大を図ることができる。
【0066】
(第2の実施形態)
続いて、第2の実施形態について説明する。第2の実施形態の液晶装置1は、位相差層の配置が第1の実施形態と異なっており、その他の点は第1の実施形態と同様である。
【0067】
図9は、本実施形態の液晶装置1の断面図である。断面の位置は、第1の実施形態の図4におけるB−B線に相当する。マスク基板50に含まれる基板51の背面側の面、すなわち光学素子54の観察側の面には、位相差層52が形成されている。そして、位相差層52と同一の層の、平面視で開口部54Aの少なくとも一部に重なる領域に、遅相軸が位相差層52とは異なる第2の位相差層としての位相差層53が形成されている。本実施形態では、位相差層53は、平面視で開口部54Aのうち位相差層52が形成されていない領域の全域に形成されている。したがって、光学素子54の観察側の面には、位相差層52,53が排他的に隙間なく形成されている。ここで、平面視での位相差層52の配置位置は、第1の実施形態と同様である。この結果、平面視で開口部54Aと重なる領域の大部分に位相差層53が形成されることとなる。
【0068】
図10は、偏光板46,47、位相差層52,53、液晶層40の光学的な配置を示す模式図である。偏光板46,47の透過軸、位相差層52の遅相軸、液晶層40の配向方向は、第1の実施形態と同様である。位相差層53の遅相軸は、位相差層52の遅相軸とは異なっている。より詳しくは、位相差層53の遅相軸は、平面視で位相差層52の遅相軸に対して略45度の角度をなすように、かつ偏光板47の透過軸に対して平行となるように配置されている。なお、位相差層53の遅相軸は、偏光板47の透過軸に垂直となるように配置してもよい。
【0069】
適切なリタデーションを有する位相差層53を上記のような構成で配置することにより、画素4L,4Rから射出され、光学素子54の開口部54Aを通過した光に対して光学補償を行うことができる。これにより、画素4Lによる第1の画像、及び画素4Rによる第2の画像の表示品位を向上させることができる。
【0070】
遅相軸が互いに異なる位相差層52,53を同一層に形成するためには、例えば以下のような方法を用いることができる。すなわち、まず基板51上に光配向膜を形成する。次に、当該光配向膜に対して、位相差層52,53の形成領域ごとに異なる偏光を照射する。この状態で、光配向膜上に液晶ポリマーを塗布すると、液晶ポリマーは、上記形成領域ごとに異なる方向に配向する。この状態で紫外線を照射する等の処理を行って液晶ポリマーを固形化させることにより、位相差層52,53が得られる。本実施形態の構成によれば、位相差層52を形成するために、位相差層52の開口部に相当する部位の材料を除去する必要がなくなる。このため、より容易に位相差層52,53を形成することができる。
【0071】
(第3の実施形態)
続いて、第3の実施形態について説明する。第3の実施形態の液晶装置1は、位相差層52の配置が第1の実施形態と異なっており、その他の点は第1の実施形態と同様である。
【0072】
図11は、本実施形態の液晶装置1の断面図である。断面の位置は、第1の実施形態の図4におけるB−B線に相当する。マスク基板50に含まれる基板51の背面側の面には、光学素子54が直接形成されている。そして、光学素子54と同一の層の、平面視で光学素子54の開口部54Aの縁に沿う領域には、位相差層52が形成されている。位相差層52の平面視での配置位置は、図18(d)に示されている。このように位相差層52は、光学素子54の開口部54Aの縁に沿う領域のうち、開口部54Aの内側の領域に形成されている。また、位相差層52は、開口部54Aの縁の全周に沿う領域に形成されている。こうした構成によっても、開口部54Aの縁で回折する回折光9Ld,9Rdは位相差層52を通る。このため、位相差層52によって回折光9Ld,9Rdの偏光状態を変化させることができ、偏光板47によって吸収することができる。よって、暗表示を行っている表示角度範囲VR(VL)においては、明表示状態の画素4L(4R)からの回折光9Ld(9Rd)を遮光することにより、コントラストの向上及び表示角度範囲VR(VL)の拡大を図ることができる。
【0073】
本実施形態の実施にあたっては、第1の実施形態と組み合わせた構成としてもよい。すなわち、位相差層52が、光学素子54の画素4とは反対側の層と、光学素子54と同一の層とのいずれにも形成されている構成としてもよい。このようにすれば、回折光9Ld,9Rdがより確実に位相差層52を透過するようになる。
【0074】
また、本実施形態は、第2の実施形態と組み合わせてもよい。すなわち、図12の断面図に示すように、位相差層52と同一の層の、平面視で光学素子54の開口部54Aのうち位相差層52が形成されていない領域に、さらに位相差層53が形成されていてもよい。すなわち、開口部54Aに、平面視で位相差層52,53が排他的に隙間なく形成されていてもよい。このような構成によれば、画素4Lによる第1の画像、及び画素4Rによる第2の画像の表示品位を向上させることができる。また、より容易に位相差層52,53を形成することができる。
【0075】
(第4の実施形態)
続いて、第4の実施形態について説明する。第4の実施形態の液晶装置1は、位相差層52の配置が第1の実施形態と異なっており、その他の点は第1の実施形態と同様である。
【0076】
図13は、本実施形態の液晶装置1の断面図である。断面の位置は、第1の実施形態の図4におけるB−B線に相当する。マスク基板50に含まれる基板51の背面側の面、すなわち光学素子54の観察側の面には、位相差層52が形成されている。ここで、位相差層52は、平面視で光学素子54の開口部54Aと重なる開口領域を有するように形成されている。すなわち、位相差層52は、図18(a)に示すように、平面視で光学素子54の形成領域に重なる領域にのみ形成され、光学素子54の開口部54Aには形成されていない。
【0077】
このような構成においても、図14に示すように、画素4Lから射出され、光学素子54の開口部54Aの縁で回折した回折光9Ldは、位相差層52を透過する。したがって、明表示を行う構成となっている画素4Lから射出された回折光9Ldであっても、位相差層52を透過させることによって偏光状態を変化させることができ、偏光板47によって吸収することができる。
【0078】
本実施形態の位相差層52は、基板51上の全面に位相差層52と光学素子54の形成材料とを順に積層した後に、開口部54Aに相当する領域の位相差層52と、光学素子54の形成材料とを一度にエッチング等で除去することにより形成することができる。このような方法によれば、位相差層52と光学素子54とを一度に形成することができるため、液晶装置1の製造工程を簡略化することが可能である。
【0079】
また、本実施形態は、第2の実施形態と組み合わせてもよい。すなわち、位相差層52と同一の層の、平面視で光学素子54の開口部54Aに相当する領域に、さらに位相差層53が形成されていてもよい。このような構成によれば、画素4Lによる第1の画像、及び画素4Rによる第2の画像の表示品位を向上させることができる。また、より容易に位相差層52,53を形成することができる。
【0080】
(第5の実施形態)
続いて、第5の実施形態について説明する。第5の実施形態の液晶装置1は、新たに偏光板48が追加された点が第1の実施形態と異なっており、その他の点は第1の実施形態と同様である。
【0081】
図15は、本実施形態の液晶装置1の断面図である。断面の位置は、第1の実施形態の図4におけるB−B線に相当する。液晶パネル2の対向基板30の観察側には、第2の偏光板としての偏光板48が配置されている。偏光板48の透過軸は、平面視で偏光板47の透過軸と平行になっている。このような構成によれば、画素4L,4Rは、偏光板48
を介して光を射出することとなる。このため、画素4の光射出部7から射出され、光学素子54の開口部54Aで回折する光を、事前に偏光板48によって直線偏光に変換することができる。このため、画素4の光射出部7から射出される光が完全な直線偏光でない場合であっても、開口部54Aにおいて回折する段階では直線偏光とすることができ、1/2波長板である位相差層52と偏光板47との作用により、より効果的に回折光を遮光することが可能となる。
【0082】
偏光板48の位置は上記に限られず、画素4と光学素子54との間であれば位置は問わない。例えば、対向基板30の基板31とカラーフィルタ32との間に配置してもよい。なお、本実施形態は、第1の実施形態の他にも、第2、第3、第4の実施形態のいずれと組み合わせてもよい。
【0083】
(第6の実施形態)
続いて、第6の実施形態について説明する。第6の実施形態の液晶装置1は、光学素子54の開口部54Aがストライプ状となっている点と、画素4L,4Rの配置とが第1の実施形態と異なっており、その他の点は第1の実施形態と同様である。
【0084】
図16は、本実施形態に係る液晶装置1の表示領域43の拡大平面図である。また、図17(a)は、液晶パネル2の拡大平面図であり、図17(b)は、マスク基板50の拡大平面図である。図16は、図17(a)の液晶パネル2に図17(b)のマスク基板50を重ねた状態の平面図でもある。
【0085】
画素4r,4g,4bは、X方向にこの順に繰り返し配置されて、画素行5を構成している。画素4は、Y方向については、同一の色に対応する画素4が一列にストライプ状に並ぶように配置されている。画素4L,4Rは、X方向に沿って交互に繰り返し配置されており、またY方向には、画素4L又は画素4Rがストライプ状に配置されている。
【0086】
光学素子54の開口部54Aは、平面視で画素行5のうち画素4Lと画素4Rとの境界領域の少なくとも一部を含む領域に、ストライプ状に形成されている。また、開口部54Aは、−X方向に沿って、画素4L、開口部54A、画素4Rがこの順に並ぶような位置に配置されている。したがって、ある開口部54Aの+X方向には画素4Lが配置され、−X方向には画素4Rが配置されている。なお、−X方向に沿って画素4R,4Lがこの順に並んでいる部位には開口部54Aは設けられていない。
【0087】
画素4L,4Rは、画素行5に沿って交互に配置されているので、画素行5に沿った開口部54Aの配置ピッチは、画素4の配置ピッチの2倍となる。すなわち、開口部54Aは、画素行5に沿った方向については、1つおきの遮光層34に対応して配置されている。
【0088】
こうした構成によっても、図20に示すように、画素4Lから射出され、開口部54Aを通過した光は、−X方向に偏在する表示角度範囲3Lにおいて視認される。同様に、画素4Rから射出され、開口部54Aを通過した光は、+X方向に偏在する表示角度範囲3Rにおいて視認される。そして、表示角度範囲3Lのうち表示角度範囲VLでは、画素4Lからの光のみが視認され、表示角度範囲3Rのうち表示角度範囲VRでは、画素4Rからの光のみが視認される。よって、表示角度範囲VLでは第1の画像のみが視認され、表示角度範囲VRでは第2の画像のみが視認される。
【0089】
本実施形態における位相差層52の平面視での配置領域は、図18(i)に示されている。すなわち、位相差層52は、光学素子54に重なる領域と、ストライプ状の開口部54Aの縁をまたいで開口部54Aの内部に一部がかかるような領域に配置されている。こうした構成によっても、開口部54Aの縁で回折する回折光は位相差層52を通る。このため、位相差層52によって回折光の偏光状態を変化させることができ、偏光板47によって吸収することができる。
【0090】
また、本実施形態は、第2の実施形態と組み合わせてもよい。すなわち、位相差層52と同一の層の、平面視で光学素子54の開口部54Aのうち位相差層52が形成されていない領域に、さらに位相差層53が形成されていてもよい。このような構成によれば、画素4Lによる第1の画像、及び画素4Rによる第2の画像の表示品位を向上させることができる。また、より容易に位相差層52,53を形成することができる。
【0091】
また、本実施形態は、第3の実施形態と組み合わせてもよい。すなわち、光学素子54と位相差層52とを同一の層に形成し、位相差層52は、図18(f)に示すように、平面視で光学素子54のストライプ状の開口部54Aの縁に沿う領域のうち、開口部54Aの内側の領域に形成してもよい。
【0092】
また、本実施形態は、第4の実施形態と組み合わせてもよい。すなわち、図18(c)に示すように、位相差層52を、光学素子54の形成領域に重なる領域にのみ形成し、ストライプ状の開口部54Aには形成しない構成としてもよい。
【0093】
また、本実施形態は、第5の実施形態と組み合わせてもよい。すなわち、画素4と光学素子54との間に第2の偏光板としての偏光板48を配置してもよい。
【0094】
(電子機器)
上述した液晶装置1は、例えば、図19に示すような電子機器としてのカーナビゲーションシステム用の表示装置100に搭載して用いることができる。この表示装置100は、表示部110に組み込まれた液晶装置1によって、2つの画像を異なる表示角度範囲に指向性表示することができる。例えば、運転席側に地図の画像を表示するとともに、助手席側に映画の画像を表示することができる。その際、回折光の混合によるコントラスト低下等の少ない、高品位な表示を行うことができる。
【0095】
なお、本発明を適用した液晶装置1は、上記表示装置100の他、モバイルコンピュータ、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、車載機器、オーディオ機器等の各種電子機器に用いることができる。
【0096】
上記実施形態に対しては、様々な変形を加えることが可能である。変形例としては、例えば以下のようなものが考えられる。
【0097】
(変形例1)
位相差層52の平面視での配置位置は、上記実施形態に限定されず、例えば光学素子54の開口部54Aの、画素行5の延在方向(X方向)に交差する縁に沿う領域に形成してもよい。回折光の混合は、光学素子54の開口部54Aの、画素行5の延在方向(X方向)に交差する縁において回折した回折光の影響が大きいため、こうした構成によれば回折光の混合によるコントラストの低下を効率的に抑制することができる。
【0098】
開口部54Aが図18(b)等に示すようなY方向に長い矩形の場合には、光学素子54の開口部54Aの、画素行5の延在方向(X方向)に交差する縁は、開口部54Aの矩形の長辺に沿った縁に相当する。したがって、例えば図18(b),(e),(h)に示すように、矩形の開口部54Aの長辺に沿う領域に位相差層52を形成してもよい。このうち図18(b)は、位相差層52を、光学素子54の形成領域に重なる領域にのみ形成し、開口部54Aには形成しない構成である。また、図18(e)は、位相差層52を、平面視で光学素子54の開口部54Aの長辺の縁に沿う領域のうち、開口部54Aの内側の領域に形成する構成である。また、図18(h)は、位相差層52を、光学素子54に重なる領域と、ストライプ状の開口部54Aの長辺の縁をまたいで開口部54Aの内部に一部がかかるような領域とに配置する構成である。
【0099】
(変形例2)
上記実施形態は、電気光学パネルとしてFFSモードの液晶パネル2を用いたものであるが、液晶モードはこれに限定されず、例えばTN(Twisted Nematic)、VA(Vertical Alignment:垂直配向)、IPS(In Plain Switching)、STN(Super Twisted Nematic)等、種々のモードを採用することができる。
【0100】
(変形例3)
電気光学パネルとしては、液晶パネル2の他、有機EL(Electro Luminescence)装置、PDP(Plasma Display Panel)、SED(Surface-conduction Electron-emitter Display)、FED(Field Emission Display)、電気泳動表示装置等の種々の電気光学パネルを用いることができる。これらのうち、画素から射出される光が直線偏光とならない電気光学パネルにおいては、画素と光学素子との間に第2の偏光板を配置し、画素が第2の偏光板を介して光を射出する構成とすることが好ましい。
【0101】
(変形例4)
光学素子54は、画素4の光射出側に配置されていればよい。例えば、光学素子54は、対向基板30の液晶層40側であってカラーフィルタ32の観察側に形成されていてもよい。また、光学素子54は、対向基板30の観察側の面に形成されていてもよい。
【0102】
(変形例5)
第1の偏光板としての偏光板47は、位相差層52(第1の位相差層)の、画素4とは反対側に配置されていればよい。したがって、例えばマスク基板50に含まれる基板51の背面側に、偏光板47、位相差層52がこの順に積層される構成としてもよい。
【0103】
(変形例6)
上記実施形態の液晶装置1は、第1の画像と第2の画像とを異なる表示角度範囲に指向性表示するものであるが、これに限定する趣旨ではない。すなわち、光学素子の開口部が、第1の画素からの光を第1の表示角度範囲に通過させ、第2の画素からの光を第1の表示角度範囲と異なる範囲を含む第2の表示角度範囲に通過させる構成であればよい。したがって、例えばさらに第3の画像を構成する光を射出する第3の画素を設け、第3の画像を第3の表示角度範囲に表示させるように構成してもよく、この場合は3画面の指向性表示が可能な電気光学装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】液晶装置の構成を示す図であり、(a)は斜視図、(b)は(a)中のA−A線における断面図。
【図2】液晶装置の表示領域の拡大平面図。
【図3】(a)は液晶パネルの拡大平面図、(b)はマスク基板の拡大平面図。
【図4】画素の近傍の構成要素を拡大して示した平面図。
【図5】図4中のB−B線における断面図。
【図6】偏光板、位相差層、液晶層の光学的な配置を示す模式図。
【図7】画素からの光及び回折光の振る舞いを示す模式図。
【図8】画素からの光及び回折光の振る舞いを示す模式図。
【図9】第2の実施形態の液晶装置の断面図。
【図10】偏光板、位相差層、液晶層の光学的な配置を示す模式図。
【図11】第3の実施形態の液晶装置の断面図。
【図12】第3の実施形態の液晶装置の断面図。
【図13】第4の実施形態の液晶装置の断面図。
【図14】偏光板、位相差層、液晶層の光学的な配置を示す模式図。
【図15】第5の実施形態の液晶装置の断面図。
【図16】第6の実施形態の液晶装置の表示領域の拡大平面図。
【図17】(a)は液晶パネルの拡大平面図、(b)はマスク基板の拡大平面図。
【図18】(a)から(i)は、光学素子の開口部及び位相差層の配置領域のバリエーションを示す平面図。
【図19】電子機器としての表示装置の斜視図。
【図20】指向性表示が可能な電気光学装置の模式断面図。
【符号の説明】
【0105】
1…電気光学装置としての液晶装置、2…電気光学パネルとしての液晶パネル、3L,3R,VL,VR…表示角度範囲、4…画素、4L…第1の画素、4R…第2の画素、5…画素行、6…画素列、7…光射出部、9Ld,9Rd…回折光、10…素子基板、11…基板、12…ゲート線、14…ソース線、16…画素電極、17…共通電極、20…TFT素子、30…対向基板、31…基板、32…カラーフィルタ、34…遮光層、40…液晶層、40A…液晶分子、43…表示領域、46…偏光板、47…第1の偏光板、48…第2の偏光板、49…バックライト、50…マスク基板、51…基板、52…第1の位相差層、53…第2の位相差層、54…光学素子、54A…開口部、56…接着剤、100…電子機器としての表示装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の画像を構成する光を射出する第1の画素と、第2の画像を構成する光を射出する第2の画素とを有する電気光学パネルと、
前記第1の画素からの光を第1の表示角度範囲に通過させ、前記第2の画素からの光を前記第1の表示角度範囲と異なる範囲を含む第2の表示角度範囲に通過させる開口部を有する、前記第1の画素及び前記第2の画素の光射出側に配置された遮光性の光学素子と、
前記第1の画素及び前記第2の画素の前記光学素子側に、平面視で前記光学素子の前記開口部の縁に沿う領域の少なくとも一部に形成された第1の位相差層と、
前記第1の位相差層の、前記第1の画素及び前記第2の画素とは反対側に配置された第1の偏光板と、を備えることを特徴とする電気光学装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電気光学装置であって、
前記第1の画素及び前記第2の画素は、少なくとも明表示を行う場合には、前記第1の画素及び前記第2の画素から直線偏光を射出することを特徴とする電気光学装置。
【請求項3】
請求項2に記載の電気光学装置であって、
前記第1の偏光板の透過軸は、明表示の際に前記第1の画素及び前記第2の画素から射出される直線偏光の偏光軸に沿った方向に配置されており、
前記第1の位相差層は、遅相軸が前記第1の偏光板の透過軸に対して平面視で略45度の角度をなす1/2波長板であることを特徴とする電気光学装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の電気光学装置であって、
前記第1の位相差層は、前記光学素子の前記第1の画素及び前記第2の画素とは反対側の層、及び前記光学素子と同一の層の少なくとも一方に形成されていることを特徴とする電気光学装置。
【請求項5】
請求項4に記載の電気光学装置であって、
前記第1の位相差層は、前記光学素子の前記開口部の縁の全周に沿う領域に形成されていることを特徴とする電気光学装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の電気光学装置であって、
前記第1の位相差層は、平面視で前記光学素子の前記開口部の縁をまたぐ領域に形成されていることを特徴とする電気光学装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の電気光学装置であって、
前記第1の位相差層と同一の層の、平面視で前記開口部の少なくとも一部に重なる領域に、遅相軸が前記第1の位相差層とは異なる第2の位相差層が形成されていることを特徴とする電気光学装置。
【請求項8】
請求項7に記載の電気光学装置であって、
前記第2の位相差層の遅相軸は、前記第1の偏光板の透過軸に対して略平行又は略垂直であることを特徴とする電気光学装置。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の電気光学装置であって、
前記第1の画素及び前記第2の画素は、第2の偏光板を介して光を射出することを特徴とする電気光学装置。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載の電気光学装置であって、
前記第1の画素と前記第2の画素とが交互に配列された画素行を複数有し、
前記開口部は、平面視で前記画素行のうち前記第1の画素と前記第2の画素との境界領域の少なくとも一部を含む領域に形成されるとともに、前記画素行に沿った一の方向について、前記第1の画素、前記開口部、前記第2の画素がこの順に並ぶ位置に配置されていることを特徴とする電気光学装置。
【請求項11】
請求項10に記載の電気光学装置であって、
前記第1の位相差層は、前記光学素子の前記開口部の、前記画素行の延在方向に交差する縁に沿う領域に形成されていることを特徴とする電気光学装置。
【請求項12】
請求項10又は11に記載の電気光学装置であって、
前記画素行と交差する方向に配置され、前記第1の画素と前記第2の画素とが交互に配列された画素列を複数有することを特徴とする電気光学装置。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか一項に記載の電気光学装置を搭載することを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2009−53474(P2009−53474A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−220682(P2007−220682)
【出願日】平成19年8月28日(2007.8.28)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】