説明

電気光学装置及び電子機器

【課題】液晶装置等の電気光学装置において、高品質な画像を表示する。
【解決手段】電気光学装置は、基板(10)上に、複数の画素からなる画素領域(10a)と、画素領域に画像信号を出力する出力回路(523)を有する画像信号出力手段(101)と、画像信号出力手段において、画像信号を出力するタイミングを同期するクロック信号(CLX)及び該クロック信号の位相を反転させた反転クロック信号(CLXB)間の位相差を補正する位相差補正手段(200)と、出力回路に電源電位を供給する第1電源電位供給手段(401,402)と、位相差補正手段に電源電位を供給する第2電源電位供給手段(403,404)とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば液晶装置等の電気光学装置、及び該電気光学装置を備えた、例えば液晶プロジェクタ等の電子機器の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の電気光学装置では、例えば基板上に、画素電極等の表示用電極や、これを駆動するためのデータ線駆動回路、走査線駆動回路等の回路部が設けられる。データ線駆動回路には、その駆動動作の基本となるクロック信号と、これに対して位相が反転している反転クロック信号とが供給される。この際、クロック信号と反転クロック信号との位相は、正確に反転位相であることが望ましいため、基板上には更に、両クロック信号の位相を反転位相にするように補正する位相差補正回路が設けられる(特許文献1及び2参照)。
【0003】
【特許文献1】特許第3536657号公報
【特許文献2】特許第3841072号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した技術においては、位相差補正回路で発生する電源ノイズが、データ線駆動回路におけるバッファ回路等に影響を与えてしまい、例えば表示される画像に帯状のムラが発生してしまうおそれがある。即ち、上述した技術には、クロック信号と反転クロック信号との位相差を補正可能ではあるものの、画像の品質を低下させてしまうおそれがあるという技術的問題点がある。
【0005】
本発明は、例えば上述した問題点に鑑みなされたものであり、高品質な画像を表示することが可能な電気光学装置及び電子機器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電気光学装置は上記課題を解決するために、基板上に、複数の画素からなる画素領域と、前記画素領域に画像信号を出力する出力回路を有する画像信号出力手段と、前記画像信号出力手段において、前記画像信号を出力するタイミングを同期するクロック信号及び該クロック信号の位相を反転させた反転クロック信号間の位相差を補正する位相差補正手段と、前記出力回路に電源電位を供給する第1電源電位供給手段と、前記位相差補正手段に電源電位を供給する第2電源電位供給手段とを備える。
【0007】
本発明の電気光学装置によれば、その動作時には、基板上に形成された複数の画素からなる画素領域に画像信号が供給される。これによって、配向膜を介して基板と対向配置された液晶等の電気光学物質が制御され、画素領域において画像が表示される。
【0008】
画像信号は、例えば外部回路接続端子等を介して基板上の画像信号出力手段に供給され、該画像信号出力手段に有されたバッファ回路等の出力回路から画素領域に対して出力される。この際、画像信号出力手段から画像信号を出力するタイミングは、クロック信号及び該クロック信号の位相を反転させた反転クロック信号を用いて同期されている。即ち、画像信号出力手段は、クロック信号及び反転クロック信号に基づいて駆動されている。
【0009】
画像信号出力手段の動作を安定的に行うためには、反転クロック信号の位相が、クロック信号の位相を正確に反転させたものであることが好ましい。しかしながら、クロック信号及び反転クロック信号間の位相には、例えば伝送経路等の影響によりズレ(即ち、位相差)が発生してしまう場合がある。このような位相差は、位相差補正手段によって補正される。即ち、位相差補正手段は、クロック信号及び反転クロック信号が互いに反転された位相に近付くように調整を行う。
【0010】
本発明では特に、画像信号出力手段における出力回路には、第1電源電位出力手段によって電源電位が供給される。一方、位相差補正手段には、第2電源電位供給手段によって電源電位が供給される。即ち、出力回路及び位相差補正手段には、互いに異なる電源電位供給手段から電源電位が供給される。
【0011】
ここで仮に、出力回路及び位相差補正手段に、同一の電源電位供給手段から電源電位が供給されるとすると、位相差補正手段の動作に伴い電源電位が変化し、その結果として、同じ電源電位が供給される出力回路に影響を与えてしまうおそれがある。具体的には、例えば位相差補正手段の充電及び放電に応じて電源電位が上下し、出力回路から出力される画像信号にノイズがのってしまうおそれがある。
【0012】
しかるに本発明では、上述したように、出力回路及び位相差補正手段には、互いに異なる電源電位供給手段から電源電位が供給されるため、位相差補正手段の動作に伴い電源電位が変化しても、出力回路に供給される電源電位には影響を与えずに済む。即ち、位相差補正手段に対して第2電源電位供給手段から供給されている電源電位が変化したとしても、出力回路に対しては第2電源電位供給手段と異なる第1電源電位供給手段から電源電位が供給されているため、電源電位の変化による影響がない。電源電位の変化による影響をなくすことにより、表示される画像において例えば帯状のムラが発生してしまうことを防止できる。
【0013】
以上説明したように、本発明の電気光学装置によれば、出力回路及び位相差補正手段の電源電位が相異なる電源電位供給手段から供給されるため、高品質な画像を表示することが可能である。
【0014】
本発明の電気光学装置の一態様では、前記画像信号出力手段は、前記出力回路の前段に設けられた他の回路を有しており、前記第1電源電位供給手段は、前記出力回路に加えて、前記他の回路に電源電位を供給する。
【0015】
この態様によれば、画像信号出力手段には、出力回路の以外の他の回路が、出力回路の前段に設けられている。尚、他の回路は複数設けられていてもよく、例として他の出力回路やプリチャージ用回路等が挙げられる。また、ここでの「前段」とは、画像信号の伝送経路において出力回路より前に設けられているという趣旨である。即ち、画像信号は、画像信号出力手段において他の回路を経由した後に出力回路に伝送される。
【0016】
本態様では特に、出力回路に加えて他の回路にも、第1電源電位供給手段から電源電位が供給される。即ち、出力回路及び他の回路と、位相差補正手段とは、互いに異なる電源電位供給手段から電源電位が供給される。この場合、位相差補正手段の動作に伴う電源電位の変化による影響が、他の回路に及んでしまうことを防止することができるため、より確実に画質の低下を防止することができる。
【0017】
本発明の電気光学装置の他の態様では、前記複数の画素に対応するように設けられた複数の走査線及びデータ線を更に備え、前記出力回路は、前記データ線に電気的に接続されている。
【0018】
この態様によれば、基板上には、複数の画素に対応するように複数の走査線及びデータ線が設けられており、走査線を介して各画素に走査信号が供給されると共に、データ線を介して各画素に画像信号が供給されることで、画素領域に画像が表示される。データ線には、出力回路が電気的に接続されており、出力回路から出力された画像信号がデータ線を介して各画素に供給される。
【0019】
本態様では、上述したように、所謂アクティブマトリクス駆動によって画像が表示されるが、データ線に画像信号を出力する出力回路が、位相差補正手段の動作に伴う電源電位の変化による影響を受けてしまうことを防止することができる。従って、確実に画質の低下を防止することができ、高品質な画像を表示することが可能である。
【0020】
上述した複数の走査線及びデータ線を備える態様では、前記走査線に走査信号を出力する走査信号出力手段を更に備え、前記第1電源電位供給手段は、前記出力回路に加えて、前記走査信号出力手段に電源電位を供給するように構成してもよい。
【0021】
このように構成すれば、走査線に走査信号を出力する走査信号出力手段には、第1電源電位供給手段から電源電位が供給される。即ち、出力回路及び走査信号出力手段には、互いに同一の電源電位供給手段から電源電位が供給される。これにより、出力回路及び走査信号補正手段と、位相差補正手段とには、互いに異なる電源電位供給手段から電源電位が供給されることとなる。
【0022】
この場合、出力回路及び走査信号出力手段に、互いに同一の電源電位供給手段から電源電位が供給されるため、走査信号出力手段用に別途他の電源電位供給手段を設けなくとも済む。これにより、回路構成や配線レイアウト等が複雑化してしまうことを防止することができる。
【0023】
或いは複数の走査線及びデータ線を備える態様では、前記走査線に走査信号を出力する走査信号出力手段を更に備え、前記第2電源電位供給手段は、前記位相差補正手段に加えて、前記走査信号出力手段に電源電位を供給するように構成してもよい。
【0024】
このように構成すれば、走査線に走査信号を出力する走査信号出力手段には、第2電源電位供給手段から電源電位が供給される。即ち、位相差補正手段及び走査信号出力手段には、互いに同一の電源電位供給手段から電源電位が供給される。これにより、出力回路と、位相差補正手段及び走査信号出力手段とには、互いに異なる電源電位供給手段から電源電位が供給されることとなる。
【0025】
この場合、位相差補正手段及び走査信号出力手段に、互いに同一の電源電位供給手段から電源電位が供給されるため、走査信号出力手段用に別途他の電源電位供給手段を設けなくとも済む。これにより、回路構成や配線レイアウト等が複雑化してしまうことを防止することができる。また、位相差補正手段の動作に伴い電源電位が変化したとしても、走査信号出力手段は、出力回路等と比べて影響を受け難い、或いは影響を全く受けない。従って、確実に画質の低下を防止することができ、高品質な画像を表示することが可能である。
【0026】
本発明の電子機器は上記課題を解決するために、上述した本発明の電気光学装置(但し、その各種態様も含む)を備える。
【0027】
本発明の電子機器によれば、上述した本発明に係る電気光学装置を具備してなるので、高品質な表示を行うことが可能な投射型表示装置、テレビ、携帯電話、電子手帳、ワードプロセッサ、ビューファインダ型又はモニタ直視型のビデオテープレコーダ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルなどの各種電子機器を実現できる。また、本発明の電子機器として、例えば電子ペーパなどの電気泳動装置等も実現することも可能である。
【0028】
本発明の作用及び他の利得は次に説明する発明を実施するための最良の形態から明らかにされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下では、本発明の実施形態について図を参照しつつ説明する。
【0030】
<電気光学装置>
本実施形態に係る電気光学装置について、図1から図14を参照して説明する。尚、以下の実施形態では、本発明の電気光学装置の一例である駆動回路内蔵型のTFT(Thin Film Transistor)アクティブマトリクス駆動方式の液晶装置を例にとる。
【0031】
<第1実施形態>
先ず、本実施形態に係る電気光学装置の全体構成について、図1及び図2を参照して説明する。ここに図1は、本実施形態に係る電気光学装置の全体構成を示す平面図であり、図2は、図1のH−H´線断面図である。
【0032】
図1及び図2において、本実施形態に係る電気光学装置では、TFTアレイ基板10と対向基板20とが対向配置されている。TFTアレイ基板10は、本発明における「基板」の一例であり、例えば石英基板、ガラス基板等の透明基板や、シリコン基板等である。対向基板20は、例えば石英基板、ガラス基板等の透明基板である。TFTアレイ基板10と対向基板20との間には、液晶層50が封入されている。液晶層50は、例えば一種又は数種類のネマティック液晶を混合した液晶からなり、これら一対の配向膜間で所定の配向状態をとる。TFTアレイ基板10と対向基板20とは、複数の画素電極が設けられた画像表示領域10aの周囲に位置するシール領域に設けられたシール材52により相互に接着されている。尚、画像表示領域10aは、本発明の「画素領域」の一例である。
【0033】
シール材52は、両基板を貼り合わせるための、例えば紫外線硬化樹脂、熱硬化樹脂等からなり、製造プロセスにおいてTFTアレイ基板10上に塗布された後、紫外線照射、加熱等により硬化させられたものである。シール材52中には、TFTアレイ基板10と対向基板20との間隔(即ち、基板間ギャップ)を所定値とするためのグラスファイバ或いはガラスビーズ等のギャップ材が散布されている。尚、ギャップ材を、シール材52に混入されるものに加えて若しくは代えて、画像表示領域10a又は画像表示領域10aの周辺に位置する周辺領域に、配置するようにしてもよい。
【0034】
シール材52が配置されたシール領域の内側に並行して、画像表示領域10aの額縁領域を規定する遮光性の額縁遮光膜53が、対向基板20側に設けられている。尚、このような額縁遮光膜53の一部又は全部は、TFTアレイ基板10側に内蔵遮光膜として設けられてもよい。
【0035】
周辺領域のうち、シール材52が配置されたシール領域の外側に位置する領域には、本発明の「画像信号出力手段」の一例であるデータ線駆動回路101、及び外部回路接続端子102がTFTアレイ基板10の一辺に沿って設けられている。走査線駆動回路104は、この一辺に隣接する2辺に沿い、且つ、額縁遮光膜53に覆われるようにして設けられている。更に、このように画像表示領域10aの両側に設けられた二つの走査線駆動回路104間をつなぐため、TFTアレイ基板10の残る一辺に沿い、且つ、額縁遮光膜53に覆われるようにして複数の配線105が設けられている。
【0036】
TFTアレイ基板10上における対向基板20の4つのコーナー部に対向する領域には、両基板間を上下導通材107で接続するための上下導通端子106が配置されている。これらにより、TFTアレイ基板10と対向基板20との間で電気的な導通をとることができる。
【0037】
図2において、TFTアレイ基板10上には、駆動素子である画素スイッチング用のTFTや走査線、データ線等の配線が作り込まれた積層構造が形成される。この積層構造の詳細な構成については図2では図示を省略してあるが、この積層構造の上に、ITO(Indium Tin Oxide)等の透明材料からなる画素電極9aが、画素毎に所定のパターンで島状に形成されている。
【0038】
画素電極9aは、対向電極21に対向するように、TFTアレイ基板10上の画像表示領域10aに形成されている。TFTアレイ基板10における液晶層50の面する側の表面、即ち画素電極9a上には、配向膜16が画素電極9aを覆うように形成されている。
【0039】
対向基板20におけるTFTアレイ基板10との対向面上には、遮光膜23が形成されている。遮光膜23は、例えば対向基板20における対向面上に平面的に見て、格子状に形成されている。対向基板20において、遮光膜23によって非開口領域が規定され、遮光膜23によって区切られた領域が、例えばプロジェクタ用のランプや直視用のバックライトから出射された光を透過させる開口領域となる。尚、遮光膜23をストライプ状に形成し、該遮光膜23と、TFTアレイ基板10側に設けられたデータ線等の各種構成要素とによって、非開口領域を規定するようにしてもよい。
【0040】
遮光膜23上には、ITO等の透明材料からなる対向電極21が複数の画素電極9aと対向するように形成されている。また遮光膜23上には、画像表示領域10aにおいてカラー表示を行うために、開口領域及び非開口領域の一部を含む領域に、図2には図示しないカラーフィルタが形成されるようにしてもよい。対向基板20の対向面上における、対向電極21上には、配向膜22が形成されている。
【0041】
尚、図1及び図2に示したTFTアレイ基板10上には、上述したデータ線駆動回路101、走査線駆動回路104等の駆動回路に加えて、画像信号線上の画像信号をサンプリングしてデータ線に供給するサンプリング回路7が設けられている。また、複数のデータ線に所定電圧レベルのプリチャージ信号を画像信号に先行して各々供給するプリチャージ回路、製造途中や出荷時の当該電気光学装置の品質、欠陥等を検査するための検査回路等を形成してもよい。
【0042】
次に、本実施形態に係る電気光学装置の画素部の電気的な構成について、図3を参照して説明する。ここに図3は、本実施形態に係る電気光学装置の画像表示領域を構成するマトリクス状に形成された複数の画素における各種素子、配線等の等価回路図である。
【0043】
図3において、画像表示領域10aを構成するマトリクス状に形成された複数の画素の各々には、画素電極9a及びTFT30が形成されている。TFT30は、画素電極9aに電気的に接続されており、本実施形態に係る電気光学装置の動作時に画素電極9aをスイッチング制御する。画像信号が供給されるデータ線6aは、TFT30のソースに電気的に接続されている。データ線6aに書き込む画像信号S1、S2、・・・、Snは、この順に線順次に供給しても構わないし、相隣接する複数のデータ線6a同士に対して、グループ毎に供給するようにしてもよい。
【0044】
TFT30のゲートには、走査線3aが電気的に接続されており、本実施形態に係る電気光学装置は、所定のタイミングで、走査線3aにパルス的に走査信号G1、G2、・・・、Gmを、この順に線順次で印加するように構成されている。画素電極9aは、TFT30のドレインに電気的に接続されており、スイッチング素子であるTFT30を一定期間だけそのスイッチを閉じることにより、データ線6aから供給される画像信号S1、S2、・・・、Snが所定のタイミングで書き込まれる。画素電極9aを介して電気光学物質の一例としての液晶に書き込まれた所定レベルの画像信号S1、S2、・・・、Snは、対向基板に形成された対向電極との間で一定期間保持される。
【0045】
液晶層50(図2参照)を構成する液晶は、印加される電圧レベルにより分子集合の配向や秩序が変化することにより、光を変調し、階調表示を可能とする。例えば、ノーマリーホワイトモードであれば、各画素の単位で印加された電圧に応じて入射光に対する透過率が減少し、ノーマリーブラックモードであれば、各画素の単位で印加された電圧に応じて入射光に対する透過率が増加され、全体として電気光学装置からは画像信号に応じたコントラストをもつ光が出射される。
【0046】
ここで保持された画像信号がリークすることを防ぐために、画素電極9aと対向電極21(図2参照)との間に形成される液晶容量と並列に蓄積容量70が付加されている。蓄積容量70は、画像信号の供給に応じて各画素電極9aの電位を一時的に保持する保持容量として機能する容量素子である。蓄積容量70の一方の電極は、画素電極9aと並列してTFT30のドレインに電気的に接続され、他方の電極は、定電位となるように、電位固定の容量線300に電気的に接続されている。蓄積容量70によれば、画素電極9aにおける電位保持特性が向上し、コントラスト向上やフリッカの低減といった表示特性の向上が可能となる。
【0047】
次に、本実施形態に係る電気光学装置のより具体的な構成について、図4から図6を参照して説明する。ここに図4は、第1実施形態に係る電気光学装置の具体的な構成を示すブロック図である。また図5は、位相差補正回路の構成を示す回路図であり、図6は、位相差補正回路におけるインバータの構成を示す回路図である。尚、図4以降の図においては、説明の便宜上、図1から図3に示した詳細な部材を適宜省略している。
【0048】
図4において、本実施形態に係る電気光学装置におけるデータ線駆動回路101は、シフトレジスタ51と、論理回路52と、位相差補正回路200とを備えて構成されている。
【0049】
シフトレジスタ51は、データ線駆動回路101内に入力される所定周期のX側クロック信号CLX及びその反転信号CLXB、シフトレジスタスタート信号DXに基づいて、各段から転送信号Pi(i=1、・・・、n)を順次出力するように構成されている。
【0050】
論理回路52は、パルス幅制御部540を含み、シフトレジスタ51から順次出力される転送信号Piを、イネーブル信号ENB1〜ENB4に基づいて整形し、最終的にサンプリング回路駆動信号Siを出力する機能を有している。論理回路52には、パルス幅制御部540に加えて、プリチャージ用回路521、並びにバッファ回路522及び523が含まれる。
【0051】
パルス幅制御部540は、シフトレジスタ51から出力された転送信号Piの波形を整形する論理回路を備えている。より具体的には、パルス幅制御部540は、シフトレジスタ51の各段に対応して設けられた単位回路540Aにより構成され、単位回路540AはNAND回路により構成されている。
【0052】
NAND回路540Aのゲートには、シフトレジスタ51の対応する段より出力される転送信号Piと、4本のイネーブル供給線81に供給されるイネーブル信号ENB1〜ENB4のうち一つとが入力される。NAND回路540Aは、入力された転送信号Pi及びイネーブル信号ENB1〜ENB4の論理積を演算することにより転送信号Piの整形を行う。これにより、NAND回路540Aは、転送信号Piに対して整形が施された信号である整形信号Qaiを生成して出力する。尚、各単位回路540Aには、NAND回路の他、NAND回路に入力される転送信号Pi若しくはイネーブル信号ENB1〜ENB4、並びにNAND回路から出力される整形信号Qaiの論理を反転させる反転回路等が設けられてもよい。
【0053】
転送信号Piの波形は、パルス幅制御部540によってよりパルス幅の狭いイネーブル信号ENB1〜ENB4の波形に基づいてトリミングされ、最終的にはパルス幅やパルス周期等のパルス形状が制限される。
【0054】
このように、パルス幅制御部540は、論理回路が一体となって形成され、且つNAND回路540Aにより整形されるため、回路素子や配線の数を殆ど増加させないで、パルス幅制御部540を簡易な構成とすることが可能となる。よって、TFTアレイ基板10上におけるスペースを殆ど拡大させること無しに、該スペースを小さくして、パルス幅制御部540を形成することが可能となる。
【0055】
プリチャージ用回路521は、シフトレジスタ51の各段に対応して設けられた単位回路521Aを備えている。単位回路521Aは、プリチャージ用信号供給線83に供給されるプリチャージ用選択信号NRGの論理を反転させる反転回路521aと、反転回路521aにおいて論理が反転されたプリチャージ用選択信号NRG及び整形信号Qaiがゲートに入力されるNAND回路521bとにより、実質的にNOR回路として形成されている。NOR回路521Aでは、整形信号Qai及びプリチャージ用選択信号NRGの論理和を演算して、整形信号Qai及びプリチャージ用選択信号NRGのいずれかを、出力信号Qbiとして出力する。このようにして出力された出力信号Qbiは、バッファ回路522及び523を介して、サンプリングパルスSiとして出力される。
【0056】
このような論理回路52の回路構成によれば、プリチャージ用回路521を簡易な構成とすることが可能となり、回路素子又は配線の数を増加させないで、プリチャージ用回路521を形成することが可能となる。その結果、TFTアレイ基板10上において、プリチャージ用回路521を設置するためのスペースをより小さくすることが可能となる。
【0057】
サンプリング回路7(図1参照)は、データ線6aに電気的に接続されたサンプリングスイッチ7sを複数含み、各サンプリングスイッチ7sは、図4に示す画像信号線6に供給される画像信号VIDを、サンプリングパルスSiに応じてサンプリングし、夫々をデータ信号としてデータ線6aに印加する。尚、サンプリングスイッチ7sは、例えばPチャネル型又はNチャネル型の片チャネル型TFT若しくは相補型のTFTにより構成されている。
【0058】
本実施形態では、画像信号線6は一本とし、いずれのサンプリングスイッチ7sもこの画像信号線6から画像信号VIDを供給される場合について説明するが、画像信号は、シリアル−パラレル展開(即ち、相展開)されていてもよい。例えば、画像信号を画像信号VID1〜VID6の6相にシリアル−パラレル展開した場合、これらの画像信号は、6本の画像信号線を夫々介してサンプリング回路7に入力される。複数の画像信号線6に対し、シリアルな画像信号を変換して得たパラレルな画像信号を同時供給すると、データ線6aへの画像信号入力をグループ毎に行うことができ、駆動周波数を抑えることが可能である。
【0059】
位相差補正回路200は、本発明の「位相差補正手段」の一例であり、クロック信号CLX及び反転クロック信号CLXBの夫々を供給する信号線の途中に配置されている。位相差補正回路200は、クロック信号CLX(言い換えれば、正転クロック信号)と反転クロック信号CLXBとの間のタイミングの調整は適切に行う。より具体的には、位相差補正回路200は、クロック信号CLXと反転クロック信号CLXBの位相を、相互に反転位相にする。
【0060】
図5において、位相差補正回路200は、第1バッファ回路201と、双安定性回路202と、第2バッファ回路203とから構成されている。第1バッファ回路はインバータ201a及び201bから、双安定性回路202はインバータ202a及び202bから、第2バッファ回路203はインバータ203a、203b、203c及び203dから夫々、構成されている。
【0061】
図6において、各インバータを構成する一方のトランジスタ211のソースには、電源VDDXが供給される。また、他方のトランジスタ212のドレインには、電源VSSXが供給される。即ち、位相差補正回路200は、上述したシフトレジスタ51等に供給される電源電位によって駆動される。
【0062】
図5に戻り、位相差補正回路200は、インバータ201a及び201bから構成されるバッファ回路201において、クロック信号CLXと反転クロック信号CLXBを供給する回路におけるトランジスタの駆動能力を補うと共に、双安定性回路202において、反転クロック信号CLXBの位相及びクロック信号CLXの位相間に位相差が生じた位相差を補正する。具体的には、双方向性回路202の一方のインバータ202aの出力を他方のインバータ202bの入力に、また他方のインバータ202bの出力を一方のインバータ202aの入力に夫々供給することによって、夫々のインバータ202a及び202bの入力信号に正帰還をかけて位相差を無くす、或いは小さくする構成となっている。
【0063】
更に、双安定性回路202の後段には、第2バッファ回路203が設けてあり、この第2バッファ回路203の働きにより、双安定性回路202の駆動能力の低下を防止している。より具体的には、第2バッファ回路203は、双安定性回路202の駆動能力の低下を防止し、例えば双安定性回路202からクロック信号CLX及び反転クロック信号CLXBを夫々供給した場合に、クロック信号CLX及び反転クロック信号CLXBの夫々を供給する信号線の容量により生じるクロック信号CLX及び反転クロック信号CLXBの劣化を低減する。
【0064】
図4に戻り、本実施形態に係る電気光学装置における走査線駆動回路104は、第1高電位電源供給線401及び第1低電位電源供給線402と電気的に接続されており、電源VDDY及びVSSYが供給されることによって駆動される。走査線駆動回路104は、マトリクス状に配置された複数の画素電極9a(図3参照)をデータ信号及び走査信号により走査線11aの配列方向に走査するために、走査信号印加の基準クロックであるY側クロック信号CLY及びその反転信号CLYB、シフトレジスタスタート信号DYに基づいて生成される走査信号を、複数の走査線11aに順次印加するように構成されている。尚、走査線駆動回路104には、走査信号を整形するためのイネーブル信号ENBYが供給される。
【0065】
ここで本実施形態では特に、走査線駆動回路104を駆動するための電源VDDY及びVSSYを供給する第1高電位電源供給線401、及び第1低電位電源供給線402は、データ線駆動回路101におけるバッファ回路523にも電気的に接続されている。即ち、バッファ回路523は、走査線駆動回路104に供給される電源VDDY及びVSSYによって駆動される。
【0066】
データ線駆動回路101におけるバッファ回路523以外の各回路は、第2高電位電源供給線403から供給される電源VDDX、及び第2低電位電源供給線から供給されるVSSXによって駆動される。このため、バッファ回路523と、位相差補正回路200とは互いに異なる電源電位によって駆動されることとなる。尚、ここでの第1高電位電源供給線401及び第1低電位電源供給線402は、本発明の「第1電源電位供給手段」の一例であり、第2高電位電源供給線403及び第2低電位電源供給線404は、本発明の「第2電源電位供給手段」の一例である。
【0067】
走査線駆動回路104及び論理回路52間で電源VDDY及びVSSYを共用することができるのは、走査線駆動回路104から出力される走査信号の周波数と、データ線駆動回路101で処理、或いは出力される転送信号Pi及びサンプリングパルスSiの周波数とが互いに干渉しない程度に大きく異なっているためである。具体的には、例えば走査線駆動回路104に供給されるクロック信号CLYは数十kHz程度であり、データ線駆動回路101に供給されるクロック信号CLXは数MHz程度であり、これらクロック信号間では格段に周波数の大きさが異なる。
【0068】
このような周波数の差を有するクロック信号に応じて動作する回路間では、電源を共用したとしても実使用上問題ない水準にクロックノイズによる波形の乱れの発生を低減できる。従って、走査線駆動回路104及び論理回路52間で電源VDDY及びVSSYを共用することによって、各回路に個別に電源を供給する場合に比べて電源の数を低減でき、回路構成を簡便にすることができる。加えて、複数系列の電源を供給するためにこれら電源の系列数に応じた数の配線を設ける場合に比べて配線間の干渉による信号の乱れを低減することも可能である。
【0069】
次に、本実施形態に係る電気光学装置の効果について、図7から図11を参照して説明する。ここに図7は、比較例に係る電気光学装置の構成を示すブロック図である。また図8は、比較例に係る電気光学装置におけるVSSX及びCLXの波形を示すグラフであり、図9は、図8の部分拡大図である。図10は、本実施形態に係る電気光学装置におけるVSSX及びCLXの波形を示すグラフであり、図11は、図10の部分拡大図である。
【0070】
図7において、仮に、走査線駆動回路104が、第1高電位電源供給線401及び第1低電位電源供給線402に電気的に接続されており、データ線駆動回路101における全ての回路が、第2高電位電源供給線403及び第2低電位電源供給線404に電気的に接続されているとする。この場合、走査線駆動回路104は、電源VDDY及びVSSYによって駆動され、データ線駆動回路101は、電源VDDX及びVSSXによって駆動される。
【0071】
図8及び図9において、図7に示すような構成によれば、位相差補正回路200におけるクロック信号CLX影響を受けて、位相差補正回路200に供給されている電源VSSXには、波形(即ち、電圧)に乱れが生じてしまう。具体的には、クロック信号CLXの立ち上がり及び立ち下がりの際に、電源VSSXの電圧が上下に振られてしまう。即ち、電源VSSXを一定の値に保つことが困難となってしまう。
【0072】
尚、ここではクロック信号CLX及び電源VSSXの波形のみを図示しているが、電源VDDXも、同様にクロック信号CLXの影響を受けて、波形に乱れが生じてしまう。また、反転クロック信号CLXBも、電源VDDX及びVSSXに影響を与えてしまう。
【0073】
上述したような波形の乱れは、電源VDDX及びVSSXが供給される論理回路52(特に、バッファ回路523)の動作を不安定なものとし、結果的に、データ線6aに出力される画像信号にまで乱れを生じさせてしまう。これにより、例えば画像表示領域10aに表示される画像には、スジ状のムラ或いは帯状のムラを発生してしまうおそれがある。
【0074】
図10及び図11において、しかるに図4に示すような本実施形態に係る電気光学装置では、上述したように、データ線駆動回路101における最後段であるバッファ回路523と、位相差補正回路200とが互いに別の電源電位によって駆動されている。即ち、バッファ回路523は、図に示すような、クロック信号CLX及び反転クロック信号CLXBの影響を受けない電源VSSY及びVDDYによって駆動される。このため、バッファ回路523は、出力すべき信号を所定の波形及びタイミングで出力できる。従って、画像信号が適切なタイミングで、且つ適切な波形で各画素部に供給されることになり、画像表示領域におけるスジ状のムラ、或いは帯状のムラの発生を低減できる。
【0075】
以上説明したように、第1実施形態に係る電気光学装置によれば、クロック信号CLX及び反転クロック信号CLXBが電源電位に与える影響を無くす或いは小さくすることが可能となるため、高品質な画像を表示することが可能である。
【0076】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態に係る電気光学装置について、図12及び図13を参照して説明する。ここに図12は、第2実施形態に係る電気光学装置の具体的な構成を示すブロック図であり、図13は、比較例に係る電気光学装置における各信号の波形を示すタイミングチャートである。尚、第2実施形態は、上述の第1実施形態と比べて、電源配線の構成が異なり、その他の構成については概ね同様である。このため第2実施形態では、第1実施形態と異なる部分について詳細に説明し、その他の重複する部分については適宜説明を省略する。
【0077】
図12において、第2実施形態に係る電気光学装置では、走査線駆動回路104及び論理回路52が、第1高電位電源供給線401及び第1低電位電源供給線402に電気的に接続されており、シフトレジスタ51及び位相差補正回路200が、第2高電位電源供給線403及び第2低電位電源供給線404に電気的に接続されている。即ち、第2実施形態は、上述した第1実施形態と比べて、論理回路52に含まれるバッファ回路523以外の各回路も、電源VDDY及びVSSYによって駆動される。これにより、論理回路52と、位相差補正回路200とは、互いに異なる電源によって駆動されることとなる。
【0078】
図13において、クロック信号CLX及び反転クロック信号CLXBが電源VDDX及びVDDYに与える影響は、NAND回路540Aが、転送信号Pi及びイネーブル信号ENB1〜ENB4の論理積を演算する際にも及ぶ。これにより、転送信号Pi及びイネーブル信号ENB1〜ENB4の論理積であるA(ENB1)〜A(ENB4)には、電源VDDX及びVDDYの乱れに起因した歪みが生じる。このような歪みは、画像表示領域10aに表示される画像の品質を低下させる原因となってしまうおそれがある。
【0079】
しかるに第2実施形態に係る電気光学装置では、上述したように、論理回路52と、位相差補正回路200とは、互いに異なる電源によって駆動される。よって、論理積A(ENB1)〜A(ENB4)に、電源VDDX及びVDDYの乱れに起因した歪みが生じてしまうことを防止することができる。従って、より効果的に画像表示領域におけるスジ状のムラ、或いは帯状のムラの発生を低減できる。
【0080】
以上説明したように、第2実施形態に係る電気光学装置によれば、論理回路52に対するクロック信号CLX及び反転クロック信号CLXBの影響を無くす或いは小さくすることが可能となるため、高品質な画像を表示することが可能である。
【0081】
<第3実施形態>
次に、第3実施形態に係る電気光学装置について、図14を参照して説明する。ここに図14は、第3実施形態に係る電気光学装置の具体的な構成を示すブロック図である。尚、第3実施形態は、上述の第1及び第2実施形態と比べて、電源配線の構成が異なり、その他の構成については概ね同様である。このため第3実施形態では、上述した各実施形態と異なる部分について詳細に説明し、その他の重複する部分については適宜説明を省略する。
【0082】
図14において、第3実施形態に係る電気光学装置では、走査線駆動回路104及び位相差補正回路200が、第1高電位電源供給線401及び第1低電位電源供給線402に電気的に接続されており、データ線駆動回路101における位相差補正回路200を除く他の回路が、第2高電位電源供給線403及び第2低電位電源供給線404に電気的に接続されている。これにより、シフトレジスタ51及び論理回路52と、位相差補正回路200とは、互いに異なる電源によって駆動されることとなる。
【0083】
尚、第3実施形態では、上述した第1及び第2実施形態と異なり、位相差補正回路200が、電源VDDY及びVSSYによって駆動される。よって、ここでは第1高電位電源供給線401及び第1低電位電源供給線402が、本発明の「第2電源電位供給手段」の一例であり、第2高電位電源供給線403及び第2低電位電源供給線404が、本発明の「第1電源電位供給手段」の一例である。
【0084】
第3実施形態では、位相差補正回路200が電源VDDY及びVSSYによって駆動されるため、電源VDDY及びVSSYには、図8及び図9に示した電源VSSXのように、クロック信号CLXB及び反転クロック信号CLXBに起因する乱れが生じてしまう。しかしながら、電源VDDX及びVSSXは、位相差補正回路200に供給されないため、図10及び図11に示した電源VSSYのように乱れが低減された状態となる。これにより、電源VDDX及びVSSXによって駆動されるシフトレジスタ51及び論理回路52は、クロック信号CLXB及び反転クロック信号CLXBによる影響を受けずに済む。よって、適切なタイミングで、且つ適切な波形で信号を出力することが可能となり、画像表示領域におけるスジ状のムラ、或いは帯状のムラの発生を低減できる。
【0085】
以上説明したように、第3実施形態に係る電気光学装置によれば、より確実に、高品質な画像を表示することが可能である。
【0086】
<電子機器>
次に、上述した電気光学装置である液晶装置を各種の電子機器に適用する場合について説明する。ここに図15は、プロジェクタの構成例を示す平面図である。以下では、この液晶装置をライトバルブとして用いたプロジェクタについて説明する。
【0087】
図15に示されるように、プロジェクタ1100内部には、ハロゲンランプ等の白色光源からなるランプユニット1102が設けられている。このランプユニット1102から射出された投射光は、ライトガイド1104内に配置された4枚のミラー1106及び2枚のダイクロイックミラー1108によってRGBの3原色に分離され、各原色に対応するライトバルブとしての液晶パネル1110R、1110B及び1110Gに入射される。
【0088】
液晶パネル1110R、1110B及び1110Gの構成は、上述した液晶装置と同等であり、画像信号処理回路から供給されるR、G、Bの原色信号でそれぞれ駆動されるものである。そして、これらの液晶パネルによって変調された光は、ダイクロイックプリズム1112に3方向から入射される。このダイクロイックプリズム1112においては、R及びBの光が90度に屈折する一方、Gの光が直進する。従って、各色の画像が合成される結果、投射レンズ1114を介して、スクリーン等にカラー画像が投写されることとなる。
【0089】
ここで、各液晶パネル1110R、1110B及び1110Gによる表示像について着目すると、液晶パネル1110Gによる表示像は、液晶パネル1110R、1110Bによる表示像に対して左右反転することが必要となる。
【0090】
尚、液晶パネル1110R、1110B及び1110Gには、ダイクロイックミラー1108によって、R、G、Bの各原色に対応する光が入射するので、カラーフィルタを設ける必要はない。
【0091】
尚、図15を参照して説明した電子機器の他にも、モバイル型のパーソナルコンピュータや、携帯電話、液晶テレビや、ビューファインダ型、モニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた装置等が挙げられる。そして、これらの各種電子機器に適用可能なのは言うまでもない。
【0092】
また、本発明は上述の各実施形態で説明した液晶装置以外にも反射型液晶装置(LCOS)、プラズマディスプレイ(PDP)、電界放出型ディスプレイ(FED、SED)、有機ELディスプレイ、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)、電気泳動装置等にも適用可能である。
【0093】
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う電気光学装置、及び該電気光学装置を備えた電子機器もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】第1実施形態に係る電気光学装置の全体構成を示す平面図である。
【図2】図1のH−H´線断面図である。
【図3】第1実施形態に係る電気光学装置の画像表示領域を構成するマトリクス状に形成された複数の画素における各種素子、配線等の等価回路図である。
【図4】第1実施形態に係る電気光学装置の具体的な構成を示すブロック図である。
【図5】位相差補正回路の構成を示す回路図である。
【図6】位相差補正回路におけるインバータの構成を示す回路図である。
【図7】比較例に係る電気光学装置の構成を示すブロック図である。
【図8】比較例に係る電気光学装置におけるVSSX及びCLXの波形を示すグラフである。
【図9】図8の部分拡大図である。
【図10】第1実施形態に係る電気光学装置におけるVSSX及びCLXの波形を示すグラフである。
【図11】図10の部分拡大図である。
【図12】第2実施形態に係る電気光学装置の具体的な構成を示すブロック図である。
【図13】比較例に係る電気光学装置における各信号の波形を示すタイミングチャートである。
【図14】第3実施形態に係る電気光学装置の具体的な構成を示すブロック図である。
【図15】電気光学装置を適用した電子機器の一例たるプロジェクタの構成を示す平面図である。
【符号の説明】
【0095】
3a…走査線、6…画像信号線、6a…データ線、7…サンプリング回路、7s…サンプリングスイッチ、9a…画素電極、10…TFTアレイ基板、10a…画像表示領域、20…対向基板、30…TFT、50…液晶層、51…シフトレジスタ、52…論理回路、83…プリチャージ用信号供給線、101…データ線駆動回路、102…外部回路接続端子、104…走査線駆動回路、200…位相差補正回路、201…第1バッファ回路、202…双安定性回路、203…第2バッファ回路、401…第1高電位電源供給線、402…第1低電位電源供給線、403…第2高電位電源供給線、404…第2低電位電源供給線、521…プリチャージ用回路、522,523…バッファ回路、540…パルス幅制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に、
複数の画素からなる画素領域と、
前記画素領域に画像信号を出力する出力回路を有する画像信号出力手段と、
前記画像信号出力手段において、前記画像信号を出力するタイミングを同期するクロック信号及び該クロック信号の位相を反転させた反転クロック信号間の位相差を補正する位相差補正手段と、
前記出力回路に電源電位を供給する第1電源電位供給手段と、
前記位相差補正手段に電源電位を供給する第2電源電位供給手段と
を備えることを特徴とする電気光学装置。
【請求項2】
前記画像信号出力手段は、前記出力回路の前段に設けられた他の回路を有しており、
前記第1電源電位供給手段は、前記出力回路に加えて、前記他の回路に電源電位を供給する
ことを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置。
【請求項3】
前記複数の画素に対応するように設けられた複数の走査線及びデータ線を更に備え、
前記出力回路は、前記データ線に電気的に接続されている
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の電気光学装置。
【請求項4】
前記走査線に走査信号を出力する走査信号出力手段を更に備え、
前記第1電源電位供給手段は、前記出力回路に加えて、前記走査信号出力手段に電源電位を供給する
ことを特徴とする請求項3に記載の電気光学装置。
【請求項5】
前記走査線に走査信号を出力する走査信号出力手段を更に備え、
前記第2電源電位供給手段は、前記位相差補正手段に加えて、前記走査信号出力手段に電源電位を供給する
ことを特徴とする請求項3に記載の電気光学装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の電気光学装置を備えることを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−127955(P2010−127955A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−299156(P2008−299156)
【出願日】平成20年11月25日(2008.11.25)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】