電気光学装置用基板及びその検査方法、並びに電気光学装置及び電子機器
【課題】外部からのプローブを接触される等の必要がなく、十分な測定精度の得られる検査を実現できる電気光学装置用基板及びその検査方法を提供する。
【解決手段】本発明の基板1は、複数のスイッチング素子のそれぞれを介して、複数の画素に第1の電位信号を信号線を介して書き込むためのビデオ線7とトランスミッションゲート部6を有する。さらに、基板1は、低い方の電位をより低くして、かつ、高い方の電位をより高くして信号線に出力する差動増幅器4aからなる表示データ読み出し回路部4と、第1の電位信号と基準となる第2の電位信号を読み出すトランスミッションゲート部6とビデオ線7とを有する。
【解決手段】本発明の基板1は、複数のスイッチング素子のそれぞれを介して、複数の画素に第1の電位信号を信号線を介して書き込むためのビデオ線7とトランスミッションゲート部6を有する。さらに、基板1は、低い方の電位をより低くして、かつ、高い方の電位をより高くして信号線に出力する差動増幅器4aからなる表示データ読み出し回路部4と、第1の電位信号と基準となる第2の電位信号を読み出すトランスミッションゲート部6とビデオ線7とを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気光学装置用基板及びその検査方法、並びに電気光学装置及び電子機器に関し、特に、複数の画素にそれぞれ設けられた複数のスイッチング素子を有する電気光学装置用基板及びその検査方法、並びに電気光学装置及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、液晶装置等の表示装置は、携帯電話、プロジェクタ等の機器に広く使用されている。TFT(Thin Film Transistor)等を用いた液晶表示装置は、TFT基板と対向基板を貼り合わせて、その基板間に液晶を封入して構成されている。一般に、製造された液晶装置が正常に作動するかの検査は、完成品に対して行われる。例えば、所定の画像信号を液晶装置に表示データとして入力し、投影、表示等させることによって、正しくデータが表示されるか、欠陥画素の有無のチェックが行われていた。
しかし、完成品について検査を行う方法は、製造工程の管理面からみると、好ましくない。理由は、基板の製造工程後に不良品が発見されるので、不良品の発見が遅れてしまうからである。
【0003】
このため、工程管理へ不良発見がフィードバックされるまでの時間が長くなる。その結果、歩留まり低下期間が長期化し、製造コストが上昇するからである。また、試作品の場合も、試作品の評価から設計にフィードバックされるまでの期間が長期化するため、開発期間の長期化、開発コストの上昇に繋がる。さらに、製品完成後は、いわゆるリペア、すなわち不良箇所の修理が困難である。
そこで、基板の製造工程内において、不良の発見、特に、表示装置の欠陥画素の発見を行うことが望まれている。
【0004】
そのような検査方法の一つとして、液晶表示装置の電極パッドに検査用プローブを接触させて、所定の電流を供給することによって、液晶表示装置の検査を行う技術が提案されている(例えば特許文献1参照)。同様に、画素のコンデンサ容量特性から、TFT基板の各画素に所定の電圧を印加して、放電電流及び放電電圧の波形に基づいてTFTの機能を検査する技術が提案されている(例えば特許文献2参照)。
【0005】
また、TFT基板の画素電極に対応する検査用の対向電極を用いて、画素電極の電位の変化量を検出することによって、各画素電極の動作検査を行う技術も提案されている(例えば特許文献3参照)。
【0006】
【特許文献1】特開平5−341302号公報
【特許文献2】特開平7−333278号公報
【特許文献3】特開平10−104563号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上述した特許文献1及び特許文献3に記載の技術による場合、検査装置において、基板の外部から電極パッド等に所定のプローブ等を接触あるいは近接させるための機械的な位置精度が要求される。その結果、機械的なアライメント精度を確保するために検査時間が長くなるという問題がある。さらに、高精細な液晶表示装置の場合は、多くの電極パッドに対して細いプローブ等を機械的な制御を行って接触させなければならなくなり、これらの方法が適用できない場合もある。
【0008】
また、上述した特許文献2に記載の方法では、液晶表示装置と測定装置間の各種容量成分、例えばソース線、画像信号線、電極パッド端子等における容量が影響するため、画素自体の容量が比較的小さい場合は、十分な測定精度が得られないという問題がある。
【0009】
本発明は、以上の点に鑑みて成されたもので、外部からのプローブを接触される等の必要がなく、十分な測定精度の得られる検査を実現できる電気光学装置用基板及びその検査方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の電気光学装置用基板は、互いに交差する複数の走査線及び複数の信号線と、前記複数の走査線及び前記複数の信号線の交差に対応してに配置された複数の画素と、前記信号線に電気的に接続され、前記画素に入力された信号が前記信号線を介して入力されるとともに、当該入力された信号の電位を増幅する増幅手段と、を備えたことを特徴とする。
【0011】
また、前記増幅手段は、一対の前記信号線に電気的に接続され、前記一対の信号線からそれぞれ供給された信号の電位差を増幅することを特徴とする。
【0012】
本発明の電気光学装置用基板は、互いに交差する複数の走査線及び複数の信号線と、前記複数の走査線及び前記複数の信号線の交差に対応してマトリックス状に配置された複数の画素と、前記複数の画素に対応してそれぞれ設けられた複数のスイッチング素子と、前記複数の信号線のうちの第1の信号線を介して第1の電位信号が入力されるとともに、基準電位としての第2の電位信号が入力される増幅手段と、前記増幅手段から前記複数の信号線に出力された出力電位信号を読み出すデータ読出手段と、有し、前記増幅手段は、前記第1の電位信号と前記第2の電位信号とを比較し、前記第1の電位信号が低い場合には、前記信号線の電位をより低くして、そのより低くした前記出力電位信号を前記信号線に出力し、前記第1の電位信号が高い場合には、前記信号線の電位をより高くして、そのより高くした前記出力電位信号を前記信号線に出力することを特徴とする。
【0013】
このような構成によれば、外部からのプローブを接触される等の必要がなく、十分な測定精度の得られる検査のできる電気光学装置用基板を実現することができる。
【0014】
また、本発明の電気光学装置用基板において、前記第1の電位信号は、前記複数のスイッチング素子を介して前記複数の画素の全部又は一部に供給された信号の電位であり、前記第2の電位信号の電位は、基準信号線から供給される電位であることを特徴とする。
【0015】
このような構成によれば、画素の不良を、画素毎に不良として検出することができる。
【0016】
また、本発明の電気光学装置用基板において、前記第1の電位信号及び前記第2の電位信号は、それぞれ前記複数のスイッチング素子を介して前記複数の画素の全部又は一部に供給された信号の電位であり、前記第1の電位信号は前記第1の信号線を介して、前記第2の電位信号は前記複数の信号線のうちの第2の信号線を介して、対応する前記増幅手段に供給されることを特徴とする。
【0017】
このような構成によれば、2つの画素の電位を比較するため、2つの画素のいずれかが不良であれば、その不良を検出することができる。
【0018】
また、本発明の電気光学装置用基板において、前記増幅手段は、差動増幅器であることを特徴とする。
【0019】
また、本発明の電気光学装置用基板において、前記データ読出手段は、読み出した前記電位信号を出力するための差動増幅器を有することを特徴とする。
【0020】
このような構成によれば、2つの信号線の電位の差を明確にして出力することができる。
【0021】
また、本発明の電気光学装置用基板において、前記複数の画素のそれぞれには、付加容量が設けられていることを特徴とする。
【0022】
このような構成によれば、付加容量の不良を検出することができる。
【0023】
また、本発明の電気光学装置用基板において、さらに、前記複数の信号線に接続され、前記複数の信号線の電位を所定の電位にプリチャージするプリチャージ回路を有することを特徴とする。
【0024】
このような構成によれば、各種特性の検査において利用することができる。
【0025】
また、本発明の電気光学装置用基板において、前記複数の画素に供給された画像信号を供給する画像信号線と、前記画像信号線から供給された画像信号を前記複数の信号線に供給する複数のトランスミッションゲートとを有し、前記データ読み出し手段は、前記画像信号線を含むことを特徴とする。
【0026】
このような構成によれば、複数のトランスミッションゲートを制御することによって、ビデオ信号線への画像信号の供給あるいは画像信号の読み出しができる。
【0027】
また、本発明の電気光学装置は、一対の基板間に電気光学物質を挟持してなる電気光学装置において、前記一対の基板の一方に上記電気光学装置用基板を用いたことを特徴とする。
【0028】
また、本発明の電子機器は、本発明の電気光学装置を用いた。
このような構成によれば、外部からのプローブを接触される等の必要がなく、十分な測定精度の得られる検査のできる電気光学装置用基板を用いた電気光学装置又は電子機器が実現できる。
【0029】
本発明の電気光学装置用基板の検査方法は、互いに交差する複数の走査線及び複数の信号線と、前記複数の走査線及び前記複数の信号線の交差に対応してマトリックス状に配置された複数の画素と、前記複数の画素に対応してそれぞれ設けられた複数のスイッチング素子と、を有する電気光学装置用基板の検査方法であって、1つの前記信号線に対応する画素に第1の電位信号を供給する供給ステップと、前記画素に供給された前記第1の電位信号を、前記信号線を介して読み出す読出ステップと、前記第1の電位信号とは電位が異なり基準信号としての第2の電位信号と、読み出された前記第1の電位信号と、を比較し、前記第1の電位信号が低い場合には、前記信号線の電位をより低くして、そのより低くした前記出力電位信号を前記信号線に出力し、前記第1の電位信号が高い場合には、前記信号線の電位をより高くして、そのより高くした前記出力電位信号を前記信号線に出力する出力ステップと、前記供給ステップで供給された第1の電位信号と前記出力ステップで出力された前記出力電位信号とを比較する比較ステップと、を有することを特徴とする。
【0030】
このような構成によれば、外部からのプローブを接触される等の必要がなく、十分な測定精度の得られる検査のできる電気光学装置用基板の検査を実現することができる。
【0031】
また、本発明の電気光学装置用基板の検査方法において、前記読出ステップの前に、前記信号線を所定のプリチャージ電位にするプリチャージステップを含むことを特徴とする。
【0032】
このような構成によれば、電気光学装置用基板の各種特性の検査をすることができる。
【0033】
また、本発明の電気光学装置用基板の検査方法において、前記所定のプリチャージ電位は、前記第1の電位信号と前記第2の電位信号の間の中間電位であることを特徴とする。
【0034】
このような構成によれば、書き込まれた前記第1と前記第2の電位信号を、中間電位を基準に比較することができる。
【0035】
また、本発明の電気光学装置用基板の検査方法において、前記複数の画素の各々に付加容量が設けられていることが望ましい。
【0036】
このような構成によれば、付加容量の不良を検出することができる。
【0037】
また、本発明の電気光学装置用基板の検査方法において、前記第2の電位信号の電位は、外部から供給される電位であることを特徴とする。
【0038】
このような構成によれば、画素の不良を、画素毎に不良として検出することができる。
【0039】
また、本発明の電気光学装置用基板の検査方法において、前記供給ステップにおいて、前記第1の前記第2の電位信号は、それぞれ前記複数のスイッチング素子を介して2つの画素に供給された信号の電位であり、前記読出ステップにおいて、前記第1及び前記第2の電位信号は、それぞれ対応する2つの前記信号線を介して、読み出されることが望ましい。
【0040】
このような構成によれば、2つの画素の電位を比較するため、2つの画素のいずれかが不良であれば、その不良を検出することができる。
【0041】
また、本発明の電気光学装置用基板の検査方法において、前記供給ステップにおいて、前記2つの画素の一方を検査対象画素とし、該検査対象画素へ前記第1の電位信号としてHIGH信号を供給し、前記2つの画素の他方を基準画素とし、該基準画素へ前記第2の電位信号としてLOW信号を供給し、前記比較ステップにおいて前記検査対象画素から読み出した電位信号がLOWのときに、前記付加容量の不良であると判断することを特徴とする。
【0042】
このような構成によれば、画素の容量の不良を判断することができる。
【0043】
また、本発明の電気光学装置用基板の検査方法において、前記付加容量の共通固定電極の電位を、前記LOW信号の供給電位より低い電位とすることを特徴とする。
【0044】
このような構成によれば、読み出し電位を基準側の電位より低くなるようにして、リーク不良の電圧変化が現れるようにできる。
【0045】
また、本発明の電気光学装置用基板の検査方法において、前記所定のプリチャージ電位は、前記出力ステップにおいてより高くされた電位よりも高い電位であることを特徴とする。
【0046】
このような構成によれば、書き込まれた前記第1と前記第2の電位信号を、その高い電位を基準に比較することができる。
【0047】
また、本発明の電気光学装置用基板の検査方法において、前記供給ステップにおいて、前記2つの画素の一方を検査対象画素とし、該検査対象画素へ前記第1の電位としてLOW信号を供給し、前記2つの画素の他方を基準画素とし、該基準画素へ前記第2の電位としてHIGH信号を供給し、前記比較ステップにおいて前記検査対象画素から読み出した電位信号がHIGHのときに、前記スイッチング素子の不良であると判断することを特徴とする。
【0048】
このような構成によれば、画素のスイッチング素子の不良を判断することができる。
【0049】
また、本発明の電気光学装置用基板の検査方法において、前記供給ステップにおいて、前記2つの画素の一方を検査対象画素とし、該検査対象画素へ前記第1の電位としてLOW信号あるいはHIGH信号を供給し、前記2つの画素の他方を基準画素とし、該基準画素へ前記第2の電位として前記第1のLOW信号の電位とHIGH信号の電位との間の電位を有する中間電位信号を供給し、前記比較ステップにおいて前記検査対象画素から読み出したそれぞれの電位が、前記第1の電位と一致しなかったとき、前記スイッチング素子または前記付加容量の不良であると判断することを特徴とする。
【0050】
このような構成によれば、画素の容量あるいはスイッチング素子の不良を検出することができる。
【0051】
また、本発明の電気光学装置用基板の検査方法において、前記2つの信号線は互いに隣接していることが望ましい。
【0052】
このような構成によれば、隣り合う画素なので、外部ノイズなどの影響を同等に受けるので、出力工程において誤動作し難い。
【0053】
また、本発明の電気光学装置用基板の検査方法において、前記複数の画素について順次、前記供給ステップと、前記読出ステップと、前記出力ステップと、前記比較ステップとを行うことが望ましい。
【0054】
このような構成によれば、マトリックスの必要な画素について全て検査をすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0055】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
ここでは、本発明の電気光学装置用基板の一例として、液晶表示装置に用いるアクティブマトリックス型表示装置用基板を例にとって説明する。
【0056】
(第1の実施の形態)
まず、図1は、本発明の第1の実施の形態に係わる液晶表示装置の素子基板の回路図である。液晶表示装置の素子基板は、アクティブマトリックス型表示装置用基板である。素子基板1は、表示素子アレイ部2と、プリチャージ回路部3と、表示データ読み出し回路部4を含む。表示部となる表示素子アレイ部2は、マトリックス状に2次元に配置されたm行×n列の複数の画素のセルからなる。ここで、m,nはそれぞれ整数である。表示素子アレイ部2のX方向(横方向)及びY方向(縦方向)に並んだ複数の画素2aを駆動するために、Xドライバ部5aと、Yドライバ部5bと、トランスミッションゲート部6と、画像信号線7も含む。Xドライバ部5a、Yドライバ部5b、トランスミッションゲート部6及び画像信号線7が、データ書込手段及びデータ読出手段のそれぞれを構成する。トランスミッションゲート部6は、画像信号線7から入力される画素データ信号をXドライバ部5aからの出力タイミング信号に応じて供給する。画像信号線7は、マトリックス状の表示素子アレイ部2の奇数列に信号を供給する信号線と、偶数列に信号を供給する信号線とを有し、それぞれの端子inoとineとに接続されている。
【0057】
表示素子アレイ部2は、右から第1列、第2列、・・第n列で、上から第1行、第2行、・・第m行のマトリックスであるが、図1では、説明を簡単にするために、4(行)×6(列)のマトリックスの画素からなる回路の例を示している。
プリチャージ回路部3は、後述するように、各種特性の検査のために、各ソース線を所定の電位にプリチャージするときに利用する。
【0058】
表示データ読み出し回路部4は、2次元マトリックスの奇数列のソース線S(odd)と偶数列のソース線S(even)の1組のソース線に対して接続された1つの差動増幅器4aが、複数設けられている。検査時に用いられるテスト回路としての表示データ読み出し回路部4が、アクティブマトリックス駆動型の液晶表示パネルの素子基板に形成されている。
【0059】
次に、表示素子アレイ部2の単位表示素子である画素2aについて説明する。図2は、本実施の形態に係わる1つのメモリセルである一つの画素の等価回路図である。
各画素2aは、スイッチング素子である薄膜トランジスタ(以下、TFTという)11と、液晶容量Clcと、液晶容量Clcに並列に接続された付加容量Csとを含む。TFT11のドレイン端子に液晶容量Clcと付加容量Csのそれぞれの一端が接続されている。付加容量Csの他端は、共通固定電位CsCOMに接続されている。なお、素子基板1を単結晶シリコンなどの半導体物質、あるいは半導体化合物などで形成した場合、各画素のスイッチング素子としてトランジスタを用いることが可能となる。TFT11のゲート端子gはYドライバ5bからの走査線Gに接続されている。TFT11のゲート端子gに所定の電圧信号が入力されてTFT11がオンすると、ソース線Sに接続されたTFT11のソース端子sに印加されている電圧が液晶容量Clcと付加容量Csに印加され、供給された所定の電位が維持される。
【0060】
図3は、表示データ読み出し回路部4の差動増幅器4aの回路図である。図3に示す差動増幅器4aは、2次元マトリックスの一方向、ここでは、X方向におけるn個の画素(nは整数で、偶数)に対して、(n/2)個設けられている。従って、n列の画素に対して、(n/2)個の差動増幅器4aが対応する複数のソース線に接続されている。
【0061】
各差動増幅器4aは、2つのPチャネル型のトランジスタ21,22と、2つのNチャネル型のトランジスタ23,24とを含む。トランジスタ21と23とからなる第1の直列回路と、トランジスタ22と24とからなる第2の直列回路とが並列接続されている。トランジスタ21のゲート端子と、トランジスタ22と24の接続点soとが接続されている。トランジスタ22のゲート端子と、トランジスタ21と23の接続点seとが接続されている。トランジスタ23のゲート端子と、トランジスタ22と24の接続点soとが接続されている。トランジスタ24のゲート端子と、トランジスタ21と23の接続点seとが接続されている。接続点soは、奇数列の画素のソース線S1,S3,S5,・・に接続されている。接続点seは、偶数列の画素のソース線S2,S4,S6,・・に接続されている。各差動増幅器4aのトランジスタ21と22の接続点spは、表示データ読み出し回路部4の第1の駆動電源SAp-chを供給する端子4bに接続されている。各差動増幅器4aのトランジスタ23と24の接続点snは、表示データ読み出し回路部4の第2の駆動電源SAn-chを供給する端子4cに接続されている。
【0062】
増幅手段としての交差結合形増幅器である差動増幅器4aは、後述するように、接続点so,seに接続された2つのソース線S、すなわち奇数列のソース線S(odd)と偶数列のソース線S(even)において、一方には高い電圧が、他方には低い電圧が供給された場合に、差動増幅器4aは、奇数列と偶数列の2つのソース線S(odd)とS(even)に現れる、それぞれの電位差に応じて、低い電圧の方のソース線の電圧をより低くし、高い電圧の方のソース線電圧をより高くするように動作する。すなわち、接続点soとseとに入力された信号の電位差を増幅する機能を持つ。
【0063】
図3の差動増幅器4aにおいて、端子4bに接続される接続点spは、出力レベルをHIGHの信号(以下、単にHIGHという)にするタイミング信号が入力される端子である。端子4cに接続される接続点snは、出力レベルをLOWの信号(以下、単にLOWという)にするタイミング信号が入力される端子である。
【0064】
動作としては、例えば、接続点seが接続点soに比べてわずかに高い電位とすると、トランジスタ24が最初にオンする。その結果、トランジスタ24がオンとなるので、接続点soは端子4cの低い接地電位まで落ちる。そして、接続点soが端子4cの低い接地電位まで落ちるので、ゲート端が接続点soに接続されたトランジスタ21がオンなる。その結果、接続点seは端子4bの高い電源電圧Vddまで上昇する。
【0065】
このように、差動増幅器4aは、隣り合う2つのソース線の高い電位の方のソース線の電位をより高くし、低い電位の方のソース線の電位をより低くするように機能する。
なお、本実施の形態では、隣り合う2つのソース線に1つの差動増幅器4aを設けている。これは、素子基板1上に差動増幅器4aを形成し易いからであるとともに、外来ノイズがあった場合に両方のソース線に同じように影響を及ぼすからであり、隣り合わない画素のソース線に対して1つの差動増幅器を設けてもよい。
【0066】
本実施の形態によれば、以上のような構成のアクティブマトリックス型表示装置である液晶表示装置の素子基板が製造工程において製造されると、対向基板と貼り合わせて液晶を封入する前の素子基板自体の電気特性を評価あるいは検査を行うことができる。電気的特性の検査対象とする不良としては、素子基板の各画素のデータ保持用キャパシタ(付加容量Cs)のリークによるLOW固定不良、スイッチング素子であるTFTのソース・ドレイン間リークによるHIGH固定不良等がある。
【0067】
初めに、製造工程における素子基板1の検査を説明する前に、図1に示すTFT基板が対向基板と貼り合わされて液晶が封入されて完成された液晶表示装置が、通常の画像表示を行うときの動作について説明する。まず、2本の画像信号線7には、それぞれ奇数列と偶数列の画素信号である画素データ信号が、画像信号線7の入力端子ineとinoに入力される。それぞれの画素データ信号は、Xドライバ5aからの列選択信号に応じて、トランスミッションゲート部6のそれぞれのトランジスタを介して、各ソース線Sへ供給される。
【0068】
各ソース線Sに供給された画素信号は、Yドライバ5bからの走査線GがHIGHになって選択された行の各画素2aに書き込まれる。従って、選択された走査線Gにおいてソース線Sに供給される画素データ信号が対応する画素2aに表示用の画素データ信号として供給されて保持される。この動作を、行順次で行うことにより、液晶表示装置の表示素子アレイ部2には、所望の画像が表示される。
【0069】
プリチャージ回路部3は、走査線GがHIGHになる前に、プリチャージ電圧Vpcを各ソース線Sに印加するための回路である。プリチャージ電圧Vpcは、プリチャージ回路部3の端子3aに供給される。プリチャージ電圧Vpcを供給するタイミングは、プリチャージゲート端子3bに与える電圧によって決定される。
従って、製品あるいは試作品としての液晶表示装置として画像表示が行われるときは、素子基板1の表示データ読み出し回路部4は、動作せず使用されない。
【0070】
次に、素子基板1において、図1に示す回路部分が半導体プロセスの工程によって製造された後に、素子基板1の状態において行われる検査の手順について説明する。この素子基板1の検査において、表示データ読み出し回路部4が動作して使用される。
まず検査方法を実現するための検査システムについて説明する。図4は、本実施の形態に係わる検査システムの構成図である。素子基板1と、画素データの書き込みと読み込みができるテスト装置31とを、接続ケーブル32を介して接続する。接続ケーブル32は、素子基板1のデータ線7の端子ino,ine、表示データ読み出し回路部4の信号線の端子4b、4c、プリチャージ回路部3の端子3a、3b等を、テスト装置31に電気的に接続する。
【0071】
テスト装置31から、後述する所定の順番で、所定の電圧を各端子に供給することによって、素子基板1の電気的特性の検査を行うことができる。以下に、その検査内容として、上述したLOW固定不良とHIGH固定不良の有無についての検査を行う手順を説明する。
【0072】
次に、検査の全体の流れを説明する。図5は、その検査の流れの例を示すフローチャートである。
表示データ読み出し回路部4の各差動増幅器4aを非動作状態にする。具体的には、第1の駆動電源SAp-chと第2の駆動電源SAn-chを、それぞれ電源電圧Vddと接地電位の中間電位(Vdd/2)にする。その状態で、画像信号線7の入力端子ino,ineから、セルである各画素に所定の画素データ信号を入力、すなわち書き込む(ステップ(以下、Sと略す)1)。具体的には、奇数側のソース線S(odd)にHIGHを、偶数側のソース線S(even)にLOWを供給することによって、選択された行の奇数番目の画素にはHIGHが書き込まれ、偶数番目の画素にはLOWが書き込まれる。この書込工程が、行毎に行われ、全行について行われる。図6(a)は、4(行)×6(列)の各画素に書き込まれる画素データのLOW(L)と、HIGH(H)の状態を示す図である。図6(a)に示すように、表示素子アレイ部2の各画素データは、LOW(L)の列とHIGH(H)の列が交互に表れるマトリックスとなる。
【0073】
次に、表示データ読み出し回路部4を動作させながら、書き込まれた画素データを行毎に読み出す(S2)。表示データ読み出し回路部4の動作については後述する。後述するように、表示データ読み出し回路部4が動作するときに、最初のプリチャージ期間は、やや長くしており、それによりデータ保持用キャパシタ(Cs)において電流リーク現象による電圧の変化が確実に表れるようにしている。すなわち、表示データ読み出し回路部4は、画素データを読み出すときに、信号線上の信号出力を増幅して出力する出力工程を実行する。
【0074】
そして、テスト装置31は、読出工程において読み出した画素データと、書込工程において書き込んだ画素データとを比較する(S3)。この比較工程においては、各画素について書き込んだ画素データと読み出した画素データが一致しているか否かが判断される。テスト装置31は、書き込んだ画素データと読み出した画素データが一致していないセル、すなわち画素を特定し、異常セルとして、例えばセル番号等のデータを、図示しないモニタの画面上に表示するように出力する(S4)。
【0075】
次に、図7のタイミングチャートを用いて、図5のS2の画素データの読み出し動作を説明する。図7は、図1の回路における読み出し動作を説明するためのタイミングチャートである。画素の検査は、基準となる列に対して、検査対象の列が正常であるか否かを判定することによって行われる。まず、基準とする列を偶数列とし、検査対象とする列を奇数列とする。図7に示すタイミングのための信号は、テスト装置31によって生成されて各端子に供給される。
【0076】
初めに、図6(a)に示すように、偶数列の画素を基準データ書き込み用とし,偶数側の画素にLOWが、被検査用の奇数側の画素にHIGHが書き込まれ、被検査対象の奇数列の各画素の検査が行われる。
【0077】
図7に示すように、全画素へ上述した所定の画素データの書き込み後、プリチャージ回路部3の端子3bに供給されるプリチャージゲート電圧PCGが、HIGHとなり、各ソース線Sへのプリチャージが行われる。プリチャージ状態で所定時間経た後に、読み出し動作が開始される。なお、各ソース線Sのプリチャージ電位(プリチャージ電圧印加端子3aに印加される電圧)VpcはHIGHとLOWの中間電位にし、図2に示すCsCOM電位を(LOW電位−ΔV)とする。CsCOM電位を(LOW電位−ΔV)とするのは、データ保持用キャパシタCsがリーク不良である場合、リーク先のCsCOM電位が(Low電位−ΔV)となるため、読み出し電位は基準側の電位より低くなるようにするためである。そして、最初のプリチャージ期間は、やや長い時間を設定しておき、リーク不良による電圧変化が現れるようにする。
【0078】
第1行目の読み出し動作では、まずプリチャージゲート電圧PCGをLOWにしてプリチャージを停止し、次に走査線G1の電位をHIGHにして第1行目の画素トランジスタである各TFT11をONする。走査線G1に接続された画素すべてのTFT11が一斉にONする。その結果、コンデンサCsに書き込まれた電荷がソース線Sに移動する。HIGHが書き込まれた奇数側ソース線(S(odd))が中間電位付近の高い側の電位へ僅かに上昇し、基準側の偶数側ソース線(S(even))の電位は中間電位付近の低い側の電位へ僅かに低下する。SAn-ch駆動電源をLOWにし、続いてSAp-ch駆動電源をHIGHにすることによって、表示データ読み出し回路部4を起動する。
【0079】
しかし、奇数側の画素のデータ保持用キャパシタCsのリークが生じていた場合は、図7において点線L1で示すように、偶数側ソース線(S(even))の電位より奇数側ソース線(S(odd))の電位の方がより低下する。その結果、点線L2で示すように、偶数側の電位が上昇する。
【0080】
SAn-ch駆動電源がLOWになることで中間電位より僅かに低い側の電位がLOWに、続いてSAp-ch駆動電源がHIGHになることで中間電位より僅かに高い側の電位がHIGHに変化する。これは、上述したように、表示データ読み出し回路部4の各差動増幅器4aの動作により、2つのソース線Sに現れる高低2つの電位レベルが明確になるからである。この動作は走査線G1に接続された画素すべてにおいて一斉に行われる。
そして、トランスミッションゲート部6の各トランジスタのゲートTG1からTGnを順に開き(HIGHにし)、画像信号線7から順番に第1行目の各画素の画素データを読み出す。
【0081】
最後のトランスミッションゲートTGnまで開いた後,再びプリチャージ動作に移る。そのプリチャージ動作、すなわち2回目以降のプリチャージ時間は初回ほど長い必要はない。
【0082】
従って、上述したように、書き込んだ画素データと読み出した画素データを比較し(S3)、書き込んだ検査対象の奇数側の画素のHIGHが、読み出したときにLOWとなっているときは、奇数側のその画素は、LOW固定不良であると判断することができる。そのようなLOW固定不良の画素、すなわち異常セルは、検査装置31において、図示しない表示装置等に出力される(S4)。
【0083】
そのプリチャージ動作を停止した後は、第2の走査線G2の電位をHIGHにすることによって、第2行目の各画素のTFT11をONする。以降同様の動作を、最後の走査線Gmに接続された画素、すなわち、第m行目の各画素の画素データまで読み出す。
【0084】
読み出した各画素データと書き込んだ各画素データとを比較して、被検査対象の奇数列の各画素にLOW固定不良があるか否かのチェックを行うことができる。
次に、偶数列と奇数列の関係を逆にし、すなわち、奇数側の画素を基準データ書き込み用とし、奇数側の画素にLOWを、被検査用の偶数側の画素にHIGHを書き込み、図5に示す処理と同様の処理を行うことによって、基準となる奇数側の画素に対して、偶数側の画素に、LOW固定不良がないかどうかを検査する。
【0085】
以上のように、奇数と偶数の列のいずれか一方を基準として他方の画素にLOW固定不良がないかどうかの検査を、奇数と偶数の両列について行うことによって、全画素についてLOW固定不良がないかどうかを検査することができる。
【0086】
次に図8を参照して、HIGH固定不良の有無の検査について説明する。図8は、HIGH固定不良の有無の検査における読み出し動作を説明するためのタイミングチャートである。上述したLOW固定不良の場合と同様に、最初に偶数側の画素を基準データ書き込み用とするが、画素データの書き込みにおいては、偶数側の画素にHIGHを、被検査用の奇数側画素にLOWを書き込む。
【0087】
全画素への図6(b)に示すような画素データ(図6(a)のHとLの関係を逆にした状態の画素データ)の書き込み後、プリチャージ状態で所定時間経た後に読み出し動作が開始される。このとき各ソース線Sのプリチャージ電位(プリチャージ電圧印加端子3aに印加される電圧)Vpcを(HIGH電位+ΔV)電位とする。プリチャージ電位Vpcを(HIGH電位+ΔV)電位とするのは、TFT11のソース・ドレイン間がリークした場合、リーク先のソース線Sの電位は(HIGH電位+ΔV)のため、読み出し電位は基準側の電位より高くなるようにするためである。
【0088】
読み出し動作では、まずプリチャージを停止し、次に走査線G1の電位をHIGHにして各TFT11をONする。各TFT11は走査線G1に接続された第1行目の画素すべてにおいて一斉にONする。HIGHが書き込まれた基準側の偶数側ソース線S(even)の電位はプリチャージ電位Vpcから僅かに低下し(HIGH電位に変化)、LOWが書かれた奇数側ソース線S(odd)の電位は、プリチャージ電位Vpcよりさらに低下する。従って、差動増幅器4aは、LOWが書き込まれていた奇数側ソース線S(odd)の電位をより低くし、HIGHが書き込まれていた偶数側ソース線S(even)の電位はHIGH電位を維持する。
【0089】
しかし、検査対象の奇数側の画素のTFT11のソース・ドレイン間のリークが生じていた場合、リーク先の画素のキャパシタCsの電位はプリチャージ電位(HIGH電位+ΔV)となり、基準側の偶数側の画素の電位よりも高くなる。よって、画素データの読み出し時、図8の点線L3で示すように、奇数側のソース線S(odd)の電位はプリチャージ電位(HIGH電位+ΔV)のままでほとんど変化しない。すなわち、奇数側ソース線S(odd)の電位は、偶数側のソース線S(even)の電位より高くなる。SAn-ch駆動電源がLOWになることで低い側の電位がLOWに、続いてSAp-ch駆動電源がHIGHになることで高い側の電位がHIGHに変化する。その結果、点線L4で示すように、偶数側のソース線S(even)の電位はLOWに、奇数側のソース線S(odd)の電位はHIGHになる。
【0090】
よって、検査対象の画素のセルにおいて、書き込んだ画素データと読み出した画素データが異なるので、異常セルを検出することができる。
以降の差動増幅器の動作は、上述したLOW固定不良の検出時と同様である。以上の動作を、今度は基準側を奇数側として、検査対象を偶数側として行うことによって、全ての画素についてHIGH固定不良の検査をすることができる。
【0091】
以上のように、基準側を偶数列と奇数列を入れ替えてLOW固定不良の検査を行い、同様に、基準側を偶数列と奇数列を入れ替えてHIGH固定不良の検査を行うことによって、全ての画素についてLOW固定不良とHIGH固定不良の有無の検査を行うことができる。
【0092】
なお、上述した例では、基準側の画素にHIGHあるいはLOWとして検査を行っているが、基準側の画素に中間電位の信号を書き込むようにしてもよい。
図9を用いて、基準側の画素にHIGHとLOWの中間電位を書き込んで検査を行う方法について説明する。
上述したLOW固定不良の検出の場合と同様に、最初に偶数側の画素を基準データ書き込み用とし、偶数側の画素にHIGHとLOWの中間電位を、被検査用の奇数側画素にはHIGH又はLOWを書き込む。例えば、図10に示すように、奇数側の画素には、初めにHIGHを書き込み、偶数側の画素には、HIGHとLOWの中間電位(M)を書き込む。
【0093】
全画素への書き込み後、プリチャージ状態で所定時間経た後、読み出し動作が開始される。このときソース線Sのプリチャージ電位(プリチャージ電圧印加端子3aに印加される電圧)をHIGHとLOWの中間電位にする。
【0094】
読み出し動作では、まずプリチャージを停止し、つぎに走査線G1の電位をHIGHにして各TFT11をONする。TFT11は走査線G1に接続された画素すべてにおいて一斉にONする。基準側の偶数側ソース線の電位は、プリチャージ電位の中間電位のまま変化しない。奇数側のソース線Sの電位は、HIGHが書き込まれていたので、中間電位より僅かに上昇する。従って、差動増幅器4aによって、偶数側はLOWに、奇数側はHIGHになるので、奇数側に書き込んだ画素データはHIGHで変わらない。
【0095】
しかし、検査対象の画素のキャパシタンスCsにリークが生じていた場合、奇数側のソース線S(odd)の電位は、中間電位より僅かに低下する。従って、差動増幅器4aによって、奇数側は図9の点線L5に示すようにLOWに、偶数側は点線L6に示すようにHIGHになるので、奇数側に書き込んだ画素データはHIGHではなくLOWになる。
【0096】
以降の動作は、上述したLOW固定不良の検出時と同様である。以下同様にして、全ての行について、画素データを読み出す。
【0097】
次に、奇数側にLOWを書き込み(図10におけるHをLに変更した状態)、基準となる偶数側は中間電位を書き込む。そして、上述した奇数側にHIGHを書き込んで画素データを読み出した時の動作と同じ動作を、全ての画素について行順次で行う。
【0098】
その結果、基準側に中間電位を書き込み、検査対象側にHIGHとLOWを書き込み、それぞれの場合の画素データを読み出したデータを、テスト装置31は得ることができる。HIGHとLOWを書き込んだ画素データと、それぞれの場合に読み出した画素データを比較する。このとき、ある画素にLOWを書き込んだ場合とHIGHを書き込んだ場合のいずれの場合でも、LOWが読み出されるときは、その画素はキャパシタンスCsにリーク不良があることが第一に考えられる。
【0099】
さらにはキャパシタンスまたはTFTの高抵抗、あるいはTFTのソース・ドレイン間リークによって常に検査対象側のソース線電位がプリチャージ電位となり、すなわち読み出し増幅動作がプリチャージ電位同士の電位比較となって、回路の固有の特性によって検査対象側が常にLOWに傾く可能性があると判断することができる。
【0100】
また、いずれの場合でもHIGHが読み出されるときは、キャパシタンスCsにリーク不良の可能性が除かれるのみで,上記LOWの場合と同じ不具合の可能性が考えられる。
【0101】
すなわち、基準側に中間電位を書き込み、検査対象側にLOWとHIGHを書き込んで(LOWとHIGHをいずれを先に行ってもよい)、それぞれの場合の画素データを読み出して、比較することによって、セルのキャパシタンスCsとTFTの不良を検出することができる。
【0102】
そして、次に、奇数列を基準側として、偶数側を検査対象側として同様な検査を行うと、全ての画素について、キャパシタンスCsとTFTの不良の有無を検査することができる。
【0103】
以上のように、図9に示す動作によれば、HIGHとLOWを書き込んだデータが、読み出したときにLOWあるいはHIGHに固定していた場合、キャパシタンスCsあるいはTFTに何らかの不良があると判断することができる。
【0104】
図11は、図1に示す素子基板の回路の変形例を示す回路図である。図1においては、素子基板1Aの表示データ読み出し回路部4は、プリチャージ回路部3から出力されるソース線Sと、トランスミッションゲート部7の間に設けられていた。図11では、表示データ読み出し回路部4は、接続ゲート部9を介してプリチャージ回路部3から出力されるソース線Sと接続されている。
【0105】
図11に示す構成によれば、トランスミッションゲート部9の各トランジスタ9aのゲート端子は、それぞれ接続ゲート端子9bに信号線を9c介して接続されている。通常は、接続ゲート端子9bの電位は、トランジスタ9dのゲート端子がHIGHとなっているため、信号線9cはLOWとなっており、表示データ読み出し回路部4はソース線から切り離されている。よって、図11の構成によれば、表示データ読み出し回路部44を使用しないときは、完全に切り離して、差動増幅器4aの不安定動作状態の影響を受けないようにすることができるというメリットがある。
【0106】
上述した読み出し動作のときに、信号線9cをHIGHとするように接続ゲート端子9bの電位を制御することによって、表示データ読み出し回路部4を動作させることができる。
【0107】
また、画像信号線7に、カレントミラーアンプを含む差動増幅器10が設けられている。これは、画像信号線7自体の持つ容量成分等によってHIGH・LOW信号の差が小さくなることを防止するのが目的で、HIGH,LOW信号をさらに明確にして出力信号outo,outeを高速に精度良く出力することができる。
【0108】
なお、以上の実施の形態では、表示データ読み出し回路部は、表示素子アレイ部の全ての画素について設けているが、全てに設けなくても、表示部として使用する一部の画素にだけ設けるようにしてもよい。
【0109】
以上のように、上述した本発明の実施の形態と変形例によれば、製品あるいは試作品における素子基板工程の完了後に、素子基板の不良を検出できるので、歩留まり低下期間が短縮され、不良品を組み立てることが少なくなくなり、コスト低減になる。特に、試作品の場合は、開発期間の短縮と開発コストの低減になる。
【0110】
また、素子基板の段階で不良が検出できるので、いわゆるリペアも容易となる。
さらに、表示データ読み出し回路部によって、アナログ情報であるキャパシタの充電電荷がデジタル情報(電圧論理)に変換できるため、検査における検出感度が高い。
【0111】
さらにまた、上述した例では、隣り合うソース線に差動増幅器が接続され、外部ノイズなどの影響を受けにくいようにしているが、互いに隣接しないソース線同士に接続する差動増幅器を設けるようにしてもよい。そのようにすれば、隣接するソース線同士のリークの可能性の影響を排除することができる。
【0112】
(第2の実施の形態)
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。図12は、本発明の第2の実施の形態に係わる液晶表示装置の素子基板の回路図である。図12において、第1の実施の形態と同一の構成要素については、同一の符号を付し説明は省略する。
【0113】
本実施の形態に係わる液晶表示装置の素子基板1Bも、表示素子アレイ部2と、表示データ読み出し回路部4と、Xドライバ部5aと、Yドライバ部5b(図12では示さず)と、トランスミッションゲート部6と、画像信号線7と、差動増幅器10を含む。さらに、本実施の形態では、プリチャージ回路部13と、接続ゲート部14と、参照電圧供給部15とを有する。
【0114】
本第2の実施の形態のプリチャージ回路部13は、各列に、すなわち各ソース線にトランジスタ13bを有している。各トランジスタ13bのソースとドレインは、それぞれソース線Sを介して各差動増幅器4aの接続点seと、参照電圧供給線REFを介して接続点soに接続されている。そして、各トランジスタ13bのゲートは、プリチャージ用のゲート端子13aに接続されている。
【0115】
接続ゲート部14では、図12に示すように、各差動増幅器4aの一方の接続点soは、接続ゲート部14の一方のトランジスタ14bと参照電圧供給線REFを介して、参照電圧供給部15の端子15aに接続されている。端子15aには、参照電圧Vrefが供給されている。各差動増幅器4aの他方の接続点seは、接続ゲート部14の他方のトランジスタ14cを介して、ソース線Sに接続されている。トランジスタ14bと14cのゲートは、テスト回路接続用のゲート端子14aに接続されている。ゲート端子14aには、後述するテスト回路接続信号TEが供給される。
【0116】
参照電圧供給部15の端子15aに接続された参照電圧供給線REFには、プリチャージ用のトランジスタ13bが接続されている。従って、トランジスタ13bのゲート電圧を制御することによって、トランジスタ13bをオンさせ、各ソース線Sにトランジスタ13bを介して、参照電圧Vrefを印加できるようになっている。
【0117】
次に、図13のタイミングチャートを用いて、図5のS2の画素データの読み出し動作を説明する。図13は、図12の回路における読み出し動作を説明するためのタイミングチャートである。画素の検査は、各列が正常であるか否かを判定することによって行われる。図13に示すタイミングのための信号は、テスト装置31によって生成されて各端子に供給される。
【0118】
まず、素子アレイ部2の全ての走査線Gをオンして、全ての画素にHIGHを書き込む。なお、ここでは、各画素にHIGHが書き込まれた場合で説明するが、LOWを書き込んでもよい。なお、以下、全画素にHIGHを書き込み基板1Bの検査を行っている例を説明するが、一部の画素についてのみ検査を行うようにしてもよい。書き込み後、走査線Gのゲートはオフにされる。
【0119】
図13に示すように、全画素へ上述した所定の画素データ(ここではHIGH)の書き込み後、データ保持時間t1を確保するために、プリチャージ回路部13の端子13aに供給されるプリチャージゲート電圧PCGがHIGHとなり、トランジスタ13bは、所定時間だけオンとなる。さらに、テスト回路接続用のゲート端子14aのテスト回路接続信号TEもHIGHとなる。データ保持時間t1経過後に、画素データの読み出しが開始される。
なお、トランジスタ13bが所定時間だけオンすることにより、各ソース線Sと参照側信号線REFの両方に、参照電圧Vrefが現れるようにしているので、ゲート線Gをオフにしておけば、必ずしもプリチャージ状態にする必要はない。さらになお、トランジスタ13bをオンしたときに、テスト回路接続用のゲート端子14aのテスト回路接続信号TEは、まだHIGHでなくてもよい。従って、データ保持時間経過t1後に、プリチャージゲート電圧PCGがLOWの場合は、HIGHにしてプリチャージが行われる。
【0120】
参照電圧供給部15からは、端子15aには、プリチャージ電位として、HIGHとLOWの中間電位の参照電圧Vrefが印加されている。よって、所定の画素データの書き込み後、ソース線S、接続点se及び接続点soは、中間電位の状態となっている。
【0121】
そして、データ保持時間t1経過後、プリチャージ状態を解除するために、プリチャージゲート電圧PCGをLOWにするが、このとき、テスト回路接続信号TEは、HIGHであり、かつ、第1の駆動電源SAp-chと第2の駆動電源SAn-chの電位を中間電位としておくことにより、各差動増幅器4aを動作していない状態とする。
【0122】
なお、プリチャージゲート電圧PCGをLOWにした後、差動増幅器4aが動作を開始する前までに、端子15aへのプリチャージゲート電圧の供給を停止させるようにする。
【0123】
プリチャージゲート電圧PCGをLOWにした直後、ゲート線G1をオンすると、ゲート線G1に接続された各画素から一斉にデータが出力される。具体的にはコンデンサCsに書き込まれて保持された電荷が、対応するソース線Sに一斉に移動する。図13に示すように、各ソース線Sの電位がわずかに上昇する。もしも、コンデンサCsのリークがあって、各画素のデータがLOWに変化していると、各ソース線Sの電位は、点線で示したようにわずかに下降する。
【0124】
ゲート線G1を開いた後、所定時間経過してから、各差動増幅器4aを動作させるために、まず、第2の駆動電源SAn-chの電位を中間電位からLOWに変化させる。第2の駆動電源SAn-chの電位のLOWへ変化の瞬間と同時あるいはその瞬間の前後にテスト回路接続信号TEをLOWにし、接続ゲート部14のトランジスタ14b、14cを所定期間t2だけオフにすることによって、わずかに上昇したソース線電位の情報を差動増幅器4a内に閉じ込める。
【0125】
SAn-ch駆動電源がLOWになることで、中間電位より僅かに低い側の電位がLOWに変化する。よって、各差動増幅器4aは、外部から印加された中間電位である参照電圧Vrefと、各ソース線Sの電圧を比較する。画素が正常であれば、ソース線Sの電位は中間電位よりも僅かに高いので、各差動増幅器4aの接続点soの方が、接続点seよりも電位が低い側となる。そのため、図13に示すように、接続点soの電位が低下する。このとき、接続点seの電位はそのまま保持となる。
【0126】
次に、SAp-ch駆動電源がHIGHになることによって、差動増幅器4aのPチャネル型トランジスタ21,22を動作させる。すなわち、SAp-ch駆動電源がHIGHになることで中間電位より僅かに高い側の電位がHIGHに変化する。画素が正常であれば、ソース線Sの電位は中間電位よりも僅かに高いので、各差動増幅器4aの接続点seの方が、接続点soよりも電位が高い側となる。そのため、図13に示すように、接続点seの電位が上昇する。
画素に不良があれば、例えば、コンデンサCsのリークがあって、各画素のデータがLOWに変化していると、各ソース線Sの電位は、図13に点線で示したようにわずかに下降する。その場合は、SAn-ch駆動電源がLOWになると、図13に点線で示すように、接続点seの電位が下降する。さらに、SAp-ch駆動電源がHIGHになると、図13に点線で示すように、接続点soの電位が上昇する。
この場合、テスト回路接続信号TEをオフしているため、負荷となるソース線Sの容量の影響を受けなくなり、高速動作が可能になる。また、参照電圧Vrefが画素に書込まれた電位でないため、ある画素の不良はその画素の不良として検出される。すなわち、1画素の不良として特定できるため、詳細不良特性分類が可能となる。
【0127】
差動増幅器4aの接続点seと接続点soにおける論理が、HIGHとLOWのいずれかに確定したら、テスト回路接続信号TEをHIGHにし、確定した論理データをソース線Sに書き戻す。ゲート線G1に接続された各画素の電位が、対応するソース線Sに読み出されるので、トランスミッションゲート部6の各トランジスタのゲートTG1からTGnを順に開き(HIGHにし)、画像信号線7から順番に第1行目の各画素の画素データを読み出し、出力端子outoとouteに出力させる。
【0128】
ゲート線G1に接続されたすべての画素のデータが読み出されたら、ゲート線G1をLOWにし、SAn-ch駆動電源とSAp-ch駆動電源を中間電位にして差動増幅器4aを動作停止させる。続いて、プリチャージゲート電圧PCGをHIGHにして、全ソース線Sをプリチャージする。
【0129】
以降、上述した動作を、ゲート線G2からGmの各ラインについて繰り返すことによって順番に基板上の画素の検査が行われる。
以上、全画素にHIGHのデータを書き込んで行う検査の動作が終了すると、次に、全画素にLOWのデータを書き込み、同一の検査を実施することですべて終了となる。従って、全画素について、2回の検査を行うだけで済むため、第1の実施の形態の場合に比べて、検査時間は短くなる。
【0130】
以上のように、本実施の形態によれば、第1の実施の形態と異なり、検査対象の各画素について不良の有無を検査することができる。
【0131】
(変形例)
次に、第2の実施の形態の変形例について説明する。図14は、第2の実施の形態の変形例である素子基板1B'を示しており、図14において図12と同一の構成要素については、同一の符号を付し説明は省略する。
【0132】
本第2の実施の形態のプリチャージ回路部13は、各列に、すなわち各ソース線にトランジスタ13bおよび13cを有している。各トランジスタ13bのドレインとソースは、それぞれソース線Sを介して各差動増幅器4aの接続点seと、参照電圧供給部15の端子15aに接続されている.さらに各トランジスタのソースとドレインは,それぞれ参照電圧供給部15の端子15aと,各差動増幅器4aの接続点soに接続されている.端子15aには,参照電圧Vrefが供給されている.そして、各トランジスタ13bおよび13cのゲートは、プリチャージ用のゲート端子13aに接続されている。
【0133】
接続ゲート部14では、各差動増幅器4aの接続点seは、接続ゲート部14のトランジスタ14cを介して、ソース線Sに接続されている。トランジスタ14cのゲートは、テスト回路接続用のゲート端子14aに接続されている。ゲート端子14aには、後述するテスト回路接続信号TEが供給される。
【0134】
参照電圧供給部15の端子15aに接続された参照電圧供給線REFには、プリチャージ用のトランジスタ13bおよび13cが接続されている。従って、トランジスタ13bおよび13cのゲート電圧を制御することによって、トランジスタ13bおよび13cをオンさせ、さらにテスト回路接続用ゲート端子14aに接続されたトランジスタ14cのゲート電圧を制御することによってトランジスタ14cをオンさせ、各ソース線Sおよび各差動増幅器4aの接続点se・soにトランジスタ13b・13c・14cを介して、参照電圧Vrefを印加できるようになっている。
【0135】
このような構成によれば、図12の素子基板1Bと異なり、プリチャージゲート電圧PCGをLOWにした後に、端子15aにプリチャージゲート電圧の供給又は停止を制御するスイッチは不要である。
【0136】
本変形例においても、図13に示すタイミングチャートに従った動作が行われる。本変形例においては、トランジスタ13b・13c・14cの動作が図12の実施の形態と異なるのみである。
【0137】
即ち、全画素へ上述した所定の画素データ(ここではHIGH)の書き込み後、データ保持時間t1を確保するために、プリチャージ回路部13の端子13aに供給されるプリチャージゲート電圧PCGがHIGHとなり、トランジスタ13bおよび13cは、所定時間だけオンとなる。さらに、テスト回路接続用のゲート端子14aのテスト回路接続信号TEもHIGHとなる。データ保持時間t1経過後に、画素データの読み出しが開始される。
【0138】
なお、トランジスタ13bおよび13cさらにテスト回路接続用のゲート端子14aのテスト回路接続信号TEをHighにし、各ソース線Sと各差動増幅器4aの接続点se・soに参照電圧Vrefが現れるようにしているが、ゲート線Gをオフにしておけば、必ずしもプリチャージ状態にする必要はない。従って、データ保持時間経過t1後に、プリチャージゲート電圧PCGがLOWの場合は、HIGHにして、テスト回路接続用信号TEがLowの場合はHighにしてプリチャージが行われる。
【0139】
ゲート線G1を開いた後、所定時間経過してから、各差動増幅器4aを動作させるために、まず、第2の駆動電源SAn-chの電位を中間電位からLOWに変化させる。第2の駆動電源SAn-chの電位のLOWへ変化の瞬間と同時あるいはその瞬間の前後にテスト回路接続信号TEをLOWにし、接続ゲート部14のトランジスタ14cを所定期間t2だけオフにすることによって、わずかに上昇したソース線電位の情報を差動増幅器4a内に閉じ込める。
【0140】
他の作用は図12の実施の形態と同様である。
【0141】
(第3の実施の形態)
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。図15は、本発明の第3の実施の形態に係わる液晶表示装置の素子基板の回路図である。図15において、第1の実施の形態と同一の構成要素については、同一の符号を付し説明は省略する。
【0142】
本実施の形態に係わる液晶表示装置の素子基板1Cも、表示素子アレイ部2と、表示データ読み出し回路部4と、Xドライバ部5aと、Yドライバ部5b(図15では示さず)と、トランスミッションゲート部6と、画像信号線7と、差動増幅器10を含む。さらに、本実施の形態では、プリチャージ回路部16と、接続ゲート部17と、参照電圧供給部18とを有する。
【0143】
本第3の実施の形態のプリチャージ回路部16は、奇数列のソース線S(odd)と偶数列のソース線S(even)の1組のソース線に対して、一対のトランジスタ16b、16cを有している。ソースとドレインが接続されてなる直列接続されたトランジスタ16bと16cのソースとドレインは、それぞれ奇数列のソース線S(odd)と偶数列のソース線S(even)を介して、各差動増幅器4aの接続点soと接続点seに接続されている。そして、各トランジスタ16b、16cのゲートは、プリチャージ用のゲート端子16aに接続されている。トランジスタ16bと16cの接続点は、参照電圧供給部18の端子18aに接続されている。端子18aには、参照電圧Vrefが供給されている。従って、トランジスタ16b、16cのゲート電圧を制御することによって、トランジスタ16b、16cを同時にオンさせ、各ソース線Sにトランジスタ16b、16cを介して、素子基板1Cの外部から供給される参照電圧Vrefを印加できるようになっている。なお、参照電圧Vrefは素子基板1Cの内部で生成するようにしてもよい。参照電圧Vrefは、HIGHとLOWの中間電位の電圧である。
【0144】
接続ゲート部17では、図15に示すように、各差動増幅器4aの一方の接続点soは、接続ゲート部17の一方のトランジスタ17bを介して、奇数列ソース線S(odd)に接続されている。各差動増幅器4aの他方の接続点seは、接続ゲート部17の他方のトランジスタ17cを介して、偶数列ソース線S(even)に接続されている。トランジスタ17bと17cのゲートは、それぞれ奇数列テスト回路接続用のゲート端子17a1と、偶数列テスト回路接続用のゲート端子17a2とに接続されている。各ゲート端子17a1,17a2には、後述するテスト回路接続信号TEo、TEeがそれぞれ供給される。
【0145】
従って、テスト回路接続信号TEoとTEeのいずれか一方をHIGHにすることによって、1つの差動増幅器4aで奇数列ソース線S(odd)の画素、及び偶数列ソース線S(even)の画素のいずれか一方のみのデータを読み出すことができる。そして、ソース線Sに現れ読み出される電位(微少電位変化)は、トランジスタ17bと17cのいずれか一方のトランジスタを介して差動増幅器4aに伝えられる。その電位は、オンして開いたトランジスタを一旦、閉じた後、差動増幅器4a内部で増幅され、その後一端閉じたトランジスタを再び開けソース線に書き戻され、画像信号線7を介して出力される。
【0146】
次に、図15に示す回路の動作の詳細を図16のタイミングチャートを参照しながら説明する。図5のS2の画素データの読み出し動作を説明する。図16は図15の回路における読み出し動作を説明するためのタイミングチャートである。画素の検査は、列毎に、ここでは奇数列と偶数列に分けて、正常であるか否かを判定することによって行われる。図16に示すタイミングのための信号は、テスト装置31によって生成されて各端子に供給される。
【0147】
まず、素子アレイ部2の全ての走査線Gをオンして、奇数列の全ての画素にHIGHを書き込む。なお、全画素にHIGHを書き込んでもよい。本実施の形態では、奇数列ソース線S(odd)の画素の検査と偶数列ソース線S(even)画素の検査は、分けて行われる。なお、ここでは、各画素にHIGHが書き込まれた場合で説明するが、LOWを書き込んでもよい。また、以下、奇数列の全画素にHIGHを書き込み基板1Cの検査を行っている例を説明するが、一部の画素についてのみ検査を行うようにしてもよい。書き込み後、走査線Gのゲートはオフにされる。偶数列ソースS(even)は、テスト回路接続信号TEeをLOWにすることによって、偶数列ソース線S(even)には表示素子アレイ部2からの電位の影響は、差動増幅器4aに伝達されない。
【0148】
図16に示すように、奇数列の画素へ上述した所定の画素データ(ここではHIGH)の書き込み後、データ保持時間t1を確保するために、プリチャージ回路部16の端子16aに供給されるプリチャージゲート電圧PCGがHIGHとなり、トランジスタ16b、16cは、所定時間だけオンとなる。さらに、テスト回路接続用のゲート端子17a1のテスト回路接続信号TEoもHIGHとなる。データ保持時間t1経過後に、画素データの読み出しが開始される。
なお、トランジスタ16b、16cが所定時間だけオンすることにより、各差動増幅器4aの接続点soと接続点seの両方に、参照電圧Vrefが現れるようにしているので、ゲート線Gをオフにしておけば、必ずしもプリチャージ状態にする必要はない。さらになお、トランジスタ16b、16cをオンしたときに、テスト回路接続用のゲート端子17a1のテスト回路接続信号TEoは、まだHIGHでなくてもよい。従って、データ保持時間t1経過後に、プリチャージゲート電圧PCGがLOWの場合は、HIGHとしてプリチャージが行われる。
【0149】
参照電圧供給部18からは、端子18aには、プリチャージ電位として、HIGHとLOWの中間電位の参照電圧Vrefが印加されている。よって、所定の画素データの書き込み後、ソース線S(odd)、接続点se及び接続点soは、中間電位の状態となっている。
【0150】
そして、データ保持時間t1経過後、プリチャージ状態を解除するために、プリチャージゲート電圧PCGをLOWにするが、このとき、テスト回路接続信号TEoは、HIGHであり、かつ、第1の駆動電源SAp-chと第2の駆動電源SAn-chの電位を中間電位としておくことにより、各差動増幅器4aを動作していない状態とする。
【0151】
プリチャージゲート電圧PCGをLOWにした直後、ゲート線G1をオンすると、ゲート線G1に接続された各画素から一斉にデータが出てくる。具体的にはコンデンサCsに書き込まれて保持された電荷が、対応するソース線S(odd)に一斉に移動する。図16に示すように、各ソース線S(odd)の電位がわずかに上昇する。もしも、コンデンサCsのリークがあって、各画素のデータがLOWに変化していると、各ソース線S(odd)の電位は、点線で示したようにわずかに下降する。このとき、テスト回路接続信号TEeはLOWであるため、偶数列ソース線S(even)の電位は無視できる。
【0152】
ゲート線G1を開いた後、所定時間経過してから、各差動増幅器4aを動作させるために、まず、第2の駆動電源SAn-chの電位を中間電位からLOWに変化させる。第2の駆動電源SAn-chの電位のLOWへ変化の瞬間と同時あるいはその瞬間の前後にテスト回路接続信号TEoをLOWにし、接続ゲート部17のトランジスタ17bをオフにすることによって、わずかに上昇した奇数列ソース線S(odd)の電位の情報を差動増幅器4a内に閉じ込める。
【0153】
SAn-ch駆動電源がLOWになることで、接続点soと接続点seのうち僅かに低い側の電位がLOWに変化する。よって、各差動増幅器4aは、外部から印加された中間電位である参照電圧Vrefと、各奇数列ソース線S(odd)の電圧を比較する。画素が正常であれば、奇数列ソース線S(odd)の電位は中間電位よりも僅かに高いので、各差動増幅器4aの接続点seの方が、接続点soよりも電位が低い側となる。そのため、図16に示すように、接続点seの電位が低下する。このとき、接続点soの電位はそのまま保持となる。
【0154】
次に、SAp-ch駆動電源がHIGHになることによって、差動増幅器4aのPチャネル型トランジスタ21,22を動作させる。すなわち、SAp-ch駆動電源がHIGHになることで、接続点soと接続点seのうち僅かに高い側の電位がHIGHに変化する。画素が正常であれば、奇数列ソース線S(odd)の電位は中間電位よりも僅かに高いので、各差動増幅器4aの接続点soの方が、接続点seよりも電位が高い側となる。そのため、図16に示すように、接続点soの電位が上昇する。
画素に不良があれば、例えば、コンデンサCsのリークがあって、各画素のデータがLOWに変化していると、各奇数列ソース線S(odd)の電位は、図16に点線で示したようにわずかに下降する。その場合は、SAn-ch駆動電源がLOWになると、図16に点線で示すように、接続点seの電位が下降する。さらに、SAp-ch駆動電源がHIGHになると、図16に点線で示すように、接続点soの電位が上昇する。
この場合、テスト回路接続信号TEoとTEeをオフしているため、負荷となるソース線Sの容量の影響を受けなくなり、高速動作が可能になる。また、参照電圧Vrefが書き込み電位でないため、ある画素の不良はその画素の不良として検出され、詳細不良特性分類が可能となる。
【0155】
差動増幅器4aの接続点seと接続点soにおける論理が、HIGHとLOWのいずれかに確定したら、テスト回路接続信号TEoをHIGHにし、確定した論理データを奇数列ソース線S(odd)に書き戻す。ゲート線G1に接続された各画素の電位が、対応する奇数列ソース線S(odd)に読み出されるので、トランスミッションゲート部6の各トランジスタのodd側ゲートをTG1・TG3・TG5と順番に最後のTGn(あるいはTGn-1)まで開き(HIGHにし)、画像信号線7から順番に第1行目の各画素の画素データを読み出し、出力端子outoとouteに出力させる。
【0156】
ゲート線G1に接続されたすべての画素のデータが読み出されたら、ゲート線G1をLOWにし、SAn-ch駆動電源とSAp-ch駆動電源を中間電位にして差動増幅器4aを動作停止させる。続いて、プリチャージゲート電圧PCGをHIGHにして、全ソース線Sをプリチャージする。
【0157】
以降、上述した動作を繰り返すことによって、ゲート線G2からGmの各ラインについて順番に検査が行われる。
【0158】
以上、奇数列の全画素にHIGHのデータを書き込んで行う検査の動作が終了すると、次に、奇数列の全画素にLOWのデータを書き込み、同一の検査を実施することで奇数列の全画素についての検査はすべて終了となる。
さらに続いて、検査対象画素を偶数列に変更する。すなわち、テスト回路接続信号TEoをLOWに固定し、奇数列の画素について行った検査と同一の検査を、テスト回路接続信号TEeを変化させながら、偶数列の画素にHIGHのデータを書き込んだ場合と、LOWのデータを書き込んだ場合とで行う。
【0159】
また、第2の実施の形態では、1本のソース線に対して1つの差動増幅器4aが必要であったが、本第3の実施の形態では、2本のソース線に対して1つの差動増幅器4aでよいため、基板上における差動増幅器4aの数を少なくすることができるため、差動増幅器4a内のトランジスタのサイズを大きくできる。その結果、差動増幅器4a内のトランジスタの非対称性の低減、駆動能力の向上、性能のばらつきの低減等を図ることができるので、安定した感度の高い差動増幅器4aを実現することができる。
【0160】
さらに図17は、図15の接続ゲート部17を改良した形態を示す回路図である。接続ゲート部17では、図15に示すように、各差動増幅器4aの一方の接続点soは、接続ゲート部17の一方のトランジスタ17bを介して、奇数列ソース線S(odd)に接続されている。各差動増幅器4aの他方の接続点seは、接続ゲート部17の他方のトランジスタ17cを介して、偶数列ソース線S(even)に接続されている。図17では、トランジスタ17bのゲートは、テスト回路接続用のゲート選択端子17a11に接続される同時に、インバータとゲートイネーブル端子17a21にゲートが接続されたトランジスタ17dとを介して、トランジスタ17cのゲートに接続されている。ゲート選択端子17a11にはテスト回路接続ゲート選択信号TGS(Test Gate Select)、ゲートイネーブル端子17a21にはテスト回路接続信号TE(Test Enable)が供給される。
【0161】
従って、ゲートイネーブル端子17a21をHIGHにすることで、トランジスタ17bと17cのどちらか一方がONし、1つの差動増幅器4aで奇数列ソース線S(odd)の画素、及び偶数列ソース線S(even)の画素のいずれか一方のみのデータを読み出すことができる。テスト回路接続ゲート選択信号TGSがHIGHのときトランジスタ17bがON、トランジスタ17cがOFFし、奇数列ソース線S(odd)の画素のデータを読み出すことができる。一方、テスト回路接続ゲート選択信号TGSがLOWのときトランジスタ17cがON、トランジスタ17bがOFFし、偶数列ソース線S(even)の画素のデータを読み出すことができる。ゲート選択端子17a11とゲートイネーブル端子17a21に電圧信号が印加されていない状態、すなわちフローティング状態では、トランジスタ17bと17cは共にOFFで、テスト回路は切り離された状態となる。
【0162】
このようにトランジスタ17bと17cのゲート間にインバータを挿入することによって、奇数列ソース線S(odd)と偶数列ソース線S(even)が同時に差動増幅器4aに接続されることを防ぎ、誤動作を未然に防止することができる。
【0163】
以上のように、第1の実施の形態では、1画素が不良であっても2画素が不良として検出されていたのに対し、第2及び第3の実施の形態によれば、1画素が不良の場合、1画素が不良として検出される。よって、第2及び第3の実施の形態に係る回路構成によれば、第1の実施の形態に係る回路構成に比べ、より詳細に不良特性分類が可能となる。
【0164】
また、第2及び第3の実施の形態によれば、テスト回路接続信号TEoとTEeを利用することによって、負荷となるソース線Sの容量の影響を受けないようにして差動増幅器動作時の負荷が軽くなるため、回路の高速動作が可能である。
【0165】
さらにまた、第2及び第3の実施の形態によれば、参照電圧を外部から与えるようにしているため、参照電圧を外部制御できるため、保持電位の調査等、詳細な評価のための検査が可能である。
【0166】
以上のように、上記3つの実施の形態では、本発明の電気光学装置用基板について、アクティブマトリックス型表示装置用基板を例にとって説明したが、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の構成の要旨を変えない範囲において、種々の変更、改変等が可能である。
【0167】
例えば、画素に光学センサーを設けることで、入力機能を備えた表示装置用基板にも適用することが可能である。この場合、差動増幅器4aは光学センサーからの出力信号の増幅器として用いることも可能である。
【0168】
また、画素にメモリ素子(SRAM、FERAMなど)を設けた表示装置用基板にも本発明は適用可能である。この場合、読み出し回路部4によってメモリ素子の検査を行うことが可能となる。
【0169】
また、本発明は検査時において、画素に供給された電位(検査信号)の読み出し精度を向上させることを目的としたが、このような信号の読み出し精度の向上、という観点で見ると、本発明は画素の検査以外の用途にも応用可能である。
【0170】
例えば、画像表示時の駆動に応用した場合、プリチャージや黒表示の挿入に応用できる。
【0171】
一例として、本発明の第2の実施形態の回路を応用する。
【0172】
画像信号の電位を中心電位に対して極性反転する駆動方法において、第2の実施形態における検査信号(HIGH信号及びLOW信号)に相当する信号として、各画素に供給される画像信号を差動増幅器4aのseに入力し、参照電圧Vrefに相当する信号として画像信号の極性反転の中心電位をsoに入力する。
【0173】
そして差動増幅器4aにおいて、seに入力される画素に供給された画像信号電位と、soに入力される極性反転の中心電位とを比較して、双方の電位差を増幅する。つまり、画像信号の電位が中心電位よりも高位(正極性)の場合には、seの電位は最高電位(HIGH信号)に、画像信号の電位が中心電位よりも低位(負極性)の場合は、seの電位は最低電位(LOW信号)として出力される(soの出力はその逆の関係になる。)。
ここで、ノーマリーホワイトモードの場合には、中心電位が白表示に相当し、最高電位及び最低電位が黒表示に相当するので、se及びsoの出力としては常に最低輝度(黒表示)の画像信号に相当する電位が得られることになる。
【0174】
ただし、seの出力電位とsoの出力電位とでは中心電位に対する極性が逆になっている。
【0175】
このとき、seまたはsoの出力電位を有効表示期間に各画素に供給することで、黒信号の挿入(インパルス駆動)を実現することが可能である。
【0176】
また、1水平走査期間毎に画像信号の電位の極性反転を行う、いわゆる1H反転駆動を行う場合、soの出力電位を、水平帰線期間内に各ソース線に供給することで、1H反転時に黒表示に対応する電位によるソース線のプリチャージが可能となる。
【0177】
また、本発明の電気光学装置用基板を用いた電気光学装置も本発明に含まれる。
例えば、一対の基板間に電気光学物質を挟持してなる電気光学装置であって、一対の基板の一方に本発明の電気光学装置用基板を用いたものである。
【0178】
また、上述の電気光学装置を用いた電子機器も本発明に含まれる。図18乃至図20は、電子機器の例を示す図である。図18は、1つの例に係るパーソナルコンピュータの外観図である。図19は、1つの例に係る携帯電話の外観図である。
【0179】
図18に示すように、電子機器としてのパーソナルコンピュータ100の表示部101に、上述した電気光学装置、例えば液晶表示装置が用いられる。図19に示すように、電子機器として携帯電話200の表示部201に、上述した電気光学装置、例えば液晶表示装置が用いられる。
図20は、上述した電気光学装置をライトバルブとして用いた電子機器の一例たる投射型カラー表示装置の説明図である。
【0180】
図20において、本実施形態における投射型カラー表示装置の一例たる液晶プロジェクタ1100は、駆動回路がTFTアレイ基板上に搭載された液晶装置を含む液晶モジュールを3個用意し、それぞれRGB用のライトパルブ100R、100G及び100Bとして用いたプロジェクタとして構成されている。液晶プロジェクタ1100では、メタルハライドランプ等の白色光源のランプユニット1102から投射光が発せられると、3枚のミラー1106及び2枚のダイクロックミラー1108によって、RGBの三原色に対応する光成分R、G及びBに分けられ、各色に対応するライトバルブ100R、100G及び100Bにそれぞれ導かれる。この際、特に、B光は、長い光路による光損失を防ぐために、入射レンズ1122、リレーレンズ1123及び出射レンズ1124からなるリレーレンズ系1121を介して導かれる。そして、ライトバルブ100R、100G及び100Bによりそれぞれ変調された三原色に対応する光成分は、ダイクロックプリズム1112により再度合成された後、投射レンズ1114を介してスクリーン1120にカラー画像として投射される。
【0181】
さらに、電子機器としては、他にも、テレビジョンや、ビューファインダ型・モニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、ディジタルスチルカメラ、タッチパネルを備えた機器等などが挙げられる。そして、これらの各種の電子機器に対して、本発明に係る表示パネルが適用可能なのは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0182】
本発明は、以上説明したTFTを含む液晶表示装置に限られことはなく、アクティブマトリックス駆動の表示装置に適用できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0183】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係わる液晶表示装置の素子基板の回路図。
【図2】第1の実施の形態に係わる画素の等価回路図。
【図3】第1の実施の形態に係わる差動増幅器の回路図。
【図4】第1の実施の形態に係わる検査システムの構成図。
【図5】第1の実施の形態に係わる検査の流れの例を示すフローチャート。
【図6】第1の実施の形態に係わる各画素に書き込まれる画素データの状態を示す図。
【図7】第1の実施の形態に係わる読出動作を説明するためのタイミングチャート。
【図8】第1の実施の形態に係わる他の読出動作のタイミングチャート。
【図9】第1の実施の形態に係わるさらに他の読出動作のタイミングチャート。
【図10】各画素に書き込まれる画素データの状態の例を示す図。
【図11】第1の実施の形態に係わる素子基板の回路の変形例を示す回路図。
【図12】本発明の第2の実施の形態に係わる液晶表示装置の素子基板の回路図。
【図13】第2の実施の形態に係わる読出動作を説明するためのタイミングチャート。
【図14】第2の実施の形態の変形例の素子基板の回路図。
【図15】本発明の第3の実施の形態に係わる液晶表示装置の素子基板の回路図。
【図16】第3の実施の形態に係わる読出動作を説明するためのタイミングチャート。
【図17】図15の接続ゲート部を改良した形態を示す回路図。
【図18】本発明が適用される電子機器の例としてのパーソナルコンピュータの外観図。
【図19】本発明が適用される電子機器の例としての携帯電話の外観図。
【図20】本発明が適用される電子機器の例としての携帯電話の外観図。
【符号の説明】
【0184】
1,1A…素子基板、2…表示素子アレイ部、3…プリチャージ回路部、4…表示データ読み出し回路部、4a…差動増幅器、6…トランスミッションゲート部、7…画像信号線。
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気光学装置用基板及びその検査方法、並びに電気光学装置及び電子機器に関し、特に、複数の画素にそれぞれ設けられた複数のスイッチング素子を有する電気光学装置用基板及びその検査方法、並びに電気光学装置及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、液晶装置等の表示装置は、携帯電話、プロジェクタ等の機器に広く使用されている。TFT(Thin Film Transistor)等を用いた液晶表示装置は、TFT基板と対向基板を貼り合わせて、その基板間に液晶を封入して構成されている。一般に、製造された液晶装置が正常に作動するかの検査は、完成品に対して行われる。例えば、所定の画像信号を液晶装置に表示データとして入力し、投影、表示等させることによって、正しくデータが表示されるか、欠陥画素の有無のチェックが行われていた。
しかし、完成品について検査を行う方法は、製造工程の管理面からみると、好ましくない。理由は、基板の製造工程後に不良品が発見されるので、不良品の発見が遅れてしまうからである。
【0003】
このため、工程管理へ不良発見がフィードバックされるまでの時間が長くなる。その結果、歩留まり低下期間が長期化し、製造コストが上昇するからである。また、試作品の場合も、試作品の評価から設計にフィードバックされるまでの期間が長期化するため、開発期間の長期化、開発コストの上昇に繋がる。さらに、製品完成後は、いわゆるリペア、すなわち不良箇所の修理が困難である。
そこで、基板の製造工程内において、不良の発見、特に、表示装置の欠陥画素の発見を行うことが望まれている。
【0004】
そのような検査方法の一つとして、液晶表示装置の電極パッドに検査用プローブを接触させて、所定の電流を供給することによって、液晶表示装置の検査を行う技術が提案されている(例えば特許文献1参照)。同様に、画素のコンデンサ容量特性から、TFT基板の各画素に所定の電圧を印加して、放電電流及び放電電圧の波形に基づいてTFTの機能を検査する技術が提案されている(例えば特許文献2参照)。
【0005】
また、TFT基板の画素電極に対応する検査用の対向電極を用いて、画素電極の電位の変化量を検出することによって、各画素電極の動作検査を行う技術も提案されている(例えば特許文献3参照)。
【0006】
【特許文献1】特開平5−341302号公報
【特許文献2】特開平7−333278号公報
【特許文献3】特開平10−104563号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上述した特許文献1及び特許文献3に記載の技術による場合、検査装置において、基板の外部から電極パッド等に所定のプローブ等を接触あるいは近接させるための機械的な位置精度が要求される。その結果、機械的なアライメント精度を確保するために検査時間が長くなるという問題がある。さらに、高精細な液晶表示装置の場合は、多くの電極パッドに対して細いプローブ等を機械的な制御を行って接触させなければならなくなり、これらの方法が適用できない場合もある。
【0008】
また、上述した特許文献2に記載の方法では、液晶表示装置と測定装置間の各種容量成分、例えばソース線、画像信号線、電極パッド端子等における容量が影響するため、画素自体の容量が比較的小さい場合は、十分な測定精度が得られないという問題がある。
【0009】
本発明は、以上の点に鑑みて成されたもので、外部からのプローブを接触される等の必要がなく、十分な測定精度の得られる検査を実現できる電気光学装置用基板及びその検査方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の電気光学装置用基板は、互いに交差する複数の走査線及び複数の信号線と、前記複数の走査線及び前記複数の信号線の交差に対応してに配置された複数の画素と、前記信号線に電気的に接続され、前記画素に入力された信号が前記信号線を介して入力されるとともに、当該入力された信号の電位を増幅する増幅手段と、を備えたことを特徴とする。
【0011】
また、前記増幅手段は、一対の前記信号線に電気的に接続され、前記一対の信号線からそれぞれ供給された信号の電位差を増幅することを特徴とする。
【0012】
本発明の電気光学装置用基板は、互いに交差する複数の走査線及び複数の信号線と、前記複数の走査線及び前記複数の信号線の交差に対応してマトリックス状に配置された複数の画素と、前記複数の画素に対応してそれぞれ設けられた複数のスイッチング素子と、前記複数の信号線のうちの第1の信号線を介して第1の電位信号が入力されるとともに、基準電位としての第2の電位信号が入力される増幅手段と、前記増幅手段から前記複数の信号線に出力された出力電位信号を読み出すデータ読出手段と、有し、前記増幅手段は、前記第1の電位信号と前記第2の電位信号とを比較し、前記第1の電位信号が低い場合には、前記信号線の電位をより低くして、そのより低くした前記出力電位信号を前記信号線に出力し、前記第1の電位信号が高い場合には、前記信号線の電位をより高くして、そのより高くした前記出力電位信号を前記信号線に出力することを特徴とする。
【0013】
このような構成によれば、外部からのプローブを接触される等の必要がなく、十分な測定精度の得られる検査のできる電気光学装置用基板を実現することができる。
【0014】
また、本発明の電気光学装置用基板において、前記第1の電位信号は、前記複数のスイッチング素子を介して前記複数の画素の全部又は一部に供給された信号の電位であり、前記第2の電位信号の電位は、基準信号線から供給される電位であることを特徴とする。
【0015】
このような構成によれば、画素の不良を、画素毎に不良として検出することができる。
【0016】
また、本発明の電気光学装置用基板において、前記第1の電位信号及び前記第2の電位信号は、それぞれ前記複数のスイッチング素子を介して前記複数の画素の全部又は一部に供給された信号の電位であり、前記第1の電位信号は前記第1の信号線を介して、前記第2の電位信号は前記複数の信号線のうちの第2の信号線を介して、対応する前記増幅手段に供給されることを特徴とする。
【0017】
このような構成によれば、2つの画素の電位を比較するため、2つの画素のいずれかが不良であれば、その不良を検出することができる。
【0018】
また、本発明の電気光学装置用基板において、前記増幅手段は、差動増幅器であることを特徴とする。
【0019】
また、本発明の電気光学装置用基板において、前記データ読出手段は、読み出した前記電位信号を出力するための差動増幅器を有することを特徴とする。
【0020】
このような構成によれば、2つの信号線の電位の差を明確にして出力することができる。
【0021】
また、本発明の電気光学装置用基板において、前記複数の画素のそれぞれには、付加容量が設けられていることを特徴とする。
【0022】
このような構成によれば、付加容量の不良を検出することができる。
【0023】
また、本発明の電気光学装置用基板において、さらに、前記複数の信号線に接続され、前記複数の信号線の電位を所定の電位にプリチャージするプリチャージ回路を有することを特徴とする。
【0024】
このような構成によれば、各種特性の検査において利用することができる。
【0025】
また、本発明の電気光学装置用基板において、前記複数の画素に供給された画像信号を供給する画像信号線と、前記画像信号線から供給された画像信号を前記複数の信号線に供給する複数のトランスミッションゲートとを有し、前記データ読み出し手段は、前記画像信号線を含むことを特徴とする。
【0026】
このような構成によれば、複数のトランスミッションゲートを制御することによって、ビデオ信号線への画像信号の供給あるいは画像信号の読み出しができる。
【0027】
また、本発明の電気光学装置は、一対の基板間に電気光学物質を挟持してなる電気光学装置において、前記一対の基板の一方に上記電気光学装置用基板を用いたことを特徴とする。
【0028】
また、本発明の電子機器は、本発明の電気光学装置を用いた。
このような構成によれば、外部からのプローブを接触される等の必要がなく、十分な測定精度の得られる検査のできる電気光学装置用基板を用いた電気光学装置又は電子機器が実現できる。
【0029】
本発明の電気光学装置用基板の検査方法は、互いに交差する複数の走査線及び複数の信号線と、前記複数の走査線及び前記複数の信号線の交差に対応してマトリックス状に配置された複数の画素と、前記複数の画素に対応してそれぞれ設けられた複数のスイッチング素子と、を有する電気光学装置用基板の検査方法であって、1つの前記信号線に対応する画素に第1の電位信号を供給する供給ステップと、前記画素に供給された前記第1の電位信号を、前記信号線を介して読み出す読出ステップと、前記第1の電位信号とは電位が異なり基準信号としての第2の電位信号と、読み出された前記第1の電位信号と、を比較し、前記第1の電位信号が低い場合には、前記信号線の電位をより低くして、そのより低くした前記出力電位信号を前記信号線に出力し、前記第1の電位信号が高い場合には、前記信号線の電位をより高くして、そのより高くした前記出力電位信号を前記信号線に出力する出力ステップと、前記供給ステップで供給された第1の電位信号と前記出力ステップで出力された前記出力電位信号とを比較する比較ステップと、を有することを特徴とする。
【0030】
このような構成によれば、外部からのプローブを接触される等の必要がなく、十分な測定精度の得られる検査のできる電気光学装置用基板の検査を実現することができる。
【0031】
また、本発明の電気光学装置用基板の検査方法において、前記読出ステップの前に、前記信号線を所定のプリチャージ電位にするプリチャージステップを含むことを特徴とする。
【0032】
このような構成によれば、電気光学装置用基板の各種特性の検査をすることができる。
【0033】
また、本発明の電気光学装置用基板の検査方法において、前記所定のプリチャージ電位は、前記第1の電位信号と前記第2の電位信号の間の中間電位であることを特徴とする。
【0034】
このような構成によれば、書き込まれた前記第1と前記第2の電位信号を、中間電位を基準に比較することができる。
【0035】
また、本発明の電気光学装置用基板の検査方法において、前記複数の画素の各々に付加容量が設けられていることが望ましい。
【0036】
このような構成によれば、付加容量の不良を検出することができる。
【0037】
また、本発明の電気光学装置用基板の検査方法において、前記第2の電位信号の電位は、外部から供給される電位であることを特徴とする。
【0038】
このような構成によれば、画素の不良を、画素毎に不良として検出することができる。
【0039】
また、本発明の電気光学装置用基板の検査方法において、前記供給ステップにおいて、前記第1の前記第2の電位信号は、それぞれ前記複数のスイッチング素子を介して2つの画素に供給された信号の電位であり、前記読出ステップにおいて、前記第1及び前記第2の電位信号は、それぞれ対応する2つの前記信号線を介して、読み出されることが望ましい。
【0040】
このような構成によれば、2つの画素の電位を比較するため、2つの画素のいずれかが不良であれば、その不良を検出することができる。
【0041】
また、本発明の電気光学装置用基板の検査方法において、前記供給ステップにおいて、前記2つの画素の一方を検査対象画素とし、該検査対象画素へ前記第1の電位信号としてHIGH信号を供給し、前記2つの画素の他方を基準画素とし、該基準画素へ前記第2の電位信号としてLOW信号を供給し、前記比較ステップにおいて前記検査対象画素から読み出した電位信号がLOWのときに、前記付加容量の不良であると判断することを特徴とする。
【0042】
このような構成によれば、画素の容量の不良を判断することができる。
【0043】
また、本発明の電気光学装置用基板の検査方法において、前記付加容量の共通固定電極の電位を、前記LOW信号の供給電位より低い電位とすることを特徴とする。
【0044】
このような構成によれば、読み出し電位を基準側の電位より低くなるようにして、リーク不良の電圧変化が現れるようにできる。
【0045】
また、本発明の電気光学装置用基板の検査方法において、前記所定のプリチャージ電位は、前記出力ステップにおいてより高くされた電位よりも高い電位であることを特徴とする。
【0046】
このような構成によれば、書き込まれた前記第1と前記第2の電位信号を、その高い電位を基準に比較することができる。
【0047】
また、本発明の電気光学装置用基板の検査方法において、前記供給ステップにおいて、前記2つの画素の一方を検査対象画素とし、該検査対象画素へ前記第1の電位としてLOW信号を供給し、前記2つの画素の他方を基準画素とし、該基準画素へ前記第2の電位としてHIGH信号を供給し、前記比較ステップにおいて前記検査対象画素から読み出した電位信号がHIGHのときに、前記スイッチング素子の不良であると判断することを特徴とする。
【0048】
このような構成によれば、画素のスイッチング素子の不良を判断することができる。
【0049】
また、本発明の電気光学装置用基板の検査方法において、前記供給ステップにおいて、前記2つの画素の一方を検査対象画素とし、該検査対象画素へ前記第1の電位としてLOW信号あるいはHIGH信号を供給し、前記2つの画素の他方を基準画素とし、該基準画素へ前記第2の電位として前記第1のLOW信号の電位とHIGH信号の電位との間の電位を有する中間電位信号を供給し、前記比較ステップにおいて前記検査対象画素から読み出したそれぞれの電位が、前記第1の電位と一致しなかったとき、前記スイッチング素子または前記付加容量の不良であると判断することを特徴とする。
【0050】
このような構成によれば、画素の容量あるいはスイッチング素子の不良を検出することができる。
【0051】
また、本発明の電気光学装置用基板の検査方法において、前記2つの信号線は互いに隣接していることが望ましい。
【0052】
このような構成によれば、隣り合う画素なので、外部ノイズなどの影響を同等に受けるので、出力工程において誤動作し難い。
【0053】
また、本発明の電気光学装置用基板の検査方法において、前記複数の画素について順次、前記供給ステップと、前記読出ステップと、前記出力ステップと、前記比較ステップとを行うことが望ましい。
【0054】
このような構成によれば、マトリックスの必要な画素について全て検査をすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0055】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
ここでは、本発明の電気光学装置用基板の一例として、液晶表示装置に用いるアクティブマトリックス型表示装置用基板を例にとって説明する。
【0056】
(第1の実施の形態)
まず、図1は、本発明の第1の実施の形態に係わる液晶表示装置の素子基板の回路図である。液晶表示装置の素子基板は、アクティブマトリックス型表示装置用基板である。素子基板1は、表示素子アレイ部2と、プリチャージ回路部3と、表示データ読み出し回路部4を含む。表示部となる表示素子アレイ部2は、マトリックス状に2次元に配置されたm行×n列の複数の画素のセルからなる。ここで、m,nはそれぞれ整数である。表示素子アレイ部2のX方向(横方向)及びY方向(縦方向)に並んだ複数の画素2aを駆動するために、Xドライバ部5aと、Yドライバ部5bと、トランスミッションゲート部6と、画像信号線7も含む。Xドライバ部5a、Yドライバ部5b、トランスミッションゲート部6及び画像信号線7が、データ書込手段及びデータ読出手段のそれぞれを構成する。トランスミッションゲート部6は、画像信号線7から入力される画素データ信号をXドライバ部5aからの出力タイミング信号に応じて供給する。画像信号線7は、マトリックス状の表示素子アレイ部2の奇数列に信号を供給する信号線と、偶数列に信号を供給する信号線とを有し、それぞれの端子inoとineとに接続されている。
【0057】
表示素子アレイ部2は、右から第1列、第2列、・・第n列で、上から第1行、第2行、・・第m行のマトリックスであるが、図1では、説明を簡単にするために、4(行)×6(列)のマトリックスの画素からなる回路の例を示している。
プリチャージ回路部3は、後述するように、各種特性の検査のために、各ソース線を所定の電位にプリチャージするときに利用する。
【0058】
表示データ読み出し回路部4は、2次元マトリックスの奇数列のソース線S(odd)と偶数列のソース線S(even)の1組のソース線に対して接続された1つの差動増幅器4aが、複数設けられている。検査時に用いられるテスト回路としての表示データ読み出し回路部4が、アクティブマトリックス駆動型の液晶表示パネルの素子基板に形成されている。
【0059】
次に、表示素子アレイ部2の単位表示素子である画素2aについて説明する。図2は、本実施の形態に係わる1つのメモリセルである一つの画素の等価回路図である。
各画素2aは、スイッチング素子である薄膜トランジスタ(以下、TFTという)11と、液晶容量Clcと、液晶容量Clcに並列に接続された付加容量Csとを含む。TFT11のドレイン端子に液晶容量Clcと付加容量Csのそれぞれの一端が接続されている。付加容量Csの他端は、共通固定電位CsCOMに接続されている。なお、素子基板1を単結晶シリコンなどの半導体物質、あるいは半導体化合物などで形成した場合、各画素のスイッチング素子としてトランジスタを用いることが可能となる。TFT11のゲート端子gはYドライバ5bからの走査線Gに接続されている。TFT11のゲート端子gに所定の電圧信号が入力されてTFT11がオンすると、ソース線Sに接続されたTFT11のソース端子sに印加されている電圧が液晶容量Clcと付加容量Csに印加され、供給された所定の電位が維持される。
【0060】
図3は、表示データ読み出し回路部4の差動増幅器4aの回路図である。図3に示す差動増幅器4aは、2次元マトリックスの一方向、ここでは、X方向におけるn個の画素(nは整数で、偶数)に対して、(n/2)個設けられている。従って、n列の画素に対して、(n/2)個の差動増幅器4aが対応する複数のソース線に接続されている。
【0061】
各差動増幅器4aは、2つのPチャネル型のトランジスタ21,22と、2つのNチャネル型のトランジスタ23,24とを含む。トランジスタ21と23とからなる第1の直列回路と、トランジスタ22と24とからなる第2の直列回路とが並列接続されている。トランジスタ21のゲート端子と、トランジスタ22と24の接続点soとが接続されている。トランジスタ22のゲート端子と、トランジスタ21と23の接続点seとが接続されている。トランジスタ23のゲート端子と、トランジスタ22と24の接続点soとが接続されている。トランジスタ24のゲート端子と、トランジスタ21と23の接続点seとが接続されている。接続点soは、奇数列の画素のソース線S1,S3,S5,・・に接続されている。接続点seは、偶数列の画素のソース線S2,S4,S6,・・に接続されている。各差動増幅器4aのトランジスタ21と22の接続点spは、表示データ読み出し回路部4の第1の駆動電源SAp-chを供給する端子4bに接続されている。各差動増幅器4aのトランジスタ23と24の接続点snは、表示データ読み出し回路部4の第2の駆動電源SAn-chを供給する端子4cに接続されている。
【0062】
増幅手段としての交差結合形増幅器である差動増幅器4aは、後述するように、接続点so,seに接続された2つのソース線S、すなわち奇数列のソース線S(odd)と偶数列のソース線S(even)において、一方には高い電圧が、他方には低い電圧が供給された場合に、差動増幅器4aは、奇数列と偶数列の2つのソース線S(odd)とS(even)に現れる、それぞれの電位差に応じて、低い電圧の方のソース線の電圧をより低くし、高い電圧の方のソース線電圧をより高くするように動作する。すなわち、接続点soとseとに入力された信号の電位差を増幅する機能を持つ。
【0063】
図3の差動増幅器4aにおいて、端子4bに接続される接続点spは、出力レベルをHIGHの信号(以下、単にHIGHという)にするタイミング信号が入力される端子である。端子4cに接続される接続点snは、出力レベルをLOWの信号(以下、単にLOWという)にするタイミング信号が入力される端子である。
【0064】
動作としては、例えば、接続点seが接続点soに比べてわずかに高い電位とすると、トランジスタ24が最初にオンする。その結果、トランジスタ24がオンとなるので、接続点soは端子4cの低い接地電位まで落ちる。そして、接続点soが端子4cの低い接地電位まで落ちるので、ゲート端が接続点soに接続されたトランジスタ21がオンなる。その結果、接続点seは端子4bの高い電源電圧Vddまで上昇する。
【0065】
このように、差動増幅器4aは、隣り合う2つのソース線の高い電位の方のソース線の電位をより高くし、低い電位の方のソース線の電位をより低くするように機能する。
なお、本実施の形態では、隣り合う2つのソース線に1つの差動増幅器4aを設けている。これは、素子基板1上に差動増幅器4aを形成し易いからであるとともに、外来ノイズがあった場合に両方のソース線に同じように影響を及ぼすからであり、隣り合わない画素のソース線に対して1つの差動増幅器を設けてもよい。
【0066】
本実施の形態によれば、以上のような構成のアクティブマトリックス型表示装置である液晶表示装置の素子基板が製造工程において製造されると、対向基板と貼り合わせて液晶を封入する前の素子基板自体の電気特性を評価あるいは検査を行うことができる。電気的特性の検査対象とする不良としては、素子基板の各画素のデータ保持用キャパシタ(付加容量Cs)のリークによるLOW固定不良、スイッチング素子であるTFTのソース・ドレイン間リークによるHIGH固定不良等がある。
【0067】
初めに、製造工程における素子基板1の検査を説明する前に、図1に示すTFT基板が対向基板と貼り合わされて液晶が封入されて完成された液晶表示装置が、通常の画像表示を行うときの動作について説明する。まず、2本の画像信号線7には、それぞれ奇数列と偶数列の画素信号である画素データ信号が、画像信号線7の入力端子ineとinoに入力される。それぞれの画素データ信号は、Xドライバ5aからの列選択信号に応じて、トランスミッションゲート部6のそれぞれのトランジスタを介して、各ソース線Sへ供給される。
【0068】
各ソース線Sに供給された画素信号は、Yドライバ5bからの走査線GがHIGHになって選択された行の各画素2aに書き込まれる。従って、選択された走査線Gにおいてソース線Sに供給される画素データ信号が対応する画素2aに表示用の画素データ信号として供給されて保持される。この動作を、行順次で行うことにより、液晶表示装置の表示素子アレイ部2には、所望の画像が表示される。
【0069】
プリチャージ回路部3は、走査線GがHIGHになる前に、プリチャージ電圧Vpcを各ソース線Sに印加するための回路である。プリチャージ電圧Vpcは、プリチャージ回路部3の端子3aに供給される。プリチャージ電圧Vpcを供給するタイミングは、プリチャージゲート端子3bに与える電圧によって決定される。
従って、製品あるいは試作品としての液晶表示装置として画像表示が行われるときは、素子基板1の表示データ読み出し回路部4は、動作せず使用されない。
【0070】
次に、素子基板1において、図1に示す回路部分が半導体プロセスの工程によって製造された後に、素子基板1の状態において行われる検査の手順について説明する。この素子基板1の検査において、表示データ読み出し回路部4が動作して使用される。
まず検査方法を実現するための検査システムについて説明する。図4は、本実施の形態に係わる検査システムの構成図である。素子基板1と、画素データの書き込みと読み込みができるテスト装置31とを、接続ケーブル32を介して接続する。接続ケーブル32は、素子基板1のデータ線7の端子ino,ine、表示データ読み出し回路部4の信号線の端子4b、4c、プリチャージ回路部3の端子3a、3b等を、テスト装置31に電気的に接続する。
【0071】
テスト装置31から、後述する所定の順番で、所定の電圧を各端子に供給することによって、素子基板1の電気的特性の検査を行うことができる。以下に、その検査内容として、上述したLOW固定不良とHIGH固定不良の有無についての検査を行う手順を説明する。
【0072】
次に、検査の全体の流れを説明する。図5は、その検査の流れの例を示すフローチャートである。
表示データ読み出し回路部4の各差動増幅器4aを非動作状態にする。具体的には、第1の駆動電源SAp-chと第2の駆動電源SAn-chを、それぞれ電源電圧Vddと接地電位の中間電位(Vdd/2)にする。その状態で、画像信号線7の入力端子ino,ineから、セルである各画素に所定の画素データ信号を入力、すなわち書き込む(ステップ(以下、Sと略す)1)。具体的には、奇数側のソース線S(odd)にHIGHを、偶数側のソース線S(even)にLOWを供給することによって、選択された行の奇数番目の画素にはHIGHが書き込まれ、偶数番目の画素にはLOWが書き込まれる。この書込工程が、行毎に行われ、全行について行われる。図6(a)は、4(行)×6(列)の各画素に書き込まれる画素データのLOW(L)と、HIGH(H)の状態を示す図である。図6(a)に示すように、表示素子アレイ部2の各画素データは、LOW(L)の列とHIGH(H)の列が交互に表れるマトリックスとなる。
【0073】
次に、表示データ読み出し回路部4を動作させながら、書き込まれた画素データを行毎に読み出す(S2)。表示データ読み出し回路部4の動作については後述する。後述するように、表示データ読み出し回路部4が動作するときに、最初のプリチャージ期間は、やや長くしており、それによりデータ保持用キャパシタ(Cs)において電流リーク現象による電圧の変化が確実に表れるようにしている。すなわち、表示データ読み出し回路部4は、画素データを読み出すときに、信号線上の信号出力を増幅して出力する出力工程を実行する。
【0074】
そして、テスト装置31は、読出工程において読み出した画素データと、書込工程において書き込んだ画素データとを比較する(S3)。この比較工程においては、各画素について書き込んだ画素データと読み出した画素データが一致しているか否かが判断される。テスト装置31は、書き込んだ画素データと読み出した画素データが一致していないセル、すなわち画素を特定し、異常セルとして、例えばセル番号等のデータを、図示しないモニタの画面上に表示するように出力する(S4)。
【0075】
次に、図7のタイミングチャートを用いて、図5のS2の画素データの読み出し動作を説明する。図7は、図1の回路における読み出し動作を説明するためのタイミングチャートである。画素の検査は、基準となる列に対して、検査対象の列が正常であるか否かを判定することによって行われる。まず、基準とする列を偶数列とし、検査対象とする列を奇数列とする。図7に示すタイミングのための信号は、テスト装置31によって生成されて各端子に供給される。
【0076】
初めに、図6(a)に示すように、偶数列の画素を基準データ書き込み用とし,偶数側の画素にLOWが、被検査用の奇数側の画素にHIGHが書き込まれ、被検査対象の奇数列の各画素の検査が行われる。
【0077】
図7に示すように、全画素へ上述した所定の画素データの書き込み後、プリチャージ回路部3の端子3bに供給されるプリチャージゲート電圧PCGが、HIGHとなり、各ソース線Sへのプリチャージが行われる。プリチャージ状態で所定時間経た後に、読み出し動作が開始される。なお、各ソース線Sのプリチャージ電位(プリチャージ電圧印加端子3aに印加される電圧)VpcはHIGHとLOWの中間電位にし、図2に示すCsCOM電位を(LOW電位−ΔV)とする。CsCOM電位を(LOW電位−ΔV)とするのは、データ保持用キャパシタCsがリーク不良である場合、リーク先のCsCOM電位が(Low電位−ΔV)となるため、読み出し電位は基準側の電位より低くなるようにするためである。そして、最初のプリチャージ期間は、やや長い時間を設定しておき、リーク不良による電圧変化が現れるようにする。
【0078】
第1行目の読み出し動作では、まずプリチャージゲート電圧PCGをLOWにしてプリチャージを停止し、次に走査線G1の電位をHIGHにして第1行目の画素トランジスタである各TFT11をONする。走査線G1に接続された画素すべてのTFT11が一斉にONする。その結果、コンデンサCsに書き込まれた電荷がソース線Sに移動する。HIGHが書き込まれた奇数側ソース線(S(odd))が中間電位付近の高い側の電位へ僅かに上昇し、基準側の偶数側ソース線(S(even))の電位は中間電位付近の低い側の電位へ僅かに低下する。SAn-ch駆動電源をLOWにし、続いてSAp-ch駆動電源をHIGHにすることによって、表示データ読み出し回路部4を起動する。
【0079】
しかし、奇数側の画素のデータ保持用キャパシタCsのリークが生じていた場合は、図7において点線L1で示すように、偶数側ソース線(S(even))の電位より奇数側ソース線(S(odd))の電位の方がより低下する。その結果、点線L2で示すように、偶数側の電位が上昇する。
【0080】
SAn-ch駆動電源がLOWになることで中間電位より僅かに低い側の電位がLOWに、続いてSAp-ch駆動電源がHIGHになることで中間電位より僅かに高い側の電位がHIGHに変化する。これは、上述したように、表示データ読み出し回路部4の各差動増幅器4aの動作により、2つのソース線Sに現れる高低2つの電位レベルが明確になるからである。この動作は走査線G1に接続された画素すべてにおいて一斉に行われる。
そして、トランスミッションゲート部6の各トランジスタのゲートTG1からTGnを順に開き(HIGHにし)、画像信号線7から順番に第1行目の各画素の画素データを読み出す。
【0081】
最後のトランスミッションゲートTGnまで開いた後,再びプリチャージ動作に移る。そのプリチャージ動作、すなわち2回目以降のプリチャージ時間は初回ほど長い必要はない。
【0082】
従って、上述したように、書き込んだ画素データと読み出した画素データを比較し(S3)、書き込んだ検査対象の奇数側の画素のHIGHが、読み出したときにLOWとなっているときは、奇数側のその画素は、LOW固定不良であると判断することができる。そのようなLOW固定不良の画素、すなわち異常セルは、検査装置31において、図示しない表示装置等に出力される(S4)。
【0083】
そのプリチャージ動作を停止した後は、第2の走査線G2の電位をHIGHにすることによって、第2行目の各画素のTFT11をONする。以降同様の動作を、最後の走査線Gmに接続された画素、すなわち、第m行目の各画素の画素データまで読み出す。
【0084】
読み出した各画素データと書き込んだ各画素データとを比較して、被検査対象の奇数列の各画素にLOW固定不良があるか否かのチェックを行うことができる。
次に、偶数列と奇数列の関係を逆にし、すなわち、奇数側の画素を基準データ書き込み用とし、奇数側の画素にLOWを、被検査用の偶数側の画素にHIGHを書き込み、図5に示す処理と同様の処理を行うことによって、基準となる奇数側の画素に対して、偶数側の画素に、LOW固定不良がないかどうかを検査する。
【0085】
以上のように、奇数と偶数の列のいずれか一方を基準として他方の画素にLOW固定不良がないかどうかの検査を、奇数と偶数の両列について行うことによって、全画素についてLOW固定不良がないかどうかを検査することができる。
【0086】
次に図8を参照して、HIGH固定不良の有無の検査について説明する。図8は、HIGH固定不良の有無の検査における読み出し動作を説明するためのタイミングチャートである。上述したLOW固定不良の場合と同様に、最初に偶数側の画素を基準データ書き込み用とするが、画素データの書き込みにおいては、偶数側の画素にHIGHを、被検査用の奇数側画素にLOWを書き込む。
【0087】
全画素への図6(b)に示すような画素データ(図6(a)のHとLの関係を逆にした状態の画素データ)の書き込み後、プリチャージ状態で所定時間経た後に読み出し動作が開始される。このとき各ソース線Sのプリチャージ電位(プリチャージ電圧印加端子3aに印加される電圧)Vpcを(HIGH電位+ΔV)電位とする。プリチャージ電位Vpcを(HIGH電位+ΔV)電位とするのは、TFT11のソース・ドレイン間がリークした場合、リーク先のソース線Sの電位は(HIGH電位+ΔV)のため、読み出し電位は基準側の電位より高くなるようにするためである。
【0088】
読み出し動作では、まずプリチャージを停止し、次に走査線G1の電位をHIGHにして各TFT11をONする。各TFT11は走査線G1に接続された第1行目の画素すべてにおいて一斉にONする。HIGHが書き込まれた基準側の偶数側ソース線S(even)の電位はプリチャージ電位Vpcから僅かに低下し(HIGH電位に変化)、LOWが書かれた奇数側ソース線S(odd)の電位は、プリチャージ電位Vpcよりさらに低下する。従って、差動増幅器4aは、LOWが書き込まれていた奇数側ソース線S(odd)の電位をより低くし、HIGHが書き込まれていた偶数側ソース線S(even)の電位はHIGH電位を維持する。
【0089】
しかし、検査対象の奇数側の画素のTFT11のソース・ドレイン間のリークが生じていた場合、リーク先の画素のキャパシタCsの電位はプリチャージ電位(HIGH電位+ΔV)となり、基準側の偶数側の画素の電位よりも高くなる。よって、画素データの読み出し時、図8の点線L3で示すように、奇数側のソース線S(odd)の電位はプリチャージ電位(HIGH電位+ΔV)のままでほとんど変化しない。すなわち、奇数側ソース線S(odd)の電位は、偶数側のソース線S(even)の電位より高くなる。SAn-ch駆動電源がLOWになることで低い側の電位がLOWに、続いてSAp-ch駆動電源がHIGHになることで高い側の電位がHIGHに変化する。その結果、点線L4で示すように、偶数側のソース線S(even)の電位はLOWに、奇数側のソース線S(odd)の電位はHIGHになる。
【0090】
よって、検査対象の画素のセルにおいて、書き込んだ画素データと読み出した画素データが異なるので、異常セルを検出することができる。
以降の差動増幅器の動作は、上述したLOW固定不良の検出時と同様である。以上の動作を、今度は基準側を奇数側として、検査対象を偶数側として行うことによって、全ての画素についてHIGH固定不良の検査をすることができる。
【0091】
以上のように、基準側を偶数列と奇数列を入れ替えてLOW固定不良の検査を行い、同様に、基準側を偶数列と奇数列を入れ替えてHIGH固定不良の検査を行うことによって、全ての画素についてLOW固定不良とHIGH固定不良の有無の検査を行うことができる。
【0092】
なお、上述した例では、基準側の画素にHIGHあるいはLOWとして検査を行っているが、基準側の画素に中間電位の信号を書き込むようにしてもよい。
図9を用いて、基準側の画素にHIGHとLOWの中間電位を書き込んで検査を行う方法について説明する。
上述したLOW固定不良の検出の場合と同様に、最初に偶数側の画素を基準データ書き込み用とし、偶数側の画素にHIGHとLOWの中間電位を、被検査用の奇数側画素にはHIGH又はLOWを書き込む。例えば、図10に示すように、奇数側の画素には、初めにHIGHを書き込み、偶数側の画素には、HIGHとLOWの中間電位(M)を書き込む。
【0093】
全画素への書き込み後、プリチャージ状態で所定時間経た後、読み出し動作が開始される。このときソース線Sのプリチャージ電位(プリチャージ電圧印加端子3aに印加される電圧)をHIGHとLOWの中間電位にする。
【0094】
読み出し動作では、まずプリチャージを停止し、つぎに走査線G1の電位をHIGHにして各TFT11をONする。TFT11は走査線G1に接続された画素すべてにおいて一斉にONする。基準側の偶数側ソース線の電位は、プリチャージ電位の中間電位のまま変化しない。奇数側のソース線Sの電位は、HIGHが書き込まれていたので、中間電位より僅かに上昇する。従って、差動増幅器4aによって、偶数側はLOWに、奇数側はHIGHになるので、奇数側に書き込んだ画素データはHIGHで変わらない。
【0095】
しかし、検査対象の画素のキャパシタンスCsにリークが生じていた場合、奇数側のソース線S(odd)の電位は、中間電位より僅かに低下する。従って、差動増幅器4aによって、奇数側は図9の点線L5に示すようにLOWに、偶数側は点線L6に示すようにHIGHになるので、奇数側に書き込んだ画素データはHIGHではなくLOWになる。
【0096】
以降の動作は、上述したLOW固定不良の検出時と同様である。以下同様にして、全ての行について、画素データを読み出す。
【0097】
次に、奇数側にLOWを書き込み(図10におけるHをLに変更した状態)、基準となる偶数側は中間電位を書き込む。そして、上述した奇数側にHIGHを書き込んで画素データを読み出した時の動作と同じ動作を、全ての画素について行順次で行う。
【0098】
その結果、基準側に中間電位を書き込み、検査対象側にHIGHとLOWを書き込み、それぞれの場合の画素データを読み出したデータを、テスト装置31は得ることができる。HIGHとLOWを書き込んだ画素データと、それぞれの場合に読み出した画素データを比較する。このとき、ある画素にLOWを書き込んだ場合とHIGHを書き込んだ場合のいずれの場合でも、LOWが読み出されるときは、その画素はキャパシタンスCsにリーク不良があることが第一に考えられる。
【0099】
さらにはキャパシタンスまたはTFTの高抵抗、あるいはTFTのソース・ドレイン間リークによって常に検査対象側のソース線電位がプリチャージ電位となり、すなわち読み出し増幅動作がプリチャージ電位同士の電位比較となって、回路の固有の特性によって検査対象側が常にLOWに傾く可能性があると判断することができる。
【0100】
また、いずれの場合でもHIGHが読み出されるときは、キャパシタンスCsにリーク不良の可能性が除かれるのみで,上記LOWの場合と同じ不具合の可能性が考えられる。
【0101】
すなわち、基準側に中間電位を書き込み、検査対象側にLOWとHIGHを書き込んで(LOWとHIGHをいずれを先に行ってもよい)、それぞれの場合の画素データを読み出して、比較することによって、セルのキャパシタンスCsとTFTの不良を検出することができる。
【0102】
そして、次に、奇数列を基準側として、偶数側を検査対象側として同様な検査を行うと、全ての画素について、キャパシタンスCsとTFTの不良の有無を検査することができる。
【0103】
以上のように、図9に示す動作によれば、HIGHとLOWを書き込んだデータが、読み出したときにLOWあるいはHIGHに固定していた場合、キャパシタンスCsあるいはTFTに何らかの不良があると判断することができる。
【0104】
図11は、図1に示す素子基板の回路の変形例を示す回路図である。図1においては、素子基板1Aの表示データ読み出し回路部4は、プリチャージ回路部3から出力されるソース線Sと、トランスミッションゲート部7の間に設けられていた。図11では、表示データ読み出し回路部4は、接続ゲート部9を介してプリチャージ回路部3から出力されるソース線Sと接続されている。
【0105】
図11に示す構成によれば、トランスミッションゲート部9の各トランジスタ9aのゲート端子は、それぞれ接続ゲート端子9bに信号線を9c介して接続されている。通常は、接続ゲート端子9bの電位は、トランジスタ9dのゲート端子がHIGHとなっているため、信号線9cはLOWとなっており、表示データ読み出し回路部4はソース線から切り離されている。よって、図11の構成によれば、表示データ読み出し回路部44を使用しないときは、完全に切り離して、差動増幅器4aの不安定動作状態の影響を受けないようにすることができるというメリットがある。
【0106】
上述した読み出し動作のときに、信号線9cをHIGHとするように接続ゲート端子9bの電位を制御することによって、表示データ読み出し回路部4を動作させることができる。
【0107】
また、画像信号線7に、カレントミラーアンプを含む差動増幅器10が設けられている。これは、画像信号線7自体の持つ容量成分等によってHIGH・LOW信号の差が小さくなることを防止するのが目的で、HIGH,LOW信号をさらに明確にして出力信号outo,outeを高速に精度良く出力することができる。
【0108】
なお、以上の実施の形態では、表示データ読み出し回路部は、表示素子アレイ部の全ての画素について設けているが、全てに設けなくても、表示部として使用する一部の画素にだけ設けるようにしてもよい。
【0109】
以上のように、上述した本発明の実施の形態と変形例によれば、製品あるいは試作品における素子基板工程の完了後に、素子基板の不良を検出できるので、歩留まり低下期間が短縮され、不良品を組み立てることが少なくなくなり、コスト低減になる。特に、試作品の場合は、開発期間の短縮と開発コストの低減になる。
【0110】
また、素子基板の段階で不良が検出できるので、いわゆるリペアも容易となる。
さらに、表示データ読み出し回路部によって、アナログ情報であるキャパシタの充電電荷がデジタル情報(電圧論理)に変換できるため、検査における検出感度が高い。
【0111】
さらにまた、上述した例では、隣り合うソース線に差動増幅器が接続され、外部ノイズなどの影響を受けにくいようにしているが、互いに隣接しないソース線同士に接続する差動増幅器を設けるようにしてもよい。そのようにすれば、隣接するソース線同士のリークの可能性の影響を排除することができる。
【0112】
(第2の実施の形態)
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。図12は、本発明の第2の実施の形態に係わる液晶表示装置の素子基板の回路図である。図12において、第1の実施の形態と同一の構成要素については、同一の符号を付し説明は省略する。
【0113】
本実施の形態に係わる液晶表示装置の素子基板1Bも、表示素子アレイ部2と、表示データ読み出し回路部4と、Xドライバ部5aと、Yドライバ部5b(図12では示さず)と、トランスミッションゲート部6と、画像信号線7と、差動増幅器10を含む。さらに、本実施の形態では、プリチャージ回路部13と、接続ゲート部14と、参照電圧供給部15とを有する。
【0114】
本第2の実施の形態のプリチャージ回路部13は、各列に、すなわち各ソース線にトランジスタ13bを有している。各トランジスタ13bのソースとドレインは、それぞれソース線Sを介して各差動増幅器4aの接続点seと、参照電圧供給線REFを介して接続点soに接続されている。そして、各トランジスタ13bのゲートは、プリチャージ用のゲート端子13aに接続されている。
【0115】
接続ゲート部14では、図12に示すように、各差動増幅器4aの一方の接続点soは、接続ゲート部14の一方のトランジスタ14bと参照電圧供給線REFを介して、参照電圧供給部15の端子15aに接続されている。端子15aには、参照電圧Vrefが供給されている。各差動増幅器4aの他方の接続点seは、接続ゲート部14の他方のトランジスタ14cを介して、ソース線Sに接続されている。トランジスタ14bと14cのゲートは、テスト回路接続用のゲート端子14aに接続されている。ゲート端子14aには、後述するテスト回路接続信号TEが供給される。
【0116】
参照電圧供給部15の端子15aに接続された参照電圧供給線REFには、プリチャージ用のトランジスタ13bが接続されている。従って、トランジスタ13bのゲート電圧を制御することによって、トランジスタ13bをオンさせ、各ソース線Sにトランジスタ13bを介して、参照電圧Vrefを印加できるようになっている。
【0117】
次に、図13のタイミングチャートを用いて、図5のS2の画素データの読み出し動作を説明する。図13は、図12の回路における読み出し動作を説明するためのタイミングチャートである。画素の検査は、各列が正常であるか否かを判定することによって行われる。図13に示すタイミングのための信号は、テスト装置31によって生成されて各端子に供給される。
【0118】
まず、素子アレイ部2の全ての走査線Gをオンして、全ての画素にHIGHを書き込む。なお、ここでは、各画素にHIGHが書き込まれた場合で説明するが、LOWを書き込んでもよい。なお、以下、全画素にHIGHを書き込み基板1Bの検査を行っている例を説明するが、一部の画素についてのみ検査を行うようにしてもよい。書き込み後、走査線Gのゲートはオフにされる。
【0119】
図13に示すように、全画素へ上述した所定の画素データ(ここではHIGH)の書き込み後、データ保持時間t1を確保するために、プリチャージ回路部13の端子13aに供給されるプリチャージゲート電圧PCGがHIGHとなり、トランジスタ13bは、所定時間だけオンとなる。さらに、テスト回路接続用のゲート端子14aのテスト回路接続信号TEもHIGHとなる。データ保持時間t1経過後に、画素データの読み出しが開始される。
なお、トランジスタ13bが所定時間だけオンすることにより、各ソース線Sと参照側信号線REFの両方に、参照電圧Vrefが現れるようにしているので、ゲート線Gをオフにしておけば、必ずしもプリチャージ状態にする必要はない。さらになお、トランジスタ13bをオンしたときに、テスト回路接続用のゲート端子14aのテスト回路接続信号TEは、まだHIGHでなくてもよい。従って、データ保持時間経過t1後に、プリチャージゲート電圧PCGがLOWの場合は、HIGHにしてプリチャージが行われる。
【0120】
参照電圧供給部15からは、端子15aには、プリチャージ電位として、HIGHとLOWの中間電位の参照電圧Vrefが印加されている。よって、所定の画素データの書き込み後、ソース線S、接続点se及び接続点soは、中間電位の状態となっている。
【0121】
そして、データ保持時間t1経過後、プリチャージ状態を解除するために、プリチャージゲート電圧PCGをLOWにするが、このとき、テスト回路接続信号TEは、HIGHであり、かつ、第1の駆動電源SAp-chと第2の駆動電源SAn-chの電位を中間電位としておくことにより、各差動増幅器4aを動作していない状態とする。
【0122】
なお、プリチャージゲート電圧PCGをLOWにした後、差動増幅器4aが動作を開始する前までに、端子15aへのプリチャージゲート電圧の供給を停止させるようにする。
【0123】
プリチャージゲート電圧PCGをLOWにした直後、ゲート線G1をオンすると、ゲート線G1に接続された各画素から一斉にデータが出力される。具体的にはコンデンサCsに書き込まれて保持された電荷が、対応するソース線Sに一斉に移動する。図13に示すように、各ソース線Sの電位がわずかに上昇する。もしも、コンデンサCsのリークがあって、各画素のデータがLOWに変化していると、各ソース線Sの電位は、点線で示したようにわずかに下降する。
【0124】
ゲート線G1を開いた後、所定時間経過してから、各差動増幅器4aを動作させるために、まず、第2の駆動電源SAn-chの電位を中間電位からLOWに変化させる。第2の駆動電源SAn-chの電位のLOWへ変化の瞬間と同時あるいはその瞬間の前後にテスト回路接続信号TEをLOWにし、接続ゲート部14のトランジスタ14b、14cを所定期間t2だけオフにすることによって、わずかに上昇したソース線電位の情報を差動増幅器4a内に閉じ込める。
【0125】
SAn-ch駆動電源がLOWになることで、中間電位より僅かに低い側の電位がLOWに変化する。よって、各差動増幅器4aは、外部から印加された中間電位である参照電圧Vrefと、各ソース線Sの電圧を比較する。画素が正常であれば、ソース線Sの電位は中間電位よりも僅かに高いので、各差動増幅器4aの接続点soの方が、接続点seよりも電位が低い側となる。そのため、図13に示すように、接続点soの電位が低下する。このとき、接続点seの電位はそのまま保持となる。
【0126】
次に、SAp-ch駆動電源がHIGHになることによって、差動増幅器4aのPチャネル型トランジスタ21,22を動作させる。すなわち、SAp-ch駆動電源がHIGHになることで中間電位より僅かに高い側の電位がHIGHに変化する。画素が正常であれば、ソース線Sの電位は中間電位よりも僅かに高いので、各差動増幅器4aの接続点seの方が、接続点soよりも電位が高い側となる。そのため、図13に示すように、接続点seの電位が上昇する。
画素に不良があれば、例えば、コンデンサCsのリークがあって、各画素のデータがLOWに変化していると、各ソース線Sの電位は、図13に点線で示したようにわずかに下降する。その場合は、SAn-ch駆動電源がLOWになると、図13に点線で示すように、接続点seの電位が下降する。さらに、SAp-ch駆動電源がHIGHになると、図13に点線で示すように、接続点soの電位が上昇する。
この場合、テスト回路接続信号TEをオフしているため、負荷となるソース線Sの容量の影響を受けなくなり、高速動作が可能になる。また、参照電圧Vrefが画素に書込まれた電位でないため、ある画素の不良はその画素の不良として検出される。すなわち、1画素の不良として特定できるため、詳細不良特性分類が可能となる。
【0127】
差動増幅器4aの接続点seと接続点soにおける論理が、HIGHとLOWのいずれかに確定したら、テスト回路接続信号TEをHIGHにし、確定した論理データをソース線Sに書き戻す。ゲート線G1に接続された各画素の電位が、対応するソース線Sに読み出されるので、トランスミッションゲート部6の各トランジスタのゲートTG1からTGnを順に開き(HIGHにし)、画像信号線7から順番に第1行目の各画素の画素データを読み出し、出力端子outoとouteに出力させる。
【0128】
ゲート線G1に接続されたすべての画素のデータが読み出されたら、ゲート線G1をLOWにし、SAn-ch駆動電源とSAp-ch駆動電源を中間電位にして差動増幅器4aを動作停止させる。続いて、プリチャージゲート電圧PCGをHIGHにして、全ソース線Sをプリチャージする。
【0129】
以降、上述した動作を、ゲート線G2からGmの各ラインについて繰り返すことによって順番に基板上の画素の検査が行われる。
以上、全画素にHIGHのデータを書き込んで行う検査の動作が終了すると、次に、全画素にLOWのデータを書き込み、同一の検査を実施することですべて終了となる。従って、全画素について、2回の検査を行うだけで済むため、第1の実施の形態の場合に比べて、検査時間は短くなる。
【0130】
以上のように、本実施の形態によれば、第1の実施の形態と異なり、検査対象の各画素について不良の有無を検査することができる。
【0131】
(変形例)
次に、第2の実施の形態の変形例について説明する。図14は、第2の実施の形態の変形例である素子基板1B'を示しており、図14において図12と同一の構成要素については、同一の符号を付し説明は省略する。
【0132】
本第2の実施の形態のプリチャージ回路部13は、各列に、すなわち各ソース線にトランジスタ13bおよび13cを有している。各トランジスタ13bのドレインとソースは、それぞれソース線Sを介して各差動増幅器4aの接続点seと、参照電圧供給部15の端子15aに接続されている.さらに各トランジスタのソースとドレインは,それぞれ参照電圧供給部15の端子15aと,各差動増幅器4aの接続点soに接続されている.端子15aには,参照電圧Vrefが供給されている.そして、各トランジスタ13bおよび13cのゲートは、プリチャージ用のゲート端子13aに接続されている。
【0133】
接続ゲート部14では、各差動増幅器4aの接続点seは、接続ゲート部14のトランジスタ14cを介して、ソース線Sに接続されている。トランジスタ14cのゲートは、テスト回路接続用のゲート端子14aに接続されている。ゲート端子14aには、後述するテスト回路接続信号TEが供給される。
【0134】
参照電圧供給部15の端子15aに接続された参照電圧供給線REFには、プリチャージ用のトランジスタ13bおよび13cが接続されている。従って、トランジスタ13bおよび13cのゲート電圧を制御することによって、トランジスタ13bおよび13cをオンさせ、さらにテスト回路接続用ゲート端子14aに接続されたトランジスタ14cのゲート電圧を制御することによってトランジスタ14cをオンさせ、各ソース線Sおよび各差動増幅器4aの接続点se・soにトランジスタ13b・13c・14cを介して、参照電圧Vrefを印加できるようになっている。
【0135】
このような構成によれば、図12の素子基板1Bと異なり、プリチャージゲート電圧PCGをLOWにした後に、端子15aにプリチャージゲート電圧の供給又は停止を制御するスイッチは不要である。
【0136】
本変形例においても、図13に示すタイミングチャートに従った動作が行われる。本変形例においては、トランジスタ13b・13c・14cの動作が図12の実施の形態と異なるのみである。
【0137】
即ち、全画素へ上述した所定の画素データ(ここではHIGH)の書き込み後、データ保持時間t1を確保するために、プリチャージ回路部13の端子13aに供給されるプリチャージゲート電圧PCGがHIGHとなり、トランジスタ13bおよび13cは、所定時間だけオンとなる。さらに、テスト回路接続用のゲート端子14aのテスト回路接続信号TEもHIGHとなる。データ保持時間t1経過後に、画素データの読み出しが開始される。
【0138】
なお、トランジスタ13bおよび13cさらにテスト回路接続用のゲート端子14aのテスト回路接続信号TEをHighにし、各ソース線Sと各差動増幅器4aの接続点se・soに参照電圧Vrefが現れるようにしているが、ゲート線Gをオフにしておけば、必ずしもプリチャージ状態にする必要はない。従って、データ保持時間経過t1後に、プリチャージゲート電圧PCGがLOWの場合は、HIGHにして、テスト回路接続用信号TEがLowの場合はHighにしてプリチャージが行われる。
【0139】
ゲート線G1を開いた後、所定時間経過してから、各差動増幅器4aを動作させるために、まず、第2の駆動電源SAn-chの電位を中間電位からLOWに変化させる。第2の駆動電源SAn-chの電位のLOWへ変化の瞬間と同時あるいはその瞬間の前後にテスト回路接続信号TEをLOWにし、接続ゲート部14のトランジスタ14cを所定期間t2だけオフにすることによって、わずかに上昇したソース線電位の情報を差動増幅器4a内に閉じ込める。
【0140】
他の作用は図12の実施の形態と同様である。
【0141】
(第3の実施の形態)
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。図15は、本発明の第3の実施の形態に係わる液晶表示装置の素子基板の回路図である。図15において、第1の実施の形態と同一の構成要素については、同一の符号を付し説明は省略する。
【0142】
本実施の形態に係わる液晶表示装置の素子基板1Cも、表示素子アレイ部2と、表示データ読み出し回路部4と、Xドライバ部5aと、Yドライバ部5b(図15では示さず)と、トランスミッションゲート部6と、画像信号線7と、差動増幅器10を含む。さらに、本実施の形態では、プリチャージ回路部16と、接続ゲート部17と、参照電圧供給部18とを有する。
【0143】
本第3の実施の形態のプリチャージ回路部16は、奇数列のソース線S(odd)と偶数列のソース線S(even)の1組のソース線に対して、一対のトランジスタ16b、16cを有している。ソースとドレインが接続されてなる直列接続されたトランジスタ16bと16cのソースとドレインは、それぞれ奇数列のソース線S(odd)と偶数列のソース線S(even)を介して、各差動増幅器4aの接続点soと接続点seに接続されている。そして、各トランジスタ16b、16cのゲートは、プリチャージ用のゲート端子16aに接続されている。トランジスタ16bと16cの接続点は、参照電圧供給部18の端子18aに接続されている。端子18aには、参照電圧Vrefが供給されている。従って、トランジスタ16b、16cのゲート電圧を制御することによって、トランジスタ16b、16cを同時にオンさせ、各ソース線Sにトランジスタ16b、16cを介して、素子基板1Cの外部から供給される参照電圧Vrefを印加できるようになっている。なお、参照電圧Vrefは素子基板1Cの内部で生成するようにしてもよい。参照電圧Vrefは、HIGHとLOWの中間電位の電圧である。
【0144】
接続ゲート部17では、図15に示すように、各差動増幅器4aの一方の接続点soは、接続ゲート部17の一方のトランジスタ17bを介して、奇数列ソース線S(odd)に接続されている。各差動増幅器4aの他方の接続点seは、接続ゲート部17の他方のトランジスタ17cを介して、偶数列ソース線S(even)に接続されている。トランジスタ17bと17cのゲートは、それぞれ奇数列テスト回路接続用のゲート端子17a1と、偶数列テスト回路接続用のゲート端子17a2とに接続されている。各ゲート端子17a1,17a2には、後述するテスト回路接続信号TEo、TEeがそれぞれ供給される。
【0145】
従って、テスト回路接続信号TEoとTEeのいずれか一方をHIGHにすることによって、1つの差動増幅器4aで奇数列ソース線S(odd)の画素、及び偶数列ソース線S(even)の画素のいずれか一方のみのデータを読み出すことができる。そして、ソース線Sに現れ読み出される電位(微少電位変化)は、トランジスタ17bと17cのいずれか一方のトランジスタを介して差動増幅器4aに伝えられる。その電位は、オンして開いたトランジスタを一旦、閉じた後、差動増幅器4a内部で増幅され、その後一端閉じたトランジスタを再び開けソース線に書き戻され、画像信号線7を介して出力される。
【0146】
次に、図15に示す回路の動作の詳細を図16のタイミングチャートを参照しながら説明する。図5のS2の画素データの読み出し動作を説明する。図16は図15の回路における読み出し動作を説明するためのタイミングチャートである。画素の検査は、列毎に、ここでは奇数列と偶数列に分けて、正常であるか否かを判定することによって行われる。図16に示すタイミングのための信号は、テスト装置31によって生成されて各端子に供給される。
【0147】
まず、素子アレイ部2の全ての走査線Gをオンして、奇数列の全ての画素にHIGHを書き込む。なお、全画素にHIGHを書き込んでもよい。本実施の形態では、奇数列ソース線S(odd)の画素の検査と偶数列ソース線S(even)画素の検査は、分けて行われる。なお、ここでは、各画素にHIGHが書き込まれた場合で説明するが、LOWを書き込んでもよい。また、以下、奇数列の全画素にHIGHを書き込み基板1Cの検査を行っている例を説明するが、一部の画素についてのみ検査を行うようにしてもよい。書き込み後、走査線Gのゲートはオフにされる。偶数列ソースS(even)は、テスト回路接続信号TEeをLOWにすることによって、偶数列ソース線S(even)には表示素子アレイ部2からの電位の影響は、差動増幅器4aに伝達されない。
【0148】
図16に示すように、奇数列の画素へ上述した所定の画素データ(ここではHIGH)の書き込み後、データ保持時間t1を確保するために、プリチャージ回路部16の端子16aに供給されるプリチャージゲート電圧PCGがHIGHとなり、トランジスタ16b、16cは、所定時間だけオンとなる。さらに、テスト回路接続用のゲート端子17a1のテスト回路接続信号TEoもHIGHとなる。データ保持時間t1経過後に、画素データの読み出しが開始される。
なお、トランジスタ16b、16cが所定時間だけオンすることにより、各差動増幅器4aの接続点soと接続点seの両方に、参照電圧Vrefが現れるようにしているので、ゲート線Gをオフにしておけば、必ずしもプリチャージ状態にする必要はない。さらになお、トランジスタ16b、16cをオンしたときに、テスト回路接続用のゲート端子17a1のテスト回路接続信号TEoは、まだHIGHでなくてもよい。従って、データ保持時間t1経過後に、プリチャージゲート電圧PCGがLOWの場合は、HIGHとしてプリチャージが行われる。
【0149】
参照電圧供給部18からは、端子18aには、プリチャージ電位として、HIGHとLOWの中間電位の参照電圧Vrefが印加されている。よって、所定の画素データの書き込み後、ソース線S(odd)、接続点se及び接続点soは、中間電位の状態となっている。
【0150】
そして、データ保持時間t1経過後、プリチャージ状態を解除するために、プリチャージゲート電圧PCGをLOWにするが、このとき、テスト回路接続信号TEoは、HIGHであり、かつ、第1の駆動電源SAp-chと第2の駆動電源SAn-chの電位を中間電位としておくことにより、各差動増幅器4aを動作していない状態とする。
【0151】
プリチャージゲート電圧PCGをLOWにした直後、ゲート線G1をオンすると、ゲート線G1に接続された各画素から一斉にデータが出てくる。具体的にはコンデンサCsに書き込まれて保持された電荷が、対応するソース線S(odd)に一斉に移動する。図16に示すように、各ソース線S(odd)の電位がわずかに上昇する。もしも、コンデンサCsのリークがあって、各画素のデータがLOWに変化していると、各ソース線S(odd)の電位は、点線で示したようにわずかに下降する。このとき、テスト回路接続信号TEeはLOWであるため、偶数列ソース線S(even)の電位は無視できる。
【0152】
ゲート線G1を開いた後、所定時間経過してから、各差動増幅器4aを動作させるために、まず、第2の駆動電源SAn-chの電位を中間電位からLOWに変化させる。第2の駆動電源SAn-chの電位のLOWへ変化の瞬間と同時あるいはその瞬間の前後にテスト回路接続信号TEoをLOWにし、接続ゲート部17のトランジスタ17bをオフにすることによって、わずかに上昇した奇数列ソース線S(odd)の電位の情報を差動増幅器4a内に閉じ込める。
【0153】
SAn-ch駆動電源がLOWになることで、接続点soと接続点seのうち僅かに低い側の電位がLOWに変化する。よって、各差動増幅器4aは、外部から印加された中間電位である参照電圧Vrefと、各奇数列ソース線S(odd)の電圧を比較する。画素が正常であれば、奇数列ソース線S(odd)の電位は中間電位よりも僅かに高いので、各差動増幅器4aの接続点seの方が、接続点soよりも電位が低い側となる。そのため、図16に示すように、接続点seの電位が低下する。このとき、接続点soの電位はそのまま保持となる。
【0154】
次に、SAp-ch駆動電源がHIGHになることによって、差動増幅器4aのPチャネル型トランジスタ21,22を動作させる。すなわち、SAp-ch駆動電源がHIGHになることで、接続点soと接続点seのうち僅かに高い側の電位がHIGHに変化する。画素が正常であれば、奇数列ソース線S(odd)の電位は中間電位よりも僅かに高いので、各差動増幅器4aの接続点soの方が、接続点seよりも電位が高い側となる。そのため、図16に示すように、接続点soの電位が上昇する。
画素に不良があれば、例えば、コンデンサCsのリークがあって、各画素のデータがLOWに変化していると、各奇数列ソース線S(odd)の電位は、図16に点線で示したようにわずかに下降する。その場合は、SAn-ch駆動電源がLOWになると、図16に点線で示すように、接続点seの電位が下降する。さらに、SAp-ch駆動電源がHIGHになると、図16に点線で示すように、接続点soの電位が上昇する。
この場合、テスト回路接続信号TEoとTEeをオフしているため、負荷となるソース線Sの容量の影響を受けなくなり、高速動作が可能になる。また、参照電圧Vrefが書き込み電位でないため、ある画素の不良はその画素の不良として検出され、詳細不良特性分類が可能となる。
【0155】
差動増幅器4aの接続点seと接続点soにおける論理が、HIGHとLOWのいずれかに確定したら、テスト回路接続信号TEoをHIGHにし、確定した論理データを奇数列ソース線S(odd)に書き戻す。ゲート線G1に接続された各画素の電位が、対応する奇数列ソース線S(odd)に読み出されるので、トランスミッションゲート部6の各トランジスタのodd側ゲートをTG1・TG3・TG5と順番に最後のTGn(あるいはTGn-1)まで開き(HIGHにし)、画像信号線7から順番に第1行目の各画素の画素データを読み出し、出力端子outoとouteに出力させる。
【0156】
ゲート線G1に接続されたすべての画素のデータが読み出されたら、ゲート線G1をLOWにし、SAn-ch駆動電源とSAp-ch駆動電源を中間電位にして差動増幅器4aを動作停止させる。続いて、プリチャージゲート電圧PCGをHIGHにして、全ソース線Sをプリチャージする。
【0157】
以降、上述した動作を繰り返すことによって、ゲート線G2からGmの各ラインについて順番に検査が行われる。
【0158】
以上、奇数列の全画素にHIGHのデータを書き込んで行う検査の動作が終了すると、次に、奇数列の全画素にLOWのデータを書き込み、同一の検査を実施することで奇数列の全画素についての検査はすべて終了となる。
さらに続いて、検査対象画素を偶数列に変更する。すなわち、テスト回路接続信号TEoをLOWに固定し、奇数列の画素について行った検査と同一の検査を、テスト回路接続信号TEeを変化させながら、偶数列の画素にHIGHのデータを書き込んだ場合と、LOWのデータを書き込んだ場合とで行う。
【0159】
また、第2の実施の形態では、1本のソース線に対して1つの差動増幅器4aが必要であったが、本第3の実施の形態では、2本のソース線に対して1つの差動増幅器4aでよいため、基板上における差動増幅器4aの数を少なくすることができるため、差動増幅器4a内のトランジスタのサイズを大きくできる。その結果、差動増幅器4a内のトランジスタの非対称性の低減、駆動能力の向上、性能のばらつきの低減等を図ることができるので、安定した感度の高い差動増幅器4aを実現することができる。
【0160】
さらに図17は、図15の接続ゲート部17を改良した形態を示す回路図である。接続ゲート部17では、図15に示すように、各差動増幅器4aの一方の接続点soは、接続ゲート部17の一方のトランジスタ17bを介して、奇数列ソース線S(odd)に接続されている。各差動増幅器4aの他方の接続点seは、接続ゲート部17の他方のトランジスタ17cを介して、偶数列ソース線S(even)に接続されている。図17では、トランジスタ17bのゲートは、テスト回路接続用のゲート選択端子17a11に接続される同時に、インバータとゲートイネーブル端子17a21にゲートが接続されたトランジスタ17dとを介して、トランジスタ17cのゲートに接続されている。ゲート選択端子17a11にはテスト回路接続ゲート選択信号TGS(Test Gate Select)、ゲートイネーブル端子17a21にはテスト回路接続信号TE(Test Enable)が供給される。
【0161】
従って、ゲートイネーブル端子17a21をHIGHにすることで、トランジスタ17bと17cのどちらか一方がONし、1つの差動増幅器4aで奇数列ソース線S(odd)の画素、及び偶数列ソース線S(even)の画素のいずれか一方のみのデータを読み出すことができる。テスト回路接続ゲート選択信号TGSがHIGHのときトランジスタ17bがON、トランジスタ17cがOFFし、奇数列ソース線S(odd)の画素のデータを読み出すことができる。一方、テスト回路接続ゲート選択信号TGSがLOWのときトランジスタ17cがON、トランジスタ17bがOFFし、偶数列ソース線S(even)の画素のデータを読み出すことができる。ゲート選択端子17a11とゲートイネーブル端子17a21に電圧信号が印加されていない状態、すなわちフローティング状態では、トランジスタ17bと17cは共にOFFで、テスト回路は切り離された状態となる。
【0162】
このようにトランジスタ17bと17cのゲート間にインバータを挿入することによって、奇数列ソース線S(odd)と偶数列ソース線S(even)が同時に差動増幅器4aに接続されることを防ぎ、誤動作を未然に防止することができる。
【0163】
以上のように、第1の実施の形態では、1画素が不良であっても2画素が不良として検出されていたのに対し、第2及び第3の実施の形態によれば、1画素が不良の場合、1画素が不良として検出される。よって、第2及び第3の実施の形態に係る回路構成によれば、第1の実施の形態に係る回路構成に比べ、より詳細に不良特性分類が可能となる。
【0164】
また、第2及び第3の実施の形態によれば、テスト回路接続信号TEoとTEeを利用することによって、負荷となるソース線Sの容量の影響を受けないようにして差動増幅器動作時の負荷が軽くなるため、回路の高速動作が可能である。
【0165】
さらにまた、第2及び第3の実施の形態によれば、参照電圧を外部から与えるようにしているため、参照電圧を外部制御できるため、保持電位の調査等、詳細な評価のための検査が可能である。
【0166】
以上のように、上記3つの実施の形態では、本発明の電気光学装置用基板について、アクティブマトリックス型表示装置用基板を例にとって説明したが、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の構成の要旨を変えない範囲において、種々の変更、改変等が可能である。
【0167】
例えば、画素に光学センサーを設けることで、入力機能を備えた表示装置用基板にも適用することが可能である。この場合、差動増幅器4aは光学センサーからの出力信号の増幅器として用いることも可能である。
【0168】
また、画素にメモリ素子(SRAM、FERAMなど)を設けた表示装置用基板にも本発明は適用可能である。この場合、読み出し回路部4によってメモリ素子の検査を行うことが可能となる。
【0169】
また、本発明は検査時において、画素に供給された電位(検査信号)の読み出し精度を向上させることを目的としたが、このような信号の読み出し精度の向上、という観点で見ると、本発明は画素の検査以外の用途にも応用可能である。
【0170】
例えば、画像表示時の駆動に応用した場合、プリチャージや黒表示の挿入に応用できる。
【0171】
一例として、本発明の第2の実施形態の回路を応用する。
【0172】
画像信号の電位を中心電位に対して極性反転する駆動方法において、第2の実施形態における検査信号(HIGH信号及びLOW信号)に相当する信号として、各画素に供給される画像信号を差動増幅器4aのseに入力し、参照電圧Vrefに相当する信号として画像信号の極性反転の中心電位をsoに入力する。
【0173】
そして差動増幅器4aにおいて、seに入力される画素に供給された画像信号電位と、soに入力される極性反転の中心電位とを比較して、双方の電位差を増幅する。つまり、画像信号の電位が中心電位よりも高位(正極性)の場合には、seの電位は最高電位(HIGH信号)に、画像信号の電位が中心電位よりも低位(負極性)の場合は、seの電位は最低電位(LOW信号)として出力される(soの出力はその逆の関係になる。)。
ここで、ノーマリーホワイトモードの場合には、中心電位が白表示に相当し、最高電位及び最低電位が黒表示に相当するので、se及びsoの出力としては常に最低輝度(黒表示)の画像信号に相当する電位が得られることになる。
【0174】
ただし、seの出力電位とsoの出力電位とでは中心電位に対する極性が逆になっている。
【0175】
このとき、seまたはsoの出力電位を有効表示期間に各画素に供給することで、黒信号の挿入(インパルス駆動)を実現することが可能である。
【0176】
また、1水平走査期間毎に画像信号の電位の極性反転を行う、いわゆる1H反転駆動を行う場合、soの出力電位を、水平帰線期間内に各ソース線に供給することで、1H反転時に黒表示に対応する電位によるソース線のプリチャージが可能となる。
【0177】
また、本発明の電気光学装置用基板を用いた電気光学装置も本発明に含まれる。
例えば、一対の基板間に電気光学物質を挟持してなる電気光学装置であって、一対の基板の一方に本発明の電気光学装置用基板を用いたものである。
【0178】
また、上述の電気光学装置を用いた電子機器も本発明に含まれる。図18乃至図20は、電子機器の例を示す図である。図18は、1つの例に係るパーソナルコンピュータの外観図である。図19は、1つの例に係る携帯電話の外観図である。
【0179】
図18に示すように、電子機器としてのパーソナルコンピュータ100の表示部101に、上述した電気光学装置、例えば液晶表示装置が用いられる。図19に示すように、電子機器として携帯電話200の表示部201に、上述した電気光学装置、例えば液晶表示装置が用いられる。
図20は、上述した電気光学装置をライトバルブとして用いた電子機器の一例たる投射型カラー表示装置の説明図である。
【0180】
図20において、本実施形態における投射型カラー表示装置の一例たる液晶プロジェクタ1100は、駆動回路がTFTアレイ基板上に搭載された液晶装置を含む液晶モジュールを3個用意し、それぞれRGB用のライトパルブ100R、100G及び100Bとして用いたプロジェクタとして構成されている。液晶プロジェクタ1100では、メタルハライドランプ等の白色光源のランプユニット1102から投射光が発せられると、3枚のミラー1106及び2枚のダイクロックミラー1108によって、RGBの三原色に対応する光成分R、G及びBに分けられ、各色に対応するライトバルブ100R、100G及び100Bにそれぞれ導かれる。この際、特に、B光は、長い光路による光損失を防ぐために、入射レンズ1122、リレーレンズ1123及び出射レンズ1124からなるリレーレンズ系1121を介して導かれる。そして、ライトバルブ100R、100G及び100Bによりそれぞれ変調された三原色に対応する光成分は、ダイクロックプリズム1112により再度合成された後、投射レンズ1114を介してスクリーン1120にカラー画像として投射される。
【0181】
さらに、電子機器としては、他にも、テレビジョンや、ビューファインダ型・モニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、ディジタルスチルカメラ、タッチパネルを備えた機器等などが挙げられる。そして、これらの各種の電子機器に対して、本発明に係る表示パネルが適用可能なのは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0182】
本発明は、以上説明したTFTを含む液晶表示装置に限られことはなく、アクティブマトリックス駆動の表示装置に適用できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0183】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係わる液晶表示装置の素子基板の回路図。
【図2】第1の実施の形態に係わる画素の等価回路図。
【図3】第1の実施の形態に係わる差動増幅器の回路図。
【図4】第1の実施の形態に係わる検査システムの構成図。
【図5】第1の実施の形態に係わる検査の流れの例を示すフローチャート。
【図6】第1の実施の形態に係わる各画素に書き込まれる画素データの状態を示す図。
【図7】第1の実施の形態に係わる読出動作を説明するためのタイミングチャート。
【図8】第1の実施の形態に係わる他の読出動作のタイミングチャート。
【図9】第1の実施の形態に係わるさらに他の読出動作のタイミングチャート。
【図10】各画素に書き込まれる画素データの状態の例を示す図。
【図11】第1の実施の形態に係わる素子基板の回路の変形例を示す回路図。
【図12】本発明の第2の実施の形態に係わる液晶表示装置の素子基板の回路図。
【図13】第2の実施の形態に係わる読出動作を説明するためのタイミングチャート。
【図14】第2の実施の形態の変形例の素子基板の回路図。
【図15】本発明の第3の実施の形態に係わる液晶表示装置の素子基板の回路図。
【図16】第3の実施の形態に係わる読出動作を説明するためのタイミングチャート。
【図17】図15の接続ゲート部を改良した形態を示す回路図。
【図18】本発明が適用される電子機器の例としてのパーソナルコンピュータの外観図。
【図19】本発明が適用される電子機器の例としての携帯電話の外観図。
【図20】本発明が適用される電子機器の例としての携帯電話の外観図。
【符号の説明】
【0184】
1,1A…素子基板、2…表示素子アレイ部、3…プリチャージ回路部、4…表示データ読み出し回路部、4a…差動増幅器、6…トランスミッションゲート部、7…画像信号線。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに交差する複数の走査線及び複数の信号線と、
前記複数の走査線及び前記複数の信号線の交差に対応してマトリックス状に配置された複数の画素と、
前記複数の画素に対応してそれぞれ設けられた複数のスイッチング素子と、
前記複数の信号線のうちの第1の信号線を介して第1の電位信号が入力されるとともに、基準電位としての第2の電位信号が入力される増幅手段と、
前記増幅手段から前記複数の信号線に出力された出力電位信号を読み出すデータ読出手段と、を有し、
前記増幅手段は、前記第1の電位信号と前記第2の電位信号とを比較し、前記第1の電位信号が低い場合には、前記信号線の電位をより低くして、そのより低くした前記出力電位信号を前記信号線に出力し、前記第1の電位信号が高い場合には、前記信号線の電位をより高くして、そのより高くした前記出力電位信号を前記信号線に出力することを特徴とする電気光学装置用基板。
【請求項2】
前記第1の電位信号は、前記複数のスイッチング素子を介して前記複数の画素の全部又は一部に供給された信号の電位であり、
前記第2の電位信号の電位は、基準信号線から供給される電位であることを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置用基板。
【請求項3】
前記第1の電位信号及び前記第2の電位信号は、それぞれ前記複数のスイッチング素子を介して前記複数の画素の全部又は一部に供給された信号の電位であり、
前記第1の電位信号は前記第1の信号線を介して、前記第2の電位信号は前記複数の信号線のうちの第2の信号線を介して、対応する前記増幅手段に供給されることを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置用基板。
【請求項4】
前記増幅手段は、差動増幅器であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の電気光学装置用基板。
【請求項5】
前記データ読出手段は、読み出した前記電位信号を出力するための差動増幅器を有することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の電気光学装置用基板。
【請求項6】
前記複数の画素のそれぞれには、付加容量が設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の電気光学装置用基板。
【請求項7】
さらに、前記複数の信号線に接続され、前記複数の信号線の電位を所定の電位にプリチャージするプリチャージ回路を有することを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の電気光学装置用基板。
【請求項8】
前記複数の画素に供給された画像信号を供給する画像信号線と、前記画像信号線から供給された画像信号を前記複数の信号線に供給する複数のトランスミッションゲートとを有し、
前記データ読み出し手段は、前記画像信号線を含むことを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載の電気光学装置用基板。
【請求項9】
一対の基板間に電気光学物質を挟持してなる電気光学装置であって、
前記一対の基板の一方に請求項1乃至請求項8のいずれか一項に記載の電気光学装置用基板を用いていることを特徴とする電気光学装置。
【請求項10】
請求項9に記載の電気光学装置を用いていることを特徴とする電子機器。
【請求項11】
互いに交差する複数の走査線及び複数の信号線と、前記複数の走査線及び前記複数の信号線の交差に対応してマトリックス状に配置された複数の画素と、前記複数の画素に対応してそれぞれ設けられた複数のスイッチング素子と、を有する電気光学装置用基板の検査方法であって、
1つの前記信号線に対応する画素に第1の電位信号を供給する供給ステップと、
前記画素に供給された前記第1の電位信号を、前記信号線を介して読み出す読出ステップと、
前記第1の電位信号とは電位が異なり基準信号としての第2の電位信号と、読み出された前記第1の電位信号と、を比較し、前記第1の電位信号が低い場合には、前記信号線の電位をより低くして、そのより低くした前記出力電位信号を前記信号線に出力し、前記第1の電位信号が高い場合には、前記信号線の電位をより高くして、そのより高くした前記出力電位信号を前記信号線に出力する出力ステップと、
前記供給ステップで供給された第1の電位信号と前記出力ステップで出力された前記出力電位信号とを比較する比較ステップと、
を有することを特徴とする電気光学装置用基板の検査方法。
【請求項12】
前記読出ステップの前に、前記信号線を所定のプリチャージ電位にするプリチャージステップを含むことを特徴とする請求項11に記載の電気光学装置用基板の検査方法。
【請求項13】
前記所定のプリチャージ電位は、前記第1の電位信号と前記第2の電位信号の間の中間電位であることを特徴とする請求項12に記載の電気光学装置用基板の検査方法。
【請求項14】
前記複数の画素の各々に付加容量が設けられていることを特徴とする請求項11乃至請求項13のいずれか一項に記載の電気光学装置用基板の検査方法。
【請求項15】
前記第2の電位信号の電位は、外部から供給される電位であることを特徴とする請求項11乃至請求項14のいずれか一項に記載の電気光学装置用基板の検査方法。
【請求項16】
前記供給ステップにおいて、前記第1の前記第2の電位信号は、それぞれ前記複数のスイッチング素子を介して2つの画素に供給された信号の電位であり、
前記読出ステップにおいて、前記第1及び前記第2の電位信号は、それぞれ対応する2つの前記信号線を介して、読み出されることを特徴とする請求項11に記載の電気光学装置用基板の検査方法。
【請求項17】
前記供給ステップにおいて、前記2つの画素の一方を検査対象画素とし、該検査対象画素へ前記第1の電位信号としてHIGH信号を供給し、前記2つの画素の他方を基準画素とし、該基準画素へ前記第2の電位信号としてLOW信号を供給し、
前記比較ステップにおいて前記検査対象画素から読み出した電位信号がLOWのときに、前記付加容量の不良であると判断することを特徴とする請求項16に記載の電気光学装置用基板の検査方法。
【請求項18】
前記付加容量の共通固定電極の電位を、前記LOW信号の供給電位より低い電位とすることを特徴とする請求項17に記載の電気光学装置用基板の検査方法。
【請求項19】
前記所定のプリチャージ電位は、前記出力ステップにおいてより高くされた電位よりも高い電位であることを特徴とする請求項12に記載の電気光学装置用基板の検査方法。
【請求項20】
前記供給ステップにおいて、前記2つの画素の一方を検査対象画素とし、該検査対象画素へ前記第1の電位としてLOW信号を供給し、前記2つの画素の他方を基準画素とし、該基準画素へ前記第2の電位としてHIGH信号を供給し、
前記比較ステップにおいて前記検査対象画素から読み出した電位信号がHIGHのときに、前記スイッチング素子の不良であると判断することを特徴とする請求項19に記載の電気光学装置用基板の検査方法。
【請求項21】
前記供給ステップにおいて、前記2つの画素の一方を検査対象画素とし、該検査対象画素へ前記第1の電位としてLOW信号あるいはHIGH信号を供給し、前記2つの画素の他方を基準画素とし、該基準画素へ前記第2の電位として前記第1のLOW信号の電位とHIGH信号の電位との間の電位を有する中間電位信号を供給し、
前記比較ステップにおいて前記検査対象画素から読み出したそれぞれの電位が、前記第1の電位と一致しなかったとき、前記スイッチング素子または前記付加容量の不良であると判断することを特徴とする請求項13に記載の電気光学装置用基板の検査方法。
【請求項22】
前記2つの信号線は互いに隣接していることを特徴とする請求項16,17,18,20,21のいずれか一項に記載の電気光学装置用基板の検査方法。
【請求項23】
前記複数の画素について順次、前記供給ステップと、前記読出ステップと、前記出力ステップと、前記比較ステップとを行うことを特徴とする請求項11乃至請求項22のいずれか一項に記載の電気光学装置用基板の検査方法。
【請求項1】
互いに交差する複数の走査線及び複数の信号線と、
前記複数の走査線及び前記複数の信号線の交差に対応してマトリックス状に配置された複数の画素と、
前記複数の画素に対応してそれぞれ設けられた複数のスイッチング素子と、
前記複数の信号線のうちの第1の信号線を介して第1の電位信号が入力されるとともに、基準電位としての第2の電位信号が入力される増幅手段と、
前記増幅手段から前記複数の信号線に出力された出力電位信号を読み出すデータ読出手段と、を有し、
前記増幅手段は、前記第1の電位信号と前記第2の電位信号とを比較し、前記第1の電位信号が低い場合には、前記信号線の電位をより低くして、そのより低くした前記出力電位信号を前記信号線に出力し、前記第1の電位信号が高い場合には、前記信号線の電位をより高くして、そのより高くした前記出力電位信号を前記信号線に出力することを特徴とする電気光学装置用基板。
【請求項2】
前記第1の電位信号は、前記複数のスイッチング素子を介して前記複数の画素の全部又は一部に供給された信号の電位であり、
前記第2の電位信号の電位は、基準信号線から供給される電位であることを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置用基板。
【請求項3】
前記第1の電位信号及び前記第2の電位信号は、それぞれ前記複数のスイッチング素子を介して前記複数の画素の全部又は一部に供給された信号の電位であり、
前記第1の電位信号は前記第1の信号線を介して、前記第2の電位信号は前記複数の信号線のうちの第2の信号線を介して、対応する前記増幅手段に供給されることを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置用基板。
【請求項4】
前記増幅手段は、差動増幅器であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の電気光学装置用基板。
【請求項5】
前記データ読出手段は、読み出した前記電位信号を出力するための差動増幅器を有することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の電気光学装置用基板。
【請求項6】
前記複数の画素のそれぞれには、付加容量が設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の電気光学装置用基板。
【請求項7】
さらに、前記複数の信号線に接続され、前記複数の信号線の電位を所定の電位にプリチャージするプリチャージ回路を有することを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の電気光学装置用基板。
【請求項8】
前記複数の画素に供給された画像信号を供給する画像信号線と、前記画像信号線から供給された画像信号を前記複数の信号線に供給する複数のトランスミッションゲートとを有し、
前記データ読み出し手段は、前記画像信号線を含むことを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載の電気光学装置用基板。
【請求項9】
一対の基板間に電気光学物質を挟持してなる電気光学装置であって、
前記一対の基板の一方に請求項1乃至請求項8のいずれか一項に記載の電気光学装置用基板を用いていることを特徴とする電気光学装置。
【請求項10】
請求項9に記載の電気光学装置を用いていることを特徴とする電子機器。
【請求項11】
互いに交差する複数の走査線及び複数の信号線と、前記複数の走査線及び前記複数の信号線の交差に対応してマトリックス状に配置された複数の画素と、前記複数の画素に対応してそれぞれ設けられた複数のスイッチング素子と、を有する電気光学装置用基板の検査方法であって、
1つの前記信号線に対応する画素に第1の電位信号を供給する供給ステップと、
前記画素に供給された前記第1の電位信号を、前記信号線を介して読み出す読出ステップと、
前記第1の電位信号とは電位が異なり基準信号としての第2の電位信号と、読み出された前記第1の電位信号と、を比較し、前記第1の電位信号が低い場合には、前記信号線の電位をより低くして、そのより低くした前記出力電位信号を前記信号線に出力し、前記第1の電位信号が高い場合には、前記信号線の電位をより高くして、そのより高くした前記出力電位信号を前記信号線に出力する出力ステップと、
前記供給ステップで供給された第1の電位信号と前記出力ステップで出力された前記出力電位信号とを比較する比較ステップと、
を有することを特徴とする電気光学装置用基板の検査方法。
【請求項12】
前記読出ステップの前に、前記信号線を所定のプリチャージ電位にするプリチャージステップを含むことを特徴とする請求項11に記載の電気光学装置用基板の検査方法。
【請求項13】
前記所定のプリチャージ電位は、前記第1の電位信号と前記第2の電位信号の間の中間電位であることを特徴とする請求項12に記載の電気光学装置用基板の検査方法。
【請求項14】
前記複数の画素の各々に付加容量が設けられていることを特徴とする請求項11乃至請求項13のいずれか一項に記載の電気光学装置用基板の検査方法。
【請求項15】
前記第2の電位信号の電位は、外部から供給される電位であることを特徴とする請求項11乃至請求項14のいずれか一項に記載の電気光学装置用基板の検査方法。
【請求項16】
前記供給ステップにおいて、前記第1の前記第2の電位信号は、それぞれ前記複数のスイッチング素子を介して2つの画素に供給された信号の電位であり、
前記読出ステップにおいて、前記第1及び前記第2の電位信号は、それぞれ対応する2つの前記信号線を介して、読み出されることを特徴とする請求項11に記載の電気光学装置用基板の検査方法。
【請求項17】
前記供給ステップにおいて、前記2つの画素の一方を検査対象画素とし、該検査対象画素へ前記第1の電位信号としてHIGH信号を供給し、前記2つの画素の他方を基準画素とし、該基準画素へ前記第2の電位信号としてLOW信号を供給し、
前記比較ステップにおいて前記検査対象画素から読み出した電位信号がLOWのときに、前記付加容量の不良であると判断することを特徴とする請求項16に記載の電気光学装置用基板の検査方法。
【請求項18】
前記付加容量の共通固定電極の電位を、前記LOW信号の供給電位より低い電位とすることを特徴とする請求項17に記載の電気光学装置用基板の検査方法。
【請求項19】
前記所定のプリチャージ電位は、前記出力ステップにおいてより高くされた電位よりも高い電位であることを特徴とする請求項12に記載の電気光学装置用基板の検査方法。
【請求項20】
前記供給ステップにおいて、前記2つの画素の一方を検査対象画素とし、該検査対象画素へ前記第1の電位としてLOW信号を供給し、前記2つの画素の他方を基準画素とし、該基準画素へ前記第2の電位としてHIGH信号を供給し、
前記比較ステップにおいて前記検査対象画素から読み出した電位信号がHIGHのときに、前記スイッチング素子の不良であると判断することを特徴とする請求項19に記載の電気光学装置用基板の検査方法。
【請求項21】
前記供給ステップにおいて、前記2つの画素の一方を検査対象画素とし、該検査対象画素へ前記第1の電位としてLOW信号あるいはHIGH信号を供給し、前記2つの画素の他方を基準画素とし、該基準画素へ前記第2の電位として前記第1のLOW信号の電位とHIGH信号の電位との間の電位を有する中間電位信号を供給し、
前記比較ステップにおいて前記検査対象画素から読み出したそれぞれの電位が、前記第1の電位と一致しなかったとき、前記スイッチング素子または前記付加容量の不良であると判断することを特徴とする請求項13に記載の電気光学装置用基板の検査方法。
【請求項22】
前記2つの信号線は互いに隣接していることを特徴とする請求項16,17,18,20,21のいずれか一項に記載の電気光学装置用基板の検査方法。
【請求項23】
前記複数の画素について順次、前記供給ステップと、前記読出ステップと、前記出力ステップと、前記比較ステップとを行うことを特徴とする請求項11乃至請求項22のいずれか一項に記載の電気光学装置用基板の検査方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
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【図5】
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【図7】
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【図9】
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【図19】
【図20】
【公開番号】特開2008−310338(P2008−310338A)
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−176574(P2008−176574)
【出願日】平成20年7月7日(2008.7.7)
【分割の表示】特願2005−134987(P2005−134987)の分割
【原出願日】平成17年5月6日(2005.5.6)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年7月7日(2008.7.7)
【分割の表示】特願2005−134987(P2005−134987)の分割
【原出願日】平成17年5月6日(2005.5.6)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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