説明

電気湯沸かし器

【課題】 電源が断たれても設定温度になったことを確実に確認することができるようにする。
【解決手段】 保温温度を複数段階に設定できる温度設定機能17と、現在湯温や設定温度、現在時刻等を表示装置13,19a,19b,19cに表示する表示機能と、電源供給が断たれた後も一定時間は表示装置13への表示を継続する一方、電動ポンプ9による給湯を可能にするコードレス動作機能とを備えた電気湯沸し器1において、低温を設定した場合に当該低温に移行する途中で電源供給が断たれると、前記一定時間に拘わらず、当該低温の設定温度に到達するまでは表示装置13への温度表示を継続するようにした。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は主に家庭用の電気湯沸し器に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、電源供給が断たれた後も電動ポンプによる給湯を可能にするコードレス動作機能を備えるとともに、電源供給が断たれた後も一定時間は表示装置への湯温の表示を行うことにより、コードレスで利用しようとする利用者に現在湯温を知らしめるようにした電気湯沸し器が提案されている(特開平9−206212号公報)。また、商用電源が供給できない場所で、バックアップ電源回路により湯温を検出してその検出湯温が設定レベル以下に低下したときに湯温低下表示を行い、利用者に認識させるようにした電気ジャーポットが提案されている(特公平8−8895号公報)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、保温温度を複数段階に設定できる温度設定機能を備えたものでは、湯沸し後にコードレスで利用しようとして電源供給を断つと、一定時間は表示装置への湯温の表示を行うとしても、湯温が設定温度に到達する前に、一定時間が経過してしまうと、その後は湯温が設定温度になったか否かを判断できないため、設定温度よりも高い温度のお湯を利用することになって火傷を負ったりする虞れがあった。
【0004】本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、電源が断たれても設定温度になったことを確実に確認することができる電気湯沸し器を提供することを課題とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するための手段として、本発明は、保温温度を複数段階に設定できる温度設定機能と、現在湯温や設定温度、現在時刻等を表示装置に表示する表示機能と、電源供給が断たれた後も一定時間は表示装置への表示を継続する一方、電動ポンプによる給湯を可能にするコードレス動作機能とを備えた電気湯沸し器において、低温を設定した場合に当該低温に移行する途中で電源供給が断たれると、前記一定時間に拘わらず、当該低温の設定温度に到達するまでは表示装置への温度表示を継続するようにしたものである。
【0006】前記発明によると、低温を設定した場合に当該低温に移行する途中で電源供給が断たれると、当該低温の設定温度に到達するまでは表示装置への温度表示を継続するようにしたので、電源が断たれても当該表示によって設定温度になったことを確実に確認することができる。
【0007】電源供給が断たれた後の前記一定時間内の前記表示装置への表示は、前記電動ポンプによる給湯とは別の表示専用電源、例えばコンデンサを用いてもよい。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を添付図面に従って説明する。
【0009】図1は本発明にかかる電気湯沸し器1のブロック図を示す。この電気湯沸し器1は、内容器2を収容した本体3と、該本体3にヒンジ4により開閉自在に取り付けられた蓋体5とからなっている。内容器2の底外面には、湯沸しヒータ6と保温ヒータ7が配設されるとともに、壁面を介して内部のお湯の温度を検出する温度センサ8が取り付けられている。内容器2の底からは電動ポンプ9を介して揚水管10が立設され、該揚水管10の先端は下向きに開口する注口11となっている。本体3の前方の肩部には、操作表示パネル12が設けられている。この操作表示パネル12には、図2に示すように、液晶表示パネル13と、ロック解除スイッチ14、給湯スイッチ15、再沸騰スイッチ16、保温温度設定スイッチ17、クエン酸洗浄スイッチ18の各操作スイッチと、98℃、90℃および60℃の設定温度表示LED19a,19b,19cとが配設されている。
【0010】本体3には、CPUとRAMおよびROMメモリからなるマイクロコンピュータとタイマ(後述する表示オフタイマとして機能する。)とを内蔵する制御装置20が設けられている。商用電源21は、ヒータ駆動回路22を介して湯沸かしヒータ6と保温ヒータ7に供給されるとともに、トランス23を介して、直流電源を生成する直流電源回路24と電動ポンプ9を駆動する電動ポンプ駆動回路25とに供給されている。商用電源21には、電源コードが抜かれて該商用電源21の供給が断たれたことを検出する電源検出回路26が設けられ、その検出信号は制御装置20に入力されるようになっている。直流電源回路24で生成される直流電源は制御装置20に供給されるとともに、液晶駆動回路27や設定温度表示LED19a,19b,19cにも供給されている。制御装置20には、前記温度センサ8からの検出信号が入力されるとともに、各操作スイッチからの操作信号が入力されるようになっている。
【0011】また、コードレス使用を可能とするために、入手が容易な単3型乾電池等の一次電池からなる補助電源28が設けられている。この補助電源28は、前記電源検出回路26によって商用電源21の供給が断たれたことが検出されると、昇圧回路29を介して直流電源回路24(および液晶駆動回路27)と電動ポンプ駆動回路25とに供給されるようになっている。補助電源28としては、直流電源回路24(および液晶駆動回路27)と電動ポンプ駆動回路25とにそれぞれ、別個の電源を使用してもよい。特に、液晶駆動回路27は、低消費電力であるため、商用電源21の供給が断たれたことが検出されてから一定時間内の表示保持には、破線で示すように、制御装置20と液晶駆動回路27に接続された表示専用電源30を使用し、補助電源28の延命を図ることが好ましい。表示保持電源30は、例えばコンデンサからなり、その容量範囲内にて制御装置20と液晶駆動回路を作動させ、コンデンサの放電終了時点までを前記表示を継続する一定時間とし、低温の設定温度に移行する途中で電源供給が断たれた場合には、補助電源28を使用することによって、前記一定時間以上の表示を継続することが好ましい。
【0012】次に、前記制御装置20による電気湯沸かし器1の動作、特に本発明に関係するコードレス使用時にける動作を図3と図4に示すフローチャートに従って説明する。
【0013】まず、ステップ101で、電源検出回路26からの信号に基づいて商用電源21の供給がオフされた(断たれた)か否かを判断し、オフされたのであればステップ102で給湯モード(給湯動作中)であるか否かを判断する。給湯モードでなければ、ステップ103で温度センサ8で検出された湯温が温度設定スイッチ17により設定された設定温度以下であるか否か判断する。
【0014】ここで、湯温が設定温度以下であると判断された場合には、ステップ104で表示オフタイマがカウントアップされたか否かを判断するが、この時点では未だ表示オフタイマはカウントされていないので、ステップ105に移行し、ここで初めて表示オフタイマのカウントをスタートする。そして、ステップ106で、液晶表示パネル13に湯温の表示を行い、リターンしてステップ101に戻り、同様のステップを繰り返すが、ステップ104で表示オフタイマがカウントアップされればステップ107で液晶表示パネル13への湯温の表示を停止し、マイコンオフモードに移行する。
【0015】また、湯温が設定温度以下でなく、当該設定温度を超えていると判断された場合、すなわち、湯沸かしが行われた直後であって熱湯の温度が設定温度に達していない間に電源コードが抜かれた場合には、ステップ106に移行し、ここで液晶表示パネル13への湯温の表示を行い、リターンしてステップ101に戻り、同様のステップを繰り返す。この間に、湯温が冷めて、ステップ103で湯温が設定温度以下であると判断された場合には、ステップ104で表示オフタイマがカウントアップされたか否かを判断するが、この時点では未だ表示オフタイマはカウントされていないので、ステップ105に移行し、ここで初めて表示オフタイマのカウントをスタートする。そして、ステップ106で、液晶表示パネル13への湯温の表示を継続し、リターンしてステップ101に戻り、同様のステップを繰り返すが、ステップ104で表示オフタイマがカウントアップされればステップ107で液晶表示パネル13への湯温の表示を停止し、マイコンオフモードに移行する。
【0016】このように、湯沸かしが行われた直後であって熱湯の温度が設定温度に達していない間に電源コードが抜かれた場合には、一定時間後に温度表示がオフするのではなく、湯温が冷めて設定温度以下になるまで、温度表示が行われるので、利用者は、電源が断たれても当該表示によって設定温度になったことを確実に確認することができ、火傷を負うこともなく安全にコードレスで利用することができる。
【0017】なお、上記ステップを繰り返している間に、電源が再投入されたり、給湯動作がなされた場合には、それぞれステップ101、102からステップ109に移行して表示オフタイマをリセットする。そして、ステップ106で、液晶表示装置による湯温の表示を継続し、リターンして同様のステップを繰り返す。これにより、次に、電源供給が断たれるまで、湯温の表示を継続される。
【0018】マイコンオフモードでは、図4に示すように、ステップ201で電源供給が断たれたか否か、ステップ202で給湯モード(給湯動作中)であるか否かをそれぞれ判断して、これを繰り返す。そして、このマイコンオフモードで、電源が再投入されたり、給湯動作がなされた場合には、それぞれステップ201、202からステップ203に移行してマイコンをオンして、図3に示すマイコンオンモードのフローに移行する。
【0019】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明によれば、低温を設定した場合に当該低温に移行する途中で電源供給が断たれると、当該低温の設定温度に到達するまでは表示装置への温度表示を継続するようにしたので、電源が断たれても当該表示によって設定温度になったことを確実に確認することができ、利用者は火傷を負うこともなく安全にコードレスで利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明にかかる電気湯沸し器のブロック図。
【図2】 図1の電気湯沸し機の操作表示パネルの正面図。
【図3】 マイコンオンモードのフローチャート。
【図4】 マイコンオフモードのフローチャート。
【符号の説明】
1 電気湯湯沸かし器
9 電動ポンプ
13 液晶表示パネル
17 保温温度設定スイッチ
19a,19b,19c 設定温度表示LED
20 制御装置
21 商用電源
30 表示専用電源

【特許請求の範囲】
【請求項1】 保温温度を複数段階に設定できる温度設定機能と、現在湯温や設定温度、現在時刻等を表示装置に表示する表示機能と、電源供給が断たれた後も一定時間は表示装置への表示を継続する一方、電動ポンプによる給湯を可能にするコードレス動作機能とを備えた電気湯沸し器において、低温を設定した場合に当該低温に移行する途中で電源供給が断たれると、前記一定時間に拘わらず、当該低温の設定温度に到達するまでは表示装置への温度表示を継続するようにしたことを特徴とする電気湯沸し器。
【請求項2】 電源供給が断たれた後の前記一定時間内の前記表示装置への表示は、前記電動ポンプによる給湯とは別の表示専用電源を用いることを特徴とする請求項1に記載の電気湯沸し器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2000−342451(P2000−342451A)
【公開日】平成12年12月12日(2000.12.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平11−157922
【出願日】平成11年6月4日(1999.6.4)
【出願人】(000002473)象印マホービン株式会社 (440)
【Fターム(参考)】