説明

電気炊飯器及び炊飯方法

【課題】炊飯量の違いによる炊き上がりのムラを低減して、いずれの炊飯量の場合にも美味しいご飯を炊き上げられる電気炊飯器を提供する。
【解決手段】電気炊飯器は、鍋内の被炊飯物を加熱する加熱装置と、加熱装置を制御して炊飯工程を実行する制御装置と、を備える。制御装置は、鍋内の炊飯量がいずれの量である場合にも、立上加熱工程Iに要する第1の時間aが所定の時間となり、且つ、前記第1の時間aと沸騰維持工程IIに要する第2の時間bとが一定の関係になるように、鍋内の炊飯量に応じて加熱装置の加熱量を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電気炊飯器及び炊飯方法に係り、詳しくは炊飯量の違いによる炊き上がりのムラを低減する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の電気炊飯器(以下、単に「炊飯器」という)は、マイクロコンピュータが搭載されて、このマイクロコンピュータによって炊飯工程の制御を行っている。マイクロコンピュータによって制御される炊飯工程には、鍋内の被炊飯物に所定量の水を吸水させる吸水工程、吸水された被炊飯物を沸騰するまで昇温加熱する立上加熱工程、この被炊飯物を沸騰状態に維持する沸騰維持工程、被炊飯物を蒸らす蒸らし工程及び所定温度で保温する保温工程等が含まれる。
【0003】
このような炊飯器においては、炊飯器の鍋内の炊飯量が異なる場合、マイクロコンピュータによる炊飯制御を炊飯量に応じて異なる制御とした方が美味しいご飯を炊き上げられることが知られている(例えば、特許文献1参照)。詳細には、特許文献1には、内鍋に入れられた被炊飯物の炊飯容量を事前に判定し、判定された炊飯容量(合数)に応じた炊き上げ工程(上述の立上加熱工程に同じ)における炊飯理想曲線(基準内鍋温度上昇曲線)を設定して炊飯工程を行うことが開示されている。そして、これによれば、炊き上げ工程において、炊飯容量に応じた基準内鍋温度上昇曲線を設定してこの曲線に従った炊飯ができるので、炊飯容量に関係なく美味しいご飯を炊くことができるとされる。
【特許文献1】特開平5−176837号公報(例えば、段落〔0009〕〜〔0010〕、図5など)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に開示された炊飯制御方法によれば、鍋内の炊飯量が大きく異なる場合でも、それぞれ炊飯量に応じて加熱制御することになるので、炊飯量の違いによるムラをなくして、いずれの炊飯量の場合も美味しいご飯を炊くことができる。しかしながら、近年、より美味しいご飯を炊き上げることが可能な炊飯器に対する要望が強く、炊飯量の違いによる炊き上がりのムラを低減して、より美味しいご飯を炊き上げる炊飯器が望まれている。
【0005】
そこで、本発明の目的は、炊飯量の違いによる炊き上がりのムラを低減して、いずれの炊飯量の場合にも美味しいご飯を炊き上げられる電気炊飯器及び炊飯方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、炊飯制御に関して鋭意検討を行った結果、炊飯量の違いによるムラを低減するにあたって、立上加熱工程に要する時間のみならず、立上加熱工程に要する時間と沸騰維持工程に要する時間との関係が重要であることを発見し、本発明を完成させるに至った。
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の電気炊飯器は、水と米とを含む被炊飯物が収容される鍋と、前記鍋が収容される開口部を有する炊飯器本体と、前記開口部を塞ぐ蓋体と、前記鍋内の被炊飯物を加熱する加熱装置と、前記加熱装置を制御して炊飯工程を実行する制御装置と、を備える電気炊飯器であって、前記炊飯工程には、米に水を吸水させる吸水工程と、前記吸水工程で吸水された被炊飯物を沸騰するまで昇温加熱する立上加熱工程と、被炊飯物を沸騰状態に維持する沸騰維持工程と、が含まれ、前記制御装置は、前記鍋内の炊飯量がいずれの量である場合にも、前記立上加熱工程に要する第1の時間が所定の時間となり、且つ、前記第1の時間と前記沸騰維持工程に要する第2の時間とが一定の関係になるように、前記鍋内の炊飯量に応じて前記加熱装置の加熱量を制御することを特徴とする。
【0008】
ここで、所定の時間としては、例えば立上加熱工程で鍋内の米に適量の水が吸収される時間が挙げられ、この時間は例えば実験によって求められる。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1に記載の電気炊飯器において、前記一定の関係は、前記第1の時間と前記第2の時間とがほぼ同一となる関係であることを特徴とする。
【0010】
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載の電気炊飯器において、前記制御装置には、炊飯量と加熱制御パターンとを対応付けて記憶する記憶部が備えられ、前記制御装置は、前記鍋内の炊飯量に応じた前記加熱制御パターンを前記記憶部から読み出して前記加熱装置の制御を行うことを特徴とする。
【0011】
請求項4の発明は、請求項1から3のいずれかに記載の電気炊飯器において、前記蓋体には、前記鍋内の圧力を調整する圧力弁と、前記圧力弁を制御する圧力弁開放機構と、が設けられ、前記制御装置は、前記加熱装置と前記弁開閉機構とを制御して前記炊飯工程を実行することを特徴とする。
【0012】
請求項5の発明は、請求項1から4のいずれかに記載の電気炊飯器において、前記鍋内の圧力を検出する圧力検出部と、前記圧力検出部の検出値を入力して前記鍋内の炊飯量を判定する炊飯量判定部とをさらに備え、前記制御装置は、前記吸水工程において、前記鍋を密封させた後に前記加熱装置により鍋内を所定の温度まで昇温させ、前記圧力検出部で前記鍋内の圧力値を検出して、前記検出値を前記炊飯量判定部に入力して前記鍋内の炊飯量を判定することを特徴とする。
【0013】
上記目的を達成するために、請求項6に記載の炊飯方法は、水と米とを含む被炊飯物を鍋に収容して炊飯工程を実行する炊飯方法であって、前記炊飯工程には、米に水を吸水させる吸水工程と、前記吸水工程で吸水された被炊飯物を沸騰するまで昇温加熱する立上加熱工程と、被炊飯物を沸騰状態に維持する沸騰維持工程と、が含まれ、前記鍋内の炊飯量がいずれの量である場合にも、前記立上加熱工程に要する第1の時間が所定の時間となり、且つ、前記第1の時間と前記沸騰維持工程に要する第2の時間とが一定の関係になるように、前記鍋内の炊飯量に応じて加熱量を制御しながら炊飯を行うことを特徴とする。
【0014】
ここで、所定の時間としては、例えば立上加熱工程で鍋内の米に適量の水が吸収される時間が挙げられ、この時間は例えば実験によって求められる。
【0015】
請求項7の発明は、請求項6に記載の炊飯方法において、前記一定の関係は、前記第1の時間と前記第2の時間とがほぼ同一となる関係であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明は上記構成を備えることにより以下の優れた効果を奏する。すなわち、請求項1の発明によれば、立上加熱工程に要する時間に加えて、立上加熱工程に要する時間と沸騰維持工程に要する時間との関係についても考慮して、いずれの炊飯量の場合も同様の時間で炊飯されるようにしている。このために、鍋内の炊飯量の違いによる炊き上がりムラを低減して、いずれの炊飯量の場合も同様の炊き上がりとすることができる。
【0017】
請求項2の発明によれば、立上加熱工程に要する時間と沸騰維持工程に要する時間とがほぼ同一となるように加熱装置の加熱量を制御して炊飯工程を実行する。この場合、立上加熱工程に要する所定の時間を、立上加熱工程で鍋内の米に適量の水が吸収される時間に設定することにより、いずれの炊飯量の場合も炊き上がりの米の含水率を好ましい値とできる。すなわち、本発明によれば、パサパサした印象やベタベタした印象を与えない美味しいご飯を炊き上げることが可能となる。
【0018】
請求項3の発明によれば、記憶部から炊飯量に応じた加熱制御パターンを読み出して立上加熱工程及び沸騰維持工程を実行する構成であり、制御装置の制御動作が行い易い。
【0019】
請求項4の発明によれば、炊飯工程において加熱制御だけでなく、圧力制御をも行う圧力方式の電気炊飯器において、鍋内の炊飯量の違いによる炊き上がりのムラをなくして、いずれの炊飯量の場合も同様の炊き上がりとすることができる。
【0020】
請求項5の発明によれば、温度ではなく圧力を利用して、鍋内の炊飯量を判定する構成であるために、鍋内の炊飯量について初期水温(炊飯に使用する水の温度)の影響を受けることなく正確に判定することができる。これにより、以後に行われる立上加熱工程及び沸騰維持工程において、正確な炊飯量に基づいて加熱装置を制御できるために、炊飯量に違いによる炊き上がりのムラをなくして、いずれの炊飯量の場合も美味しい炊き上がりとし易い。しかも、この発明は吸水工程において鍋内を昇圧する構成であるために、吸水工程における米の含水率を上昇させることができるので、より美味しいご飯を炊き上げることが可能となる。
【0021】
請求項6の発明によれば、立上加熱工程に要する時間に加えて、立上加熱工程に要する時間と沸騰維持工程に要する時間との関係についても考慮して、いずれの炊飯量の場合も同様の時間で炊飯されるようにしている。このために、鍋内の炊飯量の違いによる炊き上がりムラを低減して、いずれの炊飯量の場合も同様の炊き上がりとすることができる。
【0022】
請求項7の発明によれば、立上加熱工程に要する時間と沸騰維持工程に要する時間とがほぼ同一となるように被炊飯物に与える加熱量を制御して炊飯工程を実行する。この場合、立上加熱工程に要する所定の時間を、立上加熱工程で鍋内の米に適量の水が吸収される時間に設定することにより、いずれの炊飯量の場合も炊き上がりの米の含水率を好ましい値とできる。すなわち、本発明によれば、パサパサした印象やベタベタした印象を与えない美味しいご飯を炊き上げることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、図面を参照して本発明の最良の実施形態を説明する。但し、以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具体化するための炊飯器として圧力式炊飯器(以下、単に「炊飯器」という)を例示するものであって、本発明をこの炊飯器に特定することを意図するものではなく、請求の範囲に含まれるその他の実施形態のものも等しく適応し得るものである。
【0024】
まず、本発明の一実施形態に係る炊飯器の構成について、図1から図4を参照しながら説明する。図1は、本発明の実施形態に係る圧力式炊飯器の正面図である。図2は、図1の圧力式炊飯器の縦断面図である。図3は、図2の圧力弁開放機構の拡大図である。図4は、図2のX部分の拡大図である。
【0025】
なお、本実施形態の炊飯器1の容量は1.0L(5.5合炊き)である。ただし、本発明の適用範囲は、この容量の炊飯器に限定されるものではない。例えば、容量1.8L(1升炊き)タイプの炊飯器等にも適用可能である。
【0026】
炊飯器1は、図1及び図2に示すように、米と水とを含む被炊飯物が投入される鍋10と、上方にこの鍋10が収容される開口部及び内部にこの鍋10を加熱し被炊飯物を加熱する底部ヒータ5及び側面ヒータ(側部ヒータ)6を有する炊飯器本体(以下、本体という)2と、この本体2の一側に枢支されて本体2の開口部を覆い閉塞状態に係止するロック機構21を有する蓋体11と、この蓋体11に装着されて鍋10内の圧力を調整する圧力弁13と、この圧力弁13を開閉制御する圧力弁開放機構15と、炊飯のスタート、タイマー予約及び保温などの操作を行う表示操作部8と、この表示操作部8からの炊飯の開始信号に従って底部ヒータ5、側面ヒータ6及び後述する内蓋ヒータ19を有する加熱装置及び圧力弁開放機構15等を制御する制御装置9と、を備えている。
【0027】
この制御装置9には記憶部が設けられており、この記憶部には鍋10内の被炊飯物を所定温度に加熱すると共に、所定時間かけて所定量の水分を被炊飯物に吸水させる吸水工程、この吸水された被炊飯物を沸騰するまで昇温加熱する立上加熱工程、この被炊飯物を沸騰状態に維持する沸騰維持工程、この沸騰維持工程後に被炊飯物を蒸らす蒸らし工程、この蒸らし工程後に炊き上がった炊飯物を所定温度で保温する保温工程等を順次実行する炊飯及び保温プログラムが記憶されている。これらの炊飯工程のうち、立上加熱工程及び沸騰維持工程では、鍋内が大気圧以上、例えば1.1〜2.2気圧程度に昇圧されて炊飯工程が実行される。
【0028】
なお、炊飯器1は、後述のように炊飯量に応じて加熱装置における加熱制御パターンを変更するようになっている。このため、炊飯量を複数の階層に分け(例えば、少、中、多の3階層に分ける)、階層毎に異なる加熱制御パターンが実行されるように複数のプラグラムが用意されている。制御装置9に設けられる記憶部には、炊飯量と対応付けてこれら複数のプログラムが記憶されている。また、この記憶部には、圧力値と炊飯量とを関連付けたデータについても記憶されている。
【0029】
本体2は、有底箱型の外部ケース3と、この外部ケース3に収容されてその中に鍋10が収容される内部ケース4とからなり、外部ケース3と内部ケース4との間に隙間を形成して、この隙間に制御装置9を構成する制御回路基板等が配設されている。内部ケース4は、その底部4aに底部ヒータ5、側部4bに側面ヒータ6がそれぞれ装着されている。底部ヒータ5は、ドーナツ状に巻装した電磁誘導コイルが使用されている。側面ヒータ6は、電熱線を耐熱部材で覆ったヒータが使用されている。また、底部4aには、鍋底温度を検出するサーミスタ等からなる鍋底温度センサ7が設けられている。
【0030】
この本体2には、図1に示すように、その正面2aに炊飯時間やタイマー予約状態等を表示する表示パネル8aや、炊飯器1の操作を行うために必要となる操作ボタン8b等からなる表示操作部8が設けられている。
【0031】
鍋10は、図2に示すように、米と水とからなる所定量の被炊飯物が投入される比較的深底の容器からなり、例えばアルミニウムとステンレスとのクラッド材で形成されている。
【0032】
蓋体11は、図2に示すように、鍋10の開口部を閉蓋する内蓋12と、本体2の開口部全体を閉蓋する外蓋20等とで構成されている。この蓋体11は、一端が本体2の一端に枢軸11Aで枢支され、他端が本体2の他端にロック機構21により係止されるようになっている。また、この蓋体11には、鍋10内の圧力を検知する圧力検出部26が設けられている。この圧力検出部26は、圧力を電気信号に変換する圧力センサ27を有し、この圧力センサ27が蓋体11の外蓋20に設けられている。
【0033】
内蓋12には、その上部に圧力弁13、この圧力弁13を強制的に開放させる圧力弁開放機構15、鍋10内の圧力が所定値以上の異常圧力に上昇したときに鍋10内の蒸気を外部に逃がすための安全弁V1、鍋10内を上方から加熱する内蓋ヒータ(上部ヒータ)19などが設けられている。
【0034】
これらの部品のうち、内蓋ヒータ19には側面ヒータ6と同じような電熱線を耐熱部材で覆ったヒータが使用されている。また、圧力弁13は、図2及び図3に示すように、所定径の弁孔131が形成された弁座13aと、この弁孔131を塞ぐように弁座13a上に載置される金属製のボール14と、このボール14の移動を規制し弁座13a上に保持するカバー13bとで構成されている。このボール14は、所定の重さを有し、その自重により、弁孔131を閉塞する。
【0035】
圧力弁開放機構15は、図3に示すように、電磁コイルが巻回されたシリンダ15aと、このシリンダ15a内を電磁コイルの励磁により摺動してボール14を移動させるプランジャ15bと、このプランジャ15bの先端に装着されたバネ及び作動棹15b’とで構成されている。作動棹15b’は、弾力性を有するシール部材15cで支持されている。なお、図3は、電磁コイルが励磁された状態を示している。
【0036】
この圧力弁開放機構15は、制御装置9によって制御される。制御装置9からの指令に基づいて電磁コイルが励磁されると、プランジャ15bがシリンダ15a内に引き込まれる。これにより、プランジャ15bがボール14を横方向に押す力がなくなるので、このボール14はその自重により弁座13a上に載置され、弁孔131がボール14により閉塞される。一方、電磁コイルへの励磁をストップすると、ばねの力によってプランジャ15bがシリンダ15aから突出する。これにより、プランジャ15bの先端に装着された作動棹15b’がボール14に衝突し、このボール14を横方向に押し出す。この押し出しにより、ボール14は弁座13a上から移動されて、弁孔131が開放される。なお、圧力弁13の上部には、弁孔131から噴出する蒸気の温度を測定する蒸気温度センサSが取付けられている。
【0037】
内蓋12は、その外周に鍋10の開口部と接触して密閉する内蓋パッキン18が装着されている。この内蓋パッキン18は、図4にその一端部を示すように、内部に円盤状の内蓋12の直径より若干小さい直径を有する円形穴18Aと、内蓋12の外周縁にリング状の取付け枠16を介在して取付ける取付け部18Bと、鍋10の開口部と接触してこの開口部を密閉するシール部18Cとを有し、全体がドーナツ状をしたリングからなり、高い耐熱性及び弾性を有するシリコン材で形成されている。
【0038】
取付け部18Bは、リング状の取付け枠16が装着される凹状溝18B’を有し、円形穴18Aの外周囲に形成されている。この凹状溝18B’は、円形穴18Aから外方へ延設された略平坦な環状の溝底部18aと、この溝底部18aの円形穴18A側の端部から上方へ略直角に立設された筒状壁18bと、溝底部18aから延びた延設部18a’とで構成されている。筒状壁18bには、その頂部から外方へ突出してその先端が下方へ曲がった鉤状の係止爪18b’が形成されている。
【0039】
シール部18Cは、溝底部18aの延設部18a’から更に延設され略U字状に形成されている。このU字状のシール部18Cは、延設部18a’から延びてU字状の底部に対応するバネ片部18dと、このバネ片部18dから延びた弾性シール部18eとで形成されている。弾性シール部18eは、鍋10の内壁10aに接触する先端接触部181と、内壁10aと鍋フランジ10cとの間の湾曲部10bに接触する中間接触部182とを有している。
【0040】
取付け枠16は、凹状溝18B’内に嵌め込まれて溝底部18a面に当接される底部16aと、この底部16aから上方へ延びた胴部16bと、この胴部16bの上に設けた平坦な頂部16cとを有し、全体がドーナツ状をなしたリング枠からなり、高い耐熱性及び所定の機械的強度を有する樹脂成型体で形成されている。この取付け枠16は、その頂部16cの平坦面に、この平坦面から底部16aに向かって垂下した雌ネジ穴161が刻設されている。また、この頂部16cの平坦面には係止溝162が形成されている。さらに、胴部16bの側面、すなわち筒状壁18b面側に係止溝163を有するH型の係合部16b’が形成されている。このH型の係合部16b’の係止溝163には、筒状壁18bの頂部に設けた係止爪18b’が係止される。
【0041】
内蓋12への内蓋パッキン18の装着は、先ず、内蓋パッキン18にリング状の取付け枠16を装着する。この装着は、リング状の取付け枠16を内蓋パッキン18の筒状壁18bの頂部に載置して、この取付け枠16を下方へ押付ける。この押付けにより、筒状壁18bは内側へその弾性力により撓み、取付け枠16の下方への挿入が許容される。取付け枠16の底部16aが凹状溝18B’の底部面に接触する位置まで押付けられると、筒状壁18bの復元力により元の位置へ復帰し、このタイミングで筒状壁18bの頂部の係止爪18b’をH型の係合部16b’の係合溝163に係止させる。この係止により、取付け枠16に内蓋パッキン18が固定される。その後、この内蓋パッキン18が固定された取付け枠16を内蓋12の外周縁に当接させて外周縁に設けた雌ネジ穴161に雄ネジ17を螺合させて固定する。
【0042】
この内蓋パッキン18によれば、U字状のシール部18Cを有し、このシール部18Cは、U字状の底部に対応するバネ片部18dと、このバネ片部18dから延びた弾性シール部18eとで構成されているので、蓋体11で本体2の開口部を閉塞したときに、このシール部18Cの弾性シール部18eがバネ片部18dのバネ力に抗して鍋10の内壁面10a及び湾曲部10bに密着して気密性が確保される。したがって、鍋10内部からの蒸気漏れが殆ど無くなり、熱エネルギーの損失を最小限に抑えることができるので省エネルギー化となる。また、この内蓋パッキン18は、取付け枠16を介在させて内蓋12に固定するので、弾性を有する内蓋パッキン18を機械的強度の強い取付け枠16で支持した取付けとなり、内蓋パッキン18が堅固に固定される。さらに、取付け枠16と内蓋パッキン18とは、工具を使用することなく、装着及び取外しができるので、古くなった内蓋パッキン18は簡単に交換できる。
【0043】
外蓋20は、図2に示すように、内蓋12、この内蓋12に装着された圧力弁13及び圧力弁開放機構15等を覆う化粧カバーで形成されている。この外蓋20は、一端部に蓋体11のロック機構21を解除する解除釦22が設けられており、枢軸11A側の他端部には装着穴24が設けられている。この装着穴24は、おねば貯留キャップ25が着脱自在に挿入できる大きさを有する有底の凹み穴からなり、外蓋20を支えるフレーム23に形成されている。また、この装着穴24は、その底部に後述するおねば貯留キャップ25の吐出筒25aが圧入される装着穴24aが形成されている。この装着穴24aには、内部に環状シール部材が取付けられて、吐出筒25aの外周面と圧接されて鍋10内の蒸気が外部へ漏出しないようになっている。
【0044】
おねば貯留キャップ25は、例えば圧力弁13から放出される蒸気などを吐出させる吐出筒25aと、うまみ成分のおねばを貯留する空室25bと、蒸気を外部へ放出する蒸気放出口25cとを有し、空室25bの底部には、貯留されたおねばを鍋10内に戻すおねば戻し弁V2が設けられている。なお、このうまみ成分であるおねばは、圧力弁13から蒸気が噴出する際に、この蒸気と一緒に鍋10内から圧力弁13を通して導出されて、おねば貯留キャップ25の空室25bに貯留される。この空室25bに貯留されたおねばは、所定タイミングでおねば戻し弁V2が開成するとともに、内蓋12に設けた負圧弁(図示省略)の開成に従って鍋10内へ戻される。
【0045】
圧力検出部26は、内蓋12に設けた検知穴(図示省略)と、この検知穴に対応させて設けた圧力センサ27とを有し、この検知穴と圧力センサ27とは、鍋10内で発生する蒸気などが外部へ漏れないように弾性を有する筒状体28で弾性圧接されている。すなわち、内蓋12が外蓋20に装着されたときに、この筒状体28が検知穴と圧力センサ27とを弾性接触により繋ぎ蒸気などが漏れないようになっている。なお、この圧力検出部は、上記に限定されず、例えば内蓋12の変移量、すなわち内蓋12が鍋10内圧力の上昇によって持ち上がったときの変移量によって検知してもよく、他の任意の方法によって検知できるようにしてもよい。
【0046】
ここで、図5を参照して、制御装置9の構成を説明しておく。図5は、本実施形態の圧力式炊飯器が備える制御装置の構成を示すブロック図である。
【0047】
制御装置9は、種々の演算処理を行うCPU、各種データの記憶を行うROM及びRAMからなる記憶部、炊飯量判定部、圧力弁13の開閉時間が設定された弁開閉タイマー、圧力弁13の開閉回数をカウントするカウンタと、鍋10内の加熱温度及び加熱時間を制御する加熱制御回路、表示パネル8aに表示される表示画面を制御するための表示パネル制御回路、圧力弁開放機構15を駆動させて圧力弁13の開閉タイミングを制御する圧力弁開放機構駆動回路などを備えている。
【0048】
この制御装置9には、表示操作部8のスタートキー81、予約キー82等から各種の指令が入力される。同様に鍋底温度センサ7、蒸気温度センサS及び圧力センサ27などから、それぞれの検出値が入力される。また、この装置には、底部ヒータ5、側面ヒータ6及び内蓋ヒータ19、表示パネル8a、圧力弁開放機構15などが接続されている。
【0049】
次に、主に図5〜図8を参照して、本実施形態の炊飯器1によって実行される炊飯工程を説明する。なお、図6は、本実施形態の炊飯器の炊飯工程における鍋内の温度と圧力の変化、及び、圧力弁と加熱装置との制御パターンの一例を示す図である。図7は、本実施形態の炊飯器の吸水工程における鍋内圧力と炊飯量との関係を示した圧力曲線図である。図8は、従来の炊飯器における加熱制御方法の問題点を説明するための図である。
【0050】
初めに、表示操作部8のスタートキー81が操作されて炊飯工程がスタートされると、制御装置9は、予め記憶部に記憶される炊飯プログラムにしたがって、底部ヒータ5、側面ヒータ6、内蓋ヒータ19及び圧力弁開放機構15の制御を開始する。そして、鍋10内の被炊飯物を所定温度に加熱すると共に、所定温度及び所定時間をかけて所定量の水分を被炊飯物に吸水させる吸水工程I、この吸水された被炊飯物を沸騰するまで昇温加熱する立上加熱工程II、この被炊飯物を沸騰状態に維持する沸騰維持工程III、この沸騰維持工程III後に被炊飯物を蒸らす蒸らし工程IVを実行する(図6参照)。
【0051】
吸水工程Iでは、制御装置9は、圧力弁開放機構15を制御して圧力弁13を閉成する。そして、この状態で底部ヒータ5、側面ヒータ6及び内蓋ヒータ19の加熱量を制御して、鍋10内を所定の吸水温度、例えば60℃にして米に水を吸水させる。この圧力弁13が閉成された状態で加熱されると、鍋10内の圧力Pは、図7に示すように、炊飯量に対応した圧力曲線に沿って上昇する。本発明者らの研究により、鍋10内の圧力が上昇すると、米の含水率が上昇することが確認されている。すなわち、図2に示すように鍋10内の計測箇所を鍋底に近い底部A、この底部Aより上位の中間部B、この中間部Bより上方の上位部Cとして、各箇所の含水率を計測した結果、その平均値は昇圧しないものに比べて1.0%以上アップしていた。
【0052】
このように、本実施形態の炊飯器1の吸水工程Iにおいては、鍋10内は所定温度に昇温されると共に内圧が上昇されて水が米に吸水されるので、吸水ムラを発生させることなく効果的にしかも効率よく十分な水を米に吸水させることができる。これは、鍋10内を昇圧することにより、水や米にも圧力が掛かり、この圧力により水が米細胞壁を通過しやすくなり、より多くの水が米のデンプンに吸収されるためと考えられる。また、米に圧力が掛かることにより米に小さな亀裂が入り、そこから米内部へ水が浸透して米細胞壁間の隙間を通って米の中心部にあるデンプンにまで水が供給されるので、含水率が上昇するものと考えられる。
【0053】
また、炊飯器1の吸水工程Iにおいては、鍋10内の圧力値Pから鍋10内の炊飯量が求められるようになっている。これについて、図7を参照して説明する。吸水工程Iにおける鍋10内圧力と炊飯量の関係は、炊飯量が少ないときは、圧力曲線X1に示されるように初期から急峻に立ち上がって高い圧力値P3で略一定値になり飽和する。また、炊飯量が多いときは、圧力曲線X3に示すように立ち上がりが鈍く低い圧力値P1で略一定値となり飽和する。更に、炊飯量がこれらの中間量のときは、その圧力曲線X2は、各圧力曲線X1、X3の間に位置して、中間の圧力値P2で略一定値となり飽和する。
【0054】
なお、上述の圧力値Pは、1.05〜1.18気圧の範囲であり、また各圧力曲線X1〜X3の炊飯量は、曲線X1は、0.5カップ、曲線X2は3.3カップ、曲線X3は5.5カップで、順に少、中、多の炊飯量となっている。
【0055】
本発明者らの検討により、各圧力曲線X1〜X3の安定した時点(略一定値となった時点)での圧力値と炊飯量とは1対1で対応していることがわかった。このために、制御装置9は、吸水工程Iにおける鍋10内の圧力を圧力センサ27で検出し、圧力センサ27で検出された圧力値を炊飯判定部に入力して鍋10内の炊飯量を判定するようになっている。なお、鍋10内圧力と炊飯量との関係は、上述のように予め記憶部に記憶されており、炊飯判定部では、検出された圧力値と記憶部に記憶されている炊飯量データとを照合して炊飯量が判定される。このような炊飯量の判定は、初期水温の影響を受けることなく炊飯量を判定するものであるために、温度の変化に基づいて炊飯量を判定する方法よりも正確な判定が可能となる。
【0056】
次の立上加熱工程IIでは、この炊飯量に基づいて加熱装置の加熱量が制御される。この工程では、鍋10内が例えば1.2気圧に昇圧される。
【0057】
さらに沸騰維持工程IIIでは、圧力弁13を強制的に1回乃至複数回開成させて沸騰中の鍋10内の圧力を大気圧近傍となるように一気に低下させる。この圧力弁13の開成により鍋10内には突沸現象が発生し米が激しく攪拌される。また、この圧力弁13の開成によって、鍋10内に生成されたうまみ成分のおねばはこの圧力弁13を通っておねば貯留キャップ25内に一時貯留される。この貯留キャップ25に貯留されたおねばは、所定のタイミングでおねば戻し弁V2が開成して、鍋10内へ戻される。
【0058】
本実施形態の炊飯器1は、立上加熱工程II及び沸騰維持工程IIIにおける加熱装置の制御動作に特徴を有する。以下、この点について説明するが、その前に、本実施形態の加熱装置の制御動作に関する理解を容易とするために、図8を参照して、従来の問題点を説明しておく。
【0059】
図8(a)〜図8(c)はいずれも炊飯工程における時間(各工程の相対時間)と温度(鍋底温度)との関係を示した図で、図8(a)は炊飯量が少量の場合、図8(b)は炊飯量が中量の場合、図8(c)は炊飯量が多量の場合を示す。ここでは、被炊飯物としての米の量が1カップ(1合)の時を炊飯量が少量、米の量が3カップ(3合)の時を炊飯量が中量、米の量が5.5カップ(5.5合)の時を炊飯量が多量としている。また、図8(a)〜図8(c)は、炊飯量によらず立上加熱工程IIの際に加熱装置に与える電力(立上加熱電力)を一定電力とし、更に、炊飯量によらず沸騰維持工程IIIの際に加熱装置に与える電力(沸騰維持電力)も一定電力とした場合を示している。なお、立上加熱電力と沸騰維持電力とは異なる大きさの電力である。
【0060】
立上加熱工程IIにおいて、炊飯量によらず一定電力で加熱しているため、図8に示すように、炊飯量が少ない場合に沸騰状態に達するまでの時間が短くなり、炊飯量が多い場合には沸騰状態に達するまでの時間が長くなる。なお、沸騰状態に達した否かは、蒸気温度センサS(図3、図5参照)で測定される温度で判断することができ、例えば蒸気温度センサSで測定される温度が74℃となった時点で沸騰状態となったと判断することができる。また、蒸気温度センサSで測定される温度が74℃となった時点で、立上加熱工程IIから沸騰維持工程IIIに移行する。
【0061】
図8(a)の場合のように立上加熱工程IIに要する時間が短いと、米に水が十分に吸収される前に沸騰維持工程IIIに移行することになる。この場合、沸騰維持工程IIIが開始された時点で水の量が比較的多くなり、沸騰維持工程IIIに要する時間が長くなる。そして、図8(a)に示す場合には、立上加熱工程IIに要する時間aに比べて、沸騰維持工程IIIに要する時間bが長くなっている(a<b)。なお、沸騰維持工程IIIの終了判断は鍋底温度センサ7(図2、図5参照)で測定される温度で判断している。例えば、鍋底温度センサ7で測定される温度が120℃となった時点で鍋10内の水が涸れて強制ドライアップが終了したと判断されるので、その温度で沸騰維持工程IIIを終了し、蒸らし工程IVに移行することにしている。
【0062】
図8(a)の場合において、炊飯工程終了後における鍋10内の米の含水率について調べたところ、その平均値は64%程度で、米の状態としてはベタベタした印象を与えるものであった。
【0063】
一方、図8(c)の場合のように立上加熱工程IIに要する時間が長い場合、米に吸収される水の量が増す。この場合、沸騰維持工程IIIが開始された時点で水の量が比較的少なくなり、沸騰維持工程IIIに要する時間が短くなる。そして、図8(a)に示す場合には、立上加熱工程IIに要する時間aに比べて、沸騰維持工程IIIに要する時間bが短くなっている(a>b)。
【0064】
図8(c)の場合において、炊飯工程終了後における鍋10内の米の含水率について調べたところ、その平均値は62%程度であった。ただし、炊き上げ後の被炊飯物の表面部や鍋10の周辺部にある米と、鍋10の中心部にある米と、では米の含水率に大きな差が見られた。米の状態としては、炊き上げ後の被炊飯物の表面部や鍋10の周辺部にある米はベタベタした印象を与えるものであり、鍋10の中心部にある米はパサパサした印象を与えるものであった。
【0065】
なお、図8(b)のように炊飯量が中の場合には、立上加熱工程IIに要する時間aは、炊飯量が少量の場合と多量の場合との間の時間となっている。そして、図8(b)に示す場合には、立上加熱工程IIに要する時間aと沸騰維持工程IIIに要する時間bとは同程度となっている(a=b)。図8(b)の場合において、炊飯工程終了後における鍋10内の米の含水率について調べたところ、その平均値は62.5%程度で、米の状態としてベタベタした印象やパサパサした印象を与えるものではなく、美味しい炊き上がりであり、理想的なものであった。
【0066】
以上のように、炊飯量が異なるにもかかわらず同じ炊き方をすると、炊飯量によって炊き上がりに差が生じて美味しい炊き上がりとできない場合がある。そこで、以上の結果を踏まえて炊飯器1の好ましい加熱制御について種々の検討を行い、次のような知見を得た。
【0067】
まず、炊飯量の違いによる炊き上がりのムラをなくすには、いずれの炊飯量の場合でも、立上加熱工程II及び沸騰維持工程IIIにかける合計時間は同程度とするのが好ましいことがわかった。そして、いずれの炊飯量の場合にも、立上加熱工程IIに要する時間aと、沸騰維持工程IIIに要する時間bとが一定の関係となる(換言すると、いずれの炊飯量の場合にも、時間aと時間bとの比がほぼ同一となる)ように炊飯工程を実行するのが炊き上がりのムラをなくす上で好ましいことがわかった。
【0068】
また、いずれの炊飯量の場合も同等の美味しい炊き上がりとするには、立上加熱工程IIにおいては、いずれの炊飯量の場合も、急速に沸騰状態にすること、及び、非常にゆっくりと沸騰状態にすることは、好ましくないことがわかった。そして、立上加熱工程IIの好ましい時間は、米が適度に水を吸収できるような時間であり、これはいずれの炊飯量でも同様であることがわかった。なお、この時間は、例えば実験によって求められる。更に、いずれの炊飯量の場合も、先に適度に水を吸収できる時間として決めた立上加熱工程に要する時間aと、沸騰維持工程IIIに要する時間bとを、同程度とするのが好ましいことがわかった。
【0069】
そこで、本実施形態においては、立上加熱工程IIにおいて適度に米が水を吸収する時間(所定の時間)を求め、この時間を立上加熱工程IIに要する時間としている。なお、この所定の時間はいずれの炊飯量の場合も同じ時間で固定値である。そして、いずれの炊飯量の場合も、先に求めた所定の時間が立上加熱工程IIに要する時間aとなり、且つ、沸騰維持工程IIIに要する時間bが立上加熱工程IIに要する時間aとほぼ同一となるように、加熱装置の加熱量を制御しながら炊飯工程を実行している。
【0070】
なお、例えば図8(b)に示すような温度変化パターンが理想的な温度変化であり、炊飯器1においては、いずれの炊飯量の場合も図8(b)に示すような温度変化パターンとなるように、制御装置9は、加熱装置(底部ヒータ5、側面ヒータ6、内蓋ヒータ19)によって鍋10内の炊飯物に与える加熱量を制御している。そして、これにより、いずれの炊飯量の場合も同様の味を有する美味しい炊き上がりとできる。なお、本実施形態の炊飯方法によれば、いずれの炊飯量の場合も炊き上がりの米の含水率は平均値で62.5%程度となり、鍋10内における米の含水率のばらつきは抑制できる。
【0071】
以上に説明した立上加熱工程II及び沸騰維持工程IIIが終了すると、表示操作部8からの指令によって、或いは自動的に保温工程へ移行される。この保温工程において、制御装置9は鍋10内を所定時間及び所定の保温温度で保温される。この時間帯において、制御装置9は、底部ヒータ5、側面ヒータ6及び内蓋ヒータ19をそれぞれ間歇的にオン・オフ制御して、所定の保温温度、例えば70℃以上で保温制御する。この保温制御により鍋10の内壁への結露を少なくして最適な温度で保温される。
【0072】
なお、本発明の電気炊飯器は以上に示した実施形態の構成に限定される趣旨ではない。すなわち、本発明の目的を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0073】
例えば、以上に示した実施形態では、鍋10内の炊飯量について、圧力センサ27によって鍋10内の圧力を検出し、検出された圧力を用いて炊飯量を検出する構成とした。しかし、本発明はこの構成に限定される趣旨ではない。すなわち、例えば鍋内の炊飯量について、炊飯器に重量計を設けて判定する構成としても構わないし、また、例えば吸水工程において加熱した際の温度変化を利用して炊飯量を判定する構成としても構わない。更には、炊飯量についてユーザが入力する構成(例えば炊飯量入力ボタンを設ける)としても構わない。
【0074】
その他、以上に示した実施形態では、電気炊飯器が圧力式の炊飯器である場合を示したが、本発明の適用範囲は、必ずしも圧力式炊飯器に限定されるものではなく、通常の非圧力式の炊飯器にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】は、本発明の実施形態に係る圧力式炊飯器の正面図である。
【図2】は、図1の圧力式炊飯器の縦断面図である。
【図3】は、図2の圧力弁開放機構の拡大図である。
【図4】は、図2のX部分の拡大図である。
【図5】は、本実施形態の圧力式炊飯器が備える制御装置の構成を示すブロック図である。
【図6】は、本実施形態の炊飯器の炊飯工程における鍋内の温度と圧力の変化、及び、圧力弁と加熱装置との制御パターンの一例を示す図である。
【図7】は、本実施形態の炊飯器の吸水工程における鍋内圧力と炊飯量との関係を示した圧力曲線図である。
【図8】は、従来の炊飯器における加熱制御方法の問題点を説明するための図である。
【符号の説明】
【0076】
1 (圧力式)炊飯器(電気炊飯器)
2 (炊飯器)本体
5 底部ヒータ(加熱装置の一部)
6 側面ヒータ(加熱装置の一部)
9 制御装置
10 鍋
11 蓋体
13 圧力弁
15 圧力弁開放機構
19 内蓋ヒータ(加熱装置の一部)
26 圧力検出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水と米とを含む被炊飯物が収容される鍋と、
前記鍋が収容される開口部を有する炊飯器本体と、
前記開口部を塞ぐ蓋体と、
前記鍋内の被炊飯物を加熱する加熱装置と、
前記加熱装置を制御して炊飯工程を実行する制御装置と、を備える電気炊飯器であって、
前記炊飯工程には、米に水を吸水させる吸水工程と、前記吸水工程で吸水された被炊飯物を沸騰するまで昇温加熱する立上加熱工程と、被炊飯物を沸騰状態に維持する沸騰維持工程と、が含まれ、
前記制御装置は、前記鍋内の炊飯量がいずれの量である場合にも、前記立上加熱工程に要する第1の時間が所定の時間となり、且つ、前記第1の時間と前記沸騰維持工程に要する第2の時間とが一定の関係になるように、前記鍋内の炊飯量に応じて前記加熱装置の加熱量を制御することを特徴とする電気炊飯器。
【請求項2】
前記一定の関係は、前記第1の時間と前記第2の時間とがほぼ同一となる関係であることを特徴とする請求項1に記載の電気炊飯器。
【請求項3】
前記制御装置には、炊飯量と加熱制御パターンとを対応付けて記憶する記憶部が備えられ、
前記制御装置は、前記鍋内の炊飯量に応じた前記加熱制御パターンを前記記憶部から読み出して前記加熱装置の制御を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の電気炊飯器。
【請求項4】
前記蓋体には、前記鍋内の圧力を調整する圧力弁と、前記圧力弁を制御する圧力弁開放機構と、が設けられ、
前記制御装置は、前記加熱装置と前記弁開閉機構とを制御して前記炊飯工程を実行することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の電気炊飯器。
【請求項5】
前記鍋内の圧力を検出する圧力検出部と、前記圧力検出部の検出値を入力して前記鍋内の炊飯量を判定する炊飯量判定部とをさらに備え、
前記制御装置は、前記吸水工程において、前記鍋を密封させた後に前記加熱装置により鍋内を所定の温度まで昇温させ、前記圧力検出部で前記鍋内の圧力値を検出して、前記検出値を前記炊飯量判定部に入力して前記鍋内の炊飯量を判定することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の電気炊飯器。
【請求項6】
水と米とを含む被炊飯物を鍋に収容して炊飯工程を実行する炊飯方法であって、
前記炊飯工程には、米に水を吸水させる吸水工程と、前記吸水工程で吸水された被炊飯物を沸騰するまで昇温加熱する立上加熱工程と、被炊飯物を沸騰状態に維持する沸騰維持工程と、が含まれ、
前記鍋内の炊飯量がいずれの量である場合にも、前記立上加熱工程に要する第1の時間が所定の時間となり、且つ、前記第1の時間と前記沸騰維持工程に要する第2の時間とが一定の関係になるように、前記鍋内の炊飯量に応じて加熱量を制御しながら炊飯を行うことを特徴とする炊飯方法。
【請求項7】
前記一定の関係は、前記第1の時間と前記第2の時間とがほぼ同一となる関係であることを特徴とする請求項6に記載の炊飯方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−148801(P2010−148801A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−332393(P2008−332393)
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)三洋電機コンシューマエレクトロニクス株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】