説明

電気自動車用又はスロットル機構を備えた自動車用のペダル装置

【課題】電気自動車用又はスロットルポジションセンサーを備えた自動車用に適用でき、アクセルからブレーキへの時間遅れや踏み違えがなく安全性に優れ、アクセル操作の幅を狭くして、操作の労力を軽減する。
【解決手段】ブレーキアーム6が連結されたブレーキ補助パッド5を備え踏み込んで操作をするブレーキペダル2と、横方向に所要の角度範囲で回転させて操作をするアクセルパッド3を備えたペダル装置1であって、アクセルパッドは、強化プラスチックで中間部分に山形の突出部3aを形成し、車体14に取り付けたスロットルポジションセンサー12から延出させ、所要角度範囲に回転するアクセルアーム11の先端をアクセルパッドに当接させて配設し、アクセルアームの回転によって検出した回転角度をスロットルポシションセンサーを介してアクセルまたは駆動モータの制御を行うスロットル機構に伝達させる構成にした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、ブレーキ操作機構とアクセル操作機構とを備えた電気自動車用又はスロットル機構を備えた自動車用のペダル装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の技術としては、例えば、縦方向に操作するプレーキペダルに補助ペダルを連接し、該補助ペダルに横方向に操作するアクセルパッドを配設し、該アクセルパッドにより駆動されるアクセル機構を備えたブレーキペダル装置であって、前記アクセルパッドは、板状材で形成されその中間部分を外側に膨らませて山形に形成し、その山形の傾斜面でアクセル機構を操作することを特徴とする自動車用アクセル及びブレーキペダル装置である(特許文献1)。
【0003】
また、前記アクセル機構は、少なくともアクセルパッドの作用を受けるアクセルレバーとアクセルワイヤーが連結されたアクセルワイヤーアームとから構成され、アクセルレバーによってアクセルワイヤーアームがアクセルワイヤーを引き上げまたは押し下げる方向に作用する構成にしたものである。
【0004】
この特許文献1の公知技術において、アクセルを作用状態にしたままブレーキペダルを踏み込んでも、その踏み込む動作によって必然的にアクセルパッドが補助ペダルと共に前進するのであり、それによって踏み変える等の時間的な一瞬の遅れもなく、直ちにアクセルレバーを元の不作用位置に戻し、アクセルをOFFにしてブレーキ機能を正常に作用させることができ、それによって操作ミスもなくなり事故を未然に防ぐことができるというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4249010号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記特許文献1の公知技術におけるアクセル機構は、アクセルパッドの作用を受けるアクセルレバーとアクセルワイヤーが連結されたアクセルワイヤーアームとから構成されているため、依然として足の踵を軸につま先側を開く方向に回転させてアクセルパッドを横方向に移動させてアクセルレバーの一端側を回動させ、他端側に係合したアクセルワイヤーアームを介してアクセルワイヤーを引き上げまたは押し下げる方向に作用させるものであるが、それでも、つま先側を開く方向と閉じる方向とに繰り返し回転させてアクセルパッドを操作し、アクセルワイヤーの引き上げまたは押し下げには、アクセルレバーの操作幅が広く必要であり、操作幅が広いとそれなりの力が必要であり、長時間に渡って運転する場合に、疲労が蓄積して微妙なアクセルの調整が困難になるという問題点を有している。
【0007】
従って、従来のようなアクセルワイヤーでアクセルを操作させる構成のアクセル及びブレーキペダル装置では、実質的に電気自動車用又はスロットルポジションセンサーを備えた自動車用には適用不向きであり、もっとアクセル操作の幅を狭くして軽微化することに解決しなければならない課題を有している。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記した従来例の課題を解決する具体的手段として本発明に係る電気自動車用又はスロットル機構を備えた自動車用のペダル装置は、ブレーキアームが連結されたブレーキ補助パッドを備え踏み込んでブレーキ操作をするブレーキペダルと、横方向に所要の角度範囲で回転させてアクセル操作をするアクセルパッドを備えたペダル装置であって、前記アクセルパッドは、強化プラスチックで中間部分に山形の突出部を形成し、車体に取り付けたスロットルポジションセンサーから延出させ、所要角度範囲に回転するアクセルアームの先端を前記アクセルパッドに当接させて配設し、前記アクセルアームの回転によって検出した回転角度をスロットルポシションセンサーを介してアクセルまたは駆動モーターの制御を行うスロットル機構に伝達手段を介して伝達させる構成にしたことを最も主要な特徴とする。
【0009】
この発明において、前記ブレーキペダルには、運転者の履物の踵が係合する凹部または突部を形成したこと;前記アクセルアームのアクセルパッドに当接する先端部側には、回転自在なローラーを設けたこと;及び前記伝達手段が電気信号であること;を付加的な要件として含むものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るペダル装置は、ブレーキペダルに設けたアクセルパッドを強化プラスチックで中間部分に山形の突出部を形成し、車体側にスロットルポジションセンサーを取り付け、該スロットルポジションセンサーから延出させたアクセルアームの先端を前記アクセルパッドに当接させて配設し、前記ブレーキペダルに載せた足の踵を軸にしてつま先部分を開く方向または閉じる方向に回転させることによりアクセルパッドを介してアクセルアームを操作することにより、スロットルポシションセンサーを介してアクセルまたは駆動モーターの制御を行うようにしたものであり、電気自動車におけるアクセル操作を容易に行えると共に、アクセル操作位置において急ブレーキを掛けようとしたときに、本能的にそのままブレーキペダルを踏み込めば、同時にアクセルがOFF状態になるので、アクセルからブレーキへの踏み替えなどの時間遅れや踏み違えがなく、正確にブレーキを掛けることができ安全性に優れるという効果を奏する。
【0011】
また、スロットルポシションセンサーにより、電気信号でアクセル操作を行うために、操作の労力が軽減されて軽微に行えるのであり、疲労が蓄積しないので長時間の運転も軽快に行えるばかりでなく、アクセルパッド及びブレーキペダルを強化プラスチックで形成することによって全体として軽量化ができ、しかも、これらを成型手段により簡単に且つ量産ができるので安価に提供できるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施の形態に係るペダル装置を斜め上方からみて略示的に示した正面図である。
【図2】同ペダル装置のアクセルパッドを足で操作してアクセルアームを右側に押した状態を略示的に示した正面図である。
【図3】同ペダル装置の図2における状態を略示的に示した側面図である。
【図4】同ペダル装置の図3における状態から急ブレーキを掛けた状態を略示的に示した側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本発明を具体的な一実施の形態に基づいて詳しく説明する。
本発明に係るペダル装置を図1乃至図4を用いて説明する。
図1において、ペダル装置1は、前記従来例のブレーキペダル装置と同じように、踏み込んでブレーキ操作をするブレーキペダル2と、横方向に所要の角度範囲で回転させてアクセル操作をするアクセルパッド3を備えたものである。
【0014】
ブレーキペダル2は金属製であって、該ブレーキペダル2の先端部側(つま先側)は、両側に所要幅の張出部2a、2bが形成され、その略中央部に軸部4を介して回動できるように金属製のブレーキ補助パッド5を取り付け、該ブレーキ補助パッド5にブレーキアーム6を連結し、該ブレーキアーム6には、例えば、図示していないが、一般的な構成の油圧装置等を含む所要のブレーキ機構が連接されており、ブレーキペダル2と一緒にブレーキ補助パッド5を踏み込むことにより、ブレーキアーム6を介してブレーキ機構の操作ができるようになっている。なお、ブレーキペダル2は軽量化の目的でカラーの強化プラスチックで形成しても良い。また、ブレーキ補助パッド5の上面には滑り止め用のゴムシートが貼着されている。
【0015】
また、ブレーキペダル2の右側の張出部2aには、横スライド用ローラー7を設けてある。この横スライド用ローラー7は、ブレーキ補助パッド5に乗せた靴の先端側でアクセルパッド3を操作するために横方向への回転移動の際の摩擦を軽減し、アクセルパッド3の操作をスムーズに行えるようにするためのものである。
【0016】
さらに、ブレーキペダル2の後端部側(踵側)には、好ましくは靴の踵の一部が嵌る凹部8を形成すると共に、その裏面側にローラー9が突出形成されている。このローラー9はブレーキペダル2を踏み込んだときに、ブレーキペダル2の回転中心になると共に前進するものであって、ブレーキ動作と同時にアクセルのスローダウン動作とをスムーズに行わせるためのものであり、その動作において凹部8は運転者の履物(靴)の踵を維持(靴のスリップ防止)して確実に動作が行えるようにするためのものである。なお、ローラー9は、自動車のフロア上を転動させても良いが、好ましくは、フロアに取り付けたガイド部材18等によってスムーズに転動できるようにガイドさせた方が良い。
【0017】
ブレーキペダル2の後端部側の、例えば、右側上面に軸部10を介して前記アクセルパッド3が回転可能(略扇状の回転)に取り付けられ、ブレーキペダル2のほぼ側面に沿って配設されている。
【0018】
このアクセルパッド3も、軽量を目的としてカラーの強化プラスチック製で所要幅を有する板状を呈するものであり、その略中間部分を外側に膨らませて山形の突出部3aに形成し、軸受側の端部3bと自由端側の端部3cとを板状のほぼ平坦のまま残しておくものである。なお、突出部3aを形成する山形形状は曲線で形成した方が好ましい。
【0019】
そして、アクセルパッド3の取付位置については、ブレーキ操作を右足でする場合に、右側上面に取り付けるのであり、ユーザによっては、左足の方がブレーキ操作をし易いというのであれば、左側上面に取り付けることができるのであり、左右いずれでも良いのである。なお、取り付けられたアクセルパッド3は、扇状の回転角度θ(θ=3〜5°)の範囲で遊びがある。
【0020】
前記アクセルパッド3の外側面に接触するアクセルアーム11が配設される。このアクセルアーム11は、その基部側をスロットルポジションセンサー12にアクセルアーム軸11aを介して取り付けられ、所要の角度範囲で回転できるものであり、そのアクセルアーム11の先端部にローラ−13が取り付けられ、該ローラ13がアクセルパット3と接触するようになっている。なお、アクセルアーム11の回転角度範囲については、ローラ13がアクセルパット3と接触している位置(図示の位置)よりも左側には回転しないように位置決めされているのである。
【0021】
スロットルポジションセンサー12は、車内の適宜位置、例えば、車体14又は車壁若しくは別途の取付部材等に取り付けられており、その内部には電子部品を搭載した回路が配設されており、アクセルアーム11の回転角度位置によって電気的に、例えば、エンジン(駆動モータ)の回転数を調整するか、又は、アクセル機構(クラッチ)の調整をするためのものであり、プラグ15付のコード16を介して電気的にスロットル機構(アクセル機構を含む)に接続させてある。なお、図中仮想線で示した17は運転者の履物(靴)である。
【0022】
このように構成された本発明の電機自動車用のペダル装置1について、その動作を説明すると、まず、図1に示した位置関係がアクセル及びブレーキにおいて不作用位置であって、ブレーキ補助パッド5及びアクセルアーム11を含むアクセルパッド3などの各機構は、常に不作用位置に来るように付勢されている。
【0023】
この状態で、図2及び図3に示したように、ブレーキペダル2及びブレーキ補助パッド5上に運転者の右足、即ち、靴17などの履き物を軽く載置し、エンジンが駆動している状態で、靴17の踵を中心にしてつま先側を右方向に回転または移動させると、アクセルパッド3の先端部3c側が押されてアクセルパッド3が軸部10を中心にして右方向に回転して作用位置側に移行し、それに伴ってアクセルアーム11に取り付けられたローラー13が突出部3aの山形の傾斜面に沿って頂部方向に転動すると共に、アクセルアーム11が右方向に押されて移動しアクセルアーム軸11aを中心にして反時計方向に回転し、その回転角度位置または回転の範囲を所要の伝達手段、例えば、電気的に検出し電気信号としてスロットル機構へ送信し、該スロットル機構において駆動モータの回転数又はアクセル機構の作動状態の調整を行って所要の速度で走行する。
【0024】
この場合に、アクセルパッド3に押されてアクセルアーム11が右方向に移動すればするほど駆動モータの回転数又はアクセル機構の作動状態が上がり、それに伴って自動車の走行スピードがアップするのである。この時に、アクセルパッド3が山形を呈していることから、右方向に少し回転させても、アクセルアーム11のローラー13の移動が大きくなり、その分アクセルアーム11の回転角度も大きくなるからである。このように運転者のつま先側の回転移動次第によってアクセルの作動状態を任意に調整して、自動車の走行速度を任意に選択することができるのである。
【0025】
自動車の通常走行での走行中において、例えば、交差点に差し掛かってスピードを落としてブレーキを掛ける時には、足のつま先を左側に少しづつ回してアクセルパッド3を元の位置方向に戻すことで、アクセルアーム11のローラー13が突出部3aの山形の傾斜面に沿って裾部(谷部)方向に転動し、アクセルアーム11が左方向に戻るのでアクセルの駆動又は駆動モータの出力が下がり、徐々に走行スピードを落とせるのであり、最終的に、アクセル又は駆動モータをOFFにしてブレーキペダル2と一緒にブレーキ補助パッド5を踏み込むことにより、スピードを調整しながら停車させることができる。
【0026】
通常は、上記のようにして運転するのであるが、例えば、急ブレーキを掛ける必要が生じたときに、アクセルパッド3を戻してアクセル又は駆動モータをOFFにすことなく、そのままブレーキペダル2と一緒にブレーキ補助パッド5を急激に踏み込むことにより、図4に示したように、ローラー9によりブレーキペダル2が前進すると共にローラー9を支点にして先端側が下がるようになり、ブレーキの踏み込みと同時にアクセルアーム11の先端、即ちローラー13がアクセルパッド3から離脱して、アクセルアーム11が直ちに元の位置に戻るのでアクセルの作動又は駆動モータが完全にOFFになり、ブレーキ操作とアクセルOFFが同時に行われて二重の安全性が図られるのである。
【0027】
このように、急ブレーキを掛けるときに、アクセルパッド3を戻さなくても、足を載せてあるブレーキペダル2と及びブレーキ補助パッド5を最深部まで踏み込みさえすれば、同時にアクセル又は駆動モータがOFF状態になるのであり、アクセルからブレーキに踏み換えるという一瞬の遅れもなく、また、ブレーキとアクセルとを踏み違えるという誤操作が解消され、確実にブレーキ操作が行われるようになるのである。従って、運転者の本能的な踏み込み動作により、ブレーキ操作と同時にアクセルOFFになって安全性が確保できるのである。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明に係る電気自動車用のペダル装置は、ブレーキペダル2の右側面又は左側面に山形の突出部3aを有するアクセルパッド3を扇状に回転できるように取り付け、該アクセルパッド3に、スロットルポジションセンサー12から延出させたアクセルアーム11の先端部のローラー13を接触させて配設したものであって、運転者はブレーキペダル2に載置した足(靴)のつま先側を外側に開くようにしてアクセルパッド3を横方向に押し出したり閉じるようにして戻したりすることで、アクセルアーム11を操作して自動車の走行スピードを制御するのであり、その制御中に急ブレーキを掛けた場合でも、ブレーキベダル2を踏み込む縦方向の動作であって、アクセルとブレーキとを間違えることなく、しかも、踏み込むことによってアクセルパッド3からアクセルアーム11が外れてアクセルがOFFになり、正確に且つ速やかにブレーキ操作ができるのであり、各種自動車に広く利用できるのである。
また、ブレーキペダル2とアクセルパッド3とを強化プラスチックで形成することにより、成型による製造が容易で且つ軽量化される点で優れており、大量生産が可能であり広く利用され得る。
【符号の説明】
【0029】
1 ペダル装置
2 ブレーキペダル
3 アクセルパッド
3a 山形の突出部
3b、3c 端部
4、10 軸部
5 ブレーキ補助パッド
6 ブレーキアーム
7 横スライド用ローラー
8 凹部
9、13 ローラー
11 アクセルアーム
11a アクセルアーム軸
12 スロットルポジションセンサー
14 車体
15 プラグ
16 コード
17 履物(靴)
18 ガイド部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブレーキアームが連結されたブレーキ補助パッドを備え踏み込んでブレーキ操作をするブレーキペダルと、横方向に所要の角度範囲で回転させてアクセル操作をするアクセルパッドを備えたペダル装置であって、
前記アクセルパッドは、強化プラスチックで中間部分に山形の突出部を形成し、
車体に取り付けたスロットルポジションセンサーから延出させ、所要角度範囲に回転するアクセルアームの先端を前記アクセルパッドに当接させて配設し、
前記アクセルアームの回転によって検出した回転角度をスロットルポシションセンサーを介してアクセルまたは駆動モーターの制御を行うスロットル機構に伝達手段を介して伝達させること
を特徴とする電気自動車用又はスロットル機構を備えた自動車用のペダル装置。
【請求項2】
前記ブレーキペダルには、運転者の履物の踵が係合する凹部または突部を形成したこと
を特徴とする請求項1に記載のペダル装置。
【請求項3】
前記アクセルアームのアクセルパッドに当接する先端部側には、
回転自在なローラーを設けたこと
を特徴とする請求項1に記載のペダル装置。
【請求項4】
前記伝達手段が電気信号であること
を特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のペダル装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2011−100324(P2011−100324A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−254869(P2009−254869)
【出願日】平成21年11月6日(2009.11.6)
【出願人】(000244316)
【Fターム(参考)】