説明

電気装置および照明装置

【課題】薄形に形成可能な電気装置およびこの電気装置を具備する照明装置を提供する。
【解決手段】電気装置1は、E形コア4の中央脚4aが挿入される中央孔5、中央孔の周囲を周回するように各層に形成された導電パターンおよび各層の導電パターンを直列接続する第1の電気接続手段6を有する多層基板2と、多層基板2が嵌め込まれた開口と、E形コア4の両側脚4b,4bが挿入される一対の側孔8,8と、開口に嵌め込まれた多層基板2の最下層および最上層の導電パターンに電気接続する第2の電気接続手段9を有する単層基板3と、前記中央孔5および前記一対の側孔8,8にそれぞれ挿入され、多層基板2および単層基板3に取り付けられたE形コア4を具備している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、多層基板および単層基板を有する電気装置およびこの電気装置を具備する照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電気装置には、商用交流電圧を直流電圧に変換し、さらに所定の直流電圧または所定の交流電圧に変換して負荷を制御しているものがある。この電気装置の電気回路には、インダクタが使用されている(例えば特許文献1参照。)。このインダクタは、他の回路部品とともに回路基板に実装されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特公平7−1697号公報(第3頁、第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
インダクタは、比較的高さ寸法を有し、また、回路基板に沿うように配設しにくいので、回路基板の占有空間を大きくしている。このため、電気装置の薄形化を図りにくいということがあった。
【0005】
本発明は、薄形に形成可能な電気装置およびこの電気装置を具備する照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施形態の電気装置は、多層基板、単層基板およびE形コアを有して構成される。
【0007】
本実施形態の多層基板は、E形コアの中央脚が挿入される中央孔と、中央孔の周囲を周回するように各層に形成された導電パターンと、各層の導電パターンを直列接続する第1の電気接続手段を有している。
【0008】
本実施形態の単層基板は、多層基板が嵌め込まれた開口と、E形コアの両側脚が挿入される一対の側孔と、開口に嵌め込まれた多層基板の最下層および最上層の導電パターンに電気接続する第2の電気接続手段とを有している。
【0009】
本実施形態のE形コアは、多層基板に形成された中央孔および単層基板に形成された一対の側孔にそれぞれ挿入されていて、多層基板および単層基板に取り付けられている。
【発明の効果】
【0010】
本実施形態によれば、多層基板の各層に形成された導電パターンがE形コアの中央脚回りに巻回されるコイルとなり、多層基板および単層基板にインダクタ部品が形成されるので、多層基板および単層基板からE形コア部分が突出するのみであり、両基板の占有空間が小さくなって、電気装置を薄形にすることが期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施例1を示す電気装置の一部概略斜視図である。
【図2】同じく、電気装置の一部概略分解斜視図である。
【図3】同じく、基板の概略分解斜視図である。
【図4】本発明の実施例2を示す照明装置の概略正面断面図である。
【図5】同じく、照明装置の概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施の形態について、図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0013】
本発明の実施例1を示す電気装置1は、図1ないし図3に示すように構成される。図1において、電気装置1は、多層基板2、単層基板3およびE形コア4を有して形成されている。
【0014】
図3において、多層基板2は、4層以上であって、例えば厚さ2〜5mmのガラスエポキシ材からなり、長方形に形成されている。そして、長方形の中央部には、中央孔5が形成されている。中央孔5は、E形コア4の中央脚4aが挿入可能な形状および大きさに形成されている。
【0015】
また、各層においては、中央孔5の周囲を周回するような図示しない導電パターンが例えば渦巻状に形成されている。そして、端部側の上面2aおよび下面2bには、端面2cを跨ぐ第1の電気接続手段としての複数の端面パターン6が形成されている。端面パターン6は、前記導電パターンを直列接続している。なお、4層以上の上限値は、適宜設定すればよい。
【0016】
単層基板3は、多層基板2と同等の厚さを有するリジット基板であり、長尺の長方形に形成されている。そして、多層基板2が嵌め込まれる開口7およびE形コア4の両側脚4b,4bが挿入される一対の側孔8,8が形成されている。開口7は、多層基板2の長方形よりも若干大きい長方形に形成されている。また、一対の側孔8,8は、E形コア4の両側脚4b,4bが挿入可能な形状および大きさに形成されている。なお、図3において、開口7および一対の側孔8,8は連通しているが、E形コア4や多層基板2の大きさによっては、個別に形成される。
【0017】
そして、単層基板3には、多層基板2の最下層および最上層の導電パターンに電気接続される第2の電気接続手段としての複数の端子9が形成されている。端子9は、例えば銅箔からなる。端子9は、多層基板2の端面パターン6に対応して設けられている。
【0018】
そして、図2に示すように、開口7に多層基板2が嵌め込まれて取り付けられる。多層基板2は、その縁部に適宜の箇所に塗布された図示しない絶縁性の接着材で単層基板3に固着されている。また、多層基板2の端面パターン6と、単層基板3の端子9が近接しており、両者は、はんだが塗布されて電気接続されている。
【0019】
E形コア4は、フェライトからなり、中央脚4aおよび一対の側脚4b,4bを有する一対からなっている。そして、一対のE形コア4,4が多層基板の中央孔5および単層基板3の一対の側孔8,8にそれぞれの基板2,3の両面側から挿入されている。一対のE形コア4,4は、図示しない接着材により多層基板2および単層基板3に固着されて取り付けられている。
【0020】
そして、多層基板2および単層基板3のE形コア4を除く部位には、図1に示すように、電子部品9a,9b,9cが実装されている。電子部品9a,9b,9cは、銅箔からなる配線パターン9dにより、多層基板2の端面パターン6や単層基板3の端子9に電気接続されている。
【0021】
本実施形態によれば、多層基板2の各層に形成された導電パターンがE形コア4,4の中央脚4a,4a回りに巻回されるコイルとなり、多層基板2および単層基板3にインダクタ部品が形成されるので、多層基板2および単層基板3からE形コア4,4部分が突出するのみであり、両基板2,3の占有空間が小さくなって、電気装置1を薄形にすることができるという効果を有する。
【0022】
なお、一対のE形コア4,4に替えて、E形およびI形のコアを用いてもよい。
【実施例2】
【0023】
図4および図5は、本発明の実施例2を示し、図4は照明装置の概略正面断面図、図5は照明装置の概略側面図である。なお、図1と同一部分には、同一符号を付して説明は省略する。
【0024】
図4に示す照明装置10は、天井面などに直付けされる直付け照明器具であり、器具本体11と、この器具本体11に取り付けられた光源ユニット12に形成されている。器具本体11および光源ユニット12は、それぞれ長方形の箱状に形成されている。器具本体11は、その長手方向の大きさが光源ユニット12とほぼ同等に形成されているが、その短手方向の大きさは、図5に示すように、光源ユニット12よりも小さく形成されている。光源ユニット12は、器具本体11の一端側11aであって光源ユニット12の長手方向の両端側12a,12bにおいて、複数個のねじ13により器具本体10に取り付けられている。
【0025】
図4において、光源ユニット12は、照明負荷としての発光ダイオード14を格子状に多数配設している。発光ダイオード14は、可視光を放射するように形成されている。そして、光源ユニット12は、その開口側12cに透光性カバー15を配設している。発光ダイオード12から放射された可視光は、透光性カバー15を透過して床面側に放射される。すなわち、発光ダイオード12は、床面側に可視光を放射可能に配設されている。
【0026】
器具本体10は、その内部に図1示す電気装置1を収容している。電気装置1は、発光ダイオード14を点灯する点灯装置に形成されている。
【0027】
本実施形態の照明器具10は、薄形化される電気装置1が器具本体10に収容されているので、全体を薄形化することができるという効果を有する。
【0028】
なお、本実施形態の照明装置は、直付け形照明器具に限らず、吊り下げ形照明器具や埋込形照明器具などに構成されてもよい。
【符号の説明】
【0029】
1…電気装置、 2…多層基板、 3…単層基板、 4…E形コア、 5…中央孔、 6…第1の電気接続手段としての端面パターン、 7…開口、 8,8…一対の側孔、 9…第2の接続手段としての端子、 10…照明装置、 11…器具本体、 14…照明負荷としての発光ダイオード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
E形コアの中央脚が挿入される中央孔、前記中央孔の周囲を周回するように各層に形成された導電パターンおよび各層の前記導電パターンを直列接続する第1の電気接続手段を有する多層基板と;
この多層基板が嵌め込まれた開口と、E形コアの両側脚が挿入される一対の側孔と、前記開口に嵌め込まれた前記多層基板の最下層および最上層の導電パターンに電気接続する第2の電気接続手段を有する単層基板と;
前記多層基板に形成された前記中央孔および前記単層基板に形成された前記一対の側孔にそれぞれ挿入され、前記多層基板および前記単層基板に取り付けられたE形コアと;
を具備していることを特徴とする電気装置。
【請求項2】
可視光を放射する照明負荷と;
この照明負荷を点灯するように形成された請求項1記載の電気装置と;
一端側に可視光を放射可能に前記照明負荷が配設され、内部に前記電気装置が収容されている器具本体と;
を具備していることを特徴とする照明装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2012−79847(P2012−79847A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−222285(P2010−222285)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(000003757)東芝ライテック株式会社 (2,710)
【Fターム(参考)】