説明

電気錠装置

【課題】2次元コード等のコード情報を容易に利用することが可能であり、かつ、電気錠が不正に解錠されることを防止して高いセキュリティを維持することが可能な電気錠装置を提供すること。
【解決手段】照合用のIDデータを入力可能な入力部33と、CCDカメラ2により撮影した画像データから電気錠5を解錠させるための解錠データがコード化されたコード情報を読み取って当該コード情報から解錠データを生成するコード情報認識手段と、照合用IDデータ入力手段33により入力されたIDデータに対応する解錠データがコード情報認識手段により生成されたか否かを判断する判断手段と、照合用IDデータ入力手段33により入力されたIDデータに対応する解錠データがコード情報認識手段により生成されたと判断手段が判断したとき、電気錠5を解錠する動作を行う解錠手段とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気錠を動作させて施錠・解錠を行う電気錠装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、空き巣や強盗のような家宅侵入や自転車等の盗難が増加しており、セキュリティに対する関心が高まりつつある。このような犯罪に対しては、例えば、鍵を複数個設置したり、指紋等の人体情報によって解錠するシステムを導入したりすることにより対応がとられている。
【0003】
しかしながら、鍵を鍵穴に挿入して施錠・解錠する機械式の鍵では、知らない間に粘土等に鍵型が転写されて合鍵が作られる恐れがあり、鍵を定期的に変更する等の対応をとる必要があるといった問題があった。また、人体情報による解錠システムでは、指紋がデータとして記憶されることに抵抗がある者もおり、また、指紋が擦り切れてしまった場合や怪我をした場合には、解錠することができないといった問題があった。
【0004】
このような問題に対して、従来、例えば、ドアなどの出入り口に設置された電気錠を、解錠データが記憶された携帯電話機を利用して解錠する電気錠制御システムが存在する(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の電気錠制御システムによれば、携帯電話機には、予めパスワードが記憶されており、利用者が携帯電話機にパスワードを入力すると、パスワードの照合が行われ、パスワードが一致した場合に解錠データがコード化された2次元コードが表示器に表示される。そして、出入口端末では、携帯電話機の表示器に表示された2次元コードから解錠データが読み取られ、予め記憶されたデータの内容とを照合する処理が行われ、両者が一致したときに解錠信号が出力される。
【0005】
特許文献1に記載の電気錠制御システムであれば、機械式の鍵や人体情報を使用しなくてもよく、パスワードが第三者に知られなければ、2次元コードを携帯電話機の表示器に表示させることができないため、電気錠を解錠させることができない。
【0006】
【特許文献1】特開2004−238965号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の電気錠制御システムでは、携帯電話機が、予め携帯電話機に記憶されたパスワードと操作部から入力されたパスワードとが一致するか否かを判断しなければならず、そのためには、予め専用のプログラム等を記憶(インストール)しておかなければならないといった問題があった。また、携帯電話機ごとにプログラムを作成しなければならない可能性もあるため、このようなシステムを利用し難いといった問題があった。さらに、例えば、マンション等の出入り口に設置する場合には、当該システムを利用することができる携帯電話機をすべての利用者が所有しなければならないといった問題がある。すなわち、利用者のなかに当該システムを利用することができない携帯電話機を所有している者がいる場合には、携帯電話機を買い換える必要があり、もしくは、すべての利用者がこのシステムを利用することを断念しなければならないといった問題があった。
また、携帯電話機にパスワードが記憶されているため、第三者の手に渡った場合には、データが解読され、パスワードが知られる可能性があるといった問題があった。
【0008】
本発明は、上述した課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、2次元コード等のコード情報を容易に利用することが可能であり、かつ、電気錠が不正に解錠されることを防止して高いセキュリティを維持することが可能な電気錠装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以上のような目的を達成するために、本発明は、以下のようなものを提供する。
(1) 電気錠を動作させて施錠・解錠を行う電気錠装置であって、
照合用のIDデータを入力可能な照合用IDデータ入力手段と、
上記電気錠を解錠させるための解錠データがコード化されたコード情報を外部から読み取る読取手段と、
上記照合用IDデータ入力手段により入力されたIDデータに対応する解錠データを上記読取手段が読み取ったか否かを判断する判断手段と、
上記照合用IDデータ入力手段により入力されたIDデータに対応する解錠データを上記読取手段が読み取ったと上記判断手段が判断したとき、上記電気錠を解錠する動作を行う解錠手段と
を備えたことを特徴とする電気錠装置。
【0010】
(1)の発明によれば、電気錠を解錠させるための解錠データがコード化されたコード情報(例えば、2次元コード)を外部(例えば、紙媒体)から読み取り、読み取った解錠データが、照合用IDデータ入力手段(例えば、テンキー)により入力されたIDデータに対応する解錠データであると判断したとき、電気錠を解錠する動作を行う。すなわち、コード情報を読み取ったとしても、当該解錠データが、照合用IDデータ入力手段により入力されたIDデータと対応しない場合には、解錠動作を行わない。従って、コード情報が複製される等して第三者に取得された場合であっても、電気錠を解錠するためにはIDデータの入力が必要であるため、解錠される可能性が少なくなる。従って、電気錠が第三者によって不正に解錠されることを防止して高いセキュリティを維持することが可能である。
また、画像としてコード情報を読み取るので、利用者は、例えば、紙媒体等にコード情報が記憶されたものを所持するといったように、解錠データがコード化されたコード情報さえ所持すればよいので、容易に当該電気錠装置を利用することができる。
【0011】
さらに、本発明は、以下のようなものを提供する。
(2) 上記(1)の電気錠装置であって、
上記読取手段は、解錠データがコード化されたコード情報を記憶した携帯端末機が備える端末表示手段に表示されたコード情報を読み取ることを特徴とする。
【0012】
(2)の発明によれば、携帯端末機(例えば、携帯電話機)が備える端末表示手段(例えば、液晶パネル)に表示されたコード情報を読み取る。このとき、携帯端末機では、端末表示手段にコード情報を画像として表示すればよいので、画像の記録及び表示が可能な携帯端末機であれば、別途プログラム等を記憶(インストール)することなく、コード情報を携帯端末機に記憶させて、当該電気錠装置を利用することができる。
【0013】
さらに、本発明は、以下のようなものを提供する。
(3) 上記(1)又は(2)の電気錠装置であって、
上記電気錠は、出入り口に設置されていることを特徴とする。
【0014】
(3)の発明によれば、侵入されやすい扉等の出入り口に設置されているため、効果的に高いセキュリティを維持することができる。また、扉等の出入り口に設置されているため、例えば、ホテル等の各部屋のルームキーとして使用するといったように、一時的に鍵を貸す場合に利用することができる。このように使用した場合、外出時にルームキーをフロントに預ける必要がなくなるといったように、人的な手間を省略することができる。また、コード情報に有効期限を設定する等すれば、鍵を返却する必要がなくなり、利便性に優れる。
【0015】
さらに、本発明は、以下のようなものを提供する。
(4) 上記(3)の電気錠装置であって、
解錠データとの対応を設定するためのIDデータを入力可能な設定用IDデータ入力手段と、
解錠データを発行する発行手段と、
上記設定用IDデータ入力手段により入力されたIDデータと上記発行手段が発行した解錠データとを対応付けて記憶する記憶手段と、
上記発行手段が発行した解錠データをコード化したコード情報を外部から撮像可能な態様で表示するコード情報表示手段とを備え、
上記判断手段は、上記照合用IDデータ入力手段により入力されたIDデータに対応する解錠データを上記読取手段が読みったか否かを上記記憶手段を参照して判断することを特徴とする。
【0016】
(4)の発明によれば、発行された解錠データが、設定用IDデータ入力手段(例えば、テンキー)により入力されたIDデータと対応付けて記憶される。そして、当該解錠データがコード化されたコード情報がコード情報表示手段(例えば、モニタ)に表示される。利用者は、例えば、携帯端末機が備える撮像手段によりコード情報を撮像して外出し、帰宅時に、IDデータを入力するとともに当該コード情報を読取手段に読み取らせると、電気錠を解錠させることができる。このように、設定用IDデータ入力手段によりIDデータが入力されると、コード情報が表示されるため、利用者は、随時新たなコード情報を取得することができる。従って、より高いセキュリティを得ることができる。
【0017】
さらに、本発明は、以下のようなものを提供する。
(5) 上記(4)の電気錠装置であって、
上記発行手段は、上記設定用IDデータ入力手段によりIDデータが入力される毎に異なる解錠データを発行することを特徴とする。
【0018】
(5)の発明によれば、設定用IDデータ入力手段によりIDデータが入力される毎に異なる解錠データが発行されるため、その都度コード化される解錠データは異なることになる。このように、IDデータと解錠データとの対応がその都度変更されるため、コード情報が複製等されたとしても、当該コード情報で解錠される可能性が低くなり、さらに高いセキュリティを得ることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、2次元コード等のコード情報を容易に利用することが可能であり、かつ、電気錠が不正に解錠されることを防止して高いセキュリティを維持することが可能な電気錠装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明について図面を用いて説明する。以下においては、本発明をモニタ機能付きインターホンに適用した場合について説明することとする。
図1は、本発明に係る電気錠装置の概略を説明するための図である。
電気錠装置10は、室内に設置されている親機6と、建物における玄関や門等の出入口に設置されている子機1と、出入口扉(図示せず)に設置されている電気錠5とから構成されている。
例えば、居住者が外出する際に入力部8を介して親機6に対して自らのID番号をIDデータとして入力すると、モニタ9に解錠データがコード化された2次元コード92を表示させることができる。解錠データは、電気錠5を解錠させるためのものであり、IDデータが入力される毎に異なるデータとして発行されるものである。発行された解錠データは、入力されたIDデータと対応付けて記憶される。居住者は、この2次元コード92を自らが所有する携帯電話機300が備えるCCDカメラで撮像し、得られた画像データを携帯電話機300が備える不揮発性メモリに記憶することができる。
【0021】
そして、例えば、居住者が帰宅した際に、子機1が備える入力部33にIDデータを入力し、携帯電話機300の液晶パネルに表示させた2次元コード92を、CCDカメラ2を介して認識させると、電気錠装置10では、IDデータと解錠データとが外出の際に設定された対応関係にあるか否かを判断し、対応関係があると判断した場合には、電気錠5を解錠する。
【0022】
図2は、電気錠装置の内部構成を示すブロック図である。
親機6は、インターホンの動作を制御するワンチップCPU18を備えており、このCPU18には、入力部8と書き換え可能な不揮発性メモリ19と信号処理回路20とが接続されている。IDデータ入力手段としての入力部8は、テンキースイッチ及び操作スイッチ群を備えており、居住者の入力を受け付ける。
【0023】
不揮発性メモリ19は、入力部8からの入力等に応じて、氏名と電話番号等とを対応させて記憶する電話帳としての機能を有する。また、不揮発性メモリ19には、複数(例えば、1000)の解錠データが記憶されており、入力部8からのIDデータの入力に応じて1の解錠データを選択して発行し、IDデータと対応付けて記憶する。記憶されたIDデータと解錠データとは、所定期間(例えば、1カ月間)保存される。不揮発性メモリ19は、入力部8により入力されたIDデータと発行した解錠データとを対応付けて記憶する記憶手段として機能するものである。
【0024】
信号処理回路20には、受話器7、受話器7に設けられたフックスイッチ7a、モニタ9、ブザー22が接続されている。
信号処理回路20は、子機1とのデータ通信を子機インタフェース21を介して行う。また、信号処理回路20は、受話器7に設けられたフックスイッチ7aからの信号を受け、フックスイッチ7aがオンの状態であるときに子機インタフェース21を介して子機1と音声信号の送受信を行う。また、信号処理回路20は、子機1から受信した画像データ信号から得られる画像をモニタ9に表示する。また、子機1から受信した2次元コード画像データをCPU18に送信する。また、信号処理回路20は、CPU18から受信した2次元コード92をモニタ9に表示する。モニタ9は、コード情報表示手段として機能するものである。
ブザー22は、来訪者の訪問を報知するものである。また、信号処理回路20は、CPU18から後述のように出力される解錠信号を子機1へ出力する処理を行う。
【0025】
一方、子機1では、信号処理回路23には、呼出スイッチ3と切換スイッチ4とマイクロホン26とスピーカ27とCCDカメラ2と光学特性切換部29と照明用LED28と入力部33と変復調回路25とが接続されている。
信号処理回路23は、親機6とのデータ通信を親機インタフェース24を介して行うとともに、電気錠5との信号送受信を変復調回路25を介して行う。
【0026】
信号処理回路23は、呼出スイッチ3及び切替スイッチ4からオン信号、マイクロホン26からの音声信号、CCDカメラ2からの画像信号を受け、これらの信号を親機インタフェース24を通じて親機6に送信する。
このとき、親機6では、呼出スイッチ3からのオン信号を受けたときには、ブザー22を鳴動する動作を行い、音声信号を受けたときには、受話器7から出力する動作を行い、映像信号を受けたときにはモニタ9で再生する動作を行う。さらに、親機6では、切替スイッチ4からのオン信号を受けたときには、CPU18において後述する待機時間タイマをセットする動作を行う。
【0027】
また、信号処理回路23は、親機6から送信された音声信号をスピーカ27から再生出力する動作を行い、呼出スイッチ3からのオン信号の入力に応じて、CCDカメラ2の撮像範囲を照明するための照明用LED28を点灯させる動作を行う。また、信号処理回路23は、切替スイッチ4からのオン信号の入力に応じて光学特性切替部29を機能させる動作を行う。
光学特性切替部29は、来訪者の撮影に適した合焦範囲を備えた光学特性(通常モード)と2次元コードの撮影に適した合焦範囲を備えた光学特性(接写モード)とを切り換える。具体的には、CCDカメラ2は、図示しない凸レンズ系の補助光学レンズを備えており、光学特性切替部29は、この補助光学レンズを信号処理回路23からの指令信号に基づいて移動させて光学特性の切り換えを行う。入力部33は、テンキースイッチ及び操作スイッチ群を備えており、照合用のIDデータの入力等を受け付ける。入力部33は、照合用IDデータ入力手段として機能するものである。
【0028】
電気錠5は、子機1との信号送受信を行うための復変調回路30、ロック機構の解錠動作を行うための電磁ソレノイド31、ロック機構の開閉状態を検出するための動作検出部32を備えている。なお、電磁ソレノイド31に代えてモータ等を用いてもよい。
【0029】
図3は、図1に示した携帯電話機の内部構成を示すブロック図である。
携帯電話機300は、操作部304、液晶パネル306、CCDカメラ308、無線部310、音声回路312、スピーカ314、マイク316、送受信アンテナ318、不揮発性メモリ320、マイクロコンピュータ322及び二次電池324を備えている。
【0030】
無線部310は、マイクロコンピュータ322により制御されて、送受信アンテナ318を通じて電波を媒体として基地局に対して送受信する。音声回路312は、無線部310からマイクロコンピュータ322を通じて出力された受信信号をスピーカ314に出力するとともに、マイク316から出力された音声信号を送信信号としてマイクロコンピュータ322を通じて無線部310に出力する。
【0031】
スピーカ314は、音声回路312から出力された受信信号を受信音声に変換して出力し、マイク316は、操作者から発せられた送信音声を音声信号に変換して音声回路312に出力する。
CCDカメラ308は、親機6のモニタ9に表示される2次元コード92を撮像可能であり、撮像して得られた画像データは不揮発性メモリ320に記憶される。本実施形態では、携帯電話機300にはCCDカメラが備えられている場合について説明するが、本発明においては、例えば、CMOSセンサカメラ等であってもよい。
【0032】
不揮発性メモリ320は、例えば、CCDカメラ308が2次元コード92を撮像して得られた画像データ等の各種データや各種プログラムを不揮発的に記憶する。
二次電池324は、各回路に電力を供給する。マイクロコンピュータ322は、CPU、ROM及びRAMから構成されたもので、例えば、電話の発着信処理、電子メールの作成送受信処理、インターネット処理等を行う。
【0033】
図4は、電気錠装置において行われる解錠データ発行処理のサブルーチンを示すフローチャートである。このフローチャートは、親機6において、入力部8を介して所定の操作を受け付け、2次元コード発行モードに切り換えた後に実行される処理を示すフローチャートである。
まず、CPU18は、設定用のIDデータの入力を受け付ける(ステップS10)。この処理においては、モニタ9に対して入力を促すガイドを表示させるとともに、設定用のIDデータの入力を受け付ける。IDデータは、個人に固定で設定されていてもよく、その都度設定されてもよい。なお、個人に固定で設定されている場合には、どの個人にも該当しないIDデータが入力された場合には、解錠データを発行しないように構成することが望ましい。
【0034】
設定用のIDデータの入力を受け付けると、ステップS11において、CPU18は、解錠データを発行する。この処理において、CPU18は、不揮発性メモリ19に記憶した複数の解錠データの中から1の解錠データを選択して発行する。このとき、不揮発性メモリ19を参照し、過去所定期間以内(例えば、1月以内)に発行した解錠データを選択しないように、解錠データのなかから1の解錠データを選択して発行する。具体的には、IDデータと対応付けて記憶された解錠データが不揮発性メモリ19に記憶されているか否かにより過去所定期間以内に解錠データが発行されたか否かを判断して、1の解錠データを選択して発行する。この処理において、CPU18は、解錠データを発行する発行手段として機能する。
【0035】
次に、ステップS12において、CPU18は、入力されたIDデータ(ステップS10参照)と、発行した解錠データ(ステップS11参照)とを対応付けて不揮発性メモリ19に記憶する。
【0036】
次に、ステップS13において、CPU18は、当該解錠データを2次元コードにエンコードする。エンコード処理については、後で詳述することにする。
【0037】
ステップS14において、CPU18は、エンコードした2次元コードをモニタ9に表示する。そして、ステップS15において、携帯電話機300による撮影が完了した旨の操作が入力部8を介して入力されると、2次元コードの表示を終了し、2次元コード発行モードから通常モードへと切り換えて、本サブルーチンを終了する。
【0038】
図5は、図4に示したサブルーチンのステップS13において呼び出されて実行されるエンコード処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
【0039】
まず、CPU18は、解錠データをエンコード処理の対象としてセットする(ステップS40)。
【0040】
次に、CPU18は、解錠データの文字種(例えば、数字、英数字、漢字等)に応じたモード識別子を作成する(ステップS41)。
次に、CPU18は、解錠データの文字数に応じた文字数識別子を作成する(ステップS42)。
次に、CPU18は、解錠データを2進化する処理を行う(ステップS43)。
次に、CPU18は、ステップS41〜S43により得られたデータに終端パターンを付加する処理を行う(ステップS44)。
【0041】
次に、CPU18は、ステップS44により得られたデータのコード語変換を行い(ステップS45)、さらに、ステップS45により得られたデータに基づいてエラー訂正コード語を作成し、ステップS45により得られたデータに付加する(ステップS46)。次に、CPU18は、ステップS46により得られたデータを2進化し、マトリックス状に配置する処理を行う(ステップS47)。
次に、CPU18は、ステップS47により得られたデータに対して所定パターンのマスクをかける処理を行う(ステップS48)。次に、エラー訂正レベルとマスク識別子とを含む形式情報を付加する処理を行い(ステップS49)、2次元コードを生成する(ステップS50)。その後、本サブルーチンを終了する。
【0042】
本実施形態においては、解錠データのみを2次元コードにエンコード(コード化)する場合について説明したが、本発明においては、解錠データと他のデータ(例えば、解錠データが発行された時間に関するデータ等)とをエンコードすることとしてもよい。
【0043】
図6は、電気錠装置において行われる解錠処理のサブルーチンを示すフローチャートである。このフローチャートは、子機1において切替スイッチ4の操作を受け付け、CCDカメラ2を2次元コードの撮影に適した光学特性(接写モード)に切り換えた後に実行される処理を示すフローチャートである。
まず、CPU18は、切替スイッチ4からのオン信号を受信すると、待機時間タイマをセットする動作を行う(ステップ60)。待機時間タイマは、例えば、1分でタイムアップする。
【0044】
次に、CPU18は、待機時間タイマがタイムアップしたか否かを判断し(ステップS61)、タイムアップしたと判断した場合には、光学特性切替部29を復帰動作させることによりCCDカメラ2を来訪者の撮影に適した光学特性(通常モード)に切替え(ステップS71)、本サブルーチンを終了する。一方、タイムアップしていないと判断した場合には、処理をステップS62に移す。
【0045】
ステップS62において、CPU18は、入力部33を介して照合用のIDデータの入力があったか否かを判断する(ステップS62)。IDデータの入力があったと判断した場合、処理をステップS63に移す。一方、IDデータの入力がない場合、処理をステップS61に戻す。
【0046】
ステップS63において、CPU18は、入力されたIDデータ(ステップS62参照)に対応する解錠データを不揮発性メモリ19から読み出す。この解錠データは、解錠データ発行処理において発行した際にIDデータと対応付けて記憶したデータである(図4、ステップS12参照)。
【0047】
次に、操作部306を介した操作により携帯電話機300の液晶パネル306に表示された画面画像をCCDカメラ2により撮影し(ステップS64)、その画像データを記憶する(ステップS65)。
【0048】
次に、CPU18は、2次元コード認識処理を行い(ステップS66)、ステップS65において得られた画像データから2次元コードを読み取り、解錠データを生成する。この処理において、CPU18は、2次元コード92を読み取る読取手段として機能する。なお、2次元コード認識処理については、後で詳述することにする。
【0049】
次に、CPU18は、2次元コードの認識が成功したか否かを判断する(ステップS67)。2次元コードの認識に成功しなかったと判断した場合、処理をステップS61に戻す。一方、2次元コードの認識に成功したと判断した場合、処理をステップS68に移す。
【0050】
ステップS68において、CPU18は、読み出した解錠データ(ステップS63参照)と生成した解錠データ(ステップS66参照)とが一致するか否かを判断する。一致しないと判断した場合には、処理をステップS61に戻す一方、一致すると判断した場合には、処理をステップS69に移す。この処理において、CPU18は、入力部33により入力されたIDデータに対応する解錠データが生成されたか否かを判断する判断手段として機能する。
【0051】
ステップS69において、CPU18は、電気錠5に対して解錠信号を出力する。このとき、CPU18は、電気錠5を解錠する動作を行う解錠手段として機能する。これにより電磁ソレノイド31が駆動され、電気錠5のロックが解錠されることになる。
次に、ステップS70において、解錠に使用された解錠データを無効化する。この処理において、CPU18は、当該解錠データが使用済である旨を示すフラグを不揮発性メモリ19の所定領域にセットすることにより無効化する。これによりフラグがセットされた解錠データは、IDデータと対応する解錠データとして読み出されなくなり、同一の解錠データが2度使用されたとしても、当該解錠データでは、電気錠5のロックを解錠することができなくなることになる。
次に、ステップS71において、CCDカメラ2を来訪者の撮影に適した光学特性(通常モード)に切替え、本サブルーチンを終了する。
【0052】
図7は、図6に示した処理のステップS66において呼び出されて実行される2次元コード認識処理を示すフローチャートである。
まず、CPU18は、不揮発性メモリ19に記憶された画像データに対して画像変換処理を行う(ステップS80)。画像変換処理は、撮像されて得られた画像データから、2次元コードが表示されている領域の画像データを抜き出し、傾きや歪みを補正し、所定の閾値によりモノクロ画像に変換し、正面視した2次元コードを含む画像データを得る処理である。
【0053】
次に、CPU18は、ステップS80において得られた画像データから2次元コードを抽出し、ノイズ除去等の補正を行う(ステップS81)。
次に、CPU18は、ステップS81において得られた2次元コードの2値化処理を行い、2次元コードを構成する各ドットを“0”又は“1”に置き換え(ステップS82)、2値化マトリックスデータを生成する(ステップS83)。次に、CPU18は、2値化マトリックスデータをデコードし(ステップS84)、解錠データを生成する(ステップS85)。その後、本サブルーチンを終了し、図6に示したフローチャートのステップS67に処理を移すのである。
【0054】
以上、本実施形態に係る電気錠装置10によれば、電気錠5を解錠させるための解錠データがコード化された2次元コード92を携帯電話機300の液晶パネル306から読み取って生成した解錠データが、入力部33(照合用IDデータ入力手段)により入力されたIDデータに対応する解錠データであると判断したとき、電気錠5を解錠する動作を行う。すなわち、2次元コード92を読み取り、解錠データを生成したとしても、当該解錠データが、入力部33により入力されたIDデータと対応しない場合には、解錠動作を行わない。従って、2次元コード92が複製される等して第三者に取得された場合であっても、電気錠5を解錠するためにはIDデータの入力が必要であるため、解錠される可能性が少なくなる。従って、電気錠5が第三者によって不正に解錠されることを防止して高いセキュリティを維持することが可能である。
【0055】
また、本実施形態に係る電気錠装置10によれば、携帯電話機300が備える液晶パネル306に表示された2次元コード92を読み取って解錠データを生成する。このとき、携帯電話機300では、液晶パネル306に2次元コード92を画像として表示すればよいので、画像の記録及び表示が可能な携帯電話機300であれば、別途プログラム等を記憶(インストール)することなく、2次元コード92を携帯電話機300に記憶させて、電気錠装置5を利用することができる。
また、本実施形態に係る電気錠装置10によれば、侵入されやすい扉等の出入り口に設置されているため、効果的に高いセキュリティを維持することができる。
【0056】
また、本実施形態に係る電気錠装置10によれば、発行された解錠データが、入力部8(設定用IDデータ入力手段)により入力されたIDデータと対応付けて記憶される。そして、当該解錠データがコード化された2次元コード92がモニタ9に表示される。利用者は、携帯電話機300が備えるCCD308により2次元コード92を撮像して外出し、帰宅時に、IDデータを入力するとともに当該2次元コード92を子機1が備えるCCDカメラ2(コード情報認識手段)に読み取らせると、電気錠5を解錠させることができる。このように、入力部8によりIDデータが入力されると、2次元コード92が表示されるため、利用者は、随時新たな2次元コード92を取得することができる。従って、より高いセキュリティを得ることができる。
【0057】
また、本実施形態に係る電気錠装置10によれば、入力部8によりIDデータが入力される毎に異なる解錠データが発行されるため、その都度コード化される解錠データは異なることになる。このように、IDデータと解錠データとの対応がその都度変更されるため、2次元コード92が複製等されたとしても、当該2次元コード92で解錠される可能性が低くなり、さらに高いセキュリティを得ることができる。
【0058】
本実施形態においては、2次元コード92を画像として携帯電話機300に記憶させる場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、2次元コード92は、紙媒体に印刷等されてもよい。
このようにした場合、利用者は、紙媒体等に2次元コード92が記憶されたものを所持するといったように、解錠データがコード化された2次元コード92さえ所持すればよいので、容易に電気錠装置10を利用することができる。
【0059】
また、本実施形態においては、IDデータと解錠データとを対応づけて不揮発性メモリ19に記憶する場合について説明したが、本発明はこの例に限定されず、当該解錠データをコード化した2次元コード92とを対応付けて記憶することとしてもよい。
【0060】
本発明は、ホテル等の各部屋のルームキーとして使用するといったように、一時的に鍵を貸し出す場合に適用することも可能である。このように使用した場合、外出時にルームキーをフロントに預ける必要がなくなるといったように、人的な手間を省略することができる。また、2次元コード92に有効期限を設定する等すれば、鍵を返却する必要がなくなり、利便性に優れる。また、本発明は、自転車や車の鍵として適用することも可能である。
【0061】
以上、本発明の実施形態を説明したが、具体例を例示したに過ぎず、特に本発明を限定するものではなく、各手段等の具体的構成は、適宜設計変更可能である。また、本発明の実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施形態に記載されたものに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明に係る電気錠装置の概略を説明するための図である。
【図2】図1に示した電気錠装置の内部構成を示すブロック図である。
【図3】携帯電話機の内部構成を示すブロック図である。
【図4】電気錠装置において行われる解錠データ発行処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
【図5】図4に示したサブルーチンのステップS13において呼び出されて実行されるエンコード処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
【図6】電気錠装置において行われる解錠処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
【図7】図6に示した処理のステップS66において呼び出されて実行される2次元コード認識処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0063】
1 子機
2 CCDカメラ
5 電気錠
6 親機
8 入力部
9 モニタ
10 電気錠装置
18 CPU
19 不揮発性メモリ
33 入力部
92 2次元コード
300 携帯電話機
304 操作部
306 液晶パネル
308 CCDカメラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気錠を動作させて施錠・解錠を行う電気錠装置であって、
照合用のIDデータを入力可能な照合用IDデータ入力手段と、
前記電気錠を解錠させるための解錠データがコード化されたコード情報を外部から読み取る読取手段と、
前記照合用IDデータ入力手段により入力されたIDデータに対応する解錠データを前記読取手段が読み取ったか否かを判断する判断手段と、
前記照合用IDデータ入力手段により入力されたIDデータに対応する解錠データを前記読取手段が読み取ったと前記判断手段が判断したとき、前記電気錠を解錠する動作を行う解錠手段と
を備えたことを特徴とする電気錠装置。
【請求項2】
前記読取手段は、解錠データがコード化されたコード情報を記憶した携帯端末機が備える端末表示手段に表示されたコード情報を読み取ることを特徴とする請求項1に記載の電気錠装置。
【請求項3】
前記電気錠は、出入り口に設置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の電気錠装置。
【請求項4】
解錠データとの対応を設定するためのIDデータを入力可能な設定用IDデータ入力手段と、
解錠データを発行する発行手段と、
前記設定用IDデータ入力手段により入力されたIDデータと前記発行手段が発行した解錠データとを対応付けて記憶する記憶手段と、
前記発行手段が発行した解錠データをコード化したコード情報を外部から撮像可能な態様で表示するコード情報表示手段とを備え、
前記判断手段は、前記照合用IDデータ入力手段により入力されたIDデータに対応する解錠データを前記読取手段が読みったか否かを前記記憶手段を参照して判断することを特徴とする請求項3に記載の電気錠装置。
【請求項5】
前記発行手段は、前記設定用IDデータ入力手段によりIDデータが入力される毎に異なる解錠データを発行することを特徴とする請求項4に記載の電気錠装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−32062(P2007−32062A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−216072(P2005−216072)
【出願日】平成17年7月26日(2005.7.26)
【出願人】(598098526)アルゼ株式会社 (7,628)
【Fターム(参考)】