説明

電池ユニット

【課題】主に各種電子機器に用いられる電池ユニットに関し、安価で、確実な電気的接離を行うことが可能なものを提供することを目的とする。
【解決手段】電極6が半田付けされるランド12Aや12Bに、スルーホール13を設けることによって、電極6に機器側の端子15を接続する際、溶融した半田7がスルーホール13内に流入し、半田ボール等の発生を防止することができるため、別途これを取除く手間がかからず、容易に製作が行えると共に、スイッチング素子3や制御素子4の端子間の短絡等を防止し、確実な電気的接離を行うことが可能な電池ユニットを得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に各種電子機器に用いられる電池ユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、各種電子機器、特に携帯電話やビデオカメラ等の携帯機器においては、充電可能な電池を装着すると共に、携帯時にはこの電池電源を用いて様々な操作が行われており、これらの機器に用いられる電池ユニットにおいても、安価で、確実な電気的接離を行えるものが求められている。
【0003】
このような従来の電池ユニットについて、図5〜図8を用いて説明する。
【0004】
図5は従来の電池ユニットの断面図、図6は同斜視図であり、同図において、1は配線基板で、上下面には略矩形状の複数のランド2や、これらを接続する複数の配線パターン(図示せず)が形成されている。
【0005】
そして、3はFETやトランジスタ等のスイッチング素子、4はIC等の制御素子、5は固定抵抗器やコンデンサ等の電子部品で、これらが配線基板1上面の所定のランド2に半田付けによって実装されると共に、配線パターンを介してスイッチング素子3と制御素子4や複数の電子部品5が接続されている。
【0006】
さらに、6は矩形板状の複数の電極、8はランドから形成された端子で、電極6の両端が半田7によってランド2Aと2Bに実装接続されると共に、この左右の電極6が配線パターンを介してスイッチング素子3に接続されて、電池ユニットが構成されている。
【0007】
また、このような電池ユニットを製作する際には、図7(a)の斜視図に示すように、先ず配線基板1上面の複数のランド2や2A、2Bに、図7(b)に示すように、クリーム状の半田7を印刷等によって塗布した後、この上面にスイッチング素子3や制御素子4、電子部品5の端子や電極6の両端を各々載置する。
【0008】
そして、この後、加熱して半田7を溶融させ、スイッチング素子3や制御素子4、電子部品5の端子や電極6の両端を、ランド2や2A、2Bに半田付けして、図5や図6に示したような電池ユニットが完成する。
【0009】
また、このように構成された電池ユニットが、携帯電話やビデオカメラ等の電子機器内に収納装着されると共に、図8(a)の断面図に示すように、左右の電極6に機器側の矩形板状の端子15が重ねられ、図8(b)及び図8(c)に示すように、溶接棒16によってスポット溶接されて、スイッチング素子3や制御素子4等が、端子15や電極6を介して電池(図示せず)に接続されると共に、端子8がコネクタ(図示せず)等を介して機器の電子回路(図示せず)に接続される。
【0010】
以上の構成において、機器を携帯時には、制御素子4が電池電源の電圧を検出してスイッチング素子3を制御し、スイッチング素子3を介して電池から電子回路に電源が供給されて、機器の様々な操作が行われる。
【0011】
また、電池に充電を行う際には、制御素子4がスイッチング素子3を切換えて、例えば家庭用電源に接続された充電器から機器の電池に充電が行われ、電池に所定電圧の充電が行われると、これを制御素子4が検出し再びスイッチング素子3を切換えて、電池への充電を終了する。
【0012】
つまり、制御素子4が電池電源の電圧を検出し、使用時には、スイッチング素子3を介して電池から電子回路に電源を供給すると共に、電池への充電時には、スイッチング素子3を切換えて、電池に所定電圧の充電を行うように構成されているものであった。
【0013】
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2009−9969号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかしながら、上記従来の電池ユニットにおいては、図8(c)に示すように、電極6と端子15のスポット溶接を行う際、溶接棒16により加わった熱や圧力によって、電極6両端の半田7が溶融すると共に、電極6が下方へ押圧されて移動し、この時、ランド2Aや2B上面から外方へ流出した半田7が、近傍の配線基板1上面に、球状の半田ボール7Aとして発生してしまう場合があり、この半田ボール7Aによるスイッチング素子3や制御素子4の端子間の短絡等の不具合を防ぐため、別途ブラシやピンセット等を用いて、半田ボール7Aを取除く必要があり、機器との接続に手間がかかってしまうという課題があった。
【0016】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、容易に製作が行え、安価で、確実な電気的接離を行うことが可能な電池ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記目的を達成するために本発明は、電極が半田付けされるランドに、スルーホールを形成して電池ユニットを構成したものであり、電極に機器側の端子を接続する際、溶融した半田がスルーホール内に流入し、半田ボールの発生を防止することができるため、別途これを取除く手間がかからず、容易に製作が行えると共に、スイッチング素子や制御素子の端子間の短絡等を防止し、確実な電気的接離を行うことが可能な電池ユニットを得ることができるという作用を有するものである。
【発明の効果】
【0018】
以上のように本発明によれば、安価で、確実な電気的接離を行うことが可能な電池ユニットを実現することができるという有利な効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施の形態による電池ユニットの断面図
【図2】同斜視図
【図3】同斜視図
【図4】同断面図
【図5】従来の電池ユニットの断面図
【図6】同斜視図
【図7】同斜視図
【図8】同断面図
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について、図1〜図4を用いて説明する。
【0021】
なお、背景技術の項で説明した構成と同一構成の部分には同一符号を付して、詳細な説明を簡略化する。
【0022】
(実施の形態)
図1は本発明の一実施の形態による電池ユニットの断面図、図2は同斜視図であり、同図において、11は紙フェノールやガラス入りエポキシ等の配線基板で、上下面には銅箔等によって略矩形状の複数のランド12や、これらを接続する複数の配線パターン(図示せず)が形成されている。
【0023】
そして、3はFETやトランジスタ等のスイッチング素子、4はIC等の制御素子、5は固定抵抗器やコンデンサ等の電子部品で、これらが配線基板11上面の所定のランド12に半田付けによって実装されると共に、配線パターンを介してスイッチング素子3と制御素子4や複数の電子部品5が接続されている。
【0024】
また、6は矩形板状でニッケル等の複数の電極、8はランドから形成された端子で、電極6の両端が半田7によってランド12Aと12Bに実装接続されると共に、この左右の電極6が配線パターンを介してスイッチング素子3に接続されている。
【0025】
さらに、この電極6が半田付けされたランド12Aと12Bには、配線基板11上下面を貫通する孔の内周に銅等のめっきが施された、複数のスルーホール13が形成されて、電池ユニットが構成されている。
【0026】
また、このような電池ユニットを製作する際には、図3(a)の斜視図に示すように、先ず配線基板11上面の複数のランド12や12A、12Bに、図3(b)に示すように、クリーム状の半田7を印刷等によって塗布した後、この上面にスイッチング素子3や制御素子4、電子部品5の端子や電極6の両端を各々載置する。
【0027】
そして、この後、加熱して半田7を溶融させ、スイッチング素子3や制御素子4、電子部品5の端子や電極6の両端を、ランド12や12A、12Bに半田付けして、図1や図2に示したような電池ユニットが完成する。
【0028】
なお、図3(a)に示すように、ランド12Aや12Bには配線基板11上下面を貫通する、複数のスルーホール13が形成されているが、電極6が半田付けされた状態では、このスルーホール13上面は半田7によって覆われた状態となっている。
【0029】
そして、このように構成された電池ユニットが、携帯電話やビデオカメラ等の電子機器内に収納装着されると共に、図4(a)の断面図に示すように、左右の電極6に機器側の矩形板状の端子15が重ねられ、図4(b)及び図4(c)に示すように、溶接棒16によってスポット溶接されて、スイッチング素子3や制御素子4等が、端子15や電極6を介して電池(図示せず)に接続されると共に、端子8がコネクタ(図示せず)等を介して機器の電子回路(図示せず)に接続される。
【0030】
また、この時、図4(c)に示すように、溶接棒16により加わった熱や圧力によって電極6両端の半田7が溶融すると共に、電極6が下方へ押圧されるが、ランド12Aや12Bには複数のスルーホール13が形成されているため、溶融した半田7はランド12Aや12B上面から外方へは流出せず、この複数のスルーホール13内に流入する。
【0031】
つまり、電極6が半田付けされるランド12Aや12Bに、スルーホール13を設けることによって、溶融した半田7が外方へ流出せず、したがって、近傍の配線基板11上面に球状の半田ボール等が生じることがないため、別途ブラシやピンセット等を用いてこれを取除く手間もかからず、余計な手間をかけずに機器との接続を行えるようになっている。
【0032】
以上の構成において、機器を携帯時には、制御素子4が電池電源の電圧を検出してスイッチング素子3を制御し、スイッチング素子3を介して電池から電子回路に電源が供給されて、機器の様々な操作が行われると共に、電池が消耗し所定電圧、例えば2〜2.3V前後以下になった場合には、制御素子4がスイッチング素子3を切換えて、電子回路への電源供給を停止する。
【0033】
また、電池に充電を行う際には、制御素子4がスイッチング素子3を切換えて、例えば家庭用電源に接続された充電器から機器の電池に充電が行われ、電池に所定電圧の充電が行われると、例えば電池の電圧が4.3V前後以上になった場合には、これを制御素子4が検出し再びスイッチング素子3を切換えて、電池への充電を終了する。
【0034】
つまり、制御素子4が電池電源の電圧を検出し、使用時には、スイッチング素子3を介して電池から電子回路に電源を供給すると共に、電池への充電時には、スイッチング素子3を切換えて、電池に所定電圧の充電を行うように構成されている。
【0035】
そして、この時、上述したように、電極6が半田付けされるランド12Aや12Bに、スルーホール13を設けることによって、電極6に機器側の端子15を接続する際、溶融した半田7がスルーホール13内に流入し、球状の半田ボール等が生じることがないため、別途ブラシやピンセット等を用いてこれを取除く手間がかからず、容易に製作が行えるようになっている。
【0036】
また、このように、電極6に機器側の端子15を接続する際の、半田ボール等の発生を防ぐことによって、万が一のスイッチング素子3や制御素子4の端子間の短絡等を防止し、電池ユニットの確実な電気的接離が可能となるように構成されている。
【0037】
なお、上記のように上下面に複数の配線パターンが設けられた配線基板11の場合、上面と下面の配線パターンを接続するために、通常複数のスルーホールが形成されているため、ランド12Aや12Bに設けるスルーホール13も、これらと同時に形成すればよく、特に後加工等の手間をかけることなく、容易にスルーホール13の形成を行うことができる。
【0038】
このように本実施の形態によれば、電極6が半田付けされるランド12Aや12Bに、スルーホール13を設けることによって、電極6に機器側の端子15を接続する際、溶融した半田7がスルーホール13内に流入し、半田ボール等の発生を防止することができるため、別途これを取除く手間がかからず、容易に製作が行えると共に、スイッチング素子3や制御素子4の端子間の短絡等を防止し、確実な電気的接離を行うことが可能な電池ユニットを得ることができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明による電池ユニットは、安価で、確実な電気的接離を行うことが可能なものが得られ、各種電子機器の電池ユニットとして有用である。
【符号の説明】
【0040】
3 スイッチング素子
4 制御素子
5 電子部品
6 電極
7 半田
8 端子
11 配線基板
12、12A、12B ランド
13 スルーホール
15 端子
16 溶接棒

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のランドや配線パターンが形成された配線基板と、電池電源の切換えを行うスイッチング素子と、電池の電圧を検出し上記スイッチング素子を制御する制御素子と、上記ランドに半田付けされた電極からなり、上記電極が半田付けされるランドに、スルーホールを形成した電池ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−14672(P2011−14672A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−156700(P2009−156700)
【出願日】平成21年7月1日(2009.7.1)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】