説明

電池

【課題】製造時や使用時に短絡防止層および/または活物質層が剥離・脱落しにくい電池を提供する。
【解決手段】正極10と負極とセパレータとが積層された積層電極体を備え、正極10、負極およびセパレータのうちの少なくとも1つの部材に、γ型アルミナ粒子を含むアルミナ含有層40が形成されている電池。アルミナ含有層40がγ型アルミナ粒子を含むことによって、アルミナ含有層40と、金属からなる電極、電極を構成する集電体11もしくは活物質12、またはセパレータとの間に高い接合強度が得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、巻回電極電池などの積層型電池に関し、より詳しくは、正極、負極、セパレータ、またはこれらのうちの複数の部材にアルミナ含有層を有する積層型電池に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車やハイブリッド自動車などの、高密度・高出力が求められる用途では、巻回電極電池などの積層型電池が多く用いられる。積層型電池には、枚葉式の正極、負極およびセパレータが積層された電極体を有するものと、帯状の正極、負極およびセパレータが積層・巻回された巻回電極体を有するものがある。
【0003】
正極および負極には、金属箔のみからなるもの(例えばリチウム電池における負極)、金属箔からなる集電体上に活物質層を形成したもの、発泡金属からなる集電体に活物質を充填したものなどがある。活物質を有する電極であっても、電気を取り出すための集電タブを接続するために、あるいは直接集電端子に接続するために、通常その端部には、活物質が塗工されず金属製の集電体が露出する部分を有する。この露出した金属部分と、他方の電極の露出した金属部分または活物質層とが短絡した場合には、大きな電流が流れ、発熱によって電池が破損に至る可能性がある。隣り合う二つの電極はセパレータを介して対向しているが、巻回時の巻きずれや、運搬・使用時の落下・振動によって電極から剥離した粉末がセパレータを貫通するなどにより、短絡が起こる場合がある。
【0004】
これを防止するために、特許文献1には、集電体箔上の活物質非塗工部に、活物質層に隣接して短絡防止層を設ける発明が開示されている。また、現状の非水電解質二次電池においては、充電時に正極活物質から放出されたリチウムイオンを負極活物質に円滑に吸蔵させるために、負極活物質層は正極活物質層よりも大きく、正極活物質層全体に対向するように設計される。そのため、正極集電体箔の活物質非塗工部と負極の活物質塗工部がセパレータを介して対向する部分が必ず存在する。特許文献2および3には、正極活物質非塗工部であって、負極活物質塗工部とセパレータを介して対向している部分に絶縁層を形成する発明が開示されている。また、特許文献4には、短絡防止層を非絶縁性とする発明が開示されている。
【0005】
特許文献5〜7には、短絡防止層の成分について、アルミナやポリフッ化ビニリデン(PVDF)を始め、いくつかが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−93583号公報
【特許文献2】特開2004−259625号公報
【特許文献3】特開2004−55537号公報
【特許文献4】特開2007−95656号公報
【特許文献5】国際公開第05/067080号
【特許文献6】特開2007−103356号公報
【特許文献7】特表2009−518808号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、設計上短絡防止層を設けても、製造工程において電極箔とセパレータを巻回するとき、巻回電極体を押しつぶして扁平型とするとき、電極体をハンドリングするとき等に、短絡防止層や活物質層が剥離、脱落することがあった。また、電池使用時の落下、振動などによって、短絡防止層や活物質層が剥離、脱落する問題があった。
【0008】
本発明はこれらの点を考慮してなされたものであり、製造時や使用時に、短絡防止層および/または活物質層が剥離・脱落しにくい電池を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の電池は、正極と負極とセパレータとが積層された積層電極体を備え、前記正極、前記負極および前記セパレータのうちの少なくとも1つの部材に、γ型アルミナ粒子を含むアルミナ含有層が形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、アルミナ含有層がγ型アルミナ粒子を含むことによって、アルミナ含有層と、金属からなる電極、電極を構成する集電体もしくは活物質、またはセパレータとの間に高い接合強度が得られる。そのため、アルミナ含有層が電極間の短絡防止層として機能する場合には、電池製造時や使用時に短絡防止層が剥離・脱落しにくいという効果が得られる。また、アルミナ含有層が電極集電体箔と活物質層の間に形成される場合には、活物質層が剥離・脱落しにくいという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態に係る正極の断面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る巻回電極体を示す図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る電極体部分の断面構造を示す図である。
【図4】本発明の他の実施形態に係る電極体部分の断面構造を示す図である。
【図5】本発明の他の実施形態に係る電極体部分の断面構造を示す図である。
【図6】本発明の他の実施形態に係る電極体部分の断面構造を示す図である。
【図7】本発明の他の実施形態に係る電極体部分の断面構造を示す図である。
【図8】本発明の他の実施形態に係る電極体部分の断面構造を示す図である。
【図9】本発明の他の実施形態に係る電極体部分の断面構造を示す図である。
【図10】本発明の他の実施形態に係る電極体部分の断面構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の第1の実施形態として、集電体箔上に正極用の活物質層を有する正極と、集電体箔上に負極用の活物質層を有する負極とがセパレータを介して積層巻回された電極体を備え、アルミナ含有層が正極集電体箔上に正極活物質層と隣接して形成された巻回型リチウムイオン二次電池について説明する。本実施形態において、アルミナ含有層は短絡防止層として機能する。
【0013】
図2に、本実施形態に係る電池の巻回電極体1の構造を示す。帯状の正極10と帯状の負極20とが、帯状のセパレータ30を介して積層・巻回されている。正極10は、正極集電体箔11の両面に正極活物質層12とアルミナ含有層40を有しており、負極20は負極集電体箔21の両面に負極活物質層22を有している。
【0014】
図3に、図2のI−I断面における正極、負極およびセパレータの構造を示す。本実施形態においては、アルミナ含有層40が形成されている部材は、金属製の正極集電体箔11と正極活物質層12を有する正極10である。アルミナ含有層40は、集電体箔11上に直接接して、かつ活物質層12に隣接して形成され、セパレータ30を介して隣り合う負極20の活物質層22および集電体箔21の端縁と、セパレータ30を介して対面している。
【0015】
図1に、図3の正極集電体箔11の側端に近い部分を拡大して示す。図1は集電体箔11の片面のみを表し、全体に縮尺は正確ではない。本実施形態では、正極活物質層12は、ほぼ一定の厚さを有するバルク領域121と、端部において厚さが漸次減少するテーパー領域122を有している。そして、その端部テーパー領域122に重なるように、アルミナ含有層40が正極集電体箔11上に塗工されている。
【0016】
まず、アルミナ含有層40について説明する。
【0017】
アルミナ含有層の材料としては、無機物または有機物の微粒子と、結着剤とを混合したものを用いることができる。本発明においては、前記微粒子として、少なくともγ型アルミナ粒子を用いる。これによってアルミナ含有層と、集電体箔や隣接する活物質層など他物質との密着性および接合強度が向上する。
【0018】
γ型アルミナ粒子の粒径は、特に制限されないが、一次粒径の中央値が1〜100nmのものを用いることが好ましい。集電体箔および活物質層との密着性、接合強度の観点からは、一次粒径の中央値が1〜10nmであることがさらに好ましく、1〜7nmであることが特に好ましい。ここで一次粒径の中央値とは、透過型電子顕微鏡で1次粒子の直径を10粒子観察したときの、そのメジアンをいう。
【0019】
γ型アルミナ粒子のタップ密度は、特に制限されないが、0.02〜0.9g/cmのものを用いることが好ましい。集電体箔および活物質層との密着性、接合強度の観点からは、タップ密度は0.02〜0.6g/cmであることがさらに好ましい。ここでタップ密度とは、一定条件で容器をタッピングして得られる粉体のかさ密度をいう(JISR1600)。
【0020】
γ型アルミナ粒子の比表面積は、特に制限されないが、96m/g以上のものを用いることが好ましい。集電体箔や活物質層との密着性、接合強度の観点からは、比表面積が96〜234m/gであることがさらに好ましい。ここで比表面積とは、不活性気体の吸着によるBrunauer,Emmett&Teller法(BET法)による値をいう。
【0021】
アルミナ含有層の結着剤としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリイミド、ポリアミドイミド等を用いることができる。なかでも、集電体箔や活物質層との密着性、接合強度の観点から、PVDFが用いることが好ましい。また、PVDF樹脂の含有量は、45質量%以上60質量%以下であることが好ましい。
【0022】
アルミナ含有層には、さらに適量の導電剤を加えることができる。本実施形態におけるアルミナ含有層は、正極の集電体箔と負極との短絡による異常な発熱を防止することを主な機能とする。アルミナ含有層を非絶縁性とすることによって、正極または負極作製時に生じたバリ等がセパレータを突き破った場合に、アルミナ含有層を介して穏やかな放電を起こさせ、異常な発熱を避けることができる。
【0023】
次に、正極10の他の構成要素について説明する。
【0024】
正極10の集電体箔11には、構成された電池において悪影響を及ぼさない電子伝導体からなる帯状の箔を用いることができる。例えば、アルミニウム、チタン、ステンレス鋼、ニッケル、焼成炭素、導電性高分子等からなる帯状の箔を用いることができる。また、アルミニウム等の表面をカーボン、ニッケル、チタン、銀等で処理した物を用いることができる。これらのうち、好ましくは、耐酸化性に優れるアルミニウムの箔が用いられる。箔の厚さは、好ましくは12〜25μmであり、さらに好ましくは約20μmである。
【0025】
正極活物質層12は、正極活物質を主成分とし、必要に応じて、さらに導電剤、結着剤、フィラー等の添加成分を含んでいる。
【0026】
正極用の活物質としては、Liイオンを吸蔵・放出する周知の材料を用いることができる。例えば、LiCoOや前記Coの一部がNi,Mnその他の遷移金属あるいはホウ素で置換されたα−NaFeO構造を有するリチウム含有遷移金属酸化物、LiMnに代表されるスピネル型結晶構造を有する化合物、LiFePO、LiFeSOあるいは前記Feの一部がCo,Mn等で置換されたポリアニオン型化合物等を用いることができる。正極にはさらに、CuO、CuO、AgO、CuS、CuSOなどのI族金属化合物、TiS、SiO、SnOなどのIV族金属化合物、V、V12、VO、Nb、Bi、SbなどのV族金属化合物、CrO、Cr、MoO、MoS、WO、SeOなどのVI族金属化合物、MnO、MnなどのVII族金属化合物、Fe、FeO、Fe、FePO、Ni、NiO、CoO、CoOなどのVIII族金属化合物等が添加されていてもよい。さらに、ジスルフィド、ポリピロール、ポリアニリン、ポリパラフェニレン、ポリアセチレン、ポリアセン系材料などの導電性高分子化合物、擬グラファイト構造炭素質材料等を用いてもよい。
【0027】
導電剤としては、電池性能に悪影響を及ぼさない電子伝導性材料を用いることができる。例えば、天然黒鉛(鱗状黒鉛、鱗片状黒鉛、土状黒鉛など)、人造黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、カーボンウイスカー、炭素繊維、金属(銅、ニッケル、アルミニウム、銀、金など)粉、金属繊維、導電性セラミックス材料等の導電性材料を、一種またはそれらの混合物として含ませることができる。好ましくは、導電性および塗工性の観点から、アセチレンブラックが用いられる。その添加量は、正極活物質に対して1〜50質量%であることが好ましく、2〜30質量%であることがさらに好ましい。
【0028】
正極用の結着剤としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレンジエンターポリマー(EPDM)、スルホン化EPDM、スチレンブタジエンゴム(SBR)、フッ素ゴム、カルボキシメチルセルロース等の、熱可塑性樹脂、ゴム弾性を有するポリマー、多糖類等を1種または2種以上の混合物として用いることができる。また、多糖類の様にリチウムと反応する官能基を有する結着剤は、例えばメチル化するなどしてその官能基を失活させておくことが望ましい。その添加量は、正極活物質に対して1〜50質量%であることが好ましく、2〜30質量%であることがさらに好ましい。
【0029】
フィラーとしては、電池性能に悪影響を及ぼさない材料を用いることができる。例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン等のオレフィン系ポリマー、アエロジル、ゼオライト、ガラス、炭素等を用いることができる。フィラーの添加量は、正極活物質に対して0〜30質量%であることが好ましい。
【0030】
次に負極、セパレータおよび電解質について説明する。
【0031】
負極の集電体としては、銅、ニッケル、鉄、ステンレス鋼、チタン、アルミニウム、焼成炭素、導電性高分子、導電性ガラス、Al−Cd合金等の他に、接着性、導電性、耐酸化性向上の目的で、銅等の表面をカーボン、ニッケル、チタンや銀等で処理した物を用いることができる。これらのうち、還元場において安定であり、かつ電導性に優れ、安価な銅箔、ニッケル箔、鉄箔、およびそれらの一部を含む合金箔が好適に用いられる。銅箔の場合には、一般に厚さ7〜15μmのものが用いられ、好適には約10μmのものが用いられる。
【0032】
負極活物質層22は、負極活物質を主成分とし、必要に応じてさらに導電剤、結着剤、フィラー等の添加成分を含んでいる。
【0033】
負極活物質としては、Liイオンを吸蔵・放出する周知の材料を用いることができる。例えば、スピネル型結晶構造を有するチタン酸リチウム、リチウム金属、リチウム−アルミニウム、リチウム−鉛、リチウム−スズ、リチウム−アルミニウム−スズ、リチウム−ガリウム、およびウッド合金などのリチウム含有合金、さらに、天然黒鉛、人造黒鉛、無定形炭素、繊維状炭素、粉末状炭素、石油ピッチ系炭素、石炭コークス系炭素等の炭素材料が挙げられる。
さらに、炭素材料にはスズ酸化物や珪素酸化物といった金属酸化物の添加や、リンやホウ素を添加して改質を行うことも可能である。また、グラファイトとリチウム金属、リチウム含有合金などを併用することや、あらかじめ電気化学的に還元することによって、本発明に用いる炭素質材料にあらかじめリチウムを挿入することも可能である。
【0034】
負極活物質に添加可能な導電剤、結着剤、フィラーの例は正極活物質への添加成分と同じである。
【0035】
電池のセパレータには、周知の材料を用いることができる。例えば、ポリオレフィン系、ポリエステル系、ポリアクリロニトリル系、ポリフェニレンサルファイド系、ポリイミド系、フッ素樹脂系の微孔膜や不織布を用いることができる。セパレータの濡れ性が悪い場合には、界面活性剤等の処理を施すことができる。
【0036】
本実施形態のリチウムイオン電池の電解質には、周知の材料を用いることができる。例えば、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、クロロエチレンカーボネート等の環状カーボネート;γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、プロピオラクトン等の環状エステル;ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジフェニルカーボネート等の鎖状カーボネート;酢酸メチル、酪酸メチル等の鎖状エステル;テトラヒドロフラン又はその誘導体、1,3−ジオキサン、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、メトキシエトキシエタン、メチルジグライム等のエーテル類;アセトニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル類;ジオキサラン又はその誘導体等の単独又はそれら2種以上の混合物等を挙げることができる。
【0037】
次に本実施形態の電池を製造する方法を説明する。
主な工程は、正極合剤塗工用ペースト(以下「正極ペースト」という。)の調製、これの正極集電体箔上への塗工、アルミナ含有層塗工用ペースト(以下「アルミナペースト」という。)の調製、これの正極集電体箔上への塗工、正極ペーストとアルミナペーストが塗工された正極集電体箔の乾燥・プレス・切断、負極合剤塗工用ペースト(以下「負極ペースト」という。)の調製、これの負極集電体箔上への塗工、負極ペーストが塗工された負極集電体箔の乾燥・プレス・切断、正極・負極・セパレータの積層と巻回による電極体の製造、外装容器への電極体の収納、電解質の注液である。
【0038】
正極活物質に必要に応じて導電剤、結着剤、フィラー等を添加して正極合剤が調製され、正極合剤に適量の溶媒を加えることによって、塗工用の正極ペーストが調製される。
【0039】
正極ペーストの調製に用いられる溶媒の種類および添加量は、粘度、揮発性、ペーストのチキソトロピー等を考慮して決めることができる。また、2以上の溶媒を混合して添加してもよい。溶媒の例としては、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)などの有機溶媒や、結着剤を含む水などの水溶液等が挙げられる。溶媒の添加量は、正極合剤に対して、40〜60質量%であることが好ましい。
【0040】
なお、正極ペーストの調製手順は、ペーストの原料を均一に混合できる方法であれば特に限定されない。正極ペーストを調製するには、上記の正極合剤を調製した後に溶媒を加える方法の他、正極合剤の構成成分と溶媒を同時に混合して正極活物質に加える方法、結着剤を予め溶媒に溶解してから他の構成成分と混合する方法を用いてもよい。また、導電剤と溶媒をあらかじめ均一に混合し、その後に活物質と混合すると、導電剤がより均一に分散されるため、好ましい。
【0041】
帯状の正極集電体箔の両面に、正極ペーストを塗工する。塗工方法としては、例えばダイ塗工法やコンマコート法を用いて塗工することができる。このとき、集電体箔の両側端部には塗工しない部分を残す。正極ペーストの塗工厚さは、集電体箔の幅方向の厚さ分布が±5%以内、好ましくは3%以内となるようにする。厚さの平均値は、集電体箔を除いて典型的には片面で40〜130μm、両面で80〜260μmである。
【0042】
正極ペーストを帯状に塗工した両側端には、上記ほぼ一定の厚さを有するバルク領域(図1の121)から集電体箔が剥き出しの非塗工部へと、正極合剤層の厚さが漸次変化するテーパー領域(図1の122)が存在する。テーパー領域の幅は、電池の効率の観点からは狭い方が望ましい。しかし、本実施形態においては、アルミナ含有層がテーパー領域と部分的に重なり、かつバルク領域とは重ならないように形成されるので、テーパー領域はある程度の幅を有することが好ましい。アルミナ含有層塗工時の集電体箔の位置決め精度等を考えると、テーパー領域の幅は、0.2mm以上であることが好ましく、0.5mm以上であることがさらに好ましい。
【0043】
アルミナ含有層の構成成分であるγ型アルミナ粒子、必要に応じてその他の無機物および/または有機物の粉体、結着剤、および必要に応じて導電剤その他の添加剤を混合し、さらに適量の溶媒を加えることによって、塗工用のアルミナペーストが調製される。
【0044】
アルミナペーストの調製に用いられる溶媒の種類および添加量は、粘度、揮発性、チキソトロピー(チキソ性、揺変性)等を考慮して決めることができる。また、2以上の溶媒を混合して添加してもよい。溶媒の例としては、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)が挙げられる。
【0045】
なお、アルミナペーストの調製手順は、ペーストの原料を均一に混合できる方法であれば特に限定されない。例えば、上記の粉末、結着剤および導電剤を混合した後に溶媒を加えてもよいし、粉末、結着剤、導電剤および溶剤を同時に混合してもよいし、結着剤を予め溶媒に溶解してから粉末および導電剤と混合してもよい。
【0046】
次いで、正極集電体箔の両面に、先に塗工された正極ペースト層の両側端部に隣接して、アルミナペーストを塗工する。塗工方法としては、正極ペーストと同じく、例えばダイ塗工法やコンマコート法を用いることができる。このとき、アルミナペーストは正極ペースト層のテーパー領域を部分的に被覆するが、バルク領域は被覆しないことが好ましい。バルク領域を被覆すると、正極ペースト層とアルミナペースト層を合計した厚さがその部分だけ大きくなり、後のプレス工程において加圧の程度が高くなり、アルミナ含有層が伸びてしまい、あるいはその近傍に歪が残って、アルミナ含有層と正極活物質層の接合強度が損なわれるからである。
【0047】
また、正極ペースト塗工からアルミナペースト塗工までの間には、塗工された正極ペーストは常時100℃以下の環境にあることが望ましい。その場合、正極ペーストとアルミナペースト中には溶媒が残存している。特に、NMP等の高沸点溶媒を用いた場合には、溶媒の大部分がペースト中に残存した状態である。その場合、アルミナペーストを塗工するときに、正極ペーストとの界面が入り交じり、アルミナ含有層と正極活物質層の接合強度をさらに大きくすることができる。
【0048】
次いで、正極ペーストとアルミナペーストが塗工された正極は、120〜180℃で乾燥される。乾燥方法には、周知の方法を用いることができる。
【0049】
さらに、乾燥された正極は、プレス加工される。本実施形態では、正極が帯状であるため、ロールプレスが好適に用いられる。プレス加工によって正極活物質層は、典型的には、プレス前の片面で40〜130μm厚から、25〜80μm厚に圧縮される。
【0050】
このとき、アルミナ含有層が塗工された部分の厚さ(正極活物質層を被覆している部分においては、集電体箔表面からアルミナ含有層表面までの厚さ)が、プレス後の正極活物質層の厚さよりも大きければアルミナ含有層の一部はプレス加工されることとなる。アルミナ含有層が適度な圧力でプレス加工されることは、アルミナ含有層と集電体箔との密着性を向上する効果がある。しかし、アルミナ含有層が活物質層よりもかなり厚い場合には、アルミナ含有層が強くプレスされ、大きく変形してしまい、アルミナ含有層と活物質層との接合強度が損なわれ、両層が剥離するなどの問題が生じることがある。
逆に、アルミナ含有層が塗工された部分の厚さが、プレス後の正極活物質層の厚さよりも大きければアルミナ含有層はプレス加工されない。アルミナ含有層がγ型アルミナ粒子を含むと、アルミナ含有層がプレス加工されない場合であっても、集電体箔との良好な密着性と高い接合強度が得られる。アルミナ含有層の厚さは、好ましくは3〜15μmとすることができる。
【0051】
プレス工程を経た帯状の正極は、両側端部の集電体箔が露出している。この正極は、幅方向の中央を長さ方向に沿って切断され、さらに必要な長さに切断されて、電池製造の後の工程に供される。
【0052】
図1に示したように、アルミナ含有層40は、活物質層12の端部テーパー領域122と部分的に重なり、かつ活物質層のバルク領域121とは重ならず、アルミナ含有層40の厚さは活物質層12のバルク領域121の厚さよりも小さい。このような配置・寸法関係を有していれば、上記プレス加工工程において、活物質層12はプレス加工され、アルミナ含有層40はプレス加工されていないことが分かる。
【0053】
負極の作製工程は、正極の作製工程と同様である。
【0054】
負極活物質に必要に応じて導電剤、結着剤、フィラー等を添加して負極合剤が調製され、負極合剤に適量の溶媒を加えることによって、塗工用の負極ペーストが調製される。
負極ペーストの調製に用いられる溶媒の種類および添加量は、粘度、揮発性、チキソトロピー(チキソ性、揺変性)等を考慮して決められる。また、2以上の溶媒を混合して添加されることがある。溶媒の例としては、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)等が挙げられる。なお、負極ペーストの調製手順が、ペーストの原料を均一に混合できる方法であれば特に限定されないことは、正極ペーストの場合と同様である。
【0055】
帯状の負極集電体箔の両面に、負極ペーストを塗工する。塗工方法としては、例えば、ダイ塗工法を用いることができる。このとき、集電体箔の両側端部には塗工しない部分を残す。負極ペーストの塗工厚さは、集電体箔の幅方向の厚さ分布が±5%以内、好ましくは3%以内となるようにする。厚さの平均値は、典型的には片面50〜100μmである。
次いで、負極ペーストが塗工された集電体箔を、120〜180℃で乾燥する。乾燥方法には、周知の方法を用いることができる。
乾燥された負極は、プレス加工される。本実施形態では、負極が帯状であるため、ロールプレスが好適に用いられる。プレス加工によって負極活物質層の厚さは、典型的には、プレス前の50〜100μmから30〜60μmに圧縮される。
プレス加工された負極は、さらに、正極と同様に幅方向の中央を長さ方向に沿って切断され、必要な長さに切断される。
【0056】
以上のようにして作製された正極と負極を、セパレータを介して積層、巻回し、外装容器に収容し、前記非水電解質を注液、含浸し、初期充放電サイクル工程を経て、本実施形態のリチウムイオン二次電池を作製することができる。
【0057】
本実施形態におけるアルミナ含有層は、短絡防止層としての機能を有する。
図3に示したように、アルミナ含有層40は正極集電体箔11上に直接接して形成され、隣り合う負極20の活物質層22および集電体箔21の端縁と、セパレータ30を介して対面している。これによって、アルミナ含有層40は正極集電体箔11と負極との短絡を防止する機能を有している。そして、アルミナ含有層40は、γ型アルミナ粒子を含むことによって正極集電体箔11との接合強度に優れ、電池の製造時や使用時にも、剥離・脱落しにくいという効果が得られる。
【0058】
また、アルミナ含有層40を負極活物質層22の端縁とセパレータを介して対面する位置に形成することによって、正極集電体箔11と負極との短絡を効果的に防止することができる。活物質層の端縁は活物質が剥離・脱落しやすい。また、集電体箔に活物質層が塗工・乾燥・プレスされた後に切断された部分、すなわち活物質層と集電体箔の端縁部では、活物質が剥離・脱落しやすいことに加えて、集電体箔のバリ(切断の際に縁にはみ出た余分な部分)が残りやすい。そのため、活物質層の端縁部や集電体箔の切断部は、短絡が起こりやすい場所だからである。
【0059】
本発明は上記の実施形態に限られるものではない。
例えば、上記第1の実施形態においては巻回電極体を有するリチウムイオン電池について説明したが、本発明の電池は、いずれも枚葉式の正極、負極およびセパレータを積層し、巻回しない電極体を有するものであってもよい。また、本発明に係る電池は、アルカリ蓄電池等の水溶液を電解液とするものであってもよいし、リチウム金属箔を負極とするリチウム一次電池やリチウム二次電池であってもよい。
【0060】
また、アルミナ含有層が形成される部材や、アルミナ含有層が電極に形成される場合におけるその電極の形態やアルミナ含有層が形成される位置に関しても、本発明の技術的思想の範囲内で種々の実施形態が可能である。
【0061】
他の実施形態では、アルミナ含有層はセパレータ上に形成されていてもよい。図4では、アルミナ含有層40はセパレータ30の両面に形成されている。アルミナ含有層40はセパレータ30の片面に形成されているのでもよい。
なお、図4〜10において、図3と同じ部材を示すものには同じ番号を付した。
【0062】
また、他の実施形態では、アルミナ含有層は負極上に形成されていてもよい。図5では、アルミナ含有層40は負極20上の負極活物質層22の直上に形成されている。この場合でも、アルミナ含有層が短絡防止層として機能し、γ型アルミナ粒子を含むアルミナ含有層は負極活物質層との接合強度が高いのでアルミナ含有層が剥離、脱落しにくいという効果を有する。
【0063】
また、電極体を形成する電極は、リチウム金属又はリチウムと合金化可能な金属箔のみからなるものであってもよい。図6に示す実施形態では、負極60が金属箔のみで構成されている。また、図6ではアルミナ含有層40は正極10上に形成されているが、これは負極60上に形成されていてもよい。
【0064】
また、電極体を形成する電極は、発泡金属からなる集電体に活物質を充填したものであってもよい。図7に示す実施形態では、正極70および負極80が、発泡金属からなる集電体に活物質72、82を充填して形成されている。その端部には集電端子に接続できるように、活物質が充填されておらず押しつぶされた部分があり(71、81)、この部分に、アルミナ含有層40が集電体に直接接して、形成されている。
【0065】
また、他の実施形態では、アルミナ含有層は集電体箔と活物質層の間に形成されていてもよい。図8では、右側のアルミナ含有層40は、正極集電体箔11と正極活物質層12の間に形成されている。活物質層の端縁や、活物質層塗工後に集電体箔とともに切断した切断部では、活物質が剥離・脱落しやすいが、これは、活物質層−集電体箔間の接合強度が弱いからである。図8では、この部分にγ型アルミナ粒子を含むアルミナ含有層40が設けられ、アルミナ含有層40−集電体箔11間およびアルミナ含有層40−活物質層12間の優れた接合強度によって、活物質層が剥離・脱落しにくくなる。なお、アルミナ含有層40には導電剤を添加しておくことが好ましい。活物質層12と集電体箔11との間の導通を確保して、活物質の利用効率の低下を抑えるためである。
【0066】
また、上記第1の実施形態では、アルミナ含有層40が活物質層12に隣接して形成されているが、図9では、アルミナ含有層40と活物質層12とは接していない。このような構成であっても、本発明の目的とする作用効果を得ることができる。
【0067】
また、上記第1の実施形態では、正極集電体箔上に活物質ペーストを塗工した後に、アルミナペーストを塗工したが、この両ペーストの塗工の順番は反対でもよい。図10では、アルミナ含有層40が正極集電体箔11上に直接接して形成されており、さらに活物質層12がアルミナ含有層40の端部に少し被さって形成されている。
【0068】
また、第1の実施形態では、負極活物質層の端縁とセパレータを介して対面する位置の正極上にアルミナ含有層を設けたが、負極活物質層の端縁と対面する位置のみならず、正極活物質層表面全体を覆うようにアルミナ含有層を設けてもよい。正極活物質層を覆うようにアルミナ含有層を設けることによって、電池内に導電性微粒子等が混入し、セパレータを突き破った場合にも、正極と負極との短絡による異常な発熱を防止することができる。また、セパレータ表面全体又は負極活物質層表面全体を覆うようにアルミナ含有層を設けてもよい。
【0069】
〔実験例〕
以下に、本発明のアルミナ含有層がγ型アルミナ粒子を含むことの効果を、実験結果に基づいて説明する。以下の実験例では、組成を変えていくつかのアルミナペーストを調製し、正極集電体箔として用いられるアルミニウム箔上に塗工して、アルミナ含有層とアルミニウム箔の接合強度を測定した。
【0070】
アルミナ含有層とアルミニウム箔との接合強度は、180度剥離試験で求めた剥離強度によって評価した。アルミナ含有層を上に向けてアルミニウム箔を水平に置き、幅18mmの粘着テープをアルミナ含有層に貼り付ける。粘着テープの一端を折り返し、アルミナ含有層に張り付けた方向から180度反転方向に引いて、アルミナ含有層をアルミニウム箔から引き剥がす。テープに付着したアルミナ含有層が上面になるように、アルミニウム箔と平行にテープを引き続け、テープを引く力をフォースゲージ(加重測定器)で測定して、その平均値を剥離強度とした。
【0071】
また、各実験例の説明において、アルミナ粒子のかさ密度は、株式会社セイシン企業製タップデンサーKYT−4000を用いて測定した。また、アルミナ粒子の比表面積は、QUANTACHROME INSTRUMENTS社製の比表面積測定装置QUADRASORBを用い、不活性気体吸着BET法によって測定した。
【0072】
実験例1では、一次粒径の中央値(以下、単に「粒径」という。)が5nm、比表面積が96m/g、タップ密度が0.04g/cmのγ型アルミナ粒子2.1kgを、結着剤であるポリフッ化ビニリデン(PVDF)を12%含有したNMP溶液21.39kg(PVDF量として2.567kg)にNMP6.0kgを加えて希釈した液に混合し、均一に分散させて、スラリー状のアルミナ含有ペーストとした。この場合、NMPは最終的には蒸発してなくなるので、アルミナ含有層中のPVDF含有比率は2.567/(2.1+2.567)=55質量%となる。このペーストを厚さ20μmのアルミニウム箔上に、ダイコート法によって幅4.5mm、厚さ10μmに塗工し、140℃で2分乾燥した。なお、乾燥後にアルミナ含有層のプレス加工は行っていない。
【0073】
実験例2は、実験例1で用いたγ型アルミナ粒子をボールミルでさらに粉砕したものを用いた他は、実験例1と同じ材料および条件で行った。γ型アルミナ粒子の粒径は1nm、比表面積は130m/g、タップ密度は0.02g/cmであった。
実験例3は、γ型アルミナ粒子として、粒径が7nm、比表面積が234m/g、タップ密度が0.08g/cmのものを用いた他は、実験例1と同じ材料および条件で行った。
実験例4は、γ型アルミナ粒子として、粒径が10nm、比表面積が231m/g、タップ密度0.6g/cmのものを用いた他は、実験例1と同じ材料および条件で行った。
実験例11は、アルミナ含有層に、粒径が100nm、比表面積が14m/g、タップ密度が0.9g/cmのα型アルミナ粒子を用いた他は、実験例1と同じ材料および条件で行った。
【0074】
実験例5は、アルミナ含有層のPVDF含有比率が60質量%である他は、実験例1と同じ材料および条件で行った。
実験例6は、アルミナ含有層のPVDF含有比率が50質量%である他は、実験例1と同じ材料および条件で行った。
実験例7は、アルミナ含有層のPVDF含有比率が45質量%である他は、実験例1と同じ材料および条件で行った。
実験例12は、アルミナ含有層のPVDF含有比率が40質量%である他は、実験例1と同じ材料および条件で行った。
実験例13は、アルミナ含有層のPVDF含有比率が35質量%である他は、実験例1と同じ材料および条件で行った。
【0075】
実験例14は、アルミナ含有層の結着剤としてPVDFの代わりにポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を用いた他は、実験例1と同じ材料および条件で行った。
【0076】
実験例15は、アルミナ含有層のPVDF含有比率が40質量%である他は、実験例11と同じ材料および条件で行った。
実験例16は、アルミナ含有層のPVDF含有比率が35質量%である他は、実験例11と同じ材料および条件で行った。
実験例17は、アルミナ含有層の結着剤としてPVDFの代わりにPTFEを用いた他は、実験例11と同じ材料および条件で行った。
【0077】
表1に結果を示す。表中、一次粒子径は前述の方法で測定した一次粒子径の中央値である。また、剥離強度は、直接の測定値は重量グラムで表されるので、これをニュートン(N)に換算して小数点以下2桁で示した。すなわち、1重量グラムは9.80665×10−3Nに等しいから、例えば実験例1では、580重量グラム=5.69Nの如くである。
【0078】
実験例1〜4および実験例11の結果から、アルミナ含有層にγ型アルミナ粒子を用いた場合には、剥離強度が大きいことが分かる。また、アルミナの一次粒子径が小さいほど、BET比表面積が大きいほど、タップ密度が小さいほど、剥離強度が大きいことが分かる。一次粒子径が1〜10nmの場合に剥離強度は約4N以上となり、1〜7nmの場合に約5N以上となっている。タップ密度が0.02〜0.6g/cmの場合に剥離強度が約4N以上となっている。
【0079】
また、実験例12〜14と実験例15〜17をそれぞれ比較することによっても、アルミナ含有層にγ型アルミナ粒子を用いる方が、剥離強度が大きいことが分かる。
【0080】
実験例1と実験例14の比較から、結着剤としてPVDFを用いる方が剥離強度が大きいことが分かる。実験例1(結着剤はPVDF)では剥離強度が約5.7Nと大きいのに対して、実験例14(結着剤はPTFE)では剥離強度は約0.2Nであった。
また、実験例1と実験例14で調製した試料を、65℃のリチウムイオン電池用電解液中で180日放置したところ、実験例14の試料ではアルミナ含有層とアルミニウム箔が剥離した。一方、実験例1の試料では、180日放置後に剥離強度を測定すると、約5.5Nの剥離強度を維持していた。
【0081】
実験例1、5〜7、12、13の比較によって、結着剤であるPVDFの含有比率が45質量%以上である場合には、剥離強度が大きいことが分かる。含有比率が45〜60質量%の場合に剥離強度は約4N以上となり、50〜60質量%の場合に約5N以上となっている。
【0082】
【表1】

【符号の説明】
【0083】
1 巻回電極体
10 正極
11 正極集電体箔
12 正極活物質層
20 負極
21 負極集電体箔
22 負極活物質層
30 セパレータ
40 アルミナ含有層
60 金属負極
70 正極
71 正極の発泡金属集電体(端子接続部)
72 正極の発泡金属集電体に正極活物質合剤を充填した部分
80 負極
81 負極の発泡金属集電体(端子接続部)
82 負極の発泡金属集電体に負極活物質合剤を充填した部分
121 正極活物質層のバルク領域
122 正極活物質層の端部テーパー領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極と負極とセパレータとが積層された積層電極体を備え、
前記正極、前記負極および前記セパレータのうちの少なくとも1つの部材に、γ型アルミナ粒子を含むアルミナ含有層が形成されている
ことを特徴とする電池。
【請求項2】
前記積層電極体が、巻回電極体である
請求項1に記載の電池。
【請求項3】
前記アルミナ含有層が、少なくとも前記正極に形成されている
ことを特徴とする請求項1または2に記載の電池。
【請求項4】
前記アルミナ含有層が前記正極または前記負極に形成されており、
該アルミナ含有層が、該アルミナ含有層が形成されている電極とセパレータを介して隣り合う極性の異なる電極の活物質層の端縁と、セパレータを介して相対している
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の電池。
【請求項5】
前記アルミナ含有層が形成されている電極が集電体と活物質層を有し、
該アルミナ含有層が集電体上に直接接して形成されている
ことを特徴とする請求項3または4に記載の電池。
【請求項6】
前記アルミナ含有層が前記集電体箔上に直接接し、かつ前記活物質層に隣接して形成されている
ことを特徴とする請求項5に記載の電池。
【請求項7】
前記アルミナ含有層の厚さが、該アルミナ含有層が形成されている集電体箔の同一面上に形成されている活物質層の厚さよりも小さい
ことを特徴とする請求項6に記載の電池。
【請求項8】
前記正極および負極の活物質層はプレス加工されており、
前記アルミナ含有層はプレス加工されていない
ことを特徴とする請求項6に記載の電池。
【請求項9】
前記アルミナ含有層が、ポリフッ化ビニリデンを含む
ことを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の電池。
【請求項10】
前記アルミナ含有層が、ポリフッ化ビニリデンを45質量%以上、60質量%以下含む
ことを特徴とする請求項9に記載の電池。
【請求項11】
前記γ型アルミナ粒子は、1次粒子径の中央値が1nm以上、10nm以下である
ことを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の電池。
【請求項12】
前記アルミナ含有層は、実質的にγ型アルミナ粒子とポリフッ化ビニリデンからなる
ことを特徴とする請求項9〜11のいずれか一項に記載の電池。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−74359(P2012−74359A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−160801(P2011−160801)
【出願日】平成23年7月22日(2011.7.22)
【出願人】(507151526)株式会社GSユアサ (375)
【Fターム(参考)】