電源装置、及びこれを用いた液晶表示装置
【課題】 オペアンプ回路1、2から成るウインドウコンパレータを用いた液晶駆動電源装置に於いて、オペアンプ回路が持つオフセットの影響でウインドウがキャンセルされ、出力バッファ5を構成するPチャネルMOSトランジスタQ100とNチャネルMOSトランジスタQ200に貫通電流が流れることを防止する。
【解決手段】 PチャネルMOSトランジスタQ100がオン状態のときにNチャネルMOSトランジスタQ200のゲートを接地レベルに落とし、これによってNチャネルMOSトランジスタQ200をオフ状態にする貫通電流防止用トランジスタ3(NチャネルMOSトランジスタQ300)を設ける。
【解決手段】 PチャネルMOSトランジスタQ100がオン状態のときにNチャネルMOSトランジスタQ200のゲートを接地レベルに落とし、これによってNチャネルMOSトランジスタQ200をオフ状態にする貫通電流防止用トランジスタ3(NチャネルMOSトランジスタQ300)を設ける。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電源ノードに印加される電源電圧と接地ノードに印加される接地電圧との間の中間電圧を発生させる構成の電源装置に係るものであり、更に述べるならば、液晶表示駆動装置に駆動用電源電圧を供給する液晶駆動電源装置に用いて特に好適な電源装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図8に一般的な液晶表示装置のブロック構成図を示す。図において、4500は液晶パネル、4100はYドライバ、4200はXドライバ、4300は制御回路、4400は、前記Yドライバ4100及びXドライバ4200に駆動用基準電源を供給する電源回路である。
【0003】図9に、抵抗分割により基準電源を出力する従来の電源回路の一例を示す。この回路は、複数のブリーダ抵抗R1、R2、…、Rnにより、電源(VEE)−接地(GND)間を分割し、例えば、基準電源電圧V0〜V4を得るよう構成されている。
【0004】また、図10に示すように、抵抗分割した後、オペアンプ回路を介してインピーダンス変換を行い、各分圧電圧を安定化した後、出力する構成のものもある。この構成においては、画素数が多くなると負荷容量が大きくなり、液晶駆動用電源のインピーダンスが高いと液晶出力波形にノイズがのり、その結果、表示品位が低下するのを、オペアンプを介して低インピーダンス化を図ることにより、未然に防ぐことを目的としているものである。
【0005】上記の何れの回路構成に於いても、基準電源電圧の安定化を図るためには、ブリーダ抵抗の抵抗値を小さくすることが望ましいが、そのことは、電源回路における消費電力の増大を招く。また、図10の電源回路においては、オペアンプで液晶表示用に充分な給電量を確保しようとした場合、オペアンプ回路内の定電流回路に流れる電流を、ある程度、大きくしなければならず、このことが、低消費電力化の大きな妨げとなっていた。上記オペアンプ回路の一般的な回路構成例を図11に示す。
【0006】そこで、基本構成として図9の構成を採用しながら、ブリーダ抵抗の抵抗値を高くしても、出力電圧の安定化を図ることが可能な電源回路が特開昭55−146487号公報において開示されている。
【0007】図12に、上記特開昭55−146487の電源回路を示す。この回路は、高抵抗により分圧電圧を得ると共に、許容値を超える電圧変動を検出し、MOSトランジスタにより上記変動を抑えようとするものである。
【0008】図において、Eは電源である。直列抵抗R1〜R3は、電源電圧(−E=−V3)を3等分した中間電圧(−V1、−V2)を生成する抵抗分圧回路である。上記分圧電圧(−V1、−V2)を中心として、各々変動許容値を設定する基準電圧(−VH1、−VL1)、(−VH2、−VL2)を直列抵抗R4〜R8による分圧回路で生成する(−VH1(2)=−V1(2)+△V、−VL1(2)=−V1(2)−△V;△Vは変動許容値)。
【0009】そして、上記基準電圧−VH1を反転入力(−)に印加し、分圧電圧(−V1)を非反転入力(+)に印加したオペアンプ回路1と、この出力で制御される、分圧出力点と電源電圧(−V3)との間に接続されたNチャネルMOSトランジスタQ2とを設け、前記出力電圧(−V1)の上記基準電圧(−VH1)を超える変動に対して、MOSトランジスタQ2をオンさせることにより、正方向に許容値を超える出力変動を抑える。
【0010】一方、上記基準電圧−VL1を反転入力(−)に印加し、分圧電圧(−V1)を非反転入力(+)に印加したオペアンプ回路2と、この出力で制御される、分圧出力点と接地電位(V0)との間に接続されたPチャネルMOSトランジスタQ1とを設け、前記出力電圧(−V1)の上記基準電圧(−VL1)を超える変動に対して、MOSトランジスタQ1をオンさせることにより、負方向に許容値を超える出力変動を抑える。
【0011】上記出力電圧(−V2)の変動に対しても同様の構成により許容値を超える変動を防止する。すなわち、上記基準電圧−VH2を反転入力(−)に印加し、分圧電圧(−V2)を非反転入力(+)に印加したオペアンプ回路3と、この出力で制御される、分圧出力点と電源電圧(−V3)との間に接続されたNチャネルMOSトランジスタQ4とを設け、前記出力電圧(−V2)の上記基準電圧(−VH2)を超える変動に対して、MOSトランジスタQ4をオンさせることにより、正方向に許容値を超える出力変動を抑える。
【0012】一方、上記基準電圧−VL2を反転入力(−)に印加し、分圧電圧(−V2)を非反転入力(+)に印加したオペアンプ回路4と、この出力で制御される、分圧出力点と接地電位(V0)との間に接続されたPチャネルMOSトランジスタQ3とを設け、前記出力電圧(−V2)の上記基準電圧(−VL2)を超える変動に対して、MOSトランジスタQ3をオンさせることにより、負方向に許容値を超える出力変動を抑える。
【0013】これにより、出力電圧(−V1及び−V2)の変動は、許容電圧幅2・△V内に抑えられものである。
【0014】なお、基準電圧発生回路の出力インピーダンスは、オペアンプ出力が低インピーダンスであるため、高インピーダンスであっても問題ないことにより、直列抵抗R4〜R8は高抵抗により構成でき、この部分の消費電流も極めて小さく抑えることができるものである。また、オペアンプ回路は、許容値を超える出力変動時にのみダイナミック駆動されること等により、その消費電流も極めて小さい。更に、PチャネルMOSトランジスタQ1及びNチャネルMOSトランジスタQ2、また、PチャネルMOSトランジスタQ3及びNチャネルMOSトランジスタQ4が同時にオンとなることもなく、貫通電流の発生を防ぐことが可能である。
【0015】以上により、低消費電力で、且つ、その出力電圧も安定な電源回路が提供されるものである。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従来技術に於いては、回路構成素子の特性ばらつきに起因する、以下に示す問題点があった。
【0017】該問題点について、以下に説明する。図11R>1および図13を用いて説明を行うものとする。なお、図13は、上記図12と同様の構成による電源回路の一部分を示し、例えば基準電源電圧V4を発生するように構成されているものとする。
【0018】図13において、通常、図11に示す一般的なオペアンプ回路は、差動入力トランジスタ(+)、(−)のしきい値電圧差(△Vth)によって生じるオフセット電圧((差動入力+)−(差動入力−))を持っている。このオフセット電圧は、例えば、プロセス製造段階に於ける、トランジスタのゲート領域のシリコン基板への不純物のイオン注入バラツキによって発生する。
【0019】例えば、図13に示したオペアンプ回路において、2個のオペアンプ回路1および2が持つオフセット電圧が、同一方向へばらついた場合は、特に問題とならないが、2個のオペアンプ回路1および2が持つオフセット電圧の総和が、基準電圧発生回路4内のブリーダ抵抗で発生されるウインドウ幅電圧(Va−Vb)を打ち消す方向にばらついた場合、すなわち、下記の表1に示すように、それぞれのオフセット電圧が逆方向にばらついた場合は、ウインドウ幅が小さくなり、出力バッファ部5のPチャネルMOSトランジスタQ100とNチャネルMOSトランジスタQ200とが、同時にオンし易くなるため、貫通電流が、より流れ易くなり、その結果、出力電圧が不安定となるため、期待値の出力レベルに対して、その出力レベルが低下し、例えば、電源投入時、液晶表示画面が立ち上がらない等の問題があった。
【0020】
【表1】
表1は、ウインドウ幅電圧を100mVに設定したが、オフセット電圧が逆方向にばらついたため、ウインドウ幅電圧が60mVと狭くなってしまった場合を示している。更に、ウインドウ幅電圧が無くなると、トランジスタQ100とQ200とが同時にオンする状態となる。
【0021】本発明は、従来技術に於ける上記問題点を解決できる電源装置を得るべく成されたものである。
【0022】
【課題を解決するための手段】本発明の電源装置は、電源ノードに印加される電源電圧と接地ノードに印加される接地電圧との間の中間電圧を発生させる構成の電源装置であって、上記電源ノードと上記接地ノードとの間に接続された基準電圧発生用の複数の抵抗により、上記中間電圧の変動許容範囲の上限値及び下限値となる上限基準電圧及び下限基準電圧を発生させる基準電圧発生手段と、上記中間電圧と、上記上限基準電圧および下限基準電圧とを比較し、比較結果を出力する電圧比較手段と、上記電源ノードおよび接地ノードと上記中間電圧出力ノードとの間に、それぞれ接続され、上記電圧比較手段の出力によって導通制御されて、上記中間電圧の上記上限または下限基準電圧を超える変動を防止する一対のスイッチング手段とを有して成る電源装置に於いて、上記一対のスイッチング手段を介して、上記電源ノードと接地ノード間に生じる貫通電流を抑制するための貫通電流抑制手段を設けて成ることを特徴とするものである。
【0023】また、本発明の電源装置は、上記電源装置に於いて、上記電圧比較手段は、差動増幅回路とソースホロワ回路とで構成され、上記一対のスイッチング手段は、PチャネルMOSトランジスタとNチャネルMOSトランジスタとの直列回路で構成され、上記各々の回路部の電流経路に、それぞれMOSトランジスタから成るスイッチング手段が設けられ、該各スイッチング手段は、外部から供給される制御信号により導通・遮断が制御されることを特徴とするものである。
【0024】更に、本発明に係る液晶表示装置は、液晶パネルと、該液晶パネルに駆動信号を出力する液晶表示駆動装置と、該液晶表示駆動装置に駆動用電源電圧を供給する電源装置とを含んで構成される液晶表示装置に於いて、その電源装置として、上記の各電源装置を用いて成ることを特徴とするものである。
【0025】かかる本発明の電源装置によれば、貫通電流抑制手段により、出力電圧変動防止用の一対のスイッチング手段に生じる貫通電流を抑制することができる。したがって、出力電圧を、より高精度に安定化することが可能となるとともに、消費電力のより一層の低減化を達成することができるものである。
【0026】また、本発明の液晶表示装置によれば、高表示品位を有するとともに、低消費電力の液晶表示装置を提供することができるものである。
【0027】
【発明の実施の形態】以下、実施形態に基づいて本発明を詳細に説明する。
【0028】図1は、本発明の第1の実施形態の液晶駆動用電源装置の要部構成を示す構成図である。図に示す通り、図12(図13)に示す従来回路の構成を基本構成として有し、この回路構成に、貫通電流防止用トランジスタ3(NチャネルMOSトランジスタ300)を付加した構成となっているものである。なお、図1は、本実施形態の電源装置の一部分を示しているものであり、発生させる中間電圧の個数に応じて、同様の構成の回路が複数個設けられる構成となっているものであることは言うまでもない。
【0029】以下、詳細に説明する。この回路は、複数のブリーダ抵抗で構成され、所定のウインドウ幅電圧を規定する各基準電圧Vna、Vnbを発生させる基準電圧発生回路4と、2つのオペアンプ回路1及び2と、PチャネルMOSトランジスタQ100とNチャネルMOSトランジスタQ200とから成る出力バッファ5と、NチャネルMOSトランジスタQ300により構成される貫通電流防止用トランジスタ3とにより構成されている。
【0030】PチャネルMOSトランジスタQ100のソースは電源VEEに、NチャネルMOSトランジスタQ200のソースはGNDに接続されており、また、PチャネルMOSトランジスタQ100およびNチャネルMOSトランジスタQ200のゲートは、それぞれ、オペアンプ回路2および1の出力に接続されている。また、PチャネルMOSトランジスタQ100及びNチャネルMOSトランジスタQ200のドレインは共に中間電圧出力端子Vnに接続されており、更に、該出力端子Vnはオペアンプ回路1及び2の一方の非反転入力端子(+)に接続されている。また、オペアンプ回路1及び2の他方の反転入力端子(−)は、それぞれ、基準電圧発生回路4内のウインドウ幅電圧発生用ブリーダ抵抗の両端の各基準電圧発生端子VnaおよびVnbに接続されている。
【0031】貫通電流防止用トランジスタ3を構成するNチャネルMOSトランジスタQ300のソースはGNDに接続され、ゲートは、以下で説明するオペアンプ回路2内の差動増幅回路20の出力に接続され、ドレインは、出力バッファ5のNチャネルMOSトランジスタQ200のゲートとオペアンプ回路1の出力とに接続される構成となっている。
【0032】図2は、上記図1の回路構成をトランジスタレベルで示した回路構成図であり、以下、図2の回路について、その構成と動作を説明する。
【0033】オペアンプ回路1および2は、それぞれ、差動増幅回路20と出力バッファ30とを含んで構成された、同一構成のものである。オペアンプ回路1および2には、反転入力端子(−)および非反転入力端子(+)と、バイアス入力端子BIASと、出力端子OUTとが設けられている。差動増幅回路20は、PチャネルMOSトランジスタを差動対とする差動増幅回路であり、PチャネルMOSトランジスタTp1、Tp2およびTp3と、NチャネルMOSトランジスタTn1およびTn2とを含んで構成される。なお、本明細書に於いては、以後、NチャネルMOSトランジスタ及びPチャネルMOSトランジスタを、単に「トランジスタ」と称することがある。
【0034】トランジスタTp1のゲートは反転入力端子(−)に接続され、反転入力電圧として、前記VnaまたはVnbの基準電圧が供給される。トランジスタTp2のゲートは非反転入力端子(+)に接続され、出力バッファ5の出力端子Vnより出力される中間電圧が供給される。トランジスタTn1およびTn2は、トランジスタTp1およびTp2の能動負荷であり、それぞれのソースは接地(GND)されている。トランジスタTp3のゲートは、バイアス入力端子BIASに接続されており、予め定める電圧レベルのバイアス電圧が与えられる。トランジスタTp3のソースは電源VEEに接続されており、ドレインはトランジスタTp1およびTp2の各ソースに共通に接続されている。このトランジスタTp3は、トランジスタTp1およびTp2に適当なバイアス電流を与えるための定電流源である。
【0035】出力バッファ30においては、出力トランジスタTn3のゲートに差動増幅回路20におけるトランジスタTp2のドレインの電位が与えられる。出力トランジスタTn3のソースには接地電圧が与えられ、前記ドレイン電圧に基づいて電流が流れる。この電流は、それぞれ、出力端子OUTを介して、出力バッファ5のNチャネルMOSトランジスタQ200またはPチャネルMOSトランジスタQ100のゲートへと与えられる。なお、トランジスタTp4は、定電流源負荷として動作する。また、トランジスタTn3のゲート−ドレイン間に接続されるコンデンサは位相補償用のものである。
【0036】以上に説明したオペアンプ回路の構成並びに動作は既知のものである。
【0037】貫通電流防止用トランジスタ3を構成するNチャネルMOSトランジスタQ300のゲートには、オペアンプ回路2を構成する出力バッファ30のトランジスタTn3のゲートと同じく、オペアンプ回路2を構成する差動増幅回路20のトランジスタTp2のドレインの電位が与えられる構成となっている。
【0038】以下、前記オペアンプ回路の動作について説明する。
【0039】非反転入力端子に入力された出力電圧Vnの電圧レベルに応じてトランジスタTp2に流れる電流量が制御される。また、反転入力端子の電圧Vnaの電圧レベルによって、トランジスタTp1からトランジスタTn1とTn2で構成されるカレントミラー回路を介して流れる電流量を制御することで、出力トランジスタTn3に流れる電流量が変化する。例えば、反転入力端子の電圧Vnaの電圧レベルに対して非反転入力端子の電圧Vnの電圧レベルが高い場合は(Vna<Vn)、出力トランジスタTn3に流れる電流が減少する。また、反転入力端子の電圧Vnaの電圧レベルに対して非反転入力端子の電圧Vnの電圧レベルが低い場合は(Vna>Vn)、出力トランジスタTn3に流れる電流が増加する。出力トランジスタTn3に流れる電流は、バイアス入力端子BIASからのバイアス電圧によってトランジスタTp4に流れる負荷電流と比較され、この比較結果に基づいて、出力端子OUTから出力される電圧が変化する。
【0040】以上が、前記オペアンプ回路の動作説明である。そして、従来回路と同様に、出力電圧Vnに対し、該出力電圧Vnが変化しない場合は出力バッファ5のPチャネルMOSトランジスタQ100とNチャネルMOSトランジスタQ200はオンしないため電流は流れないが、上記基準電圧Vnaを超える変動に対して、出力バッファ5のNチャネルMOSトランジスタQ200をオンさせることにより、正方向に許容値を超える出力変動を抑える。
【0041】一方、出力電圧Vnに於ける上記基準電圧Vnbを超える変動に対しては、出力バッファ5のPチャネルMOSトランジスタQ100をオンさせることにより、負方向に許容値を超える出力変動を抑える。
【0042】しかしながら、前述の[発明が解決しようとする課題]の項でも述べた通り、2個のオペアンプ回路1および2のオフセット電圧の総和が、基準電圧発生回路4のブリーダ抵抗で発生されるウインドウ幅電圧(Vna−Vnb)を打ち消す方向にばらついた場合は、出力バッファ5のPチャネルMOSトランジスタQ100とNチャネルMOSトランジスタQ200とが、同時に、よりオンし易くなるため貫通電流が流れ易くなる。
【0043】本実施形態は、上記従来の回路構成を基に、貫通電流を防止するため貫通電流防止用トランジスタ3を付加した構成となっている。
【0044】次に、この貫通電流防止用トランジスタ3の構成、並びに動作について説明する。
【0045】貫通電流防止用トランジスタ3はNチャネルMOSトランジスタQ300で構成され、トランジスタQ300において、そのソースは接地(GND)され、ゲートはオペアンプ回路2内のトランジスタTp2のドレインに接続され、ドレインにはオペアンプ回路1内の出力OUTの電位が与えられる構成となっている。
【0046】この貫通電流防止用トランジスタ3は、出力バッファ5を構成するトランジスタQ100とQ200とが同時にオンしないように、トランジスタQ100がオンしている時は、トランジスタQ200をオフするように動作するものである。
【0047】オペアンプ回路2のOUT端子がゲートに接続されているトランジスタQ100がオン状態(すなわち、オペアンプ回路2のトランジスタTn3がオン状態であり、Tp4及びTn3に電流が流れている状態)の時、同じLSIチップ内であり特性も似ているNチャンネルMOSトランジスタQ300のゲートもトランジスタTn3のゲートと同じ電位であることから同様にオンする。そして、トランジスタQ300がオンすることにより、トランジスタQ200のゲートとオペアンプ回路1のOUT端子の電位を接地レベルにする。これにより、NチャンネルMOSトランジスタQ200は強制的にオフ状態となり、トランジスタQ100とQ200とは同時にオンすることはなく、よって、不要な貫通電流の発生を防ぐことができるものである。
【0048】以上に説明したように、本実施形態によれば、2個のオペアンプ回路1、2が持つオフセット電圧の総和が、基準電圧発生回路4内のブリーダ抵抗で発生されるウインド幅電圧(Vna−Vnb)を打ち消す消す方向にばらついた場合においても、貫通電流防止用トランジスタ3により出力バッファ5におけるPチャネルMOSトランジスタQ100とNチャネルMOSトランジスタQ200とによる貫通電流の発生を防ぐことが可能である。これにより、低消費電力で、且つ、その出力電圧も安定な液晶駆動用電源回路が提供されるものである。
【0049】以上で、本発明の第1の実施形態についての説明を終わる。
【0050】次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
【0051】図3は、本発明の第2の実施形態の液晶駆動用電源装置の要部構成を示す構成図、図4は、図3の回路構成をトランジスタレベルで示した回路構成図である。
【0052】図に示すように、差動増幅回路20と、出力バッファ(ソースホロワ回路)30と、PチャネルMOSトランジスタQ100とNチャネルMOSトランジスタQ200とから成る出力バッファ5の各々の回路構成部の電流経路に、MOSトランジスタから成るスイッチング手段が設けられ、上記各スイッチング手段は、外部から供給される制御信号CONT・CONTBにより導通・遮断できる構成とし、動作不要時における無駄な電力消費を防止できる構成となっている。すなわち、この第2の実施形態は、制御信号CONT(CONTBは、信号CONTの反転信号)を追加して、外部から、この制御信号CONTにより、オペアンプ回路1及び2、出力バッファ5の電流経路を導通もしくは遮断するものである。この実施形態では、制御信号CONTがハイレベルの時、回路は通常動作を行い、CONTがロウレベルの時、回路内の電流経路を遮断することになる。
【0053】なお、この制御信号CONT及びCONTBは共通信号として、出力電圧Vn(n=0、1、2、3、…)を発生する回路全てに供給される。
【0054】先の第1の実施形態の回路構成に、定電流源を切り離すため、トランジスタTp3、Tp4、Q100のドレイン側にPチャンネルMOSトランジスタTp100、Tp101、Tp102を挿入し、これらトランジスタのゲートには制御信号CONTBが入力されている。CONTBをハイレベル(CONTがロウレベル)にすると、トランジスタTp100、Tp101、Tp102がオフ状態となり、回路を流れる電流は遮断される。
【0055】これで十分であるが、更に、トランジスタTn3のゲートにNチャネルMOSトランジスタTn100を、また、トランジスタQ200のドレイン側にNチャネルMOSトランジスタTn101を挿入し、トランジスタTn100のゲートには制御信号CONTBを、一方、トランジスタTn101のゲートには制御信号CONTを入力してもよい。これにより、回路内の電流経路を完全に遮断することができる。すなわち、CONTがロウレベル(CONTBがハイレベル)時に、トランジスタTn101がオフ状態となり、出力バッファ5の電流経路は遮断され、一方、トランジスタTn100はオン状態となり、トランジスタTn3のゲートを接地レベルにすることで、トランジスタTn3をオフ状態にし、出力バッファ30の電流経路を遮断する。
【0056】これにより、制御信号CONT及びこの反転信号であるCONTBにより、差動増幅器20、出力バッファ回路(ソースホロア回路)30及び出力バッファ回路5の各々の回路構成部の電流経路の導通もしくは遮断を制御することができ、動作不要時における無駄な電力消費を防止することができる。
【0057】以上で、第2の実施形態についての説明を終わる。
【0058】次に、本発明の第3の実施形態について説明する。
【0059】図5は、本発明の第3の実施形態の液晶駆動用電源装置の要部構成を示す構成図、図6は、図5の回路構成をトランジスタレベルで示した回路構成図である。
【0060】本実施形態の電源回路は、複数のブリーダ抵抗で構成され、所定のウインドウ幅電圧を規定する各基準電圧(Vna、Vnb)を発生させる基準電圧発生回路14と、2つのオペアンプ回路11及び12と、PチャネルMOSトランジスタQ400とNチャネルMOSトランジスタQ500とから成る出力バッファ15と、PチャネルMOSトランジスタQ600により構成される貫通電流防止用トランジスタ13とにより構成されている。
【0061】PチャネルMOSトランジスタQ400のソースは電源VEEに、NチャネルMOSトランジスタQ500のソースはGNDに接続されており、また、PチャネルMOSトランジスタQ400およびNチャネルMOSトランジスタQ500のゲートは、それぞれ、オペアンプ回路11および12の出力に接続されている。また、PチャネルMOSトランジスタQ400及びNチャネルMOSトランジスタQ500のドレインは共に中間電圧出力端子Vnに接続されており、また、該出力端子Vnはオペアンプ回路1及び2の一方の非反転入力端子(+)に接続されている。また、オペアンプ回路11及び12の他方の反転入力端子(−)は、それぞれ、基準電圧発生回路14内のブリーダ抵抗の両端の各基準電圧発生端子VnbおよびVnaに接続されている。
【0062】貫通電流防止用トランジスタ13を構成するPチャネルMOSトランジスタQ600のソースは電源VEEに接続され、ゲートはオペアンプ回路12内の差動増幅回路20の出力OUTに接続され、ドレインは出力バッファ15のPチャネルMOSトランジスタQ400のゲートとオペアンプ回路11の出力OUTとに接続される構成となっている。
【0063】本実施形態は、上記第1の実施形態に於いて、NチャネルMOSトランジスタとPチャネルMOSトランジスタとを置き換えた回路構成としているものである(Tni→Tp1i、Tpi→Tn1i)。動作的には、図1および図2に示した第1の実施形態と基本的には同一であるので、詳細な説明は省略する。
【0064】貫通電流防止用トランジスタ13は、出力バッファ15を構成するトランジスタQ400とQ500とが同時にオンしないように、トランジスタQ500がオンしている時は、トランジスタQ400をオフするように動作するものである。
【0065】オペアンプ回路12のOUT端子がゲートに接続されているトランジスタQ500がオン状態(すなわち、オペアンプ回路12のトランジスタTp13がオン状態であり、Tp13及びTn14に電流が流れている状態)の時、同じLSIチップ内であり特性も似ているPチャンネルMOSトランジスタQ600もTp13のゲートと同じ電位であることから同様にオンする。そして、トランジスタQ600がオンすることにより、トランジスタQ400のゲートとオペアンプ回路11のOUT端子の電位を電源電圧レベルにする。これにより、PチャンネルMOSトランジスタQ400は強制的にオフ状態となり、トランジスタQ400とQ500とは同時にオンすることはなく、よって、不要な貫通電流の発生を防ぐことができるものである。
【0066】以上で第3の実施形態についての説明を終わる。
【0067】以上、第1の実施形態、第2の実施形態、及び第3の実施形態で説明した電源回路の出力Vn(n=0、1、2、3、…)は、先に説明した電源回路(図1212を参照)のように、出力段にブリーダ抵抗(図12では、R1、R2、R3)を設置してもよいし、単に、出力端子Vnと接地間に容量を設置して電圧を平坦化する構成でもよい。
【0068】また、上記の説明は液晶表示装置を例に行ったが、本発明は、液晶表示装置に限らず他の表示装置の電源回路や一般の電源回路にも適用可能であることは言うまでもない。
【0069】本発明によれば、不要な消費電流を削減可能であることから、特に携帯用機器で使用される表示駆動用等の電源回路に極めて有効である。
【0070】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明によれば、貫通電流の発生を抑制できることにより、低消費電力で、且つ、その出力電圧も安定な電源回路が提供されるものである。
【0071】本発明の効果は、以下の説明でさらに明らかとなる。近年、市場が拡大している携帯電話を例に説明する。
【0072】携帯電話の表示機能は、年々拡張されており、これに使用される液晶表示パネルも大型化し、これに伴い制御回路やドライバ回路等の駆動回路の回路も増加している。これらの増大は消費電力の増加を伴い、電池駆動である携帯電話の電池に大きな負担をかけることになる。したがって、無駄な消費電流は極力削減することが必至となる。
【0073】携帯電話は、その性格上、頻繁に電源をオン/オフする。オフ時には電池部と回路部の間のスイッチ部をオフにし、電流が流れないように遮断しているが、オフからオンに切り変えると、電池部と回路部が接続され、まず、昇圧回路により電池電圧は昇圧され、その昇圧された電圧は、先に説明した基準電圧発生回路4の電源電圧VEEとして入力され、後は先述の動作を行うことになる。
【0074】ここで、図7に示すように、オフからオン(0からVEE)に立ち上がる際の遷移期間中、最初、設定のVEEより電圧が低いためウィンドウ幅は当然狭い状態となる。このため、従来の電源回路では瞬間的に出力バッファ5のトランジスタQ100とQ200が同時にオン状態となり貫通電流が流れていた。携帯電話はオン/オフの切り換えが多いことから、この遷移状態時の貫通電流による電池の消耗への影響は無視できないものであった。
【0075】本発明は、この貫通電流をなくすことで低消費電力化を図り、電池駆動でも長時間駆動可能な表示装置駆動用電源回路を提供することができるものである。
【0076】また、第2の発明を用いて、例えば、制御信号CONTを、先の遷移期間中、ロウレベルにし、電源回路に流れる電流を遮断し、電源回路へ供給する電源電圧が安定した後、制御信号CONTをハイレベルにすることで、初期の電源立ち上がり時に於ける不要な消費電流を無くすことができる(図7参照)。
【0077】本発明の電源回路により、瞬間的ではあるが大電流である貫通電流をなくすことは、昇圧された電源電圧の立ち上がりを迅速にし安定した電圧レベルに速やかに達することができることから、電源投入後の速やかな表示を実現できることになるものである。
【0078】また、本発明による回路増加はほとんどなく、LSIチップサイズの増加やこれに伴うコストアップはないと共に、本電源回路を、例えば、液晶表示装置に於けるドライバ回路ICや制御回路IC等に内蔵させ1チップ化することに対しても何ら問題はないものである。
【0079】以上のように、本発明の効果は極めて大なるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態の液晶駆動用電源装置の要部構成を示す構成図である。
【図2】図1の回路をトランジスタレベルで示した回路構成図である。
【図3】本発明の第2の実施形態の液晶駆動用電源装置の要部構成を示す構成図である。
【図4】図3の回路をトランジスタレベルで示した回路構成図である。
【図5】本発明の第3の実施形態の液晶駆動用電源装置の要部構成を示す構成図である。
【図6】図5の回路をトランジスタレベルで示した回路構成図である。
【図7】本発明の効果の説明に供する電圧・信号波形図である。
【図8】一般的な液晶表示装置のブロック構成図である。
【図9】抵抗分割により基準電源を出力する従来の電源回路の一例を示す回路図である。
【図10】抵抗分割した後、オペアンプ回路を介して基準電源を出力する従来の電源回路の一例を示す回路図である。
【図11】一般的なオペアンプ回路の構成をを示す回路図である。
【図12】特開昭55−146487号公報に開示される電源回路を示す回路図である。
【図13】基準電源V4の電源回路部分を示す回路図である。
【符号の説明】
1、2 オペアンプ回路
3 貫通電流防止用トランジスタ
4 基準電圧発生回路
5 出力バッファ
Q100 PチャネルMOSトランジスタ
Q200、Q300 NチャネルMOSトランジスタ
20 差動増幅回路
30 出力バッファ(ソースホロア回路)
Tp100、Tp101、Tp102 PチャネルMOSトランジスタ
Tn100、Tn101 NチャネルMOSトランジスタ
11、12 オペアンプ回路
13 貫通電流防止用トランジスタ
14 基準電圧発生回路
15 出力バッファ
Q400、Q600 PチャネルMOSトランジスタ
Q500 NチャネルMOSトランジスタ
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電源ノードに印加される電源電圧と接地ノードに印加される接地電圧との間の中間電圧を発生させる構成の電源装置に係るものであり、更に述べるならば、液晶表示駆動装置に駆動用電源電圧を供給する液晶駆動電源装置に用いて特に好適な電源装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図8に一般的な液晶表示装置のブロック構成図を示す。図において、4500は液晶パネル、4100はYドライバ、4200はXドライバ、4300は制御回路、4400は、前記Yドライバ4100及びXドライバ4200に駆動用基準電源を供給する電源回路である。
【0003】図9に、抵抗分割により基準電源を出力する従来の電源回路の一例を示す。この回路は、複数のブリーダ抵抗R1、R2、…、Rnにより、電源(VEE)−接地(GND)間を分割し、例えば、基準電源電圧V0〜V4を得るよう構成されている。
【0004】また、図10に示すように、抵抗分割した後、オペアンプ回路を介してインピーダンス変換を行い、各分圧電圧を安定化した後、出力する構成のものもある。この構成においては、画素数が多くなると負荷容量が大きくなり、液晶駆動用電源のインピーダンスが高いと液晶出力波形にノイズがのり、その結果、表示品位が低下するのを、オペアンプを介して低インピーダンス化を図ることにより、未然に防ぐことを目的としているものである。
【0005】上記の何れの回路構成に於いても、基準電源電圧の安定化を図るためには、ブリーダ抵抗の抵抗値を小さくすることが望ましいが、そのことは、電源回路における消費電力の増大を招く。また、図10の電源回路においては、オペアンプで液晶表示用に充分な給電量を確保しようとした場合、オペアンプ回路内の定電流回路に流れる電流を、ある程度、大きくしなければならず、このことが、低消費電力化の大きな妨げとなっていた。上記オペアンプ回路の一般的な回路構成例を図11に示す。
【0006】そこで、基本構成として図9の構成を採用しながら、ブリーダ抵抗の抵抗値を高くしても、出力電圧の安定化を図ることが可能な電源回路が特開昭55−146487号公報において開示されている。
【0007】図12に、上記特開昭55−146487の電源回路を示す。この回路は、高抵抗により分圧電圧を得ると共に、許容値を超える電圧変動を検出し、MOSトランジスタにより上記変動を抑えようとするものである。
【0008】図において、Eは電源である。直列抵抗R1〜R3は、電源電圧(−E=−V3)を3等分した中間電圧(−V1、−V2)を生成する抵抗分圧回路である。上記分圧電圧(−V1、−V2)を中心として、各々変動許容値を設定する基準電圧(−VH1、−VL1)、(−VH2、−VL2)を直列抵抗R4〜R8による分圧回路で生成する(−VH1(2)=−V1(2)+△V、−VL1(2)=−V1(2)−△V;△Vは変動許容値)。
【0009】そして、上記基準電圧−VH1を反転入力(−)に印加し、分圧電圧(−V1)を非反転入力(+)に印加したオペアンプ回路1と、この出力で制御される、分圧出力点と電源電圧(−V3)との間に接続されたNチャネルMOSトランジスタQ2とを設け、前記出力電圧(−V1)の上記基準電圧(−VH1)を超える変動に対して、MOSトランジスタQ2をオンさせることにより、正方向に許容値を超える出力変動を抑える。
【0010】一方、上記基準電圧−VL1を反転入力(−)に印加し、分圧電圧(−V1)を非反転入力(+)に印加したオペアンプ回路2と、この出力で制御される、分圧出力点と接地電位(V0)との間に接続されたPチャネルMOSトランジスタQ1とを設け、前記出力電圧(−V1)の上記基準電圧(−VL1)を超える変動に対して、MOSトランジスタQ1をオンさせることにより、負方向に許容値を超える出力変動を抑える。
【0011】上記出力電圧(−V2)の変動に対しても同様の構成により許容値を超える変動を防止する。すなわち、上記基準電圧−VH2を反転入力(−)に印加し、分圧電圧(−V2)を非反転入力(+)に印加したオペアンプ回路3と、この出力で制御される、分圧出力点と電源電圧(−V3)との間に接続されたNチャネルMOSトランジスタQ4とを設け、前記出力電圧(−V2)の上記基準電圧(−VH2)を超える変動に対して、MOSトランジスタQ4をオンさせることにより、正方向に許容値を超える出力変動を抑える。
【0012】一方、上記基準電圧−VL2を反転入力(−)に印加し、分圧電圧(−V2)を非反転入力(+)に印加したオペアンプ回路4と、この出力で制御される、分圧出力点と接地電位(V0)との間に接続されたPチャネルMOSトランジスタQ3とを設け、前記出力電圧(−V2)の上記基準電圧(−VL2)を超える変動に対して、MOSトランジスタQ3をオンさせることにより、負方向に許容値を超える出力変動を抑える。
【0013】これにより、出力電圧(−V1及び−V2)の変動は、許容電圧幅2・△V内に抑えられものである。
【0014】なお、基準電圧発生回路の出力インピーダンスは、オペアンプ出力が低インピーダンスであるため、高インピーダンスであっても問題ないことにより、直列抵抗R4〜R8は高抵抗により構成でき、この部分の消費電流も極めて小さく抑えることができるものである。また、オペアンプ回路は、許容値を超える出力変動時にのみダイナミック駆動されること等により、その消費電流も極めて小さい。更に、PチャネルMOSトランジスタQ1及びNチャネルMOSトランジスタQ2、また、PチャネルMOSトランジスタQ3及びNチャネルMOSトランジスタQ4が同時にオンとなることもなく、貫通電流の発生を防ぐことが可能である。
【0015】以上により、低消費電力で、且つ、その出力電圧も安定な電源回路が提供されるものである。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従来技術に於いては、回路構成素子の特性ばらつきに起因する、以下に示す問題点があった。
【0017】該問題点について、以下に説明する。図11R>1および図13を用いて説明を行うものとする。なお、図13は、上記図12と同様の構成による電源回路の一部分を示し、例えば基準電源電圧V4を発生するように構成されているものとする。
【0018】図13において、通常、図11に示す一般的なオペアンプ回路は、差動入力トランジスタ(+)、(−)のしきい値電圧差(△Vth)によって生じるオフセット電圧((差動入力+)−(差動入力−))を持っている。このオフセット電圧は、例えば、プロセス製造段階に於ける、トランジスタのゲート領域のシリコン基板への不純物のイオン注入バラツキによって発生する。
【0019】例えば、図13に示したオペアンプ回路において、2個のオペアンプ回路1および2が持つオフセット電圧が、同一方向へばらついた場合は、特に問題とならないが、2個のオペアンプ回路1および2が持つオフセット電圧の総和が、基準電圧発生回路4内のブリーダ抵抗で発生されるウインドウ幅電圧(Va−Vb)を打ち消す方向にばらついた場合、すなわち、下記の表1に示すように、それぞれのオフセット電圧が逆方向にばらついた場合は、ウインドウ幅が小さくなり、出力バッファ部5のPチャネルMOSトランジスタQ100とNチャネルMOSトランジスタQ200とが、同時にオンし易くなるため、貫通電流が、より流れ易くなり、その結果、出力電圧が不安定となるため、期待値の出力レベルに対して、その出力レベルが低下し、例えば、電源投入時、液晶表示画面が立ち上がらない等の問題があった。
【0020】
【表1】
表1は、ウインドウ幅電圧を100mVに設定したが、オフセット電圧が逆方向にばらついたため、ウインドウ幅電圧が60mVと狭くなってしまった場合を示している。更に、ウインドウ幅電圧が無くなると、トランジスタQ100とQ200とが同時にオンする状態となる。
【0021】本発明は、従来技術に於ける上記問題点を解決できる電源装置を得るべく成されたものである。
【0022】
【課題を解決するための手段】本発明の電源装置は、電源ノードに印加される電源電圧と接地ノードに印加される接地電圧との間の中間電圧を発生させる構成の電源装置であって、上記電源ノードと上記接地ノードとの間に接続された基準電圧発生用の複数の抵抗により、上記中間電圧の変動許容範囲の上限値及び下限値となる上限基準電圧及び下限基準電圧を発生させる基準電圧発生手段と、上記中間電圧と、上記上限基準電圧および下限基準電圧とを比較し、比較結果を出力する電圧比較手段と、上記電源ノードおよび接地ノードと上記中間電圧出力ノードとの間に、それぞれ接続され、上記電圧比較手段の出力によって導通制御されて、上記中間電圧の上記上限または下限基準電圧を超える変動を防止する一対のスイッチング手段とを有して成る電源装置に於いて、上記一対のスイッチング手段を介して、上記電源ノードと接地ノード間に生じる貫通電流を抑制するための貫通電流抑制手段を設けて成ることを特徴とするものである。
【0023】また、本発明の電源装置は、上記電源装置に於いて、上記電圧比較手段は、差動増幅回路とソースホロワ回路とで構成され、上記一対のスイッチング手段は、PチャネルMOSトランジスタとNチャネルMOSトランジスタとの直列回路で構成され、上記各々の回路部の電流経路に、それぞれMOSトランジスタから成るスイッチング手段が設けられ、該各スイッチング手段は、外部から供給される制御信号により導通・遮断が制御されることを特徴とするものである。
【0024】更に、本発明に係る液晶表示装置は、液晶パネルと、該液晶パネルに駆動信号を出力する液晶表示駆動装置と、該液晶表示駆動装置に駆動用電源電圧を供給する電源装置とを含んで構成される液晶表示装置に於いて、その電源装置として、上記の各電源装置を用いて成ることを特徴とするものである。
【0025】かかる本発明の電源装置によれば、貫通電流抑制手段により、出力電圧変動防止用の一対のスイッチング手段に生じる貫通電流を抑制することができる。したがって、出力電圧を、より高精度に安定化することが可能となるとともに、消費電力のより一層の低減化を達成することができるものである。
【0026】また、本発明の液晶表示装置によれば、高表示品位を有するとともに、低消費電力の液晶表示装置を提供することができるものである。
【0027】
【発明の実施の形態】以下、実施形態に基づいて本発明を詳細に説明する。
【0028】図1は、本発明の第1の実施形態の液晶駆動用電源装置の要部構成を示す構成図である。図に示す通り、図12(図13)に示す従来回路の構成を基本構成として有し、この回路構成に、貫通電流防止用トランジスタ3(NチャネルMOSトランジスタ300)を付加した構成となっているものである。なお、図1は、本実施形態の電源装置の一部分を示しているものであり、発生させる中間電圧の個数に応じて、同様の構成の回路が複数個設けられる構成となっているものであることは言うまでもない。
【0029】以下、詳細に説明する。この回路は、複数のブリーダ抵抗で構成され、所定のウインドウ幅電圧を規定する各基準電圧Vna、Vnbを発生させる基準電圧発生回路4と、2つのオペアンプ回路1及び2と、PチャネルMOSトランジスタQ100とNチャネルMOSトランジスタQ200とから成る出力バッファ5と、NチャネルMOSトランジスタQ300により構成される貫通電流防止用トランジスタ3とにより構成されている。
【0030】PチャネルMOSトランジスタQ100のソースは電源VEEに、NチャネルMOSトランジスタQ200のソースはGNDに接続されており、また、PチャネルMOSトランジスタQ100およびNチャネルMOSトランジスタQ200のゲートは、それぞれ、オペアンプ回路2および1の出力に接続されている。また、PチャネルMOSトランジスタQ100及びNチャネルMOSトランジスタQ200のドレインは共に中間電圧出力端子Vnに接続されており、更に、該出力端子Vnはオペアンプ回路1及び2の一方の非反転入力端子(+)に接続されている。また、オペアンプ回路1及び2の他方の反転入力端子(−)は、それぞれ、基準電圧発生回路4内のウインドウ幅電圧発生用ブリーダ抵抗の両端の各基準電圧発生端子VnaおよびVnbに接続されている。
【0031】貫通電流防止用トランジスタ3を構成するNチャネルMOSトランジスタQ300のソースはGNDに接続され、ゲートは、以下で説明するオペアンプ回路2内の差動増幅回路20の出力に接続され、ドレインは、出力バッファ5のNチャネルMOSトランジスタQ200のゲートとオペアンプ回路1の出力とに接続される構成となっている。
【0032】図2は、上記図1の回路構成をトランジスタレベルで示した回路構成図であり、以下、図2の回路について、その構成と動作を説明する。
【0033】オペアンプ回路1および2は、それぞれ、差動増幅回路20と出力バッファ30とを含んで構成された、同一構成のものである。オペアンプ回路1および2には、反転入力端子(−)および非反転入力端子(+)と、バイアス入力端子BIASと、出力端子OUTとが設けられている。差動増幅回路20は、PチャネルMOSトランジスタを差動対とする差動増幅回路であり、PチャネルMOSトランジスタTp1、Tp2およびTp3と、NチャネルMOSトランジスタTn1およびTn2とを含んで構成される。なお、本明細書に於いては、以後、NチャネルMOSトランジスタ及びPチャネルMOSトランジスタを、単に「トランジスタ」と称することがある。
【0034】トランジスタTp1のゲートは反転入力端子(−)に接続され、反転入力電圧として、前記VnaまたはVnbの基準電圧が供給される。トランジスタTp2のゲートは非反転入力端子(+)に接続され、出力バッファ5の出力端子Vnより出力される中間電圧が供給される。トランジスタTn1およびTn2は、トランジスタTp1およびTp2の能動負荷であり、それぞれのソースは接地(GND)されている。トランジスタTp3のゲートは、バイアス入力端子BIASに接続されており、予め定める電圧レベルのバイアス電圧が与えられる。トランジスタTp3のソースは電源VEEに接続されており、ドレインはトランジスタTp1およびTp2の各ソースに共通に接続されている。このトランジスタTp3は、トランジスタTp1およびTp2に適当なバイアス電流を与えるための定電流源である。
【0035】出力バッファ30においては、出力トランジスタTn3のゲートに差動増幅回路20におけるトランジスタTp2のドレインの電位が与えられる。出力トランジスタTn3のソースには接地電圧が与えられ、前記ドレイン電圧に基づいて電流が流れる。この電流は、それぞれ、出力端子OUTを介して、出力バッファ5のNチャネルMOSトランジスタQ200またはPチャネルMOSトランジスタQ100のゲートへと与えられる。なお、トランジスタTp4は、定電流源負荷として動作する。また、トランジスタTn3のゲート−ドレイン間に接続されるコンデンサは位相補償用のものである。
【0036】以上に説明したオペアンプ回路の構成並びに動作は既知のものである。
【0037】貫通電流防止用トランジスタ3を構成するNチャネルMOSトランジスタQ300のゲートには、オペアンプ回路2を構成する出力バッファ30のトランジスタTn3のゲートと同じく、オペアンプ回路2を構成する差動増幅回路20のトランジスタTp2のドレインの電位が与えられる構成となっている。
【0038】以下、前記オペアンプ回路の動作について説明する。
【0039】非反転入力端子に入力された出力電圧Vnの電圧レベルに応じてトランジスタTp2に流れる電流量が制御される。また、反転入力端子の電圧Vnaの電圧レベルによって、トランジスタTp1からトランジスタTn1とTn2で構成されるカレントミラー回路を介して流れる電流量を制御することで、出力トランジスタTn3に流れる電流量が変化する。例えば、反転入力端子の電圧Vnaの電圧レベルに対して非反転入力端子の電圧Vnの電圧レベルが高い場合は(Vna<Vn)、出力トランジスタTn3に流れる電流が減少する。また、反転入力端子の電圧Vnaの電圧レベルに対して非反転入力端子の電圧Vnの電圧レベルが低い場合は(Vna>Vn)、出力トランジスタTn3に流れる電流が増加する。出力トランジスタTn3に流れる電流は、バイアス入力端子BIASからのバイアス電圧によってトランジスタTp4に流れる負荷電流と比較され、この比較結果に基づいて、出力端子OUTから出力される電圧が変化する。
【0040】以上が、前記オペアンプ回路の動作説明である。そして、従来回路と同様に、出力電圧Vnに対し、該出力電圧Vnが変化しない場合は出力バッファ5のPチャネルMOSトランジスタQ100とNチャネルMOSトランジスタQ200はオンしないため電流は流れないが、上記基準電圧Vnaを超える変動に対して、出力バッファ5のNチャネルMOSトランジスタQ200をオンさせることにより、正方向に許容値を超える出力変動を抑える。
【0041】一方、出力電圧Vnに於ける上記基準電圧Vnbを超える変動に対しては、出力バッファ5のPチャネルMOSトランジスタQ100をオンさせることにより、負方向に許容値を超える出力変動を抑える。
【0042】しかしながら、前述の[発明が解決しようとする課題]の項でも述べた通り、2個のオペアンプ回路1および2のオフセット電圧の総和が、基準電圧発生回路4のブリーダ抵抗で発生されるウインドウ幅電圧(Vna−Vnb)を打ち消す方向にばらついた場合は、出力バッファ5のPチャネルMOSトランジスタQ100とNチャネルMOSトランジスタQ200とが、同時に、よりオンし易くなるため貫通電流が流れ易くなる。
【0043】本実施形態は、上記従来の回路構成を基に、貫通電流を防止するため貫通電流防止用トランジスタ3を付加した構成となっている。
【0044】次に、この貫通電流防止用トランジスタ3の構成、並びに動作について説明する。
【0045】貫通電流防止用トランジスタ3はNチャネルMOSトランジスタQ300で構成され、トランジスタQ300において、そのソースは接地(GND)され、ゲートはオペアンプ回路2内のトランジスタTp2のドレインに接続され、ドレインにはオペアンプ回路1内の出力OUTの電位が与えられる構成となっている。
【0046】この貫通電流防止用トランジスタ3は、出力バッファ5を構成するトランジスタQ100とQ200とが同時にオンしないように、トランジスタQ100がオンしている時は、トランジスタQ200をオフするように動作するものである。
【0047】オペアンプ回路2のOUT端子がゲートに接続されているトランジスタQ100がオン状態(すなわち、オペアンプ回路2のトランジスタTn3がオン状態であり、Tp4及びTn3に電流が流れている状態)の時、同じLSIチップ内であり特性も似ているNチャンネルMOSトランジスタQ300のゲートもトランジスタTn3のゲートと同じ電位であることから同様にオンする。そして、トランジスタQ300がオンすることにより、トランジスタQ200のゲートとオペアンプ回路1のOUT端子の電位を接地レベルにする。これにより、NチャンネルMOSトランジスタQ200は強制的にオフ状態となり、トランジスタQ100とQ200とは同時にオンすることはなく、よって、不要な貫通電流の発生を防ぐことができるものである。
【0048】以上に説明したように、本実施形態によれば、2個のオペアンプ回路1、2が持つオフセット電圧の総和が、基準電圧発生回路4内のブリーダ抵抗で発生されるウインド幅電圧(Vna−Vnb)を打ち消す消す方向にばらついた場合においても、貫通電流防止用トランジスタ3により出力バッファ5におけるPチャネルMOSトランジスタQ100とNチャネルMOSトランジスタQ200とによる貫通電流の発生を防ぐことが可能である。これにより、低消費電力で、且つ、その出力電圧も安定な液晶駆動用電源回路が提供されるものである。
【0049】以上で、本発明の第1の実施形態についての説明を終わる。
【0050】次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
【0051】図3は、本発明の第2の実施形態の液晶駆動用電源装置の要部構成を示す構成図、図4は、図3の回路構成をトランジスタレベルで示した回路構成図である。
【0052】図に示すように、差動増幅回路20と、出力バッファ(ソースホロワ回路)30と、PチャネルMOSトランジスタQ100とNチャネルMOSトランジスタQ200とから成る出力バッファ5の各々の回路構成部の電流経路に、MOSトランジスタから成るスイッチング手段が設けられ、上記各スイッチング手段は、外部から供給される制御信号CONT・CONTBにより導通・遮断できる構成とし、動作不要時における無駄な電力消費を防止できる構成となっている。すなわち、この第2の実施形態は、制御信号CONT(CONTBは、信号CONTの反転信号)を追加して、外部から、この制御信号CONTにより、オペアンプ回路1及び2、出力バッファ5の電流経路を導通もしくは遮断するものである。この実施形態では、制御信号CONTがハイレベルの時、回路は通常動作を行い、CONTがロウレベルの時、回路内の電流経路を遮断することになる。
【0053】なお、この制御信号CONT及びCONTBは共通信号として、出力電圧Vn(n=0、1、2、3、…)を発生する回路全てに供給される。
【0054】先の第1の実施形態の回路構成に、定電流源を切り離すため、トランジスタTp3、Tp4、Q100のドレイン側にPチャンネルMOSトランジスタTp100、Tp101、Tp102を挿入し、これらトランジスタのゲートには制御信号CONTBが入力されている。CONTBをハイレベル(CONTがロウレベル)にすると、トランジスタTp100、Tp101、Tp102がオフ状態となり、回路を流れる電流は遮断される。
【0055】これで十分であるが、更に、トランジスタTn3のゲートにNチャネルMOSトランジスタTn100を、また、トランジスタQ200のドレイン側にNチャネルMOSトランジスタTn101を挿入し、トランジスタTn100のゲートには制御信号CONTBを、一方、トランジスタTn101のゲートには制御信号CONTを入力してもよい。これにより、回路内の電流経路を完全に遮断することができる。すなわち、CONTがロウレベル(CONTBがハイレベル)時に、トランジスタTn101がオフ状態となり、出力バッファ5の電流経路は遮断され、一方、トランジスタTn100はオン状態となり、トランジスタTn3のゲートを接地レベルにすることで、トランジスタTn3をオフ状態にし、出力バッファ30の電流経路を遮断する。
【0056】これにより、制御信号CONT及びこの反転信号であるCONTBにより、差動増幅器20、出力バッファ回路(ソースホロア回路)30及び出力バッファ回路5の各々の回路構成部の電流経路の導通もしくは遮断を制御することができ、動作不要時における無駄な電力消費を防止することができる。
【0057】以上で、第2の実施形態についての説明を終わる。
【0058】次に、本発明の第3の実施形態について説明する。
【0059】図5は、本発明の第3の実施形態の液晶駆動用電源装置の要部構成を示す構成図、図6は、図5の回路構成をトランジスタレベルで示した回路構成図である。
【0060】本実施形態の電源回路は、複数のブリーダ抵抗で構成され、所定のウインドウ幅電圧を規定する各基準電圧(Vna、Vnb)を発生させる基準電圧発生回路14と、2つのオペアンプ回路11及び12と、PチャネルMOSトランジスタQ400とNチャネルMOSトランジスタQ500とから成る出力バッファ15と、PチャネルMOSトランジスタQ600により構成される貫通電流防止用トランジスタ13とにより構成されている。
【0061】PチャネルMOSトランジスタQ400のソースは電源VEEに、NチャネルMOSトランジスタQ500のソースはGNDに接続されており、また、PチャネルMOSトランジスタQ400およびNチャネルMOSトランジスタQ500のゲートは、それぞれ、オペアンプ回路11および12の出力に接続されている。また、PチャネルMOSトランジスタQ400及びNチャネルMOSトランジスタQ500のドレインは共に中間電圧出力端子Vnに接続されており、また、該出力端子Vnはオペアンプ回路1及び2の一方の非反転入力端子(+)に接続されている。また、オペアンプ回路11及び12の他方の反転入力端子(−)は、それぞれ、基準電圧発生回路14内のブリーダ抵抗の両端の各基準電圧発生端子VnbおよびVnaに接続されている。
【0062】貫通電流防止用トランジスタ13を構成するPチャネルMOSトランジスタQ600のソースは電源VEEに接続され、ゲートはオペアンプ回路12内の差動増幅回路20の出力OUTに接続され、ドレインは出力バッファ15のPチャネルMOSトランジスタQ400のゲートとオペアンプ回路11の出力OUTとに接続される構成となっている。
【0063】本実施形態は、上記第1の実施形態に於いて、NチャネルMOSトランジスタとPチャネルMOSトランジスタとを置き換えた回路構成としているものである(Tni→Tp1i、Tpi→Tn1i)。動作的には、図1および図2に示した第1の実施形態と基本的には同一であるので、詳細な説明は省略する。
【0064】貫通電流防止用トランジスタ13は、出力バッファ15を構成するトランジスタQ400とQ500とが同時にオンしないように、トランジスタQ500がオンしている時は、トランジスタQ400をオフするように動作するものである。
【0065】オペアンプ回路12のOUT端子がゲートに接続されているトランジスタQ500がオン状態(すなわち、オペアンプ回路12のトランジスタTp13がオン状態であり、Tp13及びTn14に電流が流れている状態)の時、同じLSIチップ内であり特性も似ているPチャンネルMOSトランジスタQ600もTp13のゲートと同じ電位であることから同様にオンする。そして、トランジスタQ600がオンすることにより、トランジスタQ400のゲートとオペアンプ回路11のOUT端子の電位を電源電圧レベルにする。これにより、PチャンネルMOSトランジスタQ400は強制的にオフ状態となり、トランジスタQ400とQ500とは同時にオンすることはなく、よって、不要な貫通電流の発生を防ぐことができるものである。
【0066】以上で第3の実施形態についての説明を終わる。
【0067】以上、第1の実施形態、第2の実施形態、及び第3の実施形態で説明した電源回路の出力Vn(n=0、1、2、3、…)は、先に説明した電源回路(図1212を参照)のように、出力段にブリーダ抵抗(図12では、R1、R2、R3)を設置してもよいし、単に、出力端子Vnと接地間に容量を設置して電圧を平坦化する構成でもよい。
【0068】また、上記の説明は液晶表示装置を例に行ったが、本発明は、液晶表示装置に限らず他の表示装置の電源回路や一般の電源回路にも適用可能であることは言うまでもない。
【0069】本発明によれば、不要な消費電流を削減可能であることから、特に携帯用機器で使用される表示駆動用等の電源回路に極めて有効である。
【0070】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明によれば、貫通電流の発生を抑制できることにより、低消費電力で、且つ、その出力電圧も安定な電源回路が提供されるものである。
【0071】本発明の効果は、以下の説明でさらに明らかとなる。近年、市場が拡大している携帯電話を例に説明する。
【0072】携帯電話の表示機能は、年々拡張されており、これに使用される液晶表示パネルも大型化し、これに伴い制御回路やドライバ回路等の駆動回路の回路も増加している。これらの増大は消費電力の増加を伴い、電池駆動である携帯電話の電池に大きな負担をかけることになる。したがって、無駄な消費電流は極力削減することが必至となる。
【0073】携帯電話は、その性格上、頻繁に電源をオン/オフする。オフ時には電池部と回路部の間のスイッチ部をオフにし、電流が流れないように遮断しているが、オフからオンに切り変えると、電池部と回路部が接続され、まず、昇圧回路により電池電圧は昇圧され、その昇圧された電圧は、先に説明した基準電圧発生回路4の電源電圧VEEとして入力され、後は先述の動作を行うことになる。
【0074】ここで、図7に示すように、オフからオン(0からVEE)に立ち上がる際の遷移期間中、最初、設定のVEEより電圧が低いためウィンドウ幅は当然狭い状態となる。このため、従来の電源回路では瞬間的に出力バッファ5のトランジスタQ100とQ200が同時にオン状態となり貫通電流が流れていた。携帯電話はオン/オフの切り換えが多いことから、この遷移状態時の貫通電流による電池の消耗への影響は無視できないものであった。
【0075】本発明は、この貫通電流をなくすことで低消費電力化を図り、電池駆動でも長時間駆動可能な表示装置駆動用電源回路を提供することができるものである。
【0076】また、第2の発明を用いて、例えば、制御信号CONTを、先の遷移期間中、ロウレベルにし、電源回路に流れる電流を遮断し、電源回路へ供給する電源電圧が安定した後、制御信号CONTをハイレベルにすることで、初期の電源立ち上がり時に於ける不要な消費電流を無くすことができる(図7参照)。
【0077】本発明の電源回路により、瞬間的ではあるが大電流である貫通電流をなくすことは、昇圧された電源電圧の立ち上がりを迅速にし安定した電圧レベルに速やかに達することができることから、電源投入後の速やかな表示を実現できることになるものである。
【0078】また、本発明による回路増加はほとんどなく、LSIチップサイズの増加やこれに伴うコストアップはないと共に、本電源回路を、例えば、液晶表示装置に於けるドライバ回路ICや制御回路IC等に内蔵させ1チップ化することに対しても何ら問題はないものである。
【0079】以上のように、本発明の効果は極めて大なるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態の液晶駆動用電源装置の要部構成を示す構成図である。
【図2】図1の回路をトランジスタレベルで示した回路構成図である。
【図3】本発明の第2の実施形態の液晶駆動用電源装置の要部構成を示す構成図である。
【図4】図3の回路をトランジスタレベルで示した回路構成図である。
【図5】本発明の第3の実施形態の液晶駆動用電源装置の要部構成を示す構成図である。
【図6】図5の回路をトランジスタレベルで示した回路構成図である。
【図7】本発明の効果の説明に供する電圧・信号波形図である。
【図8】一般的な液晶表示装置のブロック構成図である。
【図9】抵抗分割により基準電源を出力する従来の電源回路の一例を示す回路図である。
【図10】抵抗分割した後、オペアンプ回路を介して基準電源を出力する従来の電源回路の一例を示す回路図である。
【図11】一般的なオペアンプ回路の構成をを示す回路図である。
【図12】特開昭55−146487号公報に開示される電源回路を示す回路図である。
【図13】基準電源V4の電源回路部分を示す回路図である。
【符号の説明】
1、2 オペアンプ回路
3 貫通電流防止用トランジスタ
4 基準電圧発生回路
5 出力バッファ
Q100 PチャネルMOSトランジスタ
Q200、Q300 NチャネルMOSトランジスタ
20 差動増幅回路
30 出力バッファ(ソースホロア回路)
Tp100、Tp101、Tp102 PチャネルMOSトランジスタ
Tn100、Tn101 NチャネルMOSトランジスタ
11、12 オペアンプ回路
13 貫通電流防止用トランジスタ
14 基準電圧発生回路
15 出力バッファ
Q400、Q600 PチャネルMOSトランジスタ
Q500 NチャネルMOSトランジスタ
【特許請求の範囲】
【請求項1】 電源ノードに印加される電源電圧と接地ノードに印加される接地電圧との間の中間電圧を発生させる構成の電源装置であって、上記電源ノードと上記接地ノードとの間に接続された基準電圧発生用の複数の抵抗により、上記中間電圧の変動許容範囲の上限値及び下限値となる上限基準電圧及び下限基準電圧を発生させる基準電圧発生手段と、上記中間電圧と、上記上限基準電圧および下限基準電圧とを比較し、比較結果を出力する電圧比較手段と、上記電源ノードおよび接地ノードと上記中間電圧出力ノードとの間に、それぞれ接続され、上記電圧比較手段の出力によって導通制御されて、上記中間電圧の上記上限または下限基準電圧を超える変動を防止する一対のスイッチング手段とを有して成る電源装置に於いて、上記一対のスイッチング手段を介して、上記電源ノードと接地ノード間に生じる貫通電流を抑制するための貫通電流抑制手段を設けて成ることを特徴とする電源装置。
【請求項2】 上記電圧比較手段は、差動増幅回路とソースホロワ回路とで構成され、上記一対のスイッチング手段は、PチャネルMOSトランジスタとNチャネルMOSトランジスタとの直列回路で構成され、上記各々の回路部の電流経路に、それぞれMOSトランジスタからなるスイッチング手段が設けられ、該各スイッチング手段は、外部から供給される制御信号により導通・遮断が制御されることを特徴とする、請求項1に記載の電源装置。
【請求項3】 液晶パネルと、該液晶パネルに駆動信号を出力する液晶表示駆動装置と、該液晶表示駆動装置に駆動用電源電圧を供給する電源装置とを含んで構成される液晶表示装置に於いて、上記電源装置として、請求項1または2に記載の電源装置を用いて成ることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項1】 電源ノードに印加される電源電圧と接地ノードに印加される接地電圧との間の中間電圧を発生させる構成の電源装置であって、上記電源ノードと上記接地ノードとの間に接続された基準電圧発生用の複数の抵抗により、上記中間電圧の変動許容範囲の上限値及び下限値となる上限基準電圧及び下限基準電圧を発生させる基準電圧発生手段と、上記中間電圧と、上記上限基準電圧および下限基準電圧とを比較し、比較結果を出力する電圧比較手段と、上記電源ノードおよび接地ノードと上記中間電圧出力ノードとの間に、それぞれ接続され、上記電圧比較手段の出力によって導通制御されて、上記中間電圧の上記上限または下限基準電圧を超える変動を防止する一対のスイッチング手段とを有して成る電源装置に於いて、上記一対のスイッチング手段を介して、上記電源ノードと接地ノード間に生じる貫通電流を抑制するための貫通電流抑制手段を設けて成ることを特徴とする電源装置。
【請求項2】 上記電圧比較手段は、差動増幅回路とソースホロワ回路とで構成され、上記一対のスイッチング手段は、PチャネルMOSトランジスタとNチャネルMOSトランジスタとの直列回路で構成され、上記各々の回路部の電流経路に、それぞれMOSトランジスタからなるスイッチング手段が設けられ、該各スイッチング手段は、外部から供給される制御信号により導通・遮断が制御されることを特徴とする、請求項1に記載の電源装置。
【請求項3】 液晶パネルと、該液晶パネルに駆動信号を出力する液晶表示駆動装置と、該液晶表示駆動装置に駆動用電源電圧を供給する電源装置とを含んで構成される液晶表示装置に於いて、上記電源装置として、請求項1または2に記載の電源装置を用いて成ることを特徴とする液晶表示装置。
【図3】
【図11】
【図1】
【図5】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図4】
【図6】
【図7】
【図12】
【図13】
【図11】
【図1】
【図5】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図4】
【図6】
【図7】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2001−42830(P2001−42830A)
【公開日】平成13年2月16日(2001.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平11−213254
【出願日】平成11年7月28日(1999.7.28)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成13年2月16日(2001.2.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成11年7月28日(1999.7.28)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]